中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会(第134回)

1.日時

令和5年4月26日(水曜日)13時30分~15時30分

2.場所

3F2特別会議室(WEB会議)

3.議題

  1. 部会長等の選任【非公開】
  2. 部会運営規則の制定【非公開】
  3. 教科に関する専門的事項に関する検討委員会の設置について
  4. 教育職員免許法施行規則の改正について(大学設置基準改正による特例制度への対応)
  5. 令和4年度教職課程認定大学等実地視察について
  6. その他

4.議事録

【秋田部会長】  それでは第12期の教員養成部会の部会長を拝命いたしました秋田でございます。これからどうぞよろしくお願い申し上げます。昨年の12月にまとめられた「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方についての答申は、11期の委員が多くの知恵を絞って非常に長期的な視点でまとめ上げられた答申だと考えております。これらは この後の工程表も既に準備されております。それを着実に丁寧に実行していくと同時に、そこでまた見つけられたいろいろな諸課題にこの部会として対応していきながら、現在いろいろ議論になっております教師の不足であったり、それから教育の質の向上について、その要を担う教員の在り方について皆様とともに議論をしてまいりたいと思いますので、どうぞお力添えのほどよろしくお願い申し上げます。
 それでは、続きましてここで松木教員養成部会長代理からも一言いただけますでしょうか。
【松木部会長代理】  今ほど会長から昨年の12月にまとめられた答申のことについて触れていただきましたけれども、あの内容はかなり画期的な内容じゃないかと私自身は思っています。教員養成の在り方そのものの転換を求める内容になっています。それだけに大学現場でこれを実行していこうと思うと、結構大きい抵抗が予想されます。そんなことを含めて、適切にそれをどうやって解決できるかということをこの会合で議論できたらありがたいと思っています。よろしくお願いいたします。
【秋田部会長】  松木委員、どうもありがとうございます。それでは皆様、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 それではこれから早速議事に入りたいと思います。議事3「教科に関する専門的事項に関する検討委員会の設置」についてでございます。事務局から御説明をお願いいたします。
【樫原教員免許・研修企画室長】  教育人材政策課教員免許・研修企画室長の樫原でございます。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
 私から中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会の教科に関する専門的事項に関する検討委員会の設置案について御説明をさせていただきます。
 まず1つ目に設置の目的ですけれども、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方、これは令和4年の12月の答申において提言されました教科に関する専門的事項に関する科目の必要な見直しについて検討するため、本部会の下に教科に関する専門的事項に関する検討委員会を設置するものでございます。
 2ポツ目で検討事項ですけれども、中学校及び高等学校教諭免許の「教科に関する専門的事項に関する科目の在り方」について、特に次の点を中心に検討を行うということで、(1)として専門的事項の科目区分・内容の適切な在り方、(2)としてその他これらに関連する事項について御審議をいただきたいと考えております。
 3番目としまして、設置期間につきましては検討委員会は2の検討事項に関する審議が終了したときに廃止するということにしております。
 4ポツとして、その他としましては、検討事項において検討結果を取りまとめたときには教員養成部会に報告する。そして教員養成部会からの求めがあった場合には、検討結果について教員養成部会に報告する、また必要に応じ、その検討の経過を教員養成部会に報告することができるとなっております。
 続きまして、検討委員会の委員名簿の案でございますが、教員養成部会の委員でもあります高橋先生、森田先生、岡本先生に加えまして、教科の専門や人事や学校現場の観点から、専門委員の方に加わっていただく形で審議を行いたいと思っております。これの背景ですけれども、次のページの資料になりますけれども、中央教育審議会の答申の抜粋でございます。これの下に教科に関する専門的事項に関する科目についても、学習指導要領との整合性について改めて確認することも重要である。教育職員免許法施行規則に掲げる事項が多い教科について、中学校二種免許を取得しようとする場合、同規則で定める最低単位数を超える単位の取得を要するケースが生じている。このため、教科に関する専門的事項に関する科目について、専門的事項の数が多い教科を中心に必要な見直しを行うべきであるという提言がなされていることを踏まえて実施するものでございます。
 この教科に関する専門的事項の具体的な中身ですけれども、資料2枚後のページを御覧ください。こちらが教科に関する専門的事項に関する区分ですけれども、これ、中学校ですけれども、必要な単位数というのは実はどの教科であっても変わりはないですけど、この教科の科目の区分数というのが教科によって異なる状況にございます。一番少ないものですと保健ですとか職業指導の3ですけれども、一番多いものですと8ということになっております。
 特に5まではいいんですけど、この6を超えるものになった場合、実はこのような問題が発生することを中教審から御指摘をいただいています。1枚戻ってしまいますけれども、1枚戻ったときに、実は教科に関する専門的事項の必要単位数、一般的に大学の教職課程にとって取得する場合については、一種は28、二種は12ですが、実際には、うち教科の指導法に関するものが2ですので、純粋な教科専門は10必要になります。この点については免許法別表第四による取得、これは中学校の教員、教科の免許を持っている方がほかの教科の免許を取得する場合の取り方ですけれども、こちらについても一種は20、二種は10になっております。
 しかし、実は大学でこの1つの科目を2単位で大体開設している場合、実験系だと1単位という場合もあるんですけれども、2単位で開設ということになると、2、6、12ということで単純にこの10を超えて取らなければならないということで、実際には例えば、理科の先生が数学の免許を取るのは取りやすいけれども、数学の先生が理科の勉強と取るのは取りにくい御指摘を今、これまでも特別部会でも御指摘をいただいたところでございます。
 また内容につきましても、特に技術なんかは木材加工、金属加工など並んでおりますが、今の指導要領の体系と必ずしも合致するものがあるのかというところがありまして、こうした部分も含めて検討委員会で御検討いただきたいと考えております。高校につきましても教科によってかなりばらつきがございましたので、高校を踏まえて高校についても含めて御検討いただきたいと思っております。
 なお、参考資料としまして昭和29年から今に至るまでの教科の専門性についての変遷について資料を掲載しておりますので、こちらも御参考にしていただければと思います。
 私からの御説明は以上です。
【秋田部会長】  御説明をどうもありがとうございました。皆様、今の御説明につきまして何か御意見等ございますでしょうか。特にございませんでしょうか。よろしゅうございますでしょうか。それでは皆様、この件御同意いただいたということで進めます。ありがとうございます。それでは、本件は案のとおり進めることとしたいと思います。これで議事3を終了いたします。
 それでは、続きまして議題の4番に移らせていただきます。次の議事は「教育職員免許法施行規則の改正(大学設置基準の改正による特例制度への対応」」につきまして、事務局からお願いいたします。
【樫原教員免許・研修企画室長】  それでは教育職員免許法施行規則の改正、これは括弧しまして、大学設置基準改正による特例制度への対応についてでございますが、こちらについて御説明させていただきます。
 まず背景としましては、大学設置基準等が令和4年度改正されたことによって、この大学の教育課程等に関する事項について文部科学大臣の認定を受けた場合には、大学設置基準等の特例対象規定の全部または一部によらない教育課程を編成することができる制度、この資料では以下、設置基準特例と申し上げますが、これが創設されました。こちらについては今、大学分科会も踏まえて具体的な審査とか、受付とか、手続がこれから進むものと承知しておりますが、この基準を適用された場合の教職課程の取扱いについて、規則を改正するものが今回の内容でございます。
 この教職課程については、いわゆる大学設置基準のほかに教育職員免許法施行規則においても所要の規定が設けられており、設置基準特例に対応した免許法施行規則の改正が必要ということでございます。この中身につきましては、概要は令和4年の11月に開催されました教員養成部会のところでも簡単に紹介させていただきました。今回、委員が代わられたことと、今回具体的な案文がこの後パブリックコメント等に付されることもありまして、中身を御説明したいと思います。
 まず、具体的な改正内容ですけれども、文部科学大臣のあ教職課程の認定、これは通常、養成部会の審議を経て行うものですけれども、免許法施行規則の一部の規定を適用しない特例を設けることにより、設置基準特例を受けた大学の教職課程についても先導的な取組を行うことを可能とするということでございます。この設置基準特例と本改正による特例の対象となる免許法施行規則上の教職課程に関する規定との関係は、次のとおりでございます。
 まず、大学設置基準におきましては、大学設置基準の第19条第1項において授業科目の自ら開設の原則というものがございます。一方で、この設置基準特例を適用される大学については、複数大学間で連携して教育課程を開設すること等が可能となっております。この部分につきましては教職課程、つまり免許法施行規則上の規定にも同じようなことが書いてございまして、一つは、教職課程の授業科目の自ら開設の原則ということで、こちらについても自ら開設の原則がございます。
 もう一つは、教職課程については各大学が開設する各教科の指導法に関する科目等を自大学開設とみなすことができる、この場合の特例がありますが、この場合、各科目数の単位数の3割が上限とされております。今回、この設置基準特例との抵触がかかる部分があるものですから、この教育職員免許法施行規則についても改正をする必要があると考えております。
 具体的に申し上げますと、まず自ら開設の特例の部分については、複数大学間で連携して教育課程を開設すること等を可能とする、そして設置基準特例で認められた範囲内の3割と決められておりますが、この3割を超える各科目の単位数を自大学開設とみなすことが可能とするところでございます。
 もう一つは、大学連携推進法人等による連携開設科目にかかる30単位上限ということでございます。こちらにつきましては、大学設置基準にこの30単位上限の話が規定がございますが、設置基準特例が適用された場合にはこの30単位を超える科目の連携開設が可能となっております。
 一方で、免許法施行規則の世界では他大学との連携開設科目を自大学開設とみなす場合については、この第4項でみなす科目、この上の先ほどの3割の話に関わりますが、これと併せて免許取得に必要な最低単位数の8割が上限と規定をされております。この場合も先ほどの話同様に、設置基準特例で認められた場合はこの設置基準特例で認められた範囲で最低単位数の8割を超える単位を自大学開設と見直すことが可能ということを規則で改正するものでございます。
 なお、本改正による教職課程の特例については、単に設置基準特例が認められたものは何でも認められるというわけではなくて、改めて教職課程として適正なのかどうかという部分を教員養成部会、ないし課程認定委員会で御審査いただいた後に教職課程として認めることにしたいと考えております。
 私から説明は以上です。
【秋田部会長】  御説明をどうもありがとうございました。皆様、今の御説明につきまして何か御意見等ございますでしょうか。オンラインの皆様はいかがでしょうか。大丈夫でしょうか。よろしゅうございますでしょうか。
 それでは皆様ありがとうございました。本件は御提案の案のとおり進めたいと思いますので、これで議事4も終了させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 それでは続きまして、議事の5でございます。次の議事は、令和4年度教職課程認定大学実地視察につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【樫原教員免許・研修企画室長】  資料4を御覧ください。令和4年度の教職課程認定大学実地視察についてでございます。こちらについては、教職課程実地視察規定に基づき、毎年行っているものでございます。昨年度実地視察につきましては、視察に実際に行かれました森田委員より御報告いただければと思います。
 森田先生、どうぞよろしくお願いいたします。
【森田委員】  よろしくお願いいたします。森田でございます。資料4に基づきまして、令和4年度の課程認定大学実地視察の結果について、御報告をさせていただきたいと思います。先ほど御説明ございましたとおり、実地視察は既に認定を受けた教職課程の水準の維持向上を図ることを目的に毎年度実施をしておるものでございますが、令和4年度につきましては9つの大学と1つの教員養成機関に対して実施をいたしました。その概要につきまして御報告をさせていただきたいと思います。
 実地視察におきましては教職課程の実施、それから指導体制、教育課程、履修方法、シラバスの状況などの観点を中心に、教職課程が法令等の基準を満たして適切な水準にあるかどうかの確認を行います。令和4年度につきましては新型コロナウイルス感染症の状況もありましたので、オンラインを活用した実地視察等も一部実施いたしました。こちらにつきましては本年度以降も委員の負担軽減等のことも勘案しまして、引き続きオンラインによる実地視察等も一部実施をしていく予定でございます。
 令和4年度に視察をした大学につきましては、全体としまして教職課程の質を向上させるために様々な積極的な取組を行っていることが確認できました。しかしながら、課程認定基準等の観点から教育課程及び教育組織等について是正すべき点もある大学等もありましたので、その点につきましては改善を求めたところでございます。個別の指摘事項につきましては資料に記載をしていますので御参照いただければと思います。またそれぞれの大学についての視察の講評につきましても資料として付いておりますので、また御確認をいただければと思っております。
 資料4の3ページ目の最後のところに少し全体的なことを整理させていただいておりますが、この視察をした大学におきましては教職を志す学生たちが体系的、計画的に教職課程を履修していくことができるような取組が今後も求められていくこと。それから全学的な連携やその体制をさらに充実、強化していくような取組が重要となること。そして最後に、本部会でのこの視察における指摘事項を十分に踏まえた自己点検等を実施していただいて、引き続き教職課程の水準の維持向上に努めていただくこと。この辺りが必要なこととして、全体をこの3点にまとめさせていただきました。
 この報告の案につきましては本部会で了承をいただいた上で、ホームページで公表をしていきたいと思っております。課程認定、教職課程を有する全ての大学、それから指定教員養成機関に周知することを予定しております。課程認定大学等がこの報告の指摘内容をしっかりと理解いただいて、またこの間、提出されております様々な答申等で提言等の内容をしっかりと確認をいただいた上で教職課程の質的な水準の維持、さらなる向上を図るための取組をしていっていただくことを強く期待をしたいところでございます。
 以上、簡単でございますけれども、令和4年度の実地視察の報告でございます。よろしくお願いいたします。
【秋田部会長】  ありがとうございます。何か皆様で御意見、御質問はございますでしょうか。ありがとうございます。9大学1機関の10大学での御苦労をいただき、お取りまとめをありがとうございます。これでよろしゅうございますでしょうか。それでは、こちらで議事5は終了とさせていただきたいと存じます。
 そして議事でございますが、その他の事項として事務局からお願いをいたします。
【樫原教員免許・研修企画室長】  事務局でございます。資料5を御覧ください。令和4年度の教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定後に計画を変更した教職課程についての御報告でございます。こちらにつきましては、この資料の下にもありますように、教職課程認定審査運営内規に基づいて、この部会に報告をさせていただきます。上に戻りますが、令和4年度教職課程の認定、こちらは令和4年11月25日ですけど、こちらから令和5年度の教職課程が開始するまで令和5年3月31日までの間に、やむを得ない事由により次の1から3に該当する事項の生じた大学について、書類審査を実施したものでございます。
 その結果、まず1番としましては専任教員を変更する場合、2番はこれに伴い専任教員の担当授業科目を変更する場合、3番はこれに伴いまして専任教員の担当授業科目の内容を変更する場合ということで、合計38大学ございました。最終的には全て可と判定いたしましたので御報告いたします。
 以上です。
【秋田部会長】  御報告をどうもありがとうございました。今の御説明につきまして皆様何か御意見等ございますでしょうか。いかがでしょうか。オンラインもよろしゅうございますでしょうか。ありがとうございます。皆様、ありがとうございます。それでは、本件は今の御提案のとおり進めることとしたいと思います。これで議事6を終了いたします。
 それでは、議事7に入りたいと思います。議事7はテーマを教育実習とし、自由討議をさせていただければと考えております。話題提供としまして、まず事務局から資料を御準備いただきましたので、そちらについて御説明をいただいた後、初回ですので全ての委員から皆様に御発言をいただきたく存じます。その際、自己紹介も兼ねてしていただきたいと思っております。今回ハイブリッドで対面とオンラインでいたしておりますので、それが交ざると発言しにくいであろうというようなことから、まずはオンラインの方からこの後、御説明の後、御意見を頂戴するような形にさせていただきたいと思っております。
 それでは、事務局より御説明をお願いいたします。
【樫原教員免許・研修企画室長】  事務局でございます。参考資料の4と参考資料の5で御説明をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。話題提供ということで、ますは参考資料4でございます。こちらは、教育実習の柔軟化を踏まえたカリキュラムマップのイメージというところでございます。
 こちらは、中央教育審議会の昨年12月の答申の中に、教育実習に関してこのような記述がございました。短期集中型の従来の履修スタイルに加え、通年に決まった曜日などに実施する教育実習が早い段階から学校体験活動を経験し、教育実習の一部と代替する方法なども想定される。また、異なる学年の学生が同時に参加する形をとることにより、上級生がメンターとしての役割を担うようにする等の工夫を行うことも考えられる。いずれも現行制度上で可能であり、各大学の創意工夫によって教職科目と学校現場の教育実践を相互に関連付けながら学びを深める取組を進めることが重要であるということが記述としてございます。
 この記述をイメージとしてまとめたものがこちらの資料でございます。従来の教育実習というのは一般的な大学としての教養科目である日本国憲法ですとか体育ですとか、そういったものに、いわゆる教職系の基礎的な科目、それから教科系の科目が積み重なった上で、最後の最後になって教育実習というのがございます。教育実習、これは小学校、中学校では、教育実習自体は5単位ですけれども、そのうち1単位は事前・事後指導ということになっておりますので、実際に現場に出るのは大学でいうと4単位分、期間でいうと3から4週間ということになっております。その後に教職実践演習というものを設けるのが、どちらかというと従来の教職課程のカリキュラムでございます。
 これを柔軟化するというところですけれども、この縦型のところに横に積まれていた教育実習を、むしろこの右側にあるような教育実習や学校体験活動ということを1年次からやっていくことも工夫としてはあり得るのではないかというイメージです。もともと教育実習につきましては先ほど申し上げた4単位のうちの2単位、高校ですと4単位の部分が2単位になりますので、2単位のうちの1単位分につきましては学校体験活動と置き換えが可能ということになっておりますので、こうした部分を踏まえると教育実習自体は実際には2単位だけれども、その前に学校体験活動をやっているですとか、その教育実習の期間を分けて実施するですとか、様々な工夫が考えられるということで、こうしたカリキュラムマップのイメージを提起させていただきたいと考えております。
 もう1点は参考資料の5でございます。こちらは少し残念な話ではあるんですけれども、一部の県の学校において教育実習等におけるハラスメントの事例がありまして、報道によればその学生さんは実際には教職課程を取ったけれども、実際に教員なるのを諦めた事例がございました。それを踏まえまして、文部科学省としましては令和5年3月に各大学、並びに教育委員会ないし知事部局等々に宛てまして通知を発出させていただいているところでございます。「教育実習等におけるハラスメントの防止及びその適切な対応について」というところでございます。
 具体的な内容につきましては、まず教職課程を置く大学に係る事項というのが2枚目にございます。2枚目のところで全般的事項というのがございますが、まず教育実習等というのは大学等が実施する授業科目であることから、その実施に当たっては一義的に大学等が責任を持って行うこと。このため、大学等は教育実習等の計画、教育委員会や学校等への受入れ調整、評価方法の設定、学生への事前事後指導などについて努めるとともに、万が一の場合の学生からの相談窓口の整備、そしてそれの周知等を行っていく必要があるということ。それから丸2番としましては、令和3年の施行規則の改正により、複数の認定課程を置く大学については、当該大学が有するするそれぞれの認定課程の円滑な、かつ効果的な実施を通じて当該大学が定める教員の養成の目標を達成することができるよう有機的な連携を図り、適切な体制を整えることとされている。教育実習の実施に当たっても、実習担当の大学教員のみに任せるのではなくて、全学的に対応することが求められる。3点目に、同改正により教職課程認定を有する大学は自己点検というものは行っていますとか、この自己点検の中でもしっかり教育実習を踏まえて、正確に状況を把握して改善していく必要があるということが書かれております。
 それから(2)としましては性暴力、セクハラ、パラハラの防止についてですけれども、これは教職課程に限らず大学等におけるセクハラ等につきましては、しっかり適切な対応を行う必要があるということが書かれております。
 それから(3)につきましても、教育実習等の適切な時間の管理等についてですけれども、こちらも基本的には教育実習というのは大学等が実施する授業科目であることから、基本的には大学設置基準や施行規則等に基づき適切な時間の設定確保を行うことはもとより、緊急時を除き、所定の時間数を上回るような実習が行われることのないよう、大学等は教育委員会や学校と調整を行うこと。
 それから(4)としまして、障害のある学生が教育実習をする場合の配慮事項、並びに母校実習について記載がございます。
 大きな2ポツですけれども、こちらは各学校、教育委員会や学校等に係る事項について記載をしております。これは、まず(1)丸2の全般につきまして、学校におけるハラスメントというのは当然、実習生に対してもこれは決して許されるものではないということで、必ず周知徹底を行うこと、それから(2)としまして、教育実習等の適切な時間の管理等についてということですので、こちらも基本的には教育実習等は大学等が実施する授業科目であることから、大学等は大学設置基準や施行規則に基づき適切な時間の設定で実習計画を行っているため、学校が設定された時間数での実施を徹底する必要がある。また、教育実習は学校の所定の勤務時間の範囲内で行うことが原則であることから、緊急時や真に必要な場合を除き、設定された時間数を上回る実習のないよう努めること。
 それから、令和4年答申を踏まえまして、その実習の在り方というものが多様になってくることから、教育委員会についても教育委員会が中心となって調整をする。これは学校に一任するだけではなくて教育委員会が中心となって調整を行うことが重要である。それから働き方改革通知なども踏まえまして、基本的な対応をしていくことが必要である、そうした旨が書かれております。
 話題提供は以上でございます。
【秋田部会長】  話題提供の御説明を、どうもありがとうございます。それでは、本日のテーマであります教育実習ということで自由討議をさせていただきたいと考えます。委員の皆様からお願いをしたいと思いますが今回は初回ということもございますので、特にお急ぎの方がおられなければオンライン、それから対面の順で五十音順でさせていただけたらと思いますが、よろしゅうございますでしょうか。
 そうしましたら本日、木下委員がオンラインの五十音で一番早いですので、木下初恵委員からお願いをいたします。
【木下委員】  習志野市立第七中学校の木下と申します。よろしくお願いいたします。トップバッターということで、どういうお話をしていいのか悩んでいますけれども、まずは自己紹介ということで。
 私は21年間、中学校で教諭として勤めた後に市の教育委員会に入り、指導課で少し勉強させていただきました。その後、小学校も経験をして県の教育委員会におり、昨年度までは千葉県の総合教育センターで研修企画部で部長を仰せつかっておりました。初任者研修や中堅教諭等資質向上研修と、法定研修を扱っている場におりました。初任者を多く見ることができた貴重な機会をいただいたところです。また小学校の校長も経まして今、中学校で校長をやらせていただいているところです。
 県行政は、教育事務所にもおり、学校訪問は2年間で、大体120校ぐらい見せていただきました。今、私の学校にも音楽と国語の2名の教育実習生が、5月8日から3週間、実習を行う予定です。ちょうど昨日お二人と会いましたが、非常にしっかりとした実習生だと感じたのが第1印象です。
 ただ、受け入れるほうとしましては、大学生と変わらない年齢の初任、2年、3年目ぐらいの教員が教育実習生を受け持つということで、かなり学校では、実習を担当する教諭だけではなくて学年、学校挙げて実習生を受け入れていかなければいけない実態もございます。ただ、教員になるという夢を持ってきている方々ですので、ぜひ苦労しながらもいい思いをして実習を終わらせてほしいとも思っております。こんな感じでよろしいでしょうか。よろしくお願いいたします。
 
【秋田部会長】  ありがとうございます。いろいろな御経験を踏まえて、また今回のお話もいただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして木村国広委員、お願いいたします。
【木村委員】  こんにちは。長崎大学の木村と申します。よろしくお願いいたします。
 私は学校現場での教職経験や、先ほどの木下先生と一緒ですが教育行政経験のある実務家教員です。今日お題の教育実習に関して言えば、附属学校での教育実習指導の経験とか、公立校長のときはこれも木下先生と同じですが受け入れる側、今、大学の教員としては特に実習前の指導、長崎大学の場合は附属学校と公立のどちらかの実習に行くということで、私は公立の実習前指導、または公立学校との連携を担当しています。
 皆さん御承知のとおりですが、教育実習のこれまでの経験と今の業務と重ねると、実習の目的の一つは学校教育の実際を体験的総合的に経験する、もう一つは特に授業とか学級経営とか児童生徒理解というところになるんですが、一番大切なことは大学で学んできたことを生かす場というんでしょうか、そういうところがとても大切になってくるんではないかと思っています。
 私が以前、教育実習をしていた頃は、どちらかというと指導のスキルとか、授業はどうあったらいいかとか、指導案はどうするのとか、知見を積み重ねるというような教育実習をしてきたんじゃないかと思います。また学級経営はどうしたらいいかとか、子供の指導や学校づくりはどうやったらうまくいくだろうなどについて、経験とかコツ、その学校なりの手法とかを伝えていたと思います。
 一方で今からの教育実習は、指導教員自身が実習生や子供たちと一緒に学級や授業をつくる、そして自分自身も高まる方向に徐々に変わりつつある。一方で、そうなるためには指導教員の資質と能力というのがすごく大事になるというところです。
 実習生が来るということには子供たちも先生方も、私の経験ですが総じて肯定的なんです。学校のリズムに変化ができて、そして学校に元気が出る、活気が出るというのは本当です。
 一方で今、変わっていこうという新しい学びでしょうか、それに対して学校現場の先生たちが十分対応できるか、指導できるかということについては、これは学校現場の先生たちと大学とが連携しなければならないところはたくさんあると思います。加えて実習は前と後が大切で、大学の先生にはぜひ、学生に目標とか課題意識をしっかり持たせてほしい。また実習でたくさんの人が教員になりたいと思う反面、なりたくないという人もいるんですね。
 その中の一つに、あそこまではできないとか、あんな先生にはなれないとか、ちょっとした失敗がトラウマになっている。だから終わった後のフォローというんでしょうか、がとても大切です。実習というのは学生にとってみれば一生を決める大事なポイントの一つでありますので、大学と学校現場の先生方とが一緒にやっていければと思います。
 
【秋田部会長】  誠にありがとうございます。その後御指導が必要であるとか、御経験からのお話、十分にくみ取れていると思います。ありがとうございます。
 それでは、続きまして戸ヶ﨑委員、お願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】  埼玉県戸田市教育委員会の戸ヶ﨑と申します。
 私からは、学校の声を中心に、連携している大学等からの声を交えながら、現在教育実習の抱えている課題や、今後に向けた意見を述べさせていただきます。既に先ほどの樫原室長の参考資料の4に取り上げていただいた内容もございますことを御容赦いただけたらと思います。
 1つ目に、これまでの教育実習は、教育実習の取組を評価していくシステムが明確ではなかったのではないかと感じています。教育実習というのは単に学校現場を経験するだけではなく、活動にはそれなりのしっかりした狙いがあって、その狙いに基づいた評価が行われていくべきだと考えています。
 2つ目に、教育実習を「令和の日本型学校教育」を担う教師の資質能力を培うための機会として捉えて、教職科目を履修する学生が常時、数名ずつ学校に所属する状況を創り出すものにしてはと思っています。大学のカリキュラムに講座と教育実習を一、二週間などの一定期間の中でバランスよく設定していただき、大学の授業についてはオンライン等を効果的に活用して、実習は自分が育った地元の学校等に入ります。学生が学校で様々な経験を積むことができるだけではなく、これによって学校も学生が入ることで人的支援や活性化にもつながりますし、また学生、大学、学校の三者がある意味、ウィンウィンの関係になると思います。
 3つ目に、これは先ほどの参考資料の中にも取り上げられていることですが、短期集中型の従来の履修スタイルに加えて、通年でまとまった曜日などに実施する教育実習や、1年次等、早い段階から多様な学校体験活動を経験して、4年次では1年間を費やして、例えばPBL型のインターン研修等を行い、それを教育実習の単位として認めるなどの方法は、具体的に動き出せるのではないかと思います。強調したいこととして、学校現場が求めている教師は、優秀であるにこしたことはありませんが、荒削りでもいいので少しでも人間的な魅力のある教師こそが、私はこれから特に大事になると思います。
 4つ目に、この教育実習を教育課程以外の希望者にも一定の条件下で経験できるようにはならないかと思っています。教職課程以外の学生でも教育に興味があって、自ら希望して教育実習を経験することで、教育に対しての志を高めていく学生も一定数いるのではないかと思っています。
 5つ目に、大学の教員養成課程の授業、または教育実習等で教師になってからの初任者研修の単位として振替ができるような制度はできないものかと考えています。これは都道府県ごとに多少の当然違いがありますが、法定研修である初任者研修によって、初任者は1年目に学校や授業から離れて研修しなければならない期間があります。これは本人にとってもちろん当然勉強にはなる一方で、教師が教室に不在になる状況を作ってしまうことは本人も負担でしょうし、また保護者からのクレームも毎年寄せられています。ここを、先ほどもありましたが、教育実習と絡ませた何らかの振替ができれば、初任者研修の負担も減る上、大学の講義にも熱意を持って臨むことができると思います。
 6つ目に、私はかねてから学校という学びの場を、「子供たちが未来を感じられる空間」にならないか、またそうしていかなければならないと思っています。GIGAスクール構想などで少しずつ現状の社会に追いつこうとはしていますが、これからの教師は、教師自身の経験や過去に基づく教育だけではなく、教師が未来を感じて学んで現在の教育を変えようとするマインドセットを持つべきだと思います。これは大学の授業にも関係すると思いますが、学校における教育実習だけでなく、ある意味、学校から出て最先端の産官学と連携した実習も含め、ネーミングとしては教育未来実習のようなもので、そういう学びができないのかと夢を描いています。
 よろしくお願いいたします。
【秋田部会長】  ありがとうございます。6点の御提案と御意見をいただきました。誠にありがとうございます。
 それでは続きまして浜佳葉子委員、お願いいたします。
【浜委員】  東京都教育委員会教育長、浜でございます。全国都道府県教育委員会連合会の会長も務めさせていただいております。私ども東京都教育委員会といたしましても教育実習、大変貴重な機会と考えておりまして、教員になっていただく方の質の向上という意味でも、それから学生さんに学校という現場、職、自分が就くかもしれない職業の現場を見ていただくのに大変貴重な機会と考えております。
 東京教育委員会の場合では、まずそのためにきちんと実施していただけるように大体、年間4,000人から5,000人の実習生の実習先を探すマッチングのお手伝いもさせていただいております。
 それから実際に実習先で受けて実習をしていただくに当たって、受入先の学校で有意義な実習を受けていただくためにも、実は教育実習、先ほどお話も少しありましたけれども教育実習を契機に教員になる気持ちを固めた学生さんもいらっしゃる一方で、教育実習を機に教員になるのを断念する方もいらっしゃる話も聞いておりまして、決してその教育実習がそういうマイナスの機会にならないように有意義な機会になってもらえるように、受入先の学校に向けて、教育実習ガイドというリーフレットを全校、都内の全学校に届くように配布をしておりまして、実際に教員になった学生、新しく教員になった方々に教育実習でどんなことが役に立ったかとか、どういうことをもともと期待していたのかというようなことをアンケートをとった結果と併せまして、教育実習でどうだったかもお尋ねした上で、実際に受入先の学校ではこういうことを踏まえて十分に学生さんの期待に応えられるように、こういう支援をしていただくと効果的な実習になりますということで御配慮いただけるように、その手引となるものを各学校にお配りをして、双方にとって有意義な機会になるようにとお手伝いをさせていただいています。
 それからもう1点、学校によってはスペースの都合などで職員室の中に実習生の席がない、パソコンもないようなところもあったという話も聞いたものですから、その教育実習の受入れの環境整備にもしお金がかかるようであれば若干の費用負担を都から支援するということで、予算も少し確保しておりまして、そういった席やパソコンを実習生の分用意するとか、あるいは教員の負担が大きくなるようであればサポートする体制をその期間だけでも用意するような、若干の費用負担の手伝いもできるような予算措置もしておりまして、有意義な機会として教育実習が十分に効果を発揮できるような工夫も私どもはしているところでございます。
 すいません、簡単ですが以上でございます。
【秋田部会長】  ありがとうございます。東京都の取組についてお話をいただきました。誠にありがとうございます。
 それでは続きまして、真島聖子委員、お願いいたします。
【真島委員】  お願いします。愛知教育大学の真島聖子と申します。このたびはありがとうございます。いろいろと貴重な機会をいただきまして。
 本学は先ほどの資料の4にありましたように、「学校体験活動」と「教育実習」につきましては、1年生の頃から「学校体験活動」をやり、2年生でも「学校体験活動」をやり、3年生の「教育実習」に向けてその素養というんですかね。子供たちを理解したり、学校の先生の様子を理解したり、自分たちが「教育実習」に向けてどんなことを準備していけばいいかについて1、2年生の頃に学習をします。それから3年生の段階では「学校体験活動」と「地域協働体験活動」から選択ができまして、より「学校体験活動」で深めていきたい学生さんはそれを選択できます。
 もう一つ、地域については、「地域協働体験活動」というのを新しく作ったんですけれども、先ほどの戸ヶ﨑委員のお話がございましたように、いろいろな企業の方とか地域の方とかNPO団体とか、そういった方々と一緒に協力して授業を行い、子供たちを最終的には本学に招待して、「子どもキャンパス」という形で学生が企画・運営を行います。例えば、専門家の人と協働しながら、「教育実習」とは少し違って、大学に子供たちを招いて、学生が得意な部活動について、サッカーが得意だったらサッカーのフェスティバルを開いたり、空手が得意な子だったら空手を子供たちに教えたり、あるいは和菓子づくりが得意な子だったら和菓子屋さんと協働して和菓子づくりを子供たちと体験したり、あるいは、レクリエーションのコースでは、レクリエーションについてまずはレクリエーション協会方から学んだあと、学生が今度は自分たちが企画をして子供たちを招いて、一緒に大学生と子供たちがレクリエーションを通して学びます。
 本学は、「未来共創プラン」と大学の中長期ビジョンを2020年度に策定しまして、今年3年目になりますが、一番のねらいは、「教職の魅力共創」です。うちの大学は教員養成なので基本的には教員になりたいと思う気持ちを持って大学に入学をしてくれるんですけれども、先ほどのどなたかの委員のお話がありましたように、だんだん勉強すればするほど真面目な子ほどちょっと自分は無理かなとか、こんなに大変なこと、できないとか、一生懸命な子ほど実は躊躇してしまったり、不安に思ってしまったりする学生も中にはいるんですね。
 そういう学生さんに対しては、「子どもキャンパス」ということを学生自身が企画する、あるいは教員とコラボして企画する、あるいはうちの職員と一緒になって企画するということで、まずは子供たちを自分たちの大学に呼び込もう、呼び込んで一緒になって活動することによって子供と触れ合うのって楽しいなとか、子供たちってこんなことで遊びから学びを生み出すんだとか、そういう子供との関係性づくりというのを大学の中でいろいろな企画を通して自分たちのクリエイティビティを高めていって、教職の魅力共創につなげていこうとするものです。
 それというのは、実は教員にとって最も重要なポイントはクリエイティビティだと思うんですね。授業においても、ただ教科書をそのまま教えるという先生はほぼいなくて、教科書に基づいたり教科書を活用したりするんですけども、いろいろな教材を新しく開発したりとか、自分でフィールドワークをしていろいろな出会いを見つけてきたりとか、ゲストを呼んだりとか、新しい教材を開発したりとかしてその面白さというのに気づいてもらうのが4年間の間で非常に財産になる。それは海外に行く経験ももちろんそうですし、企業のインターンシップとかいろいろな経験、アルバイトもそうですし、ボランティアもそうですし、いろいろなこともそうですけれども、そういったいろいろな経験を積む中の一つとして本学ではそういった共創の場づくりとして「子どもキャンパス」を開催して、どんどん子供たちを大学に呼ぼうとしています。
 今は特別支援学校の生徒さんを呼んできて、特別支援の生徒さんとも一緒に触れ合って遊びをしたり学びをしたり、特別支援学校の生徒さんが作った作品を大学の中で売ったりとか、一緒に遊びを、例えば飛行機を作って飛ばす遊びをしたりとか、いろいろな形で学生が関わっています。実習というのは学校に行くことがメインだと思うんですけれども、それプラス、大学の中でもいろいろな遊びから学びを通してクリエイティビティを高めながら子供を理解したり、子供のことを大事に思ったり、そういった活動を支援する教師の役割とか、あるいは教育支援専門職もうちは養成していますので、そういった心理とか福祉とかそういった支援員、学校事務になりたい学生さんもいますので、そういったサポートの在り方というのもこういう活動を通して学ぶことで将来、4年生で卒業した後とか、自分の中でちゃんと自信を持って頑張ってやっていこうと思う気持ちを高めていけたらいいと思って今、活動しています。
 以上です。
【秋田部会長】  キャンパス、未来共創プランを中心にした具体的な事例をお話いただきました。ありがとうございます。
 それでは次、本来はオンラインの方に続けるところでございますが、途中退室の委員もおられますので、先に吉田委員、お願いいたします。
【吉田委員】  ありがとうございます。途中退席させていただく関係で先にお話しさせていただきます。まずもって今期もよろしくお願い申し上げます。そして秋田先生、松木先生、よろしくお願いいたします。
 私がここ数年特に感じていますのは、まず教育実習に来る生徒が減ったことです。私、富士見丘中学高等学校という女子校ですけれども、何しろ教員を目指す子が減ってきたというか、本音では先生になりたい、だけれど先生になるためには単位が多い。それから実習もある。そして言い方は悪いですけれど、教育実習と就職の時期の問題というのがあります。今、採用活動をもう少し早くしようという話も出てきているようで、採用試験を早くしたりしているところもあるみたいですけれども、そうすると今度、実習が終わっていない子を採用するのかという問題も出てくるでしょう。今いろいろな企業等がインターンシップを使うようになってきていて、教育実習とインターンシップの関係というのをもう少し何かうまく使えないのかと。
 教員を目指す子は、早いうちからインターンシップのように学校といろいろ接することによって変わってくる部分もある。それから教育実習に来て初めて、生徒たちは学校の先生ってこんなに大変なんだと知るようです。つまり自分たちは授業とか部活とか、そういうところでしか会ってないわけですけれど、その裏で先生たちが教科の勉強をしたり、授業の準備をしたりとかいろいろな部分があることを知らなかった。それに気がついて余計大変だと思ってしまう子もいるのかもしれません。
 でも、それだけやればやるだけ楽しくて、先生って本当にこんなに楽しいんだよということが分かってくれる人をつくるためには、私はこの教員免許状の取得をもう少し簡単にしないと、今の特免と臨免という3つの制度があるわけですけど、特免の部分がかなり緩和されてきていまして、ですから企業で様々な経験をして先生になるほうがよっぽど簡単だみたいな状況にもなってきているのではないでしょうか。
 それから大学においては今、専任教員の部分において、基幹教員という制度を使って学問を教えていたら専任でいいということにして、もうどんどん先生を増やそうとしていますよね。そういうことを考えると、高校以下は教育課程がしっかりしているせいもありますけれど、教員免許状というものに縛られるために、これからICT関連もそうだと思いますし、英語4技能等もそうだと思いますけれど、どんどんいろいろな新しい技術というか、知恵を持った人が必要になってくる訳ですけれども、古いまま決められたものでしかできないと。その取得の難しさというものを解決する意味でも、教育実習で私は3週間来ているからといって本当にそれで先生になれるものではないと思います。
 それとは逆に、教育実習を受け入れる学校の先生方にとっては、負担をかけている部分もないとは言えないと思っています。結局、同じ授業をもう1回やり直さなくてはいけないとか、指導に時間が取られるとか、いろいろあるみたいだと思いますけれども、でもそういうことを含めても、うちはまだ教え子、卒業生ですから、みんなかわいいからやってくれますけれど、国立大学さんなどや付属の高校とかはかなり負担があるのではないかなと心配もしております。
 ですからそういう部分で教育実習というか、まず教員になる学生をこれから増やさなくてはならないのですから、先生不足で大変なことになるのではないかと危惧しております。よろしくお願いいたします。
【秋田部会長】  吉田委員、どうもありがとうございます。教育実習生が減ってきている問題を御指摘いただきました。ありがとうございます。
 それでは、もう一度オンラインの松田悠介委員にお戻ししたいと思います。松田委員、お願いいたします。
【松田委員】  よろしくお願いいたします。Teach for Japanの松田でございます。Teach for Japanを創業してもう十数年になりますけれども、創業当初から様々な教育委員会、学校に対して私どもが独自で育成採用した先生を御紹介させていただく活動を行ってきております。これまで特別免許状の発行を教育委員会と連携をしていったり、最近ですと現職の先生も我々の研修プログラムに参加いただく事例も出てきておりますけれども、今回、部会も大学の先生方が多い中で民間という立場で入っておりますが、これまでの経験でしっかりと貢献してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 コメントですが、先ほどの事務局から発表があったパワハラの話はあってはならないことだと本当に思いました。このようなことが起きないような仕組みづくりは急務だと。ただし教育実習の在り方とハラスメントの事案は切り離して議論をするのが適切じゃないかと思いました。どうしても論点が交ざることによって本質的な議論がなかなかできなくなってしまうこともあると思いますので、今後もし本事案を取り扱う場合はぜひ別個で取り扱っていきながら、おのおのしっかりと議論をしていくことを提案させていただきたいと思っております。
 私、教育実習は大いに意義があると思っていまして、私も一番最初のキャリアは教員からスタートしましたが、教育実習があったからこそ、現場に入りたいと思いましたし、完全に教育実習で1人前になれたなんて、思わないですが、ですが心の準備ができたかと思っております。ただし教育実習の在り方というのは変化していくべきだと思っています。何よりも大切だと思っているのが、改めて教育実習の目的を考え直して各ステークホルダーで合意することだと思います。いろいろな方々がいろいろな目的意識を持って、制度が続けば続くほど、いろいろと不都合が出てくるかと思いますので、再度明確にして全ステークホルダーとすり合わせをしっかりと行う必要があると思います。
 あとは昨今、教員不足なわけなので、教育実習の立ち位置を絶好の採用の角度を高める機会として捉えるべきじゃないかと思っています。企業のインターンシップってやられている企業が多いですけれども、あれは基本的に採用活動の一環だと思うんですよね。その中でもちろん、その採用活動というのも見極めるための活動というよりは、本当にうちの企業のことを好きになってもらうために、それこそ先輩との働いている人のマッチングであったりだとか、検証を入れてったりだとかすると思うので、採用戦略における企業のインターンシップみたいなものを参考にしていきながら学校現場の教育実習も再設計をしてみると、先ほど委員の方々からもありましたけれども、参加する学生がわくわくして先生をもっと目指したいと思う人が増えるんじゃないかと思っております。
 あとは実習も短期間ということと、あと先ほど採用活動と重ならないようにというのもありましたけれども、大学4年間の中で今後散らすことも検討していかれると思いますが、その実習の形も多様化、これはよく出ている話だと思いますが、NPOであったり学習支援教室への指導経験であったり、あと塾講師での経験とか、こういったものも加味してもいいんじゃないかなと思っております。
 最後に、教育実習生の受け入れによる学校現場の負担についてですが、中にはうまくいっているケースもあると思います。うまくいっている事例も改めて分析をしてグッドプラクティスから学んで広げていくことも今後考えていければと思っております。
 私からは以上でございます。
【秋田部会長】  ありがとうございます。
 それでは、これからオンラインではなく対面でさせていただきます。もしオンラインの方で聞きづらい方がおられたら、またお声を上げていただければと思います。
 それでは荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬委員】  ありがとうございます。独立行政法人教職員支援機構の荒瀬と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 いろいろとお話がそれぞれ委員の方から出ていまして、大変興味深く伺っておりました。私からは、1点だけ申し上げます。教育実習というのは教員免許を取るために必要な、どうしても通らなければならないものであるわけですけれども、教員免許ってどういうものなのかということにつきましても、改めてこの教員養成部会で議論できればいいと思っています。特別免許状の交付を受けて、教育実習も経験していない、当然ながら教職課程も大学で取っていない、そういう人が現場に立って非常にすばらしい先生としてやっているケースというのが現実にあります。また、中には管理職になっている人もいます。そういったことも含めて考えていくと、本当にこれからの学校の在り方というものを考える際に、教員免許というものから学校の在り方を考えていくのも大事だと思っております。そんな議論が秋田部会長、松木部会長代理の下でできればと思っております。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
【秋田部会長】  どうもありがとうございます。重要な点を御指摘いただきました。ありがとうございます。
 それでは続きまして、岡本幾子委員、お願いいたします。
【岡本委員】  大阪教育大学の学長の岡本でございます。昨年4月より学長職に就きまして、1年間いろいろな仕事をしてまいりました。大阪教育大学は、昨年度、教員養成フラッグシップ大学の指定を受けました。それ以前から学部と大学院の一体的改組を行う予定でございましたけれども、フラッグシップ大学の指定を受けてより迅速にその取組が進んで、現在、令和6年度の開設に向かって手続きを行っているところでございます。
 その中で、教育実習についての発言と自己紹介ということですけれども、本学は教職大学院につなげていくために、学部段階での先取り履修を4回生で実施する計画を立てています。教職大学院の一定の授業を受けて、教職大学院に進学し、M2になった際に、より自由度が高い時間配分が可能になりますので、学校現場に出向き、研鑽を積みながら、戦力として学校現場にもお役に立てる人材として成長していけるような仕組みづくりを令和6年度に向けて行っているところでございます。
 一方で、学部の教育実習につきましては、先ほど国立大学は附属での教育実習、大変じゃないでしょうかというお話がございましたけれども、本学における大変っていう捉え方は、多くの教育実習生が限られた数しかない附属学校へ集中しますと、教育実習の質の問題が生じる懸念があり、そのことを重く受け止めておりましたので、それを解消するために、大阪府下の学校の御協力をいただきまして教育実習を行う、ただ、その場合でも母校は避けましょうという形で進めてきておりました。
 しかし、昨今の考え方で地域に根差した先生になりたい、良く知っている地域で親近感を持って教師になるという観点から、母校実習を勧める取組をしております。校長先生の中には、考え方は分かるけれども賛成できないという御意見をお持ちの方もいらっしゃるので、そこの辺りを調整しながら、まずは学生が充実した教育実習を受けることができる仕組みを整えたいと、頑張っているところです。
 先ほど資料4に基づいて教育実習の柔軟化の話が出ておりましたが、これに関しましても、教員養成系の大学は4年間積み上げ式で学校現場と関わりながら学生が育っていくわけですけれども、これが教育実習の単位の一部となると、もっと柔軟な教育が実現できるのではないかと考えているところです。
 学長になりまして教員の立場、あるいは理事、副学長の立場と異なったところといいますのは、地元の教育委員会、教育長の方々と実際に対面で話ができる機会をいただけるようになって、大阪の教育の現状を伺えるようになりましたので、それを大学運営に活かしたいと考えているところでございます。よろしくお願いいたします。
【秋田部会長】  どうもありがとうございます。大学と委員会や学校との関係について、また学部と大学院段階での実習の在り方もお話をいただきました。ありがとうございます。
 それでは続きまして、貞廣斎子委員、お願いいたします。
【貞廣委員】  よろしくお願いいたします。千葉大学の貞廣と申します。教育実習についてということでございますけれども、私自身も教員養成課程に身を置いている身でございますので、どのような立場から、またどの点に焦点化して発言すればいいか、若干戸惑っておりますが。中でも一研究者として今日お示しいただきました資料4に、これを手がかりにして幾つかの意見を申し上げたいと思います。
 まず1点目は、お示しいただいている通年で決まった曜日などに実施をするという長期間にわたる実習の御提案でございますけれども、これはとても私も常々ぜひ導入するべきだと思っていたところでございます。もちろん3週間や4週間、集中して学ぶ良さというのもあるんですけれども、学校は1年で、そして子供たちは1年で大きく成長するわけで、その一部分だけを切り取った実習というのは半ば季節労働のような感じでもあり、また子供の育ちを十分にリアリティーを持って体感できない課題があったかと思います。ぜひこれを教育実習の一部と代替する方法というのは、恐らくはそれぞれの大学が自主的にカリキュラムを考えていくことになろうかと思いますけれども、一つ重要な選択肢になろうかと思います。
 2点目でございます。ただ、そのときに今、本当に学生に現場での学びをさせたい、させたいと圧が強過ぎて、この教育実習の単位でなくてもインターンシップ的なことを大学1年生からやっている大学、多ございます。私ども本学も実際にそうしているわけですけれども、正直申し上げまして、はたから見ていますと学生の負担が非常に大きいと感じています。こうした通年の実習というのを決して外付けにはせず、この4単位の部分に必ず収めるような制度設計をするべきだと思っています。そのような形にしませんと、学生の多様な経験を阻害することになると思います。今でもインターンシップ的な現場に入っていく活動が4年間入っていると、留学をしたり、アルバイトをしたり、課外活動をしたりという多様な経験が教育学部の学生が積みにくくなっています。
 ただ、先ほど戸ヶ﨑委員より人間的な魅力のある教師というお言葉がありましたけれども、私自身は現場の経験ももちろん大事だけれども、むしろ多様ないろいろな経験をした方に教育現場に入って子供たちを導いていただきたいと思っておりますので、学生の負担を増やすのではなく、学生が柔軟に多様な活動もできることを担保した状況でこうした新しい実習の形をつくっていっていただきたいと思います。例として私ども本学、全員留学というのを掲げているんですけれども、教育学部の学生はとても苦労しています。行きたいけれどもカリキュラム、実習があって行けないということがあるので、むしろ、何というんですかね、言い過ぎかもしれませんけれども現場ベースの実習に縛りつけるのではなく、それも含めて多様な経験をすることを強く意識していただきたいと思っています。
 3つ目でございます。1点目に関わって通年などの通年で決まった曜日云々という通年の長期にわたる実習を導入しますと、恐らく大学での振り返り、事後指導的なものを充実させることができるようになると思います。今も集中して3週間、4週間学んでいても、その学びをもう全部終わった段階でしか大学教員と一緒に振り返る機会がございませんので、なかなか十分に手が届かない部分もあります。事後指導の充実という意味でも非常に評価できるものだと思います。
 最後に1点でございます。教育実習の持続可能性ということで、一つ課題を申し上げますが、恐らく地域によって事情は様々かと思いますけれども、全国的に学校の小規模化、そして地域によっては教員の年齢構成の急激な若年化が進んでいます。そうすると教育実習を受け入れられる学校や教育実習生を指導する指導できる教員の数が限られていて、なかなか受入れ校を探すのが難しいような状況が今後もむしろ進んでいくことが想定されます。先ほど浜教育長から、都教委さんがマッチングの支援をしているというお話もありましたけれども、少し大きな枠組みでマッチングをしていくような仕掛けを考えていかないと、なかなか大学個々で全部探していくのが近々難しくなっていくのではないかと考えるところもあります。
 以上、雑駁でございますが意見とさせていただきます。よろしくお願いいたします。
【秋田部会長】  ありがとうございます。いろいろな観点からお話をいただきました。ありがとうございます。
 それでは高橋委員、お願いいたします。
【高橋委員】  東京学芸大学の高橋でございます。私は学部に所属していますけれども、教職大学院も博士課程も担当しておりまして、教員養成大学にいても学部生から社会人の博士課程の学生まで見るといろいろ課題はたくさんあると思いながら過ごしております。研究テーマとしては教育の情報化に関することをやっております。
 今回のこの教育実習に関する話題ですが、ちょうど4月ですので新入生が入ってきて、大学生活の見通しみたいなことを学生によく話します。一つ教育実習というのは4年間の学生の中で大きなイベントだと捉えている学生というのがすごく多くて、楽しみにしていると。その一方で非常に不安があると。だから質問も教育実習に関する質問というものが非常にあったりして、教員養成の学生にとっては教育実習というのはもう入学する時点から非常にウエートの高いものだと捉えている学生がいるんだと思っています。そういった意味では、教育実習を充実させていくのはある意味、教員養成系限らず免許に関する教職課程を受け持つ教員としては非常に大きなミッションがあるんだと思っております。
 ただ、一方で前回の答申、あの答申のときに関係団体へのヒアリングの資料を思い出してみても、教育実習に関する要望というのは非常に多岐に及んでいたと記憶しておりますし、非常に矛盾というか、方向性は一つではないという感じも受けております。なので、このことを一つのことに決めていくのは非常に難しい作業だと思っています。
 このように考えていきますと、今回この柔軟化というのは一つの答えの出し方だろうと、地域も含めてしっかり特性を考えてやっていただきたいということかもしれません。私はこの柔軟化のお話をいただいたときに少し感じたのは、今年の1年生もそうですし、今の2年生とかの様子を見ていても、このコロナ禍で体験活動が減っている、部活動とか減っていることがもう驚くほど、グループワークぐらいだったら何とかなるんですけど、何かキャンプみたいなイベントを決めるとか、ああいうものが非常に力が衰えているというか、経験不足だなってことがすごく感じられます。
 したがいまして、これは中期的なのか、長期的なのか、短期的なのかと考えますと、短期的に見れば早くこういうキャッチアップするような体験活動を学生に提供したいとは、すごく近視眼的ですが思っております。
 いずれにしても国立大学の教員たちは、教員採用試験に合格するような近視眼的なところをゴールに学生指導しているというよりかは、そういう試験は通り道であり、生涯にわたって学び続ける教師みたいな、少し大きめの視点で捉えておりますので、確かに実習に対して非常に厳しい指導をすることがあり、それが結果として教職の道を断念してしまうことにもつながっている面もあったり、この辺りをスカウトみたいにして採用活動の一環として捉えていくのか、もう少し中長期的な目で見ていくのかというのが、先ほどの荒瀬先生がおっしゃった免許って何なのかという話ともつながると思っております。
 少し長くなりまして、最後に1つだけ。情報化への対応については、我が大学に限らずですけど、教職課程によっては現場のGIGAスクール構想よりも大幅に劣った環境にあるケースも多々見られますし、あと現場も非常にオールドタイプなまま箱にしまっているままというところもなきにしもあらずというような気もしておりますので、とにかくこの情報化への対応というところに少し課題があるところは、他の委員の先生方と認識は一致しております。
 以上になります。
【秋田部会長】  どうもありがとうございます。いろいろなご経験を踏まえたお話をいただきました。
 それでは、続きまして森田委員、お願いいたします。
【森田委員】  立命館大学、森田でございます。初めて本会議に参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、どちらかといいますと開放制の一般学部の教員養成に長く携わってきました。その後は、京都教育大学の連合教職大学院にも参加させていただき、現在は立命館の教職大学院を担当しております。
 そういった経験から幾つか発言させていただこうと思っていますが、一つは教員養成における開放制の一般学部の役割とか、そういったところでどう教員養成を充実させていくのかを改めて考えなければならないのではないかということを、常々、私自身の問題意識として考えているところでございます。
 と申しますのは、これも経験則でしかないですけれども、どうしても私自身も教職課程、教員養成といったときには、ある意味で狭い意味での教職科目の部分だけを見てしまうのですが、一般学部の学生たちを見ていますと大学全体での学びの中で教師としての力をつけている側面も否定できないと思うのです。ですから多分、各学部、大学がそれぞれ工夫を凝らして教育の充実ということを図っている時代だと思いますので、そういった中でも教師としての力が育っているのではないかという視点を、一方のどこかで持っておかないといけないのではないかということを、勤務しながら常々考えているところでございます。
 もちろん、その前提としていわゆる教職課程をいかに質向上するかというのは大事だと思いますけれども、大学全体での学びの成果という視点も大きなところではないかといつも考えているところです。
また、学生たちも最初から教師になりたいと思って、つまり、18歳の選択という言い方がよいのか分かりませんが、18歳のときにその道を選択してずっと学習を続けている学生と、逆に迷いながらと言いますか、様々な経験をして迷いながら最終的に教師の道を選んでいく学生たちなども目にするわけです。
 そういった学生たちのことを考えますと、特に実習、学校体験活動というものを充実していくことはとても大事だと私も思っていますけれども、大学の実務的に可能かどうかというのは少し置いておきまして、実習や体験活動の在り方も多様な学生のニーズに合わせて複線化していくと言いますか、幾つかのルートで実習が終えられるようにすることも、各大学の中で考えていかないといけない時代だろうと思っています。
 それから最後になりますけれども、教職大学院に所属していますので、その観点からの意見です。先般、4プラス1という形で5年で教職大学院を終えるような仕組みをというような提言もございましたけれども、そういった4プラス1と考えたときに、こういう実習がどういう形になっていくのかという点にも関心をもっています。で教職大学院自体は御承知のとおり、10単位分の実習が課せられておりますので、学部の実習が5単位、そして教職大学院の実習が10単位、加えて、仮に複数免許状を取ろうとする場合には、さらにプラス数単位となり、かなりの実習の単位数になってきますので、そういったものを4プラス1というところでどう表現していくのかについて、個人的に問題意識として持っているところでございます。
 以上、まとまりませんけれども私からの意見とさせていただきます。ありがとうございました。
【秋田部会長】  ありがとうございます。それでは松木委員、お願いいたします。
【松木部会長代理】  福井大学の松木です。教育実習に絡んで4点ほど、考えていることについてお話をしたいと思います。1点目は教師の専門職の育成をどう捉えていくかということですが、専門職は教師以外にも医師や看護師等いろいろあるかと思いますが、その中で例えば看護師を取り上げてみると、福井県では実習担当看護師の研修を看護協会等の主催で二、三か月かけてやっています。つまり、看護実習を受け入れる現場の看護師も初めて経験することでもあり、実習でどういうことを学生に経験させたらいいのかというようなことを研修会で学んでいくわけです。また看護の実習でしたら、教育実習と違って実習病院に大学教員が貼り付いて実習を行います。しかし、こういったような実習制度の特徴のことを強調すると、教育実習では、特に開放制の中で教育課程を組んでいるところは到底、遂行不可能になってしまいます。そこで、教師としての専門職を育成するためのシステムをどう考えていくかということを、先ほど荒瀬先生の話からもありましたが、もう一度、根本から考え直していく必要があるんじゃないかと思っています。
 2つ目は、教師は「一生懸命お勉強して育つんじゃなくて、学校の学び合うコミュニティーの中で育つんだ」ということについてです。つまり、教師が育つためには組織学習のウエートがかなり高いと思われますが、現段階では免許制度にはそういったことは盛り込めていないと思います。先ほど木下さんからの話にもありましたが、教育実習は実習校にお願いする形になっていて、お願いされた学校は平等にまんべんなく先生を充てなきゃいけなくなるので、そうすると結構当たり外れが、こんな言い方したらほんと失礼ですがあるように思います。先生方が本当に一生懸命、組織の中で新しいことに挑戦しようとしている学校に実習に入った実習生は本当幸いだとも思ったりします。学校での学ぶ仕組みということを実習の中でどう捉えていくのかが2つ目の課題だと思っています。
 3つ目は、これも先ほどから論議になっている話ですが、短期集中か通年の長期的な教育実習かという点についてです。これに関して貞廣委員から出されたこととほとんど重複しますが、私どものところでは大学院では長期の実習をしています。これでいい点は3点明確にあります。
 1点目は、年間の学校のリズムがよく分かるということです。学校の忙しさも、あるいは中身も含めて、めりはりが結構年間通してあります。それを体感できることは教師の仕事イメージを持つ上で重要だと思います。
 2点目は、実習生が1年間を通して係ることで、子供の成長が見えてくることじゃないかと思います。どうしても2週間、4週間の集中では1回の授業をどうやって作るかということで精いっぱいです。そこを超えた発想を持つためには長期的な視点を持つことが重要になるかと思います。
 そして最も重要だと思うのは、これも貞廣委員さんが言われたことですが、大学がサポートできるということじゃないかと思います。ずっと張りついちゃうと、ずっと2週間、4週間学校に行っちゃうと、大学の教員は授業をしていますので、なかなかそこに足を運ぶってのは本音で言うと結構難しいんじゃないかなと思います。それが定期的に特定の曜日で行くことになれば、大学の中でのサポートとかができるようになりますので、実践と理論の往還ということに関しては一定の方向性が見えてくるんじゃないかと思います。
 ただし、開放制の教育学部以外のところでこれをやれって言ったら教育課程が崩壊しちゃいますので、まずやるとなると教育学部が先駆的に取り組むということをすべきじゃないかと思います。
 4点目は、異学年の実習生が一緒になること、これもすごく効果があると思っています。教えることは学ぶことでもありますので、本当に一緒に取り組んでいる様子を見ていますと学年、経験の違う者同士が一緒の実習を組んでいくのは有効じゃないかと思います。それを思うと大学4年間の教員養成を完成教育として見ない、むしろ生涯にわたって四十数年の成長を見据えた教師の教師教育のシステムを国が考えていくんだと。むしろ4年間は準備教育で、生涯にわたるリスキリングの中のシステムの中に教師を位置づけていくことを考えるべきじゃないかと思っております。
 以上です。
【秋田部会長】  ありがとうございます。森山委員、お願いいたします。
【森山委員】  ご紹介いただきました、玉川大学の森山と申します。今期もどうぞよろしくお願いいたします。
 今回、教育実習に関してということでございますが、これは当然のことながら大前提として、教員養成そのものの質的な向上に結びつくものですし、そういう考え方からいきますと、今回大学が教育実習については授業科目であるということから大学が責任を持つ点、もちろんそういう点もございますが、実質的にはそういう面と実習校、教育委員会との連携協力がまたこれも大きな要素ともなるわけです。
 そう考えますと、実習概念、捉え方といいますか、この辺りのところも今後は検討を行う必要もあるでしょうし、それは先ほど荒瀬理事長からもお話がありましたけれども、教員免許そのものの、どのようにこれを捉えていくのかということの流れにつながっていくものだと思います。
 今回、本日資料の5にお示しいただきましたけれども、また中教審の昨年末に出た答申も我々はしっかりと受け止めております。そのことも踏まえて、玉川大学におきましても全学体制において再度見直しを行っていく必要があるのではないかということで、今、見直しのただ中でございます。
 
 これまでも、例えば学生からの相談窓口等についても、全学一元化を図ることを進めてまいりました。これは参考資料にもございますが、大学への連絡を一本化することによって緊急的な問題にも早急に統一的に対応することができます。それから、教育実習の日程が大学休暇中に行われることも十分あり得ます。そういう面や、教職大学院も含めて実習そのもの全てを全学体制で一本化を図ることが重要です。担当の先生には、なかなか連絡が取れなかったとか、いろいろなことが生じております。そういうことを踏まえて今のような形で取り組んでまいりました。
 それから、4年一貫の教職課程支援について、特に学校体験活動、実習等を中心にしたプログラムを展開してまいりました。また、実習校、いわゆる現場の学校の先生方と大学が一体となって教育実習のガイドブックも作成いたしました。このような現状を踏まえて、今回、令和6年度の入学生以降については教育実習の柔軟な見直しを図っていこうということで進めております。特にこの見直しに当たっての前提としては、今日も御紹介いただいたように中央教育審議会答申が示した方針に基づいて教員採用試験の早期化、並びに複線化に対応して、それから加えて単位の実質化ということも踏まえながら現状を改善していこうということです。
 5単位であれば、5単位に相当する時間数の実習が必要ですが、学校によって、あるいは学生そのものによって大きく違ってくることもあるようです。単位数に見合った実習時間の確保が重要となります。
 そのほか検討に当たっては、課程認定申請において求められている、教育実習実施までに履修するべき単位等もございますので、そのことも踏まえて学生を送り出す。また、学校現場の事情も踏まえて、まずは教育実習の5単位等の在り方の見直しを行うことを進めております。これは分散化を踏まえた上での検討でもございます。
 例えば、教育実習に関する科目の構成から考えれば、教育実習について5単位を3単位までにして、学校体験活動の2単位を教育実習の単位に代えることを可能とするとか、あるいは教職実践演習の2単位を加えて7単位という形で、トータルで少し検討していこうというような方向で進めております。
 そういう中で、教職課程受講支援プログラムについて実習の見直しを踏まえながら、改善されるべきところを改善する方向で進めてまいりたいと、そういう現状でございます。
 以上です。
【秋田部会長】  どうもありがとうございます。大学の実際をお話しいただきましてありがとうございます。私もごく簡単に自分の体験として、お話したいと思います。私は前は研究大学の開放制のところで教員の実習なども関わってはいたんですけれども、現実問題として逆に修士や博士で教員になりたい学生は、それなりにおります。細やかな指導ではないんですけれども、自分で強みを伸ばして身に付けた高度な専門的知識を生かして教員になっていきたいような学生がいました。しかしながら、大学と例えば附属であったり関係している実習校が本当に密になって指導できていたかといえば、そのようなことはありませんでした。そこにおいてはケアもこれから開放制のところで実習をどうするのかということも重要な課題ではないかと考えています。
 一方で、今は、私は主に小学校教員の養成の大学学科におりますと、大変きめ細やかに実習指導も、それから事後もしております。理論と実践の往還ということのために実習というものがどのように機能したらいいのか、先ほどの実習というものが、その入り口に立つものと捉えるのか採用されていく入り口として考えるのか、なるための準備の実習と捉えるのかという論点があります。この辺りの位置づけということを明確に考えていく必要もあるだろうと考えております。
 また、素質というものが一体どう教員の資質として必要なものと考えるのかです。私が一つ出会った事例です。今、発達に遅れや障害を持った小中高校生もいて、大学に来て、でもそういう学生でも教員になりたいような強い思いを持っている学生もいます。そうした学生にきめ細やかな指導をすることによって、本当に実習をさせてもらってみんなが心配したけれども、うまくいくことによって多様な学生が教員になっていける、そういう道も開けうると思いました。今後そういう学生も増えてくるかもしれない、そのときに実習指導の在り方というものがどのようにあったらいいか、また採用が早期化していくときの実習の在り方がこれまでと同じでよいのかなど、もっと今後、免許の問題と同時に実習について考えていけたらいいと皆様のお話を伺いながら感じたところであります。
 それでは、本日の議事は以上でございます。最後に次回の日程について事務局よりお願いを申し上げます。
【平沢教育人材政策課課長補佐】  次回の日程については調整の上で追って事務局より御連絡させていただきますので、引き続きよろしくお願いいたします。
【秋田部会長】  ありがとうございます。それでは皆様、本日は長時間にわたりましてどうもありがとうございました。ぜひ皆さんと一緒に、この部会を、検討を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。以上でございます。お疲れさまです。
 オンラインの委員の先生方もありがとうございました。

―― 了 ――

(総合教育政策局教育人材政策課)