「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(第5回)・初等中等教育分科会教員養成部会(第126回)合同会議

1.日時

令和3年11月15日(月曜日)15時00分~17時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 令和3年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定に関する審査について
  2. 教職課程認定に係る情報の公開について
  3. 「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて(審議まとめ案)
  4. 「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会における検討の方向性(案)について

4.議事録

【渡邉部会長】 それでは定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会第5回「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会と、第126回初等中等教育分科会教員養成部会の合同会議を開催いたします。
皆様、大変御多用の中、御出席いただきありがとうございます。本日もウェブ会議システムを活用しての開催といたしますので、初めに、会議の進め方について事務局から説明をお願いします。
【中村教育人材政策課長補佐】 文部科学省教育人材政策課の中村でございます。会議の進め方について確認させていただきます。
本日もウェブ会議システムを活用していますことから、御発言に当たりましては、聞き取りやすいようはっきり御発言いただきたいこと。御発言の際は名前をおっしゃっていただきたいこと。発言時以外はマイクをオフ、ミュートにしていただきたいこと。発言に当たっては「手を挙げる」のボタンを押していただきたいことについて、御協力をお願いいたします。
Webexのチャット機能につきましては、傍聴者が閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合の緊急連絡手段としていただくなど、補助的な使用としていただくようお願いいたします。
本会議の模様は報道関係者と一般の方向けにライブ配信をしております。
配付資料につきましては議事次第に記載のとおりで御用意しております。なお、参考資料の6につきましては、本日の議事で直接の取扱いはありませんが、11月12日の金曜日まで公募を行っておりました教員養成フラッグシップ大学の応募状況についてまとめたものであることを補足させていただきます。
説明は以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。本日は4つの議事を予定しております。まず、議事の1と2でございますけれども、教職課程認定に関わる内容でございまして、教員養成部会の議事となります。したがいまして、こちらの進行については教員養成部会の加治佐部会長にお願いします。
次の議事の3でございますけれども、これは前回の特別部会でパブリックコメントに付すということについてお認めいただいた審議のまとめ案について、10月30日までのパブリックコメントが終了しておりますので、その結果を報告させていただくとともに、改めて審議まとめ案について御確認いただければと思います。
次の議事4でございますが、これは、これまでにこの特別部会において「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について4回の御議論をいただいたわけですけれども、これまでの議論について認識を共有させていただいた上で、今後の検討の方向性について御審議いただきたいと考えております。
それでは、議事の1と2について、加治佐部会長、よろしくお願いいたします。
【加治佐部会長】 教員養成部会長の加治佐です。議事の1に入ります。こちらは教員養成部会運営規則に基づき、非公表の議事となっておりますので、ライブ配信は一旦停止させていただきます。傍聴の皆様におかれては、公開になりましたら自動的に配信が再開されますので、そのまま待機いただけたらと存じます。

-ライブ配信中断-

-ライブ配信再開-

それでは、令和3年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定について、答申文を読み上げます。
「教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定について。令和3年7月20日付、3文科教第415号をもって諮問のあった件について、別紙に掲げる課程について認定可とする」。
以上です。
これで議事の1を終了いたします。
それでは、議事の2のほうも私のほうで進行いたします。事務局から説明をお願いいたします。
【平野教員免許企画室長】 失礼いたします。免許室長の平野でございます。議事2につきまして、資料2に基づきまして説明をさせていただきます。
議題は、教職課程の認定に係る情報の公開についてでございます。
1枚目にございますように、教職課程認定審査運営内規(教員養成部会決定)でございますが、こちらのほうを改正いたしまして、課程認定委員会の議事要旨、審査の経過・結果等を、認定手続が全て終了した後に公開することとするというものでございます。
2枚目でございます。具体的な運営内規の改正案でございます。
新たに6といたしまして、「議事要旨、審査の経過及び結果並びに教職課程認定の申請書については、当該議事に係る認定手続が全て終了した後に公開する(教員個人に関する議事及び資料を除く)。」ということでございます。
具体的に公表する資料として、イメージ1からイメージ4、また、これに加えまして申請書のほうを公表していくということを想定してございます。
イメージ丸1は教員養成部会課程認定委員会の議事要旨でございます。こちらについては文部科学省が作成するものでございます。
イメージ丸2でございます。こちらについても文部科学省で作成するものですが、審査の過程で出てまいりました審査意見について、各大学の学科等ごとに一覧でお示しをするものでございます。
イメージ丸3でございます。こちらのほうは大学に作成していただくことになる資料でありますけれども、先ほどの審査意見に対して、どのような対応を図られるのかということについて御説明いただく内容でございます。
イメージ丸4でございます。文科省で作成するものですが、最終的な審査結果をお示しするものでございます。
イメージ丸1から丸4、また申請書につきまして、教員個人の内容については、これを公表しないこととしております。教員の個人の業績に係る審査などを含むという理由でございます。
この内容につきまして公表を行っていく際には、特にイメージ丸1という部分については、3ポツ、出席者として、教職課程認定委員会の委員の先生の名前が含まれてございます。
丸2、丸3、丸4、申請書というものにはそういったものが含まれていないわけであります。丸1番とその他の資料というものについては、これを分けたタイミングで公表するということもあり得るというふうに考えておりますが、今後、具体的なタイミングについては検討していくこととしてございます。
事務局からの説明は以上でございます。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。教職課程認定に係る情報の公開についてのただいまの御説明について、御質問などありましたら伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。特にありませんか。
特に御質問等ございませんので、了解いただいたということにいたします。ありがとうございました。
それでは、原案のとおり了承したいと思います。
ここで、進行を渡邉会長に交代いたします。
【渡邉部会長】 加治佐部会長、ありがとうございました。
それでは、ここから特別部会の議事に移らせていただきます。
冒頭御説明しましたとおり、議事3はパブリックコメントの結果を報告させていただくとともに、改めて審議まとめの案についての御確認をいただくものでございます。
それでは、議事3について、事務局より説明をお願いします。
【平野教員免許企画室長】 失礼いたします。教員免許更新制の審議まとめに係る議題に入らせていただきます。資料3、4、5に基づいて説明をさせていただきます。
まず、資料の3でございます。こちらが先月、10月1日から10月30日まで審議まとめ(案)について意見募集を行った結果でございます。
実施概要、1ポツでございますけれども、総意見数としては1,126件でございます。主な意見について、2ポツ以下で記載をさせていただいてございます。この内容については、1つの意見を分けて記載している場合や、同内容の意見を集約している場合がございます。また、書かれている分量と実際に出てきた意見の量というものは必ずしも対応しているものではないということについて、あらかじめ御了解をいただきたいと思います。
主な意見ということで、まず1つ目でございます。「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師の学びの姿に関する意見ということでございます。
1ページ目でございますが、1つ目の丸、新たな教師の学びの姿は、教員免許更新制を代替する方策ではなく、教員の研修はどうあるべきかという視点から検討する必要がある。
2つ目、研修は自主的・主体的に行われなければ本当の意味の力にならない。
また、3つ目、「現場の経験を重視」という記載があり、この文言に賛成すると。このような意見をいただいているところでございます。
また、一方でということでありますが、下から4つ目の丸、子供の成長・発達に資するための研修という位置づけが弱いのではないか。また、教師の学びが目標管理され、授業テクニックの向上などの研修に終始することを懸念すると、このような御意見があったところであります。
今回のパブコメの意見については、今後の制度の設計・運用というものにしっかりと生かしていきたいと考えているわけでございます。
また、1ページ目の下、2つ目の丸でございますけれども、勤務時間内に教員が自ら主体的に学ぶためには、教員が学び続けることができる環境整備が必要である。
一番下の丸にありますように、教員、学校における働き方改革、このようなことの重要性を指摘する意見というものもあったところでございます。
2ページ目でございます。新たな学びの姿の実現に向けてということで、当面の方策に関する意見でございます。
こちらについて、上から2つ目の丸でございますけれども、教員の資質向上のための研修を管理していくということは賛成である。
1つ飛ばしていただいて、職務命令に基づき、研修の受講や場合によっては懲戒処分の対象としたりすることは、研修本来の目的から逸脱するものである。このような賛成の意見、また懸念を示す意見、こういったものがあったところでございます。
それ以下、いわゆるペーパーティーチャーの先生に対する学習コンテンツの開発、現職研修の充実に向けた国による指針の改正、このようなことについても掲げているとおりの御意見があったところでございます。
3ページ目でございます。さらに検討を深めるべき事項と具体的方向性に関する意見でございます。
その中の1つ目の丸にありますように、研修等の受講履歴を基にした管理職との対話を促進し、次のステップにつなげることができるならよい仕組みである。その際、システムの名称については表現を少し考えたらどうかと、このような意見がございました。これは今、システムの名称は仮称ということになっております。具体的に構築していく中で、しっかり名称についても考えてまいりたいと思います。
また、幼稚園教諭には既に研修受講履歴を管理するシステムがあり、それほど負荷のかからない方法もある。こういった先行事例という部分をしっかり参照してまいりたいと思います。
一方、その2つ下でございますけれども、受講記録のデータというものが、教員の管理・統制につながるのではないかといった危惧などの意見もございました。データの取扱については、適切に使われるよう、運用をしっかりと図ってまいりたいと思います。
続きまして、3つの仕組みについてでございます。1つ目の丸でございますけれども、この質保証に関する審査・認証に当たり、学びの多様性が損なわれるような審査であってはならない、このようなことに賛同する御意見。
また、次の下から5つ目でございますけれども、新たに構築するプラットフォームの中に、全国の学校・教師・制度とも共同研究できる仕組みや、全国の人が様々なアイデアを投稿できるような仕組みをつくるとよい。このような意見をいただいております。
また、下から3つ目でございますけれども、この審議まとめの案を踏まえた実効的な内容になるように、研修実施主体等、関係機関との議論や検討を今後もしっかり重ねてほしい。このような意見をいただいたところでございます。
4ページ目に参ります。教職員支援機構が果たすべき役割というところについて。
教職員支援機構に期待される役割が大きいという意見、また、教職員支援機構の権限の肥大化につながるのではないか、このような御意見が両面あったところでございます。
教職員支援機構は、審議まとめの中において重要な位置づけが与えられているところでございます。この趣旨をしっかり全うできるよう、検討を進めてまいります。
真ん中より上辺り、教員免許更新制の発展的解消に関する意見ということでございます。
見直しを待ち望んでいた。人材確保や多忙化の負担の面からも廃止すべきであるという一方で、「発展的解消」という表現が分かりにくいと、このような御意見があったところでございます。丁寧な説明というものに努めてまいりたいと思っております。
また、下から3つ目でございます。発展的解消については、趣旨を正しく理解することができるよう、関係者への制度周知、理解促進に努めてほしいということ。一部ではございますけども、更新講習の存続を望むという意見もあったところでございます。
最終ページ、その他の意見ということで、幾つか関係する意見をまとめさせていただいたものを掲げさせていただいているところでございます。
続きまして、資料の4-2を見え消しで御用意してございますので、こちらについて御説明をさせていただきます。
前回までの審議の中で、各委員からの御意見も踏まえて修正したものをパブリックコメントにかけていたわけでございますけれども、その後の修正を幾つか加えてございます。
まず目次を御覧いただきますと、これまで、「新たな教師の学びの姿の実現に向けて講ずべき当面の方策」、また、「さらに検討を深めるべき事項と具体的方向性」としていたところでありますけれども、こちらについては、「当面の方策」ではなく「早急に講ずべき方策」、さらに「検討を深めるべき事項」ではなく「準備が整い次第講ずべき事項」ということで、しっかり文科省として取り組んでいくという姿勢がはっきり出るような形で表現を修正したところでございます。
また、ページで申し上げますと11ページでございます。こちらのほうにつきましては、今回の、新たな教師の学びの姿というものを検討した動機という部分について、これは審議の中では当然共有されていたものでありますけれども、対外的にその趣旨を明らかにするという観点から、学校教育がその成果を十分上げることができるかどうかは教師の力に大きく依存しているということを改めて確認した上で、子供たちに対してより効果的な教育活動を行うことができるようにするため、どのような在り方が望ましいのか、教員免許更新制を前提とせず基本的なところまで遡って改めて整理したと。このようなことをはっきりと書かせていただくことにいたしました。
続きまして、幾つか細かい修正があるわけでございますけれども、パブリックコメントを踏まえて修正したところでございます。
36ページでございます。こちらについては、「おわりに」というところ、重要なメッセージが含まれているところでございますけれども、学校における働き方改革を進めていくことが重要であると。その後、管理職の果たすべき役割を大きくということにそのままつながっていたわけでありますけれども、職務としての研修は勤務時間内に行われることが前提であると。であるので、学校管理職の果たすべき役割、マネジメントという観点から大きいということで、つなぎの改善を図らせていただいたところでございます。
あとは、後ろのほうに審議の経過や名簿等をつけさせていただいたと、こういう修正でございます。
資料の4-3については、要約版ということで入れているものでございます。
この最後の、今回見え消しになっていないわけでありますけれども、11ページから12ページにかけての部分でありますけれども、教師の個別最適な学び、協働的な学びの充実を通じて、主体的・対話的で深い学びを実現することは、児童生徒の学びのみならず教師の学びにも求められていると。このようなところは非常に重要なメッセージでありますので、この要約版のほうにも追記をさせていただきました。
資料の4-4については、こちらについても重要なメッセージというものを盛り込めないかということで、少し我々で考えてみたところでありますけれども、一枚で作っていくという中で、紙幅の関係もありまして、ちょっとこれ以上情報を盛り込めなかったということでありますけれども、先ほど申し上げたような点についてはしっかりと説明をしてまいりたいと思ってございます。
資料の5については、今後、審議まとめというものについて関係者の方々に御説明をしていくときに、またホームページに掲載することなども踏まえてつくっている案でございます。
実際に公表するまでに、もう少し内容については分かりやすくすることができないかということについて修正を加えたいというふうに思っておりますので、これは最終案ということではございませんけれども、このような資料を通じて、しっかりと審議まとめの趣旨というものが現場の先生達にも御理解いただけるように、文部科学省としても情報の提供等に努めてまいりたいと思ってございます。
私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、とりまとめの段階に入りますけれども、確認の意味も含めて、もし今の説明について、御質問、御意見がございましたらお願いします。いかがでしょうか。
では、戸ヶ﨑委員、よろしくお願いいたします。
【戸ヶ﨑委員】 資料3の意見募集の結果を見ると、教師側を中心とした論理と国民からの期待や論理の間に乖離があるもの、また一方で表現の違いこそあっても同義に捉えられることなどが混在しているように思います。意見には大変重要な指摘も多々あるので、それらを精査し今後の制度設計や運用などに生かして欲しいと思います。
また、この「審議のまとめ案」にも至言や金言が随所に記載されており、様々な研修会での資料としても活用できます。これまでも何度か同じことを申し上げていますが、教員養成大学、教育委員会や学校現場等に腹落ちし、実践に結びつくことが何よりも大切なことは言うまでもありません。
そのために必要なことは、資料5にもありますが広報戦略に知恵を絞る必要性、そして、学校現場や任命権者はもちろん、服務監督権者としての基礎自治体の教育委員会を含めた関係者の正しい理解と、それぞれが主役であるとの当事者意識を持った実践上の広がりです。
私が強く感じているのは、この審議のまとめは、文部科学省や委員の方々などによる学校や教師の皆さんへの信頼や大いなる期待が込められているということです。文部科学省からは、是非そのようなメッセージも発信してもらいたいと思っています。また、そこに魂を込めて後押しするためにも、学校管理職や教育委員会など関係者の方々の働きかけが大事と考えます。
実は先日、本市の校長会議で「令和の日本型学校教育における教師の姿について」と題し、1月の中教審答申やこの審議のまとめ案の内容に基づき、私なりの言葉を加味して話をしました。しかし、伝えたつもりでも伝わっているとは限りませんし、一度話しただけでは実感を伴っての理解は難しいと思います。まとめの文中にもありますが、新たな教師の学びを充実させ効果あるものとするためには、個人としての能力開発だけでなく、意欲向上や教職員が育つような集団としての学び合いの風土づくりが大切です。研修会への参加だけではなく、学校における様々な機会や場面を、教職員育成の教材として活用することや、メンタリングなどキャリア発達理論に基づくライフステージに応じた意図的計画的な育成も必要となってきます。校内研修や授業研究の一層の充実などを通して、集団としての学び合いの風土をつくることなどにより、この審議のまとめに積極的に魂を込めていくことが大切であると思っています。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございます。大変貴重な御意見をいただいたと思います。
もともと、我々が進めていく「令和の日本型学校教育」をどう御理解いただくのかということが基本にあって、それに今回の審議まとめを関連づけて御理解いただくことが重要だと考えます。
また御意見いただいたように、この審議まとめがゴールではなく、むしろ関心事である免許更新の課題を含んでのとりまとめですので、その点でもいかに現場に正しく御理解いただくかが大変重要だと思います。
資料5の点についても触れていただきましたけれども、今後、分かりやすく現場に御理解いただくということが、大変重要だと思いました。ありがとうございました。
それでは、ほかに御意見がございましたらよろしくお願いいたします。
それでは荒瀬委員、よろしいですか。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。今、戸ヶ﨑委員がおっしゃったことに重なるんですけれども、先日10月28日に、第132回初等中等教育分科会がございました。
その際、この「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会の、このまとめに関して御意見を頂戴いたしましたので、御紹介しておきたいと思っています。
この特別部会の中にも初中分科会の委員の方がたくさんいらっしゃるんですけれども、この場面は、先日の文科省が調査した、子供たちの自殺に関する内容でありました。それでいろいろな御意見が出たわけですけれども、現職の校長先生から、今、教員に求められている大変重要な要素というのは生徒理解ではないかというご指摘がありました。生徒を理解するために、例えば、授業はもちろんのこと、教科指導のみならず学校行事が、このコロナの状況もありまして、なかなか十分にできていないという面があるということです。
コロナが収束したとしても、生徒をしっかりと理解する、子供を理解するということが非常に重要であると強調しておられました。
そういった内容は盛り込まれていますということを申し上げたわけで、現に今回追記してくださった、例えば11ページとかも、「子供たちに対してより効果的な教育活動を行うことができるようにするために」という、この追記部分はもとより、その前提として生徒理解ということがあって初めて可能になるわけですけれども、我々の議論自体が教員免許更新制をどうしていくのかということ、あるいは教師の学びはどうあるべきかということが中心でありましたので、先ほど渡邉会長もおっしゃったように、これからもっと現場の状況に根差した形でやっていく必要があろうかと思います。
その辺りのところを、いかに先生たちに周知していくのか、理解を求めていくのか。
教師が自ら学ぶということに意味を見いだし、学ぶことを通して仕事に対する熱意と教員生活の充実を増していくということを考えたときに、きちんと、その主体である教師たちにこの内容が伝わるようにしていくことは大事だと思って、発言をいたしました。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございます。御指摘のように、今回は免許更新制に焦点を当てた議論に加え、研修の在り方等にも焦点を絞って先出しした議論でございました。ただ、私たちがもともと視点に置いている「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修全体の在り方としては、今後もこの特別部会の中で審議を続けるわけですので、今回の審議まとめを御理解いただくと同時に、御指摘のような内容は心に留め置きながら、今後とも審議をしっかり続けていきたいと思います。御趣旨の点は我々特別部会全体として、特に現場の声をよく聞きながら議論していくことが重要だと思いますので、しっかり受け止めたいと思います。
それでは、ほかにいかがでしょうか。
どうもありがとうございました。今日も大変貴重な御意見をいただきましたが、全体の方向性としては、この審議のまとめ案について御賛同いただいたものと理解をさせていただきます。
したがいまして、今日、この方向性をしっかりと私どもが押さえた上で、今後は資料にも示されている基本問題小委員会において機動力の高い専門的な議論を進め、そうした小委員会での深掘りを活かしながら、特別部会全体としての諮問事項である「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について、高い資質能力を備えた教師の確保等ができるよう検討を進めていきたいと思います。
また今御意見いただいた内容は、後ほどの議事4とも関連いたしますので、議事4に関連づけて進めていきたいと考えます。
それらを踏まえ、改めまして、今日の皆さんの御意見からは、本審議のまとめ案について異議がないものと認めますので、当部会の取りまとめ案としたいと思います。
それでは、この審議の取りまとめに大変御尽力いただいた加治佐主査からも、一言お願いいたします。
【加治佐部会長】 私からも一言御礼かたがた申し上げたいと思います。
教員免許更新制の在り方といいますか、その行方につきましては、私が想定した以上に、学校の現場の先生方、校長先生方、そして教育委員会の方の関心が高いということも本当に実感いたしました。
審議が始まって、委員の方々は大学の先生もたくさんおられるわけですけども、こういう方々も非常に熱意が高くて、事務局も本当に尽力されて、非常にスピーディーかつ効率的な審議ができて審議のまとめに至ったんじゃないかということを、まずは申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。
発展的解消ということですので、発展させなければいけないわけです。それが新しい学びの姿の仕組みということになるわけですけれども、やはり一番大事なのは、今の荒瀬委員や戸ヶ﨑委員の御指摘のように、免許更新制がどちらかというと受け身的というか、やらされているという感じがあったということです。
そうではなくて、教師が主体的かつ教職員集団で協働的に学ぶんだと。これが基本中の基本であるということです。ここの理解をいかに促していくかが、この仕組みの成否に関わっているというふうに思います。もしそれが実現すれば、恐らく、本当に教師の学びを根本的に変える、画期的な仕組みになるんじゃないかと思います。本当に、まずはそこのところを我々も一生懸命やっていかなきゃいけないと思います。
そして、ワンストップのプラットフォームをつくりますとか、研修履歴の管理システムをつくりますとか、そういうことをこれからやっていくわけです。これはこれまでになかったことですが、これも意見交換会が始まったということを聞いておりますが、ぜひスピーディーにやっていただきたいと思います。
特にその際、委員の中からもこれまでもありましたけれども、そのプラットフォームの構築のコストは誰が負担するのか、あるいはその運営コストは誰がどう負担するのか。現場の先生方もそうですし、これまで更新講習を有料で提供してきた我々大学にとっても非常に強い関心があります。本当にみんながウィン・ウィンになるような仕組みづくりをしていかなければいけないというふうに思っているところです。
これからが本番ですので、引き続きどうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございました。今日も皆様から大変貴重な御意見をいただき、心より感謝申し上げます。
文部科学省におかれましては、本審議のまとめを踏まえて必要な取組みを速やかに進めていただきたいと思います。
それでは、これで議事の3を終了させていただきます。
次に議事の4に移らせていただきます。先ほど触れましたように、議事の3は、あくまでも諮問事項全体に対して先行的にまとめる位置づけのものでございました。
ただ、私たちの特別部会は、諮問事項全体をまとめることが求められております。この教員免許更新制の見直し以外にも、もともと議論してまいりました「新たな教師像と教師の求める資質能力」、それから「多様な専門性を有する質の高い教職集団の在り方」、そして「教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化」、「教師を支える環境整備」といった諮問事項を受けておりますので、この議事の4で、今後、こうした全体をどう検討していくのかについて、事務局から改めて説明をしていただきたいと思います。
それでは、よろしくお願いします。
【中村教育人材政策課長補佐】 教育人材政策課の中村でございます。資料6-1に基づいて御説明いたします。
「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会検討の方向性(案)というタイトルですけれども、冒頭に書いていますように、この特別部会では、教師の養成・採用・研修等の在り方について、今日の議論を含めますと計5回になりますけれども、これまでに4回の議論を経て、検討を重ねていただいたというところですけれども、この文書につきましては、これまでの議論についての整理ということと、併せて今後の検討の方向性というものをお示しするペーパーでございます。
本文書は2部構成になっていまして、1ページ目から3ページ目にかけてのところに、第1部としてこれまでの議論の整理ということと、3ページ目中段以降に、検討の方向性ということで、今後の方向性について記載しております。
まず、1ページ目のローマ数字1、これまでの議論の整理ということですけれども、タイトルどおり、これまでの議論で主にこちらのほうからの論点提起や議論がされた部分についてのエッセンスを抽出したような構成になっております。
1ページ小見出しで、「教師個人と学校組織」というところにつきましては、2ポツ目と3ポツ目にそれぞれ教師個人、それから学校組織のありようについて、こういうことが重要ではないかということについて改めて記載させていただくとともに、4ポツ目のところには、学校集団、教職員集団という中で、校務をつかさどる校長のリーダーシップの下、副校長・教頭・主幹教諭などがそれぞれ補佐し、任された範囲でそれぞれがリーダーシップを発揮するということ。それから、学校を支える全ての教師が、学校教育活動にそれぞれの強みや適性等を生かすことが期待され、その意味において、校長を含めた管理職その他の職場の上司は、強み等を背景に特定分野の学校教育活動を牽引する教師に対して、時にフォローアップをすることも重要であるというふうにまとめております。
次に1ページ下の小見出し、「新たな教師の学びについて」というところですけれども、こちらは、先ほどの議事の中でもありました審議まとめと内容的には重なる部分でありますけれども、改めて記載するものでして、1ページ目の一番下のところですが、教師が強みや専門性を発揮できるようにしていくためには、自らの人間性や創造性を高め、自身や所属する学校、それから子供たち、地域社会のウェルビーイングを実現していけるように、目標や見通しを立てて学びを実践し、その成果を振り返るとともに、管理職を含む学校全体で共有するプロセスというのが重要であると。
その際には、管理職や同僚教員との対話を通じて、自らが担うべき役割の認識共有を図りつつ、主体性を持って学びの目標を設定し、必要な学びを選び取っていく行動が求められると。個別最適な学び・協働的な学びを通じて、主体的・対話的で深い学びということを実現するというのは、児童生徒等の学びのみならず教師の学びにも求められていると言えるというふうに、改めて表記しております。
次に少し飛びまして2ページ目の下、見出し「学校管理職に求められる役割」というところですけれども、こちらも夏頃に特別部会で議論させていただいたことでありますけれども、1ポツ目に書いていますように、校長等の管理職が、学校組織マネジメントや研修推進体制の観点から力を発揮し、教師個人や教職員集団全体の持続的な成長が可能となるよう、教師同士の学び合いの文化をつくったり、教師それぞれの強みや専門性を引き出し相互に掛け合わせるといったことで、集団の力を最大限に高めていくことが必要であるということ。
それから、次のポツに書いていますように、管理職に求められる基本的な役割を果たす上で、従前求められていたような力に加えて、「令和の日本型学校教育」においては特に、様々なデータや学校が置かれた内外環境に関する情報について収集・整理・分析、それから共有するという、「アセスメント」というふうに表現していますけれども、そういう力や、学校内外の関係者の相互作用により学校の教育力を最大化していくというファシリテーションの能力が求められるというふうに議論させていただきました。
こうした議論の経過を踏まえまして、3ページの小見出し「多様な専門性を有する質の高い教職員集団を構成する人材の育成・確保」ということで、今後の検討の方向性につながるところでありますけれども、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の構築に向け、教壇に立つ上で最低限の能力を公証するという教員免許の基本的な性格を踏まえつつ、社会人等に対する教員免許の在り方、基礎的な資質能力を担保する教職課程の内容、強みや専門性を持った教師の育成・確保の在り方、養成・採用・研修を通じた大学・教職大学院と教育委員会との連携協働の在り方、教員採用選考試験の在り方、それから入職ルートの多様化を見据えた優れた人材の育成・確保の在り方について検討する必要があるとまとめております。
それから、ローマ数字2として、「検討の方向性」ということで冒頭書かせていただいているのは、このローマ数字1で整理させていただいたことも踏まえまして、今後、次に掲げる事項を中心に、基本問題小委員会というところで専門的な議論を行うというふうなこととして書かせていただいています。
そして、そのほかということで、近年の特別支援教育の重要性に鑑みて、別途有識者会議で議論されています特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討状況を踏まえつつ、「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について必要な事項についても検討を行うというふうに書かせていただいていますが、こちらは御参考ということですけれども、参考資料のほうに少し情報を入れさせていただいていまして、参考資料の4のほうに、「特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議の開催について」というペーパーを入れておりますけれども、このような会議で、検討事項のところに書いていますような検討課題について、今、別途並行して議論が進められているという状況にございますので、こういった検討状況も踏まえつつ、この基本問題小委員会と連動させつつ、今後議論を進められればということで書いてございます。
資料を元に戻っていただきまして、3ページの冒頭の1つ目の丸の最後の文章ですけれども、なお、これらの議論を踏まえ、実現に向けた工程表についても併せて検討するということで、この後、様々な多岐にわたるテーマについて論点を提起しておりますけれども、そういったことについてのスケジュール感がそれぞれ違いますので、そういったことの実現に向けた工程表についても、併せて検討を行っていければと考えております。
それから、3ページの下3分の1以降は、各論のほうで、今回大きく4つに区分して検討の方向性を示しております。「養成」、「採用」、それから「社会人等の登用促進」、そして「研修」という4つでございます。
まず1つ目、3ページの下ですが、「教師の養成に関する検討の方向性」ということで、小見出しのところにありますように「教師に求められる基礎的な資質能力と教職課程の見直し」ということで、こちらの内容については、9月27日の特別部会においても論点提起させていただいたところと重なる部分ありますけれども、3ページの下の丸のところですが、「令和の日本型学校教育」を担う教師に求められる基礎的な資質能力として、大きく5つの柱で再整理し、資質能力の具体的内容については別添のとおり試案が示されるとともに、新たな教師の学びの姿として、目標や見通しを立てて学びを実践し、その成果を振り返るとともに学校全体で共有するというプロセス等が示されたということで、別添のほうには、その5つの柱で再整理した試案としての、教師に求められる基礎的な資質能力ということを、イメージ図という形でありますけれども再度掲載しているところでございます。
4ページ、上の1つ目の丸ですが、教壇に立つ上で最低限の能力を公証するという教員免許の性格を前提として、この資質能力の内容や新たな教師の学びの姿、それから教員養成フラッグシップ大学において取り組む学習観・授業観の転換を担う教師養成プログラムの具体的内容などを踏まえまして、理論と実践を往還した教職課程を実現するための教育実習の実施時期、実施方法の見直しなどについて、学生の状況に応じた弾力的な運用にも配慮しつつ、教育実習における学習指導員等としての活動の位置づけ等も含め検討を行うとしております。
それから、同じ4ページの2つ目の小見出しですが、「特定分野に強みや専門性を持った教師の養成・採用」ということで、教職課程と大学等で展開される多様な授業科目を組み合わせて学習することにより、教壇に立つ上で最低限の能力に加えて、学校現場における今日的な教育課題に対応した特定分野に強みや専門性を持った人材を養成する取組を促進する方策についても検討するというふうにしております。
次の小見出しですが、「教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化」ということで、多様化した教職員集団の中で中核となる教師を養成する教員養成大学・学部、教職大学院につきましては、教員養成フラッグシップ大学での取組も踏まえて、その機能強化・高度化のための方策について検討するということ。
それから、特に高度専門職業人としての教員養成の中核的な役割を担う教職大学院の全国的な整備が進んだことや、新たな教師の学びの姿が示されたことを踏まえて、学部と教職大学院との連携・接続の在り方や、教職の高度化に向けた教育委員会との連携協働の在り方について検討するというふうにしております。
それから4ページの一番下のところからの小見出しですけれども、「教育委員会における大学・教職大学院との連携協働の促進」ということで、5ページのほうに移りますが、教師の養成・採用の一貫性を重視した質の高い人材確保の観点から、教職大学院も含め、大学等における学習成果について、教育委員会における採用選考において適切に評価されることが重要であるとした上で、そのために、大学等における学生の成績評価に関する理解を深める場として、教育公務員特例法第22条の5に規定する協議会の活用も有効と考えられるということと、教育委員会から大学等における成績評価に関する理解を得ることにより、大学等における学習成果を、採用選考の場面のみならず入職後の研修内容に反映させたり、現職教師が教職大学院での学びを修了した後の処遇やキャリアパスなどに反映させたりすることも期待され、こうした在り方の促進方法についても検討するとしております。
最後に、教職人材の高度化と計画的な教員採用の観点から、大学と教育委員会との一層の連携促進により、教職大学院における理論と実践の往還を重視した学びと、入職初年度におけるOJTや研修とのさらなる円滑な接続に向けた取組を進めていくことが重要ということから、教職大学院修了者に対する教員採用の特別選考や、初任者研修、中堅教諭等資質向上研修の内容の弾力化などの先進的な取組を踏まえつつ、その充実方策について検討するとしております。
それから、5ページ中段の2ポツ、「教師の採用に関する検討の方向性」のところですが、まず1つ目の小見出しの「教職への志望動向に関する実態把握」ということで、教職課程を履修したものの何らかの理由で免許状取得を断念した者や、採用試験を受験しなかった者などについて、学生の教職への志望動向に関する調査の結果などを踏まえ、阻害要因等を分析し、対応を検討するとしております。
次の小見出し、「人物重視の多面的な採用選考」ということで、1つ目の丸ですが、筆記試験、実技試験、面接試験などによる受験者評価の方式に限らず、大学等における学習成果など、過去の一定期間を通じた実績に基づく丁寧な受験者評価を行うことは、人物重視の多面的な採用選考の観点から有効と考えられます。
教育公務員特例法第22条の5に規定する協議会や教員育成指標の仕組みを実質化する取組の一つとして、教育実習をはじめとした、大学等における学習成果を活用した教員採用選考の実施を検討している教育委員会の取組につきまして、その実効性や留意点、今後のさらなる展開などについて検討するとしております。
次に6ページのほうですが、「教員採用選考試験の実施スケジュールの在り方」ということで、受験時期の早期化や受験ルートの複線化といったことも含めまして、教育や教職に対する熱意を有する優れた人材の確保に資する教員採用選考の在り方について検討するとしております。
次の小見出しですが、「効果的・効率的な教員採用選考試験の実施」ということで、教育委員会のニーズ等を踏まえつつ、教員採用選考試験の共通問題の在り方について、教職員支援機構を中心に、都道府県・政令市教育委員会等の任命権者との協議の場を設けるなど、その具体化に向けた検討を進めると。その際、教師に求められる資質能力の再定義を踏まえつつ、単なる知識・技能を問うものにとどまらない、思考力・判断力・表現力等を働かせる問題内容の在り方についても検討するとしております。
次に6ページの下3分の1のところですが、3ポツ、社会人等の登用促進に関する検討の方向性ということで、こちらについて、1ポツ目と2ポツ目ですが、教壇に立つ上で最低限の能力を公証するという教員免許の性格等を改めて確認した上で、質の高い教職員集団を実現するために、学校以外で勤務してきた経歴や、専門的な知識・技能を有する者に対する教員免許の在り方について検討する必要がある。
このため、多様な経験や専門性を有する人材を教職へ迎え入れる教育職員免許法上の制度として設けられている特別免許状制度、特別非常勤講師制度、教員資格認定試験につきまして、「令和の日本型学校教育」の実現に向けて、多様な専門性を有する質の高い教職員集団を構築する観点から、複線化された入職ルートとして一層機能させていく必要があるというふうにした上で、7ページのほうに、それぞれの具体的な検討の方向性について書かせていただいています。
まず、7ページの1つ目の丸、特別免許状制度については、例えばスポーツや文化・芸術における優秀な活動実績を有する者や、専門的な研究を行ってきた博士号等の学位保有者などをはじめとする専門的な知識・技能を有する者への授与が積極的に行われるように、その実態把握や好事例の収集を行いつつ、例えば学校現場に参画しようとする者の専門性に対応できるよう、授与教科区分を見直すことや、そのような者にとって免許状授与の予見可能性を高める観点から、授与手続や授与基準を透明化することを検討する。
また、都道府県教育委員会が自らイニシアチブを取って授与が行えるようにすることも検討するとしております。
次の丸ですが、教科横断的なプログラミング教育やグローバル人材育成を目指した教育課程などが編成・実施されていく中で、特定分野の専門性を有する人材を幅広く迎え入れていく観点から、教科の領域の一部を担当する非常勤の講師については免許状を要しないという特別非常勤講師制度、こちらについて、例えば非常勤という勤務要件の在り方を検討するなど、このような人材が学校現場でさらに活躍しやすく、働きやすい制度にしていくことを検討するとしております。
次の丸ですが、社会人等に試験の合格により免許状取得の道を開く仕組みであって、現在、一部の学校種などについて実施されています教員資格認定試験について、今後、教師に求められる資質能力の再定義を踏まえて検討することになる教職課程のカリキュラム等の在り方の検討を踏まえつつ、例えば、試験区分をニーズの高い他の学校種・教科にも拡大するとともに、実務経験を加味して一部試験免除を行うなど、社会人等が学校現場に参画しやすくなるような試験制度の見直しに着手することについて検討するとしております。
それから、併せてということで、次の丸にありますとおり、教師を採用する任命権者等が、多様な専門性を持つ社会人をより積極的に採用しやすくなるような環境整備も検討するということで、「例えば」で書いていますように、教職の基礎的な知識・技能を習得するための、免許状未修得者向けのプログラム開発などとともに、任命権者である教育委員会等や、多様な専門性を持ち、学校での勤務を希望する社会人等のニーズを踏まえつつ、兼業・副業などの多様な働き方の実現に向けた検討を進めるとしております。
最後のセクションですが、7ページの下の4ポツ、教師の研修に関する検討の方向性ということで、具体的な内容は8ページのほうになりますけれども、小見出しに書いています「新たな教師の学びの姿の実現に向けた体制整備」ということで、こちらも先ほどの議事にありました審議まとめの内容と重なる部分がございますけれども、この審議まとめで示された新たな教師の学びの姿の実現に向けて、教師に求められる資質能力の再定義も踏まえつつ、教育公務員特例法22条の2に基づく教師の資質能力の向上に関する指針の改正や、校外研修講習・講習のほか、校内研修や授業研究に代表される教師同士の学び合いによって得られる気づきなどの「現場の経験」を重視した学びを含む職能開発に関する校内推進体制の整備、それから、審議まとめに言及されている研修受講履歴管理システム(仮称)ですけれども、そういったものや、3つの仕組みについての必要な環境整備も含め、諸施策を検討するとしております。
それから、最後のテーマですけれども、学校管理職(特に校長)に求められる資質能力の明確化ということで、学校組織のリーダーであり、校務をつかさどり、所属職員を監督する「校長」というのに求められる資質能力について、教職の延長線上のキャリアステージというだけではなく、「校長」という別の職であることを再認識することが重要であり、その上で、特別部会における議論を踏まえて示されました新たな時代における校長に求められる役割や資質能力について、校長の選考の実施ということと、校長の教員育成指標との整合性の確保の観点も含めまして、校長の教員育成指標の策定に当たり各任命権者が参酌することとなる大臣指針に盛り込むことを検討するとしております。
説明は、書いていることは以上ですけれども、少し補足がございまして、参考資料の1、こちらの46ページを一度御覧ください。
こちらにつきましては、今の検討の方向性に直接の記述はなかなかできなかったものですから、補足的に説明させていただきますと、教師の離職状況について、前回の9月27日の特別部会において、委員の中で、このような離職の側面というところについても着目して議論すべきではないかという意見がございましたので、こちらのほうでその基礎的な資料として追加をして、今、補足的に御説明させていただきたいと思いますけれども、46ページから48ページのところに関連データを掲載しておりますが、公立小中学校教員ということについての離職データについてまとめてございます。
46ページのほうは、上の表の中で見ていただくのは左下の1.01%のところですけれども、こちらが直近の令和2年度間における公立小中学校教員の離職状況のパーセンテージということになっていまして、参考として下の点線枠囲みの中に、民間企業等の離職率というものを掲げさせていただいていますが、こちらちょっと分母が統計上異なりますので、厳密に比較はできないんですけれども、各産業別のデータが下の表のほうにありますけれども、先ほどの1.01%と直接は比較できないものの、ほかの産業別との状況を見ても、そこまで公立小中学校教員の離職というところのデータが厳しいという状況ではないんじゃないかというところが見てとれると思います。
それから、47ページのところにつきましては、こちらは小中学校教員ですが、3年以内離職率と呼ばれるものについて少し着目してみたものですが、この3年以内離職率につきましても、上の表の中の左下、1.47%というところが平均値になってございます。こちらも民間との比較という形で一概には比較できないものの、下の表にあるような、産業別の新卒の大卒と高卒でそれぞれ分かれていますけれども、上の大卒で言えば全産業合計で32.8%という平均値になっております。
それから、最後48ページですけれども、こちらにつきましては、民間分野となかなか比較するのが統計上難しいというところもございましたので、同じ地方公務員の中における比較というところで、48ページの下の点線枠囲みの中ですけれども、こちら、地方公務員の中における離職率の職種別の比較になっていまして、例えば教育職は下から2つ目のところにありますように1.10%となっていますが、こちらは、一番上の一般行政職1.33%というところと比較して、さほど変わりないというところがお分かりいただけるかと思います。
このようなデータも踏まえまして、今後、小委員会のほうでの議論の前提となる条件として、参考資料に入れさせていただいております。
私からは説明以上です。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございました。それでは、皆さんから御意見、御質問を伺いたいと思います。これから御議論いただく趣旨は今の説明のとおりですが、一つは、この特別部会が諮問を受けている内容に照らして、皆さんより積極的に御意見をいただいた過去5回の議事の整理という視点です。もう一つは、先ほどの議事3のところで申し上げたとおり、免許更新制について小委員会での専門的な議論を踏まえて、特別部会で議論することで大変議論を深めたと思いますので、今回もここに提案されているような基本問題小委員会を設置して検討を深めではどうかという御提案をしている点です。その2点についての御意見、御質問を伺いたいと思います。
それではいかがでしょうか。どうぞ、手を挙げる機能で表示いただきたいと思います。岩本委員、よろしくお願いいたします。
【岩本委員】 岩本です。どうぞよろしくお願いします。
それでは、今の資料のところで気づいた点、何点か意見させていただけたらと思います。
まず、2ページ目の学校管理職に求められる役割のところなんですけども、アセスメントとファシリテーションというのは書かれているんですけど、ここは連携・協働みたいな話がちょっと入っていなかったかなという印象を受けました。別添のほうではマネジメントとコミュケーション、ファシリテーションと、連携・協働というのが必要だというのが出ているんですけど、ちょっとここに書かれていなかったので、管理職は、外部機関、福祉だとか、そういったところとの連携・協働って非常に重要な要素かなと思ったので、入っていなかったなというのが1点目です。
2点目が5ページ目の教職への志望動向に関する実態把握の箇所です。この実態把握というのは非常に重要だと私も感じております。この中で実態を把握する対象として、大学等で教員免許を取ったけども、今学校で教員になっていない、いわゆる学校外の企業だとかそういったところにいる人間の実態というのが、もう少しちゃんと把握が必要ではないかと思います。
どういう学校種だとか教科の免許を持った人間が、例えば年代別でも、どのぐらい実際に日本の社会にいるのかだとか、場合によっては都道府県別みたいなものも見えればよいかと思うんですが、教員免許を持っているけども、教員になっていない、社会で様々なところでいらっしゃる方というのが、今後教員にやはり目を向けていくとかというところの考えていくに当たってはここら辺のデータですね。そういった人たちが教職に再度目を向けるための促進要因って何なのかとか、そういったところが分析できるようなデータとか含めて、実態把握があると今後の施策を検討するに当たってしやすいかなと思いましたというのが5ページのところです。
3点目が、7ページ目の社会人等の登用促進に関する検討の方向性のところの丸の一番下、「多様な専門性を持ち、学校での勤務を希望する社会人等のニーズを踏まえつつ、兼業・副業など多様な働き方の実現に向けた検討」ということで、私はこれ非常に重要だと思っているところですので、今後これも議論していくに当たって、これは学校以外の社会人が、兼業・副業とかクロスアポイントで教員をやる際に、どんな方法があるのかとかどんなニーズだとか課題が実際あるのか、もしくは何を変えればそういった働き方ができるのか。
一方で、今教員である人間が兼業・副業含めて、多様な働き方を実現するためには今何がネックになっていて、どういう方法があるのか、何を変えればいいのかとかそういったリスクは一体何なのかというところ、これもより一段具体的な情報とかを基に、今後検討を進めていけたらいいのではないかというところが3点目です。
最後、ちょっと資料の中には入っていなかったんですけども、諮問の中で教師を支える環境整備というところが諮問事項であったかと思います。その教師を支える環境整備の一つとして、こんな検討も今後もしかしたらあってもいいのではないかというのが一つありまして、それは教師のキャリアパスやキャリアチェンジ、場合によっては再就職の支援の在り方というか、そういった支える環境整備についてです。
これは何かというと、私、学生だとか多様な社会人と話している中で、多くの人間のイメージは、教員というものはキャリアの行き止まりだという認識だとかイメージを持たれている嫌いがあると思っています。
一度教員になってしまったらもう教員以外できない、学校以外の世界では通用しないという、なってしまったらもう抜け出せないというように見えていると、今も多様な働き方とか人材の流動化とか、そういったことが特別なことでなくなってきている中で、教師になってしまったらもう最後のとりでみたいなイメージを持っている若い人たちというのがとても多いなと感じています。
実際に校長までなった方が、やはり再任用でまた学校の中でやっているとかというケースも多々当然ある中で、何か教員として身につけた力だとかが、ちゃんと外の社会でも生かされると。教員になっても出たければ外でも活躍できるとか、外に出て活躍している事例も当然あるわけですが、教員がキャリアの行き止まりではなく、なりたい人はなればいい、合わない人は外でまた活躍もできる、また帰ってきたければ帰ってこれるじゃないですけども、そういうキャリアチェンジだとかのちゃんと支援とか在り方ができていると、意欲、能力が高い様々な方が教員というものにチャレンジしてやってみようと、より教職の魅力が高まっていくかなと思いますので、今後教師を支える環境整備の中でもそういったことも場合によっては検討というのもあってもいいのかもしれないなというところが最後、意見です。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。今後深めるべき検討の視点として大変重要な御指摘をいただいたと思います。特に、これまでより御指摘いただいておりますが、社会人を含めた多様性、柔軟性のある教師像という視点は本当にメイン課題でもあると思います。
環境整備のところは、恐らく最初から項目立てをするというよりも、全体の各項目を審議していただいて、それを実践するときにどういう整備が必要なのかということで、この審議の全体の後半のほうで、整備状況等についての審議をするような組立てになるのではないかと思いました。
なお、実態把握について現時点において事務局から説明できるものがあれば、少し補足をしていただけますでしょうか。
【中村教育人材政策課長補佐】 事務局の中村でございます。
今、御意見といいましょうか、御提案をいただいた件につきましては、この後の小委員会における議論ということで、それを踏まえて、こちらの議論の中で検討していければと思っていますけれども、データとしましては、今参考資料1にるる関連データをつけさせていただいていまして、もう既に御案内のことが多いと思いますので、この中において示しているというところと、あとはおっしゃっていただいた、特に免許を取ったけれども、教員になっていない、そういった人材の実態把握、年齢別のデータというお話でしたけど、こちらについても、今こちらのほうで当面進めていますのが、いわゆる現職教員、今、教員になっている方を対象にした実態調査というお話と、あとは学生に対しての志望動向の調査というところについては、検討をこちらとして予定しているところございますけれども、おっしゃっていただいた教師になっていない方、学生でもない方というところについては、ちょっと今すぐ何ができるかというところは、なかなかお答え難しいところございますけれども、こちらのほうでのもともと持っているデータの中とかでも、それに資するようなところとかもあるかもしれませんので、再整理いたしまして、そういったものを踏まえて議論できればと思っております。
【岩本委員】 すいません、ありがとうございます。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。
それでは、古沢委員、お願いいたします。
【古沢委員】 ありがとうございます。こちらの資料を拝見して、教員指導者の拡充に向けて、非常に具体的な方向性が様々示されて、とても検討しやすいたたき台を示していただいたと思います。
特に一つ柱になるのは、社会人から教職課程を特に経ていない人に対して免許を授与して、教壇に立つ道を開くということで、いろいろ具体的な案が示されているんですけれど、これは非常に必要なことだと思います。
その一方で、もちろん大学の教職課程に進んで、早い時期から明確な教員志望を持っている若者に対して、明確なインセンティブを与えることが必要だと思います。この中にも、3年時の試験とかいろいろ新しいことが提案されていますけれども、それをしっかりしていかなければならないということと、今も岩本委員からありましたが、環境整備については、今、教職を考えている方が一番注目している点だと思いますので、説明会のお話を聞いてもという方が多いので、こちらもかなり明確にメッセージを出していく必要があるのかなと思いました。
1点質問がありまして、7ページの特別免許状制度のところで、「都道府県教育委員会が自らイニシアティブを取って授与が行えるようにすることも検討する」というのは、これからもちろん中身は議論していくわけなんですけれども、どういうニュアンスというか意味合いで、この方向性を出していらっしゃるのかというのをちょっと事務局に伺えればと思います。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。前半の御指摘については、まさしく審議の方向性自体と重なるものだと思いますので、今回の検討事項に含んだ検討をさせていただきたいと思います。
それから、最後のところの質問については、事務局のほうから説明をお願いします。
【平野教員免許企画室長】 免許室長でございます。
特別免許状、現行の仕組みにおいて任命しようとする者または雇用しようとする者というものが、教育職員検定という手続の中で推薦を上げてくると、こういった仕組みになっているわけであります。
ですので、具体的に言うと個々の学校のほうから声が上がってくるということになるわけでありますけれども、ここは学校の側から来るのをただ待つのではなくて、都道府県教育委員会が自ら任命権者という立場を有しているものでございますから、イニシアティブを取って特別免許状を授与していく、こういったような運用というのも考えられるのではないかということで論点提起をしているものでございます。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。特別免許状も含めて、これから非常に重要な事項だと思っております。
それでは、中原委員、お願いいたします。
【中原委員】 教師の人材確保問題、および、教員養成系大学・研修の学びについてお話をさせていただきます。
まず、教師の人材確保問題というところでいくと、その基本は3つしかありません。「入り口を増やすか」「出口を減らすか」「生産性をあげるか」です。
ひとつは「入口を増やす」。つまりは「採用の複線化、採用数の増加」です。ふたつめは「出口を減らす」、すなわち「離職の防止」です。みっつめの「生産性をあげる」は、IT化など、機械化をすす、仕事の効率をあげるということです。
このうと、「入口を増やす」に関していうと、やっぱりとにもかくにも、「選んでいるのではなくて、選ばれている」という感覚をまず持ちつつ、多様な採用を実現していくことが非常に大事なのではないでしょうか。「選んでいるのではなく、選ばれている」というのは、要するに「教育委員会や学校が、将来の先生候補として学生を選抜しているのではなく、学生が先生になることを選んでいる」ということです。だから「選ばれる仕事」にならなければならないのです。そして、だんだん教職は「選ばれない仕事」になりかけています。
つぎに「採用を複線化すること」も一計ですが、そのためには「育成も複線化すること」が求められます。日本の学校におけるOJTは、新卒での採用を基準につくられています。ということは、中途採用をしたひとの育成は、あまり得意ではありません。
「採用と育成はセットで考える」が基本です。この採用に応じた、経路に応じた適切な育成の手法、内容を今後セットで考えていかなければならないということが非常に大事なのかなと思います。そうしないと、中途採用者の適応不全、離職などが問題になるでしょう。もし採用の複線化において、非常勤職員をさらに増やすのなら、同じ事です。彼らの育成を考えなくてはなりません。
採用を劇的によい方向に変える方法はありません。地道で息の長い取り組みが不可欠です。その最たるものは「長時間労働の是正」であり、「教員の過酷な働き方の是正」です。ここで何度も何度も言っていますけれども、「安心・安全の職場づくり」が「最大の採用メッセージ」になるのです。長時間労働が横行する職場で、誰も働きたいとは思わないのです。ぜひ、これには取り組んでいただきたいです。日本の教員の労働問題のあらゆる問題は、この「長時間労働の是正」と「教員の過酷な働き方の是正」にひもづいている、といっても過言ではありません。
つぎに、出口戦略です。離職も減らしていくというのは基本だと私は思います。そのためには、学校を組織としてとらえ、そのコンディションを見える化して、マネジメントに役立てることです。
組織調査など、組織状態、コンディションを「見える化」して、マネジメントに活かす仕組み等々が必要になるんじゃないかなと思いました。今の学校には、企業のように職場のコンディション、組織のヘルシーさを見える化するような「エンゲージメントサーベイ」がなく、まったくの「ブラックボックス」です。イメージできないものは、マネージできません。
いずれにしても、採用の複線化をはかったりすれば、管理職の管理コストや必要なマネジメント能力は爆増します。社会人が入ってくる、いろんな経路で入ってくるということになると、やはりこの管理職の育成エンパワーメントは必須なんじゃないかなと思います。管理職にしっかりとしたスキル、武器、防具をもたせてあげなければ、これらの難しい課題に「素手」で戦うことになります。
あともう一点、教員養成大学とか大学院における学びとか、教師の研修について一言だけお話しさせていただきたいと思います。
まず、基本は「三位一体」です。教員養成大学、教育委員会、学校が様々な育成を行っていくことは大事だと思います。しかし、その際に、コンセプトになるものを、もう一度小委員会で話していけるといいんじゃないかなと私は思いました。
たとえば、そのひとつに「子供の学び」と「教師の学び」をセットで考える、というコンセプトはどうかと思っています。
といますのは、いま、子供の学びにICTが導入されたり、アクティブラーニングが導入されたり、個別最適な学びが導入されて様々な形で変わっているわけです。その子供たちと、子供たちが必要になる学びを、教師も、まえもって、体験していないと、実際教えることは非常に難しいんだと思うんです。
大切なのは「教師の学びは、子供の学び」であり「子供の学びは、教師の学び」なのではないでしょうか。これらが、同期していないと、「学んでいないもの」を「教えられるわけ」がないのです。
子供がICTで学ぶなら教師の卵もICTをやってほしい、子供がアクティブラーニングやれと言うなら、教師の卵もアクティブラーニングをやってほしい。こういう子供の学びと教師の学びをセットで考えるという考え方をぜひ検討いただいてほしいなと思います。
そのほかいろいろありますが、やっぱり実践して学ぶということも非常に大事ですし、子供に振り返るというのであれば、教師も経験学習から学んでいくのが重要なのではないでしょうか。
あと1点だけ、恐らく研修内容はこれから大きく見直されていると思うんですけれども、ここも減らしていくこと、見直すことは非常に大事なのかなと思います。
企業研修を見ていますと、研修内容はどんどん増えていく運命にあるんです。ここを整理していき、必要なものには投資を行うという観点が大事なのじゃないかと思いました。長時間労働の是正も鑑み、減らせるものは徹底的に減らすがよいと思います。重要なものだけにしっかりとしぼり、研修転移(研修で学んだことが実践される)ようにしていくことが重要でしょう。
また、研修そのもののコンセプトとして「研修とは、やらされるもの」というよりも「自ら選び、学ぶもの」というコンセプトの転換が必要ではないでしょうか。
以上です。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございます。教師の養成段階、採用段階、それから研修の全体の見直しということで、まさしく諮問事項のそれぞれについてコメントをいただいたと思います。
御指摘の点は、今回の検討の方向性の中にも入れさせていただいておりますので、基本問題小委員会でも深堀りするテーマとして受け止めさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
【中原委員】 よろしくお願いします。
【渡邉部会長】 それでは、続きまして、松木委員、お願いいたします。
【松木委員】 松木です。非常に多面的な点から今後の教師の育成の仕方について、御提案いただいているなと思っています。
これに付け加えて2点ほど、1点は、教師のライフサイクルに関してです。今後定年の延長等が多々出てくるんじゃないかなと思いますが、教員の皆さんは60歳をゴールにして、ライフサイクルを描いている。それが今後延びてくるということに関わって、例えば校長先生がお辞めになって、一般の教員になるのもよしですが、校長先生が継続して校長先生をやることができるようになるとか、とにかくそのライフサイクルの仕方が変わってくるわけで、そのことを教師自身がイメージを持てる、あるいは教育委員会がイメージをしながら、教師をサポートしていくということについて、考えていかなきゃいけなくなるんじゃないかなと思います。
2点目は、学校のダイバーシティーということを考えた場合に、外国籍の子供たちがどの学校にもいらっしゃるようになっている。この子供たちにどうしていったらいいのかという視点、あるいは外国人の方が教師になっていくといったことについて、こういったダイバーシティーに関してどう考えていくのかということについても、もう一点、議論が必要じゃないかなと思っています。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。1点目は、少し重い御指摘だと思って受け止めさせていただきました。公務員の雇用制度全般に関わる問題ですので、今回の答申に向けて全て議論し切れるかどうか難しい点はあるかと思いますけれども、校長の在り方や管理職の在り方などとも絡めながら議論をするような方向で受け止めさせていただければと思いました。
それからダイバーシティーの点については、令和答申の中でもかなり議論をいただいております。そういったことを踏まえて、今回の方向性の中にこれからどう入れていくかという視点で受け止めさせていただきたいと思います。
事務局のほうから何かありますか、いいですか。
ありがとうございました。松木委員、よろしいでしょうか。
【松木委員】 はい。
【渡邉部会長】 ありがとうございました。それでは、荒瀬委員、お願いいたします。
【荒瀬委員】 ありがとうございます。何度も申し訳ありません。
これを考えていく中で、この特別部会がスタートしましたときに、教師が今どんな状況にあるんだろうかという話が出て、その中で例えばもっと魅力のある仕事にしていくためには大胆な発想も必要なんじゃないかということで、これまでも中教審含めていろんな場所での議論で、夏休みって、昔、夏休みは先生休みだったけれども、今はもう全然休みじゃないと。研修ばっかりとかあるいは小学校でプール当番とかいろんなことがあって、大変だということで、サバティカルみたいなことも考えてはどうかという話がありました。ですから、この小委員会で検討していく中では、本当に多様な発想で話がしていただければいいなということを思います。
それともう一つ、私、今朝、NHKで中原先生を拝見いたしまして、そこで中原先生が大人の学びについてお話しになっていまして、大変、私は共感を持ちながら視聴させていただきました。ちょっと勤務の関係で途中までしか聞けなかったんですけれども、その中で中原先生がよくおっしゃっていますが、興味関心のあるものに対して学んでいくということが大事ですよということと、一緒に学ぶというのは大事ですよということを特に強くおっしゃっていたように思います。
そういったことで考えてみると、免許更新制は、この大きな制度をどうしていくのかということで我々がいろいろと小委員会の議論も含めて、いろんな角度から見てきた。そして、発展的解消という形にしていくんだということですけれども、これからの研修が教師の学びであるということを本気で考えたら、教師自身がどういう学びを求めているのか、教師自身にとっての研修というのは、決してこれは押しつけられたりとかするもんじゃなくて、教師自身が学びたいことを学んでいって、それが子供たちによい形で還元されていくという循環を考えていく必要があると思いますので、この小委員会の中でぜひともいろんな形で、教師の声を聞くような場を積極的に持っていく必要があるんじゃないかなということを思いました。
もちろんこの特別部会にも、現職の校長先生いらっしゃるわけですが、ぜひいろんな形で現職の先生の話が聞ければということを思いました。
以上です。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 大変貴重な御意見をいただき、ありがとうございました。高い資質能力を備えた教師の確保をしていくことと、教師の魅力をどう一層高めていくことができるかということが、特別部会の目指すべきことだと思います。
今後の検討の中でも今いただいたような御意見もしっかり受け止めて、基本問題小委員会だけではなくて、この特別部会でも、一緒に議論をしていきたいと思います。ありがとうございます。
ほかに御意見はございますでしょうか。では、加治佐部会長からお願いいたします。
【加治佐部会長】 簡単に。これまでの議論を大変総合的かつ分かりやすくまとめていただいて、今後の議論の土台になると思います。ここの中にも書かれていますように、世の中の変化が非常に激しいわけですね。今は教師不足と言われています。更新講習が発展的解消になったその理由の一つでもあるわけですけれども、ただ、今はそうですけれども、今後定年も延びるわけですね。何よりも少子化が進みます。特にコロナによって昨年度、今年度はかなり出生する数が減るんじゃないかと言われています。これが幼稚園だと3年後、小学校だと五、六年後にはもう現実のものになってくるわけですね。だから、そういう今後の教員ニーズといいますか、そういうのを踏まえた在り方を考えていただく必要があるのかなと思います。
今の状況は一変するような気がしないでもないですね。35人学級も言われていますので、当然教師の数は確保しなきゃいけないんですが、ただ、子供の数が減ってきたときに、それに必要な教師の数は幾らなのか、かつ18歳人口は当然減るわけです、生産年齢人口も減ってきますといったときに、他分野との競合の中で優秀な教師を獲得しなきゃいけないということになってきます。もちろん今日の議論にもありますように、既にほかの分野にいる方から入ってもらうことも大事なんですが、だから、この少子化による急激な教員ニーズの変化といったことも視野に入れた形での教職課程の在り方とか、あるいは大学間の連携とか、そういう視点もいるのではないかと思うんですが、直接の検討課題ではないんですかね。ただ、現実的にはそのことがもう目の前に来ているような気がしてならないので、またちょっとそこも検討いただければと思います。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。今の御意見は恐らく、特別部会として、教師に対する環境整備だけの話ではなくて、全体像として今の環境変化をどう受け止めるかということにも関わってくると思います。一旦、基本問題小委員会のほうで、今回のようなご指摘も含めた方向性について専門的な意見を踏まえていただいて、それをまたこの特別部会で受け止めていきながら、検討を深めたいと思いますが、いかがでしょうか。
【加治佐部会長】 分かりました。
【渡邉部会長】 よろしいですか、ありがとうございます。それでは、永田大学分科会長、よろしくお願いいたします。
【永田委員】 ありがとうございます。中原先生、荒瀬先生、渡邉部会長がおっしゃったことを違う言い方をさせてもらおうと思います。どうしても視点が、管理や制限など、先生を縛ることを目的として書かれているような論調に見えます。先生は尊敬されなくてはならず、その尊敬を感じさせるような先生にならなくてはいけないわけですが、このような書き方では、先生は縛られているような印象を受けます。
今回の方向性の前段のほうでは、自らの人間性や創造性を高める、と書かれていますが、本当にそれができるかどうかが分からないような内容になっていると思います。
それから、先生もいろいろな専門の勉強をされてきたわけですから、ここで一番大切なことは、より専門を磨くことや、より広い教養を身につけることであり、そういう書き方はどこにもないような気がします。
一方で、社会人の中でも、芸術、スポーツの人たちは専門を突き詰めた人であるような書き方になっていまして、この人たちが一緒に働くとなったらどういうことになるのかなと思います。
ここに書かれている社会人を利用することはとても良いと思いますし、スポーツ、芸術に秀でた人に免許状を授与することも良いとは思いますが、彼らがいわゆる一般的な教師とともに一体的なコンセプトの下、現場で動く必要があると思います。そういう意味合いでは、違う視点で書かれているような気がします。
最後ですが、例えば兼業や副業については、社会人の参画の話が出てきたから、改めて兼業、副業のことを考えるように書かれていますが、これは明らかに後付けであると思います。つまり全般にわたって、オリジナルの先生の専門性や教養を高め、本当に尊敬されるような魅力ある教師像という内容にまだなっていないような気がします。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。まさに本質を指摘されたような気がいたします。もともと今までの審議の中でも、議事3の審議のまとめのときでもそうだったように、先生方の主体性な姿勢を重視するということを、特別部会できちっと押さえた上での議論だったと思いますので、そういったことが受け止められるように、今後も議論を深めたいと思います。ありがとうございます。
それから、社会人との関係についても、どちらが主体なのかということは大変重要な視点だと思いました。ありがとうございました。
それでは、まだ時間もございますので、ほかの委員の皆さんからいかがでしょうか。高橋委員、手が挙がっていますでしょうか。
【高橋委員】 東京学芸大学の高橋です。よろしくお願いいたします。
先ほどの加治佐先生のお話でしょうか、急に根底から変わる可能性が何かあるんじゃないのかというお話を受けまして、私もちょっと先が読めないわけなんですけども、最近やはりGIGAスクール構想で、非常にうまくいっている学校の様子を見ると、かなりこれまでにない子供が、これまでにないような勉強の仕方を子供自身がやり、それに応じて先生が教え方が変わり、研修の仕方が変わり、考え方が変わるという、先生が変わるよりやっぱり子供が変わるほうが早いみたいで、その変わったことを見て先生が変わり、いろんな校内のいろんなものがどんどんどんどん変わっていくということを実は目の当たりにする幾つかの学校があります。
こういうふうに考えますと、どこまでデジタルで変わるのかというところもございますが、例えば最近話題で言えばデジタル田園都市構想みたいな、ああいったことが具体に実現して、かなり我が国の隅々までデジタル化が進んだ場合、そういったことも少し想定しながら、これは私も見て初めて分かるぐらいで、想定がかなり難しいほどな部分はあるわけなんですけども、かなり根底から変わるというのを今目の当たりにして、少し驚いている部分がありますので、そのことについて少し頭に入れておかなきゃいけないのかなと思っているところになります。
以上です。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございました。デジタル化の中で、どう教育を考えるかということで、大変貴重な御意見をいただいたと思います。
ちなみに余談になりますが、今御指摘いただいたように、政府においてデジタル田園都市構想の議論が始まっております。日本で初めてこの田園都市構想を推進したのは渋沢栄一と小林一三ですけれども、ここでは都市の形成という視点に目が行きがちなのですが、彼らに共通したのは大学を明確にその中心に据えて田園都市開発をしたということで、これが大変重要な要素だったと感じております。
デジタル化を進めていく上でも、教育の視点をしっかり据えてやっていくことが重要だと思います。デジタルは手段として使っていくということではないかと思っております。貴重な御意見ありがとうございました。
それでは、根津委員、お願いいたします。
【根津委員】 早稲田大学の根津です。資料6-1を拝見していて気がついたことなんですけれども、参考資料1の81ページあたりぐらいからのところなのですが、教員免許状の授与件数に係る資料がこちら参考資料の1の81ページから出ております。
これを見ますと、やはり幼稚園、小学校、中学校と、大学がどういうふうにあるかと、免許を出しているところが、教職課程を持っているところが、それによってかなり地域差というものがあると。
そうなったときに、この資料6-1の中身にその地域の違いですとか、やはり大都市圏とそうでないところのギャップのようなところが、あまり言及されていないのが少し気になったところです。もし御対応していただけるようであれば、その点については少し言及は必要ではないかと思いました。
以上です。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございます。免許状の授与の視点で御指摘をいただきましたが、ICTインフラ整備の点でも地域差がございます。全体の検討の視点としても、この地域差も念頭に入れながら検討することが重要だと思います。御指摘の要素も含めていきたいと思います。ありがとうございました。
それでは、貞廣委員、お願いいたします。
【貞廣委員】 ありがとうございます。千葉大学の貞廣と申します。2点申し上げたいと思います。
1点目でございますけれども、先ほど永田委員がおっしゃったことは私も全く同じ印象を持っておりまして、大変重要な視点だと思います。こちらの部会でも、今まで座長が御指摘されたように、自主的、主体的に学んでいただくことが重要であるとか、教員の代え難い専門性があるということを絶えずここで皆さんと共有していたにもかかわらず、全体的な書きぶりが、結果として管理をして先生方を追い込んでいくような、頑張れ、頑張れということになってしまうというのは、これは恐らく免許更新講習がその一個の象徴であるように、今、社会の人たちが教員に持っているイメージが反映されているんだと思います。
であるからこそ、免許更新制が発展的に解消されるこのタイミングで、やはり学校の先生たちにこそ、学びを教養的な学びも広げ、専門性を磨いていただく、それによって子供に還元されるんだということを社会の方にも納得していただけるように、教育委員会や先生方にのメッセージだけではなくて、教職というのはそういうものなんだと、そういう存在でなければ子供の豊かな学びを保障できないんだということをちゃんと御理解いただけるようなメッセージもつけていただきたいと思います。これが1点目です。
2点目はすごく細かいことなんですけれども、2ページ目の下のところに、校長先生のアセスメントの話が書いてありました。「様々なデータや学校が置かれた内外環境に関する情報について収集・整理・分析し共有すること」と。大事ではあるんですけれども、少なくとも現行、今学校現場にいらっしゃる先生方または校長先生方が、こうしたことをいわゆるデータマネジメントができる能力育成ってされていないんですよね。
下手にデータに向かうと、誤読したりやけどをしたりするので、必ずこれには本人に丸投げで任せるのではなくて、教育委員会なり例えばしかるべき大学なりがこうしたデータマネジメントをしっかりと支援をしていくということも併せて検討する必要があると思います。
以上2点です。ありがとうございました。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。最初の視点は永田分科会長のお話と重なる点でございますので、十分留意したいと思います。
2点目の点についても、マネジメントの在り方そのものを根付かせていかなければいけないということに尽きると思います。ただ、これは今後の多様性、柔軟性を含めて、ダイバーシティーを進めていく上では、学校マネジメントが大変重要になりますので、どうマネジメントを強化していくのかということは、やはり重要な視点として押さえなければいけないと思います。よろしいでしょうか。
それでは、終了時間も迫ってまいりました。今、杉本委員、宮澤委員、秋田委員の3名の方から挙手を確認できますので、この3名の方の御意見を伺って今日の議論をまとめたいと思います。
それでは、杉本委員、お願いいたします。
【杉本委員】 ありがとうございます。全高長のほうの代表として来ております杉本と申します。
今日の議論を受けまして、ちょっと感想的なものになりますが、少し発言をさせてください。資料6-1、3ページのところにあります教師に求められる基礎的な資質能力というところについては、確かに今の教育を行っていく上で、こういう能力をしっかり身につけることは大切だなということは実感いたします。
しかしながら、今日の議論の中でも、高い資質能力を持った教員を採用するという話が出てきたんですけども、果たして今の大学に昔よりも資質能力の高い学生って増えているんでしょうか。何かそういう方がいっぱい採用されるのはすごく現場としてはうれしいことなんですけども、果たしてそんな大学生って今いっぱいいるんですかなんていうことをちょっと聞きたいなということが一つです。
それから、この4ページの冒頭に書いてあります「教壇に立つ上で最低限の能力を公証する」と書いてありますよね。これがまずは必要ですけども、これを必要以上に求め過ぎてしまうと、一方で働き方改革と言っているんですけども、それを大学生のうちに求め過ぎてしまうのは、大学生がちょっと疲弊してしまわないかなと。こんなにやらないと教員になれないんだとなってしまうのは、そんなにハードル、人としては、もちろんそういうものは求めますけども、そんなにハードル高くしてしまうと、それこそ教員の成り手が少なくなってしまうのではないかなと。
我々の仕事の中でも、スクラップすることとビルドすることというのがないと、ビルドばっかりだと、教員が本当に疲弊してしまうんですよね。そういった意味で、大学生にもこれは大切だけども、これは伸ばしておいてくれるといいななんていうことで、もう少し内容をスクラップできるといいかなと感じました。
現場からの感想です。以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。養成段階や、教師が学び続けるという視点に立ったときの研修段階などに分けながら充実させていくということですけれども、世の中の変化が激しいことを踏まえるとどうしても要求水準が高くなります。求められることについての重要度合いの順位性や学び続ける中でどう吸収できるのかなど、そういった検討が必要なのではないかと思いました。ありがとうございます。
今の水準について,事務局から既存資料の中で、何か説明すべきことありますか。
【平野教員免許企画室長】 今お尋ねいただいた件については、これは水準というのはなかなか一面的には捉えることが難しいものでございまして、データとして、お示しできるものがあるということではございません。もちろん昔の学生と今の学生とそれぞれどういうところが秀でているかといったような特徴というものはあるんだと思いますけれども、一義的には、教職課程としてふさわしい水準の課程を認定しているところでありまして、そこから輩出された学生さんというのは、単位を取得するものであるという以上、最低限必要なものは身に付けていただいていると、このような認識でございます。
以上です。
【渡邉部会長】 ありがとうございます。それでは、宮澤委員、お願いいたします。
【宮澤委員】 よろしくお願いします。全日本中学校校長会の宮澤です。この資料6-1に関して、2点ほどお話しさせていただきたいと思います。
個人の教員の研修、かなり充実してきているなと、今、皆さんがお話しされていたとおり、協働的な学び、学校も組織、チームとして力量を上げていく必要があると思うんです。ただ、それがこの資料6-1から見ると、校長に任せるよ、校長のマネジメントだよというところがあります。確かに校長、その辺は自覚して、これから学校の力を高めるというところでは、気を引き締めていかなければいけないなとあるんですが、研修の在り方として個人の研修、あと組織的な研修、こんなのもちょっと考えていただけるといいのかな。学校は学校で校長を中心に進める、そして、チームとしての研修の在り方なんていうのも、今後出てくるとありがたいなと思います。
今の段階ですとかなり校長の力量によって取組方、違ってくると思います。そういったものが皆さんと考えられるといいなと思いました。
もう一点は、これからの教育というところで、Society5.0というところが出ております。ただ我々もAIって何なんだろうというところです。ぜひもう養成段階からお願いできればいいんですが、AIを活用した学校教育、早い段階から子供たちに触れさせていって、社会に出たときに、AIをこうやって使えばいいんだ、見通しを持った教育ができるとありがたいなと思います。ですから、もう大学の段階から、学校現場でもAIを導入した授業とかができると、将来につながるかなと思っております。
以上でございます。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございました。1点目は個別最適な学びと協働的な学びのバランスをマネジメントの中でどう活かすかという御趣旨だと思いました。ありがとうございます。
それから、Society5.0のAI活用とか、ICT活用といった方向に取られがちですが、基本はやはり人中心の創造力をどう育てるのかということだと思います。Society5.0の捉え方というのは、そういったものではないかと思いました。ありがとうございました。
それでは最後になりますが、秋田委員、よろしくお願いします。
【秋田委員】 ありがとうございます。学習院大学の秋田です。
いろいろな先生方の御意見に賛同するところばかりなんですけれども、特に、先ほど永田委員や貞廣委員が言われたところで、やはりその主体性というものをどのように今後検討していくのかというところであります。
特に採用のところでも、効率・効果的な採用ということが書かれたり、それから人物重視とは書かれていて、知識、技能だけではなく思考力、判断力ということは書かれているんですけれど、やはりその人の主体性というか、その人が特に専門的なものをどういうふうに評価していくのかということが、もっと強調されるべきではないのかなと思います。主体性を発揮できる場が学校なのだということを教員を志望する人たちが理解して、魅力ある職場にしていくための在り方ということが重要なのではないだろうかと考えます。
やはり採用のところが、どうしても委員会がこれまでやってきたものをかなり大きく発想を変えていかないと、これから成り手が減っている中で、特別免許でないろいろな形の人だけではなくて教員を志し、生涯教員として、専門家としてやろうとしている人をより多く採用できるということが最も重要なところだと私は思います。そこにおけるその採用の在り方ということについて、もう少し主体性を生かした、そういう人たちをうまく生かす採用の在り方ということを検討していくことが必要なのではないかと思いました。
また、2点目として、研修の問題も同様であります。研修の仕方も、設定された研修を主体的に選択するというだけではなくて、例えばアメリカの専門性の基準などの考え方であれば、長年、研修というより自分で目標を立てて取り組んだことをアピールしていったりする、少し長期的なものとそれから特定の研修を受講するという学び方と、いろいろなスピードやペースのやはり主体的な学びということがないと、教師自身が疲れてしまうのではないでしょうか。学び続けろと言われるのではなく主体的に学びたくなるような研修のメニューであったり、研修の考え方ということを、今後さらに検討していく必要があるだろうと思います。
そして、3点目としては、養成とサイクルなんですけれど、先ほど中原委員が言われましたように子供の学びと教師の学びが同型になる。それと同様に教員養成に関わる大学教員が、同型構造になって探究をしない限り、そこはうまく回っていかないということがあります。
教員養成大学のカリキュラムや担当の教師がICTをはじめ、新たな探究の学び方ということについて、どのようにFDをして進んでいくのかということが今後やはりサイクルとして考えていかないと、長期的な人材の養成や育成のサイクルがうまく回らないんじゃないかと考えております。
加治佐委員も言われましたように、この少子化の時代において、やはりエビデンスを基に見通しを持ちながら、養成大学もそれから学校も考えていくということが求められるのではないかと考えるところです。
以上です。
【渡邉部会長】 どうもありがとうございました。大変貴重な御意見をいただきました。今意見いただきました養成段階と学校における同調性の御指摘は本当に重要な視点だと思います。
それから、最初のほうで御指摘いただいた内容は、先ほどの永田分科会長をはじめとした御意見と重なるところでございますので、しっかり受け止めさせていただきます。
御意見は以上とさせていただきます。本日もいろいろな御指摘をいただきました。本質的な部分で主体的な学びをどう活かしていくのか、あるいは今御指摘あった教師の現場と養成段階との同調性の問題ですとか、これは個別最適な学びと協働的な学びの、児童生徒と教師の同調性の問題とも重なると思いますけれども、そういった視点、それから多様性を活かす柔軟性も御指摘いただいたと思います。
こういった今日皆様からいただいた御意見、御指摘はしっかり受け止めたいと思います。一方で、このタイミングで検討の方向性をしっかり整えた上で、今後の特別部会における議論を進めていくということは大変重要だと思います。
したがいまして、この検討の方向性については、本日の皆様からの御意見を踏まえて事務局と相談させていただき、全体を整えることについては私に御一任いただければと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。御異議ないと認めさせていただきますので、御一任いただきたいと思います。ありがとうございます。
それでは、この検討の方向性をしっかり押さえた上で、資料にも示されているように、基本問題小委員会における機動力の高い、そして専門的な議論を進めて、小委員会での深掘りを活かしながら、特別部会全体としてこのたびの諮問事項である「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修の在り方について高い資質能力を備えた教師の確保等が実現できるように、一層審議を深めていきたいと思います。
なお、ここで提案されている基本問題小委員会の委員につきましては、私のほうで早速検討させていただきたいと思います。
委員の皆様におかれましては、引き続き多大なる御協力いただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、今日も大変長時間にわたってありがとうございました。お疲れさまでございました。本日の議事は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

―― 了 ――

(総合教育政策局教育人材政策課)