中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会(第155回)議事録

1.日時

令和7年9月19日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

15F特別会議室(WEB会議)

3.議題

  1. 多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理(案)について
  2. 教育課程企画特別部会 論点整理(素案)について
  3. 教員養成部会ワーキンググループ等の設置について
  4. 令和7年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定に関する審査について
  5. その他

4.議事録

【秋田部会長】 皆様、おはようございます。
それでは、定刻となりましたので、ただいまから、中央教育審議会第155回初等中等教育分科会教員養成部会を開催いたします。
それでは、まず事務局から、会議の開催方法について、説明と事務連絡がございます。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 部会長、ありがとうございます。
まず、会議の進め方等について、確認をさせていただきます。本日の会議も、ウェブ会議と対面を組み合わせましたハイブリッド形式にて開催させていただいております。御発言時でございますけれども、画面の下部のリアクションボタンにある挙手ボタンを押していただき、あわせて、マイクをオンにして、御発言が終わったら、マイクをオフにしていただくようにお願いいたします。
以上でございます。
【秋田部会長】 柴田補佐、御説明をどうもありがとうございました。
それでは、本日の議事について申し上げます。議事は、議事次第にお示ししているとおり、4点でございます。
それでは、まず、議題(1)に入りたいと思います。前回に引き続きまして、今回の部会では、これまで皆様からいただいた御意見を本部会の論点整理としてまとめ、今後のさらなる議論につなげていきたいと考えております。事務局から、前回部会の御議論を踏まえた論点整理の案を修正してございますので、御説明をお願いいたします。
【大根田教員免許・研修企画室長】 ありがとうございます。
それでは、資料1-1に基づきまして説明させていただきたいと思います。
前回の御議論を踏まえまして、まず、大きく加わった部分として、2ページでございますけれども、本論点整理の位置づけが加わっております。構造化コンセプトを示すということで、2ページから4ページの部分が「はじめ」にと「各論点について」の間に加わっているところでございます。
2ページでございますけれども、まず上から、令和3年度以降の答申について触れております。1段落目が令和3年度の答申、そして次の段落が令和4年度、その次に令和6年度のそれぞれの答申の内容について触れた上で、下の部分、4段落目になりますが、これらの答申を踏まえた上での令和6年12月の諮問について触れているところでございます。
そしてその中で、議論としてということで2ページの後段、「これまで、」のところからですけれども、「子供たちの学び(授業観、学習観)の転換、教師自身の学び(研修観)の転換がなされていることを踏まえれば、「養成観の転換」が求められないか」という御指摘について。「また、かつてに増して変化を予測することが困難な社会になると言われる中、社会の変化に伴った学びの在り方の変化に対応できるよう、「学び続ける教師」を養成、採用、研修の各段階で育成していくべきであるとの指摘もなされた。」という点について書かせていただいているところでございます。
次の3ページ、上の「また、」の部分でございます。「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策についての試問と同時に、」というところで、「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方についても諮問がなされ、教育課程企画特別部会が教育課程部会の下に設置」され、そこでの議論について触れさせていただいています。「令和7年9月5日の部会において論点整理の素案が提示され、その中では、「多様な子供たちの『深い学び』を確かなものに」するという考え方の下、基本的な方向性として、ここに書かせていただいている3点が提起され」ということで、その内容をここに書かせていただいているところでございます。
その後段、「「みんな」が示す主体として、」というところですが、「学校の教職員は学校の教育の未来を切り拓く中心的存在とされているほか、「学びをデザインする高度専門職としての教師」が上記の3つの改善の方向性を支える基盤として位置づけられている」という関係性をここで示した上で、その下の段落でございますけれども、前段落で示しているマル1、マル2、マル3それぞれに対応する論点として、これらの点について「教育課程企画特別部会の議論と軌を一にして議論を行ってきた」ということについて示した上で、「本論点整理案は、」ということで、下の段落でございますけれども、「これまでの答申、また、教員養成部会における議論、教育課程企画特別部会における論点整理案の考え方を踏まえた上で、「「学び続ける教師」また「学びをデザインする高度専門職としての教師」を育成、確保」していくということについて、「養成・採用・研修の段階ごとに整理をしたものである。」点をここに示しているところでございます。
また、「今後」というところ、最後の段落でございますが、「本論点整理案の方向性を踏まえた具体的な検討をワーキンググループ等で進めていくとともに、今後取りまとめられる教育課程企画特別部会での論点整理や、その後の教育課程部会における議論等も踏まえつつ、次期学習指導要領の方向性を基盤として支える教職員の養成・採用・研修の在り方については、今後順次教員養成部会において具体的な方策を整理すべく議論していく。」という点についても触れさせていただいているところでございます。
本論点の整理の位置づけについては以上でございまして、あわせて、各論点の中での前回の御議論を踏まえての修正点を中心に説明させていただければと思います。
まず、5ページでございますけれども、1の四角の枠囲み、主な論点と議論の方向性でございますけれども、まず、「「学びに関する高度専門職」である」という点について、改めてここで追記させていただき、また、その次のチェックでございますけれども、「社会の変化に伴った学びの在り方の変化にも対応できる、「学び続ける教師」を育成していく必要があるのではないか。」という点、御指摘を踏まえて追記しているところでございます。
上から4点目でございますけれども、「あらかじめ決められた項目を網羅する学びは最小限に」という点については、「共通で学ぶ内容は厳選し」という形に表現ぶりを変えさせていただいているところでございます。
また、下から2番目でございますけれども、「子供たちの情報活用能力の抜本的向上を図るため、」というところについては、それ以外も念頭に置き、ここを削除した上で、「デジタル学習基盤を前提とした教育方法や学習評価、授業改善の力が身につく級課程が必要ではないか。」という形にさせていただいているところでございます。
次、6ページ、「教員養成における大学院での学びにおいて、」、ここが、そもそも、まず臨床的な学びではないかという御指摘も踏まえて、「臨床的な教育研究を位置づけていく必要があるのではないか。」と表現を変えさせていただいている点。
また、次のチェックでございますけれども、「「学び続ける教師」を育成する機関として、学生に提供する学びのアップデートを行えるよう、」という点を追加させていただいております。
枠組みの一番最後でございますけれども、「学校種等により検討すべき課題、求められる専門性が異なることから、今後詳細な議論を進める際には、学校種等で分けて検討を進めるべきではないか。」という御指摘を踏まえて、追記させていただいているところでございます。
これらについては、基本的な考え方ということで、6ページ以下のところに、それぞれ今申し上げた内容を併せて反映させているわけでございますが、加えて、幾つかの点、補足的に説明させていただきたいと思います。
7ページの上から4つ目の丸でございますけれども、「制度を設計する際は、現状だけを踏まえて詳細につくり込むのではなく、社会の変化に伴った学びの在り方の変化にも対応できるよう柔軟な形で設計することが重要ではないか。」という点、御指摘を踏まえて追記しているところでございます。
また、8ページで、上から3つ目の黒いポツでございますが、幼稚園に限らず、小学校以上の教師についても同様ということで、「豊かな人間性を育む」という文言を委員の御指摘を踏まえて追記させていただいたところでございます。
少し飛びまして、14ページでございます。2のカテゴリーとして、教師の質を維持・向上させるための採用・研修の在り方についてでございますが、枠囲いの中、1ページおめくりいただきまして、主な論点と議論の方向性の15ページのチェックで言いますと上から5つ目、「養成段階を超えて、」という点でございますが、「学べる環境づくり」に加え、「学び続けられる環境づくりが必要であり、」、この点も御指摘を踏まえて追記しているところでございます。
さらに少し飛びまして、具体的な内容が同様に基本的な考え方とされているわけでございますが、20ページの上から3つ目の丸に関しましては、「サプライティーチャー」の関係の部分について、この検討に際しては、「その際、将来の教師人材の育成も加味した制度設計についても検討すべきではないか。」、この点、委員の御指摘を踏まえて追記しているところでございます。
次は3でございまして、22ページ以降の点でございます。多様な専門性や背景を有する社会人等が教職へ参入しやすくなるような制度の在り方ということで、基本的な考え方を23ページ以降に記載しておりますけれども、24ページ上から3つ目の丸でございますが、「都市部とそれ以外の地域で、確保できる人材の量に差があるのではないか。」ということで、「全国レベルで人材を確保できる仕組みが必要ではないか。」という点について、御指摘を踏まえて追記しているところでございます。
また、その下、「管理職の負担に留意しつつ」という点を追記しているところでございます。
併せてでございますけれども、次のページをおめくりいただきまして、(3)特別免許状等のさらなる活用促進でございますけれども、3つ目の丸、「併せて、」というところでございますが、「特定の専門的能力や経験を有する者に特別免許状を授与する際、学校現場等での経験が少ない場合であっても、例えば、任用権者である教育委員会と大学等が連携して開発した特別なプログラムを履修することで、特別免許状の活用が促進されるような取組を検討すべきではないか。」という御指摘、この点、ここに追記させていただいているところでございます。
ざっとになりましたけれども、前回の御議論を踏まえましての変更点について説明させていただきました。事務局からは以上でございます。
【秋田部会長】 大根田室長、御説明をどうもありがとうございました。
それでは、続きまして、議題(2)としまして、教育課程企画特別部会論点整理(素案)につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【武藤教育課程課長】 教育課程課長の武藤でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
今、画面に出ておりますのが教育課程企画特別部会の論点整理(素案)ということで、9月5日の特別部会で出たものでございます。実は今日の夕方に次の特別委員会があるので、これの次のバージョンが出てまいります。そこには幾つかの重要な修正はございますが、重大な変更点はございませんので、これに基づきまして、この段階では御説明をさせていただこうと思います。
まず、目次でございます。第一章 次期学習指導要領に向けた基本的な考え方、それから第二章で質の高い、深い学びを実現し、分かりやすく使いやすい学習指導要領の在り方、この中に、中核的な概念ですとか、「学びに向かう力」とか「人間性」あるいは「見方・考え方」、さらには「個別最適な学びと協働的な学び」。
それから第三章として、多様な子供たちを包摂する柔軟な教育課程の在り方、この中に、「調整授業時数制度」あるいは高等学校段階における教育課程の柔軟化、さらには個別の児童生徒に係る教育課程の編成・実施の仕組みという特例制度も盛り込まれております。
第四章 情報活用能力の抜本的な向上と質の高い探求的な学びの実現ということで、この中に、小学校の総合的な学習の時間に情報の領域を付け加えるという提案ですとか、あるいは中学校の技術・家庭科を分離して、情報・技術科を創設してはどうか。
さらに第五章で、全体として教育課程の中に「余白」をつくっていくことによって、教育全体の質の向上につなげていく。
さらには、第六章 学習評価、さらに、第七章 その他諮問で提起された様々な重要事項が盛り込まれているところでございます。
これらの具体的な項目については、前回、この教員養成部会におきまして説明させていただきましたので、本日は、この中で新たに付け加わった第一章、それから第八章について、お話をしたいと思っております。
1点目、第一章の次期学習指導要領に向けた基本的な考え方でございます。重要なところですので、ある程度読み上げさせていただきますが、まず、改訂論議を貫く三つの方向性ということで、これまでの検討を総合的に踏まえ、次期学習指導要領に向けた今後の検討の基盤となる基本的な考え方として、以下を提起するということで、「主体的・対話的で深い学び」の実装、それから、多様性の包摂、そして、実現可能性の確保、この3つの方向性を踏まえて議論を行う。これらの3つの方向性に基づく改善は、教育課程内外のあらゆる方策を用いつつ、三位一体で実現されるべきものである。こういう整理をしております。
このうち、マル1につきましては、現行の学習指導要領が目指している、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を通じた資質・能力の育成について、一層の具現化・深化を図るものである。
このため、学習指導要領の目標・内容の構造化・表形式化・デジタル化、そして、学びに向かう力とか人間性等の重要概念の整理等を行いました。こうしたことによって、分かりやすく、使いやすい学習指導要領を目指していくという方向性でございます。また、思考力、判断力、表現力等を発揮する中で、知識の概念としての習得や深い意味理解を促すこと、他の学習や生活の場面でも活用できるような、生きて働く「確かな知識」を習得すること、そして、学びに向かう力、人間性等を育成することが一層重要となる中で、「主体的・対話的で深い学び」の実装は、次期学習指導要領に向けた第一の方向性とすべきものである。こういう整理になっております。
そして、このような授業改善に不可欠なものとしてデジタル学習基盤を位置づけております。しかしながら、その効果的な活用は、育成すべき資質・能力が十分に意識されず「深い学び」につながっていない事例もあるなど道半ばである。また、デジタルの負の側面への対応も含め情報活用能力の育成にも様々な課題が見られる。こういうことで、先ほども出てまいりましたが、小学校の総合的な学習の時間への「情報の領域(仮称)」の付加、それから、中学校での「情報・技術科(仮称)」の創設等の具体策を示した上で、情報活用能力を各教科等における探求的な学びを支える基盤と位置づけ、抜本的な向上を図る。こういう位置づけでございます。ただ、その際、知・徳・体のバランス、それから人間ならではの身体性、さらには実体験の重要性、こういったことを十分踏まえる必要があるということでございました。
2つ目、多様性の包摂、こうした実態に向き合うとともに、多様性を個人と社会の力に変える観点から、一人一人の意欲が高まって、可能性が開花されて、個性が輝く教育の実現を目指すものであって、第一の方向性と両立させることが不可欠な第二の方向性である。こういう整理になっております。
このため、「裁量の時間」をはじめとする「調整授業時数制度」の創設とか、学年区分の取扱いの柔軟化、それから、高等学校段階における単位制度の柔軟化、さらには、様々な子たちに対する特別の教育課程編成の仕組みの創設ということで、教育課程全体を包摂的な仕組みに改めていこうという方向性が示されているものであります。
次に参りまして、3つ目です。実現可能性の確保、これは第一・第二の方向性の両立を支え、実現可能とする観点でありまして、教育課程以外の勤務環境整備とも相まって審議全体に通底させるべき第三の方向性である。
このため、教育課程の枠組みとか、教科等横断的な事項とか、あるいは今後行われる教科等ワーキンググループにおける審議全般にわたって、教育課程の実施に伴い教師に過度な負担と負担感が生じにくい、持続可能な在り方を追求し、教師と子供の双方に「余白」を創出することで、豊かな学びにつなげる方向性を踏まえた検討を行う必要があるとなっております。
2つ目、自らの人生を舵取りする力と民主的な社会の創り手育成でございます。諮問の中では「正解主義」、それから「同調圧力」への偏りから脱却し、民主的かつ公正な社会の基盤として学校を機能させる必要性が指摘されました。この背景として、社会全体の構造変化がございます。生成AIなどデジタル技術の発展が相まって、みんなと同じことができることももちろん大事でございますが、それ以上に独自の発想や視点に価値が置かれるようになってきております。現在の学校教育の中で主体的に学びに向き合えていない子供も多くなっている。少子化に伴う入試による動機づけの変化や学習時間の減少等も踏まえまして、学びの動機づけをアップデートする必要があるのではないか。また、予測困難な時代に、労働市場の流動化、それから就業期間の長期化や、マルチステージの人生モデルへの転換が進む中で、しなやかに「自らの人生を舵取りできる力」が不可欠となりつつある。また、内なる国際化で人口の多様性が増しておりますし、SNSや生成AIの負の側面の影響もあって社会分断の可能性等も指摘される中で、デジタル時代に主体的に社会参画する「民主的な社会の創り手」の育成も喫緊の課題である。
このため、全ての児童生徒に育むべき資質・能力の具体化・深化と並行して、一人一人の「好き」(興味・関心)を育んで、「得意」を伸ばして、それらを原動力として学び全体への動機づけを図っていく取組をやっていくべきである。また、当事者意識を持って、自分の意見を形成し、多様な他者と対話や合意を図る取組も同時に進めることによって、これらが有機的に関わり合って高まっていくような教育課程に変革していく必要がある。こうした方向性をお示しいただいております。
こうした問題意識の下で、学びに向かう力、人間性等の概念の再整理ですとか、総合的な学習あるいは探究の時間を中心とした質の高い探求的な学びの実現、デジタル科の負の側面への対応を含む情報活用能力の抜本的向上、あるいは主体的な社会参画に関わる教育の改善、さらには裁量的な時間の創設、こういったことを議論してきたということでございまして、今後、さらに各ワーキンググループ等で検討を深める必要があるということでございます。
ここまでが基本的な考え方でありまして、これを整理してイメージ図にしたものがこちらになります。マル1、マル2、マル3を三位一体的に実現していく。それを支える基盤として高度専門職としての教師があり、また、デジタル学習基盤があり、あるいは「裁量的な時間」をはじめ柔軟な教育課程による余白があり、さらには教育課程以外の総合的な勤務環境整備というのもこれを下支えしていく、こういう構造でございます。
続けて、自らの人生を舵取りする力と民主的で持続可能な社会の創り手育成、こちらもイメージ図にしております。大きく「好き」を育み、「得意」を伸ばすという方向性、そして、当事者意識を持って、自分の意見を形成し、対話と合意ができる、こういう2つの方向性を打ち出しております。
どのようにしてそれが可能になるのかという各教科等での検討イメージとして、例えば総合的な学習の時間で、グループ探求に加えて個人探求というのも、これから重視していこうということ。それから、その隣の各教科等の下から2つ目でありますけれども、教科の中でも探求を重視していこうという流れ。そして、その上ですが、教科の中で自分の意見を表現する活動を充実させていこう、こういった流れでございます。さらには一番上、生きて働く「確かな知識」の習得ということでしたり、あるいは一番下で、家庭学習の内容を自律的に決められるような段階的指導というのも掲げているところでございます。
右側のオレンジ、当事者意識を持って、自分の意見を形成し、対話と合意ができるというところですけれども、児童生徒主体のルール形成とか行事の創造等の明確化、あるいは納得解の形成とか、安易な多数決の回避とか、少数意見の吟味、こういったことも並んでいるところでございます。
その下は、どちらかというと総則で書いていくようなイメージでございますけれども、個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実、これをしっかりと位置づけていこうという方向性や、あるいは科学的エビデンスに基づく、認知心理学とか学習科学全般にわたって、相当なエビデンスが蓄積されてきております。これを踏まえた授業方法や学習方法や学習方略の指導、さらには障害や認知特性など多様な実態を踏まえた様々な調整、アコモデーションでございますが、こういったこと、さらには、対話とか、合意とか、議論とか、自分の意見ということであれば、当然、それらが心理的安全性を持って実現可能にしていくような、この辺りも重要ではないかということであります。
全体として、教育課程の中で「好き」育み、「得意」を伸ばすということを重視していく中で、一番左側ですけれども、進路指導というのも一層充実させていく必要があるのではないか、こういった考え方でイメージ図を示しているものでございます。
最後、第八章で、今後の検討スケジュールでございますけれども、今回、この特別部会で本「論点整理」が取りまとめられて教育課程部会に上がった後、もう設置してありますワーキンググループで十分な検討をして、来年の夏頃までに取りまとめを行う。その後、年度中に中教審としての答申と、こういうスケジュール感でございます。
本部会と各ワーキンググループとの関係ですけれども、この「論点整理」を踏まえて、各教科等固有の議論を踏まえて、さらに豊かなものにしていくということで、各教科等とか学校段階に閉じたものであってはならないという方向性を示しております。
さらに、その他ということで、今回、小学校の総合的な学習の時間に情報の領域(仮称)を付け加える、あるいは中学校で情報・技術科(仮称)をつくるということで、これに伴った授業時数の増加が見込まれます。このことについては、全体の総枠は増やさないという方針もございますので、このことも踏まえながら、来年の春頃を目途に一定の結論を得る、こういう方向性を示していただいているところでございます。
すみません、少し超過しましたが、以上でございます。
【秋田部会長】 武藤教育課程課長、御説明をどうもありがとうございました。
それでは、ただいま議題(1)として事務局より御説明のあった多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理(案)について、また、議題(2)の教育課程企画特別部会論点整理(素案)も踏まえながら、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。多くの委員に御発言いただけるよう、今回、数えてみたら、1人3分強ぐらいお話しいただけるかと思いますので、よろしくお願いいたします。どなたからでも結構でございますので、お手を挙げていただけましたら幸いでございます。いかがでしょうか。
ありがとうございます。それでは、高橋純委員、それから荒瀬委員の順に御発言いただこうと思いますので、高橋委員、よろしくお願いいたします。
【高橋委員】 ありがとうございます。私、今日、中座させていただきますので、最初に発言させていただきたいと思います。
論点整理、おまとめ、ありがとうございます。私、特に多様な専門性を有するほうの論点整理の案について、大きく2つの観点からコメントさせていただきたいなと思います。
1つは、いろいろなところに書かれているんですが、例えば、授業観や学習観の転換、養成観の転換も起こる。この観の転換のことについて、教職課程の在り方の部分にも書かれているんですが、ここで4つの観が出てきていますが、この4つの観を統合するような大きな目標とか理念ということを常に意識していくことが、それぞれ4領域の観が転換していくことかなと感じております。観を転換するような工夫についても、よりよく検討していったらどうかと思います。
例えば、従来のようなPDCAみたいな考え方で、本当に観までもが転換できるかどうかと感じております。現状の課題を一つ一つ改善していくというような部分最適的な発想のみでは、従来同様の観を強化しているにすぎないのではないかとか、これがPDCA、特にPが小さいときにそんなふうに言えるのではないかというようなことを考えています。だから、理念が大事だということ。
もう一つは、道具というような、日頃の自身が置かれている環境によって、新たな方法での理念の実現の実効性を感じて、実行して観が変わっていくみたいな、この道具とか環境ということが非常に重要だと私は考えております。特に私の立場から見れば、情報をスムーズに、適切に流通させていくような仕組みがすごく重要と考えていて、例えば○○の高度化とか、深い学びとか、多様性の包摂とか、多様な働き方とか、そういうのを実現すればするほど、扱うべき情報はどんどん増えていきますし、今、何かを精選したとしても、いずれ、どんどん社会が進んでいけば、扱うべき情報が増えていくと思います。
実は今、GIGAスクール構想で整備された多くの環境は、システムの考え方的には、実は大学や役所よりも学校に整備されているシステムの考え方のほうが新しくて、それを役所が古い情報流通の考え方に押し戻して、学校に強いて仕事を増やしているようなところがございますので、そういったことも配慮していく。大きな目標や理念を常に意識していくような、それを支える道具といった環境を考えていくということが重要ではないかと思っています。
もう一つですが、一番最後に、養成・採用・研修の改善が有機的につながるための必要な方策というのがございまして、そこについて私が日頃感じているのは、教育委員会内とか自治体内で、やっぱりこういうような教育に関する施策を強力に実行する行政側の方がいかに増えていくか、いらっしゃるかということが非常に大きいなと思っております。たくさんの改革をしなければいけないときに、予算を取ってくるとか、制度を実効性のあるものにしていくとなると、強力な力のある行政官という方が必要で、そう考えていくと、学校の先生が行政に関わるということも非常に重要ですが、やはり行政の仕組みや法体系等を熟知された方がいらっしゃるということが非常に重要だと思います。必要に応じては、教員養成大学において、教育行政についてしっかり研究していく仕組みや人材を育成していくような仕組みということが、こういったものを実効性のあるものにしていく上で非常に重要ではないかと感じたところでございます。
私からは以上です。ありがとうございます。
【秋田部会長】 高橋委員、2点の御指摘をありがとうございます。4つの観の転換を統合的に全体的な理念を持ってやっていくこと、また、これまでのPDCA型ではない、より柔軟な、アジャイルな形で、システム最適を考え、そして、そのための道具、環境の重要性でありましたり、また、2点目としては、こうした大きな転換を支える教育行政の人材の養成ということも御指摘をいただきました。
それでは続きまして、荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。教職員支援機構の荒瀬でございます。
私、具体的な中身について、こんなふうに考えていただいてはどうかということではなくて、むしろ、最初の段階で感想めいたことを申し上げて大変恐縮ですけれども、2ページの総論が書き加わりました。もちろん全体をいろいろと直していただいているというのは当然のことながら、2ページの本論点整理の位置づけということで総論的な内容が加わりました。私、これ、とても大事なことだと思っております。しかも、この冒頭部分で、まさに、いわゆる令和3年答申から始まって、すなわち現行学習指導要領をどんなふうに展開していくかということについて、いろいろと議論していってまとめた令和3年答申、そこから書き起こしていただいているということで、今回の論点整理あるいは今後出てくるであろう答申についても、決して、どこか分からないところから生まれたというのではなくて、ずっと議論してきて、現場では取り組んでいらっしゃる。また、我々は我々で、これでいいんだろうかということで、あれこれと思索を繰り返している。こういったことが一つのまとまりとして、このような形で出てきているということが明らかになって、私、ちょっとこれは僭越な言い方かもしれませんが、現場の先生方も、きっと安心してお読みになるのではないかなと思っています。
さらには、各部会が単独で動いてあれこれという、みんなそれぞれの思いは重なり合いながらも、しかし、見た目には単独で動いているとしか見えなかったものが、先ほど武藤教育課程課長から丁寧な教育課程企画特別部会での議論の御紹介もあったわけですけれども、こういったことが本当に今回、諮問も同じ日でありましたけれども、両輪としてまさに動いているということがよく見えるということが大変重要なことではないかと思います。今後、この論点整理が一つの形をとって、さらには、また、秋田部会長を中心に、いろいろと、ああでもない、こうでもないということも含めて加えていって、よりよいものになって、答申になって、そして、それがきちんと現場に届いていく、1つの施策としても届いていくし、考え方としても届いていくということを期待しているものでございます。
以上でございます。ありがとうございました。
【秋田部会長】 荒瀬委員、ありがとうございます。
今回、新たに付け加わった本論点整理の位置づけの意味につきまして、令和3年からずっと、荒瀬部会長の頃から積み上げてきてくださったものの集大成であるということを現場にも発信し、そしてまた、教育課程企画特別部会との両輪で動いていくことの意義でありましたり、それが現場に届く施策であり、そして、また、考え方を示すものとして位置づくのではないかという御意見を賜りました。
それでは続きまして、松原委員、お願いいたします。
【松原委員】 まず、論点整理(案)をおまとめいただきまして、ありがとうございました。
改めて全体を読み直してみまして、やや細かいところですけれども、気づいたところを2点申し上げたいと思います。
まず、19ページの研修時間の確保のところでございますけれども、働き方改革の実行が不可欠なのはそのとおりですけれども、管理職がしっかりと、その業務が必要か、そうでないかということを判断して進めるということが重要と続く部分には、やや違和感というか、引っかかりを覚えました。
先日示された「学校と教師の業務の3分類」の指針への位置づけ(案)を見たときにも、教師の担う業務だが、負担軽減を促進すべき業務についてはもちろんですけれども、教師以外が積極的に参画すべき業務であるとか、あるいは学校以外が担うべき業務でさえも、管理職の判断だけで解決できるものは少ないと感じております。働き方改革であるとか、その後の環境づくりと関連させながら、少し丁寧に記述していただけるとありがたいと感じました。
そのことと関連して、「学び続ける」という言葉が繰り返し出てくるわけですけれども、その多くは、養成段階や大学院との関わりで書かれているという印象を受けました。採用以降について言えば、在職しながら教職大学院で学ぶということは非常に魅力的ではありますが、それを享受できるのは、どうしても一部の教員に限られてしまうということがあると思います。
15ページのところに、新たに「学び続けられる環境づくり」というのを書いていただいたわけですけれども、やはり校長としては、学校として学び続ける教師集団となっていくということが大切だと思いますので、研修時間の確保など、学びを支える、学び続けられる環境づくりが極めて重要であるということを申し上げておきたいと思います。
もう1点は、15ページにある日本版「サプライティーチャー」の仕組みをつくるというところですが、もちろん、このことは大変有意義だと思いますけれども、現在のように教員不足が深刻な状況では、すぐに機能するというのは、なかなか難しい面もあると思います。期待したいのは、臨時的任用教員や時間講師の任用に比べ、より容易に任用できるような、そういう仕組みづくりかなと感じております。これは管理職の負担への留意とも関連するわけですけれども、その検討が進むことで、最終的には臨時的任用教員や時間講師の任用の仕組みにも生かされることを期待したいと思っております。
私からは以上となります。
【秋田部会長】 松原委員、どうもありがとうございます。
3点について、19ページの書きぶりにつきまして、すぐ管理職というようなところにつなげて書いていくだけでよいかという、もう少し丁寧な説明の必要性をお話しいただきました。それから、15ページのところで、養成、採用だけではなくて、学校が学び続ける集団としていくための環境の整備の重要性。
そして、「サプライティーチャー」だけではなくて、より容易な任用の在り方、制度の検討というようなところについての御意見も賜りました。
それでは続きまして、内田委員、お願いいたします。
【内田委員】 ありがとうございます。ちょっとネットワークが不安定で、聞きづらい点は御容赦いただければと思います。全高長、都立三田高校校長の内田でございます。
おまとめ、ありがとうございました。私からは2点ほど、お願いと質問等も含めて、お願いしたいと思っております。
まず、先日、9月に入りまして、OECDの教育レポートが発表になりました。この中で、日本の教職員、特に給与面におきまして、世界の平均を下回るという報道も含めて行われたところでございます。教員養成につきましては、こういった処遇についても、応募あるいは大学での学びにも非常に大きな影響を与えると考えております。処遇改善に関わる文言をぜひこちらに盛り込んでいただければと思っておりますし、また、処遇改善の中には、教員専修、免許を取っても処遇が変わらないというような側面もございます。ここの改善を手当等も含めて何か講じることができないかというところは今後の課題ではないかなと思っておりますし、また、民間人の登用に関しましても、民間の給与に比べて、教員、教職公務員の給与が、なかなかそれに及ばないというところもあります。優良人材を登用するためには、こういった給与……(音声途切れ)
【秋田部会長】 内田委員、ちょっとお声が途切れているようですけれども。内田委員、聞こえますか。
【内田委員】 すみません、切れてしまいましたので、こちらから発言をさせていただきたいと思います。
【秋田部会長】 はい、お願いします。
民間人の登用のところからお願いいたします。
【内田委員】 すみません、もう一つの端末から、お話をさせていただきたいと思います。どこまで聞こえましたでしょうか。
【秋田部会長】 給与面の改善の必要性についてお話をいただきまして、民間人の登用のところから、途中で途切れました。
【内田委員】 はい、失礼いたしました。
民間人の登用についても、やはり、民間に比べて、有用な人材については、教職公務員の場合の方が給与が低いかと思います。こちらの登用に何かしらの配慮ができるような仕組みを構築する必要があるのではないかなと思いますし、全体にわたって、教職員の処遇改善というところが必要だと思いますので、ぜひ、このまとめのところに、教職員の処遇改善、給与改善について、何らかの形で盛り込んでいただく。その中で、今申しました専修免許、それから、民間人の登用についても整理をしていただくというところが必要ではないかなというところと、それを盛り込むことが可能かどうか、伺いたいと思います。これが1点目でございます。
2点目でございます。これから、それぞれ部会が立ち上がって、具体的に大学の先生を中心として、教職課程の様々な単位も含めた検討に入られると思います。教育実習も含めて、現場、特に小、中、高校の考えというところが非常に重要かと思います。そういった場面の意見が酌み取れるように、ぜひ、会議体についてメンバーを考えていただきたいと思いますし、既にメンバーについては人選が進んでいると思いますので、そういったところで難しいようであれば、意見を吸い上げるような場面を設定していただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
以上です。
【秋田部会長】 内田委員、ありがとうございます。
第1点目の給与の改善に関して、こちらに書き込むことができるかということは御質問でございましたので、後で回答いただきたいと思います。
そして、2点目の小、中、高の実習を受け入れる側の学校の意見をいかに今後のワーキングで入れていくようなメンバー構成とするのかということについての御意見も賜りました。
それでは続きまして、古沢委員、お願いいたします。
【古沢委員】 ありがとうございます。
私からは、質問も含めて3点ほど申し上げたいと思うんですけど、1つ目、20ページの「サプライティーチャー」、非常に教師の働き方という点ではよい制度だと思うんですけれど、この中に授業の質とか継続性を維持する仕組みについても言及が必要ではないかなと思います。人材の育成を加味した制度も検討しているということですけれど、恐らく臨時的任用教員などを新たに登用するということなのかなと思うんですけど、もうちょっと具体的に説明があったほうが分かりやすいのかなと思いました。
それと2つ目、23ページから多様な人材が教職に参入しやすくする制度というのも非常に重要だと思います。その中で、入職した際に職務経験などを考慮するというのは待遇面などだと思うんですが、それは確かに必要なことだと思います。それに加えて、採用試験などの際にも、民間から、社会人経験者が受ける際の負担の軽減をどう考慮するかというのは自治体によってかなりばらつきがあると思うんですけれど、軽減……(音声途切れ)
【秋田部会長】 古沢委員、お声が聞こえないんですけれども。古沢委員、固まられたようですが。古沢委員、私が切れたのでしょうか。
【古沢委員】 特に操作は何も変えてはいないんですけれど、どうしましょう。
【秋田部会長】 古沢委員、すみません、お願いいたします。
【古沢委員】 大丈夫ですか、聞こえていますか。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 すみません、事務局でございます。今、ネット回線が切れてしまって、一瞬、ZOOMが落ちたんですけれども、今、回復しておりますので、大変恐縮ですが、再度、御発言いただいてもよろしいでしょうか。申し訳ございません。
【古沢委員】 最初からということですか。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 冒頭、「サプライティーチャー」のところまではお伺いできておりまして、23ページというところから、恐らく切れているなと思いますので。
【古沢委員】 なるほど、分かりました。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 申し訳ありません、よろしくお願いいたします。
【古沢委員】 では、23ページの多様な人材が教職に参入しやすくする制度というのは私も非常に重要だと思うんですけれど、その中で、入職した際に職務経験を考慮するというのは待遇面などだと思うんですけれども、それは必要なこととして、さらに採用試験などの際に職務経験をどのように考慮するか、つまり、一定の負担を軽減するかしないかというのは自治体によってかなりばらつきがあると思うんですけど、それについての考え方を可能であれば触れる必要があるかなと思いまして、全く考慮していない自治体もかなり多いと思うんですけど、それが社会人の採用が進まない要因の一つになっているという見方もありますので、それも検討できればなと思います。
あと、最後に教員資格認定試験のところで、ちょっと前も申し上げたかもしれないんですけど、民間団体が試験実施機関になるという点について、教員は国家資格ではないんですけれど、同様のほかの国家資格などで民間団体が試験をやっている例というのがどの程度あるのかをもし分かれば教えていただきたいということと、教員の免許制度をどのように捉えるか、非常に影響が大きいと思いますので、その辺の整合性は特に問題ないのかという点を事務局に後ほど伺えたらと思います。
以上です。
【秋田部会長】 古沢委員、途中でちょっと途切れまして失礼いたしました。ありがとうございます。
1点目が「サプライティーチャー」について、もう少し、より具体的なことを書き込むべきではないかというような御意見。
それから、23ページの多様な人材の入職だけでない採用試験のところについての御意見。
そして3点目として、教員の資格認定試験の多様な、ほかの専門職の試験を民間が受けている場合はどうなのかということでの御質問だと思いますので、この御質問に関しましては、後ほど事務局から回答いただければと思います。
それでは、貞広委員、お願いいたします。
【貞広部会長代理】 ありがとうございます。千葉大学の貞広でございます。
まずは、こういう形で多様な意見をおまとめいただきました事務局に、お礼を申し上げたいと思います。
その上で、肯定的な意見として、2点申し上げたいと思います。
1点目は、荒瀬委員もおっしゃっていた2ページ目の本論点整理の位置づけ、この辺りをしっかりと書き込んでくださって、論点整理をどういうつもりで書いて世の中に出していくのかということが、すごく分かりやすくなったと思います。前回、私、事務局の方々に大変失礼なことを申し上げまして、論理の構成の主客が逆転している、この時点で言うなみたいな意見を申し上げたんですけれども、これがしっかりと書き込まれたことによって、こういうつもりでというか、こういう方向性でこの論点整理がまとめられているということが明確になったと思います。ありがとうございます。
2点目でございます。ちょっと細かいことですけれども、用語の変更として、「教育臨床研究」ではなく、それを「臨床的な教育研究」と加えて書き換えてくださっている点、ここもすごくワーディングの変更として広がりがあるものとして評価したいと思います。受け止めは人によって違いますけれども、一般的に「教育臨床」といったりすると、心理的なアプローチを中心に据えて、人の心や行動、発達を支援する臨床的アプローチをイメージする方がいらっしゃるかと思います。これもとても大事ですけれども、これだけではなくて、例えば先ほど高橋委員がおっしゃったように、フィージビリティーを意識して、法的な理解であるとか、教育行政の仕組みや機能について理解するとか、教科の新しい価値について創造的に研究をするとか、もっと現場という臨床を使った上で研究を求められるものというのは広がりがあると思いますので、狭いものとして誤解されないという意味でも、もっと広がりと深みがあると受け取っていただける意味でも、「臨床的な教育研究」という言葉に変えていただいたことはとてもよかったと思いますし、だからこそ、これを基に今後のワーキングの議論が進んでいくことを期待したいと思います。
以上でございます。
【秋田部会長】 貞広委員、ありがとうございます。
2点の修正による意味ということ、2ページからのところで整理の目的が明確になったこと。
また、2点目としては、「教育臨床」から「臨床的な」というような形で書換えがなされたことで、より幅広く、明確になったのではないかという御意見を賜りました。
小原委員、お願いいたします。
【小原委員】 ありがとうございます。
論点整理の7ページに、学び続けることができる教師の養成がのべられています。この場合、ある意味、学び続けることへのメリットとか、報酬でもある研修を受けていくためのインセンティブとなるようなものまで含めて検討していっていただければと思います。学び続ける教師を目指せ、目指せと言われても、教員にとっての目的、研修の結果どういうメリットがあるのかまで含めて考えていかないと、下手をすると、研修というのは罰として受けなければいけないのではないかと、罰則的なものに見られてしまうと思います。そこはやはり、受け手側から目に見えるものがあって、それが一部インセンティブとなっているというような仕組みを考えていっていただければと思います。教職大学院の例がそうです。教職大学へ行って、専修免許を取って何なのか、2年間苦労して、何もないというのが現状です。そうならないためにも、やはり学び続けるということを言うのであれば、研修を受けることで手にする「何かを」まで含めて検討していっていただければと思います。具体的な例として、例えば資格給のようなものが付与されるといった形も考えていただければと思います。
もう一つ、民間企業による特別免許の資格認定です。これも、教員を採用する側からすると、付与された免許の妥当性というか、大学で履修して、教育委員会から得られた教員資格との比較でどういう妥当性があるか示す必要があります。いわゆる教師が教壇に立つのを周りから見たときに、その人が、教師として認めてもらうレベルです。これがないと、そういうところから発行された資格を持っている人を採用する側からすると採用が難しくなると思います。
以上2点です。
【秋田部会長】 小原委員、ありがとうございます。
1点目として、学び続けることのインセンティブとか目的の明確化。
また、2点目としては、特別免許を民間が行う場合の妥当性ということについて、どのように考えていくのかということでの御意見を賜りました。
ほかに御意見、ぜひ、それぞれの先生に御発言いただけたらと思いますが。
ありがとうございます。青海委員、お願いいたします。
【青海委員】 論点整理をおまとめいただきまして、ありがとうございました。
今後の議論等への思いとか願いをお話しします。1つ目は、多様な人材の登用、それから質の高い教職員集団の形成についてですけれども、教職に興味や関心、また、魅力を感じている学生や社会人を可能な限り1人でも多く教職の世界に導くこと、そして、参入していただくことが大切だと思っています。教職への思い、子供が好き、学校が楽しい、このような思いの強い人材は、学校ではよく学び、研修意欲も旺盛で、活躍しています。学校の教員は専門性があればいいということではないと、実感しています。
2つ目は、大学での学びについてですけれども、教職課程を設置する大学、大学院での学びはとても大事です。各大学の特性を生かした教員養成ですとか、学生が専門性を高めていける履修となるための改善、学生が自らの強みを高められる柔軟なカリキュラムが必要です。より現在の学校現場に近い授業、そのために、大学へ授業力の高い教師や指導主事の派遣なども検討できればよいのではないかと思います。
さらに研修ですけれども、中教審の企画特別部会での議論とリンクする部分で、教育の質の向上のための教師の時間的余裕、いわゆる教師の仕事に余白を創出することが最重要です。
加えて、私は何度も申し上げていますけれども、学校現場でかなりの割合を占める臨時的任用教員、時間講師の授業力向上の環境整備も検討してほしいと思います。
最後に、広報戦略についてです。教育は人づくりであり、教職は人をつくる最高の職業です。私たちが抜けられなくなるほど夢中になった教職がいかに魅力的なのか、教職の社会的意義を国主導で発信することが大切です。これは文部科学省へのお願いです。
余談ですけれども、生徒たちは、映画やテレビの影響は絶大です。例えば救急医療のドラマで医師の活躍や感動場面にターゲットが当たると、医師への憧れや話題で持ち切りです。警察官なら刑事などの活躍、感動のドラマがはやると、警察への関心や興味、この話題で持ち切りです。かつてそうだったように、学校や先生をテーマにしたドラマや映画で教師のやりがいや喜びなどが取り上げられれば、きっと教職への魅力や憧れが高まると思います。これは私のつぶやきです。
以上です。
【秋田部会長】 青海委員、ありがとうございます。
まず、専門性と同時に、子供や学校が好きな人が教員になってほしいということへの期待と、それから、2点目としまして、大学の養成に授業力の高い教員や指導主事を派遣してはどうかという御意見。そして3点目としては、広報戦略をより考えてほしいということでの御意見を賜りました。ありがとうございます。
それでは続きまして、内田委員からお手が挙がっていると思いますので、内田委員、お願いをいたします。
【内田委員】 すみません、2度目の発言で申し訳ありません。先ほど小原委員からお話がありましたけれども、学ぶことが罰になるというようなところなんですけれども、やはり日本人については、大学を出た後の学びが十分でないというような話もあったりします。
実は我々教員にとっては、この部会の中でも御説明したとおり、任意の研修団体等が非常に充実しているというふうに思います。そういった意味では、学び続けることの意欲であるとか、学び続けることが御褒美であるんだというような意識を持って取り組んでいる方が非常に多いし、それは自己犠牲ではなくというところだと思いますので、学ぶことが御褒美になるようなシステムも含めて考えていくことが必要ですし、この部会ではそういったことで、教職大学院の現職派遣も含めて考えてきたと思いますので、レポートの中にうまいことそこを盛り込んでいただけるとありがたいのかなと。インセンティブというところ、それから学ぶというところは非常に意義があるし、意味があるし、意欲的で、ある意味御褒美的なところなんだと、学びながら仕事ができるというところでは、我々の教員というのは非常に崇高な仕事なんだなというふうに感じておりますので、ぜひお願いしたいところであります。よろしくお願いいたします。
【秋田部会長】 内田委員、ありがとうございます。学び続けることのインセンティブ、御褒美というようなところの価値づけをもう少し記入できないかという御意見として拝聴させていただきました。ありがとうございます。
それでは続きまして、松田委員、岡本委員、そして安田委員、お願いしたいと思います。
それでは、松田委員、お願いいたします。
【松田委員】 ありがとうございます。現在、複数の部会が同時並行で進んでいる中で、それぞれの議論がどのように密接に連携され、整合性を保っているのかについて、私自身が中教審の仕組みそのものをより深く理解する必要があると感じております。
先ほど、特別部会での議論の内容をご共有いただきましたが、我々教員養成部会での議論とは、まさに表裏一体の関係にあると認識しています。教育課程の実現可能性や実効性を確保する上でも、教員の養成・採用・研修の在り方は不可欠な要素であり、特に教育課程側で提示されたエクセレンス・エクイティ・フィージビリティという基本方針は、教員養成や採用・研修にもそのまま反映されるべき指針だと受け止めています。
そこで1点、両部会にまたがってご参画されている委員の皆様にお伺いしたいのですが、現在の議論において両部会の方向性や整合性に齟齬や不足はないでしょうか。もし何らかのずれがあるとすれば、早い段階で共有・調整を行うことが非常に重要だと考えます。
秋田部会長や、もしかすると貞広代理も両部会に関与されているかと思いますので、もしそのような観点でご共有いただけることがあれば、ぜひお願いしたく存じます。いかがでしょうか。
【秋田部会長】 松田委員、ありがとうございます。これは質問ということでございますね。
【松田委員】 そうですね、質問として。すみません、不適切だったら申し訳ないんですけれども。
【秋田部会長】 いえいえ。
【松田委員】 先ほどお話はいただいたものの、その内容を受けて改めて思ったのは、今回の指針について、何か抜け漏れがないか、この方向性で本当に良いのかという点について、我々がしっかりと考えることが重要なのではないかということです。
ただ、先ほどは非常に多くの情報をご共有いただいたこともあり、私自身、その一つひとつの内容を丁寧に確認しながら、教員養成側として今後何を検討していくべきか、すぐに頭を働かせることができておりませんでした。
そのため、両部会にご参加されている皆様のご視点やお考えを共有いただくことで、我々にとっても新たな気づきやインスピレーションが得られるのではないかと感じております。
これは質問というより、むしろ要望に近いかもしれませんし、この場でなくとも構いませんので、お伝えさせていただきました。
【秋田部会長】 ありがとうございます。それでは、こちらは私と貞広委員から後で、質問についてまとめて回答というか、個人的なそれぞれの見解になるかと思いますが、お答えさせていただきたいと思います。松田委員、ありがとうございます。
それでは続きまして、岡本委員、お願いをいたします。
【岡本(潤)委員】 ありがとうございます。大きな感想として、教育、学校教育を考えるときに、幼児教育を大事に考えていただきまして、要所要所で幼児教育という言葉を出していただきましたことに、改めまして感謝を申し上げます。幼児教育は保育という言葉で語られることも多いのですけれども、このような教育全体を示す資料の中に幼児教育という言葉があるということは、やはり教員たちの、教職員の励みになるということが挙げられるかと思っております。
幼児教育は人生の基礎教育の、それを支えるものだということは十分に認識して働いている私たちですけれども、例えば特別部会の資料などを拝見しましても、例えば6ページですとか、矢印が伸びているところに、どうしても小学校からという矢印になってしまいまして、もちろん小さな字で全てを網羅するものではないという記載はあったとしても、やはり支えているところ、幼児教育があることをお示しいただくと、教員たちのやりがいにもつながると思います。あとは資料2の91ページのところに特別支援の表記があるのですけれども、学習指導要領に関することではあるのですけれども、そこに幼児教育の表記も加えていただきたいと思います。幼稚園も特別な支援を必要とする子供たちの教育に関しては課題もございますし、それがおのずと小中学校へつながっていったり、特別支援学校にもつながっていっておりますので、そのような表記もあったほうが、それもより教育全体としての枠組みを示す上では大事であるかなというふうに思っております。
全てを今全部見て、網羅してお話しすることはできないのですけれども、幼児教育、これからもそれを支えるということが、保育者、先生たちのやりがいにもつながるということも申し上げておきたいということで、感想をお話しさせていただきました。
以上でございます。
【秋田部会長】 ありがとうございます。こちら特別部会のほうの論点整理のところの幼児教育の話かと思いますが、質問というより、もし武藤課長のほうから補足がございましたら、今いただきますか。後ですか。
【武藤教育課程課長】 いえ、今。貴重な御意見ありがとうございます。2点ございます。
1つ目が6ページのイメージ図ですけれども、まさに先生と同じような御意見が前回の特別部会でございまして、これから今日の夕方に出す予定のものについては幼稚園を明確に位置づけて、この中で一体的に御理解いただけるような工夫をしてございます。
それから、92ページのほうの特別支援のところにつきましては、今日の貴重な御意見というのを、うまくこの後、特別支援の部会、あるいは幼児教育のワーキングがございます。この辺りの議論に反映できるように、私ども事務局としても調整をしたいと思います。
以上です。
【秋田部会長】 岡本委員、ありがとうございました。
それでは続きまして、安田委員、お願いをいたします。
【安田委員】 ありがとうございます。安田です。特別支援教育の関係で代表で出ておりますが、今回は、長く学校現場にいたという観点で感想を述べさせていただきます。
じっくりこの観点整理を読ませていただくと、いろいろな深みが分かってきますが、例えば新聞であるとか報道であるとかというのは、とても一部を切り取られて、注目の集まる言葉に焦点が当たり、そして世間の教職への理解があまりよいイメージではない方向に動いていく傾向があると感じています。やはり一度押さえたいのは、教員というものが、知識や技能や専門性があるだけではなくて、その専門性の中には幼児、児童、生徒を見取ること、関わること、そして実態把握をしたり評価をしたりという専門性というところにやはり重きが置かれなければいけないし、教えること、伴走することという意義が改めて前面に出てくるといいなと。しっかり読めば分かりますけど、やはり新聞で取り上げられるところはサプライティーチャーの片仮名であったりするので、逆に言うと、専門性がなくても人を補えばいいのかというふうに現場的には捉えてしまうというような感想を持ちました。
青海先生が先ほどおっしゃられたように、広報戦略的に、どう教職の魅力を上げていくのかというのがなかなか思いつかないんですけれども、社会全体の教職の魅力をアップするというところが、結果的には一番、人材を確保するという点で重要なのではないかなと思いました。その意味で、内田委員がおっしゃった処遇改善であったり、柔軟な任用方法の改善だったりというところが話題になってくるといいなと思いました。
そして、最後の感想になりますが、資料1―2の整理案のほうにも概略の案が載っておりますが、ここに例えば「シニア人材から始めて実例を増やし」というようなところが載ってくると、やはり企業さんからはシニア人材からしか来ないのかなという全体的なイメージも確かにあるので、ここも先ほどお伝えした、知識・技能がすばらしい人、それも大事だけれども、やっぱり教えることをしっかりと押さえていただきたいなというのが感想です。ありがとうございました。
【秋田部会長】 安田委員、どうもありがとうございます。より専門性が明確に伝わるような形、そして広報戦略でありましたり、それから柔軟な任用制度等が今後実現するような形で、やはり専門性を重視した形で企業、民間との関係もつくっていくことの必要性、御指摘いただきました。ありがとうございます。
それでは続きまして、白水委員、森田委員、石川委員とお願いしたいと思います。
白水委員、お願いいたします。
【白水委員】 白水です。今回、論点整理に「本論点整理の位置付け」が加わったことについて、私も高く評価したいと思います。この位置づけ、あるいは方向性を示したものに対して、それぞれの細かい論点というのがございますが、この論点に対するソリューション、解として出てくるものが、最後のところで、位置づけ、方向性に対してどういう答えを出したのかが見通せるような形で、今後のワーキンググループも含めた議論を進めていけるとよいと自戒も込めて考えておりました。それが先ほどの委員の「サプライティーチャーとか片仮名のところだけが独り立ちしてしまう」といった懸念も含めて、「このサプライティーチャーというのは全体の中でこういう位置づけだ」ということを、最後のゴールや抜け方を考えながら議論を進めていけるとよいのではないかなと思いました。
そのような観点で、もう少し私たちがやっていることを社会に分りやすく伝えていくというときに、この「学び続ける」ということが一つの大きなキーワードかなと思います。では「学び続ける」とはどういうことなのかが分かりやすく社会に伝えていけるとよいと考えたときに、先ほどの青海委員の「子供が好き、学校が好きな方に先生になってほしい」という発言が非常に印象的だったんですけれども、一言そこに加えるとすると、「子供が好き」と言うと勘違いしてしまう一般の方もいるかもしれないので、「子供の学んでいる姿が好き」ということだと言えるとよいのではないか。さらに「学校が好き」というときに、先生が学校が好きなせいで、子供たちが学校が好きになって、学校にずっといられても困るので、実は学校を出て独り立ちして生きていく力をつけるために学校というものがあって、そのために学校の中で、今は内容だけではなくて、学び方も学んでもらっていて、だからこそ、学校を出て自分独りでも学べるし、周りの人と協働しても学んでいける、それが学び続けるということであって、それが社会を支えていく力になるんだ、それが「学校で学ぶことが好き」ということなのだと伝えられるとよいのではないか。さらに、だからこそ、そうした資質・能力を育てる先生も、多少子供が苦手という方も入って構わないので、子供が学んで独り立ちしていくための場をつくるために先生である私も学び続ける、そんな力をつけていこうと、そんなふうに全体のビジョンというのが分かりやすく伝えていけるといいのではないかなと、そんなふうに考えました。
以上です。
【秋田部会長】 白水委員、どうもありがとうございます。まず1点目としては、本論点整理の位置づけが出て、個別の施策が出て、それが全体としてまたどう位置づいて見通しができるのかというようなことが、最終的なまとめではより見えていくといいのではないかという御示唆をいただきました。また、学び続けるということの意味でありましたり、そこについての書き加えの御提案の御意見をいただいたかと思います。ありがとうございます。
それでは続きまして、森田委員、お願いいたします。
【森田委員】 よろしくお願いします。森田でございます。
本当に丁寧にまとめていただきまして、誠にありがとうございました。この論点整理の案につきましては、特に異存ございません。
1点だけ、今後の議論に関する意見のようなことでございますが、教師の養成、採用、それから研修の一体的な改革ということについては、かなり以前の答申から繰り返しいわれている点であると思っています。改めて、今回のこういった論点整理の内容を実現していくためには、養成、採用、研修の一体的といいますか、養成、採用、研修全体を見据えて、教師の力というのはどう育っていくのかという視点をやはりどこかで持っておかないと、個別の議論をし始めたときに、結局、養成は養成、研修は研修ということになってしまうのではないかと思っています。先ほどからの委員のみなさまの発言にもありますような学び続ける教師ということを考えたときもそうだと思いますけれども、以前にも本部会で発言させていただきましたように、やはりどこまでが養成で担うべきことで、どこから先が研修で担うべきことであるのか、そして、それぞれの役割が何であるかということをまず踏まえた上で、それでは、それらがどう連携していけば、より教師の力が高まっていくのかという、そういった視点をぜひ念頭に置きながら議論を進めていただければよいなと感じているということでございます。
以上、簡単でございますけども、1点だけでございます。
【秋田部会長】 森田委員、ありがとうございます。養成で担うべきこと、研修で担うべきことと一体的になりながらも、それぞれの役割やその在り方を今後さらに明確にという御意見を賜りました。ありがとうございます。
それでは続きまして、石川委員、お願いいたします。
【石川委員】 石川です。よろしくお願いします。私は心理の立場から少し発言させていただきます。
本当にこの論点整理、とても充実していて、ありがとうございます。読ませていただきました。それで、2点ほどですけども、やはり先ほどから出ています学び続けるというのは大変大事なことで、そしてまた教師というのは学び続けながらキャリアアップができるんだという、そういうような視点で、確かにそうだと思うし、そういう仕組みになっているということはいいなというふうに思うんですけど、一方で、やっぱりインセンティブの話が出ましたけれども、先生、教師がどんどんどんどんやることがあって忙しくなるんだと、いろいろな教育課題もあって、さらに学び続けるということで、なかなか忙しいというところで負担感も出てくると思うんですよね。
ですから、学び続けられてありがたいんだという意味と同時に、例えば20ページ辺りにサバティカルの話なんかもちょっと書いてございましたけれども、何か少し、キャリアアップして学んだらばこんなようなインセンティブがあるとかということが構造化が確かに図れると、長い教師人生の中でいろいろ、10年目、15年目というふうに計画が立てられて、意欲も続くのかなというような、ちょっと印象も持ったところです。
あともう1点は、7ページのところに臨床的な教育研究とかということが書いてございまして、本当にありがたいなと思ったんです。私は心理の立場ですから、例えば不登校が中学生などでは本当に十数名に1人というような形で、出現率が増えていますよね。そういう中で、文科省でもCOCOLOプランで校内フリースクールを進めるとか、そういうような動きがあって、ただ、本当に全ての先生がそのことを学んで、また全てやるんだというので、なかなか学ぶことが多くて、負担も大きくなりますので、例えばそういう発達支持的なこととか、心理、福祉に詳しいようなところを、少し専門家を、専門的な学ぶ分野を少し細分化していくとか、何か重点的にしていくとかとしないと、なかなか難しい点もあるかなと思いますので、例えばそういう不登校関係とか、それからアコモデーションとかそういうことをたくさん学んだ方は、少しそういうところに集中的に、校内フリースクールなんかに関わるために授業数が減らせられるとか、何か少し構造化が図れるといいかなという印象を持ったところでございます。
以上です。よろしくお願いします。
【秋田部会長】 ありがとうございます。1つは見通しを、学び続けることによって、やはり先ほどからの御意見にあるようなインセンティブであったり、ライフコースでどういうような見通しが持てるのかというようなところの情報を示したり、それから、臨床研究を行うというようなことがどのような形につながっていくのかが見えるといいということで御示唆いただきました。ありがとうございます。
続いて、古沢委員までで一応打ち切らせていただきたいと思います。古沢委員、お願いいたします。
【古沢委員】 2回目の発言で申し訳ありません。手短に。
私も報道の一端を担う立場としてちょっと説明をさせていただきたいと思うんですけれど、私も確かに先ほどサプライティーチャーのことを申し上げたんですけど、これは確かに、でも片仮名だからとか目新しいからということではなくて、私が先ほどもう一つ言った教員資格認定試験の民間団体実施のこともそうなんですが、新たな制度変更がありますと、やはり子供たちとか保護者の立場から見ると、それが教師の在り方とか教育にどのような影響を及ぼすのかというのはやはり非常に重要なことなので、外部から見ますと、新たな制度変更があると、それの及ぼす影響、あるいはもし副作用があった場合、副作用を及ぼさないための仕組みというのは必要だということを申し上げたつもりで、御理解いただければと思います。
以上です。
【秋田部会長】 古沢委員、ありがとうございます。報道のお立場から少し補足をいただきました。
それでは、先ほどから何点かございました御質問について、事務局から、それから松田委員からの御質問については貞広委員と秋田のほうから答えたいと思います。
それでは、事務局のほう、お願いいたします。
【大根田教員免許・研修企画室長】 ありがとうございます。いただきました御質問2点に関してお答えできたらと思います。
まず1点目でございますけれども、処遇の改善に係る御質問に関しましては、どのような対応が可能かにつきまして、事務局としていただいた御意見を踏まえて検討させていただきたいというふうに思います。
また、2点目でございますけれども、教員資格認定試験の関係でございます。御議論の中で出てきた御意見、具体的には24ページのところでございましたが、御指摘いただいた点、民間団体が実施をすることが考えられるのではないかという点、また、その際の試験実施機関としての質保証の在り方ということについての御意見、御議論の中で出てきた御意見を踏まえてここに記載させていただいておりますけれども、まさに委員から御指摘のありました、他の資格がどのような設計になっているのかというところを今後、このいただいた御意見を踏まえまして比較検討させていただいて、どのような対応ができるかという点を今後考えていきたいというふうに考えているところでございます。
まず、事務局からは以上2点でございます。
【秋田部会長】 ありがとうございます。それでは、今、2点、回答いただきました。今後またさらに検討が必要になるところかと思います。
そして、続きまして、松田委員からの教員養成部会と教育課程企画特別部会の間での議論にそごがないのかということでございます。いかがいたしましょう。では、まず私のほうから御説明をして、その後、貞広教育課程企画特別の座長のほうから御意見いただくのでよろしいでしょうか。
私としては、全くそごはないというか、論点整理ができたのも今でございますので、またこの間、貞広委員が、双方向というよりは、これは教育課程をどういう形で今度教員養成部会のほうで教員養成や研修に生かしていくかという方向性のほうが、現実にはなかなか強いものになろうかと考えてございます。その中で、このような形で位置づけを書いていただいたりしているところで、今後ワーキングでより詳細に考えていくということが必要であろうと思いますし、本日、松田委員のほうから、例えば今日の全体の教育課程部会のエクセレンスとエクイティーとフィージビリティーという観点が、教員養成部会のほうの今後の考え方の中にも入るといいのではないかというような貴重な御示唆をいただいたと思いますので、その辺りについては、今後まとめを考えていくときに、どのような形でより整合性を高めていくのかとか、より具体的に精緻に考えていくのかというところを議論していく段階かと考えます。齟齬はないけれども、より精緻に一般の教員の方々が分かりやすく、統合していると見えるための形をつくっていくことが必要だろうと思います。
一方で、今回の論点案のほうで書き加えられていますけれども、時代の変化が急激でございますので、それに合わせて柔軟に変更ができるような形というので、一対一で、教育課程がこうであるから教員養成課程はこうでなければならない、研修はこうだというようなものをかっちりするよりは、アジャイルな形で対応ができるような形の文章で考えていくということも必要でございますし、それから、両部会に出ている者の責任として、教育課程部会のほうでも、こちらで委員の皆様からいただいた意見は今後も積極的につないでいくような役割は果たしたいと考えているところでございます。
それでは、貞広委員、いかがでございますでしょうか。
【貞広部会長代理】 松田委員、御質問いただきましてありがとうございます。本来であれば、そういうコメントを私のほうからするべきだったと反省もしております。
結論から申し上げますと、連動したそれぞれの論点整理になっていると私は評価をしております。正直申し上げまして、前回までのこの会議では若干の不安がございまして、結構辛口のコメントもして事務局に御迷惑をおかけしたんですけれども、本日、本論点の整理の位置づけというものが明示をされて、それを受ける形で本体が書かれるということによって、EEF、エクセレンス・エクイティー・アンド・フィージビリティーの点を受けた形になっているかと思います。
若干具体的な、エピソード的なことを申し上げますと、エクセレンスという観点からは、教師の学びと子供の学びは相似形で、とにかく主体的に学び続けるというところが大事だという観点から、それを促進するための柔軟性や、しなやかな学びということを想定しているとか、また教師に関しては、従来の真理の代弁者から、むしろ伴走する学びのパートナーということを考えると、研究も臨床的な教育研究の展開というものが必要で、子供たちのそうした学び、または学びのパートナーとしての教師に応えていくというような仕掛けになっているということです。この臨床的な教育研究の展開というのは、2つ目の柱である包摂性という観点からも非常に重要ですし、恐らく松田委員にさらに御尽力いただくことになる、多様なバックグラウンドを持つ教師が学校にいて子供たちを支援していくということも包摂性の観点からも評価できることであろうと思います。
最後のフィージビリティーですけれども、ここは今日もあまたリソースの点について、またはとりわけ処遇改善の点について、または教師の余白の点について現場の先生方を中心に御意見が出ておりますので、両部会は連動しているんですけれども、ここの辺りはどれぐらい充実できるかというのは、事務局の方にさらに充実をお願いしたいと。我々は、より充実を望むけれども、できるだけ充実した形で、学校に、そして子供の学びに返していければと考えるところでございます。
以上、雑駁でございますが、応答とさせていただきます。
【秋田部会長】 貞広委員、どうもありがとうございました。よろしゅうございますでしょうか。
皆様、いろいろな御意見をいただきましてありがとうございます。それでは、本日いただきました修正や加筆の御意見につきましては、部会長の私と事務局で相談の上、あともちろん貞広副部会長にも参加していただきながら一緒に修正したものを、改めまして委員の皆様にメール等で照会させていただき、その修正を踏まえたもので部会長一任にさせていただければと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
対面の方たちはうなずいてくださっているので、御承認いただいたということで、ありがとうございます。
それでは続きまして、これから議事の3のほうに入りたいと思います。教員養成ワーキンググループ等の設置につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【大根田教員免許・研修企画室長】 ありがとうございます。それでは、資料の3-1及び3―2に従いまして説明させていただきたいと思います。
まず資料3-1でございますけれども、教職課程・免許・大学院課程ワーキンググループ等の設置に関してということでございます。
設置の目的、1のところでございますけれども、まさに今日の御議論でもありました社会の変化や学習指導要領の改訂等も見据えた教職課程の在り方ということで、具体的・専門的見地からの御審議をいただくということで、この本部会の下に、教職課程・免許・大学院課程ワーキンググループの設置をするというものでございます。またさらに、このワーキンググループの下に、幼児教育作業部会、特別支援教育作業部会、養護教諭・栄養教諭作業部会を併せて設置するというものでございます。
具体的な検討事項ということで、2のところでございますけれども、今後の教職課程や教員免許制度の在り方についてということで、特に以下の点ということで、まず丸1でございますけれども、このワーキンググループに関しまして(1)から(6)まで書かせていただいております。(1)として、各種免許状の在り方と必要単位数について、また(2)で、身につけるべき資質能力、養成段階で身につけるべき資質能力と、その身につけ方について。また、大学院の教職課程の在り方、教職課程の質保証の在り方、そして教員養成における大学間連携と、5つ書かせていただいております。
丸2でございますけども、幼児教育作業部会でございます。ここでは幼稚園教諭に係る免許状の在り方とともに、(2)でございますけれども、保育士資格との連携を踏まえた幼稚園教諭に係る養成・採用・研修の在り方ということで、2つ書かせていただいております。
また、丸3でございますけれども、特別支援教育作業部会でございますが、同様の形ですけれども、特別支援教育学校の教諭に係る免許状の在り方と、また、特別支援学校教諭に係る養成・採用・研修の在り方ということ、さらに小・中・高等学校等において特別支援教育を担う教師の専門性向上に向けた方策と、3つ書かせていただいております。
最後でございますけれども、丸4でございます。養護教諭・栄養教諭作業部会でございますが、(1)として、養護教諭・栄養教諭に係る免許状、そして、その養成・採用・研修の在り方が(2)ということで書かせていただいております。
4のその他のところでございますけれども、この結果、取りまとまった際にはワーキングで報告をさせていただく、また、ワーキングでの取りまとめ結果は養成部会へ報告するということとともに、(3)の部分ですけれども、随時求めがあった場合には検討の経過を報告するという設計にしているところでございます。
続きまして、3-2でございます。資料の3―2ですけれども、大学院における社会人等の免許取得に資する新教育課程ワーキンググループの設置ということでございます。
1のところ、設置の目的でございますが、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成へ向けて、大学において教職課程を履修しなかった社会人等の学び直しやキャリアアップの観点からの議論ということで、同じように、より具体的・専門的な見地からの御審議をいただくということで、本部会の下で、大学院における免許の取得に資する新教育課程のワーキンググループの設置というものでございます。
具体的な検討いただく事項として、2のところでございますけれども、大きく2つ立てております。1つは、この免許取得に資する教育課程の在り方ということで、制度上の位置づけでしたり、学位、また免許種、学校種等について、さらに、学修内容や単位数、実習等の在り方についてということで記載しております。またあわせて、入学者選抜の在り方についても御議論いただくということで書かせていただいております。
その他のところの記載については同様でございます。
私からは以上でございます。
【秋田部会長】 大根田室長、御説明をどうもありがとうございます。
それでは、ただいま御説明のございました教員養成部会のワーキンググループの設置につきまして、委員の皆様から何か御質問はございますでしょうか。
ありがとうございます。岡本委員、お手が挙がっているかと思います。どうぞお願いいたします。
【岡本(潤)委員】 御説明ありがとうございました。ワーキンググループ等の設置等につきまして、2の検討事項のところの丸3の特別支援教育作業部会の部分で御質問です。この書きぶりですと、ここに「小・中・高等学校等において特別支援教育を担う教師の専門性向上に向けた」という言葉があるのですけれども、ここにもやはり「幼」という言葉が大事になってまいります。専門性の向上に向けた方策となれば、幼稚園ということもあるのではないかなというふうに思いましたが、今後検討していただけるのか、それらも含んでのことなのか、お聞きしたいと思います。
【秋田部会長】 御質問ありがとうございます。こちらいかがでございますでしょうか。事務局、お願いいたします。
【酒井特別支援教育企画官】 失礼いたします。事務局、特別支援教育課の企画官の酒井と申します。
ただいま御質問いただきました特別支援教育作業部会につきまして、特別支援教育を担う専門性ということで、幼稚園段階の特別支援教育を担う教師の専門性ということも大変重要かと考えております。ここの3につきましては、主として、いわゆる小中高でも特別支援学級や通級による制度、小中高に関してはそういった制度がありますので、主としてそれを念頭に置いた書きぶりではありますが、いわゆる幼稚園段階での特別支援教育というのも大変重要な課題かと思います。これにつきましては、幼児教育作業部会とも連携しながら、特別支援教育作業部会の中でもしっかりと議論するようにしていきたいというふうに考えてございます。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
それでは続きまして、内田委員、お願いをいたします。
【内田委員】 説明ありがとうございました。幼稚園部会、それから特別支援教育部会につきましては特化しているというところもありますので、議論はキャッチボールしながら進んでいくかなと思いますけれども、小学校、中学校、高等学校については、先ほど申しましたように、現場の意見というのが高等教育とともに非常に重要かと思いますので、ぜひここの部分についても配慮しながらお進めいただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
【秋田部会長】 内田委員、貴重な御意見ありがとうございます。事務局のほうから何かございますか。
【大根田教員免許・研修企画室長】 ありがとうございます。まさに各学校種ごとにも状況が違うという、今日の議論でもそういった御指摘もいただいていたかと思いますので、現場の御意見をきちんと踏まえながらの議論が進むように対応していきたいというふうに考えております。ありがとうございます。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
それでは、一応御質問はこれで終わりのようでございますので、ただいまいただきました御意見も踏まえながら、いただいた説明で体制、今後この形で進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは続きまして、議事の4に入ります。教員養成部会運営規則に基づき、ここからは非公開の議事となっておりますので、ライブ配信はこちらで終了させていただきます。

―― 了 ――


■会議終了後に頂戴した御意見 

(小原委員)
・日米教員比較で指摘されてきたことに日本の学校教員の特長の一つに校内研修がある。多くの教員は子供への教育使命感から自主的に校内研修を行ってきたが、業務軽減を理由に行われなくなってきている。それが理由か否かは別にして、「問題教員」や「指導力不足教員」と、研修を行うべき教員が増えてきている。使命感での研修が「サービス残業」と批判されるのであれば、使命感に替わる「研修への外的インセンティブ」を設けることを検討する。
・「専門性の定義」の理解に大学側と学校側と溝がある。大学教授にとっての「専門性」と学校教育で求められる専門性の整合性をつけておかないと、現場で使えない教員を養成することへ繋がる。素粒子の研究をしておけば理科教員養成に十分と大学教員から聞いたことがある。大学にとって専門性の高い授業と中等教育にとって求められる専門性とはレベルと内容で異なる。この相違を明確にする。
・以前に大学には「単位に実質化」が求められたが、今回も学士課程の単位の実質化枠内で教員養成が行われるように検討すべき。学士課程は124単位取得と定義されているので、教員養成も124単位枠内で行われるべき。それには免許科目を学士課程修了124単位内に収めることで、免許課程の学生の学修量軽減にもなる。
・確かに「木を見て森を語る」側面は否定できないが、問題教師(パワハラ、セクハラ、サボタージュ、指導力不足)を指摘する声があるなかで、免許単位減少させることの学校現場への説明責任を検討すべき。学習者目線で単位を減少させることが検討されている。それは科目を用意する私大にとってもコスト負担を減少することになるので、免許単位縮小は経営的にはありがたい。しかし、そのことが児童、生徒、校長そして教育委員会へのアカウンタビリティー(説明責任)の低下を来さないように配慮すべき。
・「四則演算ができない」「be 動詞の変化が分からない」学生を入学させた私立大学が批判された。履修さえすれば四則演算を修得しなくても高校そして大学まで進学できるほどに大学がユニバーサル化してきたし、そういう子供たちを入学させなければ経営的に立ち行かない私立大学も現実である。しかし、四則演算ができない子供たちを育てたのは小学校の上位校へのアカウンタビリティー不足であり、be 動詞を理解させることなく高校へ進学させた中学校の上位校へのアカウンタビリティー欠如である。「総合学習が単なる「そば打ちクラス」になったと揶揄されるのは、子供たちに基礎学力が低学年で付加されていなかったことを踏まえると、小学校で子供たちに基礎学力(読み書き計算)と学習習慣を付加することのできる指導力を教師が身に着けていることは不可欠。基礎学力と学習習慣がないままでは子供たちが自主的に能動的に対話を通して学習を進めていくことはできない。そうした基礎学力と学習習慣を前提とする中等教育には、初等教員にそうした力を付けさせることは重要となる。大学教員養成では初等教員にそうした力を子供たちに定着させる指導力を付けさせる科目を縮小させるべきではない。科目縮小に際して、考慮すべき事項である。
・子供に育ませる「豊かな人間性」の意味を具体的にすべき
・現職教員が希望する新たな学校種の免許取得や教職志望の社会人が免許取得の道として、いくつかの私立大学では通信教育課程を提供している。遠隔教育手法が開発改善されてきているので、免許課程として通信教育をより一層活用することを考慮することを期待している。
・(小学校教師を養成している私立大学は中等免許課程の大学数の半数、小学校教員不足が顕著、小学校教員志望者数の減少が著しい)現象を解消する手立ての一つとして、中学校免許課程を提供している私立大学の学生たちが通信教育により初等二種免取得しやすい制度を検討する。現状では課程認定を受けることになっているが、地方中小規模私大にはその条件を満たすだけの財源力と大学教員数に不足する。そこで「自ら開設要件」の緩和と「遠隔教育手法」を認める(時限であっても)教育課程特例として行える方策の検討。その際に通信教育課程の活用を最大限可能にできるように諸要件の緩和の検討をお願いしたい。
・戸ヶ崎委員が指摘しているように、もっと採用者側(学校現場が求める教師像)の視点からの養成の在り方を検討してもらいたい。大学大衆化時代の特徴に父母と教員の学歴差が縮小していることがある。教員数の何十倍もの学士取得者や数倍の免許取得者(ペーパーティーチャー)が父母である。そうした時代に相応しい教師としての妥当性、正統性、といった資格面での武装ができる免許制度を考える時代となっている。
・「特別免許」を検討する際、教師としての「妥当性」と「正当性」の在り方を検討に含めてもらいたい。生成AIの発展が著しく、欧米ではAI家庭教師なるソフトが販売されている。また、教師に替わって指導案は補助役を担うソフトも販売される時代である。そうしたことを踏まえる必要がある。免許取得単位縮小が教育技術を付加するだけになってしまうと、AI教師に代替されてしまうリスクを教員は抱えることになる。そうした事態を避けることも免許取得負担軽減策では検討すべきである。学校現場から「教員粗製乱造」と批判されないように考慮すべき。
・第二次産業には製造者責任論があるが、(幸いにも)大学教職課程にはそれに類似した「養成者責任論」はない。それに近かったのが、大学における免許更新講座ではなかったかとも考えられる。今、大学には学習成果の可視化が求められているが、それに類似した教職課程教員養成の成果の可視化論への対策も検討するのは、教員養成を行っている大学にとって有益なことである。成果の可視化をもって養成者責任とすることが可能であろう。教員研修にはより優秀な教師を育てる目的が主であると同時に、問題教員の更生もある。まず何をもって「問題教師」とするのか、更生可能性の有無にもよるが、更生目的とした研修も検討することをお願いしたい。「大学における教員養成の質保証」とは?「保障期間」は?「責任遂行」とは?も質の高い教員養成と関わる課題ではないだろうか?
・教員養成課程に必要な実務家教員の養成。現在の大学院修士課程(教職大学院)と博士課程研究科のほかに、新たに教職大学院博士課程の創設の検討。大学の実務家教員としての妥当性や正当性、大学教員としての権威となる「資格・能力」とは?課程認定で教員養成を担うに適正と判断される実務家教員の養成は、免許課程を提供している大学が養成を継続していけることに資することである。