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教員養成部会 特殊教育免許の総合化に関するワーキンググループ(第12回)議事要旨


日時: 平成16年4月22日(金曜日)13時30分〜15時30分
場所: 如水会館「富士の間」
出席者: 大南主査、宮さき副主査、尾さき委員、木舩委員、斎藤委員、佐竹委員、高野委員、西川委員、山本委員、渡辺委員
 
(文部科学省) 樋口審議官、宍戸視学官、宮川視学官、竹下教職員課長、山下特別支援教育課長、
宮内教員研修企画官、内藤特別支援教育企画官、石塚課長補佐、
貴志専門官、その他係官

1.開会

2.議事
  (1)特別支援教育の推進に関する検討状況について
  事務局より配付資料に基づき説明の後、自由討論。以下発言要旨。
    (○:委員、△:文部科学省)

委員   軽度発達障害という表現があるが、ボーダーラインでいうとどの程度の障害を有する子どもをいうのか。例えば、かなり障害の軽い子どもだと、障害という医師の判定が無い場合もあるが、教員としては、どのように指導して良いか困っている場面もあると思う。
文部科学省   どこからを障害と捉えるかは非常に難しいところだが、基本的には医師が障害であると判断した者と考えるようにしている。
委員   特別支援教育特別委員会においてはコーディネーターという言葉が度々出てくるが、これまで述べてきたように、コーディネーターには2つあると考える。盲・聾・養護学校における中堅以上の教員の中で、専門性の高い人が小・中学校の支援をしたり、相互に学校間の連携をしたりという相当スペシャリティーの高いコーディネーターと、そこまでは要求されない小・中学校のコーディネーターとである。コーディネーターについては免許を作るべきだという議論もあるが、少なくとも小・中学校のコーディネーターについてはその必要はないと思う。例えば専修免許状を持っている者が小・中学校のコーディネーターの役割も果たすという仕組みが考えられるのではないか。
委員   本年1月に県から特別支援教育コーディネーターの養成プログラムを作ってくれないかと大学に依頼があった。私共は特別支援教育コーディネーターの免許を作るかということまでは考えなかったが、初級レベル、中級レベル、上級レベルの養成という案を作って県の教育委員会と協議した。教育委員会側の意見としては、初級レベルが全国に配置され、それをスーパーバイズするようなものが中級、或いは上級という認識だった。そこで免許と結びつけたわけではないが、教員免許でいえば二種、一種、専修というものに対応するという見方もできる。これから教育委員会と詰めていこうと考えている。
委員   今、学校で色々なことを完結するのは難しいのではないか。だから外部の専門的な力を学校にも入れるし、学校からも小・中学校を支援しようという考え方をした場合に、養護学校等のコーディネーターの資格、或いはある免許を持つことによって、1人で全部対応できるとは考えられない。
委員   免許を総合化するということは、専門性の点からいうと、ある意味ではレベルダウンということになるわけだが、それだけ障害を持つ子ども達も多様化してきて総合化をせざるを得ないという背景もある。免許が総合化するのであれば、コーディネーターが何かするのではなく、盲・聾・養護学校において、それぞれの分野で本当に専修免許状を持って、きちんとそれぞれの障害の専門性を身に付けることが必要であると同時に、他の人々や活動と当然連携を取っていかなければいけないということでもあり、むしろ、専修免許状の中の1つの重要な要素としてコーディネート能力をきちんと位置づけることが大切なのではないかと思う。
委員   コーディネーターの点でもそうだが、小・中学校と盲・聾・養護学校とを分けないと現状では同じレベルで考えるのは難しいし、役割も多少違う。小・中学校については、まず、コーディネーターを普及させていくことが大事で、最初からあまり専門性を求めてこういう人で無ければだめだというのでは、置きにくいということもある。かなりコーディネーターが普及していった段階で色々な課題に対応していくべきだ。一方、盲・聾・養護学校の方は、障害児教育のある程度専門性を持った教員集団という前提で考えると、専修免許状や総合免許状の中でコーディネーターの役割も含めた専門性をもった教員を養成することも考えられる。
委員   自立活動についてだが、免許の専門性という点で、自立活動の免許を取った人というのは、教育委員会としても、それから学校の中でも一目置かれる存在となる。一目置かれる免許という意味では、総合化した後の免許状について考える場合でも専門性を特化することは重要である。
委員   自立活動免許と特殊教科免許については整理をする必要がある。自立活動免許状については現場にいても専修免許状に匹敵するレベルを持った人が取るという印象がある。自立活動免許については養成がなく、教員資格認定試験により対応をしているが、その状況についてもどこかで報告してもらう必要があるだろう。自立活動は学習指導要領に規定されているものでもあり、大学でも養成することが可能なのかということについても検討する必要がある。また、特殊教科についても全般的な免許状との関連で整理し直した方が良いのではないか。
委員   自立活動については、はじめは盲・聾・養護学校の免許状を持っている人は当然、前の養護・訓練、今の自立活動が入っているので敢えてこういう資格を取る必要はなく、PTやOTその他、教員免許状を持っていない人を特に盲学校で採用する際に教諭の身分とするために創設された免許だと聞いている。自立活動免許しかもっていない人は自立活動しか指導はできないという特殊免許である。自立活動免許制度を別枠で考えるというのはおかしい気がする。
委員   現在、自立活動免許状の教員資格認定試験の合格率は小学校等の各教科の免許状よりは多少高いが、決してその比率は高くないというのが現状だ。また、受験者の経歴の差が非常に大きい。自立活動免許については取得することがキャリアアップにつながるという側面もあり、そういう意見のある者の合格率は高いが、他方で何年も継続して受けてもなかなか受からない者もいて二極化している。他方で、試験制度である以上全員合格するというのもおかしく、どの程度の割合で合格者を出すか等の議論も試験問題とのバランスの問題もある。自立活動免許について本格的に議論する際には、やはり現状についての具体的な資料に基づいて行う必要がある。

(2)盲学校高等部理学療法の免許について
  事務局より配付資料に基づき説明の後、質疑応答。

委員   特別免許状を取得するための専門的な知識経験、技能等を有する社会人等というのはどのように解釈したら良いのか。
文部科学省   特別免許状については、都道府県教育委員会の方でその免許状を授与しようとする者の知識経験、技能等を判断していただくことになっている。理学療法の免許を授与する際には理学療法士の免許を持っていることを前提として、その上で知識経験を判断するのではないかと考えている。法律、省令上においては他の免許についても具体的な個別要件を書くということはしていないため、今回の理学療法についても規定上明記はしないということで整理している。
委員   筑波大学附属盲学校と大阪府立盲学校と徳島県立盲学校には理学療法士を養成する科が専攻科としてあるが、その他の盲学校には理学療法士の学科は無いということでよいか。また、視覚障害者で理学療法士の免許を持っている者は先程の3つの盲学校の卒業生がほとんどだと思うが、視覚障害で理学療法士になっている人は全国的に多いのか。
文部科学省   具体的に理学療法士の中で視覚障害を持っている者の実数は把握していない。理学療法士養成施設は盲学校高等部専攻科だけではなく、専門学校、短期大学、一部の大学でも養成していて、専門学校でも視覚障害者に配慮をすれば受入れられるということもある。3つの盲学校がある東京、大阪、徳島以外の地域でも視覚障害の方が理学療法士になっている可能性もある。もう1点付け加えると、あん摩、マッサージ指圧、はり、きゅうに比べ、理学療法は全盲の者は不利ということがあり、今、盲学校の理学療法科にいる者はどちらかというと弱視の方が多いという現状がある。そういった状況を考えると、弱視の方で専門学校で履修している者は多い可能性がある。
委員   今回の改正については、盲学校から長年、理学療法の免許を作って欲しいという要望があったと聞いている。また、今回、厚生労働省の規則改正により、理学療法士を養成する理学療法科は今まで、理学療法の免許を持って5年以上経験を有する者が4人必要だったのが6人になったというのも後押ししたと認識している。同じように歯科技工科についても、今後免許を作って欲しいという要望が出る可能性はあるのか。
文部科学省   今回の改正にあたっては、歯科技工についても検討した。歯科技工士、理学療法士のいずれも学習指導要領上に専攻科で設定されている教科であり、かつ、このように設定されているにも関わらず、免許法上の教科として位置づけられていない。従前より理学療法については色々と要望があり、文部科学省の平成11年に出した「特殊教育の充実改善について」という調査研究協力者会議の第2次報告の中でも、既に免許教科として定めることを検討すべきだというご提言をいただいているところである。
  一方、歯科技工科に配置される教員は、理学療法科と比べ経験年数が問われず、歯科技工士の免許をもっていれば良く、配置人数も3人で良いことなどから比較的基準が緩やかであり、教員の確保が難しいという状況がなかった。
  さらに、今回は特に理学療法について現状の4人配置でも教員配置が難しいところが6人になったということもあり、是非教員を確保しやすい状況にして欲しいという要望も強かったことから免許を創設したところである。歯科技工については、このワーキンググループの検討課題の中で特殊教科免許制度についても挙げていることから、当然、議論の中で含まれてくる可能性はあると認識している。

3.閉会
  今後の日程について事務局より連絡があった後、閉会となった。



(初等中等教育局教職員課)

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