教員養成部会(119回)議事録

1.日時

令和2年12月22日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

WEB会議(Webex利用)

3.議題

  1. 教職課程におけるICT活用指導力修得に関する取組に係るヒアリング
  2. 教員免許更新制や研修をめぐる制度に関する包括的な検証に係るヒアリング
  3. その他

4.議事録

【加治佐部会長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第119回中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会を開催いたします。皆様御多用中にもかかわらず、御出席していただきまして、誠にありがとうございます。本日もウェブ会議で開催させていただきます。

それでは、会議の進め方の確認と、本日の資料について事務局より説明をお願いします。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 文部科学省の教育免許室長の平野でございます。会議の進め方について説明をさせていただきます。

いつものお願いでございますけれども、本日もウェブ会議でございます。御発言に当たっては、インターネットでも聞き取りやすいようにはっきり御発言いただくなどの御配慮をいただくこと、御発言の際には名前をおっしゃっていただくこと、発言時以外はマイクをミュートにしていただくこと、御発言に当たっては手を挙げるボタンを押していただくこと、御発言が終わったら、必ず手を下ろす操作をしていただくことの御協力をお願いいたします。

本日も、報道関係者と一般の方向けに本審議会の模様をライブ配信してございます。Webexのチャット機能については、傍聴者の方が閲覧することができませんので、マイクが機能しない場合などの緊急連絡手段として限って使っていただくなど、御協力をお願いいたします。

本日は、議事1に係る御発表のため、東北学院大学、稲垣忠先生、信州大学、佐藤和紀先生、また議事2に係る御発表のため、教職員支援機構、清國祐二つくば中央研修センター長、福井県教育総合研究所、牧野行治所長、山内康司教職研修センター長に御出席いただいております。どうぞよろしくお願いいたします。

資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第のとおり、1-1から2-2-2、参考資料が1から2-5までございます。

議事について、若干補足をさせていただきます。議事1が、本日、教職課程におけるICTの活用力修得に関する取組に関するヒアリングとなってございます。前回の教員養成部会において、教職課程においてICT活用力の養成というものを強化する観点から、ICTに特化した科目の創設をはじめとした姿というものについて事務局にお示しをし、概ね御了解をいただいたというふうに御理解しております。その上で、今後、具体的な制度改正に取り組んでいくということに加えまして、いわゆるコアカリキュラムというものを新しく設定する科目については作成をしていくということを考えているところでございます。

今日のヒアリングにつきましては、今後の制度設計、わけても今後のコアカリキュラム作成という部分について参考にするという趣旨でお話をお伺いするものでございます。また、実際に各大学がどのような形で取組を行われていて、どのようなところが課題なのかと、こういったところを把握するという観点からも御参考にさせていただければということでございます。

議事2のほうでございます。議事2のほうについては、教員免許更新制や研修をめぐる制度に関する包括的検証に係るヒアリングということでございます。本日、教職員支援機構、福井県のほうから、教職員研修についてお話をいただきます。これまで免許更新制ということの在り方についてということで、各教育委員会の関係者、校長会の関係者からお話を伺ってまいりました。

参考資料2-4のほうに、中教審の特別部会の中間まとめをお配りしてございますけれども、そもそも今回、この検証を行っている目的ということについては、教員の様々な状況変化ということも視野に入れながら、教員免許更新制や研修をめぐる制度に関して包括的な検証を進め、将来にわたって必要な教師数の確保と、その資質・能力の確保が両立できるような在り方を検討していくということでございます。教員の資質・能力の向上という観点からは、これは更新制ということのみならず、教職員研修というものが果たす役割が非常に大きいわけでございます。教職員研修の在り方については、平成28年の法改正などで、その在り方が強化されているところでございますけれども、そうしたことを踏まえた現状、またコロナ禍における研修の現状、このようなことについてヒアリングをするという趣旨でございます。よろしくお願いいたします。

【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。

今日も2つ議事を用意しましてヒアリングを行いますが、その趣旨・目的は、今の平野室長の御説明のとおりであります。

それでは、早速ヒアリングに入ってまいりたいと思います。まず、議事の1につきまして、東北学院大学の稲垣先生からお願いいたします。資料1-1です。15分ぐらいでどうぞよろしくお願いいたします。

【稲垣教授】 東北学院大学の稲垣です。それでは、よろしくお願いします。画面共有のほうをさせていただきます。よろしいでしょうか。

「ICT教育論」の概要ということでお話させていただきます。まず、私自身ですけれども、東北学院大学の稲垣と申します。文学部教育学科で教員をしております。専門分野に関しては教育工学ですけれども、中でも特に初等中等教育のインストラクショナルデザイン、授業設計について専門で研究をしております。

委員等に関してはここに書いてあるとおりですけれども、基本的にはICT活用であるとか、あるいは情報活用能力の育成であるとか、そういったところで関わらせていただいております。

まず、本学科の概要及び今回のICT教育論の位置づけについて御説明申し上げます。まず、文学部教育学科自体は2018年に開設したばかりの学科でして、まだ4年間たってないという状態で、今1期生が3年生という状況です。免許としては、小学校の1種、それから中学校と高校に関しては英語科の1種ということで、そういった免許を出しております。それからあと、図書館司書、学校図書館司書教諭に関しても出しているというところです。

科目群に関しては右側の図にあるとおり、教育学と児童教育、それから英語教育、異文化理解教育、教職実践という、大きく5分野に分けた形でカリキュラムを構成しております。この中でICTに関する科目は、5類の教職実践というところに全て位置づけております。特にそれに関する科目について下のところに整理しましたけれども、まず2年生の後期のところで、ICT教育論自体は2年生後期の専門教育科目になっておりまして、必修とはしていません。ただ、学生への履修モデルの中で提示したりもしておりますので、現状で言うと8割ほどの学生が受講しております。その前後で言うと、2年生の前期の段階に教育方法、いわゆる教育の方法及び技術に関する科目を開講しております。それからあと、3年生の前期のところで情報教育論というのと、ICT教育実践というのを設置しています。さらに4年生前期にメディアリテラシー教育論ということで、本学科を設置するに当たり、ICTに強い教員を養成したいという、そういった意図もありましたので、こういった科目群を専門科目として設置しているという状況になっております。

ここに記載してあるとおり、ICT教育論と対になる形でICT教育実践というのを設置しておりますので、基本的にはICT教育論のほうは、実践というよりも理論的な話、あるいは歴史的な経緯について、ICT教育実践のほうで、具体的な実践について取り扱うという位置づけになっております。

それから、情報機器の操作、教員免許状に関するところですけれども、それに関しては2年次の情報リテラシーという科目がありますので、それを履修することとしております。

それから、本科目の到達目標及び概要です。到達目標としては、教育現場において、視聴覚メディアやコンピューターがどのように導入されてきたのかを理解するということで、特にこの視聴覚機器の話とコンピューターの話と両面を見ていくということになっております。それから、授業においてICT機器やサービスを活用することの意義と留意点を、事例を基に解説できるということで、意義と留意点という形にしていますので、必ずしもメリットだけではなく、課題点あるいは留意点というのもあるわけですので、そういったことの両面を検討できるような指標というのが2つ目の目標です。

3つ目のところは、テクノロジーの変化によって教育がどのように変化するのかを考え、今後の展望を説明できるということで、少しちょっと歴史的な展望についても取り扱うという形になっております。ちょうど今、Society5.0の中で、学校教育はどのように変化していくのかという、ちょうど中教審の答申も今、パブリックコメント中だと思いますけれども、そういった部分に関しても、できるだけ議論の中には取り上げていきたいということで、授業での活用にとどまらない形で、少し幅広な視点で取り扱っている科目となります。

概要としては、ここに記載しているとおりですけれども、いわゆる産業革命とか印刷技術とか、そういった本当に歴史的な経緯の話から、学校が、その誕生にどういうふうにテクノロジーが関わってきたのか。それから、映画、テレビ、OHP等、そういった視聴覚機器の話。それから、学校にコンピューターが導入されて、どう活用されていったのか。現在、学校の指導の道具というよりも、いわゆる学習環境、あるいは学習の基盤としてテクノロジーを活用していくという形にだんだんシフトしてきていると思うんですが、そういったところについても取り扱うという形で構成しております。

テキストに関しては、こちらを使用しております。「デジタル社会の学びのかたちVer.2」というタイトルになっているんですけれども、アラン・コリンズ、認知科学会の初代の会長をされた方ですけれども、あとリチャード・ハルバーソンの2人による著書です。原著に関しては「Rethinking Education in the Age of Technology」ということで、ちょっと私自身も編訳という形で関わらせていただいた本ではあるんですけれども、特にアメリカの教育史というか、教育の歴史のところでテクノロジーがどういうふうに関わってきて、現状どうなっていて、これからどうなっていくのかという、そういうのを総則的に扱ったような、そういった科目になります。ちなみにこれ、Technology, Education-Connectionsというシリーズの中の1冊になるんですけれども、ほかのシリーズで言うとこういったタイトルが含まれております。これらの中で言うと、先ほどの本に関しては比較的全体を扱ったような、そういった本になるのかなというふうな位置づけというふうに認識しております。

テキスト目次としては、こういった形です。2章、3章のところで推進派、懐疑派というふうに書かれているとおり、基本的にはテクノロジーに対して肯定的な考えだけではなく、どのような批判的な意見があるのか。それから、学校現場への導入というのは、必ずしも順調にいってきたわけではなく、いろんな課題を抱えながら進展してきたところだというふうに認識しているんですけれども、そういった経緯に関しても書かれております。アメリカの話ではあるんですけれども、ほぼ日本と状況としては似ているところがありますので、そういったところを取り扱いながら、日本の現状と照らし合わせて解説していくという科目として進めております。

シラバスに関しては、このような形で15回編成しております。詳細のシラバスは別途あるんですけれども、事前事後学習も含めて書いてあるんですが、各回の概要だけ記載しました。本年度に関してはコロナの影響で、いわゆるオンデマンド型で実施しておりますので、各回に関しては大体90分の授業をこのように学習してくださいという指導はできませんけれども、簡単な進行表を毎回示す形にして、それとともに講義の映像であるとか、教科書のこの部分を読んで考えなさいであるとか、あるいはウェブでこういった資料を調べてみなさいとか、そういったことも含めて科目としては運用しているところではあります。

おおむね大体先ほどのテキストの流れに沿ってはいるんですけれども、例えば5回、6回のところで視聴覚教育、メディアの話を扱う。それから、第7回のところでコンピューターの話を扱っていって、後半のところはちょっと生涯学習みたいな視点も含めて取扱うという形で構成しております。

あとは、事業内容について簡単に御紹介したいと思います。まず、テクノロジーによる社会と教育の変化ということで、大きく社会がどのように変化してきたのかであるとか、その中で教育がどのような変化を求められているのかというところを概略的に紹介しています。情報社会論とかそういった授業ではありませんので、本当に簡単な紹介にとどまるわけですけれども、Society5.0の話であるとか、あと特にSNSへのやっぱりユーザーの広がりというのは非常に世の中を大きく変えてきたというところがありますので、そういったものを紹介していく。それから、現状の課題点として、例えばデジタルデバイドの問題が生じているといったことを扱っております。

それから、学習の変化に関しては、もちろん学習指導要領のことも扱うんですけれども、OECDのラーニング・フレームワークであるとかそういったものも含めて、日本だけではなくて、諸外国の中でもこういった議論が進んでいるというところを取り上げております。

それから、視聴覚メディアに関しては、いわゆる掛け図とかそういったところから始めております。コミュニズムとかそういった話までいくと教育方法のほうで扱っていますので、それ以降の特に視聴覚機器に関するところ、視聴覚メディアに関するところというのでそういったものを扱いながら、いわゆるデールの経験の円錐であるとか、あるいは放送教育の中でもいろんなこれまで論争がありましたので、そういったことも取り上げて、映像メディアというのと学校現場、あるいは先生方というのはどういう関係性の下に発展してきたのかというところを取り上げております。

それから、授業内容(3)としては、コンピューターの導入の歴史と理論というところで、ここに関しては大体80年代ぐらいの頃からになるとは思うんですけれども、いわゆるCAI教材の開発であるとか、あるいはマルチメディア表現のための道具としてのコンピューターの利用、それから2000年前後ぐらいからインターネットが入ってきて、いわゆる協働学習や交流学習の道具として使われてきた経緯、それから2010年代に入ってきてからタブレット端末等が入ってきて、だんだん1人1台に進んできたといった経緯についても紹介しております。

右側の図は、赤堀侃司先生が作られた図ですけれども、10年ごとのサイクルの中でどういうふうにテクノロジーが活用されてきたのかというところを概略的に扱っているということになります。

それからあと、授業内容(4)ということで、ちょっとこれはテキストに特にするところではあるんですけれども、いわゆるテクノロジーの利用について積極的なスタンスの人たちと、懐疑的なスタンスの人たちでどういう論争があったのかみたいなところを取り上げられております。推進派のほうは、いわゆるゲームの教育利用であるとか、あるいはインタラクションが非常に豊かにできることであるとか、そういったことも含めたかなりいろいろな側面から取り上げているんですけれども、当然かなり楽観的に書かれています。

次の懐疑派のほうに関しては、これまでの学校制度とテクノロジーの特性というのがどういう齟齬があるのかみたいなところを明らかにしながら、現状の課題点というのを指摘するという、そういった観点で書かれていますので、これをちょっと学生に、学生番号の奇数と偶数で分かれてもらって、ちょっと違う章をそれぞれ読んだ後にディスカッションさせるみたいなことも、授業としては仕掛けております。

あとはテクノロジーの貢献と新たなシーズということで、これはその後の歴史的な展開の話と、あと現状をどういうふうに認識しているかという話が出てくるところなんですけれども、いわゆる公教育制度が成立するに至った過程のところで、例えば印刷技術がどのような役割を果たしたのか、それから産業革命のほうは、どちらかというと学校でどう使うかというよりも、そもそも学校という形が要請されてきた大きい背景だというふうに認識しておりますけれども、そういったところについても取り上げています。

新しい状況としては、学校の学びを支援するシーズということで、例えばカーンアカデミーであるとか、こういった海外の事例と、あと日本では、例えばこういったサービスが関係するよというところを紹介し、これらについてウェブ上で体験できるような形で、今年のオンデマンド授業に関しては構成したところではあります。

それからもう一つは、学校の外で広がる学びということで、生涯学習であるとか、ある意味ホームスクーリングの話なんかも含めて、このまちのメディア環境の中でどういう学びが成立しているのかという話を取り上げております。

こういった形で、カーンアカデミーであるとか、あとマインクラフトの話であるとか、MOOCはJMOOCを取り上げましたけれども、あとウィキペディアも出てきますね。これらはユーザーとして使うというよりも、学習体験としてそもそもどういう意味を持っているのかというのを経験してもらうことで、学校現場の授業の中でICTをどう使うのかという話は、先ほど申し上げましたとおりICT教育実践のほうでやりますので、こちらはもう少し幅広い認識の下で、学校あるいは教育、学びとテクノロジーの関係を捉えていくという、そういった意図の下にこうしたものを、できるだけ幅広く取り上げております。

ということで、まとめさせていただきます。ICT教育論で紹介していることは、以下のような内容になります。1つは、テクノロジーの進化による社会の変化と、それに応じた教育の変化がどのようになっているのかということ。それから、視聴覚メディア・コンピューター導入の歴史と理論について。さらに学校制度の確立と、テクノロジーの貢献影響について。さらにテクノロジーの特性理解と学校教育への導入の可能性と課題点ということで、これは先ほどの推進派と懐疑派の話があったとおり、テクノロジーにはこういう特性がある。だけれども、学校教育の今の仕組みというのはこういう部分で齟齬があったりとか、あるいは変えていく必要が問われていたりとか、そういった議論が今されているんだという話をしています。最後に、学校外でのテクノロジーの活用という話も含めて取り上げるという形で構成しております。

ということで、大体お時間になりましたので、私のほうからの報告に関しては以上にしたいと思います。ありがとうございました。

【加治佐部会長】 稲垣先生、どうもありがとうございました。

それでは、続きまして、信州大学の佐藤先生、どうぞよろしくお願いいたします。

【佐藤助教】 よろしくお願いいたします。信州大学の佐藤でございます。それでは、始めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

私からは、信州大学教育学部の教育の情報化に関する教職課程の取組についてお話をさせていただきます。

簡単に自己紹介でございますが、私は東京都の小学校の教員、それから常葉大学を経て、4月から信州大学に着任をしている者でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、信州大学についてです。信州大学教育学部は、1年次は松本キャンパスで行いまして、2年次より長野市にある教育学部に移ってございます。14コースがあります。ICTに関わるところでは、現代教育コースにICT活用教育ユニットという専門コースがあります。それから、教育学部の学生に関しましては、ノートPCを1年次に購入することが必須になっています。そして、小中両免許取得が卒業要件になっていること、それから、教育学部は2年次から、14回100分授業が行われているということが基本情報になります。

それでは、1つ目になりますけれども、まず2年次のコンピューター利用教育についてお話をいたします。コンピューター利用教育は、この1から5に関わる目標を修得することが目標になっております。1996年の入学生から必修化されておりまして、教員免許法で2000年の入学生から必修化されている情報機器の操作に該当するものでございます。全てのコースの教員がこれを担当しておりまして、必要に応じて私が所属しております次世代型学び研究開発センターの専任教員、それから、事務スタッフがサポートに入るというような形になっております。

こちらがその様子になりますけれども、それぞれのコースでプログラミング教育を実施している様子になります。ICT活用教育ユニットというものがあるというふうにお伝えしましたけれども、専門の教員が取り組むのではなくて、全てのコースの教員が取り組んでいるということが特徴的な取組になります。

それから、こちらですけれども、教育学部に関わる、教育の情報化に関する講義を一覧したものになります。先ほどお話ししたのがコンピューター利用教育、左上になりますけれども、コアカリキュラムで示されているのが、この青のものになります。教育の方法と技術に該当する教育内容・方法論、それから、各教科の指導法の中で取り組むものが一般的かと思いますけれども、信州大学教育学部の特徴としては、コンピューター利用教育、それから、教育内容・方法論で、ICT機器の接続、活用演習があります。こちらはコースごとに取り組まれておりまして、写真はディスプレーとかそういったものに接続する様子であったり、マイクロティーチングに取り組むということをやっております。

それから後でお話ししますメインとなりますのが、情報機器活用論、情報機器活用指導法になります。こちらは大学が独自に設定した科目になっておりまして、こういったことを踏まえて3、4年次の教育実習になりますが、教育実習では、ICT活用授業の実施が必須となっております。

こちらがその教育実習での授業の様子になります。左のほうは、教育実習が終わった後に、後輩たちに、ICTの活用リーフレット、こういう活用ができるんだということを伝えるというような演習にも取り組まれております。

この成果が下の論文になっておりますけれども、教育実習を2回繰り返すわけですけれども、この繰り返しで少しずつICT活用指導力が上昇していること。ただし、実習内容は、学校現場のICT環境にこれまで依存してきたというのが課題であったということになりますけれども、GIGAスクール構想によって1人1台が入ってくることで、こういった状況もこれから変わってくるのではないかということが想定されております。

それから、情報機器活用論になりますけれども、これは前期に取り組む予定だったシラバスになります。当初の授業計画のことについてお話しいたします。まず、1回目から14回目、半分に分けておりますけれども、上のほうが、教員のICT活用指導力を向上するためのカリキュラムになっております。それから8回目からは、児童生徒の情報活用能力の育成をコンセプトにしております。

授業の流れとしては、まず授業前にクラウドで課題が出されたり、あるいは教科書の読解を行います。その後に、授業中に輪読から始まって講義、演習、講義、ディスカッションといったことを踏まえて、授業後にまたクラウドのほうで課題を提出する、あるいはディスカッションするというような、こういった構成、想定をしてカリキュラムを組んでございました。ただし、この前期間は全てオンラインの授業になってしまって、対面による演習が不可能になりました。そこで、青地に該当するところはLMSと教科書で、事前学習、輪読、確認というような流れをしておりまして、赤字のオンライン、あるいは遠隔教育に関しては、緊急性のあるテーマというふうに判断しまして、赤字を中心に、双方向オンライン授業で実施してまいりました。

実施した内容になりますけれども、休校中に行われた遠隔・オンライン授業の実際に対しての取組を参観したり、あるいは海外での取組、それから、休校中の学習状況に関する実態調査を、学生自身が取り組む。そして、そういったことを踏まえて、小中学生向けのオンデマンド教材の作成、そして、さらに評価をするということが、この前期に行われた情報機器活用論の実際でございます。本当はこの内容で講義、演習を大学の中で進めたかったんですけれども、そういったことも鑑みて、今回は遠隔・オンラインをテーマとして授業を展開していきました。

それから、今現在取り組んでいるほうになりますけれども、後期に行っているものになります。後期に関しては、対面が可能になったということも踏まえて実施してきております。情報機器活用論を受講した学生を前提として扱っておりますけれども、そうではなくて、この講義だけ履修する学生もございます。そういったことも踏まえまして、第1回のガイダンスでは、学習した内容を確認しながらマイクロティーチングをやっていく、そういったようなことが、情報機器活用指導法のメインの内容になっております。

こちらも前半は、教員のICT活用指導力の向上を目指しておりますし、後半のほうは児童生徒の情報活用能力の育成を取り組んでいくことを想定しておりました。ただ、一部対面になったので、こちらも通常どおりにはできないということを鑑みまして、以下のようにやっております。

スライドの下になりますけれども、GIGAスクール構想を意識した学習環境の中で、まず取り組んでいただくこと。ですから、情報は全てグーグルクラスルームで共有していくというようなことをやっていきました。それから、ハイブリッドな学び、これもGIGAスクール構想で目指されているところだと思いますので、オンデマンド、対面、オンラインの順番で3回繰り返すということをやってきました。オンデマンドでは、学校現場の授業分析、授業映像を見て分析をするということを実施しました。それから、対面で授業分析をプレゼンする、議論するということをやってまいりました。最後に双方向オンラインで、この授業動画に登場した先生に登場していただいて、学生の質問に答えたり、何でこんな授業を構成したのか、どうしてICTをここで使ったのか、どういうことを目指してきたのかということを、実際に話したりディスカッションするという時間にしてまいりました。

2回目から5回目の範囲は、ここの教員のICT活用の範囲で授業を分析するということをやってまいりました。それから、6回から8回は、児童生徒の情報活用能力の育成に焦点を当てて授業分析をするということで、そういった動画を見てやっていくということをやっていました。それから、9回から11回は、これまでのまとめも踏まえて、振り返りも踏まえて、全てのところに該当する形で学生たちが授業分析をし、プレゼンをし、そして双方向オンラインで、実際の先生と議論をするということをやってきました。

実際の流れを少し細かく出しておりますけれども、まず、オンデマンドで授業分析、クラウド上で行います。その後、対面でこのように学生がプレゼンテーションをし合うというようなことをしています。そして、その中で、プレゼンテーションを見ている学生たちが、クラウド上で意見を出して、そして整理して交歓するというような、そういった活動を同時にやっております。

それから、あらかじめゲストに質問したいことをゲストのほうに提示して、ゲストもそれをリアルタイムで見ている方もいますし、後で見ている方もいますけれども、ゲストからの質問の回答、こういったものも共有してきました。

そして、双方向オンラインでゲストからのプレゼンテーションを聞きながら、これもクラウド上で分かったこと、それから、まだ疑問であること、そういったことを共有するという活動を踏まえてディスカッションするというような、そういった活動に取り組んでまいりました。

以上の内容が、情報機器活用指導法で取り組んできていることでございます。現在までに11回が終わっておりまして、残り3回となっておりますけれども、残りの3回は、こういった実際の活用を分析してきたことを踏まえて、GIGAスクールに対応していくような、そういったマイクロティーチングをクラウド上、あるいは対面のハイブリッドな環境で実施していく予定でございます。

まとめになりますけれども、まず、前半になります。全コースの教員がコンピューター利用教育を担当してきたこと、それから、教育実習でのICT活用授業を必須としてきたことによって、教員・学生ともにICT活用授業について主体的に考えられる契機になっているということが1つ目でございます。

2つ目が、休校によるオンラインへの移行が4月に行われたわけなんですけれども、私は今年着任しておりますので、前後の先生方の様子、あるいは学生の様子が分からなかったんですけれども、聞くところによると、相当主体的かつ協力的に、先生方、学生たちは取り組んでくださったというような話を聞いております。

それから、後半になりますけれども、情報機器活用論、活用指導法に関しては、GIGAスクール構想における1人1台の情報端末、それから遠隔・オンライン学習に対応できる学生を育成することを目的にして、内容は教員のICT活用指導力の向上、それから、児童生徒の情報活用能力の育成の観点から実施してまいりました。方法は、クラウドで情報を共有したり議論することを基盤にして、GIGAスクール構想と同様の学習環境で行ってまいりました。

私からは以上になります。御清聴いただきまして、ありがとうございました。

【加治佐部会長】 佐藤先生、ありがとうございました。

それでは、これから30分ほど意見交換に入りたいと思います。皆様、いかがでしょうか。御発言はできるだけコンパクトにお願いいたします。手を挙げるボタンを押していただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。

それでは、安藤先生、お願いいたします。

【安藤委員】 常葉大学の安藤です。よろしくお願いします。

佐藤先生にちょっとお聞きしたいんですけれども、よろしいですか。カリキュラムの構造を見せていただいたときに、3、4年生の段階は選択科目になっていまして、ただここは3、4年の実習においてはICT活用授業の実習が必須となっているんですね。そうすると選択科目であると、取っていない学生もいらっしゃるんですけれども、取っている学生と取っていない学生に対して、必修科目として挙げている実習は、ICT活用の授業を必須にしている配慮とか、あるいは方法とか、あるいは課題とか、その辺についてちょっと教えていただきたいんですけれども。

【佐藤助教】 御質問ありがとうございます。御質問いただいたとおり、先ほど御紹介させていただいた科目については選択ですので、受講した学生以外の学生というのは、それほどまで、例えばGIGAスクール構想のことについて理解がされているわけではないですし、クラウドを利用して何かできるというわけではないと思いますけれども、ただし今年に関しましては、遠隔・オンラインが基本的になって、ほかの先生方も実施してまいりましたし、クラウドを使って協働学習をするであるとかプレゼンテーションをするということを普通にやってきておりましたので、そういったことを考えますと、昨年、一昨年に比べますと、この意識差というのはかなり違うんじゃないかなというふうに感じているところでございます。遠隔・オンライン授業のおかげでクラウドの理解、クラウドの活用を学習ということに関して理解が促進されたというふうに考えております。

【安藤委員】 そうなりますと、選択科目という位置づけについては、今後見直したりするケースは出てくる、いわゆる構造化を課題にされていますけれども、いわゆる全部を必修化にしていくような、そういう検討はされているんですか。

【佐藤助教】 今のところは検討されていないと認識しておりますが,GIGAスクール構想や学校現場のニーズを鑑みれば,検討されていると予測しております。

【安藤委員】 そうすると、必修にしなくても選択科目であっても、現在の段階では十分実習においては対応できているということでしょうか。

【佐藤助教】 先ほど課題として申し上げたんですけれども、教育実習は、各現場の学習環境、ICT環境にこれまで依存してきましたので、そこは何とも言えないところでございますけれども、来年以降は、1人1台確実に入っている環境でありますので、その意識というのは完全に高まってきますし、これまでの既存の授業もございますけれども、こういったことの内容も改善していかなければならないというようなことになっていくと思います。

【安藤委員】 分かりました。ありがとうございました。

【加治佐部会長】 これから松田恵示議員、高橋純委員、坂越委員、橋本委員の順でまいります。松田委員、どうぞ。

【松田(恵)委員】 お二人の先生、本当にありがとうございました。大変参考になるといいますか、本学も本当に今、直面している課題の中でのことでしたので、本当にいいお話を聞かせていただきました。ありがとうございます。

お二人に御質問があるんですけれども、まず佐藤先生のほうには、非常に具体的な形での利用の能力みたいなものを学生たちに問題にされていると思うんですけど、一方で先生御自身も現場もよく御存じだということなので、現場に実際に入ったときに、その中でも、例えば、クラウドサービスを使うにしても、先ほどはグーグルが例で出ていましたけど、違う場合もあるわけですね。実は各学校とか教育委員会単位で、具体的に使っているものというのは違っていて、そうすると、大学としては、内容としては共通的なものを教えているので、その具体的な違いはあまり問題にならないというか、むしろ現場で解消できるんじゃないかと思っているところがあるんですが、動きを見ていると、実はそれは割と大きな問題で、ある形式のものを使った場合には、やはりそれにこだわったり、それ以外のものがなかなか広がっていかないというのは、現状の問題みたいだと思うんです。

その辺りを大学のカリキュラムだとかそういう問題として考えた場合には、何か突破口みたいなことを考えていらっしゃるかと。より質問の意図を言うと、現場と協働したカリキュラム実習みたいなものが、もっと模索できないかなと思っているという意図です。

もう一つだけ、教科教育法との関係もぜひ、なかなか教科教育法の具体と、両科目が関連して行っていくということが、大学の中で難しい課題になっているところがあるように思うんですが、その辺り、先進的に工夫されているようなことがあったら伺わせてください。

稲垣先生のほうには1点だけ、先ほどのICT教育論の内容って本当に面白いし、実際に使うという周辺としては必要なことだと思うんですけれども、カリキュラム全体を見たときに、ああいう言わば「について」の知識と呼ばれるようなものというのは、どのような順番で出てくるのが実はいいのかというのは、すごく迷うところがあるんです。どうも一般的には、基礎から応用とか、知識から具体的な実践へという流れが考えられやすいんですけれども、具体的にICTを学生が使えるとか、現場で広がっていくというときに、そうでもないんじゃないかというふうな気持ちがちょっと強くあって、その辺りをちょっと教えていただければありがたいなと思いました。以上です。

【加治佐部会長】 それでは、佐藤先生から御回答をお願いいたします。

【佐藤助教】 松田先生、ありがとうございました。

まず1点目になりますけれども、クラウドサービスがそれぞれ現場で違うんじゃないかということで、各学校、教育委員会単位での違いをどう解消するかということかと思いますけれども、これに関しましては、私も非常に悩むところでございます。本日ご紹介した授業で、グーグルのクラスルームを使った理由としましては、GIGAスクール構想でどういった端末がどれくらい導入されていくかということを考慮した上で、グーグルクラスルームを使っております。ただ、大学でももちろんマイクロソフトのオフィス365も契約しておりますので、いつでも使える状況にあります。それから多く導入されておりますので、全てのOSに対応できるような仕組みにはなっておりますけれども、その辺をどういった形で展開していくかということは、今後の課題と考えているところでございます。

2つ目になりますけれども、教科教育法等の関係性ということになりますけれども、本学では2年生にコンピューター利用教育を、各コースの教員が実施しておりまして、その上で各教科教育法ということになっていますので、どちらかというと結びつきが強いのは、コンピューター利用教育と各教科の教育法が強いかなというふうに思います。

内容を見ておりますと、各教科の資質・能力に資するICT活用が中心にされているなと思いますので、例えば美術であればグラフィックデザインをやれる、修得できるようなスキルを使って、そして3年次にそれを使ったような授業を構想していくような、そういった評価に特化した流れがうまくいっているんじゃないかなというふうに思います。

それを踏まえて、例えば教育実習に行くという話になってくるわけなんですけれども、もちろんそれも学校現場のICT環境に依存するので、実際にやったことが使えないという状況は、比較的あったんじゃないかなというところでございます。ありがとうございました。

【加治佐部会長】 稲垣先生、御回答をお願いします。

【稲垣教授】 御質問どうもありがとうございました。

科目の順番の話で言いますと、もともと2年生前期に教育の方法及び技術の科目のほうで、ICTに関しては割と実践的な話も取上げ、模擬授業なんかもやらせていますので、そこで最初に1回体験をしているという状況で、考え方の話に入るという流れにはなっております。

それから、本学の場合、教育実習が4年次に位置づけられているんですけれども、そうすると2年生の間にいろんな実践的なことをやっても、なかなかその後につながらないという課題もありますので、3年次のところでICT教育実践を配置したというのが、経緯としてはあるというのが状況です。以上です。

【加治佐部会長】 それでは、高橋委員、お願いします。

【高橋委員】 稲垣先生、佐藤先生どうもありがとうございます。大変参考になりました。私からは、両先生に3つ御質問があります。

1つ目は、学生のマインドセットというか、考え方がどうなのかなというふうなことをお聞きしたいなと思います。学生自身はそんなにこれまで小中高の中で、PCを使って授業というのは受けてきていないと思いますし、やっぱり人間と人間の触れ合いが大事だとか、私も講義でそのように言う学生にも出会いますので、学校の授業でPCを使うことそもそも論に対する前向き加減とか否定感みたいなことについてどんなふうにお考えかなと思っております。稲垣先生は推進派、懐疑派みたいな授業もされているそうなので、どうしてそういうのを扱うのかなと思うと、こういうこともあるのかなと思って、1つ目の質問です。

2つ目は、学生のICT活用スキルはそもそも高いのか低いのかということです。遊びでSNSとかは使っていると思いますけれども、教師としてICTを活用するというような業務に耐え得るレベルでのICT活用です。いろいろな国際調査の中でも、我が国の子供たちのICT活用スキルは低いとされておりますが、実際どのように先生方はお感じなのか。場合によっては、こういう授業を受けている途中で変わっていく様子なんていうのもあれば、聞かせていただきたいなと思います。

最後3番目に、こういった2つのことを捉えて、教職課程でどういう内容を、どれぐらいの時間やったらいいのか、特に強調したいような内容がありましたら御示唆いただきたいなと思っています。

以上となります。よろしくお願いいたします。

【加治佐部会長】 それでは、稲垣先生から、この質問についての御回答をお願いします。

【稲垣教授】 御質問ありがとうございました。まず、学生のマインドセットの話で言うと、非常にテクノロジーに対して、何と言うのかな、無邪気にすごく使いたいというふうな学生たちと、先ほど高橋先生もおっしゃっていたみたいに、やはりテクノロジーはそんなに教育で使うべきでないというのと、かなり真っ二つに分かれるような状況というのが、学生の様子を見ているとあるのかなというふうに思っております。

そういった状況もありましたので、特に苦手意識とか使うべきでないという学生たちに対しては、これまで別に、このGIGAスクールも含めて急に登場に登場した話ではなく、歴史的な経緯があって、いろんな取組の結果として今の現状があるという、そこをしっかり理解していただく必要があるかなということで、こういった科目を位置づけているというのは1つあるのかなというふうに認識しております。

それからあと、学生のICTスキルに関しては、今年に関しては特にオンライン授業をやっていった中で、かなりスキルとしての成長というのはあったのかなというふうに考えております。それから、本学の場合は、来年度から全学でのBYODを導入することになるんですけれども、それも含めて、全国的なリテラシー育成に関してはかなり強化していきます。それをベースにしながら教科指導の中で活用していくという話になると思うんですけれども、先ほどの佐藤先生のお話にあったような、教科指導の中でどうICTを位置づけるのかというのについて、何か統一的な方針をつくったりとか、そういった部分に関してはまだちょっと十分できてないので、これからの課題となっております。

どういう内容をどのくらいやるべきかという話で言うと、最初の話とつながるところであるんですが、やはりICTの話というのは、今の単にはやりとしてやっているわけではなく、これまでのいろんな経緯があってやられていることだというところ、そこをしっかり理解していただくような時間というのはつくるべきだというふうに考えます。それがどのぐらい時間かけるべきかというのはいろんな考え方があると思うんですけれども、少なくともそういった歴史的経緯、理論的背景というところは押さえるべきだというふうに考えております。以上です。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。佐藤先生、よろしくお願いします。

【佐藤助教】 御質問ありがとうございました。私のほうから、まず学生のマインドセットになりますけれども、稲垣先生おっしゃっていたように、やっぱり真っ二つだなという印象はどこにいても感じることでございます。

それから、年によって、学生によって全然違うなということも時々感じることでございます。ただ今回の授業のように、授業を毎回毎回繰り返し見ていく、繰り返し分析していく、繰り返しどういうつもりでやったかということを、現場の先生と話していくということを繰り返していくごとに、学生たちの変化があって、もうICTがない授業をあまり考えられなくなってきたというような、そういった発言が出てきているので、やっぱり繰り返しということが非常に重要なのかなということを捉えているのが1つ目でございます。

それから、2つ目になりますけれども、学生のICTスキルはそもそも高いのかということですけれども、OECD調査でもありますように、娯楽では使ってきたけれども、学習で使ってきてないということを踏まえると、業務に耐えられるレベルではないというふうに僕は考えております。ただし、これも稲垣先生もおっしゃっていましたけれども、今年オンライン授業によって、オンラインが普通で、クラウドが普通でということを繰り返してきた学生に関しては、これまでの学生とはまるで違うかなというふうに、私自身は捉えているところでございます。

3つ目の、どういう内容をどれくらいやればいいかということですけれども、もうとにかく先ほどから申し上げているとおり、繰り返すということが非常に大事なことと、それから、溶け込ませるということが大事だと思っております。各教科の指導法の中でもICT活用と言いますけれども、例えば、10回目にICT活用とかそういうことではなくて、常に使っている状態を提供していくことが非常に重要かなと。そうでなければ、特別感、イベント感が出てしまうので、繰り返して日常的にさせていくということが非常に重要かなというふうに捉えております。以上でございます。

【高橋委員】 ありがとうございます。しっかりした指導が必要だと受け止めました。すいません。ありがとうございました。

【加治佐部会長】 それでは、坂越委員、お願いします。

【坂越委員】 坂越です。すいません、佐藤先生にお願いします。

先ほど松田委員さんからも出たことなのですが、各教科の指導法の中での情報機器、教材活用という事項についてです。コアカリの観点からは、やはりこれを大事だと考えているのですが、シラバスの事例などを見ると、本当に1回ほど言葉だけ、「情報機器活用」、「ICT機器活用」などという言葉だけが入っていて、内容と結びついた指導法の中身が見えないんです。信州大学のほうで何か工夫されていること、あるいは、小学校と中学校両校種免許を取らせるということであればその辺の連携だったり、小学校の教科間の統一的な方針だったりというのがもしありましたら教えてください。

【佐藤助教】 ありがとうございます。本学、コンピューター利用教育、こちらのほうで比較的スキルアップがされている状態で、各教科の指導法のほうに向かっていきますので、各教科の指導法では、何かICTスキルを育成するとか、何かを使えるようになるとかという観点でなくて、使えたことを前提にして議論がされているというふうに私は捉えておりますけれども、例えばそういうような構造がなければ、やはりまずICTが使えるとかスキルとか、そちらのほうに主眼が置かれてしまって、なかなか教科でどう教えていくかということにつながりにくいのではないかというふうに、私自身は捉えております。

それから、先ほどから申し上げておるんですけれども、教育実習で学んできたことをやりたいというふうになっていても、学校現場にそれがなかった。ですから、あまり使えなかったという現状はこれまでもあったかなというふうに捉えております。ありがとうございます。

【加治佐部会長】 それでは、橋本委員、お願いします。

【橋本委員】 ありがとうございます。橋本です。お二人の先生には、具体的な取組が分かる報告をいただき、ありがとうございます。私のほうからは、いろいろと京都府のほうがお世話になっております佐藤先生にお尋ねをしたいと思います。

1点目は、2年次のコンピューター利用教育で、全てのコースの教員が担当されるということですけど、それに加えまして、必要に応じて、センターの専任教員、事務スタッフと取り組むというのがあるんですけど、この辺り、必要に応じてというのはどういうケースで、どんな関わり方をセンターの職員がされるのかというのが1点です。

それからもう1点は、お話をお聞きしていて、特に3、4年次の選択科目の具体的な内容がなかなかすばらしいと感じました。情報機器活用指導法で、オンデマンドによる授業分析をして、また授業分析を対面でやり、双方向オンラインを使って実際に教えていらっしゃる先生にも参加いただいて学ぶという、こういうやり方というのはかなり中身が深まっていくんじゃないかなというふうに思います。

我々教育委員会としては、養成段階で実践力を身につけていただくということは非常にありがたいことでありますけれども、あくまでもこれは選択科目ということですので、受けられない生徒さんもいらっしゃるわけです。実際に学校で教えるという場面を想定したときに、即戦力的な意味合いで、この選択科目を受けた学生と受けていない学生にどれぐらいの力の差があると思われているのか、その点をお聞かせください。

【佐藤助教】 橋本教育長、ありがとうございます。

1つ目、センターとの関わり方でございますけれども、例えば小学校プログラミング教育が始まった際には、やはり先生方がどういった教材を扱えばいいかとか、そういったことが細かいこともよく分からないということから始まっておりますので、最初のスタートアップの教材の準備であるとか、あとは研修であるとか、そういったことに取り組んでいるところでございます。

例えば、今年でしたらオンライン授業が前提でしたので、センタースタッフがオンライン授業はどう言って取り組んでいくかという研修を、前期が始まる前に、大体4月の下旬から始まりましたけれども、そこまで大体6回ほど全教員に行っているというところでございますので、小学校プログラミング教育も、遠隔・オンラインに関しても、その都度できないことはどんどんやっていきましょう、サポートしていきましょうというような、そういった関わり方をしております。

2つ目の選択科目に関しましては、どのくらい即戦力になるかというお話でございますが、基本的には学生たちが授業をしていないというか、受けている立場でございます。これからマイクロティーチングを実践していこうというふうに考えているところでございますけれども、そういった観点からいくと、実践力があるかと言われたら、実践力があるわけではないというふうに考えておりますけれども、ただし、GIGAスクール構想であるとかICTを活用した授業が、これから研修を受けたり、あるいはほかの先生方の授業を見ていく中で、イメージはすることができると思います。このイメージができるかできないかというのは非常に重要な問題だと思っておりまして、日々GIGAスクール構想に関する研修、我々はやっておりますけれども、やっぱり今までの授業と違いますので、イメージできない先生がたくさんいるのではないかという観点からいきますと、まず学生、養成段階で、きちんと授業がイメージできるということをしておくことが非常に重要かなというふうに捉えておるところでございます。以上であります。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

あと、秋田委員から手が挙がっておりますが、よろしいですかね、ほかの先生方。それでは、秋田委員までにしたいと思います。秋田委員、どうぞよろしくお願いします。

【秋田委員】 ありがとうございます。非常に具体的にありありと、こういう方向でこれからの教職課程をつくっていけばいいんだということを、今日、お二人のお話から伺うことができ、大変ありがたく思いました。

その中で、佐藤先生のほうは、今もお話があったんですが、教職課程に関わる教員全体のFDというか、特定の担当の先生だけでなく、先ほどオンラインの研修になったんで五、六回使い方の研修をされたというお話はあったんですが、教員が使えるようにするという研修と、それから教職課程としてどのような形で全員に向けたFDや、プログラミングにもそれぞれの先生が関わられるときにどのようなガイダンスなどをされておられるのかというところを伺いたいと思います。

それから、稲垣先生も、今後、来年全学的に情報リテラシーの問題をやっていかれるというお話があったので、御自分だけではなくて大学の教職課程の体制として、そういう担当教員向けのガイダンスとかをなさる予定なのかというのが1点伺いたいところです。

それから2点目が、佐藤先生の授業です。本当に具体的で面白いなと思って、小中両方の免許が取れるわけですけれども、主に小学校のお話を中心にされているような気もしまして、むしろ中学等は、教科教育法の方でやるというようなイメージなのか。その辺り、稲垣先生のほうも、中高の英語と、それから、小学校も取れるということですが、学校段階の校種別のところで何か意識などをされていることがあれば、ぜひ教えていただきたいと思います。以上2点です。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。それでは、2つの御質問に対して、稲垣先生から御回答をお願いします。

【稲垣教授】 ありがとうございました。まず、1つ目御質問いただいた、大学の教職課程の体制として、担当教員向けのガイダンスをどうしていくのかというところに関して、まだ明確な答えが出ているというわけではないんですけれども、例えば今現状、導入しているeポートフォリオであるとか、あるいは学習支援システム、いわゆるLMSですよね。そういったところの活用に関しては、ほぼ教職課程の担当教員は全員できるような状況にはなってきておりますので、そういったベースとしてのインフラというのは、ある程度整ってきた状態ではあります。

その上で、各教科の指導の中でどういったところが有効なのかというところについては、ある程度特に教育学科に関しては得意な教員が比較的多い学科ではありますので、現状既にある程度やられているんですが、ただそれを何というか、カリキュラムとして見える形にはやっぱりなってないところがありますので、そこに関してはもう少し具体化していく必要があるのかなというふうに認識しております。

それから、もう一つの校種別の話で言いますと、先ほど申しましたとおり、小学校段階のほうを担当している教員、それから中高の英語教育のほうを担当する教員、それぞれICTに関してはかなり堪能な教員がいるという状況なので、実際の学習指導の中でもそれぞれの教科指導において、このようにICTを活用していくんだという話は、意識してやっていただいております。なので、私のほうの科目としては、校種を特に意識するというよりも、全体としては、小学校の教員志望のほうが多いので、小学校に若干軸足を置いた形で、講義としてはやっているという状況にはなっております。

【加治佐部会長】 佐藤先生、お願いします。

【佐藤助教】 御質問ありがとうございました。

FDに関することでございますけれども、例えば今年の教員全員、それから学生全員が、各オンライン授業できるという体制をつくっていくときのプロセスですけれども、まず初めに、全体で教員に対して、遠隔・オンライン授業のFDを実施していく中で、その中で各コースの教員が、各コースの学生に責任を持ってほしい。伝える、教えるということをやってまいりました。そういったことを踏まえていくと、FDへの取組の姿勢であるとか、技術の習得にかなり有効だったんじゃないかなというふうに思います。多分普通でしたら、こういうICTの担当の者が、学生全員に教えるみたいなことがあるかもしれませんけれども、各コースが責任を持つというところが非常に有効に働いていたように考えているところでございます。

2つ目の講習に関しましても、こちらも稲垣先生と似ているんですけれども、どちらかに何か分けているということはないんですけれども、どちらかといいますと、本学も小学校の志望者が多いので、小学校に主眼を置いているというところは現状でございますけれども、各教科の指導方法の中では、各教科のエキスパートの先生方がされているので、その中で資質・能力を向上していくということがされているというふうに捉えているところでございます。ありがとうございます。

【秋田委員】 ありがとうございました。

【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。

稲垣先生、佐藤先生、本当にありがとうございました。非常に分かりやすいプレゼンと、それから、明確な御回答をいただいたと思いました。本当にありがとうございました。大変参考になりました。

それでは、議事の2のほうに移ってまいります。こちらもヒアリングですが、教職員支援機構の清國つくば中央研修センター長、福井県総合教育研究所、牧野所長、山内教職研修センター長に御協力いただきます。どうぞよろしくお願いします。

ではまず、教職員支援機構の清國センター長からお願いいたします。資料2-1ですね。15分ほどで、どうぞよろしくお願いいたします。

【清國センター長】 お願いします。独立行政法人教職員支援機構つくば中央研修センター長の清國でございます。本日は、当機構にこのような報告の機会を与えていただきまして、心より感謝申し上げます。短時間の報告となりますが、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、ファイルの共有を。

2ページ目にいきまして、まず、本時の報告の前提となります教職員支援機構の概要について、簡潔に説明申し上げます。当機構のレゾンデートルを簡潔に申し上げますと、教員の養成・採用・研修を通じた体系的・総合的な支援拠点であって、関係機関をつなぐ役割を果たすということになります。この図のように、当機構は研修の高度化・体系化と調査研究、連携・協働、この3本柱で事業を展開しております。本日は、教員研修の現状と課題というテーマをいただいておりますので、赤い丸囲いに当たる、全国の教職員の資質向上のために、機構が主催している研修事業について報告をさせていただきます。

こちらの画面は、機構ウェブサイトのトップページにあります、教職員支援コンテンツに誘うスライドショーになってございます。これらオンライン動画は、実は平成29年より、校内研修シリーズというカテゴリーで提供を始めました。校内研修の問題提起となる内容で、20分前後にまとめられています。これら動画の再生回数は、本年4月から急激に伸びました。

次のグラフになります。令和元年度の月平均の視聴数が3万回強でしたが、令和2年度に入りますと、月平均10万回に迫る伸びを見せました。学校で複数の教員が利用している現状を考えますと、視聴した教員数は、ここにある3.2倍をさらに超えていると考えております。このデータが、令和2年度のオンライン研修への移行を後押しする1つの根拠ともなりました。

続きまして、当機構としましては、令和2年3月の段階で、夏季休業に入る前までの研修を中止・延期をするという措置を取りました。緊急事態宣言が解除された5月以降、感染状況は小康状態が続き、7月末から集合型の研修をどうするか、その再開に向けて難しい判断が迫られました。結果的に、全国の教職員の感染リスクを冒してはならないという組織の判断の下、6月に入った時点で全ての研修を、eラーニングシステムを活用したオンラインに移行して実施するという決定をしました。まずはZoomを使った教職大学院向け集中研修講座を計画して、8月末から実施いたしました。続いて、eラーニングシステムを活用した教職員等中央研修を9月から、指導者養成研修を11月から実施することとしました。コロナ禍において、研修内容の全てを収録し、システムで配信するには多くの困難がありましたが、機構一丸となって取り組むことで、何とか計画どおりに進めることができました。

続いて、具体的なイメージを共有するために、数字を含む概要を説明いたします。教職大学院には現職教員が在籍しておりますので、これまで研修への受入れを行ってまいりました。今年度は、研修の開催時期がずれ込むということもありまして、大学の夏期休業中の教職大学院向けのプログラムを別途整えました。Zoomを使ってオンラインで実施していることもあって、例年の2.4倍の受講者を得ることができました。

続きまして、教職員等中央研修のほうです。この要項の一部を御覧いただきますと、5つの研修から成っています。これをできるだけ受講者の方々の便宜を図ろうということから、12週間連続して実施することにいたしました。Eラーニングシステムを利用しておりますので、システム上はいつでも受講できるということではありますが、教職員の働き方改革、あるいは研修への専念による質の確保のために5日間の研修の期間を明示いたしました。教育委員会等からは推薦をいただくという方法取っていますが、それも変更せず、同じように実施いたしました。12週間にわたる受講期間が、やっと先週終わったところです。

続きまして、どのようなプログラムかということです。PCの画面を見続けるオンライン研修というのは、通常の対面講義よりも受講者の疲労がたまりやすいということが既に分かっておりましたので、1回の講義の時間は90分を原則としました。通常の集合型研修に比べると、講義内容を厳選し、リフレクション、振り返りの時間を充実させました。最終日は、課題レポート作成の時間を熟慮し、考えをまとめるという時間として確保いたしました。

続きまして、教職員等中央研修の受講者数を御覧ください。前年度比1.13倍ということで、微増でございました。これは推薦元である教育委員会等が、例年どおりの推薦の方法を踏襲したためと受け止めています。一方で、このことが中央研修の特性を物語っているものというふうに推察をしております。このデータは、後述する令和3年度の計画づくりへの参考にもなりました。

続きまして、指導者養成研修ですけれども、これを11月から開始いたしました。表のとおり、受講者数は1.6倍に増加しております。これは推薦元である教育委員会等の対応が、教職員等中央研修とかなり異なっているということがうかがえるのではないかなと思っております。もちろん推薦という手続は取っていますが、いつもと違う動きがあったということです。実際に幾つかの学校の情報ですが、研修参加の希望を取る校内の回覧があったということです。これも後述する来年度以降の計画づくりに生かされています。

さて、数字で突出しているのは、「学校教育の情報化」です。前半のところでも話題になっておりました。これについては、この時期のことですから、容易に想像がつきます。次の「幼児教育」ですが、圧倒的に女性の職場であるわけです。集合型研修では参加できないが、オンラインでは参加できるというようなことが如実に表れているものと理解をしております。基本的にはオンライン化することによって、受講者数は増加をしております。

続きまして、アンケートについて、中間の報告とはなりますが御覧ください。まだ半数程度の回収となっておりますので、本当に中間ということです。一方向のオンライン研修という制約はあったのですが、講義の内容については、高い評価をいただいております。例年と比較して有意義だという比率は変わらない、全ての研修で95%を超えておりますが、大変有意義だという比率は、昨年よりかなり落ちているという理解をしていただければと思います。

その理由ですが、講師に質問したり、名刺を交換したりという関係が持てなかったこと。それから、受講者同士の演習の時間がなく、個人のリフレクションではちょっと物足りないという内容が大半を占めてございます。一方で、eラーニングシステムを使った動画の再生のため、自分のペースで繰り返し視聴ができる、そういうところにメリットを感じてくださっている受講者の方もいらっしゃいます。また、移動に伴う時間と経費が削減できて、家庭との両立が可能であり、この方法をアフターコロナでも継続してほしいという意見もございました。

ここまでが、研修環境の変化によって何が起こっているのかという現象を御報告いたしました。続きまして、研修のそもそも論についてお話を申し上げます。

教職員支援機構の提供する、教職員研修はどうあるべきかという問いです。新しい知識・技術を身につけることに終始してよいのかという問いでもあります。既に中央教育審議会の答申にも示されているとおり、その使命は、学び続ける教員像の具現化にあるだろうと考えています。つまり、今日明日役に立つ知識や技術に傾注するのではなく、問い続け、考え続け、挑戦し続ける態度を育成するための研修でなくてはならない。そういう思いを持ちながら、研修に取り組んでいます。

続きまして、平成29年に教職員支援機構へと転身を図るわけですけれども、その理念がここにあったように思います。その前後から機構として取り組んできたことを、簡潔に紹介します。

教職員等中央研修を、学校のあらゆるマネジメントを中核とする研修へと転換を図りました。具体には、そこに書いてございますような関連科目を、研修のコアな科目に位置づけています。さらに各科目では、講師に考える課題を提供していただき、小グループで考え抜く演習を意識していただいています。また、研修がどう活用されたかが重要であるため、1年後まで追跡して、成果活用レポートの提出を義務づけています。参考までに、次からの3つのシートにレポートの項目を紹介します。

まず、最初のまる1、まる2、まる3とあるのですが、成果活用レポートの項目です。これは機構として、全国からグッドプラクティスを集めて表彰するNITS大賞というものがあるのですが、それと様式を統一しております。また、研修の成果を活用することで、NITS大賞へ応募できるような仕掛けにもしています。まず解決すべき課題を定め、その実現に向けた目標、方針を設定し、活動内容につないでいきます。

続きまして、まる4、まる5になりますが、活動に取り組むことによって得られた成果をまとめてもらいます。できるだけ客観的な評価ができるように、グラフや図表に落とし込みながら、プロセスと結果を可視化すること、これをお願いしております。もちろん全てが数値や図表に表すことができるわけではありませんので、アピールポイント、それ以外の特記事項についても記載をしていただいております。グラフ等はその次のシートになりますが、これは1人で取り組んでつくるということではなくて、組織で仲間と取り組むことで、学校改善へ向けた意識と行動が学校全体に広がっていくということを狙ってもいます。受講者のこのような働きかけも、研修の重要な役割だと認識をしてございます。

続きまして、直接研修以外に、機構としてはこのようなことをやっております。冒頭に紹介しました、当機構のトップページに示しております20分間のオンライン講座です。学校改善に向けた校内研修シリーズ、教員の自己学習を支える新学習指導要領編、アクティブ・ラーニングの普及・定着に向けた研修プランシリーズ等で構成されています。こちらについては、YouTubeにて配信をしております。多くの教職員の方々に御活用いただいているというのは、先ほどデータでも示ししたとおりです。

続きまして、改めてということになりますが、予測困難な時代を生きる子供たちの教育に重要な責任を有する教職員です。そのために必要な資質や能力は、計画的に身につけていってもらう必要があります。その重要な手段が研修です。限られた時間の中で、ますますその重要性は増していきます。この研修をよりよいものにするため、また、研修を点から線、線から面にするためにどうあるべきか。その際に必要な視点が、教職大学院や教育センター等との連携・協働です。それぞれに得意とする資源と機能を持っております。これらを有機的につなぐことが必要です。そこで新たな関係が構築されることで、教育人材育成の全国的な体系化が図られると考えております。そのネットワークの要となるのが、教職員支援機構ではないかと考えております。

来年度の研修の見通しについて、簡単に触れます。コロナ禍において、ICTがより身近となっております。その技術革新が新しい生活様式を支える手段となりそうです。そのような社会変化に伴って、学校の在り方にも、教員の働き方にも変更が迫られます。そこで当機構では、新しい研修様式を構築するため、令和3年度の研修事業の方針を次のように定めています。

職階別、世代別の教職員等中央研修は、集合・宿泊型研修を軸にしつつ、オンライン研修との組合せで効果を高めます。当研修では、地域リーダーの育成と、全国の人的ネットワークづくりを行います。教育課題別の指導者養成研修では、オンライン研修へ移行します。多くの教職員が、全国各地から受講できるようにします。オンライン研修の中に質疑応答等の講師との関わりや、受講者同士のグループ演習も組み込みます。令和3年度から始まる第6期中期目標計画期間に調査研究と両輪で研修を動かし、研修のベストミックスやハイブリッド化の成果を全国に発信します。

次のページですが、学習指導要領に明示されております学校改善を達成するためには、研修がどうあるべきかということを考えてまいります。学校には、様々な課題や改善の視点があります。新時代の教職員に求められる力は、今あるものをよりよくする力、すなわちリ・デザインする力ではないでしょうか。そのために学び続け、問い続け、考え続け、挑戦し続けることを丁寧に研修で伝えてまいりたいと思います。

最後、「おわりに」ですが、全てはこの絵に通じます、教職員支援機構のミッションを果たすことが、研修の未来を開くだと考えております。

どうも御清聴ありがとうございました。

【加治佐部会長】 どうも清國センター長、ありがとうございました。

それでは、続きまして、福井県教育総合研究所の牧野所長、山内センター長、どうぞよろしくお願いいたします。

【牧野所長】 本日は、福井県の教員研修について御報告できる機会をいただきまして、感謝申し上げます。

御存じのとおり、本県は人口76万の小規模県でありまして、本研究所におきましては、県立・市町立学校の教員、約7,000名おりますけれども、これら7,000名の教員を対象に、主体的に学び続ける教員の育成を目指し、教員育成指標に基づいた研修プログラムを実施しております。

本県の教員は、基本的に校種別採用でありますが、毎年、小学校、中学校間で25%前後の人事交流がございます。また、幼児教育も推進されておりまして、小学校との接続、あるいは中学校、高校間の連携した研究授業。これは県内ブロックごとに展開されているわけですけれども、そういった教員が子供の発達段階、あるいは校種ごとでの学習内容を見通した教育活動が展開できるように、また、このような福井の教育をしっかりと受け継いでいけるような教員を育てるために、世代間、あるいは校種間をつなぐという、そういう研修を取り入れております。

これが大きな本県の研修の特徴でございますが、もう一つの特徴としましては、地元の福井大学との共催で、10年に一度、悉皆研修として、中堅教諭等資質向上研修を行っているということが挙げられます。

それでは、ただいまから、教職研修センター長の山内から、具体的に本県の教員研修の概要につきまして報告をさせていただきます。

【山内センター長】 山内でございます。引き続き説明させていただきます。よろしくお願いいたします。

それでは、別データでお配りしてあります、本県の育成指標のほうをどうぞ御覧ください。本県の育成指標は、キャリアに応じた立ち位置を確認しながら、身につけるべき資質・能力を意識できるようにつくられております。幼稚園から高校までの18年間の教育を視野に入れ、子供たちの成長や学びを見ていく教員となれるよう、教員養成に係る県内大学と学校関係者、PTA、県教育委員会による協議会を開催し、策定したものです。横軸に各ステージ、縦軸に身につけるべき資質・能力を示しています。

令和2年度には、最上段に福井の教育が目指す育てたい人間像を掲げ、さらには下ほどのマネジメント・人材育成のところに、働き方改革に向けて、業務改善の項目を新たに追加しました。また、働き方改革という点では、令和元年度にこれまでの研修を見直し、大幅な効率化を図りました。そして現在も、初任者研修における宿泊研修の日程の短縮を実施したり、様々な研修形態を取り入れるなどの工夫をしているところです。

では次に、その研修形態について御説明します。本県では、4種類の研修形態を軸にしています。まず、集合型研修です。本県でクロスセッションと呼んでいる、世代や校種を超えた実践研修を基にしたグループ協議や模擬授業などの演習や実習を中心としたものです。実際に集合するからこそ、効果が高まる内容を組み込んでいます。

次に、遠隔型研修です。本県では平成28年から3年間で、県下全小・中・高・特支及び研修センター等の機関に遠隔授業研修システムを整備し、双方向オンラインで研修機関と学校、あるいは学校間を結んでの研修が可能となりました。今年は初任者研修において、県内6エリアの各拠点に集合する受講者をオンラインでつなぐハイブリッド型研修を実施しました。移動距離、移動時間の負担を軽減することで、児童生徒に向き合う時間を生み出すことができます。

そして、通信型研修です。これはオンデマンドによるもので、授業づくりや学級づくり、ICTやマネジメント等について、教育総合研究所の所員による手づくりの研修動画で、研修所員が所属部署を越え、横断的に協働して自作した100本以上のコンテンツを配信しております。受講者が見たいときに、そして、繰り返し見ることができます。また、各研修における事前研修として視聴を位置づけることで、演習効果を高め、集合型研修の日程短縮などの効率化にもつなげております。

最後に訪問型研修です。授業づくりや学校マネジメント、プログラミング教育等、学校のニーズに応じた実践的な内容で、各市町の教育委員会と連携しながら、研究所員が学校を訪問して実施し、OJTの促進に向け支援を行っております。年間約700件程度実施しております。

これらの4つの研修形態をバランスよく取り入れ、働き方改革を実現しながら、効果的・効率的な研修を目指しております。

次に、本県の基本研修、職能研修の特徴について御説明申し上げます。縦軸は、育成指標のステージに対応しており、それぞれのキャリアに応じた基本研修、職務研修となっております。これらの研修を縦に貫くのがステージ・校種・教科を超えたクロスセッションです。冒頭でも所長が述べましたが、本県では、世代間、校種間をつなぐということを重視しております。教員数が約7,000人という人数規模を生かし、福井県の教員全体で学び合う研修を実現しております。

また、研修の柱として、クロスセッションを実施することができるのは、本県の研修に、これはスライドの青色の部分ですが、中堅教諭等資質・向上研修を、福井大学と共催で行う10年に一度の悉皆研修として位置づけていることや、これは緑色の部分ですが、3年間かけて行う若手教員研修に継続的な授業実践研究を見込んでいるといった特徴があるからです。

次に、このクロスセッションの内容や狙いについて御説明申し上げます。クロスセッションは、世代や校種、教科を超えた学びの場として、自身の実践を基にして語り合い、聞き合う形の研修です。まず、経験年数の異なる若手教員同士、初任者・2年目・3年目で行う11月のクロスセッションです。3年間の若手教員研修では、毎年、授業実践研究を行います。このクロスセッションでは、意図的に同一の校種や教科でグループを組み、専門性の向上を狙っています。研究テーマ設定から実践、まとめ、省察のサイクルを身につけ、学び続ける教員としての基盤を築きます。また、3年目の教員のリーダーシップの伸長も狙いの1つです。

次に、初任者・3年目・中堅1で行う2月のクロスセッションです。中堅1の教員は、ちょうど第1ステージから第2ステージへ移行する期間に受ける研修であり、若手と中堅でステージを超えたグループで組み、11月とは異なり、校種や教科の異なるグループを組んでいます。中堅教員がファシリテーターを務め、それぞれの実践の取組の価値や課題について引き出します。若手教員にとっては、中堅教員の実践やファシリテーターを務める姿に、キャリアアップの展望、近い将来の理想像を感じる機会となります。

そして、30代、40代、50代で行う中堅教諭等資質向上研修におけるクロスセッションです。3つのステージを超えた学び合いや、30代から50代のキャリアの長期的展望を持つことを狙いとしております。

次のスライドで、本県における中堅教諭等資質向上研修について詳しく御説明いたします。法定研修である中堅教諭等資質向上研修を、10年経験前後に一度限りで実施することも考えられますが、本県では、中堅教諭等資質向上研修を福井大学と共催で行う10年に一度の、つまり10年ごとの悉皆研修として位置づけております。その中で、30代、中堅Ⅰ、40代、中堅Ⅱ、50代、中堅Ⅲという3つのステージをつなぐクロスセッションを取り入れ、福井県の育成指標に基づいた資質・能力を育成することができます。3日間の中で何度もグループを組み替え、同世代、異世代、異校種、異教科のグループ協議を通して、長期的な展望の視点を持ち、キャリアアップにつなげることができます。そして、福井大学と共催で行うことで、教員免許状更新講習に読み替え可能とし、最新の知識・技能を習得すると同時に、受講者の免許状更新の受講費用や、受講日数の負担軽減にもつなげております。数日後には、今年最後の実施を控えております。

また、30代で受講する、旧10経年に当たる中堅1の研修では、3日間の共催研修以外に、教科やICT活用に関する研修、社会体験研修の5日間の校外研修もございます。

クロスセッションのイメージを持っていただくため、研修の様子を写真で御覧ください。この写真は、コロナ禍以前の昨年度の様子です。県内3つの会場ごとに実施日を分け、受講者が3日間通いやすいようにしております。5~6人のグループで、異世代の教科・校種を超えたグループ構成となっており、多様な視点でグループ協議を展開しております。また、新任教頭が研修の一環としてファシリテーターを務め、管理職を巻き込むことで、質の高い研修となっています。

これは、昨年度末に実施した教員育成指標活用アンケートの結果です。無記名で、管理職、第1ステージ、第2ステージ、第3ステージの各1名、1校当たり計4名が回答しています。全体的に見て、「活用している」が50%を下回っており、活用度はあまり高くないことが分かります。ステージ別では、管理職は「活用している」が70%と高く、第2ステージが低くなっております。校種別に見てみますと小学校が一番高く、高等学校が一番低い結果となっています。これらの原因として、どのように活用していけばよいのか、イメージしにくいことがあるのではないかと考えています。

「活用している」と答えた方に、それはどんな活用方法ですかと自由記述で聞いたところ、「育成すべき資質・能力の確認」や、「研修時に意識を持って臨む」や、「目標管理表作成や面談に使う」といった具体的な記述がありました。今後、このような活用イメージを示していくことが重要であり、さらなる周知・活用を広げていくことが必要であると考えます。

育成指標に基づいた資質・能力についての意識化という点で、集合型研修では、研修の最初に、研修内容と関係の強い育成指標の中の資質・能力について説明し、意識化を図り、研修後には、どの程度それらの項目を意識して研修に臨めたかを振り返ります。また、各研修における振り返りだけでなく、クロスセッションに合わせて、自身の意識や取組が変容した資質・能力はどういったものか、今後高めていきたい資質・能力はどのようなものかといった点を、それまでに取り組んできた授業実践や教育実践を振り返り、自身で意識化します。

11月のクロスセッションでは、中間の自己評価を行い、2月のクロスセクションでは、年度末の自己評価にあたります。そして、これらの振り返りの結果は、受講者自身の意識化だけが目的ではありません。研修を運営する側として、受講者の実態を把握し、よりよい研修を実施するための材料ともなります。

これは、1~3年目の若手研修の11月の自己評価の集計結果です。若手に求められる資質・能力の中で、項目ナンバー2番ですが、「自ら学び続ける基盤の構築」や、項目ナンバー10番ですが、「主体的・対話的で深い学びへの工夫」といったものが、意識や取組の変容度が最も高いものとして見て取れます。

次に、受講者自身が育成指標に基づいた研修事項を計画するための方策について御説明いたします。本県では、教特法の改正、教員育成指標の策定に合わせ、平成29年度から研修講座の申込みと受講履歴の閲覧機能を備えたシステムの運用を開始しています。基本研修や職務研修、教科研修等の受講履歴が閲覧可能です。しかし、受講履歴を閲覧するだけでは大きな効果は期待できません。今後、研修で作成したレポート等をシステムにアップロードする機能を強化し、ポートフォリオ機能を備えた、過去の実践の省察に活用できるシステムとして、周知徹底していく予定です。

これは行動目標とキャリアシートです。資質・能力を自己評価し、主体的なキャリア形成につなげるため、各ステージの育成指標の行動目標を具体的に設定しています。例えば、第1ステージは、指導力の行動目標を多く設定していますし、第2ステージから第3ステージに進むにつれ、マネジメント、人材育成、連携・協働の行動目標が多くなっております。なお、レーダーチャートによる自己評価もできるようになっております。このシートを基に、校長面談において、業務面だけでなく、資質・能力面についても、管理職と確認することが可能となります。

このように、福井県では教員育成指標に基づき、幼稚園から高等学校までの一貫した教育を実現するため、自身の立ち位置を踏まえ、教員生活のキャリアを見通しながら、主体的に取り組むよう、教員研修を行っております。

以上で、本県の発表を終わります。ありがとうございました。

【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。

それでは、意見交換に入りたいと思います。手を挙げるボタンを押していただきたいと思いますが、御発言はできるだけコンパクトにお願いいたします。いかがでしょうか。どなたも手が挙がっていませんかね、今のところ。平野さん、どなたか挙がっていますか。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 立田先生が画面で手を挙げていらっしゃいます。

【加治佐部会長】 立田先生、画面でね。立田委員、お願いします。

【立田委員】 すみません、マークがつかなかったようなので。よろしいでしょうか。

【加治佐部会長】 はい、どうぞ。

【立田委員】 初めに、教職員支援機構の清國センター長のプレゼンの中にグラフや表が幾つかありましたが、それについての感想です。まず、オンライン講座の活用実績のグラフで、前年度から利用者が3.2倍になっているということでした。特に今年4月、5月の全国的な休校期間に大きく伸びているというところは、私自身の肌感覚とも全く一致するところです。私の勤務校の場合ですと4月、5月は、教育委員会から、職員室でも密を避けるために、日替わりで7割から8割、在宅勤務をしなさいという趣旨の通知が来まして、在宅勤務の期間にNITSのオンライン講座のコンテンツが、在宅中の勤務内容として非常に有効活用されていたという実態があります。

中にはNITSの存在自体をそれまで知らなかった教員もいましたが、これをきっかけに知るようになり、6月の学校再開後も、興味のあるテーマについて視聴を続けているという実態もあります。

2つ目に、指導者養成研修の受講者数の多いものとして、1つは情報化ということでした。これはGIGAスクール構想のこともあって、ニーズが非常に高いということだと思います。それから幼児教育については、女性の方が主たる対象ということで、オンラインによって育児などとの両立が図られているということかと思います。そういった内容に受講者が多い傾向があるということがよく分かりました。

これらを踏まえて、また福井県の御提案とも関連してなんですが、NITSからも福井県からも、学び続ける教員という言葉が出てきまして、教員には学ぶ意欲があり、必要感があれば学ぶんだなということを改めて感じた次第です。今、子供たちの学びが主体的でなければならないということが言われているわけですが、やはり、教員の学びも主体的でなければいけないなということを感じました。

ただその一方で、これまで免許更新制について議論をするときに、やらされている講習であるとか、受け身の講習であるとか、そういった言葉が出てきました。やはり、そこをどう主体的な教員の学びに結びつけていくか、ギャップを解消するかということが大事だと思います。そして、そのギャップの具体的な埋め方という点で、福井県の中堅研修1、2、3は10年ずつ経過しながら計画的に研修をやっているという点で、大きなヒントになったのではないかな、という印象を持ちました。ありがとうございました。

【加治佐部会長】 御回答はよろしいですか。

【立田委員】 もし何か所感があればお願いします。

【加治佐部会長】 もし清國センター長から、何か今の御意見に対してコメントでもありましたらお願いします。

【清國センター長】 立田先生には、的確なデータ分析をいただきましてありがとうございます。おっしゃるとおりだと、私も感じております。

それで最後のところで、学び続ける教員像をどういうふうにつくっていくか、そこのところで、今年度の研修では届かないところ、やはり切磋琢磨すると言いますか、お互いに刺激を受け合うという集合型研修のよさというんでしょうか、そういったものもありますので、それこそ集合型の特性とオンラインの特性をうまくミックスするということが、福井県さんの事例にもあったんですが、そのようなことを最大化するために何が必要かということを、今後いろんなチャレンジをしながら、機構としても蓄積をしていきたいと思います。どうもありがとうございました。

【立田委員】 ありがとうございます。

【加治佐部会長】 福井県のほう、いかがですか。よろしいですか。じゃあ牧野所長、どうぞ。

【牧野所長】 福井県はやはり小さい県で小回りが効くといいますか、地域性といったこともあり、独自性が生まれているのではないかというふうに思います。教員全てに共有できるかどうかはまた別でございますが、やはり教員の意欲向上、子供を目の前にしていろいろ教員が語り合う、こういう場をしっかりと設定する。そして、学び続ける教員をしっかりと福井県としては生み出していくというスタイルを堅持していきたいなというふうに思っています。よろしくお願いします。ありがとうございました。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

ほかの委員の方、いかがですか。では、秋田委員、どうぞ。

【秋田委員】 ありがとうございます。福井県の研修と育成事業のところに関して教えていただきたいんですけれども、いろいろ大学の教職大学院とつながってクロスセッションをされたり、大変インパクトがありました。今回、通信型の研修というのが第1ステージ向けに充実させて、研修員の方がつくっていらっしゃるという研修部分についてお聞かせください。どちらかというとそれ以外のところの集合型のお話のほうが本日は多かったので、第1ステージの初任のところで、通信型であまり現場を離れずやれるような部分と、集合型を組み合わせていらっしゃるというところなんですけれども、最初期のところが、育成指標などのステージ別を見ても、アンケート等でも、管理職とともに第1ステージは評価が高いんですけれども、どのような内容、工夫をこらした通信型をされているのかというようなところが、これからオンライン等のこともありますし、教えていただけたらと思います。以上です。

【山内センター長】 秋田先生、質問ありがとうございます。

通信型研修につきましては、今般の学習指導要領の改訂を見越しまして、昨年度は小学校の学習指導要領に即した内容で、所員がつくっております。それから、今年度は中学校を中心に、所員が部署を横断的に、新しくコンテンツを作成しております。

秋田先生の御質問なんですけど、この通信型研修のよさと申しますのは「いつでも・どこでも視聴できる」ということのほかに、内容的に第1ステージ、つまり、若手のほうに焦点化しまして、知識的なものと申しますか、学習指導要領の本質的な部分につきまして、集合で講義型で聞かなくても、通信型、オンデマンドとすることによって、確実にその知識・内容を若手の教員に伝えることができるようなものとなっております。以上です。

【秋田委員】 ありがとうございました。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

それでは、高橋委員、お願いします。

【高橋委員】 高橋でございます。NITS、福井県の発表を聞きまして、大変ありがとうございました。参考になりました。

偶然にも私、NITSの情報化の研修のビデオにも、福井県の今回オンデマンドの講習にもやらせていただいたんですが、そのほかの地域も含めまして、今後、私自身もオンラインの研修というのがすごく増えていくなというふうに思っております。その中で今のところ、集合研修の講師の話をビデオに置き換えて配信していくというぐらいの活用が、それでもかなり準備が大変で、置き換えていくのは大変だと思うんですが、そういった感じのことが多いような気が少ししております。

例えば、GIGAスクール構想に関する研修であっても、向こうで聞いている先生がパソコンを持たずにノートと鉛筆で聞いているという、なんかちょっと説得力がないような研修が各地で起こっています。私もこうやって講師でしゃべって、同時に課題を共同編集でしたいなと思っても、話を聞くだけみたいなことがあったり、そういうときに例えば、特別支援教育とかの研修であっても、1人1台のコンピューターを持って、何か意見を交わしながら講師の話を聞くとか、今、研究授業等でもビデオ配信増えていますけど、ビデオ配信だと受講している人が語りながら授業が参観できて、生で見るときよりもおしゃべりができるので、実際にはビデオもなかなかいいんじゃないみたいなことも意外と起こっていたり。単に講演を動画に置き換えるだけではなく、プラス何かを加えた研修が求められていると思います。

先ほどから、学び続けるとか主体的な教師の学びを促したいみたいな発言があると思うんですが、主体的に学んでいるのであれば、学習の履歴をきちんと取ってあげて、それを蓄積して自分の糧にしたり、何らかの評価に結びつけるみたいな、新しい発想の遠隔の研修というのが考えられるんじゃないのかなと日々思っているんです。NITSはこの後検討会で3年ぐらいというお話も出たと思いますが、そういった新しい取組について、もし検討がございましたら教えていただければ幸いです。以上になります。

【加治佐部会長】 どうぞ、清國センター長。

【清國センター長】 高橋先生、どうもありがとうございます。これからというところですので、何か明確な根拠に基づいてという話にはならないのですが、いろいろ試したいなと考えています。

私がオンラインで学習するときに、集合学習と比べると何かデュアルというか、資料を横に置いたり、関連事項を検索したり、必ずしも1つのことに集中していないのですね。複数のものを見ながら学んでいるという、その学び方自体がオンライン化によって、ICT化によって変わってくるような気がしているんですね。

例えば、今、NITSで言えば、メールマガジンで、専門家の先生に毎週毎週コラムを書いていただいているのですが、それを音声に変換して提供したらどうだろうか。全国的に見ると、車で通勤される先生ってかなり多いと思うんですね。その通勤途中に運転しながら聞くとか、運転しながら見てはいけませんので音声なのですが。その場に応じた最適な手段というんですかね、隙間時間とかをうまく使って学び続けられるというような方法がICT化によって生み出されるのではないかと思うんです。ですから、フォーマルな研修と、インフォーマルなというかノンフォーマルな研修みたいなものが組み合わされるような、そういうことは検討の1つとしていきたいとは思っています。

いずれにしましても、いろんな先ほど福井県さんの実践もございましたが、そういうまさにグッドプラクティスをつないでいったり、拾っていったり、波及させたりというようなことがNITSの中でできればいいなと思っております。どうもありがとうございました。

【加治佐部会長】 それでは、この後、安藤委員、古沢委員、若江委員ですね。このお三方で大体時間になると思うんですが、それでよろしいですかね。

それでは、安藤委員、お願いいたします。

【安藤委員】 安藤です。よろしくお願いします。

福井県さんに聞きたいことがございまして、2点教えてほしいと思います。まず1点目ですが、現在行っている4つの教育研修形態の中で、遠隔型研修の中で、研修場所の柔軟化ということが非常にいい効果を上げているというお話をいただきましたけれども、まず聞きたいのが、遠隔型は同時双方向でやられる研修になっていらっしゃるのか、それともオンデマンドかということと、併せて、場所の面では柔軟化されますけれども、研修時間の問題が非常にどこの県も苦慮されているかなと思いますが、研修の時間の確保のために何をされているか教えてください。

加えてもう1点教えて頂きたいのは、福井大と免許更新の組合せで、非常に充実した研修が展開されていることが分かりましたけれども、クロスセッションの中に、実は免許更新に求められている最新の知識や技能の修得という課題もあるわけですけれども、この辺りについてはどのようにカバーされているかということを、併せて教えていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【加治佐部会長】 それでは、お願いいたします。

【山内センター長】 安藤先生、御質問ありがとうございます。

まず遠隔型研修ですが、オンラインというのは、双方向オンラインで、ライブとなります。録画したものをさすオンデマンドではございません。時間等についても適宜設定をしまして、グループ協議といったことも、Zoom等を使いますとグルーピング機能がございますので、オンライン上でグループ協議ができるということを活用し、先ほど述べたオンデマンド型の通信型研修と組み合わせることで研修時間の確保を行っております。

2点目ですが、免許更新等のことで、こちらのほうでもグループ協議をやっております。オンライン上で双方向で、先ほど申しましたように、グループを組んで実施することができます。それから、最新の政策的な課題といったものをどのように受講者に伝えるかということにつきましては、入念に福井大学の先生方と事前に打合せをしまして、3日間のストーリーがうまく流れますように、その中で最新の、例えば今年ですとGIGAスクール構想の話題をぜひ入れていただきたいというふうなことを県教委側から福井大学に申し入れまして、世代を超えて、50代の方々が、最新のICTをどのように活用しようかとかいったテーマを、講義の中で盛り込んでいただくようにしております。以上です。

【安藤委員】 ありがとうございます。

【加治佐部会長】 それでは、古沢委員、お願いいたします。

【古沢委員】 ありがとうございます。貴重なお話ありがとうございました。

私のほうでも福井県の取組についてちょっと御質問したいんですが、1つは各世代間の交流というのは非常に興味深くお聞きしたんですが、その貴重な機会の後、学校の現場に戻ってから、何らかのフィードバックというのは、何らかの形で参加者に推進しているところはあるのでしょうか。あるいは、実際どのようにフィードバックされているかということです。

あともう一つは、今の先ほどの質問でもちょっと触れていらっしゃいましたけれども、50代に対する研修で、どういったことに重点置かれているかということを伺いたいと思いした。以上です。

【山内センター長】 古沢先生、どうも御質問ありがとうございます。

そうですね、現場のフィードバックというのは本当に福井県研究所としましても課題でありまして、全ての研修で共通のことですが、集まれる教員というのは本当に一部の教員でして、現場に戻って、学校でどれだけそれを広めるか、それからリーダーシップを取っていただいて、校内のOJTにつなげていくかというのは、本当に大切な課題です。

研究所としましては、研修実施後の2か月後に、「OJTをどのように広めていますか」というふうな聞き取りですとか、アンケート調査をやっております。免許状更新としてやっているかどうかというと、完全な形ではやれないわけですけど、直後のアンケートに加えていろんなリーダーに聞き取りをしまして、現場でその後、職場においてどのような研修を実施しているかとか、どういうふうに意識化を図っているかというふうな聞き取りを実施しております。

それから、2つ目の御質問ですが、50代の先生、なかなか免許状更新に対する意識ということもございますが、福井県では先ほども発表させていただきましたように、学校のリーダー的な存在として、免許状更新で集まってきたときにおいても、グループセッションではリードをしていただいて、ファシリテーターにもなっていただくこともございますし、管理職にやってもらうこともあるのですが、今年はZoomでやらせていただいた関係で、そういう方にリーダーを務めていただく中で、少し意識を持っていただいて、学校をリードしていただくような形でやっていただいております。

それと忘れてならないのは、何年もこの形を続けていく中で、50代の人は10年前の40代のときと本人の立ち位置ですとか、そういったことも振り返っていただいて、自覚を持っていただくといったことなども大きな目的の1つとなっております。以上です。

【加治佐部会長】 若江委員、お願いします。

【若江委員】 ありがとうございます。キャリアリンクの若江でございます。清國先生のほうに質問です。

最後の御発表のほうに、今後の展開として、教育委員会ですとか、大学との連携をというふうなことがありましたが、今後、企業はいろんなマネジメント視点ですとか、コミュニケーションですとか、ICT、プログラミング、全ての面でいろんな経験を持っておりますし、ましてやオンラインでの研修というのは、9・11以降、一気に企業間では移動の制限がかかり、オンライン研修というのが発達しておりますので、ぜひ民間企業とのいろんな連携というのも、お考えいただきたいなというふうに思ったのが1つです。

それと福井県さんのほうで、いろんな事例をありがとうございました。すばらしいお取組だと思いますので、この成果を出すのを生かすも殺すも、校長先生次第かなというふうに非常に強く感じました。校長先生の研修について何か特徴的なこと、これを生かすような特徴的な戦略をお持ちであれば、ぜひお聞かせください。よろしくお願いいたします。

【清國センター長】 どうも御質問ありがとうございます。民間との連携、これまで弱かったところだと思います。今後、学校が抱える問題というのはまさに社会との関連の中で生み出される問題ですので、その辺りは積極的に、我々が視野を広げて関わっていかなきゃいけないなというようなことは思ってございます。

これ、言っていいのか悪いのかというのは微妙なのですが、NHKさんが積極的に取り組んでおられるので連携を図る検討が進んでいます。NHKさんですから、民間と純粋に言えるのかどうか分かりませんが、そういったところでの連携については、御指摘のとおり、私たちも少し姿勢を変えていかなきゃいけないなというふうに思っております。どうもありがとうございました。

【加治佐部会長】 福井県さん、どうぞ。

【山内センター長】 若江先生ありがとうございます。

本当に校長先生次第だと感じております。校長研修で本県の特徴的なものとしましては、民間の方の視点で、例えば昨年ですと、福井県の旅館の経営者からマルチタスク、働き方改革につながるような、そういった講演をいただいております。

それから、先ほどの資料の中にございますが、マネジメント研修というものが、教頭研修のちょっと手前のステージで組み込んでございます。こちらは将来、福井県内で管理職になろうとする者が受講対象者となっております。この研修も福井大学さんと連携しておりまして、こちらのほうは、将来管理職となる人が、現場でのOJTの取組を中心とした研修となっておりまして、OJTの進捗状況を、研究所と遠隔で現場をつなぎまして、現場の校長先生と受講生の2人の方と研究所、それから本庁の方と面談をしております。現場の学校で職員を巻き込んで、例えば授業実践研究をどのように学校ぐるみで学ぶ組織として進めているかといったことを、研究所と現場とが質疑応答という形で、現場の先生が今までの取組をレポートしていただいています。このようなことを通して、若い段階から将来、管理職となる人材のマネジメント力を育てようとする、そういった研修をやっております。以上です。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。清國センター長、松野所長、山内センター長、本当に御多用中にもかかわらず、ありがとうございました。大変参考になりました。

本日の議事は以上であります。事務局、何かほかにございますか。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 特に。

【加治佐部会長】 それでは、次回の日程について、事務局からお願いいたします。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 次回は、来年の1月27日水曜日、午後3時から、今回と同様にウェブ会議をしてございます。日にちが近づきましたら、議題等も含めまして、改めて事務局より御連絡をさせていただきます。本日はありがとうございました。

【加治佐部会長】 それでは、どうもありがとうございました。本日はこれにて閉会といたします。どうもありがとうございました。



―― 了 ――

 


(総合教育政策局教育人材政策課)