令和5年12月4日(月曜日)10時00分~12時00分
5F1会議室(WEB会議)
【秋田部会長】 おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会138回教員養成部会を開催いたします。それでは、まず事務局から会議の開催方法と資料について御説明をお願いいたします。
【重親教育人材政策課課長補佐】 おはようございます。私、教育人材政策課の重親と申します。委員の皆様におかれましては、御挨拶がこのタイミングになりましたけれども10月1日付で平沢の後任として着任しております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、会議の進め方について確認させていただきます。オンラインで御参加の委員の皆様におかれましては、御自身が御発言するとき以外はマイクをオフ、ミュートにしていただくこと、また御発言に当たっては手を挙げるボタン、挙手ボタンがありますので、そちらを押していただくことに御協力をお願いいたします。
本会議の模様は、報道関係者と一般の方向けにライブ配信をしております。Zoomのチャット機能については傍聴者が閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合の緊急連絡手段として御活用いただく等、補助的な使用とさせていただきますのでよろしくお願いいたします。
配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。
事務局からは以上です。
【秋田部会長】 御説明をどうもありがとうございました。それでは、本日の議事について申し上げます。議事は4つ、4点ございます。議事1は、令和5年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定に関する審査についてでございます。議事2は、幼稚園教諭の普通免許状に係る所要資格の期限付き特例制度の延長について、議事3は、教員研修プラットフォームについて、議事4は、優れた教師人材の確保に向けた教師の奨学金返還支援の在り方になります。事務局より御説明いただいた後、御審議をいただきます。よろしくお願いいたします。
それでは、まず議事1に入ります。こちらは教員養成部会運営規則に基づき非公開の議事となっておりますので、ライブ配信は一旦こちらで停止させていただきます。
=非公開議事につきライブ配信停止中(議事1に係る審議)=
【重親教育人材政策課課長補佐】 お待たせいたしました。ライブ配信を再開し、会議を公開いたしました。
【秋田部会長】 それでは、これにて審議が終了しましたので答申を読み上げます。教育の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定につきまして、令和5年7月19日付、5文科教第700号をもって諮問のあった件について、資料別紙に掲げる課程について認定可とする。
以上でございます。それでは、これで議事1を終了いたします。
続きまして議事2に入りたいと思います。それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
【石川教員免許・研修企画室長】 教員免許・研修企画室長の石川でございます。資料2をお開きください。まず、5ページをお開きいただければと思います。幼保連携型認定こども園におけます保育教諭の資格の特例ですけれども、現状、幼保連携型認定こども園で勤務する保育教諭等については原則としまして幼稚園教諭免許状と保育士資格の併有が必要になっておりますが、こちらが平成27年の改正法の施行以来10年間、令和6年度末までになりますけれども特例措置が設けられておりまして、まず丸1番ですけれども、併有が原則なのですが幼稚園教諭免許状もしくは保育士資格のいずれか一方の資格があれば保育教諭等となることができる特例がございます。
併せて丸2番、こちらが特に文部科学省に関係するところでございますけれども、幼稚園教諭免許状・保育士資格の取得の要件の緩和ということで、いずれかの資格をもって一定の勤務経験がある者については大学等での必要な単位数というのが極めて軽減されておりまして、8単位を履修することでもう一方の免許状・資格が取得できる特例がございます。
現在の併有状況ですけれども、この5ページの丸1の下に図がございますけれども、併有している保育教諭等が92%に上ってございまして割合としては大変高くなってきてはいるのですが、6ページを御覧いただければと思います。割合自体は92%となっておりますが、この左の棒グラフにあります上のオレンジ色とピンク色の部分がいずれかの免許状・資格しか保有していない職員になりますけれども、この実数は減っていないという現状がございます。5年前と比較しますと、5年前はおよそ9,000人が片方の資格しか保有しておらず、令和4年度はおよそ1万2,000人が片方の資格しか保有していない状況でございます。
こういった現状がございましたので、一番最後、9ページを御覧いただければと思いますけれども、地方分権改革に関する提案募集の中で、この特例措置をさらに延長してほしいという要望があったところでございます。
順番前後をして恐縮ですが、3ページにお戻りいただければと思います。この特例の延長につきまして養成部会でも御議論いただきたいと思っておりますが、これに先立ちまして既にこども家庭審議会(幼児期までのこどもの育ち部会保育士資格等に関する専門委員会)では11月27日に審議をしておりまして、この特例措置の延長について了承されているところでございますけれども、本養成部会におきましても、この特例措置につきまして、特に丸2番の教育職員免許法に関わる部分になりますけれども幼稚園教諭免許状あるいは保育士資格の資格取得要件の緩和、教育職員免許法で言えば幼稚園教諭免許状の取得要件の緩和の特例措置につきまして引き続き、もう5年間、令和11年度末まで延長をすることについて今回お諮りしたいところでございます。
事務局からの説明は以上になります。
【秋田部会長】 御説明をどうもありがとうございました。委員の皆様には、この御説明につきまして何か御意見がございますでしょうか。御意見があれば挙手をお願いをいたします。
荒瀬委員、よろしくお願いいたします。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。教職員支援機構の荒瀬でございます。教員養成部会の今期の第1回だったかと思うんですけれども、教育実習についての意見交換をしたことがあったかと思います。その際にも少し申し上げたのでありますけれども、免許というものの持っている意味合いというんでしょうか。免許を持っていることによって何ができるのか、持っていないとどういう点で困るのかというようなことについては、改めてまたどこかで議論ができればと思っております。
それと今回の件と直接つながる部分とつながらない部分があるんですけど、私、免許に関しても門戸を広げていくことについては大変賛成をしている立場です。私のおります教職員支援機構といたしましても資格認定試験を実施しておりまして、小学校免許も付与しているところであります。ただ、門戸を広げるということと質の確保ということが矛盾するようでは困るわけでありまして、冒頭申し上げたのは、免許を持っていることと質の確保というのはどういう関係があるのかというのを議論する必要がありますが、今、こうして門戸を広げていくことは賛成なんですけれども、それが質の確保と矛盾しないようにということについては十分配慮しながら進めていく必要があるということを思っております。
声が出なくてお聞き苦しかったかもしれません。申し訳ありません。以上でございます。ありがとうございます。
【秋田部会長】 どうもありがとうございます。大変重要な御指摘をありがとうございます。前にも御指摘いただいていますので、どこかでぜひ免許資格を持っていることとその質であったり、それらが何とつながって何が可能となるのかというようなところについて明確な議論をしたいと考えております。ありがとうございます。
ほかには皆様で御意見ございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。
それでは、荒瀬委員の御意見につきましてはまた追って。松木委員、お願いいたします。
【松木部会長代理】 認定講習を開いても幼稚園免許ないしは保育士免許の片方しか持たない方があまり変わらないというのは、研修の仕方、免許の取り方についての工夫が必要ではないかなと思います。福井大学でも様々な認定講習を行っているのですが、うまく開けないでいます。特に幼児教育に関しては、保育士と幼稚園教諭の異なった免許であるだけに、合同で保育教諭の認定講習をしようとするとうまくいかず、二度手間になってしまう。いずれにしても、研修の仕方、免許の取り方についてもまた考えたりされるとありがたいなと思います。
以上です。
【秋田部会長】 ありがとうございます。単なる延長だけではなくて、実数が増えてございますので今後より取りやすくする何らかのことが必要であろうという、この辺り、検討させていただきたいと思います。一方で今回は主幹保育教諭や指導教諭に関しましては2年のみというように、どうしても必須の方については延長も5年ではなく2年というようにしているところでございますが、さらにこの点もより広く皆さんがちゃんと取れるようにというところについての条件整備など考えてまいりたいと思います。貴重な御意見をありがとうございます。
ほかにはいかがでございますでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。それでは、本件は御意見頂戴いたしましたが、案のとおり進めることとしたいと思います。これで議事2を終了といたします。ありがとうございます。
それでは、次に議事3に入りたいと思います。それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
【石川教員免許・研修企画室長】 引き続き、教員免許・研修企画室長の石川でございます。研修受講履歴記録システムと教員研修プラットフォームの構築につきまして、現状の御報告をさせていただきたいと思います。
資料3の1ページ目を御覧ください。まず、皆さん御案内のことかと思いますけれども、このシステム及びプラットフォームの構築の経緯になりますけれども、中教審令和3年の答申で日本型学校教育が示されまして、子供たちの学びとしまして個別最適な学びと協働的な学びの実現を通じまして主体的・対話的で深い学びを実現することが示されたところでございます。
こうした子供たちの学びの実現につきまして、令和4年の答申におきましては、児童生徒の学びの場のみならず教師の学びにも求められる、こうした学びの命題であるということで、教師の学びの姿も子供たちの学びの相似形であるということで、教師自身の学びも展開して新たな教師の学びの姿の実現が必要とされまして、そうしたことの前提といたしまして、昨年、教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律が成立しまして、教員免許更新制の発展的解消と研修受講履歴の記録の作成や資質向上に関します対話と奨励の制度化ということがなされまして、この記録の作成と対話と奨励の制度化を支えるものとして研修受講履歴記録システムと教員研修プラットフォームの構築ということが進められることになったところでございます。
少し飛ばして3ページを御覧ください。システムの状況になりますけれども、現在のところですが昨年12月の令和4年度の補正予算におきましてこちらのシステムとプラットフォームの構築の予算がつきまして、令和6年4月に運用を開始するために整備をしているところでございます。このワンストップ化された多様な研修の申込みから受講、修了判定、教員の育成指標と連携された、また研修受講履歴の自動作成など、各種機能を備えたシステムというものを今現在、構築しているところでございます。
このシステムの構築の目的、利用の流れがこの3ページ、それから4ページになりますけれども、利用の流れとしましては、まず動画のコンテンツを登録することや、それから教育委員会等が主催する集合研修などの情報を登録する機能がございます。そういった登録された研修の情報につきまして研修の推薦、申込みといった手続ができるようになってございまして、教育委員会が職務研修などで受講者の推薦決定をこのシステムを使ってやることや、教員が自主研修のためにこちらから研修に申し込んで動画を視聴したり、あるいは集合研修に参加したりすることができます。
そして実際の研修の受講というところでございまして、特にオンラインを通じて行う研修につきましてはこのシステムから大学等が登録している研修動画の視聴などが可能ですし、この研修が終了いたしますと成果確認ということができまして、結果に応じて修了判定というのもこちらのシステムで記録をされていくことになってございます。
最後に、そういった研修の受講履歴というのが作成されることになりまして、さらに教育委員会や校長先生などの管理職はそうした受講履歴を確認したりすることも可能になります。
5ページを御覧ください。5ページ目以降が現在整備中のシステムのイメージになります。現在、まだ整備中ですので完全にこのとおりになるわけではないのですが、こういった画面で登録したり、情報を見ていくイメージでございます。
5ページ目がまず機能の1番目でございます。研修動画コンテンツの登録であるとか、研修情報の登録の画面になりますけれども、こういった画面で教育委員会や大学、公益法人等の研修主催者が研修の動画をのせたり、あるいは集合研修の情報を登録したりということが可能になります。
6ページ目が2番目、推薦や申込みといった部分でございますけれども、この画面のイメージになりますが、こういった画面の中で教育委員会が職務研修の受講者の推薦をしたり、あるいは教員が自分で研修を申し込んだりする形になります。
そして7ページ目が実際の受講のイメージになりますけれども、例えば大学等がやっていますオンラインの動画コンテンツでございます。こちらにリンクが張ってございまして、そこから大学等がのせている研修コンテンツを視聴したり、あるいはこのシステム自体にも教育委員会では研修コンテンツ自体、のせることができますので、このシステム内として研修を見ることも可能になってございます。
そして8ページ目がそれに引き続きます成果確認のことでございますけれども、研修が修了しますとその研修ごとに課題提出であるとかアンケートというものが示されまして、こちらを実行することによりましてしっかりと成果も修了判定も実施される仕組みになってございます。
最後に9ページ目、こちら、受講履歴の作成、閲覧のイメージになりますけれども、特に下段にございますとおり、各教育委員会がつくりました育成指標とそれぞれの教員の皆様が受講した研修のひもづけということもできるようなシステムにしているところでございます。
最後に13ページになりますけれども、スケジュールと研修コンテンツの開発の部分について補足的に説明をさせていただきます。まず上段、研修コンテンツの開発でございますけれども、このシステムとプラットフォームの予算と併せまして、昨年令和4年の補正予算では新たな教師の学びに対応しましたオンライン研修コンテンツの開発事業ということもやってございまして、以下の4つの課題に応じまして現在、コンテンツの開発をしていただいていると。大学とか教育委員会において作成をしていただいているところでございまして、こちらも来年4月のシステムの運用に合わせてこのシステム中に研修情報として登録されることになります。
スケジュール、下段になりますけれども現在12月、まだシステムの設計・開発という段階でございますけれども、年明けにはまた各種テスト、運用準備ということを進めていくこととしておりまして、1月頃には各教育委員会、大学等に向けまして説明動画というのは公開をしていきたいと考えてございます。
また、4月から稼働となりますので、各教育委員会におかれましては3月ぐらいからは新年度の集合研修等、それぞれの教育委員会で考えています研修情報等の登録を行えるようにしていきたいと考えてございますし、また年明けからはこの補正予算でやっていますオンライン研修コンテンツ開発事業以外にもそれぞれの大学等で既につくられている研修コンテンツ等もあるかと思いますので、こちらの登録の受付というのも開始していきたいと考えておりまして、これら全てがそろった上で、来年の4月からこのシステム等プラットフォームの一体的な運用を開始したいと考えているところでございます。
現在、まだ実際のシステムのイメージというものを見せることができず、あくまで現在の開発途上のイメージということになってしまいましたけれども現状、研修受講履歴記録システムと教員研修プラットフォームの構築の状況について御報告をさせていただきました。
事務局からの説明は以上になります。
【秋田部会長】 石川室長、御説明をどうもありがとうございました。皆様、今の説明につきまして御質問等ございますでしょうか。挙手等でお願いをいたします。
松田委員、お願いをいたします。
【松田委員】 御説明ありがとうございます。2点お伺いします。まず1点目についてですがプラットフォームの利活用について現職の教員向けという形で御説明いただいておりました。その前提は承知していますが、今後、教員免許を持っていてしばらく現場を離れているペーパーティーチャーが現場に復帰する際に活用できるようにしていくという認識で宜しいでしょうか。このプラットフォームを使ってリスキリングをしていくこともあろうかと思いますし、特別免許状であったり、臨時免許状で勤務されている先生方がここを活用してアップスキルをしていきながら正規採用を目指していくこともあろうかと思います。
こういった活用の仕方を想定をして、システム設計をしていくべきなんじゃないかなと思うんですけれども、そこについての御説明がなかったので、そこは全く今現状想定していないのか、順次開発をしていくのか。でも順次開発をしていくんであったとしても、今の段階からそこを想定して開発をしていかないとまたコストがかかってしまうかなと思いますので、そこら辺のお考えをお聞かせいただければと思っております。
もう1点、ここは感想なんですけど、先ほどのスクリーンショットで見せていただいたインターフェースが果たして最終成果物のインターフェースをどこまで表しているのか分からないんですけれども、率直なコメントをすると20年前のシステムを見ている感じがあります。今回のプラット後の構築は未来を見据えた構想だったと認識していますが、ユーザーの視点に立っても、今後10年20年と愛着を持って活用されるイメージが持ちづらかったです。
システム開発側の視点からすると多分ああいう、かちっとしたシステムになると思うんですけれども、評価する側も学ぶ側も、ここに何か常にアクセスをしていくものになってくると思うんですよね。今回のプラットフォームの開発はユーザーインターフェースとかユーザーエクスペリエンスを意識して設計することが大切だと考えておりまして、その観点がまるっきり抜けているような設計に現段階なっているように感じました。
あと、開発する側も世の中で今、使われているインターフェースというか、例えばオンラインのラーニングプラットフォームでいうと海外のものだとUdemyとかedXとかもありますし、国内のものでも例えば大学院があってグロービスさんがやっているようなオンラインのプラットフォームであったりだとか、中高生が使っているようなスタディサプリとか、いろんなオンラインの学びのプラットフォームってあると思います。あとラーニングマネジメントシステムを企業が使っているケースも多いと思います。
今回も一般的に活用が進んでいるシステムのユースケースを徹底的に検証していきながら、それを教職という職業に落とし込んだときにどんなものになっていくのかということは考えて設計をしていかないと、せっかくいいものをつくっていたとしても末永く活用されていくものになっていかないんじゃないかなと感じました。
【秋田部会長】 ありがとうございます。石川室長、2点主に御指摘があったかと思います。お願いいたします。
【石川教員免許・研修企画室長】 まず1点目に関しましてですけれども、説明のところを省いてしまいましたが7ページ目を御覧いただければと思いますが、このシステム全体といたしましてはこちらのシステムを利用すると、また費用面でも負担しています教育委員会、公立学校の先生方がシステム全体としては活用できる形になるんですけれども、こちらのシステムを通じてオンラインコンテンツ等を視聴することに関しましては国私立学校の教員や教員を目指す者、学生であるとか、あるいはペーパーティーチャーの方などもゲストユーザーとしまして、こちらから研修を検索して利用することも可能となってございます。
ただ、もうちょっと、よりいろんな部分で使いやすく、使えるようにしていくということに関しましては、またシステムの運用を見ながら可能な範囲でやっていくことになるのかなと思ってございます。
また、インターフェースについて御意見、コメントございまして、今こちら、いろいろ示しておりますのは実際に今回のシステムの開発をしていただいている企業が実際、横浜市にも同じくLeafという形で提供しておりますけれども、そちらの同じ会社がつくっているシステムから同じようにつくって、教員の研修システムから画面イメージというのを一応、大体似たようなシステムになるということで、参考までに示させていただいたところでございます。
一応、システムの使い勝手というところにつきましては、もちろん教育委員会等の意見を聞きながら開発を進めているところではございますけれども、引き続き、また、こちらも開発の中でどこまで対応できるかというのはございますけれども、可能な限り使いやすいようなものにはしていきたいと考えてございます。
歯切れの悪いところもございますけれども以上でございます。
【秋田部会長】 ありがとうございます。それでは続きまして荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。システムがどんどんできていくということで、その中で今、御指摘があったように、よりよいものができていくことがとても望ましいわけでありますのでよろしくお願いしたいと思います。
運用に当たりましては我々、教職員支援機構もいずれ関わってやらせていただくことになるわけなんですけれども、改めてこういう形ができていく時点でもう一度、我々自身、共有してはいるんですけれども、改めて学校現場の皆さんとか、あるいは教育委員会の皆さんも含めて共有しておくべきことは、先ほど御紹介のあった、この資料3でいうと1ページ目の、これまでの経緯の中でどういう議論があって、どのようにこういうプラットフォームができていくのかということについての改めての確認です。「受講履歴記録システム」という言葉もこれも定着したわけですけれども、当初議論しているときには「受講履歴管理システム」ということで、その管理という言葉をなぜ避けるかというと、これ、単に言葉の何と言うんですか、変更だけではなくって、主体的に学ぶ専門職としての教師に対するリスペクトというのもあったわけであります。それは今後も非常に重要であると思います。
その意味ではこの1ページの真ん中辺りにある令和3年11月の中教審でまとめた審議まとめの最終部分、これは審議まとめの「おわりに」のところですけれども、重要なメッセージが示されています。読み上げることはいたしませんけれども、学びの多様性ということ、学ぶ中身もそうだし、学び方についても多様であるということを大変重視している点で私はよい審議まとめができたと今も思っております。
その意味でいうと、このプラットフォームで出てくるものは、一つの非常に重要な学ぶためのツールであることは間違いないんですけれども、これを使って学ぶことのみが研修、教師の学びであるということではないということの確認をしておかなければならないと思います。また、知識や技能の習得というのは、これは割と早い時点で成果が出るかもしれませんが、今、我々、教職員支援機構も進めています探究型の学び、研修というものについてはすぐには答えが出ないもの、成果の出ないものも少なからずあるわけですので、そういったことも含めて、これから教師一人一人が誇りを持って専門職として学んでいくことを支えるような、そういう環境をつくっていくことを常に確認してこういったことを進めていければと思っている次第です。
以上でございます。ありがとうございました。
【秋田部会長】 荒瀬委員、大変ありがとうございます。これまでの経緯と、それからこのプラットフォームができて終わりではなく、何が最も教師の学びで我々が目指そうとしているものなのか、その中にこれがどう位置づくものなのかということを明確に示していくことが極めて重要かなという御指摘をいただきました。ありがとうございます。
ほかには委員の皆様方、いかがでございますでしょうか。真島委員、お願いをいたします。
【真島委員】 ありがとうございます。質問なんですけれども、成果というか、評価というか、テストを行う部分とレポート課題というのが先ほどの提案のところに示されていたと思うんですけれども、コンテンツを作成するのがいろんな可能性はあると思う、民間の方とか大学の方とか教育委員会の方とか、いろんな方がコンテンツ制作には携わっていくと思うんですけれども、それをどのように評価するのかという点が。
どこまでコンテンツを制作する側の方が責任を持つ部分と、あと多分、教育委員会とかそういった研修を主催する側の方が責任を持つ部分と、あとそれがレーダーチャートみたいな感じで県とか市が求めている教員の資質、能力的な育成指標のところとの整合性というか、そういったところが最後に示されてたと思うんですけれども、多分その辺り、コンテンツの内容の質もありますし、それを習得、そういった学んだときにどう評価するのかということと、それをどう定着しているのかとか、そこを誰がどのように判断するのかというところと、最終的にそれがどういうふうに育成指標との結びつけというところで校長先生等、そういった所属長が最終的には責任を持つと思うんですけれども。ただ、そのプロセスとしては全部ありとあらゆるものというわけにはいかないと思うので。
その辺りをどのように役割分担とか、そういったコンテンツ開発者が評価まで責任を待つべきなのか、あるいは主催者の側がそれを責を持つべきなのかとか、いろんな多分役割分担のことがあるかと思うんですけど、その辺り少しお考えをお聞かせいただけたらなと思います。お願いします。
【秋田部会長】 ありがとうございます。石川室長で御回答お願いいたします。
【石川教員免許・研修企画室長】 御質問の点ですけれども、特に教育委員会とか研修主催者といたしまして教育委員会がこういった研修は、特に所管する先生方にぜひ使ってほしいという研修につきましては修了判定、評価のところにつきましてもどういうテスト形式にするのかとか、あるいは課題提出とかアンケートの形にするのかといったことについて研修主催者、実施者としてあまたあるコンテンツの中から選択しまして、成果指標、成果確認の方法についても選んでいく形になってまいります。
また、併せましてこの育成指標との絡み、関係性ということにつきましても、このシステムを使うことで様々な研修というのが、先生から見ると利用することは可能になってくるのですが、育成指標との関連性というところにつきましては主催者としての教育委員会が指定、絡めている研修に関して育成指標等の連携をさせていくことになるのかなと考えているところでございます。全ての研修について全部ひもづけができる形にはなってないということでございます。
お答えになっていますでしょうか。
【秋田部会長】 真島委員、よろしいでしょうか。
【真島委員】 教員免許講習のときは大学が例えば委託されていた場合、それを担う大学の教員がその授業を考えたりコンテンツを考えたりして、受講生の評価もそこまで責任を持ってやっていたわけですよね。だけど今回のこういうプラットフォーム型の研修になると不特定多数の方が見る可能性もありますし、一対一というか、そういうある特定のという場合もちろんあると思うんですけど。
今も教育委員会とかセンターとか、いろんなところからそういった、こういうプラットフォーム型の研修を進めていきたいということでコンテンツ制作を依頼されることがあるんですけれども、その依頼については今はまだ制作のところまでを依頼を受けていることもあるんですが、それを実際に評価するとか、一人一人の方の研修がどのように実力が高まったのかどうかというところまで見るかどうかというところになってくると、かなりその意味合いが変わってくるわけですよね。
研修をどこまで責任を持つのかというところが関わってくるわけなので、対面の研修ではもちろんそうですけど、こういった広く開かれた研修でどのように評価というか、そこを誰が責任を持つのかということがつくった側にあるのか。それともつくった側にないとすれば、教育委員会にあるとすれば、教育委員会の方々はそういったものをつくってはないけれどもどう評価するのかという問題も例えば出てくる。その辺りをどう考えていらっしゃるのかということを教えていただきたいという趣旨です。
【秋田部会長】 いかがでしょうか。
【石川教員免許・研修企画室長】 評価に関しましては最終的には教育委員会が責任を持つ考え方なのかなと思っていますけれども、研修の中身に関しましては当然、教育委員会もしっかりと把握した上で実施する必要というのはあるかと思いますので、研修のコンテンツをつくるとき、集合研修の場合ですとその辺は大丈夫かと思いますけれども、コンテンツとしてやる研修に関しましても開発段階から教育委員会と大学でどう評価のところまで見ていくかということも話合いながら、作成していくことが重要なのかなと考えてございます。
【秋田部会長】 どうもありがとうございます。今後また詰めていくべき重要な点だと思います。
それでは、続きまして森田委員、お願いをいたします。
【森田委員】 よろしくお願いします。1点意見のようなことでございますが、できるだけこういったもののコンテンツを多様化していく、充実させていく意味で、大学等を巻き込んでいくことが大切であると考えておりますが、現時点でも、それぞれの大学なり教職大学院が様々な教員の先生方向けの研修をやっていると思います。それが例えば広くどういう方でも参加してもよい形態のものもあれば、特定の教育委員会に対して提供しているような研修があったり、大学がやっている研修自体にも非常に多様なものがあるような気がしております。そういった多様なものの中で例えばテクニカルな面でいいますと時間数が何分の研修で、何分の動画だったらよいのかなど、どういったものがこのプラットフォームに登録できるのか。
逆に言うと、どういったことがそれぞれの大学に求められているのかという情報が現時点であまり大学には伝わっていないような気がしておりますので、どういう条件のものがここのプラットフォームに提供でき、登録に該当するものであって、それがどういった形で使用されていくのかというような点について、ぜひ様々な大学に情報共有いただきながら進めていただきたいと思います。
それからもう1点は、先ほど申し上げましたようにある大学が、ある教育委員会に個別の関係で提供しているようなものは、このプラットフォームにのせていかないと研修履歴に入っていかないのか、それとも、そういうものとはまた別で考えていけばよいのか、様々なケースがあると思いますので、その辺りにつきましても、ぜひ大学や教職大学院と情報共有をいただけましたら、より有効なシステムになっていくのではないかと考えているところでございます。
以上でございます。
【秋田部会長】 石川室長、何かございますか。
【石川教員免許・研修企画室長】 森田先生、御指摘ありがとうございます。あくまでイメージになりますけれども5ページ目ございますとおり、どうやって研修情報を登録するかというところに関しましては公開、非公開という部分であったりとか、あるいは開催時間、集合か、コンテンツかにもよりますけれども開催時間とか、こういった時間などの情報なども登録は可能になるシステムとするところでございます。
また、大学等への情報がまだ不十分ではないかという御指摘でございましたが、先ほどスケジュールのところでも簡単にお話しさせていただきましたとおり、年明け、1月入ってからにはなってしまいますけれども説明動画といったものは順次公開して、研修を作成する側になるであろう大学の皆様にもこのシステムの使い方とか、どういったことができるかというような正確に情報が伝わるようにしていきたいと考えてございます。
以上です。
【秋田部会長】 どうもありがとうございました。いろいろ貴重な御意見をいただきました。これから多分、年を明けてからいろいろ御説明をいただきつつ、質の高いコンテンツとか、なぜこの免許制度を発展的解消してこういうプラットフォームになったのか、そこでの質や評価の問題をどうするのかというところはまだ少し課題がいろいろ残されているように思われますので、またさらに御検討賜ればと思います。ありがとうございます。
それでは、こちらの議事につきましてはこれで終了といたします。そして次に議事4に入りたいと思います。
事務局より御説明をお願いいたします。
【後藤教育人材政策課長】 教育人材政策課長の後藤でございます。ありがとうございます。それでは、議事4に関連いたしまして資料4で関係資料、御用意させていただきましたので簡単にまず御説明をさせていただきたいと思います。
まず、最初に資料2ページ目でございますけれども、今般、教員養成部会の先生方に御議論を賜る前提といたしまして、これまでの経緯を少しまとめさせていただきました。このページの上半分にありますように、今年6月の政府の骨太の方針の中にも、少し赤字にしておりますけれども、教師になった方向けの話でございますが奨学金の返還支援、これについての速やかな検討をやるようなことが明記をされたところでございます。
また下半分でございますが、この骨太の方針への記載ということを受けて中教審の質の高い教師の確保特別部会が8月にまとめていただきました緊急提言の中でも、改めてこの奨学金の返還支援に係る速やかな検討、これを進める必要があるというように提言をおまとめいただいたところでございます。
また、次のページでございますけれども、こうした政府の中での動きの背景といたしましても実は与党からも本年の5月には自民党からここに記載されているような提言、それから公明党からも本年8月にこの記載しているような提言が出されていたということもございます。
こうした提言でありますとか方針を受けまして、文部科学省、政府といたしまして本件についての対応を決めていくことになりますが、これに当たりまして中教審の教員養成部会で今後数回にわたってぜひ御議論いただければと思っております。その上でこの対応の方向性について、教員養成部会として御意見を賜りたいと考えているところでございます。
続きまして、次のページではこれは従来、皆さん御存じかと思いますが、昭和から平成にかけて教育職について奨学金の返還免除の仕組みが実際ございました。それをまとめたものでございまして、ここに記載しておりますように幼稚園、小中高、高専、大学と各学校種の教育職に対して、また研究職も対象としてでありましたけれども、こういった方々を対象として15年以上勤務した場合には全額の免除になると、こういう仕組みでかつてこういった仕組みが存在しておりました。
そして次のページでございますが、仕組みがいかにして始まって、現在は廃止をされているわけですが、どのように廃止されていったかという経緯を簡単にまとめたものでございます。始まりは昭和20年代のことでございました。資料にもまとめておりますが当時、戦後の学校制度が新しくなる中で教師需要、配置需要が非常に拡大をしていった。その中で国としても教員養成大学や学部の整備をしたわけでございますけれども、社会の中で有資格者、社会の中で非常に貧しい社会状況の中で大学への進学者が十分に確保されてこないと。
つまり、大学で正式に免許を取る方を十分確保できない環境があり、学校現場では代用教員という正規の資格を持たない教員が非常に多くなっていた状況に対して、まず奨学金を準備して教育学部へ学資の部分を支援するということで、奨学金を準備した上で教育職に就いたときには奨学金の返還を免除するということで、正式な免許を持った教師の確保ということを進めていたということがございました。
それが平成10年頃以降から順次、この制度が廃止になっていったわけでございますけれども、そのときの議論といたしまして、当時は教員の採用倍率が非常に高い状態になっていたことでありますとか、また、そのほかの職種との公平性というような観点での議論、指摘があったということですとか、また同じ奨学金の中でも奨学事業全体の充実のために効率的な資金運用の観点でということで見直しの議論があり、廃止に至ったという、そういった経緯でございました。
次の6ページ目の資料でございますけれども、これは教員採用選考試験の採用試験の実施の状況、採用倍率の状況の上にこの奨学金の返還支援の仕組みの時期を重ねてみた資料でございまして、赤で示しておるところが学部段階まで含めて教職に対しての奨学金の返還免除制度があった時期であります。これが廃止された後、大学院段階だけしばらく残っていた期間がございまして、それが青色の部分ということでありますが、採用倍率に関して見ますと、この制度があった、なかったということが影響しているというよりかはむしろ、色の濃い棒が採用者の数でございますけれども、この採用者の数が少なかったり、多かったりというところが、非常にむしろ大きなインパクトを与えているという、そういったデータでございます。
続きまして、何枚か現在の奨学金制度についての資料を準備しております。7ページ目、8ページ目の資料を御覧になっていただきたいと思いますが、8ページ目の資料は、左側にまず高等教育の修学支援の新制度についての概略をまとめています。御案内のとおりと思いますが、住民税非課税世帯、またそれに準ずる世帯の学生に対しまして、授業料の減免でありますとか、またこの仕組みによりまして給付型奨学金が新たな仕組みとして導入され、支給をされているというのが現在の仕組みでございます。またその上に、右半分でございますが、日本学生支援機構によります無利子奨学金、それから有利子奨学金の仕組みが、ここに記載のとおりの規模で実施をされているというものでございます。
続きまして次の資料では、この仕組みに加えまして、大学院生に対しましては、大学院については特に優れた業績、成績の優秀な学生に対しまして、奨学金の返還の免除制度が別途あるということで、資料を準備いたしております。免除者の割合のところにも少し触れておりますが、第一種、無利子の奨学金を受けた学生のおおむね3割以下というような形で、現在運用されている、現行の仕組みの紹介でございます。
次のページでございますけれども、次のページはそういった仕組みとはまた別に、自治体のほうで自主的に取り組まれている、教師になった方に対しての奨学金の返還支援の取組の事例ということで、山梨県と岐阜県の事例を掲載いたしました。教師になった方に代わって返還を一部してあげるという、そういう支援でございます。山梨県では20名程度、それから岐阜県では40名程度というような、おおむねこういったような規模感で、現在行われている取組の事例ということで、御紹介をさせていただきました。
続きましての資料でございますが、本件、教師人材の確保というような視点での議論でございますので、ここでさらに教師人材、教育を取り巻く課題状況についての資料を何枚か用意いたしました。
まず、この12ページの資料でございますが、教育課題の高度化・多様化について簡単にまとめたものでございます。先生方にはもう重々御承知のことと思いますけれども、社会の情勢といたしまして、技術革新でありますとか、グローバル化でありますとか、少子化、人口減少という社会変革の上に、1人1台端末をはじめといたしまして、学習、教育環境が近年、飛躍的に進化をしてきているという状況があって、その中でこれからの時代に必要な学び、教育ということで、個別最適な学び、協働的な学びを一体的に充実していく。
また、STEAM教育であるとか、探究的な学びということを入れていかなければいけないということで、学校現場の教師一人一人には、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた、教師一人一人が手がけている授業の改善・転換ということが今、求められているという状況に加えまして、下半分でございますが、いろいろデータを載せておりますが、特別支援教育の関係でございますとか、日本語指導の関係でございますとか、また不登校の問題でありますとか、こういった多様な教育課題というのも、学校の教師に係る問題としては今、あるという状況でございます。
次のページからは、そんな教師の採用というのが今、どういう状況であるかということで、データを提示しておりますけれども、今、映している資料の左側が、小・中・高・特支全体をまとめた採用の状況、右側が小学校で、次のページは中学校と高校の採用の倍率等の状況を示しています。次のページをお願いします。ということで、非常に現在、大量退職と大量採用という状況も背景にしながら、採用倍率は低い状態というのが続いているという状況でございます。
次のページでございますが、現在の教師不足の現状と、それから要因について、まとめた資料でございます。先ほど御紹介したような採用試験の状況も背景にありながら、現在、文部科学省として令和3年度で把握した数字でありますが、全国で2,558名の教師不足という状況を捉えております。令和4年度、令和5年度も各教育委員会に対して追いかけで状況の把握をしておりますが、それが改善されたという状況にはないという認識でございます。
これが起きている要因でありますけれども、大量退職に伴う大量採用によりまして、現在、20代・30代といった若手の教員が非常に増加をしている。そういったことの中で、産育休を取得する教員が、例えば10年前と比較しましても非常に増えてきている、また、さらに特別支援学級の数も想定を超えてかなりの数で増えていっているという状況の中で、学校現場では臨時講師を配置して対応していかなければならない、こういった需要が拡大している一方で、先ほどの採用倍率の状況も御紹介しましたが、そういうことの中でかつてであれば採用試験に不合格で、一旦臨時講師という形に回っておられるような方が、今は正規教員としての採用のほうにどんどん量的に進んでいっているという中で、臨時講師に回っていただける成り手が不足しているというのが、構造的な状況ということでございます。
次のページでございますが、そういった昭和20年代にも教師不足があった、そして現在も教師不足という状況があるわけですが、そこは状況が、構造が少し、状況が違うというようなことを踏まえつつも、中ほどに書いたように、現在はこの緊急・臨時的な教師需要にも対応できる、教師の成り手の厚みを確保していくということが必要ではないかということで、方向性を僣越ながらまとめた資料を準備しました。
そして、そのためには働き方改革や処遇改善や指導・運営体制の充実が重要であることは当然なんですけれども、それに加えて1、2、3とありますが、まずは短期的、当面には現在教職についていない教員免許者の発掘と、それから研修等を経て現場の教師として入職していただけるような取組を当面、まずやらなければいけないということ。それからさらに中長期的に考えるならば、2のところにありますように、免許状を取ろう、そしてまた採用試験を受験しようという、そういう方を増やしていかなきゃいけない、そういう誘因をつくり出していく必要があろうかと。それからさらに根源的には、3にありますように教師の質の向上を図って、改めてもう一度教師が真に社会で尊敬される存在、職業となって、高度専門職としての社会的地位を改めて確かなものにしていくということをしていかなければいけないのではないかということで、資料をまとめております。
次のページは、そういった方向性も踏まえながら、先ほどの1に関連する部分でございますけれども、今般の補正予算で文部科学省として計上しておりますけれども、教育委員会だけでなく大学や民間企業、経済団体とも連携しながら、教師の成り手、新たな人材を発掘し、学校現場とのマッチングと、それから研修や、場合によっては指導員のような形で非常勤的に学校現場での勤務を御経験いただきながら、適性を判断して教職に入っていただく、こういったスタートアップの取組を一連のものとして支援する事業を始めようと思っておりますので、その御紹介でございます。
次のページは、今後の採用者数の見通しでございます。次のページ、お願いします。説明だけ先に進めますけれども、今後の採用者数の見通しでございますけれども、大量退職が徐々にピークアウトしてまいります。一方で、さらに定年引上げへの対応というのが始まってまいりますので、現状のところでありますが、各教育委員会での今後の教員の採用者数の見通しというのは、今後は減少の局面に入っていくという状況にあるという、そういうデータでございます。
一方で、それだったら教師不足についてはそれでいいのかというとそういう問題でもなくて、教師集団に関わる課題といたしまして、19ページ目を提示いたしましたけれども、こちらは、現在の採用倍率の状況を先に御紹介しましたが、そういった状況の中で起きていることでありますが、これは毎年、採用される教師に占める大学院卒のレベルの方の比率でありまして、実はいずれの学校種をとりましても大学院レベルまで学んだという方の教師としての採用というのが、どれも右肩下がりになってきているという状況でありまして、下半分には少し国際比較も載せておりますが、非常に低い状況にあるということでございます。
そして、最後のページでありますけれども、これは改めてですが、教師の年齢構成のデータを掲載いたしました。見てのとおりでありますが、40代のところが今一番低くなっていて、現在大量退職ということで50代後半が多いんですが、これが数年進んでまいりますと、現在の倍率の状況の中で20代30代という若手の教師が、今見ていただいている形よりさらに膨らんでくるという、そういう教職員集団が出来上がってくる。今のこの少なめの40代がベテラン層に移ってくるという、そういう形で我が国の教職員集団全体の構成のイメージをしていただけるかと思います。こういったことが、我が国の教職員集団を取り巻く課題ですとか、あるいは教職員集団の構成全体についてのデータなり課題なりということで、御紹介をさせていただきました。
そして、資料4-2を本日、御用意させていただいておりますけれども、先ほどは関連する資料ということで御用意いたしましたし、また本日の議論も踏まえてさらに追加的に、事務局としても資料等を準備させていただきたいと思いますが、本日から何回か御議論いただくに当たりまして、事務局といたしまして、この資料の下段のほうでありますが、論点例ということで試みに示させていただきました。
論点例ということで、教師となった者の奨学金の返還免除を議論いただくわけですが、先ほど御紹介させていただいたような経緯とか現状とかを踏まえながら、意義とか目的をどのように置いていくか、また効果をどのように考えていくかというようなこととか、またそういったことを踏まえてということになると思いますが、返還免除を実施する場合の対象範囲とか条件をどのように考えていったらいいだろうかというようなことについて、対応の方向性について何度かの議論を踏まえて、方向性を御意見として賜ればありがたいと考えております。
冒頭、事務局からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
【秋田部会長】 後藤課長、御説明をどうもありがとうございました。
それでは、本件につきまして御意見をこれからいただきますけれども、まず時間の関係で白水委員から最初に御発言をお願いいたします。白水委員、よろしくお願いいたします。
【白水委員】 ありがとうございます。返還の実施の目的と範囲・効果についてです。今回の資料4-2の16ページで、教師志望者の確保に向けた方向性が、1の教員の成り手発掘、2の一般的な窓口の拡大、3が教職の専門職化による地位向上という3つに整理されたことというのは、非常に評価できると思いました。その上で、今回の目的が「優れた教師人材の確保」とタイトルにあることに鑑みますと、個人的な考えですけれども、奨学金返還支援の対象範囲をまず修士取得者から始めるのがよいと考えております。
理由はそもそも、先ほどあったように教職の専門性が日本は国際的にみても圧倒的に低く、これを上げていくことが成り手の厚みという意味でも急がば回れとなる可能性があること、また修士生の奨学金貸与率が学部生より高く、そのメリットが大きく感じられる可能性があること、加えて、これを個人的には推したいのですけれども、教職に就くかどうかを迷っているようなほかの学部、ほかの専攻の学生・院生に教職へとシフトする、そういうモチベーション、トリガーになるのではないかということ、さらには9ページの大学院生を対象とする優れた業績による返還免除制度というのを活用することによって、大幅な法改正なしに支援を始められるのではないかと考えておることです。
この誘因は、実は現職教師にもうまく使えそうな気がしているのですが、それはまた次の機会でお話ししたいと思います。今日は所用の関係で、これで失礼させていただきます。ありがとうございました。
【秋田部会長】 白水委員、どうもありがとうございました。
それでは続きまして、戸ヶ﨑委員、お願いをいたします。
【戸ヶ﨑委員】 この教師になった者に対する奨学金返還免除の導入は、教師の社会的地位の向上や安定的な教師志望者の確保に期待できる取組と考えます。一方で、教師が真に尊敬され高度専門職としての地位を確かなものにするには、教師の質の向上と一体的に考えていく必要があると思っています。現在の学校現場では、大量採用に伴い若い教師の割合が増えており、かつ、低倍率の状況下において採用された世代であることも影響しているのか、教師の質の確保について課題をもっているところです。
マクロ的に見ると、現在の低倍率下で採用された教師が近い将来、学校経営・運営の中核を担う時代のことを鑑みると、教師不足が概ね解消されたときに、教師が真に尊敬される職業となり、高度専門職としての地位が確かなものとなっているのか、そして、そのときに教師の資質能力の確保が一層問われるのではないかと危惧しています。
教師の資質能力の向上は、もちろん入職後の研修や実務経験において培われることが重要ですが、今回の奨学金返還支援のような入口段階の施策においても、教職を担う強い意志と質の高い学修を行った者を対象にするなど、教師の質の向上に資するような工夫も必要となると考えています。
また、平成10年に「日本育英会法の一部を改正する法律案」が改正された際に、この返還免除制度は、学校教育等に優秀な人材を確保する上で役割を果たしてきたことは認めつつも、当時の公立学校教員等の採用状況や教師の給与面等を鑑みて、奨学金の返還免除が教師の人材確保の上で果たしている役割は薄れてきていることが、返還免除廃止の主な理由であったと記憶しています。当時からその廃止には反対意見が多かったことも記憶しています。この制度の復活は、教師確保のために極めて重要な施策であることを前提としつつも、今後の課題と思われることを大きく3点申し上げておきます。
1点目は、廃止当時に、奨学金の返還免除が教師の人材確保の上で果たしている役割が薄れてきていたと判断した客観的な根拠は、また、それが25年経過した現在とで違いはあるのかどうか。さらに、返済不要となれば、教師を目指す人が増える可能性がありますが、そのことで増える人数割合が、25年前と比べてどうなのか、などが気になります。こうしたことの定量的な検証も必要かもしれません。いずれにしても、奨学金返還免除制度で、教師志願者が増え、かつ採用も増えることで、当面の教師不足が解消に向かうかどうかの何らかの検証は必要であると思います。また、25年前と比べ社会や国民の意識、また自治体ごとの奨学金の仕組みも変化していることから、今後は社会の変化に対応した仕組みづくりも考えていく必要があると思います。
2点目、現職教師から、「経済的に厳しい家庭環境だったので奨学金を借り、長期間かけて少し前に全額返済し終わった。当然のことながら自分の時にもこの返済不要の制度が続いていて欲しかったので正直悔しい気持ちがある。」との声も聞いています。平成10年4月の入学者から現在まで、教師になって奨学金を返済してきた世代には不公平な仕組みとなってしまう感は拭えません。対応策を講じることは大変難しいとは思いますが、このような視点があることも認識しておく必要があると思います。
3点目、この部会からは離れる内容とは思いますが、この制度は教師だけにとどまるのか、諸外国のように、人材不足が起きている他の専門職全般に拡大されるのかどうかです。というのは、なぜ教師だけなのか、また教師固有の課題であるという説明を、説得力を持って国民の心に刺さるようにすることが、現在課題になっている、学校における働き方改革や処遇改善、学校の指導・運営体制の充実等の環境整備を進めることにも直結していくと確信しています。ひいては、教師の質の向上を図り、教師が真に尊敬される職業となり、高度専門職としての地位を確かなものにしていくものと考えます。以上です。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
それでは、森山賢一委員、お願いいたします。
【森山委員】 私は、奨学金返還免除については、教職員の人材不足から、少なくとも教員の人材確保を進める上での重要な役割を果たすと思います。これは量的な問題ですが、質の問題も当然関わってくる問題です。質の高い教師を確保するという質の問題を考えてみますと、大学院の奨学金返還免除について、優秀な学生に対してということが重要であると思います。
そういう意味からも、大学院の修士課程というのが、現実的には奨学金返還免除を検討する上で、スタートとして重要な過程ではないかと思います。ただ、対象者の条件から考えますと、今日も課長より説明がございましたけれども、これだけ教育課題の高度化・多様化が進み大きな変化があって、そして教師も高い専門性を持つことが必要であるということはもう事実です。そこで大学院の場合、教職大学院だけではなくて、大学院であればもう少し広い意味で対象者の条件を考えることが、先ほどの量と質を確保するための一つの重要なかぎになるのではないかと思います。
だからといって修士課程は全部いいというわけにもいかないでしょうから、修士課程の学びの中で教職に関しての学びの充実が果たされているようなものを選ぶということが、検討する際に必要ではないかと思います。したがって、修士課程全てということではなく、質の高い教師を確保するという意味での条件が必要だと思いますが、ただ門戸を広げるということは重要だと思っています。以上です。
【秋田部会長】 どうもありがとうございます。
それでは今、森山委員が手を挙げてくださいましたので、この後、オンラインの五十音反対順で行かせていただきます。続いて松田委員、それぞれお一人一言ずつでもいただきたいと思っておりますので、指名させていただきます。松田委員、よろしくお願いいたします。
【松田委員】 ありがとうございます。結局は優秀な人材に教員になってもらう仕組みをどう設計するのかということがすごく重要なんだと思っていますが、その前に一点、事務局に質問なんですが、これをもし制度化したときの財源というのは、どこの財源を使うことになるのか、これは独立行政法人の日本学生支援機構のPLに反映されるものであり、何か恒久的に国で何か予算をずっと補正などで確保しなければいけないものではないものなのか、財源について御説明いただいてもよろしいでしょうか。
【後藤教育人材政策課長】 松田先生、どうもありがとうございます。今御質問いただいたことは、最終的にどういう形でやっていくかによって財源の在り方もいろいろあり得ると思っているんですけれども、今さかんに先生方から大学院のお話をいただいておりますが、それと同じように例えば学部とかでも考えていくとなれば、日本学生支援機構で免除するということになりますので、財源というか、それでいけば日本学生支援機構の中のお金のところで、返ってくるはずのものが返ってこなくなるという形になりまして、政府との関係でいくとJASSOの奨学金自体は政府からの政府貸付金によってやっておりますので、より中長期的に考えれば、政府が貸したお金、貸付金をぐるぐる回してやっているというものが、何年か先には返ってくるはずだったものが、返還免除になればそれが返ってこないということになるので、国からすると貸したものが本当は十数年後には返ってくるはずだったものが、一部返ってこなくなる部分ができてくるという、そういう関係になるということでございます。
【松田委員】 なるほどです。なので、短期的に見れば学生支援機構というのが利益を一つ犠牲にする、もしくは運用益の中で補填をしていく、ただそこに、規模が大きくなれば耐えられないかもしれないということなんですね。
【後藤教育人材政策課長】 ありがとうございます。JASSOは今、独立行政法人という形態になっておりますので、おっしゃったとおり、今の奨学金の仕組み実態はJASSOが直接的に運営しているということになりますので、当然、まず文部科学省としてどうしたいのかというのを決めるのが一番最初になければいけないわけですけれども、それが決まった後は、JASSOとも一緒に考えながら、一体的にJASSOにも十分御理解をいただきながら、取組として進めていかなきゃならないということであります。そのための財源というか財政運営の形というのは今、松田先生からおっしゃっていただいたとおりだと思っております。
【松田委員】 分かりました。ありがとうございます。すみません、コメントに戻るんですけれども、大事なことは、先ほど申し上げたように、優秀な人材に教員になってもらう仕組みづくりだと思っていて、その中で例えば教職課程であったり大学に通っていて教職を選ばなかった層の中で、果たして本当に奨学金を実際借りている人材がどれぐらいいるのかという調査やそういった方に対する意識調査みたいなもので、果たして本当に奨学金の返済義務みたいなものがどれぐらい足かせになって、待遇的なところが足かせになって本当に教職を選んでいないのかとか、そこら辺のロジックを固めていく必要があるんだろうなと。
過去のデータを見てそれをロジックにされても社会的な情勢も全然違いますし、結局、あまり説得力につながらない気もしていて、これって相当いろいろなステークホルダーの理解が必要となる、かつ一度廃止している制度を戻そうとするとなると、相当なエネルギーを要するのではないかと思っておりますので、実際にこの制度を運用することによって想定されるインパクトみたいなものはかなり精緻に、今の本当に教職を志していている層で、この奨学金返済免除制度みたいなものがどれぐらい効果があるのかというところは、可視化をしておいたほうがいいんだろうなと思っております。
あと、先ほど大学院の話もありましたけれども、先ほどの教職をとっていて目指さない層とともに、併せて民間に出ていて教職に興味がある、ただ民間から教職を目指すとなると待遇ダウンになったりとかするんですよね、そこに例えばこの奨学金の返済免除みたいなものがある程度それを補填するように見られてくると、もしかしたら幅広い人材に興味を持ってもらえる制度になっていくんだろうなというふうに思いました。
あと、今までの15年縛りみたいなものというのはないほうがいいだろうと思っていて、時代にそぐわないというか、これだけどんどん流動性を高めていこうという話をしている中で、教育に関わっている者も一回民間を経験してとか、また戻ってきてみたいなことをしようと思ったときに、あとは教職になって自分が向いてないなと、現場に入って向いていないなと思う人たちも、15年縛りがあるから15年頑張ろうみたいなこともあっては、困るというわけじゃないんですけれども、それはあまり目指している理想の制度ではないと思うんですよね。
あと、評価とどう連動するのかみたいなところも一つ論点になってくるのかと思っておりまして、先ほど大学院の方は高度専門性があるからみたいな話と関わるところかもしれないですけれども、優秀な人材にずっと教職に残ってもらいたいと、そういった人たちに対してある程度の経済的なメリットがあるという整理をしていくのであれば、評価と連動させる必要が当然、出てくるのかと感じました。以上でございます。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
それでは、松木委員、お願いいたします。
【松木部会長代理】 松木です。今ほど白水委員、それから森山委員から、大学院をというお話がありました。高度な教育人材の確保という意味では、最も効果があるかもしれないというふうに思って、話を伺っていました。現在の教師の置かれた状況を考えたときに、発達障害等の子供さんのことも含め、非常に多様なニーズに応えなければいけないようになっています。ところが学部4年間の教育ではなかなか対応できないということが起きたりしています。そうした意味でも、大学院での奨学金返済免除というのは一つアイデアとしていいのではないかと思います。そうすると大学院は4年ではないので、リアルなことを考えますと免除候補数は2倍か、もし5年制であれば4倍というような効果が期待できるなというようなことを、お話を考えながら思っておりました。
もう一点、地方の大学ということを考えますと、地方では都市部の大学に進学できない、生活費等の問題があって地方に残っている学生が比較的、教育学部には多いです。これまでのコロナ禍ではバイトもできないので、大学が奨学金の準備をするといったようなこともしなければならない学生が一定の割合います。そういった学生は、貧困の格差を教育の中で自ら乗り越えた学生だということになります。そういう経験をもった先生が学校現場にいるということが、子供たちにとっても非常に重要な意味を持つのではないかと思っています。
もう一点、地方の国立大学の悩みの話ですが、4割が先生にならない、先生になる前に逃げられた人があるというのは地方の国立大学の実態じゃないかというふうにも思います。そうした学生にとっても、入学前から奨学金の交付候補者になっているというのは効果があるなというふうに思っております。以上、3点についてお話いたしました。
【秋田部会長】 松木委員、どうもありがとうございます。
それでは続きまして、真島委員、お願いいたします。
【真島委員】 お願いします。どこに一番効果があるかなと考えたときに、高校生が職業とか大学の進学を考えたときに、どこの学部に行こうかなとか、何に、どのような職に就きたいかなと思うときの選択肢として、奨学金が教員になったら免除になるということがプラスに働くというのはそこかなと。
あと、大学院に進学しようかどうか考えているときに、学生の多くの中には家計のこととかいろいろな負担のことを考えて躊躇してしまう学生もいますし、あと教職大学院なんかは現場の先生が派遣されてくる場合もあるんですけれども、私は、一般的に教員というのは、正規職員であればお給料もしっかりもらっていますし、ボーナスもいただいていますから、基本的には普通に奨学金だって返せる身分と、そういった安定的な職業であるので十分だと思うんですけれども、ただ家庭を持っていたり、職に就いてから大学院に行こうと思ったときには、自分の家族を養いながらさらに大学院の負担というか、授業料の負担を考えたときに、そこに若干躊躇してしまう方もいらっしゃるという点を考えると、一番は、自分が目指したい、もっと質を高めたいと思っている、大学院に志望しようと思う方とか、あるいはそれは現職もそうですし、普通の学部からの院生もそうですけれども、あと高校生の段階、先ほど松田委員がおっしゃっていたような一般の企業の方から教員になりたいと思われる方もそうですけれども、そういうところは意味があるかと思いますので、もしリサーチされるならそういったところをリサーチするといいのかと思っています。
一方で、教育学部に来ても教員にならない選択肢をする学生さんに対してのインセンティブにあまりならないかなと思っていまして、そこは自分の適性、教育実習に行って適性を考えたり、自分のさらに進みたい方向性というのが見えてくることに対して、奨学金が免除になるからという理由で選択するということはあまり、少ないんじゃないかと思っています。
なので、先ほどの松田委員の財源についても潤沢にあるわけでもないですし、無限にあるわけでもないので、そこを考えると質の高い教員をいかにコアとなるような、核となるような、様々な地域とか学校で核となるような人々をきちんと養成するというふうに考えれば、大学院のところとか、あるいは学部でもそういったしっかりと、どこで支えてほしいかというと、学生のときに支えてほしいんですよね。バイトで明け暮れて全然勉強に集中できませんとか、バイトしないと自分が学費も払わなきゃいけない、授業料免除をされているところは別ですけれども、そういった学生がいたときに、学部でそこまでアルバイトしなくても十分奨学金で支えますよと、その代わり先ほどの探究力を身につけるとかというのは、短い時間で知識を理解するということよりも、いろいろな地域に出かけていったりとか、いろいろな経験を積んだりすることによって培われてくる部分というのはあるので、そういう部分をサポートするという、ボランティア活動も含めてですけれども、そういう学生経験を豊かに送ってもらうという意味での、奨学金として支えていくという意味であるというのは、それが教職を選ぶ際にインセンティブに働いたり、そこに負担感なく自分が教育職を選べるという選択肢を広げていくという意味では、意味があるんじゃないかなと思います。
あともう一つは、これをもし実施されるのであれば覚悟を決めて、途中でやめないということはお願いしたいです。途中、途中でやめると、結局、先ほどの戸ヶ﨑委員の御意見にあったように不公平感が、この年代からはもらっているこの年代からはもらってないとかということもどうしても出てきてしまうので、本当に百年の計、今150年、大学でも150周年とか小学校でも一番最初のところの小学校は150年記念をやっていますけれども、今後の日本の教育を質の高い教員養成という意味でしっかりと、税金をもって、社会のコンセンサスをきちんと得た上でやるんだというような方針でやっていくというふうに、しっかり長期的に覚悟を決めてやるという意味では賛成です。以上です。
【秋田部会長】 ありがとうございます。それでは、続きましては浜委員、お願いいたします。
【浜委員】 東京都教育委員会、浜でございます。奨学金の返還の免除について、基本的な考え方としては賛成でございます。教員の確保、それから離職防止については、この奨学金の返還免除だけがもちろん一つの解決策ではないわけであって、ほかにもいろいろな手を複合的に組み合わせて頑張っていかなくてはならないわけですけれども、これも一つの大きな策であると思います。いろいろこれまでの皆さんの御発言の中でも、課題も御指摘がありましたが、一つは、若い人たちが今どうやって自分の進路を選択するかといったときに、いろいろな要素を組み合わせて考えていると思います。奨学金が返還免除になるからという理由だけで、望まないにもかかわらず教員を志望するということは多分ないと思いますので、やってみようかなと思う人たちについて支援策になるという意味では、効果があると思っています。
教員になって、奨学金の免除の要件として、既に先行で取り組んでいらっしゃる自治体でも、一定期間は教員としての仕事を続けるというのは要件として求めているところが多いようですけれども、これは採用している側からすれば一定程度は必要なことかと思っておりまして、決して返還が免除されないことはペナルティーではなくて本来返すべきものを返すだけのことなので、決して職業選択を狭める、縛りつけるということにはならないのではないかと思っています。
ということで、東京都だけではなくて私、全国都道府県教育委員会連合会の会長もしておりますけれども、連合会としてもこの奨学金制度の創設につきましては要望もしているところでもございますし、早期の実現に向けて検討していただきたいと思っております。以上です。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして貞廣委員、お願いいたします。
【貞廣委員】 千葉大学の貞廣です。そもそもどの程度の規模を想定するかによって変わってきますけれども、社会的理解を徐々に調達しながら、その効果も検証してにらみながらスモールスタートということにするのであれば、先ほど来出ているように1粒で2度おいしい仕掛けにするということが選択肢だと思います。1粒で2度おいしいというのは、白水委員のお言葉を借りれば、ハイスキル者の確実な参入を促す仕組みをつくるということだと思います。
そういう意味では、線引きのしやすさからして、先ほど来出ている専修免許取得者の大学院時の奨学金を免除するということが一つあると思います。教職大学院に限らず専修免許という見通しで、意見を申し上げております。ただその一方で、これは森山委員もおっしゃったことですけれども、専修免許取得者全部ということでは、ハイスキル者の参入という意味では若干検討の余地があろうかと思いますので、本当に短期間でもいいので今の学校現場を肌で知るようなカリキュラムなりプログラムなりを、本当に少しの期間でもいいんですけれども修めて教職に参入してきたハイスキルの専修免許取得者と、例えばそういう線引きの仕方が一つあるのかなと思います。以上です。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
それでは、岡本委員、お願いいたします。
【岡本委員】 資料4-2の、論点例の1つ目で、「現在において当該返還免除を実施する意義や目的、実施した場合に期待される効果について」という点ですけれども、そもそも奨学金返還の免除がなくなった2つの理由の1つに、「教師を優遇することに対する公平性」が挙げられています。これは、教師という職業が他の職業に比べてどうであるか、という比較の観点ではなく、教師という特別なスキルを持つ職種であるということを社会に認知していただけるような施策をとっていただけたらと考えます。
というのは、教師がリスペクトされる職業であれば、教師になろうという人達も増えてくると考えますし、奨学金返還のフォローがあれば、より教師の道に進みやすくなると思っております。奨学金返還支援というのは、教師になりたい人材を教員養成系に導き入れる点では、確かに役に立つと考えておりますけれども、一方で、教師が入職した後の待遇改善も併せて行わなければ、返還免除があるだけで教師になる人材が増えてくるというような、そんな簡単なことではないと思います。
論点の2つ目、「返還免除を実施する対象範囲や対象となる学生に求める条件等について」でございますが、他の委員の皆様の考えとほぼ同じでございます。教職大学院を修了後、教職に就いた方に関しては、返還免除の仕組みを考えていく必要があると考えております。一方で、資料の4-1の19ページ、「教師の最終学歴の国際比較」によると、日本では大学院を修了して教師になっている人の数が極めて少ないというデータがございました。大学院に進学し、教師としての高いスキルを身に付けた教師に関しては、奨学金の返還を支援する、というような、強弱をつけた奨学金返還猶予の考え方を構築していく必要があると考えております。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
それでは、荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。皆さんがおっしゃったことを伺って、いろいろ考えなきゃいけないなというのは思いつつ、真島委員がおっしゃいましたけれども、教育は国家百年の計であるということを考えると、教育そのものに対するリスペクトというのを、改めて考える必要があるのではないかと思います。いろいろな学び方がありますので、学校に行って教師から学ぶだけでないということも言えるわけですけれども、しかし現在の学校教育の果たす役割ということを考えますと、教師というものが子供たちの学びを支える非常に重要な存在であるということで、その教師自身の学びの高度化という点でいうと、大学院というのは大きく考えられることだと思います。
ただ、学部を卒業して教師になってから大学院で学ぼうとするという人も当然、出てきてほしいわけですので、そういったことへの目配りというんでしょうか、配慮も必要かと思います。
それと、もう一つ申し上げたいんですけれども、資料の4-1を先ほど大変丁寧に御説明いただきました。これは、いずれのページも大変心配なことが書かれているということで、こういった心配が繰り返されないように、いろいろと文科省ではお考えいただいていると思うんですけれども、ぜひとも今後に向けて考えていただければと思います。
時代が変われば質は変わってきますので、昭和20年代の教師不足と今とは違うというのは、当然そうなんですけれども、今後それがだんだん子供が減ってくるので起こらないということではなくて、子供が減ってきた中でさらに学びの充実を図っていくためには、単純な人数の比較ではなくて、教師がどれぐらい必要なのかというのを考えた上で進めていくことが大事だと思います。令和3年答申で言うところの子供を主語にする学校教育を実現するんだ、ここのところにしっかりと根ざした教育政策がとられることを心から期待しております。以上です。ありがとうございました。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
それでは、続きまして森田委員、お願いいたします。
【森田委員】 ありがとうございます。時間の関係もございますので簡単に述べさせていただきますが、先ほどからお話がありましたように、教師を高度専門職として位置づけていくときに、奨学金も免除されるような職業であるのだというようなことが広まっていけば、それはそれとして社会的インパクトもあるのではないかと感じておりますし、それとともに大学院の修了生に対する免除からスタートするという点にも、私自身も賛同するところでございます。
特に現職の先生方のことを考えた場合に、現職の先生が大学院に行こうとした際に、もちろん休業制度などがあるわけですけれども、実際に家族を持っているような現職の先生方が、給与が出ない状態の休業制度を使って大学院に進学できるかというと、なかなか制度はありつつも活用しにくいというのが実情であるような気がしますので、例えばそういった状況の現職の先生も大学院に進学しやすくするという意味でも、一定の期間奨学金を使いながら学べて、それが返還免除とセットになっているというような制度があると、現職の先生の学びの機会も広がるのではないか考えているというのが一点目です。
それから、その際に、少し話がずれるかもしれませんが、この間、学校を支えるのは教師だけではないということで、チーム学校などが提言されて、多様な人材が学校を支えていくという議論になっているかと思います。それとの関係で考えますと、免除の対象をどこにするかという議論をする場合に、果たして教諭だけでよいのか、それとも、学校を支える多様な人材まで広げていくのかということも論点になるのではないかと個人的に思っているところです。
それから最後ですけれども、これも直接的には関係しない点かもしれませんけれども、今、一般企業にも奨学金に対する返還支援とか代理返済をする企業が増えてきているというようなことが報道されていたりしますけれども、そことの見合いも少し私たち、考えておかないと、新しくこの返還支援の制度ができることのプラスということよりも、ないことのマイナスということが起こりうる可能性もあると思いますので、その辺りも見据えた検討が今後、必要ではないかと感じているところです。簡単ですけれども、以上です。
【秋田部会長】 ありがとうございます。
私も個人的なことを話させていただければと、思います。修士レベルなり大学院というところで、内容的に高度になった人たちへ奨学金を与えると、そのときに教職大学院はもちろんでございますけれども、それ以外の大学院でも、例えば教科の内容の専門性の高度化で専修免許を間違いなく取っている、そういう人たちも教員になれば保障していくというようなことが、教育の指導法の高度化だけではなくて内容の高度化も深め、小中高の開放性の中で、免許を取った人たちが大学院に行ったときのメリットというものが大きくなるのではないかと思います。
また、現職になってからということで、私の個人的経験では、私は前大学が教職大学院ではなかったんですけれども、例えばこの大学の教員で研究したいということで、自費で大学院に入ってくるというのは、なかなか給料面で厳しいと言いながらも、やっている院生たちがいました。幅広く、いろいろな大学で研究を深め、2年間出て、専修免許状をもった教員になっていくという人たちを保障していくということが大事なのかと思います。また、大学院に入りますと、例えば一種免許を持っていると先に採用試験にM1で合格して、M2を終えてから教員になっていくというような人も、現実におります。なので、そういうような形などもあり得るのではないかと思うところであります。
少ないパイから確実に効果があることを、先ほど貞廣委員が1粒で2度おいしいととおっしゃったかと思うんですけれども、確実に効果が見えるところからいくことによって、教員がいかに社会的に高度な専門家なのかということが見えるようにしていく方策の、あくまでもその一つですが、そうなるといいのかなと、個人的にも思うところでございます。以上が個人的な意見でございます。
これで、時間が限られてしまっておりまして、今日は、申し訳ございませんがこれで議事4を終了いたしたいと思います。
そして、本日の議事は4点でございましたので、以上になります。皆様、ありがとうございます。
それでは最後に、事務局よりお願いをいたします。
【重親教育人材政策課課長補佐】 事務局でございます。前回、9月28日の教員養成部会であった御指摘を踏まえまして、1点だけ御報告させさせていただきます。今回、参考資料1を用意しておりますので、そちらを御覧ください。
前回の会議での御指摘を踏まえまして、デザインにブラッシュアップの余地があるのではないかと御指摘いただいた、教員資格認定試験の広報周知用ポスターですけれども、デザインを全面的に見直しましたので、御報告させていただきます。こちらを全国の教育委員会や大学等へ配布し、広報周知を図ってまいります。
最後に、次回の日程についてですけれども、委員の皆様には事前にアナウンスさせていただいたところですが、次回は12月26日を予定しております。事務局からは以上になります。
【秋田部会長】 皆様、本日も長時間にわたりまして、ありがとうございました。それでは、本日は以上とさせていただきます。お疲れさまです。次回が12月26日ということでありますが、どうぞよろしくお願い申し上げます。閉会といたします。オンラインの皆様、ありがとうございました。
―― 了 ――