幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会(第2回)議事録

1.日時

令和3年8月10日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議形式で開催

3.議題

  1. 幼児教育を支える要素に関する委員等からのヒアリングについて
  2. 委員による意見交換等について
  3. その他

4.議事録

【無藤委員長】 それでは、10時になったかと思いますので、ただいまから第2回中央教育審議会初等中等教育分科会、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会を開催いたします。本日は第2回目でございます。御多忙の中、皆様には御出席いただきまして誠にありがとうございました。
初めに、本日の会議の開催方式と資料につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【橋田幼児教育企画官】 本会議は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、Webexを用いたウェブ会議方式にて開催させていただきます。ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますけども、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言以外も含め、会議中はオンにしていただきますよう、お願いいたします。委員の皆様には御不便をおかけしますけども、御理解のほどよろしくお願いいたします。
なお、本日は報道関係者と一般の方向けに本会議の模様をWebexイベンツにて配信しております。
それでは、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第にございますとおり、資料1-1から資料4まで、及び参考資料、その他、委員提出資料となっております。御不明な点等ございましたらお申しつけください。
【無藤委員長】 よろしいでしょうか。
本日でありますけれども、議題1といたしまして、幼児教育を支える要素について、委員よりヒアリングをお願いしてございます。議題2としては、その後に意見交換の時間を設けたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、議題1のヒアリングでありますが、お一人8分以内という短い時間ですが、御説明をお願いできればと思います。4人の方にお願いしてありますので、まず、岡林委員より説明をお願いいたします。
【岡林委員】 それでは、皆さん、おはようございます。今から高知県教育委員会の取組をお話しさせていただきます。少し資料が多めになってしまって申し訳ございません。時間が限られていますので、かいつまんでお話をさせていただきます。
まず、教育のスタートとしまして、県教育委員会事務局では平成15年4月に幼保支援課を設置して、幼稚園・保育所の行政窓口を一本化しました。組織は御覧のとおりです。
現在、高知県では2つの基本理念に基づいて、その実現のため、6つの基本方針で取り組んでおります。こちらは5つ目にありました就学前教育の充実についてです。左の就学前の教育・保育の質の向上と、右の保護者の子育て力向上のための親育ち支援の充実の両輪で就学前の教育の充実を図っています。
取組については、御覧のとおりです。こちらの取組を進めていくに当たっての全体像は、この図のとおりになっております。この体制の中では、特に幼保推進協議会の立ち上げや教育センターとの連携、保幼小接続に向けてのプロジェクトチームを立ち上げたことが取組の成果につながっていると思っております。こちらは幼保支援課の幼児教育担当で行っている事業になります。
園内研修支援については、御覧のような推移となっています。これまで県の様々なアンケート調査から、乳幼児期の教育・保育の実践力向上には、お互いの保育を見合って協議することが一番効果的であるということが分かっています。また、教育委員会に行政窓口の一本化を行っている市町村は、この実施率や継続率が高い傾向となっております。
こちらは園内研修支援の内容の例示になっております。
そして、教育センターの研修体系です。理論と実践が結びついていくように研修内容を工夫し、幼保支援課と教育センターが常に連携をしながら、組織的・計画的かつ主体的な園内研修が継続的に実施されるよう、園内研修支援をベースにしながら研修を実施しております。
こちらが、より継続的な園内研修支援と年1回の公開保育を実施していますブロック別研修支援になります。県内を13ブロックに分け、ブロック内の市町村の輪番制により実施支援を決定し、市町村の協力も得ながら実施しております。市町村や公立・私立施設の枠を超えて、近隣の園の保育を見合い、協議を行うことで、個人や園の実践の振り返りにもつながっています。
また、実施園の公開保育の日は、教育センターで育成しております園内研修の企画、立案、運営を行うミドルリーダーの実践研修の場として生かし、午後のグループ協議の進行役を担ってもらうなど、県教育センターと連携した人材育成にも取り組んでおります。
こちらはある園の園内研修支援の1日の様子です。
1年間のブロック別研修が終了したときのアンケートの調査結果ですので、また御覧ください。
これはミドル保育者研修の実施後の調査結果です。子供のことについて話す機会が増えてきたという受講者の意見も多く、園長先生が実感する園内研修が充実してきたといったところにもつながっているのではないかと思っております。
ミドルリーダーの育成を始めてから本年度で9年目になりますが、研修に対する理解が定着してきたと同時に、ミドルリーダーが増加してきたこともあり、幼稚園だけでなく、県全体として園内研修への抵抗感も少なくなってきていると感じております。
園内研修支援の課題としましては、下にも記載してありますように、市町村や園によって学びの蓄積に格差があるため、事前の聞き取り等により、現状に応じた研修内容を検討する力が必要になります。園とアドバイザー等のマッチングを丁寧に行い、園の課題に応じた支援ができるようにしていく必要があります。
次は保幼小連携・接続についてです。取組については、御覧のようなことを軸にしながら、各市町村において充実を図っています。
こちらが保幼小連携・接続に関する合同研修会の様子です。幼稚園と小学校の教職員が集まり、スタートカリキュラム作成の意図や方法などについて説明を受けたり、一緒にカリキュラムの見直しや作成をしたりしております。
これまで保幼小接続の理解や実践が進みにくかったことの原因としても、実際の子供の姿を見る機会が少なかったことや、それぞれの教育観や方法の違いを同じ場ですり合わせることができていなかったことも要因ではないかと分析しています。今年度からは特に子供の姿を実際に見る機会を確保していくため、先ほどのブロック別研修会など、校区内の園内研修に小学校からも参加していただくよう、市町村教育委員会にもお願いをしております。
ここからは、昨年度まで保幼小連携・接続について取り組んできたモデル地域の例になります。先ほどの写真にもあったように、接続期カリキュラムの見直しを幼小共同で行っています。ここでは詳細は省かせていただきますが、こちらは幼稚園側から見た成果、課題と改善点になります。こちらが小学校側から見た成果、課題、改善点になります。
スタートカリキュラムの見直しは、一旦、1学期が終わった夏休みに、そして5歳児後半の年間指導計画は10月に見直して実践に生かしていきます。
モデル地域として取り組んで、学んだことの変容としましては、1つ目に、カリキュラム共有の必要性を実感したことです。互いのカリキュラムについて知ることで、幼稚園は見通しを持つことができ、小学校は幼稚園の経験が1年生からスタートし、他学年にもつながりが生かせるものだということに気づくことができています。
2つ目に、話合いの継続の必要性についてです。年間を通して計画的に保育などを見合い、話合いを継続していくことで、紙面だけで分かりにくかった子供の姿を具体的にイメージすることができ始めました。
3つ目に、学びの連続性の重要性を感じています。取組の積み重ねにより、幼稚園から小学校への学びの連続性だけではなく、幼稚園・小学校の各学年の学びの連続性や積み重ねを大切にしています。
また、接続期カリキュラムの見直しの成果と課題につきましては御覧のとおりですが、特に、幼児・児童の実態や環境について、また、育成したい資質・能力などについて共通理解が非常に深まってきたということが成果に挙げられます。さらに今後は発達や学びの連続性について、より理解を深めていく必要があるかと思っております。
また、保幼小の連携・接続は、家庭との連携の面でも重要な役割を担っています。御覧のリーフレットを就学時健診で配布し、講話をするようにしています。この中では、幼児期の遊びの中の学びが教科等の学びにつながっていることも説明し、遊びの中での豊かな経験が重要であることを保護者にも伝えています。
連携・接続についての県の課題としましては、各園、小学校の教職員にとって、まだ組織的な取組になっていないところがあります。今後はさらに実際の幼稚園等での子供の姿を小学校の教員が参観し、そこに解説を加えていくことが必要だと考えています。と同時に、園から子供たちの育とうとしている力を小学校へ伝える力がますます必要ではないかと考えています。
また、これから求められる資質・能力は、子供だけではなく、保育者にも求められる力だと考えます。保育者の皆さんが専門職としてやりがいを見いだしながら、学び続けていける環境を現場の声に寄り添いながら進めていくことが行政の役割だと思っております。
また、全国様々な地域でその地域に応じた取組が工夫して進められているようですので、今後、国からも、全国の様々な好事例を発信したり、交流したりできる機会を設けていただき、好事例がさらに全国に広がっていくことを期待しているところです。
以上で高知県の取組を終わらせていただきます。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、続きまして、藤迫委員から御発表をお願いいたします。
【藤迫委員】 そうしましたら、画面の共有のほうお願いできますか。改めまして、こんにちは。箕面市教育委員会教育長の藤迫でございます。
本日のテーマは本市の特徴的な取組であります「教育と福祉の融合(子育て施策の教育委員会への一元化)」を切り口に、一元化により何ができるようになり、何をしてきたのかということをお話ししたいと思います。時間の関係で説明を省略した箇所につきましては、後刻参照していただければ幸いです。
まず1ページです。本市の概要です。大阪府の北部、人口13万6,000人、小中学校合わせて20校、うち2校は施設一体型小中一貫校です。
2ページです。保育所、幼稚園、認定こども園とも、多くの民間園に担っていただいているのが現状です。
3ページ。本市教育委員会の組織改編の経緯です。今では保育所と幼稚園を一元化する組織は珍しくなくなってきたと思いますが、さすがにここまでドラスチックに教育委員会に寄せている自治体は珍しいと思います。課題意識は単純明快、子供関連の施策を一元化したい、ただそれだけです。
さて、それでは、どこに寄せるのかということですが、教育委員会固有の事務として学校教育が必ずありますので、市長が担当する児童福祉の部門を全て教育委員会側に寄せるという形で一元化しました。この判断は今も正しいと思っています。
左が平成16年度当時です。右側が平成30年度組織改編後の姿です。まず、平成17年度に、教育委員会の中に、子ども部、現在は子育て担当となっているところですが、という部を設置し、まずは保育所、子育て支援センター、児童手当業務を移管しました。平成28年度には子どもすこやか室を設置し、母子保健事業を移管するとともに、子供の貧困対策のコントロールタワーとして、子ども成長見守り室を設置しました。さらに平成30年度、児童虐待に特化した児童相談支援センターを設置しました。
現在は少し組織名が変わりましたが、基本的にこの平成30年度の形が完成形ということです。一元化するに当たっては、委任できるものは委任で、委任できないものは市長の事務の補助執行という形を取りました。
4ページです。ここからは一元化による具体的な効果を何例か紹介します。ほぼ全員が集まる乳幼児健診の場を逃さず活用して、子育て支援を展開。逆に、子育て支援の場に保健師が参加し、母子保健の目を加えることを行い、0歳から5歳の全ての子供を教育委員会で漏れなく一元的に見る体制を取っています。
5ページです。貧困の連鎖の根絶、貧困の連鎖が生じないよう、子供たちの成長を大人になるまで長期にわたって見守るために、子ども成長見守りシステムというデータシステムを構築しました。
学校における子供の情報及び市役所に存在する家庭の情報など、多くの個人情報を、子供をキーとして把握できるようにデータベース化しました。
6ページです。少し見にくいですが、これがシステムの一部の画面サンプルですが、0歳から18歳まで、こういう形である1人の子供について、所管の子ども成長見守り室が早めに課題や異変に気づいて、現場につなぐことも可能になっております。
7ページです。この子ども成長見守りシステムのデータとしても活用しているのですが、箕面市子どもステップアップ調査です。これは小学校1年生から中学校3年生までの9学年の全員に対して毎年、学力も体力も生活状況も含めた全方位調査を市独自にやっています。このデータがあると、例えば子供一人一人が、学年が上がっていくときにどう変化したか追えますし、各種施策の検証にも活用できますので、データを取ることは施策のバックグラウンドとして非常に大切なことだと思っています。
8ページです。ここからが少し就学前と小中学校のつながりという観点で、本市の取組を2点紹介したいと思います。どちらの事例も、あくまでも子育て施策を一元化しているからなせる取組であるという観点で聞いていただけたら幸いです。
まずは、人権教育を大切にしている中学校区の取組です。目指すべき子供像を学校園所、地域とも共有し、15年間を見通した取組を進めています。さらには研究発表という場を活用して保護者にも発信しています。発達段階に合わせて、子供たちにどのような力をつけたいかを可視化しています。
9ページです。少し見にくいですが、具体に単元を示した表の事例です。この学年はこの単元でこの力をつけようと、みんなで共有しております。
10ページです。次に英語活動です。本市は英語教育に力を入れており、日頃からネーティブな英語に触れさせたいと、ALTを76名配置しています。小中合わせてもたかだか20校程度の市ですので、単純に計算しますと、3名から4名のALTが常に学校におり、いろいろな場面で活躍してくれています。
正直このお話をすべきかどうか少し悩みました。といいますのは、いろいろな御意見を持たれている委員の方々からは、「これは何だ」というような声が上がるかもしれないと思ったからです。しかし、あくまでも私どもは組織の一元化の切り口で、単純に小中学校だけでなく、どうせなら幼稚園や保育所の子供たちにも生きた英語に触れさせてやりたい、異文化に出会い、触れることも大切な体験であるとの自然な思いで取り組んでおります。子供たちは大喜びの取組です。もちろん公立だけでなく、希望される民間園所にも出向いております。
11ページです。いろいろとお話ししましたが、まとめに代えて私の感想を。私たちが大切にしているのは教育と福祉の融合、エビデンスに基づく施策展開です。その上で、子供を真ん中に置けば、行政はどうあるべきか、何をしなければならないかはおのずと見えてきます。そして、年齢の切れ目、組織の切れ目、施設の切れ目など全ての切れ目をなくして、漏れなく誰一人取り残さないことが大切です。
今日のような話をしていると、一元化しなくとも連携さえしっかりしていれば大丈夫という声が上がります。それは両方を経験したことのない人の声です。連携には限界があります。これは両方を実体験した我々の感想です。
違った切り口から説明しますと、本市では、入庁16年未満の職員は保育所と幼稚園とを切り離して考えることはありません。入庁5年未満の職員は、産後ケア、乳幼児健診、予防接種が教育委員会の仕事であることに何の疑いも持っていません。そういうことなのです。施策の実効性をより高めるには、連携ではなく一元化です。そして、そのためにはみんなが頭を切り替えるということが大切です。
そして、最後に2点、課題と国へのお願いです。
1点目、さきにも触れましたが、本市では保育所・幼稚園・認定こども園ともに多くの民間園に担っていただいています。公私の区別なく、就学前の教育・保育の質をさらに向上していくためには、幼児教育推進体制の充実が不可欠と考え、現在、幼児教育センターの設立を検討し始めたところです。国においては今後とも当該事業が各自治体でスムーズに展開できるよう、さらなる支援、アドバイスをお願いしたいです。
2点目です。国においては、この幼児教育推進体制について様々な議論がなされています。文部科学省さんの作成の資料には、「公私、施設類型問わず、保育者の専門性の向上等の取組を進めるべし」という方向性が書かれており、私も大賛成です。
しかし、続けて、「取組を一体的に推進するためには、教育委員会幼児教育主管部局、私立学校主管部局、認定こども園保育所主管部局が連携して取り組むことが不可欠です」と記載されています。「まだ連携ですか?」ということです。
子供に最も近いところで、子供施策を一元化して取り組んでいる市町村をさらに強力にバックアップしていただくためにも、国レベルでの一元化の議論をぜひ加速していただきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
以上、ありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、3番目に村田委員から御発表をお願いいたします。
【村田委員】 よろしくお願いします。岐阜市子ども・若者総合支援センター、エールぎふの村田と申します。画面のほうをお願いいたします。持ち時間10分と聞いておりましたので、早口で行きたいと思います。
次です。エールぎふは、教育と福祉の垣根を越え、子供を総合的・継続的に支援するために、単独機関として開設され、その後、新設された子ども未来部の所管となりました。0歳から20歳前までの子ども・若者とその保護者、幼稚園や学校の先生等、子供に関わる全ての方々を支援しており、子ども家庭総合支援拠点の看板を掲げ、要保護児童対策地域協議会の調整機関でもあります。
次です。子供に関わる悩みや不安は様々ですが、困ったらまずエールぎふへとの周知が進み、民生委員さんやNPO団体等からも情報が入ります。SOSを出せない人の中にこそ支援の必要な人がいると考えており、こうした地域の方々の協力は欠かせません。
次です。エールぎふは、年代や支援内容によって担当係が分かれ、それぞれに教員、保育士、社会福祉士、保健師、公認心理士等、様々な職種がいます。また、スクールソーシャルワーカーや専門アドバイザーとしての医師、弁護士、臨床心理士がいます。最近は中高生の自殺企図に関わる相談が病院から入ることもあり、中には成績優秀、スポーツ万能、両親ともに高学歴・高収入といった一見理想的な家庭のケースもあります。しかし、情報を集めてみると、本来、乳幼児期に獲得すべき身近な大人への信頼や愛着、体験を通した情動的な交流が十分でなかった可能性があり、こうした中高生が思春期に壊れていく様子を目にするにつれ、人が生きていく上で乳幼児期がいかに大切かを実感させられます。
非行問題も同様で、例えば、性被害の加害側、被害側、どちらも未然に防ぐためには、幼児期の保護者への啓発が必須であると言われています。
次です。エールぎふには、子供本人やその家族の情報はもちろん、関係機関の情報が集まっているため、こうした機関と協働することで支援の複線化を図ります。さらに、親子教室、幼児支援教室、適応指導教室といった子供への継続的な支援の場や、養育支援訪問事業、子ども見守り宅食支援事業といった家族丸ごとサポートする体制があります。
次です。一方で、相談が入るのを待つだけでなく、支援が必要な子供のためのセーフティーネットを幾つも設置しています。最初は妊娠時で、関係機関から特定妊婦の情報が寄せられ、胎児の段階から関わりがスタートします。
幼稚園や保育所、学校等からは常時相談の電話が入り、その都度、子供の様子を参観し、時には保護者とも懇談した上で、対応方法について助言を行います。経験の浅い先生方への支援は教育委員会等も実施していますが、特に困難なケースについてはエールぎふの果たす役割が大きくなっています。
次です。エールぎふでは、子供の健全育成を阻むのは無理解であると考えています。もともとアンバランスな発達等で育てにくい子や、生活困窮等の理由から生活体験そのものが乏しく、育ちにくい環境にいる子供に対し、理解がないと、叱責の連続や虐待が起きやすく、愛着障害や自己否定へとつながってしまいます。失敗体験ばかり積み重なれば、人と関わりたいという意欲まで低下し、何も学べないまま、暴力行為やひきこもり、精神疾患につながる可能性が高まります。
次です。そんな子供たちも周りが理解し、支援の手を差し伸べれば、子供は信頼できる大人との愛着関係を結ぶことができ、子供自身の自己実現につなぐことができます。そして、この理解が早ければ早いほど有効であると考えています。したがって、保護者や先生方に子供への理解を促す働きかけをするとともに、関係機関と連携し、見守りと支援を継続します。
次です。一方で、子供だけでなく、早期に保護者ごと理解し、支援を行う重要性が高まっていると感じます。1歳前後のマルトリートメントが脳の発達や成人後の発症に最も大きな影響を及ぼすという研究成果も発表されています。
例えば、虐待で関わった母は次のように話しました。「小さい頃から泣き叫んでばかりいて、すごく育てにくい子だった。幼稚園も毎朝泣いて行き渋ったし、泣いている顔を見ると、いらいらが抑えられなかった。ここで甘やかしたら弱い子になってしまうと思って、しかり続けたし、何度も手を上げた。今から思えば、私の育て方が間違っていたのかもしれない。でも、どうしたらいいのか分からなかった。誰も教えてくれなかった。」虐待への対応は、子供へのケアとともに、虐待者からのSOSに支援の手を差し伸べる必要があります。
次です。こうした子育てに悩む親子を早期に発見するために、乳幼児健診で発達面や親子関係の面で心配な親子にエールぎふへの相談を勧奨してもらいます。各教室では、その子の心が動くような遊びを通して気持ちを共有し、大好きな人から褒められる経験をすることで、身近な大人への信頼や愛着、自分への自信を獲得することを目指しています。先ほどの母は、下の子を教室に通わせる中で、こうした担当者と幼い我が子とのやり取りから少しずつ子供への関わり方を学び、理解を深めていきました。
次です。昔は子育てのモデルが身近にたくさんあり、誰もが自然に学ぶことができました。また、親の代わりに子供をしかってくれるような子育て応援者もたくさんいました。しかし、今は少子化が進み、女性も貴重な労働力であると期待されているため、身近なモデルもなく、子育てについて学ぶ機会も十分ないまま、ある日突然、目の前に泣き続ける赤ちゃんが現れるという状況です。身内も頼れず、子育て仲間もいないまま、泣き声に恐怖を感じるような孤独な子育てに苦しむ保護者が本当に多くいます。
これは子供の側も同じで、昔は大量の経験の中で様々な感情やコミュニケーションについて自然に学び、その質を高めてきましたが、今は経験そのものが乏しく、自然には学べません。そこで、親自身が子供への適切な関わり方を学び、練習してもらう場や、子育て仲間を増やせる場として、ペアレントトレーニングや3つの保護者の会を開催しています。
子供は社会全体で育てる必要があり、そのためには、一部の親子に手厚い支援を準備するだけでは間に合わなくなりつつあります。子育てが難しくなっている今、全ての親が子育てについて、ただ講義を受けるだけでなく、子供と同じように体験を通し、じっくり学べる機会を保障することが必要であると考えます。
次です。また、保護者に子供の理解を促すには時間が必要です。認められたり、褒められたりした経験のない保護者は、我が子を褒めることが難しいため、まず保護者をねぎらい、認めることからスタートし、信頼関係を結びます。保護者自身が誰かを頼ることでうまくいったという成功体験を積み重ねることで、子育て応援者がたくさんいることを実感できます。そうした経験が就学後、学校の先生方や地域の方々と協力し子供を育てる姿につながります。
学校側は事前の学校見学会や引継ぎ会を通して、子供を迎えるための準備が充実し、保護者との協力関係も結びやすくなります。
次です。岐阜市では全ての幼児に関わる研修や引継ぎについては教育委員会等が推進しています。一方で、理解されにくいものの、より丁寧な対応で力を伸ばすことができる子供たちについては、エールぎふが担っており、こうしたそれぞれの取組が重なり合うことで切れ目ない支援を実現できると考えています。
また、先生方により配慮が必要な子供への理解を促すことが、ほかの子供たちへの理解促進という波及効果を生むとも考えています。
一方で、いずれの機関も大量退職による人の入れ替えに伴い、引継ぎ内容が途切れる場合があります。また、保護者の了解が得られず、うまく引継ぎができないケースも残されています。支援者側の人材育成や、個人情報共有のための体制整備によって切れ目ない支援を実現することも、子供たちの格差をなくすために必要であると感じています。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、4人目でございますけれども、久保山委員から御発表をお願いいたします。
【久保山委員】 皆様、おはようございます。久保山でございます。特別な支援を必要とする子供の幼児教育の現状と小学校への接続についてお話をします。お話を通じて、この特別委員会において、常に特別な支援を必要とする子供を視野に置いていただきたいということ。それから、特別な支援については、子供個人の課題よりも、むしろ園の保育の質の課題が大きい。しかも園によって差が大きいということをお伝えしたいと考えております。
次お願いします。幼稚園教育要領の前文の一部です。御存じのとおりだと思いますけれども、これは私の立場からしますと、ここに書かれていることは、「共生社会の担い手を育むこと」であると捉えております。
次お願いいたします。これまで多くの幼稚園、認定こども園、保育所は特別支援教育の考え方を実践してきたと考えています。例えば函館市立はこだて幼稚園は、ある研究会において、特別支援教育は幼児教育の考えそのものであると述べています。こうした園では多様な子供たちが安心して過ごしていると考えられます。
次お願いします。しかし、実際には、特別な支援が必要な子供の園への在籍に偏りがある可能性があります。例えば、「うちの幼稚園には障害のある子供はいません」と言い切った園長先生が経営する園があります。また、園の方針に合わないといった理由で、5歳児の秋になって退園せざるを得ない子供が出てしまう園があります。
一方で、こうした子供を受け入れている園、先生、子供たちがいるわけです。もちろんそうした園は大変ですけれども、それでも受け入れて卒園まで持っていくということが行われています。そして、それが毎年繰り返されているという実態があるわけです。また、全園児の約3割が特別な支援を必要とする子供というような園も数多く存在しているわけです。
次お願いします。特別な支援を必要とする子供の在籍と園の保育の質というのは深く関係があると考えています。例えば、保育者主導で設定活動や行事を中心とした保育をしている園では均質的な集団が求められています。その結果、特別な支援が必要な子供は過ごしにくくなります。また、周囲の子供たちも、特別な支援が必要な子供と生活した経験がない、あるいは乏しいという状況にあります。
一方、子供主体で遊び中心、そして柔軟性のある保育をしている園では多様性のある集団となっています。その結果、特別な支援が必要な子供も過ごしやすい環境になっています。また、周囲の子供たちも特別な支援が必要な子供と生活した経験がある、さらに豊富であるという状況があるわけです。
次お願いします。幼稚園教育要領等に即した保育をしている園では、多様な子供が安心して過ごせる環境、関わりがあると考えられます。一方、そうではない園の中には、子供が困ってしまうような環境、関わりが見られることがあります。これは保育の質の課題であると考えられます。
しかし、こうした園において、落ち着きがない、保育室を飛び出す、ほかの子供と同じことができないということになりますと、それは子供の特性のせいにされてしまっているという事例があるわけです。子供個人の特性や課題ばかりを取り上げて、その対応を考えても意味はありません。むしろ、在籍する園の保育の質を問うということが必要だと考えています。
次お願いします。特別な支援を必要とする子供の多くは、いわゆる並行通園をしております。幼稚園等に通いながら療育を利用するというもので、その数は増加しています。中には週3回、別々の療育の場に通っている子供もいるわけです。また、「保育所等訪問支援」を利用する子供もいます。これは療育の担当者が園に来て、子供の支援とか園に対する支援を行うものです。個に対する有効な支援ですけれども、それが園の保育と合わないといった課題もあります。例えば療育担当者が個別の療育と同じ内容とか方法を環境が全く異なる園の保育の中で実施するように求めることがあります。園は混乱して、困惑するということがあります。
一方、保護者は、療育の効果を高めたいということで実施を求めるわけですから、保育者は苦労します。療育の目的は何かということを考える必要があるかというふうに思っております。
次お願いします。このスライドには合理的配慮について説明をしています。合理的配慮については注目されていて、内容や方法について知見が集まっています。しかし、合理的配慮が個別に提供されるというときに、その内容や方法は、提供される環境の整備状況、つまり、基礎的環境整備に左右されると思われます。したがって、合理的配慮とともに基礎的環境整備に着目する必要があります。
次お願いします。基礎的環境整備は幼児教育でいえば、保育の質の向上であると考えることができます。この図にありますように、同じAさんが基礎的環境整備の充実したB園に通うのと、そうではないC園に通うのとでは合理的配慮が異なるということはお分かりいただけるのではないかと思います。
次お願いします。このスライドは、保育の質と個に応じた支援について示したもので、ワシントン大学の研究者たちが作成したものです。この図でも、①から③が充実していることが大事であって、個に応じた支援は単独では存在しないと説明をしています。
次お願いします。今までお話ししてきたようなことを実践してきた幼稚園の園長先生の言葉が、ここに書かれてあります。後ほどお読みいただければと思います。
次お願いします。ここまで特別な支援を必要とする子供の幼児教育の現状についてお話をしてきました。要領の前文にあるように、これからの幼児教育では、特別な支援が必要な子供も周りの子供も育つ保育が求められています。つまり、インクルーシブな保育です。それは得意を生かし、幼児期から自己肯定感を育む、できないことの改善よりも、今、手持ちの力で今できていることを認めて豊かにする保育ではないかと考えます。周りの子供たちも、様々な葛藤がありながらも、共生社会の担い手として育っていく、そういう保育が求められていると考えています。
次お願いします。障害のある子供の就学先決定の手続について示しています。中央の下の囲みを御覧ください。本人、保護者の意見を最大限尊重し、教育的ニーズと必要な支援について合意形成を行うことを原則とする。そして、最終的に市町村教育委員会が就学先を決定するとしています。
その下に右向きの矢印がありますけれども、就学先決定の手続等において、情報の引継ぎや個別の教育支援計画を作成し、活用するとしているわけです。
次お願いします。その引継ぎの手だてですけれども、ここに挙げてありますように大きく3種類あります。いわゆる「要録」、それから、「個別の教育支援計画」、「個別の支援計画」、さらに、自治体が独自に活用しているものとして、「相談支援ファイル」、「サポートファイル」、これらは生涯活用することを目的としているものですし、「就学支援シート」、これは接続期に特化したものです。
以下、2つの市の取組を紹介します。次お願いします。A市、この町では教育委員会の特別支援教育の部門を児童福祉センターの建物の中に設置して、乳幼児健診からその後の相談に関与する。それからサポートファイルを活用して、幼稚園に特別支援教育幼児教室を設置しているという取組をしています。
次お願いします。また、B市では幼児教育センターが特別支援教育に非常に積極的に取り組んでおります。幼保小連携推進協議会を充実させて、保育所、認定こども園、幼稚園と小学校の職員が同じ研修を受講するといった取組をしています。
次お願いします。特別支援教育を専門とする者の視点から幼児教育を考えてまいりました。これまでの実践の積み重ねに加えて、以下の4点を追求することが大切であると考えています。
全ての子供が安心して過ごせる保育の追求、そして保育の質の向上によるインクルーシブな保育の実現、そのために、保育所、認定こども園、幼稚園と小学校との連携の充実、さらには小学校の理解をお願いしたいと思います。保育者と教師が共に学ぶ、それから、幼児期にここまで育てることを求めるのではなくて、ここまで育った姿を受け止めるというような分かり合いが必要かと考えます。さらに、教育委員会の理解とリーダーシップが必要だと考えております。
以上で終わります。ありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。
それでは、4人の方のヒアリングが終わりましたので、残りの時間が10分弱になりますけど、ございますので、そこで意見交換と質疑応答を行いたいと思います。委員の皆様方に御発言いただきたいと思いますけれども、最初のところで、一部の何人かの委員の方から、幼児教育の実践に関わるところの御紹介という希望が出ておりますので、まず、それの概要を先にしたいというふうに思います。
その御紹介を含めた各委員の発言につきましては、前回と同じですが、お一人2分程度ということで、短くて恐縮ですけれども、よろしくお願いいたします。なお、9月に予定していますが、次回の特別委員会は全て意見交換の時間に充てさせていただく予定でもございます。
それでは、実践者の委員の方から御紹介いただきたいと思いますが、4人の方でございます。中山委員、宮下委員、曽木委員、渡邉英則委員の順でお願いいたします。
それでは、まず中山委員、お願いいたします。
【中山委員】 佐野の中山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。資料の共有をお願いします。
表紙をめくっていただいて、1ページ目と2ページ目で御説明いたします。この接続の取組は平成27年にスタートいたしましたが、きっかけは、卒園生が6月に学力をめぐって大変苦しい小学校生活を送っている。それを保護者から相談を受けまして、私はすぐに校長先生に直談判に行こうと思いました。でも、ちょっと思いとどまって、日頃お世話になっている栃木県幼児教育センターに相談したところ、接続の取組をするよう勧められました。結果的に佐野市教育委員会の協力も得て、現在に至っております。
ここでは、何が幼児教育と小学校教育の違いなのかとか、何が壁なのかというところをまず直視しようというところに力を注ぎました。ですから、いろいろな違いが上がったのですが、次のページお願いいたします。
ここは、全てではないのですが、例に挙げたところであるわけですけれども、まず原理原則というところで、幼児教育では環境を通して行う教育ということで、これが非常に小学校の先生方には難しいということが再三出てまいりました。
それから、目標の違いということで方向目標と到達目標ということになりまして、このあたりから10の姿を到達目標とすべきでないなんていう議論が出てくるのかなと思います。
それから、目当てと手立ての共有ということでいえば、園児の場合は、ただ面白いから遊びます。やりたいからやっているのですが、結果としていたくさんの学びを自分のものにしていく。小学校の場合は児童と教師が狙い、それから手立てをあらかじめ共有して進んでいくという姿があります。
それから、生活の場面では、これは小学校の場面なのですが、黄金の3日間と言うそうで、入学して3日以内にいろんなことを教師が決めていくと。係などですね。ここでスタートに当たって黒板係を決めずにスタートしてみました。我々は予測できたのですが、係がなくても黒板を消したがる子がいて、黒板消しの数が足らないので、何日も待つ子がいて、やがて不満が出てきて、そこで話し合って、順番にしようということで係がスタートしました。
1ページ目に戻ってください。初年度は8回やったのですが、次の年からは3回の研究会、それから授業、保育の相互参観、カリキュラムマネジメントに重点を置いて現在に至っております。
課題としては、継続することと広がりですね。続けているのですが、課題を感じています。
この後、参考資料も添えていますので、ぜひ御覧になっていただけたらと思います。どうもありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、宮下委員、お願いします。
【宮下委員】 宮下です。私は、幼児期の遊びを通じた学びについてということで、5歳児が走る車を作りたいという目的に向かって、これまでの体験を生かしながら試行錯誤を繰り返して、友達と互いのよさを認め合ったりしながら、協力して遊びを進めていった事例を紹介したいと思います。

幼児は、自分が作りたいという車のイメージに合った材料を選んで、うまく仕組みをそれぞれ工夫しながら作ってきました。特にタイヤの部分などで試行錯誤を重ねていく中でいろいろなことを感じたり、気づいたり、また、友達のいいと思ったところを取り入れたりする姿も見られました。
イメージした車が出来上がりますと、今度は車を走らせるための坂のコースを作りたいという新しい共通の目的が生まれてきまして、コース作りが始まりました。友達とイメージを共通するための設計図を描いたりとか、また、牛乳パックに新聞紙を詰めると硬くなるというような知識を生かしたりとか、土台が崩れないように段ボール箱に固定するというような気づきも出てまいりました。
坂のコースに車を走らせて、友達と競い合って楽しんだ充実感が原動力になって、人が乗れる車をみんなで作りたいという目標も生まれてきました。みんなでデザインを決めようということになりましたが、テレビで見たことがあるあの方法でやろうということで、1人1枚ずつシールを配って、好きな車に投票することに決めました。
人が乗っても潰れないタイヤを作るにはという課題には、CDを何枚も重ねたときに強かったという経験を生かして、段ボール箱を丸く何枚も切って、それを重ねて作る工夫も見られました。また、タイヤの軸をガムテープで貼るよりも、本体に穴をあけて通すほうが丈夫だというアイデアが出てきたりし、以前の体験を生かす姿もたくさん見られました。
このように、子供たちは五感を使った直接的な体験を通して、いろいろなことを学んで、それが子供たちの資質能力というものにつながっていると感じております。遊びを進める過程で、様々な課題が生まれますが、その解決方法を教師が教えるのではなく、幼児が自ら考え、それを言葉や動きで伝え合いながら解決方法を見つけ出していくその体験が重要であると思います。これを支えていくための環境構成とか教師の援助については、こちらの資料に載っていますので、御覧いただきたいと思いますけれども、こういう体験によって資質能力の基礎が育まれていることを小学校の先生方と共有できるといいなと思っております。以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、曽木委員、お願いいたします。
【曽木委員】 陽だまりの丘保育園の曽木と申します。資料の共有をさせていただきます。保育園から発表させていただきます。
園でやっている実践事例としましては、マンホールに興味を持ったことから、御当地マンホールの絵を調べたり、水の循環や泥水の浄化の装置を製作したりしながら、どうやったらきれいな水が作れるかなどを試している時期がありました。
右側ですが、その後、水の循環などから、どうして海の水はしょっぱいのだろうという疑問が湧き、循環で調べた、川が、雨がしょっぱいのかもしれないという仮説を立てたため、川と海の水を汲んできて、雨水をためて、それぞれ火にかけてみることにしました。すると、海の水だけ塩が出たことに驚いていました。
その後、保護者の協力もあり、全国の海水を集め、塩を取り続ける遊びをひたすら繰り返していました。
以上が何年か続いた実践を短くお伝えした事例ですが、私がお伝えしたいこととしては、どうしてという子供たちの疑問や、やってみたいという思いを大事に一緒に取り組むと、身の回りにある世界の秩序やいろいろなすてきなことに気づくきっかけになります。これが無藤先生もおっしゃっていた発見学習ではないかと思っておりますし、結果は関係なく、調べること自体が楽しいと感じています。多様なものへの興味の広がりから、多角的な視野で様々なことを主体的に学んでいっていると思います。
次のページを御覧ください。やってみたいという子供の思いや目的を達成するための過程で出合う手段として、量を測り、相手に伝えるために言葉や文字を覚え、協同的に友達同士で学び、助け合い、粘り強さが身についていきます。興味関心としての子供の思いや目的を目標や方法、手段などと切り離さないように保育をしています。
次のページを御覧ください。こういったことを大切にするためには、たくさん対話することが大事であり、協同的に学ぶこと、そして友達や大人をまねて学ぶこと。それらは全て遊びや生活の中で五感を通して育まれています。そして、それには保育士の環境設定が大事であり、子供と保育士の思いのバランスが大事だと思っております。
最後に、今回は科学的な取組の事例をお伝えしましたが、それ以外にも遊びの中にたくさんの学びの機会があり、子供の思いを大切に保育しています。
私からは以上です。ありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、4人目になりますが、渡邉英則委員にお願いいたします。
【渡邉(英)委員】 皆さん、おはようございます。よろしくお願いいたします。
村田委員とか久保山委員のお話しに共感しつつ、私のほうからもお話ししたいと思います。
私は実践の事例に今回はこだわりました。ただ、その事例を通して、主な論点である「学びとは何か」というところで、教えればいいとか、正しい答えを教えればいいというような形ではなくて、今、「問いを持つ」ということが出ましたけども、自分たちがどうしたいとかって調べたりとか、一緒になって何か挑戦していくということがすごく大事かなと思ったり、一人一人を大切にするという幼児教育の根本のところがすごく大事だと思っております。
この実践は、表題にゆうゆうのもり幼保園と書いてありますけど、実際には港北幼稚園の実践です。昨年、コロナで4月、5月が休園になり、年長の子供たちに対して環境をどうつくっていくかというところで、年長のあるクラスで1人の男の子がなかなかうまく入れない、そこからこの実践はスタートします。
その子が好きだったことが車だということで、ウェブという言い方をしますけども、車というところからスタートして、車体を作ろうとか積み木で入り口を作ろうとかハンドルが回ったほうがいいとか発想や遊びを広げていくなかでゲームセンターにしたいという話になります。
文科省のこの検討部会で言っていいか分かりませんけど、子供たちのイメージが共通になってきたのは、多分ステイホームもあったと思いますが、マリオカートというゲームです。マリオカートを作ろうとなったところで、映像はやっぱり動いていたほうがいいという声が出てきたりして、どのようにそれをより本物らしくするかというところで子供たちが知恵を出し合います。
ゲームをいけないという話もあるかもしれませんが、ITC化の使い方もあるんですけど、答えを教えるというより、子供たちがICT化を使いこなして、そこに遊びの中に入れ込んでいくのです。
本当は保護者向けの映像があります。ハンドル作りから入りますが、ゲームセンターだからコインを入れるという話が出てきたりします、これは写真じゃないと多分なかなか難しいですけど、車を運転するときの絵はどうするかという話の中で、どうしても動く。映像があるといいということになって、保育者もプロジェクターとiPadとかを用意して、いろいろな映像をネット上から動画を持ってきます。ここからすごいのが、子供たちは、マリオカートですから、何かクエスチョンマークのようなのが出てきたら、上から箱でてきてやっつける、さらに箱から飛び出したものを全部自分たちで作り出すとか、そういうふうにして、映像の世界で終わらないで、どんどんと自分たちの遊びの中でそういう工夫をしていきます。
その延長線上に、動画を自分たちで撮って、園の中をぐるぐる回りたいって言い出して、その動画を撮ります。保育者も、4月、5月の頃休園のため映像の編集とかしていたので、園舎内をぐるぐる回るようなところを撮影しまくって、映像を編集し、その中にクエスチョンマークが出てきたら、実際に保育室の上から箱がでてくるなどいろんなものがあって、それを探してアイテムを見つけると、これが出てくると50点とか、これが出てくるとマイナス5点とか計算することも入ってきます。
それから、ここはがたがた道だからと揺らすところとかといってみんなが協力しだします。1人の子供が言った、その子供の意見を大事にしながら、だんだんとクラスに広がっていくという遊びの中に、ICT的なものが入るとか、それを子供たちが使いこなしていく。ICT化も、何か教えるための話ではなくて、自分たちでそういうものをより面白くしていくためにどうするかというような考えを持つようになるとか、そこで仲間関係が育っていくとかというふうにして、本当に一人一人の子供たちの持っている力ってどんなことだろうというのがこれからの教育のあり方ではないかと思っています。
改訂の中では、「資質・能力」って一緒に言いますが、やっぱり資質って、自分が持っているものってどんな力だろうって誰も分からない。だけど、幼児期に丁寧に見つけてあげて、その見つけたものを育てていくということが大事だと感じています。そうすると、そういう幼児教育のありようというのは、僕は接続期の話じゃなくて、小学校の教育とか中学校の教育にもすごく大事なことではないだろうかと思っています。
最後にチラシが見えなかったら申し訳ないですが、今回、横浜市の教育課程研究委員会という、小学校・中学校の生活科とか総合学習の先生たちが集まる研究会のところで、初めて幼稚園が実践提案していいということで、このマリオカートの提案をさせていただくことにもなっています。小学校の先生たちも、子供が学ぶってどういうことかということを、幼稚園の実践から考えていただけるというような機会になっています。これで私の提案のほうを終わりにしたいと思います。御清聴ありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。今の渡邉委員の写真資料は多分、委員の皆さんの御手元、前もって送られたやつですね、そこに載っているものだろうと思いますので、後で御参照ください。
それでは、残りの時間ですけれども、1時間ほどございますので、そこで委員の皆様方との意見交換をしたいと思いますが、リモートのやり方うまくいくようにちょっとお願い事がございます。
まず、御発言を希望される方は、手を挙げるというボタンがあると思いますので、それを押してください。私が本来座長として判断すべきところですが、全員が見えない、見えにくいので、恐縮ですけれども、押していただいた方のお名前を事務局で控えていただいて、事務局より順番に指名させていただくというやり方にさせていただきます。そして、指名された委員の方はミュートを解除して御発言をお願いしたいと思います。申し上げたように2分程度ということですね。
そして、その御発言が終わりましたら、手を下げるというボタンがあるようですので、それで挙手を取り下げていただくということでお願いします。
なお、希望いただいた方全員からの発言が終わって、まだ時間がある場合には改めて御発言の希望を伺わせていただきますので、また改めて手を挙げていただくということもございますので、よろしくお願いいたします。
それでは、どなたからでもここはよろしいのですけれども、いかがでしょうか。挙手をお願いしてよろしいですか。
すいません、全員が見渡せないので。
【橋田幼児教育企画官】 それではまず、平川委員、お願いいたします。
【無藤委員長】 お願いします。
【平川委員】 広島県教育委員会教育長の平川でございます。広島県の方からは、本県の乳幼児教育支援センターの件をちょっと御紹介させていただきたいと思います。
資料の方にありますように、平成29年に「『遊び 学び 育つひろしまっ子!』推進プラン」を策定致しまして、5つの力が育まれるように今、頑張っております。「感じる・気付く力」、「うごく力」、「考える力」、「やりぬく力」、「人とかかわる力」ということで、乳幼児教育支援センターには小学校の指導主事、園・所での指導経験のある専門職員、幼児教育アドバイザーのほか、心理職、保育ソーシャルワーカーを配置しております。いろいろな研修がある中で、やはり園所、保護者の方からもいろいろ要望がありますのが、特別支援に関する困り感で非常にこの件では効果を発揮しているのではないかと思っております。特に本県では個別最適な学び担当という部署を2年前から設置しておりまして、そことの連携も今後進めていきたいと思っております。
あと、委員の先生方から発表をお聞きしていまして、箕面市の藤迫教育長からの御発言で、子供関連に関しては一元化することが望ましいと。私も本当にそう思っておりまして、広島県はまだまだだと言われそうですけれども、国に関してもこども庁の動きもありまして、一元化するのはいいですが、藤迫教育長もおっしゃっているように意識の改革をしていかないといけないかなというふうに思っております。
それから、1点、マスコミの報道で、今回のこの幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会で、どうしても教育プログラムを作るという形にすごくこだわっているような報道が多いなと思っております。これもいろいろな委員からも御発言がありましたけれども、行き過ぎた早期教育にならないように、是非ともマスコミに広報されるときは、この辺りの注意をしていただきたいなと思っております。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、次の方。
【橋田幼児教育企画官】 次、堀田委員、よろしくお願いいたします。
【無藤委員長】 お願いします。
【堀田委員】 東北大学の堀田でございます。私は教育の情報化を専門としていまして、最近で申し上げますと、データ駆動型の教育というのが1つのイシューになっております。こういう観点から、箕面市の藤迫教育長に少し、質問といいましょうか、もうちょっと詳しく教えてほしいというお話を1点だけ申し上げます。
箕面市の先ほどの御発表では、組織の一元化と同時に、データの一元化といいましょうか、利活用の一元化といいましょうか、そういうことをやっていて効果を上げていらっしゃるように感じます。これはすばらしいことだと思いますが、行政においては多くの場合、個人情報の関係等でデータの一元化がなかなかできないというのが一般的かなと思うんです。私はそれをやっていかないと、これからはデータを十分に利活用していかないと、個別の支援というのは難しいと思っていますが、役所の論理でいうとなかなかそこが難しいとよく言われます。
この辺りについて、役所の行政の課の壁といいましょうか、部局の壁を越えるようなことがどういうふうにできたのかというようなことが質問でございます。
できれば、高知県の岡林先生にもこの観点から何か御助言いただければと思います。
私からは以上です。
【無藤委員長】 御質問2ついただきました。1つといいますか、お二人にいただきましたので、まず藤迫委員から御回答の方お願いいたします。
【藤迫委員】 ありがとうございます。個人情報の取扱いについては、今、先生おっしゃるとおりです。1つは、組織の壁、教育委員会と市長部局、この壁を乗り越えられないという壁が1つありますのと、それから、収集目的以外にそれを使ったら駄目だという2つ目の壁があります。
この2つの壁を取っ払うために、我々は個人情報保護条例の改正をして、心身とか生命とかそういうことの目的であった場合にはその2つの壁を取っ払っていけますよということで、教育委員会には、先ほど言いましたけども、学校の子供たちの学力・体力・生活状況の情報はもちろん使いますし、生活保護とか児童扶養手当とかそういった情報も、条例を改正して一元化する、というような取組をしています。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございます。それでは、岡林委員もお願いいたします。
【岡林委員】 高知県の一元化につきましては、当初に、やはり幼稚園、保育所、認定こども園と施設が違って教育が違う中で小学校に上がるというのは不自然な形ではないかというようなところで、やはり複雑な部分があるというところから一元化に進めていったわけですけれども、やはりそこにつきましては、当時の教育長等の上の者が非常にそういったところの理解を高めていったというようなところが大きなところだったかなというふうに思います。
また、個人情報につきましても、箕面市さんほど他課との連携というところがまだ十分ではないかなというふうに思いますが、やはりそういったところは目的に応じて個人情報をしっかり秘密厳守しながら進めていくというところは非常に慎重にやっているところです。
すいません、以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、御質問に答えていただいたと思いますので、次の委員の発言をお願いしたいと思います。
【橋田幼児教育企画官】 それでは、神長委員、よろしくお願いします。
【無藤委員長】 お願いします。
【神長委員】 皆さんの幼児教育・保育を支えるという、質を支えるということでの行政の役割についての御発表、大変興味深く聞かせていただきました。やはりいわゆる行政の役割というのは、幼稚園も保育所も認定こども園もですが、それぞれの園では質向上に日々取り組んでいると思いますが、やはり外の声といいますか、保護者であったり地域であったり小学校であったり、そういう園の外の声を園の保育の質の向上に反映していくという意味で、行政の役割は大きいかなと思っています。
それが1点と、もう一つ、やはり質向上ということに関わっては、最終的に今回の架け橋ということを考えますと、先生方一人一人のいわゆる実践力向上につながっていくということが大事なことだと思います。特別支援に関わってもそうでしたし、遊びの中の学びの先生方の発表もまさに、先生方がいわゆる保育実践力を相当に持っていて、要するに、一人一人の先生方の資質向上が園の保育の質を支えていると思います。
特に5歳から1年生の壁を思いますと、やはり先生方の園内研修を通して子供や保育・教育に関わってのいろいろな情報が園内研修に入っていくということが大事です。5歳であれば、発達の課題という、発達の段階に応じた遊びへの関わりという意味で、園ではもう最終のところですけれども、幼児期から小学校、中学校というその全体を見ていくと、まさに5歳って1つの変わり目の時期だと思います。だから、先生の関わり方としても、子供たちの考えを深めるとか、考えを広めるとか、考えを共有するというところに援助の視点が向いていくことがすごく大事でして、前回の話の中であった、思考、子供が考えていることを言葉にして、それを先生がみんなに伝えていくというような話題もありましたけれども、まさに教師の役割が大きいと考えます。
【橋田幼児教育企画官】 神長委員、そろそろまとめていただければ。
【神長委員】 保育者の役割に気付いて、自分の実践力向上に取り込んでいくというためには、まさにその園内研修をいかに活性化していくかが大事ですし、その視点から研修の充実を図る行政の支援がすごく重要と考えます。この架け橋プログラムに関わっては特に保育者の資質向上を図る研修の充実を思っています。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。次の委員の方。
【橋田幼児教育企画官】 中井澤委員、よろしくお願いいたします。
【無藤委員長】 お願いします。
【中井澤委員】 一般社団法人ひととの中井澤と申します。私の方から2点意見を申し上げます。
1点目については、久保山先生の方からあった特別支援に関することについてで、外国籍幼児の論点も1つ重要になってくるのではないかなというふうに私は感じています。2016年時点で公益社団法人全国幼児教育研究会の調査によると、調査対象の半数以上に外国籍幼児が在籍しているという現状がありまして、かなり日本語が通じないという点においても、例えば幼児が遊びに参加しないという点においても、かなり課題が指摘されているところであります。その点について、保護者への支援が特に課題として感じている幼稚園・保育園の先生が多いという調査結果も出ているので、その辺りは例えばICTで翻訳のツールを活用するといったような実践が、幼稚園から小学校に上がるタイミングの接続という点でも重要になってくるのではないかなというふうに思っております。
2点目は、箕面市の藤迫先生の英語教育の実践をお伺いして非常に興味深いなというふうに思いましたが、やっぱり幼児期においては遊びを通じていろいろな言語に触れるという点が重要になってくるのではないかなというふうに思うので、外国籍幼児がいるところについては、彼らの母語を活用して、英語だけではなくていろいろな言語に触れるという異文化体験を組み入れるというところが1つ、遊びを通じた学びというところで重要になってくるのではないかなというふうに思いました。
私からは以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、次の委員、お願いします。
【橋田幼児教育企画官】 水野委員、よろしくお願いいたします。
【水野委員】 貴重なお話たくさんありがとうございました。私からも、意見としまして2点言わせていただきたいなと思います。
前回に園・所を超えたアセスメントシートの必要性について意見をさせていただきましたが、あれの意図としましては、子供たち、園児ですね、5歳児なりに何ができるかを中心に見取るというよりかは、何を経験してきたのかを先生と保護者で見取れるような共通のアセスメントシートがあればという思いでお伝えをしました。なので、それがないと、プログラムの話に今後進んでいっても、ちょっと軸を失ってしまうのかなというところを感じた次第です。
2点目としましては、家庭教育が大事だという話をすれば、どうしても保護者を責めているようなニュアンスが出てしまうのも、これは我々としては気を付けないといけないところです。保護者ももちろん一生懸命家庭教育に当たっていますが、私自身も民間時代にずっと不登校や幼児教育の家庭教育をしてきましたが、保護者はどうしていいか分からなくて困っているケースが結構多いので、そのどうしていいかというところを前向きに伝えられるような機会が必要であろうというところを感じます。
それこそ2年ほど前に文科省の事業で、フィンランドの方にまさにこの幼児教育と小学校教育の架け橋の件で視察に行かせていただきました。フィンランドでは幼稚園と小学校の間に1年間のプリスクールという制度がありますが、そこですごく衝撃を受けたのが、子供にとっての段差だけの話ではなくて、保護者にとっての段差の解消が必要だという話を聞きました。
日本でも、幼稚園とか保育園のときは保護者が、園の門の前で保護者同士が集まっていろいろ情報共有したり、ほかの子供を見て、御自身の子供のことをまた見ていったりと、そういう機会が多いのですが、小学校に上がったら一気にそういう機会が減ってしまう。そういう保護者にとっての幼児教育と小学校教育の段差の解消をしていくという視点も大事かなと思います。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、次の委員、お願いします。
【橋田幼児教育企画官】 オチャンテ委員、よろしくお願いします。
【オチャンテ委員】 桃山学院教育大学のオチャンテです。先ほどの中井澤委員さんからも話が出たけれど、まず外国籍の子供たちの状況について1つ。前回の発表では、1歳から10歳の間、外からのどういう刺激を与えるかで個性や能力がテーラーメード化し、個人が決まる、子供の成長で大事な時期であるというような話があったけれど、その中で一つの刺激として異文化体験とか人権教育とかも重視する必要があるのではないかと思っています。
箕面市教育委員会の事例とかにもありますように人権教育は需要であります。いじめを体験する子供たちとか、特に外見とかでいじめられるようなケースというのは、幼稚園とか保育園とかでも体験している子供たちは実際います。そういった人権教育も、異文化体験教育も重要であり、その中でも母語教育の話も出たけれど、英語教育だけではなくいろいろな言語に、全ての言語に価値があるというようなことを幼少期のときから、理解することによって、大きくなってからいろいろな言語とかに触れようと興味が出てくるのではないかなと思います。もちろん外国籍の子供たちの母語教育にもつながっていきますし、他の子供たちの理解も増すのではないかなと思います。
あともう一つですが、先ほどの発表された皆さん、本当にありがとうございました。その中でやっぱり共通する点としては、保護者向けの研修とか、子供たちとどう関わっていったらいいのか分からない、自然に学べないというような話がありました。子供たちとの接し方とか、子供たちで悩んでいてどこに行ったらいいのか分からない、特に例えば言葉も分からない保護者もいる中では、こういった悩みを抱えている保護者がたくさんいます。だからこそみんなで支え合っていかなければならない、少子化である特に今だからこそ、もっと子供たち一人一人を大事にしていく、全体的にみんなでやっていかなければならないかなと思います。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、また次の委員の方、お願いします。
【橋田幼児教育企画官】 溝上委員、よろしくお願いいたします。
【溝上委員】 桐蔭学園の溝上でございます。架け橋というのがこの特別委員会のテーマですので、その観点から2点、1点は、堀田委員がおっしゃったことの、私も同じことをお話ししたいということと、もう一点は、幼児教育、余り専門ではありませんので、こういう点はどうなのかという点を提起したいと思います。
1つ目は、やはり行政の壁とか個人情報の取扱いの難しさがあると思いますが、やはり架け橋という点で、データあるいは教育のデジタル化ということが進められておりますので、DXをここにつなげるという点が私はとても大事じゃないかと思います。箕面市の藤迫教育長がお話しされたことを手掛かりに全国でプラットフォームを作れないかと思います。教育再生実行会議で国立情報学研究所の喜連川先生がよくおっしゃいましたけれども、やっぱりDXを進めていく上でのこれまでにはない難しさというのを、非常に立ち止まることはありますけれども、そこはそう言わずにいろいろ進めて、いろいろ失敗しながら新しいプラットフォームを探していくというか、そういう点が何とか模索できないかということです。
もう一つは、5歳児とか、あるいは保幼の、あるいは小学校に向けて期待される学びの育ちとか、保幼小の連携とかこういうのがいろいろ出ていて、とても大事だと思いますので、それを確認した上で、それでも、非常に大きな個人差が生じて小学校に上がっていきますので、期待する姿に到達しない子供を小学校でどういうふうに受け取っていったらいいかという、こういう論点というかポイントが示されているのかということを、架け橋ということがテーマですので、あるぞということであればこういう資料があると教えていただければ結構ですが、そういう疑問点を出しておきたいと思います。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。2番目の方は、すぐに私も思い付かないですけれども、事務局側でもちょっと探していただきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、次の委員、お願いします。
【橋田幼児教育企画官】 黒木委員、よろしくお願いいたします。
【黒木委員】 私は、全国町村会の行政委員を務めております、宮崎県の西米良村長の黒木と申します。私どもの村は、九州地方山地のほぼ真ん中にございまして、人口が1,098人、認定こども園が50名、小学校が70名、中学は30名の本当に小さな村でございます。
こんな村でございますから、子供たちにとって経験領域が非常に狭いということが大変教育上の障害になっておりましたので、時と距離を超える教育をしようということで、子供たちの学習能力の向上と多様性の追求の実現のため、情報教育、ICT教育に取り組んでおるところでございます。今、小学校、中学校にはタブレットも2台ずつ持たせておりまして、学校で使う、それから、家庭でも使うということで、家庭内においてもそのような教育の普及を更に進めております。そのため、幼児の皆さんも触れる機会も多くなるというふうに思っているところでございます。
今後、更なる子供たちの健全な育成を行っていくためには、幼保小の教育を進めていくことが必要であると思っております。そのためには、保護者、教育者、それから、行政、地域が一体となって取り組んでいくこと、共通の認識をしっかり持つことが必要だと思っております。その上で、認定こども園等での育ちの連続性を小学校で実現できるように、幼保小の教育に一貫性を持たせ、共有して、そして、小学校教育と幼児教育の質の向上を図るということにつなげていきたいと思います。今日は、御発言の中で高知県のお話、大変参考になりました。ありがとうございました。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それはまた、次の委員、お願いします。
【橋田幼児教育企画官】 渡邉一利委員、よろしくお願いします。
【渡邉(一)委員】 笹川スポーツ財団の渡邉と申します。きょうはいろいろな行政の取組あるいは各園での取組、勉強になりました。前回も申し上げましたけれども、私、スポーツ政策の審議会にも所属しております。スポーツ政策を展開してもなかなか政策実効性が上がらないといったことがあります。そこで問題になるのが、ロジスティクスの問題があるのではないかと。つまり、国でいろいろ議論をして政策を作るのですが、それを都道府県、市区町村、あるいは今回の場合でいうと、各園・小学校にきっちり届いているのかどうか、そこを改めて検証する必要があるのではないかと思います。
きょうの行政の取組、特に箕面市さんの話はすごく勉強になりましたけれども、これはある意味グッドプラクティスの事例であって、そうでないところが圧倒的に多いのだと思います。ここで提案したいのは、やはりエビデンスベーストの取組をこれから進めていく中では、グッドプラクティスだけではなくて、国の政策というのはこういうことを目標にして何をしようとしているのかを、やはり都道府県、地区町村、そして、各園・学校に届けることができる仕組み、方法論をいま一度考えていただきたいと思います。当然、財政的な面、ヒューマンリソースの面、いろいろな課題があると思いますけれども、それを乗り越えて、まず政策をきっちりと届ける、実行してもらうことをどういうふうに担保していくのか、それを文科省の皆さんには改めて考えていただきたいと思います。
そして、2点目ですけれども、皆さんからいろいろ御発言ありましたが、まず国若しくは都道府県ベースできっちりとしたプラットフォームを作ってみてはどうかと。どんなものかというと、やっぱり政策が目指すところは何なのか、それから、保育者が実践すべきは何なのか、あるいは保護者が家庭や地域で実践すべきは何なのか、これを分かりやすく、活字だけではなくて実践事例の動画等を活用し、実践につなげるプラットフォームをきっちりと作っていく。
そして、データベースといった観点からいうと、これは市区町村の中でどうすべきなのかというのをしっかり考えていく必要があると思います。箕面市さんの方で部局の壁を取り払ったと、条例の改正までしたというのは、これはすばらしいことだと思います。スポーツの推進でいうと、かつては教育委員会が中心だったんですが、今、首長部局の方に一元管理というのを推進している状況です。そうすると、幼児から高齢者まで、一元的なスポーツ政策を実施できる。まさに架け橋、接続の政策をいま一度議論して、実効性あるものを考えて展開していただきたいなと、そんなふうに思います。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、次の委員、いらっしゃいますか。
【橋田幼児教育企画官】 二宮委員、よろしくお願いします。
【二宮委員】 NHKの二宮と申します。きょうは本当に非常に子どもが元気になる、すばらしいお話をたくさん聞かせていただきました。特に高知県さんとか箕面市さんのやってらっしゃる、いろいろな壁を取り払う形がもっと進んでいくといいなと思いました。
その中で、お尋ねしたいことがあります。こういういわゆる組織の壁のようなものとしては、例えば幼と小、教育委員会と知事部局、教育・福祉部局の間にあると、非常に参考になるお話をお聞かせいただきましたが、幼稚園や保育園の中で、例えば公立と民間とか、都市部と地方部とか、そうした環境や施設面での違いによってできないことや課題などがあれば、それを乗り越えるための工夫やお知恵をお聞かせいただけないでしょうか。これから掲げようとしている幼小架け橋というものの、まず架け橋に乗る前に、幼幼や保保の中で、公立・民間若しくは都会と地方部のような形でできること、できないこと、課題を整理できればと思います。
具体的に申し上げますと、例えば都会の小さな保育園には大きな部屋がないとか砂場がないなどで、体験や五感を通じた学びが少々苦手なのであれば、近くの幼稚園や近くの小学校との連携を進めるべきだと思いますが、そうした工夫やお知恵が既にあるのであれば、お聞かせいただけるとうれしく思います。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、次の委員、お願いします。
【橋田幼児教育企画官】 それでは、吉田委員、よろしくお願いいたします。
【吉田委員】 全国市長会の社会文教委員長の埼玉県本庄市長の吉田でございます。きょうは非常に盛りだくさんの大変貴重な御意見、御提言をいただきまして、私も非常に勉強になりました。ちょっと思いついた言葉を挙げながらお話しさせていただきます。
まずやっぱり幼児教育ということで私が頭の中に思い浮かぶのは可能性という言葉でございまして、お子さんの持つ無限の可能性、これを各幼児教育や保育に携わる先生方、また、小学校の先生方も考えながらいろいろ御努力されているというふうに思います。お子さんが持つ様々な能力を最大限に引き出すためにいろいろな環境を整えていきたい。これは是非その観点から、幼保小を一貫した、先ほどプラットフォームという話も出ましたけれども、お子さんの可能性を伸ばすというこの視点というのは非常に大事かなということをまず指摘をさせていただきたいと思います。
その上で、今度は安心性といいましょうか、お子さんの教育、幼児教育については、例えば先ほどもどなたか委員の方がおっしゃっていましたけれども、一見して家庭的に大変恵まれているようなところであっても、お子さんが大人になってから非常に挫折をしてしまうことがあり、どうも幼児期の体験等が非常に悪い影響を及ぼしているのではないかというお話がございましたけれども、やはりお子さんが小さいときにどれだけ多様性のある人たち、いろいろな経験も含めてそういう中で生活ができるかということは非常に大事であります。
先ほど家庭教育の話も出ました。私も、家庭教育、非常にこれは第一義だと思っていますが、現在の核家族化の中で、果たして家庭教育だけに任せていていいのか。家庭教育をしっかり支援する。そのためには、社会と家庭との連携。お父さん、お母さん方に、子供と向き合う時間というだけじゃなくて、子供に向き合って、共に子育てをやっていく人たちとの共有する時間というのでしょうか、それを作っていくということが非常に大事ではないかなと思っております。これが家庭教育を補完して、社会全体で子供を育てるということにつながるのではないかなというふうに思っています。
是非そういう意味では、子供の可能性を伸ばしつつ、そして、お父さん、お母さん方に安心を感じてもらえる。その上で、多様性のある幼児教育の在り方を追求していくことが必要ではないかなと思っています。
最後に1つ質問ですけれども、私、非常に関心を持ちましたのは、箕面市の教育長さんのお話でございました。教育委員会に一元化をしたその肝と言いましょうか、思いと言いましょうか、信念と言いましょうか、その辺のところをもうちょっとお聞かせいただけるとありがたいかなと思いますので、1点質問させていただきます。
以上でございます。
【無藤委員長】 ありがとうございました。御質問がありましたので、再度、藤迫委員にお願いしたいのですが。
【藤迫委員】 先ほどの説明のときにも申し上げましたが、子供施策を一元化したいということで、最初に平成17年度にそういう意図で子ども部という部を作りましたけれども、その段階ではせいぜい保育所を教育委員会に持ってくるという程度だったのですけれども、一元化するのであれば、やっぱり0歳から18歳までこれをまとめて教育委員会に寄せようやないかということで段階的にしたというような経過があります。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、さらにほかの委員の方、御発言をお願いいたします。
【橋田幼児教育企画官】 それでは、齋藤委員、よろしくお願いします。
【齋藤委員】 どうも齋藤です。各実践、非常にすばらしいと思いました。とりわけ発見型、気付きを大事にする実践がたくさんが見られてよかったです。
その方向性と、もう一つの柱としてなんですけれども、ある種集団的な行動ができる、文化財として何かを共有するという側面、これはどちらかというと伝統的な学習の面ですけれども、その面に対して幼児教育は余り積極的ではないのかもしれませんけれども、小学校に上がると、そういう一斉学習とか集団的な行動が増えます。そこで、架け橋としてなんですけれども、ある程度、身体の習慣付けといったものが幼児教育でも必要なのかなというふうに思います。
私、身体が専門なので、身体というものは習慣の束です。それを身に付けていくということは、小学校に上がってからも対応がしやすいのではないかと思います。例えば呼吸法といったものも、呼吸を、私は呼吸法が専門ですけれども、鼻から吸って口からゆっくり吐くということもできるようになりますと、そうすると、落ち着きが得られる。そうすると、教室にいてもみんなと合わせてやっていけるということもあります。
気付きの教育はもちろん大事なのですけれども、文化財を共有するという点で、前回も申し上げましたけれども、日本語というのが最大の文化財です。英語の教育もすばらしいと思います。不平等というか、なくしていくというか、英語教育へのそういう需要があるわけですから、そういうのを公的にやるというのはいいと思いますが、日本語の明文というのはふだんの生活の中ではなかなか身に付けることができないものです。ですので、ふだん私たちは日本語を共有していると思っていますけれども、文化財としての日本語というものを是非幼児教育の中に位置付けてもらえるといいかなと。そのやり方としては、テンポのよい、リズムのいい日本語ということで遊びとして身に付けていくやり方、これは「にほんごであそぼ」でやっているやり方です。
取りあえず、以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、次の委員、いかがですか。
【橋田幼児教育企画官】 鈴木みゆき委員、よろしくお願いいたします。
【鈴木委員】 きょうは行政と実践のお立場からの御発表ありがとうございました。保護者支援、家庭への支援に関しましては、文部科学省もずっとアウトリーチの取組なんかをすごく続けてきて、いろいろ地域との連携を図ってきていると思いますけれども、箕面市とエールぎふの、やっぱりすごいなというふうに思いました。確かに連携で違うものを3つ、例えば何個かをつなげただけだと3色だんごにしかならないけれども、それをまとめるとようかんになるというか、そういうような形での取組がこれから求められるのかなというふうに思いました。
実践に関しては、まさに実は幼児教育ってやっぱり主体と主体が響き合うところで、その気付きを保育者がどうやっぱりすくっていけるかというところで、先ほど神長委員もおっしゃっていましたけれども、やはり保育者自身の実践力がすごく質向上には求められるなというのを改めてきょう感じました。どうもありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、ほかにはいかがでしょうか。
【橋田幼児教育企画官】 それでは、中山委員、よろしくお願いいたします。
【中山委員】 ありがとうございます。先ほど幼児教育・保育全体の質の向上をどうされているのかという話が、話題があったかと思います。きょう御発表があった先進的な行政のような取組が本当に日本中増えれば本当にすばらしいと思うのですが、なかなか増えないという中で、そういう市町村じゃないところは何もできないのかといったら、何かしら現場発信でできるのではないのかなということで、1つ、栃木県佐野市でやっていることを御紹介したいのですが、佐野市では、保育園、こども園、幼稚園、小規模保育等が1つの研究会を作っておりまして、まだまだ始まったばかりです。秋田先生とか東京大学のCedepの先生方の御指導を受けながらまだ始まったばかりなのですが、まち全体で公開保育を行ったり、年に一遍の市民フォーラムを行ったりしています。
もちろんまちの大きさにもよりますので、園の数にもよりますので、できる、できないはあるかもしれませんが、何よりも施設類型、団体を超えて一枚岩になるということが、幼児教育・保育の質向上になるのかなと思って今始めたところです。1つ御紹介でした。ありがとうございます。
【無藤委員長】 ありがとうございました。ほかにはいかがですか。
【橋田幼児教育企画官】 続いて、秋田委員、よろしくお願いいたします。
【秋田委員長代理】 ありがとうございます。多少時間があるようですので、発言をさせていただきます。
本日伺って、今、中山委員からも言われましたが、一枚岩のビジョンというものを、国としてどういうふうなイメージを作り、それから県や、やはり基礎自治体である市区町村がそこのプラットフォームというものを、県は県の役割が、それから、基礎自治体のところは基礎自治体の役割があると思うので、どういう形で今後プラットフォームを作るのかというシステムと、そこで例えば県や市区町村が幼児教育センター等を作り始めていますが、そこでの人材というものが、幼小の架け橋を支えることのできるそういう人材育成というものをどういうふうに今後やっていくのかということが1つ重要であろうと思います。
それに加えて、きょうの箕面市さんのお話や、溝上先生や堀田先生からもお話があった、やっぱりデジタル化というところをどういうふうに今後の架け橋に入れていくのかというところが重要な点ではないかというふうに思います。
私自身は、ある自治体では、今、幼小の連携を、デジタルを使ってオンラインで学区の園全員が1時間だけネットワークをつないで参加するというようなシステムがあったり、それから幼児と中学校が一緒に連携したりするなど、コロナもありますが、これまではなかなか難しかったところに、まずは枠をデジタルがあるからこそ越えられるというような人のつながりをICT利用によってうまく作っていくという側面と、それからデータベースは、教育と福祉、様々な個人情報で難しい点はあろうかと思いますけれども、個人のものではなく、全体として政策を打っていくための有効なやっぱりデータの活用やエビデンスの活用ということを考えていく。それが外国籍のお子さんや、それから、様々な意味で、特別支援も含めハンディをお持ちのお子さんを早めからお子さんやそれから保護者を支援していく体制をどのように作っていくかというところに使っていく、そのような方向性ということも今後重要なのではないかと、きょういろいろな皆様のお話を伺いながら感じたところです。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。ほかにはいかがですか。
【橋田幼児教育企画官】 本日まだ榎本委員から御発言がないんですけれども、榎本委員いかがでしょうか。
【無藤委員長】 すいません、お願いします。
【榎本委員】 ありがとうございます。本日は、現場のいろいろなお話を伺ってとても参考になりました。僕は基礎生物学者で脳の発達の研究をしていますので、きょうのようなお話というのはとてもある意味新鮮で、色々と考えるきっかけを頂きました。
前回もお話ししましたように、脳の発達は、どういう刺激を生後に入れられるかという環境情報がとても重要です。一般的な言い方になりますが、外部から与えられる情報に選択肢が多ければ多いほど幼児が適用できる、もしくは興味を持つ情報が含まれる可能性が増えるので、良いということになります。遺伝子が全く同じ幼児、つまり一卵性双生児であっても、必ずしも脳は同じように発達しないことはよく知られていて、生後に外部からどういう刺激を与えてあげるかというので全然変わってきます。ここで重要なのは、何がベストの刺激なのかは、個々人によって違うので、ベストアンサーは無いということです。ですので、幼児が自主的に選べる選択肢が多ければ多いほど良いということになります。ただ、今日現場のお話伺ってよく分かりましたが、選択肢を増やすということは周りの方々の仕事量も増えるということですので、その辺のバランスといいますか、トレードオフというのは、行政も併せていろいろ工夫が必要であることを改めて認識しました。
1つの重要なキーワードはシェアだと思います。僕はアメリカに5年ほど居ましたが、シェアという言葉は社会を効率よく、かつ気持ちよく回すための非常に大切な概念として扱われます。簡単にいうと、いろいろなものを共有することで、結果的にみんなが楽をしつつ最大限の効果を生みましょうという考え方です。これは意識という意味でもそうですが、時間や、今日もたくさんお話が出た情報もそうですね。中でもとても大事なのは情報のシェアをどのように進めていくのか。個人情報の問題もあるので、その辺とのトレードオフやバランスも議論する必要があると思います。
概して、教育を担当する方々は皆様とても熱心で責任感が強いので、どうしても1人が頑張るという状況が増えてしまうように見受けられます。その一方で、あまりに頑張り過ぎると持続することが困難となり、システムとしてはどうしても脆弱性が出るので、うまくシェアすることにより、みんなで工夫してやっていく為のシステムを、文科省の方々を中心に考えていただけると良い方向に進むのではないかなと、今日のお話を拝聴して感じました。どうもありがとうございます。
【無藤委員長】 ありがとうございました。ほかに。
【橋田幼児教育企画官】 委員の方々から御発言いただいたのですけれども、先ほど二宮委員から質問がございましたので、大杉課長の方から少し補足させていただければと思います。
【無藤委員長】 お願いします。
【大杉幼児教育課長】 きょうは貴重な御意見を誠にありがとうございました。二宮委員の方から、公私の違いとか、地方と都市部の違いという形をどういうふうに捉えているということで、また次回御議論をいただくときに少し論点整理のペーパーの中で御説明をさせていただこうと思いますが、まさにそこは御議論いただきたいことの1つではありますが、文部省として現在取り組んでおりますのは、幼児教育推進体制ということ、本日も少しプラットフォームというような話がございましたが、設置者の違いとかいろいろな学校種の違いということを、地域のリソースを持ち寄りながら質を高めていく仕組みとして幼児教育推進体制ということに取り組ませていただいているところであります。まだこの枠組みの中でもっと取り組んでいかなければいけないことがあると思いますので、是非次回、論点整理の中で現状を御説明させていただきながら、今後の方向性を是非アドバイスいただければと思います。
それから、溝上委員からも、格差なくということで幼児期から小学校期の接続を考えていく中でどんな取組があるのかという、ある意味その1つのやり方として現在提示されているのが、幼児教育の終わりまでに育ってほしい10の姿を1つの手掛かりとしながら育ちをつないでいくということかと思いますが、まさにこれが実践に落とし込む中で、いろいろな、もっと材料が欲しいというようなお声をいただいているところですので、これも是非、10の姿を実践に生かしていくための在り方ということの御議論をいただければと思っているところでございます。
取りあえずきょう御指摘いただいた点は以上ですが、この場を借りまして、先ほどCedepのお話もございましたので、ちょっと宣伝になってしまいますが、実はCedepとOECDが連携して9月10日にシンポジウムが開催される予定であります。非常にグローバルな視点を踏まえながら幼児教育の議論をしていくということで非常に有意義な機会になるかと思いますので、これもまた次回詳細を御案内させていただきたいと思います。
以上です。
【無藤委員長】 いろいろ情報ありがとうございました。
あとは、あと少しだけまだ時間があります。一、二名の委員なら発言できますが、ございますか。取りあえず今日のところはよろしいですか。
いろいろ追加の意見、また、資料等は、前回申し上げましたけれども、是非事務局の方にいろいろな形でお送りいただければというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、ちょっとだけ時間が早いですけれども、区切りがよいようですので、ここまでとさせていただきたいというふうに思います。
第1回、それから、今回の会議におきまして、主な論点に関わって非常に多くの御意見を頂戴いたしました。そこで、次回第3回目は9月ですけれども、ポイントを絞って議論の方向性を検討していくということで、これまでの議論の少し整理を事務局の方にお願いして、たたき台のようなものを作っていただくようにしたいと思います。
それでは、最後でありますけれども、次回の日程につきまして、事務局からお願いいたします。
【橋田幼児教育企画官】 次回の特別委員会につきましては、資料4のとおり、9月1日水曜日15時から17時の開催の予定としております。詳細につきましては、追って事務局から連絡させていただきます。
【無藤委員長】 それでは、御協力いただきまして、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会とさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――
 

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