教員養成部会(114回)議事録

1.日時

令和2年7月10日(金曜日)13時30分~15時30分

2.場所

WEB会議(Zoom利用)

3.議題

  1. 義務教育9年間を見通した養成、採用、研修、免許制度、人事配置の在り方について【審議】
  2. 教師の養成・採用・研修・免許に関する新型コロナウイルス感染症への取組について【報告】
  3. 教育委員会における障害者雇用に関する実態調査/国立教員養成大学・学部における障害のある学生の支援に関する実態調査結果について【報告】
  4. 令和2年度公立学校教員採用選考試験の実施方法の調査結果について【報告】
  5. その他

4.議事録

【加治佐部会長】 定刻となりましたので、ただいまから第114回中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会を開催いたします。

皆様、御多用中にも関わらず御出席いただきまして、誠にありがとうございます。本日もウェブ会議で開催させていただきます。

それでは、初めに委員の交代等の報告を事務局よりお願いいたします。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局の教育人材政策課の中村です。

委員の交代について御紹介させていただきます。朝日滋也委員が辞任され、その後任として、東京都立あきる野学園校長の市川裕二委員が着任されました。なお、本日、市川委員は、所用のため欠席と伺っております。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

それでは、続きまして、会議の進め方の確認と本日の資料について、事務局よりお願いいたします。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。

会議の進め方について確認させていただきます。本日はウェブ会議で行っていますことから、御発言に当たりましてはインターネットでも聞き取りやすいようにはっきり御発言いただくなどの御配慮をお願いしたいこと、御発言の都度お名前をおっしゃっていただきたいこと、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきたいこと、御発言に当たっては「手を挙げる」のボタンを押していただくなど、御協力をいただけると幸いです。

また、本日は、報道関係者と一般の傍聴者向けに、本日の会議の模様を会議後方の端末よりライブ配信しております。

それでは、資料の確認をさせていただきます。本日の資料は、議事次第にございますとおり、資料1から4までありまして、加えて参考資料が2つございます。御不明点等ございましたら、お申しつけください。なお、資料3、4につきましては、机上配付資料ということで、傍聴者の方につきましては現時点でほかの資料とともにウェブサイトにアップロードしております。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

本日の意見交換等の際の委員の指名の仕方ですけれども、私、部会長のほうから指名いたしますので、よろしくお願いいたします。

本日の内容についてお知らせいたします。本日は、議事の1として、義務教育9年間を見通した養成、採用、研修、免許制度、人事配置の在り方について、これまでの当部会における議論を、審議まとめという形でまとめております。7月17日には、新しい時代の初等中等教育の在り方特別部会に、当部会の審議状況を私から報告することとなっております。この報告案について御審議いただきたいと思います。

議事の2では、教師の養成・採用・研修・免許に関する新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組について、前回の報告以降に行われたものについて御報告いただきます。

議事の3では、教育委員会における障害者雇用に関する実態調査/国立教員養成大学・学部における障害のある学生の支援に関する実態調査について、このたび結果がまとまりましたので、御報告いただきます。

最後、議事の4では、令和2年度公立学校教員採用選考試験の実施方法について、このたび調査結果がまとまりましたので、御報告いただきます。よろしくお願いします。

それでは早速、議題の1、義務教育9年間を見通した養成、採用、研修、免許制度、人事配置の在り方についての審議に入りたいと思います。この議事については、議事の2の教師の養成・採用・研修・免許に関する新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組についての報告を踏まえて御審議いただいたほうがよいと思いますので、議事の2も同時に扱うことといたしたいと思います。

では、事務局より説明をお願いいたします。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】

資料2のほうは、6月5日にコロナ感染症対策について御報告を申し上げたところですけれども、そこから最新の状況についてアップ・ツー・デートしたものでございます。

2ページ目がこれまでの経緯ということでございます。下線部分がアップ・ツー・デートされた内容でございます。

3ページ目でございます。3ページ目は、教職員研修にかかる対応というものでございまして、独立行政法人教職員支援機構のほうで通知が行われているものでありますが、独立行政法人教職員支援機構の設置する研修について、いわゆる従来の集合型研修から非集合型のオンライン研修に切り替えて実施するものであるとか、また、オンラインの講座というものも活用して届けることを検討するものであるとか、このような研修の振り分け、考え方というものをお示ししているものが3ページでございます。

4ページは参考資料でございます。

それでは、5ページでございます。5ページは、6月5日に少し口頭で御説明したところですが、教員免許更新制に係る手続の留意事項についてお示しをしたものでございます。今年につきましては、更新講習、例年多くの方が受講される夏休みといった長期休業期間中も含めて、感染拡大の防止に配慮しながら学校教育活動を進めるという観点から、教員の業務量の増大というものが想定されるところでございます。従来から、制度的には、各都道府県教育委員会がやむを得ない事由として認める事由があるという場合には、教員免許状の更新というものについて一定猶予して有効期間を2年2か月延長するということが可能になっているわけでございます。

今般のコロナウイルスの状況というものを踏まえまして、文部科学省のほうから各都道府県教育委員会のほうに、このやむを得ない事由に当たるものというところの解釈として、今回、現職教員の方については、地域の感染状況や教員個別の希望というものを踏まえて、業務の増大等がある場合にはこのやむを得ない事由に当たるものとして教員免許状の有効期間の延長が可能であるということをお知らせしたというものでございます。また、そのやむを得ない事由がなくなった日、有効期間の延長の起算日というものについては、全国的な観点から、令和3年、来年の2月1日というところを想定してお示しをしております。また、有効期間の延長を行うことに伴いまして、これまで受けてしまった更新講習の内容というものが無駄にならないように、過去受けたものについても今回は特例的に引き継ぐことができるといったような特例について法制上の措置を講じる予定でございます。また近日中にお示しできるものと考えております。また、更新講習の猶予、有効期間の延長というものについては、これは一律行わなければならないというものではありませんで、現職教員の本人の希望によっては、有効期間の延長を行わずに予定の期日までに有効期間の更新を通常どおり行っていただく、このようなことも可能である旨を周知したところでございます。

6ページでございます。6ページは、イメージ図ということでございます。今回対象になり得るのは、令和3年3月31日に有効期間を迎える方、また、令和4年3月31日に更新期限を迎える方ということになります。この方々につきましては、斜線の部分、今年いっぱい、おおむね令和2年度いっぱいというところは、更新講習を受けることができない、やむを得ない事由があるものと考えて、そこのやむを得ない事由が終了したところから2年2か月という範囲で有効期間の延長を行うことができるという考えをお示ししているものでございます。この令和3年3月31日、また、令和4年3月31日に更新期限を迎える方というのは、毎年、更新される方はおおむね8万人から10万人程度ということですので、2か年分を合わせて20万人程度が潜在的には今回の措置の影響を受ける対象になり得るというものでございます。

資料2のコロナの対応に関する説明は一旦ここまでとさせていただきます。

その上で、資料1のほう、教員養成部会審議まとめ(案)についてのほうを御説明させていただきます。

1ページ目でございます。1ページ目のほうは、諮問事項ということについて点線の中で触れさせていただいてございます。諮問事項に基づいて全9回審議をいただいておりますけれども、その内容を審議まとめとして取りまとめたというものでございます。後で御説明いたしますけれども、教員免許更新制の実質化については、引き続き教員養成部会において検討を行うということを考えてございます。

2ページ目でございます。2ページ目は目次でございます。これまでの審議の内容というものをこのような形で配列をさせていただいているものでございます。

次が3ページ、ここからが本体でございます。時間も限られておりますので、かいつまんで御説明をさせていただきます。

3ページ目、一番上の丸でございます。累次の改正に伴いでございますけれども、中学校の免許状というものは中学校と小学校両方で教えられる免許状ということになっておりまして、言わば教科別の義務教育の教諭免許状という性格を有するものでございます。

2つ目の丸でございます。大学で最初に取得した免許状、ここでは基礎免許状と称させていただいておりますけれども、この免許というものを足がかりにいたしまして、一定の勤務経験と講習の受講というもので他の学校種の免許状の取得というものが可能になっているということでございます。

3番目の丸、4番目の丸という辺りがその具体的な事例でございますけれども、例えば、1種免許状というものを持っている方は一定の勤務経験と講習の組合せという中でほかの免許を取ることができる、また、その場合には特に2種免許状ということであっても構わないということになっているわけでございます。

3ページの一番下でございます。これまでこういうふうに従来少しずつ法改正が積み重ねられてきているわけでございますけれども、今回の諮問に応じて、より小学校と中学校の接続というものを意識した制度改正というものを進めていく必要があるということでございます。

4ページに入らせていただきます。4ページ、丸1 番、小学校、中学校の教職課程を履修し、両方の免許状を取得するというところについての特例的扱いでございます。1つ目の丸でございます。義務教育9年間を見通して、小中児童生徒を指導する教師という観点からは、いわゆる両免の取得が望ましいという基本的な考え方を書かせていただいております。

2つ目の丸でございます。一方で、小学校、中学校の2つの教職課程を同時に履修するということは、学習する範囲も広範にわたるということから、負担も大きなものとならざるを得ないわけであります。小学校、中学校それぞれ学ばなければいけないことはあるわけであります。例として、小学校1種免許状と中学校1種免許状を同時に行う場合には118単位取らなければいけないと書かれてあります。

3つ目の丸でございます。これは前回の会議でも説明させていただきましたが、同一学部同一学科に小学校の教職課程と中学校の教職課程というものがある場合には、はねることができる部分というのが一部ありますので、96単位まで減らせるというものの、まだまだ96単位はなかなか負担が大きいのではないかということが書かれております。

5ページに移らせていただきます。5ページの一番上の丸でございます。先ほどの例外というのは、はねることができるというのは同一学部同一学科に限られているわけでありまして、他学部他学科においては今一切例外措置がない、単位数を減じることができないということでございます。特にそのような形でいいますと、教育学部以外の学部にいるような、開放制の学部にいるような学生さんというのは恩恵を受けることがかなわないということになっていて、かなり多くの量を学ばなければいけない。多くの量を学ぶということは、当然学修時間を確保して行うことが必要なわけでありますけれども、ややもすると個々の科目の学修内容というものがかえって薄まってしまう、全てにおいて中途半端な状態になってしまうという可能性すら考えられるということでございます。

5ページ、2つ目の丸、3つ目の丸、4つ目の丸、これはこれまで教員養成部会の下に置かれた、教職課程の基準に関するワーキンググループ報告書の内容について触れております。ワーキングの報告では、共通に開設できるようなものを拡大していくということが考えられるわけですが、それとはまた別に、今回、義務教育特例として、より一層共通に開設できる範囲というのを拡大していくということが考えられるのではないかということでございます。上から4つ目の丸でございますけれども、まず、共通で履修できる科目の開設できる範囲というものを同一学部同一学科から他学部他学科というところに広げるということに加えまして、教科及び教科の指導法に関する科目や、教職実践演習に関する科目のうち、教育実習、このような部分まで共通開設の範囲を広げていくということで、従来、フル単で118単位取らなければいけないところを、4分の1以上減じていくということが可能になるということでございます。

ちょっと飛ばさせていただきまして、6ページに行かせていただきます。6ページのほうでございますけれども、ここは中学校の教諭免許状の教育課程を履修する学生というのが今後小学校でも教えていくということを踏まえて、義務教育特例というものの活用を通じて、中学校の免許を取る方も小学校の指導法についても学修していく、このようなことが必要であるということと、6ページの最後の丸については、義務教育特例の活用ということとは別に、普通に中学校の教諭免許状を取得する際の指導法というところでも、一定、小学校でその学生さんが教える可能性があるということを念頭に置いたような教科の指導法というのを学修できるようにしていくということが各大学の工夫というのが取り組まれることが必要ではないかということでございます。

6ページ目までが、小学校、中学校の両免取得というものを進めるに当たっての特例というものについて触れた部分でございます。

7ページでございます。7ページにつきましては、これまで義務教育特例の話を申し上げてきましたけれども、もちろん小学校と中学校両方の教職課程を置いていないという大学もあるわけでありまして、そのようなところは養成段階では当然両免が取得できないということも考えられるわけであります。このため、教師となった後に他の校種の免許状を取得する道というものも充実をしていく必要があるという趣旨のことが書かれております。

先ほど御説明したように、一定の勤務経験と講習の組合せというものによってほかの免許状が取れるというところはあるわけでありますけれども、今のこの仕組み、8ページにちょっと図が載っておりますけれども、中学校の免許を取った方が小学校で教えている場合に、小学校の免許を後から取りに行くというときに小学校での勤務経験がカウントされないといったような仕組みになってしまっているわけであります。ここの部分は、中学校の免許を持っている先生が小学校で教えているときの勤務経験というものも他校種の免許を取得する際の勤務経験としてカウントするといったような制度改正というのが考えられるのではないかということが、7ページ、8ページの趣旨でございます。

続きまして、9ページでございます。9ページからは、Society5.0時代における教師及び教員組織の在り方についてでございます。細かく読み上げることはいたしませんけれども、教師として変わらないもの、また、変わっていくものというのがある中で、継続的に新しい知識・技能を学び続けていくということが特にSociety5.0の時代には必要だろうと。また、集団としても、均一の集団というよりは、より多様な知識・経験を持つ人材というものを学校組織というところに取り入れていって、社会のニーズに対応しつつ、高い教育力を持つ組織になるということを志向していくことが必要だろうということが9ページに書かれている趣旨でございます。

10ページに参りまして、少し具体的な内容に入ってまいります。ICTということでございます。ICTの環境というものについては、児童生徒に対してよりよい教育的効果をもたらし得る可能性があるものでございます。一番上の丸には書かれているところでございますけれども、教師というものは、児童生徒の情報活用能力の育成という部分の指導法だけではなくて、ICT機器を活用したような授業改善をする力を身につけていくということが求められております。

2つ目の丸でございます。平成31年4月から指導法の中に情報機器及び教材の活用というのが追加されて、始まっているところでございます。

3つ目の丸でございます。こうした教職課程の各教科の指導法の中において、学生が教員としてふさわしいICT活動指導力というものを確実に身につけることができるように、前回高橋委員などからも御意見をいただきましたが、もう少し強めにやっていく必要があるのではないかというお話がございました。例えば、国において、学校におけるICTを活用した学習場面や各教科の指導におけるICT活用に関する動画コンテンツを作成・提供する、そしてそれを各大学の授業においてしっかり使っていただくように流していくということや、また、各大学の実際の取組状況をフォローアップするということを通じて、各大学がICTというものに関する実践的な内容の授業というものが確実に実施できる仕組みということを構築していくことが必要ではないかということでございます。

また、ICTの部分はかなり多くの意見を前回いただいたわけでございますけれども、その中で、現職というものについてもしっかりとアプローチをしていくことが必要だという御意見がございました。その次の丸でございますけれども、現職教員に対しても、都道府県が定めている育成指標等においてICT活用指導力を明確化するといったことなどを通じて、研修が体系的・効果的に実施されるということが必要ではないかということでございます。

10ページの下から11ページにかけては、ICT指導員とか、また、前回ちょっと御指摘があったようなICTの環境の話なども10ページの下のところに書いてございます。

続きまして、11ページの下の部分からでございます。教員組織ということでございます。ここは主に外部人材の活用というテーマになってくるわけでございます。

12ページを御覧ください。12ページの一番上の辺りは、社会に開かれた教育課程とか、また、先ほど申し上げたような多様かつ柔軟な組織という観点の背景が書かれております。

2つ目の丸という部分については、民間企業経験者に対する特別選考でありますとか、特別免許状、特別非常勤講師制度というものが今までもあるわけでございますけれども、こういったものは活用しながらも、さらにそれを今まで以上に活用しやすくするということを考えていく必要があると書かれているわけでございます。

12ページの下半分、aでございますけれども、普通免許状の取得方法の多様化ということでございます。ここについては、学生時代には教師を希望しなかったものの、後から教員免許を取りたいといった方というものを念頭に、教職特別課程というものについて触れさせていただいている部分でございます。

13ページを御覧ください。13ページの2つ目の丸でございます。教職特別課程については、法律上、教科専門の部分を学ばれた方が教職に関する科目を学ぶということを念頭に、1年で修得できる課程として開設できるとされております。現在は、法律上、修業年限は1年というふうに明示をされております。1年で30単位程度取るということになりますと、社会人の勤務と学修時間の確保ということはなかなか難しいわけでありまして、ここは1年と定められている修業年限が、例えば1年以上という形で、2年間でしっかりと計画的に仕事と両立しながら取っていただける、こういったような選択肢も制度的に用意していく必要があるのではないかということでございます。

13ページの下のほう、これが普通免許状を有しない者の活用ということでございます。特別免許状について書かれてございます。特別免許状は様々な経緯があって、今、10年間の有効期間ということにされているわけでありますが、13ページの一番下でございます。近年、働き方というものが終身というものを前提としているところから、兼業・副業や勤務地に縛られないテレワークや様々な変化というものが起こってきているということを踏まえて考えていく必要があるのではないかということでございます。

14ページの上の部分でございます。特別免許状についても前回多く御意見をいただきました。ライフプランの活用という観点から、期間というのは少し短めにしたほうがいいのではないかとか、また、期間というのは半分程度の5年というのも考えられるのではないかとか、また、短期のものを作るとしても、雇用の継続という観点にも留意をする必要があるのではないか、このような御意見などもいただきました。14ページの上の部分にありますが、今、特別免許状の有効期間が10年間ということで比較的長期に設定されていることが、応募側と採用側のマッチングの支障になっているといったような意見もあるわけでございます。一方で、臨時免許状というのもあって、これは3年間でありますけれども、あくまで助教諭の免許でありまして、力量ある社会人を登用するという観点からはちょっとタイトルとしては十分な役割を果たすことができないのではないかということも考えられます。

2つ目の丸でございますけれども、特別免許状については、従来のものとは別に、より短期の期間で柔軟に活用できるような期間の教諭の免許状というものを作っていくということも一つの手法として考えられるのではないかと。その際は、有効期間の更新というのが柔軟に行えるようにするなど、雇用の継続も可能とするような一定の配慮の下で制度設計を行う必要があるのではないかということでございます。

15ページと16ページが教員免許更新制の実質化についてでございます。先ほど御説明いたしましたように、今年は、コロナということで、非常に大きな動きがある部分でございます。

これまで部会においては、研修との相互乗り入れという観点から御議論をいただいたところであります。3つ目の丸に書かれておりますけれども、従来から文部科学省としても更新講習の科目と中堅研の相互乗り入れ、このようなものの実施を求めてきているであるとか、また、4つ目の丸でありますけれども、既に負担感を軽減する観点から幾つかの教育委員会では教育委員会が実施する研修と更新講習を兼ねるなどの取組が行われているということで、部会でも事例を紹介して御議論いただいたところでございます。

5つ目の丸でございます。ただし、こうした取組が全国的な広がりを見せているとは言い難いという状況であります。部会の中でも事例を紹介し、議論していただきましたけれども、こういった相互活用というものを進めていくという観点からは、教育委員会の内部における研修と更新担当というものの連携から始まり、教育委員会と外部の大学との連携など、組織内外の連携というものをどう確立していくのか、また、内容という観点からも、研修として取り入れるにふさわしいような講習になっているのかといったようなすり合わせというものが適切に行われることが必要でありますし、また、研修と講習の受講履歴を管理する体制というものを進めていくということも必要であります。一部の教育委員会においては、このような課題というものもクリアしながら、かなり密接な関係で相互乗り入れをしているというところがありますので、そういうところをしっかりと整理して具体的な情報提供を行うなど、今後もこういった教育委員会の取組を後押ししていくということが必要ではないかということでございます。

15ページの一番下からが、今般のコロナの対応も含めて、最初に御説明したように、教員免許更新制について引き続き検討を行う必要があるのではないかと触れている部分でございます。先ほど申し上げましたように、多くの現職の先生が、夏休み期間中なども含めて、かなり学びの保障というものに注力しなければいけないという状況が生じております。また、学校としても、土曜日授業とか、学級を複数グループに分けるなど、通常時とは異なる業務の発生も考慮した人的体制というものを、加配教員とか様々な外部人材なども活用しながら迅速に行うということが求められているわけでございます。

16ページに入らせていただきます。先ほど御説明したように、有効期間の延長を行うことについては可能であるということはお示ししたわけでありますけれども、このような形で突発的に教員の働き方とか教員の確保という観点で様々なことが起こってくるということは、免許更新制の導入時には想定されていなかった事態というふうに受け止めてございます。

最後から2つ目の丸でございます。ふさわしい資質を備えた教師というものを必要な人数どのような状況であっても教育現場に確保するということの重要性という部分については、将来にわたって変化するものではないわけであります。教員養成部会においてぜひ今後議論していかなければいけないというふうに考えていますのは、今回のコロナの話は一旦学校の再開という動きはあるわけでありますけれども、今後、同様の事態というのはまた生じ得るという認識に立ちながら、教員免許更新制が今の状況において子供たちの学びの保障とか迅速な人的体制の確保というものにどのような影響を与えているのかということについてはしっかりと分析を行うということが、また、教員免許更新制その他の今まで議論していたような内容を制度化していく、そのような場合に当たっても前提としては必要ではないかというふうに考えているところでございます。

16ページの最後の丸でございます。「あわせて」ということでありますが、今回このような形で分析に着手するということも契機といたしまして、教師の勤務の長時間化とか教員不足の深刻化といったような近年指摘される課題との関係というものを視野に入れながら、免許更新制そのものの成果とか、また、研修というものの在り方、具体的には教師の資質能力の指標を定めて、それに基づいて研修計画を立てるといったような仕組みが、大体5年近くたってきていますけど、定着しているのか。こういったことについて包括的な検証というのを今後も進めていくことによって、将来にわたって、どんな事態があっても必要な教員数を確保していくということと、また、資質能力の確保が両立できるような在り方、これを総合的に考えていくことが必要ではないかということを今の段階ではまとめには入れさせていただいておりまして、先ほどのコロナの影響というところから始めて、教員免許更新制の実質化については今後とも議論を行っていくというようなまとめにさせていただいているものでございます。

長い説明になりましたけど、私からの説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。

それでは、意見交換に入りたいと思います。Zoomの、手を挙げるボタンを押していただきたいと思います。今、4人の方が手を挙げておられます。松木委員、高橋委員、安部委員、松田悠介委員ですね。それから、橋本委員。その後、立田委員ですね。この順番ですね。松木委員からお願いいたしますが、ちょっと時間のほうを考慮いただければと思います。この議題については3時頃まで行いますので、よろしくお願いします。

それでは、松木委員、どうぞ。

【松木委員】 2点考えてみたいと思います。

1点は、教師のICT活用の指導についてです。これで一番大きな課題は、前回も出されましたが、大学の教員養成でどのくらいICTを使っているかということです。このことが、一番影響力が大きいと思っています。そのときに、各教科の指導法のところでICTが使用されているかどうかではなくて、各教科の専門の授業の中で、つまり、教科のコンテンツを検討する中で実際に使われている姿が、学校の先生方にとっては一番影響力が高いんじゃないかなと思います。今後、大学の授業等についてフォローアップでは、ぜひ各教科の指導法においてICT活用されているのかではなく、教員養成にかかわるすべての授業で活用されているか、どんなふうに取り組んでいるか、そして、すべての教科にICT活用を促す工夫をしていただければと思います。

2点目は、教員免許更新講習に関してです。今回、更新講習は、福井ではリモートで行うことになっています。今後のことを考えると、リモートのメリットを、例えば、学修履歴が個人のデジタル情報として残っていくわけですし、それを10年置きに毎回学修履歴が蓄積されますので、教師自身が自己の三十年間の歩みを確認しながら更新講習を受けていくというようなことが可能になってきます。ぜひそのリモート化していくことについてのサポートもお願いをしたいと思います。

以上です。

【加治佐部会長】 それでは、高橋純委員、お願いいたします。

【高橋委員】 よろしくお願いいたします。高橋でございます。私、この後、別件で抜けなきゃいけませんので、発言だけでお許しください。

資料1の10ページの3つ目の丸の最後、なかなか難しいかもしれませんが、何と書かれているかといいますと、「大学が実践的な内容の授業を着実に実施できる仕組みを構築し」と書かれております。このことについては、私、すごく大事だと思いますし、各教科の指導法において情報機器の活用等に関して今回コアカリに書かれたので、それについて一層実質化していくためにも重要なことだと思います。加えて、大学の講義室のICT環境は、いまだ一方向型を志向したものであるとか、GIGAスクール構想において一般の普通教室で想定されているようなICT活用ができない大学の講義室というものも多々見られるように思います。なので、実践的な学修が教員養成段階でもできるように、この仕組みの構築の中に、各教科の指導法などを学ぶ、そういった大学の講義室に関してのICT環境の充実が図られればなというふうに思うところでございます。

2つ目でございますが、11ページ目の1つ目、2つ目の丸に関連しまして、教員に対しての研修も「ICTを活用したより効果的な実施手法が求められる」となっており、その後半、2つ目の丸に、「オンライン研修等とのベストミックス」ということも書かれております。このような、オンライン研修のためにICTを活用するということも重要だというふうに考えておりますが、加えて、ICTによる教員研修の一層の充実というのは様々な方法が考えられると思っています。特に、GIGAスクール構想では児童生徒が1人1台PCを使って学習をするということでございますので、教師自身も常に1人1台PCを持って、あらゆる研修に参加して、それを道具として一層使いこなしていくことで、それ自体が研修になっていくような仕組みを作っていくということが重要ではないかと思います。ICT活用指導力向上のための特別な研修というのも大事だと思いますので、それは行うとしても、様々な研修において先生方がコンピューターを使いながら研修を行っていく、先ほどの松木委員のお話にもあったような、それによって履歴がたまっていくとか、そういった新しい時代に向けた教員研修ということを考えていく必要もあるんじゃないかなと思います。

以上になります。私、この後、用がありますので、すみません、これで退室させていただきます。ありがとうございました。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

それでは、安部委員、お願いいたします。

【安部委員】 ありがとうございます。長崎短期大学の安部恵美子です。私は、審議まとめ冒頭の、義務教育9年間を見通した教員養成、採用、研修の在り方について意見を申し上げたいと思います。

この中には、小学校と中学校の免許を取得することが望ましいという観点で、両免の取得を促進するための養成課程上の特例等が示されたところですが、中学・高校教諭免許所持者の高い教科専門性を小学校教育に取り入れて、小学校、中学校との間の教育方法などの連携を促進するためには、ぜひとも、中高の免許取得者、先生には、小学校の取得課程を併修していただいて、小学校段階の児童の発達、小学校教育の特性についてより学んでいただければというふうに考えます。

また、各教科の中高の先生の養成課程では、教科の専門性を高めるということがやはり最重要課題だと思われますが、中高免許所持者の方が小学校教育に携わる場合も、その教諭の教科専門性がより小学校教育の中で期待されるということから、併修上の負担はできるだけ軽減する必要があり、今回のまとめは非常にそれにかなったものだと考えます。

さらに、戦後一貫した開放制教員養成制度の下に、特に中学校・高等学校養成課程は教育学部以外の多様な学部で各教科にわたり開設しておりまして、特に地方の小規模の私立大学においても、中学校、高等学校の教諭免許状を取得し、教員を目指す者がおります。それらの者が在学する大学には教育系学部のないところも多いかと思いますが、地域の大学間の連携等を活用することによって、彼らが希望すれば小学校教諭免許課程にアクセスすることができるということも、教育に適性や指向性の高い多様な人材を教育現場に迎えることにつながるのではないかと考えております。

また、最後の免許更新制度に関することなんですけれども、今回、16ページの最後から2つ目の丸に、「子供たちの学びの保障に注力する教師や迅速な人的体制の確保に与える影響の分析に着手する」というふうなことが書き込んでございますが、この制度ができてもう10年がたった段階で、教員免許更新制度がこれらに与える影響に関しては早急に結論を出していただき、教員を続けていく際に必要な、教師に必要な能力に対する研修とは何かについて明らかにしていただければと考えます。

以上です。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

それでは、松田悠介委員、お願いいたします。

【松田(悠)委員】 まず初めにちょっと確認なんですけれども、本日の議論というのはこれまでの課題とか論点の抽出を取りまとめたもので、これから各論に対してどう対応していくのかというところが審議されるという理解でよろしいでしょうか。これは事務局もしくは部会長にお伺いしたいんですが。

【加治佐部会長】 これまで教員養成部会にワーキング等を設けまして、ずっと審議してきたわけです。その中間報告を特別部会のほうにいたさなければいけません。それの一つの集大成だというふうに思いますね。そして同時に、特に最後のほうに出てきています免許状更新講習については、あまり議論をしていないということもあります。かつ、16ページにもありますように、コロナという新しい事態になって、先生方が補習等で非常に忙しい中で、本当にこれはこのままでいいのかということが強い問題意識だと思うんですよね。そこはこれから調査等――調査できないのかもしれませんが、いずれにしろ、ちょっと総合的に検討してみようということですね。併せて、最後の丸にありますように、育成指標もありますので、そういうのとも絡めて検討していこうということです。

【松田(悠)委員】 すみません、中間報告ということですよね。

【加治佐部会長】 はい。

【松田(悠)委員】 分かりました。では、今後特別免許状で論点整理されている箇所は今後詳細の議論がなされると理解しました。今回は、Society5.0について言及されている箇所についてコメントしたいと思います。ページでいうと9ページ目です。私は、Society5.0の教育というのは、データの取扱いが肝になると思っています。データの活用を軸にしながら、スタディログを取っていき、個別最適化された学習を実現することが大切だと思っています。

9ページ目に記載されているICTの活用というのはどちらかというとSociety4.0の話をしています。もちろん4.0のところがしっかり整っていないと5.0に行けないよねという話で、かなり重点的にICT機器の活用の話が(1)番のところに書かれているのかなと思うんですけれども、本格的にSociety5.0に準備するということであれば、具体的に本当に個別最適化された学習の仕組みをどうやって構築するのかとか、もしくは一番厄介になると想定されるのはデータの取扱いだと思っており、体制整備が急務です。教育データを取り扱うという事は、個人情報を取り扱うという事です。そこの法整備とか、実際に運用面をどうしていくのか、データの管理システムをどうしていくのか、ここが最重要課題であると認識をしています。なので、ICTの活用のところで別立てされておりますように、しっかりとビッグデータの活用のところを具体で個別に検討を進めていく必要があるんじゃないかなと思っておりますので、ぜひとも御検討いただきたいなというふうに思っております。

以上でございます。

【加治佐部会長】 それは恐らく、Society5.0になったら、ここの教師教育の部分だけではなくて、今言われた個別最適化、それと学びをどう作るかということに直接関わりますので、初中分科会とかそういうところでも本当にしっかりやらなければいけないと。

【松田(悠)委員】 ただ、やっぱり教員の意識の話だと思っていますし、教員のデータリテラシーの話だと思いますので、教員養成の段階であったりとか、研修の段階であったりとか、あと、実際現場で実行する上でのサポート体制をしっかりと考えていくべきです。一番教員がリスクを感じるのは、個人情報の流出とかデータの取扱いを誤ったときの社会やご家庭からの批判や責任問題です。このままですと、おびえてチャレンジができなくなってしまいますので、教員を守るという意味合いにおいても、ここはしっかりと認識を持っていく必要があると思います。

【加治佐部会長】 おっしゃることは分かりました。

それでは、橋本委員、お願いいたします。

【橋本委員】 橋本です。資料でいうと15ページですけれども、教員免許更新制度についてだけ申し上げたいと思います。

教員の中には、向上心が強くて熱心に自主的に研修を積まれる方もいれば、そうでない方もいらっしゃって、こうしたある種の格差をどう見ていくかということは一つの課題だと考えています。免許更新制度というのは、それによる講習ですけれども、こうした課題意識に応える役割を果たしていると思っておりますし、また、時代の変化のスピードが速くなっている中で、必要な知識・技能のリニューアルを広く図っていく上での必要性というものは十分認められるのかなというふうに思っています。ただ、最近では、eラーニングによる受講も増えていて、大学が特に多い都市部以外の教員にとって便利な一面があるものの、多くの講座が開設されている中で、最新の知識や技能の更新という本来の目的に照らして果たしてふさわしい内容ばかりかという点では、疑問の声が私どものほうにも寄せられているところであります。

また、これはちょっと本論と違うかもしれませんけれども、更新時期の誤解等によって教員免許の更新を失念された場合には、教員として直ちに失職という、大変重大な結果を招くことになりますけれども、これは過失に対してあまりに大きなペナルティーになる、そんなような印象を持っております。こうしたことについて、少し制度としてどうなのかなと気にしているところであります。

いずれにしましても、制度創設から10年以上経過する中で、今回、新型コロナウイルス感染症による教員免許状の有効期間の延長をある意味で一つのきっかけとして制度の在り方を検証していただけるということは、我々任命権者、免許管理者である都道府県教育委員会としても歓迎したいというふうに思っております。教員の資質向上は大変重要な政策課題であるとの認識を前提としながら、先ほど申し上げました講習内容等とともに、今、教育委員会も研修との相互活用などを始めておりますけれども、さらに教員の過度な負担とならない仕組みについても検討をぜひ進められたらというふうに思っております。

以上です。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

この後、立田委員に御発言いただきますが、その後は、安藤委員、秋田委員、竹原委員、喜名委員。次の方は、これ、今日のパスワードだと思いますが、どなたかちょっと分からない。またそのときに名前をおっしゃってください。それから、松田恵示委員、本図委員、三村委員、古沢委員、この順番で参りたいと思います。

それでは、立田委員、お願いいたします。

【立田委員】 横浜市立緑園西小学校校長の立田です。私は、義務教育9年間を見通した教員免許制度についてお話ししたいと思います。

私のような学校管理職や、教育委員会の関係者にとっては、この義務教育9年間を見通した教員免許制度は納得できる内容だと思います。ただ、視点を変えて、教員を目指している大学生や、これから進路を決めようとする高校生に対してこのまとめがどのように受け止められるだろうかということを想像すると、やや不安も感じます。特に小学校、中学校の両方の免許状の取得が望ましいという方向性が、ややもすると負担の増加、そして、先生になるのは大変だという印象を与えてしまう可能性や、あるいは小学校1年生から中学校3年生までをオールラウンドに受け持てる教員でなければいけないというイメージを与えかねないということを懸念します。いわゆる両免取得の狙いとして、小・中学校間での人事交流や、小学校の教科担当制の充実ということももちろんありますが、それとともに、小学校の教員であっても中学校の教育について十分に理解することが9年間の義務教育の充実につながりますし、中学校の教員の場合にはその逆のことが言えるわけで、それが両方の免許を取得することで可能になるということがこれから教員を目指す若い世代にも伝わっていくことが必要だと思います。そして、そのために、両免取得に向けた負担軽減などの条件整備もしっかりやっていきますということと併せてアピールしていくことが必要ではないかと思います。

免許制度の見直しの狙い、そのための条件整備については、このまとめを丹念に読めば分かるのでしょうけれども、これから教員を目指す若い世代が学校の先生という仕事を選んでくれるようなまとめ方、打ち出し方、工夫というものを期待したいと思っています。

以上です。

【加治佐部会長】 よく分かりました。

それでは、安藤委員、お願いいたします。

【安藤委員】 安藤です。よろしくお願いいたします。義務教育9年間を見通した教員養成と教員免許について、2点お願いしたいと思います。

まず1点目ですが、学部段階における教員養成において、今回、義務教育特例の制度設計が非常に有効な方策であると考えます。とりわけ共通開設科目に教科及び教科の指導法の科目を位置づける、このことは小中両方の免許状取得において、あるいはさらには義務教育学校教諭としての強みを作り上げる重要な基盤になると考えています。しかし、問題は、ワーキンググループの報告、ペーパーでいきますと6ページにありますが、このワーキング報告にある教科及び教科の指導法の科目で提案されている2から4単位程度の共通開設で果たして義務教育学校教諭としての力量形成が十分に担保できるかということがやや心配になるところです。義務教育学校教諭としての力量を形成するためには、もう少し単位数を多くする必要があるのではないかなということを考えています。併せて、例えば小学校教諭を目指そうとする学生に対しても、できれば入学段階からある特定の教科についての専門性を持つ資格コースとか専攻を、今までもありますが、一層そこを大事にしながら、そういう仕組み作りを大学のほうでも検討しながら、小中両方に共通した、必要となる教科指導法をきちんと共通開設科目で十分学修させるようにすることが大事ではないかなということを考えています。

次に2点目ですが、今回の審議のまとめにおいて、大学院レベルにおける教員育成とか教員免許制度についてほとんど触れられておりませんでしたけれども、私は、やはり大学院で取得できる、特に専修免許状の位置づけがこの義務教育9年間を見通した免許制度をより充実させるのではないかなと考えております。実際、多くの教職大学院では、1種免許状取得あるいは取得見込みを受験とか入学要件としていますので、必ず修了時には教職修士の学位と併せて専修免許状を取得して修了していきます。しかし、実際、取得した校種や教科の専修免許状が修了後にほとんど学校現場において有効に活用されていないように感じています。そのため、専修免許状を、いわゆる学校種を超えて、義務教育段階の9年間をカバーする高度な義務教育学校教諭免許状という性格を有するようにしてはどうかということを考えております。社会のニーズに対応しつつ、高度な指導力を備えたスクールリーダーを育成するという教職大学院の役割を検討するならば、学部段階においての共通開設科目でカバーする小中免許と、教職大学院では実践的で高度な教員養成カリキュラムの編成によって、現職教員学生においては勤務経験を生かす機会が保障され、学部卒学生においてはより実践的な指導力を備える機会が充実してくるのではないかと思います。結果として、小中共通の専修免許状として修了後に大いに活用されることを私自身は期待しております。いずれにしましても、今後はできましたら教職大学院で取得する専修免許状の在り方というものをぜひ検討いただきたいなということをお願いしたいと思っています。

以上でございます。

【加治佐部会長】 ぜひ教職大学院の魅力化も進めたいですね。専修免許状の意味をより持たせるということですね。分かりました。

それでは、秋田委員、よろしくお願いいたします。

【秋田委員】 ありがとうございます。東京大学の秋田です。

今回のおまとめは、これまで回を重ねてきたものを大変的確に抜粋して、まとめていただいたというふうに考えております。特に最終ページ、16ページ目のところで、今まで教員免許更新制度とともに様々な研修制度に関してより包括的な検証を進めることの有効性に関して、具体的にどのようであったならば一番キャリアに応じた形でより充実できるのかというところが、大変重要だと考えております。

それと、関連しているのが、15ページの上から5つ目のところです。全国的な広がりをうまく見せているとは言い難いということがありまして、研修と免許更新講習の相互活用というようなことがありますと、包括的な検証というのが全国で有効かどうかということだけではなく、どういう自治体の取組がどのような効果を生んでいるのかというようなところの丁寧な検証ならびに、教師のキャリア段階に応じた研修として可能なのかというような検証をしていただくということが重要であろうと考えております。包括的なというところの意味に関してちょっと気になりましたので、まず1点目としてコメントさせていただきました。

また、もう1点は、10ページ目にございますICTの活用指導力に関してです。先ほど松木委員や高橋委員も言っておられましたが、教職課程に関しましては、大学の教員養成段階におけるICT学習環境の在り方について検討をしていく事が大事だと考えます。そして同時に、現職教員に関しても、ここでICT活用指導力という一般的な名称で言われておりますけれども、今回のコロナで明らかになったことは、自治体においてICTの配備等が明らかな違いがある。その中でどういうふうにICTを活用していくと、その自治体において一番有効なのかということを検討していくのが現職教員として一番重要だと考えます。すばらしいICT活用の在り方というよりも、各自治体の文脈に応じた形で活用に関する検討をしていくことが重要であろうと思います。また、最近、コロナ後に、ユネスコやOECDではデジタル・シチズンシップということが非常に頻繁に言われるようになりました。これはやはり、ICTをどう使うかというだけではなくて、倫理的な問題や、排除や格差の問題に対して、情報の格差に対してどういうふうに対応するのか、そういうモラルを教員側が持つ、そのモラルをどう育成していくのかというような問題であります。今後、ICTでどう指導するかというようなところだけではなくて、その根底にあるモラルや倫理や、どういうふうに包摂的にICTを使っていくのかというようなところについて、丁寧に養成段階、それから現職段階で議論していく検討が必要だろうと思います。

あと、最後に1点だけです。小中一貫の9年間を見通した活用というのは非常に重要でありますが、やはりこれまで、小中連携・接続と併せて、実は幼小の連携・接続ということもずっと言ってきました。しかし、それが今回は小中が免許として一貫になるということは大変大事なことでございますけれども、それによって、高学年の専門教科の問題だけではなくて、特に小学校の低学年からの学習の充実ということが中学校までに極めて重要でありますので、その辺り、例えば幼小連携・接続、小中連携、そして中高、中等教育でどうカリキュラムが接続するのかというような、実は学校種間の接続や連携に関する専門の教職課程の科目というのは立っていないわけです。どこかで1時間ぐらいずつこれまで授業をしてきたわけなのですが、長期的に見ると、こうした連続性を考えると、そうした科目が今回は入れられなくても長期的にこうした免許制度の中にどのように入っていくのかということを考えていくということも必要ではないかと思います。

以上です。

【加治佐部会長】 分かりました。ありがとうございました。

それでは、竹原委員、お願いいたします。

【竹原委員】 竹原でございます。よろしくお願いいたします。私は2点申し上げたいと思います。

1点は、皆様もお触れになりましたが、15ページ、「受講履歴を管理する仕組みを」とありますが、これをもう少し具体的に書いておいたほうがいいのではないかと思います。誰がどのような学修履歴を個人として持っているか、それをきちんと残すということとともに、教育委員会なり研修主催者の視点でどう系統立てて、どういう人材育成をしてきたか、担当部署ごとの連携がわかるよう、「管理する仕組み」を具体的に記述したらと思います。

それからもう1点、デジタル教科書等いろいろなものがありますが、何よりも、NITSの教材、20分の教材はとても有効で、質の高いものが提供されています。ただ、どれだけ現場まで、先生や学校や教育委員会に伝わっているかというと、まだまだなのではないかと思いますので、広報力を高め、周知することが必要かと思います。オンラインとリアルの質の高い学びを体験した先生方が、子供に対してオンラインとリアルの充実した授業ができるようになるのではないかと考えております。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

それでは、喜名委員、お願いいたします。

【喜名委員】 全国連合小学校長会の喜名でございます。私からも2点お話を申し上げたいと思います。

1点目は、10ページにございます現職教員のICTの活用指導能力の向上方策ということでございます。今般のコロナ対応で、各学校はICT機器をいろいろ活用して、手探り状態でいろいろなことができてきたわけでございますけれども、このことについてまだまだ確立されたものがないというのが1つ課題かなというふうに思っています。そういう意味では、2つの環境整備が必要で、ICTを活用した指導力というのはどういうものなのかという具体的な内容の部分、それからもう1つ、皆さんもお話をされたように、GIGAスクールの完全な実現の先にある環境整備ということだというふうに思います。子供たちも教師も1人1台しっかりと持って授業に臨むこと。さらに、今課題になっているのは、通信網がまだまだ弱い、通信状況が弱いということがございますので、この点も必要かなと思っております。

もう1点は、免許更新講習の実質化というところでございます。皆様が御指摘されたように、15ページの上から5つ目の丸のところであります。教育委員会と大学との連携というのはとても大事なところでもありますし、研修履歴を残していくということも大事なことであります。東京都教育委員会などではこのことはもう既に行っているところでありますけれども、そのことが免許更新の講習に結びついていないというところは課題ではございます。このことについてもぜひ、丸投げする形ではなくて、ある程度の基準ですとかモデルの例示というのでしょうか、そんなものが示されていくといいのではないかなというふうに思います。

以上でございます。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

それでは、これはどなたになるんですかね。

【森山委員】 玉川大学の森山です。

私から何点かお話しを申し上げます。1つは、義務教育を通した9年間のところでは、いろいろな特例が考えられると示されておりますが、その中でコアカリキュラムの件が課題になってくるのではないかと感じております。小中の単位をどのように認めるかということについては、コアカリの内容が示されていますので、その辺りとの関係がどのようになるかということと、大前提は学士課程教育における単位の実質化ということを考えると、教職課程自体だけがどんどん単位が増えていくということについての懸念もあろうかと思います。これが義務教育9年間を通したところの、私としてお示しする2点です。

それから、教師のICT活用の指導法については、松木委員、それから高橋委員からもお話がありましたけれども、私も、その点、重要な御意見だと思います。ただ、1つは、令和2年度から本格的に実施されている改訂の学習指導要領の重点課題として、主体的・対話的な深い学びの実現も挙げられますし、そして教員の日常の教育指導がこの学びに適したスタイルで行われるということも必要になってくるわけです。その上で、特に現在の新型コロナの感染対策としてICT環境の整備の充実を踏まえたということ、あるいはオンライン授業をはじめとした学校のICTの充実というのは国民的な関心が非常に高くなっているわけです。ですから、養成段階と研修段階を一体的に体系として検討していかないと、研修だけではなかなか難しい。先ほどのお話にもありましたが、養成段階での学習指導法の改善ということは、大学が取り組むべきところだと思います。ICTというよりも、むしろICTも主体的・対話的な深い学びを実現するという意味で、学習指導要領の改善という観点を示すべきではないかと思います。先ほど教職大学院のこともございましたが、教職大学院、それから教育学部、それから教職課程等、非常に多岐にわたりますから、今後学習指導法の改善を検討する必要があるのではないかと考えています。

それから、特別免許状の教員への研修制度の件です。今は行われておりませんが、併せて、教育委員会等の研修に私立学校の教員も積極的に参加できるような仕組みや、全国的な教員の資質向上を考えるということも必要なのではないかなと思います。

また、免許更新制につきましては、免許更新の内容ということが議論されなければならないと思います。先ほども教育委員会と大学との不一致というお話が出ましたが、免許更新制を効果的なものにするということは、少なくとも免許更新の内容に関する問題が1点あろうかと思います。それからもう1点は、やはり中堅教員と資質能力向上の相互認定にそれが関わってくるだろうと思います。さらに、受講環境の整備が免許更新講習を進めていく上では重要な課題だと思います。この辺りのところを踏まえて、現職研修と免許状更新制の関係の在り方を確認する必要があろうかと思います。

以上です。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

それでは、この後、松田恵示委員、本図委員、三村委員、古沢委員、木村委員、一木委員ですね。ここまでにしたいと思います。できれば15分ぐらいで収めたいと思いますので、時間のほう、御協力いただければと思います。

では、松田委員、どうぞ。

【松田(恵)委員】 東京学芸大学の松田です。それでは、手短に2点だけお願いいたします。

まず、9ページのSociety5.0時代における教師及び教員組織の在り方についての最初の丸と2つ目の丸ですけれども、教師としての不易の資質能力が云々とあって、一方で、時代の変化に対応して求められる資質能力もありという形でまとめてあります。もちろん明確には書いてはございませんが、不易流行というような、そういう図式で流行の側にICTに対応する教師の情報活用能力なり指導力というものが位置づけられていますけれども、先ほど来、大学の現場でのICT環境の整備だとか、あるいは学校現場の研修なんかも含めまして、流行の部分にICTが入ってしまいますと、何かちょっと力が弱い感じがございまして、できれば、例えば「不易」という言葉を抜いた形でまとめていただく、あるいは逆に2つ目の丸で、時代の変化に応じて増える不易の資質能力もあるのだということで何かICTに対応する力を入れていただけたりすると、より現場で頑張るときにちょっと後押ししていただける感じになるかなと思いました。

2点目は、5ページの前後に書いてございます、小学校、中学校の免許状の両方の取得の促進という件なのですが、特に3つ目の丸で3行目に「授業科目を共通に開設できる範囲を拡大する」という言葉がありまして、これは本当に重要なことだと思うのですが、ここの部分が逆に、新しい時代に応じて、例えば個別最適化へのトライアル等の内容を工夫できるだとか、つまり、単に共通に開設できるということではなくて、開設できる科目は新しい時代に応じて新しい工夫によって授業の内容がまた充実していくのだというような、そういうニュアンスがあると大学等でもより考えることが前向きになっていくのかなとちょっと感じたというところがございました。

以上です。

【加治佐部会長】 よく分かりました。ありがとうございました。

それでは、本図委員、お願いいたします。

【本図委員】 ありがとうございます。

3点ございまして、1点目は、いろいろ御意見が出ているところですが、免許状更新講習で、前も申し上げましたが、現場での、特にミドルリーダー以上ですね。主任で、研究主任とか教務主任とか生徒指導部長とか、小、中、高と幼稚園と、いろいろミドルリーダーとして学んでおられる、そういった現場での学びも、あるいは公開研究なんかを指揮されているといったところも、大学と共同しながら、免許更新講習の一環にして、十分学んでいますというような、30時間全てとは申しませんけれども、一部にできるという仕組みを考えてもいいのではないかなと思います。特に特別支援の領域などでは最新事情を踏まえないとやっていけていないと思いますので、10年たちましたので、そういったことを工夫する必要があるのではないかなと強く思っております。ミドルリーダーのいろんな役職のところも重要ですので、自治体での研修を主任別にやっておられますけれども、学校での学びこそ大学がつないでいくというようなことをできたらいいのかなと思っております。

2点目は、森山委員からもちょうど出たところですが、臨免と特別免許と、さらに私は非常勤講師についても研修を受けて学び続ける教員の一環だということを明確に位置づけないと、学校の中で、チーム学校としたときに、この人たちは一定的な免許で研修を受けていないしというようなことに時としてなっているのかなと思いまして、子供たちの前に立つ以上、学び続ける教員として、免許の条件に関係なく、研修を受けているよということが、細々と点でいろいろありますが、もう少し全国的にもこういうことだというふうになる必要があるのではないかと思っております。

3点目ですが、ICTとかのいろんな特別支援とか最新のものをどんどんやっていかなければいけない中にあって、私は、養成段階ですけれども、7日間、介護等体験について学生たちが学ぶことは有益ですが、そろそろ見直しの時期ではないかなと思っておりまして、5日間の福祉施設と2日間の特別支援という、かつて出た例示でなかなか現場がその例示をひっくり返すことができない状況になっております。逆じゃないかなと思っておりまして、いずれにせよ、7日間は多い。しかも、これは学生たちが自費で実習費を払うというようなことも起きていまして、全国的な見直しをして、新しい、必要なところに、教員養成として必要なものもブラッシュアップしていくということが必要ではないかと思っております。

以上になります。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。介護体験は教員養成部会の範疇なのですかね。法が全然違いますものね。何となく聖域みたいになってしまっていて。だけど、大学や学生にとっては同じですものね。教員養成課程の一環となっていますので。よく分かりました。

三村委員、お願いいたします。

【三村委員】 岡山大学の三村です。よろしくお願いいたします。教員免許更新制について、1点お願いできればと思います。

更新講習の受講時期や期間の弾力化についてお願いできないかと考えております。現在、更新講習の受講期間は2年間ですけれども、他の研修との重なりもありますし、それぞれの教員のキャリアステージの中で、例えば、学びたい時期や学びやすい時期、興味や必要性に応じて受講できるような制度にできないかということです。当然、受講期間を広げることによって、全国的に受講人数の見込みが立てにくいことや、認定試験によって更新時期での資質を担保する、確認するという意義はあると思いますが、学び続ける教員ということを考えたときに、その期間だけではなく、もう少し広い期間の研修という視点を更新講習に入れられるようなことを検討していただければ有り難いなと思います。

以上です。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

それでは、古沢委員、お願いいたします。

【古沢委員】 古沢です。ありがとうございます。

今回の審議まとめ(案)ですが、教員養成とか免許制度について具体的な制度改革が数多く盛り込まれていて、言わば実効性のある内容になっているかと思います。特に養成課程において、小学校教員に従来から幅広い人材を確保する工夫というのは、負担増もあるかとは思うのですが、児童の発達段階などについての教育の質を維持しながら、ぜひとも進めていくことが必要ではないかと思います。

ただ、一般の人にとって、そもそもなぜ義務教育9年間を見通した養成が必要で特別免許状の活用などで外部人材を広く求めなければならないのかという点を、各地域で教員人材の確保が非常に厳しい状況にあるということを言われていることでありますが、子供や社会の変化なども含めて率直かつ明確に説明したほうが、より説得力が、改革の必要性が伝わるのではないかというふうに思います。

以上です。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

続きまして、木村委員、お願いいたします。

【木村委員】 木村と申します。3月まで長崎県教委に所属しておりまして、4月から長崎大学に勤務していますが、3月までの経験を基に話します。

審議のまとめとの内容に異論はありませんが、古沢委員の考え方と同じで、読み手にとってみれば、免許の取り方を工夫したとか、ICTを導入するために何らかの研修をしなければならないというようなことにもなりかねないので、今後求められる義務教育9年間を実現するためにはこんな教員が必要だ、などが端的に表現されていると良いと思いました。

その上で、義務教育9年間で申しますと、小学校への教科担任制等の導入が進められていますので、中学校の教員に小学校の免許をということでありますが、小学校サイドから言うと、小学校の先生にも教科をしっかり教えられるような専門性を身につけていただきたい。つまり、小中学校それぞれの専門性にとどまらず、小中両方の免許を取っていただきたいということ。それと、相当免許状主義ですから、幼稚園と小学校、それぞれ近づこうとするのですが、その相当免許状主義という考え方が幾らか隙間を作るような感じもします。つまり、この小中の9年間を起爆として、例えば幼小とか、隣接の校種に対する専門性というものの必要性にも迫っていただければと思います。

ICT環境ですけれども、長崎県でも、年度末までには100%近い学校で1人1台端末がスタートします。もう市町間に整備の違いはなくなります。子供たちが1人1台端末を持っているわけですから、現職の先生たちには、IC教科指導の中にICTを入れながらどう充実させていくか、ここの研修は急務だと思います。教員養成機関である大学も全く一緒で、4年後には1人1台を経験した子供たちが入学してきます。これにどう対応するのか。教員養成部会の今回の審議のまとめは、今の課題を起点に、ここ数年を見通した方向性辺をもって示す必要があるのではないかと思っております。

以上です。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。分かりました。

それでは、一木委員、お願いいたします。

【一木委員】 福岡教育大学の一木です。まとめの最後に、包括的な検証を記していただきました。今後のことになるかと思いますが、特別支援の立場から1点だけ申し上げたいというふうに思います。

特別支援学校教員の免許につきましては、特別支援学校独自の教育内容である自立活動についても学ぶことを前提としておらず、また、コアカリもございません。また、教育職員免許法の附則第16項により、免許がなくても当分の間教員として勤めることができると、こういう現状がございます。そうすると、現職研修としてもなかなか足並みがそろわないという現実があるところです。ですので、特別支援の免許につきましても、これまでを検証し、今後の養成・採用・研修の一体化、この在り方について特別支援学校の免許に特化して検討する場というものを何らかの形で設けていただければというふうに思います。

以上です。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

ちょうど3時ぐらいですね。本当にいろいろな御意見をありがとうございました。今後の審議のまとめに生かしていただければと思います。

個人的な感想を1つだけ申し上げますと、皆さんの大学もそうだと思いますが、この4月から、ある意味無理やり全部オンライン授業になりまして、はっきり言って、大学が随分変わりました。定年前の先生もやらなければいけないわけですね。随分変わっています。いろんな変化が起こると、ある意味、根本的な変化が起こるんじゃないかとさえ思っていますが、学生や現場の先生方にICTの活用能力をつけてもらわなきゃいけない。例えば、指導法の授業等ですぐにでも使ってもらわなきゃいけないと。実践的な内容で。これは、移動しなくていいですので、移動のコストがかかりません。ということは、例えば単位互換の制度なんかを使って、ある優れた大学の授業が多くの大学で使われる可能性が十分あるのかなというふうにも思っております。放送大学等がやってきたことを、優れたプログラムを持っている大学が行えるようになるんじゃないかということですね。単位互換だと、制度的な問題はないんじゃないかということですね。ということをちょっと思ったりしているところです。大学自体が変わりましたので、このICTについてのことも本当に変わっていくんじゃないかと思っております。

それでは、この議題はこれぐらいにいたしまして、先ほど最初にも申し上げましたように、この審議状況は7月17日に私から特別部会に報告いたします。今日皆さんからいろんな御意見をいただきましたことは反映させてゆきますが、最終的な部会長に一任させていただきたいと思います。

それでは、議事の3に入ります。議事の4も調査結果が続きますので、そちらも併せて御報告いただけたらと思います。事務局から説明をお願いいたします。

【中村教育人材政策課長補佐】 教育人材政策課の中村です。議事の3と4をまとめて御報告させていただきます。

まず資料3のほうを御覧ください。教育委員会における障害者雇用に関する実態調査と国立教員養成大学・学部における障害のある学生の支援に関する実態調査でございます。

こちらの調査は、資料2枚目、調査概要が書かれているページを御覧ください。平成31年4月に文科省が公表しました「教育委員会における障害者雇用推進プラン」に基づきまして、令和元年度に教育委員会における実態調査と教員養成大学における実態調査を行いまして、このたび初めて結果を取りまとめて公表するものでございます。

調査結果のポイントにつきましては、次のページ、ページ番号が右下に「1」と振られています別添資料1を御覧ください。調査結果のポイント1つ目、教育委員会の障害者雇用状況を御覧ください。箇条書1つ目にありますように、令和元年6月1日現在の都道府県教育委員会における障害者雇用の状況は、同じ資料の下のグラフにありますとおり、法定雇用率2.4%に対しまして、実雇用率は1.87%と、不十分なものとなっております。それから、箇条書の2つ目ですけれども、職種別に見ますと、教育職員の実雇用率1.27%は事務職員の7.39%に比べて低くなっているという状況でして、こちらについての教育委員会ごとの数値、それは次の2ページの上段のほうにグラフが載せてありますけれども、その数値はこの調査で初めて明らかにしたものです。

次に、2ページの下段の丸2 、障害のある学生の教員免許取得状況です。国立教員養成大学・学部における障害のある学生の在籍状況は増加傾向にありまして、同じく国立教員養成大学・学部における障害のある学生の免許取得者実数についても増加傾向にあり、平成30年度においては47人となっております。

続きまして、3ページ目をお開きください。3つ目のポイントとしまして、障害のある者の公立学校教員採用選考試験の実施状況についてでございます。箇条書の1つ目、令和元年度採用選考においては、障害のある者の採用者数は73名でございました。それから、箇条書の3つ目でございますが、令和2年度選考における障害のある者を対象とした選考において、受験資格に「自力通勤可能」ですとか「介助者不要」などの要件を課している県市はゼロになりまして、全ての県市においてこれらの要件は撤廃されております。

続きまして、同じ資料3ページの下段、ポイント4つ目、教育委員会における取組事例につきましては、例えば、川崎市においては、聴覚障害のある教員の情報保障のために手話通訳者を配置するとか、次の宮城県の取組では、県立学校等に障害のある教務・業務補助員を配置し、教職員の業務負担を軽減するといった取組が県や市の単独事業によって行われております。

次に、資料の4ページ目をお開きください。ポイントの5つ目、国立教員養成大学・学部における取組事例としましては、例えば、島根大学におかれまして、障がい学生支援室といった窓口として、障害のある高校生や特別支援学校生徒の大学見学や体験入学の受入れですとか、教員からの質問や事前相談、見学等に対応する組織的な対応が行われております。

それから、同じページのポイント6つ目、国立教員養成大学・学部から教育委員会に対する要望事項についても伺っておりまして、箇条書の2つ目と3つ目を御紹介しますが、例えば、障害がありながら教育現場で職務に当たっている方の話を聴く機会を設けてほしいということですとか、障害のある教師がどのような支援を受けることができるのか、どういった勤務体制が取れるのかといった点を具体的に示してほしいといった要望が挙げられております。

それから、最後に同じ4ページの下段でございますが、今後の当面の取組といたしまして、大きく2つ、真ん中のパラグラフのところを御覧ください。文科省としましては、教育委員会における障害者雇用が不十分なものとなっている現状を踏まえまして、各教育委員会の進捗状況をフォローアップするための継続的な実態把握・公表を行ってまいりたいと考えておりまして、この調査結果が反映される令和3年度以降に改めて調査を行いたいと考えております。

資料3につきましては以上とさせていただきまして、続きまして、資料4のほうを併せて御説明させていただきます。

資料4のほうは、令和2年度公立学校教員採用選考試験の実施方法についてということで、資料1ページ目を御覧ください。調査結果の概要を上段に記載しておりますけれども、この調査につきましては、毎年度調査を行っているものにつきまして、このたび令和元年度に実施された令和2年度採用選考の実施方法をまとめて公表したものです。ポイントとしましては、ここに掲げております3点、特別選考の実施状況、実技試験の実施状況、それから受験年齢制限、この3つについてポイントとして御説明いたします。

資料のほうは次の2ページ目をお開きください。2ページ目の下段、特別選考の実施状況についてですけれども、英語試験、英語の資格による特別選考ですとか、前年度試験の実績、それから複数免許状の所持による特別選考といった特別選考が増加しています。

それから、次の資料3ページを御覧ください。実技試験の実施状況につきまして、上段のグラフ、小学校のグラフの上2つのグラフを御覧ください。小学校の体育と音楽につきましては、実施状況は減少傾向が続いておりますけれども、今回につきましてもさらに件数が減っているという状況でございます。

最後に、資料の4ページ目を御覧ください。4ページ目下段の受験年齢制限の状況につきましては、受験年齢の制限をしないと言った県市が41県市でございまして、前年度の33県市から増加しておりまして、年齢制限の緩和が進んでいるという状況でございます。

資料の説明につきましては以上でございます。

【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。

それでは、今の御報告について何か御質問、御意見等ございませんか。「手を挙げる」のボタンを押していただければと思いますが。それでは、橋本委員、お願いいたします。

【橋本委員】 ありがとうございます。橋本です。

今報告いただきました障害者雇用に係るものですけれども、教育委員会における障害者雇用が不十分なものとなっている状況を踏まえという御説明でしたけれども、なかなか教員を雇用することが難しい中、各自治体においては事務職員や非常勤職員で何とか確保して、目標に近づけようという、かなり苦しい努力をしているというのが実態です。もとより、障害のある方の雇用の場が広がっていくということは大変よいことだと思っておりますけれども、労働局の強い指導もありまして、法定雇用率の達成自体が何か目的化している、そんなような傾向があるように感じています。こうなってしまいますと、本末転倒でありまして、本来は、障害者が働きやすい環境があらかじめ整備されて、その上で障害者のニーズに応じた適切な目標の下に取組が進められるべきではないかというふうに思っております。環境整備としては、例えば、障害者を支える補助員等の配置が必要な場合もあるかというふうに思います。そのためには、こうした者の配置について、国の財政措置等の検討をいただく必要があるんじゃないかなというふうに考えます。

その上で、ちょっと筋の違うことを申し上げますけれども、現在の算定基準というのは本当にこれでいいのかと疑問をちょっと持っております。私ども京都府は大変低い率で、恥ずかしい限りなんですけれども、それでも教育委員会事務局や府立学校については十分目標となる率を超えております。問題は、都道府県費負担職員である市町村立学校の教職員です。先ほどの報告にもありましたように、そもそも障害者の教員希望者自体が大変少ない。その中で、特に学級担任制を取る小学校での雇用というのは現実的にはなかなか厳しいものがありますし、また、事務職員につきましても、小・中学校は原則が1人職場ということで、高校や特別支援学校に比べても配置が難しい面があります。客観的に見て府県立の学校よりは明らかに障害者の雇用が小・中学校では難しいと思うわけですけれども、どういう根拠でこうなっているかよく分かりませんけれども、小中も高校も全て除外率が同じ20%というふうに設定されているんですが、これが本当に適切なのかという疑問を感じております。

障害者雇用の環境整備など雇用拡大に向けた努力を行っていくことはもちろん大切でありますけれども、今申し上げました市町村立学校教職員の除外率は実態を踏まえて適切な水準に設定し直すことについて、関係省庁への働きかけ等ができないものか、一度御検討いただきたいなというふうに思っております。

以上です。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

いかがでしょうか。何か事務局のほうで、今、橋本委員から法定雇用率の問題が指摘されましたが、御回答できるようなことはございませんか。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局の中村でございます。

今、橋本委員から貴重な御意見をいただきまして、こちらとしましても、いわゆる制度的な御意見というのは関係省庁のほうにその都度伝えてきておりますところですが、正直なところを言いますと、なかなか見直しに向けては難しい状況であるという感触でございます。過去の経緯から、除外率ですとかそういったことについても、こちらとしての実情、現場からいただく実情等もお話しさせていただいているところなんですけれども、そもそもこの除外する制度自体が廃止する方向に向かって進められているというふうな全体的な方向性ですとか、あとは教育分野だけではなくて民間分野全体を見たときにおける、教育分野がどれだけ特殊なのかといったことについても一定程度理解はしていただけるところもございますけれども、一方で、法定雇用率を達成できている県市というところもございましたりそういった積極的な取組を促したり、といったことも我々は行っていきたいと思っておりますので、そういった現場の御要望も当然承りながらも、できる限りこちらとしては好事例の発信、それから情報収集といったことについても努めてまいりたいと思っているところです。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。特に、学部から障害のある方が教員採用試験を受けて採用されるというケースが非常に少ないというデータが出ております。教員養成を担当されている方は多いわけですけど、そういう実情とか課題について何かございませんか。

一木委員、いかがですか。何か御意見はございませんか。突然の指名で申し訳ないんですけど。

【一木委員】 いいえ。逆にお尋ねになってしまいますが、この結果のまとめで、障害のある方というのが一くくりになっているんですけれども、障害の状態というのも非常に多様なので、例えば、視覚障害、聴覚障害、上肢障害、下肢障害等々に分けたデータというものがあると、改善策というものも見えてくるのかなというふうに思いますが、いかがでしょうか。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。

今回の調査の概要につきましては、先ほどの資料、別添資料1で御説明しましたけれども、細かい資料を別添2のほうの資料で御紹介させていただいております。障害種別のところにつきましては、こちらの詳細表のほうに一部、障害種別に記載しているところもございますけれども、つぶさに全ての障害種別に調査できているというところは不十分なところもあるかもしれません。お話としては、大学の中の話であれば、大学の在籍者数における障害種別の状況としましては、例えば、詳細表、資料の別添2の19ページの上段のほうのグラフですけれども、こちらの右下、図表26というところに、大学における障害種別の在籍者の状況というのを調査したものを載せております。こういった形でデータとして取っている部分は一部ありますけれども、それぞれについてということの深掘りについてはちょっとできていないといった状況でございます。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

皆様のほうでいかがですか。資料4は教育委員会の採用の方法についてまとめていただいていますけれども、いかがですか。

分かりました。ここのデータにはあるかと思いますが、ここ最近、教員採用試験受験倍率が下がってきておりました。それで教育委員会も様々な工夫をされているということは分かります。これはいいか悪いか分かりませんが、実技を課すところが減ってきたりしているわけですね。さらに、今年度はコロナの影響でどうしてもそういう対面接触が多くなるような試験方法は取れないということで、さらにその傾向は進んでいるんだと思います。

もう1つ大きいのが、コロナによって今後の教員志望者がどうなっていくのかということですね。これまでは、不況とかになれば民間企業への就職はよくなくなりますので、教員の志望者が増えるといいますか、そういう傾向もあったんですが、そういうことがどうなるのかということに非常に関心を持っております。教職自体の魅力を高めて、そういう外部要因じゃなくて内部的な魅力化というのが本当は必要なんですけれども、そういうことも非常に気になっているというところであります。

よろしいでしょうか。

それでは、本日の議事は以上です。事務局より、次回その他の日程も含めまして、お願いいたします。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局、教育人材政策課の中村でございます。参考資料につきまして、一部御紹介させていただきたいと思っております。

参考資料の1つ目につきましては前回会議でお配りしている資料でございまして、説明は割愛させていただきますけれども、参考資料2につきましては、こちらは教職員研修に関して、各種閣議決定等で求められている提言等をまとめた通知を昨日付で都道府県教育委員会等に発出してございます。こちらを活用していただきながら、各教育委員会の研修担当部局におかれては現代的な課題に対応した研修等の企画・立案に役立てていただきたいと思っているものでございまして、一例として具体的なイメージを御紹介させていただきますと、19ページをお開きください。19ページは、閣議決定等、政府全体の方針や計画等に関係する提言等をまとめたものでございまして、最近決定されたものから順番に並べているものでございます。例えば、1つ目にございますように、日本語教育の充実といった観点からこのような基本方針が策定されたところでございますので、こういったことにつきましても留意して研修等に取り組んでいただきたいといったことですとか、あとはその次にございます性犯罪・性暴力対策の強化の方針につきましても、政府全体で決定されておりますので、こういったことについても留意の上、研修等に役立てていただきたいということで、昨日付で発出したところでございます。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

まだ10分ぐらい時間があるんですが、最初のほうの議題の1、2でも結構なんですが、せっかくの貴重な機会ですので、何か御意見がある方はおられますか。よろしいですか。

委員の方が様々な意見をおっしゃいましたが、事務局のほうで何か今日この場で答えられるようなことがございましたらぜひお答えいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 免許企画室長でございます。多岐にわたる御意見、本文に対する御意見のみならず、今後先々にわたって中長期的に考えるべきテーマについてもお話をいただきました。残りの報告までの時間に少しでも反映できるよう検討していきたいと思います。ありがとうございました。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。松木委員、どうぞ。

【松木委員】 今後、中教審についてもリモートワークが増えていくと思われますが、各大学にお金をつけていただくのも有り難いんですが、それ以上に文科省にお金をつけていただいて、オンラインに適した部屋の環境だとか、複数の人が同席する場合のリモートに適した設備をぜひ充実させていただきたいと思います。

以上です。

【加治佐部会長】 ありがとうございます。

それでは、これで終わりたいと思いますが、よろしいでしょうか。本日はどうもありがとうございました。



―― 了 ――

 


(総合教育政策局教育人材政策課)