徳山大学

実地視察大学の概要

課程認定を受けている学科等の概要

大学名 徳山大学 設置者名 学校法人 徳山教育財団
学部・学科等の名称等 認定を受けている免許状の
種類・認定年度
免許状取得状況・就職状況
(平成19年度)
学部 学科等 入学
定員
免許状の種類 認定年度 卒業者数 免許状
取得者数
教員
就職者数
実数 個別
経済学部 現代経済学科 200人 中一種免(社会) 平成11年度 124人 10人 10人 1人
高一種免(公民) 平成11年度 10人
高一種免(地理歴史) 平成11年度 10人
ビジネス戦略学科 100人 高一種免(商業) 平成18年度 63人 3人 3人 0人
中一種免(保健体育) 平成18年度 -
高一種免(保健体育) 平成18年度 -
福祉情報学部 福祉情報学科 100人 高一種免(福祉) 平成16年度 83人 6人 1人 1人
高一種免(情報) 平成16年度 5人
入学定員合計 400人 合計 270人 19人 39人 2人
備考 ・「学部・学科等の名称等」欄は、平成20年4月1日現在の名称・定員である。
・「免許状取得者数」欄の「実数」欄は各学科等の実人数、「個別」欄は各学科等内の教職課程ごとの人数である。

徳山大学実地視察報告

実地視察日:平成20年9月19日(金曜日)
実地視察大学:徳山大学
実地視察委員:野村新委員、山極隆委員

大学の教員養成に対する全般的な状況

状況

  • 2学部3学科で教員養成を行っている。
  • 平成18年度に、経済学部ビジネス戦略学科において、中学校一種(保健体育)及び高等学校一種(保健体育)の課程認定を受ける際に、留意すべき事項が付されている。
  • ビジネス戦略学科では、スポーツマネジメントコースの学生のみが保健体育の教員免許を取得できる。
  • 今後も全学を挙げて教員養成に取り組んで頂きたい。大学として養成しようとする教員像や教職課程の到達目標を明確にし、保健体育科教員としての高度な専門性を有する教員の養成を図り、結果に対する責任を持って欲しい。

教員養成に対する理念、設置の趣旨等の状況

状況

  • 開放制原則に則り、経済や福祉など、教育学部出身者とは異なる高度な専門性を備えた上での、さらに教授法や心理学などの教職技術を身につけることによって、社会の多様化・高度化に対応し、十分に地域貢献のできる教員の養成を目指している。
  • 経済学部ビジネス戦略学科においては、スポーツ全般の統括的な管理・運営に係わる包括的概念「スポーツマネジメント」という概念のもと、「経営学」、「マネジメント」などの専門性を活かした保健体育教員養成を行おうとしている。また、「協調性のある強いチームづくりに貢献できるマネジメント能力を備えた保健体育科教員」の養成を目指し、従来の保健体育教育で求められてきた専門的力量を超えて、さらにクラブ活動での効果的な指導が出来るような教員を育成することを理念としている。
  • 福祉情報学部福祉情報学科においては、専門的知識とメディア・リテラシーを備えた福祉科ならびに情報科の教員を養成することによって、専門家による学校現場への貢献を目指している。福祉科については、高度な技術を要する福祉の業務に対応できるように、介護ならびに情報の機器等を扱うことのできる福祉のリーダー的教員を育成を目指している。

講評

  • 開放制の原則は、学科が有する学問的な専門性と、授与しようとする教員免許の教科(保健体育科)としての高度な専門性の担保の上に成り立っており、本学の場合、保健体育科教員としての資質能力の育成が前提にあって、その上でマネジメント能力の育成が企図されるべきである。
  • なぜ経済学部で保健体育教員養成なのかを、大学の教員養成の理念や養成したい教員像とつなげて、より掘り下げる必要がある。
  • 学生が教職課程を履修することによって、保健体育科教員としての最小限必要な資質能力を持って、実際に子どもの前に立てるための教職指導体制の仕組みの構築と実施が急務である。
  • 教員養成の理念やカリキュラムなどのインプットのみでなく、アウトカム、すなわちどういう人材を育て、その人材がどう活躍していくのかも明確にすること。
  • 福祉と情報の教員養成を同一学科で併せて行うことはこれまであまり例のなかったことであるが、それを貫く統合の論理をもって構造化されなければ、「どっちつかず」の曖昧な教育研究に陥るおそれがある。

教育課程(教職に関する科目等)、履修方法及びシラバスの状況

状況

  • 教職課程の履修は2年次からとしている。
  • 保健体育の教科に関する科目として、学校教育における生徒への指導の内容も含めた授業科目「スポーツマネジメント」を開設している。
  • 体育実技等の教科に関する科目の中で、学科の専門科目ではなく、全学共通の総合科目として開設されているものが複数ある。また、シラバスにおいて、「水に親しもう!」(「水泳」)、「サッカー文化を理解させる事を狙いとする。」(「サッカー」)など、一般教養的な内容であることが窺えるような記載が見受けられる。
  • 「保健体育科教育法」及び「福祉科教育法」はすべて、集中講義で行われている。
  • 「各教科の指導法」や「教育の方法及び技術」の授業科目で、シラバスの内容では「教育課程の意義及び編成の方法」に該当するものになっているものが見受けられる。
  • 「教育相談」のシラバス内容が、カウンセリングの専門的な内容となっている。
  • 成績評価の基準として、「出席50%」、「出席70%」などの記載が複数の授業科目で見受けられる。
  • 教員によって、シラバスの様式や記載方法が異なっている。また、到達目標、評価方法、授業計画等が記載されていないものがある。

講評

  • 構造的・体系的な教育課程を編成すること。
  • 教職課程の履修が2年次からとなると、4年次にも授業を履修し、教育実習と重なる可能性がある。教育実習との単位の二重取得にならないようにすること。
  • 体育実技等の教科に関する科目については、教員として指導を行う前提となる高い専門性を身につけるための科目であり、一般教養的な内容であってはならない。専門教育科目等として内容の専門性を担保すること。
  • 授業に出席するのは当然のことであるため、出席するのみで加点するような評価方法は見直すこと。
  • 各教科の教育法の授業科目については、15週の授業にわたって行うのことが望ましく、集中講義はなるべく避けて欲しい。
  • 授業の内容については、教員間で連携し、内容の重複をさけたり、欠落部分を補完するなど調整して欲しい。
  • 「教育相談」は、カウンセリングの専門家を養成するための科目ではなく、教員を養成するための科目であるため、学校における教育相談を中心とする内容とすること。
  • シラバスの記載方法を統一すること。また、シラバスは学生との契約であるため、具体的な内容について、授業計画や到達目標も含めて明記すること。
  • 教育職員免許法施行規則で設置された教職実践演習は教員免許状を与えるために最低限必要な知識・技能を確認するものであり、大学として責任を持って学生に免許状を取得させることが求められる。そのためにもシラバスをきちんと作成しておくこと。
  • 学生の定員割れが起こっている大学が増加している現在、学力の低い学生を受け入れた場合にどのように対応するかは全国的な問題であるが、特に教員免許状の質を保証するために、教員としての最小限必要な資質能力が身に付くような指導体制の構築と実施が急がれなければならない。

教育実習の取組状況

状況

  • 実習校については、協力校、出身校、周南市中学校校長会に依頼して確保している。
  • 教育実習の受講資格として、「教育原理」「教育心理学」「各教科指導法」のみを履修済みであることが要件となっている。

講評

  • 平成18年7月11日の中教審答申にもあるように、母校実習はなるべく避けるべきである。実習校の教員との情報交換をしながら実のある教育実習を行って欲しい。可能な限り、大学の教員も実習校の授業に参加して欲しい。
  • 教員養成のための体系的な教育課程を編成し、教育実践の場に臨むためには、教育課程論や教育方法論等の実践的な内容の授業科目も履修することを要件とすべきである。

学校現場体験・学校ボランティア活動などの取組状況

状況

  • 山口県教育委員会の依頼を受け、地元小学校の発達障害児の学習支援を行っている。
  • 周南市内の小中学校における部活動の指導補助を行っている。
  • 今後、保健体育科の教職課程を履修する学生を中心に、地元の中学校・高校に対して部活動の指導補助ができるよう協力体制を構築する予定である。

講評

  • 山口県教育委員会をはじめ、近隣の教育委員会とのより一層の連携を図っていただきたい。

教職指導及びその指導体制の状況

状況

  • 教職課程委員会(全学共通)が、履修希望者の選抜、履修指導、実習校訪問等を行っている。
  • 教職に関する科目の専任教員の研究室を学生に開放し、学習指導要領や教科書、採用試験対策等の資料を備え、個人面談、相談等を行っている。
  • 教科に関する科目及び教職に関する科目において、教職経験を有する教員が0人である。
  • 教科に関する科目の兼任教員(非常勤講師)の占める割合が、学内の他の教職課程と比べて多い。その理由について、大学からは、全国的に経済学と体育学の両方の専門家が少ないためとの説明があった。
  • 免許状取得希望者数は、平成18年度以降、増加している。
  • 社会人や教員となるために必要な「人間力」を育成するため、平成19年度より「EQトレーニング」を中心とした「EQ教育システム」を全学的に導入し、全学的な教員の協力のもと新しい教育システムの構築を目指している。

講評

  • 「保健体育科教育法」の授業を視察したが、保健体育科の目的など「教育課程論」等で扱うような内容であった。教員間で議論し、授業を見学しあうなどして授業内容の整理が必要である。また、履修している学生数が多く、模擬授業ができるのか疑問である。
  • 「EQ教育システム」は特色のある取り組みであり、貴学の財産となるものである。より充実させ、教職課程にも活かして欲しい。
  • 保健体育科の大学教員による教職指導体制が構築されていない。答申では、「学生一人ひとりに対して、理想とする教師像を目指して履修指導などの教職指導をすべきこと」が求められていることから、この体制の強化は急務である。

教員養成カリキュラム委員会などの全学的組織の状況

状況

  • 教職課程の運営の組織として、教職課程科目担当者13名を構成員とする教職課程委員会(全学共通)を設置している。

施設・設備(図書等を含む。)の状況

状況

  • 図書館には、コース毎に関連書籍の書棚が置かれている。また、教員が授業等で使用する指定図書のコーナーもあり、学生はホームページから閲覧できる。
  • 体育関連施設として、総合グラウンド(400mトラック含む。)、野球場、サッカーグラウンド、武道場を有している。
  • 福祉情報学科では、入浴実習室や介護実習室、家政・調理実習室が備えられており、地域に対して「ヘルシーカレッジ徳山」という講座を開設し、これらの施設を活用している。

講評

  • 教員養成の視座に立った図書館経営の理念・哲学が求められる。
  • コースごとの書架や指定図書コーナーなど、学生にとって利用しやすい図書館となっておいる。今後は、教員養成の理念と結びついた集書計画、利用のさせ方の計画を立てることなども含め授業と図書管理用の連動性を考えた図書館経営など積極的に進めて欲しい。
  • 学生の規模に対して、図書や情報機器を含めた施設は充実している。特に、体育関連施設や福祉関連施設については非常に充実している。

お問合せ先

初等中等教育局教職員課企画係

(初等中等教育局教職員課企画係)

-- 登録:平成21年以前 --