中央教育審議会「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(第7回)・基本問題小委員会(第7回)・初等中等教育分科会教員養成部会(第130回)合同会議

1.日時

令和4年6月27日(月曜日)15時00分~17時30分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 公立の小学校等の校長及び教員としての資質の向上に関する指標の策定に関する指針改正(案)について
  2. 研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン(案)について
  3. 令和の日本型学校教育を担う教師の在り方特別部会における審議経過報告(素案)について
  4. 特別支援教育を担う教師の養成に係る方策について

4.議事録

【渡邉部会長】  定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会第7回「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会、そして第7回基本問題小委員会、加えまして第130回初等中等教育分科会教員養成部会、この3つの合同会議を開催させていただきます。本日もウェブ会議システムでの開催になります。

 初めに、3名の委員の交代がございましたので、御紹介させていただきます。本日議事が大変詰まっておりますので、大変恐縮ですが一言ずつの御挨拶をお願いいたします。私がお名前を紹介した後に御挨拶いただければと思います。

 まず、藤田委員に替わって御参画いただきます浜委員ですけれども、本日は公務と重なりまして御欠席でございます。次回以降よろしくお願いいたします。

 次に、宮澤委員に替わりまして御参画いただきます平井委員です。それでは一言御挨拶をお願いいたします。

【平井委員】  平井でございます。皆さん、こんにちは。5月18日に全日本中学校長会の総会が開催されまして、前宮澤会長の後を継ぎました平井邦明でございます。学校は東京都台東区立忍岡中学校でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 続きまして、杉本委員に替わりまして御参画いただきます石崎委員です。石崎委員、よろしくお願いいたします。

【石崎委員】  石崎でございます。全国高等学校長協会の会長となりました、杉本会長の後を引き継ぎました。東京都立桜修館中等教育学校の校長をしております。どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

 それでは本日の会議の進め方につきまして、事務局から説明をお願いします。

【中村教育人材政策課長補佐】  文部科学省教育人材政策課の中村です。会議の進め方について確認させていただきます。

 本日もウェブ会議システムを活用していますことから、御発言に当たっては、聞き取りやすいよう、はっきり御発言いただきたいこと、御発言の際は名前をおっしゃっていただきたいこと、発言時以外はマイクをオフ、ミュートにしていただきたいこと、御発言に当たっては「手を挙げる」のボタンを押していただきたいことにつきまして、御協力をお願いいたします。

 Webexのチャット機能につきましては、傍聴者が閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合の緊急連絡手段としていただくなど、補助的な使用としていただくようお願いします。

 本日の会議の模様は、報道関係者と一般の方向けにライブ配信をしております。

 配付資料は、議事次第に記載のとおりとなっております。

 なお、参考資料5につきましては、本日議事としては取り扱いませんが、教員養成部会に設置されています課程認定委員会からの報告ということで、令和3年度教職課程の認定の後、令和4年度の教職課程が開始するまでの間に、やむを得ない事由により専任教員の変更が生じた大学について、書類審査を行い、最終的に全て「可」と判定した旨が報告されておりますので、御紹介させていただきます。

 事務局からは以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。

 本日の議事は4点です。御承知のとおり、教育職員免許法の改正案が今国会で成立しまして、7月1日に施行されます。同時に関連法である教育公務員特例法も改正されましたが、本日の議事1と2はこの教育公務員特例法の改正を踏まえた議事になります。

 改正法の概要につきましては、この後事務局から説明いただきますが、新たな教師の学びの姿、すなわち教師の主体的な学び、個別最適な学び、そして協働的な学びを実現するためということが法改正の趣旨になります。国会で多くの議論がなされたわけですけれども、新たな研修制度が円滑に機能するよう新制度への移行に向けた支援の充実を図る必要があること、新たな研修制度が教師の負担増にならないよう配慮すること、校長等からの一方的な指導助言にならないことなどへの留意が必要といったことが論点として挙がり、これらについて国としてもしっかり取組むことが法律の附帯決議に明記されたところです。

 こうした背景がある中で法改正の趣旨を踏まえた取組みが日本全体でしっかりと進むように、またこれらが浸透するように、議事1では教師の資質向上に関して国が定める指針の改正案について、議事2では新たな研修制度における研修履歴の記録や対話に基づく研修受講奨励に関して国が示すガイドライン案について、事務局から説明いただいた後に意見交換を行いたいと思います。

 次の議事3ですが、昨年3月に「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方について諮問を受けているわけですが、その審議として今まで特別部会が6回、その下に設置されました基本問題小委員会が6回開催されてきたところです。これらの審議経過を事務局でまとめたものが今回の議事3に挙がっております。これまでの審議を振り返りながら意見交換をさせていただければと思います。

 その次の議事4ですが、特別支援教育に関する有識者会議の報告等を踏まえた制度改正についての審議をお願いするものです。

 それでは早速、議事に入らせていただきたいと思います。まずは、先ほど説明いたしました議事1と2について、事務局からまとめて資料の説明をお願いします。

【中村教育人材政策課長補佐】  事務局の教育人材政策課の中村でございます。私からは、議事1、議事2をまとめて御説明いたします。

 まず、法改正の背景の背景といいましょうか、法改正そのものにつきまして、参考資料の1-1をご覧いただきたいと思います。こちらは教育公務員特例法及び教育職員免許法の一部を改正する法律の概要ということで、御案内のところもあるかと思いますけれども、改めてポイントだけ御説明いたしますと、概要欄のところ、まず1つ目の教育公務員特例法の一部改正のポイントとしては、丸1、任命権者が、校長、教員ごとに研修等に関する記録を作成するということ、それから丸2、指導助言者――いわゆる市町村教育委員会などのことですが――は、校長、教員に対し資質の向上に関する指導助言等を行うということ、この2本が柱でございます。それから2ポツ、教育職員免許法の一部改正の関係ですが、丸1に書いていますように、普通免許状、特別免許状を有効期間の定めのないものとし、更新制に関する規定を削除するといったものでございます。

 この改正の施行期日につきましては、一番下に書いております令和4年7月1日、こちらは2ポツの教育職員免許法の施行期日になっております。他方で、1ポツの教育公務員特例法のほうは令和5年4月1日が施行期日となっております。

 次のページを御覧ください。こちらは新たな研修の仕組みにおける主体を模式図として整理したものですので、御参考として御覧ください。

 次に、3ページを御覧ください。こちらは、この法改正も含みます令和の日本型学校教育を担う新たな教師の学びの姿をイメージとして図式化したものです。こちらの中で一番下のところに、文部科学省の役割としまして、教師の資質能力に関する指針の改正やガイドラインの策定といった、このことが今回の議題となってまいります。

 次のページを御覧ください。こちらは、部会長からも御紹介ありました国会における附帯決議をまとめているものです。簡単に御紹介いたしますと、1番のところ、下から2行目ですが、資質の向上に関する指導助言等については、指導助言者は十分に当該教員等の意向を酌み取って実施すること。それから4番、下から2行目、教員の研修等に関する記録の作成に当たって、当該教員から研修の報告等を求める場合には、報告等を簡潔なものとするなど負担増とならないよう留意すること。6番、2行目、研修等に関する記録の作成及び資質の向上に関する指導助言等は、人事評価制度と趣旨・目的が異なることを周知すること。それから、最後、8番、教員免許状を失効している者について、再度免許状が授与されるということについて広報等で十分に周知を図るとともに、都道府県教育委員会に対して事務手続の簡素化を図るよう周知すること。また、休眠状態の教員免許状を有する者の取扱いについて周知・徹底することなどが求められているところです。

 続きまして、資料の1-1を御覧ください。こういった背景を踏まえまして、今回御提案しています教師の資質の向上に関する指針の改正案のポイントをまとめたものです。趣旨としましては、変化の激しい時代において、変化を前向きに受け止め、主体性を発揮しながら、個別最適な学び、協働的な学びにより、教職生涯を通じて学び続けるといった新たな教師の学びの姿を実現する観点から、教育公務員特例法の改正を受けまして、より効果的な教師の資質向上を図るために改正を行おうとするものです。

 ポイントは5点あります。まず1点目、教師に共通的に求められる資質能力として、丸1、2、3と書いています従来的に求められているような、こういったことに加えまして、丸4として、特別な配慮や支援を必要とする子供への対応ですとか、丸5、ICTや情報・教育データの利活用といった5つの柱で再整理をするということです。

 2点目、新たな教師の学びの姿を実現する仕組みとして、研修履歴を活用した資質向上に関する指導助言等について、その基本的な考え方を明記するということ。3点目、校長に求められる資質能力を明確化するということとともに、校長の指標を教員とは別に策定するということを明記すること。4点目、お互いの授業参観や、批評し合うといったことも含めまして、校内研修の活性化ということを明記すること。それから最後、5点目、研修の性質に応じて、研修後の成果確認方法を明確化すること、特にオンデマンド型については、知識・技能の習得状況を確認するテストも含め、研修企画段階から成果の確認方法を設定するということを新たに規定すること。そして、教科指導については、指導主事による定期的な授業観察や指導助言に関し、オンラインの活用も考慮した効果的・効率的な実施体制を整備することを明記すること、この5点がポイントになっております。

 次の2ページを御覧ください。こちらは指針改正のポイントを網羅的に記載しているものですけれども、特に補足しますと、右上の「校長に求められる資質能力の明確化」の部分ですけれども、2ポツ目、教職員の資質向上などの人材育成の役割、それから今後特に求められるアセスメント能力やファシリテーション能力といったことを、校長に求められる資質能力として明記したいと考えております。

 それから、次の箱の「教師に求められる資質能力の構造化」ですけれども、先ほど申し上げた5つの柱で再整理する資質能力について、具体的な内容は別途大臣が定めるとしていまして、こちらについては別の資料で御説明いたします。

 次に、資料1-2を御覧ください。こちらが指針の改正案の本文になっております。赤字の部分が現行からの変更点というふうになっております。

 この中で、特に補足して御説明しますと、まず16ページを御覧ください。2番の学校管理職のマネジメントの下での主体的・自律的な研修の全校的な推進体制ということですが、こちらの下から4行目、「その際」のところですけれども、「研修主事等の研修に関する中核的な役割を担う教員の位置づけをはじめとして、当該学校の教職員集団の年齢構成等に適した校内体制が整えられるような人事配置に留意する必要がある。」というふうに記載していますが、この研修主事につきましては参考資料1-3のところに別途資料をつけまして、今回は御紹介にとどめて、御説明はしませんけれども、そちらのほうで学校教育法施行規則の改正ということを併せて行いまして、制度上明確化を行おうというふうなことを考えております。

 それから、次に20ページを御覧ください。こちらは先ほど文部科学大臣が別に定めるとご説明しました教師に共通的に求められる資質能力の具体的内容ということで、先ほどの5つの資質能力の柱に沿って、その関係性を整理したものです。次の21ページのほうは、それぞれの柱の内容を具体的に書き表したものです。これらにつきましては、昨年の中央教育審議会の議論の中で議論いただいて、一旦検討の方向性という形で整理させていただいたものをそのま採用しているというふうなものになってございます。

 指針につきましては説明は以上でして、次に、ガイドラインのほうの説明に参ります。

 資料2-1を御覧ください。研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関するガイドライン案のポイントということで、上半分には全体の構成を示させていただいております。こういった内容について新たにガイドラインを策定しようと考えておりまして、下半分の括弧1を御覧ください。研修履歴の記録の範囲としては、丸1、必須記録研修、それから丸2、その他任命権者が必要と認めるものということで、ここの部分に関しましては、法律上、もう既に明記されているものですので、それを改めてここで、おさらいで書いておりますけれども、今回のガイドラインでは、この中の丸2の「その他任命権者が必要と認めるもの」を具体的に書こうということで、後ほど別の資料で御説明しますけれども、丸2に含まれる研修を記載しようと考えております。

 次の2ページを御覧ください。括弧2、研修履歴の記録の内容ということについては、1ポツ目、研修名、研修内容、主催者等々の中から、研修の態様や性質に応じて、必須記録事項と記録が望ましい事項などを定めることということを記載しております。それから2ポツ目、こちらも後ほど少し詳しく御説明しますが、記録自体が目的化したり、過度な負担にならないよう、簡素化に留意することが必要であること。次の箱の括弧3、研修履歴の記録の方法につきましては、情報システムや電子ファイルなどが想定されるところですが、これに関しましては、国が全国的な研修履歴記録システムの構築のために調査研究を実施している状況ですので、令和5年度中のできるだけ早期に稼働できるよう、それを進めてまいりたいと考えております。

 それから、括弧4、研修履歴の記録の時期については、研修の性質に応じて、いろいろな方法、時期で記録をするというふうなことが考えられるわけですが、具体的に3点ほど、情報システムを通じて、受講の都度、自動記録するということですとか、期末面談前に、教師個人、あるいは校内研修等については校長等がまとめて記録をするといったことが想定されるということ。

 次の括弧5、対話に基づく受講奨励の方法・時期については、校長等が、期首面談・期末面談等の場を活用して実施することが想定されるということと、教科の専門性等に係る資質の向上に関しては、学校内外の同じ教科の教師や指導主事による指導助言を活用するなどの連携協力体制を整えることが有効であるということ。

 それから、右の括弧6、研修受講に課題のある教師への対応ということについては、期待される水準の研修を受けているとは到底認められない場合として、記載しています次のようなやむを得ない場合には、職務命令を通じて研修受講が考えられるということを示しております。

 次の括弧7、指導に課題のある教員に対する研修等として、1ポツ目に書いています、

研修履歴を記録する仕組みと対話に基づく受講奨励のプロセスを通じて、指導が不適切というふうな認定に至らないものの指導に課題のある教師に対して、早期・効果的な対処が可能になると考えられるということ。それから2ポツ目、指標を踏まえて、さらに伸ばすべき分野や領域、改善すべき分野・領域について、自己評価、それから学校管理職等による評価を行い、これを踏まえた研修計画書を作成し、研修を受講することが考えられるといったことを示させていただいておりまして、これに関しましては、米印に書いていますが、今般のこの研修充実等を踏まえまして、別途、指導が不適切な教員に対する人事管理システムのガイドラインのほうも改正することと考えております。こちらについては参考資料2のほうに、説明はいたしませんけれども、資料を添付してございます。

 続きまして、資料2-2を御覧ください。ガイドラインの骨格は以上のとおりですけれども、少し骨格のほうで御説明できなかった分について補足的に御説明いたします。

 まず、3ページを御覧ください。第2章の研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励に関する基本的な考え方として、1ポツのところに書いています、研修履歴の記録は、指標や教員研修計画を踏まえて行うとされています教育公務員特例法22条の6の規定による対話に基づく受講奨励というふうな、これに活用することが基本と書かせていただいていまして、その目的として、各教師が学びの成果を振り返ったり、自らの成長実感を得たりすることが一層可能になるというふうに考えられると。また、これまで受けてきた研修履歴が可視化されることによって、無意識のうちに蓄積されてきた自らの学びを客観視した上で、さらに伸ばしていきたい分野・領域、それから新たに能力開発をしたい分野・領域を見いだすことができ、主体的・自律的な目標設定や、これに基づくキャリア形成につながることが期待されるというふうに書かせていただいております。

 続けて、このポツのほうで、対話に基づく受講奨励は、教師と学校管理職とが対話を繰り返す中で、教師が自らの研修ニーズと、自らの強みや弱み、今後伸ばすべき力や学校で果たすべき役割などを踏まえながら、必要な学びを主体的に行っていくことが基本であるというふうに書いております。それから、新たな教師の学びの姿が、変化の激しい時代にあって、教師が探究心を持ちつつ、自律的に学ぶこと、主体的に学びをマネジメントしていくことが前提であることを踏まえ、対話に基づく受講奨励は、教師の意欲・主体性と調和したものとなるよう、当該教師の意向を十分に酌み取って行うことが望まれると記載させていただいております。

 次に、6ページを御覧ください。こちらの(2)の2つ目の丸、「このため」のところですが、研修の効果的・効率的な実施から離れて、記録すること自体が目的化することがあってはならないということ、それから、どの研修等を記録するか、しないかという分類の議論や、記録対象とする研修等及びその記録内容に関する基準を精緻に設定することに過度に焦点化することなく、記録の簡素化を図るよう留意する必要があるということを記載させていただいております。

 次に、8ページを御覧ください。8ページ真ん中ほどの箱から御説明します。概要のほうで少し説明を割愛しましたけれども、研修履歴の記録の範囲の一覧として、丸1の必須記録研修等として、法律上に規定された1、2、3ということのほか、丸2、その他任命権者が必要と認めるものとして考えられる研修を3点ほど記載させていただいていますが、具体的内容については10ページのほうを御覧ください。

 10ページの丸2、その他任命権者が必要と認めるものに含まれ得る研修として、小見出しで3点ほど書いております。まず1つ目の小見出しに書いています、職務研修として行われる市町村教育委員会等が実施する研修については、服務監督権者である教育委員会や校長等の判断の下、高い必要性に鑑みて職務として受けているものであることから、研修履歴の記録を作成することが望ましいとしております。また、学校管理職等がその内容を把握可能であり、一般的に職務研修に準ずる内容が求められる職専免研修については、研修履歴の記録を作成することが考えられるとしております。

 次の小見出しを御覧ください。校内研修・研究等については、学校現場における日常的な学びということで、その時期・頻度・方法等を含め、多様なスタイルで行われることが想定されるということで、一律にその研修履歴の記録を作成することになじまない側面があるが、教職生涯を通じた資質向上を図る上で教師個人の研修履歴を蓄積し、それを振り返るという趣旨にかなう一定の校内研修・研究等については、研修履歴の記録を作成することが考えられると。このような校内研修・研究等としては、例えば、国・都道府県・市町村による研究委託、研究指定や、年間を通じて、学校ごとに主題を設定した上で組織的に行う研究活動など、各地域・学校の教育課題に即して学校全体で体系的・計画的に学び合い、振り返りながら資質向上を図るものが想定されると記載させていただいております。

 次の11ページを御覧ください。最後の小見出しの、教師が自主的に参加する研修等については、例えば、任命権者以外の市町村、教職員支援機構、大学・教職大学院、教科研究会、民間企業等の様々な主体が主催する研修・講習が考えられるというところで、下から5行目のところに書いていますが、これら不定形のために詳細が把握困難なものや勤務時間外に行われるものなど、多様な内容・スタイルの学びが含まれることが想定されるといったことに鑑みまして、教師が自主的に参加する研修等については、教師の申告により選択的に記録することを原則にすることが適当だというふうに記載しております。

 次に、12ページを御覧ください。1つ目の丸は研修記録の内容の説明をしているところですが、こちらについては、柱書きに書いていますように、この研修履歴の記録は教師の資質向上・能力開発に資することを目的に行われるものであって、記録すること自体が目的化したり、過度な負担とならないよう記録の簡素化に留意する必要があるということで、例えばとして1ポツ目に書いています、研修レポートは、日常的な研修において獲得した知識等の記載を求めるのではなく、法定研修など教職生活における重要な節目で行われる連続性のある研修の際にのみ得られた課題意識や他の教師等との対話を手がかりに、自らの実践内容を省察させ、考えをまとめさせることを明確化した上で課すことや、記録する媒体によって記録する内容を分けるなどの対応というふうなことが考えられるということを記載させていただいております。

 その次にも書いています、特に教師個人に研修レポート等報告を求め、記録の対象とする場合には、例えば、法律に基づく研修履歴の記録として任命権者に提出するものは真に必要なものに厳選するとともに、それ以外の提出は求めず、その様式や保管等は教師自らが振り返りやすい方法に委ねるなど、過剰な報告や記録により資質の向上のための取組に支障を来すことのないよう留意する必要があるということ。他方で、記録自体とは別に、研修終了時に学んだ内容を振り返ったり、対話的な省察のプロセスを取り入れたりすることは重要であり、これらの活動を研修終了後のレポート提出等によるのでなく、研修プログラムの中に含めて実施することは有効であるといったことを記載しております。

 最後、17ページを御覧ください。17ページ上の段のほうの校長についての記載ですけれども、こちらは対話に基づく受講奨励の記載をしているセクションですけれども、上半分の下から6行目ぐらいの「その際」のところですが、校長に求められる資質や役割や、それに対する支援を記載させていただいていますが、校長に求められる資質能力として人材育成が大きな柱となるということは言うまでもなく、特に所属職員への対話に基づく受講奨励の主体としての役割や具体的な人材育成手法について、服務監督権者である教育委員会や任命権者による個々の校長の経験、適性等に応じた体系的・計画的な支援が行われることが期待されるといったことを記載しております。

 私からの説明は以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。それでは、ただいまの説明内容について意見交換を行いたいと思います。全体としては、改正法の事項をどう推進していくか、どう理解していくかということだと思います。そういった視点での御意見、御質問いただきたいと思います。ご発言のある方は挙手ボタンを押してください。

 それでは戸ヶ﨑委員、お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】  戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。細かくはたくさん意見がありますが、資料2-2に基づいて、大きく5点ほど述べさせていただきます。

 1点目は、2ページの新たな教師の学びの姿の実現のための研修推進体制のところで、(1)任命権者による研修推進体制の整備の2つ目の丸についてです。「教育センターが教師の学びに関する総合的な情報提供・相談窓口」とありますが、何かこの表現自体が、どこか他人事のように思えてしまいます。包括的な人材育成の責任主体である任命権者、その中核をなす教育センターというのは、情報提供、また相談窓口にとどまらず、研修に対するモチベーションを高める等の研修の牽引役としての役割が改めて問われていると思います。それに向けた対策の強化とともに、その全国ネットである都道府県指定都市教育センター所長協議会や、さらには全国教育研究所連盟の研究活動等の一層の活性化にも期待します。

 2点目は、3ページの3つ目の丸「日常的に接する機会が少ない教師との協働的な学び」ですが、一人職とよく言われる養護教諭や栄養教諭等のほかにも、中学校の保健体育を除く実技教科というのは、他教科と比べて人数が少なく、1人だけしかいないという学校も多くあり、学び合いの限界もあります。だからこそ今後は、データベース化された研修のコンテンツの充実、さらには自治体間ネットワークによる共同研修なども一層充実させていく必要性を感じています。

 3点目ですが、8ページの<研修履歴の記録の範囲一覧>についてです。特に枠囲みの中ですが、法定研修や職務研修以外の履歴が残らない可能性があることを危惧しています。研修記録が目的化しないためにも、多様な学びの履歴を残すことが教員の「個別最適な学び」を推進する上でも大変重要なことだと思います。特に「②その他任命権者が必要と認めるもの」の「職務研修として行われる市町村教育委員会等が実施する研修等」については、データの利活用やメディアリテラシーなど、最新の教育課題の研修を独自に早期に実施する基礎自治体もありますので、もし任命権者が「それらは必要とは認めない。記録の必要はない」と判断してしまったら、国で進めている令和の日本型教育の推進が画餅になるのではないかと危惧しています。しかも法定研修や職務研修のように、同じような内容を一律に受講する研修の履歴だけが記録として残っていくと、校長が教師の学びの個性化に対して適切にアドバイスすることは到底困難ではないかと思います。

 私の意見は、もしかしたら曲解であるかもしれません。この枠囲み、特に後ろの10ページですが、記録の優先度や重要度といった解釈等で、後ほど事務局から補足していただければ幸いです。

 4点目、17ページの1つ目の丸の、「期首また期末面談等を活用した教育長等による受講奨励」についてです。多くの市町村教育委員会では、校長の面談は教育長や事務局職員の幹部が対応すると思います。しかし、できれば積極的に教育委員も関わることで、校長のスキルアップや教育委員会の機能強化・活性化いわゆるレーマンコントロールにも繋がると思います。

また、同じ箇所で、校長については「研修履歴なども考慮した上で、校長としての資質向上を図ることが望ましい」などとあり、先ほどの資料1-1の1ページに、「校長に求められる資質能力の明確化」については、「校長の指標は教員とは別に策定」とありますが、これだけ管理職の希望者が減少していく中で、次代のリーダーとなる副校長や教頭、また主幹教諭の記載が全体的に弱いのが気になります。

 最後に5点目です。随所に「校内研修」のことが記載されていますが、教職員が学び合うコミュニティとして、協働的な学びと、復命の場としての校内研修を活性充実させることは極めて大切だと思います。私は校内研修についても研修履歴として残すべきと思いますし、また履歴に残すに足るような内容を実施すべきと考えています。しかし、現状はこの校内研修の取組には学校間での格差が大変大きく、活性化のための何らかの指導や支援が必要だと思っています。これを校長や市町村教育委員会に期待するだけだと、その格差がなかなか縮まらないことを危惧いたします。校内研修の活性化等に向けて、ぜひ、今後は文科省や任命権者のリーダーシップに強く期待します。

 ちょっと長くなりました。以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。非常に重要な御意見をいただきました。御指摘のあった研修履歴をどう活用していくのか、どこまでを記録するのかということは国会でも非常に重要な議論でありました。事務局から補足として、国会審議の状況等について説明を加えていただければと思います。

【中村教育人材政策課長補佐】  事務局の中村です。今御意見いただいたものの中で特に補足説明をというふうに言われております、いわゆるその他任命権者が必要と認める研修というところを今回具体化してガイドラインに書いているわけですけど、そこの考え方ですけれども、まずそもそも、その他必要と認めるというところ以外も含めて、全体の研修の記録の事項についての考え方としては、法律上の立てつけとして、今回必須記録研修というふうにしていますものは、いわゆる法律上、任命権者が研修履歴の情報を有していることがおのずと明らかなものを記載するというふうな考え方に従って記載しております。ですので、自ら研修を実施しているものを記載しているというところになっていまして、むしろ自ら研修していないものが、その他任命権者が必要と認めるものという類型のほうに移っていっていると、そういうふうなところが法律上あったということと、あと、御質問の答えにもなるんですが、その他任命権者が必要と認める研修というところについて、先ほどの必須記録研修との間の中で、これらの中で記録の必要性についての優先順位があるというわけではないということです。

 おっしゃっていただいた市町村教育委員会の研修ということについては、職務研修として行われるものもあれば、学校管理職等が情報把握できますし、自主的に参加されるようなものというのは必ずしも学校管理職等が把握していないといった、様々状況あると思います。研修履歴の記録システムができていくということであれば、市町村教育委員会の研修が受講の都度自動的に記録されるというふうな環境が整っていくということになっていっていいと思いますけれども、なかなかそこのシステムの導入状況がまだ整っていない、各地域によっても様々であるというふうなことに鑑みまして、記録そのものが過度な負担にならないように留意するという観点も、国会等でも指摘いただいたということも考慮しまして、学校管理職等が情報を把握していることが明らかと言える職務研修という類型をガイドラインの案の中に明記させていただいているということでして、決して市町村教育委員会が行われている、職務、職務外を含めた研修が劣後するとかということでは全くございませんので、記載ぶりや法律の立てつけの中でちょっと限界があったというところで、こういう立てつけになっているということでございます。

【戸ヶ﨑委員】  ありがとうございました。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。今回の法改正では、冒頭ありました教育センター等の活用についても、研修実施者や指導助言者の定義を改めて教育公務員特例法の20条で定めるなど、全体の構成がこれからの実務に対応する形でかなり整理をされたと思いますが、教育センターの役割や教職員支援機構との関係などは実務の中で、恐らく任命権者とのつなぎの中などでも工夫がなされてくると考えます。その点で大変貴重な御意見いただいたと思います。ありがとうございました。

 それでは引き続きまして荒瀬委員、お願いいたします。

【荒瀬委員】  ありがとうございます。教職員支援機構の荒瀬でございます。

 おまとめいただきましてありがとうございました。私、基本的に、必要な記録というのは必要だと思っています。私も将来的には、登録した段階でそれが具体に記録にまで行くというふうなシステムが開発されることを望ましいなと思っているんですけれども、それはそれとしまして、教職員が記録をする、ないしは教育委員会、あるいは管理職が記録するにしろ、いずれにせよ記録ということで新たな負担が生じるということは考えられるわけです。ただし、必要な負担は必要だと思っておりますので、それをどこまで必要とするかということの判断、ここが極めて難しいといいますか、立場によって考え方が違っていたりとかするのではないかと思います。

 それをこのガイドラインで示していただいているということだと思いますし、このガイドラインによって皆さんお考えになると思うんですが、その際、ちょっと細かな話なんですけれども、文末を見ていくと、例えば4ページ、先ほど御説明のあったところで、上のほうの丸の1つ目の最後の辺りを見ますと「対話に基づく受講奨励は、教師の意欲・主体性と調和したものとなるよう、当該教師の意向を十分にくみ取って行うことが望まれる。」とあります。この「望まれる」は強いのか弱いのかというと、私の言語感覚で言うと必ずしも強くないという気がするんですね。ただ、ここに書かれている内容は非常に重要で、教師の意欲とか主体性と調和させること、意欲を引き出す、ないしは意欲を持ってやろうとしている人の意欲をさらに支えるといったようなことはとても大事ですから、この「望まれる」といったような表現では弱いんじゃないかと思った次第です。一方で、「必要である」という言葉であるとか、「望ましい」という言葉であるとかいろいろありますので、そういった文末について、ぜひご検討いただければと思います。

また、もし検討ができるのであれば検討していただければと思うんですが、このガイドラインの最後に、要はこのガイドラインで重要なポイントはこれなんだという示し方はできないものかということを思います。昨年の審議まとめについても、「はじめに」があって、「終わりに」があって、「終わりに」のところに重要なことが再び書かれていて、それを読むと、審議まとめの性格がどうであるのかということが分かったというふうに思っています。それと同じような形の、ガイドラインの「終わりに」を書いていただくことについて、ぜひ御検討をいただければと思います。

 最後に、本来これまでの議論は何のためにやってきたかということを改めて考えてみますと、教師の主体的、対話的で深い学びというのが具体的に実現するにはどうしたらいいのかということを考えてきたはずです。それは、教師は専門職として学ぶ意欲が基本的にあると、もちろんそうでない人もいるから、そうでない人はこうしなければならないというのも書かれているわけですけど、基本的にやっぱり学ぶ意欲があるという前提に立って考えることが、教師に対するリスペクトとして非常に重要であると思います。

 その上で、この記録というのは、あくまでも教師の学びの、ある種索引的なものではないかなというふうに私は思っています。これを見ていくと、こんな学びがあったなということなんですけれども、その中で何を学んだかとか、どういったことが自分自身で課題と思っているかというのは、これは別途、個々の教師の、まさに個別最適な学びの記録というものを教師個々が作っていくことが大事だろうと思っています。そういったことを、私が今おります教職員支援機構でも進めていこうと思っておりますけれども、大事なのは、教師自身が誇りを持って学んで、専門職としての力を高めていくということなので、記録をするというのは、あくまでも索引を作るためのものですから、ここに必要以上に力を注ぐということは好ましくないと考えています。ただし、必要なものについては必要な負担としてやっていくことが大事で、そこの切り分けをすることが重要ではないかと思っています。

 以上です。ありがとうございました。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。大変本質的な御指摘をいただいたと思います。資料2-2のガイドライン案の本文でも、指導助言者が教員等の意向を酌み取ることと意欲や主体性と調和を取ることが重要だということも指摘されていますので、最初にいただいた御意見は、まさしくこのことを強調すべきことだと考えました。

 それからこの改正法の目指すものが、教師が高度専門職として自らが子供との間で道標になっていくこと、資質向上を図るということは、すなわち学び続ける存在であると見せていくことだと言えます。ガイドライン案の冒頭に趣旨が明示されてはいますが、御指摘いただいた最後の部分をどうするかについては要検討事項だと思います。ほかの方の御意見も伺った上で判断させていただきたいと思います。

 それでは次に、貞廣委員、お願いいたします。

【貞廣委員】  ありがとうございます。千葉大学の貞廣と申します。おまとめいただきましてありがとうございます。私からは3点、意見を申し上げたいと思います。

  1点目が一番大きい意見です。ガイドラインの球の投げ方はこれでいいのか、受け止めは大丈夫なのかという疑念です。この疑念は、おのずとその中に答えが含まれています。この部会等では、基本的に先生方の研修の充実というのは主体性と学びの自由度をベースにして展開するべきだということを共有して進めていたかと思います。また、負担というよりも、学びになるということも一つの柱であったと思います。そういう観点から見ますと、参考資料1-1のところにある附帯決議は、もろもろに目配りを利かせた、しっかりとした附帯決議をしていただいているというふうに思うんですけれども、改めて今日お示しいただきました指針改正のポイントなどを見ますと、例えば資料1-1の1ページ目のところの研修後の成果確認方法、研修後の成果というのは確認しなければいけないんですけれども、例えば、確認方法を明確化するとか、テストという文言が使われていたりとか、どちらかというと規格化、厳格化していくような方向性が見えてしまうような気もしています。

 というのは、各教育委員会、学校の先生方、校長先生、とても真面目でいらっしゃるので、こういうガイドラインをしっかりと守ろうとされるので、こちらから投げた球は主体性や学びの自由度を想定していても、非常に管理的な形で受け止めて制度設計しかねないということを危惧するわけです。先ほど荒瀬先生がおっしゃった文末のワーディングの問題などもそうだと思うんですけれども、決してこれは規格化、厳格化することを目的としているのではなく、専門職としての先生方の主体的な学びの自由というのも保障するべきだ、保障するものなんだということがしっかりと分かるような形にするには、もちろん本文自体の書きぶりというのも重要だと思うんですけれども、文科省のほうからも、決して厳格化、規格化、管理するという目的のものではないということをメッセージとしてしっかりと出していただきたいということ、これが1点目でございます。

 2点目でございますけれども、これは今回の主のものではありませんけれども、資料1-1の2ページ目の右上のところに、校長に求められる資質能力の明確化ということが記載されています。教員の資質能力の再定義というものも非常に大きく、何というか、転換する再定義だったと思うんですけれども、こちらに挙げられている校長先生の資質能力の明確化の再定義というのは、教員の資質能力の明確化の再定義よりも、さらに大きなアップデートというか、もう質自体が異なっているぐらいの資質能力の転換というものであろうと思います。また今回、対話の中で先生方の学びを支援していくという役割を与えられる校長先生の御負担も非常に大きいので、今回の履修履歴に基づく専門性の向上というものは、この校長先生に求められる資質能力をいかに妥当に明確化できるか、またはそれを共有していただけるかというところが非常に大きな肝になってくるというふうに思いますので、今回とは別のことですけれども、ここが非常に重要だなというふうに考える次第です。

 それともう一つ、3点目でございます。校長先生のアップデートほどではないですけれども、教員の資質能力についてもアップデートが必要だということで、実際には資料1-2の20ページのところです。何度もこの部会等でお示しいただいている、教師に求められる資質能力をこういうふうにアップデートしますという図です。全部で大きく5つの柱があるわけですけれども、この中でも、やっぱり今まで非常に、教員、教師というのは学習指導するものだったという長い歴史があるものであるということと、研修をする人、または、私は教員養成に携わっていますけれども、教員養成の段階でも、今までのそういう長い歴史の経路の中にあるリソース、スタッフによって養成や研修を対応するので、なかなか学習指導以外のところがすぐに充実させられるものになるかどうかというところは、どこもできるわけではないという現実が実際にはあります。先ほど戸ヶ﨑委員がおっしゃったように、とはいえICTや情報利活用というのはもう必須の課題ですので、この緑の部分じゃなくて、青、緑の部分もすごく大事なんですけれども、青い部分こそ、もう本当に早急にアップデートしていくということをしっかりと伝えていくようにできたらいいと思っているところでございます。

 いずれにしても、今3点申し上げましたけれども、2点目、3点目よりも、特に1点目です。本当に球の投げ方を気をつけないと、これは管理システムになりかねないというふうに考えますので、この辺りは十分練っていただけないかと思っているところです。

 以上でございます。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。1点目は先ほどの荒瀬委員等の御意見とも重なるところだと思いますが、法律体系そのものが管理的な要素がベースにある教育公務員特例法の枠組みの中に今回の要素を重ねているために、どうしても御意見のような形で受け止められやすいのだろうと思います。このガイドライン案もやや管理的な要素の文末となっているので、誤認されやすいのだと思います。先ほどの御意見にもありましたので、文末の在り方については少し検討が必要だと私も認識いたしました。後ほどそこは、ほかの方の御意見も伺った上で判断していきたいと思います。

 それでは引き続き、市川委員、お願いいたします。

【市川委員】  ありがとうございます。全国特別支援学校長会の市川でございます。

 資料2-2のガイドラインで14ページのところですが、今回の研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励というのは校長が非常に重要な役割を担うことになってくると思うんですけども、その中で、研修履歴を活用した対話に基づく受講奨励は、学校管理職が行うことが基本であるが、場合によっては、当該学校の規模や状況に応じて、主幹教諭など学校管理職以外の者がこれを担うことも可能であるという文章を書いていただいています。特別支援学校の場合には、多いところで200人ぐらい、200人を超えるところの定員があります。うちの学校で150人です。管理職は校長入れて4人ですから、分担してやっていくということも可能ですが、自己申告書、職務的な内容での面接以外に、研修の面接をしていくとなると、非常に管理負担としては大きい話になります。

 ここに書いてあるように、校長の委任の下で主幹教諭などが行うことも可能であるとさらっと書いていただいているんですけど、主幹教諭がこういうことを担っていくというのは簡単な話ではないと思います。というのは、主幹教諭は今まで、教員に対して授業等での指導助言はしておりましたけど、面接などをして、例えばどのような研修をしたらいいかということは今までやってきておりませんでしたから、非常にここら辺は難しいだろう、学校現場としては難しいだろうなと思っています。ただ、管理負担が多い特別支援学校などの場合には、校長や副校長や教頭だけでは難しいだろうなと思っています。

 あと、小さい話なんですけども、資料1-2の8ページのところで、この言葉がちょっと気になったので、御検討いただければと思っているんですが、地域の児童相談所や警察などの関係機関との連携・協働もこれまで以上に求められると書いてあるが、その前のところです。学校が福祉的な役割も期待される中ということなんですが、この福祉的な役割が期待されるから児童相談所や警察などの関係機関との連携・協働がこれまで以上に求められると、どういうふうにつながるのかが私は分からなかったのと、学校が福祉的な役割も求められる中と、さらっと書いてありますけど、こう書いちゃっていいのかなというのがすごく個人的には疑問です。

 以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。今日の議事3、4にも関連する御意見だったと思います。校長の役割、教師の役割の中で御指摘のような視点を総合的に見ていく必要があると思います。書きぶりのところについては、事務局から補足をお願いします。

【中村教育人材政策課長補佐】  事務局の中村です。今特に、御質問というか、よく分からないとおっしゃった最後の福祉的な役割とか、あと児童相談所、警察との連携といったところについては、こちらとしても改めて精査をしたいと思っておりますが、考え方としては、令和3年1月に出されましたいわゆる令和答申、こちらのほうの記載を踏まえまして、こちらを書いているつもりではいるところですけれども、改めて考えを精査したいと思っております。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。

 それでは次に松田委員、お願いいたします。

【松田委員】   ありがとうございます。松田でございます。事務局の皆さん、取りまとめありがとうございます。

 何度か記録が目的かしないことについて、相当強調されていたので、恐らく現場からの反応があったんだろうなと推察します。これを導入することによって現場がさらに疲弊してしまうのではないかという反応は理解できます。文科省としてもその懸念を受け止めて、記録することが目的ではなく、教員の資質能力の向上に目的をしっかり置いて本件を進めているんだと思います。

 私からは、設計と運用、そして周知の仕方についてコメントさせていただきたいと思っています。設計や運用についてのコメントは場違いかもしれませんが、ご容赦いただければと思います。

 まず、設計についてですが、既に本件は現場から多くの懸念が寄せられていると思います。こういったものが導入されることによって忙しくなるんじゃないかとか、使い勝手はどうなんだろうかという現場の反対意見は想像できます。ただ、この反対意見も、恐らくこれまでの使い勝手が悪いシステムやユーザーインターフェースを基に引っ張られていると思います。これまで負担感が非常に増えると感じてしまうんだろうし、前向きに受け止めにくいんだろうなと思います。今回の制度やシステム導入が現場がわくわくして早く活用したいと思ってもらえるようにしていく、そしてコミュニケートしていくことが肝なんだろうなと思います。

 私もEdTechの会社、そしてオンラインの学校を運営していますけれども、大切にしているのがテクノロジーの可能性を示すこと、これを導入したらこんなによくなるんだと、こんなに負担が軽減するんだと、そのわくわく感を提示することです。コミュニケーションの仕方を工夫するだけで前向きな受け止め方になります。今回も改めてどういうシステムを活用していくのか、そのビジョンを示し、現場が運用のイメージができるような状態をつくっていただきたいなと思っています。

 記録の自動化もそうなんですけれども、例えば面談内容の文字お越しも今は自動的異記録できるようになっています。テクノロジーを本当に活用することで圧倒的に負担を減らすことができると思います。また、設計プロセスもこれまでの日本のシステム設計のように、大型設計をしてから、こちらで勝手に作って皆さんに提示しますよということではなく、現場の声を吸い上げながらシステム設計をしていくことにもチャレンジしていくと良いと思います。現場も、自分たちの声を反映させていきながら作っていける事を知ったら、期待も持てるのではないかなと思います。

 今は世界のシステム設計は、プロトタイプを作って、試作品を作って、ユーザーの声を拾い上げて、使い勝手の良いシステムで設計するのがメインストリームなわけですよね。そういったものに倣って今後進めていかれることを期待をしています。こういった設計のプロセスも提示をすると、現場も受け入れやすくなるんじゃないかなと思っています。

 今回、 HRテックの領域に近い話なんじゃないかなと思っていますので、今後この構想を考えていく際は、旧来型のシステムベンダーだけではなくて、HRテックの会社であったりベンチャーにもいろいろと意見交換をして、文科省としてもイメージを膨らませていき、そのイメージを現場に共有していくということをこの制度であったり法令を周知するところに合わせてやっていかれるといいと思います。

 次、運用についてなんですけれども、運用についてもデータの活用方法であったりが見えないと、何のために記録するのかというところがどうしても批判の声として出てくることも想像できます。

 なので、実際のデータの活用方法や、データ収集が資質能力の向上にどう影響があるのかを、もっと現場がイメージできるようにコミュニケーションを取っていくことが重要だと思います。

 最後に、現場への制度のビジョンや運用の周知施策として、映像にまとめる事も提案致します。全体の制度やシステムの活用イメージを映像で提示をしていくことで現場の理解も進むと思います。

 私のほうから以上でございます。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。行政として、これからの浸透に向けた設計と運用について、非常に貴重な御意見だったと思います。

 文科省から何かありますか。よろしいですか。貴重な御意見として受け止めさせていただきます。

 それでは引き続きまして根津委員、お願いいたします。

【根津委員】  早稲田大学の根津です。今日ちょっと接続の調子があまりよくないもので、御迷惑おかけしております。申し訳ございません。

 まず、感想としましては、教師自身が職歴、履歴をどう記録し、作っていくか。また、その記録、その道標ですね、道しるべをどう示すかという点はカリキュラムの研究者としては非常に興味深いというふうに拝見をいたしました。

 意見を2点述べさせていただきたいと思います。まず1つは、校内研修と校外研修という2つの区分が表現として見られるんですけれども、この2つで表現するのはやや粗くないかなというふうに感じたところです。

 といいますのは、地理的に近い隣の学校、お隣の学校ですとか同じ市町村や教育事務所の範囲といったかなり限られたところで行われる研修というものは確かに校内とは呼べないんですけれども、実施形態だけ見れば校外の研修となるわけです。

 ただ、これは勤務地から遠く離れた、例えば県のセンターですとか、あるいは他県での研修と同じ扱いとみなすのは、研修の日常性あるいは有効性という点でちょっと無理があるのかなというふうに感じた次第です。少し校内研修というところ、場所の問題ではなくて、日常性というところから別の工夫もあり得るのではないかなと感じた次第です。

 もう1点です。これは先々の話になるかもしれないんですが、教員養成の場で今日のような内容をどういうふうに扱えばよいかということを感じました。教職課程コアカリキュラムへの追記等も含めて御検討いただくことになろうかと思います。

 今回、ここまでの御説明や議論は主に公立校の公務員ということが話題の中心だったわけですけれども、私が担当する教職科目で教員免許を取得する動機として、多くの教員は公務員だからというふうに述べる受講者というものは数が少ないです。あまり公務員として就職するというイメージがないのかなというふうに感じるところもあるんですが、関連して、私立大学や私立学校、私立の教員志望者向けの文言の工夫というものもどこかでは必要だろうというふうに感じた次第です。

 以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。1点目については御意見として承りたいと思います。

 それから2点目については、議事3に関連する御意見として受け止めさせていただきます。

 次の議題があるものですから、今3名の方が手を挙げた状態になっていますのでこの3名の方に絞って御意見を伺いたいと思います。時間が限られていますので、手短に御発言いただければと思います。失礼しました。森山委員からも手が挙がっているようですので、4名となります。それでは順次、御指名させていただきます。松木委員お願いいたします。

【松木委員】  松木です。資料1-1に関わって意見を述べさせていただきます。

 校長に求められる資質能力の明確化ということと、教師に求められる資質能力の向上化ということに関わってです。特に教師に求められる資質能力、これを5つの柱で整理されているということに関してです。現代的な課題として、特別な配慮を必要とする子どものことやICT等の活用についてつけ加わったということに関して、すごくいいなと思っています。

 その一方で、何か不足しているのではないか、これでいいのだろうかって思いが非常に強くあります。それはどういうことかというと、今回の改革の柱にもなっている校内研修等の研修の重視という視点です。これを考えたときに、学校の中で先生たち同士が学び合っていくということの重要性、つまり、対話を通してリフレクションをし、省察をしながら内容を自分でまとめてみるということについてです。

 だから記録の問題が今回また大きな問題として取り上げられているんじゃないかと思うんですが、教師の求められる資質として、個人の中に納まる内容以外の部分、つまり、ほかの人と学びを共有しながら、対話をしながら自己省察を高める能力、これが今回の改革の中では極めて重要じゃないかなと思います。この部分を入れていく必要があるのではないでしょうか。そして、その資質能力が取り上げられることが、管理職として新たに取り上げられているアセスメント能力だとかファシリテーション能力ということにも結果的にはつながっていくことではないでしょうか。管理職の能力と教員の一人一人の資質能力をつなぐ視点としても、対話を通して自己省察する能力が重要になってくるのではないかというふうに考えています。

 以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。議事3にもつながる御意見だと受け止めさせていただきました。

 それでは引き続きまして高橋委員、お願いいたします。

【高橋委員】  東京学芸大学の高橋でございます。よろしくお願いいたします。

 法令ということですので、少しずれているかもしれませんが、GIGAスクール構想で整ったクラウドのコンピューターシステムをふんだんに使っている地域の市の研修とかを見ますと、非常に研修が今までと形が変わっていて、上意下達というか、知識のある者が提供するみたいな形から、みんなが知恵を出し合って、先ほどから教師たちの学び合いということが出ていましたが、実際にそういうことが起こっているなというふうに感じています。非同期で分散で日常的な研修というものがかなり起こり始めているな、動画とチャットなどが非常に効果を発揮しているなというふうに思います。

 この記録の問題は、研修というのは上から下に何かを授けるものだという意識がやはり根底にあるところから、管理とかそういう話に僕はなりがちなんだなというふうには思いますが、こういうタイプの学び合いみたいな研修になっていくと、いろいろな先生が研修の講師になるということを感じております。

 今、この研修の記録の項目などを見ると、先生が講師になった場合の記録はどうなるのかなということとか、その辺りが少し分かりにくいかなというふうに思います。上から下に情報が伝達するんじゃなくて、様々な先生が教え合い、学び合いになったときの記録の在り方というのがあるなというふうに思っております。

 あと、先ほど動画の話も出ましたけども、動画も、今、文部科学省が作っている小学校低学年の体育の指導の動画なんていうのは、一番多いもので45万再生ぐらいありまして、これは下手したら小学校の全教員分より再生数が多いように感じられて、これNITSよりも多いんです。理事長の前で言うのも何ですけども、非常にニーズのある、だから、先生にとって非常に役に立つからこそ再生回数が増えるような、そういった動画もあるわけで、先ほども役に立つもの、わくわくするものであればというお話あったかと思いますが、そういったものは今ありますので、そういったものを上手に工夫して、現場でやられている先生が多分そういう動画を作ることがお得意かもしれませんので、そういうものも含めて、横からも斜めからもいろんな研修が行われるような、そういったスタイルというのも考えていければなと。

 ただ、これはまた法令ということなので、少し考え方はずれているかもしれませんが、私からは以上になります。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。分散の中での継続的な学びや学び合う中で創意工夫が生まれてくるということだと思います。動画の視点など、こういった工夫は大変重要な御意見だと受け止めさせていただきます。ありがとうございました。

 それでは次に大字委員、お願いいたします。

【大字委員】  全国連合小学校長会の大字でございます。

 まず、指針改正案のポイントなんですけれども、これについては現場として非常に納得できるというか、現場感覚としてもよく分かるところであります。特に研修の履歴をしっかりと記録をして活用できる、このことは教員一人一人が自分の学びの足跡をきちんと振り返って、自分はこういうことをやってきたんだなということと、次への研修の意欲につながりますので、あとはいいシステムが出来上がれば本当に活用したいなと、そのように思うところです。

 また、校内研修を活性化させる、このことが明記されたことも学校現場にとっては追い風だな、そのように思っています。

 今回、学校現場の率直な声を1点お伝えしたいのは、全連小として全国の校長たちに毎年調査研究をしているんですね。その中に、教員の資質能力向上のためにはどのような取組が必要だと考えるかと、このような質問をして、多くの校長が答えたのは次の2点です。1点目の教材研究や研修に使える時間の確保、もう1点が教員研修の充実を担保するための教員加配、この2点が圧倒的に多いわけです。

 今回の法改正がなされたとして、現場はどうやって時間を確保する、研修の時間をどうやって確保すれば充実できるのかということと、研修に行きたくてもやはり人の手当てが少ないので、行きたくても行けない。特に小規模校は本当にあとを補充できる教員の配置がありませんので、そういったところの人的な部分でも支援がないと、いくら研修を進めようとしても、現場としてなかなか現実性が、乏しいという言い方は厳しいかもしれませんけれども、なかなか現実的ではないかなというのが全国の小学校長の声です。

 私からは以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。事前に今回の法律改正に際して現場の声もいろいろとお聞きしていますが、御指摘のような意見はこの間も多く出されていたと思います。人の手当て、それから働き方改革を同時に進めない限り難しいという御指摘は今までもございました。その点は受け止めさせていただきたいと思います。

 それでは森山委員、お願いいたします。

【森山委員】  ありがとうございます。まず、これまでのいろいろな議論を取りまとめていただいた事務局の皆様に感謝いたします。

さて私のほうからは3点、お話をさせていただきたいと思います。1つは、今回のガイドラインの中のタイトルに対話に基づくということが示されています。まさにこのことが大きな新しい方向を示しているというわけですので、そこをもう少し分かりやすく表現し、さらに周知を工夫する必要があるのではないかということを感じています。

 それは、これから教員になろうとする養成段階についても、どのように周知するのかということをもう少し検討する必要があるのではないかと感じております。具体的に研修そのものをどのように捉えるのかということとも関わってくることですので、そのあたりのところも整理をする必要があるのではないかと思います。

 それから2つ目は、研修機会、体制整備等のところで重要な観点を示していただいていると思います。いわゆる臨時的任用教員等への研修機会の充実についてです。これは、臨時的任用教員等への研修機会の充実を図ることは、臨時的任用教員の正規採用教員に対する割合が高い自治体等にとりましては特に重要な課題だと思います。

 臨時的任用教員の多くは、正規採用教員になれなかったという経験を持つ方もいらっしゃるでしょうし、あるいは、正規採用教員になることを目指して勉強し、継続して続けている臨時的任用教員も多くいらっしゃると思いますし、数年にわたって挑戦するも正規採用教員になれずに諦めているという方もいらっしゃると思います。

 そうした、いわゆる臨時的任用教員といっても、多種多様の背景を持つ臨時的任用教員の研修を充実させるということが課題だと思います。自治体によりましては、臨時的任用教員の経験年数に応じて研修テーマを設定しているところもあると伺っております。正規採用教員を目指す臨時的任用教員を集めて、合格させるための研修を実施しているという自治体もあるようです。

 そのような意味も含めまして、臨時的任用教員は、児童・生徒数の増減に伴って、変化する正規採用教員の調整弁としての機能を果たしてきた経緯があることも踏まえますと、議論がもうすこし必要なのではないかと思います。

 最後に、教員等の資質の向上に関する基本的な考え方として、教員として適性に欠く1人の教員の存在が、真面目に誠意を持って取り組んでいる多くの教員の努力や成果を無にするということは当然周知の事実ですけれども、このことから、職務命令として教員を受講させるシステムを確立させておくということが必要だと思います。

 今回、適性に欠く教員ということでガイドラインにも示されておりますが、基礎自治体からいわゆる適性に欠く教員の報告を受けたとしても、その事実が紙ベースで記録されて、適性に欠く教員として第三者に証明し得るのかどうか、という判断がまた課題になってくるかと思います。私が今日お伝えしているのは、適性に欠く教員ということが、指導に課題のある教員とか、あるいは指導が不適切であるという教員との両方を指して表現したわけですけど、このあたりが課題になってくるのではないかと思いました。

 以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。このガイドライン案の主要事項について御意見いただいたと思います。対話に基づく受講奨励の件、体制整備に関する件、それから指導に課題のある教師への対応の件についても御意見をいただきました。大変貴重な御意見だったと思います。

 まだ他に御意見があるかもしれませんが、次の議題がありますので、以上とさせていただきます。

 議事1の指針改正案、議事2のガイドライン案はこれからパブリックコメントに付すことが必要になってきますので、今日いただいた御意見を踏まえて、修文する必要性のあるものについて検討を加えたいと思います。

 それから何名かの方からは、ガイドライン案について、全体の書きぶり自体が法令事項をベースにしていることからも、どうしても管理的な要素が強く出ているのではないかという御指摘がありました。

 また特にこのガイドライン案が指導に課題のある教師への対応を記した第3章で終わることも、かなり厳しいイメージを与えているのではないかと思います。

 したがいまして、御意見にもあったように、このガイドライン案の最後に「終わりに」の章を設けたいと思います。そこには例えば、1点目に「教師自体が子供たちの道標になって、学び続ける存在であることをベースにして、継続的な学びを認識すること」や「この研修履歴を記録管理するということ自体が目的化するのではなく、新たな学びに向かうための手段として活用するのだ」といった趣旨、2点目には「研修レポートやさまざまな報告事項、記録事項については簡素化を図ることが必要であり、むしろ教師の個人に負担のかからない記録方法とすることが重要であること」の明記、3点目には「働き方改革を進めることや、指導体制の充実等は取組みの前提として行われる必要があること」、最後に「地域の実情に応じた仕組みやルールを整備することが必要であること」といったようにいただいた御意見と国会の附帯決議などを兼ね合わせる内容を書き加えて、ガイドライン案をパブリックコメントに付したいと思います。

 今のことを条件としまして、パブリックコメントに付すことについては部会長である私にご一任していただきたいと思いますがいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

 御異議ないと認めますので、本日の議論の内容を十分踏まえた上でパブリックコメントに付すという方向で進めさせていただきます。

 それでは議事の1、2を終了といたします。

 次に議事3、令和の日本型学校教育を担う教師の在り方についての審議経過報告になりますが、事務局からまず説明をお願いします。

【樫原教員免許企画室長】  教員免許企画室長の樫原です。私から、令和の日本型学校教育を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について、審議経過報告の素案を説明いたします。横長の資料3-1が概要、縦長の3-2が本文になっております。画面では本文の該当部分を映しますので、全体像を確認されたい方は資料の3-1も併せてお開きください。

 まず1ページ目が目次。第1部が総論、第2部は各論の2部構成になっております。第1部は文章化しておりますが、第2部は、昨年11月の特別部会で示された検討の方向性について、各項目の論点の列挙にとどまっております。

 次に2ページです。令和3年の中教審答申で示された教師及び教職員集団の姿を紹介しております。

 続いて3ページです。こちらには昨年11月の審議まとめで示された新たな教師の学びの姿を紹介しております。

 次に4ページを御覧ください。多様な専門性を有する質の高い教職員集団の姿についてまとめております。具体的には、教職員集団を多様化し、学校組織のレジリエンスを高めることを示しております。そのために、現在の教員一人一人の専門性向上に加え、他の職種を経験した教師などを取り込むことの必要性を記載しております。

 また、単に教職員集団の多様化だけではなく、学校管理職のリーダーシップの明確化、心理的な安全性の確保、教員、教職員の経歴や背景の多様性を考慮したマネジメントの必要性も掲げております。

 最後の点について、学校管理職には、経歴や職種等の違いにより自らと異なる視点を持つ教職員の意見を軽視せず、互いの強みを生かす組織づくりが必要と記載しております。

 続いて5ページの2ポツを御覧ください。ここでは令和3年答申でも示された子供たちの多様化と社会の変化を簡潔に示しております。(1)は、これまでの教師・教職員集団への評価、(2)は子供たちの多様化。

 6ページの(3)、こちらはSociety5.0とポストコロナ時代の新たな学びについて説明をしております。

 そして、7ページの(4)では令和の日本型学校教育に向けたこれまでの取組を例示しております。

 次に8ページの(5)を御覧ください。こちらではいわゆる教師不足の現状を説明しております。教師不足とは、産休や育休の代替などで臨時的に採用される臨時的任用教員が確保できない状態のことを示しております。具体的には、令和3年度始業日の段階で2,588人、配当数全体の約0.3%が未配置であることが判明しております。

 教師不足の原因として多くの教育委員会が挙げるのは、若年層の増加による産休・育休取得者の増加、それと小中学校の特別支援学級の増加です。具体的には、特別支援学級の学級数は10年で約1.6倍になるなど、見込み以上に増えているということを各教育委員会が理由として掲げております。

 また、臨任名簿の登載者が減少しているということも挙げられます。背景には、大量退職に伴う採用者の増加により、これまで名簿に登載されていた人の多くが正規教員として採用されたことがございます。教師不足の状況は自治体や各学校種によっても大きく異なるため、問題を単純化することなく、状況に応じた丁寧な分析と対策が必要になってまいります。

 9ページの(6)では、他の会議体、例えば骨太の方針ですとか規制改革会議、例えばCSTI、こういった会議体で教員養成・採用について様々な提言をなされていることをご紹介しております。

 10ページ以降、3ポツでは教師に関する各種制度の現状をまとめております。まず、(1)の要請については10ページから制度の概要を、12ページからは、令和の日本型教育の実現に向け、既に実施した制度改正を御紹介しております。

 続いて13ページを御覧ください。(2)の免許について、制度の概要及びデータを示しております。普通免許状の授与件数は令和2年で約19万件ですが、実際には1人の学生が同時に複数の免許、中高ですとか幼少の免許を同時に取るため、取得者の実数は約10万人です。この5年間の授与件数は、小学校では横ばいですが、幼稚園、中学、高校で減少し、特別支援学校で1割増となっております。

 また、中学校の教科別では、標準授業時数の違いを踏まえて比較すると、多いのは保健体育、音楽、社会、少ないのは技術、数学、理科となっております。

 次に、特別免許状についてです。特別免許状は、採用を予定する人の推薦と連動した制度にはなっておりますが、その点を加味しても授与件数が年間237件にとどまっております。

 次に、臨時免許状について、こちらはこの5年間で小学校が3割増加しております。また、都道府県による偏りもございます。

 17ページからは、教員免許更新制の発展的解消を含め、既に実施した制度改正を挙げております。17ページの終わりからは採用についてまとめております。

 まず、採用試験の実施時期ですが、18ページですけれども、少なくとも20年以上、大きな変化が見られないこと。令和3年の採用倍率は小学校で2.6倍ですが、これは採用数の増加と既卒受験者が減少した影響が大きいことを示しております。一方、小学校の新卒の受験者数は横ばいになっております。これに対し、中学校・高校の採用試験では、新卒・既卒ともに5年で応募する人が2割以上低下をしております。

 19ページを御覧ください。教師の年齢構成について説明しておりますが、こちら、都道府県や学校種によっても大きく異なります。例えば、小学校では近畿地方は既に20代から30代がボリュームゾーンになっており、50代は少なくなっております。関東や中部もこれに近づいている状況です。一方、東北や中国、四国、九州などは50代の割合が20代や30代よりも圧倒的に高く、大量退職がこれからも続くことが予想されています。つまり、退職のピークの波が異なるため、採用に対しては地域ごとの需給バランスを踏まえた個別具体の対応が必要になります。

 20ページ以降は研修について紹介をしております。こちらは1つ目の議題である指針及びガイドラインと重なりますので、そちらのほうと議論は一緒になってくるかと思います。

 以上が総論です。

 続いて、22ページ以降が各論になります。こちらは論点を列挙するにとどまっておりますので、特に本日、委員の皆様の御意見を賜りたい部分になっております。

 養成の1点目は、教師に求められる基礎的な資質能力と教育課程の見直しについてです。具体的には、1点目は教師に求められる基礎的な資質能力として整理した5つの柱。特に、特別な配慮や支援を必要とする子供への対応とICT活用についてどのように具現化をするのか。

 2点目は、教員養成フラッグシップ大学の目指す学習観・授業観の転換を教職課程全体に広める方法についてです。

 3点目、教育実習及び学校体験活動の在り方です。具体的には、教育実習については仕組み自体は維持しつつも、その実施時期や期間について、早期化する民間の採用活動との重複や受け入れ側の負担感なども踏まえつつ、実施時期や期間、効果的な実施方法についてどのような考え方があるか、これが論点です。

 また、学校体験活動については、多忙な学生の履修負担が重くならないよう、単位化し、現行制度でも認められている教育実習の代替措置としての活用をどのように考えるか。その際、学校種の違いをどのように考慮するか、ここが論点になっていきます。

 学校体験活動は現行制度でも学校内での活動に限られず、NPOや民間企業等における放課後や休日の学校・児童生徒等支援等も含まれることから、こうした活動を学校体験活動としてどのように活用していくか。併せて、教育実習や学校体験活動における特別支援学級や通級支援への活用をどのように考えるか、ここが論点になります。

 続いて23ページを御覧ください。(2)特定分野に強みや専門性を持った教師の養成・採用についてです。1点目は、特定分野に強みや専門性を持った教師を養成する観点から、他分野の学びや留学等との両立を図るために、教職課程の履修負担の軽減を図ること。例えば、4年制大学において現状は認められていない最大2種免許を念頭に置いた教職課程の開設を認めることについてです。また、こうした教師の採用、人事配置の在り方についても検討する必要がございます。

 2点目は、小学校高学年の専科指導を推進するため、例えば、教員養成を主たる目的とする学科以外の学科でも、外国語や数学、理科、体育の中学校養成を行う学科では小学校教員養成を開設可能にすることについてどのように考えるか、こちらが論点になっております。

 続いて24ページを御覧ください。(3)教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化です。具体的には、多様な教職員集団の中で中核となる教師の養成への重点化を推進することについて、学部学生が教職大学院の授業科目を先取り履修した場合に、教職大学院入学後の在学年限を短縮できるよう、制度改正を検討することについての2点を示しております。

 最後に(4)について、こちらは25ページを御覧ください。1点目は、さきに御審議いただいた指針で既に対応しておりますが、2点目は、大学・教育委員会が一体となった人材育成の好循環について。3点目は、教員養成学部における実務者教員の配置基準を、例えば、おおむね2割といった形で設けることについてです。

 4点目は、教員養成大学・学部における教員就職率の向上を考えるとともに、教員就職率が継続的に低く、改善が見込まれない大学・学部について、地域の教員需給を踏まえ、定員の見直しや連携、統合をはじめとする組織体制の見直しを検討することについてです。

 ここまでが教員養成に関する論点でした。

 続いて、免許について、26ページから御紹介します。第1に特別免許状についてです。具体的には、1点目は授与教科区分の見直しについて。2点目は授与手続の透明化について。3点目は、特別免許状を活用した入職の促進策について。4点目は好事例の展開についてです。

 続いて、27ページを御覧ください。(2)教員資格認定試験について、例えば高校の情報に対象範囲を拡大することについてです。

 続いて(3)として、多様な専門性を持つ社会人の採用促進に向けた環境整備について、例えば、多様な任用の在り方や特別免許状、特別非常勤講師向けの研修プログラムの開発について示しております。ここまでが免許に関する事項です。

 続いて、29ページを御覧ください。ここからは採用に関する論点になります。

 まず(1)教職への志望動向に関する実態把握ですが、こちらは令和4年2月に実施した調査の分析を引き続き進めてまいります。

 (2)人物重視の多面的な採用選考についてです。具体的には、民間企業の採用者活動においてインターンシップ情報などの活用といった動きがある中で、教員採用選考においても人物重視の多面的な採用選考の一環として、教師養成塾などの学習成果や教育実習などの成果や経験を採用選考に活用することについて、どのように考えるか、こちらが論点になっております。

 (3)教員採用選考の実施スケジュールについてです。具体的には採用全体の早期化と、例えば大学3年生などを対象とした選考などの複線化について、こちらが論点になります。

 (4)効率的・効果的な採用試験の実施方法についてです。具体的には、複線化も踏まえた採用選考試験の共通化についてです。また、問題内容について、単なる知識技能だけではなく、思考力、判断力、表現力を問うような質問などをどのように作成していくかについてです。

  最後に31ページを御覧ください。こちらは研修になりますが、先ほど御審議いただいた指針及びガイドラインで対応することを予定しております。

 時間の都合上、駆け足での御説明になりましたが、どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。先ほど申し上げたように、基本問題小委員会等での議論も含めて、この審議まとめとなっています。ただ説明にありましたように各論部分については検討中であり、課題提示的な意味合いもありますので、その点も念頭に置いて御意見をお願いしたいと思います。挙手ボタンでお示しください。

それでは吉田信解委員、お願いいたします。

【吉田(信)委員】  こんにちは。全国市長会社会文教委員長で埼玉県本庄市の市長の吉田でございます。

 各論ということで、研修の在り方、新たな教師の学びの姿に向けて体制整備などという言葉もございますので、実は先ほどの議論でも申し上げようかなとは思っていたんですけども、こちらのほうで、まさに体制整備という中でちょっと申し上げたいことがございまして、少し的外れになるかもしれませんが、御容赦いただきたいんですが、大変先生方が多忙な中に置かれていらっしゃるということで、教員のメンタルヘルスの問題というのが非常に大きくクローズアップされている、これは文科省のほうでも大きな問題として取り上げられていらっしゃるというふうに思いますし、既にそういった報告、検討等も鋭意なされているというふうに思っています。

 私いつも感じるのは、これは役所でもそうなんですけども、非常に多忙でも自己肯定感を持って仕事に励んでいる職員もいれば、一見して非常に頑健でメンタルもしっかりしていそうに見えるけども、ふとしたことからメンタルを病んでしまうという方ももちろんいるわけです。教員の世界のことは私も詳しくは分かりませんけども、先生方もそれぞれ自己肯定感というものを日々の教員生活の中で、様々な分野において、それぞれの先生方がそれぞれ千差万別で感じながら仕事をやることによって頑張っていらっしゃるんだろうというふうに思うんです。この先生方の研修というものとメンタルヘルス、この合一というような考え方をもっともっと教育行政を応援するという意味では持っていかなければならないのではないかなということを感じております。

 知らず知らずのうちにメンタルヘルスできている方もいれば、知らず知らずのうちにメンタルを傷つけてしまっている方もいらっしゃる。こういうことをもう少し、何といいましょうか、第三者的に見ていくというんでしょうか、精神心理学の分野になるんでしょうか。要は、先生方が日々のOJTでもいいです、仕事をされる、あるいは研修を受けるという中で、その方の自己肯定感を高めるためにはどういうカリキュラムを組んだらいいのかということを、単に投網のように研修内容をつくっていくというよりも、その方その方に合ったメンタルヘルスを考慮した上での研修というものをつくっていくという、そういう体制整備って私できないかなということを感じております。

 本当にお子さんのこと、あるいは保護者のこと、様々なコンフリクトの中で先生方いらっしゃるわけですけども、頑張っていらっしゃる先生もいる。そういう方々のメンタルというのはどういう状態にあるのだろうか。よい事例があれば、そういったところを抽出して、いろいろな方々に敷衍できないだろうか。つまり、教員になることによって、実は御自身のメンタルというのも研修の中で鍛えられていくんだよというような、そういうカリキュラムがあれば、かなり先生方にもこの研修というのは肯定的に捉えられるのではないかなというふうに私は感じております。

 もう少し一人一人に合った、メンタルヘルスも考慮した中での研修の在り方というのを構築するような、そういった支援というか、体制づくりというのができないかなということを常々感じていたものですから、一言発言をさせていただきました。

 以上でございます。私はこれで所用がございまして失礼するんですけども、言いっ放しで申し訳ございませんけども、ちょっと問題提起としてお話をさせていただきました。以上でございます。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。体制整備の問題が従来の働き方改革のいろいろな検討とも重なると受け止めさせていただきました。このメンタルヘルスの部分について、何か事務局から補足すべきことがあればお願いします。よろしいですか。

 それでは秋田委員、お願いいたします。

【秋田委員】  ありがとうございます。学習院大学の秋田です。先ほどのところで発言しようかと思ったんですが、こちらのほうで発言をさせていただきます。

 大変的確な形で審議経過報告のおまとめをいただいたと思っておりまして、個々の論点も本当に漏れなく挙げてくださっていると思っております。まず1点は、審議経過報告というものを、これは恐らく教師たちも読むものであろうと判断しましたときに、この経過報告というだけではなく、例えば令和の日本型学校教育の在り方のときには、「個別最適な学び」とか「全ての子供たちの可能性を生かす」というようなサブタイトルをつけました。

 できれば、今回も経過報告というだけではなくて、それが例えば「教師の新たな学びと多様性を生かした教職員集団の在り方を目指して」など何らかの形で、これから私たちはどういう方向を目指すのかというような報告の何かキャッチになるものをサブタイトルにつけるというようなことがあってもよいのではないかと思いました。

それから、今回のポンチ絵の概要版というのがございます。大変きれいに整理して、おまとめくださっているんですけれども、やや字が多くて、これを教師や、これから教師になろうと思う若い人たちが養成や採用どうなるんだろうと思って見たときに、魅力的かということを考えましたときに、例えば令和の日本型学校教育のときには、かなりイラストを教育課程部会で議論して、絵を入れて、どういう方向を目指すのかというイメージ図と併せて出したりしました。

 もし可能であれば、これからの教員の在り方というものを、キーワードはここに入っているんですけれども、周知の在り方として今後検討をしていただくことが、これからの学校教育とこれからの教員養成や採用研修がどういう方向なのかというものが、文字だけでも、校長先生や高齢のほうは文字でもいいかと思うんですけど、こちらに関してはもう少しやわらかい形で最後のまとめを出すことはできないんだろうかと考えました。この全体像についてがまず1点です。

 それから2点目としては、大変細かなところではありますけれども、例えば産育休で臨時的任用で、これからも産休育休の人数が増えるので教師不足になるというようなネガティブなところだけではなく、例えば産休・育休を取って教員が生涯働き続けられる、男女平等に働き続けられる職場であり、それをまた生かして教育を豊かにしていく職場であるというようなこともあわせて書けないかと思います。それから特別支援も必要だが教員が足りないというだけではなくて、今後さらに多様性、包摂性を生かした学校教育を目指していくために、今後それの実現が必要であるというような、教育の理念や方向性と同時に、事実もお書きくださるというような形というのが、何か論点が困っていることだけになるということがないような形の記述はないんだろうかというのが、私が個々に細かなことは申し上げませんが、気になったところであります。

 また、25ページのところの国立の教員養成大学等でも、地域の教員需要を踏まえて見直しを行うというような検討することをどう考えるかというようなことが書かれているんですけれども、やはり今後も開放性と同時に多様な人材を生かしていくということも重要であるが、一方でそうしたことの見直しも併せて必要かもしれないというような、何か理念と併せたセットの記述ということをしていただくということが、やっぱり私たちがどういう教員養成を目指していくのかというところで大事ではないかと思いましたので、発言をさせていただきました。

 本来各論のところをもっと具体的に掘り下げるべきかとも思いましたが、全体の報告としてこれでよいのだろうかという思いもありまして、発言させていただきました。以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。前の答申が学ぶ側からの諮問に対応するものだとすると、今回は令和の日本型学校教育を担う教師の在り方として、教師側からの諮問事項に対するものとなり、答申としてまとめるに際してこれからさらに検討を加える必要があると考えます。御指摘はその中で十分に踏まえる必要があると感じました。個別の御意見についても大変貴重な内容だと思います。ありがとうございます。

 岩本委員、よろしくお願いいたします。

【岩本委員】  岩本です。ちょっと今日の前半の議題に絡んでしまって、今日前半意見する時間がなかったので、まとめて3点ほど意見させていただけたらと思います。

 1点目が、管理職に求められる資質能力というところについてです。今日の議題の1つ目でもありました校長に求められる資質能力の明確化というところに関しては、校長に関しては別に策定するということで、これは大切なことだと思いますが、何か校長の資質能力と、あと教師のという、この2つだけで本当にいいのかというのがちょっと気になっているところです。

 戸ヶ﨑委員からもありましたけども、校長は非常に重要ですけど、教師がすぐ校長になるわけではなく、教頭、副校長だとか、あとは場合によっては主幹という、教員のキャリアと管理職の育成ということを考えたときに、校長以外の例えば管理職の資質能力なんかも今後は、この先にはより具体的に設定していく、もしくは校長に求められる資質能力と、ちゃんと教師の資質能力の間にそういったものが連続的にあるような形で作っていくというのが必要ではないかというのが1点です。

 2点目は、議題の2つ目に関わるところで、研修履歴と対話に基づく受講の奨励というところで、私、この中に対話に基づくというのが入っているところが非常にポイントだというふうに感じています。

 ここが、今、教育行政の在り方のところでも話題になっていますけども、エビデンスと対話に基づくポリシーマネジメント、もしくはデータと対話に基づくポリシーマネジメントということで、データだとかエビデンスだけではなく、そこにちゃんと対話をしながら、しっかりとPDCAを回していくだとか取組を進めていくというところは今後の大切なところだと思いますので、今回も対話に基づくというところなんかの意味合いだとか意義だとか、そういったところなんかもよりポイントとして加わっていくようになるといいなというふうに思っておりますというのが2点目です。

 最後3点目になりますけども、これもちょっと前半の議論になってしまうんですけども、特例法の一部改正の中で指導助言者の役割というのが強く書かれているわけで、指導助言者は校長及び教員に対して、資質の向上に向けて指導助言を行うこと。そのためにということでいろいろ書かれているわけですけども、今後になると思いますけども、こういった指導助言をしていく、運用していく上での指導助言者に必要な資質能力は何なのかということや、この指導助言者がちゃんとそれを運用していけるための政策だとか、指導助言側の、教育委員会側の育成というところも合わせて議論をし、施策だとか含めて打っていかないと、やっぱり理念が運用部分でなかなか学校に届かないとか機能しないというところになると思いますので、この指導助言側に対しても今後より詰めていく、一体的に考えていく必要があるのではないかというところが3点目になります。

 すいません、以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。全体としては、新しい改正法における運用も含めて、学校における組織マネジメントに関する御意見として、指導助言者のアセスメント、ファシリテーションといったマネジメントに必要な要素が新たに加わっていくと受け止めました。大変貴重な御意見だと思います。ありがとうございました。

 それでは引き続きまして坂越委員、お願いいたします。

【坂越委員】  坂越です。よろしくお願いします。各論の中の養成に絞ってお話をさせていただきます。

 この新しい教員の資質能力というところに関しては、大学関係者はすごく関心を持っているところです。まず、この5つの大きな柱が挙がっているのですが、ちょっと細かくなりますけれども、これをどこまで大学の養成段階でやるのか。まだ検討段階だとは思うのですけれども、その後、図式の2枚目ですか、たとえば文末の書きぶりで良好な人間関係を構築することができるというところもありますし、何々する役割を果たそうとしている、姿勢的な、構え的な表現をしているところもあります。大学の4年間でどこまでやるのか。これから具体化するときにはこの辺、十分考慮しなきゃいけないのかなというふうに読みました。

 あと、松木委員さんからも果たしてこれだけでいいのかという御意見が出ましたけれども、これ本当に大学でカリキュラムとして落とし込んでいくときにはさらに検討が必要かなという思いもしています。

 委員の皆さんよくお分かりだと思うんですけど、いい教員って、すばらしい教員って、学習指導もちゃんとするし、生徒指導もちゃんとするし、教育観もちゃんと持っていますよね。だから、こういうように柱を要素として分けてしまうと、チェックリストであれできた、これできた、まったくの形式的なルーブリックみたいな、そんな形でしてしまうと、教員としての人となり、完成形というのはかえって見にくくなってしまうこともあるかもしれないと思います。

 もう一つ、そのレベルというか、視点、個別的要素を越えて、こういう資質が必要だよというような、例えば子供に向き合う姿勢というのは生徒指導も学習指導も共通ですよ、そういった視点も少し補足的にあってもいいのかなと感じました。

 それから、最後です。こういうことを実現するために教育実習を改革していくこと、プロブレムベーストだったり、プロジェクトあるいはフィールドワーク、そのあたりをベースにして教職としての人間性を育てていくこと。このあたりを強調していただいたことは大変ありがたく思います。

 以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。養成段階における資質の在り方については、新たに加わる要素を重視した形で新しい資質能力の体系が構成されていると思います。ただ、御指摘のような本来教職に必要な素養の視点も同様に重要だと考えます。ありがとうございました。

 それでは次に石崎委員、お願いいたします。

【石崎委員】  ありがとうございます。私、今日から参加させていただくんで、ピント外れだったら御容赦いただきたいんですけれども、先ほど校長の資質能力の明確化みたいな話があったんですけれども、そもそも地域によっては教員の不足もそうですけれども、管理職になりたいという教員がすごく不足していて、管理職不足というんでしょうか、そういう地域がすごく増えてきているということは、先月、私どもの協会のブロックごとの会議の中でお話が出ました。そういう視点の議論というのも必要なのかなと思います。

 何でじゃあ管理職になる人が少ないのかという話もいろいろしたんですけれども、その中でちょっと印象深かったのが、地域によっては、教員というか公務員の定年がだんだん延長に向かっていって、60歳過ぎても再任用で働く人が増えてきたんですけれども、役職定年みたいのがあって、要するに60歳までで校長は終わって、その後教員に戻るという地域もかなりあるようなんです。東京は再任用の校長もいるんですけれども、地域によっては全く再任用の校長がなかったりして、60過ぎたら教員に戻るんだったら、最初から教員のままでいようといって管理職にならないような地域もあるといった報告がありました。

 教員の研修とか管理職不足とかということを考えると、そうした教員の65までのライフステージといいますか、そういうことを踏まえた考え方というのも必要なのかなとかと思いまして、あんまりそういう話をされたのかどうか分からないんですけれども、結構そういう声が強かったんで御紹介させていただきました。

 ちょっとピントがずれていたら申し訳ありませんが、以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。先ほどの議事の中でも重要な視点と述べさせていただいたのですが、御指摘の視点である地域の実情に応じた仕組み、ルールづくりといった体制整備は非常に重要であると改めて受け止めさせていただきます。ありがとうございました。

 それでは次に加治佐委員、お願いいたします。

【加治佐委員】  加治佐です。これまで基本問題小委員会で議論してきたことを、本当に分かりやすくまとめていただいていると思います。

 私がお伺いしたいのは個別の中身ではなくて進め方なんですが、ここに出ている課題というのは、ほぼ全て基本問題小委員会で話し合ってきたんです。今日出されているのは、今後の方向性としては、結局、まだこれからどうしましょうかという表現になっているわけですよね。つまり、議論というのは効率的にやらなきゃいけないんだと思うんです。そうしたときに、正直申し上げて、もうちょっと具体的な方向性なり方策なりが出ていいんじゃないかと思うんですよね、我々そういう議論してきましたので。今後、どうやって進めていかれるのか、またこれ一つ一つについて、特別部会でこういう形で全部議論するんでしょうかね。そこのところをちょっとお伺いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。今日は議論を活発化させる趣旨で、各論のところは検討事項として課題の投げかけ的な形で示させていただきました。御指摘のように、基本問題小委員会のほうで加治佐部会長中心に大変精力的な議論をしていただいていますので、今までの議論の内容を今日の議論と併せて、各論についても事務局で整理をしていただこうと思います。後ほど申し上げようと思っておりましたが、その上で本特別部会が受けている諮問に対する全体のまとめ方という点ではまだ整理が必要だと考えますので、一旦本日までの議論の整理を踏まえて、再整理していきたいと考えております。事務局のほうで何か補足があればお願いいたします。

【小幡教育人材政策課長】  教育人材政策課長の小幡です。

 加治佐先生に御指摘いただいた今後の進め方、渡邉会長のほうからお答えいただいたとおりでございますけども、大体基本問題小委員会で各論をそれぞれ議論していただいて、方向性はこういった形で出していただいているというふうに事務局としても受け止めております。

 これをこれから具体的にどういう形で実現していくかということをしっかり改めて事務局のほうで整理させていただいた上で、今後、関係団体等のヒアリング等もしていく必要もあろうかと思っております。今、渡邉会長から話がございましたように、最終的には答申という形でおまとめいただき、それを受け止めた上で、文科省としてそれを実現していくという流れになると思っておりますが、これからの進め方については、改めてもう一回整理させていただいた上で、皆様にも御相談させていただきたいというふうに考えているところでございます。ありがとうございます。

【渡邉部会長】  加治佐委員、よろしいでしょうか。

【加治佐委員】  はい、分かりました。

【渡邉部会長】  それでは次に松木委員、お願いいたします。

【松木委員】  松木です。それでは、渡邊部会長が言われた意見を活性化させていくという意味で、各論の養成のところで2点、意見をしたいと思います。

1点目は、先ほど私が話したこと、あるいは先ほど坂越委員さんが話されたことに関連していくわけですが、教員養成で培う教師の資質や能力のところの5点についてです。特別支援やICTが加わったところはすばらしいなと思いますが、やはり個人の中に納まる資質能力が強調され過ぎているんじゃないか。今回のことを考えますと、「個別最適な学び」に加えて、「協働的な学び」というような視点を教師自身が経験する必要がある。あるいは、校内研修を通して対話型で自己自身を振り返っていくような省察的な能力が必要になる。さらには、教員養成の中で「理論と実践の往還」ということが強調されていますが、往還の中身は何かというと、やはりやったことをリフレクションしていくということがかなり大きなウエイトを占めているというふうに思います。そういった点を考えますと、教師に求められる資質や能力のところで、もう一つ、対話やコミュニケーションを通して自己自身を磨き上げていくような省察的な能力といったことが、やはり教師にとっては必要なものとして位置づけていく必要があるというふうに思います。

 2点目は、多様な専門性を生かした教員養成の在り方についてです。日本の教員養成は開放制が大原則だと思います。そういった中で、総合大学の中にも教育学部があり、教職大学院があったりするわけですが、総合大学の中での教員養成の在り方、あるいは教職大学院の在り方が十分に活かしきれてないんじゃないかと思います。つまり、他の学部等で専門を十分磨きながら、より高度な教職を身に付けていくという仕組みがつくれるんじゃないか。そんな点、今回の御提案の中にありましたような、小学校の二種免を認めていくというようなことやら、あるいは教職大学院等の科目の先取りできるようにすること、こういった両方に向かってくさび型な形をとるような形の教員養成の在り方が実現していくと、開放制の新たな姿として、1つ提案していけるなということを思いました。学習観の転換や教職の高度化求められる今日、新たな開放制の在り方として、ぜひこういったことについても論議していけたらなというふうに思います。

 以上、2点でした。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。新たな教師の学びのところでは個別最適だけではなくて協働的な学びであるとか、全体ではマネジメントに関わる要素や開放性の要素といったところも重視すべきという、大変重要な御指摘だったと思います。ありがとうございます。

 また教員養成については、総合大学も含めて検討する必要性があることについても重要な御指摘だと思います。ありがとうございました。

 先ほど加治佐部会長から今後の進め方について御指摘がありました。今まで基本問題小委員会でも意見をいただいていますので、改めて今日の各論の部分についてまとめをしながら、ただ全体としては、令和の日本型学校教育を担う教師の在り方という諮問を受けた全体像としての答申にまとめていく必要があると考えております。

 したがって事務局には今日の御意見あるいは今までの小委員会の御意見を、この審議経過報告をベースにしながら、もう一度整理していただき、特別部会としての取りまとめを目指していきたいと思います。そういった形でこれから皆さまにも御議論をお願いしたいと思います。

 それでは、この議事3については以上とさせていただきます。

 もう一つ議事がありますので、次に移らせていただきます。

 議事4は特別支援教育を担う教師の養成に係る方策についてです。事務局から説明をお願いします。

【山田特別支援教育課長】  こんにちは。初中局の特別支援教育課長をしております山田と申します。よろしくお願いいたします。

 教員養成、採用研修のそれぞれの充実方策と並行して、特別支援教育について、様々な充実方策について並行して議論をしてまいりました。資料4-1を御覧いただければと思うんですが、1枚おめくりいただいて、令和元年に特別支援教育の在り方に関する有識者会議を立ち上げまして、次のページお願いします。令和3年の1月に取りまとめをしていただきました。次、お願いします。

 その中で、この報告自体は様々な特別支援教育の充実方策について全般に御議論をいただいたんですけれども、教育課程に関することについて幾つか提案がなされました。

 1つは赤字になっているところですけれども、免許法体系の中に、ちょっと飛ばしまして、知的障害者である子供に対する教育を行う特別支援学校の各教科等、これが1つ。2つ目が自立活動、3つ目が重複障害、4つ目が発達障害、この4つをこの免許法体系に位置づけるべきだという報告を頂戴しています。どれも現在の特別支援教育について大変重要であって、多くの教職課程では既に指導がなされておりますけれども、法体系上、明記はされていないというところで、明記をすべきじゃないかという報告をいただいています。それが1つ。

 もう一つは、その次の段落、「加えて」とございますけれども、コアカリキュラム、これは我々、基礎免と呼んでいますけれども、幼小中高の教諭の免許状のところでは、既にコアカリキュラムは策定されておりますけれども、特別支援学校教諭免許状の課程についてはまだ策定されてないので、これをつくるべきだという御提言をいただいております。

 3枚、4枚飛ばしていただいて、じゃあ教員の質の向上をどうするかということで、さらに昨年の10月に会議を開催いたしまして、加治佐先生に座長になっていただいて検討いただき、その次のページですけれども、様々な養成の段階から採用、校内研修、調査研修、こういったトピックスごとに御議論いただきまして、一番左の養成のところの一番最初のポツですけれども、コアカリキュラムの策定ということで、この会議の場において議論をし、策定をするという段取りになってございます。

 13ページをお願いしたいんですけれども、今回改正をしたいなと考えておりますのは、免許法施行規則については、免許法施行規則の一部を改正するということで、(1)にございますけれども、(1)の1のところで先ほど申し上げた自立活動は、1)ですね。2)が知的の各教科。これはほかの障害種よりもさらに特色のある各教科になってございます。3)といたしまして、重複障害と発達障害というところで組み込むということと、(2)のところで、基礎免許状コアカリキュラム案を参考に作成をいたして、現在、パブリックコメントを募集して、今月中に締め切る予定でございます。

 具体的には、次、14ページを御覧いただければと存じますが、免許法施行規則7条の表の備考のところに赤字をいっぱい入れております。見にくくて恐縮でございますけれども、新3号、4号を追加いたしまして、教育課程等に関する科目は各特別支援教育領域に関する自立活動に関する内容を含むものとするということが第3号、第4号として、知的障害に関する教育の領域に関する教育課程等に関する科目は、そのカリキュラムマネジメントを含むものというところで、知的の各教科。これまで3号だったものを5号にいたしまして、ここに各障害種が列記されておりますけれども、病弱者の次に、「複数の障害を併せ有する者」というものを足すのと、次の行に、「(発達障害者を含む)」というのを足すという改正をさせていただければと存じます。

 最後15ページでございますが、具体的には資料の4-6ですかね。後で御覧いただければと思いますけれども、載っておりますが、それぞれの欄ごと、1欄、2欄、3欄とありますけれども、欄ごとに必要最低限求められるミニマムエッセンシャルを基礎免と同様に並べさせていただきまして、各関係を整理し、お示しをしているところでございますので、今後、パブコメを踏まえて、当方から各関係者に共有をさせていただきたいと考えてございます。

 私からは以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。

 今の説明について御意見、御質問があれば、同じく挙手ボタンでお示しいただきたいと思います。いかがでしょうか。

 今村委員、お願いいたします。

【今村委員】  今回テーマにされている特別支援のお話と先ほどまでの議論と松木先生がおっしゃっていた件とかなり重複するところはあるんですが、特にこの特別支援については、もちろん研修を充実して、免許制度を刷新していくということも含めて、すぐにでも取りかかったほうがいい部分だとは思っています。しかし、現実的な問題として、現状、特別支援の担当をしている先生や特別支援コーディネーターを、突然兼務がかかってしまう先生などの現状でいうと、そこまでのスキルを持ったエキスパートが配置されているという学校もあれば、そうではないという学校で、人も足りないし、この人に担当してもらおうと採用をされているという現実も現実的なところで、学校の現場では起きていることと思います。

 この現状は、今後も教師が少なくなっている時代において、というか足りない、教師不足の時代において、もう変わらないのではないかと。今後も十分なスキルと研修による知識を持った人だけが特別支援教育を担って、学校の中での特別支援の学級になっていくなんていうことは無理なんじゃないかと思うんです。なので、もしかしたら途中のグラデーションかもしれません。十分な知識を持った、素養を持った方々が全国的にいるという状態になるまでの対策的なことかもしれないんですけど、私はこういった研修によって充実していくという、事前研修、養成課程によって充実していくというよりも、配置されてしまった人にどのように伴走者がつくかということのリソースを県教委として充実させていく。もしくは、荒瀬先生のお仕事かもしれないんですけど、研修というよりも伴走、担当者の伴走的研修の機能をケースを持ってスーパーバイズしていけるような形が現実的なんじゃないかな、そっちを充実させていくことが必要なんじゃないかと思います。

 もしかすると、本当に昨日まで教職をやってなかったという人を何とか配置するという学校だって、今後もあるかもしれないと思うんです。なので、どんな方が特別支援を担当することになっても、そしてその子が、一般的に言われている障害特性だけで語れない重複した症状によって、想像もつかない、事前の研修では学んでいなかった状況になったとしても担当者が相談できるという、そういったGIGAスクール時代の研修の在り方によって伴走していくというやり方を同時に検討すべきと思いました。

 私からは以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございました。現実的な課題感を重視した御意見だと思います。もともと共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築を目指すものということで、今回は養成の在り方に関する有識者会議の報告に基づく今後のスケジュール、コアカリキュラムに基づいて教職課程をどう構築していくのかというまとめになっているものです。ただ御指摘のように、それだけではなく従来の令和の日本型学校教育の答申に盛り込まれた内容も含めて、総合的な取組みがこれから強化されるべきという問題意識の下でそれぞれの方策がまとめられていく、是非そのような理解をしていただけたらと思います。

 事務局から何か補足はありますか。よろしいですか。

【山田特別支援教育課長】  御指摘のとおりだと思います。少子化で子供の数が10年間で1割減っている中で、特別支援教育の対象になる子供は、実に2倍を超えるスピードで増えております。加治佐先生に先日おまとめいただいたものも、そういった視点に立って、ベテランと若手とを融合しながら、なるべく多くの人が特別支援教育の担当になれるようにしていく方向で、柔軟性も持ちながら対応していきたいと思っております。ありがとうございます。

【渡邉部会長】  それでは次に戸ヶ﨑委員、お願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】  加治佐委員が述べられたように、議事3について私も述べたい意見はありました。しかし、この審議経過報告は、私の意見を含めて基本問題小委員会で出されているものばかりで、意見を述べてよいものか躊躇しました。議事4については、個人的には特別支援学級の免許導入など意見を述べたいこともありますが、すでに新しい時代の特別支援教育の在り方に関する有識者会議でまとめられた内容なので、こちらも意見をするのが憚られました。今後は、資料を送付される際に、議事で扱う資料については、積極的に意見すべき内容の資料なのか、参考とする資料なのかがわかりやすいようにしていただけると助かります。以上です。

【渡邉部会長】  ありがとうございます。御意見、大変肝に銘じて今後の運営については留意していきたいと思います。

 今回は特に議事1、2、3ともに非常に重い議事が重なったこともあり、そういった御意見が出るのはやむを得ないと受け止めさせいただきました。次回はもう少し議事も絞られた形になると思いますので、事前に皆様に事務局を通じてお伝えさせていただきたいと思います。

 今回議事4については、先ほどの説明にありましたように、加治佐部会長が座長を務められております有識者会議等でかなりの審議が重ねられており、有識者会議の報告は既に3月に出ているものです。その報告に基づいて、今後の検討スケジュールやコアカリキュラムの策定・活用を目指すといった内容についてパブリックコメントに付している段階でもあり、議事4はこの段階での御意見ということですから時間設定も短くさせていただいています。御理解いただければと思います。

 いずれにしましても今後、来年4月、再来年の4月という段階を追いながら、先ほど申し上げた共生社会の形成に向けたインクルーシブな教育システム構築を目指すステップを踏んでいく、今回の打出しもそのステップの一段階だと御理解いただければと思います。

 加治佐部会長、今の御意見等について何かコメントございますでしょうか。

【加治佐委員】   今村委員、戸ヶ﨑委員から、非常に実情を踏まえた御意見をいただいて、本当によく分かりました。いい勉強になりました。

 先ほど教師に求められる資質能力、大きく4本柱、5本柱になるわけですけれども、特別支援教育といいますか、インクルーシブ教育がその大きな柱の1つになったと。教員養成段階でも、そのことを本当に真剣に取り組むと。あるいは、教師のキャリアパスにおいても、とりわけ管理職のキャリアパスにおいても、特別支援教育というのを明確に位置づけなければいけないと、そういうメッセージを発しているんだと思うんです。

 つまり、教師に求められる資質能力を育成する1つの具体的な方策といいますか、そういうものをこういう形で示して、それが免許法施行規則の改正とか、そしてコアカリ、さらには教職課程の認定基準の改正につながっていくということですので、具現化の一つの方策として捉えていただくといいのかなと思います。教員養成にも、現場の先生方の特別支援教育に対する取組方にも、かなり大きい影響を及ぼすんじゃないかというふうに思っております。

以上です。ありがとうございました。

【渡邉部会長】  どうもありがとうございました。

 今回の打ち出し自体は、令和の答申を受けた形での養成段階における考え方の整理をしていただいて、既にまとめていただいたものを打ち出しているものですので、この形で進めさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。

 それでは本件はこの形で進めさせていただきたいと思います。加治佐部会長をはじめとして有識者会議の皆様、大変御尽力いただきありがとうございました。

 これで議事4は終了させていただきます。

 本日の議事は以上です。議事3に関わることですが、先ほど申し上げたように、令和の日本型学校教育を担う教師の在り方について本日も大変な貴重な御意見いただきました。これからは諮問に対する答申をまとめる段階だと考えています。したがって繰り返しになりますけれども、事務局のほうで答申取りまとめに向けての諮問事項に対する全体整理をお願いしたいと思いますが、時期的にも特別部会をベースにしながら、年内をめどに集約できるよう議論を進めさせていただきたいと思います。

 委員の皆様におかれましては、今後ともまた御負担をかけますけれども、引き続きの御協力をお願いいたします。

 本日は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

 

 

 


(総合教育政策局教育人材政策課)