中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会(第123回)・「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会教員免許更新制小委員会(第2回)合同会議議事録

1.日時

令和3年5月24日(月曜日)14時30分~17時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 教員養成フラッグシップ大学について
  2. 「令和の日本型学校教育」を担う教師の学び(新たな姿の構想)について
  3. 新型コロナウイルス感染症による教員免許更新制への影響について

4.議事録

【加治佐部会長】それでは、定刻となりましたので、ただいまから中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会(第123回)・教員免許更新制小委員会(第2回)合同会議を開催いたします。皆様、御多用中にもかかわらず御出席いただきまして、ありがとうございます。本日もウェブでの会議ということになっております。

初めに、会議の進め方と本日の資料について、事務局から説明をお願いいたします。

【中村教育人材政策課長補佐】文部科学省教育人材政策課の中村でございます。会議の進め方について確認させていただきます。

本日もウェブ会議で行っていますことから、御発言に当たりましては、聞き取りやすいようはっきり御発言いただくことなどの配慮をいただきたいこと、御発言の際はお名前をおっしゃっていただきたいこと、発言時以外はマイクをオフにしていただきたいこと、御発言に当たっては、「手を挙げる」のボタンを押していただくことなどの御協力をお願いいたします。Webexのチャット機能につきましては、傍聴者が閲覧することができませんので、マイクがうまく機能しない場合の緊急連絡手段として活用いただくなど、補助的な使用としていただくよう御協力お願いいたします。

なお、本審議会の模様は、報道関係者と一般の方向けにライブ配信しております。

会議の資料につきましては、議事次第のとおり、資料1から3まで、参考資料は1から2-3まででございます。

【加治佐部会長】どうもありがとうございました。本日は、議題が大きく分けて2つあります。議事1が教員養成フラッグシップ大学について御審議いただきます。議事2と3は、教員免許更新制小委員会の議事について御審議いただくことになっております。

それでは、議事1に入ってまいります。事務局より資料1に基づき説明をお願いいたします。

【齋藤教員養成企画室長】それでは、教員養成企画室長の齋藤でございます。私から資料1に基づきまして、教員養成フラッグシップ大学構想の今後の進め方について御説明申し上げます。

まず資料1ですけれども、順番が前後いたしまして大変恐縮ですが、一番最後のページを御覧ください。こちらは、令和2年1月23日に本部会の下に置かれました教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループで取りまとめられた最終報告でございます。こちらにございますように、教員養成フラッグシップ大学の目的・必要性としまして、教師の役割とかがかなり変わってきている中で、教育現場が期待する新たな教育課題やニーズに教員養成大学・学部が的確に対応できているのかというような問題意識がございました。これを踏まえまして、教員養成フラッグシップ大学として、教員養成の在り方自体を変革していくための牽引役となっていただくといった趣旨で報告をまとめていただいております。

具体的な役割として、左側の(1)から(3)にございますように、教員養成を新たな次元へと変革する牽引役、それから、我が国の教員養成ネットワークの中核、それから、学校教育の課題解決への寄与、政策提言の機能、こういったことを求められておりまして、具体的な要件も含めて当時御検討いただいたというところでございます。

これを踏まえまして、資料1の一番最初に戻っていただきまして、今回、これに基づきまして教員養成フラッグシップ大学構想をこのように進めさせていただきたいということで御提案申し上げます。

まずそれから現在に至るまでの状況といたしまして、「令和の日本型学校教育」の実現に向けての中教審答申が出ておりまして、学びの姿とか教師像といったところが示されておりますので、こういった内容を踏まえた内容というふうにさせていただきたいと思っております。

具体的には、1ポツ、2ポツにございますように2段階で進めることを考えております。まず1段階目といたしまして、予算事業といたしまして、教師の養成・採用・研修の一体的改革推進事業がございます。この中で、先導的な教職科目の開発をまず先んじて進めるということをしたいと思っております。それに続きまして、指定大学に対する教職課程の特例制度を教員養成フラッグシップ大学に対して設けます。設けるために、教育職員免許法施行規則の改正がございますので、下のスケジュールにございますとおり、夏頃までに省令改正をいたしまして、夏以降に各大学から申請を受け付けまして、令和4年4月からフラッグシップ大学の取組をスタートという形で進めたいと考えております。

続きまして、2ページ目、フラッグシップ大学のイメージでございます。大学の役割については、先ほどと同じですので割愛いたします。

2番目、公募・指定の方法です。今般、「令和の日本型学校教育」を担う教師の育成ということで、文科省において重点課題を設けて公募したいと思います。後ほど別紙1で御紹介申し上げます。教員養成部会の下に教員養成フラッグシップ大学推進委員会を設けまして、こちらで審査をしていただいた上で、文部科学大臣が大学を指定するという形にしたいと思っております。

指定された大学については、学部段階、それから、教職大学院段階において既存の教職科目の一部に代えて大学独自の設定する科目が設定できるというような特例としたいと思います。こちらも後ほどイメージで御説明申し上げます。

4番の新たな教職課程のモデル開発への参画ですけれども、指定大学は、文科省、国立教育政策研究所等から成るフラッグシップ大学推進委員会に定期的に参加いただきまして、エビデンスを提供していただく、あるいはアドバイスを受けていただくということを通じまして、新たな教職課程のモデル開発に協力していただきたいと思っております。指定期間は5年間ということで、継続を可能とする仕組みとしたいと思います。

続きまして、別紙1ですけれども、重点課題のイメージを設けさせていただきました。上半分が全大学共通の重点課題ということで、変化が激しく予測困難な時代に対応するための学習観・授業観の転換を担う教師の育成といったことで、「令和の日本型学校教育」の実現を担う教師のイメージを書いております。

括弧書に、指定大学に求められる取組というところで具体的な取り組んでいただきたいことを挙げております。例えば実際のプログラム開発に当たりましては、学習者中心の授業デザインや、ファシリテーターとしての教師の役割の意識向上、学習科学に基づく省察的実践を通じて学び続ける教師としての意識の育成。あるいは、教師・保護者・地域・外部専門家等と協働する態度や、組織マネジメントの資質・能力の育成、こういったことをやっていただくとともに、オンライン講義等の活用によりまして、先導的プログラムを複数大学間に展開する仕組みも構築していただきたいと考えております。このような内容につきまして全体として取組の効果のエビデンスを取っていただくとともに、新たな教職課程のモデル開発に協力していただくということをイメージしております。

このほかに、個別の重点課題として、下に掲げておりますような、教育データの効果的な活用、STEAM教育、グローバルな教師、インクルーシブ教育等のテーマを設定して取り組んでいただけるようにしたいと思っております。

最後に、教職課程の特例のイメージでございまして、別紙2を御覧ください。こちらはまだイメージということで、少し詳細な制度の中身につきましては、また後日この場で御相談をさせていただきたいと思います。例えば小学校の1種免許状を取得する場合につきましては、1種免許取得に必要な59単位がございますけれども、これにつきまして、フラッグシップ大学の指定大学については、2種免許相当分の37単位を最低限といたしまして、差分の22単位部分については大学が独自に設定できるといったことを設けることによって柔軟なカリキュラム設定を支援したいと考えています。これを小学校以外にも幼小中高、特別支援、それから、別紙4で教職大学院についても同様に、必要単位数の一部を自由な設定ができるような対応をしたいと考えております。

以上で資料1の説明を終わります。御審議のほどよろしくお願いいたします。

【加治佐部会長】どうも齋藤室長、ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について、御意見、御質問等伺ってまいりたいと思います。挙手ボタンでお願いいたします。今挙がっているのは戸ヶ﨑委員ですね。戸ヶ﨑委員、どうぞよろしくお願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】この後、別な会議にも出席しなければいけませんので、言いたいことだけ言って大変失礼ですけれども、御容赦いただければと思います。

大きくは2つほどございます。1つは、Society5.0時代にふさわしい教員養成の在り方自体を変革していくための牽引役となる大学を創設する必要があるとの危機感から提言されたのがこの「フラッグシップ大学」であり、その役割として、参考資料1の4ページで3つ挙げられています。(1)教員養成を新たな次元へと変革する牽引役、(2)教員養成大学等のネットワークの中核的な役割、(3)学校教育の諸課題への解決の寄与、政策提言の機能。この最初の報告書では、言葉は消えてしまいましたが、これらはそれぞれ、「研究開発大学」「ハブ大学」「基幹大学」としての役割が期待されていると理解しております。

こうした役割を大きく期待していた者からすると、正直、今回の資料1は、小さくまとまってしまっている感が否めません。法改正、予算等を鑑みるとやむを得ない部分はもちろんあるのでしょうけれども、今回の諮問文の中には、「既存の在り方にとらわれることなく、基本的なところまで遡って検討を行い、必要な変革を行うことで…」とあります。

今回の構想は、フラッグシップ大学は当然のこととして、全ての教員養成大学、教育課程認定大学等が実装すべき内容に思われてなりません。今後というより、現在の教師にも「ICTの活用指導力」や「インクルーシブ教育対応力」は既に標準装備になっていないと困ります。資料1の別紙1にもある「全大学共通の重点課題」はもちろんのこと、その下の「個別の重点課題(例)」においても、別にフラッグシップ大学でなくても、今後の教師には、オプションではなくて、是非とも「標準装備」としてほしいという内容ばかりです。

フラッグシップ大学は、教員養成大学等をリード、牽引するわけですから、汎用性の高い教育プログラム開発も大切ですが、そこにウエートを掛けず、Society5.0や、VUCAの時代を見据えて、様々な教育上の諸課題に果敢に挑戦する、もっとダイナミックな構想であってほしいと思っています。

続いて、大きな2つ目です。別紙2と3に関してです。そもそも専修、1種、2種の違いによる教師としての指導力などスキルとの相関についても、疑問を感じております。2種であってもスキルの高い教師もたくさんいます。もちろん逆もしかりです。「1種と2種の22単位の差を例として…」とあり、具体的な改善としては理解できますが、ここもフラッグシップの役割としては視点が小さくないでしょうか。

そもそも必要単位数が法で規定されているので、新たな教育課題等が生じても、速やかな対応ができずに、学校現場の状況の変化や教育を巡る環境の変化に対応した教職課程になっていないことなどにもメスを入れていくべきと思っています。

今般、特別免許状の授与に関して大きな改定が行われました。とても意義のある大きな前進ですが、柔軟に外部人材を活用できるよう制度を変えても、それを活用する側の教師の資質能力が変わらなければ、効果は半減してしまいます。別紙2や3の各科目や必要事項なども、言い方がきついですが、昭和の学校教育から脱却して、ベンチャー企業とか多様なニーズに応じた教育の実体験を積極的に導入するなど、まさに令和の時代の学校教育にふさわしい内容にも果敢にトライしていくのがフラッグシップ大学の役割だと思います。

喫緊の課題としては、教科等横断的な学びの推進や小中学校の教師不足等への対応に向け、複数教科の免許を取得しやすくするとか、また、今後の義務教育学校の普及、教師不足等への対応のために、特別免許状の検定指針にある「社会的人望、教員の職務を行うのに必要な熱意と識見」に加え、「教育実践に関する科目」を履修した者に与える、小中学校の区別のない「義務教育課程免許」なども考えられます。

さらに、ニーズは増えても本採用担任が少ないなど、特別支援学級の様々な課題解決に向けて、発達障害を専門としたり、通級での指導を行える「特別支援学級の免許」も必要であると考えます。特別支援学校の免許をマニュアル車の免許とするならば、学級や通級はオートマ限定のイメージです。また、優秀な人材が民間等へ流出するのを防ぐためにも、教育委員会とタッグを組んで、教員免許を持っていない志願者のための採用枠を設けるなどのトライアルも必要であると思っています。

いずれにしても現行の教員養成大学、学部で行うには難しい部分、つまり、フラッグシップ大学の先導的に行う役割や目的をもっと明確にしておく必要があるのではないかなと思います。まだまだ一般的な教員養成の課題や困難さなどの延長線で多く語られているような印象が強くなってしまいます。厳しいことを言いましたが、以上でございます。

【加治佐部会長】戸ヶ﨑委員、どうもありがとうございました。事務局の方からのお答えについては、ほかの委員の方の御意見も伺って、まとめて御回答いただきたいと思います。手が挙がっているのは、松田委員ですね。よろしくお願いいたします。

【松田委員】ありがとうございます。戸ヶ﨑委員のおっしゃっていただいたことには大変共感をして、ちょっと重複する部分もあるかもしれませんけれども、今回の御提案を拝見して感じたことを申し上げたいと思います。

まず初めに、令和2年に出されました教員養成フラッグシップ大学の在り方についての最終報告を確認させていただいて、報告書の冒頭にも、そして、今回御提示いただいた提案書の冒頭にも、「令和の日本型学校教育」の実現に向けて、GIGAスクール構想を踏まえた個別最適な学びや協働的な学びを実現するための高い資質・能力を有する教師を育成するための先導的・革新的な教員養成の取組について加速することが喫緊の課題となっているとされています。

そして、報告書の2から4ページのところに、フラッグシップ大学の目的と必要性について言及されています。4ページ目の上部に「学校現場、ニーズに即した先端技術の活用等について指導できる教師の確保、教育委員会、教育関係の研究機関やNPO、企業等との連携・協働、教育現場が期待する新たな教育課題やニーズに適時・的確に対応し得る機動的な教員養成・研修の深化、またそれを超えた先導的な試行等を十分に行えるだけの体制・状況とはなっていない」と報告書にまとまっています。そして、下部に、「先導的・革新的な取組を行い、その成果を他の教員養成大学・学部等に展開していくための牽引役」となっています。

それを前提で今回のいただいた案を拝見いたしますと、まず第1に、民間との連携の色が排除されていて、骨抜きの提案になっているのではないかなということを危惧しています。各カリキュラムに柔軟性を持たせて、大学にもっと柔軟に先進的に考えていただくというのは、それはすばらしいことだと思うんですけれども、最終報告にあるように、大学がこれまでの枠組みを超えた先導的な取組を十分に行える体制となっていないのが課題とするならば、今回の事業では、それを解消する打ち手がなく、今までの延長線上の取組になってしまい、抜本的な改革に繋がらないのではないかと思っています。

本事業の性質を考えると、民間との連携を前提としたフラッグシップ大学構想にするべきではないかと私は感じております。民間との官民連携の取組では、文科省はこれまで成功体験もあるわけですね。例えばグローバル人材の育成を目的にした、トビタテ!留学JAPAN事業そのものがその1つですね。文科省や学生支援機構だけでは実現できなかったような事業を、ビジョンに共感してくださっている企業と連携しながら実現しました。民間から協賛金を集めたり、人員を派遣してもらったり、学生に提供する研修コンテンツを協働開発しました。その他に、施設の提供や幅広い協力体制を実現し、海外進学支援事業を今までの枠組みを超えた枠組みで実現できたわけですね。

特に、今回フラッグシップ大学構想とGIGAスクール構想は連動している部分があると思います。民間企業はICT教育やGIGAスクール構想を推進するために独自にこれまで教育委員会向け、学校向けに研修の開発をしてきています。インテルであれば、Intel Teachプログラとか、あとは、グーグルであれば、Google for Education、グーグルの認定教育者の取組もあろうかと思います。

また、今回のフラッグシップ大学構想は、ただ単に教員の資質向上そのもののみならず、教職のなり手不足の問題解決に寄与できると思います。本事業が、これから先生になりたいと思うような人がやっぱり希望、躍動感を持つような事業にもなるとすごくいいんじゃないかなと思っておりまして、こういった民間企業との連携はそういったことも実現する可能性を秘めていると思っています。

公平性の観点を考えるのであれば、1つの企業と連携することは難しくて、公平にやっていかなければいけないということであれば、文部科学省のICT活用教育アドバイザー事務局を運営している一般社団法人があったりとか、いろいろな業界団体がありますので、そういったプレーヤーとどう連携していくのかというところも期待をしていきたいなと思うんですが、事務局にちょっとお伺いしたいのは、今回こちらの提案を考えていく際に、大学という枠組み以外の民間企業が既に行っている教員養成であったり、ICTの養成講座であったり、そういったものをどこまでリサーチをされたのかというところをお伺いしてもよろしいでしょうか。



【加治佐部会長】松田委員、ありがとうございました。ほかはいかがですかね。会場の方はいかがですか。よろしいですか。

それでは、戸ヶ﨑委員と松田委員から、特にワーキングの報告書との関係、そこからちょっと小さくなったというか、あるいはちょっと変わったんじゃないかといったような御指摘がありましたが、齋藤室長、いかがですかね。

【齋藤教員養成企画室長】ありがとうございます。厳しい御指摘も含めてありがとうございます。戸ヶ﨑委員から、報告書の方で御提案されたものから小ぢんまりになっているのではないかという御指摘で、教員養成大学がなかなか十分にできていないということも含めて御指摘いただいたと思っています。

その中で我々としましては、先ほど別紙1でも申し上げましたように、学習者視点の授業デザインとか、ファシリテーターの育成とか、組織マネジメントのような、「令和の日本型学校教育」という観点から、やはり全ての教員養成大学で今はなかなかまだできていないという部分も含めて課題意識を持って設定させていただいたところでございます。また、エビデンスベースの話もございましたが、学習科学に基づく省察的実践といった形でその辺りも意識したつもりではございますが、なかなか明確になっていないというところでおわび申し上げます。

また、もっと教職課程そのものの制度にメスを入れるような形も含めて対応できるようにというお話でしたけれども、委員から御指摘いただいたような、別紙2や3の各科目の必要事項とか、複数教科の免許、あるいは特別支援の対応のための教育も含めて、今回御提案させていただいた特例を活用して、かなりの部分で柔軟な取組ができるのではないかというようにも考えております。またこういった取組を通じて新たな免許制度とか教職課程の見直しなどの御提案をいただき、次の改正につながっていくことも期待したいと思っておりまして、既存の制度の中での特例ではございますが、新しい取組につながるような形にしていきたいと思っております。

それから、最後に松田委員からも厳しい御指摘で、民間との連携が排除という御指摘がございましたけれども、申し訳ございません。資料1の方ではそこが明確に出ておりませんでしたが、当然ながら、最終報告で出ておりました民間との連携というところについては、当然我々もその前提で組んでいくということになるかと思います。

松田委員からおっしゃっていただいたように、民間の企業等でもICTを活用したような教師育成のプログラムが様々あることは我々も承知をしておりますけれども、今回は教職課程の特例を設けまして、教員免許のための教職課程を設置しております大学のプログラム改革ということでございますので、基本的には大学を申請主体というふうに考えておりますけれども、その中で民間と連携した形のプログラム開発というのは当然あってしかるべきですし、おっしゃるようにそういったものを促せるような仕組みを更にもう少し分かりやすい形で公募の際にも考えていきたいと思っております。

以上でございます。

【松田委員】1点だけいいですかね。ごめんなさい。

【加治佐部会長】はい、どうぞ、松田委員。

【松田委員】すみません。多分含まれているということは、以前の御説明でもお伺いしておりますので理解はしているつもりではあるんですけれども、ニュアンスの問題でございまして、やっぱり本当に抜本的に今までと違うものを作るんだという強いリーダーシップを期待していきたいなと思っているんですね。

トビタテ!留学JAPANのあのプログラムを度々出して申し訳ないんですけれども、大臣が本気で事務局にも号令を掛けながら、しっかりと民間企業をぐっと集めていきながら達成していくあの事業には、私はやっぱり強いリーダーシップをすごく感じたんですね。

もしかしたら進め方であったりだとか位置付けの話であったりということなのかもしれないんですけれども、いま一度進め方というか、事業の立ち位置というか、本気で今回は今までと違うものをやっていくんだぞという強いリーダーシップを是非とも文部科学省として事務局には期待していきたいなと思っております。

【加治佐部会長】分かりました。それでは、藤田委員、それから、根津委員、よろしくお願いします。まず藤田委員、お願いいたします。

【藤田委員】ありがとうございます。東京都教育長、藤田でございます。私の方からは、教員採用を担っている機関、それから、研修等も行っている立場から若干、戸ヶ﨑委員と同じような意見もあるんですけれども、そういった形でお話をさせていただきたいと思います。

今、東京都の教員研修所の中で、教職を目指す学生を一部、前倒しで教員養成といいましょうか、教師育成塾というような形でやっているんですが、それを運営している中でのこの二、三年の、教員を目指す学生の主な課題だということで4点ほど現場から報告をもらっております。

そのうちの1つ目が、これ、児童生徒や教員等との互いの信頼関係を築くために必要なコミュニケーションスキルが十分に身に付いていない。これもうかなり致命的な、これから付けていくというところもあるとは思いますが、こういう視点はかなりもう根本の問題だと思うんですね。ですから、こういったことも重要であると思っております。

それから次は、新しい学習指導要領等で言っております主体的・対話的で深い学びの視点、これに立った授業づくりの基礎についての理解が十分でないような形が見られるというようなこともあります。

それから、3点目は、先ほど個別の重点課題の方に振り分けられておりますけれども、発達障害を含む特別支援教育などの教育課題についての理解がやはり十分でないというようなことがあります。

それから、4点目、最後、これはこれからのということもありますけれども、デジタルを取り入れた授業づくりを行っていく力、これがこれからより一層、全ての教科・科目において求められているというようなことがありますので、この辺は、先ほど松田委員からもございました、民間企業も含めたいろいろな力もお借りしながら何か力を入れていかなければいけないのかなと思っております。

そういった課題意識の中で申し上げますと、先ほど戸ヶ﨑委員がもう十分御説明いただいたと思うんですが、やはり共通の重点課題と下に個別の重点課題とありますけれども、特に個別の重点課題で掲げられているものというのはもう今現在でも求められているようなものでございますので、個別の重点課題と言うのであれば、もう少しとんがった内容をもう少し柔軟に取り入れられるような仕組みにしないといけないのかなと思っております。

それに加えてまた、独自科目に単位をもう少し特色が出せれば、もう少しその単位認定を増やしていってもいいのではないかなとも思っておりますので、その辺、是非、フラッグシップということであるので、ほかの大学の見本になる、本当はほかの大学もみんなそれに倣ってもらうのが一番いいんですけれども、力のあるところがまずはとんがったことをやっていただけるような組立てにしていただけたらありがたいなと思っております。

以上でございます。ありがとうございました。

【加治佐部会長】ありがとうございました。それでは、根津委員、お願いいたします。

【根津委員】 早稲田大学の根津です。予算規模からいうとなかなかとがったといいますか、大胆なことは難しいのかなというのが率直な印象です。

1つ、御説明がないようでしたのでお尋ねしたいのですが、今回のこの企画、事業というものは、平成29(2017)年ですか、に出された教職課程コアカリキュラムの改訂につながるのかどうかというところをお尋ねしたいと思います。

以上です。

【加治佐部会長】ありがとうございました。これ、コアカリの改訂につながるかどうかということですが、齋藤室長、いかがですか。

【齋藤教員養成企画室長】ありがとうございます。我々といたしましては、今後、中教審でも議論をいただきます教職課程の見直し、免許制度の見直しというところにつながり得るものだと思っておりますので、コアカリも含めてそこは成果が出るものについて反映していくということはあり得るものと思っております。

すみません、今、事務局の方から少し発言を続けさせていただいてよろしいでしょうか。

【加治佐部会長】すみません、ちょっと聞こえなかったです。もう一回おっしゃってください、はっきり。

【齋藤教員養成企画室長】すみません、総合教育政策局長から発言ございますので、続けさせていただいてよろしいですか。

【加治佐部会長】分かりました。はい、どうぞ。

【義本総合教育政策局長】御指摘いただいた点、しっかり踏まえまして議論をこれから作っていきたいということをまずお約束させていただきたいと思います。これは単に指定して、それで、あとはどうぞよろしくというだけじゃなくて、文字どおり、文科省と対話しながら良いものを作っていきたいということがまずあるということと、それから、もう一つは、先ほど戸ヶ﨑先生お話しいただきましたように、包括諮問を今しています。教員養成、それから、採用・研修、全般的な形での根っこからの見直しをしていこうということで大臣から諮問させていただきましたので、その動きは恐らく免許法の改正とか、あるいは教員の採用の在り方そのものとか、あるいは研修の進め方そのものも大きく制度的に変わってまいりますので、それも恐らく意識しながら、対話しながらより進化していくというふうな形で位置付けていきたいと思っているところでございます。

その中で、今お話ありましたように、なかなか全ての大学が取り組むということ自身が難しい一方、恐らく制度をかなり触っていかないことにはなかなか教員養成のいろいろなこれまでの課題も克服できない、特に免許の問題とか採用の話がございますので、そこにしっかりメスを入れるような形での議論を今後恐らく特別部会の中で議論をいただきまして、この秋ぐらいまでに一定のビジョンないし方向性を整理し、もちろんこの養成部会での御議論も参考にということになると思いますけれども、さらにそれを深化する形で、来年以降でございますけれども、制度的な改革を進めていく。その動きを同期して指定した大学にお伝えしながらよいものにしていこうということだと思います。

それから、先ほど松田先生からお話しいただきましたように、この事業を始めるに当たっては、私、実は高等教育局長をしていましたので、フラッグシップ大学に取り組むきっかけを作っておりますけれども、その前提としては、ICTも含めてですけれども、民間のいろいろな取組、これは教員のプログラムとか、あるいは養成・研修も含めてですが、やっていただいていますので、そこをしっかり取り入れて、例えば戸田市なんかでもかなり取り組んでいただいていますけれども、それも1つのモデルにしながら改革を進めていくということを取り組んでいきたいと思っているところでございます。

ですから、とんがったという話について、もちろん予算の制約はございますけれども、一定の全体の方向性を示しながら、各大学と対話して事業を進めていくということですので、文字どおり、指定して、それで、あと、大学よろしくということじゃなくて、伴走しながら取組を進めていきたいと思っています。御案内のとおり、国立大学も含めて養成大学につきましてはいろいろな課題がありまして、なかなか改革については一歩進めていくことができない中において、こういう大学を指定して、さらにそれを引っ張っていただき、制度的な応援もしていこうということも伴走していきたいと思っているところでございます。今御指摘いただいたことも踏まえて、指定あるいは具体的な進め方については工夫していきたいと思います。ありがとうございました。

【加治佐部会長】義本局長、どうもありがとうございました。私、なかなか音声が聞き取れない部分もあったりで十分に理解できたか分からないんですが、1つだけ確認させてください。今おっしゃった御発言の御趣旨は、フラッグシップ大学のスケジュールが資料1の最初のページの下に示されているんですけれども、大学からの申請が11月になっていまして、それで、評価・選定が来年の2月にということになっております。今お話にあった諮問がなされていまして、教員養成の抜本的な改革、免許等を含めて、それも審議されようとしていますが、取りあえずは今日出された資料1の内容で応募いただき、それから選考するけれども、これが始まったら、そういう諮問についての審議と併せて更にいろいろ広げていくというかな、新しい要素も取り入れていくというふうな考え方でよろしいんですかね。

【義本総合教育政策局長】 そのような考え方を持っております。先ほど申しましたように、細かい制度設計のところに落とし込んでいくことについては更に議論は必要ですけれども、特別部会の議論がされる中において、全体として包括的にどういうふうなビジョンを持って、あるいは方向観を持って、あるいは俯瞰できるような姿自身をお示しし、それを参考にしながら各大学において更に展開いただくということですので、飽くまでも今回お示ししたものについては、「令和の日本型学校教育」の答申をベースにしながらも、そこのスタートラインということを考えたいと思っております。

当然のことながら、今申し上げたことは1つのオプションですけれども、内容につきましてもとんがったものをというような御指摘もいただいていますので、どこまでできるかについては少し事務局として整理したいと思いますけれども、取り組んでいきたいと思います。ありがとうございました。

【加治佐部会長】分かりました。それでは、あとお二方手が挙がっております。大字委員と高橋純委員、お願いいたします。まず大字委員からお願いいたします。

【大字委員】全国連合小学校校長会の大字でございます。今の局長のお話で大分分かったんですけれども、教員養成の新しい在り方を先進的に引っ張っていく大学が出来るということで現場として大変期待をしております。

その中で2点ほどお願いといいますか、1点目は、現職の教員研修に様々な形でお力をいただきたいなということです。一度現場を経験した教員が、自分の中の課題意識を持って新たに最先端のことを学ぶことができるという現職教員研修との連携を十分に図っていただきたい。

2点目なんですけれども、もう一点は、例えば学校や全ての自治体で先生の研修するときにフラッグシップ大学の指導者が講師等として関わっていっていただきたい。このようなことも期待しております。よろしくお願いいたします。以上です。

【加治佐部会長】ちょっと2点目のところが聞き取りにくかったんですが、事務局の方大丈夫ですかね。議事要旨を作る際には残せますかね。大丈夫ですか。

【中村教育人材政策課長補佐】事務局です。ちょっと確かにこちらも声が聞き取りづらかったもので、もしよろしければ……。

【加治佐部会長】じゃ、大字先生、申し訳ないですけれども、2点目を簡単にもう一回御発言いただけますか。

【大字委員】すみません。2点目は、学校やそれぞれの自治体が先端のものを学びたいというときに、このフラッグシップ大学の指導者の方が積極的に講師等として出てきていただけるとありがたいなと、そういうことでございます。

【加治佐部会長】ありがとうございました。それでは、高橋委員、お願いいたします。

【高橋委員】高橋でございます。よろしくお願いいたします。私、特に別紙1を拝見させていただきまして、フラッグシップという言葉が持つイメージから見ますと、先ほどからテーマがとがってないとか、とがっているとか、そういったことが話題かもしれませんが、多くの大学にとっても利用可能な成果として、それを制度化する、あるいはコアカリにも利用可能にするとか、あるいはこれを考えていけば、コアカリどころか、場合によっては課程認定制度そのものの枠組みですかね、枠が変わってくることまで考えますと、これらが実現することであっても相当な苦労があるんじゃないかなというふうに、具体的な実務で考えると感じているところです。

なので、全国の大学に向けての成果としてこれに取り組むのか、本当に特定の選ばれた大学だけがある意味実現すればいい話なのかというところがはっきりすると、応募するところも楽なんじゃないか、書きやすいんじゃないかというふうに感じました。

それでも、中頃にあります先導的プログラムを複数大学間に展開する仕組み、ここの部分にどっちに行っても私は非常に期待しております。こういったことがオンライン講義等の活用という部分も含めまして、こういったことで成果が還元できる仕組みというのが非常に重要かなと思っています。

もう一つ加えまして、個別の重点課題なんですけれども、予算にもよりますが、やはりいろいろ多分予算が厳しいことであるとか、各大学、応募した大学の技術的なものとかから考えると、これはもう自動的に民間の方々と協働で取り組まないと解決しないことなのではないかなというふうに感じているところであります。

あと、最後に、個人的な印象ではあるんですが、私、地方大学と今、東京の大学、両方で教員養成を経験したことで感じていることなんですけれども、特に東京に来て、学生がかなり先進的なこととか専門的なことを学修しますと、それを非常に専門的にやはり発揮したくなると。それはある意味当然なんだと思うんですけれども、それはいろいろな業務も抱えながらの教師というよりは、何か学校の外側から学校教育を支えようというような学生が東京だと結構いらっしゃるんだなというふうに考えています。

そういう学生は、例えば文部科学省への就職にチャレンジしてみたり、国際機関への就職にチャレンジしてみたり、教育関連企業や、もちろんNPOとかそういった様々な部分で学校教育を支えるという意思を持つ学生も一杯いるように思いますので、エビデンスとして教員採用率ばかり考えるわけではなく、こういった幅広に、学校教育、教師を支える、あるいは一緒に担っていくみたいな、そういった出口も十分あり得るんじゃないかなというふうに、フラッグシップであればあるほどそうなってしまうんじゃないのかというふうに感じているところです。

以上になります。

【加治佐部会長】ありがとうございました。いかがですかね。もうよろしいですか。

会場の方から、はい、どうぞ。

【義本総合教育政策局長】すみません。もう一度ちょっと補足というか、高橋先生のお話については非常に重要な点だと思っておりまして、恐らく今後、教員養成あるいは志願の話を考えますと、幾つかの大学の学生さんにつきましては、今お話しありましたように、教員になるだけじゃなくて、いろいろな教育のベンチャーとか、いろいろな取組にやっぱり志願していこうというふうな学生さんもおられますし、そういう方々自身を教職に更に協力いただくというふうなことがこれから大事になってくると思っております。

恐らく今後の議論としましては、教員の働き方の改革の問題もございますけれども、いろいろな形の活動自身を例えばパラレルでやる、教師をやりながら一方でそういうふうな活動をするとかいうふうなことも含めて柔軟な働き方ができるというような視点も恐らく今後の御議論の中の1つのポイントになってくるかと思っております。ありがとうございました。

【加治佐部会長】ありがとうございました。それでは、よろしいですかね。このフラッグシップの構想につきましてはたくさん意見をいただきました。基本から問い直すような厳しい意見もございました。今後進めてまいりますが、今日いただいた御意見、私に一任させていただきたいと思います。事務局とも相談しながら更に進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、もう一つ大きな議題がございます。議事2に入ります。教員免許更新制に関わる議事、議事3も関連しますので、一緒に取り扱うことといたしたいと思います。平野室長から説明をお願いいたします。

【平野教員免許企画室長】教員免許企画室長の平野でございます。議事2と3を合わせて御説明をさせていただきます。

まずは資料2を御覧いただきたいと思います。「「令和の日本型学校教育」を担う教師の学び(新たな姿の構想)」と題された資料でございます。

こちらの頭の四角の部分に前回の経緯を書かせていただいてございます。前回の更新制小委員会においては、各委員から、教師の自律的な学びや個別最適な学び、ICTを活用した良質なコンテンツの集約、研修履歴の記録による学びの支援が重要であると、このような意見が表明されたところでございます。

これらの意見も踏まえまして加治佐主査の方から、必ずしも更新制に依存しない形も含めて、教師の資質能力を高める観点から、新しいツールを活用した教師の学びを支援する仕組みづくりを構想する必要性があるのではないかと、このような指摘をいただいたところでありまして、それに沿って作成した資料でございます。

このテーマについて議論を行うに当たってということで、免許更新制導入の経緯とその後の社会的変化というもの、これは前回の議論の中では皆さんそのようなところについて御理解賜った上で御発言があったということでありますけれども、改めて別紙として整理をさせていただいてございます。

まず別紙の方を簡単に説明させていただきます。8ページでございます。教員免許更新制導入後の社会的変化ということでございます。教員免許更新制は、10年間の有効期間を設け、10年間が経過する前の2年2か月以内に30時間の更新講習を受講すると。このような手法を通じまして、教師が最新の知識技能を修得することを制度的に担保すると、このようなことでございます。教員免許更新制が担保しているものは、教師のブラッシュアップということであります。

導入から10年以上が経過し、制度導入当時には予見できなかったような変化が生じているわけであります。大きく2つ書かせていただいてございます。

1つ目が、社会的変化の速度向上と非連続化というところでございます。1つ目の段落でございますけれども、様々な変化がグローバル化・情報化を中心として起こっているという中で、これまでの社会の在り方そのものが非連続とも言えるほど劇的に変わっていると。このような一般的な状況に加えまして、教育に着目いたしても、そのスピード感は増しているわけでございます。特別の支援を必要とするお子さんの増加など子供たちの多様化、学習意欲の低下、情報化の加速度的進展、このようなものに加えまして、新学習指導要領の全面実施、働き方改革、GIGAスクール構想、小学校学級編制の引下げ、このような変化も継続的に大きな規模で生じているわけでございます。

こうした中で、日進月歩で変化する社会に合わせて、教師自身もたゆみなく知識技能の刷新に取り組み続ける必要性が高まっているわけでございます。その刷新された知識技能自体も急速に陳腐化するということを考えてまいりますと、一定の前提の下で設計された座学中心としたような知識伝達型のコンテンツを学ぶというだけではなく、知識伝達型ではないような協議・演習形式の学び、教育現場の課題に即した学びも含め、自律的にこれを求めて学びを深めていくということが必要になってきているのではないか。また、学び自体が変化に対応したものになっているかどうかということについては、不断の検証を行う必要が高まっているというふうに考えてございます。

9ページでございますが、これは教師の研修環境の変化ということでございます。1つ目の変化としては、平成28年に教育公務員特例法が改正されまして、いわゆる教員育成指標の策定、また、その指標を踏まえた研修を体系的・効果的に実施するための計画(教員研修計画)の策定が義務付けられたわけでございます。また、大学等も参画する協議会が法定上組織されることになりまして、10年研の見直しなどが行われる、このような形で弾力化が図られているところでございます。このような枠組みが導入されたことによりまして、大学などの知見も活用しながら計画的な研修の実施が促進されているところでありまして、前期の教員養成部会で検証を行った中においては、教育委員会関係者、校長会関係者から、研修については相当改善が進んでいるという評価が聞かれているところでございます。

2点目については、前回の議論でもかなり話題になりましたけれども、いわゆるオンライン、デジタル化、ICT化、このような文脈でございます。オンライン等を通じた遠隔授業はこれまでも徐々に進展を見せておりましたが、このコロナ禍において、大学において学生がオンラインを通じて遠隔授業に参加するということはもはや一般的なものになりつつございます。教員の研修という観点からも、教職員支援機構がオンライン化を進めておりますけれども、こちらの方に数字を挙げさせていただいてございますが、校内研修シリーズは152本まで拡充され、累計の再生回数も154万回に達するということで、国公私、地域の別を問わずに、豊富で質の高いコンテンツにアクセス可能な状況が現れつつあるわけであります。

また、最後の段落にもありますように、更新講習そのものについてもかなり通信の定員の方が拡大するというような状況もありまして、オンラインにおける受講環境は10年前と比べてかなり大きな変化を見せているということが前提でございます。

その上で、資料の1ページ目に戻っていただきまして、このような変化も踏まえた上でということで、新たに「令和の日本型学校教育」を担う教師の学びについて構想するという観点から、基本的なところに遡って少し姿を明らかにしてみたものがこの先の説明でございます。

1ページ目の下に書かれているところ、学び続ける教師ということでございます。これは前提ということでございますけれども、教師はそもそも学び続ける存在であるということが強く期待されているということでございます。教育基本法、教育公務員特例法、また、「『令和の日本型学校教育」の構築を目指して」の答申におかれましても、そのような必要性については指摘がされているということでございます。

一番下の部分、先ほどの説明と重複する部分がございますけれども、時代の変化が大きくなる中で常に学び続けなければならないということでございます。これは「常に」というところがポイントかと思っておりますけれども、日進月歩変化する社会に合わせて、教師自身が常に学び続けていくということが必要になってきてございます。

2ページでございます。一番上の部分でございますけれども、前回の議論でも少しお話、指摘があったかというふうに記憶しておりますけれども、常に学び続けるという教師の姿は、児童生徒にとっても重要なロールモデルとなると考えているところでございます。

継続的に学び続けるという教師にどのような姿勢が求められるのかということで申し上げますと、1点目が、教師の主体的な姿勢ということが必要ではないかということでございます。答申にも触れられているように、変化を前向きに受け止め、探究心を持ちながら自律的に学ぶという教師の主体的な姿勢が必要でありまして、育成指標なども踏まえながら、自らの学びのニーズに動機付けられて、主体的に学びをマネジメントしていくということが理想的な姿なのではないかということでございます。

続きまして、一人一人の教師が安心して学びに打ち込める環境の構築でございます。一人一人の教師が身分を脅かされることなく、新たな学びに参加しやすくなるような環境整備、業務の調整等を、任命権者等あるいは学校管理職が積極的に講じていくということが理想的な姿ではないかということでございます。

続きまして、個別最適化された教師の学びということでございます。教師の学びの以前に、児童生徒の学びについても個別最適な学びと協働的な学びの組合せということで方向が打ち出されているわけでございますけれども、ここで申し上げたいのは、教師の学び自体も個別最適化していかなければならないのではないか、それが理想的な姿なのではないかということでございます。

答申の方でも、学校の教職員組織が均一な集団ではなく、より多様な知識・経験を持つ人材との関わりを常に持ち続ける、当該人材を取り入れた組織であることが望ましいとされています。より多様で専門性を有する教職員集団を構築するためには、一人一人の教師自身が共通的な基本的な資質能力を超えて、新たな領域の専門性を身に付けるなど強みを伸ばすことが必要であるということだと思います。そのような強みを伸ばす学びは、全員に共通した学びというよりは、一人一人の個性に即した個別最適な学びであるということが必然的に求められてくる。これが理想的な姿ではないかと考えてございます。

その上で、学びの適切な目標設定・現状把握、積極的な「対話」というところに入ってまいります。1つ目は、具体的な目標の達成に向けた体系的・計画的な学びであるということが理想的な姿として構想されるのではないか。教師の学びが漫然と手当たり次第ということではなく、しっかりと何を達成したいのかということ、そして、それに向けて計画的に行われることが必要ではないかということでございます。

その適切な目標設定というところに関わりまして、「将来の姿」と現状(「現在の姿」)の適切な把握というものを挙げさせていただいてございます。個々の教師が、自らの置かれた状況に照らして、これからどのような知識技能を身に付けたいのかという観点から、将来目指すべき姿、「将来の姿」を目標として機能するように具体的に設定するということがまず必要ではないかと思っております。その上で、同時にということで、一人一人の教師が、これまでどのような知識技能が身に付いているのか、今現状、自分がどこに立っているのかという「現在の姿」を自覚することが必要ではないかということでございます。この「現在の姿」については、自分がこう思うからこうだということよりは、これまでの学びの積み重ねを振り返ることとか、自らに対する評価を踏まえるとか、このような形でできるだけ客観的に設定するということが求められるものと考えております。

こうした「将来の姿」と「現在の姿」の間をどのように埋めていくのかといったような明確な目的意識に基づきまして、必要な学びを順次選び取っていく、体系的・計画的に学んでいくということが、自律的に学ぶ上での駆動力になるものと考えられるのではないかということでございます。

この「将来の姿」と「現在の姿」の設定に当たって、もちろん「将来の姿」は、一人一人の先生方が自分の置かれた状況を踏まえまして、その意欲、関心に基づいて設定するということが考えられるわけでございます。一方で、その先生たちが今、また将来において学校組織でどのような役割を果たすことが期待されているのかと、このようなところも考慮されるなど、当該教師を任命・雇用する者、また日常の服務監督を行う者、このような者のニーズとも高度に調和したものとなることが求められると考えてございます。

このような観点から、「将来の姿」、「現在の姿」を適切に設定するに当たっては、一人一人の教師と任命権者、学校管理職などが、校長・教員としての資質の向上に関する指標、教員育成指標や、これまでの研修履歴、このようなものを前に手掛かりにしながら、積極的な対話を行うことが効果的ではないか。また、そういった結果も踏まえまして、任命権者、管理職などが、適切な研修をしっかりと教師に奨励していくということが必要ではないと、これが理想的な姿なのではないかと考えてございます。

このようなプロセスというもので、現在の姿、将来の姿というものを設定した上で、どのようなものを学ぶのかという学びの中身の話が、次の段でございます。質の高い有意義な学びということでございます。

一つ一つの学びというものについては、どのような知識・技能を身につけることができるのかといった観点から、明確な到達目標というものが設定されて、到達目標に沿った内容を備えているということが有意義な学びとする上では必要ではないかと考えてございます。

また、一つ一つの学びというものが孤立して置かれているということではなく、さらに学びを深めていくということ。また、今後先の学びの指針として機能するという観点からも、個々の学びが特定のテーマに沿って位置づけられて、そのレベルというものがしっかり整理されている、このような環境が整っていることが理想的な状況としては必要ではないかと思ってございます。

先ほど申し上げたような質の高い学びのコンテンツというものが豊富に提供されていること、また、そのスタイルというものも、オンラインで小刻みに学ぶといったスタイルも含めて、教師が負担なく選択・受講のできるようなことが必要ではないか。また、学びのコンテンツそのものも、理論的なもの、実践的なもの、バランスよく含まれるとともに、座学というスタイルだけではなく、様々な反転学習、ワークショップ、いろんな方法を取り入れたものであることが、コンピテンシーを養う上でも必要ではないかという、理想的な状況として記述してございます。

質保証の仕組みが適切に機能していることが求められるのではないかということが、次でございます。既に我が国においては、教職大学院での学び、免許状更新講習、認定講習、各教育委員会や支援機構が開設されたような研修を含めて、数多くの優良な学びのコンテンツが存在しているわけであります。様々なものを積極的に活用していくことが想定されるわけでございますけれども、どのコンテンツが望ましいコンテンツなのかということを、一人一人の教師が判断することは必ずしも容易ではないということからすると、一定の質保証の仕組みというものが機能しているということが理想的な状態としては求められるのかなということでございます。

各コンテンツをワンストップ的に集約・提供するプラットフォームが存在していることが、理想的な状態としては考えられているのではないかということでございます。前回の会議でも一部委員から指摘があったと記憶してございますけれども、学びのコンテンツというものについて、情報をワンストップ的に集約しながら、個々のコンテンツを体系的なものとして個別のテーマに位置づけて、レベルを整理した上で提供すると、このようなプラットフォームが構築できれば、全国的に優れた学びというのを横展開していくといったことが可能になると考えておりまして、このような姿というのが目指すべき姿なのではないかと思ってございます。

このところまで、比較的現職の方に焦点を当てたようなお話が多かったわけでありますけれども、現職教員以外の学校勤務未経験者、いわゆるペーパーティーチャーと称される方々についても、採用前後の学びに活用できるような教育プログラムというものがしっかりと存在しているということが求められるのではないかということでございます。

先ほどのプロセス、またこのような中身のコンテンツの学びというものを経た上で、その成果の扱いについて、学びの成果の可視化と組織的共有というところで書かせていただいてございます。

学びの成果が可視化され、個人の学ぶ意欲を喚起できているかどうかということでございます。学びの成果が可視化、可視化というのはいろいろな捉え方があるわけでありますけれども、何が身についたのか、自分でしっかりと説明できる状態になるということで1つ挙げさせていただいてございますけれども、このようなことがしっかりとそのときそのときで分かるということになれば、教師が自らの「現在の姿」というものを適時適切に更新、アップデートしていくとこが可能なわけであります。アップデートされた現在の姿というものが現れることによって、将来の姿との距離というものも適切に測定できることになってくるわけでありますので、また目的意識を持って次の学びを選び取るということにつながってくるわけであります。

このような学びを選び取るという観点のみならず、今後自分が力を発揮したい領域というところに、自分がふさわしい知識・技能を有しているということをしっかりと一人一人の先生が任命権者、管理職も含めて伝えていくことができるということになれば、キャリア形成という個人の観点からも貢献が期待できるわけでございます。このような形で、何を学んだかということ、そしてそれを使ってしっかりとどう自分が学校現場で活躍していきたいのか。そして、そういうところがしっかりと分かりやすい形で伝わるということについては、教師の学ぶ意欲の喚起というふうにつながっていくものと考えてございます。

続きまして、学びの成果を受け取る側ということで、組織によってどう活用されていくのかということで、前向きに活用されていることというのが理想的な姿として挙げさせていただいてございます。

教師の学びが可視化されることによって、任命権者、学校管理職等は、特定の事項に秀でた教師の発掘というところとか、また人事配置や校務分掌の決定その他の取扱いに前向きに活用の成果ができるようになる。一人一人が一体どういうことを学んだのかということが非常に分かりやすく示されるということになれば、そのようなところに学びの成果というものを現実に生かしていくということができてくるわけでございます。

また、周りの教師も、そういった成果ということが理解しやすくなるということで、その成果というものを学校現場で生かしていくということ自体が容易になる。また、学びの成果というものを学校教育力全体の向上につなげていくことができるのではないかということでございます。このように、教員組織全体というものが学びの成果を鍵として生まれ変わっていくということが、可視化というものがしっかり進んでいけば期待できるのではないかということでございます。

この学びの成果というものを可視化するというところについては、全国どこにおいても一定通用するという観点から、個別のテーマを体系的に学んだことを全国的に通用するものとして証明する仕組み、このようなことが構築するということが考えられるのではないかということでございます。

このような、今、新しいツール、時代の変化というもの、また「令和の日本型学校教育」で求められる教師の姿、こういったところを踏まえて新しい学びの姿というものを具体的に描写してみたところでございますけれども、このような姿を実現する上で、デジタル技術というものを積極的に活用するということが必要でございます。この履歴の管理、学びの可視化、こういったところは紙ということのみならず電子的に行うこと、またコンテンツそのものが、いつでもどこでもオンラインで学ぶようにできるようにすること、こういった個々の過程、「目標設定、受講、可視化、共有、目標設定」という循環を、デジタル技術の活用によって効率的・効果的に行える余地が、従来に比べて飛躍的に拡大していると考えられるのではないかと思ってございます。

6ページ、7ページが、「新たな教師の学びの姿」というものについて提示をさせていただきましたけれども、こういったものについて議論するに当たっての論点の例ということで用意をさせていただいたものでございます。

新たな学びの姿の具体化、こういった今、提案した、提示したものを踏まえて、どのような形でこれを具体化していくのかという観点の論点でございます。

1つ目の論点でございます。教師が自らの学びを振り返り、将来の見通しをもって主体的に学びを選び取るという観点から、管理職や任命権者が個々の教師の学びを把握し、人事配置やキャリア形成支援につなげるといった観点からも、教師の研修受講履歴の記録・管理ということが重要ではないかということでございます。

2つ目の論点につながってございます。特に公立学校の教師については、教員育成指標等に基づく体系的な研修の仕組み、先ほど説明した平成28年の教育公務員特例法の改正で整備がされてございます。このようなことも踏まえまして、教員育成指標、または研修の受講履歴といったものを手がかりにしたような、教師と任命権者、管理職などとの「対話」、研修の奨励というものが確実に行われるような制度的措置を講じるということが必要ではないかということでございます。こうした仕組みが出来上がれば、全ての公立学校の教師に継続的な教師の学びの契機と機会というものを一人一人対話の奨励という中で、確実に提供する。教員の資質・能力の向上を担保するための中核的な仕組みとして機能するのではないかという論点でございます。

3つ目でございます。教職員支援機構が公開している「校内研修シリーズ」などのオンライン講座というものについては、国公私立教員、地域の別を問わず、いつでもどこでもアクセスできるコンテンツでございます。こういったものの拡充を進めるとともに、学校における活用を促していくということで、国公私、地域の別を問わず、教師に継続的な学びの機会というものを提供することができるのではないかという観点からの論点でございます。

4つ目の丸でございます。これまで説明した履歴の管理、これに基づく証明、またオンラインコンテンツの拡充・提供というところに加えて、さらに高いレベルを目指していくという観点から、教育委員会が実施する研修だけではなく、大学や民間条約等が提供するプログラム等も含めて、質が高いコンテンツとなるような、学びのコンテンツの質保証を行う仕組み、コンテンツ全体を見渡して、ワンストップ的に情報を集約し、適切に整理・提供するプラットフォームのような仕組み、学びの成果を可視化する観点から、全国的に通用するものとして証明する仕組み、こういったものを構築していくと。その際、特に我が国の教員養成の採用・研修、そのようなところの一体改革を担う中核拠点である教職員支援機構というものが都道府県の教育委員会等と連携、必要となるリソースの提供というところも含めてしっかりと考えていった上で構築していく必要があるのではないかという論点でございます。

こういったさらにレベルが高いものを目指していく上での質保証、ワンストップ的なプラットフォーム、また証明の仕組みというものについては、履歴を管理するための情報的なシステムというものと一体的に整理することで、さらに相乗効果を発揮するのではないか。

そのような観点から、「こうした仕組みを共同で構築することで」というところになりますが、独自のシステムをみんなおのおのばらばら構築することを避けることができることで、コストの削減につながるのではないかとか、また教師の受講状況の全国的な把握などを通じた優良なコンテンツの発掘・活用などにつながっていくのではないかということ。こういう知識伝達型のコンテンツというものが全国共有財産化される中で、都道府県教育委員会等の研修実施者が、知識伝達型といったものではない、協議・演習形式の研修とか、教育課題の現場というものに即した研修の実施に尽力することができて、全国的な研修水準の向上につなげることができるのではないか、このような効果が期待できるのではないかという論点でございます。

この「上記のシステム等の在り方」という部分については、より高度に実現していくための質保証、ワンストップ的なプラットフォーム、学びの成果の可視化というところを念頭に置いてございますけれども、特別部会においてしっかりと今後も具体的な検討というのを、諮問の事項全体の中で位置づけながら行っていく必要があるのではないかということでございます。

続きまして、教員免許更新制との関係ということと、新しい学びの姿というものとを照らして考えたときの論点でございます。

10年に一度、2年間の間、30時間更新講習を受講するということが、時代の変化が大きくなる中で、常に学び続けていくということと整合的かどうか。

2つ目でございます。教育免許更新制の下での更新講習の受講というものが、今度、今日御説明したような主体的で継続的な学びというものの中で、主体的な学びと言えるのか。免許状を更新しなければ身分の喪失を招きかねないという中で、安心して学ぶということができるものなのかということ。

3つ目でございます。あくまで個人の免許ということでございますので、その権利を確保するための受講という部分は、これは本質的に自分の免許を自分で更新する、個人的なものにならざるを得ない側面というものがあるわけでありますけれども、そういった中で任命権者などが関わることができるような形にする、組織的なものとする上で限界があるのではないかということも考えられるわけであります。

そもそも今の「新たな学びの姿」というものを今後実現していく上で、免許状に有効期限を設けて更新するという仕組みそのものが不可欠なものと言えるのかどうかということも論点でございます。

資料2につきましては、論点の例ということで紹介させていただきましたけれども、一旦この程度にさせていただきます。

その上で、資料3についても併せて御説明させていただきます。資料3につきましては、新型コロナウイルス感染症を理由とした免許状更新講習への影響についてというものでございます。前期の教員養成部会の中の、いわゆる引継ぎ事項というものがございますけれども、その中で、もともとコロナの影響で、教師の学びと質と量というものを両立することができるのかというようなところから、この議論が始まったという経緯もございまして、新型コロナウイルス感染症というものがどのように影響しているのかということについては、しっかりと調べる必要があるという引継ぎになってございます。

令和3年3月でございますけれども、都道府県教育委員会等に御回答をお願いしたものの結果の取りまとめを、4点御紹介させていただきます。

1つ目でございます。調査1ということで、新型コロナウイルス感染症を理由とした免許状更新講習の修了確認期限の延期又は教員免許状の有効期限の延長というもの。いわゆる「やむを得ない理由」として延長したというものがどれぐらいあるのかというデータでございます。

令和2年度に更新期限を迎える方のうち、実際に通常のとおり更新申請をされた方が7万8,819人、免除申請者が1万3,138人。この免除申請者というのは、管理職の方とか、優秀教員表彰を受けた方、このような方々ということだと思いますけれども、それ以外に、延期・延長を申し込んだ方が9,514名でございます。9,514名のうち、新型コロナウイルス感染症を理由として延期・延長を申請した方が4,530人でございます。全体の延期・延長申請者の48%ではありますけれども、全体更新免除、延期延長、つまり令和2年度に更新期限を迎える方の中では4.5%というところであったということでございます。

このような数字ということでございますので、大多数の方がコロナを理由として延期・延長をしたという状況ではないということが、1番からは読み取れるわけであります。

2でございます。新型コロナウイルス感染症の影響を受けた学校教育活動への対応として臨時免許状を授与した状況についてということでございます。

コロナウイルスの対応ということで、長期休業期間が短縮されたということであるとか、学びの遅れを取り戻すという観点から、例えば、午前・午後で2部制で行うとか、また土曜日を使っていく、このようなことも想定がされたわけでございます。当初、そのようなことが想定された中で、教員の確保ということが困難な場合に、臨時免許状を授与するということも考えられるというわけであります。臨時免許状の授与の状況につきましては、こちらのほうに書かれているように、もともとそれなりに数は出ているわけでありますけれども、令和2年度、9,264件臨時免許状を授与されていますが、コロナウイルス対応ということで授与したものについては、全国1年間で94件ということでございます。これについては、新型コロナウイルス感染症の影響で、教員を確保するために臨時免許状が発行されたということはほとんどなかったという結果だと言えると思います。

続きまして、調査3でございます。新型コロナウイルス感染症の影響によって、免許更新制への影響というものがあったかどうか。更新講習の受講が困難になる、有効期間の延長を行ったかについてということでございます。これは1の延期・延長の状況という部分と表裏のようなことになってくるかと思いますけれども、大いに影響が生じた、一部影響が生じたという都道府県が75%でございます。ほとんど影響が生じなかった、全く影響が生じなかった、把握していないという都道府県さんもございますけれども、それなりに影響があったと。ただ、具体的な影響の部分は、まさに下に掲げさせていただいてございますけれども、更新講習受講期間が確保できなかったとか、受講期間の確保ができずに、先ほど申し上げた有効期限の延長などを行う者があったと、このような声が挙がってございますので、1番目の調査の部分で、延期・延長というものにかかったようなところがあった都道府県さん、政令市さんは、こういったものの影響が一定あったというふうに捉えていらっしゃると思います。

4でございます。新型コロナウイルス感染症対応のための教師の追加的確保における免許更新制への影響ということでございます。

追加的に人を配置する中で、更新制というものが影響を及ぼしたかということについて、影響が大いにあった、一部にあったと回答した都道府県は20件ということで約30%、都道府県等ですね、政令市も含めますので。ほとんどなかった、影響がなかったというところが48%ということでございます。やはり具体的な影響等によってということでありますけれども、挙げさせていただいた中にあるように、未更新によって退職教師等を臨時的任用教員として活用ができなかったといったことは指摘がされてございます。

そのほか下のほうに掲げさせていただいてございますけれども、やはり更新講習というものの休眠・失効という状況で人が確保できなかったというような声が、比較的寄せられているということでございます。

以上、資料3については、まる1番からまる4番というところでございますけれども、これはこの数字を個々に分析というところについては、今日記載をしていないわけでありますけれども、総じて申し上げますと、もともと想定されていた臨時的任用教員等の確保に影響があるといったこと。また、期間が短くなることによって、延期・延長というものが一定生じたということについては確認できるわけでありますけれども、ほとんどの方がそういう状況になるとか、臨時免許状が、これまでにないぐらいに大量に出るとか、このような状態にまでは至らなかったというものが、これから読み取れる取りあえずの結論かなと存じてございます。

私の説明は以上でございます。ありがとうございました。

【加治佐部会長】どうもありがとうございました。

それでは、資料2、資料3について、御意見、御質問等伺ってまいります。手を挙げるボタンをお願いいたします。まずは松田委員、よろしくお願いします。

【松田委員】 ありがとうございます。室長、御説明いただきましてありがとうございます。

特に資料2の構想、非常に強いビジョンを感じましたし、これこそ本当に抜本的な改革だなということを感じました。これからフィージビリティーについては検討するかと思うんですけれども、3点お伺いしたいなと思っているんですが、1点目は、こちらの構想の資料の位置づけを、改めてちょっと御説明いただければと思っております。今後どういう位置づけで議論がどのように進んでいくのかというところを御説明いただきたいなと思っています。

2点目ですが、ワンストップって何度かおっしゃって御説明いただいたかと思うんですけれども、これは理解が正しいかどうか確認なんですが、これまで各大学でやっていた取組を集約する1つのプラットフォームをつくっていくと。そこの中で、LMS、ラーニングマネジメントもしていきますし、ポートフォリオもとっていきますし、質の高いものが誰でも受けられるようなものを目指していくということなのかというところの、そういったことをイメージした1つのプラットフォームなのかというところを確認させてください。

3点目が、これをもし進めるとするなら、詳細の検討等はまだまだこれからだと思うんですけれども、こういった取組の推進役というか旗振り役、事務局になり得る機関というのは、どういった機関を想定されているのかというところを、今の考えで結構でございますので、お教えいただければと思います。

【加治佐部会長】それでは、室長、お答えいただけますか。

【平野教員免許企画室長】このタイミングでお答えしておいたほうが、ほかの先生の御質問の御理解にもつながるかと思いますので、御説明をさせていただきます。

この資料2の位置づけにつきましては、前回の会議の中において、免許更新制というものの在り方を考えていくという背景があったわけでありますけれども、その在り方というものをしっかり考えていく上でも、前回会議から出た各委員の意見を踏まえて、そもそも新しい時代に求められる、新しいツールを活用した学びの姿というものをしっかりと考えて、それをどう実現していくのか。そして、その際に、免許更新制というものがどういう関係にあるのか、このようなことをしっかりと議論できるように準備をするというものでございますので、今日、論点で掲げさせていただいてございます。この新しい姿というものを実現していくということと、免許更新制をどうしていくのかということは、分かち難く連動しているものというふうに考えてございます。これは事務局として用意をさせていただいているものでございますけれども、これを1つのたたき台として議論をしていただきたいということで用意したものでございます。

2点目でございます。私の御説明がよろしくなかったのか、少しイメージが伝わりにくい方もいらっしゃったかもしれませんけれども、基本的には、もちろんオンラインの学び、オンラインじゃない学び、いろいろなものがあるというふうに考えてございますけれども、オンラインというものがこれだけ広がってきたという中において、各大学の学びのコンテンツというものも、今、一般の学部・大学院も含めて、かなりオンライン化が進んでいるという状況で、そういうものに載せやすくなってきている状況というのが出てきているわけでございます。

こういったものを、1つのサイトになるのか、1つのユーザーインターフェースを備えたものに集約して、その上でただ載っけるだけではなく、テーマ別、類型、レベル別というところもしっかり配置をした上で受講していただけるようなプラットフォームということでございます。これは私個人の意見でありますけれども、例えば、一部そういったものの中で、MOOCのようなものもあるかと思いますけれども、ああいったもののイメージというのも1つあるだろうとは思ってございます。

また、3点目でございます。推進役、旗振り役という部分でございます。これについては、今日の論点の部分では、私ども文部科学省の事務局といたしましては、1つの候補ということで、教員研修、また教員の資質・能力の向上という部分に高い専門的な知見を有するという観点から、教職員支援機構というものを挙げさせていただいてございますけれども、これについてはしっかりとその在り方というのを議論していく必要があると思っています。ただ、申し上げたとおり、全国の都道府県教育委員会と無関係のところでこれが推進できるというものでは全くございませんので、全国の都道府県教育委員会というものの主体的な参画というところ、リソースの負担というところも含めて、しっかりと具体的な在り方というのは検討していく必要があるだろうと思っております。

6ページの論点の中で、まる1番、まる2番、まる3番という部分については、そこに至る前の話としても取組ができる部分、つまりは研修の受講履歴を関知して、これを任命権者等が奨励していくということ。また、現行の教職員支援機構などがやっているオンラインの講座の拡充と、その活用を徹底的に促していくこと、これは今申し上げたワンストップの仕組みというところ、こういったコンテンツの質保証や学びの可視化といったような大がかりな仕組みというところに至る前でも速やかに実現が可能な余地があるものと考えてございます。ここの議論というのは、少し時期的には切り分けて考えていくということも大いにあり得るのかなと思ってございます。

以上でございます。

【松田委員】ありがとうございます。

【加治佐部会長】それでは、安家委員、それから貞廣委員、根津委員の順番でまいります。まず、安家委員、どうぞ。

【安家委員】ありがとうございました。幼児教育研究機構の安家と申します。

教員免許証の更新については、前回初めて私、この会議に参加をさせていただいて、議論の内容をお伺いいたしました。幼児教育におきましては、我が研究機構が免許証の更新講習を担い、そして、講習の履歴をある程度管理をするような作業を従来行ってまいりました。その際に、特に都道府県をまたいで転居・転勤をした場合などに、私どもの研究機構がグリップをしておりました様々な履歴が、従来、生かされてきた経験がございますが、今お話をお伺いいたしますと、教職員支援機構のほうが、大規模にネットワークを繰り広げて、申請であったり、受講であったり、履歴の管理を今後いただけるようなイメージを私、嗅ぎ取ったのですが、そのような構想は、今後、どのぐらいの期日で実現していくのかということのお伺いをしたいと思うんです。もしもそれが実現いたしましたら、我々の機構が持っております様々なデータもそこにジョイントさせていただいて、ぜひ全国的な規模の管理支援機構になればいいなというふうな希望を持ちました。

それがまず1点と、2点目が、2年前からの更新講習の受講というやり方が現在ございますが、できれば履歴の管理がきちっとできるのであれば、10年間を受講のタームとして考えて、徐々に研修を自ら選んでいくというふうなことが可能になるのではないかと思いますので、10年単位の研修の履歴の蓄積というものができるのがいいのかなというふうなことを私は思っております。これは意見でございますが、その辺りも御検討いただければなというふうに思っています。

以上です。

【加治佐部会長】平野室長、1点目をお答えいただけますか。

【平野教員免許企画室長】今日提出した新たな姿というところについては、本日から議論を始めていくというものでやったものでありますので、これが今、確定的に行うというフェーズのものではございませんけれども、先ほど松田先生の御質問でお答えしたとおり、6ページ目の部分で申し上げますと、履歴の任命権者等における管理、また機構のオンライン講座の拡充、徹底活用というところと、また、それ以降の教職員支援機構というところが名前を出してくるような質保証を行う仕組み、ワンストップのプラットフォーム、学びの可視化の仕組み、こういった部分というのは、時期的には差があるんだろうなと、やるとしても差が出てくるんだろうなと思ってございます。

その意味において、履歴の管理という部分については、この論点として事務局のほうで提示させていただいたところの前提として想定していたところというものについては、6ページの上の特に2つ目の丸の部分については、公立学校の任命権者というものが履歴というものを管理するというところのレベルの話でございます。

その下の4つ目の丸に出てくるような支援機構とか、またこの履歴を管理するシステムとの一体的な整理という部分については、これが都道府県単位というところを越えて、全国的にしっかりとエクスチェンジできるようなところも含めたものということでありますけれども、ただそれだったとしても、履歴の管理そのものを教職員支援機構が直接行うのかというよりは、そこはやはり都道府県教育委員会など任命権者が行う中で共通で行う仕組みというか、プラットフォームというものを提供するところで教職員支援機構というものの出番というのが出てくるのかなと思ってございます。質問の回答を申し上げれば、時期的な部分ということで言うと、3つ目と4つ目以降というところで差は出てくるわけでありますが、まずここが今日の議論の出発点というところで、いつまでにどうこうという段階では、今日の段階ではまだないというふうに思っております。

【加治佐部会長】それでは、貞廣委員、お願いいたします。

【貞廣委員】ありがとうございます。千葉大学の貞廣と申します。お示しいただきました全体の方向性や個別の事項について異論があるということではございませんけれども、できれば併せて御検討いただきたいという点について意見を申し上げたいと思います。

先ほどの議題1にも関わりますけれども、例えばフラッグシップ大学の取組、またはそもそものコアカリキュラムの存在、または今の御説明などを伺いますと、養成・研修の段階で学びの規格化、精緻化、厳格化というものが進む、場合によっては過剰に進むのではないかとも考えてしまいます。

また、その後の出口についても、先ほど高橋委員の御発言にもありましたけれども、例えば、教員養成であれば、出口は教員になるということに限定をされた評価として厳格化され、現職の先生の研修としては、目前の教育課題にいかに応えられるかということで厳格化されていくと。これも大事な点ではあるんですけれども、社会は今後も変化し、育成するべき能力というものも変化していきます。その中で先生方には、革新や創造というものが求められていくということを考えますと、こうした厳格化も必要なんですが、それと併せて、直線的には教育活動に結びつかないかもしれない多様な経験を許容したり、推進したりしていくと、そういうことも併せて考えていく必要があると思います。

それは養成段階にしてもしかり、または現職の教員の方にしてもしかりです。こうした部分がないと、教員の方々もなかなか元気を出して働くということもできませんし、また、学生にとっても大変魅力的な職業とはとてもじゃないけど見えないというふうになると思うんですよね。職としての魅力というのは、直接的にその活動に連結するような活動のみに依拠しているわけではありません。また、子供たちに何を返していくかということも含めまして、繰り返しになりますけれども、もう少し多様な経験を許容していくような部分も含めて考えていただきたいなというふうに考えたところです。

以上、意見です。ありがとうございました。

【加治佐部会長】ありがとうございました。よく分かります。あんまり学びの管理がいき過ぎますと、教職の魅力というところに関わってくると思いますね。自ら学びをつくり、学びを自分で創造するということは、やはり基本にあるべきだと思いますね。

それでは、続きまして、根津委員お願いいたします。

【根津委員】早稲田大学の根津ですけれども、教員自らの費用負担というところが、今回御説明の中では出てこなかったようなんですけれども、その辺りが現時点でどう考えられているのかということをお尋ねしたいと思います。

以上です。

【加治佐部会長】収入にも関わるような気がするんですけれども、いかがですかね。

【平野教員免許企画室長】先生の御質問は、新たな学びの姿という中において、どのようにお考えになるのかという趣旨で受け止めておりますけれども、そのような趣旨で回答させていただきます。

この仕組みという中でどのように教師の負担がということはあるわけでありますけれども、今の現状から申し上げると、更新講習というのは当然受ける際に対価というものを支払って受けているということでございます。一方で、都道府県の研修という部分については、勤務時間内で無償で行われている、こういった現状でございます。こういったものができて、多様なコンテンツというものが入ってくる中で、どのようなものについては無償で受講ができて、どのようなものについては有償なのかという部分については、それはコンテンツの提供主体と、それを受け取る者との関係性という部分によってくる部分が大きいんだろうと思います。

もちろん一般社会通念上、何かサービスというものを受けていながら対価をお支払いしないというものは考えられないわけでありまして、何かの形で誰かがそういったもののリソースというのは負担をしなければならないということになってくるわけでありますけれども、一方で、例えば任命権者等が自分のところの教職員の力量を上げる観点から、そこは自分の負担で行うということも考えられるわけでありますし、また任命権者間同士でそういったコンテンツを融通し合うということもあるかもしれません。また、自分の教育委員会など任命権者が、ここについてはぜひ我々が負担するから、ここの講座はうちの県の戦略上受けてほしいといったようなこともあるかと思いますので、そこは当然こういったコンテンツの作成とか、また提供というものが当然無償ではいかない部分があるということは大前提の上で、その負担の在り方というのはかなり個別のケースに応じて考える部分というのがあるんだろうなと思ってございます。

根津先生への御回答、以上でございますけれども、先ほど貞廣先生からいただいた件につきましてもちょっとお話をさせていただきたいと思っています。

先ほど主査のほうからもお話ありましたけれども、私どもの本日の話の中で、規格化とか、そういったものを意図しているというふうなところで捉えられている先生もいらっしゃるかもしれませんけれども、あくまで個別最適化する中で、本人が自分で将来の姿というものを設定することを基本としながらも、しっかりと現場のニーズ、管理職、任命権者のニーズとも高度に調和したものにしていくといったイメージで書いてございます。そこの部分は、必ずしも規格化をするという方向、特定のコアカリキュラムみたいなものを持ち込んでということよりは、多様なものを多様な個人のニーズにとって選び取れるようにするといったようなイメージをつくっているところでありますけれども、先生の御指摘という部分、つまりいろいろな魅力のあるものをつくるという上で、いわゆる遊びの部分といいますか、そのような部分がしっかりとあるということが全人的な成長という観点からも必要だという御指摘はごもっともだというふうに考えてございますので、そういったところについてもしっかりと踏まえた上で考えていく必要があると考えてございます。

以上でございます。

【加治佐部会長】それでは、続きまして、秋田委員、松木委員、森山委員、木村委員、そして安部委員ですね。それでは、秋田委員、お願いいたします。

【秋田委員】学習院大学の秋田です。新たな学びの姿を、大変魅力的な文書で、姿を明確にしてくださったというふうに考えております。

ただその中で、まず1点、確認したいことがあります。例えば、教師の学び自体の個別最適化という言葉が使われております。教育課程部会では、個別最適化という、AIなどが最適化するのか、子供たち自らが自分の学びを個別最適に選択できる、そういう人材を育てるのかという議論があり、最終的に令和の報告書では、個別最適の学びというふうに、最適「化」という言葉と分けた言葉が使用されてきました。

しかし、今回見ますと、個別最適化というのは、今度はAIではなく、任命権者であったり、国から最適化される存在なのかと感じます。むしろ私は教師というものが、先ほどの研修に到達された目標があるということはいいと思うんですけれども、貞廣先生が言われたように、教師側が到達目標に向かって、それが習得できればいいのではなく、やはり教師一人一人の個性化の過程がとても重要なのではないかと考えます。大変個別最適化の「化」がつくかつかないかということは、教育課程部会では本当に重要な議論があって選ばれた語なんですけれども、この個別最適化というのが、この報告の資料に入るのはどういうことかというのは確認したいと思った次第です。

それから、2点目として、学びの成果を組織で活用し、組織自体が生まれ変わるということはすばらしい構想だなと思った一方で、そういう学びの姿が生まれ変わったものが、また全国の研修にも生かされていくというような循環のイメージが必要です。そのイメージがないと、「研修をする側は送り出します、教師は変わります、それで組織も変わります」そこで終わるのではなく、それで好事例や、やっぱり変わっていくことで研修そのものも変化する、つまり数年後、5年後、変わり続けていくということがないと、今の一定の質保証だけでは、研修自体が古くなっていったりするのではないかと思います。そういうサイクルのイメージを、この文言の中にも入れていくことができないのだろうかというふうに、2点目としては思いました。

また、3番目としては、先ほどからありますプラットフォームやワンストップという話です。そこでいろいろなコンテンツをそろえるとか多様化するということは大事だと思うんですけど、どうもそのイメージは、オンラインがイコール、いわゆるオンデマンド型というイメージを非常に強くするものではないかとも思ったりもします。むしろ、オンデマンドだけではなく、オンラインは学校に出なくても、家からでもいろんな教師と語り合うことが時間を省略しながらすることができるとか、全国でも逆にいろんな自治体の事例を、教員が知ることができるというメリットもあるのであれば、何かそのあたりのニュアンスが入らないと、いろいろな研修を、とにかくコンテンツを見る存在として考えられるのではないかと思いました。

また、免許更新講習について指摘していただいた論点は、本当にこのようなことについて議論して、これからの免許更新講習との関係を議論できるといいなというふうに考えた次第です。以上です。

【加治佐部会長】平野室長、お答えお願いします。

【平野教員免許企画室長】ありがとうございます。秋田先生、3点御質問いただきました。

個別最適化という言葉のチョイスについてでございます。正直申し上げると、課程部会での議論というところを踏まえた選択になっていないというふうに思っておりますので、ここの取扱いについては、単に一方的に個別最適化するということではなく、いろいろな幅広い意味を含んだものとして使いたいという意図でございますので、考えさせていただきます。

2点目でございます。2点目は、論点のほうの6ページ、7ページにかかってのこの丸というところに少し書かせていただいてございますけれども、こういった仕組みというものができることが、また全国的な研修推進の向上につなげていくという部分というのは非常に重要な御指摘だと思ってございます。

そのような観点から、新たな学びの姿のいわゆる質保証、プラットフォーム、学びの可視化、こういった段階での中においては、教職員支援機構が単独でということではなく、都道府県教育委員会なども含めた方々の参画というものを十分いただいていくということで、まさにそこで皆で全国の研修水準というものを考えていく、それ自体もまた1つの場になっていくということが考えられるのではないかなと思って、お話をお伺いしていたところでございます。

3点目でございます。3点目は決してオンデマンドのものだけを意図しているというものではございません。このプラットフォームということ、今、私のほうで少し先生をいただいたことを踏まえて考えてみますと、もちろん学びというものはリアルなものというのもあるわけでありますので、そのリアルな学び、またオンラインの学び、そして、オンラインの中でもオンデマンドのものと同時双方向のもの、こういったものというのがあるわけであります。

オンラインのコンテンツというもの、同時双方向のそういったものとしてこのプラットフォームが機能するということは当然ある一方で、また、リアルなものを含めてどういったところにどういったものがあるのかといったような情報提供、こういった部分でリアルとオンラインというものをしっかりとハイブリッドした学びというものを支えていく仕組みとすることも考えられるのかなというふうに、先生のお話をお伺いしていて考えているというところでございます。以上でございます。

【加治佐部会長】ありがとうございました。松木委員、お願いいたします。

【松木委員】今、秋田先生のお話がありましたので、かなりダブってしまう内容かなというふうにも思うんですが、改めて、教師は専門職でもありますので、生涯学び続けていくシステム、特に研修のシステムというのは欠かせないことだなというふうに思います。同時に、専門職であるということは、研修の中身が絶えず公に問うていくということが求められる、そういうものであるべきだと思っています。

それを前提に、今の更新講習の問題点の1つは何かと考えますと、やっぱり最新の知識や技能を提供するというところに集約し過ぎているんじゃないかなと思います。最新の知識・技能が10年置きでいいのかという話もあります。もちろん知識や技能が必要じゃないって言っているわけではないんですが、今のお話のように、最新の知識・技能は、それぞれの主体性に応じて、例えばオンラインでオンデマンドでプラットフォームができれば、いろいろな選び方ができるかなというふうに思います。

その一方で、教え、覚えるというような知識・技能だけじゃなくて、やはり教師の資質や能力をどうやって培っていくのかということが更新講習の中できちんと位置づけられなきゃいけないんじゃないかなと思うんです。特に子供たちにコンピテンシーを培う教育に転換しようとしているわけですから、教師が知識や技能だけではなくて、きちんと資質や能力を培っていく姿が重要です。それがロールモデルにもなっていくわけですから、更新講習の中で実施できるような形を取るべきです。特に必修に当たる部分等につきましては、資質や能力をきちんと培っていけるような研修の在り方に変えなきゃいけないんじゃないでしょうか。

自分のやってきたことを振り返りながら、みんなと討議をし、対話をしながら、これからの10年に向けてどうあるべきなのかということをまとめていくようなことができる研修であるべきです。それは先ほどお話の中にありましたように、学習履歴としてきちんと自分の考えたことを書き残し、それを10年後、また、その研修の中で、10年前はこんなふうなことを考えていたんだなんていうことをまたみんなと話をしながら考え直していく。こういった研修を入れるべきじゃないかなと思います。

知識や技能、教え、覚えるというスタイルだけじゃなくて、コンピテンシーを培う在り方を入れていくべきじゃないかなと強く思っています。そして、それは学習履歴として残しながら、特に10年という単位は確かに荒っぽい単位かもしれませんが、教師のライフステージを考えると、大きな転換期が起きる時期でもあります。そういった時期に自分のこれまでの歩みを整理し、これからの歩みをイメージしていく、そんな機会に更新講習を捉え直していくということが重要だと思います。

大学のほうとしては、例えば、必修の部分、選択必修の部分を合わせて、十七、八時間ぐらいになりますかね。そういったことを全体としてマネジメントしていきながら、教師のコンピテンシーを培う方法をきちんと検討していくということが必要だと思います。

また、教育委員会としては、更新講習をきちんと研修の中に位置づけて、研修の負担を軽減していくことが重要じゃないかなと思います。また、知識や技能、それから資質・能力、この両方にオンラインが使えますので、そこも活用しながら、研修の負担ということも取り上げていくことが重要じゃないかなと思っています。以上です。

【加治佐部会長】分かりました。それでは、森山委員、お願いいたします。

【森山委員】ありがとうございます。まず、質問につきましては、これまでの委員の先生方にお示しいただいて、平野室長のほうから御回答がありましたので、省略させていただきます。

私自身の意見ですが、今後の新たな学びの姿の具体化に向けての意見を、免許更新制度を踏まえた上で述べさせていただきたいと思います。

新たな教師の学びの姿を具現化することが今後新たに必要になってくるわけですが、今回、論点を明確にしていただきました。そういう中で、新たな教師の学びの姿を具体化する研修システムの構築を行うことについては、私も賛同するところでございます。

そのシステム構築の点からいきますと、やはり全ての教師が対象となるということが前提でございます。そうしますと、教育委員会等が行う新たな取組が重要となるということは理解するわけです。そしてまた同時に、現に全ての教師を受け入れるシステムとして機能しているという教員免許更新制の枠組みについて、枠組みと、それから大学が関わっているという点については、今後もうまく活用するということが1つの観点ではないかと感じているところでございます。

多くの大学が賛同し、そして、賛成しながらこれまで行われてきたという更新制のよい内容の検証も必要であろうし、先ほど松木先生からもお話がありましたように、大きな内容の差し替えや、変更、そういうところについては吟味をする必要があります。更新制の弾力的な運用であるとか、あるいは、例えば10年のうちに規定時間の講習を受けるようにすれば、活用の可能性というのはまだまだ広がると思います。

ただし、例えば、今後の教員研修の1つの姿でありますが、先ほどより、個別最適というキーワードも出てきましたが、教員個々に応じたオーダーメード型研修に対する講習内容の提供ということも当然必要になってこようかと思います。そういうところについては、これまでの講習内容の提供としても、大学も十分活用できるのではないかということも考えているところでございます。

大学とある程度関係があって、その中で履修を証明する制度の枠組みがあるならば、更新制から別の名称も視野に入れて考えられるのではないかと感じています。以上でございます。

【加治佐部会長】分かりました。じゃ、木村委員、お願いいたします。

【木村委員】木村です。よろしくお願いいたします。

まず、御提案いただいた内容ですが、名前のとおり、新しくいろんな視点から構想していただいていると思います。教員一人一人が自分自身の資質能力を身につけていく、また磨いていくためには、教員自身に学びの地図というんでしょうか、キャリア地図みたいなものが必要だと思います。

一方で、これまでご意見があったように、教員にはたくさんの力が求められているんですが、教員としては、それをなかなか消化できない、どう自分で学びの地図を作っていくかが難しい。

そういう意味では、今後、検討されるこれからの時代に必要な教員の資質・能力は何なのかを一定整理していただく。その中で多様性とか個性化、新しいものに対して身につけていかなければならない力とかというのを明らかにしていくことが必要になると思います。また、それらを何らかの形として提示していく必要もあると思うんです。それを提示する方法の一つが教員育成指標だというふうに思っています。

ですから、教員育成指標を地図にするということが私は大いにあるべきだし、問題はその教員育成指標をどう書くかとか、また、その教員育成指標の内容に何を求めるかということなんだろうと思います。

もう一点なんですが、1月26日の答申にこれまでの日本型学校教育は一定評価されているというくだりがありまして、その背景の1つに、校内研修を中心とした教員自身の自主的で意欲的な研修というのがあると思います。これは間違いなく日本型教育のこれまでの成果につながっているものだというふうに思うんです。

一方で、なかなかそこで淘汰できないのが、新しい教育、例えばICTに対応するとか、こういう面については、更新制度における大学での専門家の先生たちとのやり取りの中での学びに非常に現場の先生たちが魅力を感じています。

これからの日本型教育に必要な資質・能力をきちっと整理して、それが表現されるのが育成指標、そういう展開になったときに、例えば、不易なものとか新しく絶対に身につけなければならないものというのは、免許更新で身につけるというよりも、職場の研修の中でみんなが身につけていけるような研修保障というのは必要じゃないかなというふうに思うんです。

併せて個々の教員の専門性も今回は求められています。ここというのは全員で一緒にではなくて、それぞれの先生たちが、例えば大学院で学ぶ、大学の公開講座に参加する、企業、民間の研修に参加する。そういうそれぞれの能力また資質に応じた研修体制が必要だと思います。以上のような整理の中で免許更新制がどこに資するのか、免許更新制の立ち位置というのをぜひ考えていただきたい。そのようなことを今回の御提案からたくさん学ばせていただいた気持ちがしております。以上です。

【加治佐部会長】どうもありがとうございました。それでは、安部委員、お願いいたします。

【安部委員】安部でございます。ありがとうございます。

私は、この議論はいわゆる教員免許更新制度を議論していたんですけども、教員免許更新のための研修というのは、先生方にとって、その研修を受けなければ免許が失効するという、ある意味、後ろ向き、資料2の7ページにもありますように、教師にとって主体的な学びにはなってないというのは、これは自明だと思います。ですから、教師の学びを継続して、そして主体的にするためには、私は、すばらしいこの報告、構想ですけれども、教師自身のキャリアアップに結びつくという前提が必要ではないかなと思います。

例えば、今日の議事1でフラッグシップ大学に申請する大学が取り組む課題が4つ例示されておりました。この教員養成課程の学生の中には、こうした現代的な教育課題を深く勉強してみたい、教員には絶対ならないというお話もございます。そういう方は教員にならないというお話もございましたが、そういう方ほど教員になっていただいて、その教育実践の中、土台の下で、そこで見いだした課題を継続的な研修によって深掘りするというようなシステムをこの教員研修というのは構築すべきではないかなと思います。

ある分野を専門とするいわゆるその専門講師、教師などの構想も、ここを目的とする柔軟な教師の育成・採用・研修の在り方を考える上では必要ではないかということを今日の議事の中で感じた次第です。以上です。

【加治佐部会長】ありがとうございました。それでは、この後、高橋委員、木村委員はついていますけど、先ほどありました。三田村委員は手が挙がっていて、消えていますけど、三田村委員どうなんですかね。それから藤田委員ですね。この順番で参りたいと思います。まず、高橋委員、お願いします。

【高橋委員】ありがとうございます。大変すばらしい案で、今すぐでも始まらないかなと思う部分がたくさんありました。ありがとうございます。

最終的に免許の更新とか免許とひもづけなくても私はいいとは考えておりますが、ある程度の区切りとか何らかの条件がないと、いくら主体的にといっても、研究と修養という観点で満たされない可能性があるかなというふうに思いますので、何らかの区切り、条件、締切りみたいなような何かがあったらいいんじゃないのかなというふうには思っております。

ただ、免許とひもづけないといっても、こういった研修というか、講習の蓄積によって、上級の免許状に何か変わるとか、そういった意味で何かあるというのは私はあってもいいかもしれないというふうに思っております。

もう一つ、体系化という言葉が何回も書かれておりまして、いよいよ研修の、私はこの制度というか、書かれているもの自体は賛成ですので、その中身の部分のことかなというふうに思います。先ほど木村委員からは育成指標等からのというお話がありましたけど、そういったものから具体的にどのような講座が生まれてくるのかとか、それと講師は誰がするのかということ。意外と先生方にとっても自分自身が講師としていろいろ教えると、校内研ということが先ほど話題だったと思いますが、そういうふうに講師側に立ってみるというようなことも、講師自体も大変ないい研修になるかもしれないというふうには思っております。

そういった研修の中身であるとか講師の担当とか、そのあたりについても具体的に検討をしていきたいなというふうには感じているところです。

校内研修についても、私、いろいろ全国の学校を回りますけど、非常に熱心に取り組んではおりますが、その取組については地域差があるというふうに実感はしておりますので、その地域差、あるいは、自分が講師とか自分の興味のある部分だけ受けていくと、特定の領域ばかり、特定の内容ばかりになってしまうという課題。ただ、こういうふうにいろいろ企画化していくと、先生にとってはあまり学びたい意欲とか、そういった矛盾することも生まれるかなと思いながら、いよいよ具体的な講座や講師がどうなっていくのかということを検討してみたいなというふうに思っているところです。以上になります。

【加治佐部会長】ありがとうございました。三田村委員、どうぞ。

【三田村委員】私から1点だけです。とてもこのまとめありがたいと思いました。その上でなんですが、やはり前回も同じようなことを申し上げたんですけれども、10年というスパンをフル活用していきたいということです。

つまり、教師も学び続けるというわけですから、更新講習を行うところだけ学んでということでは違うのかなと。ですから、免許更新の履修なども含め、10年間かけて学んで、それで、それを単位認定して更新するというような、そういう仕組みが望ましいなというふうに思いました。以上でございます。

【加治佐部会長】分かりました。ありがとうございました。それでは、藤田委員、お願いいたします。

【藤田委員】東京都教育委員会の藤田です。すみません。ありがとうございます。

この資料2につきましては、前回の議論も踏まえまして、事務局のほうでおまとめいただきまして本当にありがとうございます。

その上ででございますけれども、先ほど来出ておりますコンテンツのワンストップ化、あるいはプラットフォーム化というようなところで、これは時間もかかるかもしれませんけれども、ぜひ進めていただければというふうにお願いをしたいと思っております。

その上で、これ各都道府県のほうは、また任命権者ということで、研修を、人材育成ということで管理していく立場にもありますので、これ、全国でこれから、ある程度進んでいるところ、それからまだあまり進んでないところ、いろいろあると思いますけれども、そういう中で都道府県の教育委員会もかなり力を入れていかなければいけなくなると思いますので、ぜひこの辺は構想がある程度、構想というか、プラットフォームの形が少し見えてきた段階では、また、工程表って言いましょうか、最終的な完成形みたいなものも目指すところをお示しいただいて、都道府県の教育委員会が、じゃ、いつ頃までに何をしなきゃいけないかとか、どんなことをしていったらいいのかというようなところが分かるように、そんなふうに進めていっていただければ非常にありがたいと思いまして、東京都のほうも一部、研修の個々の履歴管理、一元的にするようなシステムを一部入れておりまして、年々改善等も図っているんですけど、履歴把握が学校でもそうですし、御本人も把握ができていると、自分はこれがまだ受けていないなとか、あるいはこんなところが弱いかなとか、少しそういったこともできますので、ぜひこの辺りは進めていっていただければと思いますので、段取りなども含めてよろしくお願いしたいと思います。

それから、先ほどのフラッグシップ大学とも関わりがありますけれども、これは免許更新制との関わりというよりは、教員の魅力アップということで、できれば大学、教職大学で、あるいは大学院で、期間が短かくてもいいので、何かこう個人の研究ができるとか、10年たったら少しそういうインセンティブがあるとか、何かそういった実践と研究というんでしょうか、実務と研究の両方、それで視野を広げていくという、そんなことも研修の一環で、教職大学さんのほうと何か体系的にタッグを組んで学び続けるというところの投資ができると、シェアが広がることにもつながると思いますし、先ほどコミュニケーションスキルが不足している、学生がというお話もさせていただいたんですが、これは必ずしも言葉によるとか文字によるとか教材によるという、いろんなコミュニケーションスキルがあると思うんですけど、単に言葉というだけではなくて、やはりスティーム(STEAM)だったり、いろんな引き出しがあって、世の中で今起きている事象なんかもいろいろ強化に結びつけて児童生徒のほうにも語りかけていただけると、本当に学び続けるロールモデルを実践で示して、児童生徒の皆さんが、教員になろうとか、小学校の先生になりたいとか、そういったことも、なっていけばいいかなということも含めて、先生方は大変なんですけども、そういうことができていけばいいなと。

そのためにも、これは我々も一生懸命頑張らなきゃいけないんですが、安心して研修を受けられるような職場環境を整えていかなきゃいけないということで、それぞれに順番でちゃんと平等に機会が来るよというようなことで、少し職場の中で送り出し体制だとか、もちろん職場内研修も学校によって本当にすごいOJTやっていたりということもありますので、そういったことも含めた職場環境を整えていかなきゃならないということで、これは我々が一層、任命権者、それから研修を預かる者として頑張らなければいけないというふうに思っております。

これ最後まとめでもないんですけども、いずれにしても先生方が一生学び続けていく、もちろんもともとそういった思いが強い方が教職を目指してくれている、もともとそういう思いがありますから、教職大学の養成課程も含めて、育成研修こそが鍵ということがあると思いますので、こういったことを組み合わせながら、いずれ更新制のほうにもどういう影響が出てくるかとか、あるいは、都道府県のほうが研修はかなり均質化して、全国である程度機構さんのほうにも認められるような研修が出そろってくれば、そういったものを代わりに受講する、あるいは大学のほうも受講する、あるいは大学のほうはむしろもっとキャリア教育という意味での個人研究のほうでむしろタッグを組ませてさらにいただくというようなことも含めて、そんなことでやっていけたらいいのかななんていうふうに皆様の御意見をお伺いしていて思った次第でございますので、まだまだ任命権者として、我々も全国連合会としても頑張っていかなきゃならないという思いを新たにした次第でございます。ありがとうございました。

【加治佐部会長】よく分かりました。本当にどうぞよろしくお願いいたします。

それでは、今のところ手は挙がっておりません。会場のほうはいかがですかね。会場にも委員がおられるんですかね。

【平野教員免許企画室長】今日は会場には委員はいらっしゃいません。

【加治佐部会長】そうですか。じゃ、皆さん、いかがですか。よろしいですか。

じゃ、平野室長、皆様の特に後半部分の御意見をお聞きして、何かコメント等ございますか。

【平野教員免許企画室長】各先生から意見をいただいたところでございます。この更新制に限らず、フラッグシップなども最初の議題も引いていただきながら、お話をいただいたところでありますけれども、しっかりと教師全体の在り方というものを考える中で、この案件も位置づけて考えなければいけないなというところの思いを新たにしたところでございます。

その上で、幾つかお話があった中で少し恣意的な選び方で御回答する形になって恐縮でございますけれども、どのような形で主体的に学ぶというところの実質を確保していくのかというところ、少し御議論があったのではないかと思います。何らかの要件がないという話とか、10年の区切りというところを新たな学びの中でどう考えるべきかというところなんだと思うんですけれども、研修の履歴の管理というのを1つの方法として今挙げさせていただいてございます。こういったものがしっかりと見えてくると、学んでいらっしゃる先生と、任命権者として期待する水準に至っていないのではないかという先生というところをしっかりと区別して、気づくことができるということになってくるのではないかと思います。

そのような中で、任命権者、または管理職のほうということで、現場の教師にどのような形でアプローチをして、実質上の学びを確保していくのか、こういったような個別の対応というのも可能になっていくのではないかというふうに思いますので、そこは履歴の管理と、それを使った奨励という仕組みが実効的に回っていくということの中で解決できる部分もあるのかなというふうに思ってございます。

あと、幾つかお話があった中で、これは貞廣先生のお話の中でも出てきた規格化といったような議論とかありましたけれども、そこはやり方を間違えると、教師というものの学びというものを枠に押し込めていくようなことになっていきかねないわけであります。これは私が今、観念的に申し上げて何ですけれども、やはり個人の内発的な動機に基づいたものという部分というものと、教員社会、組織で求められているものというものをどのように、一種アウフヘーベンさせていくと申し上げますか、考えていかなければならないんだろうなと。

ただ仕掛けがあるというところだけで、この問題というものが解決していくということではなくて、やはりそこは研修履歴などをしっかり手がかりにしながら、対話を通じてお互い見い出していくという、このプロセスが非常に大事な本質的なものだと思っています。こういったことが機能するというところが、実はこの新たな学びの姿の一番の課題なのかなというふうに、私ども先生のお話を聞いていて思ったというところでございます。

感想めいた話になってしまって恐縮でございますけれども、以上とさせていただきます。

【加治佐部会長】どうもありがとうございました。

それでは、最後に私のほうから今日の議論の簡単なまとめといいますか、感想と、それから今後の審議の方向についても希望を述べさせていただきたいと思います。

今日、事務局から説明がありましたこの新たな教師の学びの構想ですけれども、これはおおむね皆さん賛同されたというふうに思っていいのかなと思います。少なくとも明確な反対はありませんでした。皆さんこれを今後に生かすような御発言をされていたというふうに思いますので、おおむね一致したんだと思うんですね。

それでやはり気になりますのが、この小委員会、名前のとおり、免許更新制の在り方をどうするかを結論を出していかなきゃいけないわけですね。それで、この新しい学びの姿というのは、教師の研修受講履歴を記録、管理し、教師と任命権者との対話や研修の奨励が確実に行われるようにするために制度的な措置を講じるとか、あるいは教職員支援機構のオンライン講座の徹底的な活用を図ると言ったようなことです。

こういう仕組みができるのであれば、教員の資質能力の向上は、たくさん課題が指摘されていまして、改善意見もこれまでもたくさん出されてきた教員免許更新制ではなくてもできるのではないかというふうに思うわけですね。

ただ、今日、御意見の中で、更新制の存続といいますか、あるいは存続とまでいかなくても、更新制のような仕組みを維持しつつ、今日の新しいこの学びの姿を生かしていくというふうな御意見もありました。10年スパンとか、あるいは大学側は更新講習で様々な取組をしてきていますので、そういうところを生かしていくとかということがあったわけですね。

ということで、やはり私としては、こういった御意見もありますので、教員免許更新制をはっきり言って存続するのか、廃止するのかというところに一定の結論を出す必要があると思います。その上でさらに議論を進める必要があるんじゃないかというふうに思うところです。

ですので、事務局におかれましては、第10期の教員養成部会で行った包括的な検証や様々な調査の結果、それから本日のこの新しい学びの姿に対する皆様の御意見、こういうものを取りまとめていただいて、次回の委員会で議論ができるように準備をしていただきたいというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【平野教員免許企画室長】はい、かしこまりました。

【加治佐部会長】それでは、事務局から何かほかにございませんか。もしなければ、次回の日程等について御説明いただきたいと思います。

【中村教育人材政策課長補佐】事務局でございます。次回の日程につきましては、調整の上、追って御連絡させていただきます。

【加治佐部会長】それでは、どうも皆さん、まだ予定の時間よりは早いですけれども、本当に長時間にはなりました。どうもありがとうございました。これで終わりたいと思います。どうもありがとうございました。



―― 了 ――

 


(総合教育政策局教育人材政策課)