資料2 全国連合小学校長会提出資料

平成27年8月24日


中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会 
部会長 小原芳明  様

 

全国連合小学校長会長 大橋 明

 

「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」
(教員養成部会 中間まとめ)に対する意見


1 検討の背景について
 現在の学校において、いじめ・不登校などの生徒指導上の取組や課題を抱えた家庭への対応、保護者や地域との協力関係の構築など、従来指摘されている課題に加え、変化の激しい社会を生き抜いていくための資質・能力の育成、特別な配慮を必要とする児童への対応、幼小中連携をはじめとした学校間連携への対応等、新たな課題が山積している。そのため、今後も学校や教員の果たす役割は益々増加かつ重大になってくると思われる。しかしながら、現在においても、教員の多忙化はかなり深刻な状況である。
 このことについて、教員養成部会が検討する際の背景として、取り上げていることには大きく評価しているところである。ついては、多忙化の解消を図り研修に十分な時間をかけるなど、解決していく具体的な方策も併せて検討し示していただきたい。

 
2 改革の具体的な方向性について
(1)  国が大綱的に教員育成指標の整備指針及び研修指針を提示し、各地域がそれを踏まえ教員育成指標・研修計画を整備していくことについては、方向性としてはよいと考える。ついては、教員育成指標・研修計画を策定する際には、学校の状況等をよく把握しながら策定するような仕組も併せて示していただきたい。そういう点では、教員育成協議会は各学校種の代表が参画できるような仕組になっているのはよい。
(2) 小・中一貫教育を推進するために、中学校の教員が小学校でも指導できるようにするために、免許状の併有の促進は必要とは思われる。しかし、いわゆるアクティブ・ラーニングの指導方法は小学校では現在も多く取り入れている。中学校等の教員が小学校で指導する際に、専門性をより発揮し効果あるものにしたい。そのためには、免許状の発行するにあたっては、それらの課題をしっかり整理し、養成段階の教職課程への位置づけ、研修の実施及びそれにかかわる時間の保障等も含め、国がある程度関与するようにしていただきたい。
(3) 初任者研修について、校内のメンター方式の研修や各地域内の教員同士の学び合いによる研修等は効果があると思われる。しかしながら、それに関わる教員の時間の確保と指導力の向上が大きな課題となる。このような研修システムが定着できるよう、国と都道府県教育委員会が連携を図り、時間の確保及びそれにかかわる人的支援等も含めた制度を確立していただきたい。
(4) 十年経験者研修と免許状更新講習について、教員の資質能力の育成という点では同じだが、それぞれの実施目的が違い、それに合わせた内容になっている。しかし、十年経験者研修については、各地教委等が主体になって実施しているが、対象者全員の資質・能力の状況に応じた研修になっているかとなると課題があると思われる。また、実施時期がほとんど同一であり、学校の中堅教員が同一時期に多くの時間を研修に費やすことは経営上も問題となっている。中間まとめにあるよう、制度的一律に実施するのではなく、その時期の設定及び研修内容等も含め柔軟に実施できるよう、教育公務員特例法の規定の見直しも含め検討すべきであると考える。
(5) 昨年度、教員の勤務実態を全国連合小学校長会が調査した結果、平成18年度、文部科学省が勤務実態調査した頃より、益々、子供と向き合う時間が少なくなってきている。教育行政においても、人的支援、校務支援システムの活用などの業務の精選や効率化などの対応を図る必要性は理解しているものの、勤務状況は益々厳しくなっていると思われる。ついては、教員の研修の充実を図るとともに、子供と向き合う時間を確保するためにも、国、都道府県教育委員会等は、教員の業務を見直すとともに、教職員定数の拡充を図ることが必要と考える。
(6) 学校インターンシップの導入については、若手教員が増加している今日、養成課程に位置付けることにより、学校の役割となる指導及びそれに伴う評価等が大きな負荷となることが予想される。各学校の現状に即して、インターンシップ担当教員の配置などの具体的な人的措置が必要であると考える。また、採用条件にインターンシップが必須となることにより、教員を目指す人材の減少、優れた資質能力を有する者の流出などが起こらないように配慮する必要がある。

 

3 新たな課題に向けての養成及び研修について
 現在、各学校において特別な配慮を必要とする児童が多くおり、その対応を図るための特別支援教育の充実、次の学習指導要領から実施される小学校における英語教育の導入、ICT教育の充実等が大きな課題として挙げられる。これについても、学校現場に求められている資質能力を踏まえ、養成段階の教職課程の内容、採用後における研修等について、連携を図った効果ある詳細な講習・研修の具体案を検討するとともに研修が荷重にならないように考えていただきたい。加えて、このことについては、現有の教職員のみで対応する難しさが予想されるので、このことについても、検討をしていただきたい。

 

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