中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会(第151回)議事録

1.日時

令和7年6月27日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

15F特別会議室(WEB会議)

3.議題

  1. 多様な専門性を有する質の高い教職員集団の形成を加速するための方策について
  2. その他

4.議事録

【秋田部会長】  おはようございます。それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会第151回初等中等教育分科会教員養成部会を開催いたします。
 それではまず、事務局から、会議の開催方法について御説明をお願いいたします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】  ありがとうございます。会議の進め方等について確認させていただきます。
 本日の会議も、ウェブ会議と対面を組み合わせたハイブリッド形式にて開催させていただいております。御発言時は、画面下部のリアクションボタンにある挙手ボタンを押していただき、併せてマイクをオンしていただいて、御発言が終わりましたらマイクをオフにしていただくということでお願いいたします。
 以上でございます。
【秋田部会長】  どうもありがとうございました。
 それでは、本日の議事について申し上げます。議事は、議事次第にお示ししているとおり、1つでございます。
 それでは、議事1に入ります。今回は、議事に関係して、事務局において事前に研修等の実態に関するアンケート調査を実施したとのことでございますので、事務局より、今までの論点整理及びアンケート調査の結果の2点について御説明をお願いいたします。
【石川教員免許・研修企画室長】  おはようございます。教員免許・研修企画室長の石川でございます。
 まず、事務局の資料について説明させていただきます。資料の1-1ですけれども、こちらは諮問事項の1に関しまして、これまで議論が必要と考えられる事項と基本的な考え方をまとめてきたものですけれども、前回はこちらについては議論ありませんでしたが、事務局のほうで確認して、一部内容につきまして整理を行ってございますが、詳細な説明については省かせていただきます。
 続きまして、資料1-2をお願いいたします。資料の1-2が、前回、5月23日から諮問事項の2つ目に入りまして、教師の質を維持・向上させるための採用・研修の在り方として、これまでと同様、諮問を踏まえ議論が必要と考える事項、また、それに沿って議論をしていただきましたが、5月23日の議論を踏まえて、これまで出てきた意見の方向性としてまとめたものでございます。こちらはちょっと簡単に説明をさせていただきたいと思います。
 まず、採用の在り方に関しまして、今後の全国的な教員採用の需要や採用倍率がどのように変化していくかと考えられるかという点でございますけれども、採用面の増加要因、減少要因、それから、志願者の面の増加要因、減少者の要因についてまとめさせていただいた上で、今後全体として見れば、中長期的に採用者数が減少していく方向に変わると見込まれるものの、志願者を一定に保ったり、これまで以上に増やしていくことが容易な状況ではなく、採用倍率が自然に回復するわけではないと考えられる。引き続き、教職志願者を獲得するための取組を継続することが重要であると考えられるという点についてまとめてございます。
 続きまして、生産年齢人口が減少する社会にあって、教職に関心を持つ人材の裾野を広げるためにどのような取組が必要かという点でございますが、多くの方に教師を目指してもらうために働き方改革を深め、教師の魅力をいかに高めていくかという点、あるいは教師の中途採用の拡大や、民間企業に在籍しながら学校に勤務するというような形態も考えられるのではないかという点。高校生に教職の魅力を伝えられるよう、早期の人材獲得戦略も進めていくべきではないか。また、教師の広報戦略として、国と地方が一体となった広報戦略が必要ではないかといった点についてまとめているところでございます。
 それから、教員採用選考に関してでございますけれども、現状の取組と効果に関してでございますけれども、日程の早期化について、教育学部以外の学部出身者が多く受験するような中学校や新卒受験者が多く受験するものにつきましては、引き続き重要ではないかという点についてまとめてございます。
 また、特に教員採用選考の工夫改善の一環として、共同実施の意義や課題についてどう考えるかという点でございますけれども、共同実施のメリットといたしまして、複数の自治体が問題作成に参加することによる試験内容の質の向上、第一次選考の問題作成に係る負担軽減による第二次選考における人物・実践力重視の丁寧な選考の実施、教員採用選考に係る作業の合理化や経費の削減によって、児童生徒への対応や学校運営の支援などの業務への注力がより可能になるのではないかといった点についてまとめてございます。
 続きまして、現職教師の能力向上に関してでございますけれども、働き方改革をはじめとして、学び続ける教師を支える環境整備という点に関しまして、教職生涯を通じた能力形成のためには、教職の価値とやりがいについて情報発信が求められるという点。学校現場の教師が学べる時間・環境をつくる上で働き方改革の実行が不可欠であるという点。また、現職の教師や社会人が学びたいときに学べる環境づくりが必要であり、経済的負担の軽減や研修等定数の拡充、有給研究休暇制度等を検討する必要があるという点についてまとめてございます。
 また、研修について、各教育委員会の権限と責任に基づいて行われるものであるものの、共通的に身につけるべき知識や教師としてコアとなる能力をどう担保するかという点に関しまして、幼児教育を専門とする担当者を配置する教育委員会と、そうではない教育委員会では差があるという点もあるということと、したがって、広く他の学校種の校長やリーダーのつながりや、幼児教育全体を考えていくことのできる場づくり仕組みが必要ではないかという点をまとめてございます。
 それから、研修履歴を活用した「対話に基づく受講奨励」についての現状の課題や改善策という点に関しましては、対話に基づく受講奨励が「受講奨励」にウエートがかかっており、対話が必ずしも十分ではないということがあるのではないかという点等についてまとめてございます。
 それから、現職教師の学び直しの中心の場となる教職大学院等について、どのように戦略的に位置づけ、活用していくべきかという点に関してでございますが、教職大学院で育成すべき実践力について再検討が必要ではないか。教師の実践力とは、自ら実践や教育課題に対する理解と改善、解決を志向し、探求的・研究的に取り組むことのできる資質・能力として整理できるのではないかという点や、多様な社会人等が教職に就くルートを拡大するという観点から、教職大学院における学部段階に相当する教職課程の履修が容易になるような方策を講じることも検討すべきではないかという点等についてまとめてございます。
 それから、教職大学院等で学ぶ機会の拡充に関してでございますが、在職しながら教職大学院で学習できるよう、オンライン教育の活用、研修等定数の拡充、経済的支援、これらをパッケージ化した在職型教職大学院進学支援制度の創設などが必要ではないかという点をまとめてございます。
 そして、最後に、教職大学院における教育研究の充実や指導の質の確保に関しまして、教職大学院においては、教育課題に対応した得意分野を形成・伸長することができるよう、体系的で深みのある専門教育が必要ではないか。また、大学の特色等を踏まえて、専門科目群を構成し、特色化を図ることが必要ではないか。また、大学院生が専攻した分野を専修免許状に表示する仕組みの充実と活用が図ることが必要なのではないかという点。また、現職教師の教職大学院における学びは、自校での課題を自ら課題として抽出し、それを省察して研究するということが重要ではないか。また、現行の教職大学院では、実践力・即戦力の養成を強調し過ぎてきたのではないか。実践課題を探求し、省察した成果を研究的な論文としてまとめることも必要ではないかという点についてまとめてございます。こちらにつきましては、本日の議論等も踏まえまして、また整理をしていきたいと考えてございます。
 続きまして、資料の2を御覧ください。先ほど秋田部会長からも御紹介ありましたとおり、研修受講履歴の記録の作成、それから、研修受講履歴を活用した対話に基づく研修の受講奨励につきまして、これまでの制度がどのように浸透してきているかということについてアンケート調査を実施いたしました。
 このたび全連小、全日中、全校長の御協力も得まして、校長先生で1,300人ほど、また、校長先生が所属する先生に四、五人程度御協力いただきまして、5,600人の教員の方に御協力をいただいております。
 まず、2ページ目を御覧ください。研修受講履歴を活用した対話に基づく受講奨励ができていたかという点に関しまして、校長先生で約80%ができたと答えてございます。逆に言えば、20%程度の先生は十分にできなかったと答えておりまして、次のページ、その理由でございますけれども、制度の理解不足、また、意識していなかったためと回答した校長が多くなっておりまして、また、「対話と奨励」の実施方法が不明なためというところも合わせますと、6割、7割の校長先生が、制度を理解してないという観点から行えていなかったということで、ちょっと制度の周知というところに課題が感じられたところでございます。
 また、次のページを御覧ください。「対話と奨励」を実施したという校長先生、教員の皆さんの中でも、十分に教員育成指標や研修計画、教師自身の研修ニーズ等を踏まえられたかという点でございますが、校長先生のほうでは約85%がしっかりと踏まえられたと答えている一方、教員の中では約70%しか十分に踏まえて行われたと答えておらず、ちょっと15%程度認識のところに差があるというところに課題が見えるところでございます。また、十分に行われなかったという点につきましては、校長先生、教員ともに、やはりここにおいても制度の理解不足、制度を意識していなかったためという回答が多くなってございます。
 少し飛ばしまして、6ページでは、研修受講履歴を十分活用できたかというところでございますが、こちらはさらに少し割合が悪くなってございまして、校長先生で約60%、教員で50%となっておりまして、十分活用できなかったという理由としまして、こちらでも制度の理解不足というのが教員、校長先生ともに多くなってございますが、研修受講履歴が未完成のためという回答も多くなっておりまして、そこについてはちょっと教育委員会側の協力も必要ではないかと考えられたところでございます。
 11ページの7番でございますが、一方で、「対話と奨励」につきまして、効果的であったというところについては、校長先生は各教員の主体的・自律的な目標設定やキャリア形成につながることが期待できるという点を評価しております。また、教員の皆様からすると、自らの学びの成果を振り返ることができた、あるいは、自分のこれから伸ばしていきたい分野を見いだすことができたという点で評価をいただいてございます。
 最後に、Plantの使用感について、アンケート調査を行っております。現在、今回アンケート調査した中では約60%がPlantを利用してございまして、その中でPlantの使いやすいさという点では校長先生の70%、教員で60%が使いやすかったと評価していただいております。使いやすかった点という点では、研修教員の受講履歴が把握しやすいという点であるとか、実際に利用、研修を受ける教員としては、研修の検索、申込みが簡単にできるという点で評価をいただいております。
 一方でPlant、まだ利用から1年ちょっとしかたっていないということで、校長先生、教員、いずれもシステムに慣れるのに時間がかかるところで、まだ扱いにくさを感じているという回答もあるところでございます。
 ちょっと駆け足になりましたが、私からの説明、資料の2については以上となります。
 最後に、参考資料を御覧いただければと思います。参考資料、先日閣議決定いたしました骨太の方針の抜粋を配付しておりますけれども、骨太の方針の中で、最後赤字にしておりますが、質の高い公教育の再生としまして、地域枠の活用を含む教員養成大学等の機能強化、養成段階からの教師人材の育成・確保の仕組みの改革、研修の充実、奨学金返還支援の学部段階を含むさらなる検討に取り組むと記載がございまして、特に養成段階からの教師の育成、確保、意識の改革ということで、養成部会の議論、検討ということも骨太の中に位置づけられているところでございます。
 説明は以上です。
【秋田部会長】  御説明どうもありがとうございました。
 それでは、前回に引き続きまして、教員の質を維持・向上させるための採用・研修の在り方について御議論をいただきますが、まずは松原委員、青海委員、内田委員から御発表をいただき、それに関する質疑応答の時間を取ります。その後、大阪常磐会大学短期大学部、卜田先生、そして安田委員から御発表をいただき、それに関する質疑の応答の時間を取りたいと思います。
 それでは、松原委員からお願いをいたします。
【松原委員】  おはようございます。全国連合小学校長会の松原です。お時間をいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 全連小では毎年、都道府県教育委員会や全国の校長を対象に調査を実施しています。今日は、令和6年度の研究紀要から、教員研修の課題等に関する内容を取上げ、現状と課題、今後の方向性についてお話をいたします。次のページをお願いいたします。
 まず、教員免許状更新講習に代わる研修の設定についてです。都道府県教委への調査では、現時点では既存の研修を中心に実施しているところが多く、新たな研修や複数の研修を一体・体系化して実施している自治体はまだ限られています。今後、新しい研修の取組が広がることが期待されます。次、お願いいたします。
 次に、教員研修の現段階での課題についてです。都道府県教委からの回答では、令和5年度から6年度にかけて、仕組みとしては改善、定着してきているものの、研修内容の改善や受講の方法、日時の設定が引き続き課題として残っています。次のページです。
 校長からの回答でも同じく研修内容の改善が最も多く、受講の方法や校内における研修の扱い、日時の設定など、運用面での課題が目立っています。数値はパーセントの間違いでございました。失礼いたしました。
 5枚目のページになります。では、どのような研修を教員に受けさせたいと考えているのでしょうか。都道府県教委では、ICTに関するものや教科・領域の指導など、直接授業や指導に関わるものが上位に来ています。次のページです。
 こちらも同様に、数値はパーセントとなります。一方で校長からは、特別な配慮を要する児童への対応や倫理観及び危機管理能力、児童に対する深い理解や保護者との信頼関係の構築・連携など、コミュニケーションや対応に関する内容が重視されていることが分かります。これは経験の浅い教員の増加も背景にあると考えられます。今後求められる研修の方向性としては、都道府県教委、校長双方から、特別な配慮を要する児童への対応、教員としての倫理感及び危機管理能力、この2つが特に多く挙げられました。さらにICTに関する授業・校務の能力、教科・領域に関する知識や指導技術、教員組織としての協働体制、児童に対する深い理解、保護者との信頼関係の構築・連携など、多様な力が必要とされています。こうした複合的なニーズに応えるためには、単発の研修だけではなく、体系的・段階的な学びの保障が重要です。次のページになります。
 校内OJTについても確認をいたしました。教える側、受ける側の双方に時間的余裕がないという課題が顕著でした。研修制度や内容の充実に加えて、研修のための時間の確保、学校現場の勤務実態の改善が不可欠です。次のページです。
 あわせて初任者や臨時的任用教員の配置状況についても御報告いたします。令和5年度、6年度の状況ですが、小学校における初任者の配置は全国でおよそ6割の学校に見られます。次のページお願いします。
 また、臨時的任用教員については、85%を超える学校に配置がありました。次、お願いします。
 例えば、初任者の配置でいえば平均で1校1.5名、大規模校では平均2名、最大4名の初任者が配置されています。
 次のページの臨時的任用教員の配置でも、平均で3名程度、大規模校では平均5名以上の配置があったことが分かります。学校現場では複数の経験の浅い教員を日常的に支える体制が求められていることが分かります。最後のページになります。
 最後に少しまとめたいと思います。教員研修を実効的に行うには、次の4つの視点が重要だと考えます。第1は、研修のための時間の確保です。研修自体の時間はもちろんですが、地方では移動の時間も考慮する必要があります。オンラインの研修などは有効ですが、オンデマンドの研修は勤務時間外や休日に視聴しているという状況も見られます。
 第2は、研修に出やすい人的配置です。例えば初任者が複数配置された学校では、毎月同じタイミングで研修のための出張が重なるということになります。教員が安心して外部研修に参加できるよう、校内の人的配置を充実させる必要があります。
 第3は、研修内容の充実です。新しい学習のスタイルや新しい教育課題への対応など、現場のニーズに即した実践的で役立つ内容となるよう、継続的な見直しが求められます。
 そして、第4は、継続した学びの支援です。教師が学びをデザインし、学び続けていくためにも、研修についても、単発ではなく段階的・体系的なスキルアップの道筋が必要です。また、若手教員には比較的研修を勧めやすい一方で、ベテランや子育て中の教員には参加のハードルが高くなりがちです。そうした点への配慮も欠かせません。
 これらの視点を踏まえ、今後、現場の実態に即した実効性ある研修体制の整備を、全国の教育関係者とともに進めてまいりたいと考えております。
 以上となります。
【秋田部会長】  松原委員、どうも御発表をありがとうございます。
 それでは、続きまして、青海委員でございますが、本日は青海委員は御欠席とのことで、御意見をまとめて資料を頂戴しておりますので、事務局より御紹介をお願いいたします。
【石川教員免許・研修企画室長】  教員免許・研修企画室長の石川でございます。青海委員から事前に意見書をいただいておりますので、簡単に紹介をさせていただきます。
 まず、研修の在り方に関する現状の主な課題といたしまして、先ほどアンケートでもございましたが、「対話と奨励」の制度の理解不足や形骸化の懸念があるのではないか。あるいは、充実した「対話と奨励」を行うための十分な時間の確保ができてないという意見があるということであるとか、また、教職大学院について、現状はなかなか戦略的に位置づけられたり活用されていないのではないかという意見をいただいております。
 また、Plantにつきましては、研修履歴の確認や管理職による承認プロセスが煩雑ではないかという御意見をいただいていたり、また、任意団体が主催する研修会が事前に登録されていないため、そういったものについての参加実績については手入力するところが少し時間がかかるといった課題をまとめていただいております。
 こうしたことを踏まえた提案ということでございますけれども、まず、制度の理解促進や「対話と奨励」の質の向上に関しましては、丁寧な制度周知や研修を実施することや、ガイドラインや支援ツールを提供していくということ。それから、人事評価との連携をしていくということも必要ではないかという意見をいただいてございます。
 また、研修の時間確保や業務の効率化という点に関しましては、校務DXなどを進めることで業務効率化を図り、対話や研修に当たる時間をしっかりと確保する必要があるのではないか。また、「対話と奨励」の柔軟な運用として、Plant内に対話や受講奨励の機能、それ自体をAIなども活用して実装するといいのではないか。また、研修の申込期間や開始時期について見直しが必要なのではないか。また、研修報告についても、簡素化が必要ではないかといった意見を提言していただいてございます。
 また、学び続ける教師を支える環境整備に関する提言といたしまして、教職大学院というものがもっと身近な選択肢となるよう、現職教員の就学支援策を講ずるなど、戦略的な位置づけが必要なのではないかという提言をいただいております。
 また、Plantの改善と活用促進というところに関しましては、教員・管理職ともに研修履歴を簡単に確認できるように仕組みを整備・改善していただけることが必要ではないかといった点や、また、任意団体の研修も含め、幅広い研修が年度当初にPlantに登録されるようにして、教員自身が幅広く選択できるようにすべきではないか。また、Plantの中にAIなどを活用して、研修のリコメンド機能の実装など、教員ごとに研修ニーズに合わせた個別最適化ができるといいのではないかということや、また、教育委員会による研修計画のPDCAサイクルに履歴情報を活用することも重要ではないかという点などの提案をいただいてございます。
 簡単ではありますけれども、青海委員からいただきました意見書について紹介となります。以上でございます。
【秋田部会長】  ありがとうございます。青海委員の資料を石川室長のほうで代読をいただきました。ありがとうございます。
 では、続きまして、内田委員から御発表をお願いいたします。
【内田委員】  よろしくお願いいたします。発表の機会をいただきまして、ありがとうございます。全国高等学校長協会会長、東京都立三田高等学校長の内田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、東京都におけます現職研修について、管理職と教員の対話に基づく受講奨励についてお話しするとともに、専門性を高める研修につきましては、教員としてのモチベーション向上が大変重要であります。我が国で長年研修を支えてきました任意研修団体の有用性について、私が関わっております東京都生物教育研究会や日本生物協議会、そして全国放送教育研究会連盟を例にお話をさせていただきたいと思います。次のスライドをお願いいたします。
 東京都の公立高等学校においては東京都教育委員会が策定しております、東京都教員研修計画を基に実施しております。先ほども事務局から一部お話がありましたけれども、教員免許更新講習の廃止とともに、令和4年8月に発出された「改正教育公務員特例法に基づく公立の小学校等の校長及び教員としての資質向上に関する指標の策定に関する指針の改正等について」において、教員の資質向上のための取組の記録が「研修履歴」、資質の向上に関する指導・助言等が「対話に基づく受講奨励」に位置づけられました。
 東京都教育委員会におきましては、校長の役割の明確化や校内研修の体制整備、そして研修履歴の活用をより一層推進していくため、令和5年2月に「東京都公立学校の校長・副校長の教員としての資質向上に関する指標」を改正しております。
 こちらについて掲載、ホームページアドレスを参考としてスライドに載せております。後ほど御覧いただければと思います。
 都立高校においては、各学校において年3回実施する自己申告書に基づく面接を通して、教員の主体的な学びを促進するとともに、指導教諭による授業公開や指名制による研究授業、そして校内のOJTや校内研修等を充実させるなど、人材育成を進めております。また、昨年度までは、東京都教職員研修センターの独自システムである「マイ・キャリア・ノート」の研修受講システムを活用していましたが、令和7年度からNITS独立行政法人教職員支援機構のPlant全国教員研修プラットフォームの利活用に移行しております。次のスライドをお願いいたします。
 こちらが令和5年2月に、「東京都公立学校の校長・副校長及び教員としての資質向上に関する指標」で、教員が身につけるべき力と学校マネジメント能力を整理し、課題に対して教員に求められる具体的な力を示している図であります。OJT、Off-JT、自己啓発の3つの手段の目的や意義についてもまとめております。次のスライドをお願いいたします。
 そして、教員や管理職が教員生涯を通じて学び続けるために、教職に必要な素養や指標を体系的に整理して示しております。次のスライドをお願いいたします。
 こちらにつきましては自己申告書の書式でございまして、教員が作成し、年3回の管理職との自己申告の際に用いる書式になっております。こちら表面で、次のスライドをお願いいたします。
 こちらが裏面になりますが、能力開発、OJT、研究・研修、自己啓発の項目がありまして、こちらと履歴カード等にも記載されている研修履歴等を活用し、対話に基づく受講奨励が校長と教員の間で実施されております。こうした対話も含め、教職における学びのモチベーションと研修の必要性を教員本人が認識することが非常に重要であると考えておりますし、このモチベーションを応援するための校長との、あるいは副校長との研修奨励が、より一層推進されるべきだというふうに考えております。それでは、次のスライドをお願いいたします。
 研修は、校内におけるOJTや教育委員会主催の研修、大学等が実施する外部研修、NITSの行う中央研修ばかりではありません。かゆいところに手が届く研修を大切にするためには、多様な研修機会や研修実施主体が必要となります。こういった中、東京都教育委員会においては、東京都教職員研修センターが、都内の任意研修団体を研究推進団体として認定し、研究奨励費として、各団体に少しずつですが予算配付をしたり、あるいは研修出張として認めるなど、一定の規定の下に認定をした上で研修奨励をしております。ここの画面では、高等学校における43の団体を掲載しております。こちらについては、小学校、中学校、そして校種を超える団体についても別ページに掲載をさせていただいております。後ほど御覧いただければと思います。
 続きまして、ここで私が関係している東京都生物教育研究会について御紹介をしたいと思います。私は、専門性を高めるために、モチベーションを高め、そして、研修をより推進することが必要と考えております。昨日も筑波大学附属駒場高校において、研修の一環としまして、豚の肺を使ったり、ユスリカの唾液腺染色体に関する研修を実施することで、新規採用2年目の教員3名を含む20名の方の参加を得た研修を実施することができました。都内の国公私立の教員850名以上が加盟しておりまして、この団体が今、画面に示しているような活動を行っております。次のページを御覧ください。
 昨年は、東京で全国大会を実施をしました。様々な研修の中で、それぞれ教員が関心を持つ情報を手に入れるとともに、授業技術の交換や教材の交換など、様々な活動を実際に実施しております。こちらについても非常に多彩ですので、御覧いただければというふうに思っております。次のページを御覧ください。
 こうした任意研修団体は、全国組織も存在しております。東京都生物教育研究会については、日本生物教育会、こちらは全国組織でありますけれども、その下部団体としても位置づけられております。日本生物教育会につきましては歴史も非常に長いものがありまして、昭和の初めに嘉納治五郎先生をはじめとした有識者により開設をした団体ということで、また、様々な御配慮もいただきながら運営をさせていただいております。毎年全国各地で全国大会を実施しておりまして、昨年については東京、今年については新潟で実施をする予定になっております。こうした全国大会を行うことにより、各地の自然について理解をするとともに、教員間の研修、情報交換が行われております。次のページを御覧ください。
 今、御紹介をした高校に特化した研修団体ばかりではありません。全国放送教育研究会連盟につきましては、NHKの放送番組を中心として活用する研究、あるいは授業公開を通した交流などを図っております。こちらについても、全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の校種を超えた交流や、あるいはそれぞれの校種に基づく大学の先生からのアドバイスなどを受けながら、日々研さんに励んでいるところでございます。こちらについてもウェブページのアドレスを掲載しておりますので、後ほど御参照いただければ幸いでございます。
 こういった任意研修団体は、単純にそれぞれの教員の専門性を高めるばかりでなく、それぞれの教育実践について共有し、そしてお互いの情報交換、そして指導に対する不安を解消する一役を果たしております。最後のページを御覧いただければと思います。
 最後のページは、現職教員の能力向上のために必要なことということでまとめさせていただきました。意欲ある現職教員が学び続ける教師であるために、勤務に余白を改めて生み出す必要があると考えております。学校教師が担う業務に関する再分類等による業務の見直しだけでなく、財政的な支援や、教員定数等の改善は不可欠であると考えております。現職教員の研修は、基本的には各教育委員会の権限と責任に基づいて実施されておりますが、ICTを活用したオンライン研修も実施されているものの、対面で情報交換や共感が主要な研修も多く存在し、こちらの有用性、ますます重要と考えております。それぞれの特性を踏まえた、効果的な実施が必要と考えます。
 教育委員会、大学教職員支援機構による研修は目的が明確であり、成果も期待できますが、激しく変化する教育を取り巻く環境や社会的な要請に対して、必ずしも柔軟に対応できているとは言えない状況があります。こういったニーズをカバーするものが任意研修団体というふうに考えることができます。こういった活動に対して財政的な支援や出張研修としての認定など、積極的な活用を今後、図ることが必要であると考えますし、文部科学省としても支援していただきたいなというふうに思っております。
 研修履歴を活用した「対話に基づく受講奨励」につきましては、教育現場の状況を踏まえ、さらに実効的な仕組みとしていくために、従来の研修、OJT、Off-JTだけでなく、自己研さんとしての任意研修団体の研修等を記録として組み入れることが必要というふうに思いますし、こうしたものが学校管理職や指導主事等の専門性を高める機会となると信じております。
 そうした研修団体の質や機会を担保するため、認証制度や登録制度、Plantなどの活用も考えられると考えております。
 以上で発表を終わります。ありがとうございました。【内田委員】  よろしくお願いいたします。発表の機会をいただきまして、ありがとうございます。全国高等学校長協会会長、東京都立三田高等学校長の内田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は、東京都におけます現職研修について、管理職と教員の対話に基づく受講奨励についてお話しするとともに、専門性を高める研修につきましては、教員としてのモチベーション向上が大変重要であります。我が国で長年研修を支えてきました任意研修団体の有用性について、私が関わっております東京都生物教育研究会や日本生物協議会、そして全国放送教育研究会連盟を例にお話をさせていただきたいと思います。次のスライドをお願いいたします。
 東京都の公立高等学校においては東京都教育委員会が策定しております、東京都教員研修計画を基に実施しております。先ほども事務局から一部お話がありましたけれども、教員免許更新講習の廃止とともに、令和4年8月に発出された「改正教育公務員特例法に基づく公立の小学校等の校長及び教員としての資質向上に関する指標の策定に関する指針の改正等について」において、教員の資質向上のための取組の記録が「研修履歴」、資質の向上に関する指導・助言等が「対話に基づく受講奨励」に位置づけられました。
 東京都教育委員会におきましては、校長の役割の明確化や校内研修の体制整備、そして研修履歴の活用をより一層推進していくため、令和5年2月に「東京都公立学校の校長・副校長の教員としての資質向上に関する指標」を改正しております。
 こちらについて掲載、ホームページアドレスを参考としてスライドに載せております。後ほど御覧いただければと思います。
 都立高校においては、各学校において年3回実施する自己申告書に基づく面接を通して、教員の主体的な学びを促進するとともに、指導教諭による授業公開や指名制による研究授業、そして校内のOJTや校内研修等を充実させるなど、人材育成を進めております。また、昨年度までは、東京都教職員研修センターの独自システムである「マイ・キャリア・ノート」の研修受講システムを活用していましたが、令和7年度からNITS独立行政法人教職員支援機構のPlant全国教員研修プラットフォームの利活用に移行しております。次のスライドをお願いいたします。
 こちらが令和5年2月に、「東京都公立学校の校長・副校長及び教員としての資質向上に関する指標」で、教員が身につけるべき力と学校マネジメント能力を整理し、課題に対して教員に求められる具体的な力を示している図であります。OJT、Off-JT、自己啓発の3つの手段の目的や意義についてもまとめております。次のスライドをお願いいたします。
 そして、教員や管理職が教員生涯を通じて学び続けるために、教職に必要な素養や指標を体系的に整理して示しております。次のスライドをお願いいたします。
 こちらにつきましては自己申告書の書式でございまして、教員が作成し、年3回の管理職との自己申告の際に用いる書式になっております。こちら表面で、次のスライドをお願いいたします。
 こちらが裏面になりますが、能力開発、OJT、研究・研修、自己啓発の項目がありまして、こちらと履歴カード等にも記載されている研修履歴等を活用し、対話に基づく受講奨励が校長と教員の間で実施されております。こうした対話も含め、教職における学びのモチベーションと研修の必要性を教員本人が認識することが非常に重要であると考えておりますし、このモチベーションを応援するための校長との、あるいは副校長との研修奨励が、より一層推進されるべきだというふうに考えております。それでは、次のスライドをお願いいたします。
 研修は、校内におけるOJTや教育委員会主催の研修、大学等が実施する外部研修、NITSの行う中央研修ばかりではありません。かゆいところに手が届く研修を大切にするためには、多様な研修機会や研修実施主体が必要となります。こういった中、東京都教育委員会においては、東京都教職員研修センターが、都内の任意研修団体を研究推進団体として認定し、研究奨励費として、各団体に少しずつですが予算配付をしたり、あるいは研修出張として認めるなど、一定の規定の下に認定をした上で研修奨励をしております。ここの画面では、高等学校における43の団体を掲載しております。こちらについては、小学校、中学校、そして校種を超える団体についても別ページに掲載をさせていただいております。後ほど御覧いただければと思います。
 続きまして、ここで私が関係している東京都生物教育研究会について御紹介をしたいと思います。私は、専門性を高めるために、モチベーションを高め、そして、研修をより推進することが必要と考えております。昨日も筑波大学附属駒場高校において、研修の一環としまして、豚の肺を使ったり、ユスリカの唾液腺染色体に関する研修を実施することで、新規採用2年目の教員3名を含む20名の方の参加を得た研修を実施することができました。都内の国公私立の教員850名以上が加盟しておりまして、この団体が今、画面に示しているような活動を行っております。次のページを御覧ください。
 昨年は、東京で全国大会を実施をしました。様々な研修の中で、それぞれ教員が関心を持つ情報を手に入れるとともに、授業技術の交換や教材の交換など、様々な活動を実際に実施しております。こちらについても非常に多彩ですので、御覧いただければというふうに思っております。次のページを御覧ください。
 こうした任意研修団体は、全国組織も存在しております。東京都生物教育研究会については、日本生物教育会、こちらは全国組織でありますけれども、その下部団体としても位置づけられております。日本生物教育会につきましては歴史も非常に長いものがありまして、昭和の初めに嘉納治五郎先生をはじめとした有識者により開設をした団体ということで、また、様々な御配慮もいただきながら運営をさせていただいております。毎年全国各地で全国大会を実施しておりまして、昨年については東京、今年については新潟で実施をする予定になっております。こうした全国大会を行うことにより、各地の自然について理解をするとともに、教員間の研修、情報交換が行われております。次のページを御覧ください。
 今、御紹介をした高校に特化した研修団体ばかりではありません。全国放送教育研究会連盟につきましては、NHKの放送番組を中心として活用する研究、あるいは授業公開を通した交流などを図っております。こちらについても、全国の小学校、中学校、高等学校、特別支援学校の校種を超えた交流や、あるいはそれぞれの校種に基づく大学の先生からのアドバイスなどを受けながら、日々研さんに励んでいるところでございます。こちらについてもウェブページのアドレスを掲載しておりますので、後ほど御参照いただければ幸いでございます。
 こういった任意研修団体は、単純にそれぞれの教員の専門性を高めるばかりでなく、それぞれの教育実践について共有し、そしてお互いの情報交換、そして指導に対する不安を解消する一役を果たしております。最後のページを御覧いただければと思います。
 最後のページは、現職教員の能力向上のために必要なことということでまとめさせていただきました。意欲ある現職教員が学び続ける教師であるために、勤務に余白を改めて生み出す必要があると考えております。学校教師が担う業務に関する再分類等による業務の見直しだけでなく、財政的な支援や、教員定数等の改善は不可欠であると考えております。現職教員の研修は、基本的には各教育委員会の権限と責任に基づいて実施されておりますが、ICTを活用したオンライン研修も実施されているものの、対面で情報交換や共感が主要な研修も多く存在し、こちらの有用性、ますます重要と考えております。それぞれの特性を踏まえた、効果的な実施が必要と考えます。
 教育委員会、大学教職員支援機構による研修は目的が明確であり、成果も期待できますが、激しく変化する教育を取り巻く環境や社会的な要請に対して、必ずしも柔軟に対応できているとは言えない状況があります。こういったニーズをカバーするものが任意研修団体というふうに考えることができます。こういった活動に対して財政的な支援や出張研修としての認定など、積極的な活用を今後、図ることが必要であると考えますし、文部科学省としても支援していただきたいなというふうに思っております。
 研修履歴を活用した「対話に基づく受講奨励」につきましては、教育現場の状況を踏まえ、さらに実効的な仕組みとしていくために、従来の研修、OJT、Off-JTだけでなく、自己研さんとしての任意研修団体の研修等を記録として組み入れることが必要というふうに思いますし、こうしたものが学校管理職や指導主事等の専門性を高める機会となると信じております。
 そうした研修団体の質や機会を担保するため、認証制度や登録制度、Plantなどの活用も考えられると考えております。
 以上で発表を終わります。ありがとうございました。
【秋田部会長】  内田委員、御発表をどうもありがとうございます。
 それでは、今から委員の皆様に御意見や御質問があればお願いをいたします。青海先生に対する御質問につきましては、一度お預かりして、後日委員の先生方に回答を送っていただくという形にさせていただきます。
 時間は25分取りたいと思いますが、お一人2分程度でお願いをいたします。なお、多くの方が挙手された場合は時間で区切らせていただきますので、御発言ができなかった委員は、後で事務局のほうに御意見を寄せていただければ、議事録に掲載をさせていただく形にさせていただきたいと思いますので、御承知おきください。
 それでは、御意見のほうをいただければと思います。よろしくお願いをいたします。今、お手が挙がっておられる方からお願いします。それでは、松浦委員、お願いをいたします。
【松浦委員】  おはようございます。湖南市長の松浦です。松原委員の御発表、非常に興味深くお聞きしておりました。
 5ページの研修を提供する教育委員会と、6ページにある受講させたい校長の考え、この乖離、特に教育委員会はICTを配置した、つまり予算措置をしたという側面と、学校は特別な配慮を要する児童への対応と、このニーズ把握の違い、これが明らかだなと思って聞かせていただきました。このことは青海委員の書いておられる1の(3)教職大学院の在り方についてのコメントにもあらわれているなと、このように感じておりました。
 私、ここまで数回この会に出席をさせていただいているわけですけれども、ここまでの御発表をお伺いして、子供たちの発達段階、とりわけ特別な配慮を要する子供への対応というのを考えたときに、大きく言いますと就学前、小学校、中学校、そして高等学校、これを同じ枠で研修を考えていくのが適切なのかという、そこに疑問を感じることがありました。特に事務局資料、今日の1-2の5ページにあります、現行の教職大学院では実践・即戦力の養成を強調し過ぎているのではないか云々というそこの3行のところ、ここは一くくりでやはり考えられるものではないのではないかという、そのような感想を持ちました。
 以上です。
【秋田部会長】  松浦委員、どうもありがとうございます。
 それでは、ちょっと順番は入れ替わりますが、古沢委員が先に御退出ということなので、先に古沢委員、お願いいたします。
【古沢委員】  ありがとうございます。私のほうでは、内田委員にちょっと御質問をさせていただきたいと思います。
 任意研修団体の御発表で非常に感銘を受けまして、大変興味深い、質の高い内容で、非常に伝統もあって続けていらっしゃるんだなというふうに認識を新たにしました。先ほど出張研修として認定すべきだというお話があったんですけれども、自治体レベルでも今のところは、例えば生物の団体についても手弁当でやっていらっしゃるのかということと、どのように運営されているのかと、素朴な疑問ですが抱きました。
 学校現場、皆さん余裕がなくなってきていると思うんですけれども、参加人数の推移、規模的な変化がもしありましたら教えていただきたいというふうに思いました。こちらは多分、生物とか放送教育とか先生関わられていることだと思うんですけれども、全体としてどういう状況かというのも可能な範囲で伺えればと思いました。
 最近、私たまたま中学校段階でも、以前は全国規模の生徒指導であるとか、あるいは教科別の研修団体かなり盛んに行われていたという話を聞いたことがあるんですけれども、最近は皆さんやっぱりお忙しくてできなくなっているということを聞いたばかりだったんですけれども、できれば後に青海先生にも、あるいは小学校段階でもこういう自主的な研修がどうなっているのかというのを伺えればと思います。ちょっと先に退出させていただくので、回答まで間に合わないかもしれないんですけど、どうぞよろしくお願いします。
 以上です。
【秋田部会長】  ありがとうございます。回答の方は、申し訳ありませんが、後で議事録を見ていただくということで、今日はまとめて各委員からの意見に基づいて御回答いただければと思います。
 それでは、戸ヶ﨑委員、お願いをいたします。
【戸ヶ﨑委員】  それでは、研修について意見を申し上げます。
 教師が学び続けるための環境整備は言うまでもなく極めて重要です。また、昔から語り継がれている「学び続ける者のみ教える資格がある」や、「教うるは学ぶの半ばなり」という言葉を、改めて銘肝すべきだろうと考えています。
現在、研修等定数を活用した大学院派遣研修がありますが、派遣数が少ない状況であり、今後教師に求められる資質・能力を鑑みれば、より多くの教師が柔軟かつ主体的に学べる環境づくりやキャリアの途中で学び直す機会を設けることが極めて重要です。また、以前の御発表にもあったデジタルを活用した教員養成については、初任者研修等の入職後の教師育成にも積極的に活用されていくべきと考えています。
 また、昨年8月の答申においても提言されている、働き方改革の議論で話題になる学校管理職のマネジメント力の強化も極めて大きな課題だと思っています。学校管理職に求められる役割や人材像は時代とともに変わるので、一般教職員のスキルの延長線上でアップデートする考えはなくすべきという指摘や、学校管理職としてのスキルは優秀なプレーヤーの延長線上にはないので、特化した研修をすべきだという指摘があると認識しています。
 学校管理職の研修については、自前主義から脱し、民間等の外部のリソースを積極的に活用するなどして、プロジェクトマネジメントとチェンジマネジメントの両輪が回せるように、ぜひ国の予算も含めた支援を考えていただけたらと思います。
 さらに前回、佐古委員の御発表の中にあった実践力の捉え直しも極めて大切だと思っています。まさに自ら設定した課題に対する実践的で臨床的な探究力・研究力が、学び続ける教師の基盤になると思っています。その際、佐古委員が前回懸念されていた、大学での学びに対する教育委員会の捉え方ですが、教師には、ある意味理論を深掘りして頭でっかちになる時期が必要だと思っています。教師として専門分野や得意分野をつくり磨いていくことも大切です。教職生活を通じた学びにおいては、理論と実践の往還を真に実現することが急務です。理論の実践化も実践の理論化もいずれも大切で、教師キャリアの中でそれをいつでも実証できる場が用意されていることが、まさに教師の強みです。それを存分に生かす研修方法を考えていくべきだと思っています。
 以上です。
【秋田部会長】  戸ヶ﨑委員、ありがとうございます。
 この後、白水委員、橋本委員、それから、真島委員、荒瀬委員、高橋委員までで意見は打切りたいと思います。
 それでは、白水委員、お願いいたします。
【白水委員】  3人の委員の先生方、御報告ありがとうございました。私のほうからは内田委員にごく簡単な質問1つと、今回、採用・研修がテーマとなっておりますので、1点、事務局のほうに聞きたいことがございます。
 まず、内田委員への質問です。最後のスライドにあるような任意研修団体の有用性は私も非常に共感するところなんですが、今回の最後の含意というか、先生の御主張は、任意研修団体も従来登録を認められていないPlantに積極的に認められるようになるとよいというお話なのか、それとも登録は簡単にできるけれど、各団体が知らないので、それがもうちょっと周知されていくというお話なのか、それともPlantの枠外でこうした研修が財政的な支援も含めて認められていくとよいというお話なのか、教えてくだされば幸いです。
事務局のほうには、今回の3人の先生方は研修の話がメインだったんですけれども、採用に関して、本部会で昨年度、修士の大学院段階の奨学金返還免除というのを議論して施行しました。これが現在2025年(R7年)度になったということで、実際にどれぐらいの方が先生になったかとか、それが教職大学院、あるいは大学院志望の促進につながったかというような成果の検証というのが必要ではないかなと考えております。
また、その時点の議論で、学部段階はどうするかということは引き続き検討しますという話だったかなと思います。学部段階は自治体等もいろいろなさっていると思いますけれども、そこら辺の成果検証も含めて、期待される効果について詳細な調査分析をしていく必要があるのではないかと考えます。
これは事務局に関する質問で、以上でございます。
【秋田部会長】  ありがとうございます。
 それでは、続きまして、橋本委員、お願いいたします。
【橋本委員】  橋本です。貴重な御発表ありがとうございました。
 内田先生から、教育委員会、大学、教育支援振興等の研修は、激しく変化する教育を取り巻く環境や社会的要請に対して必ずしも柔軟に対応できていないというコメントがありましたが、時代がどんどん変化する中、なかなかそういうものに研修のレベルや内容を合わせていくことが大変難しい時代になったと思います。それぞれ研修の役割があって、どの研修を受けるかということについては、それぞれの先生方が、自分自身の自覚といいますか、意思に応じていろいろ考えておられると思いますが、重要なことは自発的に学んでいこうという姿勢をできるだけ伸ばしていくことだと思います。
 したがって、用意された研修以外にも、自分自身のポジションに合った講座等を、関心や興味や必要に応じて柔軟に受講できるような構えというのもあってもいいんじゃないかと思います。今、民間企業では人的資源を大事にしようという動きが加速しておりまして、各企業は社員が学び続け学び直すことを奨励しており、そういうことに対応できない会社は、なかなか就職でも選ばれないという風潮になっています。企業でよく使われる方法は、自分自身で受けたい社外の講座なりセミナーなりを選んで受講することを奨励すると同時に、一定程度受講費用の補助をしていく方法です。企業と学校は違いますので、そのまま使うことはできないんですけれども、自分自身が必要なスキルを自覚して、それを学んでいく姿勢を応援していくという体制をつくっていく必要があるのかなと思います。
 学び続けるという意味では、企業の社員よりも先生のほうがはるかに大事といいますか、学び続けることが法的に求められているという側面もありますので、できれば先生が自分の置かれた環境に合わせて、最適な研修なりセミナーなどを選んでいけるような、そういうことに対する配慮といいますか、これは経済面でもそうですし、働き方改革を通じた時間的な余裕という面でもそうですし、それから、先生方のやる気をさらに伸ばしていくという意味でも大変大事かなというふうに思った次第です。
 ちょっと雑駁な意見ですけれども、以上でございます。
【秋田部会長】  橋本委員、ありがとうございます。選択の重要性ということをお話しいただきました。ありがとうございます。
 真島委員、続いてお願いいたします。
【真島委員】  お願いします。松原委員の御発表と、内田委員の御発表についてちょっと質問と意見をお願いします。
 松原委員のほうには、臨時教員の配置の割合が85%というお話があったと思うんですけれども、初任研とかはきちんと法制化されていますし、手当とか代替の措置とかもされていると思うんですけど、85%に上る臨時教員に対する研修とか、そういった実力を上げていくものとか、そういうチームで働くに当たってのいろんな配慮とか、あるいは倫理感、危機管理も含めて様々な課題があると思うんですよね。臨時の方だから、当然時間給とかに日にちが決まっていたりとかして、それにプラスアルファ研修をするとなると、研修への予算というか、それへの参加に対する賃金の発生とかということも関わってくるかもしれないんですけれども、そういったことをどのようにしていくべきだとお考えなのかというところをお聞かせいただきたいというのが1点。
 それから、内田委員につきましては、私も任意団体が研修組織としてきちんと位置づけられるということはすごく大事なことだなと思っていますし、もっと言えば学会等、今、私が所属している学会なんかは教科教育なので比較的学校現場の先生方もたくさん参加して、小学校から高等学校まで参加されていて、すごく活発に学会発表とか、あるいは論文とかの投稿等もされていると思うんですが、任意団体の中にもそういった学術的な学会等も含めますと、非常に今、本養成部会が目指していく質の高い教員養成とは何ぞやというところにもすごく関わってくると思いますし、先ほど橋本委員が民間のお立場から、やはり自覚的に自分が必要なスキルを獲得していくような研修の在り方というのを、一定程度補助していくようなシステムということが非常に重要なんじゃないかという御意見をいただきまして、やはりいろんな全国の方々に会って新しい風を受けるというか、OJTで自分の目の前の研修をすごく大事にすることも一方で大事ですけれども、また、枠を超えてというか、いろんな地域とか、いろんな方々と交流しながら、自分の進めたい研究とかつけたい力というのをパワーアップさせていくというのはすごく大事なことだなと思いますので、これは意見として、内田委員が今回御提案いただいた意見に非常に賛成であるということです。
 以上です。
【秋田部会長】  真島委員、ありがとうございます。
 それでは、続きまして、荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬委員】  ありがとうございます。3点ありまして、1点目は内田委員にお願いです。
 最後のページ12ページで、3つ目の段落で、教職員支援機構がやっている研修も書いていただいていまして、目的が明確であり、成果も期待できる一方、さっき橋本委員もおっしゃいましたけれども、必ずしも今の状況に柔軟に対応できているとは言えないのではないかということもありました。先日も内田委員からは丁寧に、教職員支援機構がニーズに十分応えられていない点については御指摘を直接いただきまして、我々もいろいろ考えていかなければいけないなと思っているんですけれども、ぜひこういう柔軟に対応できているとは言えない状況ということについても、また教えていただけると非常にありがたいと思っていますので、お願いでございます。
 あと2点は、資料の1-2の3ページに関するものであります。1-2の3ページの真ん中辺りに枠囲みがありまして、3つの御意見が示されています。いずれも大変重要かと思うんですけれども、3つ目のところで、私はやっぱり現職の教員には多様な学びが非常に重要ではないかと思います。そういう点では、御発表いただいたお三方の内容からも、時間的配慮とか、具体的に「余白」とかといった言葉もあったわけですけれども、そういったものが確保されていく中で、ここに書かれているようなことが実現していくといいなと思っています。
 とりわけ3つ目に書いてある、3行目の有給研究休暇制度。もちろん研究は大変重要ですが、研究とともに研修についても、教職員の学びための休暇もまた有給でできるんだというようになればよいと思います。令和4年答申の議論をしていたときに、サバティカルという言葉も使われていましたけれども、そういったことも考えていく必要があると思います。
 その際、ここには有給という言葉が明確に書かれているんですけれども、場合によっては無給でやってもいいという人もいるかもしれません。その間、自分で収入を得るという人もいるかもしれないので、可能な限り幅広くいろいろな方法を選択できるようにしていただくということが大変大事だと思っています。
 最後、このページの一番下の枠囲みの1行目からのところですけれども、幼児教育を専門とする担当者を配置している教育委員会と、そうでない教育委員会があると。これは国として、ぜひそういう教育委員会に幼児教育を担当する人が配置できるような、これはお金の面で、あるいは人の面での配慮といいますか、具体的に配置していただくということが大変重要であると思います。これは少子化対策に向けても大変意味のあることではないかと思っていますし、幼・小のかけ橋ということを充実させていく上でも大事だと思っております。
 以上です。ありがとうございました。
【秋田部会長】  荒瀬委員、ありがとうございます。
 それでは、高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】  高橋でございます。よろしくお願いいたします。
 私も全国の任意研修団体を束ねる団体の会長をやっておりますので、その点についても大変興味がございますが、別のほうで少しコメントさせていただきたいと思います。多くの先生方で、先生方の余白を確保する方策として、校務DXとか校務の改善ということに触れられていると思います。この点についてなかなか改善が難しいところもございますので、その実態について少しだけコメントさせていただきたいなというふうに思っております。
 近頃は校務情報化というよりは校務DXというような名称、根底から校務を改善していこうというような名称の変更も行われていますが、2系統主に取組があるというふうに理解しております。1つ目は、社会一般、会社でも一般的な事務作業は、GIGAスクール構想で整備された汎用クラウドツールを積極的に活用していくこと、2つ目は、特に機微な情報や学校固有の事務作業を扱うような場合は、統合型校務支援システムを使っていこうと、こういった整理になると思っております。ただ、この2つとも積極的に進んでいますが、なかなか先生方の余白をつくるに至らない課題があるというふうに感じております。
 特に1つ目のGIGAスクールの汎用クラウドツールを使うことに関しては、この実態等については、文部科学省が行っている校務DXチェックリストを見ると確認ができるんですが、これは従来から先進的に取り組んでいる自治体、今も一生懸命取り組んでいる自治体が、不思議なことに地域内で最下位になっているような実態もございます。これは技術も新しくなっているけれども、考え方も新しくなっていることに気づいていない自治体がございまして、そういうような自治体の下で働く先生は疲弊していたり、恐らく改善が進みませんので早く人材をもっと増やしてほしいとか、また少しそういった要求があるんじゃないかなというふうに思っております。
 もう片方の統合型校務支援システムについては、進化のスピードが遅く、いまだに学校において真に必要な機能が実装されていないまま整備が進んでいる実態があるんじゃないかというふうに感じております。あえて厳しく申し上げれば、必要となる機能づくりが開発会社任せになっておりますので、この20年ほど、ほとんど本質的な意味での進化がないように感じております。
 例えば、子供から見たら時間割、先生から見たら日課表、例えばこういったものがますます今後、個別化、柔軟化が求められていくというふうに思いますし、そうなってくると普通教室や特別教室、学校の様々なリソースとのひもづけ、あるいは時数の計画や実績の双方での記録とか、非常勤等の様々な雇用形態の様々な先生の様々な働き方、これらの配置の計画や勤務実態の記録とか、御欠席をする先生の補強の依頼や実績記録等、こういったことは海外のように半自動的に案がつくられていくべきである思いますし、管理職の先生が修正して承認すれば自動的に関係者に連絡が行くと、こういったことが行われず、いまだにエクセルで職人芸のようにやり、電話で連絡しまくると、こういったことから解放されるだけで、管理職の先生が本来の仕事に集中できるのではないかと、様々目が届いて、研修も一生懸命やろうかみたいな話になるんじゃないかなというふうに感じております。教員養成部会の方々でも、先生方の研修の基盤づくりとして、ぜひ校務DXのほうについても注視していただきたいなというふうに感じているところでございます。
 私からは以上です。
【秋田部会長】  高橋委員、どうもありがとうございました。
 それでは、先ほどから御質問がございました点について、松原委員、内田委員、事務局から、時間の関係がございますので、全てではなくごく限られて二、三分で、それぞれ御回答いただければありがたく存じます。
 それでは、松原委員、お願いいたします。
【松原委員】  ありがとうございました。幾つかお答えいたします。
 まず、古沢委員の任意研修団体の小学校の場合ですけれども、都道府県単位と全国規模と当然あるわけですが、小学校の場合は全科の教員が多いので散らばってしまうという関係がございまして、教科・領域等によっては随分縮小してしまっているというような状況もございます。
 それから、真島委員のほうからございました臨時的任用教員の研修ですが、同じ全国の調査では82.5%で行っているという回答を得ております。ただ、実際には1回やっても行っているに該当していると思いますので、やはり経験の少ない臨時的任用教員には初任者と同様な研修が必要であると考えますが、臨時的任用教員の中には経験が豊富な場合もありますので、一律ではないだろうと考えております。
 また、質問ではなかったのですが、橋本委員の補助のお話ですが、私の所属している自治体では、1校当たり年間幾らというようなことで補助が出ておりまして、教員が民間等の有償の研修に出る場合にもそれが使えるということで大変喜ばれております。
 また、松浦委員のニーズの違いが明らかになったという御指摘がございましたが、それに加えて、教育委員会として設定しやすい研修と、現場が欲している研修が、研修としては設定しにくいというような事情、そういう内容、領域もあるのかなという、そのためにどうしてもギャップが出ている面もあるというふうに考えております。
 以上となります。
【秋田部会長】  松原委員、ありがとうございます。
 続きまして、内田委員、お願いいたします。
【内田委員】  ありがとうございます。まず、古沢委員からの御質問ですけれども、出張研修については、生物の研修については、東京都教育委員会の認定団体ということで認証を受けておりますので、出張扱いを学校の判断ということでしていただいていることが多いかと思います。
 会の運営については手弁当でやっておりまして、年会費1人頭1,500円ですが、なかなかお支払いいただける方が年々減っておりまして、なかなか苦しい経営をしております。東京都のほうから認定団体ということで年に18万円ほど補助をいただいておりますけれども、認定団体が非常に年々多くなっていて、これを頭割りしているものですから、こちらも非常に苦しくて、増やしてほしいなというふうに感じているところです。
 全国規模の大会については、各自治体で教員数も減っているということもありまして、なかなかお引き受けいただける県が年々減っているというところがありまして、生物については、今年新潟、来年、今被災されている石川に引き受けていただいているので、そういった教育支援も含めて非常にそういったところが引き受けていただいているのが有効であるし、教育支援をしていこうという全国規模の流れにもなるのでよいのかなというふうに思っております。
 2番目の白水委員からの御質問ですけれども、Plantに関しての登録については、こういった任意団体の研修であっても登録は可能であるというふうに認識をしております。ただアカウントが基本的には学校、教員、教育委員会で出ておりますので、ここをどうやっていくかというようなシステマチックなところについては、今後、御相談の上やっていかなければいけないところかなというふうに感じておりますし、より分かりやすいところでは、登録の手間という、青海委員の資料の中にもあったかと思いますので、ここについては、今後、文科省やNITSとともに御相談をしていく必要があるかなというふうに思います。
 最後に、荒瀬委員からお話がありました、ちょっと失礼な説明で、雑駁で申し訳なかったんですけれども、NITSの研修については中央研修も年々工夫されていて、非常に有用性の高い研修が多いかと思いますけれども、一方で人数が非常に限られていて、参加者、時代でこれは必要だろう、より多く受講することがというところについては、なかなか即応できないところがあるかと思いますので、内容だけでなく人数も含めて、こういったものに対応する必要があるかなというふうに感じている次第です。
 どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【秋田部会長】  内田委員、ありがとうございます。
 それでは、事務局のほうからお願いをいたします。
【後藤教育人材政策課長】  白水先生から、奨学金の返還支援のことについて御質問いただきました。今年度から、教職大学院等を修了して教員に採用された方に対する返還免除という取扱いを導入しておりまして、多数の問合せと、それから、今実は順次手続をJASSOと連携しながら進めておるということでございまして、ちょっと数字は現時点でまとまっておりませんが、現時点では非常に円滑に進めさせていただいております。
 また、学部段階について引き続き検討ということにつきましては、文部科学省としても、学部段階の奨学金の返還支援について、各自治体のほうで独自に先行的な取組が進んでいる状況を把握させていただいておりますので、そういった自治体での実際の取組の状況や、あるいは効果について、これは詳細な調査をしていく必要があるのではないかというふうに現在考えておりまして、さらに文部科学省としても検討を進めたいと考えているところでございます。
 以上でございます。
【秋田部会長】  後藤課長、ありがとうございます。
 それでは、この議題につきましてはここまでにさせていただきます。
 それでは、続きまして、大阪常磐会大学短期大学部の卜田先生、お待たせいたしました。御発表をお願いいたします。
【大阪常磐会大学(卜田)】  大阪常磐会大学短期大学部の卜田と申します。本日は、発表の機会をいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 では、幼稚園教諭の養成、採用・研修の在り方等についての本学の取組についてお話をさせていただきます。
 大阪常磐会大学短期大学部の概要は、スライドで示した通りですが、本学の特徴的な取り組みは、2021年度より2年コースと長期履修制度の3年コースを設定しているということかと思います。3年コースですが、2年分の学費を3年で分割して納付する形にしておりますので、1回の納付額が軽減されるということで、経済的に厳しい状況にある学生も通いやすいコースになっております。3年コースを選択する学生は増加傾向にあり、2025年度で6割以上が3年コースを選択しています。
 就職に関わる状況ですが、本学はほぼ全員が保育・教育・福祉の専門職に就職する状況にあります。
 本学における学生の現状と課題を、4点挙げさせていただきました。保育・幼児教育の職を目指す高校生が減少傾向にあるというのは、全国的な18歳人口の減少もありますが、その減少以上に進んでいる部分があるのではないかと思います。保育者養成の学校の閉学や募集停止も全国で続いておりますし、本学も年々志願者が減っている状況にあります。入学時点での保育職への志向性も非常に多様になっておりますので、必ずしも保育・幼児教育の職に就きたいと思って入学しているわけではない学生も一定数いる状態です。また、学力や先行経験がかなり多様になっております。学生の全般的な傾向として自尊感情が低いなと感じることも増えております。
 本学の学生を対象にしたアンケート結果を基に学生の状況を紹介させていただきますが、保育・幼児教育・福祉の職を目指そうと思ったきっかけとしては。子供の頃からの憧れ、職業体験が非常に高い数値を示しております。ただ、学校の先生の勧めで入学したという学生が非常に少ない点は気になっている部分です。入学までに子供や障害のある人と関わった経験ですが、年々減少の傾向にあります。保育現場での職業体験は多くの学生が経験している。ただ、障害のある人との関わりやボランティアの経験は減少の傾向にあるかなと思います。
 経験が非常に多様になっているというお話をしましたが、入学までにピアノを弾いたことがある、習ったことがある学生の比率ですが、本学の場合、ほぼ半数が経験がないという状態になっております。これは習い事としてのピアノの人気が落ちたという部分もありますが、ピアノが習える経済状況の家庭で育ってない学生も多いことをあらわしているのかと思います。保育現場では、ピアノの技術は求められるのですが、経験者が少ない現状になっています。
 幼稚園等の採用に関わる課題ですが、今、幼稚園・認定こども園・保育所等における人材確保がかなり困難な状態になっています。特に幼稚園全体の約7割を占める私立の幼稚園では、採用試験を受ければそのまま合格するという例も多いような状態になっています。早期辞職に関わる課題も非常に大きくなっています。園の保育方針や職員集団のありよう、処遇などが合わなければ早期の離職につながる可能性があることは、本学でも意識している部分です。そのために学内では、学生と就職先のマッチングをどうしていくのかが、大きな課題として意識されています。
 本学で養成・採用・研修に関わってどのような取組を行っているのかということですが、1つは養成課程における人間関係力の向上、2つ目に有償ボランティアの取組、3つ目に学生の持ち味を生かした就職指導、4つ目に土台としての保育現場・関係団体との関係構築、5つ目に入職後のキャリアアップの充実における養成課程の役割を考えるということになります。
 養成課程における人間関係力向上の取組は、主として初年次教育の中で取り組んでおります。本学でも初年次教育の在り方については検討を重ねてきましたが、保育現場で色々な人と働くための基礎となる人間関係力を向上させる必要があるのではないかということで取組を行っております。特にコロナ禍を経て、学生が色々な人との関わりを中高生時代に十分に経験してない場合があることが見えてくる中で、その重要性を意識して取組を行っております。
 この資料は、オリエンテーションの中で学生に提示したスライドですが、本学での学び、経験というのは、授業だけじゃなくて、学内で経験するあらゆることが全て保育の専門性として、人間としての保育者自身の人としての豊かさにつながることを説明し、色々な人との関わりを経験してくださいと学生には伝えています。様々な子供であったり、保護者であったり、保育者、教員、職員の同僚の人、地域の人と関わる仕事だということを学生に伝えた上で、その中で豊かな人との関わりの力を身につけてほしい、そのための経験をしてほしいということ学生には伝えております。
 その中で、学生にそれぞれの持ち味を生かしながら、協同作業に取り組む機会をつくっています。こうした経験は中高生の時代にやることではないかと言われる部分もあるんですが、今、保育・教育の現場では、リスペクト型マネジメントの重要性が指摘されるようになっておりますので、そうした経験を先取り的に学校の中で経験するという形で学生には伝えています。クラス単位での行事の取り組みの中で、こういう点を大事に、話合いや準備を進めてほしいということを学生に伝えた上で、1回生の最初の時期に、 「みんなあつまれときわかい!」という地域の子供を招いてのイベントを学生が企画・運営する中で、協同作業を経験するということをしております。詳細な進め方については、スライドの資料を御覧いただけたらと思います。取組を通じて、私どもも、様々な効果を実感しています。
 次に、有償ボランティアの取組についてです。特に長期履修(3年コース)の学生は時間的に余裕があるので、収入を得られるような形で、学生が保育の現場に参画できるような仕組みをつくろうと考えて取組を行っております。
 「常磐会の有償ボランティア」として、学生にこのような資料を提示をしているのですが、学校が間に入って、学生が保育現場で有償でのボランティアができるような仕組みをつくっております。
 具体的には、大学が、様々な書類提出等もアドバイスをしながら、特に学生の持ち味に合ったような保育の現場を紹介しながら現場に行けるようにつないでおります。有償ボランティアに参加することで、日常的な現場の経験につながり、大学での学びともつながることで、現場と大学との往還的な学びが可能になると考えております。指導を受ける立場としての実習やインターンシップではなく、日常的に現場に関わる有償ボランティアであることで、教職員の方と近い立場での現場経験ができることと、1年を通じて有償ボランティアに行くことが可能なので、子どもの育ちを長期的に見る機会になっているかと思います。特に短期大学の場合は経済的な困難を抱える学生も在籍しているという中で、有償であることが大きな意味を持っているのかなと思います。この有償ボランティアの経験は、就職におけるマッチングにもつながっており、これまでの実績では、3年コース在籍学生の3分の1以上が有償ボランティア先にそのまま就職をしています。一部自治体では、公立園での有償ボランティアの受入れも行っていただいておりますので、採用試験の受験にもつながっている場合もあります。 
また、いろいろな学生がいる中で、一人一人の学生の持ち味を生かした就職指導を行っております。最終的な就職先は学生が決めますが、様々なマイノリティとしての特性を持っている学生に対しても、その人が生かされるような現場、その人が活躍できる現場を学校が間に入りながら紹介しております。
 このような支援をしていくことで、就職におけるミスマッチを少なくすることに取り組んでいます。進路支援室が情報を提供し、学生の適性を見てアドバイスをする形での就職先のマッチングを行っております。
 そのためには、各保育現場、関係団体との関係構築が肝になってきます。実習懇話会という形で、実習でお世話になっている園の先生方と意見交換であったり、学生の現状を話し合う機会であったり、各教員が園とのネットワークづくりを行う中で、顔が見える関係の中で学生を紹介していけるように心がけています。
 入職後のキャリアアップですが、常磐会学園乳幼児教育研究会という研究会で、様々な研修の取組を行っております。
 また、教師の新たな学びについてのオンライン講習にも取り組んでおります。ただ、このオンライン講習ですが、受講生の伸び悩みが、本学が直面する課題になっております。受けていただいた方には一定の評価をいただいているのですが、なかなか受講生が増えないということで、一定の仕組みへの構築が必要な部分なのかなというふうに考えております。
 あと、公的なキャリアアップの取組ではないのですが、本学の場合、保育の相談のために卒業生がよく学校を訪ねてきます。そこでアドバイスをすることが日常的に相当数行われておりますので、学生時代の教職員と学生の関係構築というのが、実は卒業後の支援につながっている部分があるかというふうに思っております。
 最後になんですが、学生の現状から出発して、短期大学だからこそできる養成、すべき養成を検討するということが必要かと思います。本学で報告させていただいたようなこと、多かれ少なかれ全国の短期大学では取り組まれていることだと思うのですが、短大だからこその養成を追求していく必要があるかなと思います。
 最後に提言をさせていただきます。養成校と園において情報共有や連携した取組を進めていくためのネットワークをどうつくるのかということ、養成課程を通じて、教職への興味や関心・理解を深めて就職に向けた意欲を高めるための取組を充実させること。あと養成課程における丁寧な進路指導ということがやはり肝になってくるのではないかということと、多様な学生がいるということを踏まえた上での制度設計をしていく必要があるかというふうに思っております。また、入職後の研修参加の意欲を高めるための処遇改善等の方策についても、検討をいただく必要があるのかなと思っております。
 すみません、少し長くなりましたが、これで報告とさせていただきます。御清聴どうもありがとうございました。
【秋田部会長】  卜田先生、御発表ありがとうございました。
 それでは、次に、安田委員から御発表でございますけれども、事前に動画を撮影いただいておりますので、本日は動画を再生させていただきます。お願いをいたします。
【安田委員】  本日は発表の機会をいただき、ありがとうございます。全国特別支援学校長会、東京都立文京盲学校長、安田と申します。特別支援教育の視点から、現状や課題をお話ししたいと思います。
 少子化の影響により、全体の児童生徒数は1割減少する一方で、特別支援教育を受ける児童生徒は約2倍になっています。この急激な増加に、現場では施設面、人材面で追いついていない現状もあります。小中学校の通常の学級では、学習面または行動面で著しい困難を示す児童生徒の割合が8.8%と報告されています。担任の先生方の困り感と、指導への迷いが推察されます。
 教員免許状取得の教育職課程では、特別支援教育関係の対話必須1単位であり、採用時における力は十分とは言えません。現状を踏まえると、全ての教職員が合理的配慮など、特別支援教育に関する基本的な考え方を学ぶことが必要です。
 文部科学省からは、新規採用からおおむね10年目までに、特別支援教育を複数年経験することや、管理職選考においては、特別支援教育の経験も含めて総合的に考慮することが求められています。現状としては、採用後10年までに、特支経験がない教員が全体の80%に上り、7割以上の校長が特支経験なしに学校を運営している状態です。
 特別支援学級担当教員が、特別支援学校免許状を保有している割合は31%であり、免許状取得の機会を提供することも必要です。特別支援学校における特支免許状の保有状況は改善してきているものの、100%には達していない状況です。特に視覚障害や聴覚障害は、免許を取得できる大学が少ないことから、現職教員が免許状の取得を目指すことが困難です。専門性担保のために免許状を取得する、あるいは他の障害者の領域を追加するための機会を充実させることが必要です。国立特別支援教育総合研究所で開校している免許法認定、通信教育の積極的な活用も望まれます。
 東京都の人事交流制度では、特支の教員が、小中高校における集団指導や教科指導の経験をしたり、反対に小中高の教員が特別支援学校での障害の特性に応じたきめ細かい指導を経験することで、それぞれの学校に戻った際に、地域の特別支援教育を推進する役割を担う人材となることが期待できます。採用後においても、多様な現場を実践的に知ることは重要であり、相互理解はインクルーシブ教育の推進にもつながります。
 急激に深刻化している不登校問題では、不登校児童生徒の47%が、授業が分からないと回答しています。この中にはいわゆるグレーゾーン、LDの児童生徒も含まれている可能性があります。教師回答によると、不登校の背景要因には、特別支援教育のニーズ、発達特性、障害などが関連することが指摘されています。授業改善や学習支援の充実とともに、発達障害等についても、研修の機会の充実、確保に努めることが(音声途絶)特別支援学校では、学校によっては1年に20人を超える新規教員が採用されます。採用倍率の低下の影響もあり、質の確保と育成、専門性の向上が課題となっています。
 全国特別支援学校長会基本問題検討委員会では、都道府県評議員に対しアンケートを実施し、5年未満の経験の浅い教員の傾向について分析を行いました。アンケート結果によると、経験の短い教職員の傾向としては、「学び続ける姿勢がある」、「チームワーク行動がとれる」という項目が約80%の比較的高い評価であることに対し、「チャレンジ精神がある」はとても低い評価です。現在の学校現場に、チャレンジできる環境が十分に整備されていないのではないかと推測されます。
 教師の精神疾患による病気休職者の割合が増えており、保護者等対外的な対応に苦慮している状況が指摘されています。資質向上に向けた研修のためには、その時間の確保と教師のモチベーションアップが不可欠です。教師が健康な状態で学ぶ時間を確保しながら、専門性を最大限に発揮するために、教職の魅力を向上させ、働きやすさと働きがいの両立を実現していくことが必要だと考えます。
 なお、別添の資料として、国立特別支援教育総合研究所の取組を載せましたので、参考にしていただけますと幸いです。
 本日はありがとうございました。
【秋田部会長】  安田委員、どうもありがとうございます。
 それでは、ここから、卜田先生及び安田委員の御発表について、御意見や御質問があればお願いします。安田委員は、録画を送ってくださっていますが、オンラインで既に御参加でございますので、質疑はライブということになります。
【安田委員】  よろしくお願いします。
【秋田部会長】  ありがとうございます。
 時間としては20分から25分ほど取りたいと思いますので、お一人2分程度でお願いをいたします。それでは、國分委員、お願いいたします。
【國分委員】  國分でございます。安田先生の御発表に関して、私の専門が特別支援ですので意見を述べさせていただきます。
御発表の5ページ目にありました特別支援免許の保有率でございますが、90%弱まで達成したということは、特別支援が専門の人間として、「当分の間」保有を要しないとする経過措置規定をとにかく取ってくれと 様々なところで言ってきたことからしますと、よくここまでいったなという感じです。これは自治体が免許所持者を採用したということがもちろんあるとは思いますが、それにも増して認定講習を開講することにより、現職者に特別支援二種免許状を取得させる施策が功を奏したということであり、よく頑張られたなと思います。
しかし、本来は100%保有すべきものということでございますので、特に安田先生の6ページ目の資料にありますように、視覚障害、聴覚障害はいまだに届いてないという感じでございます。それは安田先生もおっしゃったように、視覚障害、聴覚障害の教員の養成機関が少ないからです。そこで、養成機関を増やすか、免許を取りやすくするかということしかないわけですが、どちらも非常に困難な課題だと思いますが、私は以前のこの部会の議論の中で、免許に必要な単位を圧縮したらどうかと提案いたしました。そのことにつきましては、特別支援の免許についても同様に考えるべきだと思っております。
ただし、特別支援教育の免許は、2007年に改正されてからその後、見直しに手がつけられてない。もう20年近くずっとそのままの状態でございまして、子供の障害実態及び学校の実態というものに合わせて変えていく必要があると思います。
その際に、私は知的障害が専門ですが、知的障害の位置づけが、やはり免許法の中で弱い。法律の非常に形式的な面に合わせた格好になっております。実は知的障害というのが障害の中で子供の数も一番多いし、学校種も一番多いのですが、知的障害の扱いが弱いということは今までも感じて来ており、位置づけを少し重くするべきではなでしょうか。
さらにそのことに関連して、発達障害の扱いです。こちらも知的障害と問題性は重なっている部分がありますので、知的障害と併せて発達障害の位置づけも重くするべきではないかと思っているところでございます。
以上でございます。ありがとうございました。
【秋田部会長】  國分委員、ど
うもありがとうございます。
 この後、お手が挙がっております岡本委員、麻生委員、真島委員、佐古委員で、時間の関係で今日はここの部分は打ち切らせていただきますので、あとの御意見があれば議事録をお出しください。
 それでは、麻生委員、お願いいたします。
【麻生委員】  ありがとうございます。私は大阪常磐会大学短期大学部の卜田先生に、御質問も含めて発言させていただきます。
 私のところも単独の短期大学で、児童教育学科と情報メディア学科という2つの学科を持っております。4年制大学も本当によく似た状況だなというのが実感です。
 質問は、長期履修生が6割以上ということですが、私たちの短大にも長期履修生制度はあります。一般的には社会人の方が利用されることが多いです。ただし、18歳で高校を卒業されてすぐ入学される方もいますので、この割合がどれぐらいで、社会人割合がどれぐらいなのかというのが1つお伺いしたい点です。
 2点目は、多様な学生の受入れということで、目的意識が大変低いという点に関しましては、目的意識を高めるための努力は十分されていることは分かりました。ただ、それをなし得ないで退学していく学生がどれぐらいいるのかということが2点目の質問です。
 3点目は感想になりますが、短期大学の生活において、クラブ活動やサークル活動、地域貢献、加えて私が実際に現場にいて感じるのは、学園祭や大学祭において、情報メディア学科の学生に比べて児童教育学科の学生が積極的に先導していくという、ほかの学科とは違う面が教育系の学科にはあり、これがどこの大学や短大でも同じなのかなということが気になりました。もしお答えいただけば質問にさせていただきます。
 以上でございます。
【秋田部会長】  麻生委員、ありがとうございます。
 それでは、続きまして真島委員、お願いいたします。
【真島委員】  お願いします。卜田先生に御質問と感想を述べさせていただきたいと思います。
 すごく共感する内容といいますか、特に重要だなと思ったのが、気の合う子だけを大切にするとか、気の合う保護者、気の合う同僚とだけ協力するということではなくて、多様な人と関わってともに働く、そういう同調ではなく協働する力を育てていくことを大切にされているというのは、根本的に人を育てるという意味ですごく大事なところだなと思いました。そういった基礎学力もそうですし、コミュニケーション力というのをとても大事に育まれているということが発表からよく伝わってきて、いい養成を短大でなさっていらっしゃるんだなということがすごく分かりました。
 それで、とてもいい取組だなと思ったことが有償ボランティアの件で、まずどのぐらいの学生数がいらっしゃって、その中で有償ボランティアに関わっている学生さんの数がどのくらいいらっしゃって、それは1年間ということだと思うんですけど、有償ボランティアをされることによって学生さんの成長がどうかとか、あるいは受入れ側の園とか、そういった受入れ側の先生方の反応とか、あるいはそれを今、どのぐらいの人数規模、2年生、3年生、4年生と4大のところでまた拡大されるというお話でしたけれども、幼稚園数とか保育園数も、また受入れのほうも拡大されていくのか、今後の見通しとか、そういったところを教えていただけたらと思います。お願いします。
【秋田部会長】  真島委員、ありがとうございます。ちょっと順不同になってすみません。
 続きまして、千葉幼稚園の岡本委員、お願いいたします。
【岡本(潤)委員】  ありがとうございます。卜田先生、そして安田先生、御発表ありがとうございました。
 卜田先生におかれましては、学校種の中でも幼稚園という学校における教員の特殊性と養成校が果たす役割につきまして、大変分かりやすく御説明をいただきまして、ありがとうございます。幼稚園教育には教科書がなくて、子供たちとの生活そのものが学びとなることから、教員には、先生がおっしゃったように生活力、そして対話力を身につけることが求められて、専門科目同様に大切な学びがそこにあるのですが、そこを養成校の先生方がそれぞれ工夫されて御指導なさっておられることを大変ありがたく思っております。
 また、幼稚園の立場から2点申し上げさせていただきますと、子供たちと生活そのものが学びとなるということで、そこにそれぞれの園の文化というものが形成されて、保育の営みがなされていくのが幼稚園というところでありまして、文化とか園風土ということも幼稚園特有かもしれませんが、幼稚園教育要領を基本として、その園、その園の文化が保育というような営みを形成していきますので、その文化を心地よいと思うことと、幼児期のよき思い出が幼稚園教諭の憧れにつながって、自分の卒園した園の教員となることも多いことから、試験がなく、面接によって就職が決まるということは、そういうことにつながっているのではないかなと私自身も思っております。
 また、幼稚園教諭は子供から学ぶことが本当に日常的なことでございますので、発達段階、養成段階よりも増して先生になってからの学びがそこからすぐに始まりまして、日々実践を積むことで様々な課題が見えて、実践から学んで、それが園内研修につながる日々でございますので、そこに養成校の先生方の理論づけが大変重要で、幼稚園団体が開催する様々な研修会におきましては、養成校の先生方とともに学び合うことが、これは必須でございます。そこにも養成校の役割は大きくあることから、御発表にありましたように、幼児教育の質の向上のためには、私ども幼稚園団体と幼稚園と養成校とが緊密に連携していくことが大変重要であると私も認識をしております。
 また、養成段階の課題といたしましては、私は実習の在り方は大いに議論すべきことではないかなと感じております。幼稚園実習を複数人でできる仕組みをつくることで、教員の重要な専門性である人間関係力向上につながったり、幼稚園教育の夢をさらに膨らますことができるようになるのではないかと期待しております。
 有償ボランティアの取組も大変興味深いことでございました。御発表に大変共感いたしましたが、限られた時間でございますので、私からは以上でございます。ありがとうございます。
【秋田部会長】  岡本委員、どうもありがとうございます。
 それでは、佐古委員、お願いいたします。
【佐古委員】  御発表ありがとうございました。卜田先生に少し、これは感想めいた質問なるか分かりませんが、お願いしたいと思います。
 先ほど県の教育委員会の中に幼児教育担当者を置くべきだというような御意見がありましたが、恐らく幼稚園の先生の場合には、就職される先も私学が多いことがあるかと思います。したがって、入職後の研修の重要性ということも御指摘されたんですが、その点でいうと、教育委員会が関与するということは非常に難しいというか、それとは違った形で回っていると思いますが、そういう状況において、入職後の幼稚園の先生方の資質・能力の向上というものを、国としてどのように担保していくのかということについては、今後やっぱり考えていくべき必要があるのではないかと思っております。
 以上でございます。
【秋田部会長】  佐古委員、どうもありがとうございました。
 それでは、今の御意見で御質問等も出てございましたので、今から卜田委員と、それから安田委員のほうから、二、三分応答をお願いいたします。では、まず卜田先生、お願いいたします。
【大阪常磐会大学(卜田)】  ありがとうございます。御質問、御意見ありがとうございました。
 長期履修生の割合ですが、年々増えておりまして、現在、1回生は6割程度になっています。もともとは十数人のところからスタートしたのですが、今は半数を超えているというところです。ただ、麻生委員の学校と状況が異なるのは、社会人で入ってくる学生はゼロで、高校卒業後すぐに入ってきます。3年間でゆっくり学びたい、現場とつながりながら学びたいという意思を持っている学生が入ってきているということかと思います。
 退学率は、4%台ぐらいになっております。毎年1桁台の退学者が出ている状況です。。
 行事についての取組についてもご質問いただきましたが、行事等々の取組の中で、やはり学生、いろいろもめながら力をつけていくというところがあります。ただ、先ほど報告した取組を学校の中で始めたきっかけは、この数年間、特にコロナ禍を経て、行事の運営を学生が上手くできなくなっていることが実感としてあり、学校側が少しノウハウを示しながら、子供が楽しむために何ができるのかを考えるという、従来の体育祭的な競う行事から変えていく形で、学校の取組として設定しました。この経験を基にしながら学生の自治活動につなげていくことができればという回路で進めておす。
 あと協働ということでは、がなかなかうまくいかないこともあるのですが、いろいろなノウハウ、話合いの手法なども示しながら、学生がお互いに意見を聞きながら進められるような、それが園内での研修に将来的につながっていくと思いますので、そういう力をつけていけたらなと思っております。
 有償ボランティアですが、もともとは学校の協力をいただいている園にお願いをしていたんですが、学生がだんだん増えてきて希望者も増えてきましたので、本人が希望する園や出身園も含めて、学校がその都度依頼をする形でやっています。有償ボランティア先にそのまま就職した学生というのが結構いるのですが、入職後、やはりほかの1年目の新任の先生と違って、園のことも子供のことも知っている状態で入職するので、スタートがかなり違うというような評価はいただいています。そういう意味でも有償ボランティアの取組というのは、意味があるかなと思っております。
 ただ、スタート段階で学生がきちんとした目的意識を持ってから園にいけるような指導を、学校として充実をさせていく必要があるかなと思います。特に私立の園の場合、先ほど岡本委員も言っていただいたように、園の風土が本当にいろいろですので、そこの中でのマッチングという、特に園の保育方針と本人が望んでいる保育というのをうまくマッチングさせていくようなことが必要だと思いますので、学校の教員が多くの園を分かっていて、そこで希望を聞きながらマッチングさせていくことが必要なのかなと思っております。
 すみません、少し長くなりましたが、以上とさせていただきます。
【秋田部会長】  卜田先生、ありがとうございます。
 それでは、続きまして、安田委員、お願いします。
【安田委員】  安田です。本日はありがとうございます。
 まずは國分先生からいただいた免許の件なんですけれども、やはり特支免許に関するチャンスを増やすということが大事かと思います。1つ目は、教職課程において特支免許が取得できるチャンスを学生さんに増やしていただくこと、また、採用後についても認定講習や通信教育をさらに周知して、短い年度の中で必ず特支免許が取れるような環境をつくっていくこと。先ほど國分先生からありましたように、免許取得における内容についても、少し実際、今の現場と合ったものに見直すということが大切かと思いました。
 先ほど卜田先生からも、現場においても人間力でつまずいて退職してしまうというところはとてもあるので、人と働くこと、協働して動くことというのを、卜田先生の発表においてもそのように感じました。
 以上です。
【秋田部会長】  安田委員、どうもありがとうございました。
 それでは、最後に岡本幾子委員より、教職大学院における指導の質の確保について資料を御提出いただいておりますので、こちらのほうの御説明をお願いいたします。
【岡本(幾)委員】  大阪教育大学の岡本でございます。教員養成分野での新たな博士課程設置ということで御説明の時間をいただき、ありがとうございます。
 昨今、学校教育が抱える課題の複雑化に対応するため、質の高い教職員集団の形成の加速が求められており、教職生涯を通じて「学び続ける教師」を支える環境づくりが不可欠であると考えております。本部会では、前回の佐古学長の意見発表をはじめ、現職の教師の教職大学院での能力向上の促進が必要である旨の意見が多く出ておりますが、実効性のあるものにするためには、教職大学院における指導の質の確保が重要となります。この点、教職大学院における指導者をはじめとする教員の養成や、教員研修の担い手である大学教員の質向上に資するべく、大阪教育大学は今年度より、北海道教育大学、福岡教育大学との共同教育講座による博士後期課程を設置し、臨床的な研究力と教員養成の学識を備えた「教員養成担当大学教員」や「教員研修の専門家」などの養成を開始したところでございます。
 資料を御覧いただけていると思いますが、一番上に3大学それぞれの特徴を示しております。その下、共通点としまして、3つ挙げております。1つ目は、教員養成の広域拠点的役割、2つ目として、教職大学院による実践型教員養成の実施、そして3つ目が、遠隔地や他組織との連携による教育研究等の先導であります。
 資料中段の右側にございます「共同専攻の概要」を御覧ください。初年度である今年度は、現職の学校教員や大学教員など、3大学合わせて15名の学生が入学し、ICT活用によるいじめ、不登校、保護者対応等の研究を行っているところでございます。学校現場をフィールドとした臨床的研究によって、課題解決に寄与する大学教員による教員養成モデルや、教員養成学の開発、個別地域にとどまらない、全国レベルでの教育課題解決につなげていきたいと考えております。
 教員養成に係る博士課程の設置は、これまで抑制的に運用されてきておりましたが、本博士課程の成果も見極めつつ、このような取組を全国的に広げていくべきではないかとの考えを御紹介させていただきました。
【秋田部会長】  岡本委員、御説明をどうもありがとうございます。
 この件につきまして、貞広委員のほうから何か御意見がございましたらお願いをいたします。
【貞広部会長代理】  御指名いただきまして、御指名いただくと思っておりませんでしたので、大変申し訳ありません。ありがとうございます。
 では、2点申し上げます。非常に重要な取組について御案内をいただきまして、ありがとうございます。新しくつくられたということでございますけれども、これまでも現場の実践知を基にした博士課程の取組というのはなされていまして、國分先生の前で申し上げるのは大変恐縮でございますけれども、東京学芸大学、横浜国立大学、埼玉大学、そして本学、千葉大学では連合の博士課程の大学院を持っておりまして、まさに現職の先生方が、現場の実践知を俯瞰的に理論知と結びつけって学位を取られるという実践を積み重ねておりまして、実際に教育学部や教職大学院の教員になっている方、多々いらっしゃいます。優れた研究が展開をされていますので、そうしたシーズも1つ横に展開する際に御参照いただければということでございます。これが1点目でございます。
 二点です。ちょっと申し上げようかどうか迷って、ここじゃなかったかなという気もするんですけれども、今の博士課程の学びも、本日、事務局の資料で御提案をいただきました、いわゆる教職大学院をベースとする現職教員の学びの充実、またはサバティカルによってさらに研究、研修を深めていくというのは本当に重要な取組で、確実に実施をしていただく方向性を見据えるべきだと思います。
 その一方で、オリンポスの山の方々の話をしている感じがして、実際は、全ての人が教職大学院で学び直していただけるわけでもなく、学びのエンジンを全て心の中に抱えて熱く燃やしているような方々ばかりでは、ないわけですよね。そうしますと、教職大学院では学ぶ機会がなかなか得られない、またはすごく疲れていたり時間がなかったりしてなかなか学びに心が向かわない、そんなリソースがないという先生方のボリュームゾーンの方々をにどう学び続けていただけるのかという仕掛けも、両にらみで必要であるということも強く感じております。
 その意味では、こちらのまさに教員養成部会でございますけれども、令和4年12月に「令和の日本型学校教育を担う新たな教師の姿を実現するための取組について」という答申が出ております。こちらの答申では、もちろん教職大学院や、その先に博士号ということも見据えたことも言及されていますけれども、同時に多くの先生方が校内研修をベースとして、協働的に職能開発を実現するということも強調して明言しています。オリンポスの世界に住んでいる方もすごく大事なんですけれども、ボリュームゾーンの先生方の学びの心にいかに火をつけて学び続けていただき、日々の活動に生かしていただくかということも、同時にここの場で検討したり重要視したりする必要があるかなと考えました。
 以上です。すみません、秋田先生、御指名をいただきましてありがとうございます。そして、國分先生、私が出しゃばるものではなかったかもしれないんですけど、申し訳ありません。以上でございます。
【秋田部会長】  ありがとうございます。貞広委員から御発言を、関連する内容でございましたので、いただきました。
 本日は、教師の質を維持・向上させるための採用・研修の在り方について、委員の皆様から様々な御意見をいただきました。これまでの会で出された意見も含めて、基本的な考え方の案として、事務局において改めて資料1に反映させていただきまして、また次回の会議でも、委員の皆様に御確認をいただければと思っております。
 また、今日はかなり時間がきつかったために、私のほうで人数を限ってしまいましたために、お手を挙げようか迷っていらした方が発言ができる機会がございませんでしたので、ぜひ今日御発言できなかったけれども、こういうことを考えていたというようなことでメールを事務局に送っていただけましたら、議事録のほうに発言として加えさせていただく形で対応させていただきたいと思いますので、よろしくお願いをいたします。
 また、発表のために、特に御準備をいただきました松原委員、青海委員、内田委員、卜田先生、そして、安田委員には心より御礼を申し上げます。また、岡本委員も説明の御資料ありがとうございます。誠にありがとうございます。
 本日の議事は、以上でございます。最後に、事務局より御説明をお願いいたします。
【柴田教育人材政策課課長補佐】  ありがとうございます。次回の教員養成部会の日程でございますけれども、こちらにつきましては、追って事務局より御連絡させていただきます。
 以上でございます。
【秋田部会長】  皆様、本日は長時間ありがとうございます。それでは、本日は以上とさせていただきます。お疲れさまでした。対面の方、オンラインの方、どうもありがとうございました。閉会となります。
 
―― 了 ――

 
■会議終了後に頂戴した御意見
(佐古委員)
 教員研修の今後の在り方については,教師の「主体的な」学びの実現に向けて,制度と運用を改善していくことが基本であると考えています。つまり「学ばされ続ける教師」から「学び続ける教師」へどう近づけるかが今後の研修の在り方を議論する基本ではないかと思います。
 そのような観点から,「対話と受講奨励」がはたしてどのように運用されているのかが,気になっております。研修コンテンツやその利用頻度もたしかに重要であるが,教師がそれをどのように,つまり,さまざまな度合いは想定できるものの,教師が主体的に研修に向かう方向で運用されているかが重要なのではないかと思います。
 そのためには,「対話」の以前に,教師ひとり一人が,研修履歴だけでなく,今後目指す教師像やキャリアについて自ら振り返ることが必要で,そのための仕組みづくりが課題なのではないと考えます。
 
 
(松田委員)
資料1-2を拝見し、教員採用に関する制度面や広報戦略の必要性が盛り込まれていることには一定の評価をしておりますが、いくつか構造的かつ本質的な論点が、十分に組み込まれていないと感じておりますので、強調させていただきます。
 
1. 採用倍率の低下の本質は、「制度」ではなく「教職ブランドの劣化」にある 採用倍率が低下している理由について、資料1-2では志願者数の減少や退職者の変動などが主に挙げられていますが、私はむしろ、教職という職業の魅力や社会的評価そのものが損なわれている=ブランドが劣化していることこそが最大の要因だと考えています。高知県の事例では、280人中204人が内定を辞退しました。これは、どれだけ制度を改善しても、「教職に魅力を感じない」という現実を突きつけられた象徴的なケースです。この「ブランドの毀損」という根本課題を、明確に資料1-2の中で位置づけていただきたいと思います。
 
2. 制度改善と広報・ブランディングは切り離せない一体戦略として設計すべき 近年、働き方改革や処遇改善、免許制度の見直しなどが進められており、制度面での前進は評価できます。しかし、それらの成果が志願者層や社会に十分に伝わっていないのが現実です。いくら制度を整えても、伝わらなければ人は集まりません。制度改革は、それを社会に「どう伝えるか」と一体で設計して初めて機能するという考え方を、ぜひ資料1-2に明記していただきたいと考えます。
 
3. 教職の採用は今や「民間企業との人材獲得競争」である 今の大学生は、公務員と民間を分けて就職活動をしているわけではありません。教職は、外資系・スタートアップ・医療・ITなど他職種と同じ市場で人材獲得競争をしているという現実を前提に、採用戦略を設計する必要があります。教育委員会単位での広報では、これらの競争に太刀打ちすることは難しいと考えています。
 
4. だからこそ、「国主導の教職採用情報発信プラットフォーム」の構築を 現状では、各自治体がバラバラに採用サイトを運営していますが、コンテンツの質・視認性・訴求力には大きなばらつきがあります。本来マーケティング機能を持たない教育委員会に、採用ブランディングを任せている構造自体が制度的に限界であり、戦略的に国が主導して統一感のある教職採用サイトを設計することが必要不可欠です。
 
この採用サイトでは、
a. 教職の意義ややりがいを伝えるストーリーテリング
b. キャリアモデルの提示
c. 処遇改善の進捗を「見える化」
d. 全国の自治体の情報との統合検索機能
e. SNS・動画・スマートフォン対応を前提とした構成
などを備え、“人材獲得競争に勝てる採用サイト”として設計するべきだと考えます。
 
5. 「定数が減るから倍率が自然に回復する」という見方は危険 児童生徒数の減少により教員定数が減るため、将来的に倍率が回復するという見方もある かと思いますが、これは非常に危うい受動的な発想だと考えます。私はむしろ、定数が減る「今だからこそ」、質を重視した教員採用に戦略的に転換する最大の好機だと捉えるべきだと考えています。この視点もぜひ、資料1-2の中で強調いただければと思います。
 
6. 教職に対する敬意と誇りを社会全体で醸成していく文化的戦略も不可欠 教職のブランド再構築は、制度や広報だけでなく、文化としての再評価も必要です。たとえば「教師の日」のような象徴的な仕組みの検討や、全国的な感謝キャンペーンのような文化的装置を通じて、教職に対する敬意と誇りを可視化する機会を社会全体でつくっていくことが重要です。もちろん、「教師の日」の制定はこの場の直接の議題ではないことは理解しておりますが、こうした文化的基盤づくりにも継続的な広報・投資が必要であるという視点を資料1-2に含めていただければと考えております。
 
教職の採用は、「制度改革」だけではなく、「教職ブランドの再構築」「広報と制度の一体設計」「文化的評価の再構築」を含む総合的な国家戦略として再設計することが求められています。その中核として、国主導の採用プラットフォームの構築、定数減少をチャンスと捉えた「質への転換」、そして文化的な側面からの支援が、いま必要な要素であると強く感じております。
 
 
(森田委員)
本日の教員養成部会でのご報告を拝聴し、3点について意見を述べたいと思います。
まず、松原委員のご報告をお伺いし、臨時的任用教員の研修のあり方についても重要な検討課題であると感じました。安田委員のご報告と合わせて考えるならば、この臨時的任用教員の多くが、専門性や経験のない特別支援クラスの担当となっているとするならば、特別支援教育を実態として充実させるためにも、臨時的任用教員を含めた研修のあり方を検討することは喫緊の課題であると思います。とくに、特別支援クラスについては、いうまでもなく、学校・クラスごとに担当教員に求められる専門性が異なりますし、たとえば、同じ学年の児童が5人いるクラスと、5学年にまたがる児童が5人いるクラスでは、担当教員の勤務のあり方や授業準備負担なども大きく異なると思います。臨時的任用教員の経験年数や経歴は多様であるため、一律に考える難しさがあると思いますが、臨時的任用教員の勤務実態などを把握しながら、必要な研修のあり方を検討することも今後の課題なのではないでしょうか。
また、卜部先生のご報告をお伺いし、学生実態や大学の特色を踏まえ、正課と課外を組合せながら、学士課程全体ですぐれた幼稚園教諭を養成されている試みは大変参考になりました。有償ボランティアの機会を拡充させるにあたっても、同時に、受入れの園との連携強化を図りながら、各園の特色やニーズを把握し、学生のマッチングなども十分に行い、そのことが進路選択にもつながっていくというサイクルは、他の大学にも参考とすべき点ではないかと思いました。
最後に、養成・採用・研修の一体的改革の必要性が指摘されて久しいですが、現状でも、養成、採用、研修が別々に考えられがちな傾向があると思います。今後の検討にあたって、教師の生涯にわたる資質能力の向上という視点にたって、養成と研修の役割やそれぞれで学ぶべき事柄を明確にしながら、大学を中心とする養成段階における学びと、採用後の研修段階における学びを連動させる方策を検討し、養成と研修の連続性において教師の資質能力向上を考えていく必要性を感じました。
 
 
(山辺委員)
今日の議論の中で「オリンポス山の上の話をしているようだ」という発言も出ていましたが、教員の研修・採用に関する議論をこのタイミングで行う以上、「教師の質を向上させるため」だけでなく「教師の質を維持するため」の議論、もっと言えば「教師の質に関する喫緊の課題に対処するため」の議論も必要だと考えます。
というのも、連日報道されているような男性教員による女子児童への性加害の事件をはじめ、学校内での子どもへの加害、およびそうした事案に対する不適切な対応による二次加害が発生する事例が、社会的問題となっています。
この問題に対処するためには、教員養成のプロセスや教員採用のタイミングでのゲートキーピング、採用後の明確かつ公正な懲罰処分の方針の提示、そして教職倫理に関する繰り返しの教員研修が必要です。
また、松原先生の5つ目のスライドにも「教員としての倫理観及び危機管理能力」に関する研修を多くの教育委員会が受けさせたいと考えているというデータが出ておりましたが、こうした教師としての最低限の倫理や素質を扱う内容に関してこそ、自治体に任すのではなく、文部科学省が主体となって全国のスタンダードを示す必要があり、本委員会でも議論していくべきだと考えます。こうした論点をこのタイミングで一切議論しないままでは違和感を覚えざるを得ず、今回の先生方のご発表内容とは重なりませんが、意見を述べさせていただきます。