中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会(第154回)議事録

1.日時

令和7年9月1日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

省議室(WEB会議)

3.議題

  1. 多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理(案)
  2. 文部科学省 教員関係の主な予算資料について
  3. その他

4.議事録

【秋田部会長】 皆様、おはようございます。それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会第154回初等中等教育分科会教員養成部会を開催いたします。
それでは、まず、事務局から会議の開催方法についての説明と事務連絡がございます。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 ありがとうございます。
まず、会議の進め方等について、確認をさせていただきます。
本日の会議も、ウェブ会議と対面を組み合わせましたハイブリッド形式にて開催をさせていただきます。
御発言時でございますけれども、画面下部のリアクションボタンにある挙手ボタンを押していただき、併せてマイクをオンにしていただいて、御発言が終わりましたらマイクをオフにしていただきますようお願いいたします。
以上でございます。
【秋田部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、本日の議事について申し上げます。議事は、議事次第に示しているとおりでございます。
それでは、これから議事1に入ります。議事1は「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理」でございます。今回と次回の部会では、これまで皆様からいただきました御意見を本部会の論点整理としてまとめ、今後のさらなる議論につなげていきたいと思います。事務局のほうで、これまでの基本的な考え方を基にした論点整理の案を作成しておりますので、事務局から御説明をお願いいたします。
【大根田教員免許・研修企画室長】 それでは、資料1に基づきまして説明させていただきます。お手元に資料1-1と1-2とございますが、1-1を基に説明をさせていただきたいと思います。
1ページおめくりいただきまして2ページでございますけれども、「はじめに」から始まりまして、その次3ページが各論点についてということになっておりますが、まず、「はじめに」、2ページのところから御説明させていただきます。
今、部会長からもお話がございましたとおり、累次の今までの答申を踏まえた上で、真ん中のあたりでございますけれども、令和6年の12月に諮問がなされたところでございます。そこで示された3つの事項、この丸1から丸3、社会の変化や学習指導要領の改訂等を見据えた教職課程の在り方、また、2つ目が教師の質を維持・向上させるための採用・研修の在り方、そして3つ目、多様な専門性や背景を有する社会人等が教職へ参入しやすくなるような制度の在り方、この3点について御議論をいただいてきたところでございます。これらについて、今後さらに制度の詳細や取組の充実について議論する必要がある論点について、方向性を示す資料となっております。
3ページ目のところを御覧いただければと思います。今申し上げました各論点についてまとめた、主な論点と議論の方向性をまとめたものでございます。
まず、1つ目でございますが、社会の変化や学習指導要領の改訂等も見据えた教職課程の在り方の関係でございます。主な点だけ抜粋して説明をさせていただければと思いますが、四角の枠囲いの中を御覧いただければと思います。
教職課程のまず在り方の関係でございますが、上からでございますけれども、まず、教師の質の向上と量的確保の両立を目指す必要があるのではないかという点。そして2点目、各大学等の特色や資源を生かした教職課程の実現が必要ではないか、さらに大学全体の学びの中で教師の養成はなされるべきであり、あらかじめ決められた項目を網羅する学びは最小限に厳選し、学生が自らの強みや専門性を高めることができる柔軟なカリキュラムとすべきではないか。
さらに、その次でございますけれども、教職課程において習得すべき内容、また、デジタルを活用した学びやその成果の確認、教職課程外の学び等の教員免許状取得に至る総合的な学びの在り方をさらに検討する必要があるのではないか、といったことが示されているわけでございます。
その下でございますけれども、学習指導要領等の改訂、また最新の教育課題や教員養成フラッグシップ大学による取組や知見等も踏まえて、教職課程で習得すべき内容の精選、そして新たな教職課程に対応するコアカリキュラムが必要ではないかという点でありましたり、また、必要なものとして、多様な児童生徒等を対象とした実践的な学びの機会を充実する必要性でしたり、また、その下ですけれども、デジタル学習基盤を前提とした教育方法や授業改善の力が身につく教職課程が必要ではないかという点が示されているところでございます。
あわせて、大学院の教職課程の在り方等に関しまして、その下でございますけれども、幾つかございます。
まず、1つ目として、大学院では自らの実践や実際の教育課題の理解・解決に向けた探求的・研究的な活動ができる資質能力を有し、かつ教師として得意分野を有する教師を育成するための専修免許状の在り方についてさらに検討が必要ではないかという点。そして、教員養成における大学院での学びにおいて、教育臨床研究を位置づけていく必要があるのではないかという点等についてまとめさせていただいております。
さらにでございますけども、次のページをおめくりいただきまして4ページでございますが、地域教員希望枠を活用した教員養成大学・学部の機能強化事業の取組を拡大していくべきではないかという点でしたり、また、幼稚園教諭、特別支援学校教諭、養護教諭、栄養教諭等について、教職課程全体の議論に加えて、個別にどのような改革方策が必要か、さらなる検討が必要ではないかという点が示されているところでございます。
以上の点に関しまして、その下4ページ以降におきましては、基本的な考え方として、より詳細をお示ししているところでございます。
少し、何ページか飛ばさせていただきまして、12ページでございますけれども、2つ目の柱に関してでございます。教師の質を維持・向上させるための採用・研修の在り方の関係でございます。また、枠囲いの中を御覧いただきながらと思いますが、主な論点と議論の方向性をまとめたものでございます。
まず、採用の在り方の関係でございます。教職志望者の確保の在り方の関係でございますが、上からでございますけれども、1つ目として働き方改革を含め、教師の魅力をいかに高めていくかを検討していくことが必要であること、また、社会的な理解も必要ではないかという点。そして、教師は他の公務員だけでなく、多職種と同じ市場で人材獲得競争をしているという現実を前提にして、国と地方が一体となった広報戦略が必要ではないかといった点についてここに記載させていただいております。
また、教員採用選考の在り方の関係でございますけれども、上から3つ目の点以降でございますが、教員採用選考試験の日程の早期化については引き続き推進をする必要があるのではないか。また、教員採用選考の第一次試験の共同実施による様々な点においてメリットが考えられるというところで、引き続き具体策を検討すべきではないかという点をまとめております。
続きでございますけれども、現職教員の能力の向上の関係、研修期間の確保等に関してございますが、上から5つ目のチェックのあたりでございますけれども、1つ目として、まず日本版の「サプライティーチャー」の仕組みを今後検討すべきではないかという点。さらに、現職教師や教職志望の社会人等が学びたいときに学びたいことが学べる環境づくりが必要であって、経済的負担の軽減等の環境整備、有給もしくは無給での研究・研修休暇(サバティカル)の促進等を検討すべきではないかといった点をここに記載させていただいております。
また、教員養成におけるデジタルを活用した学びに関しては、初任者研修等の入職後の教師の育成にも積極的に活用されていくべきではないかという点。また、「対話と奨励」の質の向上に向けては、丁寧な制度周知等々が必要ではないかということ。そして、教職大学院の活用等の関係も含めてでございますけれども、その下、「管理職に対する研修は」というところ、12ページから13ページにわたっておりますけれども、これは国における予算措置も含めた支援が必要ではないかという御意見。そして、最後ですけれども、在職しながら教職大学院で学習できるようパッケージ化した在職型の教職大学院進学支援制度の創設などが必要ではないかという点をここに記載させていただいているところでございます。
先ほどの1と同じく基本的考え方ということで、その後、幾つかのカテゴリーに分けた形で詳細について記載をさせていただいているところでございます。
最後になりますけれども、3つ目の柱でございます。少し飛びまして、また19ページでございます。19ページの下のところ、3つ目の柱、多様な専門性や背景を有する社会人等が教職へ参入しやすくなるような制度の在り方の関係でございます。
まず、1つ目でございますけれども、大学院段階における教職課程の在り方の関係でございます。これに関しては、多様な学部出身者や社会人経験者が新しいプログラムを履修することによって標準的なレベルでの免許状を取得できるような仕組みを考えていく必要があるのではないかという点をここに記載させていただいております。
次、教員資格認定試験の関係でございます。これに関しては次のチェックでございますけれども、教師集団の多様性をさらに高めるために、専門性を有する質の高い教師を確保する手段として捉えて、次のページでございますが、様々な専門性を持つ方が教師としての資質を身につけていけるような試験の在り方についても今後、検討していくべきではないかということをここに記載させていただいております。
3点目でございます。特別免許状の関係でございます。この授与の際には、授与後に教職員支援機構が作成している教師入職のための動画教材を使って研修する、また、学校現場で教師の実務を学ぶ機会を充実して入職前の不安等を払拭する等の取組が必要ではないかということを記載しているところでございます。
4つ目、社会人の教師入職の関係でございます。これを進めていくに際しては、服務倫理でしたり、教職への理解を入職前後の学習プログラムで担保する必要があるのではないかという御意見をここに記載させていただいているところでございます。
5点目でございます。企業として教育現場へ、企業に在籍しながら教師として勤務する点に関してでございますが、いわゆる在籍型出向がメインになるのではないかという点、その際、それまでの職務経験等を考慮する必要があるのではないかという点をここに記載しているところでございます。あわせて、企業に勤めている社会人の活用については、シニア人材から始めて実例を増やしていくこと、それを若手、中堅世代の従業員まで拡大していくという流れが考えられるのではないかという点をここにまとめているところでございます。ここについても、基本的な考え方として詳細は以下に記載しているところでございます。
事務局からは以上でございます。
【秋田部会長】 大根田室長、御説明をありがとうございます。
それでは、ただいまから、御説明のありました「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策に関する論点整理(案)」に基づきながら、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。時間は85分取りたいと思いますが、多くの委員の皆様に御発言いただけるよう、御発言は1人3分以内、いつも2分ですが、今日は3分以内で御協力をお願いしたいと思います。
まず、本日、戸ヶ﨑委員が議会の関係がおありになるということですので、まず、先に御発言をいただきまして、その後、皆様、順に、挙手をしていただいた順で指名をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
また、皆様から様々な御意見をいただくわけですが、もし、現状論点整理に記載されていないけれども、この点は今後議論すべきではないかというような論点、これまでのアジェンダには入っていないアジェンダでも論点として出すべきという御意見があれば、そちらにつきましても、2回目の御発言でも結構ですので、ぜひ御発言をいただければと考えております。
それでは、お願いをしたいと思います。まず戸ヶ﨑委員、よろしくお願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 御配慮いただきありがとうございます。
前回の教員養成部会において教育課程企画特別部会に係る報告がありましたが、それを踏まえて、次期学習指導要領における柱となる部分を、教員養成部会における出口とブリッジしていくことが大事であると思っています。
現在、教育課程企画特別部会の議論では、中核的な概念等を基にした学習指導要領の一層の構造化等により、深い学びの実現に向けた教師の実践を支えること、多様な子供達がいることを前提に柔軟な教育課程を編成できるようにすること、教師や子供に余白を生み出すことを含め実現可能性を担保していくこと、といった方向性で議論が進んでおります。教育課程企画特別部会の論点整理(案)が今月5日の会議で出されることも踏まえれば、そこでの議論の内容を、この教員養成部会の議論にも反映していくべきだろうと思っています。
特に、今後は、教育課程特例校制度や授業時数特例校制度を活用しやすくすることや、単位授業時間の創意工夫などを含めて、地域等の実態に応じて教育委員会や学校が創意工夫や余白を生み出し柔軟な教育課程編成を促進していくことが強く求められるだろうと思います。
その余白についても、教育の質の向上のための時間的な余裕であるという捉え方が大事です。確保したコマをどのように有効活用するかということが大切であって、そこにこそ学びに関する高度専門職としての教師の腕の見せどころがあると考えています。
加えて、余白を生み出し、有効活用するためには、個々の教師の指導力の向上だけではなくて、学校のチーム力も向上させていく必要があります。
現行学習指導要領でカリキュラム・マネジメントが強調されているのは、人的・物的資源を有効活用し、個業型から協働型へとシフトチェンジする必要があるからに他なりません。子供たちの学びの観点からも、また働き方改革の観点からも、学校全体で、また学校内外と協働関係を構築して、管理職だけではなく一人一人の教師がオーナーシップを持ったカリキュラム・マネジャーとして自立できるようにしていくことが大切だろうと思っています。
多様な専門性を有する質の高い教師集団の形成を目指していくことと、長年にわたる課題でもあるカリマネを実動させていくことは、同時進行させてこそ大きな教育効果が上がるのではないかなと思っています。
最後に、現在議論されている教職課程の柔軟化や、社会人が教職に入職しやすい仕組みを進めること自体については大いに賛成します。入職経路の拡幅のために、ある程度、教職課程の単位数の精選、また大くくり化することや、特別免許状制度の拡充は必須であると考えています。
一方で、その中でも教師の質が確実に担保されるように、教員採用選考試験の一次試験の共同実施や、教職課程におけるデジタルを活用した学びの初任者研修等での活用、さらには教員資格認定試験の在り方、特別免許取得後の研修機会の確保など、様々な取組を組み合わせて教員養成に関する出口管理がなされるべきであると思っています。
【秋田部会長】 戸ヶ﨑委員、どうもありがとうございます。それでは、この後、小原委員、荒瀬委員、真島委員、内田委員、森田委員、高橋委員、岡本委員が手を挙げてくださっていますので、順にお話をお願いしたいと思います。小原委員、お願いいたします。
【小原委員】 まず一つが、この最初にある「社会の変化や」というところです。社会の変化がどういった新たなニーズを生み出しているのかというのを明確にすべきです。それに向かってカリキュラムを変えていくということの必要性を示すことになるでしょう。
もう一つ、今は小学校、中学校、高等学校一括で教員養成を取り上げています。実態を見ると、分ける時期に来ているんじゃないかなという気がいたします。というのも、中学校以降の志願者数が下降気味とありますけれども、小学校の場合はもう既に2倍を切っています。小学校のほうが、より教員不足が激しい。プラス、実際に小学校の免許を提供している大学の数は、中等免許の半数以下です。ですから、このままいくと、ますます免許取得者が減ってのではないと思います。そこでまず小学校の免許取得者を増やす方策を考えなければいけないでしょう。それを中等と一緒にやっているとなかなか進まないので、そろそろ小学校免許、中等教育免許と、分ける時代です。
3つ目は、この専門性に関することです。高等学校に資する専門性を持った社会人という表現が、小学校には当てはまりません。。小学校の基本は読み書き計算の力をつけることから始まるのですから、そこへ社会人の持つ専門性を授業に導入しても子供には難しいでしょう。
また、これは学長としての経験からしますと、社会人登用で一時、大学もそっちの方向に行きましたけども、正直使えない。2年目、3年目になるとメッキがはがれ自慢話で終わってしまいます。自分はこうやって成功したよという。学生にとって、それは、最初は非常に新鮮味を感じるのですが、2年目以降、先輩のノートを借りれば十分ということです。大学の教員で使えないから中高か、というような感じを今、私としては持っています。ですから、安易に社会人登用ということはいかがかなという感じがいたします。
プラス、社会人としてうまくいかないから教職でも行こうかというような人がなきにしもあらずなので、その辺も今後、気をつけて審議をしていかなければいけません。引き受ける学校側が非常に苦労することになると思いますので、その3点を述べさせていただきました。ありがとうございます。
【秋田部会長】 小原委員、ありがとうございます。それでは、続きまして荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。教職員支援機構の荒瀬でございます。
今、小原先生がおっしゃった刺激的なほうの話ではなくて、最初におっしゃった、社会の変化や学習指導要領の改訂を見据えた教職課程の在り方という、その部分でありますけれども、私もとても賛成です。その意味で言うと、学習指導要領にこれまで何回か私も関わってきて思いますのは、これまでは、こういった社会が到来することが予測されると。それに向けてこんな具体的な学びをしておくことが全ての子供たちに必要だという、そういう発想で学習指導要領の改訂が行われ、それが実質的に進められてきたという面があったと思います。
ところが、今や、もうよく分からないということで、我々自身も、中教審も、途中でもう会議が開けないといったようなことも経験して、令和3年答申をやっとこさの思いで出したということを考えてみると、これからの社会の変化をあらかじめ予測して教職課程を設置するということは難しいと思います。
そういうふうに考えますと、教職課程の在り方という1つ目の論点、それからまた、2つ目の採用・研修の在り方という論点の両方に関わるんですけれども、常に学び続ける、これも今まで言ってきたことですが、常に学び続けることが非常に重要になってくる。ということは逆に、学び続けることのできる機会とか時間とか、そのための人的補償とか、そういったことをきちんと配慮しておくといったようなことまで考えておかないと絵に描いた餅になってしまって、いざ、そのときになって、困ったときになって、今までやっていませんでしたということになるのは、これは本当に駄目だと思います。教育は国家百年の計と言われるのは、あらかじめ、ありとあらゆる可能性を考えて、可能な範囲で整えておくということだと思います。
今申し上げたことは全てお金に関わる話であります。ですから、それをどこまで、この論点整理、あるいは今後の答申に盛り込むかというところは今後の議論かと思うんですけれども、ぜひともその具体的に学びが続けられることが可能になるような、先生たちも学びたいと思っているんだけれども、時間的余裕とか人的なことを考えたら我慢せざるを得ない。さらには様々別の仕事もあるといったような状況もありますので、その点をしっかりと考えていく必要があるのではないかと思っているところです。
以上です。ありがとうございました。
【秋田部会長】 荒瀬委員、ありがとうございます。それでは、続きまして真島委員、お願いいたします。
【真島委員】 お願いします。私からは2つの点について意見を述べさせていただきたいと思います。
1つ目は、5ページ目にあります「身につけるべき資質能力」についてというところでございます。身につけるべき資質能力が書かれているんですけども、その書かれている能力について特に意見はないんですけども、全て大事な能力だと思いますが、その後に、「これらの能力を前提としつつ、養成段階においては、教師となる際に必要な最低限の基礎的・基盤的な能力を担保することを考えるべきではないか」という文言がございます。
私は、この中教審の教員養成部会という部会の社会に与える影響力とか、今後の大学教育も含めまして、非常に重大な責務を負っている部会だと思っております。そう考えたときに、この「教師となる際に必要な最低限の」という文言をここで出すことに対しては私は反対です。
なぜなら、本学は教員養成大学でして、教育学部で128単位を免許科目として全ての教員養成の学生はその単位を取得して卒業していくカリキュラムになっています。その学生が1年生になったときに、私の授業を受けた後にレポートに書いた言葉が、「この授業の経験を生かして、大学を卒業して教師になったときには、私が目指していた理想の教師と同じような状態になれるように頑張ろうと思いました」とか、初年次演習をやったんですけど、初年次演習で学んだことや成長したことをこれからに生かすとともに、自分の理想とする教師になれるように学び続けたいということを、レポートの課題の最後に書いているんです。これは何を意味するかというと、教員養成というのは、自分の理想とする教師の在り方とか、そういったものを追求する場でありまして、最低限の基礎的・基盤的な能力を担保する場ではないということです。
もちろん、ここの部会で求めていく方向性とか、必要な教員の確保とか、そういったことはもちろん、これまでの議論の中で重々承知しているんですけれども、ここの論点整理に書かれる文言というのは非常にインパクトを与えますし、ニュースの報道とかでも、この一文を取り上げて、最低限でいいんだと、教員養成というのは最低限の基礎的・基盤的な能力の担保でいいんだというメッセージが発せられた後に、教育学部とか教員養成について4年間しっかり学んでいく学生は何をどう思うのかということを私は危惧しています。
それから、3ページ目にもありますが、「あらかじめ決められた項目を網羅する学びは最小限に厳選し、学生が自ら強みや専門性を高めることができるような柔軟なカリキュラムにすべきじゃないか」という文言があります。後半については賛成です。学生が自らの強みや専門性を高める柔軟なカリキュラムというのは、これからますます必要になってくる点かと思いますが、前半の「あらかじめ決められた項目を網羅する学びは最小限に厳選し」ということが、あたかも今、行われている教員養成が、ただ何か決められた網羅的に学んでいる教育だと言っているようなこともありますし、最小限に厳選するという言葉そのものが誤解を与えかねない。
こういうような言葉よりも、「必要不可欠な」とか、「必要十分な」とか、「共通で学ぶべき内容に厳選し」とか「精選し」といった、そういうメッセージをこの養成部会としては送っていただきたいということは、私から意見として申し上げたいというのが1点目です。
2つ目は、それに関連しまして、今どの学部でも教職課程において教員免許が取れるとか、社会人に関する参入の幅を広げていくという議論がありますが、一方で、教育学部で学ぶ意義とは何か、教育大学で学ぶ意義とは何かといったことは議論には挙げられていません。そういった4年間一生懸命学んで培ってきた能力とか技術とか専門性を、どのようにインセンティブとして付与していくのか、あるいは支援策として免許の質をどういうふうに決めていくのかとか、そういった点について私は新しく論点として議論していただきたいと考えています。
なぜなら、今回のこの養成部会の議論では、大学院に専門性とか、より質の高い教員を大学院段階で養成していこうということにウエートが置かれています。それを実現するためには、学部段階での、先ほども荒瀬委員が「常に学び続けることが重要」という御意見がありましたように、常に学び続ける素質とか資質とか能力とかは急にできるものではないので、しっかりと養成段階の4年間でそういったものを培ってこその大学院でのさらなる専門性の向上とか資質の向上といったものにつながっていくわけなので、4年間でしっかりと学ぶ、教育学部の学ぶ意義とか、あるいは今、議論されているような広義の、狭義ではなく広義の教員養成の在り方というものは、まだ十分に議論されていないかと思いますので、そういったものが本当に可能なのかどうか。
そういった可能にするためにどうするべきなのか、相当大学教員の意識の転換とか考え方を転換していかない限り、今まで文学部なら文学部だけのことを考えてやっている学習が、大学として教員養成をやっていきましょうとなるということは、相当それぞれの学問領域の大学教員が本当に必死になって教育に、教育学部というか教員養成を輩出するんだということに本気で取り組まない限り、質の高い教員養成が広義のそういったカリキュラムでなされるということはなかなか難しいと思うので、その点についても議論、論点としてさらに深めていただきたいと思います。
以上です。
【秋田部会長】 真島委員、ありがとうございます。新たに議論すべきアジェンダとして、教育学部や教員養成学部の意義ということを議論してはどうかという御提案もいただきました。ありがとうございます。
それでは、続きまして内田委員、お願いいたします。
【内田委員】 ありがとうございます。私からは3点、論点ごとに1つずつ申し上げたいと思います。
荒瀬委員や真島委員からお話がありましたように、教職課程の在り方としましては、「学び続ける教師を育成するカリキュラム」という文言をどこかに入れていただきたいと思います。中身によって精選をしていくというところは方向性として必要な部分であるというところは理解しておりますけれども、現場に出ますと学び続けなければいけない、その基礎となるところについて、まず大学でしっかり押さえるということが必要かと思います。そのために、改めて「学び続ける教師を育成するカリキュラム」という文言を入れていただきたいなと思います。
2点目のところでありますけれども、「サプライティーチャー」のお話が出ました。8月10日に、一部報道機関に塾講師を産育休教員として派遣をするというような報道がされまして、これは誤解であるという話も伺っているところではありますけれども、公的な機関から教職免許を持つベテラン教員が、実際に教員が欠けたときにフォローアップをしてくれるような公的機関、教育委員会や、あるいは財団法人など、NPOも含めて取り組んでいくことがこれから必要になるかと思います。
商業ベースではないシステム、例えば消防団員のように登録することによって、ある程度の登録費用を公的機関から支払うというようなシステムについても、私ども全校長でも議論が始まっているところであります。様々な形で、人材バンクのような新しいシステムの構成というところで、ぜひさらに歩みを進めていただければと思っております。
3番目のところでございますけれども、小原委員からもありましたように、社会人の方、あるいは大学の先生が、高校や中学校、小学校で講演をされる場合は、目の前の児童生徒に向けて教員がそしゃくをするという場面が必要になってくると考えております。既存教科の免許を既にお持ちで、現場経験もあり、そういった経験も交えながら既存教科・科目について指導される場合は別かもしれませんけれども、それぞれの専門性、あるいは社会人経験を踏まえた授業展開をされる場合には、学校の教員のフォローアップが不可欠だと思われますので、こちらについても研修、現場での研修も含めたフォローアップというようなことも記載が必要なのではないかなとまとめを見て改めて感じた次第です。そしゃく、解説、そしてフォローアップ、伴走というような形でやるために、そういった社会人教員の参入に関しては配慮、検討をよろしくお願いしたいと思います。
私からは以上になります。
【秋田部会長】 内田委員、ありがとうございます。それでは、続きまして森田委員、お願いいたします。
【森田委員】 ありがとうございます。森田でございます。
私は、この間、議論されてきました教職課程をより柔軟化していくということや、社会人が教職に参入しやすいような仕組みをつくっていくことなどについては非常に賛同するところであります。教員養成に関して言えば、開放制でありますとか、大学における教員養成という原則にもう一回立ち返りながら、教職課程を捉え直すことが大切で、免許法に定められた教職課程の部分だけを切り出して考えるのではなく、学士課程の124単位全体といいますか、それぞれの学問領域を生かした、大学全体の学びの中でも教師としての多様な専門性が育成されているのだという観点にもう一度立って、教員養成全体の制度設計を考えていくことが必要ではないかと考えています。
同時に、教職課程で学ぶ様々な事項が増えてきているのは確かですので、教職課程におけるカリキュラムオーバーロードのような状態を改善していくということも大切であると思っています。そのためにも、養成が担うべきことと、研修のところで担うべきことを整理する必要があると感じています。もちろん、そこを明確に区別するということが、どこまでできるかというのは難しい課題かもしれませんが、全てを養成のところに入れるということにも限界が来ているのは事実ですので、養成段階でなすべきことと、研修でなすべきこととを、いま一度整理する必要があるのではないかと考えています。
それから、もう一点ですけれども、単位の実質化等の議論とも関係する問題であるかもしれませんけれども、今後の議論を通して、教職課程の単位が最終的に何単位になるのか現時点で分からないですが、いずれにしても単位数の確保だけで学びが充実するわけではありません。養成段階で求められる資質能力をしっかりと獲得させるための学びの在り方や、その学びを実質化するためにはどうしたらよいのかという観点も重要な論点であると思います。さらに、教職課程や教員養成の質を担保しながらも、先ほど申しましたように、各大学の特色や持ち味を生かしながら多様な専門性を持つ教員を輩出していくことを可能とする教員養成はどうあるべきかという観点なども検討しながら、今後、コアカリキュラムの在り方ですとか、教職課程の課程認定の在り方等についての見直しなども含めた議論が必要になっていくのではないかと考えています。
以上でございます。
【秋田部会長】 森田委員、どうもありがとうございます。それでは、続きまして高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】 ありがとうございます。論点整理(案)を拝見しまして、非常に前向きで魅力的な論点が並んでいるかなと思いました。ありがとうございます。
こういったことを今後議論するに当たって私が感じることは、以前に御発表いただいたOECDの田熊さんの冒頭のスライドにありました「部分最適から全体最適へ」というメッセージがすごく重要かなと思います。先ほども予測困難というお話が荒瀬委員からありましたけども、本質とか、パーパスとか、理念とか、そういった大きな目標を常に見据えるということだと思います。本日、私も文科省のエレベーターに乗ったら、こういうようなポスターが貼られていて、方向としてはそういうことだと思いますし、荒瀬委員がおっしゃった「学び続ける」というようなキーワードかなと思っております。
その上で、7ページとかに「学びのトータルデザイン」という言葉であるとか、13ページにあるような「パッケージ化」みたいな、こういった考え方で、全体最適の視点で検討していくということが重要なのかなと感じています。このことは、デジタルのことがたくさん書かれているので、大変、私自身は励みになるんですが、デジタルのことも過去の経緯を考えてみると、単純なデジタル化ということとデジタルトランスフォーメーションの区別をしっかりしていくことが大事かなと思います。このことも部分最適と全体最適という言葉に非常に対応しているかなというふうに思います。デジタル化というのは部分最適で、デジタルトランスフォーメーションというのは全体最適だと思います。
変な例えですけども、レコードがCDになり、CDがスマートフォンになって、音楽鑑賞が随分形が変わったわけですが、レコード屋さんはCD屋さんになれたんですけども、CD屋さんはスマホでの音楽配信には対応できなかったということです。今、GIGAスクール構想で一生懸命デジタル化が進んでいますけども、その多くはデジタル一斉指導というか、授業の単純なデジタル化になっておりまして、それが本当にデジタルトランスフォーメーションになっているかという授業はほとんどないと感じています。
それはPDCAのように、例えばレコードのように、高音質で持ち運びしやすくてというふうに一つ一つ、現在ある個別の問題を解決していけば、レコードはCDになるけどもスマートフォンにはなりにくい。大きな全体最適という考え方がない限り、今日この論点の中にもデジタル化が入っていますけれども、これらに一生懸命に取り組んでも、後で現れるだろう大きな考え方によって消滅していってしまう、我々の努力がどうなるのかと考えてしまうところがあると感じております。
このように考えますと、例えば教員採用試験の一次試験を共通化というのも非常に魅力的ですが、そういうふうにやっていくものの発展形は、ある意味の教員の資格としての特に知識技能面での資格試験ふうにも見えていくわけで、そのように考えていくと、そういうものを教員養成の段階からやっていくんだと。さらに進んで、その手のペーパーテストで測れるものは、そもそも動画とかAIドリルで十分で、事前にそういうことをやっていれば習得が確認できるとか、パラレルにというか、非同期に授業で講義で扱わなくてもいいという可能性も出てきて、そう考えると、大学での教員養成は、そういったものはコンピューターで自分ペースで学んでいただいて、実技であるとか演習を中心に、そういったコンピューターで学んだ知識・技能を生かした演習型の講義になったり、あるいはそれぞれの興味の持つ専門性を追求していくような、そういった本質的な授業に変化していく可能性もあるかなと思っています。
このようにお話しすると非常に大学教員としては厳しいことになりますが、一方で、現職の先生とかに来ていただいたとしても、GIGAスクール構想でデジタルトランスフォーメーションみたいに変わった授業というお話しはなかなかいただけない。デジタル一斉授業の御説明はいただけるんですけども。本当に本質的に子供一人一人の力をしっかり伸ばすみたいな意味合いでの授業改善が進んできたときの教員養成というのは、教員養成や研修・採用というのは、こうした全体最適、本質的な目標をしっかり見据えた、学びのトータルパッケージみたいな言葉に集約されていくのかなと感じているところです。
私からは以上です。
【秋田部会長】 高橋委員、ありがとうございます。それでは、続きまして岡本委員、お願いいたします。
【岡本(潤)委員】 丁寧におまとめをいただきまして、ありがとうございます。
再度読み返して、幼稚園教育において多様な専門性を有する質の高い教育ということについて、再度考えさせていただいたのですけれども、新しい時代の学校教育を担うためには、多様な専門性だけではなくて、そこには幼稚園教諭は特に豊かな人間性という言葉がどうしても必要ではないかと考えています。多様な専門性という中にそれが含まれているのかもしれませんけれども、改めて教員としての人間性を考える必要があるのではないかなと考えております。
その根拠といたしましては、幼稚園教育要領の中の幼児期の終わりまでに育ってほしい姿、幼稚園はテストで測るところでも何でもなく、その姿にだんだんなっていくという姿が、幼稚園を卒園するときには目指す姿なのですけれども、その心情や意欲や態度が育つ中で、よりよい生活を営もうとする学びに向かう力、そこに教育要領には「人間性等」という言葉で記載されています。幼い子供にとっては、生活は即教育につながりますので、子供たちがよりよい生活を営むためには、同じ生活空間の中にいる教員は、子供たちのモデルとなるべき人的環境ですし、「共同作業者」という言葉で教育要領には書かれているのですけれども、教員自身の体験や生活力が大変強く求められますけれども、その生活力をいかに育んでいくのか、どうしてもそこに教員の人間性が同じように問われていくのではないかなと考えています。
ですから、多様な専門性だけではなく、そこに豊かな人間性を有する質の高い教職員集団であることを大事に、幼児教育の場合は特に考えていかなければならないと思っております。
今後さらに具体的に考えていく際に、このことをどういうふうに盛り込んでいけばいいのかということ、単に人間性という言葉であったり、生活力という言葉ではない言葉で、どのように含めていくことができるのか。人格形成の基礎を培う重要な教育である幼児教育については、この点を考えていくことが大切であろうと思っております。
先ほど小原先生も「個別に」ということをおっしゃっておられましたけれども、特殊であるわけではないんですが、一番最初の幼児教育については、とても大きくこの部分が関わっているかなと思って発言をさせていただきました。以上でございます。
【秋田部会長】 岡本委員、ありがとうございました。この後、佐古委員に御発言いただいた後、本日、坂本委員が11時までで御退出ということですので、坂本委員に御発言いただき、その後、順に貞広委員、白水委員といった形でまた進めさせていただきたいと思います。それでは佐古委員、お願いいたします。
【佐古委員】 お願いいたします。論点をきれいにまとめていただきまして、ありがとうございます。今までの議論が網羅的にまとめられたと思うんですが、私はこの会議が、喫緊の教員不足を背景にしていることはよく分かるんですが、一方では、それにのみ焦点を当てることに随分危惧しております。むしろ永続的に今後の教員の質の保証を図りながら教員を確保するという観点が必要なので、その点は私が気になっているところでございます。
具体的に言いますと、教職課程については、これまで御発言があった先生方の意見と重なるんですが、恐らく教職課程の改革の焦点は、内容論はともかくとして、学生の学び方を変えるということに焦点を当てて、そのために、例えば必修の教職課程の単位数をどれまで減ずるか、あるいは学生が主体的な学び手となって学ぶことができる選択型の科目をどうするかということの設計をしていくことが必要だと思います。単にこれまでのように内容を単位で配分するというようなことにとどまらない、学生の学び方の変革ということに焦点を当てた教職課程の設計が必要だろうと思っています。
もう一つ、社会人の教職への参入につきましても、この質の保障をどうするかということが課題だと思います。これについては、特別免許状の運用と活用をもう少し本格的に議論する必要があると思っています。私も少し見てみたんですが、特別免許状の検定の基準については、例えば学校で相当期間の経験があるということが前提になっていたりして、これはハードルが低いとは言えないので、一定の専門性があると認定された方には、学校等の勤務経験がなくても、あるいはそれが不足していても、例えば大学院等での実習であるとか単位履修を加算して認定するような方向もあっていいんじゃないかと。
もう少し踏み込んで言うと、特別免許状認定プログラムのようなもの公定しまして、そこを一つの条件にして間口を広げていくという方法もあるのではないかと思っています。
あと2点ですが、これは論点整理にはっきり出ていないことですが、1点は、教職課程を履修しながら教職に就かないという方が非常に多いということの現実です。教職課程を履修していない人をどう教職に参入させるかということの議論も必要だけれども、一方では、たくさんの方が、実は教職課程を履修しているのにもかかわらず、教員になっていないという現実を我々はどう理解して、そこにどんな対応をするかということもきちっと議論する必要があるだろうと思っています。これは教員の待遇面・処遇面だけの話ではなくて、恐らく大学の指導面のことも含めて考えなければならないことなので、この点は少し抜けているのかなと思っています。
4点目は、各大学のリソースが縮減する中で多様な専門性を有する教員を養成することが非常に難しくなっていますので、大学間連携によって豊かな教員養成を行う方策をもう少し拡大するような方向で、これに関する規制緩和も議論していただきたいと思っています。
以上です。
【秋田部会長】 佐古委員、ありがとうございます。
それでは、順番が逆転になります坂本委員、お願いをいたします。
【坂本委員】 時間の関係の関係で早めに当てていただいてありがとうございます。御配慮いただき感謝します。
私からも何点か申し上げておきたいと思うんですけれども、先生の質、これをどうやって担保するかって非常に重要だと思っています。それで最新の知識を様々な社会経験のある方が教えるということで、社会人の活用というようなことも取り上げられているんですけれども、これは毎回、私も全国の教育長の連合会の関係もやっている立場から申し上げると、大都市部というのは民間企業も集積していて、それでお願いをすると学校、いろんな現場に来ていただける環境というのは比較的整っている場合が大都市部はあると思います。ただ、地方に行って、そういう仕組みをどんどんやりましょうと言っても速やかに来てくれる人、ニーズに合う社会人をしっかりと確保できるのかって、これ、なかなか難しいと思います。
それでこれ、バンクのような形にして登録をしていくやり方もあるのかもしれないんですけれども、登録はしたけれども条件が本当に折り合うのかどうかというのは、これ、なかなか難しい部分があるというので、その辺りの仕組みづくりというものをもうちょっと入念やっていったほうがいいんじゃないのかなと思います。
それともう一つ、現職の社会人の方が学校の現場に足を運ぶというときに、社内規定でそういう兼業、副業みたいなことをきっちりやっていいというところが、どれだけしっかり担保されているのか。それはなかなか、そこまで踏み込んでまだ社内の規定を変えていないような会社が多々あると思うので、そういうところを含めて、どうやって学校現場に社会人の方が来ていただけるようになるのかというような、そういったところもトータルの社会の仕組みとして、どう考えるのかという切り口から考えていくべきなのかなと思います。
それと教員採用試験のいろいろと共同実施のお話が出ているんですけれども、これ、なかなか試験の問題をつくるというのは、これ一種、職人芸の世界であったりするので、これ、一たび共同実施でつくらないですよとすると、はっきり言ってそれに参入した、もしくは共同実施をやった団体からは試験を作成するノウハウが失われてしまうことになると思います。
こういう中で、共同実施というのはどういうような形で本当にやっていったらいいのかと。もう未来永劫、自分のところはつくらないというのは、これは一つの割り切りなんですけれども、割り切れないときもあるでしょうし、もう1回、自分単独でこれ、やっていかないといけない状況に追い込まれる場合もあるんだと、こういう想定は一つ必要だと思っていて。
それと共同実施をやることによって、これ、受験生の立場から見ると採用の回数とか採用の機会とか、そういったものにこれ、非常に著しい影響を及ぼすところであるので、そこら辺のつくり込みの議論というものは相当入念にやっていただいたほうがいいんじゃないかなと思っています。
それと、先生方になるに当たって今、大学を出て一定の教職課程を学んで今、それを増やすか、減らすか、単位の取得の負担を減らすべきか、どこまで学ぶべきか、非常にこれ、難しいところがあります。先ほど別の委員の先生からも、大学でしっかりこれだけのことは最低、学んでおいてもらいたいというお話があって、私もそのとおりだと思います。あまり負担軽減をして、できるだけ先生になることが簡単なんだよ、もしくは、そんなに学業をやっていく上で大きな負担にならないんだよ、そういうインセンティブのつけ方、当然あってもいいんですけれども、かといって、あまりにも知っているべきことを知らないような形で先生になってしまうような状態が出てきてしまうと、これ、非常によくないんだろうと思います。
何をどこまで教えるべきなのか、これは入念に考えていただきたいと思うのと、それと結局、専修免許を取っても、ほかの種類の免許とどこまで違うのか。これは団体によっては、これによって処遇、あとは初任給の格付とか、いろんなところに工夫をされている場合もあるのかもしれないです。ただ、事実上はそんなに専修の部分まで免許を取ったから何が変わっているということがないのが実態ではないのかなという気もしておりまして、単に名前が違うというだけではなくて、取ったなりのことがある、いや、それは現場で良質なことをやっていただけるということにはなっているはずなんですけれども、では、良質な教育をやったことに対する対価が何なのかというところも、しっかりと制度論の中でこれ、考えていかないといけない部分ではないのかなとはずっと思っています。
そういう意味では、特別免許というものとちょっと質は違うんですけれども、相当、大学院まで行っていろんな勉強して取っている免許、そういうものもあれば、そうでない免許との違いをどういうふうに差別化してプレミアムをつけていくのか、価値を高めていくのかというところが一つ必要だと思います。それでいて特別免許という、ちょっと趣を異にする免許形態、これをどういうような形でよりよく運用していくのかということも併せてセットで考えてが必要になっていくんじゃないのかなと思っております。
私からは以上でございます。よろしくお願いいたします。
【秋田部会長】 坂本委員、ありがとうございます。
それでは続きまして、貞広委員、お待たせいたしました。お願いいたします。
【貞広部会長代理】 ありがとうございます。2分で入るように頑張りたいと思います。
【秋田部会長】 3分、大丈夫です。
【貞広部会長代理】 3分でしたか。2つ申し上げたいと思います。
1つ目は、この事務局の方々にはもう本当に釈迦に説法だと思いますけれども、あらゆる公共政策は隣接する他の政策領域との架橋というのが欠かせません。今回は前回報告いただいた教育課程企画特別部会が検討してくださっている教育課程行政と、こちらの教育人材行政をいかに架橋するかということだと思います。
そのときに通常、この架橋って双方向の矢印が同じ太さだと思うんですけど、今回は同じ太さというよりも、何よりも教育課程行政で検討されているものをいかに実現するのかという、教育課程行政からこっちに来ている矢印のほうが太いところが大事だと思います。
学びの深化や多様な子供の包摂と学びの保障など、次期学習指導要領の柱の具現化のための制度であることをぶらしてはいけないと思いますし、さらにこれ、荒瀬先生もおっしゃっていたんですけど、さらにその先の想定できていなかった社会の変化を含み込んで吸収できるような思考も恐らく持っている必要があるんだと思います。
そうすると何かすごく詳細につくり込むこと、得意なんですけど、日本人の制度設計で得意なんですが、その詳細のつくり込みにプライオリティーを置くことよりも、もしかしたら今後、変化に応じてフットワーク軽く変化を含み込んでいけるような制度設計の思考というのを持つ必要もあるのかもしれません。これ、2つぐらい、ない交ぜになった意見です。
3点目です。3点目、2点目でしょうか。そういう観点からもう一度、今回の論点整理のこの構造を見ますと、何か若干、主客が逆転しているような印象があるんですね。諮問で示された主な検討事項、3つありまして、1つ目が社会の変化や学習指導要領の改訂も見据えた教職課程の在り方ってなっているんですけど、この社会の変化や学習指導要領の改訂等も見据えたというのは、2つ目の柱にも、そして3つ目の柱である多様な専門性や背景を有する社会人等がということも関わるもので、これが恐らくベースにあるんだと思うんですよね。
にもかかわらず、一番上の主題が多様な専門性を有する質の高い教師集団の形成となっていて、こっちが目的じゃなくて、これは手段なんじゃないかって。これは佐古先生がおっしゃっていた、教員が不足している、何とかしなきゃの気持ちのだだ漏れだと思うんですけど、何か構造的にどうなんだろうというのを改めて見て思いました。ガラガラポンしようというつもりはないんですけれども、構造の立てつけにあまり無理があるのはよくないのかなと、これは印象的な意見です。
以上でございます。
【秋田部会長】 貞広委員、どうもありがとうございます。
それでは続きまして、白水委員、お願いいたします。
【白水委員】 今の貞広委員の、網羅的な論点整理をどうやって構造化していくかというご意見に賛同するところもあるのですが、せっかく丁寧につくっていただいているので、なるべく具体的な論点整理に寄せた形で3点コメントしたいと思います。
まず、論点整理の5ページ目、身に付けるべき資質能力のところですが、この黒丸の3点目の「到達させる目標に至るための教育実践をしっかり省察し……学習プロセスを見取り、授業改善を行っていく」というところが要素として非常に重要で、簡単に言えば学習評価、アセスメントということになっているかなと思うんですけれども、その言葉が3ページ目のまとめにありませんので、学習評価や学びのリフレクションという用語が入ってくるといいのではないかと思いました。
一番いい入れどころとして、3ページ目の下から3点目のデジタル学習基盤を前提とした教育方法や授業改善の力が身に付く教職課程が必要ではないかというところがあります。教育方法─この方法がよさそうでやってみよう─や、授業改善─次の授業をよくしよう─だけではなくて、それらを試してみてどうだったか、「教育方法や学習評価、授業改善」という一連の力が身に付くとしますと、デジタル学習基盤の本来の意味というのが出てくるかなと思いました。しかし、この文の冒頭は「子供たちの情報活用能力の抜本的向上を図るため」とだけなっているので、勿体ないように感じます。デジタル学習基盤はそれだけではないだろうと思いますと。ここが、もう少し広範な、原理的な学びのエッセンスとして位置づくといいなと思いました。
ちょっと下りまして、このページの最後の「教育臨床研究」という表現が若干気になっております。「教えることを意識した教育学的知識、教科知識の再構成を目的とした臨床研究で、教育学を基盤としながら個人的・協働的な省察と研究を行う」というのは、実は全ての教育学がこういうものであるべきなのではないかという気がします。学部の時からこういうのは基本としてやりながら、大学院では、これにさらにどういうものが付加されるかで初めて教育臨床研究というのは位置づくといいかなと思います。教育臨床研究という言葉が独り歩きすると、「臨床的じゃない教育研究というのは何ですか」という疑問が生じるのではないかと思っております。
次のページに行きまして、そんなふうに先ほどのアセスメントも含み込んだような形で教育臨床研究は位置づくと思うんですが、この4ページ目の1点目の「コアカリキュラムを通じた一定の質保証、課程認定委による審査や実地視察による質保証に加えて、大学自らによる教職課程の自己点検・評価やFD、SD等の強化が必要ではないか」と、ここでこれ、さらっと書かれているんですが、実は先ほどの学び続ける子供たちを育てるための学び続ける先生の成り手を育てるんだとすると、恐らく学部、それから単科であれば大学自体が学び続けていく機関にならなければいけないのではないでしょうか。
そう考えたときに、もう少し学び方を学生に学ばせるためにも、大学や学部自らの自己点検の意義づけをはっきりさせながら、それが学び続ける機関としての在り方を決めていくのだという覚悟で全体が構造化されていくとよいのではないかと思いました。
以上です。
【秋田部会長】 白水委員、どうもありがとうございます。
それでは続きまして、松田委員、お願いをいたします。
【松田委員】 ありがとうございます。2点申し上げたいと思います。
1点目ですけれども、先ほど真島委員から御指摘があった、教育学部は最低限を担保する場ではなく理想を追求する場であるべきだという考えについては、私も全く異論はありません。教師という職業の尊厳を考えれば理想を追い続ける姿勢は不可欠だと思いますし、教育学部がその先頭に立つべきという視点には強く賛同いたします。
ただし、その一方で、理想を追求する主体を教育学部や教職課程のみに委ねる制度設計には限界があるという現実も直視するべきだと思っています。実際、教員不足の深刻化や教員養成段階で育まれた知識、技能等、現場の実態との乖離が近年ますます顕在化されていると思います。この状況は教育学部が理想を諦めているから起きているのではなく、むしろ教育学部に過度な負担と責任を集中させてしまっている制度構造そのものが悲鳴を上げていることを理解するべきなのではないかなと考えています。
よって、今後は理想を追求するのは教育学部だけではなくNPO、民間、自治体、現職の教員、市民社会など、多様なプレーヤーが連携しながら理想を追いかける協働型の養成育成モデルを構築するべきだと思います。養成段階で最低限を定めるのも決して大学が最低限やればいいという意味ではないと理解をしておりまして、共通基盤としてのミニマムを明示することで、大学がより自由に外部資源や社会的パートナーと連携しながらプラスアルファを構築できる余白をつくるという制度設計の観点が重要なんじゃないかなと思っております。なので、理想を追求するからこそ、最低限プラス社会連動型の発展モデルが必要だと考えておりましてコメントさせていただきました。
次に、日本版サプライティーチャー制度について申し上げたいと思いますが、日本版サプライティーチャー制度の検討は、現職教員の学び直しや休暇取得の環境整備という点で非常に重要な一歩だと考えます。ただ、その一方で、導入に際しては幾つかのリスクと対応策をあらかじめ制度設計に織り込んでおくことが不可欠だと思います。特に年配の退職教員を中心としたスポット代替人材の配置には、現場での心理的ハードルや文化的ギャップが生じやすい点も指摘されています。教育現場では指導スタイルやICT活用、探究的なカリキュラム運営などの面で世代間における考え方やスキルの違いがどうしてもあらわれやすく、現職教員がかえって気をつかってしまうこともあるかもしれません。もちろん退職教員全員ということではないと思いますけど、ここで提案したいのが年配教員のみに依存する代替教員体制ではなくて、育成可能な若手人材も含めた多様な人材ポートフォリオの構築でございます。
例えば既に学校現場に入っているT2教員や教育支援員、現職の非常勤講師、教職課程修了後のギャップイヤー層であったり、あとは教職大学院生といった方々は現場にある程度なじみがあり、代替要員としても入りやすく、かつ本人の能力形成にもつながる非常にいいリソースだと思います。特に現職の非常勤講師については、代替授業の経験をステップアップ機会として制度化していくと、一定時間以上の指導実績がある方には採用試験での加点や研修免除、または常勤化ルートへの明確な接続など、キャリア形成につながる設計ができれば、より持続的な制度になると考えています。
こうした仕組みを実現するために任用区分の柔軟化、オンボーディング研修やメンター制度の整備、予算配置の措置なども併せて進める必要があると思いますけれども、結果的に現職の働き方改革と若手教員の育成を両立させる両利きの制度になると信じています。サプライティーチャー制度が単なる欠員補充ではなくて人材循環と人材育成の起点として捉え直すことが鍵になると考えておりますので、意見として申し上げたいと思っております。
以上でございます。
【秋田部会長】 松田委員、どうもありがとうございます。
それでは続きまして、橋本委員、お願いをいたします。
【橋本委員】 橋本です。まず、これまでの議論を丁寧におまとめいただきありがとうございます。よくまとまっていると思いますが、2点ほど申し上げたいと思います。
一つ目は、採用研修のところで記載されている採用選考試験の日程の早期化の問題です。民間企業と競合するケースもありますので当然、学生から選ばれるために採用選考の早期化は一定の意味があると私も思います。したがって早期化自体は引き続き推進すればいいと思いますが、ただ早期化によって受験者数は増えたけれども辞退者数も増えているというようなことであっては、あまり意味がありませんので、実際に教師を目指す方が実数として増えているかどうかについての検証は必要じゃないかと思います。 もちろん文科省で検証を進めていただいていると認識していますが、引き続き丁寧な検証をお願いしたいと思います。ただ早期化するだけでいいのか、あるいは、それ以外の何か工夫が必要なのか、いずれにしろ目的は質の高い教職員集団を形成するということですので、その対策の効果についてもう少しきめ細かな検証が行われ、もし改善すべきことがあれば改善する必要があると考えます。
二つ目は社会人の教職への参入の件ですが、改めて諮問文を読み返してみますと、民間企業の人材を企業に在籍しながら、教師として勤務する際の任用形態の在り方という論点が設定されており、ここについては、まだ議論が十分できてはいないのではないかなと思います。民間企業に在籍しながら先生として職務を行うためには、どのような在り方があるかということ、これは先ほども出ていましたけれども、兼業とか副業など企業側の問題もありますが、あまりまだ普及していない中で、どうすれば勤務形態をより実効性のあるものにできるかということについての制度設計なども必要かと思いますので、これについての議論がもう少しあってもいいのかなと思います。
2点とも今回の論点整理の文言自体ではなく、その後の議論に関することでございますが申し上げさせていただきました。
以上です。
【秋田部会長】 橋本委員、どうもありがとうございます。
それでは続きまして、麻生委員、お願いをいたします。
【麻生委員】 ありがとうございます。麻生でございます。論点整理の案を読ませていただきましては、よくできていると思います。その中でも先ほど小原委員が2番目に御指摘をされました、小学校と中等教育の部分を分けるということですが、これに加えて、論点整理にも一部書いてありますが、幼稚園教諭に関しましても特別に論議をしなきゃいけないと考えております。
これは先ほど岡本委員からも御発言がありましたように、幼稚園の教育要領の中に豊かな人間性や学びに向かう力が重要視されて、就学前の重要な部分を、サポートしていく教員が幼稚園教諭だと思っております。特に私も短期大学の学長でありますけれども、同じ学校法人の中に附属幼稚園を持っておりまして、この中で感じるのは遊びの中から発達を促していく点と、小学校教育や中等教育とは少し違う、教師と子供の触れ合いがあります。
例えば、だっこをしてみたり、様々なおもちゃで遊んでみたりという触れ合い方が全く違うわけですので、これに関するスキルというのは幼児教育系短期大学の学科で学んできたものの中で得られるわけです。そういう要素を含めたカリキュラム構成になっております。
今までの話の中で教育学部、教職大学院等の発言が大変多いんですが、短期大学だけに絞って考えますと短期大学は全国に約300校あり、その35%が幼児教育を主とした幼児教育学科、もしくは子ども学科を持っております。教育機関として35%教育学科系であることを考えますと、私立が短期大学は、その中で幼稚園教諭を長く養成してきた自負もありますし、大変最近は幼稚園教員になりたがらないという問題も抱えており入学者が減少しております。
大学院教育、専門職大学院教育、学部教育に加えて、先ほどの小学校教員等と分けることの根拠として、ここで今まであまり強く議論されていなかった、専修免許、一種免許、二種免許という観点も少しずつ要素に入れていただきたいと思います。短期大学卒業生は2年制もしくは3年制の教育を受けた上で二種免許を取って現場に出ております。多様性という視点では、二種免許と一種免許と専修免許の多様性ではないと私は考えております。ということは二種免許の中でも、そういった多様性を持った形の養成ができるような課程認定におけるシステムということを考えたほうがいいと思います。
最後に、幼稚園教育においては短期大学卒業生の二種免許所有者が多数を占めている現実を、ぜひ皆様方に知っていただきたいと思います。
以上でございます
【秋田部会長】 麻生委員、ありがとうございます。
それでは続きまして吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】 ありがとうございます。すいません。私、最初、今日、何も述べるつもりなかったんですけれども、まず第1に論点整理につきましては、私は本当によくまとめていただいていると思っておりますし、いいものだと思っています。
ただ、今現実に我々、私立学校も含めて公立学校その他、全てが困っていることって一番大事なことは現在の教師不足ですか、これを解決するための手段をどうするかということが大きいと思っているんです。本当に今、例えば英語で英語を教育するというのはもう教育課程、ここ20年、そうなっているわけですけど、それができない先生も今、いるのも事実だと思います。そういう中で、逆に免許状は持ってないけど、そういうことができる人もいるかもしれない。そこで特別免許状というもの枠が最近、広がってきた。でも特別免許状は特別免許状として、教職課程における教員免許状のことはかなり重要なことだし、それをやらなきゃいけないだろうという話にもなっていく。
大学に目を移したとき、どうかって言ったときに、大学は教員免許状はありません。その代わり、大学は基本は大学を卒業してから大学院で学び、研究室に残り、そして、そうやって順に上がっていったところだと思いますけれども、今、教育はそうでもないと思うんですけど、そのほかの学部学科になると社会で経験していた人、それから役人だった人、そういった人が途中から、ぽんと来て教授になれる、我々でいう特免と同じことなのかもしれませんけれども、現場の教育が大事だからということで、そういうふうになってきますけど、それによって今、オーバードクターがどんどん膨らんでっちゃうとかいう問題もあるんじゃないかと思うんです。
ですから、その辺を総合的に考えたときに今、教員を増やすために何をするかというのをもう1回早めにやっていただかないと、このままいくと私は地方の学校の先生の数は本当に足りなくなると思います。東京ですら、もちろん大変ですけれども、地方に行けば行くほど大変になっちゃうんじゃないか。
それから優秀な教員を集めるためには、やはり給料も上げなきゃいけないと思います。今回、給特法がやっと改定されましたけども、それだけでは僕はとても追いつかないんじゃないか。そして人数の問題でも教員の数を増やさなかったら、働き方改革云々を言っている場合に今の多様化した子供たちを扱うためにはもっと大変になっちゃうんじゃないかなと、そういう思いもあって、あえてちょっと発言させていただきました。ありがとうございました。
【秋田部会長】 吉田委員、どうもありがとうございます。
私が皆様にお願いをしましたが3分を本当に皆様が協力していただきまして、逆に時間のゆとりができました。まだそれぞれのお話を聞いて話したかったということがございましたら、ぜひ挙手をいただけたらありがたく思います。また私自身、今のお話をそれぞれ伺いながら感じたことを少しだけ述べさせていただきたいと思います。
私自身、この時期に教員養成部会でこの改革が行われることは、先ほどからありましたように教育課程の特別企画部会と両輪で動いておりますので、今回3つの柱で教育課程が多様な子供たち、深い学び、デジタル学習基盤ということを軸に動いております。それが実際に実施されるときに、それを担える教員を養成していったり、それから、そのための研修を打っていったり、それに理解の深い教員を採用していくことが喫緊の課題としては極めて重要なところになってきます。
また、これまでもお話がありましたように人が足りないことは現実でございますし、教育の質を上げていくためには、どのようにしていくのかというところが重要でございます。そのためには教育学部の意義を考えていくのと同時に、森田委員からもありましたが開放制の教育養成制度という制度を我が国は持っているわけですので、それとの間でどういうようなことがあるのかということをもう一度、きちんとそれぞれの意義を議論していくことが重要でございます。
また、教職大学院ももちろん重要でございますけれども、先ほど松田委員が協働型でみんなでやっていくネットワークをつくるというお話がございましたけれども、総合大学や、教職大学院以外の大学院の修了者も含めて、どういう形を総合的にデザインしていくのかというような、高橋委員が言われた部分最適からシステム最適へ、どのようにしていくかということで全体像を今後もう一度、デザインし直していく議論が必要ではないかと考えているところでございます。
と話しておりましたら、ありがとうございます。小原委員が挙手をしていただきましたので、小原委員からお願いをいたします。
【小原委員】 1点です。この論点整理に入ってないのですが、教員養成の現場を見て感じることとして1点指摘させていただきます。
一つは、教職大学院の大学教員を誰がどこで養成するのかという問題が、教職大学院では起こりつつあります。もう一つ、それをさらに広げて一種免許あるいは二種免許を担当する教員、これを誰がどこで養成するのかという問題も、ここで検討すべきではないでしょうか。
これ、昔から「だったとさ論」、「そもそも論」だけでは、きちっとした小学校、中学校、高等学校教員、養成できないということを言われていました。したがって学者が教員養成という時代ではなく、学校の実情を分かる人が教員養成に加わらなければいけないという観点から、この場で教員養成のことだけではなくて、それを担当する教員をどこでどうやって養成するかということも、ぜひ検討をしていっていただければと思います。
そういったことができる先生方が少なくなってきておりますし、一方、課程認定で教える資格ありと認定する基準が厳しくなってきているので、それに見合う先生、大学の先生も少なくなってきています。ぜひ学校教員を養成する大学教員の養成の在り方についても検討をしていただければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
【秋田部会長】 小原委員、ありがとうございます。教員の養成をする大学の教員の養成の在り方、また、課程認定の在り方というところをお話しいただきました。
真島委員、お願いいたします。
【真島委員】 お願いします。先ほど松田委員からお話があった、あと秋田部会長、先生からもお話があったように、今の時代って教職、教育学部だけでもちろん成り立つわけではなくて開放制の大学やNPOとか、松田委員がなさっているようなお仕事、教員をこの間も御発表いただいたような形で実際に社会人をしっかりと養成していくような形態での在り方みたいな、これからの求められている大学の在り方というのは、まさに私もそのように協創する、協働するような形で、どうやって各地域をまとめてネットワーク化していくのか、そこのハブ組織として教育大学や国立大学が果たすべき役割というものがどうあるべきか、私立や国公立、さらには民間の教育団体も含めてどうやって、それぞれの強みを生かした形でネットワークしていくのか。
そのときに貞広委員がおっしゃっていただいたような、フットワーク軽くしていってフレキシブルに、いち早く対応しなければいけない課題には短期でやっていかなきゃいけない、そして改善、改良を繰り返していく部分と、もう一方で慎重に議論しながら、きちんとした制度設計を進めていく部分というのを分けて考えていかなければならないということと、あと、短期、中期、長期といった形で教師不足が非常に深刻な場所においては短期集中的に人材や予算を投入して改善していかなければいけない問題もあるかと思いますし、中長期的にしっかりとしたネットワーク化とか、その地区のこれからの10年後、20年後、30年後を見据えて、どうやって国の教育方針と、それから教育を担う様々な教育機関がどうやってネットワーク化をして、よりそれぞれの強みを生かした人材、教員養成と、それから研修、そういったものを採用とも一体化していくような機関をどうやって構築していくのかというところは物すごく大事な議論になってくるなと、今回、先生方、お話を伺って改めて感じました。
そういったところも新たな議論の論点整理のところに加えていただいて、しっかりと議論をさせていただけると大変ありがたいなと思いました。
以上です。
【秋田部会長】 真島委員、ありがとうございます。短期的な課題と中長期的課題を整理して論点を整理していくべきではないかという御意見をいただきました。ありがとうございます。これで今、あとは挙手がないと私には見えておりますので、皆様、論点整理案について様々な御意見をいただきまして誠にありがとうございました。
この後、事務局において本日の御意見を踏まえて、さらに構造化を考えながら論点整理を修正いただければと思っております。
また、本論点整理のコンセプトをまとめてお示しすることで本論点整理を御意見をいただく方々に内容が理解いただきやすく、参考までにそちらについても事務局で整理をして次回の部会でお示しいただければと考えております。
それでは、本日議題は2点でございますので、続きまして議題2として文部科学省教員関係の主な予算資料につきまして、文部科学省の令和8年度概算要求について事務局から御説明をお願いいたします。
大根田室長、お願いします。
【大根田教員免許・研修企画室長】 ありがとうございます。それでは、資料2に沿いまして説明をさせていただきたいと思います。
資料2、一枚おめくりいただきますと目次を御覧いただければと思います。御覧いただけますとおり、20以上事業等、記載させていただいております。今日は時間の関係もございますので、この中の1つ目と2つ目に絞って少しお話をさせていただければと考えております。
一枚おめくりいただきまして、ページの1でございます。1つ目でございますが、多様な優れた人材の教師入職総合支援事業について、まず説明をさせていただければと思っております。こちら、新規のものとして今、書かせていただいております。
背景・課題のところでございますけれども、1つ目の丸のところでございますが、目指すべき世界として均質な手段ではなくより多様な知見、経験を持つ人材を取り入れることで社会のニーズにも対応しつつ、高い教育力を持つ集団となっていくことが、まず、この教員職員組織については求められている背景。
また、教師不足が各地において2つ目の丸ですけれども、生じている中で、教職採用選考試験の採用倍率が令和5年度、過去最低となっていることを踏まえると、質の高い教師人材の確保ということが喫緊の課題である。
こういった背景を踏まえまして、3つ目の丸でございますけれども、この質の高い教師人材の確保が全国的な課題となっている中で、学校の十分な指導体制を全国で確保していくためには、国が主導しながら教師への入職を支援する新しいモデル開発でしたり、ベストプラクティスの周知等、また、さらには教職の価値、やりがいなどの社会的啓発に取り組んでいく必要があるという、こういった問題意識のもとで行っていく事業でございます。
事業内容のところでございますけれども、多様な優れた人材を教師入職につなげる新しいモデルを創出し、これの横展開を都道府県の中でしていく中で各自治体の質の高い教師人材の確保を推進していく、また、教職の価値、やりがいを啓発する取組への支援を行っていくというものでございます。
具体的なところ、下のところでございますが、丸1と丸2ということで書かせていただいているものでございます。丸1のところ、教師への入職を支援する新たなモデル開発ということで2つ柱を書かせていただいております。
青色の1つ目の丸の部分、日本版サプライティーチャー制度と書かせていただいておりますが、地域単位での一時的な新しい教師入職の在り方ということで書かせていただいているものでございます。現行の課題、丸1と丸2に書かせていただいているような声が存在している中で、こういった課題を解決していくために、一時的な教師の不在を地域内の学校を兼務する形でフォローする、こういった日本版サプライティーチャーについて導入の可能性を調査、検討するというものでございます。
2つ目の青丸でございますけれども、最後、トラベルティーチャーと書かせていただいておりますが、移住支援を組み合わせた自治体を越えた教師人材のシェアリングに関してございます。
その下の部分でございますけれども、成り手の確保に関しまして、自治体内にとどまらず人材を確保できる仕組みの構築ということを目指して、全国レベルで教師人材を新たに発掘し、関係人口の創出や移住促進による地方の活性化を図りつつ、教師が不足している地域に人材供給を行うことを目指していくというものでございます。こういった地域以外での教師としての入職モデルの開発を行っていくというものでございます。これが2つ目でございます。
大きく分けると1つ目のところは以上でございまして、2つ目が、この2つ目の丸、丸2という部分でございますけれども、就職氷河期世代の教師入職を含む教師確保に資する研修会や広報の実施ということで、就職氷河期世代を含む、1行目のところでございますが、多様な背景を持つ方々の入職を促進することを目的として各自治体に対し、より実践的な研修内容でしたり、入職後のフォロー等を含んで現職以外の教員免許保有者向けの研修の強化支援を促進していくといったことを考えております。これが、1つ目の1ページ目にある入職総合支援事業の概要でございます。
もう1点、次のページ、2ページ目でございますけれども、これも新たなものとして書かせていただいておりますが、働き方改革を踏まえたマイクロラーニング型の研修モデルの開発事業ということでございます。
1つ目の背景課題のところでございますが、1つ目の丸でございます。若手教員の増加でございましたり、一方でこの若手教員の方々、時間外の在校等時間が長い状況等もございます。そういった中で3行目のあたりですが、学びに関する高度専門職として成長していくことができるように組織としてしっかり支援していく必要がある点。
併せてですけれども2つ目の丸の点ですが、学校における働き方改革のさらなる加速化を推進する必要があるという背景がある中で、研修方法について、より効果的な学習効果の最大化が図られるような方法等を考えていく必要があると。
そういう中で3つ目の丸でございますけれども、内容、研修時間に着目して実践に近い形で、かつ勤務時間等に生じる隙間時間を活用した研修モデルを開発していくということを考えているものでございます。
事業内容のところ、マイクロラーニング型の研修コンテンツの作成及び研修モデルの開発ということで、内容のところでございます。赤の内容と書いてあるところですが、授業づくり、また、保護者対応の2つのテーマについて、5分程度のマイクロラーニング型の研修コンテンツの作成を考えているところでございます。
2つ目の丸のところ、学びたい部分を学びたいときに学べる方式、また、研修コンテンツの組合せによって、このモジュール方式のマイクロラーニング型の研修モデルとして効果検証を行っていくことを想定しているものでございます。
ほかにも多数ございますけれども、新規のものの中で特にこの2つについて説明をさせていただきました。以上でございます。
【秋田部会長】 大根田室長、御説明をありがとうございます。
ただいまの説明につきまして、委員の皆様から御質問等ございますでしょうか。初めて聞かれた方も多いかと思いますので、もし御質問がある場合は、お一人、一、二分程度でお願いをいたします。いかがでございますでしょうか。
ありがとうございます。荒瀬委員、お願いをいたします。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。教職員支援機構の荒瀬でございます。
質問ということではなくて、文部科学省の皆さんに、ぜひこれ、頑張っていただきたいということです。さっき貞広先生からもありましたけれども、何かしていこうと思うと、そこだけでは何もできないとか、初中局だけでは何もできないと、何もできないという言い方はひどい言い方ですけれども、むしろ連携をとっていただいて、例えば先ほどからの議論で言っても、これ、ちょっと国立大学に限った話になってしまうんですけれども運営費交付金の在り方とか、こういったようなこと、今、何がこの我が国の課題としてあるのかということを考えたときに、そこにお金を注ぐのは、これは国家として非常に重要なことではないかと思います。
それ、考えれば高等局とぜひ議論していただき、検討していただき、実際に教員養成大学大学院、教職大学院等へのお金の潤沢といっても、なかなか全体が潤沢でないので厳しいのはもう分かるんですけれども、ここ、何をお金使わないといけないのかというのを考えていただきたいと思います。ない袖は振れないということが、これは財務省もおっしゃるかもしれないけど、文部科学省もない袖は振れないわけでありますから、ぜひその点、頑張っていただきたいということを申し上げたかったので発言いたしました。
以上です。ありがとうございました。
【秋田部会長】 荒瀬委員、ありがとうございます。とても重要なお話をありがとうございます。
続きまして森田委員、そして小原委員といきたいと思います。森田委員、お願いいたします。
【森田委員】 ありがとうございます。質問というよりも意見のような形になりますが、2つ目に御説明いただいたマイクロラーニング型研修モデル開発事業というものにつきましては、ぜひ進めていただきたいと考えております。コロナ禍以降、働き方改革の問題等もあって、教員研修が動画視聴を始め、オンライン・ベースにかなり重点が置かれるようになってきたと思います。私どもの大学でも教職員支援機構の地域センター事業の一環として、近隣の教育センター等に研修動画を提供しておりますが、そのときに動画の長さにつきまして、どうしても一定の内容のまとまりのある動画をつくろうとするとかなり長くなってしまって、現場の先生や教育センターの方から、もう少し短くできないかというような意見もあったりします。
今後、動画による研修を行うとしても、いろいろなパターンの動画コンテンツを組み合わせていくような研修というのが、大事になってくると思っていますので、今回の新規の事業で焦点化して開発されようとしているマイクロラーニング型の研修動画というものを開発いただいて、どういったものが適切で、どういった効果があるのかということを検証いただければ、それの成果が全国に拡がり、研修のコンテンツや方法について、さらに幅が拡がってのではないかと思います。ぜひこの点についての検討を進めていただければと感じました。
以上、意見でございます。ありがとうございました。
【秋田部会長】 森田委員、ありがとうございます。
それでは続きまして小原委員、お願いします。
【小原委員】 ありがとうございます。引き続き森田委員が取り上げたマイクロラーニング型の研修モデルの件です。これ、先生方の教育に対する使命感で研修を受けるのが前提になっていると思いますが、正直、それだけでは研修に進まないと思います。研修するというのは、それだけ時間、コストを投資しているのですから、それの見返りとなるものがあると良いと思います。オープンバッジによる資格を反映する、例えば資格給のようなものが加われば、より研修に向かっていくのではないでしょうか。
教職大学院の失敗は、ここなのですよ。専修免許を取る、取る側からすると、その意味が抽象的です。2年間、費やして見返りがないから、進学が少ないのです。私も教職大学院立ち上げのワーキンググループに入っていましたが、非常に下品な話かもしれないですけれども、「えさ」がないと人間って動かないことを忘れていた。ですから、研修には「えさ」になるものというものも片方で用意しておく必要があると思います。
【秋田部会長】 小原委員、ありがとうございます。研修において教員は物的な報酬だけではなく精神的な報酬によって生きがいを感じているのは事実でございますが、そうは言っても精神的な報酬だけでいいのかというような、長期的な何らかのインセンティブの重要性というところの御意見をいただいたのかと考えております。ありがとうございます。
それでは、本日の議事は以上でございますので、最後に事務局より御報告をお願いをお願いいたします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】 本日もありがとうございました。
次回の教員養成部会の日程でございますけれども、こちらにつきましては、追って事務局より御連絡をさせていただきます。
以上でございます。
【秋田部会長】 皆様、本日は、長時間ありがとうございました。それでは、本日は以上とさせていただきます。
今日に限って心のゆとりを持って司会をすることができました。皆様の御協力に心から感謝申し上げたいと思います。お疲れさまでした。では、15分早いですが、今日はこれにて終了とさせていただきます。どうもありがとうございました。

―― 了 ――

■会議終了後に頂戴した御意見

(青海委員)
「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策」について考えたとき、大前提は、「教職に興味や関心、または魅力を感じている学生や社会人を、少しでも、一人でも多く、教職の世界へ導くこと、参入していただくこと」だと思います。「専門性があればいい」ということではないということです。それには、教職課程を設置する大学・大学院での学び、採用・研修への取組強化が重要です。
前者の教職課程の在り方についてですが、各大学の特性を生かした教員養成や学生が専門性を高めていける履修となるための改善、大学や学生双方に自由度を生み出し、学生が自らの強みを高められる柔軟なカリキュラムへの改善が必要です。
また、内容の振り分け等は変えるが、総単位数は減らさないようにできないか。単位数を減らすと、教員の質の低下や免許状の重みが軽くなったという印象を与えるのではないかという懸念があるからです。
後者の採用・研修の在り方についてですが、採用では、他業種との争奪戦の影響が強い教育学部以外の学部出身者確保対策の一層の強化、研修では、中教審企画特別部会での議論とリンクする部分ですが、教育の質の向上のための教師の時間的余裕、いわゆる教師の仕事に余白を創出することが重要だと思います。
加えて、かなりの割合を占める臨時的任用教員、時間講師の研修機会の確保に向けた環境整備も、後回しにはできないことだと思います。


(松浦委員)
【雑感】
・大学等における教員養成の意義についてはP6にあるとおり。不易の意義として共通認識すべきこと。しかしながら、論点整理(案)全体において、この意義をもって教師を育てるために学校現場は担っていることが多すぎて、疲弊を超えて、崩壊寸前にまで追い込まれている。この現状についてしっかりと書かれている一文が全く見当たらない。その共通基盤にかけている感がある。
・P12「教職員定数の改善や支援スタッフの充実など(略)併せて」の「併せて」に、「併せて」進められるほど、学校現場が「多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速」させることを考えられるほど、悠長ではない、と考える。
・「サプライティーチャー日本版」の「退職教員等」の「等」にはどのような資格が想定されているのだろうか。欠員を補充するに、安易に頭数を埋めれば何とかなるという考えが垣間見えるのである。
・P19「現行の教職大学院では、実践力・即戦力を強調しすぎているのではないか」・・・今の学校現場から教職員大学院へ研修派遣する場合、実践力・即戦力を向上して戻ってもらわないと、研修期間は学校に残る教職員の負担感が増すだけである。
・「企業に在籍しながら・・・」企業から学校現場への協力体制はありがたいことではある。しかしながら、「企業にとってのメリット」を強調しすぎてはいないか。特別免許状で対応することとするのかもしれないが、「企業におけるキャリアにおいて役に立つ重要な経験」を積んでいただくために、P21「管理職によるマネジメント」についてますます多忙化させるなら、残念ながら企業からの崇高な申し出は、学校現場の状況と乖離していると言わざるを得ない。また、そもそも教員免許状を取得する意義は何なのか、と考えてしまう。

【提案】
・教員養成にあたる教員は、学校現場を十分に知る。教員が学ぶことを求める必要性とともに、その学びに応える教員こそ、学校現場で学ぶことが必要。
・「教職員定数の改善や支援スタッフの充実など(略)併せて」「併せて」ではなく、そこを土台として「進めて」を押し出してほしい。まずそこを、という共通認識に文部科学省は立ってほしい。


(小原委員)
・「多様な専門性を有する、、、」とあるが、学校種ごとにその求められる「専門性」を定義するか具体的に示す必要がある。抽象レベルから具体的に議論を進めるうえで必要である。
・社会人対象とした免許取得を大学機関外へ託すのであれば、同様に普通免許取得の道としてすでに存在する通信教育課程の活用を高める検討もすべき。通信教育課程にも「特別免許コース」を設置させる。(またオープンバッチの仕組みを利用することで、社会人の時間(コスト)負担を軽減できるのではないか)
・現在、開放性では学科単位での課程認定となっているので、それを大学単位にすると大学負担が軽減される。そうすれば中学校一種免と小学校二種免といったダブル免許取得への道が拡がる。
・複数大学による連携教職課程の特例から「幼稚園と小学校を除く」となっている。片方で小学校採用倍率を高めようとしているその反面、その道を閉ざしている文科行政は矛盾しているように見える。「幼稚園と小学校を除く」としている要件を無くすことで、小学校教員免許取得の道が広がり、よって小学校教員応募者増の要因となるのではないか。