令和2年11月30日(月曜日)14時00分~16時30分
WEB会議(Webex利用)
【加治佐部会長】 それでは定刻となりましたので、ただいまから第118回中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会を開催いたします。皆様御多用中にもかかわらず、御出席していただきまして、誠にありがとうございます。本日もウェブ会議で開催させていただきます。
それでは、会議の進め方の確認と、本日の資料について事務局よりお願いします。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 免許室長の平野でございます。会議の進め方について確認をさせていただきます。本日もウェブ会議で行っていることから、御発言に当たってはインターネット等でも聞き取りやすいよう、はっきり御発言いただくなど、御配慮いただきたいと思います。また、御発言の際には名前をおっしゃっていただくこと、発言時以外はマイクをオフ、ミュートにしていただくこと、御発言に当たっては手を挙げるボタンを押していただくこと、御発言が終わったら、手を下ろす、の操作をしていただくことの御協力をお願い申し上げます。
本日も報道の関係者の方、一般の方向けに本審議会の模様をライブ配信してございます。webexのチャット機能については、傍聴者の方が閲覧することができませんので、マイクが上手く機能しない場合などの緊急連絡手段として活用いただくなど、補助的な使用としていただきますようお願い申し上げます。
本日は教員養成部会の委員の先生のほかに、議事1に係る御発表のため、全日本私立幼稚園連合会、加藤篤彦教育研究委員長、全国連合小学校長会、大字弘一郎対策部長、全日本中学校長会、金谷真副会長に御出席をいただいております。よろしくお願いいたします。
資料の確認をさせていただきます。資料は議事次第のとおりでございます。資料1-1から1-7、資料2、その他参考は1~6の2までとなってございます。資料1-5から1-7、全国国公立幼稚園・こども園長会の提出資料、日本私立中高連の提出資料、全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会提出資料につきましては、今日、更新制の包括的検証に係るヒアリングについて書名で御意見を提出いただいたものでございます。御協力いただいた団体の皆様に感謝を申し上げたいと思います。また、その他御不明点ございましたら、お申しつけください。よろしくお願いします。
【加治佐部会長】 ありがとうございます。本日は議事の1として、教員免許更新制や研修をめぐる制度に関する包括的な検証に係るヒアリングを行います。まず、本日御出席いただいている5団体から御発表いただき、その後に質疑や意見交換を行います。議事の2では、教職課程におけるICTの活用に関する内容の修得促進に向けた取組について御議論いただきます。
それでは、議事の1のヒアリングに入りたいと思います。まず、全日本私立幼稚園連合会の加藤委員長からお願いいたします。資料1-1ですね。恐れ入りますけれども、10分という時間を厳守でよろしくお願いします。
【加藤委員長】 承りました。それでは、スライドをお願いいたします。私は、全日本私立幼稚園連合会教育研究委員長の加藤篤彦と申します。武蔵野東第一第ニ幼稚園の園長でございます。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、お進めください。
私どもの連合会は、私立幼稚園と私立幼稚園由来のこども園、全国に7,530園ございます。その団体を代表してヒアリング、意見を申し述べます。では、次のスライドをお願いいたします。
免許更新制度のよさですけれども、幼稚園の教諭として、研修は必須のものでございますけれど、幼稚園というのは企業で言えば零細企業体でございまして、なかなか研修に日常的に送り出すのが難しいことも抱えております。この更新制、この制度によって、全ての教員が受講することが前提でございますので、そういった意味では幼稚園の教育要領改訂も含めまして、今、どのように幼児教育が動いているのかというような最新の情報、年々に各一人一人の幼稚園の先生たちに送り出すことができた、これは大変なメリットであったと思います。では、次にお進めください。
一方で、課題としては免許更新制で、いろいろな研修が行われていますので、幼稚園の研修のみならず、そのほかのできるだけ取りやすいとか、利便性というようなこともあって、必ずしも全員が幼稚園用の研修を受けてきたわけではないようなこともあり、少し残念なところもありました。では、次にお進めください。
今回、もし見直す機会が得られるとすれば、観点として私どもからお示ししたいのは、幼稚園の既存の研修との互換や連携という視点でございます。現行、私たちはこの免許更新講習のみならず、日常的に様々な研修を行っております。それは全国レベル、この後御説明しますけれども、全国レベルから都道府県、市区町村、また教育委員会主催のものまでいろいろございます。では、お進めください。
実情で申しますと、全日本私立幼稚園の機構で直轄する、全国に実施している研修があって、その下に地区ブロック、東北地区とか、東海北陸地区とか、関東地区とか、大きな一つのブロックごとでの研修も実施しております。あるいは教育研究大会なども、そこで研修も同時に実施しております。お進めください。
中心になりますのは、都道府県の中における私立幼稚園団体が行っている研修で、これは新規採用教員、都道府県とも共催しております。また、現任の教諭、中堅、園長、主幹、あるいは公開保育やその後の討議、ECEQとして私たちは行っております。あるいは、政令指定都市や中核市も独立して研修を運営しているところもございます。さらに、免許状上申講習も、これも大学との連携によって行っているところです。お進めください。
これは経験年齢別や職階別など、また全ての私どもの研修は、研修の体系化が図られておりまして、それぞれの分野で、今、必要な学びを教員自身が選び取って受講する仕組みになっています。赤字で示しましたけれども、例えば、免許状更新制を研修ポイント制にすることができれば、日常的な研修受講によるポイントの獲得によって、幼児教育に必要な研修を無理することなく、無駄なく、免許更新と同じポイントとして学ぶことが可能になってまいります。お進めください。
現在、私どものこの研修の体制は、国の子ども・子育て支援新制度の研修にも位置づいておりまして、処遇改善2という仕組みですけれども、一定の教員が、勉強がきちっと研修が終わっていれば、それに対して国の給付が頂けるような国の仕組みもあって、それに連動してございます。ということは今、私たちが研修をデジタルなアプリケーションで申込み、そして受講し、例えばウェブで受講した場合には、研修の後にレポートの書式が送られてまいります。それに記入して戻すことによって、きちんとその人が勉強した、研修したような履歴が残る仕組みも作られておりまして、それがデータベース化されております。
このことは今後、免許更新講習もデジタル記録される時代がもう近々来ていると思いますので、私たちが現行持っている仕組みそのものも、利用できるのではないかと思います。お進みください。
以上で、幼稚園連合会からのヒアリング結果を終わります。ありがとうございました。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。それでは続きまして全国連合小学校長会、大字部長、どうぞよろしくお願いいたします。資料1-2ですね。
【大字部長】 それではよろしくお願いいたします、全連小の大字です。ヒアリング資料を御覧ください。まず全連小といたしましては、教員免許更新制については、廃止や研修の振替等含め、その在り方について抜本的な見直しを求めたいと思います。この意見の背景としては、1点目として人材不足の観点がございます。今の学校における人材不足は、正常な学校運営を妨げる重大な問題でございます。
一つは教員採用倍率の低下、それとともに、産育休代替教員という臨時的任用教員の不足があり、人材不足は非常に深刻となっています。また、60歳の定年退職後に何らかの形で学校教育に関わりたいと思っている教諭も多くおりますが、免許更新講習を受けてまで続けたい教員が少ないのが現実でございます。
これらのことが、臨時的任用教員の不足に拍車をかけ、小学校では副校長が担任をしているケースも少なくありません。このことについては、また、後ほどお話をしたいと思います。
2点目は、制度上の課題です。免許更新制の目的としては、そこに書かれているように、最新の知識・技能を身につけることで、教員が自信と誇りを持って教壇に立ち、社会の尊敬と信頼を得ることを目指すとございます。
しかしながら、ICT活用に代表されるように、最新の知識・技能は、日々の教員の研修の中で身につけていくものであります。10年に一度のこの免許更新制の研修の中で身につけるのでは、時期を逸することも多く、制度上の矛盾があるように全連小としては考えてございます。
3点目は、令和元年度の全連小教員養成部会の調査結果から、何点かお話をしたいとございます。これは47都道府県全ての県の小学校長に聞いた調査の結果でございます。
1点目、講習のみでは変容を見られることが少ない。2点目、教員のスキルアップに大きく貢献している実感がない。3点目、教員免許状更新講習によってどのような力がついたのか、客観的な判断が難しい。このような声が校長たちから挙がってございます。4点目、主体的な研修とは言えず力がついたとは言えない。このことは、これは教員の声ですけれども、なかなか自分の受けたい研修が埋まっていて取れず、どうしてもスケジュール優先になってしまう。免許を更新するために、やむを得ずその研修を受けている、そういうケースも少なくないと聞いてございます。5点目、形骸化されており、校長が求める研修になっていない。6点目、教員の資質能力向上のためにはOJTが最も有効である。7点目、教員の業務が増え、多忙化が進み、学校における働き方改革が求められる中、制度そのものが大きな負担となっている。次が、10年で免許更新しなければならない状況が、教員志望者の減少につながっている。本校の若手の教員と話をしていても、大学の同学年の学生で、教員免許は10年で失効してしまうので教員免許を取らない、ほかの職種に就く、そういう学生も少なくないと聞いております。次に、ベテラン教員、特に定年退職後に免許更新が負担と考え、講習を受けないケースもあり、人材不足につながっているのではないか。
これは、今後こういうケースが出てくるということですけれども、本校も60歳を超えた先生方が4人勤めております。1人は再任用フルタイム、もう1人は育休代替の教員、もう1人が非常勤教員、さらに講師でございます。このベテランが口をそろえて言うのは、この次、免許更新講習を受けなければならないのであれば、もうそこでこの教員の仕事は終了したい。学校としては、このベテラン教員が抜けると非常に運営が回りづらい、そういう状況が考えられます。また、夏季休業が短縮され、個人面談や水泳指導等の学校行事がある中、2年間で修了するのが厳しくなっている。講習を受けるための申込みから更新までの手続が多く、負担が大きい。先ほど申し上げましたが、希望する講習が取れないケースが多い。学校で生かすことできなかった講習があり、実践につながらないといった声も、多々聞かれているところです。
このような理由から、この更新制につきましては廃止、研修の振替等も含めて、在り方を抜本的に見直していただけるとありがたい、そのように考えております。
全連小としては、以上でございます。
【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。それでは、全日本中学校長会の金谷副会長、どうぞよろしくお願いいたします。
【金谷副会長】 全日本中学校長会副会長、金谷でございます。
本日は、このヒアリングにお招きいただきまして、中学校現場の声をお聞きいただける機会を与えていただいたことに感謝いたします。本来なら三田村会長が出席するところでしたが、代理出席させていただきます。
私は、富山県及び東海北陸地区の中学校長会の会長も務めておりまして、今回は地方の状況を交えてお伝えできるかと思っております。資料はございません。それではお話しさせていただきます。
まず、更新講習が役立っているかという点です。学校の業務に追われ、ともすれば視野が狭くなり、独りよがりな教育に陥ることも指摘される学校現場で、定期的に新しい教育に関する知識や技能を学ぶことは意義のあることだと考えます。それとともに、その後の自らの指導に新たな視点を加える機会となっていると考えております。
学習指導要領につきましても、ほぼ10年サイクルで改訂が行われておりまして、講習の中にその内容が組み込まれることもありがたいと思っております。ただ、毎年全国でたくさんの教員が多くの講座を受講している中で、本当に最新の教育事情であったか、残念に思うとの声も聞かれています。講座は文科省の認定を受けて開設されているので、一定の水準は維持されていると思っていますが、開設者が同じ内容の最新の情報を提供する点では、講座開設数から考え、かなり難しい課題なのではないかと思っています。制度創設の趣旨から鑑みて、全教員が受講する必修科目、最新の教育事情については、全国どこで受講しようとも公平に、その内容や水準が担保されることが重要だと考えます。
開設者との連携に関しましては、学校との連携という点では、直接的にはあまり変化がないのではないかと思っています。ただ一方で、開設者と研修実施の主体である任命権者との間では、研修における役割分担等を行う必要性もあり、確実に連携が深まっていると考えています。
教員の確保への影響、退職者の活用については、更新制は昨年度から2巡目となっています。この10年間に、教員免許は持っているが教職に就いていらっしゃらない方は、多くの場合、更新講習を受講されておらず、免許はいわゆる休眠状態となっています。現在、大量退職、大量採用の自治体も多くあり、必然的に臨時的に任用されていた方が採用されていくことも多くなっています。すなわち、臨時的任用教員の候補者そのものが少なくなってきているということです。
そして、採用後に結婚出産のため産休や育休に入る教員、病気休暇を取得する教員も多く、その代員として多くの教員を必要としていますが、その教員を開拓しようにも候補者が少ないことに加えて、所有されている免許が効力を有しておらず、すぐに採用できない現実があります。文部科学省では、一定の条件付で臨時免許対応を認めておられますが、更新制が教員候補者減少の一要因であることは否めないと思っています。
また、退職者は退職4年目から更新講習受講期間となります。退職後、免許が有効である5年間は再任用や講師として御協力いただけるのですが、免許更新を機に教職から離れられる方もあり、この点でも教員確保の壁となっていると思っています。
教員への負担については、多くは土日や夏季休業等の課業日以外を中心に開講されておりますので、日々の学校業務への影響については、直接的にあるとは言い切れないと思っています。しかし、学校では土日に実施している行事もあり、受講日に制約がかかる教員もいます。また、中学校では部活動があり、その部活動と更新講習の両立の面では、負担感を感じていると考えます。さらに地域によっては、学期中の出張を減らすための配慮として、夏季休業中に現職研修が行われており、夏季休業中の日程が過密になる教員は負担感を持っています。現在の3領域の内容の精選、そして現職研修の更新講習としての認定などの対応等で全30時間、5日間という負担を軽減することはできないものでしょうか。
教員の志望動向への影響については、近年、教員採用検査の志願倍率が低い地域が多く見られます。各地域においては、その志願者を増やすために、教育委員会が教員養成系の学部へ進学した地元出身者に、教育長からのメッセージを届けたり、大学へ直接出向いて説明会を開いたり、管理職が臨時的任用講師に教職の継続を働きかけたりなど、志願者増に向け努力しています。本校にも教員を目指している学生が教育実習に来ます。教員免許取得者の増加につながればとの思いから、教職のやりがいや魅力を体験してもらえるよう努めているとともに、実習の依頼には可能な限り応じているところです。
しかしながら、教員養成学部に在籍はしているが、免許取得をしない選択をする学生が一定数存在している上、取得した免許が期限付であり、定期的に更新をしなければならないため、もともとは教員志望であったが、進路変更する学生や、免許を取得するが学校現場で力を発揮しようという、意欲が低下してしまう学生も存在しているのではないかと思います。
既卒者は、先の退職者と同様、更新講習を機に教職の道を断念される方もいらっしゃると思っています。現行制度では、旧免許は更新しない場合、休眠状態となりますが、新免許は10年の期限のため失効となり、講習終了後に免許申請を行い、再取得となっています。この部分については、旧免許と同様に休眠状態扱いとし、更新講習修了で免許の効力が認められるようにはできないものでしょうか。
現職研修につきましては、多くの地域で初任者研修を含め、2、3年次の教員が受講する若手の研修、少し経験を積んだ5、6年次の研修、ミドルリーダーを目指す時期である経験10年前後の者を対象とした中堅教諭等資質向上研修、そして学校の中核を担い、管理職手前の16から20年次の研修などが実施されています。また、担当している職務に応じて、例えば管理職、教務主任、学年主任、生徒指導主事など、そういう者に向けた研修もあります。さらに、学力向上、道徳教育、ICT教育など、様々な分野において必要とされる、最新の情報について学ぶ専門研修も、多くの地域で実施されています。これらの研修では、大学の先生方をはじめとする外部講師を招聘し、最新の教育情報を含め、地域の実情に合わせて指導していただいています。中には、ワークショップ形式で技能の修得を図るものも含まれています。
教特法改正時の旧十年経験者研修の見直しの中で、中堅教諭等資質向上研修と更新講習の連携を図り、更新講習の選択科目受講を現職研修の受講単位とするなど、研修に位置づけた地域もあります。また、自らが目指す教員像に向かって、必要な資質能力を身につけるため、計画的に研修できるよう、現職研修の受講期間の幅を広げるなど、受講者ニーズに応えるとともに負担軽減を図るよう、工夫を行っている地域もあります。
教職員支援機構の研修については、都道府県及び市区町村の教育委員会が推薦を行い、各種研修への派遣を行っています。参加者は、それぞれの世代及び職務に必要な知識等の修得はもとより、全国各地の教育情報を獲得するとともに、人脈を広め、各地域間の交流につながっていると考えます。この都道府県等からの推薦を受けての派遣研修を、更新講習の選択科目の受講歴と認めていただくことにはできないでしょうか。
また、外部講師の招聘が難しい校内研修などでは、オンライン講座を活用しています。教職員支援機構ではオンライン講座が整備されていること、オンラインで更新講習を受講する教員がいること、この2つをつないで、必修科目が教職員支援機構により開設、配信されれば、全国の教員が同じ講座を受講できるのではないかとも考えます。さらに、各都道府県が実施している研修が一定の要件を満たしている場合には、更新講習と認定していただいていますが、その更新講習への認定要件を緩和することはできないものでしょうか。相互に乗り入れることで、各機関が実施する研修の重複を解消することができる上、教員の負担軽減にもつながるのではないかと考えています。以上でございます。
【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。それでは続きまして、全国高等学校長協会の萩原会長、どうぞよろしくお願いします。資料1-3です。
【萩原会長】 資料1-3を御準備ください。全国高等学校長協会、会長の萩原です。本日はよろしくお願いいたします。
私どもの用意させていただいたヒアリング資料を読む形で、お話をさせていただきます。大きく3点ということで1点目、更新制の課題ということで、お話をさせていただきます。最新の知識・技能の修得が、免許更新制度の趣旨の一つであると認識しています。しかし、現代の社会の急激な変化に即応するためには、10年に一度の更新講習では、その変化の実態に追いつけず、本来の趣旨を十分に達成できているとは言いがたいと認識しています。
定年延長制の制度変更に伴い、講師を含めた教員の任用時の年齢要件が高齢化してきているということです。一方で、それらに該当する旧免許状取得者である65歳の者は、将来の任用が不確定のため、更新講習をためらいがちであるのが実態です。免許更新制度があることによって、現時点で65歳を超えた退職教員を時間講師等に任用することが大変難しい状況が生まれています。同時に、産休育休代替教員の確保においても、未更新者は採用できず、困難となっているのは、高等学校の現場においても同じと言えます。
免許更新制2年間の期限の中で、30時間の大学等での更新講習を受講するため、現状では、長期休業期間中とはいえ、夏季休業中が中心になりますが、一方で、教員にとってこの時期は、補習講習や部活動指導などに従事したり、都道府県教育委員会の研修会などが設定されていたりしており、研修の時間確保が容易ではないという現状にあります。なかなかそういう点でも、免許更新制は、実態としては修得での課題があると認識しています。
2点目、教員研修の現状です。都道府県教育委員会の下、現職研修は教師の資質の向上、最新の知識・技能の修得のために、集合型の研修にとどまらず、eラーニング等を工夫し、教員個々の課題に応じ、必要なときに学べるオンデマンド型の研修や教材の充実に、取り組んできていると言えます。現職研修は、最新のテーマを取り入れたり、受講者のニーズを反映するようにしたりするなど、内容面での改善が図られてきていると認識しています。研修方法においても、講義形式だけでなく、グループ討議を取り入れるなど、運営面での改善、充実もかなり図られてきており、教員研修としては、大変意義があるものと考えております。
3点目、教員の資質向上について。教員にとって、自らの教育力向上のための研修は、必要不可欠なものであると言えます。大学等における研修と都道府県教育委員会による研修を効果的に組み合わせることによって、より有意義な研修を継続していくことが可能になるのではないかと思います。受講者の負担軽減も考慮し、OJTの成果を評価し、一部単位の読替えをすることや、オンライン研修や大学における講座の開講時期の工夫等含め、現在の教員研修並びに免許更新制度のよりよい改善を求めたいと思っております。全国高等学校長協会からは以上です。
【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。それでは続きまして、全国特別支援学校長会の市川会長、よろしくお願いいたします。資料1-4です。
【市川会長】 全国特別支援学校長会の市川でございます。資料1-4を御覧になっていただければと思います。
各都道府県の校長会に、教員免許更新制度に関する意見を聞きまして、それをまとめたものでございます。特別支援学校は、視覚障害から聴覚障害等、5障害等が設置してあり、また小学部、中学部、高等部という非常に幅広い学校でございますので、一つの意見にまとまっている形ではないんですが、ほぼ同様の意見があったものをまとめた形でございます。アンケートの中で意見ということで幾つか質問を設けまして、はい、いいえという形で聞きましたが、これについては、参考までに見ていただければと思いますが、更新講習の受講が教師にとって負担があると思うこととか、管理職の負担があることは非常に多くの方がそう思うという意見でございます。
一番から行きますと、更新講習の成果についてですが、更新講習については、最新の知見や指導技法等の修得ができることは、非常によいことであるけれども、講習を受ける教員の意識によって、単に講習を修了することが目的となって、受講しやすい講義を選ぶことがあり、教員の意識によって成果のことは、大きかったり、大きくなかったり、出てくるだろうということです。
また大学側も、講習の内容は工夫を凝らしており、最新の知識や情報について触れる機会となっているという声を聞く一方、最新の情報を得たが、現場で即に役立つものではないという教員からの感想を聞いている校長もいます。教員個々が直面している教育課題に、必ずしも即応している講座が開設されているとは、限らないということだと考えている校長もいます。講義の内容の充実が、今後も必要かと思います。
更新講習の受講にとっての教師の負担ですが、これはもう読んでいただければと思いますが、教員としても非常に負担になりますが、開催地との距離が非常に遠いところ、近くに大学がないところについては、より負担が多くなってくる。また、教員の意識の中では、自分の受けたいものが受けられないのは、一層負担感を感じる面になるのではないかと、受けたいものが受けられるような制度設計が必要ではないかということでございます。
3番目に、管理職の負担については、読んでいただければと思いますが、ここで記載していないことを言いますと、特別支援学校の場合には、1校に教員が200人以上在籍する学校が全国に5、6校あります。150人以上在籍する学校も、40校以上あります。そのように、教員が多い学校の場合には、当然、産育休の方も多くなりますので、非常に複雑な免許更新制度への対応を苦慮していることがございますので、管理職の負担というのが多くなってきます。
続きまして、有効期限が付された免許状への内容についての影響ですが、新卒の方についての影響は、全国特別支援学校長の校長会はそれほどないかということはありました。実際問題、教員は大変だという印象を多くの方に感じてもらうのは、よくないのではないかという声もございました。ただ、どの校長も、産休育休代替教員や時間講師の採用することが年々難しくなっている中、候補者が仮に見つかったとしても、面接の段階で更新講習を受けていないことで、免許が失効していること等で、結局採用ができないことが多いと。先ほどもお話をしましたが、特別支援学校の場合には、非常に教員数が多い学校も多ございますので、産休育休代替教員や時間講師の採用数は非常に多いです。このため、非常にこのことは重要な問題なので、失効された免許が簡単に復活できるような制度設計も必要ではないかということを考えております。
続きまして、5番の更新講習を受けることに関しての課題ですが、先ほど話したように、地理的な条件も2番目に書いてありますが、特別支援学校の場合には、認定講習等を受けて、特別支援学校教諭免許状を取得したいと思っている教員がいるわけですが、更新講習の受講を最優先するために、認定講習等が受けない教員がいると、後回しになる教員があると。特別支援学校とすれば、これはどうなのかというところでございます。
また、特別支援教育にかかる講習の人気が高くて、それを特別支援学校の教員が受けたいと思っていても、なかなか受けられない場面も出てきているということでございます。さらに、特別支援学校の教員の中には、障害のある教員も在籍しております。例えば聴覚に障害のある教員が、大学に情報保障、要約筆記等の依頼をしたところ、それはなかなか難しいと断られたようなこともありますので、更新講習においても合理的配慮、障害保障ということも考えていかなければいけないのかと思っています。免許制教員制度に関する6番目の意見になりますが、特別支援学校の場合には、特別支援学校教諭免許を認定講習により取得する教員が多く、新規に免許状を授与された場合に、更新講習の受講が免除になることがあります。制度が複雑であることがありますが、また、更新期限が年齢や経験年数と重ならないこともあり、各職員の状況の把握が非常に難しくなっております。
また、免許更新制度が狙いとする最新の知識や技能の修得については、経年研修や教育センター等が開催している研修等をはじめ、様々な機会が教員には与えられています。免許更新制度に替わり、現職研修の一層の充実が望ましい、初任者研修や中堅研修等の相互の乗り入れや、更新時期の柔軟化など、各都道府県、教育センターも含めて、教職員研修をもっと活用する方向での運用もあるべきではないかと考えています。また、定年が近くなった教員が免許更新を機に、早期退職するケースも見られているようでございます。定年まで最後の更新の免除、または軽減する等の措置があってもよいのではないかと考えています。現職研修に関する意見ですが、これは、現職研修は他校との教員の交流も含めて非常に充実していると、県の実施している現職研修は非常に充実していると思っている校長も多いところから、先ほどお話ししたとおり、この現職研修を更新講習に代替していくような方向も、一つの考え方ではないかと思っています。
最後になりますが、教員免許更新制度を有意義にするために提案ということでございます。更新のタイミングを、教職経験年数などで統一するなど、更新期限を分かりやすくする方法もあるのではないか。また、受けやすくするために、放送大学の活用やオンライン、オンデマンド、eラーニングの受講等、充実することが重要ではないかと考えています。また、講座の内容については、各教員が実際の指導で活用できるような、例えば指導法や教材等を扱う講座の内容の充実を図る必要があるのではないかと考えております。先ほどお話ししましたが、県教育委員会や教育センターが実施している現職研修や任意の研修、大学への内地留学や学校におけるOJTをもって替えることが、促進を図る必要がある他の資格等でも研修会をポイント制にして、資格認定している場合もあり、教員免許更新制度でも教育委員会が認定した学会など、また、教育委員会の実施している研修、外部研修会への参加をポイント制にして、更新講習の一部に代替できるようにすることも検討できるのではないかと考えています。
特別支援学校の場合には、先ほど言ったように、免許認定講習により、現在持っている以外の障害種の免許取得に取り組んでいる教職員もいます。取得済みの免許を更新するのではなく、新たな教科、新たな障害種等の免許更新を奨励することも、必要になってくるのではないかと思っています。それと聞き取りの段階で、県によって免許更新講習を県教育委員会が実施主体となり、県が定める教員養成指針と連携した形で運営しているところがあり、これは非常にすばらしい制度だと、そこの県の校長から、幾つか意見を頂いておりますので、免許更新を県教育委員会が実施主体となるのも、一つの考え方なのかと思っています。全国特別支援学校長会からは、以上です。
【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。5団体の校長先生方から御意見を伺いました。それでは、意見交換に入りたいと思います。手を挙げるボタンを押していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。誰もいないですかね。
5人の校長先生方の御報告、大変分かりやすく、大変参考になりました。いずれも校長先生方、教員を管理されるお立場ということで、教員の意見をよく反映されていると思います。受けている方々の御意見だと思いますが、あえて申し上げます。一様に更新制に対する評価が厳しいということですね。廃止、大幅な見直しという御意見が多かったと思いますが、もう少し具体的にお聞きになりたいとかということ等々、御質問等していただければよろしいかと思いますが、いかがでしょうか。
そうですか。私も非常にお話、よく分かりましたので、特にこれ以上お聞きしたいということが出ては来ないんですが、いかがですか。せっかくの機会です。
古沢委員、お願いいたします。
【古沢委員】 ありがとうございました。皆さんのお話を伺って、非常に更新講習が現場の負担になっている事情であるとか、教員確保が難しい状況がよく分かりました。十分な現職の教員の方や、久しぶりに教職に戻る方などに研修の機会が提供されることであれば、必ずしも更新講習とする必要はないのかと私も思いました。その一方で、皆さんが一様に挙げられている産休育休の代替教員の確保ですけれども、更新講習も一つの壁になっていると思いますが、この解決策として、何かもっとポジティブなものがあるのではないかと思いまして、そのために更新講習を見直すというよりは、今の時代に合った代替教員の採用とか確保を考えてもいいのではないかと思いました。もし、具体的に産休育休の代替教員の確保策を工夫しているようなケースがありましたら、文部科学省で把握していましたら、教えていただきたいと思いました。以上です。
【加治佐部会長】 分かりました。5人の校長先生方の中でお答えがあればということ、それから文科省の事務局にお伺いしたいということですか。
【古沢委員】 そうです。もし、自治体などで工夫がありましたら。
【加治佐部会長】 代替教員のですね?
【古沢委員】 ええ、採用の。
【加治佐部会長】 確保ですね。これ、校長先生方、御提案みたいなものがあればお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。どなたでも結構ですよ。どうぞ。
【加藤委員長】 幼稚園連合会では、まず代替教員以前に今、保育所との学生の求人のところでは、非常に厳しい状態があります。免許更新講習以前の問題になりますけれども。そうしますと、今度はOBの方々をどう現場に戻してくるかが、次の話題になろうかと思います。その場合にも、更新講習を全部受けていただかないと無免許が復帰してきませんので、そういった意味では教壇には立てないのが現状でございます。それが現状なので今、古沢委員からの御質問にはなかなか難しい、回答が難しいとお伝えするしかないかと思いました。失礼しました。
【加治佐部会長】 校長先生方、いかがですか。なかなか、加藤先生は難しいという御意見ですが。それでは平野さん、何か文科省として対策を講じておられることがあれば、御発言いただきたいと思います。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 採用は主に都道府県の教育委員会が行っていただいている中で、正規の教員というところについては、そもそも最初に学校インターンシップ等実施をして、教職の魅力というものを訴えるであるとか、教職の魅力の向上をしっかり取組をしていく。教師養成塾などの取組といったようなところもございます。また一方で、採用段階ということで、正規職員になりますと、専門性を考慮した採用選考だとか、受験年齢制限の緩和といった取組があるわけでありますけれども、先ほど来、お話の出ているような臨時的な任用の教員の部分については、これは免許を持っている方がまた、そういう講師リストに名簿登載していただくということが必要になってくるわけであります。各都道府県さん、そもそも、そういう対象者についてなかなか数がいないと。また、名簿に載っていても断られるケースもあるということで、御苦労されているというところであって、これについて簡単に解決策を見つけられたところがある現状ではないと考えております。
【加治佐部会長】 なかなか状況が厳しいということですね。
それではよろしいですか、特に御質問、御意見等ございませんか。ありがとうございました。加藤委員長、大字部長、金谷副会長、萩原会長、市川会長、御多用にもかかわらず御協力いただき、ありがとうございました。大変参考になりましたので、また生かしてまいりたいと思います。どうもありがとうございました。
それでは、今日は少し進行が早いですが議事の2にまいりたいと思います。教職課程におけるICTの活用に関する内容の修得促進に向けた取組について、資料の2に基づき、室長から説明をお願いいたします。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 免許室長でございます。
議事2に入らせていただきます。その前に、先ほどヒアリングの先生たち、ありがとうございました。また資料の1-5、1-6、1-7というところに、国公立幼稚園の関係の方、私立中高連の方、通級指導の方、こういった資料も出されております。内容について、私どもから紹介することはいたしませんけれども、おおむね先ほど発表していただいた先生から頂いた意見と同様の御意見というのが、多く含まれているものでございますので、また次回以降の議論の参考にしていただければと思います。
それでは、資料2に基づきまして、教員のICT活用指導力の向上に関して説明をさせていただきます。本日は、事務局から幾つか提案をさせていただいて、また各先生からの御意見も賜りたいと、このように考えているところでございます。
資料2の1ページ目でございます。これはこれまでも何度かお目にかけたような資料に近いかと思いますけれども、教育養成に関する近年の政策動向でございます。
平成28年の教育職員免許法の改正、また、平成29年の省令の改正を行いまして、特別支援教育の充実、またICTを用いた指導法等内容が盛り込まれたわけでございます。ICTを用いた指導法という、本日話題にしたところについては、必修内容として、これはやらなければいけないんだということが明確化されたということでございます。これを踏まえまして、平成29年11月に右の真ん中辺りにありますような全体目標、一般目標、到達目標というものを盛り込んだコアカリキュラムが、各教職に関する科目において作られてございます。この内容を、平成30年の全大学の課程認定というところから活用いたしまして、平成31年から1,283校、19,416課程で新しい教職課程が開始されている状況でございます。
一方で、本日話題にさせていただきますICTの活用指導力に関して、代表例を挙げれば、GIGAスクール構想の実現といった大きな変化を受けて、教師のICT活用指導力のさらなる向上が必要ではないかという声が非常に高くなっているところでございます。平成28年、29年も、このICT化は喫緊の課題でございましたけれども、その当時とはまた違ったレベルの内容を求められているのではないかと、このような問題認識でございます。
2ページ目を御覧いただきたいと思います。2ページ目が、教職課程のICTに関する内容の授業の状況ということでございます。これは、制度的な解説でございますけれども、小学校の1種免許状の例でございます。
ICT活用指導力に関するものとして、教職課程の中での指導法の科目、これは小学校でいうと10教科、1種で言いますとそれぞれ1単位以上でありますが、この中でICTに関係するものを含むものとするとなっている。また、教育の方法・技術という科目、ここの中においてもICTを含むとなっている。66条の6の科目と通称されておりますけれども、教職課程外で大学の一般教養として学んでいただく科目として2単位分、情報機器の操作を学ぶとなっていると。このようなところが、ICT活用指導力について学ぶ代表的な機会になってくるわけでございます。これらの部分は含むとなっている中で、大学がその裁量に応じて学習内容、学習量を、もちろんコアカリキュラムを参考にしていただいているとは思いますけども、考えていくということになっておりまして、特に学習量については、各大学の判断によって様々な差が生じているという状況があると認識しております。
3ページ目が、本日メインで説明させていただく部分でございますが、教職課程におけるICT活用に関する内容の修得促進に向けた今後の取組の方向の案でございます。関係する資料といたしまして、参考資料6-1をつけさせていただいております。併せて御覧いただきたいと思います。
まず、この横組みの左側が、現状のICT修得の状況、右側が今後このようなことが考えられるのではないかというものでございます。これ、見方といたしましては、左下からイメージとして、入学してから卒業するまでの段階を追ってということで、書かせていただいているイメージでございます。
まず、左側の入学の上でございます。先ほども、66条6の科目ということで御説明いたしました、情報機器の操作が2単位位置づけられてございます。この情報機器を操作という科目については、かなり前から設定されている科目でございますけれども、教職課程の内容に引き寄せてつくっていただいている大学も中にはあるかと思いますが、一般教養の中ということで、おおむね内容として、基本的なソフトウエアの操作方法を学ぶ、このようなことが行われているものと承知しております。
この部分につきましては、今後の姿ということで、右側、省令改正を行ってということでございますけれども、例えば大学において、順次開設されることになっていくような数理・データサイエンス・AIに対応した科目と、今の現行の情報機器の操作を選択可能にする、こういったような制度改正を行った上で、数理・データサイエンス・AIに対応した科目を開設している大学については、原則として、教職課程の学生にこういったことを修得させることを求めていったらどうかということでございます。
参考資料6-1の1枚目に、この科目の内容を書かせていただいておりますので、御参照いただきたいのですが、政府のAI戦略に基づいて、リテラシー教育として文理を問わず、全ての大学、高専生に将来的にはこういう内容を学んでいただくことを目指して、各大学の取組を促しているところでありまして、また各大学の取組も進みつつある状況でございます。この左下の部分に、モデルカリキュラムがあって、この灰色の部分は選択ということで、各大学、どう入れるかという部分になりますが、導入、基礎、心得というところで申し上げますと、データをどのように読んで説明して扱うのか、またデータ・AIを扱う上での留意事項とか、データを守る上での留意事項、こういったこれからの社会を生き抜いていく上での基礎知識を盛り込んだ科目とすることが想定されているところでございます。
今後、小・中学校を中心として、GIGAスクールという形で情報機器が1人1台の形で導入されていく。また、高校においても情報1といった科目が取り入れられていく。こういった中で、入学してくる学生さんのICTに関する基本的な操作能力という部分について、身についているケースなども想定されるわけでありまして、このような改正を行うことによって、さらに前向きな形で情報社会、Society5.0、こういったものに対応した資質を育成していくことが考えられるのではないかということでございます。
また、資料の2に戻っていただきまして、続いてでございます。教育の方法及び技術、情報機能及び教材の活用を含むということで、ICT活用が扱われているわけでございます。ここについては、先ほども申し上げましたように、含むということになって、まず各教科の指導法の前に総論的に学んでいただくことが想定されているわけでありますが、その学習量という部分については、各大学の判断によってかなり幅があるということでありして、これの質、量ともの充実を図っていくことが必要ではないかと考えております。
この観点から省令改正と、また後で説明いたしますけれども、コアカリキュラムの作成を通じて、右側でございますが、この「情報機器及び教材の活用」という部分をこの科目から切り出して、当該内容に関して新たに、これは仮称でございますけれども、「情報機器の活用に関する理論及び方法」といった形で、1単位以上修得することを求めるような、新規の科目立てといいますか、そのような形を考えていったらどうかということでございます。また、追加された事項に関するコアカリキュラムを作成していくということでございます。
この、なお書きの部分について説明をさせていただきます。まず、この科目については、教育の方法・技術という中で従来行われているICTに関する指導を切り出すこと、そして内容を充実することが主眼でございますので、課程認定を行うというよりは、これは変更届ということで、開設をしていくことでどうかということ。丸2番は、担当教員の業績でございます。科目を通常立ててまいりますと、その科目に対応した業績を求めることが一般的ではありますけれども、今回、ICTに関する科目を立てていく中で、当面の措置ということになるかと思いますけれども、教育の方法・技術、または各教科の指導法の業績を持っている方であれば、こういった科目を担当していただくというふうにすること、新たな事項ということも含めまして、これまで科目1単位以上修得するとかにしているものについては、他の科目と授業科目を併せて開設することが、運用上認められていなかったわけでございますけれども、教育の方法・技術と一体で行われてきたICTの活用の関係でございます。ので、例えばシラバスにおいて、その内容が1単位以上開設されていることが確認できると、こういったことを条件といたしまして、教育の方法・技術と併せて授業科目を開設していただくことができるようにする。このような措置を講じることも考えられるのではないかということでございます。
また、コアカリキュラムを作成するということでございます。コアカリキュラム、参考資料6-1という辺りに、現行のものは載せてございますけれども、後ろに載せているような教員のICT活用指導力のチェックリスト、こういったものに加えまして、また最新の動向を踏まえて、教育の内容のカリキュラムを策定していく必要があると考えてございます。
続きまして、各教科の指導法という部分でございます。これは先ほどの、新しく切り出した科目という部分と関わってくる部分ではございます。これは、これまでの部会でも御紹介させていただいたような、教科ごとにそのICTを活用する授業に関する情報ということで、手引きや動画コンテンツが今、順次作成されているわけでございます。こういったものを使いながら、各教科の指導法の内容の充実を各大学に図っていただくことが考えられるわけでございます。コンテンツ等につきましては、先ほどの教育の方法・技術から切り出した新設される科目、このようなものについても使っていただくことが想定されるものでございます。各教科の指導法については、教育の方法・技術と違いまして、まさに教える内容と教え方という部分が一体でございますので、この部分からICTを切り出すということではなく、一体としてしっかりと学習の質と量を確保していくということでございます。
また、一番上の部分でございます。実践による総まとめでございます。各学生が情報機器の操作ないし新しい科目、そして新設されるICTの科目、各教科の指導法という形で学んでいただいた後、現行、教職実践演習といった仕組みもあるわけでございますけれども、明示的にICTを活用したような実践を行うこと、これは右側の部分、教職実践演習においてICTを活用した演習、例えば模擬授業等ということになっておりますが、校務の関係なども教職実践演習の中で扱うことも考えられると思いますので、いろいろな扱い方があると思いますけれども、真ん中にあるところの教職課程の認定委員会で作っているような留意事項を改正いたしまして、教職実践演習の中でICTを活用した活動をしっかり行うことを促していく。これにより、基礎部分から最終的な実践、総まとめの部分まで、ICTを位置づけていくことを考えているものでございます。一番下の部分、点線で入学の右下ぐらいに書いてございます、点検評価については、また今、別途議論を行っているところでございますが、自己点検評価については、しっかり大学の側が育成したい教員像に対して必要な授業科目が過不足なく開設されていて、またそれが成果を上げているかというところを点検していくことが、中心的なテーマになるかと思ってございます。そのような中で、ICTについても質、量、充実しているかどうかを確認していただき、また国、部会によるフォローアップなどを行っていくのが、前回の通知でも御紹介をさせていただいたところでございます。
紙に書いていないことでありますけど、幾つか補足をさせていただきます。まず今回、このような形でICT活用指導力に着目した科目を切り出した上で、御説明をさせていただきました。こういった制度改正が大きな方向として進んでいく暁には、ICTについては、ここに載っている科目というところのみならず、全体として育成していくものであるということ。また、ほかの科目においても、しっかりとICTを活用して、全教職課程においてICTの活用指導力を伸ばしていく。それは内容面でもあり、手法面でもありということでありますけれども、しっかり呼びかけていくことが必要ではないかと思っております。
また、この新設する科目のコアカリキュラムは、教員の養成課程において、どのような能力を身につけるかを、しっかりと見えるものにしていくということが必要でありますけれども、教職課程全体で、どのようなICT活用指導力を身につけていくのかといったイメージを、しっかりと身につけていただけるような内容としていくこと。単なる科目の到達目標ということを超えて、全体が見えるような位置づけにしていくことも考えられるのかと思ってございます。
また、コアカリキュラムの取扱いについて申し上げたいと思います。コアカリキュラムについては、従来、別の会議体を設けてコアカリキュラムの改訂を行ってきたところであります。今後でございますけれども、今回、まず速やかにこの新設する科目のコアカリキュラムを作成することが必要になってくるわけであります。その他の部分についても、時代の変遷というところに応じて、コアカリキュラムを変更することは、大いに考えられるところでございます。コアカリキュラムを考えるという形のたびに、また別の会議体を立ち上げて、教員養成部会に返していただくというやり方も考えられるところでありますけれども、よりスピード感を持って改訂、ないし実行に取り組んでいく観点から、今後は教職課程のコアカリキュラムについては、教員養成部会の名義として、教員養成部会で議論をしていただいて固めていくと、このようなことをすればどうかと考えております。
また、教員養成部会のメンバーの先生に加えまして、必要に応じて外部の方にゲストで参加していただくとか、そのようなやり方で、議論のできる環境を整えていくことも考えられるかと思ってございます。
今後のスケジュールについて申し上げます。一番下、今、教員養成部会における議論というのを今後開始していただいた上で、大きな方向について、お認めいただくことができるのであれば、その内容を踏まえて、しっかりと制度改正に取り組んでいく必要がございます。制度改正は、その省令の改正、また課程認定委員会のいろいろな改正もございますけれども、コアカリキュラムをまた教員養成部会で継続的に議論をしていくことも必要でございます。これを、ある程度年度をまたぐ辺りまでに、はっきりとした形で大学にお示しをできるように準備をしていくと。それを踏まえて、各大学さんに授業科目の準備、国から提供する、また教職員支援機構が提供するもの、このようなものも視野に入れていただきながら、授業科目の整理を行っていただき、令和4年3月末までに変更届を出していただいて、令和4年4月から、新たな科目を盛り込んだ教職課程等を開始していただくことを想定しているものでございます。
今回、こういった内容について、今日の段階では大きな方向ということで、このようなことを示させていただいておりますけれども、また順次御意見を頂きながら、制度化していくに当たって具体的な条文とか、またコアカリキュラム内容、こういったところは考えていかなければならないと思っているところでございます。
長々と御説明しましたが、私からは以上でございます。ありがとうございました。
【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。一人1台となって、一人1台に対応できる資質、能力を身につけた教員が急いで求められていることですけれども、それが教員養成法に対する期待が大きいということですね。それで、こういう科目を改変あるいは新設していこうということであります。いろいろ御意見を頂きたいと思いますが、手を挙げるボタンを押してください。
それではまず、安藤委員ですね。それから、若江委員ですね。松田悠介委員、本図委員ですね。そこまでですかね、取りあえずはその順番で、それから5番目、松木委員、その順番でお願いします。
それでは安藤委員、お願いします。
【安藤委員】 安藤です。よろしくお願いいたします。1点、先に質問をさせていただきたくて、手を挙げさせていただきました。総論の修得の部分で、今回新たに「情報機器の活用に関する理論及び方法」という仮称の科目を新たに作ることになりました。けれども、この場合、これは必修科目として設置するのかどうか、まず確認させていただきたいと。
【加治佐部会長】 どうぞ。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 この科目については、教員免許法施行規則上、位置づけるということで、教員免許状の修得に当たって必ず履修していただくと、1単位修得していただくと、このようなことを想定しているものでございます。
【安藤委員】 ということは、2本立てになるわけですね、ここは。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 教育の方法・技術という科目とこの新しい科目の二つになると、合同で授業を開設することは可能であるということでは、考えてございます。
【安藤委員】 もう1点、質問いいでしょうか。コアカリの問題と関連してくると思いますけれども、現在、各教科の指導法の中で、ICTを含むとして指導することになっておりますが、なかなか実際はICTの活用の内容が十分扱えていない現状が本学ではあるんですが、実際これをかなり充実させていくとなると、時間数がどうしても足りないような気がして。コアカリによって1時間、2時間やって終わりになるようなケースが、出てくるんじゃないかとも懸念しているんですが。各教科等の指導法の時間を増やすことは考えていらっしゃらないんですか。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 各教科の指導法のそのものの時間を増やすことは、今のところ考えておりません。ただ、先ほど申し上げたように、教職の指導法というのは、ICTに特化したものをICTとして教えるというよりは、しっかりその指導法の中身をどのように教えていくのかという観点で、ICTとまさに一体で行っていく必要のあるものと考えてございます。その観点から、今回共通するものついてもお示しをしていきますけれども、併せて指導法の内容についても充実を図ることは、促していかなければいけないと考えているところでございます。
【安藤委員】 分かりました、ありがとうございました。
【加治佐部会長】 それでは若江委員、お願いします。
【若江委員】 若江でございます。よろしくお願いします。質問ですけれども、実は私、20年ぐらい前から、あるアメリカの企業が主催しております、教員のICT活用指導力を上げるためにというプロジェクトに参加をしておりますときに、2000年代からずっと、アメリカですとか欧米の大学のプリサービス、つまり教員養成課程のICT活用カリキュラムみたいなものをたくさん見てきたんですけれども、その中身にようやく今、近いものにはなっていると思います。例えば国研ですとか、そういったところで、世界各国の教員養成課程において、先進的にICTを活用していくという、カリキュラムについての研究は十分なされているのでしょうか。すでに過去にそのようなカリキュラムがありましたので、教員養成におけるコアカリキュラムとしてそういったものをうまく御活用いただくのはどうかと思うのですが、その辺りのことをお聞かせください。よろしくお願いします。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 ありがとうございました。諸外国の事例というものについては、今、お示しできるものが十分あるわけではございません。今後、コアカリキュラムを検討していく中において、先進的な内容についても、しっかり確認をしながら対応していく必要があると思ってございます。
【加治佐部会長】 それでは松田悠介委員、お願いします。
【松田(悠)委員】 ありがとうございます。ICTの活用は今、教員養成部会で議論をしておるわけですけれども、恐らく、教育課程部会等でも、GIGAスクール構想の文脈で議論が進んでいるものかと思います。私も、教育課程部会の10月現在の審議のまとめのところを読ませていただいていたところ、個別最適な学びを軸に、かなり議論が進んでいると理解をしました。資料の中では、教師が学習履歴、スタディーログや生徒指導上のデータを集める事や、ICTの活用により、データを蓄積、分析、利活用しつつ、児童生徒の興味関心や悩みなどを丁寧に取り扱い、個々の状況に踏まえて指導するとか、あとはその際配慮すべき事項などを含めて、データの取扱いに関する専門的な検討を進めていく必要があるような話もなされています。これからGIGAスクール構想で、いろいろなデータを活用していったり、個別最適化された教育を実現していこうと思ったときに、これはテクノロジーやアプリ、そしてハード面だけではなくて、教員がどれだけこれらを活用していくマインドを持っているのかも重要になります。この教育課程部会等で議論されている内容を実現、実行していく上での、知識、スキル、マインドセットを身につけていけるのかというところが重要だと思いますね。
先ほど御説明いただいたところで、果たして今の、現状の中身が、本当にここを可能にするのかというところを、結構シビアに見ていく必要があるかと思っておりまして。例えば数理、データサイエンス、AIに対応した科目というのが、原則、履修させることを求めるということだったんですけれども、これはコースを開設した大学から順次必須履修にするべきじゃないかと思っております。
もう1点が、それこそ先ほど室長からも、ICTの活用はただ単に科目を取り出してということではなくて、教職課程全体で取り組むべきことであるような話もありましたけれども、それも明記する必要があるのではないかと思っております。私もその後、教職課程の現役の学生等にヒアリングをさせていただきましたが、今でも、レポートが手書き提出とか、それこそテストが手書きとか、いろいろな形で一部かもしれませんがローテクな状況が続いていると聞きました。こういったところは結構ドラスティックに変えていくともに、大学の先生方をサポートする体制を構築していくことが重要なのかと。今、中高のGIGAスクール構想のみならず、大学のGIGAスクール構想みたいなものをどう進めていくのかというところも、併せて、ぜひとも御検討いただきたいと思っております。以上でございます。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。平野さん、何かお答えすることは。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 ありがとうございました。幾つか非常に重要なお話を頂いたと思います。AI、数理データリテラシーの科目については、私ども行政としては、「原則として実施を求める」という表現は、結構強めの形で書いた認識ではあるんですけれども、真意がしっかり伝わるように対応してまいりたいと思います。
また、教職課程全体も含めて、そのICT活用をしっかり行っていく観点、またそれを可能にするような大学教育になってきますと、またこれは教職課程のみならず、大学環境そのもののICT化をどう図っていくのかと、かなり大きな問題と関わってくる部分でございます。教職課程がその先頭を切ってというか、先鞭をつけることについては、大いに期待されるところであります。また、制度改正というものは、個別、個別に出していくよりは、最後はパッケージとして各大学にお伝えしていくような形にしていかなければいけませんので、そのようなことが非常に大学の役割として重要であることについては、忘れずにしっかりと伝わるように、取り計らってまいりたいと思います。ありがとうございます。
【松田(悠)委員】 ありがとうございます。1点だけ、追加です。数理、データサイエンス、AI、モデルカリキュラムとあるんですけれども、これは別に教職課程にカスタマイズした内容ではなくて、一般的な内容になっていると理解して大丈夫でしょうか。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 そのとおりで結構です。
【松田(悠)委員】 そういう観点でいうと、これは実際に習っても、教育現場で活用するところのハードルがありそうだと思っています。本当に先生方が現場で使えるようになることがすごく重要なので、それをどう実現していくのかは、しっかり考えていくべきじゃないかと。つまり、このカリキュラムを受けたからといって、現場ですぐ使えるようになるとは、現状ではそこが見えにくいと思っているので、ぜひともそこは御検討ください。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 この科目のこのカリキュラムというのは、一般教養として取る科目ですので、直ちに教職課程の内容に即したものということは想定しておりませんけれども、先ほどの図で示したとおり、この後に、各教科の指導法の前に、この新しい科目と指導法を学んでいく中で、そういったものを踏まえて、さらに教職に特化した内容をやるという意味では、バトンをどうやって渡していくのかが重要だと思っております。
この部分、何せ非常に発展途上の部分でありまして、その内容はまさに先ほど申し上げたように、コアカリキュラムということで、今、想定できるものはある程度入れ込んでいくことができる一方で、また走りながら柔軟に、ここは考えていくことが必要だと思っております。その意味において、コアカリキュラムの扱い、先ほど申し上げたような取扱いに変えさせていただきたいと思っていますけれども、ここはコアカリキュラムに1回入れたからおしまいということではなくて、ある程度不断に、内容については考えていくということで、対応していくことを考えているところでございます。
【松田(悠)委員】 ありがとうございます。しっかり連携されると理解いたしました。ありがとうございます。
【加治佐部会長】 それでは本図委員、お願いします。
【本図委員】 ありがとうございます。3点あるんですが、1点目は今、室長から御説明あるときに、教職実践演習のところで、例えば校務とかという一言も聞き逃さなかったんですが、演習の模擬授業が中心になるとしても、4年目のまとめなので、校務とか、児童生徒理解とか、そういったところにもICTが有効だということを理解するという趣旨が入ってくるといいと思いました。
それで、児童生徒理解という点では、ここが2点目になるんですが、今、例えば現場では、子供たちなんかがプログラミングということで、スクラッチとか、学校で使っているので商品名を出してもいいと思いますけど、そういうのでプログラミングをやっていると思いますが、これが情報リテラシーというか、すぐ、子供たちの世界でプログラミングをやっているかのようですが、SNSとくっついていて、そういうサークルの中で、すぐやり取りができて。そのやり取りをして、いろんな高度な技をバージョンアップしていく世界がくっついていると思います。だから、ICT万歳じゃなくって、今までやってきたような情報リテラシーの、もっと率直に言うと、いじめ防止とかトラブル防止とか、こういったことも一方で考えて、そこを忘れないでやっていく必要も、学生たちに教えるときに、そこも意識していく必要があると思います。
そんなことで、現場の動きと、このコアカリを作っていくにしても、新しい大学での動きがかなり同時進行でいろいろなことが変わっていくように思いまして。まさに今、動いているところで、幾つか今、変革期にあるよねと、常に動いているよねという状態で、こんなこともできるんじゃないかというのは、こういうことはどうだろうという。特に、教職実践演習などを視野に入れて、4年間の学びのモデルみたいなものを、コアカリを検討していくときに、こんな内容もということを示していけるといいのかと思いました。これが2点目です。
3点目が、いつも最後、陳情になって恐縮ですけれども、これはハードの面が整っていかないと、これは教育環境としても充実させていく必要があって、ぜひ速度の速い、やり取りができる回線が、大学にきちんと保障されるようにというところを、文科省としても頑張っていただきたいと思いました。以上です。
【加治佐部会長】 それでは松木委員、お願いします。
【松木委員】 松木です。先ほど、本図委員さんの話や、松田委員さんの話を、それに対するお答え等も聞きながら、改めて思いましたが、ICTをより有効化していくためには、この教員免許の課程全体でどう支えていくかが、非常に重要じゃないかと思います。情報機器の操作のところから、最終的に教職実践演習で活用するところまで、どうやってつないでいくか。特に、教科専門の先生方の中で、ICT活用して見せるのが、一番授業そのものに直結する視野を広げてくれるんじゃないかとも思います。働き方改革といったようなことについても、つまり教員の業務として見た場合にも、先ほど生徒指導等、あるいは教育相談等の活用の話も出ましたが、いろいろな使い方があるかと思います。
こういったことを全体として取り組むためには、その課程認定をする際に、カリキュラム全体をマネジメントする組織をつくることを前提に、免許を出していく、課程を認定していくことは必要じゃないかと思っています。
これにはもう一つ、別な意図がありまして、現在の日本の教員免許状は最低限の資質や能力を保証する仕組みとしてつくられてきています。最低限なわけですね。もう2万件も課程認定を受けているわけですよね。その中で、少しでもいいものを出していく仕組みを、免許の中に少しずつ入れていく必要があるんじゃないかと思っています。
それで例えば、カリキュラムマネジメントの組織をつくるといった場合には、課程認定に際しつくることまでは求めますが、その質に関しては免許の中では問わない形にする。そして、例えばカリキュラムマネジメントの仕組み等をグッドプラクティスとして公表していく、こういうこともやれるんだということを、つまり、2万件の中で、少しでも抜きんでていくのを評価していくような仕組みを、一緒につくり上げていく必要があるんじゃないかと思っています。
繰り返しになりますが、ICTの活用をする場合に、ばらばらに4つの科目でやればいいということはない。これは、みんながそう思っている。だったら、きちんとマネジメントする仕組みを入れるべきじゃないか。マネジメントの質に関しては、免許の中では問わないけれども、公表していきながら、よりよい課程をつくり出している大学を、ちゃんと認めていってあげるようにしていくようなことが必要じゃないかと思います。以上です。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。それではこの後、秋田委員ですね。ほかの方はいかがですか、ほかの委員の方、よろしいですか。取りあえず秋田委員、立田委員の順でお願いいたします。秋田委員、お願いします。
【秋田委員】 秋田です。ありがとうございます。1点目は質問です。今日御提案いただいたように、省令改正をしていくことはとても大事なことだと思っているんですが、新たに「情報機器の活用に関する理論及び方法(仮称)」と書かれているんですけれども、この名称そのものが、機器をいかに操作するかという印象を与えてしまうとすれば、むしろ機器が重要なのではなく、機器を活用して、データを読むとかデータやネットを扱うことやそのための学習の理論や方法を学ぶような、何かそういうニュアンスがよく伝わるような科目名称にできないんだろうかと考えるところであります。
特に、先ほど松田委員も言われました、私は教育課程部会の委員で、そちらにも出ているんですけれども、個別最適な学び、協働的な学びのそれぞれにおいて、どうICT機器も使用するのか、全部ICTというわけではなく、どう有効に使うことができるのかということについての内容が重要と思います。また、全ての教職課程の科目でもやっていくんでしょうが、それのコアになる、そういう科目として位置づけていくことが大事ですし、スタディーログとかライフログとか、それからキャリアプランをつくっていくとか、生徒自身も学びを振り返っていく。教員も評価においてデータを用いるようなところに焦点化して、データをどう使うのかというところを、評価の話でも、従来の評価の理念や概念を教えるだけではない科目として位置づけていくような科目なる必要があるだろうというのが、1点目の意見です。名称が仮称となっているので、どれぐらいの柔軟性があるのかを伺いたいと思います。できれば、この部会で皆さんからもいろいろなアイデアを伺って、よりその内容を端的に示す科目名にしていくことが、出発点として大事ではないかが、1点目です。
それから2点目です。数理、データサイエンス、AIに対応した科目というところで、松田委員も言われましたが、例えば総合大学だと、情報理工系の科目などでは、非常にたくさんこういう科目が一般教養ではあるんです。しかしそれらは教職や教育のためのものとは少し違うのではないかと考えられます。むしろそれを選択可能というだけではなく、もっと教職にマッチした形でそういう内容を、基礎的な内容がうまく学べるような科目モデルを示していく必要があろうかと思います。
3点目は、先ほどもお話がございましたけれども、教職課程を担っている大学のICT機器の充実が大切です。単にタブレットがあるだけではなく、例えばこれから学校と大学を一緒につなぎ、各大学は全国SINETでつながっていますので、それを小中高とつなぎ、今後各大学がスタンドアローンにそれぞれの養成大学が、自分の大学のICTをどうするかだけではなく、全国のネット環境をつないで、お互いに使っていけるようなことを学生にも理解してもらうことが重要でしょう。ぜひとも、そういう教員養成を行っている開放制大学も含め、学習環境の充実や、機材の経費もセットで考えていただかないと、多分なかなか限られた科目の、限られたリソースだけでは、これはうまく実現できないので、そういう養成科目の大学になっている大学の学習環境をどうするかというところも、ぜひセットでお考えいただきたいと思います。以上です。
【加治佐部会長】 幅広いご主張の1点目は、この情報機器の活用に関する理論及び方法、仮称ですから柔軟だと思いますけれども、何かこれに。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 ありがとうございます。ここを仮称としているのは、まさに今回名前まで考え切らなかったといったようなところもあります。それも、運用面においては柔軟性があるわけであります。一方で、法令に規定されるものでありますので、そういったルールに則った表記とすることが必要な部分もございます。そのようなところを考えながら、また今日頂いた意見なども踏まえながら、しっかりと名称については考えていきたいと思います。今、いろいろ、秋田先生の前に本図先生とか松木先生から頂いたことについても、簡単に触れさせていただきたいと思いますが、ハードのことについては、非常に大きな課題だと思っております。文科本省全体としても、当然、国立大学運営費交付金や私学助成も含めて、各大学の設備、施設の充実については、常に努力をしているところであると承知しておりますけれども、そのような声があったことについては、私どもとしてもしっかり共有したいと思います。また、松木先生からお話があった、全学的なマネジメント体制という部分については、教員養成部会でも御紹介させていただいて議論していただきました。前回のワーキングの報告書を踏まえて、複数の教職課程を置くところについては、全学的なマネジメント体制を省令上置くことを義務化することを求めていくということでありまして、またその内容のガイドラインの検討を今、行っているところでございます。
その体制ということ以上に、松木先生のおっしゃっている中で、最低限ということの部分に満足するのではなくて、非常にいいものが出たら、それを長ぜしめていくためのような情報をしっかりと発信して、この教職課程を持つ大学の中でしっかりと共有していくと、こういったことが重要だという御指摘かと思っております。もちろん制度という部分、基準行政は最低限の部分をしっかり守ることは重要でありますけれども、このような、いいものをしっかりと伸ばしていくことについては、様々なやり方を工夫して進めていく必要があると考えております。
66条の6の科目の部分について、この数理、データサイエンス、AIについては、教職課程の外の科目という立てつけになってございますので、ここそのものは、あくまで教養としてしっかり教職課程を学ぶ学生が学んでいただきたいという位置づけでございます。
一方で、こういったものと、先ほど松田先生からもあったような教職というもの、職能という部分が結びついていくことは重要でありますので、こういうものは、こういうものとしてやりながら、また新しく新設する科目、また教職課程全体としてどのような形で育成していくのかについては、今すぐ全ての大学にこういったもの、科目を教職課程に特化して作ることについて、難しい部分もあるかと思いますけれども、全体として最大の効果を発揮できるように、できることからやっていきたいと考えております。以上です。
【加治佐部会長】 それでは立田委員、お願いします。
【立田委員】 横浜市の立田です。前倒しになったGIGAスクール構想を踏まえて、教職課程でも、ICT活用に関する内容の修得促進を進めていくことが大切になるのはもちろんですが、一方で、特に開放制の大学で教職課程を取っている学生の負担を考えますと、これ以上、科目、時間は増やしにくいのもよく分かります。今回は、言ってみればマイナーチェンジなのかもしれませんが、既存の科目の中で、ICTに関するものを切り出したのは、現実的で妥当だという印象を持ちました。
その中で2つ申し上げたいことがあります。私は以前、教育委員会に勤務していたときに、学生を対象にした教師養成塾を担当していたんですけれども、その時も、教師養成塾のカリキュラムにICTに関する科目を新たに設けるのは、時間数の関係で難しかった、無理だったということがありました。ただ、児童生徒指導に関する、5分程度のロールプレイを扱う授業があったんですが、その様子をタブレット端末で撮影して、グループで一緒に見て検討することが、非常に塾生たちの意欲にもつながりましたし、話合いも深まったという印象があります。
放送大学の中川一史先生がよく、学校現場の教員を対象にした研修のときに、ICTの活用を進めるためには、先生方、ぜひICTを「じゃぶじゃぶ」使ってくださいということおっしゃるんですね。水に例えて、「じゃぶじゃぶ」ってことを言われるんですが、多分、教職課程にもそういうことが求められているんじゃないかと思います。その「じゃぶじゃぶ」のためには、個々の科目を担当する教員の方の工夫や努力も必要だと思いますが、もう一方で大学としての全体計画も必要だと思います。
もう一つは、教育実習に関することです。教育実習の中で、ICTを積極的に活用してほしいと考えています。授業でICTを活用する場面として、よく一斉学習、個別学習、協働学習の3つが示されますが、教育実習の期間中に、少なくとも一斉学習、個別学習、協働学習での活用をそれぞれ1回ずつはやりましょうというようなことを、これは大学もそうですが、受け入れる側の学校や、また側面から支援する教育委員会にも、そういう考え方、取組が必要ではないかと考えています。以上です。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。また平野さん、何かあれば後でまとめてお願いします。高橋純委員、それから安部委員、お願いします。
【高橋委員】 高橋でございます。よろしくお願いします。
御提案にある、特別に切り出した科目としてしっかり行うという御提案を、私は大変賛同いたします。ぜひそうしていただきたいと思います。内容に関わりますと、現状、学習指導要領に書かれている、ICT活用や情報活用能力の育成に関すること、あるいは、現職の先生が毎年チェックされていると思いますが、ICT活用指導力チェックリストの内容に関わるようなことも、現状のコアカリでは対応し切れていないと思いますので、AIであるとか、データ活用とかもあるとは思いますが、まずは、こういう基礎的なレベルでしっかりこう、それらをキャッチアップしたようなカリキュラムをつくっていくことが、重要ではないかと思います。
したがいまして、新設の科目においては、目標とか内容としての情報活用スキルとか情報活用能力、情報モラルの育成といったことのみならず、教科等の目標を達成する手段としての、ICT活用の両方をバランスよく指導する科目にしたほうがいいかと思います。現状のコアカリでは、教育の方法及び技術は、情報活用能力の育成については触れられておりますが、手段としてのICT活用とかには触れられておりませんので、今回ここがしっかりと切り出された科目でやられることが、すごく期待されるところだと思っております。
また、他の科目でも1人1台を持って受講していくとか、他の科目でもICT活用を学んでいくことは、GIGAスクール構想において、あらゆる科目でPCが使われる可能性があることを考えていくと、かなり重要かと思っています。現状のコアカリでいいますと、各教科の教育法におけるICT活用は、計画することが目標で、指導案が書ければいいレベルですので、これが実際的な指導のレベルにアップするような、記述の変更もあったらいいんじゃないのかと思っております。
国際的なこととの関係ですが、現職教員向けの研修に関しては、国際的にいろいろあると思います。養成段階に関しては、数年前に国研で網羅的な調査というよりかは、訪問調査でありますが、一定程度ございますので、それに関して参考になるかとは思うもの、その後、AIやデータ活用とか、特に今回GIGAスクール構想は、クラウド活用が大前提ですので、クラウドになると随分活用のイメージも変わってきます。そういった意味で、新しくいろいろ調べていかなきゃいけないこともあるかと思います。
そういったことを教員養成部会でしっかり検討していく、別の組織体を立てるわけではないという御提案についても、私は大変賛同いたします。前、コアカリも参加しておりましたが、いろいろ大変な場面があることも承知しておりますが、スピード感を持ってやるには、組織体をある程度統合してやっていくことは、重要かと思っております。
最後に、また本図委員と似た、おねだりみたいな話になっちゃいますけれども、ハードの話がございましたが、現実的に学校では、デジタル教科書を使った指導法ということが、かなり普及しておりますので、大学においても、デジタル教科書をしっかり整えていくことが大事だと思います。この点に関しては、一定程度予算がかかったり、いろいろなことがございますので、この部分についてやって行くということ。あるいは校務システムに関しても、学校では結構使っておりますが、今、大学では、校務の情報化に関する授業等はほとんど行われておりませんし、演習するようなシステムの準備がございませんので、体験程度にでも、そういうものが盛り込めたり、環境が整うことも大事かと思っているところです。以上になります。
【加治佐部会長】 分かりました。安部委員、お願いします。
【安部委員】 ありがとうございます、安部でございます。私も、教職課程におけるICT活用に関する内容の修得促進に向けた、この教育課程の変更というのは、もう絶対に必要だと思いますけども、今度は、その教職課程を開講している大学として、令和の4年からこれをやらなきゃいけないんですけども、特に小論の修得のところの、これまで教育方法論とかいった科目の中で、恐らく、私のところなんか、そうです、その科目を担当する教員がICTに関する項目として、授業科目のコマ数としては、3コマ程度、2コマ、3コマ程度ぐらいの講義をしていたんですけれども、ここの右側で、省令改正によって、新たに情報機器の活用に関する理論及び方法を、1単位以上修得することが求められるということで、これに関して担当する教員は、下のところで、その担当教員の業績は、それまで教育の方法、技術等をやっていた教員の業績で可とするということで、その教員がやれることと読んでいいかとは思います。
そうすると、1単位以上修得をするということで、その、もともとやっている教員がその科目を修得する場合、その担当する教員が、必ずしもICT活用に関しての専門家ではないことが考えられるんです。そういう、それを担当する教員の講義内容を、ある意味、サポートするコンテンツ等があればいいかと、小さな教職課程を持っている大学等としては考えるんですけども、その辺のところはいかがでしょうかという質問です。
【加治佐部会長】 平野さん。今の御質問、あるいはまた、ほかの方の何か関連でお答えがあれば、お願いします。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 まず、安部先生から頂いた中身でございます。今日の参考資料の、ページ番号が1から始まっていないんで、ずれてしまっていますけれども、5ページ目、大学の授業をより実践的にするための方策というところ、文科省で作っています手引き等が、オンライン研修、オンライン講座の教職員支援機構の校内研修シリーズ、こういったものが既に作成されつつある状況でございます。この内容については、随時アップデートをされていくものということで、現行、これが全て100点というところまで、行っているということではない部分があるかと思いますけれども、こういったものを、しっかり各大学の教育課程の中でも活用していただくということ。特に動画、こういったものについては、各大学、そのようなものを見た上で、学生と大学教員がそれを踏まえて、また実践的なことを行う、このようなことも行うことが可能だと思いますので、こういったものもぜひ活用していただくということ。また、先ほど来、何度か話が出ているところでありますけれども、こういったものがしっかりとまた進んでいった暁には、しっかりとどういった事例が効果的だったのか、好事例をしっかりと分かる形で発信して共有していくことが必要かと思っていますので、これについても随時行っていく必要があるものと考えております。
また、先ほどの立田先生からお話がございました、教育実習についてでございます。教育実習につきましては、先ほどの議論の中においても、教育実習においてICTを活用する一斉、個別、そのようなものを含めてやることは、非常に整合的な議論かと思ってございます。
一方で、教育実習については、受入れ校の体制整備、受入れ校の理解が必須になって来るというものでございます。現行の教育実習制度について、これが各受入れ校の協力行為に基づいて成り立っていることもふまえまして、受入れ校にしっかりと協力を求めていくことが必要でありますけれども、制度改正を伴って強制的に行うという手法というものは、なじむのかどうか。こういったところについては、差があるのかと思っております。
教育実習という視点は、極めて重要な実践の場でありますので、そのような部分、どうやったら各受入れ校における教育実習が、ICTという観点から充実したものになるのかについては、全体像を考える中でしっかりと考えていきたいと思っております。以上です。
【加治佐部会長】 松田恵示委員、それから本図委員、そして一木委員ですね。このお三方、この順番でお願いします。
松田恵示委員、どうぞよろしくお願いします。
おられないですかね。分かりました、ではまた後ほど。本図委員、お願いします。
【本図委員】 先ほど言い忘れました。ぜひ環境整備という点で、高校の情報の免許が取りやすくなるように、省令改正も思い切って御検討いただきたいと思います。以上です。
【加治佐部会長】 それでよろしいですね。それでは一木委員、お願いします。
【一木委員】 現在、通常学級含め、通常学校で学ぶ障害のある子供が増えています。また、障害がないんだけれども、特別な教育的ニーズのある子供たちも増えていると。ですので、合理的配慮の観点からのICT活用も視野に、ICT活用に関する内容の修得促進に向けた取組、検討を進めていただければと思います。以上です。
【加治佐部会長】 分かりました。松田委員は、戻ってはおられませんかね。私が気づかなかったのかもしれませんが。それでは、ほかの委員の方、いかがですか。もうよろしいですか。では森山委員、お願いします。
【森山委員】 ありがとうございます。お話のとおり、早急に対応するべきところかと思います。ただ、ICTの活用といいますが、学習指導と改善という意味では、正規の問題でもあり、トレンドだけの問題ではなく、位置づけをきちんとする必要があるかと思います。加えて、先ほど以来、松木委員からもございましたが、もっと具体的に言えば、例えば横断的に、教職課程の中でどういう位置づけにこの科目が、収まるのかということです。恐らく、基礎の基礎的な要素だと思いますが、全体の中での位置づけを考えることが必要だと思います。さらに、現実的には今まで教育の方法と技術の中で2コマ以上という、90分掛け2ですね、これが17回から8回になるわけですので、最低でも5回分ぐらいは増える計算になろうかと思います。そういう意味では、2回が5回に増えるわけですから、そこにきちんとした位置づけをすることが必要かと思います。
それから、幼稚園の場合にはいかがでしょうか。幼稚園の場合、免許状等では、この1単位をどのようにこれを考えるのか。この辺りのことも、今後、議論する必要があると思います。以上です。
【加治佐部会長】 竹原委員、お願いします。どうぞ。
【竹原委員】 ありがとうございます。全国の学校や学校運営協議会、教育委員会にうかがうと、学校も地域もかなり悩まれています。
その中で、「もうすぐ1人1台届くんです」という答えがあります。その後どう教えるか、どうそれを活用していくのかということが大事だと思いますが、その先の構想がなく、さらに子供に1台タブレットは来るけど、教員には1台もないんです、という話もあり、驚きました。今、環境整備をし、授業準備をし、十分用意しておかなければ、一人一台のタブレットが届いても学習にいかせないことを危惧しています。
もう一つはGIGAスクールサポーター、ICT支援員についてですが、まだ十分配置され、活用されていないこともあります。
文房具であるタブレットがあるだけではなくて、それを使って教えられる先生がいなければ、難しいでしょう。教員養成段階で新しいカリキュラムをつくることと同時に、現役の先生方も学ぶ機会がすぐに必要で、現場や教育委員会、さらに企業の研修の他、大学で学んだり、逆に大学が現場に出前をする等、様々に連携していかないと、置き去りにされるのではないかと思っております。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。それでは、木村委員、お願いいたします。
【木村委員】 御提案の内容については、縷々、御意見がありましたので、私は特段ありません。
地方の現状ということで、お話を少しさせていただきます。長崎大学では、県の教育委員会と附属学校、そして中核市の長崎市とともに、GIGAスクール構想実現に向けて協働研究を立ち上げました。これはなぜかというと、来年度には、全ての小中学校が1人1台端末環境になる。学校では、環境設備のゴールは決まっているんです、目の前にあるわけですね。ですから、この環境にどう対応していくかということが喫緊の課題になっていますので、今、そういう方向で実践を中心に研究を進めています。
大学の教職課程に求めることは、授業の中にICTをどう活用していくかを学ぶことは当然必要なことですが、授業で1人1台端末を活用している小中学生を見てきて思うこととして、学生一人一人が実際にICT機器を活用して考えたりとか、友達と意見のシェアをしたりとか、協働学習でも、個別、一斉でもいいんですけど、そういう経験をしていないと、どうしてもICT機器の使い方が先行してしまい、ICTを活用して教科をよりよき学びにつなげるという意識が一歩遅れそうな感じがします。
ですから、教職課程の中で、ICT活用法を学んでいくのは大いに結構なことですけれども、学生自身に1人1台端末を活用した学習の主体者としての経験を積ませていくことを一刻も早く実現していくことが重要なことだと思います。以上です。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。それでは、チャットで三村委員ですね、お願いいたします。
【三村委員】 ありがとうございます。三村です、よろしくお願いいたします。
皆様のお話をお聞きして、そのとおりだと思いながらですけれども、2点発言させていただければと思います。
まず、1点は養成教育において、ICTの活用を充実させていくことは、もう必ず必要なことだと思います。しかし、まだ現段階では、このICTの活用が受け取り手によっては、様々なレベルを指しているのではないかと思います。
先ほど竹原委員も言われましたように、学校現場においても、1人1台の端末が入ったときの、それをどのように活用していくのか、まだまだ発展途上だと思いますので、方向性さえも定まっていないようにも思います。
養成段階で学んだことが現場で生かされるためには、双方が連動していくことが必要かと思います。例えば、教育委員会が先導していく場合もあれば、大学が先導する場合もあるかと思いますが、このICTの活用というのは使うことが目的ではなく、これを使ってどのようなことができるのか、そして最終的な目指す姿、例えば中期的なもの、長期的なもの、あると思いますけれども、そういったものを双方が共有しながら、それに向かって、それぞれのところで取り組んでいくことが必要なのではないかと考えているのが1点です。
それからもう1点は、科目を新設することについて、必要だろうとは思っているところです。ただ、一方で、そのような特化した科目が新設されることによって、そこに任せておけばいいのではないかということを、大学の教員が思ってしまうことも危惧しております。
例えば今、指導法にICTの活用が入っていますけれども、それぞれの教科のICT活用、情報機器の活用が、どれぐらい足並みがそろっているかというと、私どものところでは甚だ心もとないところですので、どこかでそれを扱うということではなく、全体を底上げしていくためには、それぞれがどのように関わっていくかを、全体的な立場から考えておくことも必要なのではないかと思います。
例えば、数理、データサイエンス、AIに対応した科目も、私どもは総合大学ですので、今年度から、理系の学生には必修科目で入っています。ただ、それを教育学部の学生が履修して、学校現場とつなげて考えていくことが難しいのではないかと考えておりますので、来年度は試行的に数理、データサイエンス、AIに対応する科目を、教育学部の学生向けに開講することにしております。
そのようなことも踏まえると、新設科目も含めた4単位、また、指導法を含めた全体を見通したカリキュラムをそれぞれの大学が柔軟に実施できることも必要ではないかと思います。例えば、大学によってはAIに対応した科目を教員養成向けに実施するので、ほかの科目ではこのようにするなどの大学の独自性を点検しながら認めて行くことも必要なのではないかと感じました。以上です。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。それでは、松田恵示委員、お待たせしました。よろしくお願いいたします。
【松田(恵)委員】 途中でネットが落ちてしまっていまして、もし重なるところがあったら、お許しください。
もう全て、おっしゃっているようなところなので、あえてというところもあるんですけれども、表現のニュアンスの問題みたいなことも含めてです。まず、教科の指導法という言葉に、何か工夫ができないかと思うところがあって、先ほど、どなたかからも出ましたけれども、本図委員もおっしゃっていましたけれども、学校現場の実情から考えたり、学生たちとの現場との接点を考えても、実は教科指導に関してICTを利活用することが一番重要なことではあるんですが、その前の段階で、例えば出欠管理だとか校務関係の、そういうものが実はこの手前の問題としてあって、ですから、そういうものが養成段階でも、まず手元の内容として扱えるようなことを、ニュアンスとしては少し含ませたほうがいいんではないかと思います。
そのことと併せて、教科の指導法というところで、ICTが利用されて学習指導が変わって、内容もどんどんSociety5.0への対応として膨らんでいくときに、実は教科またぎとか、クロスカリキュラムのような、教科融合みたいなことが問題にならざるを得なくなってきて、一方では、現実には教科単位での指導が中心になっているんですけれども、その辺も、何かその教科の指導法というような区分の仕方や表現のあり方が、さらにハードルを高くしてしまうようなことになったら嫌だと思って伺っていました。
もう一つは、全体のカリキュラムの流れですけれども、特にICTについて、現場、学生たちと一緒にやっていてと思いますが、基礎から応用へという教育課程というよりは、むしろ応用から基礎に戻るような流れのほうが、実は学生は学びやすい、あるいは現場の先生も学びやすいところがあって、それは先ほどの数理、AIの科目の話と似ているんですけれども、数理とかAIといっても、言葉としては大き過ぎて、本学では修士課程でAIを利活用するような専攻を作ったんですが、理系の人も含めて基礎として行う数理データだとか、AIとかっていうことと、それを実際、利活用していく場面のAIの理解というのは、本当に内容が違っていて、ですので、先に応用があってというちょっとしたパラダイムシフトを意図した上で利活用というところに焦点のある内容で構成していかないと、多分あまりにも階段が大き過ぎて登ることができず、形式だけに陥らないかと心配をすることが大きいです。
最後に、そのICT、結局今回、高橋委員もクラウドという言葉をおっしゃいましたけれども、つながるというところが非常に大きな力になっていて、そうすると大学で教育課程を実施する際も、実際には企業だとか行政だとか、外部とつながる中で、教育課程が社会に開かれた形で展開されるというところ辺りまでも踏み込んでやらないと、結局のところまた、その大学で閉じた教育課程を、屋上屋を架すような形で作ってしまわざるを得なくなるかと心配したところを感じたところでした。実際的に、ネットワーク上での「つながり」を物理的に構築して、大学に閉じない教育過程を準備する必要があるのではないかという趣旨です。以上です。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。もう、よろしいですか。特に手は挙がってはおりませんね。それでは平野室長、その後何人かの委員の方から、いろいろ御意見がありましたが、何かお答えすることがあれば。
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 ありがとうございました。多くの先生から実際の教科、授業科目の内容、こういったところ、また指導法の在り方、こういったところについても御意見を頂きました。大学のカリキュラムでありますので、大学が最終的な成果を見据えて創意工夫していただくということは、前提の上ではございますけれども、まず、全体として今日議論になりました。ICTの活用指導力の向上については、個別の科目に閉じない、今回お示しした4つのものに閉じない全体の話なんだということが、しっかり意識できる仕組みを考えていくことが必要かと思っております。
その上で、そういった内容については、コアカリキュラムの今後検討といったところも含めて生かさせていただきたいと思います。コアカリキュラムがコアなカリキュラムである以上、どこまでその詳細について適示することができるのかといったところがございますけれども、しっかりと今日言っていただいた意見を整理して、考えてまいりたいと思ってございます。
1点、森山先生から重要な御指摘を頂きました。幼稚園の扱いという点でございます。今日、実はあまり踏み込んで、またお示しするときに議論していただくところではありますけれども、小中高という部分について、こういったものを位置づけていくことについては、多分誰も大きな方向では疑問をお持ちにならないとは思いますが、幼稚園については、その幼稚園の教育要領が求めている姿と、ICTの分量について、どのように考えるのかについては、様々な御意見があるものと思ってございます。
つまり、小中高校と同じく、そのICTに特化した内容を1単位やるときに、小中高と同じぐらいコンテンツが実際現状で考えられるのかどうか、そして直接的な体験を重視しているところの幼稚園教育との整合性がどうなのか。こういうところについては、議論があり得るものと思ってございます。文部科学省においても、また今後、議論するときまでに、関係する方の御意見などを聞きながら、この部分についてはしっかり考えていきたいと思っていることを御報告させていただきます。ありがとうございました。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。今日、御提案の新しいICTの科目。これについては、方向性は御了解いただけたのかと思います。いろいろな意見が今日出ましたので、今の平野室長のお答えにもあるように、微調整と言いますか、あるいは改善と言いますか、そういうところにつなげていただきたいと思います。
それからもう一つ、具体的なコアカリの作成、この作業が。これが教員養成部会でやるということをおっしゃっていましたので、これは今後、提案されてくるとなりますので、どうぞよろしくお願いします。
それでは、今日は4時半までの予定だったんですが、前半のヒアリングが早く済みましたので、これで終わりたいと思いますが、よろしいですね。それでは次回の日程について、事務局にお願いいたします。s
【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 次回が12月22日火曜日、13時から15時ということで、今回と同様ウェブ会議を予定してございます。議題や内容、資料につきましては、日にちが近づきました段階で、改めてまた御案内をさせていただきます。本日はありがとうございました。
【加治佐部会長】 それでは、どうもありがとうございました。これで閉会といたします。
―― 了 ――