令和6年10月1日(火曜日)13時00分~15時00分
5F5会議室(WEB会議)
【秋田部会長】 皆様、こんにちは。定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会第144回教員養成部会を開催いたします。
それでは、まず事務局から会議の開催方法と資料について御説明をお願いいたします。
【貝原改革推進係長】 文部科学省教育人材政策課の貝原と申します。会議の進め方につきまして確認させていただきます。
今回の模様は、報道関係者と一般の方向けにライブ配信しております。Zoomのチャット機能については、傍聴者が閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合の緊急連絡手段として活用していただく等、補助的な使用としていただきますようお願いいたします。
配布資料は、議事次第にございますとおり、4点となっております。資料1-1から1-3までは、議事の中で説明します。参考資料につきましては、次年度に向け要求している教員関係の主な予算に関する資料でございます。8月の中央教育審議会で取りまとめていただきました答申、「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」を踏まえまして、教師の処遇改善に向け、教職調整額を改善するための予算や、校長と学校の管理職マネジメント力の強化を推進するための予算などを要求しており、教師に関する概算要求資料を参考資料としてまとめております。
次に、事務局で異動がありましたので、紹介いたします。
まず、総合教育政策局長の茂里でございます。一言御挨拶をお願いします。
【茂里総合教育政策局長】 総合教育政策局長の茂里でございます。この養成部会に当たりまして、一言だけ御挨拶させてください。
今の説明がありましたとおり、質の高い教師をどう集めるかというのが非常に大きな課題となっております。というのは、教師の処遇改善についての議論が活発化する中で、他方、その質についてもしっかりと議論しようという流れがございます。そういった流れの中、この部会では、これまでも議論いただいておりますし、これからも皆様方のお力添えをいただきながら、議論いただいたことを踏まえて。
しっかりと文科省としても、教師のための政策を積み上げていきたいと思います。
本日はよろしくお願いいたします。
【貝原改革推進係長】 次に、総合教育政策局社会教育振興総括官の平野でございます。一言御挨拶をお願いします。
【平野社会教育振興総括官】 平野でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【貝原改革推進係長】 次に、総合教育政策局政策課長の神山です。一言御挨拶をお願いします。
【神山政策課長】 政策課長の神山と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
【貝原改革推進係長】 事務局からは以上でございます。
【秋田部会長】 どうもありがとうございます。
それでは、本日の議事について申し上げます。
議事は、議事次第のとおり、今後議論すべき論点についての一点でございます。本日は、教師や教職員集団をめぐって様々な変化、政策の動きがありますので、そうした状況を踏まえながら、今後の教員養成の在り方について、委員の皆様から大所高所から御意見をいただき、養成部会としてどのような議論を行うべきであるかということを考えていくための会議にしたいと考えております。事務局が準備した資料も参照しながら、委員の皆様と自由に討議できたらと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、議事に入りたいと思います。事務局より御説明をお願いいたします。
【石川教員免許・研修企画室長】 皆さん、こんにちは。教員免許・研修企画室長の石川でございます。私のほうから、資料1-1から1-3まで、まとめて説明をさせていただきます。
まず、資料1-1でございます。こちらは、今後の教員養成部会における議論についての基礎資料ということで、議論の参考になる資料をまとめたものでございます。全部で120ページほどになりますので、一つ一つについての詳しい説明は省略させていただきますが、ざっと、どんな資料があるかというところで紹介をさせていただきたいと思います。
まず4ページ目から12ページ目にかけましては、社会や学習環境の変化に関する資料といたしまして、我が国のグローバル化の状況であるとか、少子高齢化の進展の状況であるとか、GIGAスクール構想の推進状況などに関する資料を用意してございます。
次に、教師や教職員集団をめぐる状況に関する資料といたしまして、14ページから18ページにかけましては、先日答申されました「質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」の概要を掲載してございます。
少し飛ばしまして、22ページから27ページにかけましては、「令和の日本型学校教育」の答申の概要について載せてございます。
32ページから37ページにかけては、幾つかデータを載せておりまして、いじめ、不登校、外国人児童生徒の状況や、特別支援教育を受ける児童生徒の状況等についての資料を掲載してございます。
40ページ目からは、教師に関するデータの紹介をしてございまして、公立学校教員の年齢構成の資料であるとか、公立学校教員採用選考試験の実施状況、採用試験の倍率に関する状況、それから、教師不足の構造的な要因に関する分析についての資料や、公立学校教員の採用者の推移や、受験者の内訳に関するデータなどを載せてございます。その後には、公立学校教員採用試験における採用者の学歴であるとか職歴に関するデータの情報も掲載しております。また、この教師や教職員集団をめぐる状況に関する資料の最後といたしましては、教員採用選考の第一次試験の共同実施化の方式について、こちら調整中のものになりますが、関係資料を載せてございます。
60ページ目以降は、今度は教員免許に関するデータといたしまして、61ページ、62ページで、我が国の教員免許制度の概要に関する資料、あわせまして、63ページ、64ページといったところでは、普通免許状の取得に当たっての内容やそれに伴う必要な単位数に関するデータを載せてございます。
66ページは、教職課程を有する大学における免許状の取得状況に関するデータを載せてあります。
また、69ページ前後では、諸外国の教員制度や教員免許制度の概要に関する資料を掲載させてございます。
71ページ目からは、教員養成大学に関係するデータといたしまして、72ページは、国立の教員養成大学の現状や、74ページから、国立教員養成大学の卒業者の教員の就職状況の推移に関するデータを載せてございます。
少し飛んで78ページから、教職大学院に関する資料を載せていまして、78ページは、教職大学院の設置状況に関する情報、80ページ、81ページの辺りでは、教職大学院における入学者の推移や、修了者の教員の就職状況に関するデータ等の資料を掲載させていただいています。
82ページからまたテーマが変わりまして、今度は、教員研修に関する資料といたしまして、最初に研修の実施体系を載せているほか、来年度の予算要求として、支給中の学校管理職マネジメント力強化推進事業の概要であるとか、この章の最後としては、NITSの概要に関する資料を2ページほど掲載してございます。
88ページからは、これまでの教員養成・採用・研修に関する主な改革・取組に関する資料といたしまして、89ページから91ページにかけては、これまでの教師の養成・採用・研修制度の改革に関する変遷の概要を載せてございます。
続く92から95ページでは、これまで中教審答申などで提言されました教師に求められる資質能力に関する記述の抜粋を掲載してございます。
99ページ以降は、特に令和4年の答申を踏まえて実行している取組の概要を掲載していますが、資料1-2としまして、令和4年中教審答申を踏まえた対応状況について説明いたしますので、その説明で代えさせていただきたいと思います。
最後に、119ページ、120ページでは、教師に関する最近の政策文書を紹介してございます。
かなりいろいろな資料ではあるんですけれども、これらの資料は、現在手元で我々で用意できる資料やデータということが中心になってございますが、また今日の議論の中などでも、もっとこういう資料はないかとか、こういうデータが必要ではないかという御指摘がございましたら、どうぞよろしくお願いいたします。
続きまして、資料1-2の説明をさせていただきます。
こちら、令和4年の中教審答申では、答申の最後にも、この答申の対応状況の工程表というものを掲載してございましたが、その工程表の現在の進捗状況をまとめたものでございます。特に、文部科学省で対応するということになっているものを中心に抜粋をさせていただいてございます。
まず、「教師に共通的に求められる資質能力」を踏まえた教職課程の在り方といたしましては、答申の中で、資質能力と教職課程コアカリキュラムの整合性の確認ということが掲げられていましたけれども、こちらにつきましては、今後、この養成部会も含め議論していく中で、資質能力とそれに求められる教職課程、あるいは教職課程のコアカリキュラムというものの整合性というのはまた検討してまいりたいと考えてございます。
理論と実践の往還を重視した教職課程への転換に関しましては、まず教育実習について、それぞれの学生の状況に応じて、「学校体験活動」の一部の活用なども含む柔軟な履修形式への対応に関しましては、令和5年度に教師の一体改革推進事業の中で、大教大で教育実習や学校体験活動の実施に関するガイドラインを委託事業の中で策定しておりまして、本年7月に事務連絡をしてございます。引き続き、この事務連絡の内容も踏まえまして、各大学で教育実習の在り方について検討をしていっていただきたいと考えてございます。
それから、「教職実践演習」の実施時期の柔軟化につきましては、令和5年9月に「教職実践演習の実施に当たっての留意事項」を改正してございまして、これまで4年次後期としていた実施時期を、大学の判断により適切な時期に実施できるよう変更してございます。こちらも、この留意事項を踏まえて、各大学で適切な時期に実施していくものと考えてございます。
学習指導員や放課後児童クラブ等での支援等を「学校体験活動」として積極的に活用するという提言に関しましては、こちらも先ほどと同じ大教大のガイドラインの中で対応しているところでございます。
留学や海外の日本人学校での教育実習の国際的な体験を学生に積極的に機会を提供することに関しましては、令和5年9月に課程認定基準の改正を行ってございまして、4年制大学においても教職課程と強み、専門性を身につける活動の二種免許状の課程を受ける特例的な設置を可能にしてございます。それから、「課程認定申請の手引き」においても、在外教育施設における教育実習の実績について周知をしたところでございまして、こういった制度改正周知を踏まえて、各大学での適切な教育実習を実施していただくということになってございます。
それから、介護等体験につきまして、「必ず体験を行うようにすることが望ましい施設」に、特別支援学級等を追加することに関しましては、令和5年2月に通知を行ったところでございます。通知を踏まえまして、各大学において適切な介護等体験が実施されているものと考えてございます。
それから、教職課程における多様な専門性を有する教師の養成につきまして、強み、専門性を身につける活動との両立のための二種免許状の取得を念頭に置いた教職課程の特例的な開設の認定、それから、専科指導優先実施教科の中学校の課程を有する学校における小学校の二種免許の課程を特例的に認めることの提言につきましては、令和5年9月に課程認定基準を改正いたしまして、それぞれ4年制大学においても二種免許状の教職課程の特例的な設置が可能となってございます。現在申請があるのは、強み、専門性の特例が2大学、専科指導の特例は3大学となっております。そして、これらの5大学については、令和7年度の入学生より、新たな課程が開始されることになります。
それから、「教科に関する専門的事項に関する科目」の見直しに関しましては、令和5年9月に免許法施行規則の改正をいたしまして、中学校・高校教諭の普通免許状の取得の際の教科専門の科目区分数が比較的多い教科について、科目区分の統合や削除を実施してございます。令和6年4月より、新規則に基づく教職課程が開始されております。
優れた人材を確保できるような教員採用の在り方につきまして、教員採用選考試験の早期化・複線化については、教員採用選考の在り方に関して、国・任命権者・大学関係者を構成員とする協議会を立ち上げまして、令和5年5月に「教員採用選考の改善の方向性」を周知してございます。早期化に関しましては、第一次選考の実施日について、令和6年度は6月16日、令和7年度は5月11日を一つの目安として、できるだけ前倒しを検討するよう各自治体に要請したところでございます。また、受験機会の充実に向けまして、複数回実施も促進し、モデル問題を複数回実施に取り組む自治体に文科省から提供してございます。今後としましては、早期化の効果検証の取組を行いつつ、引き続き、各自治体における教員採用選考の工夫を促すということになってございます。また、来年度に行われる第一次選考の実施日については、5月11日を一つの目安とするということで各自治体に要請してございます。
それから、教員採用選考試験の早期化・複線化を含めた多様な入職ルートの在り方についての調査研究については、令和6年度の採用選考状況を把握した上で、試験日程の早期化の効果検証を行うことになってございます。早期化の効果検証も踏まえつつ、引き続き、各自治体の工夫を促してまいります。
教員採用選考試験における民間企業の提供する適性検査の利用につきましては、令和4年度で30県市でやられておりまして、こうした民間企業の適性検査の利用も含めて、多様な選考試験の拡充を促してまいりたいと思っております。
また、特別な選考を通じて教職に就いた者についての状況については、令和6年度に「民間企業等の多様なルートにより入職した教職員に教育現場での活躍促進について」の調査研究を実施しているところでございます。
民間企業の勤務経験者に対する面接を中心とした特別選考の拡充につきましては、先ほどの令和6年4月に出した通知において、民間企業等勤務経験を加味した特別選考など多様な選考の拡充について依頼をしたところでございます。
多様な専門性や背景を持つ人材を教師として取り入れるための方策につきまして、特別免許状をより使いやすくなるように、中教審答申の中でも様々提言をしていただいたところでございまして、こちらの養成部会でもお諮りしましたけれども、令和6年5月に特別免許状の授与指針について改定をしてございます。またあわせて、令和4年度補正予算におきまして、特別免許状の取得等により入職する外部人材向けの研修コンテンツの開発も実施しております。また、先日、9月13日に「外部専門人材の教師への活用拡大について」の通知を出したところでございまして、授与指針の改定も踏まえた各都道府県教育委員会の対応状況について、フォローアップ調査を今実施しているところでございます。また、研修コンテンツの開発の拡大などにも努めてまいります。
また、同様に、多様な専門性や背景を持つ人材を教師として取り入れる方策につきまして、教員資格認定試験の関係するところでは、今年度の教員資格認定試験より、高校「情報」を20年ぶりに再開してございます。また、今年度の教員資格認定試験におきまして、小学校及び高校(情報)の試験において、試験科目の一定の条件の下に一部免除を実施したところでございます。引き続き、これらの広報・情報発信に努めて、受験者の増加に努めていきたいと考えてございます。
それから、校長等の管理職の育成及び資質能力の明確化につきましては、校長に関する独自の育成指標の設定や計画的な育成が提言されておりましたが、令和4年8月に「公立の小学校の校長および教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針」を改正し、校長に求められる資質の明確化等を行ってございます。また、先日出されました令和6年の中教審答申におきましても、この指標の策定に関する指針に、校長が果たすべき役割として働き方改革に向けたマネジメントの重要性を位置づけるよう提言があったところでございます。
それから、新任校長オンライン集合ハイブリッド研修事業の更なる展開に関しましては、こちらは令和4年度に4自治体、令和5年度10自治体、今年度70自治体で実施中でございますが、また、来年度予算に向けまして、新規事業として、「子供の新たな学びの実現に資する学校管理職マネジメント力強化推進事業」を要求しているところでございます。
教職課程における多様な専門性を有する教師の養成の関係では、教員免許更新制の発展的解消につきましては、御案内のとおり、令和4年7月1日より発展的に解消されております。あわせて、任命権者は、教師の研修受講記録の作成が義務づけられるとともに、指導助言者は、教師としての資質向上に関する指導助言を行うものという改正が行われておりまして、教員研修計画に基づきまして、研修受講履歴を活用した指導助言が行われるという形になってございます。
また、研修履歴を活用した対応に基づく「新たな教師の学びの姿の実現」については、令和4年8月に「研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン」を策定したところでございます。
また、研修受講履歴記録システム及び教員研修プラットフォームの構築については、令和5年度に「全国教員研修プラットフォーム」を構築しまして、本年4月から稼働しております。教育委員会や大学等が登録した研修動画の視聴や、研修受講履歴の作成が可能になっておりまして、現在Plantの利用自治体が49都道府県・指定都市、Plantに登録された研修は2万2,000件以上となってございまして、こういったものも活用しながら、新たな研修受講履歴を活用した対応と奨励に基づく研修が実施されるものと考えてございます。
それから、教員養成大学・学部、教職大学院の在り方に関して、学部と教職大学院との連携・接続の強化・実質化に関しましては、理論と実践を往還させた省察力による学びのデザイン等を強みとする教職大学院と各部との一層の連携強化に関しては、好事例集を作成し周知をしているところでございます。さらにこうした連携の強化を全国的に進めてまいりたいと思ってございます。
また、学部学生が教職大学院の授業を先取り履修した場合の在学年数の短縮につきましては、令和5年6月に専門職大学院設置基準の一部改正を行いまして、先取り履修した場合には在学期間を短縮し、最大5年間で学部大学院を修了することが可能となってございます。また、こちらについては、教職大学院修了者の奨学金免除の仕組みとともに、学生の経済的・時間的な負担を減らす取組をさらに各大学で実施していただきたいと考えてございます。
教職大学院での学びを学部学生に展開する際に、他の大学・学部学生に対し広く門戸を開放することに関しましては、先ほどの好事例集の周知とともに、簡単なパンフレットの作成における周知というのも行っているところでございます。
教育委員会と大学との連携強化に関しましては、まず、令和6年度予算におきまして地域枠事業を開始しまして、教員養成大学・学部と教育委員会が連携・協働して取組を支援しているところでございます。また、先ほどの好事例集では、こういった取組も含まれてございます。また、昨年度の委託事業において、北教大において、地域枠の設置やへき地教育プログラムを活用した教育委員会と大学の連携による教員養成モデルの開発を行っているところでございまして、こういった事業を通じまして、各地での教育委員会と大学の連携の強化のいいモデルを波及していくという段階でございます。
それから、教師養成に係る理論と実践の往還を重視した人材育成の好循環の実現に関しまして、まず、教員養成大学・学部における実務家教員の登用促進については、令和5年6月に大学設置基準を一部改正しまして、必要最低教員数のおおむね2割以上を必要な実務家教員として定めたところでございまして、令和8年度以降の設置により適用がされることとなってございます。
それから、学校現場における実践と大学における教師養成のかけ橋となる中核的な役割を担う教職大学院修了者を位置づけて、教職大学における学びを生かしたキャリアパスの確立については、先ほどの好事例集の周知とともに、また、昨年度委託事業の中で、岡山大の取組などでプログラムの開発を行っているところでございます。
また、附属学校を拠点とした教職大学院修了者や実務家教員輩出のサイクルの構築についても、好事例集の周知を通じて行っているところでございます。
教員養成大学の教員就職率の向上につきましては、こちらの好事例集の周知や、地域枠の事業をする中で向上してございまして、令和5年度では約68%の就職率となってございまして、引き続き、こうした取組の進展をしていくということになってございます。
最後に、教師を支える環境整備の関係に関しましては、学びの振り返りを支援する仕組みの構築としまして、喫緊の教育課題に関する研修コンテンツの開発に関しては、令和4年度補正予算、令和5年度補正予算を通じて、175コンテンツの開発をしているところでございまして、こちら、Plantにも掲載して活用していただいているところでございます。また、令和7年度予算でも、新たにコンテンツ開発予算を要求してございます。
それから、多様な働き方など教師を支える環境整備に関しましては、同じく、ペーパーティーチャーなどに関する研修の実施として、NITSおける研修のほか、先ほどの補正予算で研修コンテンツの開発の支援を行っているところでございます。
指導体制の整備に関しましては、小学校における35人学級の計画的な整備や教科担任制の強化で教職員定数の改善を行ってございます。また、教員業務支援員の配置についても、予算を拡充しているところでございます。
また、学校DXの推進につきましては、令和5年3月に専門会議の議論が取りまとめられまして、「次世代校務DXの方向性を提示するとともに、令和5年度の事業を通じて校務DXのモデルケースの創出等に努めているところでございます。
最後でございますけれども、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進による地域全体での子供たちの成長を支える社会の実現につきましては、好事例集の周知やCSマイスターの派遣等を通じまして、地域学校協働活動推進員の人数等の配置促進を行っているところでございます。
また、勤務実態調査の結果を踏まえた給特法の法制的な枠組みと教師の処遇の在り方の検討につきましては、令和6年4月に教員勤務実態調査の確定値の公表を行うとともに、令和7年度概算要求として教職調整額の水準の向上等の予算要求を行っているところでございます。
すみません。ちょっと長くなってしまいましたが、資料1-2の説明は以上となります。
最後に、本日の議論の観点としまして、資料1-3を用意させていただいてございます。
まず、1つ目の丸ですけれども、AI・ビッグデータ・IoT等の技術革新や、少子化・人口減少、グローバル化等の社会の変化がより一層進展する中で、子供たちの多様化・教育課題の複雑化が進む中で、これらの変革と学校教育との関係をどう捉えるべきか。
また、「令和の日本型学校教育」答申で示されました「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学び」の実現、それを担う教師及び教職員集団のあるべき姿の実現に向けて、新しい時代の教育というものをどのように見立て見通すか。また、高度専門職としての教師の役割や教師不足の状況等を踏まえて、教師・教職員集団の現状についてどのように考えるべきか。
令和4年の答申、「令和の日本型学校教育」を担う教師答申においては、教師の育成・確保に関する各種方策が示されまして、先ほど説明させていただいたとおり、取組が進んでいるところでございますが、その改革の方向性についてどのように考え、また、どんな踏み込んだ改革が必要か。
また、先日答申されました「質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」の答申において、学校に受ける働き方改革や指導・運営体制の充実、教師の処遇改善などの方策が示されたことを踏まえまして、質の高い教師の確保に向けて、環境整備に加えて、特に教師に着目して取り組むべき改革についてどのように考えるか。
最後に、改めて教師が本来担うべき役割、教師に求める資質・能力をどう考えるか。今後の教職課程や学習指導及び学習評価の在り方に関する論点が整理される中、教職課程の内容や学修方法等の在り方についてどのように考えるかということで、議論の観点を提示させていただいたところでございます。
長くなってしまいましたが、以上でございます。よろしくお願いいたします。
【秋田部会長】 石川室長、御説明ありがとうございました。
この後は、御説明いただいた資料を基に、委員の皆様とフリーディスカッションとさせていただきたいと思います。御意見がありましたら挙手をお願いいたします。
なお、時間に限りはございますので、お一人4分程度ということでフリーディスカッションというふうにさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしく挙手をしていただけたらと思います。どなたからでも結構でございます。いかがでございますでしょうか。
ありがとうございます。戸ヶ﨑委員のほうからお手が挙がりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。私からは、時間の関係もありますので、大きく3点だけ申し上げておきたいと思います。
一つは、本市も含め現在学校現場では、大量採用に伴って若い教師の割合が増えており、かつ、この倍率の低下と質の低下の相関のエビデンスは不明ですが、教師の質の確保については喫緊の課題であると認識しております。これらの教師が近い将来、学校経営・運営の中核を担う時代のことを鑑みると、教師の資質・能力がますます問われてくると思っています。
先ほどもありました8月の「質の高い教師の確保」の答申の中では、校長に求められる基本的な役割を、学校経営方針の提示、組織づくり、また、学校外とのコミュニケーションの3つに大別して、それを果たしていく上で、マネジメント能力、アセスメント能力、また、ファシリテーション能力が求められると示されています。これらの能力の育成は、校長になってからではなくて、高度専門職としてのスキルアップを基盤として、中堅教師の段階から将来を鑑みて進めていく必要があると思っています。
また、令和4年12月のこの部会関係の答申にもありますけれども、子供たちの学び、いわゆる授業観とか学習観とともに、その相似形である教師の学び、いわゆる研修観を転換して、新たな教師の学びの姿を早急に実現していく必要もあります。
現在、OECDでは、「ティーチングコンパス」の策定に向けた議論が行われていますが、教師も「自ら主体的に目標を設定し、それを振り返りながら、責任ある行動が取れる力を身につける」必要性があります。
さらに、教職大学院のみならず、その養成段階を含めた教職生活を通じた学びにおける「理論と実践の往還」の実現も急務です。
2つ目は、教師人材の多様化についてです。今般のいわゆる骨太の方針の中にも、「地域枠の活用や多様な専門性を高める教員養成」という文言が盛り込まれました。教師人材の裾野を一層拡大していくためには、教員養成大学・学部だけではなくて、より幅広い分野の学生が教職を目指しやすくするという観点から、教員免許取得のハードルを下げることも視野に入れて、これまでよりも幅広い学部・学科の優秀な学生に一人でも多く教壇を目指してもらいたいと強く思っています。
また、これまでも繰り返し申し上げていますが、特別免許状の活用等による外部専門人材の活用は引き続き推進していく必要があります。
その一環として、今般のアスリートの入職支援の取組というのは、オリンピアン等を任用する場合には、追加的な定数措置、いわゆる定数の純増によって、現状の人員体制にプラスして専門人材を活用できるという点から高く評価できると思っています。オリンピアン等の専門性や、その経験、努力は、子供や教師にとってもプラスの効果があるのではないかと思っています。
ただ一方で、オリンピアンが教壇に立つということに対して、SNS等で批判の声が見られます。言うまでもなく、特別免許という制度は、特定の技術や知識を有する者に対して、都道府県教育委員会がその能力を評価して、必要に応じて免許を付与する制度であり、教育現場における多様なニーズに応えるために導入されています。例えば、オリンピアンに限らず、ICTなどの技術系の専門家やスポーツの第一線で活躍している人物が持つ専門的なスキルを生かした学びを目的としています。オリンピアンがこの制度を活用して教師になる場合についても、同様の仕組みで評価すべきと思います。
にもかかわらず批判が生じている背景には、教育全般への適用力に対する懸念などがあるようです。また、そもそもですけれども、特別免許状の制度も、都道府県によっては十分に活用されているとは言い難い状況もあります。
そこで、改めて制度の定義や特別免許状の審査基準だとか、プロセス等の周知・理解、それに加えて、今般のオリンピアンの場合は、一般の教師と同じような仕事というよりは、小学校や中学校の体育指導について地域の学校を掛け持ちして指導してもらうことで、他の教師のコマ数の削減や、また、子供たちが一流に触れる機会を提供することにもつながるというようなことの一層の周知も必要なのではないかなと思っています。
最後に、研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励について、このガイドラインが策定されて時間が経過し、研修の量も増えてきていますが、この進捗状況はどうなっているのか、うまく機能しているのかどうかということが、正直、大変気になっています。都道府県教育委員会は、この充実・改善に向けて、再点検をしていく必要があるのではないかなと思っております。
以上です。
【秋田部会長】 どうもありがとうございました。
質の確保に関して、資質の件や、校長になる前からの中堅からの資質の向上や研修観の転換、2つ目としての多様な人材ということで、特に特別免許状のことについてお話をいただき、また、3つ目としては、研修履歴の問題につきまして、本当に機能しているのかというところの御指摘を賜ったところでございます。ありがとうございます。
それでは、続きまして、松田委員、その後、松木委員にお願いをしたいと思いますので、お願いいたします。
【松田委員】 よろしくお願いします。
今、戸ヶ﨑委員がお話しになられたところとちょっと重複するところがあるかもしれませんが、御容赦ください。
私も、多様な教職員集団の形成、そして、教職の高度化のために、多様な人材、成り手の裾野を広げていけるような施策、そして特別免許状の活用については強く賛同しています。今回は、ちょっと違った観点でも少しお話をさせていただきたいなと思っています。
本日の取りまとめでも非常によく整理されているなと思いましたけれども、昨今、人工知能・AI・ビッグデータなどの技術革新が急速に進んでいます。そういった中で、今、プログラミング教育、STEAM教育、金融経済教育、あとはキャリア教育といった分野での担い手を増やしていかなければいけないと強く感じております。
これらの教育を実現するためには、従来の教育システムや教職員集団だけでは限界があります。世の中の流れが激しい状況の中で、既存のステークホルダーが変化のスピードについていけていない現状、もしくは、ステークホルダーが伝統的な教育を支えてきたプレーヤーで構成されているため、多様性が担保されていないという実態もあるのではないかなと思っております。
私は、この流れに民間の力をより活用していくべきだと考えておりまして、ぜひこの要素を検討いただきたいです。
例えば、国から認証を受けた企業やNPOを含む民間団体が教員の育成であったり、本採用の前のある程度人材のスクリーニング、そして、配置後の研修を請け負って、一定期間、学校現場での勤務・研修終了後に、二種免許相当の免許を付与するのも民間活用の一案です。
この仕組みを導入するに当たって、最終的に教育委員会が免許を付与して教員を採用するという現行の体制は維持されます。ただし、こうした多様なステークホルダーが教員の採用や育成に関われるよう、文部科学省として、制度を整理したり、教育委員会への周知を図るということが重要になると考えております。
内容としては、例えば、国の認証を受けた民間団体が教員候補者を採用し、多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に採用します。適性検査や面接を通じて教育者としての資質を評価し、次に、教職に入るのに必要な最低限の研修と、専門性を学校現場でいかすための研修を施してから学校現場に配置します。最初はT2配置や、場合によっては臨時免許状を発行しT1配置も可能にします。学校現場で求められているプログラミング教育、STEAM教育、金融経済教育、キャリア教育などの領域を指導できる人材を民間企業が教育委員会と連携し、採用・育成・配置します。
学校現場に配置後も、民間団体が、2年間現場での張りつきで研修に入って、メンター制度によるサポート体制を提供します。最終的に、この2年間が終われば、免許を持っていない人材であったとしても二種免許状相当なものが付与されるような流れを想定しています。一案でしかありませんが、民間団体が教員のプレ採用とか育成・研修により本格的に関わっていくことによって、より幅広い専門性を担保された人材の採用につながると思っておりますし、教員の採用と育成に関わるプレーヤーが多岐にわたることによって、教育の質の向上に貢献できる部分もあると思っております。
何よりも教員不足の解消ですよね。やっぱり人材のプールの拡大が今とても大事だと思っておりますので、民間からの多様な人材の参入によって、教員不足の問題を解消する一助となればいいのではないかなとも思っております。
さらに、地域教育の活性化も期待できるのではないかなと思っておりまして、都市部だけではなくて、地方の教育現場にも新たな風を吹き込むような取組になっていくことも期待できるのではないかなと思っております。
こういった新しい仕組を根付かせるためには、文部科学省や教育委員会の役割もすごく大事だと思っておりまして、先ほど申し上げたように、制度をしっかりと整備をして、教育委員会に周知をしていくことが大事だと考えています。民間がより教員の採用や育成に関わることで、多様な教員の採用・育成プレーヤーが増えていくというところにつながれば、私としては、その先の効果はとても期待できるのではないかなと考えております。
以上です。ありがとうございます。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
多様な人材の活用ということで、例えば、その国の認証を得たプレーヤーの活用というようなところでお話をいただきました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、松木委員のお手が挙がっているということでございますので、お願いいたします。
【松木部会長代理】 松木です。
今後の議論の観点として、提案したいと思っています。
1点目は、質と量の問題です。現在のところ、2000年から2040年に向けて18歳人口が半減してしまう。それから、教員採用者も、今は希望者が少なくてかき集めているところですが、令和5年から令和10年に向けて約7割に採用者が減ってしまうという影響を考えますと、教員養成の仕組みの縮小、そういったことについて、より安全で確かな縮小の仕方についてのイメージを持たなければいけないのではないかなというふうに思っている点が1点です。
これまでのこの会での協議の中で、例えば、専門性を有する教員を多く採用するということで、小学校二種の免許が取れるように議論してきました。二つの免許が取れるということは、教員の働き方改革、特に地方では遠方へ異動することが困難ですので、二つの免許を持って小中高に対応できるというのは有利になります。
さらに、4人に1人が気がかりな子供となっている現状、加えて、57万人が、特別支援学級や通級指導を受けている現状を考えますと、特別支援の専門性などといったことも必要になり、こういったことを含めて考えると、二つ以上の免許を持つということが、縮小化の中で必要になってくるのではないかなと思います。
そうなると、大手の総合大学の文学部や理学部で小学校二種免許を取れるところや、国立の単科大学などは教職科目担当教員が確保されていますので、こういった需要に対応できるかなと思いますが、1つの免許しか出せないような大学は、非常に危険的な状況になっていくかなと思います。
そういった中で、教員免許の取得を促進していくために、例えば、地方の国立大学の教員養成系の学部は、近隣のほかの大学への免許科目の提供といったことがメリットになるような制度設計をしていただきながら、縮小に向けての安全な形を模索していく必要があるのではないかというのが1点目です。
2点目は、質の問題で、今までのような教員養成、つまり18歳をターゲットにした教員養成から専門職の養成への発想の転換が必要ではないかなと思います。専門職、つまり生涯学び続ける教師、生涯にわたる職能成長を念頭に考えていく制度設計が必要だと思います。
特に、18歳からの4年間をターゲットにする場合であっても、4年間の面倒を見ていればあとはいいというような教員養成の仕方ではなくて、専門職の学びの中の最初の4年間なんだというような制度下での学びの仕方に変えなければならないと思います。そうなると、現職の先生方が学びやすいようなサポートについては、例えば奨学金等に関しては、今回は継続審議になっているかなと思います。現職の先生たちが学び続けることのできるような仕組みが必要になるというのと、学部教育の発想の転換ということが必要になると思います。
3つ目は、教職大学院の在り方についてです。教職大学院の教員の4割は、いわゆる実務家教員と言われる方々です。その大学院を支える大学教員の養成ということについて、やはり必要になっていらっしゃるなというふうに思っています。現在のところ、この実務家の先生方をどう養成するかということでは、福井県の場合は、管理職がかなりの方が教職大学院を出ていますので、もう既に二つ修士を持っているというような状況が出てきています。こういったことを踏まえると、やはり管理職がドクターを取れるようにしていかなければならないというふうに思いますし、日本型の学校教育を世界に広めていくためにも、海外の現職の先生方が大学院で学んでいただくためにも、専門職大学院にドクターの設置というのが必要になると思います。
ところが、修士を廃止して教職大学院をつくってきた経過がありまして、教職大学院の上にドクターをつくるということが難しくなっています。そのために、教職大学院とは異なる発想の修士をもう一度つくらなければ、ドクターがつくれないという事情になっているかなと思います。ぜひ教職大学院のドクターということについて御検討いただきたいと思います。
4つ目は、ICT等の充実ということと、子供たちの数が減少し、廃校の数が増えてきているということを踏まえると、オンライン等を用いた新たな授業の在り方が必要になると思います。そのために、例えば、小学校3校を結んだオンラインをすると、国語の得意な先生が国語の配信をしながら、各学校にいる先生方が一緒に共同に授業に参加する、つまり、教員の研修ということも兼ねた授業の在り方ということが実現できると思います。授業と研修を一体化していくという意味でも、今のICTの進歩を逆に活用しながら進めるという方向についても、制度的な整備が必要になってきているというふうに思います。
以上、4点、議論の方向性として取り上げてみました。
以上です。
【秋田部会長】 どうもありがとうございます。
教員の養成などを縮小していくのに、安定的な形というものがどうあったらいいのかという御提案、また、質の確保ということで、専門職の育成としての学部教育から教職大学院への在り方の位置づけの転換、3つ目としては、教職大学院の教員を養成したりするための博士課程設置という問題、そして、ICTをうまく活用して複数校をつなぐことでの授業と研修の一体化というようなことについてお話をいただきました。ありがとうございます。
ほかにはいかがでございますでしょうか。
では、貞広委員、お願いします。
【貞広委員】
まずは、講義の関係で遅参いたしまして申し訳ありません。冒頭御説明を聞いておりませんので、ちょっとずれているかもしれませんが、今、松木委員が教職大学院のことについて御発言をされましたので、重ねて発言をさせていただきたいと思います。
御説明の中でも出ていた「『令和の日本型学校教育』を担う質の高い教師の確保のための環境整備に関する総合的な方策について」という答申では、教師を学びの専門職と位置づけています。学びの専門職であるからには、自らも学び続け、そして、新しく学ぶことの喜びを感じられ続けてくださっているということが必要だと思っています。
また、これも松木先生のお話にもありましたけれども、非常に若手の教員が増えていて、ちょっと上の先生方に現場で育てていただくというよりも、若手教員が若手教員の中で育っていくというような事態が発生しています。そうしたことを考えると、今まで以上に現職の学び直し、ファーストチョイスは教職大学院ということになるかと思いますけれども、こちらでの学び直しがますます重要になってくると思っています。その上で、3点申し上げたいと思います。
まず、1点目です。学び直しということなんですけれども、現在、学び直しの適正年齢と言っていいのか分かりませんが、ちょうどミドルリーダー、ミドルぐらいの30、40代の方々、40代前半ぐらいの方々の層がすごく不足しているので、なかなか学びたくても現場から学びに出にくい、または、自治体さんも出し難い、または、現場のパワーがちょっと減退しちゃうのでというので、適切な言葉か分からないですけど、出し渋るようなところがありまして、ちょっとこれは危惧をしています。ぜひ留学に出すようなお気持ちで、先行投資として学びの派遣を行ってほしい、拡大をしてほしいと思っていますし、これは場合によっては自治体に何らかのインセンティブを付与するというようなことも視野に入ってくるかもしれません。
2つ目です。教職大学院に関して、出自の関係もありますし、もろもろいろいろな御意見をお持ちの方もいらっしゃると思いますけれども、私自身は、個人的に、学びの内容についても軌道修正の余地があると考えています。あまりにも現場の実践との接続というか、その学びが現場の実践との直線的な延長線上にあるということを強調し過ぎると、あえて場を変えて学び直し、新たな気づきによってショックを感じてギアチェンジをするような学びに十分つながらないのではないかと思っています。
もちろん実践との延長の学びも必要なんですけれども、現行の教職大学院ではあまりにも実践知のみが強調されているため、教員の方々についても学びのリフレッシュになり得ない、ゆえに、一部の方々の選択肢にしかなり得ないという部分があるのではないかと危惧をしています。
3点目です。そのように学びの内容をもう少し多様化していくということを想定しますと、先ほど松木委員がおっしゃっていたような博士課程への接続も視野に入ってくると思います。学位を持つ教員が、その学びの成果、学びの経験、そして、学ぶことの喜びを子供に伝えるルートの確保というのも視野に入ってくると思いますし、また、そうした方々にこそ、教職大学院の実務家教員として教職大学院に籍を置いていただくということが必要なのではないかと思います。
ほかにも学部段階のこともちょっと意見あるんですけど、4分ということですので、この意見とさせていただきます。
譲っていただいてありがとうございました。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
今、大きくは2点のことを言っていただきました。学び直しの適齢期に先行投資的に出せるような体制をということ、また、教職大学院の内容の在り方ということについてお話をいただきました。
では、真島委員、お願いいたします。
【真島委員】 お願いします。私からは大きく2点お願いしたいと思っています。
1点目は、教員を増員するという観点です。教員を増員するという観点がなぜ必要かということですが、『季刊教育法』の222号の特集論文に、日大の広田先生、橋本先生、濱本先生、神奈川県教職員組合の島﨑執行委員長による共同研究が掲載されています。そのなかの「少子化が進む中で教員を増員するということ」というタイトルで書かれた論文では、一定の教員増員を見込んで教員定数の算定方式「乗ずる数」を変えたらどうなるかを試算しています。児童生徒数に関して「乗ずる数」工夫ずることによって、どうやって教員数を低減させるのではなくて、上手に先生たちの負担感とか、残業とか、細やかなケアとかが必要な部分を改善できるか、あるいは、より専門性が必要となってくるところを、「乗ずる数」の変数を幾つかのパターンで考えて、児童数と教員数の変化をうまく調整しながら、児童生徒数が減るから、そのままイコール教員数も減らしましょうという議論にならないように考えられています。できるだけ「乗ずる数」の変数の数をうまく調整しながら、必要な教員数を調整することで、義務教育の教員数、40万人台の教員数を維持しながら教員の生活時間の確保や教員の質の向上も達成できるのではないかということが提言がされています。一つは、こういった議論が私は必要だと思っていまして、それがなぜ必要かというと、先ほど戸ヶ﨑委員からも教師の質の確保のことが出ていましたし、松田委員からも多様な教師集団の重要性の話があったと思います。この多様な教師集団をマネジメントしていったり、いろんな若手が増える中で教員の質の担保をどうするのかといったときに、やっぱり絶対的には教員の増員数という観点を、根本的な議論の俎上に載せていかない限り、問題の根本解決はできないと思うんですね。だから、「乗ずる数」をどうやっていろんな変数を加えていきながらソフトランディング的にやっていくのかという議論は絶対に必要だと思っています。
2つ目に、それと関連しますが、今日、文科省のほうから提案していただいた資料1の中に、「我が国の教員免許制度」についての説明があります。その中で、免許状主義と開放制の原則というのがありまして、我が国の教員養成は、一般大学と教員養成系大学とがそれぞれの特色を発揮しつつ行っているというのが開放性の原則になっています。そのときに、免許状の質を担保するのか、あるいは、教員養成の大学の存在意義をどう考えるか、開放制を進めていきましょうという議論は今いろんなところから出されていると思うんですけど、一方で、教員養成系の大学は何をなすべきなのか、そこでどういう教員を輩出すべきなのか、それはどういう免許状をもってして質を担保していくのか、そういった議論がもう一つ必要になってくると思います。
それは、先ほどの戸ヶ﨑委員も、校長に求められる力としてマネジメント力、アセスメント力、ファシリテート力ということを挙げていただきましたし、それは中堅教員からの研修が必要だとあったんですが、まさにその力というのは養成段階から必要であって、学部、さらに教職大学院等、そういったものを実際に教員養成系大学がしっかりと使命として果たしていくということを力強く言っていかない限り、開放制と教員養成系の大学が両方とも多様な教員の質を保証することにならないと思います。いろんな多様性を確保するということは、いろんなことを許容する、いろんな先生の個性とか、いろんな人たちを許容するためには一定数の教員の増員数も必要ですし、それをマネジメントしたり、ケアしたり、力を発揮させる資格を持った教員というものを養成段階から、そして、大学院で学び続ける教員という意味でも、研修も含めてですけれど、育成していかなければいけない。そういう意味では、免許状の在り方というのも、教員養成系大学や、専門職として教員になりたいと思って4年間しっかり学ぶ意思のある学生に対して、どういう免許を与えていくのか、しっかりと議論する必要があります。
さっき特別支援のニーズが高まっているという話もありましたように、そういったことをしっかりと専門として指導できる、あるいは、地域と協働するとか、保護者へ対応するとか、あるいは、スクールカウンセラーやソーシャルワーカーの人たちと一緒に学校の課題を解決する、弁護士さんも含めて、いろんな問題を解決するときに、一般の免許プラス教員養成系大学の学生と専門職大学院の院生が、しっかりとした免許を持って、資格を持って当たるんだというような方向性で今後の教員の質を保証する、多様性を確保しつつも質を保証するといったところをしっかりと進めていけたらいいのではないかなと思いました。
以上です。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
大きな点を2点挙げていただきました。教員の増員ということで、何らかの形でソフトランディングをしていく方向というもので、乗ずる数の問題。それから、もう1点としては、教職の開放制の中で、多様性を保障していくときの質の問題があろうかと思います。
それでは、白水委員、お願いいたします。
【白水委員】 各委員の発言に非常に重要なポイントが含まれていると思い、それに言及しながらお話をしたいんですけど、だんだん忘れそうになってしまいますので、中盤でいかせていただきます。全部で3点申し上げたいと思います。
1点目は、戸ヶ﨑委員のお話にもあった採用率の低下というのが、若手の先生、それから、質の低下につながってきているのではないかというお話です。この質の低下というのをどうモニタリングしていくかというのが、一つ大きなテーマとしてあるかなと思います。
具体的には、採用率が低下して、全国的に新採の方が増えているというだけではなくて、例えば、これまでは地方から都市圏の大学に出てきて、そこで教員免許を取られ、本当は地方に帰りたいんだけれども、そこの採用には通らないという方が首都圏の学校の質を支えていたということがあるがもしれません。そうした県をまたがった人口動態・移動があって、それがこの採用率の低下に伴ってどんなふうに変わっていくかというところが、簡単になってくるのかなと考えております。簡単には、学部、あるいは大学院、就職歴、どこの地方の出身かのモニタリングです。
この質の定義というのがしっかりできるようになると、果たして今回の改革以降に採用された先生が、その後、先生方に必要な資質・能力の要件ですとか、中堅・校長に必要な要件をどうやって満たしていくか、それが児童生徒のパフォーマンスにどんなふうにつながっていくかというようなことをモニタリングしていく、そんな工夫が必要なのではないかというのが1点目でございます。
2点目は、今回の論点にそのままお答えするものです。これからの学校教育というのは、基本的に子供たちが自分たちの多様性を生かし合うような、デザインされた学習環境を提供できるものになっていくべきだろうと思います。具体的には、学校の中で公正で質の高い教育を受けられて、それが未来の社会形成の準備となる学習環境です。そのために、教職の中心を、当たり前ですが、授業など教育活動の本丸のところに置けるようにする。その際、多様な子供たちの可能性を引き出す学習環境のデザインとアセスメントというのをできるようにして、それが非常にクリエイティブな営みだということの認識を共有していくというのが何よりも大切だと思います。
そのときの教員養成のやり方も変わります。松木委員が教員研修の一体化とおっしゃったような、先生方の授業づくりがそのまま先生の研修につながり、そこに教員養成の学部生・院生も結びついてくる。それによって、貞広委員は、実践とつながり過ぎなのは問題ではないかとおっしゃったんですが、個人的には、やはり実践を中心にしながら、でも実践を学知で見直していくような、そんな機会に大学院の教員養成課程というのが位置づくとよろしいのではないかというふうに考えております。
松田委員がおっしゃったように、いろんな担い手の方がそこに参入しながら、今の体制や現行の法律の枠内でもここまでいい先生方が育ち得るんだという好事例を、まずこの部会でも共有するところから始めていく展開にできるといいかなと思いました。
最後、3点目は、今回、一つ大きなテーマになっている教員採用試験の共同実施についてです。子供たちにおいても、学習指導要領に書かれた教育目標、学習のゴールが全国学調のアセスメントではっきりしてくるという面があるように、教員に求められるべき資質・能力も、この全国統一教員採用試験の問題の質とかやり方によって明確になるというドラスティックな改革というのが考えられるのではないか。
具体的には何を知っているかについて問うようなタイプの試験は早期化、複数回実施を試み、単に知っているだけでなく何ができるようになっているかというのを、模擬事業でうまい教え方ができるかだけではなくて、ビデオ場面から子供の学びを見取れるかというような観点での新しいタイプのアセスメントを考えていく、そんな在り方も考えられるかなと考えております。この具体的な作問も実際に進めながら、改革の一つのエンジンにしていくというのがあると考えております。
以上でございます。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
白水委員からは3点、教員の質のモニタリングの話、2点目としては、多様性を生かした学習環境がデザインができるような教師の育成としての授業と研修をつなぐようなことを本丸にということ、また、3つ目として、採用試験の共同実施に関しまして、その中で内容の試験の質というお話を賜りました。
続きまして、森田委員、山辺委員、森山委員という順でお願いしたいと思いますので、お願いいたします。
【森田委員】 ありがとうございます。立命館大学の森田でございます。
幾つか発言させていただければと思います。ほかの委員の先生方が御発言になったことも、まさに賛同するところばかりだと思いましたし、それから、先ほどの事務局からのご説明を聞きましても、やはりこの数年間で非常に大きな改革、様々な改革が進んでいるなというのを改めて確認ができたところでございます。
まず、そういった改革で様々なことができるようになっていますので、それが本当に実態としてどこまでうまく回転しているのかというか、実現されているのかというところは、引き続き確認していく必要があるような気がしています。
例えば、制度としてはできるようになったけれども、実態としてはなかなかそういったことができていないとすれば、どこに課題があるのかというのは、細かいことかもしれませんけれども、やはり確認していくことが大事だろうと思います。
一つだけ思いつくところで言いますと、例えば、学校体験活動と教育実習の組合せという点につきましても、これもやはり大学の努力だけではどうしようもないところがありまして、受入れの教育委員会なり学校が、学生を受け入れるということを可能にしていただかなければ、実行するのは難しくなります。そういった意味で、もし課題があるとすれば、どういったところに制度がうまくいかない課題があるのかという点は、引き続き確認をしていく必要があると思っているところです。
それから、ほかの委員の方と重ならないように、特に教員養成のところに絞って発言をさせていただきたいなと思います。次期の学習指導要領の改訂議論も始まっていきますので、新たな学習指導要領の方向性に合わせて必要な事柄を確認し、変更していくことが大事になるのは当然のこととして思うわけです。例えば、教職のコアカリキュラムでありますとか、それから、昨年度幾つかの教科の検討を行いましたが、いわゆる教科の専門的事項の区分ということについても、学習指導要領の改革に併せて必要な見直しは必要なんだろうと思っています。
そういった中で、特に、先ほどから委員の先生方の発言の中にもありましたけれども、教師に求められる資質・能力なり専門性というのは非常に多様化して、様々なものが求められてきている時代になっているのではないかと思います。その一方で、実際の教員免許の在り方を考えたときに、一種免許状を基礎にして、そこから単位数のプラスマイナスのところで二種免、専修免という考え方を基本にしていると思いますけれども、基本的には教科をベースにした免許しかないわけです。教師に求められる資質・能力なり専門性というのが非常に多様化してくる中で、現状の教員免許状としては教科しかない。学部のところは、もちろん教科というのは大事になると思いますが、特に教職大学院などの専修免許状を考えたときに、いわゆる一種免許状からの単位の積み上げで、教科の専修免許状しか取得できないというのは、検討する必要のある課題であるような気がしています。現在の二種、一種、専修という免許の在り方、それから、いわゆる教科しか専修免許状がないという専修免許状の在り方、この辺りについて、今求められている教師の資質・能力や専門性を、ある意味では免許として担保していくことを考えたときに、現行の制度で本当に対応が可能なのかという点を検討していくことは、今後やはり大事になるのではないかと考えているところでございます。
御説明のあったとおり、得意分野を持った教員の養成とか、小学校の専科に対応した教員の養成に関わって、松木委員から御発言ありましたように4年制大学でも二種免許状が出せるようになってきたわけですけれども、あくまでも現行の免許法や課程認定の仕組みの中でできることを前提に対応をしてきているわけです。総点検という言い方が適切かどうか分かりませんが、これからの教師の専門性なり、その専門性を担保する免許状ということを考えた場合に、現在の免許の在り方、それから、課程認定の在り方、そういったところをやはり抜本的に検討していく必要があるのではないかと考えています。
それから、最後になりますけれども、そういったときに、学校の在り方や、学習指導要領との関係で教師の資質・能力を考えていく必要があると思います。しかい、その一方で、大学で教員を養成するということを考えたときに、高等教育の改革も様々に進んでいますから、そういった高等教育の改革の中で教員養成をどうしっかりと位置づけていくのかという、高等教育の改革に位置づけた教員養成の在り方ということも考えていく必要があるのではないかと考えているところです。
以上でございます。ありがとうございました。
【秋田部会長】 どうもありがとうございます。
第一点として制度と実態の間の検証や確認、2つ目として、免許状の在り方を抜本的に今の在り方から、特に専修免許が教科しかない、この辺りをもう一度問い直すこと、そして、3点目としては、高等教育の中での教員養成免許というところの在り方ということについて考えていくという御指摘を賜りました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、山辺委員、お願いいたします。
【山辺委員】 ありがとうございます。
今までの御発言に重なる部分もあるんですけれども、私から2点申し上げたいことがあります。
まず、先ほど真島委員のほうから教員の増員と話が出ましたけれども、職員の雇用の拡大というのもちょっと考えていただきたいなというふうに思っています。というのも、二種免許状を多く出すようになったりとか、特別免許状なんていうのを出して、教員の多様化、専門性の多様化というのを図るということには大まかに賛成なんですけど、じゃ、教員って何なのか、教員の専門性のミニマムのエッセンスというのは何なのかという議論はやっぱり必要で、最低でもここは守らなければいけない、こういうことができる人を教員と呼ぶんだということの議論というのはさらに進められる必要があるのかなというふうに思います。
そのミニマムの教員の専門性エッセンスに入っていない業務をすることに関しては、職員に任せてもいいと思うので、そこで定義ができればそこの切離しができてくるので、職員の雇用拡大によって教員の負担軽減というのも、既に進めてくださっていますけれども、ますます進めていただきたいなというふうに思います。
もう1点は、同じ教員の専門性の多様化の話なんですけれども、今までは特別免許状とか二種免許の取得とかという形で、採用、入り口の多様化の保障という議論が多かった気がするんですけれども、キャリアの途中経路の多様化というのも大事なのではないかということで、ちょっとお話をしたいと思います。
というのも、私の周りだけを見ても、やっぱり30代後半から40歳ぐらいにかけて、もう管理職とか役職がたくさんついてしまって担任を持てなくなるとか、自分の教科を教えられなくなるというキャリアの先生たちが多出しています。本来、担任を持ちたくて、あるいは、その教科を教えたくて教師になって、その教員養成を経てきているのに、残り25年ないし30年近い教員人生、担任を持たず、あるいは、自分の教科を教えずに、例えば高校なんかだと、総合的な探究の時間の担当になったとかというので、それしか教えなくなるというようなことを聞くと、やっぱりその先生たちが多様化を選択できていないということをすごく感じます。
キャリアの途中経路において、自己決定の形で多様なキャリアパスを選べるようなシステムというのを構築する必要があるのかなというふうに思います。それは多分研修とか、あるいは教職大学院というのが鍵になってくると思うんですけれども、例えば、本当に管理職になりたい先生であれば、リーダーシップとかマネジメントを学んで、そういう道を歩むということができると思いますし、専修免許で、その教科の専門性をより高めたのであれば、やっぱりその教科を教え続ける道というのが保障されるべきだと思いますし、あるいは、もっと個別最適な学びとか、それ以外のことを学んだのだったら、何か違う形でその専門性を発揮できる場というのが保障できていくと。多様な教師の専門性がある中で、自分の目指すキャリアパスというのに向けて学びをした教師は、ちゃんと報われるというか、そういう仕組みが必要なのかなというふうに思っています。
以上です。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
職員を教員と切り分けて、さらにその教員を支える職員の拡大という問題、2点目としては、入り口だけではなく、キャリアパスの途中段階での多様化を保障し自己決定ができるような形をという御意見を賜りました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、森山委員、その後、木村委員とお願いしたいと思います。
【森山委員】 ありがとうございます。それでは、私のほうから3点、お示ししたいと思います。
1点目は、やはり学校教育制度の変化もあり、小中一貫教育とか、中高一貫教育とか、あるいは、小学校の教科担任制導入など、多様化が進んでいる中、そしてまた、高等学校では探求の時間の充実、あるいは、小中学校では総合的な学習の時間の充実という、流れの中で、やはり教員免許状が現状のままでよいのだろうかというようなところに一つ観点を持っております。
それに加えて、大学においては、様々な学科において様々な免許が取得できるわけですが、その取得免許の専門性をどのように捉えるのかということが課題になっているのではないかと思います。それは最終的には、質の保証がなされているのかという検討をすることにつながっていくものであると思います。これが1点目です。
2点目は、教員養成において、やはり理論と実践の統合、あるいは、往還をどのように捉えるか、それが、免許取得、教職課程にどのような形で位置づくのかということ。これは教育実習とか、学校支援ボランティア、学校体験活動等の量とか質とかのみの検討をするということではなくて、その根底にある、理論と実践の統合、あるいは往還をどのように捉えるかということの根本的な議論が必要なのではないかと思います。これは教員養成だけの課題ではなく、やはり理論と実践の往還の課題は、現職の研修であるとか、あるいは、キーワードである「学び続ける教師の姿」ということを考えた場合にも、重要な視点であろうと思います。これが2点目です。
3点目、諸先生方からもお話があったかと思いますが、教職大学院、あるいは、大学の学部の教職課程を担う大学教員の養成というものをより積極的に、新しい課程や、制度等の導入を視野に入れた上での検討が必要なのではないかと思います。これは実務家教員の質を確保するという面でも重要な観点かと思います。
専門職としての教師を養成するということを考えた場合、あるいは、もっと根本的に言えば、高等教育機関の教員としての質を担保するための仕組みを、EdDのようなものか、あるいは、PhDのようなものか、または教員養成研修を担うためのプログラムなのか、その辺りはいろいろな考え方はあると思いますが、そのような検討が必要になっているのではないかと思います。
以上3点です。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
1点目は、教員免許状の在り方について、多様性に伴うような形の中で、これからどういう形で取得をしていくのかということ、2点目としては、学び続ける教師というところで、理論と実践の往還の在り方を、教職大学院だけではなくて、生涯においてどういうふうに理論と実践を捉えていくのかという位置づけの問題、そして、3つ目として、教職大学院等の大学教員を養成する在り方を、改めて高等教育としても、実務家教員も含めどのように論じていくのかということについて御指摘をいただきました。ありがとうございます。
それでは、続きまして、木村委員のほうからお願いいたします。
【木村委員】 長崎から参加している木村です。よろしくお願いいたします。
冒頭説明がありましたように、現在様々な取組が進められています。それを踏まえた上で、御意見を申し上げます。
教員の養成・採用・研修という3段階の一体的改革を、例えば、育成・養成・採用・研修・経営という5段階の一体的改革に考えていったらというようなことを、今、自分の中では整理しています。個人の明日と社会の未来をつくるという学校教育の役割を担う教員のキャリアマップ等について、今後目指す教育の実現と併せて、今進めている吟味をさらに具体的に明らかにするような手続を進めていく必要があると思っているわけです。
段階ごとに簡潔に補足します。育成と申し上げた段階ですが、地方の教員の成り手不足は大きな課題です。今年度から地域教育希望枠を活用した教員養成大学・学部の機能強化という事業が始まりましたが、こういう取組をぜひ、その学校、大学だけではなくて、地域全体の取組に広げていく。その結果として、小中高校段階から地域の未来づくりの担い手としての教職への理解をぜひ促進させていきたいと考えています。
養成です。教師に共通的に求められる資質・能力というのが、今日も説明あったように、明確にされました。では、それをどうやって身につけさせていくのか。例えば、フラッグシップ大学が展開されています。そのほかの大学でも好事例があります。私には、たくさんの取組がどうしても点にしか見えない。これをぜひ線とか面、つまり、もう一度言いますが、ロードマップみたいに、ロードエリアみたいに、そんなふうな取組が必要です。ぜひ、フラッグシップ大学等の取組の成果を明らかにし、広げていただきたい。その結果、その資質・能力の育成を具体化していただきたいと思っています。
対応です。入職方法が多様化されています。それぞれの採用の役割、在り方、それに応じた内容や方法が一緒に吟味されていかないといけないと思うんです。一般の採用枠にも、一般の採用枠が担う期待というのが絶対あるはずなんです。そういうところを一つ一つ大事にしていただきたい。
研修です。私は、学校現場は今、一生懸命、校内研修を、また養成現場もかなり積極的に改革をしてきていると思います。あわせて、私が勤務している大学院の現職教員は極めて意欲的です。非常に熱心な学びを展開しています。その成果も、現場とまさに理論と実践の往還が効果的に展開されているなと思っているんですが、いささかその機会に恵まれる人間があまりにも少な過ぎる。これは制度化して応援して差し上げないともったいないですよ。大学院に入学してきた先生たちは、いい学びをしたと学校現場へ戻っていく。つまり、一回入ってこないとなかなか分からないところがあるので、ぜひこの大学院というのをもっと大事にしていただきたい。制度化で背中を押していただきたいと思っています。
最後、経営です。これも、教職員の多様化、また、様々な改革が進む中で、それに応える管理職の経営力が求められています。冒頭の説明にありましたように、個々の資質・能力を明確化されてあるんですが、各委員の話でもあったように、教諭職の延長線上に、今の管理職はとても位置づくようなものではないんです。教諭の経験とは違ったワンステップ、ツーステップの仕掛けみたいなのが入っていかないと、今どんどん変わっている環境を経営できる校長に、それで勝手になれというのは、あまりにも無責任かなと。そうではなくて、それを今の経営者、管理職の責任にするのではなくて、それをやっぱり応援できるような手順を担保していく。たくさんの施策が展開されていますので、繰り返しますが、これを線や面にして、しっかりした取組にしていただければというふうに思います。
以上です。
【秋田部会長】 どうもありがとうございます。
養成・採用・研修という3段階ではなく、育成から始まり、育成・養成・採用・研修・経営というような形の中で、専門職の在り方をそれぞれ考えていく方向をお出しいただきました。ありがとうございます。
ほかには。岡本委員、お願いいたします。
【岡本委員】 岡本です。よろしくお願いします。
各委員の方々の示唆に富んだご意見を、教員養成大学のスタッフの一人として伺っておりました。最初に戸ヶ﨑委員から、教師の質の確保、それから、教師人材の多様化というようなお話がございました。この質の確保、質の保証の観点からから、初等中等教育を担う先生方の高度化をぜひ御検討いただけたらと思います。
これまでにも幾度か話題に上がってきていることだと思います。本日いただきました資料の中でお示しいただいた公立学校教員採用選考試験における採用者の学歴別内訳というところで、小学校では大学院卒業、修士を有する方が4%というデータがありました。教師は、高度専門職でありますので、学び続けるとともに、高度化していく必要があると考えております。
ここで教職大学院の未充足が長年問題になっております。働き方改革で学びの時間、ゆとりが確保できないと、先生方におかれましては、思いはあっても達成できないというような状況があろうかと思います。働き方改革については、社会的な関心はどちらかというと勤務実態や処遇ということに向かっているようにも思います。時間のゆとりを確保する観点の働き方改革によって、学び続けることができる教員を増やしていただきたい。教員研修は活発に参加される先生方は大勢いらっしゃいますので、まずは教職大学院で学んでいただき、さらには、その上のドクターコースに進んでいただき、ぜひ、学びを高めていただきたい。そのためには、大学はもちろんですが、行政にもご理解御協力いただけると、全体が上向きになっていくと考えております。
それから、「地域と学校の連携・協働の必要性」ですとか、「学校を取り巻く支援スタッフの全体像」というところで、資料をお示しいただきました。今や学校だけではなく、支援スタッフからいろんなサポートをいただいています。広く地域の方々の御協力をいただいて子供たちを共に育てていくことがなかなかできていないように感じています。子供たちの支援をしたいという方々の支援の輪の方向性を位置づける段階で、教員養成大学がお手伝いできるのでは、というような思いで伺っておりました。
以上です。
【秋田部会長】 どうもありがとうございます。
まず、これから学び続けるということによって高度化をしていく、その高度化のための教員の学ぶ時間をどのような形で保障していけるのか、そこに教育委員会の連携のお話もいただきました。また、2点目として、地域の人が子供のために連携していく支援の輪というものを、どう教職大学院と地域がつながっていくのかということについての構想も考えていくことが必要であろうというお話をいただきました。
それでは、ここで、今日御参加いただいて御出席はいただいているんですけれども、御移動中のために御発言が難しい荒瀬委員より、文書にて御意見を預かっておりますので、事務局のほうで代読をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【貝原改革推進係長】 事務局でございます。事務局より、3点申し上げます。
まず、今後の教員養成部会の議論に関してです。
今後、次期学習指導要領に向けた議論が始まることとなるでしょうが、同じ中央教育審議会の中で、その議論と連携しながら、また、教師不足などの課題も念頭に置きつつ、教員養成部会においても、教育の要である教師人材の質と量を確保するための養成・採用・研修の在り方について、制度の根本に立ち返って検討していくべきではないかと考えます。
次に、教師の質の評価についてです。
先般、質の高い教師の確保のための環境整備について答申がまとめられましたが、教師の処遇については、必ず、教師の質をどうしていくのか、エビデンスをどう見ていくのかという議論がなされます。例えば、子供の学力テストの点数等の数値化できるものだけでは、教師の質を評価することはできません。さらには、かつてすばらしいとされた授業が今もすばらしいとは限りません。教師には教育課題や学習環境の変化を踏まえて、常に探求する姿勢が求められます。
教師の質は、教師が学び続けていくことによって維持され、向上され、進化されるものと考えます。研修という場を含めて、学び続けるという事実が大事であり、そうした事実をきちんと評価していくことが必要です。働き方改革等を通じて、そのための時間を生み出し、教師の学びたいという意欲に応えていくことが重要です。
最後に、教師の学びの在り方についてです。
令和3年答申を踏まえ、子供の学びに関してはいろいろな観点で考えられてきており、また、令和4年答申で研修観の転換が示されたものの、教師の学びについては、子供の学びを支えていく重要なものであるにもかかわらず、あるべき新しい姿について、関係者の間でもいまだに認識が十分ではないように思います。教職員支援機構におきましては、豊かな気づきの醸成につながる教師の学びに向けて、自らの提案としてまとめ、全国に協働を呼びかけているところです。
以上でございます。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
今、荒瀬委員からの御意見の代読をお願いいたしました。
ほんの少しの時間ですけれども、今までの他の委員の御発言を受けて、さらに触発されてという、どうしてもいつも一巡で終わってしまうので、そうではなくて、ちょっと付け足しをしたいというような委員がおられましたら、ぜひお手を挙げていただけましたらと思いますが、いかがでございますでしょうか。
真島委員が挙げてくださいました。お願いいたします。
【真島委員】 お願いします。
今、委員の皆様方の話を聞いていて、山辺委員が教師の自己決定の話をされました。どうしても学校現場は、学校の職員の中でどういう先生を配置するかということを管理職の先生方が中心になって、今年はこの役目をお願いとか、この生徒指導をとか、進路指導をとか、あるいは、担任を、主任を、と決めていて、教師自身が自分自身の特性や専門性、受けてきた教職のキャリアや、自分はここを極めて特性として伸ばしていきたいという思いを持って自己研さんや研修を積んで専門性をつけたとしても、自己決定の場が十分に保障されていないというところに、ミスマッチが起こりうると思います。もちろん、教師の希望を100%認めるべきだというわけではなくて、それは学校の事情とか、地域の事情とかもちろんあるので。ただ、今日のお話で言うと、ちゃんと報われるという部分をどうやって制度として仕組みとして保障していくのか。
つまり、教師という職業が、プライドを持って、自分自身が誇りを持ってやれるというところの根幹はやっぱり自己決定が保障されていることだと思います。自分自身がキャリアをどう形成したいのか、どうやって学校の組織の中で力を発揮したいのか。管理職の先生方との対面での面談や、いろんな形でうまく対応していただいて、十分に自分の個性やキャリアや専門性を生かしていくことが大事だと思います。しかし、なかなか教師の裁量権とか自己決定権といったところまで議論されていません。子供たちに多様な学びを保障していき、子供たちが個別最適化の学びをし続けるためには、やっぱりそれを保障する教師の自己決定権や、教師自身も選択判断ができる余地みたいなのをどうやって制度として、仕組みとして、あるいは、応援する形で保障していけるのかということは、議論していく余地が十分にあるのではないかなと思いました。
以上です。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
自己決定というところにつきまして、さらに、外から自分のキャリアが決められていくのではなく、多様な形で選んでいけるということが、子供に主体性を求めるのと同時に、教師が生かされていく方向はいかがかというようなことについての御意見をいただきました。ありがとうございます。
先ほど荒瀬委員からもお話がありましたけれども、学習指導要領、現行のものについての「今後の教育課程、学習指導、評価」に関する有識者検討委員会で今の論点の整理などが進められていたわけですけれども、今後、そのカリキュラムが新しく変わっていくときに、それを担う新たな教師というものがどうあったらいいのかというところで、実際に先ほどからお話がございましたように、現行の免許制度の在り方でよろしいのかどうか、また、これまでも、またこれからも大事にしたいのが、やはり開放制と、教員養成の専門の大学との両方の在り方でございます。それが先ほどもお話がありましたように、どう機能が分かれ、多様な人材が、なりたい人が本当になっていける形、また、より高度化をしていくためには何が必要なのかというところについて、免許と同時に、免許だけではなく、その後の在り方、また、そこでのミドル以降、管理職への在り方、そこに大学や大学院などもいかに関わるのか、そして高等教育というところとの連携等についていろいろ御議論いただき、これから考えていく必要があろうかと、私自身も伺っていて感じたところでございます。貴重な御意見をありがとうございました。
教師の育成につきましては、令和4年12月の答申を踏まえて、先ほども御説明いただきましたように、様々な取組が進められてきているわけでございますけれども、改めて制度の根本に遡りまして、教師の人材の育成・確保の仕組みについて改めて抜本的に考えていくことが必要な時期に来ているのではないかとも考えられます。本日頂戴しました御意見を踏まえ、今後の進め方につきまして、事務局とも御相談をさせていただきたいと思います。
また、本日あいにく御欠席になられました委員につきましても、個別に御意見を頂戴しまして、生かしていきたいと考えているところでございます。
本日の議事は1点でございましたので、以上になります。ありがとうございました。
それでは、最後に、事務局よりお願いいたします。
【貝原改革推進係長】 事務局でございます。
本日は長時間の御議論、誠にありがとうございました。
次回の教員養成部会の日程でございますが、こちらについては、追って事務局より御連絡させていただきます。
以上です。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
皆様、御対面、オンライン、いずれも御参加賜りまして、長時間ありがとうございました。
それでは、本日はここで以上とさせていただきます。お疲れさまでした。閉会といたします。
―― 了 ――