「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会(第1回)・初等中等教育分科会教員養成部会(第122回)合同会議

1.日時

令和3年4月27日(火曜日)13時30分~16時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 部会長等の選任
  2. 部会運営規則の制定
  3. 「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方について
  4. 特別免許状の授与に係る教育職員検定等に関する指針の改訂について
  5. 教職課程における連携開設制度・学部等連携課程・教科情報の共通開設等について
  6. 教職課程の自己点検・評価及び全学的に教職課程を実施する組織に関するガイドラインについて
  7. 「令和の日本型学校教育」の構築を目指して」~全ての子供たちの可能性を引き出す,個別最適な学びと,協働的な学びの実現~(答申)(中教審第228号)(特別支援教育部分)について
  8. その他

4.議事録

【渡邉部会長】それでは、先ほど私を特別部会の部会長に選出いただきましたので、これ以降の議事を進行する前に、一言御挨拶をさせていただければと思います。

今、私たちはSociety5.0時代の到来に向けまして、第3期の教育振興基本計画の理念に基づく教育改革の真っただ中にいると思います。この間に大学分科会では、2040年に向けた高等教育グランドデザイン答申がまとめられ、この答申に基づいて課題の深掘りが今進んでいるところでございます。そして、初等中等教育分科会では、「令和の日本型学校教育」の構築を目指しての答申がまとめられるところでございますが、第11期の中教審のスタートと同時に、今回の諮問ということになったわけであります。したがいまして、改めて前期の中教審の答申の意味合いを確認しておきたいと思います。

この答申のタイトルは、「『令和の日本型学校教育』の構築」ということで、「令和の」としているわけですが、この意味合いについてどのように位置づけていくかでございますけれども、令和は英訳するとBeautiful Harmonyなわけですが、歴史と未来との調和という考え方で大変合っているのではないかと思います。つまり、変えてはいけない教育の本質としての知・徳・体と一体で育む日本型学校教育と言われております歴史が積み上げてきた我が国の学校教育の成果をしっかりと強みとして認識するということ、そして、もう一方では、Society5.0時代を見据えたバックキャスト的な視点と、それに加わった、コロナ禍を経たニューノーマル時代を想定した変革要素など、今日的な課題を踏まえて、変革すべきものを明確にして、新しい時代に合う目指すべき方向性を示していくということ、こういった2つの要素を調和していくという意味と私は理解をしております。よく言われている不易流行の意味合いそのものだと思います。

この答申の副題にありますように、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」となっているわけですが、この言葉で核となる考え方が示されていると思います。

もう一つ、本答申が示している課題として、コロナ禍がニューノーマルの姿として未来を10年早く連れてきたというものがございます。すなわち、ICTの効果を最大限に享受するために残された課題に対応していくということ。そして、GIGAスクール構想について、日本のデジタル化が国際的に大きく遅れを取ってきた中で、これからの学校教育の基盤的なツールとなるべきものであります。また、これまでの教育とこれからのICT活用を最適に組み合わせることで教育の質向上につなげていく必要があると、この答申の中でも指摘されているところでありますから、これをしっかりと捉えていく必要があると思います。

そのためにも、ICTの活用に向けた教師の資質能力向上というものがさらに重要となることは当然のことでありますけれども、教師の資質能力向上の要素というものは大変多様なものであります。したがって、「令和の日本型学校教育」の実現のために、今後さらに検討を要する事項を深掘りするということに加えて、再定義もまた必要になったと考えます。

私たちが、これから検討を開始する「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修の在り方については、御存じのとおり、3月12日に開催されました中央教育審議会総会におきまして文部科学大臣から諮問を受けたわけでありますけれども、大臣からは、ICTの活用と少人数学級を車の両輪として「令和の日本型学校教育」を実現し、それを担う質の高い教師を確保するため、教師の養成・採用・研修等の在り方について、既存の在り方にとらわれることなく、基本的なところまで遡って検討を行い、必要な変革を実施し、教師の魅力を向上してほしいということでございました。

しかも、検討のスピード感も求められております。この背景としては、今年の4月から全国の小中学校で1人1台端末環境が整ってGIGAスクール元年を迎えるということ、それから、小学校の35人以下学級が段階的に実施されるということ、そしてICT活用と少人数学級を車の両輪にして、さらに新学習指導要領の着実な実施が加わってくるということ、そういったことによって、「令和の日本型学校教育」の構築につなげていく、そういう重要な年のスタートになるからであります。

こうした変化の中で、教育の質を支える教師の力が極めて重要になるわけでありますけれども、教師には、従来求められてきた基本的な資質要件に加えて、ICT活用指導力、コーチング、ファシリテーション能力など、これまでとは異なる資質能力が求められます。また、少人数制に伴い、従来以上にきめ細かな指導が期待されるわけであります。それに加えて、社会人など多様な人材が教育現場に入ることも想定しながら、教育の質向上につなげていくことが必要になります。

今回の諮問事項については、後ほど事務局より詳細の説明をしていただきますが、5点あります。1点目は教師に求められる資質能力の再定義、2点目は多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方、3点目は教員免許の在り方、教員免許更新制の抜本的見直し、4点目は教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化、そして5点目が教師を支える環境整備となっており、諮問事項は多岐にわたっております。教師の養成段階から採用、研修の在り方となれば、初等中等における課題事項だけではなくて、高等教育との関係も連動させて検討することになります。

このように、私たちは非常に大きなテーマに取り組むことになりますが、今回の諮問理由にありましたように、「令和の日本型学校教育」の実現のためには、教育の本質的目的を検証しつつも、社会の在り方自体が劇的に変化する中では、必要な改革に躊躇なく取り組む必要があります。今回、特別部会長代理に御就任いただきました荒瀬委員、養成部会の部会長に御就任いただいた加治佐委員、そして同部会長代理に就かれた松木委員をはじめといたしまして総勢30名の皆様と、そしてまた文科省の皆様方とともに、この「令和の日本型学校教育」を担う教師像というものをしっかり構築して、未来の人づくりの実現のために審議を進めていきたいと考えますので、どうか御協力をお願い申し上げたいと思います。

以上、特別部会開催に当たっての私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。

続きまして、先ほど御就任いただきました荒瀬特別部会長代理からも一言いただけますでしょうか。

【荒瀬委員】ありがとうございます。特別部会長代理に御指名いただきました荒瀬でございます。私からは、2点申し上げたいと思います。

1つは、今、渡邉部会長から大変丁寧に御説明いただきました1月26日の答申であります。この答申の「はじめに」の部分に、子供一人一人を主語にする学校教育を進めていくんだということを述べているわけであります。子供一人一人を主語にする学校教育を進めていくためには、教師が自分の取組を振り返りつつ、よりよい教育活動を模索して、様々な方と共にそれを進めていくことが必要になってこようかと思います。そのことにつきましては、今、部会長から説明のあったとおりであります。子供一人一人が主語になるためには、教師一人一人が主語になって、自分の取組として自分たちの取組を進めていくとともに振り返る、そして工夫、改善を重ねていくことが大変重要ではないかということを思っております。それが1点目であります。

2点目といたしましては、諮問の中でも5点目にあるところでありますけれども、教師を支える環境整備ということであります。学校における働き方改革が答申でまとまって、具体的にそれが教育政策として進められているということでありますけれども、まだまだ学校が一体何のためにあるのか、教師の務めというのは何なのかというところが、まだ十分社会的に認知されていない面があるのではないかと思っています。

学校で教師は、言わば非常に苦しい思いをしながら身を削って働いているという状況が見られます。こういったことをどう改善していくのかということが、我が国の学校教育を進めていく上で極めて重要であることは言うまでもありません。こういった視点を常に持ちながら、皆様と御一緒に議論を進めてまいりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。

それでは、次に、教員養成部会の加治佐部会長からも一言御挨拶をいただければと思います。お願いいたします。

【加治佐部会長】教員養成部会長を拝命しました加治佐です。どうぞよろしくお願いいたします。

教師の資質能力の在り方は、いつの時代も常に改革の対象になってきております。特に今回は、今お二人のお話にもありますように、1月26日の答申で新しい学校像が示されました。これからの教師は、その新しい学校像をつくっていかなければいけないわけですけれども、この諮問の中にもありますように、基本的な教師像を転換することが求められております。これまで、どちらかというと教師の資質能力は、基本があって、その基本に様々な新しい要素を加えるような形だったと思いますが、Society5.0を見据えて根本的に変えるということです。それに応じて教員養成のカリキュラム、教職課程、これも抜本的に見直すことになっておりますので、ある意味、今回のこの諮問を受けての審議、答申が今後の教師の在り方を基本的に左右するということで非常に大きな期待と責任を感じております。

諮問はこれから御説明がありますが、私が見る限り、諮問で書かれている教師の養成・採用・研修、そして免許、これについての改革の方向性は明確だと思っております。明確なんですが、その中には、これまで提案されながらも、なかなか実現が難しくてできなかったものも含まれていると思います。例えば、これまでどちらかというと継ぎ足し方式と言われてきた教職課程の基準の見直しをするとか、あるいは、学校種に応じた免許状の区分を見直すとか、教師の自律的な学びや教職大学院への進学のインセンティブをしっかりつくるとか、あるいは教員養成大学・学部の連携を含んだような機能強化とか教師の待遇改善とか、そこまで踏み込んで書かれていますが、今まで提言されながらなかなかできなかったわけです。これが正面から取り上げられようとしていますので、大きな期待を感じています。ただ、ハードルは高いと思います。ぜひこれを何とか実行できるような方策を出すことによって、本当にこれまでできなかったようなことができるようになるということで強い期待も持っておりますので、皆様の御協力をぜひよろしくお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。

それでは、教員養成部会長代理に御就任された松木委員からも御挨拶をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

【松木委員】松木です。ただいま御指名いただきました。先ほど渡邉部会長から、「令和の日本型学校教育」の中の令和というところに着目してお話を始めていただきました。私は、その言葉の中の「日本型」というところに、もう一度視点を当てて考えてみたいなと思っています。あえて「日本型」と冠したことの意味は一体何だったんだろうか。もちろん知・徳・体の一体化した日本の教育という特徴もあるんでしょうが、それ以上に、やはりグローバル化した世界の中で超スマート社会を実現しようと思ったときに、先進国の多くが同じような学力観になってきている。これは先ほどお話がありましたが、学習観の転換ということにかかわっており、すごく大きな意味を持っているんじゃないかと思います。これを日本の教育の中でどう実現していくかということがすごく重要じゃないかと思っています。

知識や技能に関しては教えることができます。教師は今まで教えるということの専門家であったわけですが、コンピテンシーといったことが教育の中心になったときには、教えるという行為はできない。むしろ学び合うコミュニティーをどう教師が組織し、ファシリテートしていくかといったような教師観に変わっていかなきゃいけない。これに即した形で、教育免許状の在り方、あるいは教員研修の在り方を抜本的に見直していくことがぜひとも必要じゃないかなと考えています。これに一歩でも、この部会で近づくことができればいいなと考えております。よろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。この特別部会のスタートに当たって大変貴重なお話をいただいたと思います。皆さん、これからもどうぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、早速議事に入りたいと思いますが、議事の3からになります。「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修の在り方の諮問の背景とその諮問内容について事務局から説明をお願いいたします。よろしくお願いします。

【中野教育人材政策課長】事務局、教育人材政策課長の中野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

ただいまございました諮問の関係ですけれども、本日、配付資料といたしまして、資料3-1に諮問の概要、本文、また、参考資料3-1といたしまして関係の資料を幅広に集めておりまして、参考資料集として適宜お使いいただきたいものを用意しております。さらに、参考資料3-2におきましては、去る3月12日に諮問をした際の総会における委員からの主な意見を事務局でまとめさせていただいております。

本日は、資料3-2といたしまして、これらの中からピックアップしたものを説明資料として用意しておりますので、今、画面共有しているものでございますが、お手元に御用意いただければと思います。資料3-2でございます。

資料3-2の2ページ目が、先ほど来ございました3月12日の中央教育審議会総会におきまして、萩生田文部科学大臣から諮問させていただきました「令和の日本型学校教育」を担う教師の養成・採用・研修等の在り方についての諮問概要でございます。こちら、資料3-1の1枚目と同じものでございます。この資料の上のほうは、先ほど来部会長等からも出ております、1月26日に前期の中教審からいただきました答申でございますが、こちらでは、2020年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の在り方ということで、「全ての子供たちの可能性を引き出す、個別最適な学びと、協働的な学びの実現」としていただいたところでございます。

ここで次のページ、3ページ目を御覧いただきたいのですけれども、この個別最適な学びが進められるようにするためには、教師がこれまで以上に子供の成長やつまずき、悩みなどの理解に努め、個々の興味・関心・意欲等を踏まえて、きめ細かく指導・支援することなどが求められております。また、協働的な学びにおきましては、一人一人のよい点や可能性を生かすことで、異なる考え方が組み合わさり、よりよい学びを生み出すよう授業を設計していくことが重要とされております。

資料、2ページにお戻りいただきたいと思いますけれども、その上で、さきの答申におきましては、「『令和の日本型学校教育』において実現すべき教師を巡る理想的な姿」といたしまして、学校教育を取り巻く環境の変化を前向きに受け止め、教職生涯を通じて学び続け、子供一人一人の学びを最大限に引き出すこと、主体的な学びを支援する伴走者としての役割を果たしていることなどと示していただいたところでございます。今後、「令和の日本型学校教育」を実現できるかどうかは、時代の変化に応じた高い資質能力を身につけた教師を確保し、教師が生き生きと活躍できる環境を整備できるかどうかにかかっています。

一方で、この概要に書いておりませんけれども、本文のほうで、現在、教師を取り巻く環境については、教師の長時間勤務、一部の学校における教師不足、教員採用選考試験の採用倍率の低下など厳しい状況にあり、こうした背景もあって、魅力的な職業としての社会的認識も必ずしも十分ではございません。このような現状に対応しつつ、ICTの活用と少人数学級を車の両輪として「令和の日本型学校教育」を実現し、それを担う質の高い教師を確保するために、教師の養成・採用・研修等の在り方について、既存の在り方にとらわれることなく、基本的なところまで遡って検討を行い、必要な変革を行うことで、教師の魅力の一層の向上を図っていくことが必要になっています。

このため、先ほども部会長からもございましたけれども、諮問におきましては、御審議をいただきたい事項として、そこに1から5を挙げさせていただいております。

まず第1に、教師に求められる資質能力の再定義でございます。「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師像と教師に求められる資質能力につきまして、全ての教師に求められる基本的な資質能力を具体的に明らかにしていただきたいと考えております。

第2に、多様な専門性を有する質の高い教職員集団の在り方について明らかにしていただくとともに、優れた人材を確保できるような教師の採用等の在り方や採用後の育成、キャリアパス、教職員集団を率いる管理職の在り方について御検討をお願いいたします。

第3に、教員免許の在り方・教員免許更新制の抜本的な見直しでございます。教員免許制度につきまして、第1の検討事項を踏まえた教職課程の見直しとともに、学校外で勤務してきた者などへの教員免許の在り方や免許状の区分の在り方などについて御検討をお願いいたします。教員免許更新制につきましては、必要な教師数の確保とその資質能力の確保が両立できるような抜本的な見直しの方向について、先行して結論を得ていただくようお願いしております。

第4に、多様化した教職員集団の中核となる教師を養成する教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化につきまして、学生へのインセンティブの在り方も含めて御検討をお願いいたします。

第5に、教師を支える環境整備です。教師が自らの人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができる環境整備について御検討をお願いいたします。

以上が諮問の概要でございます。

次に、関連の資料を御説明させていただきます。4ページからでございますけれども、こちらの資料右肩に1-9等と書いておりますのは、参考資料3-1として諮問に関する資料を用意しておりますものの資料番号を書いているものでございます。

まず、4ページを御覧ください。さきの答申におきまして、教職員の養成・採用・研修の在り方というのが、今後さらに検討を要する事項とされたということなども踏まえまして、5ページでございますけれども、文部科学省におきましても、この1月に大臣を本部長とする検討体制を整えまして、教師の人材確保・質向上に向けて中長期的な実効性ある方策を省を挙げて検討することとしております。また、この本部におきましては、6ページ、7ページにお示ししておりますけれども、中長期的な検討と併せまして、既存の制度下でスピード感を持って対応するために、当面の取組として2月にこのようなプランを取りまとめたところでございます。

資料8ページ、9ページを御覧ください。今国会で成立いたしました小学校35人学級に係る、いわゆる義務標準法改正法におきましては、9ページのところですけれども、その附則におきまして検討規定というのが盛り込まれておりまして、多様な知識または経験を有する質の高い教員が教育を行うことの重要性に鑑み、教員免許制度の在り方について検討を行い、それらの結果に基づいて法制上の措置その他の必要な措置を講ずるものとするとされているところでございます。

また、法案の国会審議におきましては、衆参両院の委員会から附帯決議をいただいておりますけれども、その中では、教員免許更新制の在り方ですとか、7のほうの幅広い人材の活用に向けた教育職員免許法の見直しについて附帯決議を付されているところでございます。

資料10ページ以降は、教師を取り巻く環境でございます。この辺り、少し飛ばさせていただきますが、11ページから13ページには教師の長時間勤務の実態、14ページから16ページには教員採用選考試験における採用倍率低下の状況、また、17ページから19ページには学校に配置すべき教師数に一時的な欠員が生じる、いわゆる教師不足の発生とその要因について整理をしております。「令和の日本型学校教育」を担う教師の理想的な姿を実現していくためには、このような現状も踏まえる必要があると考えております。

20ページ以下は、先ほどの諮問の検討事項ごとに参考資料を整理したものでございます。まず、検討事項1の関係ですけれども、教師に求められる資質能力ということで、21ページ以下、過去の中央教育審議会でも数次にわたり提言をされてきております。

23ページですけれども、こちらは、先ほど来出ております直近の答申でございますが、これまで言われております、不易の部分の資質能力に加えまして、1月の答申では、ファシリテーション能力ですとかICT活用指導力などの新たに求められる資質能力といったことも挙げられているところでございます。

また、24ページ、25ページでございますが、平成27年12月の中教審答申を踏まえまして、教育公務員特例法の一部改正がされておりまして、この法改正を踏まえまして、各地域では、平成29年度から教育委員会と大学等が協働して、キャリアステージごとに育成を目指す資質能力の指標というものを定めまして、これに基づく体系的な研修が行われています。このような状況を踏まえまして、「令和の日本型学校教育」を担う新たな教師像と教師に求められる資質能力について、全ての教師に求められる基本的な資質能力を具体的に明らかにしていただきたいと考えております。

検討事項2番目は、多様な専門性を有する質の高い教職員集団でございます。27ページは、教員採用試験における採用者の内訳を示しているものでございますが、民間企業等の勤務経験者というのは数%にとどまっております。また、28ページにございます特別免許状につきましては、社会人等の知識、経験を有する人材が学校現場で必ずしもたくさん活躍しているとは言えない状況でございます。多様性や柔軟性を備えた教職員組織であることは、子供への教育の充実にもつながると考えられます。

さらに29ページにありますように、校務分掌の形で法令や答申等で求められている特定分野の担当者も多岐にわたっておりまして、新たな専門性を身につけるなど、教師個人の強みや適性等に合った配置や育成が求められています。こうした多様で質の高い教職員集団の姿を明らかにしていただくとともに、優れた人材を確保できるような教師の採用等の在り方や採用後の強みを伸ばす育成、キャリアパス、教職員集団を率いる管理職の在り方について御検討をお願いいたします。これらの検討事項1つ目、2つ目を中心に御議論いただきます新たな教師、あるいは教師集団の在り方をベースにした上で、その趣旨を検討事項の3つ目から5つ目の各検討課題に落とし込んで専門的な議論をお願いしたいと思っております。

検討事項3でございます。免許の在り方のところですけれども、これは基礎的な資料を載せております。31ページから33ページでは免許制度の概要を紹介しております。

また、34ページ、35ページには、これまでの教員免許制度に関する累次の制度改善について参考に付しておりますけども、今回の包括的諮問におきましては、教師の基本的な在り方から御議論いただきたいと思っておりますので、教員免許制度も、先ほど加治佐先生からありましたけれども、部分的な改善にとどまらず、新たな教師の在り方、あるいは教師集団の在り方を踏まえた教職課程の見直しですとか、学校外で勤務してきた者への教員免許、免許状の区分の在り方など、既存の制度ありきではなく、基本的なところまで遡って御検討をお願いしたいと考えております。

また、36ページ、37ページは、先行して御審議いただきたい教員免許更新制の関係でございます。教員免許更新制につきましては、前期の中央教育審議会教員養成部会を中心に行ってきた包括的な検証が継続課題となっております。前期の養成部会におきましては、36ページの2ポツにありますような様々な課題が指摘される中、37ページの2ポツにあります、中ほどに3つ点を打っておりますけれども、教師の資質能力の確保と教師や管理職等の負担の軽減、そして教師の確保を妨げないこと、この3つが並立できるような抜本的な検討が必要であることについて見解の一致があったところでございます。今後、見直しの方向について先行して結論を得ていただきたいと考えております。

検討事項4、教員養成大学・学部、教職大学院の機能強化・高度化でございます。39ページから、資料といたしまして、教員養成大学・学部ですとか教職大学院に関する基本的な制度、教員就職率等のデータをまとめております。また、新たな教師の在り方を踏まえまして、多様化した教職員集団を構築する中で、中核となる教師を養成する教員養成大学・学部、教職大学院の果たすべき役割は引き続き大きいと考えておりまして、これらの機能強化・高度化について、教育内容、方法や組織の在り方、学生へのインセンティブの在り方も含めて御検討をお願いいたします。

最後に検討事項5でございます。教師を支える環境整備についてです。資料は、46ページに学校における働き方改革の概要を示しておりますけれども、過去の中教審の答申も踏まえまして、令和元年のいわゆる給特法の改正によりまして、勤務時間の上限指針の策定、1年単位の変形労働時間制の選択的導入を行ったほか、教育委員会からの要望を踏まえた各種取組を推進しています。今後、令和4年を目途に勤務実態調査を行いまして、給特法等の法制的な枠組みを含め必要な検討を実施することとしておりますが、このような状況を踏まえて、多様な働き方なども含め、教師が自らの人間性や創造性を高め、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができる環境整備について御検討をお願いいたします。

最後に、47ページを御覧ください。このような検討事項、多岐にわたりますけれども、今後御審議いただく中で、エビデンスに基づく御審議をお願いしたいと考えておりまして、事務局で幾つか調査の実施したいと考えています。5つ挙げておりますけれども、1つ目は教員免許更新制に関して、これまでの養成部会での検証ではヒアリング等を行っておりましたが、これらの認識が現場の教員の意識と合っているのかということで、教師を対象とした更新制に係る意識調査を現在実施中でございます。こちらは昨年度、コロナ禍で先生方には学びの保障に全力投球いただきたいということで調査を控えていたものですけれども、今回実施をさせていただくということでございます。

(2)は、教師不足に関する実態調査でございます。必要な教師数が確保できない、休職等にも代替教員を充てることができないといった状態が生じていることは認識しておりますけれども、今回初めて全国的な調査を実施したいと考えております。

3番目は、教職課程を置く大学等に所属する学生の教職への志望動向に関する調査でございます。教職離れといったことも言われておりますけれども、学生を対象に、どのようなところで教職への志望動機が高まり、または逆にくじけてしまうのかといったことも含めまして学生の調査を行いたいと考えております。

4番目は、こちらも現職教員を対象とした調査といたしまして、教師の属性に合わせて、身につけたい資質能力や研修ニーズ等について調査をしたいと考えております。

最後に5番目ですけれども、教師の研修履歴の管理に係る調査でございます。先ほど申し上げましたように、教員育成指標に基づく、あるいは研修計画に基づく体系的な研修が進んでおりますけれども、個々の教師の研修履歴の管理等につきましては、教育委員会等によって取組がまちまちではないかと思っております。これらについて、各教育委員会の状況について調査をしたいと考えております。

長くなりましたが、説明は以上でございます。これらを踏まえまして、御検討のほど、よろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。それでは、これから諮問事項について検討を始めていくわけですが、その前に、諮問内容を踏まえまして、私から1つ、検討の進め方について御提案をしたいと思います。教員免許更新制についてでありますけれども、本件については、説明資料の中にありましたように、コロナ禍での現実的な課題も生じております。大臣からの諮問の中で、抜本的な見直しの方向性について先行して結論を求められていることと、それから、前期の中教審においても、こういった現実問題も含めて十分に検証を進めてきたところです。

したがいまして、私といたしましては、この特別部会の下に教員の免許更新制小委員会を設置して、早速見直しについての検討を開始したいと考えますが、委員の皆様、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【渡邉部会長】御異議ないと認めますので、そのような形で諮らせていただきたいと思います。それでは、この教員免許更新制の議論については、資料3-3のような形で小委員会を設置して進めることといたします。

なお、この小委員会のメンバーでございますけれども、前期からの検討経緯も踏まえますと、教員養成部会の委員の皆様にお願いすることが一番ふさわしいのではないかと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。

さて、ここから委員の皆様に御意見をいただきたいのですが、今回初回ですので、自己紹介も兼ねまして、諮問事項について御発言を賜れたらと思います。ただ、時間に限りがございますので、大変恐縮ですけれども、お一人2分程度を目安にお願いできればと思います。御発言は、皆さんのお手元に名簿がございますので、この名簿の掲載順をベースにしながらと思いますが、荒瀬委員、加治佐委員、松木委員につきましては先ほど御挨拶いただきましたので、皆さんの御発言をお聞きした後に、もし御発言があれば改めてお願いするということにしたいと思います。

したがいまして、最初は今村委員から、その次に永田委員、藤田委員と続けて御発言いただければと思います。今村委員、いかがでしょうか。

【今村委員】 ありがとうございます。ちょっと心の準備ができてなかったんですけれども、改めまして参加させていただきました、NPOカタリバという団体を運営している今村と申します。私自身は、教育の現場に社会教育の力がもっと生きるような形が子供たちにとって意欲と創造性を開いていくんじゃないかということを考えまして、20年前にNPO法人をつくって、今まで3万人を超える、免許の所持に関わらず様々な人たちを教育現場に、常駐型の形もあればワークショップでワンショットで関わる形もあれば、また学校外のユースセンターなどで関わる形まで様々なんですけれども、学校現場の仲間として参加していくという取組をしてきました。

その活動の中で見えてきたこととはちょっと違う論点にはなってしまうんですけど、今回の資料を拝見させていただきまして、そして、これまでの議論の中でもずっと分からなかったことがありますので、そこの点をここでお話しさせていただければと思います。資料の中で、採用前の教員養成課程の話と採用、そして免許の更新研修がどうなっているのかということは触れられて語られていると思うんですけれども、私は人材の育成というものを捉えたときに、まだ社会を経験したことのない若い人たちが社会人になっていくという過程の中で、また、どんな人でも転職をして、教職員としての人間性を自分のものにしていく過程の中で、事前にする養成課程での学びとか履修主義的な研修を受けるということよりも、日常的なOJT型の育成の場面が本当は最も重視しなきゃいけない重要な機会なんじゃないかなと感じています。いろんな人たちが学校に関わっていくということは、いろんな人たちを受け入れる多様性と対話の雰囲気がないと人が生きなかったりすると思います。例えば私たちで言うと、今回参加していただいている中原先生に何度も研修をしていただいて、例えば1on1(ワン・オン・ワン)というものを組織の中に取り入れて、育成という観点を取り入れていったりとか、OJTで学ぶということとかフィードバックはどういうふうにし合っていくのかとか、そういったことを、時間とコストをかけてあえて取り入れていくということで、いろんな人たちが教育現場の中でいい効果を発揮できるようなチームにしていく、チームの総量を上げていくことを獲得していった感覚があります。

民間企業では、1on1だけじゃなくて、ブラザー・シスター制度とかいろんなものがあるわけですので、学校の先生方からすると、また仕事が増えたと思われてしまうかもしれないんですけど、でも、やっぱり先輩が後輩を育てていくような仕組みを取り入れていかないと、若い人たちがなかなか育つ機会を持てないのではないかなと思っていたりします。

すいません、長くなりました。私からの発言は以上とさせていただきます。よろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】ありがとうございました。前期も大変貴重な御意見をいただいてきたと思います。これからもよろしくお願いしたいと思いますけれども、今の御意見のように、新しい要素をどう研修体系や養成段階に取り入れていくのかということは、OJT方式といったお話もありましたが、大変貴重な御意見でした。

それでは、次に、永田委員、お願いいたします。

【永田委員】私は筑波大学長で、大学分科会の会長もしています。前回の第10期の最後の総会で令和の日本型教育というものを取りまとめたときに申し上げたのは、先ほど松木委員が述べられた点そのもので、令和の日本型教育の「令和」の部分は極めてよく定義されていると思いますが、「日本型」という部分は明確に定義されていませんでした。これが日本型だろうと思うところはたくさんあったのですが、明確ではなかったと思っていて、今回、その中での教師の在り方を議論する中で、うまく引っ張り出してくれればいいなと実は思っております。

教師の在り方の中で思うこととしては、もちろん制度や環境のいろいろな変化はあるとしても、根本的に若い教員の方々のセルフコンフィデンス、または教員としての本当の力強さというものをどうするか、そのようなものをどうやったら引き出せるかということを話せたらいいと考えています。例えば免許更新講習において、教員の教え方は学修指導要領にありますが、本当に先生方が大学時代に教員養成課程の中で培ったことが、あるいは、御専門が本当に反映した形で児童たちの前、あるいは生徒の前で自信を持って語られているのかどうかということは非常に心配をしています。いろいろなことに遭って萎縮されてないかなということをとても心配していて、環境的には、例えば、モンスターペアレンツ、英語ではヘリコプターペアレンツと言いますが、そういう問題や、環境の中で異様にバッシングされるケースもたくさんあります。もちろん暴力を振るうということがいいと言っているわけではありません。しかし、非常に萎縮する方向のコメントが多いのだろうと思いますし、部活の問題もそうですが、先生が実力を発揮したくてもできない部分がたくさんあるのかなと思って心配をしています。いずれにしても、令和の日本型教育、それに最前線で関わる先生方が自信を取り戻してやっていけるようなことがシステムとして支援できれば、我々の議論も有益ではないのかなと思っております。

以上です。どうもありがとうございます。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。この特別部会の諮問事項は、大学分科会とも非常に密接な関係性のあるテーマだと思いますので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

次に、藤田委員と申し上げたのですが、今日、欠席されておりましたので、次に吉田委員、よろしくお願いいたします。

【吉田(晋)委員】ありがとうございます。渡邉部会長、今後ともよろしくお願い申し上げます。私、日本私立中学高等学校連合会、私立の中高としての立場で申し上げさせていただくと、やはり教員は経験値がすごく大きいと思っています。そういう中で、今、永田学長もおっしゃっていましたけれども、いろいろなところで教師がバッシングに遭っている、また、わいせつ教員の問題とかいろいろと問題があるのも事実なんです。ただ、そういう中で、最近の採用している教員たちを見ていても、本当に免許状を取ってくれてありがとうというような感覚、なかなか免許状を取ろうとしない。その1つには、普通で言えば大学を卒業するのに必要ない単位をたくさん取らなくてはいけない、この負担は確かに大きいかもしれません。それから、企業でのインターンとかということを考えた場合に、教育実習はまさにインターンで単位になるわけですけれども、私はこの部分が、今、学生がアルバイトをしないと生活ができないというようなことがありますけれど、例えば、学校でインターンがてらアルバイトというのは考えられないのかなと。例えばチューター的な存在で経験していくというのはすごくいいことなのではないかなと思っています。

そして、この令和の日本型教育に合わせて、ある意味、いろいろなことが求められます。ICTもそうかもしれません。しかし、これはこれからの生徒たち、極端な言い方をしたら、今の私どもがお預かりしている中学生、高校生のICT能力というか、パソコンを使う力というものは、もう我々の域は完全に超えているのではないかと思います。ICT技術は、もう当たり前になってきている中なので、後づけでいろいろなものを加えていくというよりも、なるべく少ない単位で取れて、そのかわり、その経験値というものを基に、言い方が変ですけれど、大学の先生って現実に教員免許状はありません。ただ、大学に残られて、大学院に残られて、そして大学に残って経験値でなられる方、それから学識経験者というか、様々な経験を基にして教授になる方、そういう方がいらっしゃるのと同様に、高校以下の教員も、取りあえず単位数での一種の仮免許状みたいなものがあった上で、3年ぐらい経験して、本当の免許状に振り替えるとか、そういうような形で、今度、逆に、更新など要らないから、一生懸命子供たちのために尽くしてもらえる、そういう教員づくりというものもいいのではないかなと。

私は、やはり教員というのは、特に私立学校にとっては、例えば、企業でいうところの物を開発する。考えて開発して、設計図を作って、生産して、それを販売する、それまでやる、ほとんど8割方、9割方が教員です。この教員の資質が高くなければ、いい教育はできないと思っています。そういう意味でも、この委員会で、ぜひ良い教員づくり、そして、一人でも多くの人が教師になりたい、そういうふうに思える場をつくっていただければと願っておりますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。日本私立中学高等学校連合会にも参画されていますので、ぜひ、現場の声ということで御意見を頂ければと思います。

それでは、次に、秋田委員、お願いいたします。

【秋田委員】ありがとうございます。聞こえますでしょうか。学習院大学の秋田です。よろしくお願いいたします。

私もいろいろ論点があると思うんですけれども、やはりICTといっても、そのICTをいかに生かしていくかというところの専門の知識を教員がいかに身につけていくのか、そのときに、その研修そのものが、オンラインをはじめ、いかにして負担を減らしてやっていくのかということが大事と思っております。今後、やはり教師の資質、コンピテンシーという問題と教師のウェルビーイングですね。働き方もそうですし、充実感、満足感をいかに感じられるような仕組みをつくっていくのかというようなところと、そして、しかし、やる気が出るためにはエージェンシー、上から与えられているという感覚だけではなくて、自らが主体となって関わっていくというようなコンピテンシー、エージェンシー、ウェルビーイングというものを三位一体としながら、これからの現職の問題ということを考えていく必要があろうかと思います。

そのために、先ほど吉田委員も言われました。養成の段階から、例えば中国とか、ほかの国々では、アルバイトではないけれど、教員になる師範学校から給与が与えられたりというような仕組みもあったりするわけです。そういう意味での展望を持ちながら教員になっていける。教員の魅力化ということは言われるわけですけれども、それをどういうふうな形で具体的に考えていくのかというのが重要だと思っています。

また、前回の教員養成部会も出させていただいているので、そこでもお話ししました。自分の首を絞めるような話になりますが、大学の教員そのものが、教員養成に関わっている人間が、どういうふうにこれからの時代の教員養成を考えるのかということを、各大学でビジョンや、それをいかに共有しながら進めていくのか。特に地元の教員養成大学と地元の学校とが一緒になってネットワークをつくりながら、養成、採用、研修というものについて、生涯的に関係を持っていくような仕組みをいかにつくっていくのかが求められていると思います。

一方で、簡略化のために、例えば、教職員研修機構のようなところが、オンライン等で標準的で最新のものは発信しつつも、地元のところのネットワークをどうつくるのか、そういう役割分担がこれから問われるのではないかというふうに、先ほどの議論なども伺いながら思っているところになります。

以上になります。よろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。ICTやDXを目的化するというよりも、どうこれらを使ってウェルビーイングにつないでいくかというお話だと思います。大変貴重なお話、ありがとうございました。

次に安家委員、お願いできますでしょうか。

【安家委員】こんにちは。初めまして、ちょっと自己紹介をさせていただきます。

大阪府豊中市にございます、あけぼの幼稚園の理事長と園長、そして、同じく豊中市にあって、社会福祉法人の理事長も兼任をしております。また、養成大学梅花女子大学で養成、経営に関わり、そして、なおかつ公益財団法人の全日本私立幼稚園幼児教育研究機構という研修研究団体の理事長もさせていただいています。

そのような立場から、今から少しお話をいたしますが、まず養成系の大学に勤めておりまして非常に感ずることがあります。それは幼稚園教諭の一種並びに保育士資格、そして小学校の教員免許、この3つを取得させることを売りにしている大学が非常に多くなってきて、非常に多い単位数を取らなければならないということで、大学生活、ほぼアルバイトと、その大学での取得のための時間しか持ち得ないという方々をずっと見ていまして、学生たちの多様な活動であったり、社会的な様々な経験の不足を非常に私は大きく感じています。そういう意味で、ここのところの教員免許と保育士資格等の整理・統合が非常に大切になってきているということを、まず1つ感じております。

なお、現場では、園児たち、保護者の様々な在り方の中で、保育時間が長時間化しております。当然、その長時間に対応する教員たちが必要になってくるわけで、通常の幼稚園時間の担任に加えて、その長時間を担う担当者が非常にたくさん必要になってきておりまして、従前に比べてたくさんの教職員を雇い込まなければならない状況になっております。

御存じのように教員が不足していて、採用に非常に困難を来しているという段階におきまして、この長時間化による膨大な教員増員が足かせになって、園の運営が全国的に非常に難しくなっているというふうなことがございます。

それと、もう一点、求められる役割が、一人一人のよさ、子供たちの一人一人のよさと可能性を育むという教育的役割、それから先ほどの長時間も含めた養護的関わり、それから保護者のいろんなありさまを支えるというソーシャルワークの役割、それから様々な声を聞き止めるカウンセリングの力、そういう力が現場の教員に求められることから、非常に多種多様な能力の必要性があるということで、今後、様々難しい問題が我々の間にはございます。

もう一点、現任になりましてから、就職をしてから研修をいたしておりますが、その研修の内容を俯瞰図をつくって系統的に学べるような状態をつくり出し、研修を受けた方がウェブ上で自分の研修履歴を残すという全国的なシステムをつくりまして、今現在、運用中でございます。この運用の中で、教育免許の更新等に代替される研修をきちっと果たしているのではないかなというふうなことも思っておりまして、今後の教員免許の在り方にも一つ資することではあるというふうな感想を持っております。

以上です。これからもよろしくお願いをいたします。

【渡邉部会長】ありがとうございました。横断的に幼保の教育要素を見られている立場からの大変貴重な御意見だと思います。

それでは、次に安部委員、お願いいたします。

【安部委員】ありがとうございます。長崎短期大学の安部と申します。

先期の10期でも本教員養成部会の議論に参加させていただきました。そのときに教員の免許更新制度につきまして、免許更新の講習が、実は先生方の勤務時間の増加の中で30時間の負担がかつてより高まっているというお話を伺いました。今回の11期で引き続き議論することになったわけですが、私は教員免許講習を自学で開講して、私自身も選択・必修の科目を担当しておりますけれども、先生方の間に時間的ゆとりが本当になくなったということをつくづく感じており、いわゆる教師を支える環境の整備の重要性というものを実感するところでございます。

教師の働き方改革に資するような取組というのをやらなければいけないのですけれども、人生100年時代で、生涯学び続ける必要性ということもありますけれども、そもそも教師というのは教えるだけではなくて、子供たちに生涯学び続ける先輩としての姿を見せなければいけない、そのゆとりを持つような教師の働き方というのを模索しなければいけないと思います。

確かに先生方の学校での業務は、授業だけではなく、多くの仕事が煩雑化しております。それは地域コミュニティーというものが、昔ならば子供に声をかけ、子供の育ちに関与することで家庭の子育てを見守るところでしたが、今はいわゆる次世代育成力が社会的に低下をしている中で、全て学校に子供の教育の責任が課せられていることで、先生方の仕事が大変な状況にあると思います。

特に、私は幼児教育が専門ですが、小学校の35人学級を、順次やっていくことは聞いておりますけれども、小学校教育に関わる人々を人数的に増やすことに加えて、特別免許状等を活用して、中学校の先生方が小学校教育に参入されるということ等で、教員の多様性を高めるということも今後、非常に重要な観点になるのではないかと思っています。そうした意味において、令和の日本型の教育目指した教師の養成や採用や研修の在り方について、いろんな角度から議論をしていくこの会に参加させていただくことを大変ありがたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

以上です。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。

恐らくコロナ禍の免許更新制の現実の課題を見てこられてきたのだと思います。早速、養成部会のほうで、この免許更新制の問題を議論していただきますので、ぜひ積極的に参画いただければと思います。よろしくお願いいたします。

それでは、次に市川委員、お願いいたします。

【市川委員】全国特別支援学校長会、都立あきる野学園の市川でございます。

特別支援学校においては、これまでも個に応じた指導の充実を大切な観点として目指してきましたが、この令和の日本型教育の在り方にある全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びの実現を踏まえて、もう一度、特別支援学校の教師の在り方について、しっかりと再確認する必要があると思っています。

また、近年、特別支援学校では、看護師、理学療法士、作業療法士などの外部専門家の導入が進んでおります。そうした中、他の専門家と協調して働くことも含めて、教師が担うべき役割を明確にして、その専門性はどうあるべきかについても確認していく必要があるのかなと思っております。

さらに、特別支援教育は全ての学校で行われます。発達障害等の障害のある児童・生徒の指導を担当する教師はもとより、特別支援教育コーディネーターなど多様な専門性が求められてきていると思っております。この部会においては、特別支援学校、特別支援教育という立場で、教師の在り方について考えていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

以上です。

【渡邉部会長】ありがとうございました。前期の答申でも、この特別支援教育・学校については、教育のセーフティーネット的な要素もあるということで、多くのページ数も割いて取りまとめました。引き続き、よろしくお願いしたいと思います。

それでは、次に岩本委員、お願いいたします。

【岩本委員】よろしくお願いします。島根県の岩本と申します。昨年度の審議から参加させていただいて、そこでの気づきなどを含めて、2点ほど絞って話させていただけたらと思います。

1つは、第10期の答申の中で示されている令和の時代の教員像というところにおいて、やはりすごく鍵になるものだなと思い、かつ現場だとか教育委員会等の中でも話題になったところが伴走者というキーワードだったかと思います。ですので、今後、教員の在り方とか教員免許もそうなんですけど、教員養成とか育成に関して、伴走とは何なのか、伴走者としての役割とは何なのか、そして、伴走者としての教員の資質・能力とは何なのか、ここを読み解かないと議論が前に進みにくいかなと思いましたので、このキーワードに関する探究と明確化というようなものが、次の令和の時代の教員の在り方を考える上で大事かなというふうに思いました。きっとこれは社会教育士や社会教育の分野ともつながるようなものなのではないかなというふうに感じていたところですけれども、1つが伴走者というところがキーワードかなと思います。

2点目が、審議の過程に参加させていただく中で、審議の進め方とか在り方自体が、どんどん、コロナの状況もあって変化していく、進化していくというようなことを本当に痛感させていただきました。1人1台でオンラインで審議するとか、そういうふうになって、もうそれも今も当たり前になっていったというのが第10期の中であったかと思います。

やはり令和の時代の学びの在り方、これは1人1台端末の中で、個別最適、そして協働的な学びというところですけれども、その在り方がどういった姿なのかというものを、この審議会の時間なんかも、1人1台端末当たり前で、皆さん、参加していますし、その中で個別最適、そして協働的な学びにしていくにはどうしたらいいのかというようなところで、今後、場合によっては、説明のところなんかは、もうオンデマンドで、それぞれ視聴してきて、集まったら、より対話に時間を使うというような、例えば、反転学習のようなスタイルとか、少人数でのブレイクアウト的な対話の時間だとか、今、チャットの機能、今日は使わないですけれども、そういったところだとか、この令和の時代の1人1台端末時代の、そういった学びや教室の在り方、現場も試行錯誤始まっているところですけれども、この中央教育審議会のこういった場なんかも、私はあまり失敗を恐れ過ぎずに、試行錯誤、我々自身も、その在り方を委員も探究をしていく、そういう場であってもいいのではないかなと思いますので、急激に変える必要はないと思いますけれども、この1年なり時間をかけながら、そういった試行錯誤、我々自身も学び続けながらできるような時間になるといいなというふうに思っているところです。

これからどうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。教育の魅力、教員の魅力度を上げるというお話と、それからその進め方についても御意見を頂きました。私も前期はオンライン会議が普通になり、随分変わって進化したなというふうに思っております。また工夫の余地があるのであれば、参考意見として承っておきたいと思います。

次に大字委員、お願いいたします。

【大字委員】よろしくお願いいたします。全国連合小学校長会、世田谷区立下北沢小学校校長の大字でございます。

先ほど来、お話を伺っていて、まず1点、令和の教育は歴史と未来との調和であるというお話がありました。全くそのとおりだなと思います。

今、学校には1人1台端末が配られ、これからGIGAスクール構想の下、どのようにICTを活用して、よりよい教育を進めていくかという試行錯誤が始まっています。本校でもベテランと若手が1人1台端末を持ちながら、まさに世代を超えて、あしたの授業について話し合っている姿をよく見ます。その際に、やはりベテランの持っているよさ、若手のよさ、この辺りがしっかり調和して次に進んでいくといいなと、何とか、この中で、歴史と未来の調和とはどういう形かということを、より具体的に示せるといいのかなということです。

もう一点、ありがたかったお話は、やはり教師を支える環境整備が極めて重要であるというお話を頂きました。まさにそのとおりで、教員は非常に意欲もありますし、自分をアップデートしなければいけないという義務感も大変強く持っております。しかし、いかんせん、勤務時間の中で、なかなか自分に与える時間がない、または教育以外の仕事も多種多様になり課題も多い、そういった辺りを教師、先生たちを支えていただける環境整備をしっかりと考えていく、そのような会であっていただければありがたいです。

私からは以上です。

【渡邉部会長】ありがとうございます。全国連合小学校長会として、現場が一番よく分かってらっしゃるのだと思います。これからも貴重な御意見、よろしくお願いしたいと思います。

次に、この後の御予定があるということで、先に高橋委員を御指名させていただきたいと思います。高橋委員、よろしくお願いいたします。

【高橋委員】申し訳ございません。聞こえますでしょうか。

【渡邉部会長】はい。聞こえております。お願いします。

【高橋委員】東京学芸大学教育学部の高橋でございます。教員養成とか博士課程も含めて大学で担当しております。ICT活用、教育の情報化を専門にして、ずっと研究してきておりますので、その点について少しコメントさせていただきたいなと思います。

GIGAスクール構想で、大変ありがたいことに、本当にICT環境面では全国の差が非常に縮まって、ほとんどなくなったと言ってもいいような状態になったなというふうに思っています。その一方で、先生方も先ほどから話題にされていますように、ICT活用、活用の格差が広がっているなというふうに思っています。

特にうまくいったところは、本当に先生が毎日楽しそうで、先ほどもそういった話題がありましたけれども、こんな工夫してみたよみたいな、私もある学校のチャットに入れてもらっているんですが、毎日、本当に先生方がチャレンジしていて、創意工夫に満ちた実践が毎日毎日上がってくるということを目の当たりにしています。

そういった先生方の様子を見ていると、ICTに詳しいというわけではなくて、どちらかというと単純に、先ほども出ていますけど、経験値が豊富というか、慣れてらっしゃるなというふうに思っています。慣れている先生は、やはり紙かデジタルかとか、そういった2項対立で考えることも決してなくて、当たり前に両方上手に使うということが起こっています。なので、こういったことで、今後、GIGAスクール構想の活用の部分の格差をいろいろなくしていこうというふうに考えますと、すぐに研修とか、そういう話になるんだと思いますが、単純に研修を増やすというよりかは、GIGAスクールの標準の仕様で、当たり前に教員養成や教員研修を皆でやっていくというようなことが非常に大事になってくるんじゃないかなというふうに思います。

そういうふうに皆さんが、私もGIGAスクールの研修、いっぱいやりますけど、1人1台の研修なのに、先生が鉛筆とノートでメモを取っている研修というのが、県のセンターとか、そういうレベルでも実際にありまして、本当に感覚が伝わらないとか、先生に慣れみたいなのが伝わらなくて、そういう研修ですと、すぐに紙とデジタル、どっちがいいのかとか、使い分けはどうしたらいいのかとか、一向に進まないですね。触っていけば分かるみたいなことが、ずっと繰り返されているなと思っています。

そこで、先ほどちょっと申し上げましたが、GIGAスクール構想の標準仕様で、クラウドを当たり前に手段ですね。目的じゃなくて、あらゆる研修の手段として、そういうものをやっていくと、そういった事例を公開していくとか、その事例の中で、先生自身が自分で目標設定して、個別最適な学びをしているとか、協働的な学びをしていくとか、それ自身を研修するんじゃなくて、それを手段として、研修として体感していくような、そういったものを事例として広めていくとか、場合によっては、少しもろ刃になるかもしれませんが、基準というか条件みたいな、チェックリストみたいなものを示していくとか、そういった工夫も考えられるんじゃないかなというふうに思っています。

先ほどから知識、技能というよりかは慣れだとか経験だというお話が出てきていますが、GIGAもまさにそう思っておりますので、私もそういった点で非常に貢献したいと思っています。今期、どうかよろしくお願いいたします。また、ちょっと早退で申し訳ございません。

以上になります。

【渡邉部会長】ありがとうございました。前期の答申の中でも幾つかの点で2項対立の陥穽に陥らないよう留意しようという記述がありましたけれども、まさしくICT活用についてもおっしゃるとおりだと思います。これからよろしくお願いいたします。

それから、ほかにも御予定があるという方がいらっしゃいますので、先に古沢委員、お願いできますでしょうか。

【古沢委員】すいません。御配慮ありがとうございます。今、御連絡しようかなというふうに思っていたんですれど。

私も前期の教員養成部会に出席させていただきまして、いろいろ勉強させていただいたんですけれど、昨今の教育採用の受験率の減少、倍率の低下というのは本当に危機的なものだなというふうに思っていまして、特に過年度受験者の減少によるものだと思うんですけれど、臨時的任用教員が不足して、小学校、特に担任の先生が不在であるとか、校長先生、教頭先生が兼務するというのは全く珍しくない状況になっているというのは、子供への影響がやっぱり無視できないものになっていると思います。

教員、教職を多くの若い人に意欲を持って目指してもらうことが急務だとは思うんですけれど、先日、東京都の教員採用の説明会、ちょっと取材をしたんですけれど、そのとき、若い人たちが、非常に意欲を持った方たちがいたんですけれど、口をそろえて言うのは、教育活動に専念できるような環境を確保してもらいたいということを言っていまして、今回、教員の養成、免許制度、採用を大きく見直す方向で考えるということだと思うんですけれど、せっかく非常に幅広い視点で話し合うので、教員の、例えば配置であるとか、教員の働く環境をどうするかということも幅広く議論していったほうがいいんじゃないかと思います。

以上です。どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】ありがとうございます。今のお話にありましたけれども、取材を通しても、現場のいろいろな姿が見えるのだろうと思いますので、ぜひ、これからよろしくお願いしたいと思います。

続いて、吉田委員はいらっしゃいますか。

【吉田(晋)委員】吉田晋じゃないほうですよね。

【渡邉部会長】はい。吉田信解委員です。

【吉田(晋)委員】はい。すいません。

【渡邉部会長】御予定の関係で、吉田信解委員は既に退室されているようですので、元の順番に戻りまして、喜多委員、よろしくお願いいたします。

【喜多委員】皆さん、こんにちは。聞こえますでしょうか。

【渡邉部会長】はい。聞こえています。お願いいたします。

【喜多委員】ありがとうございます。

私、全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長会の副会長をしております、江東区の豊洲北小学校の校長の喜多と申します。初めて参加をします。よろしくお願いいたします。

皆様のお話を伺っていて、令和の日本型教育の重要性というのを改めて再認識させていただきました。小・中学校、高等学校もありますけれども、義務教育段階での特別支援学級・通級指導教室での個別最適な学びであるとか少人数指導というのは、これまでもずっと続けてきたところでありますので、今回、この日本型教育にすごく合致した形で進められるんだなというふうに思ったところです。

今の特別支援学級等に関わっては、この答申等にも書かれていますけれども、本当に人数が、対象となるお子様がすごく増えてきて、また、採用の人数も倍率も低くなってきているということで、専門性の担保というところが非常に大きな課題になっているところです。この令和日本型学校教育の中で特別支援学級等の教員の資質というのはどういうものが必要なのかというところを改めてこの会でお話しできればありがたいなと思っています。

また、資質の担保に関しては、免許状について今回資料で触れられているんですけれども、特別支援学校の免許状がまだまだ3割の場合6割にも満たないという状況でありますので、そこの専門性をしっかり高めていくという方策を改めて議論できれば、また、大学の教職課程の在り方についても検討を皆さんでお話ししていただければありがたいなと思うところです。

以上です。よろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。お話にあったように、特別支援、それから、通級指導における専門性や資質確保というのは非常に重要な課題だと認識しておりますので、よろしくお願いいたします。

次に、木村委員、お願いいたします。

【木村委員】長崎大学に所属しております木村と申します。よろしくお願いいたします。私は、小学校の教員として教職生活をスタートいたしまして、教員養成部会に初めて参加した2年前は長崎県の教育委員会に在籍しておりました。このような経歴ですので、学校と教育行政と大学と、長崎という地方、4つの目線で最近私の身の回りで聞こえてくることを特にお話をさせていただきたいと思います。

学校目線でいえば、日本型教育の強みを堅持しつつ、GIGAスクール構想等教育改革への対応と働き方改革の両立、その困難性をよく聞きます。教育行政目線では、先ほどもお話があったように教員採用試験の志願者減と、臨時的任用教員におきましては枯渇しているという状況。また、大学目線でいえば、教育学部で行われている教育課程と、現場、教員の研修の接続、併せて、例えばスクールリーダー等を養成する大学院に対する現場教員の理解の促進や、大学と県教育委員会等自治体との協働関係の一層の活性化などの声が聞こえます。

加えて、長崎県では、人口減少が大きな問題なんですが、1つは、小中高校生の教職に対する憧れ、そういうものの育成が大切ではないかということ、もう一つは、35人学級や小学校の教科担任制、様々な改革が進んでおりますが、地方に行けば、小規模校がたくさんあります。小規模校の教員の働き方、環境整備にも及ぶような改革が展開していけばありがたいというようなことが聞こえてきます。

前期に引き続き、皆さんのお考えに学びながら、自分の役割を果たすことができたらと思います。何とぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】どうもありがとうございます。従来も養成大学、学部と大学院のテーマというのは大変大きなテーマだと思います。引き続きよろしくお願いいたします。

次に、坂越委員、お願いいたします。

【坂越委員】坂越です。よろしくお願いします。広島の私学の方で教員養成に関わっています。期間的にだけなんですが、教員養成には結構長く関わっていまして、そういう私の目から見ても今回の特別部会のこの課題というのはすごく大きくて、本当に教員の資質・能力をもう一回問い直した上で制度設計をしていこうという、結構驚きと、それから、期待を持って受け止めています。

やっぱり私、大学で教員養成に関わっていますので、その点から少しだけ。養成・採用・研修という1つの流れの中で大学は養成を担ってきているわけなんですけれども、これまでの養成、様々な改革はあったにしても、やっぱり今回の求められる資質・能力、ファシリテートだったり、伴走者だったり、どちらかというとコンピテンシーを求めるような養成というのはまだまだ十分対応し切れていない。

本当に自分の立場で言えば、コンテンツですね。今、一生懸命教員養成で質を保証しようとしているんですけれども、例えば到達目標が、何々を理解しているという言い方で整理されます。しかし、当然これ、理解しているだけで現場に出ていくということは、やっぱり当然、資質・能力という面で、子供たちの前に立つ一人前の教員としてはなかなか動きが足りないというような状況になっている。

そういう中で大学の教員養成がどういうふうにしていけばいいのか。今までどおり、やっぱり養成・採用・研修で、養成というのはエッセンシャルズをしっかりと身に付けさせて、あとは、採用、研修、現場でOJTで力を付けていっていただく。こういう流れだけで、やっぱりこれだけ教員が不足して、新採が足りなくなってきて、新採された途端に責任が重くなるという状況の中では難しいのかなというふうにも思っています。

これをどういうふうに克服していけばいいのか。お話の中にも出てきたように、大学での教員養成の中でかなり実践的なフィールドワーク的、体験的な部分も入れていただく。当然、教育委員会、それから、学校教育現場との連携をもっと強くしていく。日常的に学生が学校現場に出ていく。今もいろいろなボランティアとか体験活動はあるんですけれども、それをやはり体系的というか、組織的というのか、求められる資質・能力にリンクするような形で整理していく、そんなようなことが必要なのかなと思っています。

今期どうぞよろしくお願いします。

【渡邉部会長】ありがとうございます。教員養成段階における実践性といった課題かと思います。

それでは次に、戸ヶ﨑委員、よろしくお願いいたします。

【戸ヶ﨑委員】戸田市教育委員会の戸ヶ﨑でございます。基礎自治体の教育委員会の立場で、5つの諮問内容に沿って意見を述べさせていただきます。

第1について、今後の「令和の日本型学校教育」を担う教師の役割は、よさは継承しつつも、これまでと同じでよいはずはありません。高い資質・能力を備えた教師の養成・採用・研修等の在り方の検討は急務です。

その際、教師の資質・能力等をこれまでのように、○○感とか○○力といった精神主義的で抽象的なエピソードベースだけで語るのではなく、優れた匠の技や、実践知・暗黙知などを、可視化・言語化・定量化して、養成・採用・研修の際にそれらが客観的に「測定や評価」などができる仕組みなどをそろそろ作っていく必要があると考えています。

第2について、地域によって一向に進まない特別免許状の授与についてです。教育委員会が目の前にいる専門的な知識・技能を有する人を採用したくても諦めざるを得ないという現状があります。特区という仕組みもありますが、免許状の授与事務を小規模自治体が適正に行うためには、そのハードルも高く活用が進まないため、任命権者での授与が促進される必要があります。

また、教師個人の多様な専門性など個人プレーに磨きを掛けるとともに、専門的な知識・技能を有する人や企業等で勤務し、信頼でき頼りになる助っ人を積極的に校内に入れることも必要です。加えて、学校全体、つまり団体戦で学校力チーム力・組織力を高める科学的システムや、実効性のある管理職の組織マネジメントづくり、また、それを可能にする管理職養成の在り方なども考えていく必要があると思います。

さらに、先ほど伴走という言葉が岩本委員からありましたが、「令和の日本型学校教育」を身近で指導する指導主事のスキルアップや在り方、「教育行政のプロ」の育成についてもそろそろ検討していくべきかと思います。

第3について、特に教員免許更新制については、その趣旨である「最新の知識・技能の習得」に向けて、投下した時間や労力に対する効率や成果が上がっているのかについては正直なところ疑問を感じています。教師は常に学び続ける必要がありますが、そのことが教員免許更新と紐付くのかというと別問題であり、教師の研修もアダプティブ、まさに「個別最適な学び」とすべきと考えています。

第4について、それらの大学でお願いしたい思っていることを項目だけ申し上げておきます。1つ目は、教育実習前に熱意や適性等を測定する「教職適性測定システム」の導入です。2つ目はICTをマストアイテム化できるスキルと、教育データの利活用を鑑みたデータリテラシーの育成です。続いて、実務家教員のスキルアップです。ときとして自らのまれな成功経験を一般論として語ったり、時代錯誤の経験則や「教育勘」により学生を指導していないか危惧しています。さらに、附属学校の在り方などです。

最後に第5についてですが、今回の答申の中で、「学校現場に対して新しい業務を次から次へ付加するというような姿勢であってはならない。学校現場が力を存分に発揮できるよう、学校や教師がすべき業務、役割、指導の範囲・内容・量を精選・縮減・重点化するとともに…」と提言しています。

実は、これと同じような内容が、今から25年前、1996年の第15期の中教審答申で、「学校のスリム化とゆとりある教育」というキーワードで提言されています。ということは、実践に問題があったのか、教育内容や学校の役割等が増加したからか、辛辣な言い方をすると、この提言が、画餅に帰してしまっていたことになります。

つまり、それだけ実行が難事であるわけで、同じ轍を踏まないよう、また、国任せや他人事とならないよう、すべての教育関係者が当事者意識を持って取り組める実践に向けたロードマップが必要と考えます。

【渡邉部会長】ありがとうございました。戸ヶ﨑委員のいらっしゃる戸田市は成功モデルを実践されてきたところでありますし、冒頭の見える化とか仕組み化の大事さというのは本当に実践を備えているからこそのお言葉だと思います。

次に、中原委員、お願いいたします。

【中原委員】立教大学の中原と申します。私は、実証データに基づきながら、企業の人事管理、人材開発、働き方改革等を研究している研究者です。社会貢献の一環として教育委員会さんとも共同研究をしています。働き方とか若手教員の育成等です。恐らくそういった御縁から今回お声掛けいただいたのかなと感じております。

令和の時代の教員の人材マネジメントという観点で見ていくと、今日は雑駁な印象しかまだ持てていませんけれども、個人的には、まず革新することや増やすことよりも、その前に減らすことを先行する、あるいはそうしたメッセージングを行っていくことの方が大事なのではないかと思います。いろいろ革新したいところは当然やっていくんですけれども、そのためにもいかに減らすかというところがやっぱりポイントになるのかなと思いました。そうでなければ、恐らく現場にはやらされ感、白け、自己効力感の低下等が起きるのではないかと思います。これは企業で行っていてもそうですし、様々な組織変革のプロジェクトをやっていてもそう思います。

その観点から行きますと、まずレベル1として達成すべきことは、安心安全に働けるのか。別の言葉で言えば、心理的安全性を確保する、職場に確保するということなのかなと思います。長時間労働の是正、免許の更新制度、研修の効率化・オンライン化等ございますが、この点をいかに減らすかということが非常に大事なのかなと思います。もちろんクオリティーを担保しつつですけれども。

幾つかこれは理由がございます。まずなぜならば、安心安全に働ける職場を実現するということは、採用にとって一番大事なメッセージになります。手前みそになりますが、私どもの行った調査で、横浜市と行った調査ですけれども、「現在仕事にやりがいを感じていますか」という教員は78.2%おりました。しかしながら、「これから教員を志す若い人に教員の仕事を勧めたいか」という質問に対しては、66%が「勧めたくない」というふうに言っています。これが多分採用にとっては一番大事なんじゃないかなと思います。

次に、今村委員からもありましたけれども、職場は育成の中心です。恐らくいろいろな研究時間、教材確保のための時間等もここによって確保されるということがあります。そして、第3に、教員のウェルビーイングは子供たちのウェルビーイングに必ずつながってきます。ですので、まずレベル1として達成すべきは、安心安全に働ける職場の確保なのではないかと思います。

その次に確保することがレベル2です。さらに高いレベルの教育を行う、個別最適化した学びやディープラーニング等の両輪でやっていくということが重要なのかなと思っています。

いずれにしても課題はたくさんあります。両利きというふうな概念が最近注目されていますが、まずは安全安心に働ける、そういうメッセージングをしっかり行っていって、やらされ感等をなくしていく。と同時に、革新を行っていくということが大事なのかなと思います。この部会でも恐らくもう既に十分議論されているかと思いますが、実証データに基づきながら議論をしていき、それをメッセージングしていく、社会に公開していくということが何より重要なのかと思っています。

今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。ウェルビーイングにつながる学校マネジメントのお話だと思います。

それでは、根津委員が退出されたようですので、次に萩原委員、お願いいたします。

【萩原委員】全国高等学校長協会の会長をしております、東京都立西高校の校長の萩原といいます。本日はよろしくお願いします。

私からは、全国的にいいますと高等学校の統廃合等が行われてきているということで、さらに規模が小さくなるということもあり、なかなか先輩教員と若手教員とが接して教科指導、高等学校でいえば、教科の専門性というところが中心になると思いますが、その部分での伝承というか、伝えていくことの難しさがあると思います。今回の令和の日本型学校教育という形、日本型の教育というと、やはり全国同一である程度教育の機会均等が保たれているというのが公立学校の部分ですから、どの学校においても同じような教育をしてもらえる、受けられるという部分が大きいと思います。

それからあと、教員の年齢構成がかなりいびつになっていること。これは実証データが出てくればはっきりすると思いますけれども、以前に生徒数がかなり減少したときに各都道府県で教員の採用を抑えた時期があります。今、そのときに採用した教員がちょうど退職の時期を迎えてきていますので、50代前後のところが抜けていて、今、20代の教員が大きく増えている。そういう中でどうやって学校を運営していくのか。やはり凸凹感があり、なかなか難しくなってきていると思います。新たに新しい先生方、若い先生方を取り入れつつ、学校経営含めてどうやっていくかというところの難しさが今の現場にあると思っています。

またいろいろな形で先生方からのお話を伺いながら、高等学校の立場ということでお話ができればと思います。よろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】高等学校の要素というのは、前期の答申でも大変重要な要素だと思っております。引き続き、よろしくお願いしたいと思います。

次に、益川委員、お願いいたします。

【益川委員】聖心女子大学の益川です。よろしくお願いします。自分自身、国立大学の教員養成とか、教職大学院の立ち上げ経験に加え、現在、私立の教員養成にも携わっていますが、自分の専門領域である学習科学、認知科学の専門から貢献していきたいと思っております。

それぞれの委員さんから御発言がありましたが、一番大事なのは、教員志望生、それから、教師自身が仕事に魅力を感じて、前向きに成長し続ける、そういうサイクルを教員養成や教員研修を通してどう実現していくのか、これが鍵なんじゃないかなと思います。それを実現していくために、いろいろ制度設計の枠組みを変えていくことも必要ですが、結局枠組みを変えても、令和の日本型学校教育に必要とされる教員の資質・能力を各先生または教員志望生に注入していく、入れていくというような研修養成モデルではなかなか転換にはつながらないと思います。

そうではなくて、人の頭の中というのは白紙ではなくて、子供の頃から授業を受け、教育経験を積んでいるので、その経験で積み上げてきている素朴な、もしかしたら旧来の教育、学習のモデルを持っています。それを前提に、その上に新しい資質・能力というものをその本人自身が取り入れて考えを見直す、変容していくような、いわば注入モデルではなくて、変容を促すモデルとして教員養成や教員研修を設計していく必要があるんじゃないかなと思っております。

ICTの活用とか、学習評価の充実、それから、個別最適な学びと協働的な学びの一体化、いろいろ考えていかなければいけません。自分の研究領域からみた立場としては、教師を学習者としての教師として捉えて、専門的力量を向上していく、そういう過程、プロセス、そこに焦点化していくことというのがとても大事だと思います。

例えば現場での実習とか先生方の日々の実践の中なんですけれども、ICTを活用して授業を改善する取組ということをしていくときに、きちんと子供一人一人の学びを見える化して先生や実習生に見えるようにして、そこの中でうまく子供たちが学べているかどうか、きちんと証拠から、エビデンスから、授業のコツをつかんでいくような、そういう仕組みが大事なのかなと思います。ちゃんと見える化していくことで授業改善の手応えを得ることで、子供の学びにちゃんと関わっていけているんだという、仕事の魅力、やりがい、そういう再認識が高まっていくのではないかと思います。

そういう下で先生方が授業づくりや子供の学びについて情報交換しながら取り組んでいくときに、これからの資質・能力を育んでいくための授業改善サイクルが回っていくので、先生たちの学びが深まり資質・能力も向上していきますし、このようなサイクルを教員志望生、現職先生が現場で一緒になってチームで、子供ってこういうふうに学ぶから、こうやって授業やっていくといいよねみたいな、そういうエビデンスベースの知見をためていくようなコミュニティーになっていけば、持続的でより質の高い教職員の集団が出来ていくんじゃないかなと思っております。

様々な取組を制度変更しつつ進めていくことになると思いますが、大事なポイントとしては、これからの新しい教育を受けていく子供たちが自分が体験した学びがすごくよかったので教員になりたい、先生方もやってみたことがすごくよかったので、それを多くの子供たちにも体験させてあげたい、そういうようなサイクルを作っていくことだと思います。 実際に今、日本の国の実践の中でもいいサイクルに取り組んでいる実践もあるので、そういうところのヒアリングとかもしていきながら、具体的なすがたをもとにどう実現すればいいのか、皆さんと一緒に議論していけたらいいんじゃないかなと思っております。

以上です。よろしくお願いします。

【渡邉部会長】どうもありがとうございます。これからもぜひ研究に基づく御意見をいただければと思います。

次に、先ほど御挨拶いただきましたが、松木委員からもし追加的にお話があればお願いいたします。

【松木委員】ありがとうございます。教師は高度専門職業人だと思うんですね。生涯にわたって学び続ける人。それを支えていくためには、教員養成系学部では、今までのような就業前の4年をターゲットにした教員養成の在り方から、教師教育へ、つまり、教師の30年、40年にわたる職能成長を支える機関にやっぱり変わっていかなければいけないんじゃないかなと思うんです。

そう思ったとき、更新講習というのは極めて教員の現職の先生方に接するいい機会じゃないかなと思うんですね。それが、今までどおりの教え込み型の学力観で、数時間ごとのコンパートメント化した講習で、知識をばらばらに提供するような仕組みの更新講習でいいのだろうか。大学が責任を持って30時間をプログラムしていく、そして、教師のコンピテンシーを培うにはどうしたらいいのかということを考えていくような研修をしなければいけないんじゃないかなと思うんですね。

一方、教育委員会も、更新講習は大変だなんて言っているんじゃなくて、うまく活用すればいい。教員研修の中にちゃんと位置付け、教師の負担を軽減していけばいい。共同開催をすることで、むしろ大学という外部人材をうまく活用する仕組みを作っていく。そんな工夫が今の更新講習でもやってやれないことはないように思います。何か歯がゆい思いをしています。少しでも価値あるものに変えていけたらいいななんていうふうに考えているところでもあります。

【渡邉部会長】どうもありがとうございます。現実には現場からいろいろな問題指摘があるところであり、本質的にどう考えるのかという提起だと思います。重要な議論になると思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

次に、松田委員、よろしくお願いいたします。

【松田委員】Teach for Japanの松田です。前期の教員養成部会から参加させていただいておりまして、首にならずに引き続きお声掛けいただけたということは、ちょっとぶち込みが足りなかったのかなと反省していますけれども、予定調和の議論ではなくて、引き続き皆様と一緒に本質的にイシューと真剣に向き合っていきたいと思っています。引き続きよろしくお願いいたします。

Teach for Japanでは、これまで独自に採用・育成した人材をフルタイムの教員として教育委員会や学校に紹介・派遣をしてきております。派遣という言葉はちょっと語弊があって、派遣法の派遣ではなくて、便宜上派遣というふうに使っております。最初は失敗も多かったんですが、一つ一つの失敗と向き合って改善していくことで、少しずつ現場にも認めていただけるようになり、今年は53名の教員が全国の教育委員会に派遣されていることになりました。

半数が既存の教員養成課程を出ていません。免許も持っていません。臨時免許状を活用して学校現場に立っています。この独自の採用や研修は、大学の先生方の御協力のみならず、民間の知恵やリソースもお借りして、官民連携のモデルを実現しようとしています。 民間のサポートは、この教員養成部分のみならず、教員の多忙化の解消に関してもお力をお借りしています。数年前、ボストンコンサルティンググループ様の御協力をいただいて、奈良市の教育委員会を対象に、教員の多忙化の真因を解剖するべく、業務プロセスの改善についての御提案もさせていただきました。先ほど中原委員からも「減らす」というお言葉がありましたが、これは教育委員会だったり、文科省、そして、大学の先生方にとって当たり前と感じている、なかなか気付きにくいことも、民間の視点が入ることによって気付くこともあるんじゃないかなと思っています。

これらの経験から感じる疑問なんですけれども、なぜ教員の養成や研修が大学という機関に限定されるのかということです。別に私は民営化しましょうとか、ドラスティックなことを主張したいわけではないんですけれども、もう少し開かれていいのではないかと感じております。萩生田大臣からも、事務局からも、抜本的な改革を目指すというお言葉もいただいております。私も真剣に受け止めております。抜本的というのは、そもそものプレーヤーの見直しも含まれるべきではないかと思っております。特別部会や小委員会でも引き続き本件について議論ができればと思っております。今期もどうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】ありがとうございます。官民連携の中で新しい要素は何なのかということを、ぜひこれからも議論していただければと思います。

次に、三田村委員、お願いいたします。

【三田村委員】よろしくお願いいたします。4月がスタートして、間もなく1か月になろうとしているところですけれども、今まだ本校では一部、講師が決まっていないという教科があるというのが現状です。つまり、しっかりとしたフルのスタッフでまだスタートできていない。

ただ、これは決して珍しくないというのが現状でございます。臨時的任用、それから非常勤講師、こういった人材が慢性的に不足しているというのが極めて深刻な状況であると。当然、これに、これまでもお伝えしてきたように、免許更新制というのが1つの原因になっているという状況がございます。

また、昨今ずっと言われていることですが、人材確保の、これは正規教員の人材確保ですね。選考の低倍率化ということが現場に与えている影響というのもとても深刻です。つまり、これら人材の不足、それから人材の資質・能力の課題ということが、よく言われる「教育は人なり」という、人にかかっているというところがとても危うくなっている、そういう状況に今学校があるということをまず改めて強調させていただきたいなと思います。

それから、もう1点の課題ですけれども、都道府県と言ったらいいのか、地域といったらいいのか、大きな格差があるというところです。そもそも、県内に教員を養成する大学がないというところもあるやに聞いています。また、せっかく我が県で育成・養成した人材が、関東、関西、中京、そういったいわゆる都市部にどんどん流出してしまっている。つまり、現行の都道府県単位の採用だとかということではもう立ち行かなくなる現状が既に出ている。こういった地域間の問題、格差の問題にも目を向けていく必要があるだろうというふうに思っています。

これらの課題を踏まえていただいた上で、今後また議論をしていただければ大変ありがたいと思うんですが、これまでも例えば古沢委員ですとか中原委員からも似たようなお話あったと思いますけれども、未来をどうつくるか、これはとても大事なことなんですが、なぜこうなってしまったのかという検証というものも、しかも感覚ではない、データ等に基づいた検証をしていく必要があるのではないかというふうに思っています。

また、そのときには、大学だとか教育委員会、学校という、いわゆる教育の中だけでの捉えではなくて、社会全体の中で、社会の構造が大きく変わっているわけですが、その中で教職というものがどうであったのかという、そんな検証もしていかないと、今後も人材確保の見通しが立たないような気がしてなりません。

ちょっとネガティブなことが多くなりましたけれども、どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】ありがとうございます。今の話にあったように、未来志向は足元を固めてからということだと思いますし、都道府県格差の問題もありますので、今日的な問題を指摘して頂いたと思います。

次に、森山委員、お願いいたします。

【森山委員】玉川大学の森山と申します。

前回の部会関係での、審議内容もそうでしたように、今回の審議の内容も、当然、大きな改革の方向性を議論するということですが、冒頭に加治佐部会長からもお話がございましたが、教師に関する議論というのはもともとからいろいろな時代に行われて、そして現在に至っているという、そういうお話でございました。まさによく言われますように、また事実もそうであるように、教育界では様々な新しい取組が取り入れられては、定着しないうちに消えていくということが繰り返し続けられてきているのも現状だと思います。

文字どおり、流行の一コマに終わってしまう新しい試みのほとんどは、私は教育事象の土台の上に根を下ろしていないか、または、この土台とのつながりの認識に欠けるものであろうと思っています。教育の改善とか、今回大きな課題がございますが、改革は、やはり古い問題の新しい解決とも呼ぶべき性格のものと言えるのではないかと考えています。

これは前年度までの答申の取りまとめまでいろいろな形で関わらせていただいた中で、非常に強く痛感するところであったわけです。古い問題というのは過ぎ去った問題ではなくて、昔から今日まで一貫して問い続けられている、問われ続けてきている問題のことです。この教育の問題というのは、人間の問題と同様に、それが根本的な問題であれば、あるいは基本的な問題であればあるほど、古い問題であるということが多いのではないかと痛感しています。

そういう意味では、今回の教師の在り方についての議論というのは、まさにこの点に資するものではないかと感じています。

いつも変わらないこの基本問題が新しい状況の下で新しい観点であるとか方法によって、絶えず新しく答えを出していくというところに、教育の改革の独自性というか、そういうところがあるのではないかと感じているところです。

私は、この古い問題の新しい解決という言葉に最近注目していますが、それは当面している問題について、教育に関するこれまでの考察とか実践の長い歴史の中で、データに基づくとか、あるいは、そういった議論も含めて、問題点や事柄が取り上げられ、そして議論されてきたということを十分承知してかかるということが必要だということを痛感しました。

そういう意味では、教育上の基本的な問題について、これまでの考察や、あるいは吟味の中で、本質的な問題とか重要な事柄のほとんどが究明されているのが常ではないかと思います。したがって、これらの点を踏まえることによって、当面の問題への取組が重厚かつ効果的になると考えています。

今回、令和の日本型学校教育の実現には、まさにこういう視点が必要であると思います。教師の改革なくして令和の日本型学校教育の実現は不可能であると考えております。そういう意味では、養成・採用・研修の一体的な改革の中で、この後、検討されるということを非常に大きな期待と、そして大きな責任を感じながら、今回、引き続き参加をさせていただきたいと思います。どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】ありがとうございました。古い問題の新しい解決という言葉、非常に心に染みる言葉でした。

それでは、冒頭に御挨拶いただいた荒瀬委員から、もし追加的にお話あれば、お願いいたします。

【荒瀬委員】ありがとうございます。私、4月から教職員支援機構に参っております。教職員支援機構は、教職員の研修の全国的な展開をしていく上で、各教育委員会とも連携を取りながら、あるいは大学とも連携を取りながら、いろいろな具体的な取組をしております。

今、お話を伺いまして、いろいろな角度から考えて、我々の取組というのをしっかりとしたものにしていく必要があると感じております。それとともに、中原先生はじめ、何人かの先生方から御指摘ありましたけれども、学校が先生にとって楽しい場所でないと、これはどうにもならないというふうに思っております。

秋田先生からも御指摘いただきましたが、機構といたしましても、そういったことについて、ここでの議論を1つの私どもの考えていく上での手がかりとさせていただいて、具体的に進めてまいりたいなということを改めて思った次第です。ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。

それでは、加治佐委員からも、もし追加的にお話があればお願いいたします。

【加治佐部会長】すいません、簡単に一言だけ。たくさんの御意見本当にありがとうございました。参考になりました。学びになりました。

益川先生が学習者としての教師ということをおっしゃいました。これは教師の不易の能力だと思うんですが、要するに、これをいかに制度としてつくっていくかということだと思うんですね。このためにいろんな取組がこれまでもされていまして、森山先生が言われたこの古い本質的な問題をいかに新しい解決をするかということが問われているんだと思うんですね。

特に諮問の5番目で、こういう教師の自律的な学びをいかに支援する仕組みをつくるかということが出されていますので、特にここのところには力を入れていくべきじゃないかなというふうに思った次第です。以上です。

【渡邉部会長】ありがとうございました。時間を大分超過しましたけれども、大変貴重な御意見を伺えたのではないかと思います。

中教審の議論は、この特別部会も含めて、未来志向型の視点を重視すべきだとは思いますが、今日の皆さんの御意見にもありましたように、教育現場の声にも耳を傾けながら議論を進めるというボトムアップの視点が、この中教審特別部会らしさではないかというふうに思います。

それと、御意見でも、現実の事実関係と、エビデンスをベースにして議論すべきとのお話がありましたが、そのとおりだと思います。今後、事務局でも、最後にありました諸調査をベースに、エビデンスをしっかり固めながら議論を進めたいと思います。

今日いただいたいろいろな御意見を、今後の各テーマに沿って整理した上で、事務局に提示していただき、議論を進めたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

それでは、残りの議事を進めたいと思いますが、運営の都合上、資料7からスタートします。時間が大分押しておりますので、資料につきましてはポイントのみの説明で事務局にお願いできればと思います。

それでは、議事の7からお願いします。

【八田特別支援教育課長】特別支援教育課長の八田と申します。それでは、資料7に基づきまして、御説明させていただきたいと存じます。

本年1月に取りまとめられました中教審答申には、特別支援学校教員の免許状に係る改善の提言が行われているところでございます。今後、文部科学省に検討体制を設けまして、議論を行っていくこととしておりますので、中教審答申の関連部分につきまして、御説明させていただきます。

資料のとおり、さきの中教審答申の中には特別支援教育を担う教師の専門性向上に関する内容が含まれておりまして、具体的には、全ての教師、特別支援学校、通級による指導を担当する教師、特別支援学校の教師の3つに分けて、必要な改善策を提言しているところでございます。

次の資料をお願いいたします。その中で、特別支援学校の教師の専門性向上についてでございますけれども、資料の真ん中、丸1、丸2、丸3の3つの取組方針を記載しているところでございます。

このうち、丸1は特別支援学校教員の教職課程の内容の見直しです。現在必要な取得単位数、例えば1種免許状では26単位でございますけれども、このほか、総単位数を増やすことなく、その中で特別支援学校の学習指導要領を根拠に特別支援学校の教師として押さえておくべき内容、具体的には自立活動に関することや発達障害など内容を明確に位置づけるべきとしているところでございます。

併せて、丸2でございますけれども、この特別支援学校の教職課程の質を担保、向上させるため、特別支援学校の教職課程のコアカリキュラムを策定すべきとしているところでございます。

次の資料をお願いいたします。次に、特別支援学級や通級による指導の担当教師の専門性向上についてです。この中で、丸の4でございますけれども、教育職員免許法には、都道府県教育委員会が行う検定によって教員免許状を授与する制度もございます。この教職免許法認定講習を活用しまして、特別支援学級や通級による指導において重要な事項、例えば自立活動に関することや発達障害等に関することなどにつきまして、担当教師が履修し、専門性向上につなげていくことが提言されています。

この履修は6単位全ての習得を求めるものではなく、そのうちの一部の取得でございますけども、それを入り口に、中長期的に6単位を習得し、特別支援学校教諭の免許状取得につなげていくことも考えられているところでございます。

以上、中教審答申の関連部分について御説明いたしましたけれども、文部科学省におきましては今後検討体制を設けまして、特に特別支援学校の教職課程の内容の見直しと教職課程のコアカリキュラムの策定を中心に検討を進めていくこととしております。

その検討状況につきましては、本部会にも御報告させていただきますので、よろしくお願いします。以上でございます。

【渡邉部会長】ありがとうございました。引き続き、議事の4、5、6について、前期教員養成部会から引き続きの案件ということでございますが、事務局からまとめて説明をお願いいたしたいと思います。

【平野教員免許企画室長】教員免許企画室長、平野でございます。資料の4から説明をさせていただきます。

特別免許状の授与に係る教職員検定等に関する指針ということで、いわゆる特別免許状を授与する際のガイドラインでございます。資料4の冒頭のほうに書かれてございますけれども、現行、全国200件程度の活用にとどまり、一部の学校・教科に授与状況が偏っている、このような状況になってございます。今後、様々なところでさらに一層活用が進むように指針を改訂するというものでございます。

主な基準という部分に、赤字で改訂予定のポイントというものが書かれてございます。黒で書かれている部分が現行の記述でございます。例えば、改訂予定のポイント1という部分でございます。これまで、丸1、学校で1学期間以上にわたり600時間授業に携わった経験がある、または、丸2、教科に関する専門分野に関する勤務経験がおおむね3年以上ある。 このような基準というものを設けていたわけでございますけれども、例えば、改訂予定のポイント1の例にありますような、オリンピック等国際大会の出場者、国際的なコンクールや展覧会に関係する者、博士号取得者などについては、この2つの基準というものによることなく、教科に関する専門的な知識または経験、技能を満たしているというふうに判断することもあり得るのではないか。このようなことが盛り込まれているところでございます。

改訂予定のポイント2でございます。これまで1学期間600時間という制約を設けていたところでありますけれども、これについては廃止をして、1学期間以上ということのみにするというものでございます。

改訂予定のポイント3、4というのは、多様な経歴を評価するという観点からでございますけども、例えば、これまで3年以上の実務経験というときに、例として幾つか挙げられていたわけでございますけれども、NPO等での多様な勤務経験というものも加味するようにということで、本文のほうを改訂してございます。

また、改訂予定ポイント4というところでございます。教員として必要な熱意と識見を推薦状で判断するというスキームになっているわけでございます。その推薦状を出していただくときに、既に学校で御勤務されているような学習指導員とか、また、フリースクールでの勤務経験、こういったものについても盛り込むということが明示されたというところでございます。

改訂予定のポイント5、先にその他のほうに行ってしまっておりますけれども、この特別免許状の授与というものを求める雇用者、現場の学校であるとか、学校法人だとか、このようなところの要望であるということをしっかり都道府県教育委員会、授与権者というものが受け止めていただきまして、例えば、申請自体は常時受け付けるようにするであるとか、受付時期、手続処理の利便性の向上というものをしっかりやっていこうということを盛り込んでおります。

改訂予定のポイント6、必ずしも面接によらない形で第三者の評価を行えるようにするなどの柔軟化を図ってございます。

その他、改定予定のポイント7、研修というものは勤務校だけではなく都道府県教育委員会も適切に担うこと。

改訂予定ポイント8、これまでは配置割合というもの、特別免許状所有者というものについては一定の割合を超えないようにということを課されていたところでありますけども、この要件については撤廃する。このようなところを考えているという内容が特別免許状の指針の改訂内容でございます。

続きまして、資料の5の説明をさせていただきます。資料の5のほうでございます。これまで教員養成部会で設けられていたワーキングで提言されているところの関係でございますが、大学行政の動きといたしまして、大学等連携推進法人というものに参画している大学間で、また、一法人複数大学の大学間で、連携して科目を開設できる。そして、その科目というものを自大学で開設した科目とみなすことができる、このような特例というものが設けられているところでございます。

このような改訂というものを受けまして、教職課程の開設の在り方というところにおいてもこの連携開設の仕組みというものを導入していくなどの改訂でございます。

改正の概要の(1)番でございます。連携開設科目というところでございます。この連携開設科目、大学等連携推進方針に入る大学間、もしくは一法人複数大学の大学間同士が連携をして開設した科目でございますけれども、この開設した科目というものを、まず学生さんの側、丸1番でございますけれども、免許状の授与を受けようとするものは、自分の大学で習得した科目とみなすことができる。連携した科目は他の大学で習得したものであっても、これは自大学の科目ということでしていいよということでございます。

丸2番のほう、大学側の制約でございます。大学側は教職課程を取らせるのに必要な科目を開設しなければなりませんけれども、その必要単位数の8割までは連携開設科目というものを自大学の科目としてみなしてよいという特例でございます。

丸3番でございます。これは教職課程認定基準、教員養成部会決定のほうになってまいりますけれども、連携開設科目というものを開設する教職課程のうち、複数の大学が同一の免許状の課程認定というものを同時に受ける場合、これは幼稚園・小学校は当面対象にしておりませんけれども、このような教職課程について連携教職課程と位置づけます。2つないし幾つかの大学、学科等というところで、同一タイミングで同一の免許状の申請というものを上げてきた場合には、これを1つの学科とみなして、専任教員の算定というものを行っていいというような、専任教員の共通化の特例を設けたいと思っております。

続きまして、丸4番でございます。連携教職課程を設置する場合の大学の申請要件でございます。先ほど申し上げた連携開設科目を使って同一免許状の種類を同一で申請してくる、これを連携教職課程と称しておりますけれども、この要件というものを定めている部分でございます。学科のうちの1つは教員養成を主たる目的とする学科でなければいけない。全て開放制ということではいけないということでございます。

2つ目のポツは、各大学の専任教員がそれぞれ一人以上参加する体制を整備していただくということでございます。

また、例えば中学校ということが書かれておりますけれども、要すれば、自分の大学、また他の大学、それぞれで8単位以上など、必要な単位数を開設していただくということでございます。1つの大学が全てを担って、その他の大学がそれに乗っかるだけ、こういうことにはならないようにという趣旨でございます。

(2)番でございます。学部等連携課程実施基本組織が教職課程を設置する場合の扱いというところに入ってまいります。学部等連携課程実施基本組織といいますのは、例えばA学部とB学部が連携をして、Cという新しい学位プログラムをつくる。このような仕組みでございます。詳細は参考資料のほうにつけてございますけれども、学部等連携課程実施基本組織、先ほどのC学位プログラムに相当する部分でございますけれども、これについても教職課程の認定を受けることができる組織として明確に位置づけるということに加えまして、その定員上の扱いというものについて取扱いを定めるものでございます。

また、丸2番でございますけれども、この学部等連携課程実施基本組織が設置する教職課程というものの専任教員数の扱いという部分についても、この基本組織と連携する協力学部が同一免許状を出す場合には、併せて1つの学科とみなせるなど、専任教員の算定の上での基準の特例というのを定めるものでございます。

(3)番でございます。全学的な体制整備及び自己点検評価の仕組みの導入というものでございます。複数の教職課程を設置する大学というものが、学科間で科目や専門教員を共通に用いるということなどがあるわけでございますけれども、教職課程というものが全学として上手にしっかり回っていくというようなことができるように、大学内の組織間の連携による適切な体制、全学的な体制を整備していただくというものでございます。

また、教職課程の質の向上という観点から、教職課程のカリキュラム、教員組織、施設、設備の状況について自己点検評価を行い、公表するというものを予定しているところでございます。

今後のスケジュールというところでございます。一番最初に申し上げた(1)番、連携開設科目の関係についてございますけれども、(1)の丸1、丸2については公布の日から行います。その他のものは一部、大学の準備が必要なものがございますので、令和4年4月1日からの施行とさせていただくということでございます。

資料5は以上でございます。

資料6は、今説明申し上げました全学的な体制、または自己点検評価というものに対するガイドラインでございます。本部会の委員であります森山先生、安部先生にも御参画いただきまして、昨年の11月から1月にかけまして、3回にわたって、この教職課程の質保証のためのガイドライン検討会議というところを開催いたしまして、検討を行ったものでございます。

内容といたしましては、今日、詳細は説明いたしませんけれども、自己点検評価の基本的な考え方や、その観点、どのようなことを自己点検評価すべきなのかといった自己点検評価に関する内容と、全学的に教職課程を実施する組織体制として、センター型の組織、委員会型の組織、様々な組織が考えられるわけでありますが、そのような組織がどのような役割を果たすべきか、このようなことを整理したものでございます。

既存の学校教育法に基づく自己点検評価というものが行われている中でございますので、真ん中辺りにございますけれども、教職課程で求められる自己点検評価の観点というものを、既存の自己点検評価の項目に取り込みつつ実施するなど、効率的に行うというところを重視しているところでございます。

4、5、6について、駆け足な説明で大変恐縮でございますけども、以上でございます。ありがとうございました。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。

本来であれば、ここで皆さんから御意見もいただこうと考えておりましたが、時間も大分押しましたので、大変申し訳ございませんが、御意見がある方につきましては、今週中に事務局のほうに御意見を出していただいて、その取扱いについては、前期教員養成部会からの引き続きの事項でございますので、加治佐部会長に一任する形でお願いできればと思います。

加治佐委員、よろしいでしょうか。

【加治佐部会長】はい。承知しました。

【渡邉部会長】よろしいでしょうか。ご負担をおかけしますが、お願いしたいと思います。

なお、資料の6で説明いただいた教職課程の質保証のためのガイドラインについては、大学分科会でまとめていただいた教学マネジメント指針のまさしく実践的な内部質保証体制の確立を目指すガイドラインとも言えるものですので、大変重要な内容をまとめていただいたと思います。こういったもので仕組み化、見える化、分かる化をして、共有化しながら質保証につなげていただくと大変よい取組になると思いますので、これはぜひ生かしていただくような運営をしていただけたらと思います。本当にありがとうございました。

それでは、議事としては以上でございますが、あと3つ、報告事項がありますので、こちらのほうもポイントのみの説明をお願いできればと思います。参考資料の4から6についての説明をお願いいたします。

【平野教員免許企画室長】引き続き失礼いたします。免許室長でございます。参考資料4、5、6について、簡単に内容の紹介をさせていただきます。

参考資料4が、教育実習及び介護等体験についてでございます。内容を逐次読み上げることはいたしませんけれども、大きく2つございます。

1つは、昨年度も実施していたところでございますけれども、コロナウイルス感染症の対応ということにつきまして、正常な形で教育実習、介護等体験というものが実施できないというケースも起こることが想定されるところでございます。昨年はそのような中で免許が取得できないということがないように、特例を設けたところでございますけれども、この特例については今年度も延長するというようなものがまず内容の1点でございます。

それに加えまして、介護等体験のほうでございますけれども、2ポツの(2)の丸1という部分でございますけれども、介護等体験が実施可能な施設を拡大するということにしておりまして、例えば特別支援学級、日本語の通じない児童生徒のための教育課程、不登校児童生徒のための特別の教育課程、教育支援センターなどを追加するというような改正を行ってございます。

また、この資料のほうに出ておりませんけれども、併せて、介護等体験が導入された際の事務次官通達というものを改正いたしまして、その中で、もともと7日間の体験という中で、5日間は社会福祉施設で、2日間を特別支援学校で行うことが望ましいというふうにしていたところでございますけれども、この内訳について撤廃いたしまして、現場のニーズなどに応じまして、例えば特別支援学校における介護等体験というものを多く行う、このようなことも可能にするなど、柔軟化を図ったところでございます。

参考資料の4は以上でございます。

参考資料の5でございます。免許状更新講習を修了していない者が、免許というものが失効している、もしくは休眠している、このような状況があるわけでございます。これまでも通知のほうを発出いたしまして、未更新者に対しては臨時免許状が授与できるという取扱いについてお知らせをしているところでございます。

ただ、これまでこの未更新者を採用する場合というときに、普通免許状を有する者を取り得る手段を尽くしても採用できないとき、このようなハードルをかけていたところでございますけれども、この「取り得る手段を尽くしても」というところについて改正を行いまして、この記の一番下の部分にございますけれども、今回新たに合理的な範囲の努力により採用することができない場合ということで定義を書かせていただいてございます。

この「合理的な範囲の努力」というものについては、採用しようとする者に過重な負担を求めるものではない。「取り得る手段を尽くしても」ということになりますと、どこまで何をやったらいいのかというところがありますけれども、この過重負担になるかどうかというところをキーとして判断していただきたい、このような改訂を行うことといたしました。この内容につきましては、今後速やかに発出を行いたいというふうに考えてございます。

最後、参考資料6でございます。参考資料6については、教育職員免許法施行規則の一部を改正する省令案ということで、今後公布をする予定にしているものでございます。

大きく2つポイントがありまして、様々な様式について、いわゆる戸籍における氏名に加えまして、旧姓や通称名を併記することができる。これは運用上これまで行われていたところでありますけれども、これを明確化するということでございます。

また、押印の廃止といったような政府全体の動きも踏まえまして、教員免許状そのものには押印というものは継続する原則にしておりますけれども、その他の書面等からの押印原則というものを廃止して、様式から、いわゆる印という形で書かれていた部分をなくすということにしたものでございます。

参考資料6は以上でございます。

あと、すいません、一言だけ。先ほど中野課長のほうから各種調査の実施について説明をした際に、教員免許更新制に関する現職教員に対する調査という部分について、実施中であるという旨の発言がありましたけれども、これは現時点において準備中ということでございますので、訂正をさせていただきます。

以上でございます。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。



それでは、次回の日程等について事務局から連絡をお願いします。



【中村教育人材政策課長補佐】事務局です。次回の日程につきましては、日程の調整の上、追って事務局より御連絡いたします。

【渡邉部会長】どうもありがとうございました。

それでは、本日は長時間になりましたけれども、大変ありがとうございました。審議事項について皆さまと今日いただいた御意見も大切にしながら、特別部会での検討を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

本日は以上でございます。ありがとうございました。失礼いたします。



―― 了 ――



 


(総合教育政策局教育人材政策課)