幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会(第1回)議事録

1.日時

令和3年7月20日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議形式で開催

3.議題

  1. 委員長の選任等について
  2. 委員等からのヒアリング
  3. 意見交換等
  4. その他

4.議事録

【橋田幼児教育企画官】
定刻となりましたので、ただいまから「第1回中央教育審議会初等中等教育分科会幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」を開催いたします。本日はお忙しい中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
本会議は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため、Webexを用いたウェブ会議方式にて開催させていただいております。
ウェブ会議を円滑に行う観点から、大変恐れ入りますが、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。カメラにつきましては、御発言時以外を含め、会議中はオンにしていただきますようお願いいたします。委員の皆様には、御不便をおかけしますけども、御協力のほどよろしくお願いいたします。
また、本日は多数の傍聴希望がございます。冒頭より、傍聴者を受け入れておりますことを御了承いただければと思います。なお、本日は報道関係者と一般の方向けに、この会議の模様をWebex Eventsにて配信しております。
本日は本特別委員会の初回でございますので、委員長をお選びいただくまでの間、事務方のほうで、議事を進行させていただきます。よろしくお願いいたします。
まず、本日の配付資料ですけども、議事次第にございます資料1から資料5まで、加えて参考資料1から3までとなっております。過不足等がございましたら事務局までお申しつけください。
本特別委員会の委員及びオブザーバーの皆様の紹介につきましては、本日多くの皆様に御出席いただいておりますので、時間の都合上大変恐縮でございますが、資料1-2の名簿に代えさせていただきます。また、文部科学省からの出席者についても、事前にお送りしております座席表をもって代えさせていただきます。
それでは、議題に移りたいと思います。
事前にメールで委員の皆様にお伺いしているとおり、議題1の特別委員会委員長の選任につきましては、初等中等教育分科会長の荒瀬委員より、長年中教審委員を務められ、子ども・子育て会議の会長の御経験もある無藤委員が適任ではないかと御推薦をいただいております。皆様、よろしいでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【橋田幼児教育企画官】 それでは、無藤委員が委員長に選任されましたので、以後の議事進行につきましては、無藤委員長にお願いいたします。
【無藤委員長】 分かりました。それでは、御選任いただきました無藤でございます。よろしくお願いいたします。
まず、初めにですけれども、特別委員会設置要綱というのがございますが、そこで委員長代理を指名するということができます。私といたしましては、秋田委員。長年、幼児教育、小学校教育の研究に携わっている先生ですけれども、お願いしたいと思いますけれども、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【無藤委員長】 では、御了解いただいたということで、秋田委員、よろしいですか。
【秋田委員長代理】 よろしくお願いいたします。
【無藤委員長】 委員長代理として、秋田委員を指名させていただきました。
それでは、議題ですけれども、議題2に初等中等教育分科会幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会、本委員会の運営規則案について、これは事前に皆様にお伺いしてございます。そこに会議や資料、議事録の公開等について定めさせていただいておりますけれども、それでよろしゅうございますでしょうか。特に質問などないようですね。
ありがとうございます。では、御了解いただいたということで、運営規則についてはそのお手元、資料2のとおりにさせていただきたいと思います。
では、委員長に御選任いただきましたので、本特別委員会の発足に当たりましての、私からの御挨拶をごく簡単に申し上げたいと思います。
私、先ほど簡単な経歴、御紹介いただきましたけれども、中央教育審議会や子ども・子育て会議などにかなりの年月関わって、特に現在の幼稚園教育要領あるいは学習指導要領、特に小学校ですけれども、の改訂にも携わってまいりました。
後でお話ししたいと思いますけれども、対幼児期の教育、幼稚園、保育園、認定こども園などの教育というもののその幼児期にふさわしい教育を行うという使命、それから、その実践というものが今後も発展していくべきものでありますが、その本質はやはりこの日本の幼児教育をしっかりやってきたと私は考えております。そのよさを生かしながら、同時にしかし日本の小学校、中学校教育もしっかりと国際的に評価できる水準にあるわけでありますので、それもしっかりやっていく。
ただ、やはりどの国もなんですが、日本でもそれぞれはやっているけれども、そこをつなぐ部分については、組織が別だとなかなかうまくいかない部分があると思います。改訂した幼稚園教育要領等々、小学校の学習指導要領等において、それぞれきちっとつなぎましょうと書いて、実践が進みつつあると思いますけれども、そこをもう少ししっかりとやりながら、幼児期に育った力が小学校教育の土台としてしっかり生きるという形をぜひ模索させていただければと願っておりますので、よろしくお願いいたします。
ということで、簡単な御挨拶をさせていただきました。
次に、文部科学省のほうから局長がおいでいただいておりますので、瀧本局長からの御挨拶をお願いいたします。
【瀧本初等中等教育局長】 無藤委員長、ありがとうございます。初等中等教育局長の瀧本でございます。
委員の皆様方におかれましては、御多忙の中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。本日の会議の開催に当たりまして、一言、私のほうから御挨拶を申し上げさせていただきます。
本年1月に中央教育審議会が、「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」との答申をおまとめいただき、2020年代を通じて実現すべき教育の姿をお示しいただきました。文部科学省ではこれを踏まえ、多様な子供たちを誰一人残すことなく育成し、多様な個性を最大限に生かすため、「個別最適な学び」と「協働的な学び」との一体的な充実による質の高い学びの実現に向けた取組を進めているところでございます。
こうした学びの充実が図られる大きな節目にあって、最大限の配慮が必要となるのは、地域や家庭の環境にかかわらず、全ての子供が格差なく質の高い学びへ接続できるようにすることだと考えております。
特に、教育基本法におきまして「生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なもの」として規定をされております幼児期の教育の質的向上と小学校教育との円滑な接続を、発達段階を見通した教育の充実という一貫性の基に図っていくことが必要となります。
現在既に幼児教育と小学校教育双方の関係者の努力によりまして、教育の充実を図る取組が進められているところではありますが、どのように幼児期の教育の質を高めるかがイメージしにくく、接続期のカリキュラムの参考になる資料が少ないとの声も聞かれるところでございます。
こうしたことも踏まえまして、本年5月に開催されました経済財政諮問会議において、萩生田大臣より「幼児教育スタートプラン」のイメージを公表させていただいたところでございます。
今回、本特別委員会におかれましては、五感を通じて学ぶ時期である幼児期の特性を踏まえ、こうした声に応えるための御議論を専門的見地からいただきたいと考えているところでございます。その際、子供の多様性には十分配慮していただいて、画一的な内容を求めるものではなく、子供一人一人の体験の幅を広げるため、各園の創意工夫が最大限発揮される内容としていただきますと幸いでございます。
文部科学省としても、この特別委員会の議論の成果を今後の施策にしっかりと反映をしてまいりますので、何とぞ忌憚のない御意見を頂戴をしたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。基本的なこの委員会に与えられた使命をおっしゃっていただき、ありがたく拝聴いたしました。
それでは、議題3でございます。本日は、事務局から主な論点案の御説明をいただきます。その後に委員のヒアリングということでありますけれども、最初に恐縮ですが、私のほうから話し、次が秋田委員、3番目が榎本委員、その次に田村委員、そして小久保調査官ということで順次お話しいただきます。
予定としては、大体それで半分ぐらいの時間を使って、残りの半分の時間で委員の皆様方から意見を頂戴するということでありますけれども、何分、委員の数がかなり多い委員会でございまして、2時間以内ということになりますと、後半の議論も1人2分以内ということでお願いします。
それでは、事務局から資料3に基づきまして、主な論点(案)の御説明をお願いいたします。大杉課長でしょうか。
【大杉幼児教育課長】 ありがとうございます。それでは、先生方、資料の3を御覧いただければと思います。
資料の3に今回御議論いただきたい幼児教育の質あるいは接続の課題ということで、論点を挙げさせていただいております。
幼児教育をめぐる課題、なかなか質を支える要素が見えにくいと。それがゆえに幼児教育の充実というと、ともすると早期教育ではないか。あるいはなかなかその環境や先生方の関わりの工夫ということに目が向きにくいので、単に遊ばせているのではないかという様々な誤解もあるところであります。
今回、幼児教育のみならず、様々な分野の関係者にお集まりいただいておりますので、ぜひこの機会に幼児教育の質を支える要素を明らかにして、社会に開かれた教育課程、社会と広く共有する機会にさせていただければと存じます。
資料の3の1枚目が主な論点の案でございますけれども、おめくりいただきますと、資料3の2ページに幼児教育の質保障ということで、幼児期の教育、施設類型にかかわらず教育基本法において人格形成の基礎を培う重要なものと位置づけられており、資質・能力の基礎、知識・技能の基礎、思考力・判断力・表現力の基礎、学びに向かう力・人間性等の基礎ということが施設類型問わずに共通に告示されているところであります。
3ページに幼児期の終わりまでに育ってほしい姿、これも共通に示されておりますけれども、小学校以上の教職員との連携や、地域等との連携の手がかりとするために示されている具体的な姿でございます。
4ページ目以降に、その具体的な10の姿の解説がございますけれども、健康な心と体、自立心、協同性、道徳性・規範意識の芽生え、社会生活との関わり、この中には情報に基づき判断したりということも含まれますけれども、それから5ページ目を御覧いただきますと、思考力の芽生え、自然との関わり・生命尊重、数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚、言葉による伝え合い、豊かな感性と表現、こういったものを総合的な遊びを通じた学びを通じて、育んでいるということでございます。
最初の数回は、先生方それぞれのお立場から、幼児教育の質でありますとか接続に関する成果や課題、疑問点などをざっくばらんに御議論いただければと思います。数回進んだところで、今後重点的にまとめていく論点を整理させていただきまして、できましたら年度末に一定の報告という形でおまとめいただければと思います。
資料の3にお戻りいただきますと、1ページに幼児教育スタートプランのイメージということで、萩生田大臣のほうから先般お示しさせていただいたものですけれども、ここにありますようなものもイメージしながら、年度末の一定の方向性ということを御議論いただければと存じます。
資料3の説明は以上ですけれども、そのほか参考資料、特に参考資料の3としましては、データ集をつけさせていただいております。今後こういったデータも追加したほうがいいんじゃないかですとか、そういった点も含めまして、ぜひまた改めて御意見いただければと存じます。
事務局からは以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。
それでは、委員からのヒアリングということで恐縮ですが、最初に無藤から説明させていただきます。各委員の御発表は私のも含めて10分と限定されていますので、何とか守りたいと思います。
それでは、これは表題ですので、主に乳幼児期の特徴、遊びを中心としてそこから学びが生まれるという話ですけれど、それがいわゆる幼児教育、ここで幼児教育と呼んでいるのは幼稚園、保育園、認定こども園などの教育機関、そこに至るということで、次にいってください。
これは私がまとめたある報告がございまして、そこから概要を描いた写真とか年齢ごとの特徴です。これは今ちょっと時間がありますので、何となくのイメージでございます。
次にいってください。幼児教育というのは学校教育の一部、幼稚園は少なくともそうでありますけれども、かなり乳幼児期の子供の発達の特徴を踏まえながらそこを教育していくという特徴があります。その基本の部分ですけれども、まず、家庭での養育が基盤だと。小学校だって中学だって家庭は大事でしょうけれど、とりわけ幼児期は家庭と両輪な形になるということです。
しかし、この数十年、幼児教育施設、幼稚園・保育園等ですが、子供を預かるだけではなくてもっと積極的な教育の意味があるということが分かりました。その意味というのは2つあります。一つは平均的というか、大体しっかりした家庭で育っているとしても、それ以上にその成長を促すことができる、これが第1。それから家庭教育で十分でない場合がありますが、それを補完するという機能を持つと、この2つであります。
その中身は何か。小学校以降ですと系統的に学ぶということでありますが、乳幼児期は、この世の中というのはそもそも何なんだ、この世界は何かでできているんだということを学ぶというもっと基本的な部分にあるんだと。そうするとそこに身の回りのこと、幼児教育では環境と呼びますが、そこで子供たちが出会って、人についても物についても様々なことについて学ぶ。それは単に受け身で知るということを超えて、何とかそこに関わって積極的に取り組んで、そこから何かを得ていくものなんだ。そういう存在が小さい子供なんだと。そういう意欲をもって、自発的に能動的に周りのものに関わっていく活動を特に「遊び」ということ。大人が言うリラックスして楽しい遊びとは少し違う、もっと能動性が中心になるものを遊びと呼んでいます。それを通してやってみたいことが生まれて、それに向けて粘り強く取り組んで工夫するようになっていく。この遊びを通して、小さい子供は世界への信頼と自らの自信を形成して、この世界に生きることについての肯定的在り方を身につけていくのが最も根本なんじゃないか。
次です。もう少し具体的に言うと乳児期、また、1歳ぐらいから既に様々な出会い。物への出会い、大人、子供同士と学んでいきます。その最初はやはり親、そして続いて保育者、安定した愛着がベースですが、それが広がっていきますけれど、大体3歳前後くらいから仲間集団での遊びというのが広がっていきます。
それとともに保育者の役割も多様になっていくんですが、そこで子供はいろんなところで興味を持って気づいていくと。その気づきを通して学んでいく。それがばらばらなんだけれども、それが次第につながっていくことによって、学びとして成立していくんだということです。
次です。そのような乳幼児期の育ちの基本を幼児教育と進化させていったときに、幾つかの原則があります。一つは、環境への関わりを通して、特に自発性を持った遊びというのが大事なんだと。そこで育つ最も基本となる力を資質・能力と呼んでいます。それは幼児期の言い方に直して言えば,いろんなことに気づくこととか、考えて工夫することとか、意欲を持ち、粘り強く取り組んで協力していくことなどになり、この3つが小学校以上では、資質・能力の3つの柱として整理されます。
また、具体的な内容としての5つの領域を持ち、その5つの内容領域を考慮しながら資質・能力の育ちをより具体的には、幼児期の終わりに10個の姿としても整理してあります。
次です。そこで、幼児教育というのはどういうふうにしていくかということですけれども、幼児教育においては特に一人一人の育ちを見ていく。一人一人をケアする、学びを見定め、その育ちの道筋を捉えていくということが重要になります。もちろん0歳と1歳と、4歳と5歳と、それぞれの発達的な大きな共通性がありますので、子供は大きく言えば同じ方向に向かって育っていくんですけれど、しかし、その一人一人を丁寧に見るとその育ちの道筋は一人一人異なって独自なので、大ざっぱに3歳はこうだには違いありませんけれども、様々なそこにバリエーションがあるということです。それはもともとの能力・資質の差もありますし、家庭での養育の差もあります。また、一人一人の関心の向き方も違う。
そこで幼児教育としては、一人ごとの違いを受け止める。受け止めることを通してその存在を安定したものとして支えていく。そこから次第に子供が外に向かい出す。その環境での出会い、それを可能にし、好奇心を広げて追求を導いていく。それに対してやはり専門的な教育として考えるなら、どう環境を用意するか、どうその出会いを支えていくか。さらにそれをどう発展させるかということの援助が必要なので、保育者としてはそれを記録しながら、一人一人の育ちを捉えていきます。時には保護者とともに育てるという関係をつくる。そういう意味で、子供の主体的な在り方を大事にしていくんだけれど、保育者もまたこの日本という社会文化のエージェントとして、主体的にどう育ってほしいかという願いを基に直接・間接に子供に関わってまいります。
次です。そういう意味で、保育者の専門性の発揮というのは、やはり単に子供を預かる、単に預かることもすごく難しいことですけれども、それに加えて、子供の主体性を尊重しながらもそれを伸ばしていくという工夫をしていくわけで、単にマニュアルがあれば、そのとおりというわけにいかない難しさというのがあると思います。
その専門性というのは、保育者が子供をよりよく育てたいという願いの元で計画を立てながら実施していく。しかし、その計画というのは非常に柔軟で、子供の状態に応じて変更していく、そういうものなんだろうと。私はそういう保育者の在り方を保育者の主体性と呼びますが、それは子供の主体性を尊重し、育成するということを含んだ二重の主体性といったものなんだと思っております。
次です。ここで乳幼児期の発達の特徴を改めて戻りますけれども、ここを詳しくやると切りがないので、極めて簡単にですけれども、先ほどから申し上げているように、愛着による安定性と、もう一つは個人差が大きいことなんです。そういう意味で従来以上に発達の道筋が独自的なんだということです。
そうは言っても0歳・1歳ぐらいと2歳・3歳ぐらいからではかなり違ったところがあります。より2歳・3歳になりますと、専門的に表象機能と言うんですけれども、ある程度本人が自覚できる部分が始まります。それと同時に最近よく言われる非認知面としては、自分をコントロールする力、これが特に4・5歳から6歳ぐらいに発達していきます。これは思考、考える力のコントロールと、感情のコントロールに分けることができます。さらに保育者を通して、あるいは仲間集団を通して社会文化の在り方に触れ、そこからいろんなことを学んでいくだろう。そして小学校に向かうわけです。
次です。そういう意味でこの乳幼児期の子供は、いろんなものに出会って学ぶこともあるし、周りの人を見てそれをまねて学ぶのもあるし、また、話を聞いて学ぶこともあります。そのときに機械的に、ただ、表面上の学ぶ、まねではなくて、0歳ぐらいの小さい子供でも、ほかの人がすることの意図や目標・目的、なぜそれをするかということを考えながら学んでいくということが分かっています。そうやって理由がある、原因がある、あるいはその仕組みがあるということを様々に捉えていく。そういう意味で、探索としての学習というのが中心になると考えられます。
次です。そこから様々な遊びが成り立ちながら、いわゆる学びになってまいりますけれども、例えばごっこ遊びのような物語や世界、あるいはいろんな人にどんどん質問して学ぼうとする。あるいはいろいろなおしゃべりをしながら学ぶ。子供や先生と学ぶ。そういう中で遊びは特に子供たちに柔軟なやり方、違うやり方、別な可能性を教えてくれる非常に大事な意味があると考えます。そういう学びの特徴が小学校以上の系統的な学びと異なる探求的なものなんだということを強調したいと思います。
それでは、次にいってください。ということで幼児期の学びというのは、大きな変化もあるけれど、大ざっぱに言えば無自覚から自覚へ、表面的な理解から仕組みへ進み、そして細かいところは必ずしも順序性は想定できないということです。
次です。算数についても既にものを使ったり、暗算で様々な形での数えたりなど数量への出会いがあると。
最近認知能力と非認知能力と両方が大事なんですけれども、次にいってください。それが支え合いながら、どんな活動にも両面があるんです。
最後です。ということで非認知能力については、自分がやってみたいと感じイメージする目標を目指し、そしてやり方を調整し、友達とともに協力してということが大きくて、これが4・5歳に非常に重要になって、これがある程度育つことを通して、小学校教育への基盤がつくられると考えています。
すいません、時間をちょっと超えましたが、以上でございます。
それでは、発表者側から司会に移りますが、すいません。次ですけれども、秋田委員にお願いしたいと思います。
【秋田委員長代理】 よろしくお願いいたします。学習院大学の秋田です。資料をお願いいたします。
本日は私のほうからは、幼児教育をめぐる国際的な動向について、お話をさせていただきます。日本は文部科学省、厚生労働省、内閣府が共同してOECD/ECECネットワークというところに参加しております。私はそこの委員の一人として会議に出させていただいているということもありまして、今日は、国際的な動向として、主にOECDの話からデータを出させていただきます。
次のスライドをお願いいたします。幼児期の教育の重要性に関しては、言わずもがなでございますけれども、海外においては特に長期縦断研究とその個々の縦断研究を取りまとめるメタ分析としての展望研究から、幼児期の教育がその後の生涯にわたる学業達成、職業生活、それから家庭生活等で、多面的に影響を与えるということが実証的に明らかにされてきております。
中でも、幼児教育を受けているというだけではなくて、そこでの教育や保育の質が発達に与える影響が、子供の育ちにおいて正負いずれの影響も及ぼすことも明らかになってきております。
日本では残念ながら、エビデンスベースの長期縦断の保育や教育に、幼児教育に焦点を当てた研究はこれまで十分ではありません。ただ、幾つかの研究からは、それらを支持する方向での知見は示されております。
次を御覧ください。次のページに関しましては、細かくは今回御説明いたしませんけれども、既に幼児教育の効果や幼小の連携接続の重要性、また、そこで働く保育者や保護者とのコミュニケーションなどについての調査報告が報告されてきております。
次のページをお願いします。本日はそうした中でも、一番最新のもので日本は参加しておりませんが、アメリカ、イギリス、エストニアの5歳児、7,000名の子供、保護者、保育者に対してタブレットを使った調査等で調べた社会情動的スキル、すなわち非認知スキルと先ほど無藤座長が呼ばれたものと、認知スキルの関係等の報告を少し簡単に御紹介させていただきます。
次をお願いいたします。こちらはこれまでの調査研究をOECDのほうがまとめたものでございますけれども、その後に何に影響するか。左側が幼児期の経験、縦軸が幼児期の経験、横軸がそのアウトカムでございますが、見ていただくと初期の幼児期の読み書き、絵本と出会うとかコミュニケーションとか、それから、self-regulated learningをここでは自己調整と呼んでおりますけれども、そうしたものが星が3つついている。一番よく予測するものではありますが、それぞれの側面がその後の発達に影響を与えているということが見てとれるのではないかと思います。
そして、その次のページを御覧ください。こちらでは同じ5歳児におきまして、その社会情動的な側面の発達と、いわゆるリテラシー的なものだけではなく作業記録や、それから心的な柔軟性がいかに関連し合っているのかということを、相互に関連して育っているということを示したものになります。因果ではありませんけれど、関連性の、大きさが示されているところになります。これらにジェンダー差がある等もこの報告の中では示されているところではございます。
次のページをお願いします。そして、これらのイギリス、アメリカ、エストニアの場合ですけれども、幼児教育に参加した子供のほうが、より自分について自信を持って、大人とともに行動できるとか、信頼とかということについての愛着と関係しますけれども、信頼が影響しているということも出されております。
次を御覧ください。これ以降はOECDというより常識的に言われていることで、イギリスのデータですけれども、左側を見ていただくと、保育の質が高いほど子供のリテラシーが高くなるとか、それから幼児期の間で通園の期間、これは何時間一日に園にいたかではなく、通園の期間が影響すること。また11歳になっても、その効果が残る等のことが示されてきているデータです。
そして、次のページをお願いします。ただし、質がよいほどよいというだけではなくて、カナダのケベック州のデータ等では、質が下がると子供の生涯の発達に悪影響もある危険性もあるというデータも出されてきているところになっております。
次をお願いします。また、こうした保育の効果ということは、これはイギリスのデータですけれども、所得階層別に見ますと、一般的に困難な層ほどこうした発達の遅延率も高くなると言われますけれども、それでもブルーのグラフのほうが、幼児教育を受けていない子供、ピンクの棒のほうが受けている子供ですが、やはりピンクのほうがかなり幼児教育における遅延のリスクを低減するという効果を持っていることも示されてきているということです。
これは海外のデータになっておりますけれども、これに対して一方で、次をお願いします。日本のデータですけれども、これは無藤先生や私が関与して3歳児から、今、小学校6年生まで、保護者に集めているデータです。この調査で初めて「学びに向かう力」という言葉を使ったものです。これがその後、学習指導要領にも入っておりますが、生活習慣と文字数と学び向かう力の関係を調べたものが次のページになっております。
これを見ていただきますと、順序性として3歳児までの生活習慣が、その後の学びに向かう力、また、コミュニケーションが学習態度等に影響をしていくという幼児の育ちが学習の土台になっていることが、日本のデータからも出されてきているというところになります。
次をお願いいたします。そうした中で現在、やはり幼児教育においてはカリキュラム等の政策が極めて重要であるということが言われております。特に園のレベルで重要な点としては、その年齢を貫く乳幼児期の一本化したカリキュラムや施設類型を超えて、統一したカリキュラムの実施並びに職場での保育者の研修や、そのための専門家としての学習の時間の保障が大事だということが言われております。
また、質の向上のためには、カリキュラムを行った、実施すると同時にそれを実施しているというだけではなく、その評価が重要であるということも示されてきているところになります。
次のページをお願いをいたします。こちらは先月出されましたStarting StrongⅥと言われる報告書の図でございます。保育の質を特に施設、園のレベルで考えたときには、最も重要なのがカリキュラムと、それから職場環境の中の保育者の研修であり、これは政策によって、向上や改善ができる部分であるということが示されてきております。
次をめくってください。これはOECDの知見ですが、カリキュラムフレームワークというものが保育者と子供、保護者のインタラクション、やり取りの強力なツールになるということであります。どこの国でも0-2歳よりは3-5歳のほうがより義務や必修化されてきているということと、参加国のうち25%しか同一年齢で統一カリキュラムとはまだなっていないということがあり、また、0-2歳から3歳以降への移行というところもカリキュラムの重要性が示されているところです。同年齢での複数のカリキュラムは園を通して、やはりそのカリキュラムごとの違いを生むことになるので、それが統一化されていくことの大切さということも言われてきております。
次を御覧ください。お手元の資料には入っているかと思うんですけれども、世界中でどの国にどのようなカリキュラムが何歳児で行われているかという表をお入れしているんです。その中での主な指摘としては、子供の全人的発達は全ての年齢をカバーし、発達の各段階にふさわしいカリキュラムを通して確かなものとできるということです。
全ての施設類型の保育者の初等幼児教育における教育の質基準を上げるということが大事であり、そのためには保育者の研修で、特に勤務時間内で子供に向かう活動だけではなく、つまりいわゆる保育をしている時間だけではなくて、いわゆる研修、プロフェッショナルディベロップメントに参加する時間が大事だということも示されているところになります。
そして、次のページをお願いいたします。次のページからは厚生労働省のほうで、私が座長をさせていただいて、世界各国の質評価がどのようになされているかというところを検討したときの資料です。これはイギリスの例でございますけれども、例えば乳幼児期の学びの目標を一つにし、統一のカリキュラムを構築し、それを評価していくようなサイクルや制度というものが体系的につくられている一例になってございます。
その次のページを御覧ください。この評価をめぐっては、国によって統一的なカリキュラムや評価を行っている国と、州ごとによってばらつきや格差が大きい国もあるということも分かってきておりますし、やはり評価を実施するといっても負担感だけが強くなるようなことは問題であるということも、この委員会として出しているところではあります。けれども、専門性を踏まえた評価の重要性ということが言われてきているというところになります。
最後の2ページのスライドです。「まとめにかえて」ということでございますけれども、海外においても質向上のために、特にカリキュラムの重要性が近年言われてきています。日本の幼児教育は、無藤座長からもお話がありました、遊びを通した学びによって、子供の社会情動的側面と認知的側面の両面の育成を可能としてきていると思います。今後は幼児教育の無償化ということが行われているので、施設類型に関わりなく、さらにその遊びの経験を深めていくとはどのようなことであるのかという点において、保育者が各園を基盤に現職研修を通して、カリキュラムとかカリキュラム・マネジメントを各園が行うということについての理解を深め、質の向上へ向けた実践ができるための政策的支援が必要と考えられます。
特に、5歳児においても、幼児期から児童期への教育の連続性の保障のためには、幼児期に培った遊びや暮らしの中での、先ほど無藤先生からもありました、気づきというところから探究へという学びのプロセスが、幼児期に遊びの中で保障されてきていますので、さらにそれが小学校1年生以降にも保障されていくための連携と接続が重要だと判断されます。
次のページをお願いします。これは字が細かくて大変見にくいと思うんですけれども、お手元にあると思いますが、これは一例ですけれども、静岡市で、0歳から6歳までの実際の子供の事例から、子供がどういうことに気づき、そして探索、探究をしていくのかという事例を拾いだしたものです。表の一番左側の下にあるのが遊び続ける子供の思いで何が育つのか、そして右側に各年齢において、そのために保育環境、保育者の援助がどのようにあるのかというのを昨年1年間で、事例を取ってまとめ上げたものです。実際にはこれが静岡市立の小学校や中学校に、これをもうちょっと年中・年長のものが例えば探究をキーワードとして、どうつないでいくかという基礎資料として、配布をされたりしてきております。
今後、各園や自治体でこうしたカリキュラム・マネジメントを通しながら、幼児教育の質の向上ということを考えていくことが、重要になってくるのではないかと考えられます。
以上で報告を終わりにさせていただきます。以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。次に、榎本委員にお願いしたいと思います。
榎本委員は脳機能学という御専門で、一部専門的な内容が入るようでありますけれども、幼児教育の関係者が経験的に大事にしている点の確認ということでぜひお話を伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。
【榎本委員】 御紹介ありがとうございます。東京大学の榎本と申します。私は脳の発達の仕組みを研究している基礎研究者ですので、そのような立場から話題提供させていただきます。
まず、ヒトの脳の発達について考えるときに、知っておくと便利な数字や言葉についてお話しします。ヒト脳はどういう体格の方でも大人になると約1,300グラムとなり、ほぼ違いはありません。その中には、約1,000億個の神経細胞、以後ニューロンと呼びますけれども、が詰まっていて、更に、それぞれのニューロンは個別に存在しているのではなくて、ニューロン同士がしっかりと手をつないでネットワークをつくっています。この1,000億個のニューロンが作り上げる神経ネットワークが、我々の思考や記憶を支える構造基盤となります。
もう一つ、覚えておいて頂くと良い言葉として、シナプスがあります。このシナプスは、ニューロン間をつないでいるジャンクションの部分です。このジャンクションを介してニューロンが情報のやり取りをするので、シナプスの数というのは、脳内の神経ネットワークの数を反映しているということを覚えていただくと後の話が分かりやすいかと思います。
ここからは、ヒト脳が、発達段階でどうやって出来上がってくるのかというお話をします。
私が20年ぐらい前、大学院生のときに講義で教わったことは、脳の複雑な回路は、ハンダゴテを使って、コンピューターチップを一個ずつを丁寧につなぐようにして作られるということでした。しかし、この20年で分かってきたことは、決してそうではないということです。
このグラフは人の脳の発達に伴う大きさを表していて、大体10歳ぐらいで大人の脳と同じぐらいの大きさにまで発達して、そこから年を取ると脳がだんだん縮んでいくという老化というのが始まります。この変化は比較的想像しやすいと思いますが、面白いのは下のグラフで、これは脳全体ではなくて大脳皮質という、ヒトの思考、記憶、判断などをつかさどる、人で非常に大事な脳部位におけるシナプス数の変化を表しています。意外なことに、人生の中で大脳皮質のシナプス数が一番多いのは、生まれて半年から1年です。そこから10歳ぐらいにかけてどんどん減っていって、最終的に半分ぐらいになります。そこから、いわゆる青年期という我々が呼ぶ時期以降は、ほとんど増減がなく非常に安定した数に落ち着きます。
一部の教科書を見ると、脳のシナプス数と能力は相関すると書いてありますが、大脳皮質のシナプス数が一番多い時期である1歳児が、人生でもっとも賢い時期ではない、ということは、おそらく皆様同意頂けると思います。
この現象を講義で学生に説明するときに使っている例がiPS細胞です。iPS細胞という言葉は、山中先生がノーベル賞を受賞したので、おそらく皆様聞いたことあると思います。iPS細胞は、何が素晴らしいのかというと、いろんな細胞に変化できる能力です。でもよく考えると、iPS細胞自体は特段素晴らしい仕事をできる訳ではありません。つまり何もできないのです。
実は、このiPS細胞と同じで、1歳頃の脳は非常にポテンシャルが高いのです。つまり、何にでもなり得るけれども、それ自体の能力という意味では、実際にできることは少ない。こちらは、iPS細胞が、外部から与えられる刺激やシグナルによって、違う道筋を通って様々な機能細胞になりますよという図です。人間も、この1歳から10歳の間に、外界からどういう刺激を与えられたかによって、その人のいわゆる個性であったり、ある意味の能力が決まってくる。したがって、この時期は、脳発達の仕組みという観点から見ても、個性形成にとって非常に大事な時期だということです。
このとき、脳では実際に何が起きているのかというと、このHebbさんという方が、50年ぐらい前に提唱したこのセオリーにより説明されます。簡単に言うと、よく使う神経回路(シナプス)は強化され、使わない神経回路(シナプス)は失われる。つまりこの時期に要らない回路(シナプス)が一気に無くなるので、大脳皮質全体として大きくシナプス数が減っていくように見えるのです。このシナプスの取捨選択というプロセスを経て、脳は機能的に成熟します。
それでは、脳の発達を促す経験とは何なのだろうか、ということについて考えます。1つ目は、ここから私の主観も入りますが、恐らく多感覚の同時入力が経験値を上昇させると思われます。我々五感を介していろんな情報を外界から取得します。これは幼児も同じです。
そのときに脳は何をやっているかというと、その感覚情報の意味づけです。もう一つは、感覚情報を入力するとき、五感のどれか一つだけで入力するという状況はほぼありません。例えば何かを食べるときでも、その味覚と同時に口の中の感触であったり、その見かけとも全部合わせて情報として脳内に入ってきます。ですので、このレゴブロックで表現しているのですが、その幼児期に与える情報が、この黒の小さい限られた経験になるのか、それとも色々な情報と組み合わされた大きい赤色の経験になるのか。恐らくこの赤色のような経験にしてあげることができれば、後々いろんな状況において、後で出てきて使うことができる情報となります。別の言葉を使うならば、「ひらめきやすい」状況を作ることができると言えます。でも黒の場合は、恐らく最初に経験したものと同じ本当に特殊な状況でなければ、この記憶・学習というのは蘇ってこない。したがって、子供の経験値を、この赤のブロックにように、多くの情報と連結できる学びにしてあげるということが、我々がすべきこととなります。少し難しい言葉で言うと、様々な経験をさせるときに、いろんな五感との連合を作れるように、できるだけ複数のインプットを入れてあげると、後々に使える記憶になる、ということです。
このスライドは少し難しいのですが、今社会にAI・人工知能という言葉があふれていますが、それに対比する言葉として、ヒューマンインテリジェンス、人の知性という言葉があります。人の知性と人工知能を対比して研究すると、人には簡単にできるがAIにはできないことが今山ほどあります。特にこの幼児期の脳、この赤ちゃんの脳というのは本当に我々も理解できないぐらいすばらしい能力があります。例えば、人工知能は、猫という画像認識を90%の確率で成功させるためには、それまでに約1,000万画像を見せないと、自動で画像認識を達成することができませんが、赤ちゃんは恐らく100もしくはそれよりも少ない画像を見せるだけで、ほぼ100%画像認識が成立すると言われています。
何故こんなに少ない学習、これをプレラーニングと言いますが、で画像認識を達成できるのかと、その仕組みは誰も分かりません。この学習効率は、大人になると、非常に落ちる訳ですよね。幼児期の脳というのはまだ我々にとっても非常に謎に満ちた研究対象であり、まだまだ理解できていないことが沢山あるということです。
2つ目に、幼児期のときのその学びがなぜ非常に大事かというと、これはちょっと難しいのですけれが、この内部モデルというものをつくるときには大事だと言われています。内部モデルとは、哲学的に言い換えると、自己と言ってもいいのかもしれません。我々は外界から入ってくる情報を100%、脳内に取り入れているわけではなくて、常に自分の中に持っている予想、つまり自分の経験に基づいて作り上げた世界と、外界から入ってくる情報を比較して、そこに予想誤差があったときに初めて、脳はそれを修正するように働くと言われています。つまり内部モデルが幼少期にできてないと、外環境から入ってくる情報を比較することができない、したがって、自分で判断ができなくなってしまうということです。
例えばこれは錯視という、錯覚ですよね、よくできた問題の中一つで、例えばAとBという2つの場所がありますけれども、皆さん、恐らくAのほうが濃い、Bのほうが薄いと感じると思います。でも、これは実際に比べるとAとBと同じ色、同じ濃さです、信じられないと思いますけれども。何でこういう錯視が起こるかというと、理由はここにあります。脳は、不良設定問題、イメージしやすい表現をすると、二次方程式を一つの式だけで解けという問題を、常に突きつけられていると考えられます。
それを解くのにどうするかというと、脳は勝手にもう一つの条件をつくっているわけです。例えば、経験上太陽は上にある、つまり影は必ず上からできるという拘束条件を勝手に加える。このような情報は、生まれながらに持っている情報もあれば、学びの中で発達の中で身につける情報もあります。これをいわゆる脳の中の内部情報として蓄えて、それと外部情報を突き合わせて、常に不良設定問題というのを解いている、というのが脳の営みである、と理解できます。
逆に言うと、この条件設定が脳の中に蓄えられてないと、いろんな判断を瞬時に行うことができなくなるということになります。
これ最後のスライドですけれども、テッポウウオというのは、御存じのように、水の中から水を吐き出して虫を落として食べます。これよく考えると非常に難しいタスクです。水中と空気中は当然屈折率が違うので、水中で見える虫の像にめがけて水を発射しても絶対に当たりません。これは我々がやれと言われても、まず絶対にできないことです。それでは、実際にテッポウウオはどうやってこれを学ぶのかというと、全てのテッポウウオではないんですけど、一部のテッポウウオは小さいときからお父さんとかお母さんがやっているのをずっと見ているそうです。最初下手ですが、そのやり方を見ながら学んで、さらに何度もトライすることで命中率が向上していくということが分かっています。ですので、こういう非常に難しいタスクも実は繰り返すことによって非常に身についていくということです。
これが今日の話のまとめです。ヒトは、70%以上の外部情報を五感のうち目から入手という非常に珍しい生き物です。逆に言うと子供は目から情報を取ろうとするので、我々はそこでサポートをして目以外の情報をうまく同時に入力してあげるということが、幼少期のいろんな形成をするときに非常に大事、大きいレゴブロックをつくるときに大事だろうと考えています。
3つ目はほぼ同じような話で、経験値を上げるためには恐らく多感覚の同時入力を我々がやはりサポートしてあげることによって、この内部形成という効率がすごくよくなるであろうということです。
4つ目は、大人の脳というのは、ほとんどの情報は脳の中に入れてない、入れないようにします。そのときに大事になってくるのは、幼少期のときにどういう脳が自己形成、内部形成できているかということになります。だから、内部モデルを確立する過程をサポートすることは非常に大事です。
最後に、これは時間の都合でお話ししていませんが、共感性という相手のことをおもんぱかる、相手のことを理解しようという感覚というのは、実は非常に適度な物理的な相互作用、要するにハグであったり、友達がお互いに触り合うことでもいいですし、そういう物理的な触覚によって学ぶところが多いです。ですので、オンラインでいろんなことの学びということはできてくるんですけれども、その中でやはり物理的な相互作用をどういうふうにつくってあげるかというのも非常に大事なポイントかと考えます。
以上になります。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、田村委員に、次にお願いしたいと思います。
【田村委員】 皆さん、こんにちは。國學院大學の田村です。
私のほうからは、小学校教育あるいは幼児期と小学校をつなぐスタートカリキュラムということでお話をさせていただきたいと思います。今日は資料の4-4がお手元にあるかと思います。御覧ください。
今回の学習指導要領の改訂は何ができるようになるか、そして何を学ぶか、どのように学ぶかといった議論で進んでまいりました。この何ができるようになるかが、知識・技能、思考・判断・表現、学びに向かう力・人間性といったことで、小中高等学校の教育課程の基準として示されてきた。このことは先ほど御説明があったとおり幼児期においても同様で、まさにこれが貫くものとして準備がされたという大改革ということになるかと思います。この貫くものとして、先ほどから話題になっている幼児期の終わりまでに育ってほしい姿といったものも考えることができるのではないかと思います。
こういった幼児期の一人一人の子供たちが共に学ぶような姿を実現し始めていく。それが小学校の低学年ではやはり同様に身を乗り出したり、小首をかしげたりしながら学んでいく。徐々に共に学ぶ姿が出てきたり、あるいは協働的に問題を解決することがよりできるようになったりしていく。それをさらには中学校においても実現していこうという今回の改訂かと思います。中学校においても分かりやすいプレゼンテーション、より複雑な問題を多くの人間で解決していくようなプロジェクトを行っていく、あるいはそれを、さらには高等学校の改訂でも実現していこうという、ここに主体的・対話的で深い学び、あるいは「アクティブ・ラーニング」といったキーワードが出てきたと考えることができるかと思います。
その意味では、重要なポイント、「幼児期の教育に学ぶ」ということが実は大きいのではないかなと捉えています。この幼児期の教育に学ぶということの象徴的な言葉が、まさに今回の改訂の論点整理に示された、「学習する子供の視点に立つ」という言葉ではなかったかと思っております。
この学習する子供の視点に立って、主体的・対話的で深い学びをとりわけ小学校、中学校、高等学校では実現しようということで、どの学校も熱心に行っているということになります。
この主体的・対話的で深い学びを、私の考えで一枚ものとして整理をするならば、これまで以上にたくさんの知識や情報をインプット、内化し、それをアウトプット、外化するというこの認知プロセスをこれまで以上に活性化しようということがポイントになるかと思います。
ややもすると、過去における中学校、高等学校の授業はややインプットが強めな傾向があったかもしれませんが、これまで以上にアウトプットしていく、まさにこの外化するというところに強調点が見えてくるのかもしれません。その意味では、この認知プロセスを自分の意志で、自分が自覚的に目的を持ってやれることが主体的であり、多くの情報を他者から手に入れ、伝え、発表、表現する、これがいわゆる対話ということになり、この瞬間この子たちの頭の中はよりアクティブに活性化していると、こう考えてきたんだと思います。
恐らくその場面においては、一つ一つのばらばらだった知識や情報がこのアウトプット活用発揮することでつながっていく。粒を組み立てて塊にする、こんなイメージを持つことができるのではないかと考えています。
その意味では全国の現在の小学校においては、例えば低学年などでは生活科などを中心に活動や体験を潤沢に行い、幼児期の学びを小学校教育にも生かしているわけです。その意味では、これまで以上に一人一人の子供たちに応じた、言ってみれば画一的なものではなくて、極めて個に応じたあるいは個別の子供に配慮した学校教育が小学校以降でも十分行われているし、あるいはこれまで以上に行われようとしているということが言えるかと思います。
さらに言えば、そういった学びは一人一人で行うのではなくて他者に伝え、あるいは友達がそれを聞き取るという、他者とともに学ぶといった協働的な学びがより確かな形で実現されてくる。これを自分の学びとしてより確かなものとして自覚するために、文字言語を使って振り返ったり、あるいは音声言語を使って意見交換をしたりするということを積極的に行っているのが小学校での学びではないかなと思います。
この小学校教育に幼児期の教育から、あるいは幼稚園・保育所から小学校以降につながっていくためにスタートカリキュラムといった考え方が位置づけられました。このことを整理しながら御説明したいと思います。
スタートカリキュラムというのは、まず3つぐらいの段階で分けて考えたいと思います。平成20年の前回の学習指導要領改訂のときに明示されました。そのときは生活科の学習指導要領解説に出てきた言葉ですが、当時の小一プロブレムといった問題状況の解決のために学校生活に適応できる、そんな学びをつくっていこうということで幼小の接続のカリキュラムをつくろうという議論が進みました。
平成29年の今回の改訂の少し前には、少しスタートカリキュラムの考え方が成熟してきました。一人一人の子供たちが安心・安全な学校生活をする中で、自らの力を存分に発揮できるような学校生活をつくっていこうといった形で、国立教育政策研究所からは、このような資料が全国の小学校あるいは幼児教育の関係者の皆さんに配布されました。
資料の右下に書かれておりますが、「スタートカリキュラムとは、小学校へ入学した子供が、幼稚園、保育所、認定こども園などの遊びや生活を通した学びと育ちを基礎として、主体的に自己を発揮し、新しい学校生活を創り出していくためのカリキュラム」という整理で進めてきました。
スタートカリキュラムの取組の中では、子供たちの学習環境はこれまでの小学校に多かった全員が一斉に前を向いているという形態だけではなくて、お互いの意見交換がしやすい教室環境、あるいは遊びの場の用意、空間や時間としての環境や人との関わりがこれまで以上に意識され、小学校1年生の入学直後の学びの様相も変わり始めてきているということかと思います。そういったものが今回の学習指導要領の中では、より一層明確に学習指導要領、あるいは解説の中に示されてまいりました。とりわけ合科的・関連的な指導、弾力的な時間割の編成といったことがカリキュラム・マネジメントの考えに位置づけられ、明示されてきたわけです。
幼稚園教育要領においても小学校との接続が明示され、小学校においては学習指導要領の総則、あるいは生活科の中にスタートカリキュラムに関する記述が出ております。紹介いたしますと、例えば、小学校学習指導要領第1章総則、第2の4の1のところには、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を踏まえて指導していきましょう。また、低学年における教育全体においては生活科などを中心にしながら他教科との関連を図っていこう。「特に、小学校入学当初においては」といった形で、先ほどの合科的・関連的な指導や弾力的な時間割の設定をしていきましょうということが明示されているわけです。あるいは、小学校の生活科の学習指導要領においても同様なことが示されておりまして、中盤から以降に「小学校入学当初においては」といった形で、まさにスタートカリキュラム、入学当初の学校のカリキュラムのデザイン、あるいは、その運用といったものについて明確に全国の学校に示されています。
国からもこういった資料が示され、スタートカリキュラムの実践が広がり始めているということになるかと思います。まだまだ十分な実践ができているところばかりではないということかと思いますが、こういった国からの資料、あるいは各自治体の個別な取組や資料作成も始まっている。あるいは、NHKなどでも番組制作が行われ始めているという状況かと思います。
各学校では、入学当初のカリキュラムも幼児期の学びを生かしたような形で、あまり長時間にならないような教科の時間、あるいは活動や体験を位置づけた教科学習、さらには、教科学習の中でも生活科を中心にした、より各教科を関連づけるような横断的な学びを意識した1年生の入学当初のカリキュラムが実現され始めています。その意味では、こういった幼児期、あるいは特に5歳児での確かな学びを小学校以降につなげていくことを期待して考えを申し上げますと、5歳児の子供たちはかなりのことができる。条件や環境が整えば十分な力を発揮する、そんな学びの過程や姿があるんだと思います。
とりわけ5歳児、あるいは5歳児後半の子供たちは、活動や体験を通してすごいなとか、なるほど、すてきだなみたいな感覚や感動を手に入れ、それを繰り返していく中で、きっと多くの気づきや発見を得るのだと思います。なるほどということでしょう。そこでは、恐らく子供たちはこうかもしれない、きっとこうなるんじゃないかという予想や予測、あるいは、これとこれは似ているな、あるいは違うなといった比較や分類といった思考を十分行う。その結果、子供たちは規則性や法則性、きっとこうなんだ、こうだからこうなっているんだということを確かにし始めていく。こんな学びのプロセスを、恐らくこれまで以上に大切にしていただくことが小学校以降に豊かな学びがつながっていくのではないか。そうした学びのプロセスが充実することによって、自分らしさや自分のよさを受け止め自立しようとすること、あるいは、自らの意思をもって思いや願いを実現しようとすること、とりわけ言葉や記号に関心を持ってそれらに親しみ、関わろうとする、そんな子供たちの姿が育つことが期待できるのではないかと思っているところであります。
私のほうからは以上であります。大変ありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、最後になりますが、小久保幼児教育課教科調査官にお願いいたします。
【小久保教科調査官】 教科調査官の小久保でございます。どうぞよろしくお願いいたします。私からは具体的に、現場の実践についてお話をさせていただきます。資料4-5を御覧ください。
今、資料を御提示しております。幼児期は遊びを中心として、頭も心も体も動かして、主体的に様々な対象と直接関わりながら総合的に学んでいます。遊びを通して思考を巡らせて創造力を発揮し、また、友達とイメージを共有したり、協力したりして様々なことを学んでいます。今、写真を御覧いただいていますけれども、物の転がり方を試す、いろいろな素材で試すなど様々なことを学んでいます。
次をお願いします。この写真は、どちらも色水遊びですが、幼児が体験していることは発達段階によって異なります。3歳児では保育者が準備した絵の具などで、単色の色の美しさを味わう体験、5歳児では、自分たちで園庭から花びらを集めて材料を調達して、集めた材料で色の濃淡を試したり、自分の作りたい色を追求したりするなどの体験をしています。
次をお願いします。3歳児では、面白そうと思ったことはすぐにやってみようとして、感動したり興味や関心を持ったりすると、さらに物に関わってみようとします。そのため、保育者は色の数を精選したり、透明のカップを十分に用意したりして、保育者も一緒に共感したりして、幼児の興味や関心を進化させていくような関わりをします。一方、5歳児では、幼児が自ら自分の思いや考えを実現しようとする気持ちが育ってきて、これまでの経験を生かして、自分で材料や道具を選んだり、探し出したりするようにもなります。そこで、保育者はヒントを与えるのか、試行錯誤を見守るのか、幼児の状況に応じて関わります。
次をお願いします。5歳児になってくると、自分たちでこれまでの経験を生かして、遊びが複雑に展開していきます。友達同士で刺激を受け合いながら、次から次へと遊びが発展して、遊びに取り組む時間も長くなっていきます。写真のように、3人の幼児が汽車を作るという目的に向けて、どのような汽車にするのか、互いに自分の思いを言葉に出して伝え合い、次第にほかの幼児とイメージを共有していきます。そして、過去に走る車で遊んだ経験などを生かして、動くタイヤの仕組みや段ボールなどの素材の特性を生かして製作したりします。
次をお願いします。5歳児の活動として、ほかにも水路作りですとか物語作りも紹介しております。
次は指導計画ですが、3歳から5歳までの幼児の姿を見てみると、3歳児の最初は集団生活に不安を抱いていますので、保育者は一人一人が安心して遊べるように、多くの遊具の数を用意したり、広い場所を確保したりします。5歳児になると、友達とのやり取りが盛んになって、いざこざや葛藤などが起きても自分たちで何とか解決しようとするようになります。保育者は幼児の姿を見守り、自分がどうすればよかったのかも考えられるように、自分の行動を振り返ることができるような働きかけをします。このように、幼児の発達段階に応じて、保育者の関わり方も変化していきます。
保育者は、実際の保育を通して幼児の姿から読み取ったことを記録にして保育を振り返り、次の指導に生かすというPDCAのサイクルを通して、幼児の体験が豊かになるようにしています。右の図は実際の記録です。
保育者は、要領等に示されている3点を念頭に置いて保育をしています。2つ目の丸の遊びを通しての総合的な指導についてですが、遊びにおいて、幼児が周囲の環境に思うがままに多様な仕方で関わるということは、幼児が周囲の環境に様々な意味を発見し、様々な関わり方を発見するということです。そして、幼児期は様々な能力が個別に発達していくのではなく、相互に関連し合い、総合的に発達していきます。3つ目の丸の一人一人の特性に応じた指導についてですが、幼児の発達は大筋では共通ですが、個々に目を向けると発達は様々です。そして、同じ遊びでも遊び方は様々であり、遊びの中で幼児が体験していることは様々です。例えば、ここにあるコマ回し遊びですが、手に乗せて回す技を習得したい幼児とか競い合いが楽しい幼児といった感じで、幼児の興味や関心は様々なのです。こうした一人一人の独自性を大切にして、一人一人の発達の特性を生かした集団を作り出すようにしています。
幼児を支えているのは、家庭、幼児教育施設、地域です。家庭の状況は多様ですが、家庭では体験できない幼児期なりの世界の豊かさに出会う場である各幼児教育施設、そして豊かな体験が得られる場である地域、この3者がそれぞれの役割を果たし、連携協力しています。
幼児教育施設と小学校との連携は進んでおり、幼児期の終わりまでに育ってほしい姿を手がかりに、小学校の教師との協議が充実するなどの声が聞かれています。一方で、学びが育まれる家庭が一様ではないため、小学校教育にどのようにつながっているのかをイメージしにくいですとか、幼児教育の現場ではカリキュラムの参考となる資料が少ないなどの声もあります。
これまで述べてきたことは、保育所、認定こども園も同様です。保育内容の整合性が図られており、それに基づいた取組をしているところでございます。
以上でございます。
【無藤委員長】 ありがとうございました。
以上でヒアリング、今日の予定は終了させていただきましたけれども、残りの時間で、ヒアリングで発言された委員以外の先生方からの御発言をお願いしたいと思います。もちろんこの委員会は今後も月1回ぐらいのペースでしますので、その都度の発言や、またヒアリングも続きますので、そこでの機会もあると思いますが、今日は第1回として、今後の方向性を踏まえて御発言いただきたいと思いますけれども、あいにく1人2分以内というのは、無理を承知でお願いしておりますので、ぜひ足りない点は事務局のほうにメール、その他でお知らせいただく。今日はその言わばエッセンス、ポイントをお願いしたいと思います。今日は申し訳ないんですけど、機械的に名簿順、あいうえお順の名簿からということでよろしいでしょうか。
それでは、私のほうから基本的には指名させていただきます。まず、荒瀬委員。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。5人の先生方のお話を聞きまして大変勉強になりました。ありがとうございました。
よく遊び、よく学ぶという言葉がありますけれども、これを並列に捉えるんじゃなくて、よく遊ぶことによってよく学ぶということができていく、生涯にわたって学び続けることができるようにということで、学ぶということの意味は生きるということに重なるのかと思いながら、承っていました。
7月8日に中等教育分科会がありまして、そこで、この委員会が設置されるということの紹介がありましたときに、大変関心が高かったということを御紹介しておきたいと思います。その中でとりわけ、今日のお話の中でもありましたけれども、家庭の意味というのが大変重要であるということで、ついつい保護者の皆さんが焦ってしまうということがあってはならないだろうということが指摘としてありました。ですので、架け橋委員会が駆け足にならないように、これから私も議論に参加したいと思います。どうぞよろしくお願いします。ありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、石戸委員、お願いいたします。
【石戸委員】 こんにちは、石戸と申します。必ずしもこの分野の専門というわけではないので、感想を述べたいと思います。
まず、私の自己紹介ですが、私は遊びと学びの秘密基地というキャッチフレーズの下に、主体的で、協働的で、創造的な遊びと学びを広げるという活動を2002年から取り組んできました。未就学児から中学生ぐらいを対象として、50万人ぐらいの子供たちにそのようなカリキュラムを提供してきました。そして、学校教育も同様であってほしいと考え、知識の記憶暗記型から思考創造型の学びへシフトする、そのトリガーとなり得るのがICTの活用だと考えまして、1人1台の情報端末の導入、それからプログラミング教育の必修化、デジタル教科書の導入などに取り組んできました。
先ほどのプレゼンで、幼児は探究的学び、学校は系統的学びという話がありましたけれども、その一方で、学校においても探求的学びの重要性は指摘されているところかと思います。それを踏まえると、幼児教育と学校教育、その接続がうまくいってないとして、どちらが歩み寄るのがよいのかというのを考える必要があるのではないかと思います。小1プロブレムも、それは子供たち側の問題なのか、学校側、つまり環境側の問題なのか、それを考える必要があるのではないかと思っています。幼児教育で、遊びの中で主体的に学ぶ土台を作るという日本の幼児教育は非常に優れているのではないかと考えていまして、幼児教育においても、学校教育においても、その主体性を奪うことなく、学び環境を構築していくことが大事だと考えます。
プログラミング教育が必修化され、私もそれを長年訴えてきたわけですが、それはなぜかというと、プログラミングを通じて子供たちが手を動かしながら、自分の興味関心に基づいて主体的に学ぶ学び型に近づける手段の1つがプログラミングだと考えているからです。子供たち同士が協働しながら、アイデアを作り、それを基にプロジェクト化し、実験し、改善し、創造し続ける、そのプロセスを学ぶ。遊び心を持って、仲間と共同で情熱的にプロジェクトに取り組みながら学ぶという環境が用意できるのがプログラミングの導入だと考えてやってきました。
コアスキルを学んでからプロジェクト化に取り組むという考え方もあれば、プロジェクトに取り組みながらコアスキルを身につけるという考え方もあるかと思います。先ほど、田村先生の話でいうところのアウトプットとインプットのバランスをどう捉えるかということが重要なのかと思っていまして、私はプロジェクトをしながらコアスキルを身につけていくということを、カリキュラムにおいても大事にしていくのがいいのではないかと思っていますし、そんなカリキュラムづくりが幼児教育から学校教育の両方に求められていて、そこに接続の鍵があるのではないかと思っています。
最後に1点だけ申し上げますと、義務教育の低年齢化は、私は賛成でして、それは早期詰め込み教育ではなく、全ての人に平等に良質な遊びながら学ぶ環境を提供したいという意図から、それに対しては賛成です。
以上です。
【無藤委員長】 吉田委員を先にお願いしたいと思います。
【吉田委員】 この後、予定がございますので、先に御指名いただきました。埼玉県本庄市の市長の吉田でございます。全国市長会の社会文教委員長をやっております。
私にとりましては、本当に専門的な知識がないわけでございますが、首長という立場で、普段から幼稚園の先生方や保育園の先生方、あるいは家庭を持つ保護者の方々等とお話をする中で感じていることは、特に幼稚園、保育園の園長先生からお話がありますのは、保護者の方が、まさに例えば教育基本法であれ、次世代育成支援対策推進法でも、要するに子育てというのは、あるいは教育というのは、第一義的に父母、またはその他の保護者にあるんだということを、もう一度我々はしっかり認識していかなきゃいけないということだと思っております。
もちろんどのような環境、どのような家庭で育っても、その子がしっかりとした個別最適な学びを体得できるという社会にしていかなければならないわけですけども、だからといって、家庭がどうであってもいいということでは、私はないんだろうと思っておりまして、非常にそういう意味では、家庭というものをしっかり強調する中で、幼児教育と小学校教育の架け橋の議論というのがなされるべきかなということを常々感じているところでございます。
それでは、一体具体的にどういうことなのか、これはもう本当に様々意見がありますけども、私としては小さいときの絶対的な、まず愛情を注いでくれる人の存在というのは子供にとっては非常に大事ですし、少し発達してくれば、今度はいわゆる周りとの秩序みたいなものを教えてくれる、よく母性と父性という言葉がありますけども、両方とも必要なんだろうと思いますし、そういった子供が絶対的な安心感を与えてもらえる存在が、まず最初にあってこそなんだろうと思っております。それは家庭の役割というのは非常に大事であろうと。いろいろな議論がありますけども、例えば、世界中を見ても家庭のありようというものをしっかりと憲法にまで位置づけている国というのが非常にたくさんあるわけです。日本でも法律に位置づけてはおりますけども、憲法において家庭の重要性というものは、国民の平等みたいなところにはありますけども、家庭というものが子供にとってどうなのかということについては、もう少し根本的な捉え直しが私は必要だと思っていまして、もちろん幼児教育と小学校教育の架け橋ということについて、専門的な議論がなされることはすばらしいことだと思うんですけども、ぜひ家庭ということの大事さ、意義というものを入れていっていただきたいということを思っています。
すいません。長くなりました。以上でございます。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、大竹委員、お願いいたします。
【大竹委員】 大阪大学の大竹です。私は行動経済学、教育経済大学、労働経済学等の研究をしてきました。今日の報告にもありましたが、経済学の多くの研究で、大人になって社会的、経済的にうまくいく上で、学力に代表されるような認知能力に加えて、我慢強くやり遂げるような自制心、あるいは実行機能と呼ばれる能力、それから人と協働できる能力などの非認知能力が重要であるということが明らかにされてきています。また、それらの非認知能力が、就学前の段階でより発達するということも、今日の報告にありましたように知られてきていると思います。その意味で、資料3の3ページにあるように、育ってほしい姿を明確な目標にするということは望ましいことだと思います。そういった最近の研究で分かってきたことが、目標の中にうまく取り入れられていると思います。
その上で、2点コメントがあります。第1に、親への介入が非常に効果的だという研究が多くあります。そうした視点もうまく取り入れていくことが重要ではないかと思います。第2に、こうした目標を作ってカリキュラムを進めていくことは大事だと思うのですが、どのような具体的な取組が効果的なのかを検証できるような枠組みも作っておくことが重要かと思います。それには、既に報告がありましたけれども、質評価が重要だと思いますし、質評価があれば、就学前にどのような教育を受けたかが明らかになって、その影響も小学生になっても追跡できます。そういう形にしておけば、今後、効果検証が可能になってくるのではないかと思います。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では。岡林委員、お願いします。
【岡林委員】 こんにちは。高知県教育委員会幼保支援課専門企画員の岡林律子と申します。どうぞよろしくお願いします。
今回の委員に参加させていただきまして、たくさんの委員の皆様から多くを学ばせていただきながら、自治体として果たす役割として何をすべきなのか、現場の保育者の先生方の実践に寄り添いながら考えていけたらと思っております。今、県でも保育者の世代交代もあり、若年層が増えている中、子供たちがどこにいても質の高い教育・保育を受けられるよう、幼児教育の質の向上をさらに図っていくということは必須ですし、そのような中で研修体制を構築しながら、また中堅のミドルリーダーも育成しながら、取り組んでいるところです。
また、合わせて、ゼロから18歳までの学びをつなげていくという保幼小接続の意義や重要性の理解、目の前の子供たちに応じた実践の充実を、さらに市町村、教育委員会などと連携しながら進めているところです。また、県では保護者にも小学校就学前の教育において、全ての施設が遊びを通しての総合的な指導を行う教育施設であるということ、遊びが子どもたちにとって非常に大事なんだということもお伝えしながら、さらに連携・接続を図っていきたいと思っております。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、オチャンテ委員、お願いいたします。
【オチャンテ委員】 桃山学院教育大学のオチャンテロサです。よろしくお願いします。発表者の皆さんありがとうございました。
私は外国にルーツのある子供たちの教育について研究しています。異文化理解教育とか多文化共生を専門にしています。増加している外国人の保護者に限る課題ではないんですけど、孤立するような家庭とか子育てで、また、発達段階とかの様々な不安を抱えて悩んでいる保護者が多く、どこに相談しに行ったらいいのか分からない、もちろん言葉の問題とかも中にはあります。また、経済的に不利な家庭については、十分な時間がない、余裕がない分、子供たちと関わる時間が少なく、一緒に遊ぶとか絵本の読み聞かせのような体験を得られない家庭も実は多くて、そうすると、小学校の入学時点では格差があるんです。格差が見られるという課題があります。ですので、保護者、地域との関わり、そして幼稚園、保育園、小学校の連携は非常に重要だと思っています。
また、先ほど出てきたように、保育者も様々な悩みを抱えている、特に外国籍の子供たちと、保護者との関わり方、異文化理解とかで、ですので、そういった質をさらに高めるような研修は必要になってきますし、またはそういった養成大学とか専門学校とかでそのような勉強は今後も必要になってくるのではないかと思います。まだ様々な言いたいことがありますが、これで一旦終わりたいと思います。ありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、神長委員、お願いします。
【神長委員】 大阪総合保育大学の神長です。どうぞよろしくお願いいたします。
私は長いこと幼児教育の実践や行政の中にいました。今は保育者を養成するという立場でいろいろな講義を持っております。そういった立場から保育者の専門性と、幼小の架け橋というところで何を期待するかという話をしたいと思っております。また、5人の先生方のお話を大変興味深く、また、分かりやすく解説してくださったので、感謝申し上げます。
私が日頃から学生たちに話すときに大事にしていることは、幼児教育というのは豊かな環境といかに出会っていくのかと、環境との出会いをどう作るのかということです。体験不足の学生が多いので、本当に具体的に話をします。豊かなといったときに、量的にたくさんというよりは多様の中で、人やものとの関わりなんですけれども、多様なものとの関わりとか多様な人との関わりの中でいかに学びを深めていくのかということが大事になると思います。特にそういったことを実践していく立場になってくると、園のカリキュラムということで、どのようなものや人との関わりを保障していくのかということが園のカリキュラムの中には書き込まれていることが必要ですし、また、そのカリキュラムを実践するという意味では、先生方の研修の場が保障されているということが非常に重要に思います。
先ほどの中に、環境との出会いの中の学びを支え、発展させていくという中で、主体的、対話的な深い学びといったときに、どうしても保育者の方々は時間が非常に限られていて、園内でそれができにくいということがあります。また、園の中に閉じてしまうということもあるので、架け橋のプログラムを作って展開していくためには、幼小を開きながら、先生たちが子ども理解や教材を交流しながら積み重ねていく研修の場は必要かと思っております。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、久保山委員、お願いいたします。
【久保山委員】 皆様、こんにちは。久保山でございます。
保育所、こども園、幼稚園をフィールドにして、乳幼児期の特別支援教育ということについて、実践的に研究をしております。今日のお話を伺っていて、保育の質ということと特別な支援ということの関係性について考えておりました。園にお邪魔をしますと、園によっては、全体の3分の1が特別な支援を要するお子さんであるということもあったりします。そういった中で保育をされている先生方の御苦労ということに本当に感銘を受けているわけでありますし、同時に特別な支援を要するお子さんが個別の療育だけではできないような経験を園でしているだろう。そして、そういったお子さんとともに生活しているお子さんが多様性を重視するような環境でなければできないような経験、様々な苦しいこともあると思うんですけれども、そういった経験を積んで、共に成長しているということを実感しております。こうしたことができている園というのは、いわゆる保育の質が高い園であろうと考えるわけです。こういった園では、まさに共生社会の担い手を育んでいるんだろうと考えます。
一方で、残念ながら逆もあるわけで、画一的な保育をがちがちと行っている園では、残念ながら、5歳児の秋になって園を辞めざるを得ないということも現実に起きているわけで、そういったことも踏まえながら保育の質というのは考えていかなくてはいけないと思います。この委員会では、特別なニーズのあるお子さんについても議論をいただけるということを願っております。また、多様性が保障されるという保育の重要性、その中で、特別な支援を要するお子さんとともに生活している子供たちの心の育ちといったことも議論できたらと思っております。
以上です。ありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、齋藤委員、お願いします。
【齋藤委員】 じゃあ、2分でやります。明治大学で教員養成を普段はやっております。私は幼児教育との関わりでは、「にほんごであそぼ」という番組の、幼児番組ですけれども総合指導を20年ほどやっております。もともと『声に出して読みたい日本語』がきっかけでできた番組ですけれども、日本語のとりわけ名文で遊ぶというのがコンセプトです。ですから、遊ぶといっても何か文化が大事だと思うんです。文化の中で一番大きいものは日本語自体が文化、日本語も名文というものは、それ自体に情緒や認識、いろいろなものを含んでおります。ですから、「春はあけぼの」というものを暗唱して遊ぶと、「春はあけぼの」で遊ぶということをやりますと、文化の継承ということが行われると思います。
学校に行ったら文化や様々な言葉と触れますけれども、幼児の間に名文が体の中に入っていることで安心して学校教育に移行できると思っております。名文の暗唱や、例えば、「知らざあ言って聞かせやしょう」というような体を使って歌舞伎の真似をしたりといったことは大変自己表現にもつながるかと思って、番組でも重視して能や狂言、歌舞伎、文楽、様々なものを伝統芸能としてやってもらっております。そのほか、絵本の読み聞かせ、言葉との出会いとしては、共感的な関係で言葉を獲得するというのは大変すばらしいと思います。そのほか、劇を行うといった言葉と体を一体化させて育てていく、ことも名文で遊ぶということは、例えばおんぶしながら「雨ニモマケズ」を暗唱するといった感じです。そういうことをやっていくのが、どの子供も読み聞かせとかをやってもらえるわけではありませんので、日本語こそが最高の環境ではないかと思っております。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。それでは、鈴木委員、お願いします。
【鈴木委員】 國學院大学の鈴木みゆきです。5人の先生方のプレゼンありがとうございました。4年ぶりに、この4月に養成課程に戻ってまいりました。3月までは青少年教育のナショナルセンターにおりましたので、体験活動の重要性というのは声高に叫んでいたので、今日は改めて、幼児期においても身体の諸感覚を活用した体験、遊びの重要性をすごく感じました。
一方で、これだけ認識が進み、そして、幼小、幼児期の教育及び小学校の現場で皆さん方がすごく努力している。その一方で、幼児教育の意味というのが家庭にまだまだ伝わっていないというすごい歯がゆさを感じています。少子化が進めば進むほど、選ぶ園になっていくということが、本当に幼児期の教育の意味というのをきちんと発信していくことが、子育ての支援としてはさらに大切なのではないかというのを改めて思いました。なので、架け橋は家庭教育との架け橋でもあってほしいと願っております。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、曽木委員、お願いします。
【曽木委員】 皆様、初めまして。社会福祉法人龍美、陽だまりの丘保育園の曽木書代と申します。東京の中野区で保育園を運営しております。よろしくお願いいたします。
幼稚園、認定こども園、保育園の質の向上及び小学校との円滑な接続が今まで以上によりよくなっていくよう、また、子供たちの未来につながるよう努力してまいりたいと思います。しかし、危惧することといたしましては、1つ目として、本プログラムが小学校の形だけ先取りをしたり、前倒し指導をしたりすればよいと勝手に解釈をして、それが独り歩きをしてしまわないか。また、2つ目としては、開発プログラムに縛りが多く、今の子供の姿からやりたいことができないという本末転倒にならないか。そして、3つ目としては、せっかくいい意味での改革の意図が実践者にうまく伝わらず、保育士や保育教諭と5歳児が混乱し、大変な思いをしないかという点です。
だからこそ、保育の実践者として、特に保育者に対してですが、この会の趣旨や開発プログラム、そして委員の皆様の御意見を具体的に、分かりやすく実践事例などを通して見える化をし、保育に下ろしやすくする役目を担っていければと思っております。また、具体的には、保育士の観察力や身近な自然、環境の捉え方、対話等を大事にしていきたいと思っております。細かいことに関しましては、こちらから会議の中でも保育園の実践に沿って、いろいろとお伝えできればと思っております。
このプログラム開発に関しまして、要領、指針、そして、幼少期の終わりまでに育ってほしい10の姿、資質能力の3つの柱、小学校の学習指導要領、スタートカリキュラム、そういったものをベースに遊びを通してということと、一人一人の興味関心に応じて、学習指導という形ですが、主体的、探求的な遊び、そこを大事に今回、話し合っていければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤委員長】 ありがとうございました。次は中井澤委員、お願いいたします。
【中井澤委員】 筑波大学の中井澤と申します。日本語教育のオンライン化を推進する一般社団法人、ひととの代表理事をしております。
私のほうから2点、まず、遊びの重要性に関して、親への介入が重要であるということが大竹先生より発言があったと思うんですけれども、一方で今、育児において、YouTubeの活用だったりとかという点で、かなりインプットに過剰な影響があるという研究が指摘されていたりだとか、それが社会経済的な背景、つまり世帯年収とかとも相関があるという研究が多数出てきたりしていて、親への介入というポイントとICTの影響をどのように見積もるかというところが非常に重要なポイントになるんじゃないかというところが1点目です。
2点目に関しては、これは教師側への配慮なんですけれども、例えば接続という観点において、神長先生が発言であったように、どのように研修を通じて支援していくかというところについて、例えば小中高で用いられているキャリアパスポートみたいなもので接続を円滑にしていくという仕組みがより重要になってくるのではないかと私は今回の委員を通じて感じました。
以上です。よろしくお願いします。
【無藤委員長】 ありがとうございました。ちょっと余計なことですが、中井澤委員は中教審委員で最年少だと伺っております。こういう時代になったんだと私なんかは感慨深くて、遠慮なく発言していただければと思います。
【中井澤委員】 ありがとうございます。よろしくお願いします。
【無藤委員長】 それでは、中山委員、お願いします。
【中山委員】 栃木県の佐野市という人口が11万人ぐらいの小さな町で、幼保連携型認定こども園理事長をやっています。本当に諸先生方の今の本当にいろいろな御発言、非常に勉強になります。自分としては、あくまでも現場として、地方の現場として何か貢献できるようなことがあればと願っています。
私からは今日、2点ありまして、幼児教育の現場にいて、本当に最近いろいろな方と話をしていて、特に現場によく通っていらっしゃる若手の研究者の方と話していて思うのですが、子供、あるいは子供たちが、なかなか自分の意思と力で遊びを継続していく、遊び込んでいく姿を最近あまり見られなくなったということを聞きます。本当かな、じゃあ昔はみんな遊べていたのかなとも思いますけれども、何が言いたいかといいますと、どういったことを幼児教育の内容としていくかというのは本当に無限だと思うんです。時代によったり、場所、地域によったり、様々なものが幼児教育の内容となり得るわけですけれども、そのやり方というところが、もしかしたらなかなか自分たちの力で遊び込んでいくことが難しい状況を作り出しているのではないのかと。
結論から言いますと、改めて環境を通して行う教育というものが、もう一度分かりやすくかみ砕いて、現場で行政と連携しながら共有されなければ難しいと思うんです。もちろん、そこでの現場の保育者も環境の1つですから、保育者が直接言葉をかけていくということも重要かもしれませんが、もしかしたら人的な環境、特に言葉がけが非常に今、大きく肥大化してしまって、もっと物的な環境ですとか状況、どういう状況を作り出していくか、そういうところの環境をもう少し教材研究を含めて行うことで、本来の環境として行う教育、子供が主体で自ら社会と肯定的に関わっていく、そういう資質能力が育成されるような環境を通して行う教育と、そこを現場にいて、さらに改めて深めなければいけないと感じています。
それともう1点、保護者との協働です。地域を巻き込んで保護者と協働していく子育て支援を含めて、いかに協働していくかということが、ほかの何人かの先生方が御発言いただいたように、家庭との連携で、まさにそこも架け橋かと思いますので、よろしくお願いします。
小学校との接続に関しては、行っていたこともありますので、別の機会にまた発言したいと思います。ありがとうございました。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、二宮委員、お願いします。
【二宮委員】 NHKの二宮と申します。教育と災害を担当している解説委員をしております。幼児教育の現場にいるわけではないので、皆様からいろいろ勉強させていただきたいと思っております。
私として気をつけていたいのは、先ほどから皆さんおっしゃっているように、現場に寄り添う形で、あまり焦ったり、突飛なことを盛り込んだりしないようにしていただきたいということです。特に個別最適と言っている中で、成長が遅い、発達が遅れているお子さんだとか、低所得の御家庭とか、そういうところにきちんと目を配りながらと思っております。そういう意味で、例えば、早期何とか教育みたいなものが前倒しで進んでいくというような誤解を、現場や保護者に与えないようにしながら、期待に応えていくことが求められると思っております。
今、幼稚園、保育園、こども園で、皆さんが実践なさっていて効果が上がっていることなどをもっと外に広げていくとか、最新の研究や国際的な調査などで分かってきたことを情報発信しながら、家庭での教育も含めて効果を高めていくという情報発信の場になればと思っております。そういう意味で、今回、幼稚園教育ではなく幼児教育としてくくって、保育園、こども園、家庭での教育も含めた全ての幼児教育の質を高め、全国に広げていくということは本当に非常に素晴らしいと思います。国民の期待、保護者の御期待も大きいことだと思いますので、皆様にいろいろ教わりながら頑張っていきたいと思っております。よろしくお願いします。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、平川委員、お願いいたします。
【平川委員】 広島県教育委員会教育長の平川でございます。広島県では平成30年度より乳幼児教育支援センターを設立いたしまして、「遊びは学び」ということをモットーに「『遊び 学び 育つひろしまっ子!』推進プラン」に基づいて、アドバイザーの訪問指導、それから研修、幼保小の連携の支援を行っておりますけれども、本日、秋田委員のお話を伺いまして、その重要性を改めて感じさせていただきまして、ありがとうございました。
今回、幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会ということですけれども、いろいろな方がおっしゃっていますように、これが方法論とか詳細に走ってしまいますと、早期教育とかドリルをさせるとか、じっと座らせることが重要だとかこういうことで、保護者の方、それから教育関係者を焦らせてしまうんじゃないかと思っておりまして、私たちの考えている目的とかけ離れてしまうのではないかということが要注意かと思います。
小学校教育を見ておりましても、原体験がある子供が小学校に入ってから、こういうお子さんほど学びに向かう力があると言えると思います。田村委員がおっしゃったように、むしろ小学校、中学校、高校が、それから特別支援学校もですけれども、幼児期の教育に学ぶことが重要だと。つまり遊びや学びということを、もっともっと小学校側がやっていかなければならないと気の引き締まる思いでおります。
1点、この視点は大事だと思いましたのは、榎本委員がおっしゃっていただきました脳科学の部分で、今、義務教育でGIGAスクールをやっていますけれども、どうしても保護者たちはICTの早期教育とかということをやっていますけど、私はパソコンが実体験の時間を奪ってしまうと思っています。ましてはスマホに子守りなどというのは考えられないことだと思っております。先日、熊本市のほうに視察に行ってきましたけど、小学校1年生、2年生はパソコン上で、タッチペンで書かせないと、必ず鉛筆で書かせるとおっしゃっていました。五感を大切にする、実体験を大切にするということで、こういったICTとの向き合い方も委員会で十分に話し合っていければいいかと思っております。
以上です。よろしくお願いいたします。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、藤迫委員、お願いします。
【藤迫委員】 大阪府箕面市教育委員会、教育長の藤迫です。どうぞよろしくお願いします。
私はこの委員会で、どういう立場からの意見を求められているのかというのを私なりに解釈したのが3点ありますので、第1回目なので共有しておきたいと思います。
本市では、平成17年度から、保育所をまず教育委員会に寄せて、それから段階的に児童福祉を教育委員会に寄せています。平成30年度にはほぼ今の完成形で、母子保健から、つまりゼロ歳から18歳まで全てを教育委員会に寄せて、教育と福祉の融合を図っております。
2点目は、エビデンスに基づく教育施策展開をしているということです。子供たちの情報としましては、小学校1年生から中学3年生、全ての子供たちの学力、体力、生活習慣、生活状況のデータを全て持っています。また、家庭の情報としましては、生活保護ですとか家庭の生活困窮度の情報も、教育委員会で一元的に把握できるという体制を取っております。
3点目につきましては、私の個人的なあれですけども、私は行政職員ですので、教員でも何でもないんですけども、そういう意味でいろいろな立場の仕事をしましたが、教育委員会としましては、まずは担当者レベルのときに総務関係、あるいは幼稚園の担当、そして先ほど言いました組織の中で、子ども部という就学前の子どもの担当、そして免許はありませんが、小学校の校長を3年半、当時の市長が行ってこいといって行きました。今、教育長という立場ですので、少し普通の方とは違った視点で、いろいろ幼児教育、小学校教育を見てきたという観点で、今後もいろいろな意見を言わせてもらいたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、堀田委員、お願いします。
【堀田委員】 よろしくお願いいたします。東北大学の堀田と申します。
私は社会の情報化と教育の在り方について、学校現場に関わりながら研究してまいりました。その観点から2つ意見を述べます。
1つ目は、先ほどから話題に出ているように、メディアが広く発達し、スマホやタブレットが幼児にとっても身近になっています。子供たちの生活の中にもメディアが常にあるという状況ですが、保育の現場では、直接体験が重要という観点からメディアを遠ざける傾向があるように思います。直接体験が重要ということ自体は、私は反対ではないんですけども、一方で、メディア遊び、メディアを使って、例えば何か撮影してみんなでお話しするとか、そういう遊びの可能性を排除していないかという点が気になっております。このような活動は、小学校低学年での学習活動につながっていく部分がありますので、そのような形で検討ができればと思うところです。
2つ目ですが、先ほど来、出ているように、幼児教育においては特に保護者と園との教育連携は極めて重要だと思います。子供の活動の様子を保護者に伝える連絡帳のようなものが今もありますけども、デジタル化によって写真や映像で伝える部分もあると思うんです。保護者はスマホを持っていますので、諸連絡もスマホでできるようなことがあろうかと思います。問題は、人的資源やあるいは業務、園のデジタル化そのものがどのぐらい進んでいるかということなので、そういう組織的な情報化、園務の情報化のための情報基盤の整備も検討に値するかと思っております。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、水野委員、お願いします。
【水野委員】 こんにちは、大東市教育委員会教育長の水野達朗です。
不登校支援と家庭教育支援の民間支援機関を経営しておりまして、昨年度から大阪府大東市の教育長に就任をしております。公と民の視点、そして幼児教育と小学校教育の家庭教育的な視点で意見させていただきたいと思います。
事前に配られました資料3の主な論点に、幼児教育の質を支える要素の中で家庭との連携と書いていただいて、さらに乳幼児期も含めた家庭教育を支援する方策が挙げられていることを本当にうれしく思いました。私自身は、幼児教育と小学校教育の架け橋の背骨の部分は、ほかの委員の皆さんもおっしゃっていましたが、家庭教育にあるのではないかと思っております。公教育において、小学校1年生段階で一定のばらつきがあることは事実ではありますけれども、小学生よりも幼児は特に、私も学校公教育の場で見せていただく限りは、随分とばらつきはあるというのを感じております。その幅を小学校入学段階で少しでも是正していこうというのが今回の趣旨の1つかと思っております。これをぴたっとそろえるというのは、ロボットを作っているわけではもちろんありませんので、あくまでばらつきの是正という趣旨で言えば、私は小1段階のヘッドスタートの部分をそろえるといえば、家庭教育になるのかと感じます。
保護者が幼児教育段階で、どのような能力が求められていて、小学校入学時にはどのような能力が求められているのかというのを共通理解として持っていることが重要であって、それを踏まえて、家庭教育ではどのような学びや経験を日々の家庭の営みの中で、どうやって積み重ねるのかというのを、園種を問わずに保護者が理解できるような基準と言いますか、指標と言いますか、そのようなものがあって、それを幼児教育に携わる先生や保育士さん、そして保護者が今回、これから議論をしていく共通プログラムと関連づけられた共通のカルテのようなもの、秋田先生のお話でもあったドキュメンテーションアセスメントであったり、スケールアセスメントのような、そういうカルテのようなものがあって、子供の成長を見取っていくことでヘッドスタートの部分をそろえていく、そろえるというか少し是正していく、そのようなイメージかと考えております。
ですので、あとは子育て世代、包括支援センターと福祉の連携、相談機関があろうかと思いますので、そこの議論も広がっていけば、なお充実してくるのかと感じております。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、溝上委員、お願いします。
【溝上委員】 桐蔭学園の溝上でございます。研究としましては、心理学で青年期から成人期の移行を中心としながら発達の研究をしてきました。教育では大学教育、高等教育から高校教育、高大接続を中心にして実践研究をしてきました。今、理事長をしていますので、桐蔭学園の幼稚園から大学がありまして、そこの推進統括をしています。
今日のテーマに関して2点、意見を申し上げたいと思いますが、1つは神長先生が強くおっしゃられた研修です。私もそこがとても大事だと思います。例えば桐蔭学園は非常にきっちり行動していくと言いますか、集団生活が大好きな学園でありまして、先生たちが毎日日誌を書いて私に、あるいは校長に報告があるんですけど、毎日読んでいましてよく出てくる言葉に、例えば幼稚園のことで言えば、何々君、例えば30人が1学級なんですけれども、4人ぐらいの園児がぐずぐずしていたと。時間がかかってみんなに迷惑をかけた、こういう日誌が結構多くありまして、この前、研修の中で外部の先生に来ていただいているんですが、幼児というのは自己中心性が非常に前面に出てくる時期ですので、ぐずぐずするというか、自分の世界でいろいろ考えたりしているのは当たり前であって、それが発達の遅れとして、あるいは発達的個人差としていろいろな子供たちとの差が出てきているわけですけれども、こういったことを自己中心性という観点から子供の、園児の動きを見ていくというんですか、非常にいい御指導をされて、「ぐずぐずしないように」みたいな、そういう言い方を結構うちの先生はすぐしちゃうんですけれども、「みんな。待っているよ」みたいな、そういう感じの声掛けをしていったら、自分の理屈で理解してぱっと行くんですよね。そういう場面を見て非常に感銘を受けましたけれども、無藤先生が発達の姿として非常に体系的にお話しされまして、私なんかも発達心理学者としてそうだ、そうだと思うんです。多分幼稚園の先生も思うと思います。
それでも、一つ一つの実践に照らし合わせてみていくと、意外と分かっていない、自己中心性というのがどういうところに現れるかとか分かっていないというのが、この前、私は非常によく学んだ場面でして、それは小学校の先生になってくるともっと分かっていないんです。だからこういう辺りを研修の1つに……。
【橋田幼児教育企画官】 溝上先生、そろそろまとめてください。よろしくお願いします。
【溝上委員】 そうですね。じゃあ、もう一つだけ簡単にですけど、秋田先生の幼稚園から、幼児教育から小学校、中学校、静岡市の例を出されていたと思いますけれども、ああいう発達のマトリックス、評価をしていくときのマトリックスがとても必要だと私は思います。幼児教育の終わりが幼児期の終わりではありませんので、幼稚園教育、幼児教育から小学校へ放り投げられているような印象を受けるというのは正直あります。そういうマトリックスを幼小共有しながら子供たちの育ちを見ていくということが望ましいかと思います。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、宮下委員、お願いします。
【宮下委員】 静岡豊田幼稚園の園長しております、宮下と申します。よろしくお願いします。
幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会という名前は、私はとても素敵だと感じております。それは幼児教育と小学校教育のそれぞれのよさとか特性というのを尊重して、より充実を図っていきながら、一人一人の子供の成長をしっかりと支えていくために、両者に橋を架けるという意味があって、決して小学校教育の前倒しを意味しているのではないと思うからです。今日の皆様からの意見を共感しながら聞かせていただきました。ありがとうございました。
この委員会の主な論点の中で、特に私は幼児教育の質を支える要素としての幼児の体験の幅と質について関心を持っています。幼児教育の現場では、体験の重要性は認識されていますが、まだまだどのような活動を子供たちにさせるかということを大事にしている傾向は少なくないのではないかと思っています。しかし、重要なのは活動そのものではなくて、活動の中で一人一人の幼児がどのような体験をして、その体験がその子にとってどう意味のあるものになっているのかということではないかと思います。幼児期ならではの五感を通じた心を動かす体験を大切にして、そこで幼児が何を学んでいるか、そして学びを次にどう生かしていくのかといったことを、幼児教育と小学校教育に携わる者同士が具体的な事例やデータを基に議論し合って、共通理解していくことが大切ではないかと思っております。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、村田委員、お願いします。
【村田委員】 お願いします。岐阜市の子ども・若者総合支援センターの村田と申します。ゼロ歳から20歳前までの子供たちに関わる相談や支援を行っている機関になります。もともと幼児教育は専門ではありませんが、思春期に入って壊れていく若者を目の当たりにする現場の声として、いろいろなところで発言がしていけたらと思っております。よろしくお願いいたします。
【無藤委員長】 それでは、渡辺一利委員、お願いします。
【渡邉(一)委員】 先生方、発表どうもありがとうございました。私は笹川スポーツ財団という組織で理事長をしております、渡邉と申します。また、スポーツ庁が設置されて以来、スポーツ庁のスポーツ審議会で委員を務めております。中でも幼児から高齢者にかけて、どうやってスポーツ実施率を高めたらいいのかを検討する健康スポーツ部会の部会長も務めております。私、個人的には、幼児教育及び小学校教育の現状や課題については承知していないところもたくさんありますので、この会議を通じていろいろ学びたいと、そのように思っておりますけれども、立場的には、子供の成長と遊び、身体活動、あるいは運動との関係性に視点を置いた意見を発言していきたいと思います。
御承知のとおり、現在の社会環境や生活様式の変化に伴いまして、日常的に幼児、児童共に体を動かして遊ぶ時間、空間、仲間というのが減っております。そのため、身体活動量や運動量が低下しまして、結果として体力、運動能力の低下を招いているといった現象が見て取れます。ただ、一方で、こと幼児期においての運動の意義というのは、先ほど幼児期終わりまでに育ってほしい姿、10項目というのがありましたけど、ここに連動する形で、体力、運動能力の向上であるとか、意欲的な心の育成等々が先行研究から整理されて示されております。
私がこの委員会で発言していきたいと思っているのは、1つは幼児教育、小学校教育共にそうなんですけども、授業プログラムも含めて、どうやって学校生活の中で身体活動や運動量を確保していくのかといったところを考えていきたいと思っております。それから2点目は、先ほど来、先生方から御指摘ありますように、園、学校と家庭地域の連携をどうやって図っていくのか、その中で子供たちの身体活動量や運動量を高め、それをまた教育につなげていくのか、そういった視点から会議に参加させていただいて、いろいろ意見を述べさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
以上です。
【無藤委員長】 ありがとうございました。では、渡邉英則委員、お願いします。
【渡邉(英)委員】 すいません。やっと最後になったと思うんですけど、私のほうからも一言、話させていただきたいと思います。
本当に5人の先生の話を聞きながら、僕ら現場の人間としては、コロナの話がずっとついて回っている中で、子供の育ちのことを考えるということの大事さを改めて感じました。私個人は、本当に母から幼稚園を継いで港北幼稚園、それから平成17年に機会があって、認定こども園、ゆうゆうのもり幼保園の園長を、2つの園の園長をしているんですけど、平成元年のときに、幼稚園教育要領が変わったときに遊びというものを結構大事にされました。うちの母の時代は教えるとかみんな一緒にとか、何かをさせるというところから、遊びの中で子供たちが育つとか、一人一人が本当に丁寧に関わっていくと一人一人の個性を発揮していって、そのこと自体が本当は大事にされなきゃいけないことなんだということに関して、自分の園の中で結構いろいろ実践をしてきました。
ただ、この話は結構保護者の方も、幼児期は教え込んだほうがいいという方たちとか、小学校の先生たちも教科書を教えればいいという話だったりとか、多分教育に関わる方たちも、これもさせたほうがいい、あれもさせたほうがいいのと、一人一人が本当にそこのところで何が育つのかというか、一人一人持っている資質能力というときに、資質というのが多分本人の持っている力だと思うと、その力を本当に発揮させられるような環境を大事にするのが、能力というと鍛えてできればできるとか、そうではなくて、本当に人が学んでいく、主体的、対話的で深い学びという学びというのは多分主体性が必要であったりすると、その学びをどのように実現していくかということに関しては、幼児教育が今まで培ってきた、5人の先生が話されたようなことが、本当は小学校教育とか社会にもっと浸透していっていいんだろうという思いを持っております。
そういう意味では、今、横浜でもやっているんですけど、小学校の先生たちの中にも幼児教育とか、それが大事だとか学びが大事だということが、ここの中で改めてまた皆さんと一緒に考える機会になればうれしいと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤委員長】 ありがとうございました。ひと通り御発言いただきましたけれども、非常に発言時間が短いものですから、ぜひ不足する点や追加のことはメールなどで事務局に御連絡いただければと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、本日、時間が10分過ぎておりますけれども、ここまでにさせていただき、最後に次回の予定について、事務局からお願いいたします。
【橋田幼児教育企画官】 次回の特別委員会は、資料5のとおり、8月10日、第3回は9月1日を予定しております。
【無藤委員長】 それでは、本日予定した議事は全て終了いたしましたので、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――
 

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