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教員養成部会特殊教育免許の総合化に関するワーキンググループ(第10回)議事要旨


1. 平成15年1月27日(月曜日)10時〜13時

2. 霞山会館「霞山の間」

3.
出席者: 尾崎委員、香川委員、木舩委員、佐竹委員、西川委員、物部委員、山本委員、渡辺委員、大南主査、宮崎副主査
(文部科学省)竹下教職員課長、上月特別支援教育課長、鈴木視学官、藤田教職員課企画官、萩元課長補佐

4. 議事
 事務局より配布資料の説明の後、資料に基づき自由討議が行われた。主な発言は以下のとおり。(○=委員、△=文部科学省)


委員  新免許状の名称をどうするか。また、障害の名称について、肢体不自由や病弱についても「障害」で統一することなども検討に含めてよいのか。

文部科学省  免許状の種類や名称については免許法改正の可能性も含めて議論していただいて構わない。

文部科学省  障害の名称については、様々な法律が関係しており、それらについても名称が検討されれば整理されてくるのではないかと思うが、文部科学省関係だけで工夫や改善ができるのであれば検討していきたい。

委員  LD、ADHD、高機能自閉症という名称について、特別支援教育の在り方に関する調査協力者会議において検討することと思うが、このワーキンググループでも意見を言っていただきたい。

委員  今後、言語障害、情緒障害、軽度発達障害まで含まれるとなると、特殊学級や通常学級までが特別支援教育の対象となる。そう考えると、特別支援教育免許状など幅広い名称がいいのではないか。

委員  1種免許状で、特別支援教育コーディネータの役割を担うのは難しいのではないか。専修免許状か、あるいはかなりの経験を有する教員を再教育する方が適当ではないか。障害種の名称については、かなり議論をしないと整理できない問題がある。例えば、健康障害という名称を、かなり広く捉えて使っている向きもある。

委員  特別支援教育制度については、具体的にはどういう制度が発足したのか。

文部科学省  現在の特殊教育は、盲・聾・養護学校と特殊学級の2本立てになっており、障害の程度、種類を限定している。「今後の特別支援教育の在り方について」中間まとめにおいては、LD、ADHD、高機能自閉症、さらには知的障害等の子どもも通常の学校にいることから、従来の盲・聾・養護学校の制度を重複障害に対応するために弾力化して、地域の実態に応じて柔軟に設置できるようにするということが提言されている。また、通常の学校も含めたセンター的機能を果たすということと併せて特別支援学校としている。通常の学校においてもより総合的、弾力的な体制を作り、連絡調整役としてコーディネータを置くこととしている。今年度末に最終報告を出す予定であり、その報告に沿って大きな制度改正が行われることとなると思うが、教員免許制度は教員養成の基礎・基盤であるため、できるだけ歩調を合わせて検討していただきたい。コーディネータについては、現在研修内容を研究しているところであり、早ければ平成15年度には試行的に行いたいと考えている。欧米では、養成段階で学ばせている例もあり、現職研修に限定するのか、免許状の基礎資格にも入れるのかという議論があるのではないかと思う。

委員  コーディネータは専修免許状所有者とすることも考えられ、特別支援教育に関わる全員が勉強するという考え方もあると思う。得意分野ということも考えながら、免許の総合化の方向性をどのように検討していけばよいか。特別支援学校は従来の盲・聾・養護学校をなくしてしまうというものではなく、専門性はやはり確保していかなければならない。

委員  コーディネート能力とは、専門家をまとめて評価することができることであり、1人ですべてを行う必要はないため、養成カリキュラムは割合作りやすいのではないか。

委員  大学において、全障害種の専任教員を確保するのは無理ではないか。非常勤講師での対応や、他大学との単位互換等で補わなければ難しい。従来の免許状所有者については、移行に伴いある程度の講習や研修が必要ではないか。

委員  盲・聾・言語障害においては教員が不足している。認定講習の場合、私どもの大学では盲・聾の免許を取得できる認定講習を開設しているが、その担当教員は複数の県を駆け回っている状況である。他大学での開設科目を利用したとしても、日常的に学生が単位を取るのは難しい。集中講義は費用の問題がある。地方の大学にとっては他大学との単位互換というのは非常に難しいのではないか。1大学ですべてを開設するのも非常に困難だと思われるが、教員がどのように授業を開設し、学生がどのように受講するかという問題もあるのではないか。

委員  現職教員を積極的に活用すればいいのではないか。我が県においては、大学の非常勤講師をしている教員がいるが、それが盲・聾・養護学校の目標になればより専門的な教員を養成することができるため、教員に大学の非常勤講師という道が拓けていくとよいのではないか。免許状の形態としては、軽度発達障害に対する指導をどうするかということを考えなくてはいけない。資料では、2種免許状では総合的に学習するということとなっているが、その中でもLD、ADHDについては触れることが必要なのではないか。また、2種免許状をできるだけ取りやすくする方向性が必要なのではないか。

委員  特別支援教育コーディネータの実務は、盲・聾・養護学校と通常の小中学校で違うのではないか。学校の規模、置いている部門の違いなどがあり、1種免許状、2種免許状では少し触れるだけで、むしろ現職研修等で、ある程度経験を積んだ者を訓練していく方がいいのではないか。2種免許状では、概論の中で障害種に対応した教育を行うのではないか。軽度発達障害への対応については、触れるべきという意見が強かったが、単位数について検討しなければならない。通常学級に6パーセント程度のLD、ADHD、高機能自閉症と思われる子どもがおり、軽度の知的障害等の子どももいることを考えれば、全体で10パーセントくらいの特別な支援を要する子どもが通常学級にいる可能性が高く、そのような状況に対応できる免許制度を考えなければならない。不登校になっている子どもの大半は、事実上軽度の障害になっているため、2種免許状を通常の学校の教員が取得することを考えなくてはならない。その際、単位を付加するか複数の免許取得を啓発するかということが問題になるのではないか。盲や聾への対応が難しいということについては、放送大学で講座を開講するのはどうか。さらに大学との単位互換を可能にすることなども考えなければ養成が間に合わないのではないか。その他のいろいろなメディアの活用も大事である。特殊研での対応なども含め、全国展開の方策を考える必要がある。

委員  現職教員の免許取得については、放送大学を活用すれば、かなりの人数が免許取得できる。今は知的障害の分野について開講しているが、総合化にむけて教員が不足する分野について開講していく方法もあるのではないか。現在では、現職経験のある人に対する単位認定をしているが、単位互換として、学生が聴講して単位化していくことも検討する必要があるのではないか。

委員  放送大学やインターネットに加えて、衛星通信を利用したSCSなども活用した、学生が大学を移動しないで講義を聞けるシステムが必要である。

委員  小中学校の教員に、特殊教育や軽度発達障害についてどのような研修を行うかということが問題である。また、免許取得によって特殊学級担任になるのではないかと、免許取得を躊躇する傾向がある。コーディネータはもちろん他の小中学校の教員が特殊教育に対して、プラス思考となる制度を考えていかなければならない。

委員  特別支援教育制度では、通常学級にいるLD、ADHDの児童生徒までもが含められるが、スクールカウンセラーで対応する方向に進むことなども考えられ、LD、ADHDは臨床心理的な面としても扱われてきていることから、日本の学校でコーディネータがうまく調整するのは難しいのではないか。小中学校等の教員免許として対応策を考えていかなければいけない。あるいはなるべく2種免許状を併せて取得するようにし、取得者は給与に反映するなどしていかなければならないのではないか。LD等については専門家もまだ模索中であり、指導できる人材が非常に少ないため、知識を共有していく必要がある。プロを養成する前段階の問題として早めに対応策を考えなければならない。

委員  地方では養護学校数が少ない地域もあり、将来的には限られた施設・設備とノウハウを共有していくスタイルが生まれてくるのではないか。また、1つの学校に多障害の子どもが就学することが予想されるが、重複障害の子どもに対しては、ある障害種の指導はされているが、重複障害の指導については特別なされていないという現状がある。個々のニーズに合った指導について、盲・聾・養護学校が小中学校への支援活動をするということだが、養成段階において盲・聾・言語障害などの指導者が少ないため、総合免許を取得する際、これらの障害を選択する教員はそれほど増えないのではないか。専門性を有している教員が、自校の障害のある子どもに対する指導ばかりではなく、盲・聾・養護学校間でも循環指導を可能にするなど、小中学校への支援活動も含めた地域のセンター的役割をどの程度果たしていくかにより、総合免許状(専修免許状など)所有者を1つの学校に集めなくてはいけなくなるため、他の学校は、支援が受けられるのであれば少し密度が薄くなってもよいのではないか。

委員  重複障害とは何か、あるいは重複障害にどう対応したらいいのかということをもう一度考えなければならない。個々の障害について養成段階で学んでも、重複障害に対応できる教員が養成できるのか、現職経験を積んだ上でないとできないかという点を議論して欲しい。

委員  大学教員が重複障害の臨床経験を有していれば、指導を受けた学生が養護学校教員になった場合、初任でもかなりしっかりした指導ができる。我が県では、教育センターで講座を開設してしっかりと指導しているが、大学でも重複障害における重度の障害という観点で授業を開設するか、それぞれの障害の上乗せという形でしっかり指導してもらえるとありがたい。

委員  盲・聾・養護学校の中では肢体不自由や知的障害の重複障害の割合が高いが、盲学校でも重複障害児の在籍率は高く、その場合に肢体不自由の重複障害と盲学校での重複障害は、同じ部分もあるが、実際に指導する場合には違うと考えないといけないところもある。そうすると、資料4の3(1)2の重複障害の部分は、ある程度経験を積まないと難しい。指導できる大学教員の数も少ないだろう。自立活動についても、重複の問題も含めて大学教員が指導するのは難しいだろう。

文部科学省  中間まとめでは、個別の教育支援計画を作成し、それを計画・実施・評価して常にサイクルをまわしていくという考え方をとっている。その際に、それに関わる人達が障害を判断し、計画を立て、保護者も含めて実行し、一定期間が経ったら状態を見て次の改善につなげていくこととなる。今回の改革は決して制度だけではなく、教育に関わる者の意識の問題であり、常に相手は変化しており、様々な人がいるという前提で考えるという発想に立っているので、免許にしても完全なものにするのは不可能であり、基礎的な要素を養成段階に入れることが必要ではないかと考えられる。特別支援教育を支える基礎基盤としての免許制度という視点でご議論いただきたい。

委員  重複障害は一人一人違うため、個々にどういうアプローチをしたらいいかという視点が一番大切になる。教員同士の連携をどのようにしていくか、また、学校だけではなく、他の機関、専門職とどのように連携していくかを考えなくてはならない。コーディネータについて、今までの免許制度で対応するということになれば、大学での講義だけではなく現職教育が中心になるだろう。また、障害の範囲が非常に広がるが、個々の専門性は維持できるのか。総合的に勉強する意味はあると思うが、これからの教育は一人一人にどう対応していくのかが大きな視点になるため、総合的に勉強してもすぐに対応できるようになるかどうか。現職研修をしっかりと考えていかなくてはいけない。

委員  特別支援学校で地域のセンター的な役割を果たすコーディネータと、小中学校に置かれるコーディネータの役割は違う。小中学校に置かれるコーディネータについては、校務分掌上の重要なポストであるという認識で、専修免許状所有者の中にコーディネータとしての資質を十分に備えた人が出てきて、コーディネータの指導者を各市町村に配置できるようになると、特別支援学校とうまく連携できるのではないか。

文部科学省  7障害と軽度発達障害は少し違うのではないか。また同列に扱うのかどうか。7障害の基礎的なことを学ぶとしても、すべてを網羅するのは難しいのではないか。特別支援学校の1種免許状は、複数障害を中心に学ぶような形では考えられないか。すべての障害を理解するのは単位数が多くなり難しいだろう。2種免許状については、現職教員の取得が中心になるが、すべての障害について浅く広く学ぶとすれば指導のレベルが低くなってしまうのではないかと懸念される。基礎免許状を取得する際にも知識を課していったり、あるいは教員養成だけでなく研修段階でも知識を身につけていく場合に、シラバスまで提示する方向で共通性を担保していくのはどうか。すべてを免許制度で対応するのは無理があるため、研修とセットでの対応を考えて欲しい。

委員  2種免許状についての考え方を分けてはどうか。現職教員が2種免許状を取得する場合には、特定の障害について勉強することとすれば、レベルはかなり上がると思う。また、短期大学で2種免許状を取得する場合には、軽度発達障害も取り入れたような、総合的で取りやすい免許にするというような、同じ2種免許状でも2通りの考え方ができるのであれば現場としては良いのではないか。

委員  本学では、1年生から障害児教育に関する科目を開設しており、障害児教育教員養成課程以外の学生もかなり受講している。学生に受講の目的を書いてもらうと、通常学級に障害を持った子どもがいた場合に、少しでも何とかできるようになりたいというものがほとんどである。学生がどういう障害の子どもに出会うかわからないため、基本的な姿勢や教育課程、学校制度などを理解するような講義を行ってきた。2種免許状の中核的な内容としては、そのようなことを入れればよいのではないか。

委員  2種免許状の単位数にもよるが、単位数を増やす訳にはいかないだろう。現職研修と車の両輪のような形で考えなければ、一人一人のニーズに対応するということは難しいだろう。単位数によって、それぞれの障害でどの程度のことが可能かということをおさえておきたい。

委員  聾学校では聾学校教員免許状と知的障害養護学校教員免許状の所有者を合わせると所有率が60パーセント近くになる。しかし、聾学校の免許のみでは30パーセントにしかならない。知的障害の免許所有者はいるが指導は十分に行われていないため、聾教育で重複障害教育がきちんと行われているとは言えない現状だと思われる。全部の障害を含めると単位数がかなり多くなるため、例えば視覚障害と知的障害に関わる単位数の割合を多くするなどはどうか。概論ですべての障害に触れることはもちろんだが、専門性を確保するという点で、考える必要があるのではないか。

委員  単位数の限定方法として、独立した科目の中でできるだけ幅広い障害について触れるという方法がある。ある科目は教育の視点から、ある科目は心理や発達の視点から、ある科目は病理、保健の観点からとすれば単位数の限定ができるのではないか。また、大学の教員免許課程と免許法認定講習等その他の研修との連携と役割分担の問題は、免許の専門性を高めていくには、非常に重要な課題になるのではないか。

委員  教員養成大学・学部で特殊教育免許を取得するには、卒業要件が148単位など多くの単位修得を要するため、その中で特殊教育の専門性を確保していくのは難しい。また、ほとんどが基礎免許状として小学校の免許を取得しているという問題もある。中学校になると教科の専門性の要求が高くなり、その中で特殊教育の専門性を確保するため、私どもの大学では、来年度入学生から特殊教育の単位を卒業要件として29単位まで引き上げた。さらに、教養科目の単位を減らすのは難しいところがあるため、各大学の現状を把握している。

委員  すべての障害種を網羅して総合免許状とするのは不可能ではないか。2障害種を勉強しながら個別の指導を徹底していく中で、教員はかなり研修して専門性を高めていくのではないか。我が県では、5年計画で普通学校と特殊教育諸学校の間での1年間の人事交流研修を行っている。普通学校から特殊教育諸学校に行った教員は、専門性を高める研修を1年間行っており、また、特殊教育諸学校から普通学校に行った教員は、特別支援教育体制を学校全体で整える仕事をするというように、それぞれの任務を帯びた研修を今年度から実施しており、その成果をまとめている所だが、この研修を受けた教員がコーディネータ的な役割を果たしていくのではないかと思う。それぞれの学校が、特別支援教育の体制整備のための核となる組織を作らなくてはやっていけないと思う。1つの学校に、特殊学級もあり、通常学級に肢体不自由の子どももLDの子どももいるというようなケースが出てきて、学校も大変な状況にある。そのような時に、1年間研修した教員が核になって、特別支援教育体制を整え、それに向かって教員が研修を重ねていくという体制で今年度は行った。コーディネータはますます重要であり、研修を受けた者に確固たる資格を与えるということも必要ではないかと思う。現職教員の免許取得については、県の機関などを利用して、半ば強制的にでも取得する必要があるのではないか。現在特殊教育免許を所有する現職教員については、総合免許への切り替えも必要であり、その際、2障害種程度を体験した教員には、どんどん総合免許に切り替えるということも必要ではないか。

委員  自立活動の免許状についても、検討事項に追加していただきたい。養護訓練が自立活動に変わった時に、これからは障害を克服するためではなく、自ら障害を理解して社会に参加していくための自立活動であるという説明がされていたが、障害がどのように緩和され、将来的にスキルアップできるのかという状況にするためには、やはり訓練的要素も非常に期待したいところであるので、免許状の役割について再度話し合っていただけたらと思う。


(初等中等教育局教職員課)

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