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中央教育審議会初等中等教育分科会

2001/12/14 議事要旨
中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会
特殊教育免許の総合化に関するワーキンググループ(第1回)議事要旨

中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会
特殊教育免許の総合化に関するワーキンググループ(第1回)議事要旨

1. 平成13年12月14日(金)10:00〜13:00
 
2. 霞山会館「たけの間」
 
3.
出席者: 大南委員、尾崎委員、香川委員、木舩委員、斎藤委員、佐竹委員、西川委員、宮崎委員、
物部委員、山本委員、渡辺委員、高倉教員養成部会長
  (文部科学省) 竹下教職員課長、池原特別支援教育課長、高口教職員課課長補佐、新谷特別支援教育課課長補佐
 
4. 開会
   (1)高倉部会長挨拶
   (2)主査・副主査の選任
高倉部会長の指名により、大南委員が主査に、主査の指名により宮崎委員が副主査に選任された。
 
5. 議事
事務局より、配付資料の説明の後、特殊教育免許に関する自由討議が行われた。
  (○=委員、△=文部科学省)
         盲学校及び聾学校については、高等部(本科)の卒業生の就職率は低下しているが、これは高等教育機関への進学率が徐々に増えてきていることと関係している。これから検討を進めていく上での参考となる。
     特殊教育教諭免許状保有率をみると、全体で50%程度となっているが、専門性が必要であるにもかかわらず、現状は専門性がそんなに高くないということか。
     総合化の検討をする際に、自立活動を担任する教員の免許状や盲学校特殊教科教諭免許状(理療)などの特殊の教科の免許状はどういう扱いにするのか。
     当ワーキングで検討するのは、基本的には盲・聾・養護学校の教員の免許状の総合化についてである。自立活動を担任する教員の免許状や盲学校特殊教科教諭免許状(理療)については、それに付随して出てくる問題。
     盲学校特殊教科教諭免許状(理療)については、免許制度の問題だけではなく、教員養成を行っている施設が学校教育法第1条の学校に位置づけられるのかという問題があり学校制度全体に関わるものである。当ワーキングは、免許制度の検討を行う場所であるので、学校制度についてまで議論するのは難しいが、その議論の芽をだすような方向で検討するのがいいのではないか。
     自立活動を担任する教員の免許状については、盲・聾・養護学校全体に関わってくるものなので、総合化の検討に際して含めるべきではないか。
     特殊教育の総合免許状は必要であると考えるが、それは次のような点からである。一つは、障害の重度・重複化への対応として特殊教育の基礎的・全般的な素養が求めれられており、この点から特殊教育の総合免許状が必要であるということ。二つには、養護学校教諭免許状を取得した者が、聾学校に配置されると、聾学校教諭免許状を認定講習において取得しなければならなくなる。このような配置上の問題とも関係し、特殊教育の総合免許状が必要ではないか。三つ目は、大学の教員養成上の課題として、教育実習などの実践的な科目は役に立つが、座学はあまり役にたたないという声が現場の教員に多いということ。四つ目は、大学の教員養成課程の大半が知的障害中心で肢体不自由や病弱はほとんど扱っていないということである。
     特殊教育に関する概論的な科目を大学で開講しているが、小・中学校の教職課程に在籍している学生も受講している者が多い。小・中学校の教員を目指す学生にも特殊教育に対する関心が高まっているということが言える。
     現状では、同じ盲・聾学校に20年や30年も在籍している教員が多く、人事が固定化している。これからは、障害児教育全般の専門家が必要である。また、実践的な指導力のある教員が必要とされており、大学の科目においては、演習や体験的な科目が必要である。
     小・中学校等のいわゆる基礎免許状の取得段階で、特殊教育の科目を拡大してもらいたいという要望がある。基礎免許状を含めた形で総合化を検討してはどうか。
     一つの方法として考えられるが、基礎免許状の取得については、平成10年の免許法改正により、教職に関する科目「幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の過程」に特殊教育に関する内容が位置づけられており、平成12年度の入学者から適用されているところである。今の段階で基礎免許状を含めて見直すことは難しい。
     特殊学級を担任する教員の免許状については、どうするのか。
     様々な課題を視野に入れて検討を進めるということも必要であり、特殊学級を担任する教員の専門性を高めるという視点も必要。しかし、昭和62年の教育職員養成審議会の答申以来結論されている状況にある中で、当ワーキングとしては、来年の夏までに盲・聾・養護学校の教員の免許状の総合化を検討することが必要であり、審議については総合化を中心に議論していただきたい。ただし、特殊学級を担任する教員の専門性の向上についても将来的に議論の芽を出すような形で検討はしたい。
     ポイントは専門性を担保しつつ、いかにして総合化を図るかということ。現行の二種免許状を取得しやすくし、子どもの障害の状態に幅広く対応させる。一種免許状はより専門的なものにする。大学の養成段階で一定の知識を身に付けておかないと、特殊学級、通級、ADHD等への対応ができない状況にあり、二種免許状については、小・中学校の通常の学級を担任する教員にも取得してもらいたい。また、専修免許状取得者が学校の中心的な役割を果たしてもらいたいが、現状ではそうなっていない。学校に籍をおきながら大学院に通う方策や現職教員の大学教員としての活用も検討するべき。自立活動を担任する教員の免許状については、盲・聾・養護学校の教員の免許状を有する現職教員が教員資格認定試験を受験して取得しているという状況にあり、非常に専門性が高いと評価されている。今後の検討の中で、自立活動について専修免許状に位置づけるなど、検討をしてもらいたい。
     秋田県の状況をいうと、特殊教育教諭免許状の保有率は90%を超えており、県全体としては100%を目指している。免許状を取得していない教員には、取得するよう指導している。その成果として教員が特殊教育に対する専門的知識と自信を有している。また、県全体の方針として、教員が一つの学校に長く勤務することによるマンネリ化を防ぐため、人事異動については、校種に関係なく7年目途で自分の経験したことのない学校へ異動させている。これにより教員は3〜4校の経験をすることになり、総合的に専門性を高めていくことができる。特殊教育の総合免許状については、専門性をいかに担保するのかということが課題である。その上さらに専門性を高める仕組みが必要。特殊学級を担任する教員については、特殊教育教諭免許状の保有率は31%ぐらいであるが、採用が1年目、2年目の教員が半数を占め、保護者とのトラブルが多い。このため、特殊学級へ指導主事や養護学校の教員が指導に行っていたり、特殊学級を担任する教員が養護学校へ研修にきている。特殊学級を担任する教員についても特殊教育の専門性を身に付けることが必要。
     聾学校は専門性に固執しすぎるとの批判を聞くこともあるが、そのことと免許制度のあり方の検討とは別の問題である。聾教育には、目に見えにくい専門性があり、盲・聾・養護学校の教員の免許状の総合化が避けられない場合も、免許の階層化によって必ず聾教育の専門性が確保できるようにすることが必要。また、各学校に一定数の専門性の高い専修免許状を取得した教員を配置するようにしてもらいたい。
     知的障害で視覚障害を併せ持つ子供もかなり増えてきており、盲だけ、聾だけの専門性では対応できなくなってきている。障害児教育全般のベースとなる知識が必要であり、その上に各障害種の専門性を身に付けさせることが必要。また教員養成の問題だけでなく、現職教育をどうするのかも重要な課題である。
     大学内で特殊教育の総合免許状の検討を行っているが、総合化した場合、どのようにして専門性を確保するのかということについては、専修免許状を視野にいれないと検討できない。学校の指導体制にも関わってくる。
     保護者は障害について基本的な知識を持っている。保護者の信頼を得るためにも、教員は様々な障害について最低限の知識を持つべき。
     様々な障害種に対応できることが必要であり、リーダーとなる高度な専門性を有する人が各学校に数人いるようにしてほしい。
     肢体不自由養護学校では、鉛筆を持てない子どもに対してどのようにして教科を教えるのかという教科の指導の在り方について検討することも重要である。


(初等中等教育局教職員課)

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