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教育課程部会(第112回) 議事録

1.日時

令和元年9月4日(水曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 東館3階 講堂

3.議題

  1. STEAM教育について
  2. その他

4.議事録

【天笠部会長】  それでは,おはようございます。定刻となりましたので,ただいまから第112回中央教育審議会初等中等教育分科会教育課程部会を開催いたします。
 本日は,大変御多忙の中,教育課程部会に御参加いただき,誠にありがとうございます。本部会につきましては,報道関係者より会場の撮影及び録音の申出があり,これを許可しておりますので,御承知おきください。
 まずは,本日の議事に入る前に,今回より新たに御参加いただく委員がいらっしゃいますので,事務局より御紹介をお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】  ありがとうございます。朝日滋也委員でいらっしゃいます。
【朝日委員】  よろしくお願いいたします。
【天笠部会長】  それでは,本日の配付資料について事務局から説明をお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】  本日の配付資料は,お手元の議事次第にありますとおり,資料1から資料5-4です。また,参考資料として,新しい委員名簿と,全国学力・学習状況調査の結果を配付しております。不足等がございましたら,事務局にお申し付けください。
 なお,全国学力・学習状況調査につきましては,本日結果を配付しておりますが,次回の課程部会において,結果公表後の現在の対応状況なども含め,取り上げたいと考えております。
【天笠部会長】  それでは,議題1に入りたいと思います。本議題では,報告事項について続けて説明いたしますので,最後にまとめて質疑応答の時間を設けさせていただきたいと思いますので,まずは報告事項ということで,4件続けさせていただきますので,よろしくお願いします。
 まずは,令和2年度概算要求につきまして,事務局から説明をお願いいたします。
【中川財務課課長補佐】  文部科学省の財務課長補佐の中川と申します。よろしくお願いいたします。それでは,お手元の資料1の令和2年度概算要求主要事項の資料に基づきまして,御説明さしあげたいと思います。
 まず,令和2年度の概算要求につきましては,文部科学省といたしまして,対前年度比約6,485億円増の総額5兆9,689億円を概算要求しているところでございます。このうち初等中等教育局といたしましては,約34%に当たる2兆382億円の要求をさせていただいているところでございます。
 それでは,詳細について説明させていただきます。まず,13ページをおめくりいただければと思います。教職員定数についてでございます。学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための定数改善を要求してございます。具体的には,教員の持ち授業時数の減少を通じた教員の負担軽減という形で,英語専科指導に必要な教員定数を1,000名要求してございます。平成29年,30年と続きまして,計3,000人の定数改善という形になってございます。
 また,今回新たに,義務教育9年間を見通した教育課程,教員免許,教職員配置の一体的検討について御議論いただいているところでございますが,できるだけ早くそういった指導体制を整えるという観点で,今回新たに小学校における専科指導のための教員定数ということで,2,090人を計上しているところでございます。さらに,その下になりまして,中学校における生徒指導や支援体制の強化ということで,こちらは夜間中学校への支援も含めまして,670名の定数改善を要求しているところでございます。
 併せまして,共同学校事務体制の強化ということですとか,主幹教諭の配置による学校マネジメントの機能強化,また貧困に起因する学力課題の解消ということで,500名という形で予算を計上させてもらっているところでございます。また,平成29年度の義務標準法改正に伴う基礎定数化を着実に実施するための定数改善ということで,315,右上になりますけれども,こちらも要求しているところでございます。こちらが定数関係でございます。
 また,一番下になりますけれども,管理職手当の改善という形で,校長,副校長・教頭の管理職手当の支給率の改善という形で,給与面についても概算要求をしているところでございます。
 続きまして,22ページをおめくりいただければと思います。学校の働き方改革に絡みまして,教員定数だけでなくて,「チーム学校」の観点から,スクールサポートスタッフなどの専門人材の部分につきましても,拡充で要求しているところでございます。具体的には,左側の部分で,学力向上を目的とした学校教育活動支援という形で,1,400名増の9,100名を要求しているところでございます。また,右上のスクールサポートスタッフということで,教員のプリントの印刷などを補助する補助員につきましても大変御好評いただいておりまして,1,800名増の5,400名を概算要求しているところでございます。
 また,右下の中学校における部活動指導員の配置につきましても,3,000人増の1万2,000名を要求しているところでございます。なお,中学校の部活動指導員につきましては,なかなか人材の確保が難しいということがございましたので,いろいろと課題を聞いたところ,もう少し広域で人を集める必要があるということでございまして,交通費も併せて支援を要求しているところでございます。
 続きまして,26ページをおめくりいただければと思います。特別支援関係でございます。医療的ケアが必要な児童生徒のための看護師ですとか,理学療法士といった外部人材のための予算も要求をさせていただいているところでございます。医療的ケアの看護師につきましては,今年度1,800名のところを2,247名ということで,拡充で要求しているところでございます。
 続きまして,その下の27ページでございます。学校における働き方改革推進事業ということで,働き方改革を自走的に進めていくということを目的に,今後,都道府県ですとか市町村別に取組状況をしっかり調査して公表していくという形を考えてございます。また,優良事例のアーカイブサイトも構築させていただきたいということで,1.9億円計上しているところでございます。
 続きまして,31ページをおめくりいただければと思います。こちらは新時代の学びを支える先端技術の活用ということで,GIGAスクールネットワーク構想という形で概算要求しております。こちらにつきましては,学校の教室の中で高速かつ大容量の通信ネットワーク環境を整備するということで,校内LANにつきまして375億円計上しているところでございます。
 続きまして,55ページをおめくりいただければと思います。時間がなくて足早で恐縮でございます。こちらは虐待・いじめ・不登校対応ということで,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーについても要求してございます。今年度から全ての小学校・中学校ということで,2万7,500校にスクールカウンセラーの配置と,全ての中学校区ということで,スクールソーシャルワーカーを1万名配置できる予算を確保しているところでございますが,来年度の概算要求につきましては,これに加えまして,虐待対策のための重点配置ということで1,000名,いじめ・不登校対策のための重点配置ということで500名を,新たにスクールカウンセラーで計上してございます。また,スクールソーシャルワーカーにつきましても,引き続き全ての中学校区に配置することに加えまして,虐待対応のための重点配置1,000校,いじめ・不登校対応のための重点配置ということで500校を,新たに追加で要求しているところでございます。
 1枚おめくりいただきまして,56ページになります。SNSを活用した相談事業という形でございます。こちらはSNS等を活用した相談体制を構築する事業として,相談の実証事業の経費ということで,30地域に対しまして補助する形で,2億円計上しているところでございます。
 続きまして,95ページをおめくりいただければと思います。切れ目のない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実ということでございます。こちらは先ほど申し上げました医療的ケアが必要な看護師の配置でありますとか,一番左上になりますけれども,就労支援などのコーディネーターの経費につきましても拡充で要望させていただいているところでございます。
 続きまして,106ページをおめくりいただければと思います。学校をプラットフォームとした総合的な子供の貧困対策という形で,こちらを考えてございます。要保護児童生徒の援助費の補助金でございます。来年度概算要求から,特にこちらの真ん中に書いてございますけれども,修学旅行費が平均的に少し値上がりしているという状況がございましたので,修学旅行費の単価の引き上げですとか,新入学児童生徒の学用品の単価を引き上げで概算要求をしているところでございます。
 続きまして,110ページをおめくりいただければと思います。こちらは私立小中学校等に通う児童生徒への経済支援に関しまして,年収400万円未満の世帯に対する児童生徒につきまして年額10万円,非課税世帯に関しましては年額15万円の授業料負担の軽減を行いつつ,支援をするという形で,実態把握のための調査研究を引き続き行うための経費を計上しているところでございます。
 続きまして,113ページをおめくりいただければと思います。こちらは私立高等学校の授業料の実質無償化に関連する部分でございます。本年6月に閣議決定されました骨太の方針を踏まえまして,年収590万円未満世帯の生徒に対しまして,高等学校等就学支援金の支援上限額を,私立高校の平均授業料を勘案した水準まで引き上げるという形で,私立高等学校の授業料の実質無償化を実現するための予算を計上しているところでございます。なお,令和2年度の概算要求におきましては,高等教育無償化関連予算が事項要求となっておりますので,活用可能な財源が明確でないため,こういったところを事項要求としているところでございます。
 以上になります。時間が限られておりまして,足早な説明となりましたことをおわび申し上げます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして,新学習指導要領全面実施に向けた小学校外国語に関する取組について,説明をお願いいたします。
【小野外国語教育推進室長】  情報教育・外国語教育課外国語教育推進室長の小野と申します。私からは,前回の部会,合同部会におきましても,小学校外国語の指導体制の課題について御指摘がございましたことも併せ,ただいまの文科省の概算要求の説明とも関連しまして,現在の状況を御報告させていただきたいと思います。お手元の資料2に基づいて御説明させていただきます。
 資料2をめくっていただいて,1ページ目でございます。これまで小学校における外国語教育は,歴史的には研究開発学校の取組,平成10年学習指導要領では総合的な学習の時間の中での活動を経まして,現在は20年改訂によりまして,初めて高学年週1時間外国語活動というものを行うことになっております。本教育課程部会で御審議を頂きまして改訂した新学習指導要領が,来年度から全面実施ということになってございます。
 2ページをごらんいただけますでしょうか。新しい学習指導要領における外国語教育のイメージでございます。現行の小学校の外国語活動は,音声を中心に児童が英語になれ親しみ,学習意欲が向上するなどの成果が出ていると考えられる一方で,音声中心の学習から文字の学習への移行,小学校・中学校の接続というところに課題があると認識しております。このため,新学習指導要領におきましては,外国語活動を3年生から開始し,高学年では聞くこと・話すことに,段階的に読むこと・書くことを加えて,中学校以降の指導との系統性を確保した教科としての外国語科を行うこととしました。高学年は年間70単位時間,週2日行うということになってございます。
 めくっていただきまして,ページ番号がずれていて恐縮ですけれども,3枚目のところで,移行期間中の外国語・外国語活動授業時数の状況でございます。来年からの全面実施の前に,昨年度・本年度は移行措置期間ということになってございます。中学年・高学年ともに,おおむね半数ぐらいの学校が移行措置として最低限の時間,現行に加えて15時間を確保するという形で行っています。残り約半数近くの学校は,既に全面実施と同じ時間数を確保して取組を行っているということになってございます。
 めくっていただきまして,小学校における外国語教育の指導体制という図でございます。新学習指導要領の全面実施に向けまして,これまで様々な取組を進めてまいりました。全面実施に向けましては,資料真ん中にございますように,学級担任による指導と,一定の英語力を有する専科指導というものを,両輪として生かしていくということで進めております。学級担任が行う場合でも,あるいは専科教員等が行う場合でも,小学校の教科としての外国語活動というのは,これから教えていくということになりますので,様々な支援が必要であるということで進めております。
 資料左側に,全国の小学校で外国語の指導法等を周知するために,5年掛けて約1,000人の英語教育推進リーダー小学校分を育成する研修を行っています。国が育成したリーダーが,各学校の中で中核となる教員に対して研修を行い,その中核となる先生が各学校の校内研修を行うという,カスケード方式と呼ばれる形で研修を実施してまいりました。また,その下に,予算の説明でもございました,一定の英語力を有する専科指導教員を配置することで,専門性を生かした英語教育を行うとともに,全体の授業時数が増えることに伴う先生方の負担を軽減するということを図っております。
 また,教員養成についても改善を図っております。教員養成部会での審議を踏まえまして制度改正を行い,新しい教職課程におきましては,ちょうど本年度からの教職課程の入学者になりますけれども,小学校の英語指導法等を必修化ということになっております。また,各地域の研修の充実のために,リーダー等を活用して行う研修を支援したり,研修のガイドブックの配布,授業映像の配信,免許法認定講習により小学校の先生が中学校の免許を取得することを支援する,移行措置用の教材配布と併せて指導書,年間指導計画案,あるいはデジタル教材の配布といったことも行っております。
 また,右側にありますように,ALTの役割も大変重要であります。国としてはJET-ALTプログラムによりまして,その配置を支援しております。既に7割の授業にALTが入っているという状況になってございます。
 めくっていただきまして5ページ目は,公立の小学校における英語教育担当者の現状のデータであります。学級担任が主として授業を担当する学級が約8割,専科教員が担当している学級が約2割となっております。専科教員の割合が大幅に増えてきているところであります。また,専科教員が複数の小学校を兼務するということがございますので,他小学校所属の教師というところの割合も大幅に増えております。
 めくっていただきまして,6ページ目には,指導要領の全面実施に向けて文科省が作成・提供している教材や資料等を載せております。また,7ページ目に御紹介しておりますのは,動画による配信ということを積極的に進めております。1本10分から15分程度で,移動時間や校内研修で使えるような映像を配布しております。
 8ページ目には来年度の予算要求の概要を載せております。真ん中の青字の部分で,各県が英語教育改善プランという計画を作成して取り組む研修等を支援するということを行うとともに,左側の緑色の部分にありますように,教員養成機関等と連携しまして,小学校外国語を専門的に教えられる人材の育成・確保の取組を進めるということと,右側,ダイダイ色の部分にありますように,オンラインを活用した研修というものを進める中で,小学校の先生が受けられる研修を作っていくということを来年度目指しているというところでございます。
 雑駁ではございますけれども,現在途中で,今進めている小学校外国語の全面実施に向けた取組を御報告させていただきました。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして,新時代の学びを支える先端技術活用推進方策について,説明をお願いいたします。
【桐生学びの先端技術活用推進室長】  学びの先端技術活用推進室長の桐生でございます。資料3の「新時代の学びを支える先端技術活用推進方策(最終まとめ)」をごらんいただきたいと思います。こちらの概要を御説明いたします。
 こちらは昨年の柴山大臣の「柴山プラン」と称する「学びの革新プラン」を踏まえまして,AI,ビッグデータ,それから先端技術を活用した学びというのはどういうものがあり得るのか,考え方の現状をまとめまして,今後のロードマップを示したものでございます。
 1ページをおめくりください。1ページは,新時代に求められる教育というもので,Society5.0時代となった場合に,どういったことが想定されるかといったことを総論としてまとめてございます。真ん中の赤いところをごらんいただきたいんですけれども,こちらに目指す姿を一言で示しておりますが,多様な子供たちを誰一人取り残すことのない,公正に個別最適化された学びの実現。こちらを目指して技術を使っていこうと考えております。ですので,最近,EdTechですとか,ビッグデータ,AIといったものが,割とトレンドとしては出てきておりますが,そのトレンドに乗って使うというよりも,そもそも学校教育として,こういったことを我々もこれまで取り組んできましたけれども,それが技術によって更に進められることが可能となったといったことを再確認した上で,進めていこうといったことが1ページでございます。
 2ページは,そういったデータ,先端技術,ビッグデータを活用することで,どういったことができるようになるかということを,端的に4点でまとめてございます。左上は,学びにおける時間・距離などの制約を取り払うことができるのではないか。例えば海外との連携事業といった形で,容易にそういった距離を取り払うことができるということが,機能としての1点目でございます。
 右上は2点目としまして,個別に最適で効果的な学びの支援ができるのではないか。例えば,知識・技能の定着を助けるような,またAIを活用したドリル,個人によってそのドリルの形が異なって,弱いところを補強したりすることが個別にできるといった支援ができるのではないかということが,右上でございます。
 右下は,学びの知見の共有・生成といったことでして,これまで見えなかった経験値ですとか,それから,学びのそもそものプロセスの解析といったことが可能となって,より効果的な学びができるようになるのではないかといったこと。それから,左下の校務の効率化は,非常に見えやすく分かりやすいのですが,今ある校務を圧倒的に効率化することができるといったこと。こういった4点を目指しております。
 次のページをごらんください。3ページですが,こういったことを活用した上で未来図を描きますと,202X年の未来のイメージ・スナップショットということで,教師の視点,子供の視点,保護者の視点,教育委員会の視点,それから研究機関の視点といった,それぞれのステークホルダーの視点から見ても,こういった望ましい未来が描いていけるのではないかといったことを示してございます。
 4ページをごらんください。こうした未来図を描いた上で,足元を見ますと,ハード上の課題,利活用上の課題というものが依然として大きくございます。具体的には,ハード上の課題としては,そもそもそういった活用が,ビッグデータ,それから先端技術の活用といっても,そもそもデバイスがないではないかと。学校現場にデバイスがなくて,しかも配備されるとしても,地域間格差が大きいといった点。
 それから,いろいろなツールはあるんだけれども,どうやって使っていいのか分からない,そういったデータをどういうふうに使っていけばいいのか分からないといった,利活用上の課題もあるといったことから,これらの課題を克服して着実に推進していくための体制を提示したものが,次の5ページになります。
 5ページをごらんいただきたいと思います。5ページの全体像としまして,3つの柱を掲げております。先端技術,教育ビッグデータ,それから,それらを支えるICT環境の整備と,この3点の柱でございます。
 6ページをごらんいただきたいと思いますけれども,6ページの1つ目の柱で,先端技術の機能に応じた効果的な活用の在り方ということで,AIを活用したドリル,遠隔授業,デジタル教材,AR・VR等々,様々なツールがございますが,これらのツールで,どういった場面でどのように適用していけば効果的なのかと。また,その課題あるいは留意点というものはどういうものがあるのかといったことを来年度中にまとめて,ガイドラインとしてまとめたいと考えております。こちらが1点目でございます。
 7ページをごらんいただきたいと思います。2点目のビッグデータの在り方ですが,ビッグデータを今後活用していくに当たって,まずしなければいけないのは,そもそもデータがあればいいというものではなくて,データの粒度とか形式をそろえていく必要があるということで,まずデータの標準化をしていきたいと考えております。
 左の赤いところをごらんいただきたいんですけれども,データ内容の規格の標準化と,丸2番,データの技術的な規格の標準化と,2点ございまして,規格の標準化は,既に流通しております国際標準規格を活用しながら考えていきたいと思っております。丸1の内容の方は,大きく2つに分かれまして,校務系データ,それから学習系データと呼ばれるそれぞれの群があります。これらの群となっているデータを,内容の標準化といった形でまとめていきたい,こういった形で収集していきましょうといったことを,セットで出していきたいと考えております。
 具体的なイメージとしては,右下をごらんいただきたいと思うんですけれども,学習指導要領のコードということで,例えばここでは小学校6年生の理科を取り扱っていますけれども,そのうちの生物の部分に関しては,例えばこういった形でコードを振っていくと。それを共通で使っていくと,同じところを参照した上で,例えばデジタル教材を活用する際の横串となって,例えばこういったところが弱い子供にとっては,こういった教材が有用ではないかといったことが,事業者やサービス提供者の違いで,今まではデータの言葉自体が異なっていたものが,同じデータの言葉を使ってやることで,やりやすくなるといったことを目指しまして,まずデータの標準化をやっていきたいといったことが,1点でございます。
 それから,8ページ以降には,ICT環境整備といったことで,1人1台環境に向けまして,今年度中にロードマップを策定したいと考えております。先ほど予算要求でございましたように,LAN整備,それから1人1台に向けた実証等を進めていきつつ,世界最先端の環境に向けた環境整備というものを引き続き進めていきたいと考えております。
 16ページには,先端技術の活用,ビッグデータ,ICT環境整備の3つの柱のロードマップを示してございます。
 以上でございます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして,未来の学びプログラミング教育推進月間につきまして,事務局から説明をお願いいたします。
【折笠情報教育振興室長】  失礼いたします。情報教育振興室長の折笠でございます。私からは,資料4に基づきまして,未来の学びプログラミング教育推進月間につきまして御説明をさせていただきます。
 昨年9月の本部会におきましても,小学校プログラミング教育の内容につきまして御説明させていただきましたが,来年度からの全面実施に向けまして機運醸成を図るために,今月2019年9月を未来の学びプログラミング教育推進月間と設定いたしまして,資料4の中ほど,下の方にあります3つの事業などに取り組んでいただくことによりまして,来年度に向けて確実に準備を進めていただくということをやっているところでございます。
 その取組の中身といたしましては,1つは青い丸にありますように,昨年の部会において御体験いただきましたような,算数や理科などの未来の学びコンソーシアムに載せております実践事例,それから紫の丸,黄色の丸に書いておりますような,今回の月間のために企業と連携しまして作成いたしました,プログラミングが社会でどう活用されているのかといったことに焦点を当てて,総合的な学習の時間において授業をするための指導案に基づきまして,企業の訪問であるとか,動画教材なども組み合わせて行う授業などに取り組んでいただくということをやっております。
 一部の学校におきましては,月間に先立ちまして,本資料に基づきまして先行的に取組をしていただいておりまして,その模様が先月公開されました政府広報におきましても放送されておりますので,残りの時間,その模様を少しだけごらんいただければと思います。よろしくお願いします。
(映像上映)
【折笠情報教育振興室長】  ちょっと飛ばさせていただきます。今,子供たちがチャットボットでまちの魅力を伝えるプログラムをやりまして,一回作ったものを試してみたところ,例えばクエスチョンマークが入っていないと,うまく回答がされないとか,あるいは平仮名と漢字でうまく回答されたりされなかったりする,あるいはどなたを対象にしているかということで,まちに初めて来た人に対してうまく伝えていくためには,どういった形でプログラムを組めばいいのかといった課題が出てきましたので,後半の部分ではそちらに対応するために,またプログラムを組み直しているというのをやっております。
(映像上映)
【折笠情報教育振興室長】  今ごらんいただきましたような,この「みらプロ」の取組などを含めまして,来年度から確実に小学校でプログラミング教育の授業が実施できるように準備を進めてまいりたいと思います。
 以上です。ありがとうございました。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。以上4件が報告事項ということになります。
 そこでもう一つ,本日の議題になりますけれども,STEAM教育ということについて,説明等々をお願いしたいと思いますけれども,大体予定としましては40分前後,これから御説明の時間ということで取っておりますけれども,ここまでの4つの報告等々と,これからお願いしますそれとを合わせまして,後ほど御意見・御質問という形でという予定に,進め方をさせていただきたいと思いますので,よろしくお願いいたします。
 それでは,STEAM教育につきましてお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
【板倉教育課程企画室長】  ありがとうございます。
 それでは,資料5-1をごらんいただけますでしょうか。STEAM教育について本日取り上げさせていただきますが,その背景について御説明させていただければと思っております。
 まず,資料5-1の1の関連の諮問・提言でございまして,昨年の6月に大臣懇談会で,高校のSTEAM教育の件が取り上げられました。また,本年4月17日の諮問文の中にも,高等学校教育の在り方の中で,STEAM教育の推進ということで書いてございます。星印の中に定義等も,その時点で書かせていただいておりますが,そして,それとほぼ同時期でございますが,5月17日には教育再生実行会議で提言がございました。
 また,裏に行っていただきまして,統合イノベーション戦略2019,あるいは,まち・ひと・しごと創生基本方針2019でも,STEAM教育が取り上げられているという現状でございます。
 本日の御説明でございますけれども,下に書いてあるお三方に御担当いただきますが,教科横断的な学習としてのSTEM/STEAM教育と国際的な動向について,松原総括研究官から,また総合的な学習の時間とSTEAM教育について,田村國學院大學教授から,また「理数探究」の充実とSTEAM教育について,文科省主任視学官の長尾から御説明させていただければと思っております。
【松原国立教育政策研究所総括研究官】  失礼いたします。国立教育政策研究所教育課程研究センターの松原と申します。本日はこちらのタイトルで少々情報提供させていただきます。私自身が科学教育の専門でございますので,少々科学教育の方に振った説明になることを御了承ください。
 アウトラインでございます。まず,資質・能力の育成を目指す学習では,教科横断的な学習に注目が集まっていることなど,背景に少し触れまして,その後に国際的な動向であったり,関連する国内の事例を見ていき,その後,論点等を挙げてみたいと思います。
 失礼しました。まず,諸外国ではどのような学習で資質・能力の育成を目指しているのでしょうか。こちらは平成27年度の国立教育政策研究所のプロジェクト研究,資質・能力を育成する教育課程の在り方に関する研究の成果の一つでございます。資質・能力の育成に向けた授業改善として重視している学習活動はどのようなものか,各国の教育を専門とされます日本の先生方,大学の先生方,所外委員の先生方に情報提供を頂いたものです。
 例えば,イギリス御専門の先生からは,初等教育で教科横断的トピック学習が多いとの回答を頂いております。ここで国研事務局からは,教科横断的な学習を行っているかというような質問をしておりませんが,結果的に,表にまとめておりますように,資質・能力の育成に向けた授業改善として重視しているのは,教科横断的な学習が多いということが分かります。
 教科横断的な学習は,どのような目的や場面において必要になるのでしょうか。いつも教科横断的な学習を行うことが必要なわけではないと思います。ここでSTEM教育の知見を参考にいたしますと,表のように,育成したい資質・能力について教科横断,統合の度合いを変えることが考えられます。
 表の丸1から丸3にございます資質・能力は,2016年に示されました次期学習指導要領に向けたこれまでの審議のまとめ素案で示された資質・能力です。例えば丸1の,各教科において育まれる資質・能力につきましては,各教科において従来の体系的な学習が効率的と考えられます。この場合,もちろん教科横断的な学習は特に必要ないと考えられます。一方,丸3の現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の育成を目指す際には,現実世界から課題設定を行います。このとき,各教科・領域固有の知識や考え方を統合的に働かせるような課題設定を行うことで,各教科の学習も深まると考えられます。こういった学習では,教科等の統合の度合いの高い教科横断的な学習が必要と言えます。
 では,生徒が実世界の問題に取り組む機会は実際どの程度あるのでしょうか。過去の国際調査からは,日本の数学や理科の授業において,生徒が実世界の問題に取り組む機会が非常に少ないことや,領域横断的な指導が少ないこと等が明らかになっております。このように,日本の文脈において資質・能力の育成を目指す教科横断的な学習として,STEM/STEAM教育に注目することは意味があると思われます。
 ここからSTEM教育に入ってまいりますが,まず経緯でございますけれども,STEM教育は,米国の特に科学技術人材の育成のために,政策対応の一環として進められてきたものが発端と言えます。その後,長い年月を掛けまして,全国的なSTEM教育・教科の流れが作られ,国,州,地方レベルで様々なプログラムが導入されました。オバマ政権下では,必要とされる労働人口予測に基づいて,STEM分野で輩出すべき人材数まで設定されていました。
 当初は各教科を個別に捉える取組が多くありましたが,近年では技術(テクノロジー)や工学(エンジニアリング)を含む4教科を統合的に見る動き,いわば統合型のSTEM教育が進みつつあります。統合型のSTEM教育の定義については,次のような説明が多くの方に受け入れられると思います。すなわち,現代社会の問題を,各教科・領域固有の知識や考え方を統合的に働かせて解決する学習としています。ここで「働かせて」の部分ですが,統合型のSTEMと各教科の学習が往還することが重要であることを意識しています。
 次にSTEAM教育ですが,STEAM教育の定義については,立場によって,ある程度幅がございます。ここで立場とは,理科教育であったり,数学教育,技術教育,美術教育,プログラミング教育等でございます。初期のSTEAM教育では,統合型STEM教育にアート,デザインだったり,感性等の要素を加えたものと解釈できます。STEAM教育の創始者の一人とされますYakmanによれば,STEAM教育は学問領域を横断して指導する枠組みとしています。
 日本におけるSTEAM教育の定義に関する説明として,ここで2つ例を挙げております。最初の例は,技術教育御専門の学芸大の大谷先生から頂いたものです。もう一つは,2017年に設立されました日本STEM教育学会の新井先生から頂いたSTEAMの説明でございます。このようにSTEAM教育は,STEM教育にアート,リベラルアーツを加え,ロボティクスや環境など様々な領域を含んだ派生型がありまして,文理の枠を超えた学びとして広がりを見せています。
 次に,国際的な動向でございますが,米国については,NGSSというものでSTEM教育が拡大している状況です。NGSSとは,2013年に策定されましたNext Generation Science Standardsでして,次の世代の科学教育分野のスタンダード,日本の学習指導要領理科に近い役割を持っております。NGSSは直接的にSTEMのカリキュラムではございませんが,工学であったりエンジニアリングの活動を重視しておりまして,STEM教育を推進するものと言えます。
 韓国,シンガポール,タイなどでは,このNGSSを研究しまして,自国のSTEM教育の参考にする動きがかなり盛んです。一方,NGSSにつきましては,このようなカリキュラムが授業実践に生かされるのは,かなり時間が掛かるといった意見もございます。STEAM教育の派生型と言えます環境教育の実践校の事例では,地域住民との交流の場として機能することであったり,学校全体の仕組みとして機能することが報告されています。
 韓国は,STEAM教育をかなり強力に推進しております。2011年に国レベルのカリキュラム改訂,学習指導要領の改訂に近いものが行われまして,STEAM教育を中心的な施策としております。ここでは理数教育と芸術教育の融合を目指しておりまして,また英才教育と関連させながらSTEAM教育を推進しています。
 次に,国内の事例でございますが,まだまだ国内ではSTEM/STEAM教育に関連する事例,実践は多くございませんが,解釈できる国内の実践事例を2件ほど御紹介いたします。
 1つ目は,総合的な学習の時間での探究活動に理科,社会,保健や健康の視点から,取り扱う内容に工夫を加えたものです。ここでSTEAMのAとして解釈されるのは,文系科目としての社会です。内容としましては,修学旅行で鹿児島を訪れるんですが,その前に事前の探究学習をしまして,鹿児島の人々は火山とどのように向き合って生活しているのかといったことを考えるものです。その際,理科の内容であります火山活動と噴出物の関係であったり,社会科の地域の農産物,畜産物等を扱います。それらを用いまして,桜島と人々の共生について,多面的に考察がなされます。STEM/STEAM教育の視点からは,複数の教科固有の知識が使われることに価値があるかと思います。
 2つ目の実践事例は,研究開発学校における実践となります。学校で設定した教科である未来思考科としまして,複数の教科の内容やエンジニアリングの考え方を用いた学習となります。身に付けさせたい資質・能力としましては,創造的思考力,生活に役立つ製品のアイデアを開発する力ということで,これは現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力につながるものかと解釈もできるかと思います。
 授業ではまず,生徒は右上の写真のように,アフリカで水を運んでいる様子を提示されます。第1次の授業では,この写真から考えられる問題を見付け,改善のためのアイデアを提案するといった課題が出されます。第2次の授業では,世の中のアイデア商品として,こちらですが,青いプラスチックのドラムを転がして水を運ぶ例が示されまして,この構造を強化するために,生徒はスマートフォンのケースから着想を得たハニカム構造を提案します。本実践では,目的や条件を明確にしまして,更に改良する視点を養います。これはSTEM教育のエンジニアリングの考え方や方法である,問題の定義,解決策の開発,最適化の繰り返しに近いものと解釈できます。
 2つ目の事例について,学習後の生徒の振り返りの記述を御紹介いたします。このように,各教科の学習と実生活のつながりに関する記述が見受けられます。また,2つ目の質問では,学習した内容や考え方を実社会でどのように生かすことができそうですかという問いがありまして,子供たちは,「少しでもいいから考えることで,イノベーションする力が身に付くと思う」であったり,「ハニカム構造がどうしてそんなに強いのか,ハニカム構造以外にも強い構造があるかを調べたい」といった,理科や数学で次の学習へつながる問いが生まれたり,また関心・意欲が深まっていることが分かります。
 このように,創造的思考力などの育成について,現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力の育成にもつながっているかと思います。
 最後に,STEM/STEAM教育の知見から得られる総合的な学習・探究の時間の充実に向けた論点などを少し挙げてみたいと思います。STEAM教育の強みは,総合的・協働的側面があり,学校全体の仕組みとして機能する可能性があることです。一方,教室レベルでの普及には時間が掛かる可能性があります。STEM/STEAM教育の視点で扱う学習課題や問いといったものが,実際どういったものかと考えてみますと,児童生徒が自分事と思える文脈であったり,複数の教科・領域固有の知識や考え方を基盤とした,それを働かせるように先生又は教材によって意図された,構造化された学習課題が必要かと思われます。
 これは実際には簡単ではございませんでして,教材研究であったり,そのための環境整備が必要になるかと思われます。また,知識の習得は最適化学習で行い,いつもSTEM/STEAMなどで知識の活用を行うといったように,固定化しない方がよいのかなと思います。これは,STEM/STEAMの学習と各教科の学習の往還が大事であるということがあります。
 最後に,学習課題や問いにつきましては,国際バカロレア等を参考にしながら,カリキュラム・マネジメントによる教科間の連携が,今後更に必要になってくるかと思われます。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。
【田村國學院大學教授】  皆さん,こんにちは。國學院大學人間開発学部初等教育学科の田村と申します。よろしくお願いします。資料5-3をお手元に御用意ください。なお,委員の皆さんには,机上配付資料をも折に付け必要としますので,机上配付資料1,2の丸1,丸2,丸3の資料3なども御用意いただければ幸いです。
 まず,発表のアウトラインは,スライドの2枚目のとおりです。平成10年の学習指導要領に位置付けられ,小中学校では平成の14年,高等学校では平成の15年から先行的に実施された総合的な学習の時間は,今期の改訂において,高等学校においては総合的な探究の時間と名称が変更され,一層の充実に向かっています。とりわけ今期改訂においては,探究が強調され,全国の高等学校においては資質・能力の育成,社会に開かれた教育課程の理念の下,大変熱心な,ホットな取組が動き始めています。
 中でも,すぐれた教育実践が全国各地で展開されておりまして,それらは十二分にSTEAM教育が期待するものを具現していると考えています。むしろ,この総合的な学習の時間こそが,STEAM教育の理念を実現するものにふさわしい,日本固有の教育課程のストロングポイントと考えていくべきではないかと考えているところであります。
 それでは,スライドに沿って進めてまいりたいと思います。
 新しい学習指導要領の構造を紹介しながら,STEAM教育全体の関係を,まず御説明していきたいと思います。新しい学習指導要領においては,総則において,総合的な探究の時間の位置付けが明示されています。中でも総則の本丸とも言える第2巻,教育課程の編成という主要な項目の1番目には,教育課程の編成においてはということで,資質・能力を踏まえつつ,各学校の教育目標を明確にする。その際に,総合的な学習の時間の関連を図るということが明示されています。
 第2の2においては,ごらんいただいて分かるとおり,総合的な探究の時間で育成が期待される,基盤となる資質・能力,あるいは2においては,現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力を,教科等横断的に編成し,そして育成するといったことが示されていることになっています。
 次のスライドをごらんください。こちらのスライドは,総合的な学習の時間の学習指導要領における全体構造が示されています。上からごらんいただきますとお分かりになるように,まず第1の目標,各学校の教育目標といったものを踏まえて,各学校が定める目標,そして内容といったものが出てきます。各学校において目標や内容を定めるといったことは,総合的な学習の時間の大変固有な特徴と考えていただいていいかと思います。
 各学校が定める内容については,その下に出てきます探究課題,あるいは探究課題を解決することによって育成する資質・能力が示されていまして,これを各学校が定める。例えば探究課題に関しては,現代的な諸課題,あるいは地域や学校の特色に応じた課題,生徒の興味・関心,職業や自己の進路といったものが考えられる。あるいは,先ほどの資質・能力については3本柱が示されているということになります。
 ごらんいただいて分かるとおり,その下には,教科等の基盤となる資質・能力の言語能力,あるいは情報活用能力,さらには,言語能力の中には考えるための技法といった思考スキルなども,学習指導要領上,総合的な学習の時間,探究の時間には明示されています。さらに,右側をごらんいただいて分かるとおり,この総合的な探究の時間と各教科を関連付けながら,確かな形でカリキュラム上,実施していこうということが示されているわけであります。
 こちらのスライドは,今御紹介しました,正に探究といったものが明示されています。この大きな特徴を,探究のプロセスとお考えいただくといいかと思います。その正に充実の中で,一人一人の生徒の資質・能力が育成されるとお考えいただくといいかと思いますが,今回,総合的な探究の時間と名称が変更されたことをもちまして,この探究をより高度化するということで,整合性,効果性,鋭角性,あるいは広角性といった,探究のプロセスの充実,あるいは,更に下をごらんいただいて分かるとおり,探究を,より一人一人の生徒にとって自立的なものにしていこうということで,正に一人一人の生徒にとって自分事となる課題を設定し,その課題の解決を自らの力で運用・実施し,その結果を自らの生活や行為と結び付けていこうといったことで,探究のプロセスを更に質を高め,総合的な探究の時間として実施していこうということで示しているわけです。
 こちらの方が,ここまで御紹介してきました先ほどの松原研究官の御発表と,総合的な探究の時間を比較したときの,およそ共通性などを整理したものであります。左側から,目的,対象領域,学習過程,教育課程と書いてあります。目的はごらんいただいて分かるとおり,正にこれからの社会で求められる人材としての,必要な資質・能力を育成していく必要があるだろうといったことで,共通。とともに,これからの社会で実際にどのようなことをしていくかという対象領域が次に出てきますが,先ほど御紹介があったとおり,正に教科横断的な対象領域であるとともに,現実の社会,あるいは実社会,実生活の問題を取り上げるといったことが共通であり,あるいは特徴であると考えることができると思います。
 学習過程もごらんいただいて分かるとおり,正にSTEAM教育が問題解決としているとおり,総合的な学習の時間では,これを先ほどの探究のプロセスといったことで実施していきたい。特に一番下のところをごらんいただくと,学習過程の最後ですが,なかなか解決の道筋がすぐには明らかにならない課題,あるいは,唯一の正解が存在しない課題に対しても,納得解や最適解を見出していくことを生徒たちに期待したい,そんな力を育てていきたいということになります。
 さらには,一番最後の教育課程でありますが,我が国内においては教育目標との関連を図って,教育課程の中核に位置付けるとともに,各学校において目標・内容を設定すること,そして,教科等横断的なということで,先ほど御紹介したような位置付けになっているとごらんいただければと思います。
 さて,ここからは,それぞれの各学校や地域の取組を,資料に沿って御紹介していきたいと思います。まず最初が,岡山県立和気閑谷高等学校。教育課程の中核に,総合的な探究の時間を位置付けている事例です。
 こちらが,和気閑谷高校が作成をしているグランドデザインになります。ごらんいただいて分かるとおり,このど真ん中に総合的な,正に探究の時間,閑谷學といったものを位置付け,上に書かれている,育む7つの力の育成に向かっている。と同時に,それは左側にある各教科項目,あるいは右側にある課外活動といったものとも連携しながら,学校全体としての取組に向かっているということであります。
 続きまして,青森県立木造高等学校です。木造高等学校の全体計画は,お手元の机上配付資料1にありますので,併せてそちらのもの,併せてその裏からは,生徒のおまとめいただいた報告書などもありますので,この後ごらんいただきたいと思いますが,この全体計画は,まずごらんいただいて分かるとおり,学校の教育目標といったものが,先ほど御紹介したとおり,明確に設定されている。教育目標を踏まえて,総合的な学習の時間の目標がある。と同時に,各学校においては,正に総合的な学習の時間が,それぞれの学校の固有な課題に対応する形になっていますが,こちらの学校は,適切で論理的な課題の発見と解決ができるようにするといったことを目指しています。
 とともに,こちらの学校は,3年間の探究課題が体系的に整理されていて,1年次では津軽のお宝探究,2年次は地域未来探究,3年次は私が生きる未来探究といったことで,徐々に対象エリアを広げる,あるいは探究の高まりを目指すとともに,グループから個人といった学びの様子が見て取れるということになります。さらには,資質・能力が明確に規定され,先ほど御紹介されたような資質・能力との関係も示されているということになります。
 こちらの資料は,お手元の机上配付資料1の2ページから出ているところでありますが,津軽のブランドメロンを,正に世界に発信していこうという生徒のチャレンジです。御存じのとおり,津軽においてはメロンの生産が大変盛んなんです。しかも,大変豊かな作物ができているにもかかわらず,十分なブランド化がされていないという高校生の発想の下,何とかブランド化をし,海外に広めていこうといった取組です。
 一番最初が,事前のテストマーケティングを考えていきます。その後,実際に送ろうと思っていたマレーシアがうまくいかないということで,輸出国の選定を変更していきます。香港がいいのではないかということで,状況調査をし,統計分析,ソフト分析,4P分析などをしながら,ブランドメロンを正に香港にPRすることが好ましいのではないかと考えていきます。その後,ブランドメロンのPRについては,インタビュー調査などをしながらプレゼンテーションを作っていって,香港でのテストマーケティングを実施していこうと。さらには,そういったものを実施することによって,津軽のブランドメロンといったものの可能性を明らかにし,最終的にまとめていく。
 右側をごらんいただいて分かるとおり,様々なデータの分析,あるいは取組についての自分たちの整理・分析,あるいは実際のメロンの糖度などを調査するなどといったことを行いながら,非常に各教科横断的な取組をしているということがごらんいただけるのではないかと思います。
 こちらが,ここまで御紹介してきました探究のプロセスを,ざっとまとめたものであります。多くの学校では,課題の設定,情報の収集,そして整理・分析,まとめ・表現といった中で,それぞれのチャレンジが出てきています。ごらんいただいて分かるとおり,情報収集の中では科学的な実験や様々なデータ収集,あるいは,整理・分析では数値的な統計の処理あるいは様々な分析,そして,分かりやすい表現といった中には論文作成なども位置付けられているということがごらんいただけるかと思います。
 先ほどごらんいただいた探究のプロセスの中に,こういった思考スキルを位置付けることによって,よりそれぞれの探究は質が上がるものと期待しているわけでありまして,こういったことが,いわゆる論理的な思考力の向上に向けて,各学校の実践の質向上に期待できるのではないかということであります。
 続きまして,島根県立出雲高等学校の事例を御紹介したいと思います。出雲高等学校はSGH・SSH指定校でありますが,ごらんいただいて分かるとおり,1年次は科学的リテラシー,地域や国際社会に関する教養,2年次は自ら課題を発見して意欲的に学んでゆく姿勢,3年次は成果を積極的に発信していく力を身に付けることを目指して,カリキュラムが整理されています。こういった3年間の学びの中の特色として,学校の周辺にある多くの教育資源,正に社会のリソースを活用しながら,生徒が学びを深め,多くの人との交流なども進めて,探究が充実する方向に向かっているということが言えるかと思います。
 次のスライドは,そういったことを学校の中で確かに実現していくための校内の指導体制の様子であります。1人の教師だけが行うのではなくて,校内の職員が連携し協働しながら,あるいは外部の人材等の協力を頂きながら進んでいくということになります。こういったものを簡単にまとめたものが,こちらの資料でありますが,上の資料は,ごらんいただいて分かるとおり,校内の職員の連携体制が見て取れるかと思います。全体をデザインし,大きな方向性を示す人間,そしてコーディネートする立場,あるいは直接的に指導に当たる人間,さらにはサポートする教師といった形が,意図的に設計され,形作られているということが言えるかと思いますし,地域との連携によって,それがより確かなものになり,産学連携,地域連携が進んでいるということが期待できます。
 こちらの資料は,そういったことを確かな学びにしていくための論文作成の具体的なチャレンジであります。実際に体験したことをそのままにするのではなくて,言語化し,確かな学びにしていく。このことが,探究の質を高めるとともに,一人一人の生徒の確かな資質・能力の育成に向かうものと期待することができます。ごらんいただいて分かるとおり,こちらの学校は,そのための資料を作成し,校内の職員が同じような形で指導できるよう準備しています。このような資料を作ることによって,一定程度,確かな論文作成ができるといったことが考えられます。
 実際に生徒が様々な形で作成してきた研究テーマの例は,左下に載っていますが,お手元の机上配付資料2-1のところにも,幾つかの研究題目が載っておりますので,ごらんいただければと思います。あるいは,机上配付資料2-2においては,先ほど御紹介させていただいた校内の指導のための資料の具体の中身も御紹介してありますので,ごらんいただければと思います。さらには,このスライドの右側には生徒の論文を載せてありますが,この論文に関わる幾つかの生徒の作品を,机上の配付資料3ということで御紹介しておりますので,併せて御確認いただければと思います。
 次に参りたいと思います。こういったことを,確かな形で本当に身に付いているのかどうかを確認するために,こちらの学校では学習評価として,論理的思考力,問題解決能力,情報活用能力,プレゼンテーション能力などについて,明確な評価指標を設定し,学校では確かな見取りをしているということであります。このことが,その後の指導に生きる,あるいはカリキュラム改善に生きるということが言えるかと思いますし,多くの教師の指導の際の信頼性,妥当性,あるいは,このことが一人一人の生徒の意欲,そして自己評価能力の育成といったことにも向かうのではないかと期待しているところであります。
 このような形で各学校では,意欲的なチャレンジが行われています。教育課程の編成,そして具体的な学習活動の実施,適切な評価と改善といったことでありますが,こういった中で,実際に生徒がどのような成長の姿を見せているか,少し生徒の様子をごらんいただければと思います。総合的な探究の時間で,正に生き生きとした表情を見せていることがごらんいただけるのではないかと思います。
 大学に行って,是非体育の教員になりたいと語っていた男の子は,このようにコメントしていました。総合的な探究の時間の学びが,自らの日々の生活や,日々の自分の学びのありようを大きく変えていったということを,明確に話をしてくれています。このように挑み,チャレンジすることの学びの価値,その楽しさ,充実を,私たちに語ってくれている姿として捉えることができるのではないかと思います。
 さらには,次の資料は同じ学校の子供ではありますが,違う分野に入って研究していた子供たちです。地元のことを学んできた子供ですが,上の方をごらんいただいて分かるとおり,正にこの時間で身に付けた知識というものは違うんだということを明確に言っています。生かせる知識である,将来役立つ知識である,実感のある知識だという言い方をしています。このように生徒一人一人が,自らの知恵を確かに育成している。そして,最後に書いている子供たちが,そういった学びの充実を私たちにはっきりと伝えてくれているのではないかと考えます。
 ここまで御紹介をさせていただきましたように,このことは総合的な学習の充実の時間のみならず,多くの今後の可能性を見せてくれるものと思います。幾つかの方向性を御提案させていただきます。
 まず1つ目についてです。総合的な学習の時間を中核としたカリキュラムのマネジメントが必要ではないか。2つ目は,そういったものが俯瞰できる単元配列表などの設定が要るのではないか。3つ目は,そのためには正に探究,あるいは横断総合,そして自己の在り方,生き方といったものをより一層充実させる必要があるのではないかということであります。
 さらに,次の資料のところでは,より一層の充実に向けて地域連携,産学連携,あるいは企業とのコラボも含めたSTEAM関連の事例を先進的に創造していく必要があるのではないか。あるいは,一層の充実に向けた,先ほど御紹介した考えるための技法,論文やレポートの作成を充実させていく必要があるのではないか。
 このことを若干整理しますと,教育課程における全体計画・指導計画の質的向上,あるいは単元配列表などの全体が俯瞰できるものの整備,そして具体的な学習活動といったものの質的向上,そして評価といったことを書かせていただきましたが,これらの実現に向けて行うこととしましては,やはり教科書のないといったところがありますので,具体的なチャレンジができるための方法の手引書などの作成・供給,あるいは,例えば具体的な現代社会の課題,ESD・SDGsなどに向かうような教材といったものの作成・供給,そうしたものが具体的に実践できるような企業との連携の様々な資料提供。このようなことが必要になってくるのではないかと考えます。
 併せて,それらを行うリーディングスクール,さらには,その指導ができる教師の育成に向けた,正にセミナーや研修会といったものを今後実施し,これが教育課程全体の改善に大きく資するようなチャレンジになることを期待したいと考えております。
 私からの発表は以上であります。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【長尾主任視学官】  長尾と申します。よろしくお願いします。私からは,資料5-4の説明をさせていただこうと思います。
 内容としては,大きく3つになります。1つ目はスーパーサイエンスハイスクール指定校や理数科における課題研究等と,STEAM教育との関係について。2つ目は,課題研究の取組について。3つ目は,理数探究の今後の展開についてです。
 最初に,SSH指定校や理数科における課題研究等とSTEAM教育との関係についてでございます。SSH指定校や理数科では,科学技術の発展に資する人材の育成ということで,サイエンスの研究手法を身に付け,興味・関心をもつテーマから課題を設定し,研究・考察を進めていくという「課題研究」を進めております。各校では,課題研究を通じて,強い知的好奇心,自発的な研究態度,自ら課題を発見したり未知のものに挑戦したりする態度を育成していると言えるかと思います。
 新しい学習指導要領におきましては,この課題研究が一定の成功を収めているという評価の下で,新たに共通教科「理数」を位置付け,「理数探究」及び「理数探究基礎」という科目を設置いたしました。理数科では「理数探究」が原則履修科目となっております。SSH指定校や理数科では,教育課程の中核に課題研究を設置しておりますが,共通教科「理数」では,この課題研究における取組を想定したものでございます。
 今回の共通教科「理数」では,自然科学だけではなく,社会科学や人文科学,芸術やスポーツ,生活に関する事象なども対象として,自ら課題を設定しようとする動機付けとすることとされております。探究の対象としては幅広く,STEAM教育との親和性は非常に高いと考えております。
 なお,共通教科「理数」の科目「理数探究基礎」,「理数探究」については,「理数探究基礎」が1単位,「理数探究」が2単位から5単位として設定されておりまして,総合的な探究の時間の履修の全部又は一部との代替も可能となっております。この代替可能ということが,理数探究科目の今後の広がりという意味で,重要な意味をもつものと考えております。
 共通教科「理数」の履修イメージですが,5ページにありますとおり,「理数探究基礎」で探究の手法となる観察・実験・調査に関する手法,及び数学的・科学的な手法を学習するとともに,研究倫理についても学習することになっております。
 さらに,「理数探究」におきましては,習得した手法を基に,自分自身の主体性に基づいて探究を進め,それを取りまとめて成果を発表する,報告書を作成するという流れになっております。6ページで,共通教科「理数」の学習過程のイメージを御説明いたします。
 まず,観察によって問題を見付け,次に,この問題について数学的な見方・考え方,理科の見方・考え方を組み合わせるなどして,数学や理科に関する課題として設定します。設定した課題に対して仮説を設定し,検証計画の立案,観察・実験を行うなどして,設定した課題の解決を図り,得られた結果等を踏まえ,分析,考察,推論を行い,最後に報告書をまとめ,発表などを行うこととしております。
 次に,実際に学校で取り組まれている活動について,幾つかの事例を基に御説明いたします。2以降を御覧ください。特に事例として,SSH指定校における教育課程の開発事例を紹介したいと思います。
 まず8ページ,事例1です。富山県立富山中部高校の探究科学科の課題研究について,入学して卒業するまでの課題研究の流れの全体像を示したものでございます。1年生の最初に探究基礎Ⅰとして,探究活動の基本となる資料解釈を含めた文章の読み方を学習いたします。次に探究技術として,コンピュータを利用したデータ処理などを学習いたします。1年生の後半には探究基礎Ⅱとして,今後の探究活動で必要となる仮説の設定の仕方,実験の進め方,データの結果の考え方などを学習し,2年目以降,発展探究として,身に付けた手法や知識を基に探究活動に入っていきます。
 次に,事例2です。兵庫県立尼崎小田高校のサイエンスリサーチ科における教育課程と課題研究との関係です。探究の基礎で具体的にどのような力を身に付けようとして,教育活動を行っているのかを中心に御説明いたします。探究では,まず物理,化学,生物,地学の理科4分野において,基礎となる力を身に付け,基本的な実験操作,発想方法等を学習いたします。
 具体的には,物理では基礎実験を行い,その結果をグラフとしてまとめること,化学では課題研究実験を通した実験レポートの書き方,生物では研究をどのように進めていくのかということや研究デザイン,地学では実習を通して科学への興味・関心をもたせることなどを行っております。また,数学Ⅰや情報の科学などの授業においては,探究と連携した通常科目の内容として,データの統計処理,エクセルの使い方なども学習いたします。こうして基礎的な力を身に付けながら,2年生以降の探究学習に取り組んでいくという流れになります。
 続いて,事例3です。滋賀県立膳所高校における課題研究と教育課程の関係についてです。膳所高校は,普通科においても探究が設定されています。11ページにある理数科の説明を中心に行いたいと思います。
 1年生から他校と同じように探究活動を始めますが,通常の理科科目では実験活動の充実や,最先端の科学に興味をもたせること,数学では効率よく授業を進め,空いた時間で探究活動を意識した発展的な学習を行うこととしております。また2年生では,数学と物理の関係性を理解する学習も行っております。こうした教育を展開しつつ,2年生以降で具体的な探究活動を行うこととなります。
 また,12ページにありますように,膳所高校では,探究活動を通じて育成する資質・能力を評価するためのルーブリックを作成し,運用しております。先ほどの田村先生の御発表にもありましたけれども,そのような取組は他校にも広がっておりまして,昨年度にはその取組を一歩進めて,関西や北陸などの高校8校合同の標準ルーブリックを作成して,その運用を試行する取組を進めていると伺っております。
 次に,事例4です。立命館高校の課題研究です。こちらについても,1年生の総合学習で課題研究の素養を育成し,2年生から課題研究を行い,3年生では構築された国際ネットワークを利用して,国際交流などを行っております。探究活動をベースに海外の学校との研究交流発表を盛んに行っているという事例です。
 こうした研究活動を支えるものとして,学校の指導体制の構築が重要ですが,ソフト面での必要な手当てを各校では行っております。課題研究を進めるためのガイドブックの作成であるとか,あるいは大学等との連携の下,大学等の設備の活用や研究者の助言などによる課題研究の実施,教員の指導力向上に向けた各学校での校内研修の充実や,SSH指定校同士の教員による合同研究会の開催などです。また,JSTが毎年情報交換会を開催しておりますが,この場におきましては,課題研究をどう進めるかをテーマとした教員研修も実施しております。
 こうしたソフト面のインフラと言うべきものの整備,大学等の設備や研究者の活用,教員の指導力向上がとりわけ重要と考えております。また,課題研究もやりっ放しにはなっておらず,きちんと発表資料や論文集,要旨集をまとめ,報告するといった一連の活動にしっかりと取り組んでおります。
 なお,今年の8月7日,8日にSSHの全国生徒研究発表会が開催され,その際の発表テーマは非常におもしろいものが多かったので,御参考までにお示しします。ここに挙げてあるのは,いずれも高度な研究でしたが,特に文部科学大臣賞を受賞した東京都立小石川中等教育学校とJST理事長賞を受賞した奈良女子大学附属中等教育学校の研究は,独創性や今後の発展性から考えても,すばらしい研究であったと考えております。
 最後に3つ目,STEAM教育の充実に向けた理数探究の今後の展開についてお話ししたいと思います。理数探究の取組について,これまで履修のイメージ,学習過程の構造などの説明をしてきましたけれども,育成する資質・能力については,新しい学習指導要領では,18ページにあるようにまとめられております。知識・技能として,研究方法等に関するものや研究倫理など,思考力・判断力・表現力等として,数学的な見方・考え方や理科の見方・考え方など,また,探究を通して課題解決を実現するための能力などが挙げられております。また,学びに向かう力,人間性等として,課題の設定に当たっての好奇心や,考え抜いて行動する態度,積極的に挑戦しようとする態度などが挙げられております。
 先ほどの田村先生の御説明にあったスライドにおいて,STEAM教育と総合的な探究の時間の構造を対比してございました。19ページの表は,それに更に共通教科「理数」のものも併せて対比させてみたものです。対象・領域のところで,広く全般的な課題を探究活動の対象・領域としていることや,学習過程のところで各教科の固有の知識や考え方を統合的に活用して,課題解決型の学習を重視するところなどが,3者とも構造としてはよく似ていると考えております。
 それから,総合的な探究の時間と理数探究における探究の過程についてです。こちらは新しい学習指導要領の解説にも載せているものですけれども,構造上,類似した活動と言えると考えております。
 最後になります。現在,SSH指定校は212校,それから理数科設置校が全国に183校ございます。SSH指定校と理数科設置校は重なりがありますけれども,各都道府県に五,六校以上設置されていると考えられます。これらの学校は課題研究を既に教育課程の中に組み込んでいるわけですので,理数探究の今後の展開に当たり,これらの学校の果たす役割は大きいだろうと考えております。また,先ほど田村先生からも御発表がありましたように,探究活動において既に成果を上げている学校もございます。
 こうした優れた取組を広げていくことが,今後一層重要になってまいります。一方で,課題もございます。現行学習指導要領における数学及び理科分野における探究的な学習を中核に据えた科目については,「理科課題研究」の生徒の履修率は0.5%程度,「数学活用」の生徒の履修率は2.7%となっております。現行学習指導要領下でのこの数字の意味を,しっかりと踏まえておくことは大切だと考えております。
 現在,SSH指定校におきましても,全生徒が課題研究を行っているところがあります。このことを踏まえると,普通科文系に,科学的なリテラシーの育成や将来の学びへの意識という観点から,理数探究基礎で科学的な探究の手法等の学びを取り入れ,次に総合的な探究の時間で社会的課題にアプローチさせるというような,総合的な探究の時間との履修の組み合わせ方が考えられると考えております。また,各都道府県での学校数とも関係しますけれども,現在のSSH指定校や理数科のノウハウの共有,それらの学校で勤務経験のある教員による,近隣校や異動先等での経験や技術の伝承,広まりといったことも,大変重要かと考えております。
 このほか,課題研究活動には,生徒との対話ややり取り,自主性をサポートするために多くの教員が関わる必要がありますが,そのためにも全校的な指導体制の構築が,まずは一番の課題になっていると考えております。また,実際の探究の遂行に当たっては,外部の協力も必要になるところでございますので,外部との連携も大変重要ではないかと考えています。ただし,いきなりこうした外部との連携を考えてしまうと,前に一歩も進めなくなってしまうところもあると思いますので,まずは課題研究の取組を,各学校でできる範囲でやりながら進めていくということが重要だと考えております。
 以上で説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。報告,そして本日のSTEAM教育についての御説明等々ということで,以上ということにさせていただきまして,これから委員の皆さん方からの御意見をお願いしたいと思います。それで,まずは前半の4つの報告事項について御意見をお願いし,その後に,今御説明いただいたことについてのやり取りをさせていただきたいと思いますので,まず,さきの4つの報告事項について御意見おありの方,例によって名札を立てていただければと思いますけれども,よろしくお願いいたします。
 今のところ,橋本委員が立てられていますけれども,ほかの委員の方。大島委員ですけれども,橋本委員,それから大島委員,根津委員という順でお願いしたいと思います。
 まず橋本委員,お願いいたします。
【橋本委員】  私からは,一番最初に御説明いただきました概算要求の関係で,少し質問をさせていただきたいんですが,最初に定数等の関係でございます。当然,これも欲張り出すと切りがないぐらい,もっと欲しいというところもありますけれども,他方で今,教員志願者の減少を含め,実際になかなか一挙に定数が増えても,人材の確保に苦労するという状況もあります。
 そうした中で,今回概算要求で,今議論中ではございますけれども,1つは英語の専科の拡充,またもう一つ,指導体制の支援ということで,全体として専科指導の拡充を図る予算を上げていただいたということ。それから,ほかにも部活動指導員の拡充であるとか,またGIGAスクールネットワークということで,ICT環境整備に一歩踏み出していただくような予算を要求していただいておりますことに,私は本当に評価をしたいなと思っております。ただ,概算要求ですので,せっかく要求していただいた予算が最終的に確保できるように,是非頑張っていただきたいなということが要望であります。
 そして,質問なんですけれども,1点は英語の専科に関してです。今もたしか配置するのに,持ちこま数などの細かい要件があったと思うんですけれども,なかなか小規模校が多い地域,また掛け持ちが難しい地域にあっては,この要件がネックとなって,実際に専科の配置が難しいということもございます。そうした要件が何か緩和されるかどうか。
 それから,今回新たに出ております義務教育9年間を見通した指導体制の支援。こちらについては,教科に関する縛り等は特にないのかなと思うんですけれども,こちらを活用して英語の専科ということもできるのか,活用できるのか。まず,そこの2点をお伺いしたいと思います。
 もう一つは,GIGAスクールネットワークの関係で,予算内容を見ておりますと,2分の1補助で375億円ですから,事業費ベースでいうと750億になるのかなと。それを1万校でということですから,単純に割ると,1校750万かなと思うんですけれども,この750万の中でできる環境整備のイメージというものを,もし少し補足して説明いただけるならお願いしたい。
 以上でございます。
【天笠部会長】  お答えはちょっと待っていただいて,委員の方からの御意見を優先させていただきたいと思います。
 続きまして,大島委員,お願いいたします。
【大島委員】  ありがとうございます。私は,新時代の学びを支える先端技術活用推進方策について,コメントと,幾つか質問をさせていただければと思います。
 まず,非常に革新的にこういうことを推進されるという,非常に大きな決意表明をされたのかなということで,非常にすばらしいなと思っています。ただ,外国の事例も示されているんですけれども,なかなかデザインした設計どおりに物事がいかないというのは往々にしてあることで,特にこういう先端技術活用を教育現場に推進していくという際には,多分4つ,きちんとしていかないといけないのかなと思っています。
 1つはハードウエアですね。これはICTとしての機器をどうするのかということと,2点目はソフトウエア。このソフトウエアというのは2つ意味があって,1つはハードを使いこなすためのソフトウエアですね。あともう一つは,教育の面で大事なコンテンツをどうするかということだと思います。3点目は,データ管理をどうされていくかということを,標準化の話もされていますけれども,標準化とともに,それをセキュリティーでどうするかということも大事なのかと思っています。
 最後,4点目は,これらのデータをどうやって評価するかということだと思うんですね。ロードマップを作成されるということなので,是非その4つの点を明らかにしながら,これをどういう形で設計していくかということを明らかにしていただきたいなということがお願いです。
 もう一つ,お願いというかコメントは,私は実を言うと医用画像のデータを分析したりしているので,それとも関連して,データとも関連したことで,1つコメントさせていただきたいのは,標準化してデータを集めるということの面としての広がりというのは非常に大事なんですけれども,もう1点大事なのは,これの時系列データですね。これをどうしていくかということが,最後の評価にも関係するんですが,非常に大事になってきます。
 そのときに,例えば初等中等教育を考えたときに,小学校の6年間だけを考えるのか,それとも,それを更に3年ある中学校も考えていくのか,若しくは高校ですね。高校になりますと,これは地域との関係もありますけれども,特に東京の場合には私学とかも入ってきますので,小学校から中等,高校で,一貫で行った場合に,そのデータを時系列としてどうするのかということですね。これは多分,先の話になるかと思いますけれども,グランドデザインをする際に,時系列データをどう扱っていくかということをきちんと考えておかないと,先ほど申し上げた2つ,ハードとソフトウエアのデザインの中で,結構問題になってきますので,是非考慮していただければと思います。
 あと,最後は質問なんですけれども,本日述べられたお話では,ロードマップを策定するということなので,時間軸が少し見えないのかなと思いました。これをどの時点で,多分段階的に初等中等教育に設置してやっていく,あとは今,試験的にもされているかと思いますけれども,そのタイムスケジュールが,大体ざっくりで結構なんですけれども,いつぐらいをめどにこれを整備していくのか,それを実際に実装していくかというのを,答えられる範囲で結構なんですが,教えていただけると幸いです。
【天笠部会長】  どうもありがとうございます。
 じゃ,続きまして根津委員,お願いいたします。
【根津委員】  資料1についてです。1ページから6ページの事項の中で,先ほど御発表ありましたけれども,SSH,スーパーサイエンスハイスクールの文言がないんですけれども,これはどういう扱いになっているんでしょうか。
 以上です。
【天笠部会長】  ということで,今,3人の委員の方からの,それぞれ御意見と御質問がありましたけれども,さきの4つの報告事項について,ほかの委員の方,よろしいですか。今,3人の委員の方の質問について,事務局からのお答えを頂こうかと思いますけれども,関連してよろしいでしょうか。
 それでは,まず橋本委員の質問・御意見に対してお願いします。
【中川財務課課長補佐】  財務課長補佐の中川でございます。それでは,資料13ページをごらんいただきながら,少し御説明さしあげればと思ってございます。
 まず,英語の専任につきまして,小規模校などはなかなか配置が難しいんじゃないかという御意見を頂いております。この点に関しましては,特段その条件を今年度から変えたということはございませんが,我々といたしましては,例えばこま講師という形で,1人フルで配置するのが難しい場合は,そういった配置の在り方ですとか,あとは近隣の中学校の英語の先生の配置も柔軟にやっていただきながら,小中連携でやっていくといった形の,少し配置の工夫という形で,各都道府県,指定都市にはお願いしているところでございます。
 もう1点目の質問の,2,090人というところの専科指導につきまして,少し補足をさせていただきますと,右上の教職員配置の見直しということで,マイナス2,000人という形で計上してございまして,こちらは何を変えているかと申しますと,今,いわゆるティーム・ティーチングでお配りさせていただいております教員加配を,少し専科指導に配置を切り替えるという形で計上しているところでございまして,これにつきましては,特段教科の縛りについては設けてございませんので,特に理科ですとか体育といった専門教科の専科指導というところを想定しているところでございます。
 1点,英語に使えるのかというところにつきましては,英語は別途計上しているところでございまして,先生を3,000人計上しているところでございまして,こちらはCEFR B2以上という形の質のところもお願いをしているところでございますので,この辺りは基本的に英語の方は,この線のところで見ていただきながら,合わせわざでやっていただきたいというところが念頭にございます。
 続きまして,GIGAスクールにつきまして,31ページでございますけれども,こちらは2分の1補助でございますので,国費を375億円ということで,掛ける2ということで,700億程度計上してございますけれども,こちらの真ん中の赤字の枠のところに,3年計画の1年目ということで考えてございますので,我々としてはこれを掛ける3ということで,2,000億規模程度の事業として,しっかりと推進してまいりたいと考えているところでございます。
 もう1点の質問につきまして,スーパーグローバルハイスクールの今後につきましては,資料の方でワールド・ワイド・ラーニングですとか,高校の事業がございまして,そこの事業で読み込んでいただく形になります。ページで申し上げますと,50ページ,51ページでございますけれども,いわゆるスーパーグローバルハイスクールにつきましては,こちらの予算事業でしっかりと見ていくという形で,51ページで申しますと,この右側のグローカル型という形で切り替えているところでございます。
 すいません,勘違いしました。
【折笠情報教育振興室長】  すいません。よろしければ,GIGAスクールネットワークのところで,ちょっと補足をさせていただければと思います。御質問の中で,750万円でどういったものを整備していくのかというところも御質問いただいていたかと思いますけれども,31ページの図で申し上げますと,正に赤くされている部分の整備を考えております。といいますのは,学校のICT環境整備につきましては,地方財政措置等で既に用意されている部分がございまして,例えば学習者用の端末であるとか,Wi-Fi機器,Wi-Fiのアクセスポイントですね。そういったものの整備などにつきましては,既に地方財政措置がされていると。
 ただ,これからの学校におきまして,新しい学びを実現していく上におきましては,やはり1人1台の学習者用コンピューターを将来的に目指していくとか,その上でコンテンツを動かしていくために,学校の中のネットワークというのもしっかり整備していかなきゃいけないという点がございますので,今回の予算におきましては,学校の中のネットワークの線を引く,それから,それに必要となりますスイッチとかルーターといったネットワーク機器を学校の中で整備するための予算というのが,1校当たり大体750万円ということになってございます。
【天笠部会長】  続きまして,大島委員の質問・御意見についてお願いします。
【桐生学びの先端技術活用推進室長】  御質問ありがとうございます。学びを支える先端技術活用推進方策,資料3の最後のページをごらんいただきたいんですけれども,時間軸がどのようになっているかといった御質問でございましたが,もう少し詳細にお話をいたしますと,大きくは3つの柱がございまして,1つ目の先端技術の効果的な活用,左側に書いてありますけれども,こちらは現在,実証研究事業というのをしてございまして,来年度以降も更なる実証の必要性があると考えておりまして,今回の概算要求に含めておりますが,実証の研究は進めていくところでございます。
 1つのメルクマールとしましては,来年度2020年度中に,この実証実験の効果も踏まえましてガイドラインを策定していこうといったことが,まず1つのメルクマールでございます。
 2つ目の教育ビッグデータの効果的な活用ですが,こちらは2020年度中に,標準化等に関しての一定の結論を得たいと。ですので,来年度中にデータの標準化に関しては,こうした方式でやっていきましょうといった形のお示しをしたいと考えております。
 最後の3つ目の柱のICT環境整備ですが,今年度中のロードマップ策定というのは,ここの部分でございまして,2025年度を目途として,一番右の方に世界最先端の教育環境の実現とございますが,世界最先端の教育環境の実現,2025年をめどに,どのような形でICT環境を整備していくかといったガイドラインを,今年度中,2019年度中に策定して,それからどのような形で2025年に向けて進めていくかといったガイドラインを,今年度中に定めたいと考えております。
 また,データに関しての時系列データの重要性の御指摘,ありがとうございました。グランドデザインにおいて,小中高を含めた形で,それぞれの段階にぶつ切りにならないような形で,ログを取っていくといった形の設計を,是非していきたいなと考えておりますので,是非また御意見いただければと思います。ありがとうございます。
【天笠部会長】  何かありますか。よろしい? どうぞ。
【滝波教育課程課長】  それから,3点目の根津委員からの御質問の点,SSHの予算でございますけれども,本日御紹介しましたのは,初等中等教育局の概算要求につきまして,資料1の形で御説明,御紹介させていただきましたけれども,SSH事業につきましては,初等中等教育局と科学技術・学術政策局が連携して取り組むということにしてございまして,SSHに係る本体予算につきましては,科学技術・学術政策局で予算措置をしてございます。
 具体的には,科学技術振興機構という国立研究開発法人がその事業を行いますので,そちらの運営費交付金の中に積んでおりまして,額としては今回,24億円余り予算を要求しております。学校数については200校以上,指定校として引き続き対応できるように,予算の要求をしているところでございます。
 以上でございます。
【天笠部会長】  それでは,もう一つのSTEAM教育の方に移りたいと思います。先ほどと同様に御質問・御意見等々,それぞれの委員の方からお願いしたいと思います。
 堀田委員,松本委員,そして荒瀬委員,この順にお願いしたいと思いますので,まず堀田委員からお願いいたします。
【堀田委員】  東北大学の堀田でございます。大変丁寧な御説明を頂きまして,大変よく理解できました。とりわけSTEAM教育の充実は,高等学校において各教科等横断的に行われるべきものだと私も認識しておりまして,そのために新しい学習指導要領では,総合的な探究の時間,あるいは理数探究基礎や理数探究が明確に位置付けられたのだと理解しております。
 これを高等学校に入った生徒さんが,突然できるようになるわけではないことを考えますと,課題は2つあるかなと思っております。
 1つ目は,まず各教科等の免許で高等学校の先生をやられている先生方が,教科を横断するというのは,言うほど簡単ではない現実があるかと。持ち時数の問題とか,様々な課題があると思うんですけれども,教科免許でできる範囲を,少し柔軟に拡大できるような何らかの措置のようなものが必要かなと思いまして,制度改革まで行くのは少し先かもしれませんけれども,学校がカリキュラム・マネジメントを行う際に,そういうことを柔軟にできるようなことを何らかの形で推進していくことが必要かなと思います。
 2つ目は,高等学校に入るまでの小学校・中学校段階での,この手の学習の経験等,そことの連携を,当面は試行錯誤かもしれませんけれども,ある程度の体系的な形にする必要があろうかと思っています。小学校や中学校においては,もちろん探究のプロセス,サイクルに基づいたような学習は,総合的な学習の時間で十分に体験しているはずですし,ICTの活用も含めた情報活用能力の育成は,小学校や中学校でも各教科等で行われているはずですし,小学校からプログラミング教育が,今度入るということもあります。
 今,「はずですし」と言ったのは,それが本当にきちんとできなければ,高等学校に行ったときに粒のそろわない段階で,各高等学校が非常に御苦労されることを考えますと,小学校・中学校で,今申し上げたSTEAM教育につながるような,各教科等の指導における指導の充実をしっかりと図っていく必要があるかなと考えております。
 以上でございます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございます。
 続きまして松本委員,お願いいたします。
【松本委員】  立教大学の松本です。よろしくお願いします。
 STEM教育及びSTEAM教育の実践例として,たくさんのお話がありまして,大変勉強になりました。その中で,私はもう少しSGHの取組について注目すべきではないかと思っております。
 この枠組みでSGHを捉えるとなると,3つ大きなポイントがあると思います。1つは,現代的な諸課題に関して生徒たちが取り組んでいるということ。それから2番目に,言語能力を同時に高める教育を実践してきたということで,STEM教育・STEAM教育のベースにあるべき言語能力に着目していたということです。論文作成,プレゼンテーション,ディスカッションなどの活動及び教育を充実させてきたということ,しかもそれが日本語だけではなくて,英語でも取り組まれていたということが注目すべき点だと思います。
 3点目は,全ての教科の先生方が協働して取り組んでこられた。実際やってみると様々な問題が出てきて,それで,それぞれの学校が5年間取り組む中で,その問題を解決してきたという,そこの部分にもっと着目すべきではないかなと思います。
 今後の課題として2点だけ挙げさせていただきます。1つ目は,後継事業がどうなるかということです。先ほど中川課長補佐から御説明のあったWWLコンソーシアム,それから地域との協働による高等学校教育改革の事業,特にグローカル型という,ここの2つの事業にどれだけ成果が見られるかと。ただ心配なのは,SGHは5年間だったんですけれども,WWLは3年間ということで,SGHの場合は5年間やったから成果が出たという部分も私は感じているので,3年間で,更にスキームが大きくなっておりますので,そういう意味でちょっと心配だということです。
 2番目は,先ほど堀田委員がおっしゃった点と関係しているんですけれども,SGHというのは比較的学びに向かう力がある生徒が多い学校が選ばれていたような気がするんですね。これからの課題としては,学びに向かう力が弱い生徒が集まっている学校に対して,こういう探究型学習をどういうふうに広めていくのかという点で,多くの知見が必要なので,実験的に行うような学校も必要なのじゃないかと。それから,堀田先生がおっしゃっていたように,小学校からどうやって力を積み上げていくのかというカリキュラムなり指導の在り方というのを,誰かが示していく必要があるんじゃないかなと思います。
 以上です。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 続きまして,荒瀬委員にお願いしますが,その後,喜名委員,川越委員,杉江委員,根津委員の順でお願いしたいと思います。
 荒瀬委員,お願いいたします。
【荒瀬副部会長】  ありがとうございます。お三人の御説明,どうもありがとうございました。STEAM教育と,とりわけ高等学校でいいましたら総合的な探究の時間というのが,非常に滑らかにつながりがあるということを御説明いただいて,大変分かりやすかったです。これが全国の高等学校現場にきちんと伝わって,充実が図られるということを心から期待しております。
 それに関わってなんですけれども,基礎的な力というのは,小学校,中学校,高等学校と,教科の取組を通してしっかりと身に付けていくことが,言うまでもなく大事なことで,そこのところがなければ,教科独自の見方・考え方というのがなければ,STEAM教育を幾らやっても上っ面で終わってしまうというおそれがあるのではないかと思います。
 教科の学習となりますと,教科書を教えるというわけではないわけですけれども,検定を受けた教科書があって,教科書における各種資料をきちんと読むということができているのかということが,昨今非常に重要な課題であると指摘されているわけであります。教科書を読む力を付けていくということの大切さと,読む対象である教科書を,きちんとしたものにしていくという,この両面が大事です。
 繰り返しになりますが,教科書「で」しっかりと指導していくんだということがあったとしても,基礎になるのはやはり教科書ですので,適切に読み取れる力の育成とともに,教材としてしっかりとしたものとしていくための資料上の工夫ということについても,きちんと見ていく必要があるのではないかと考える次第です。
 以上でございます。
【天笠部会長】  どうもありがとうございます。
 喜名委員,お願いいたします。
【喜名委員】  ありがとうございました。ただいまのお三人の御説明と,今のお三人の御意見を伺っていて,小学校として生活科,総合,さらに各教科の授業の充実が本当に必要だなという責任を感じたところであります。
 高校生の総合的な探究の時間の御報告,田村先生のお話の様子を伺っていて,高校生のこの質の高さはどこから生まれるのかと。先ほど堀田先生,松本先生からもありましたけれども,小学校の生活科の経験から,そして総合的な学習,中学校での積み重ねが,どんなふうに生かされていったのかなというところが大変興味深いところであります。そのときの学習経験とか,そこで身に付いた資質・能力が,高校生になってこんなふうに生かされていくんだとしたら,ますます小中の総合をもっとしっかりとやっていかなければいけないと思うわけであります。その辺は田村先生に是非,小学校や中学校の総合がこんなふうにつながっていくというところが,もし実感のようなものがおありになるようでしたら,お聞かせいただきたいなということが1点であります。
 もう一つ,これも早急にやらなければいけないなと思ったのは,高校の,今見せていただいたルーブリックが,小学校や中学校の総合的な学習との系統性みたいなものも,これからもっと考えていかなければいけない。そのことが結局,先ほどありました探究格差の対応にもなっていくのではないかなと思ったところであります。
 以上です。
【天笠部会長】  今の中に,田村先生への御質問等々が入ったんですね。時間がありましたら応答して,まず委員の意見を優先させていただきたいと思いますので,続きまして川越委員,お願いいたします。
【川越委員】  御報告と御説明,どうもありがとうございました。質問は特にございません。
 前半の小学校のプログラミング教育,英語教育,後半の総合的な探究の時間,STEAM教育について,御報告,御説明,いただきました。中学校の立場としては,寂しさを感じながら御説明を聞かせていただきました。中学校に関する内容が入っていませんでしたので。
 ただ,お話を聞く中で,改めて初等中等教育における,真ん中に位置する中学校の果たすべき役割というのを再確認することができたと思います。小学校でプログラミング教育を通して様々な力を身に付けて,中学校に入学してきた子供たちを,3年間,また学びの機会をしっかりと提供して,次のステージ,高校に送り出す。小学校の学びと高等学校の学びを接続する役割をきちんと果たしていかなくてはいけないのかなということを,改めて再確認できました。
 全日本中学校長会でございますが,全国の公立中学校の校長先生たちが,学校経営計画を立てたり,教育活動を進めていく上で指針となる,全日中教育ビジョンというものを策定しています。今,新学習指導要領の全面実施を踏まえて,新たなビジョンの策定に取り掛かっているところですが,本日頂いたお話,特に高等学校の総合的な探求の時間の基盤となる総合的な学習の時間を,ビジョンの中にどう位置付けていくか。先ほど御指摘ありましたとおり,私どもの調査研究の結果を見ると,総合的な学習の時間については,弱い部分があるのではないかなと私は思っています。
 そのような点も踏まえまして,ビジョン策定に当たっては,高等学校の総合的な探究の時間やSTEAM教育に結びつくようにということで,中学校でビジョンに位置付けて考えていきたいという感想を持ちました。本日はどうもありがとうございました。
【天笠部会長】  続きまして,杉江委員,お願いいたします。
【杉江委員】  STEAM教育は,私は教育の方法が重要であると思っていまして,課題の選択とか進め方によっては,強力な学ぶ動機付けになるのではないかと思っております。そのためには,まずSTEAMのAの範囲なんですけれども,本日の御報告の中でもいろいろありましたが,できるだけ広い範囲のリベラルアーツをAとして捉えて,芸術だとか文化に加えまして,経済ですとか,法律とか,生活とか,政治というものを含めた範囲に定義していただきたいと思っております。
 次は適用範囲なんですけれども,STEAM教育を初等教育から高等教育までの各児童生徒の,また学生の成長段階に応じて行い,特に入学の初期にSTEAM教育を行うということが非常に効果的だと思いますので,それは学ぶ動機付けという意味で効果的だと思いますので,是非お願いしたいと思いますし,例えば環境ですとか,まちおこしというような課題を捉えることによって,どの成長段階でも全ての生徒がディスカッションできる対象になりますので,そのような捉え方をしていただきたいと思います。
 今回の学習指導要領で明示されました思考力ですとか判断力,それから,いわゆる人間力というものの基礎になるのは,学ぶ意味を理解し,能動的に学習するということでありますので,児童生徒の意識改革に非常に有効な教育方法だと思っております。
 以上です。
【天笠部会長】  続きまして根津委員,その後は萩原委員,お願いします。
 根津委員,お願いいたします。
【根津委員】  STEAM教育についての感想ということになります。御発表,どうもありがとうございました。
 カリキュラムの分化と統合ということを考えておりまして,未分化の幼稚園といいますか,未分化は別に悪いということではないんですけれども,それが教科等に分化していく。生活科,総合的な学習の時間がある。最終的に高等学校で,またそれが統合に向かうのか,あるいは更に分化して難しくなるのかというところは,少し考えるべきなのかなと感じました。
 関連して,発達段階で,先ほど来,御議論の中にもありますように,初等教育・中等教育の別,そして中等教育の中でも義務教育である中学校と高等学校との別ですね。高等学校で見た場合には,本日御発表の中にもありましたけれども,普通科なのか,あるいは専門学科なのか,総合学科なのかという学科の別というところも,STEAM教育においては考える必要があるであろうと。
 あとは,細かいことなんですけれども,教科横断的なのか,教科「等」横断的なのか。教科「等」が入った場合の「等」には,一体何が入るのか。恐らくこれは日本の教育課程が,教科ではないものが入っているという特徴が大きいと思うんですけれども。そこの違いが,教科から出発した教科横断的という考え方と,最初から総合的な探究の時間,学習の時間を含めた教科「等」横断的という見方をするかで,大分違うのではないかなと感じました。
 あとは,少し心配なこととしては,ジェンダーや地域に代表される格差が,このSTEAM教育によってどういうふうに克服されるか,あるいは逆に拡大してしまう可能性というものはないのか。あとは,教員養成というところで,先ほどもございましたけれども,免許が複数ない場合,かなり現職教育での御負担等もおありかと思いますけれども,養成段階でもどういうふうに対応すればいいのかなどというところを感じました。
 以上です。
【天笠部会長】  続いて,萩原委員にお願いしたいと思うんですけれども,時間の関係等々からすると,萩原委員が最後ということになりそうなんですけれども,ほかの委員の方,よろしいでしょうか。
 そうしましたら,萩原委員,お願いいたします。
【萩原委員】  私も高校という立場で参加させていただいておりますが,本日改めまして総合的な探究の活動とSTEAM教育に関してまとめていただき,非常に分かりやすかったです。この総合的な探究の活動とSTEAM教育に関して,全国の校長先生方にも,きちんとこういう趣旨だと伝えていただくことが必要と感じました。
 それとともに,このSTEAM教育というか,総合的な探究活動を進めていくためには,予算的な面が重々必要な部分と思っています。なかなか既存の予算だけでは難しく,教員だけではなくて,外部の方をお招きする際においても,当然,報償費が必要となります。ボランティアで来てくださいというだけでは,なかなかうまくいかないことが考えられます。また,物も購入しなければいけない。例えば生徒が発表をする際に,まとめたり,発表したり,掲示したりするといったときにでも,ICT機器や拡大ポスタープリンターなど新たな機器類も必要になってくるので,予算面についても是非ともお願いしたいと思います。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 今の委員の中から,先ほど喜名委員から田村先生に御質問等々がありました。それについて何かありますでしょうか。お願いします。
【田村國學院大學教授】  御質問ありがとうございました。先ほどから話題にあったとおり,今回の学習指導要領の改訂は,正に幼児教育から小学校,中学校,高等学校と縦に貫くもので,その最大のキーワードを一言で言うならば,私は探究というキーワードになると思います。根津委員のおっしゃったとおり,幼児期の遊びから始まり,正に先ほどの生活,総合的な学習の時間ということだと思います。これを確かな形で充実する方向が,本日見えてきた。
 その意味では,御存じのとおり,カリキュラムはスコープとシークエンスがあって,スコープといった各教科の横組みの先ほどの話は,言ってみれば教科でのベーシックな基礎基本の習得と,一定程度の探究をベースとするものを,どううまくカリキュラム上,構成するか。
 もう1個は,御存じのとおり,シークエンスの発達の方を探究として,より高みに至るためにはどうすればいいかという御議論だったと考えています。その意味では,恐らく今後,カリキュラム上の整備,指導法上の整備,組織・システム上の整備が求められてきて,これを国全体で行うということと,地方でどう行うということと,学校で行うことに加えて,もう1個言えば,様々な地域がこのことを大変大きく期待していると思います。あるいは多くの民間の方たちも,ここに多くの期待を寄せていると私は思っています。
 そういったものが総出で動けるような,全体の動きをお作りいただくことが,是非御議論の中で成果として出てくればと期待しているところですし,先ほどの川越委員のお話からあったとおりですが,中学校の話題が若干出なかったわけではありますが,実は中学校も非常にすぐれた御実践が各地で出始めておりますので,そういったことが幼小中高,そして大学とつながることを,大いに期待することができる。正にそんな胎動が動いていると考えていいのではないかと思います。
【天笠部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは,これで本日は終了させていただきたいと思うんですが,私から1点,お願いしたいことがありまして,このSTEAM教育という言葉を,これで多くの方に理解いただくような形で,この言葉を押し通していくのか,あるいは広げていくのか,それとも,より分かりやすい中身を含めた日本語というんでしょうか,そういうものということが今後あったら,それを立てていく。その間の仮の言葉として,この言葉ということを,お互いに分かり合うものとして捉えていくのかどうなのか,そこら辺の,この言葉の位置付け,とりわけより多く,現場の先生方ですとか,保護者の方ですとか,地域の方に,より共有していただくということにおいて,意味・内容を含めて,これが適切なのかどうなのか。適切というか,まだよりふさわしいものというのはあり得るのか。その辺りのところも,また我々は知恵を集めながら検討していいテーマの一つなのかなと思いましたので,この点についてはお願いできればと思います。
 ということで,本日の議事は以上ということにさせていただきたいと思います。事務局におかれましては,委員の皆さん方からの意見等々を受け止めていただき,今後の審議に生かしていただければということで,よろしくお願いいたします。
 最後に,次回以降の予定につきまして事務局からお願いいたします。
【板倉教育課程企画室長】  長時間にわたり,御議論ありがとうございました。次回は10月29日火曜日,9時半から12時半で,場所は省内を予定しているところでございます。
 以上でございます。
【天笠部会長】  それでは,本日はこれで終わりにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

── 了 ──

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