「大学における教員養成」と「開放制の教員養成」の原則により、質の高い教員が養成され、我が国の学校教育の普及・充実や社会の発展に大きな貢献をしてきたが、現在、大学の教職課程については、様々な課題が指摘されている。
教員免許制度についても、教員免許状が保証する資質能力と、現在の学校教育や社会が教員に求める資質能力との間に乖離が生じてきている。
我が国の教員養成は、戦前、師範学校や高等師範学校等の教員養成を目的とする専門の学校で行うことを基本としていたが、戦後、幅広い視野と高度の専門的知識・技能を兼ね備えた多様な人材を広く教育界に求めることを目的として、教員養成の教育は大学で行うこととした(「大学における教員養成」の原則)。また、国・公・私立のいずれの大学でも、教員免許状取得に必要な所要の単位に係る科目を開設し、学生に履修させることにより、制度上等しく教員養成に携わることができることとした(「開放制の教員養成」の原則)。
これらの原則は、質の高い教員の養成や、戦後の我が国の学校教育の普及・充実、社会の発展等に大きな貢献をしてきたが、戦後、半世紀以上を経た現在、大学の教員養成のための課程(以下「教職課程」という。)については、例えば、特に以下のような課題が指摘されている。
また、教員免許制度についても、これまで免許状の種類の見直しや「教職に関する科目」の充実など、逐次、改善・充実が図られてきたところである。しかしながら、平成16年10月の文部科学大臣からの諮問の際の説明でも指摘されたように、教員免許状が教員として最小限必要な資質能力を保証するものとして評価されていないことや、専修免許状の取得が学校現場で必ずしも十分評価されていないこと等、様々な制度的課題が生じてきている。
特に近年、学校教育をめぐっては、2.3において述べるように、これまでの専門的知識・技能だけでは対応できない本質的な変化が恒常的に生じており、教員免許状が保証する資質能力と、現在の学校教育や社会が教員に求める資質能力との間に、乖離が生じてきている。
初等中等教育局教職員課