教員養成部会(113回)議事録

1.日時

令和2年6月5日(金曜日)10時00分~12時00分

2.場所

WEB会議(Zoom利用)

3.議題

  1. 義務教育9年間を見通した養成、採用、研修、免許制度、人事配置の在り方について【審議】
  2. その他

4.議事録

【加治佐部会長】 どうも皆さん、おはようございます。どうもお久しぶりです。定刻となりましたので、ただいまから第113回中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会を開催いたします。皆様、御多用中にもかかわらず御出席いただきまして誠にありがとうございます。本日は、昨今の状況を考慮し、ウェブ会議方式で開催させていただいております。

まず初めに、委員や事務局の交代について事務局より説明をお願いいたします。

事務局、聞こえておりますか。

【中村教育人材政策課長補佐】 はい、大丈夫です。事務局でございます。事務局の文部科学省総合教育政策局教育人材政策課の中村でございます。

まず、委員の交代について御紹介させていただきます。川越豊彦委員が辞任され、その後任として八王子市立第七中学校長の三田村裕委員が着任されました。三田村委員、どうぞよろしくお願いいたします。

続いて、本年4月の人事異動について御紹介させていただきます。

前任の長谷に代わり就任いたしました、総合教育政策局教育人材政策課教員免許企画室長の平野博紀でございます。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 ただいま紹介いただきました、新しく教員免許企画室長になりました平野でございます。よろしくお願いします。

【中村教育人材政策課長補佐】 最後に私ですが、教育人材政策課の課長補佐の中村真太郎でございます。

紹介は以上でございます。加治佐先生にマイクを移します。

【加治佐部会長】 分かりました。新しい委員に八王子市立第七中学校長の三田村先生が着任されたということ。それから4月の人事異動で前任の長谷さんに代わって免許企画室長に平野博紀さんが就任されたということ。そしてさらに、教育人材政策課の課長補佐に中村真太郎さんが就任されたということでございます。どうもありがとうございました。

それでは続きまして、会議の進め方の確認と本日の資料について、事務局より説明をお願いいたします。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局です。

会議の進め方について確認させていただきたいと思います。皆様、聞こえていらっしゃいますでしょうか。

【加治佐部会長】 はい、聞こえております。

【中村教育人材政策課長補佐】 ありがとうございます。本日はウェブ会議形式で行っていますことから、まず御発言に当たっては、インターネットでも聞き取りやすいようにはっきり御発言いただくなどの御配慮を頂きたいということ。それから、御発言の都度、名前をおっしゃっていただきたいということ。そして、発言時以外はマイクをオフ、ミュートにしていただきたいということ。そして、発言に当たりましては、「手を挙げる」のボタンを押していただくなどの御協力を頂けると大変ありがたく存じます。御理解のほどよろしくお願いいたします。

なお、本日は報道関係者と一般の方向けに、本審議会の模様をYouTubeにてライブ配信しておりますので、御了承願います。

それでは、資料の確認をさせていただきます。

本日の資料は、議事次第にございますとおり資料1と資料2がありまして、加えて参考資料が1つございます。御不明な点等ありましたら、お申しつけいただければと思います。

【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。

本日、意見交換等の際の委員の御指名ですけれども、ウェブ会議のホストコンピューターが事務局にありますので、事務局に一任したいと思います。こちらも御了承をお願いいたします。

本日は議題1として、義務教育9年間を見通した養成、採用、研修、免許制度、人事配置の在り方について、特に、義務教育9年間を見通した免許制度の仕組みの構築に向けた方策や、専門的な知識・経験を有する外部人材活用の方策、学校ICT環境等の導入による教師のICT活用指導力等を向上させる方策等について、委員の皆様から御意見を頂戴したいと考えております。

議題2、その他としては、教師の養成・採用・研修・免許に関する新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組について報告させていただきます。なお、進行の都合上、恐れ入りますが、議題2の教師の養成・採用・研修・免許に関する新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組の報告から行わせていただきたいと思います。

それでは議題2、新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組の報告を、事務局からお願いいたします。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 免許室長の平野でございます。資料2に基づいて御説明させていただきます。お声のほうは皆さん、聞こえていらっしゃいますでしょうか。

【加治佐部会長】 はい、大丈夫です。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 それでは資料2に基づいて説明させていただきます。資料2につきましては、教師の養成から免許に関する新型コロナウイルス感染症へのこれまでの取組ということでまとめさせていただいたものでございます。

1ページめくっていただきまして、目次がございます。その後に、主な通知・事務連絡を一覧でまとめさせていただいております。この中の主要なものについて御説明をさせていただきます。

資料の4ページ目は教育実習・介護等体験の実施に当たっての留意事項をお示ししたものでございます。今年の4月3日に通知したものでございますが、いずれの教育実習・介護等体験にいたしましても、春以降に行っていたものを秋以降に変更することを検討していただきたいということ。また、受入れ数が制限される場合には、卒業年次の学生を優先していただきたいということ。万全の感染症対策を講じていただきたいということ。これらの内容について通知をしたものでございます。

この後でございますが、5ページでございます。教育実習についてはさらに通知を出させていただいているものでございます。令和2年5月1日に通知したものでございますが、令和2年度に限っては、教育実習の科目の総授業時間数のうち、3分の1を超えない範囲については大学等における授業により行うことは差し支えないこと。また、学校において、小学校等において補習の授業であるとか教育課程に位置づけない補習といったものを支援する人材としての活動についても、学校体験活動でありますとか、教育実習の科目の総授業時間数のうち3分の1を超えない授業として行うことは差し支えないこと。このようなことを通知しているものでございます。

次の6ページは教職大学院の実習の実施方法についての弾力化でございます。同様に、総授業時間数のうち3分の1を超えない範囲で、実習としてオンライン等の方法で参加することは差し支えないことなどを通知しているものでございます。

続きまして7ページ目でございます。公立学校の教員採用選考試験における対応でございます。これは地方公務員全体を取り扱います総務省から事務連絡が出されていることを踏まえて、採用においての感染症防止対策でありますとか、試験日程の配慮、受験者に対する情報提供について、速やかに検討することを依頼しているものでございます。

また、7ページの下のほうでございますけれども、事務連絡を4月13日にさらに出しまして、採用に当たっての影響と対応策、また、こういった採用試験を行う場合の対応などについて情報提供を行うことをさせていただいてございます。

8ページ目が、試験の実施方法の変更等について公表している都道府県教育委員会の例をお示ししているものでございます。

9ページについては、教職員研修に係る対応でございます。主に、独立行政法人教職員支援機構の主催研修、セミナー等について連絡をしているものでございますけれども、7月27日以降再開ということで、こちらについてもしっかり感染症対策を講じた上で実施することをお示ししているところでございます。

参考は飛ばさせていただきまして、12ページでございます。免許状更新講習、また免許法認定講習の実施方法の特例でございます。免許状更新講習、また認定講習については対面式のものを、変更届の提出により通信式のものとして実施しても差し支えないこと。また履修認定試験については郵送により実施することを認める。このような内容が含まれているものでございます。

13ページにつきましては、臨時免許状の関係でございます。今回、補習等のための指導員等派遣事業を通じて、学校に外部人材が入ってくることが想定されているわけでありますが、この学習指導員については、必ずしも免許状を取得する必要はないものでございます。一方で、その人が単独で教える場合など、免許状を有することが必要な場合について、臨時免許状・特別免許状の活用が考えられるところでございます。

この13ページの真ん中辺りに示させていただいておりますが、臨時免許状については、今般の状況に鑑みて、いわゆる未更新者以外の方にも臨時免許状を柔軟に授与することが考えられるものでありますから、都道府県教育委員会さんのほうが独自に定めているような教育職員検定に関する運用基準、例えば普通免許状の授与を受ける見込みがないと臨時免許状は授与しない、このような取扱いをされている都道府県さんもいらっしゃいますので、このようなものについては適切な範囲で弾力化することなどが考えられるのではないか。このようなところについて所要の検討を行っていただきたい。このようなことについてお知らせをしているものでございます。

14ページ以降については、教職課程の学生等について、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた学校教育の支援活動に積極的に御参画いただきたい。その観点から、学校・子供応援サポーター人材バンクの活用でありますとか、また先ほど説明した教育実習の弾力化の仕組みの中でこういった活動を充てることができる部分がございます。こういったものについてもしっかりと活用していただきたい旨をお知らせしているものでございます。

そして、今、資料に入っていないのですけれども、本日発出される通知がもう1本ございます。免許状更新講習に関してということでございます。例年、免許状更新講習が数多く開催されている長期休業期間、夏休みなどを含めまして、授業が実施されるなど、教員の業務量の増大が継続的に発生することが想定されている、このようなことを踏まえまして、各都道府県教育委員会が法令上やむを得ない事由として認めた場合には、免許状の有効期限を延長することができることになっておりますけれども、国として、今回の教員が学びに専念する上で生じる業務量の増大等については、このやむを得ない事由に当たるのだということを明確にお示しいたしまして、各都道府県教育委員会の判断で教員免許状の有効期間の更新と延長を行うことが可能であることをお知らせすることになっております。

例えばやむを得ない事由ということで来年1月31日というところを示させていただいておりますが、例えば今年度末に有効期限を迎える方につきましても、今年度末に近いところから約2年、有効期限を延長しまして、令和5年3月31日までに講習を受けていただければいいというようなことができる旨を、各都道府県教育委員会にお示しさせていただいているところでございます。

また、これはできるということでありまして、現職教員本人の希望によっては、あくまで講習を受けて有効期限を更新することも可能であると、このようなことを周知しているところでございます。

説明が非常に雑駁で恐縮でございますが、以上でございます。ありがとうございました。

【加治佐部会長】 どうも説明ありがとうございました。本件は報告事項ということでございますので、議題1のほうがより内容がありますので、御意見等があるかもしれませんが、最後に時間がありましたら、あるいは後日事務局に御意見等をお寄せいただければと思っております。

それでは続きまして、一番今日のメインである議題1、これは前半と後半に分かれます。まず、前半のほうの義務教育9年間を見通した養成、採用、研修、免許制度、人事配置の在り方について、事務局から説明をお願いいたします。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 度々失礼いたします。免許室長の平野でございます。資料1に基づきまして説明をさせていただきます。

まず、おわびでございます。資料の右下にページ番号が振られているわけでございますが、番号が0からスタートしていてちょっと分かりにくいのでございますけれども、この右下の番号とタイトルを使って、どのペーパーが説明されているかが分かりやすいように説明してまいりますので、よろしくお願いいたします。

まずページ番号0、義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方についてという論点でございます。このページ番号0については、実際に行われている諮問の内容、また昨年12月の論点まとめについて書かせていただいているものでございます。

ページ番号1、義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方について、丸2というペーパーでございます。こちらにつきましては中教審の教員養成部会でお示ししている論点例ということでありますが、下半分が今回議論していただきたい論点でございます。こちらについて重点的にお話をさせていただきます。

義務教育9年間を見通した免許制度の仕組みの構築に向けた方策でございます。小学校と中学校の義務教育9年間を見通して、児童生徒への指導や学校運営を推進していく場合には、それに対応する教員の指導力を担保することが必要であると考えております。現行制度におきましても、中学校の免許状を保有する教員が小学校でその対応する教科を教えることは可能になっているわけでございますけれども、義務教育9年間を見通した教員の指導力をより一層促進するためにということで、例えばですが、2つ方策を挙げさせていただいてございます。

1個目のポツでございます。まず養成段階においては、小学校と中学校の免許状の併有を促進していくことが一層必要であろうと。その観点から、各教科の指導法や教育実習、教育の基礎的理解に関する科目、道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談等に関する科目、教科に関する専門的事項などにおいて、大学において内容的に共通する授業科目を共通に開設することができるようにする。それによって学生が他校種の免許を取得する際に活用できる。1つの科目で小学校の科目でも中学校の科目でも読めるという世界を広げていくことでありますとか、2つ目のポツでございますが、現職教員においては、保有する免許状を基礎として、他校種の免許状取得を促進することがございます。この観点から勤務経験を踏まえて免許状の取得に必要な単位の弾力化を行う仕組み、これについても見直す部分があるのではないかという論点でございます。

具体的な内容につきましては、これ以降のペーパーで説明させていただきます。

まずページ番号2、小学校と中学校の両免取得に必要な科目の特例【現行制度】という資料についてです。こちらについては現行制度ということでございますが、小学校、中学校については同一学部同一学科においてのみ、この黄色の枠で囲まれた部分でございますけれども、この科目について共通開設が認められているということでございます。逆に申し上げますと、教科及び教科の指導法に関する科目でありますとか教職実践演習以外の教育実践に係る科目については、同一学部同一学科においても共通に開設することはできない現状でございます。

現状の仕組みに照らして申し上げますと、学生が小学校、中学校両方の一種免を取得する場合には、通常全く兼ねていない場合は118単位必要なところでありますが、これが96単位まで減じられているのが現状でございます。

続きましてページ番号3、タイトルが小学校と中学校の両免取得に必要な科目の特例【新たな特例(課程認定基準の改正)】という、今回新たに一つ御提案させていただいている内容でございます。この内容の部分でございますけれども、同一学部同一学科ということではなく、他学部他学科において開設される教職課程においても、小学校と中学校それぞれ別々ということではなくて、共通開設を認める範囲を増やしていくことを大きく打ち出しているものでございます。

下の部分を御覧になっていただきますと、せんだってまとめていただいた教職課程の基準に関するワーキング報告のところで、既に教育の基礎的理解に関する科目、道徳、総合的な学習の時間等の指導法及び生徒指導、教育相談等に関する科目、教職実践演習については、他学部他学科であっても小中学校共通して開設することを認めてはどうかという提言を頂いているところでございます。

今回、教員養成部会で新たに御提案させていただく内容が、教科に関する専門的事項や教科の指導法、教育実習についても共通開設を可能とする特例、言わば義務教育特例というものを新たに設けてはどうかということでございます。具体的に申し上げますと、一番上の教科及び教科の指導法に関する科目、教科に関する専門的事項、各教科の指導法(情報機器及び教材の活用を含む)、この部分について小中学校は共通で開設できるようにする。また、教育実習の部分についても共通で開設できるようにする。共通で開設できることによりまして、学生はその科目を取った場合には、小学校の免許取得に必要な科目とも読めるし、中学校の免許取得に必要な科目とも読めるというようなことを考えたらどうかということでございます。

ただし、現行、小学校、中学校はここの部分を兼ねることができないということでございます。一方で、中学校と高校は教科指導法とかも兼ねることができるということでございます。

大変字が小さくて恐縮なのでございますけれども、この図の右上の部分に米1という部分が書かれてございます。各教科の指導法については、今回、私どもが提案させていただいている中で想定しておりますのは、もともと中学校、高校の部分は兼ねることができるというものでございますけれども、今回、小学校と中学校を兼ねることをできるようにしようというものでございます。教科専門も同じでございます。

一方で、各教科の指導法については、中学校、高校は共通する部分がある程度あるのだろうというこれまでの整理でありますけれども、小学校、中学校もある程度共通する部分があるだろうということで共通化するということなのですが、例えば小学校、中学校、高校、この3つの指導法を全て1つの科目でいいよということになりますと、さすがに高校3年生から小学校1年生までの共通する要素は、小中という関係、中高という関係とはまた全然違った世界が出てまいりますので、ここはあくまで小中高の学校種をまたいだものは駄目であると。小中、中高、こういう組合せの中で考えていただくことが必要ではないかと思っております。

また、言わずもがなでありますが、共通開設する科目を認めるときの当然の前提といたしまして、共通開設している以上はその科目の中には小学校の要素と中学校の要素が両方含まれていることがあります。片一方の内容だけで含まれているものが両方でいいということではないということでございます。

このような形で、せんだって教職課程の基準に関するワーキングの報告に基づく特例を提言いただきましたけれども、これに加えて、教科専門、教科指導法、教育実習についても両免取得のために共通開設、両方使える科目を増やしていくというのがこのペーパーの説明でございます。

このようなことをしてまいりますと、通常何もなければ118単位が必要なところ、今までの特定だと96単位ということになりますが、この特例がもし実現してこれが駆使されるのであれば、大体87単位程度まで両免取得の必要単位数が減少できることになってくる整理になってまいります。これがページ番号3の説明でございます。

続きましてページ番号4でございます。これは制度改正というよりは、むしろ運用で各大学にしっかりと考えていっていただくところだと思います。中学校の免許状取得の際に小学校の指導法の内容も履修というペーパーでございます。中学校の教員免許状を取得した教員が小学校で専科として教えている例は年間7,000件程度あるということでございます。一方で、その先生たちは養成段階においてはあくまで中学校の指導法を学んでいるにすぎないわけでありまして、小学校の児童の発達段階に応じた指導法を学ぶことになってございません。

先ほど共通開設ということで制度的なお話はいたしましたけれども、それとは別に、今後は中学校の教員が小学校で教えていくことも大きく増えていくだろうということをあらかじめ想定して、中学校の免許状を取得する際の指導法においても、小学校段階の指導法を意識した内容をしっかりと考えていっていただくことが必要ではないかということでございます。これが4ページ目の説明でございます。

続きまして5ページ目でございます。現職教員が隣接校種の免許状取得に必要な要件の弾力化でございます。こちらにつきましては、これまでの教員養成部会での東京都の御提案などもあったかと思いますけれども、在職年数を踏まえて他校種の免許を取得する場合には、法律上、今持っている免許状の在職年数を換算して、その分単位を減じることができるとされているわけでございます。

下の表がございますけれども、例えば中学校の免許状を持っている方が小学校で教えるケースは今でもあるわけでありますが、実は今の法律上、中学校の免許を持って小学校で教えている場合、それは何年教えてもここの単位を減ずるための勤務経験としてはカウントされない。自分の持っている免許状にぴったり対応した学校種で教えた場合しかこの特例は利用できないことになっているわけでございます。

ですので、中学校の免許を持っている方が中学校で教えた経験はカウントできるのだけれども、中学校の免許で小学校にて例えば音楽を教えているようなケースがある場合には、幾らやってもここの特例に引っかかってこないということであります。

これについては実際問題、これから取ろうとしている免許状、小学校の免許状の学校で経験を積んでいるわけでありまして、これを勤務経験に算入することは考えてもいいのではないかという東京都の御提案でございました。これについては、我々としても算入する方向で考えてはどうなのかということの御提案でございます。

一方、中学校の先生が小学校で対応する科目について教えることがある一方で、幼稚園の先生、小学校の先生はその免許を持ってほかの学校で教えることは一般的に法令上も想定されておりませんので、ここについては中学校の先生が小学校で教える場合が念頭にあるということでございます。

5ページまで御説明したものが最初の論点、義務教育9年間を見通した教科担任制の在り方に関する論点でございます。

もう1個、この枠で説明をさせていただきます。ページ番号で申し上げますと6ページ目、教師の在り方について、専門的な知識・経験を有する外部人材活用の部分でございます。この6ページ目の下半分が今回議論していただきたい論点でございます。専門的な知識・経験を有する外部人材を教育現場でどのように活用していくのか、そのための方策でございます。

1つ目のポツでございます。免許状を有しない社会人が活躍しやすくなるようにということでありますが、これまでも特別免許状、また特別非常勤講師制度、このようなものがあるわけでございます。さらに例えば、今、特別免許状は10年ということになっておりますけれども、短期の、例えば3年程度の特別免許状のようなものを新たに設けることであるとか、また臨時免許状も先ほど御説明したように今の中では活用を促しているところもあるわけでありますが、さらなる弾力化を考える余地があるかどうかということでございます。

特別免許状につきましては、また普通免許状に等しい資質の教員を確保する観点からと思われますが、学識経験者による意見聴取を法律上求めているところでございます。このようなところについて、10年間の免許を与えるに当たって学識経験者に意見聴取を行っているわけでありますが、臨時免許状は3年間、助教諭ということでありますけれども、学識経験者の意見聴取はないという中で、この学識経験者による意見聴取の扱いをどのように考えるかということでございます。

次の7ページ目に特別免許状の現状がございます。有効期限が10年間で更新可能。また、合否決定に関しては学識経験者に意見聴取をすることになっているものでございます。

次の8ページは普通免許状、特別免許状、臨時免許状の比較表でございます。御参考くださいませ。

6ページ、教師の在り方について、に戻らせていただきまして、2つ目のポツでございます。社会人が学び直しにより普通免許状を取得するための多様なルートをより活用しやすくする観点から、小学校教員資格認定試験については既に見直しが行われているところでございます。一方で、中学校、高校、特別支援学校の免許状を得るための教職特別課程について、現行修業年限が1年間になっているわけでございますけれども、これは実は法律で1年間と決まっているわけでありますが、この弾力化をどう考えるかという論点でございます。

ページ番号でいいますと9ページ、タイトル、社会人の学び直しによる普通免許状の取得の方策というペーパーを用意してございます。今申し上げたのは下半分、教職特別課程ということでございます。既に教科専門の科目については修めている方が俗に言う教職に関する科目などをここで学んで、免許状の取得につなげていくという課程でございます。今、開設されている状況でいいますと、中高の教員免許が慶應義塾大学、工学院大学、岡山理科大学、特別支援学校の教員免許、最近できたものでございますけれども、琉球大学という開設状況でございます。

実態として、これまでもヒアリング等で慶應義塾大学に来ていただいたことがあったと思いますけれども、大体私どものほうでも見てみますと、もちろん人によって多少幅はあると思いますが、取得単位が二十後半から三十前半ぐらい科目を取るということになってまいります。そうすると、大学の学部生においても大体30単位から40単位取っている学生さんもいらっしゃいますけれども、それに等しいものを1年間で取らないといけないということでありますので、いわゆるフルタイムの学生という形になると。1年間で取らせることになると、フルタイムということになることが想定されるものでございます。

一方で、社会人が学び直しという形で取る観点からすると、これは大学行政一般論でございますけれども、土日の活用であるとか、夜間であるとか、そういったようなものも含めた多様な開設形態が必要になってくるわけであります。1年間で30単位程度取らせるということの縛りによって、大学はどうしてもそういう形で組まなくてはいけないということもあるかもしれませんので、そこは弾力化して1年以上とか何年とかという形にすれば、柔軟な履修形態の形で大学のほうも特別課程を編成することが可能になるのではないかと。このような感じで提案させていただいているものが教職特別課程の件でございます。

以上0ページ、1枚目から9ページ、社会人の学び直しによる普通免許状取得の方策までを説明させていただきました。御説明は以上でございます。ありがとうございました。

【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。

まずはここまでで意見交換に入りたいと思います。35分程度です。最初に申し上げましたように、御発言がある委員はZoomの「手を挙げる」というボタンがありますので、それを押していただきますようお願いいたします。指名は、ホストコンピューターのある事務局からお願いいたします。事務局からの指名を受けて、御発言をお願いいたします。それではどうぞ。

いかがでしょうか。何か、手が挙がらないですね。これまで方針は示されてきたのですが、一番重要な小中免許を併有させるための具体的な措置、これが今日示されたということなのですが、これについて委員の皆様がどうお考えになるかということです。あと、外部人材をより多く登用していくために特別免許状の在り方とか特別教職課程の在り方、そういうことについても示されているということであります。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。

【加治佐部会長】 どうぞ。

【中村教育人材政策課長補佐】 挙手いただきましたので、事務局から指名させていただきます。橋本委員、お願いいたします。

【橋本委員】 それでは、最初に発言させていただきます。

最初の教科担任制に関連したところですけれども、先ほど説明のありました現職教員に関して勤務経験を踏まえた免許状の取得に必要な単位の弾力化を行う仕組み、これは中身を考えても当然かなと思いますし、ぜひこの弾力化は図っていくべきだろうと思います。

私のほうから特別免許状の関係で一言申し上げたいと思います。今、学校の現場を見たときに確かな需要があるかというと、なかなかそこまではっきり見えないのですけれども、例えば高校の情報科であるとか理科であるとか、また中学校の社会なんかで活用可能性が出てくるのかなと思っておりますし、いずれにしましても、これから学校の学びをもっともっと外へ開いていくためには、こうした特別免許状の要件緩和は非常に大事だと思いますし、より社会人が活躍しやすくなる制度にしておくべきだろうと思います。

その際、多くの単位を大学等で取得して初めて免許が授与される普通免許状との対比の上では、やはり有効期間については、3年がいいかどうかというのはありますけれども、少なくとも半分の5年以内にするのが妥当なのかなと思います。

また、学識経験者の意見聴取を不要とするのであれば、免許状授与のハードルはかなり下がるのかなと思うのですけれども、一方で、資料にありましたように期間が3年だとしますと、当該教員の雇用が不安定になるという面も見られるかと思います。このため、更新手続も想定しておくべきではないかと思うのですけれども、例えば任命権者による推薦など一定の要件を条件とした上で更新を可能とすることなど、質の担保と雇用の安定による人材の確保のバランスの取り方なども考えておくべきではないかと思っております。

あと1点、先ほどの報告に関して時間がなかったので申し上げられなかったのですけれども、免許更新講習に関して申し上げます。感染症の影響で非常に受講環境が厳しくなっているわけですけれども、私ども、全国都道府県教育長協議会でも講習期限の延長について要望してきたところですが、今回、感染症の影響はやむを得ない事由に当たると解して、延期・延長を行うこととして差し支えないと明らかにしていただいたこと、これは私どもにとって大変ありがたいことだと思っております。この場をお借りして感謝申し上げます。

以上です。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。ありがとうございました。

続きまして、挙手いただいております吉田委員、お願いいたします。

【吉田委員】 ありがとうございます。遅参いたしまして申し訳ございません。

先に伺ってしまいますけれども、今、橋本委員のお話しになった教員免許状の更新講習の件ですけれど、これは臨免ではなくて、ただ研修を延ばすことになったのですか。文科省にお尋ねしたいのですが。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 免許室長の平野でございます。

臨時免許ということではありませんで、各都道府県の御判断ではありますけれども、普通免許状について、今、多忙であるということはやむを得ない事由として認めていただいて、そのやむを得ない事由が解消した日から2年2か月、有効期限を延長してよいということを解釈としてお示ししたものでございます。

【吉田委員】 ということは、更新講習が3年延びたという感覚で考えればいいわけですよね。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 更新講習を受けられる時期が、本来であれば今年度末までに受けなければいけなかったところが延びるということでございます。

【吉田委員】 それを延ばしていただけるということでいいわけですね。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 そのとおりでございます。

【吉田委員】 ありがとうございます。

では私から逆にお尋ねするのは、今回義務教育9年間を見通した教科担任制に基づく免許状の件です。これは中学校免許状を取るに当たって小学校免許状を一緒にという感覚がすごく強く映っているような気がするのですけれども、基本的には中学校免許状を取る方というのは中高一緒に取るはずです。この中高免許にプラスして小学校を取るということとなったときに、まだまだその負担が大きいのではないか。

それから、中学校の先生が現実に今もう、小学校の専科の先生を特免としてか、どうだか分かりませんけれども授業を行っている制度がありますけれども。特免制度というのは3年間の経験云々という話がありますが、教員を3年間やっていれば、もう完全にそういう資格があるわけですから、専科の担当ということでしたら、今の現役の中学校の先生がそのまま小学校の専科を教えることは、特別免許状なんて言う必要もなく、やることはできないのでしょうか。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 免許室長でございます。

後半のほうでございますけれども、中学校の先生が今持っている免許状で小学校において教えることが、今持っている免許状のままできることになっておりますので、必ずしも特別免許状を必要とするものではございません。 今持っている中学校の免許の対応する科目については、小学校で教えることが今の制度でもできますので、特別免許状などを出すこともなく、普通免許を持っていれば小学校で対応する科目を教えることは可能というのが2つ目の御質問へのお答えでございます。

【吉田委員】 そうですよね。そうなると、今度のこれは、小学校のフル免許というと言い方は変ですけれども、担任もやれる免許状ということですか。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 今も中学校の免許を持っている者は担任をすることはできるのですけれども、他の教科を教えることはできませんので、小学校のフルの免許を取っていただければ、まさに小学校の先生そのものとして教えることもできるということでございます。

【吉田委員】 それで、今度学生たちにやろうとしているのはフル免許を取らせるということですよね。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 学生さんたちがフル免許を取りたいときに、負担が軽い形で取れるようにしようということでございます。

【吉田委員】 その時には、今、中学校とのプラスという話はありますけれども、中高と比較してというものは考えてはいないのですか。単位の取り方で。高中小という取り方ということであれば。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 今回、他学部他学科でも取りやすくするということでありますので、小中高全部取りに行くこともあり得ると考えております。もちろんその場合にはそれなりに単位が積み上がっていくことはあるわけでありますけれども、今回は義務教育という観点で着目いたしまして整理をしておりますけれども、もちろん小中高ということもあり得るものと考えております。

【吉田委員】 ですから、私は本当にすごくこの辺について疑問に思っているのですが。国の方向性が今、9年間9年間と言っているのは、また昔言っていた小中一貫という話がメインになってくるのであって、中高一貫がいいからと、今度は茨城や何かは中高一貫を10校つくるとかやっていますけれども、そちらの話とこの小中一貫の話と、何がいろいろなものがミックスアップしてしまっていて、国の方針としてどこをどう持っていこうとしているのかが、何か教員免許状の話では小中一貫である、ただ学校のつくり方としては中高一貫であるというのは、そこは何かミックスアップしてよく分からないのですけれども。その辺は免許状課としてはどうお考えなのですか。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 免許室長でございます。

もちろん、先生が御指摘のとおり、義務教育学校があり、中等教育学校がありという中で、また小中もあるという中で、学校制度がいろいろなパターンがあり得ることになっております。

免許状の観点から申し上げると、中高という部分はもともと兼ねられる部分が相当あるという中で、選択肢が既に与えられていたわけでありますけれども、小学校、中学校の部分については、中高に比して非常に共有のハードルが高い状態になっていたわけであります。これは仕組みとして、小中学校、中高、どっちがどっちということについて優先順位をつけているものではございませんので、あくまで両方やりたいと、その判断としてどちらかやってみたいというところができるという自由度、柔軟度を増していく観点から整理をしているものでございます。

小中、中高、どちらの組合せが優先なのだというような発想で今回御提案しているものではございません。

【吉田委員】 分かりました。基本的に今までは中高一貫というか中高の免許状が近かったので、我々の頃なんか道徳教育の研究の2単位だけでしたから、中高取るのが当たり前だったわけですけれども、それが小学校というのは全く異質だったものだけれども、今回はその小学校を近づけることによって、小中というものを取れるようにする、イコールは小中高になっていくよというような感覚で受け取ればいいわけですね。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 おっしゃるとおりでありまして、ただ、もちろん選択として小中だけを取るのか、小中高まで捉えるのかというのは個々の学生さんの選択とか大学の組み方もあると思いますけれども、免許の併有を進めていく方向については全くそのとおりでございます。

【吉田委員】 はい、分かりました。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。ありがとうございました。

それでは挙手いただいている方が2名いらっしゃいまして、喜名委員、木村委員の順番で指名させていただきたいと思います。まず喜名委員、お願いいたします。

【喜名委員】 全国連合小学校長会の喜名でございます。よろしくお願いいたします。これまでもお話を申し上げてきたところでありますけれども、共有する資料で少し御覧いただきたいと思います。

本校にも中学校の教員の免許を持った者が専科教員として配置されております。中学校の教員が小学校の当該教科の免許を所持しているからといって、必ずしも効果的な指導ができるわけではないということがございます。それは小学校の1年生から6年生まで各学年の発達段階に応じた指導技術が必要であるということで、背景には児童理解ですとか教材研究、指導方法の習熟が必要であるということがございます。

また、我々小学校の教員も中学校の教科との関連性を理解しておく必要がございます。その意味では今回の御提案の課程認定基準の改正も一つの方法だとは思っております。

これも前にお伝えしたところではありますけれども、例えばこんなことも考えたらどうかということでお話をしたいと思いますが、今、中高の免許のことが話題になったところですけれども、義務教育免許という形の一本化もあり得るのではないかということであります。義務教育に共通する規定免許みたいなものとして義務教育の基礎免許をつくって、という意味では中学校の先生も小学校の全ての教科をある程度理解していただくということであります。小学校でも専科指導だとか、教諭以降の職層、それから中学校での指導の免許としてプラス教科の免許というような形をつくっていったらどうかという提案であります。これは課題としては単位数が増えてしまうこととか、講座開設の困難さがございます。また、小中につながらない技術科の問題も出てくるところであります。

効果としては、義務教育学校という考え方が増えてまいりましたので、柔軟な勤務対応ができるということとか、教科の系統性を重視した指導が可能になってくること、義務教育として小中一貫の指導が可能になることもあるのではないかと思います。現行の小学校、中学校という別々の制度であっても、こんな仕組みもあるといいのかなと思っております。先ほどお話のあった中高の関連ということでは、またここが難しくなってくるのは一つ課題であることが今、理解できたところであります。

もう一つ、外部人材の活用についてでありますけれども、小学校では専門的知識とか経験を有する教師としての人材の必要性というか必要感は低いのかなと感じております。ただ、今般のGIGAスクール構想に向けては、全ての教員がICTを活用できるようになることと、それとは別にICT支援員というかスタッフとしての支援員、専門家が必要だなということをつくづく今感じているところであります。

以上でございます。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。ありがとうございました。

続きまして木村委員、お願いいたします。

【木村委員】 失礼いたします。木村です。よろしくお願いいたします。地方の現状を含めながらお話をさせてください。

まず、内容につきましては大変良い御提案だと思っています。地方の現状と申しましたのは、例えば私が関わっている県の教員採用試験の倍率でありますけれども、小学校が1倍台に対して中学校は4倍台。先ほどお話がありましたが、今後小学校に教科担任制を導入していくということですので、小中学校の倍率の現状及び小中学校の教員を義務教育期間として供給していくという考え方から、中学校の免許を持った教員を小学校の教科担任で活用していくことはできないかというようなことの協議をしています。

新しい教員を入れていくとなりますと、例えば私が関わっている県では約9,000人のうちの、新任は小中学校合わせて300人ぐらいでしょうか、約3%ずつが替わっていくわけですが、実際の運営となると、中学校の教員が小学校の教科担任に入っていくことで、多くの教員が関わることができます。御提案にあるように、現職の中学校教員が小学校の免許を併有していく形を取っていくことが地方としては極めて現実的な考え方かなとは思います。

平成28年度の国のデータによりますと、全国的には小学校教員で中学校の免許を持っている教員が約602、中学校の教員で小学校の免許を持っている教員が約26%。かなり乖離があって、中学校教員志望者が小学校の免許を取るというのは、先ほども話がありましたように大学でもなかなか壁があるようであります。よって、新しく教員になる方が小中の免許を併有できる制度にしていただくとともに、現職の中学校教諭に関しては、力量を担保しつつ、できるだけ小学校の免許を取りやすい環境にしていただくことを、小学校への教科担任制度の導入や外部人材の活用等と併せて考えていただければよいと思います。

特別免許状に関しましては、私が関わる県ではなかなか出せていない。その一番のポイントは10年という長さでありました。一方、臨時免許状は市町の推薦を頂きながら出しやすいところでありました。よって、特別免許状を考える場合は、期間を短くし、更新していく形で進めていくなど採用ニーズと採用者のライフステージの双方に合わせながらの対応ができるようになればよいかなと思います。実態を踏まえながら感じたままをお伝えしました。

以上であります。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。ありがとうございました。

続きまして松田悠介委員、次に古沢委員、この順番で指名させていただきます。最初に松田悠介委員、お願いします。

【松田(悠)委員】 ありがとうございます。 先ほど特別免許状のニーズについての話がございましたけれども、私はやはり現場の教育委員会の方々とお話をさせていただいていて、すごくニーズはあるなと思っています。先ほど、それは木村委員からもおっしゃられたように、教員採用試験の倍率、非常に1倍台の県も出てきておりますし、中学校の教員採用試験の倍率も低くなってきていることを考えていくと深刻な状況です。民間企業では一般的に倍率が7倍を下回ると優秀な人材の確保は難しいと言われています。採用倍率の低下により、教員の質の低下も容易に想像できますが、このような状況下では優秀な人材をなるべく採用したいと思う都道府県が増えてきているのではないでしょうか。

ニーズのところで申し上げますと、これは別に倍率低下による質の低下の話にとどまらず、今の学校現場の現状の中で力を発揮できる人財が求められているのではないかと考えます。今回のコロナで休校になってオンライン教育が普及していく中で、かつ文部科学省が推奨しているGIGAスクール構想、これは現状ですとハード面の普及になっていますが、今後恐らくソフト面の開発、普及というところが加速していくことを考えていくと、こういうオンライン教育インフラを生かせる人材をどうやって担保していくのかというところは喫緊の課題です。オンラインのプラットフォームができたとしても、実質双方向型の授業ができているのは5%にとどまるという実態を見ていくと、どうこのインフラに適応できる人材を増やしていくのかという観点も非常に重要だと思っています。

この文脈で申し上げますと、ICTの利活用、そしてオンライン教育の普及により、知識の習得というのはある一定オンラインで質の担保が可能となります。リアルな授業では、子ども達のやる気を引き出したり、双方向型の授業をファシリテーションできる、コミュニケーション能力にたけた人材、あとはコーディネーター的な資質、素養は求められてきます。これらの知識、スキル、マインドを持ち合わせた人材をどう採用してこれるのかは重要になってくると思います。

解決策として、既存の先生をどう育成していくのかという話と、どう人材を採用してくるのかという話だと思っていて、この特別免許状の制度そのものは採用の部分に関わるところです。

特別免許状の効果的な活用を目指すために、運用側や採用側の志向や利便性も重要ですけれども、受ける側、受験者側、実際に先生になろうと思っている側の志向をしっかり理解する事は同じくらい重要な要素になります。優秀な人材にやはり入ってきてほしいわけですから、優秀な人材がどう考えるかという観点が大切です。免許が3年や5年の期限がある状態ですと、人によってはこんなリスクがある中でなかなかチャレンジしにくいのはないでしょうか。それがハードルで、私の知っている優秀な人材の中には、断念している人たちもおりました。なので、やはり比較的ある程度先の見通せる特別免許状制度の設計は重要かなと思っています。10年という期間は先が見通せる期間として適切だと思っており、現行の期間には異存はありません。ただし、先ほどおっしゃられたとおり10年というのがハードルとなって付与されていない実態もあるので、例えば特別免許状の仮免許制度をご検討頂くのはどうでしょうか。

臨時免許状という臨時で人を採用することを目的にしている制度の活用ですと、今ここで議論していることと性質が変わってくるので、、例えば3年の特別免許状の仮免許状があって、ある一定の要件や評価を満たすことができれば、特別免許状の本免が付与されるような形ができないのかどうかというところは、ぜひ御検討いただきたいと思っています。

最後に、学識者の面接というところですけれども、今の実態がやはり大学の先生方とかが入られているともお伺いはしていますけれども、これはどういう人材を採用したいのかによって、最後、面接を誰がするのか、誰が評価するのかというところは決めていくべきだと思っているので、必ずしも学識有識者というよりは、やはり現場の都道府県教育委員会、一番現場に近いところが御判断いただくのが一番適した形なのではないかと思っております。

私は、総論ですけれども、制度としてはなるべく柔軟に活用できるようなものにしておいて、最後は都道府県教育委員会が活用するか否かを判断するものにしていくことが重要なのではないかと思いますので、ちょっと今、ばらばらと申し上げてしまいましたけれども、私からは以上とさせていただきたいと思います。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。ありがとうございました。

挙手いただいている方、古沢委員。木村委員はもう一度御発言ということでよろしかったらそのまま挙げていただいて、間違いであれば手を下ろしていただければと思います。古沢委員、木村委員、松木委員、若江委員、安藤委員の順番で指名させていただきたいと思います。それでは古沢委員、お願いいたします。

【古沢委員】 ありがとうございます。

私も説明をお聞きしていまして、教育人材の確保が逼迫する中、外部人材登用のために特別免許などの弾力化はぜひ進めていただきたいと思います。その中で、多くの委員が指摘されているように、雇用の安定化はぜひ必要であると思いますので、更新制度にぜひ配慮を頂きたいと思います。

私も、先ほどの特別免許状の授与に当たって学識経験者の意見聴取というのが気になったところでありまして、不要ではないかという指摘が説明資料であったのですけれども、現状でどのような意味を持ってやっているのかということと、ここで授与ができないケースがあるのかどうかをお聞きできればと思いました。

それと最初の資料で御説明があったコロナの影響で、学習指導員を確保しなければいけないと。これは主に臨時免許での採用を予定されているのかどうかを、もし分かりましたら教えていただきたいと思います。

以上です。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 免許室長でございます。

2つ御質問を頂きました。1点目が特別免許状の、先ほどもお話がございましたけれども、学識経験者の意見聴取ということでございます。法律上、学識経験者という者から意見を聞くとなっておりまして、省令のほうで、ではこの学識経験者とは何ぞや、ということが決まってございます。今の仕組みですと、認定課程を有する大学の学長とか学部長、これらに準ずる者、また、実際の勤務校になるような学校の校長先生またはこれに準ずる者という限定がかかっているのが現状でございます。

その上で、網羅的に特別免許状、私ども何件授与されているかということは承知しておりますけれども、何件申請があって何件通らなかったかということは詳細に把握してございませんが、全員が全員通ったということではないようではございます。すいません、それ以上はデータを持ち合わせておりませんのでお答えは難しいのですけれども、そういうことだと承知しております。

2点目、学習指導員でございます。先ほど少しお話ししましたけれども、学習指導員はあくまで補習とか補充学習の補助というようなことでありますので、免許状は必要ございません。基本的には教員の指導の下で活動を行う者、支援するということでございますので、単独として免許状を付与する必要はございません。ただ一方で、当然個々の教員の監督から離れて単独で授業を持つといった場合には免許状は必要になってきますので、そういった場合に限っては臨時免許状といったものの活用も考えられるというのがお答えでございます。

以上でございます。

【古沢委員】 ありがとうございました。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。挙手いただいていますのが松木委員、若江委員、安藤委員、三村委員となっておりまして、ここまでで一旦指名をさせていただきたいと思っております。それでは最初に松木委員、お願いいたします。

【松木委員】 松木です。今回の小中両免許取得に必要な科目の特例ということと、課程認定との関係のことについて、もう一度確認をさせていただきたいと思っています。

前回の112回あるいは111回のところでちょっと出席できなかったものですから、ダブったことになってしまうかなという気もいたしますが、今回、小中両免許取得に必要な科目が他学部他学科の領域を超えて取れるようになっていくということ。特に教育実習なんかについて大学として一本化していける可能性が出てくるということで、大学として教員養成をどう位置づけていくのかということがかなりはっきり打ち出していけるような、学部を超えて打ち出していけるようなところが出てきたなと思っています。ありがたいことだと思っているのですが、同時にこのことと課程認定は今までどおりの仕方でするのか、その辺の関係のことについてお伺いしたいと思います。

以上です。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 免許室長でございます。

正確に意図をつかんでいるかどうかというところはありますけれども、課程認定基準を改正することでこれを実現していくという理解でありますので、改正した課程認定基準に従って課程認定そのものは行っていく、これはあくまで学科単位で行っていくことにはなろうかと思います。

以上です。

一部分だけ変えるのであれば、変更届の範囲で実現できる部分もあるということでございます。

【松木委員】 分かりました。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。ありがとうございました。

それでは次に若江委員、お願いいたします。

【若江委員】 キャリアリンクの若江でございます。

私どもはいろいろな企業さん、民間企業さんの教育支援を御一緒させていただいている会社なのですが、今、民間企業の人材の中で比較的中高の免許をお持ちで教員にならずに民間企業に就職されたというような方が多くいらっしゃいます。その方々が30代、若い方ですとデュアルキャリア、40代、50代の方々ですとセカンドキャリアを考えて、要するに教育現場にもう少し足を踏み入れようというような方々の声も多く出ております。そうすると、先ほど木村委員がおっしゃいましたように、中高の免許をお持ちの方がもう一度中高の免許をブラッシュアップするのではなく、この機会に改めて小学校の免許を取り直していただくみたいなことを社会のムーブメントとして仕掛けていければ、小学校の教員の数の少ない部分を補えるでしょうし、木村委員がおっしゃっておりました外部人材を活用するときに、小学校ではなかなかそれは必要ないんだみたいな話のところにも関わってくるのではないかなと思います。

ですので、その時に特別免許であろうと何であろうと、松田委員もおっしゃっていましたように、あまり10年ということでぼんと与えるのではなくて、仮免許みたいなものでもいいでしょうし、それぞれの人たちがやはり一旦自分が社会に出てライフプランを計画したけれども、次の選択を選ぶ時代にも来ていますし、ちょうど企業も兼業ですとか副業ですとかを認めるような風潮もオープンに出ておりますので、そういった制度ですとか風土をうまく活用しながら、民間の人たちがやはり教育現場にもう少し足を踏み入れていけるようなこともできるのではないかなと思いました。

そのためにも、文科省から出てきている資料というのはどうしても免許の問題だとか教育現場の視点でのことが多いので、どんな専門性を持った人にどんなことをしてもらいたいと思っているのか、そのためにはそれをクリアするためにどんな勉強をしておく方法があるのかみたいなことを、そういう外部から入ってくる人に分かりやすい視点で情報をまとめることも必要ではないかなと思いました。

以上です。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局です。ありがとうございました。

続きまして安藤委員、お願いいたします。

【安藤委員】 安藤です。よろしくお願いいたします。

今回、義務教育9年間を見通した免許制度の仕組みとして、この新たな特例が提案されましたけれども、これは非常に大学としても歓迎するところです。ただ、いろいろな質問もあるわけですが、基本的にこの共通開設が非常に魅力的であることは間違いないのですが、1点、まず事務局にお聞きしたいのが、教職実践に関する科目のところに、今回教育実習が共通開設になるわけですが、これまでも中学校、高校の免許を取る場合は中学校か高校どちらかで実習をやって免許を取れるような形になっているわけですけれども、今回のこの提案は小学校、中学校の免許をもし取るとなったときには、どちらかの現場で実習を行えばいいという判断でいいのでしょうか。確認させていただきたいのですけれども。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 免許室長でございます。

共通開設ということになりますと、どちらかが開設しているものになりますので、もちろん理論上、両方の現場で少しずつやってもらうという科目立てを否定するものではありませんけれども、基本的には片一方だけでも大丈夫ということになろうかと思います。

【安藤委員】 分かりました。なぜこの質問をさせていただいたかというと、今回の議論の一つの柱に指導力を担保する仕組みをということが書いてありまして、やはり学生たちが大学を卒業するときに、何か自分の強みをつくって、そして現場に出ていってほしいといつも考えているわけですが、例えばその場合の強みというのはまずは教科指導力だと思います。その際に、ややこの共通開設がある意味ではその強みを薄めてしまうというか。ですから例えば実習なんかでも、まず自分の強みになるようなところをうまく実習の中で補う、あるいは専門科目の中でも何か自分の得意なところを発揮できるような、そういういわゆる教科指導力をうまく育成するような共通開設はできないのかなと。あくまでも単位を取るためのものになってしまって、学生を伸ばすとか、あるいは学生を育てるというところが、私たちがこれから大学で指導するときに、やや心配になってくるところでもあるのですけれども、この辺はどのように考えたらいいのでしょうか。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 免許室長でございます。

私どもがなかなか申し上げることではないかもしれませんけれども、そこはまさに教職課程を具体的に構築する大学のほうが、この中でしっかりとどのようなものを、具体的な能力が身につくものをつくっていくのかということであります。

まさに今日申し上げたとおり、共通開設だから片一方の内容だけでいいとか、共通開設だからある意味薄いものでいい、ということが前提ではありませんので、両方の内容がしっかり含まれているものが当然の前提でございます。

こういった柔軟に仕組みをする中で、各大学がまさに自分の大学の強み、特色を発揮していただいて、逆に言うと義務教育特例みたいなものをつくるに当たっても、大学ごとの個性、小学校のほうが相当強いような教員を養成していくのか、もしくは中学校なのか、もしくは学生の選択に応じて多様な選択肢を用意するのか、このようなところは、まさに私どもとしても大学をある程度信頼して、緩和していくことになるのではないかと思っております。

【安藤委員】 分かりました。ありがとうございました。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。

それでは最後に三村委員、お願いいたします。

【三村委員】 三村です。よろしくお願いいたします。

本日御提案いただいております9年間を見通したというメールについては、いずれも養成段階としても魅力的なものですので、ぜひお願いできればと思っております。

その中で、まずカ養成の立場として、教科担任制についてどのように考えていくかは、大学の中でも話題になっています。例えば、小学校免許を主とする学生に中学校の免許を持たせたほうがいいのか、逆に中学校免許を主とする学生が教科担任として入れるようにしたほうがいいのか、どちらがより教科担任として適切なのかなど考えて行く必要があると思っております。何れにしても今回、教科に関する専門的事項や、各教科の指導法の一部を共通でということは、免許を併有する上で大変ありがたいことだと思います。

この時に、当然のことながら、室長がおっしゃいましたように、小中それぞれの内容が含まれていることがということだったと思いますが、これに関しては免許を併有する学生だけではなく、併有しない学生にとっても、例えば教科の系統性や発達段階の理解として必要ではないかと考えています。併有時に共通で使えるような指導法の科目を立てたときに、それは併有のみに使えるのか、併有しない場合にも使えるのかというのが少し気になるところです。

といいますのは、これまで課程認定の場合には、例えば小学校の指導科目であれば、中学校のものが含まれていたとすれば小学校の内容が薄まるので、小学校の内容が必要な単位に対して十分になるようにという御指導いただいていたと思いますので、この機会に例えば小学校の指導法であっても、中学校の部分を含めるということが9年間を見通した指導に役立つということで、その辺りも御検討いただければと思います。

それからもう一つ、特別免許状に関してなのですが、私は特別免許状の、教育委員会の一応学識経験者ということで審査に加わらせていただいています。私の場合にはなりますが、学識経験者が委員になる、意見を聴取することで特別免許の授与に影響しているとは考えておりませんでしたので、今回の資料を拝見して初めて学識経験者の意見を聴取することが特別免許状を出すことにハードルになっている可能性があるということを理解しました。学識経験者の意見を聴取することで特別免許状を出すことに課題があるのであれば緩和していく方向は良いと思います。一方で、全国的にもそうですし、実際私が審査に加わったものでも、大部分がALTや、工業とか看護とか実習助手というような限られた方になっています。

文科省から事例集なども出されて、活用ということを言っていただいていると思うのですけれども、どのような人材を活用して、どのように教育していくのかということがもっと一般的に広まるといいのかなと思います。そのことも併せてお願いできればと思います。

それから最後に、現職の先生に新たな免許を取っていただく上での在籍年数についてです。岡山県は全国的にも小中免許の併有率が低いですので、私どもでも免許状更新講習を活用した認定講習を実施していますが、その中で小学校の免許を取ろうとしているのに、小学校に勤務しているので在職年数の基準をクリアしないような先生もいらっしゃいます。もちろん免許を持っている中学校での経験ということは必要かと思いますけれども、免許を取ろうと思っている校種での勤務経験が入らないというのはおかしいと思いますので、ぜひここも弾力化していただければと思います。

長くなりすみません。以上です。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。ありがとうございました。

大変申し訳ありませんが、ここで一区切りとさせていただきまして、後ほどまた意見を頂戴する場がありますので、発言いただきたかった委員はそちらのほうでお願いいたします。

では、加治佐部会長にお回しいたします。

【加治佐部会長】 どうも皆様、御意見ありがとうございました。

それではこの議題1の後半部分に参ります。まずは事務局から説明をお願いいたします。

【折笠情報教育・外国語教育課情報教育振興室長】 失礼いたします。初等中等教育局情報教育振興室長の折笠と申します。聞こえていますでしょうか。よろしいですか。

【加治佐部会長】 はい、聞こえております。

【折笠情報教育・外国語教育課情報教育振興室長】 では私からは、資料1の10ページと11ページにつきまして、現在政府で推進しておりますGIGAスクール構想とその実現に向けたICT活用指導力の向上、指導体制の充実に向けた取組について御説明をさせていただきます。

まず資料の10ページを御覧ください。GIGAスクール構想の政府全体の取組のイメージでございます。文部科学省だけではなく、内閣官房のIT室、総務省、経産省などと一緒になりまして、政府全体としまして、子供たち一人一人に個別に最適化された学びを実現するために、学校のICT環境をどのように整備していくかということを取りまとめた資料となっております。

具体的には資料の左側を御覧いただきますと、子供たちのイラストがあるかと思います。子供たちに1人1台の端末環境を実現していくことにしています。ただし、これまでのようにその端末の中に全てのソフトウエアを入れていくことになりますと、非常に端末が高性能のスペックで、しかも高いものがないと成り立ちませんので、図の右側にありますように、通信ネットワークを経由しまして、クラウドを活用していくことを考えております。クラウド上に様々なデジタル教材であるとか教育コンテンツを載せまして、それをそれぞれの端末で活用できるようにしていくということでございます。

また、子供たち一人一人が学習しました学習記録などのデータにつきまして、クラウドなどを活用しまして収集して整理、分析し、その分析の結果を基にしまして、子供たち一人一人に最適なコンテンツを再度提供していくsものを実現していきたいと思っております。

また、図の左下に文章だけで書いておりますけれども、こういった環境を構築することは、学習指導要領に基づきます主体的・対話的で深い学びの実現であるとか、遠隔教育の実現などにも資するものになると考えておりまして、そういったものをまとめたのがこちらの図になります。

このような環境を実現するために、令和元年度の補正予算、それから令和2年度の1次補正予算におきまして、全部で4,600億円ほどの予算が国として計上されておりまして、1人1台端末環境の実現であるとか、学校の中のネットワークの整備などを図っていくこととしているところでございます。

続きまして資料の11ページを御覧ください。先ほどの御議論の中でも一部既に御意見を頂いたところでございますけれども、GIGAスクール構想を実現するに向けまして、先生方のICT活用指導力を向上する必要があること、それから学校における先生方のサポート体制と申しますか、指導体制の充実を図っていく必要があることについて、取組を説明した資料でございます。

教員養成の段階、左側の部分と現職教員の段階に分けて書いておりますので、最初に教員養成のほうから御覧いただければと思います。教員養成の段階におきましては、一つは平成29年に教職員免許法施行規則を改正しておりまして、教職課程においてICTを用いた指導法が必修化されているところでございます。この新しい規則の下、教職課程を置く全ての大学について、中央教育審議会の審査に基づき文部科学大臣が教職課程を認定しておりまして、平成31年4月から新しい教職課程が既に始まっているところでございます。

また、本年3月には各大学に対しまして、先ほど御説明しました学校のICT環境整備をめぐる大きな状況の変化がございますので、これを踏まえて対応できる教員の方々を確実に確保できるように、教職課程の一層の改善、充実をお願いする通知を発出しているところでございます。さらに今年度以降につきましても、指導法の好事例などの展開を図ることによりまして、内容の充実を図ってまいりたいと考えております。

それから次に、図の右側から中央にかけまして現職教員の部分についてです。まず上段の教員の指導力向上についてですが、教育公務員特例法に基づきまして、各都道府県の教育委員会などにおかれましては、初任者研修であるとか中堅教員研修、それからそのほかにも校内研修、校外研修などについて必要な研修計画を策定いたしまして、実施することとされているところでございます。情報化の進展を踏まえまして、より適切な研修が実施されるように促してまいりたいと思っております。

また、これらの研修の充実を図るために、資料の中ほどになりますけれども、今年3月末には教職員支援機構におきまして学校におけるICTを活用した学習場面について解説する校内研修等に活用できる動画を作成、公表しております。

それから、昨年12月末には教育の情報化に関する手引も公表しているところでして、各学校段階、各教科等におけるICTを活用した学習活動の具体例をその中でもお示ししております。今後イラスト等を追加しました追補版も出していきたいと思っております。また、今後、より具体的な各教科におけるICTを使った学習活動の実践事例を作成いたしまして、研修用の動画といった形で作成してまいりたいと思っているところでございます。

また、これまでも取り組んできたところでございますけれども、教職員支援機構におけます教育情報化指導者養成研修につきましても、今年度また充実を図りながら引き続き取り組んでまいりたいと思います。

それから最後、右下の教員の指導体制の充実のところでございますが、一つには、今もICT支援員の配置については4校に1人の割合で配置できる経費について地方財政措置が講じられているところでございます。また、令和2年度の1次補正予算におきましても、GIGAスクールサポーターの配置の補助事業が入っておりまして、これは主に学校におけるICT環境整備の初期の段階対応、その中に先生方に対して使い方の説明などもできるというものでございます。

また、先ほどの御議論にもありましたように、民間企業等で勤務している、より専門性の高い社会人の方などを特別免許状であるとか特別非常勤講師制度などによりまして活用することによって、学校の指導体制の充実強化を図ってまいりたいと思っております。また、令和2年度当初予算によりまして、ICT活用教育アドバイザーという制度が5月から動き始めておりまして、全国の教育委員会などを対象にしまして教員研修であるとか、ICT環境の整備、それからICTを活用した指導などについての助言、支援を実施してまいる予定でございます。こういった施策を通じましてGIGAスクール構想で整備されるICT環境を活用しまして、先生方が円滑に指導できるよう支援に努めてまいりたいと思っております。

以上です。

【平野教育人材政策課教員免許企画室長】 続きまして、免許室長から説明させていただきます。ページ番号でいいますと12、タイトルがこれからの学びを支えるICTや先端技術の効果的な活用についてという部分でございます。

この12枚目の下半分が今回御議論いただきたい論点でございます。学校ICT環境等の導入による教師の活用指導力等を向上させる方策についてです。先ほど御説明させていただきましたとおり、学校のICT環境が整備されることにより、教師は児童生徒の情報活用能力を育成することに加えまして、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業に活用するツールとしてこういった情報機器を活用できるようにならなければいけないと。これらを活用した授業改善を進めていかなければいけないということでございます。

具体的な方策ということでございます。従来からいわゆる各教科の指導法については情報機器及び教材の活用を含むということについては芽出しをされているわけでありますけれども、養成段階において、先ほど申し上げた児童生徒の活用能力を育成するであるとか、しっかりと授業に活用するツールとして活用できることを確実に身につけさせる観点からは、単に省令上、情報機器の活用を含むというところからさらに踏み込んだ形で、教職課程で共通に修得すべき資質能力について具体的な学習内容を大学にお示ししていくことが必要ではないか、スピード感を持って行っていくことが必要ではないかということでございます。

具体的な内容で申し上げますと13ページ目、最後の部分でございます。教職課程で共通に修得すべき資質能力について示すこととする具体的な学習内容のイメージでございます。教員免許状を取得しようとしている学生が、学校におけるICTを活用した特にいろいろな場面、左下にございますように一斉学習から個別学習、協働学習まで、様々な場面があるわけでございまして、そういう場面に即したものがしっかりできなければなりません。その観点から、各大学において教職課程の指導法の中で、学校におけるICTを活用した学習場面に即した内容を確実に学んでいくことを求めていくことが考えられるのではないか。その際、一つの教材として教職員支援機構の「校内研修シリーズ」の活用であるとか、後でこれは少しお見せすることができるようですけれども、また、各大学でそういったことが行われているかということを部会も含めて確認していくことなどで、これをしっかりやっていくことが必要ではないかということが1個目の方策でございます。

大学にお示しする場合には、もちろん専門的な内容をまた大学にしっかりと行っていただきたいということでありますので、教員養成部会の有識者の先生方にしっかりとお見せしまして、養成部会としてしっかりこういうことを大学に具体的に示していくことを想定しているということでございます。通知などの形でお知らせをすることもあり得るものと考えております。

12ページ目に戻っていただきますが、2つ目のポツ、現職教員についても、養成段階のみならず必要でございます。今、都道府県教育委員会が行う研修等の充実を図っていくことが必要でありまして、都道府県教育委員会が今、定めていただいている育成指標ということで、教師のキャリアステージごとに資質能力の指標を設定していただいているところであります。この中で先ほど申し上げた内容を含めて明確化することを促進していくということで、現職教員の研修の在り方にも影響を及ぼしていくことはどうだろうかと。

最後のポツは、先ほどの部分とかぶりますけれども、専門的な知識・経験を有する外部人材の部分が、これはICTの部分だけに必要ということではありませんけれども、ICTの部分についてはまた必要性が高いことも見込まれるわけでありまして、こういった外部人材の方々を学校現場で積極的に活用すること、先ほどの論点にも引っかけて考えていくことが必要ではないか、ということが今回の方策の論点として示させていただいたものでございます。

この後動画が流れると思いますので、一旦、事務局の補佐にマイクを返します。

【中村教育人材政策課長補佐】 これから動画を映す準備をいたしますので、少々お待ちください。

(動画再生)

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。時間の関係がありますので一部になってしまいますけれども、このような動画を作成しております。

それでは加治佐部会長にお願いいたします。

【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。

それではこちらについての意見交換に入ります。同じようにZoomの「手を挙げる」ボタンを押していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。それでは挙手いただいている方、7名いらっしゃいますので、順番に指名させていただきます。立田先生、竹原先生、本図先生。またその後に指名させていただきますが、この順に指名させていただきます。まず立田先生、お願いします。

【立田委員】 横浜市立緑園西小学校の立田です。

3月からの臨時休業期間中のことですが、私の勤務校の場合、保護者や子供への連絡はメールによる一斉配信や、各家庭への電話連絡が中心でした。オンラインの授業までにはなかなか至らなかったのですが、5月11日に文部科学省の矢野審議官、髙谷課長から「この非常時になぜICTを使わないのか」というメッセージもありましたし、勤務校の保護者からも「担任と子供とお互いに顔が見える関係を何とかつくってもらえないか」とか、「クラスの子供同士の横のつながりをつくってほしい」という声がありました。そうした声にも押されて、5月の下旬に、Zoomを使ったオンラインのホームルームをやってみたところ、6年生ですと半数以上が自力でZoomにログインしていたのに対して、教員のほうは大多数がZoomを初めて使うという状態でした。

ここから気づかされたことが2つありまして、一つはICTを利用する環境はもう家庭のほうが学校よりも上であるということです。スキルについても場合によっては子供のほうが教員よりも上を行っているなということを感じました。

2つ目としては、そうは言っても、今回は学校にとって必要感とか切実感があったので、まずはZoomを使ってみよう、次は動画配信をやってみようと、そういう動きになっていきました。幾つかトライをしたところで緊急事態宣言が解除されて、学校再開となったわけですが、ここで懸念するのは、「学校が再開したからこれでオンライン授業のことは取りあえずもう考えなくてもいいや」とか、「ICTの活用は、もう少し学校が落ち着いてからでいいや」となってしまうと、結局今までと変わらなくなってしまいます。それは残念ですし、ある意味、危険ではないかなと思います。

今後、コロナの流行の第2波、第3波が来るかもしれませんし、まだまだ切実感とか必要感がある今のうちに、GIGAスクールの環境整備と一体的に準備をする必要があるのではないかと思います。

オンラインの授業をやろうとすることで、その準備や活用をする中で教員のICT活用指導力は大きく向上すると思います。オンライン授業の灯を消さないように、「まだ非常時だ」「ICTの活用は必要だ」という取組を文部科学省からも、各自治体の教育委員会からも、そして学校現場からも、それぞれやっていく必要があるのではないかと考えております。

以上です。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。ありがとうございました。

それでは続きまして竹原委員、本図委員、吉田委員の順番に指名させていただきます。まず竹原委員、お願いいたします。

【竹原委員】 NPO法人まちと学校のみらいの竹原でございます。私は地域の立場、学校運営協議会委員立場から話をさせていただきます。

先ほども立田先生がおっしゃいましたが、学校現場が地域社会や企業よりはるか後れているのを今回実感しました。GIGAスクールはいつかすればいいと思うのんきなところがありましたが、全てが中止や延期になる地域との連携や教育活動が停滞している様子から、今できることをしよう、まずはリモートとリアルな現場をつなぎ会議をしてみましょうとなりました。ところが学校はZoom等を利用したことがなく、インターネット回線につなぐことに警戒感が強く、結果的にはほかの地域でPTAや地域学校共同本部の回線を使って会議をされたように、地域学校共同本部の回線を使うことにしました。当日は活発な意見交換ができ有効性を実感できましたが、これを日常的に行うには

教育委員会の役割として、ハード面での環境、基盤整備が不可欠です。

そして学校現場ではICTの有効性を今まで実感してこなかった、使いこなす十分なスキルがないことがハードルを上げているのではないかと思います。キャリアステージごとに求められる資質能力とは異なり、一律になければいけないのではないかと思います。管理職だからスキルが高いということではなく、全員が同じように持っていなければいけないものではないでしょうか。

先ほどNITSの動画で拝見しましたが、13ページにある「教材の提示」をかつてICT推進モデル校の研究発表で拝見、これでいいのかしらと疑問を持ちましたが、さらに深い授業展開があることをお示しいただき理解が深まりました。社会に開かれた教育課程をすすめるためにも、教員養成段階から学び方を学び、いかにしたら深い学びになるか、ICTを活用しながらすすめる必要を再認識しました。

そして今後、あらゆる地域の資源を生かしながら子供に関わるとき、ICT支援員やIT企業の参画は大きな力になります。けれども現状は準備と片づけにICT支援員が忙殺されていて、どのようにしたら授業にICTをいかせるか相談する時間はないのが現状だとお聞きしたことがあります。プロフェッショナルの強みがハード面の支援だけでなく、授業にもいかされたらと思います。そして校務にも教科指導にもICTを当たり前に使いこしている姿をイメージしながら、教員養成が行われたらと思います。【中村教育人材政策課長補佐】 事務局です。ありがとうございました。

続きまして本図委員、吉田委員、松田恵示委員の順番に指名させていただきます。最初に本図委員、お願いいたします。

【本図委員】 ありがとうございます。3つ意見を述べさせてください。このGIGAスクールについては大変大事だと思っていまして、ぜひ推進していくべきだと思います。

1点目は、今回の新感染症への対応と含めて、このGIGAスクールに乗れるかどうかがすごく地方においては格差に、子供たちの教育機会と質の格差につながっているところがありまして、性急に整備をしていかなければいけないのではないかなと思っております。その点が1点目です。

2点目は、ICTのアドバイザーについてもし実数が事務局で御存じでしたら教えていただきたいのですけれども。現在、全国で何人ぐらいいらっしゃるのか。この方々を地財措置ということでしたけれども、地域で適宜、人を探して予算の中でやってくださいということではなかなか学校に恩恵が行き渡らないのではないかと思っております。全国の中でのネットワーク化とか、地域もいろいろな人を探しやすい。この方々にとっても「こういう職種があって、これは社会に貢献できるよね」という形にしていかないと機能していかないのではないかということです。

3点目は、今、実は竹原委員や立田委員からもお話があったところですが、私も地元の様子を見ていて、自治体によっては外部とネットワークを接続することを制限しているところがあります。NITSの20分にできた非常にいい研修ビデオも、見るなら自宅でやってねということになっていて、「いや、これはグループで見たりするから意味があるのでしょう」ということができていません。ですからここを、やはり国の大きなレベルで突破していかないと、結局GIGAスクールも絵に描いた餅になっていくことになりまして、この点をぜひ御検討いただきたいと思います。

さりげなく地元自慢なのですが、そういう限られた中で、私は宮城県におりますが、東日本大震災で激甚地区であった岩沼市では、復興の時に活用したコミュニティーFMのラジオ、FMの短波ラジオを使って子供たちに先生が小学校1時間、中学校1時間授業を届けると。一生懸命コロナ対応で格差が起きないように頑張っている姿もあります。

そんなことを考えると、GIGAスクールについていろいろなところを国レベルでやっていくところがまだまだありまして、そこをやっていただきたいですし、でもそこを待っていないで、形よりも質というところも同時に考えていかなければならないのではないかと思っております。

以上です。

【加治佐部会長】 ちょっと私からよろしいでしょうか。

大変いい意見を皆さんから頂いておりますけれども、まだ手が挙がっている方が8人ぐらいおられますかね。時間がもう15分ぐらいしかありません。本当に恐縮なのですけれども、ちょっと御協力をお願いしたいと思います。ひょっとするとこれは12時までに終わらない可能性もあります。できるだけの御協力をお願いいたします。事務局どうぞ。

【折笠情報教育・外国語教育課情報教育振興室長】 今、御質問いただきましたICT活用に関する人材の関係で人数についてお答えさせていただきます。

まず、地方財政措置でやっておりますのがICT支援員でございますけれども、一昨年度の時点で大体2,300人程度、全国におります。それとは別に、先ほどお話の中で出てきたのがICT活用教育アドバイザーでございまして、これは国が委嘱しまして、困っている教育委員会の方とかに派遣やオンラインでの助言であるとか支援を申し上げるスキームでございます。こちらが今年度、今の時点で国によって委嘱されている方が大体100人前後でございます。

あと、整備のところにつきましても、令和元年度の第1次の補正予算におきましてGIGAスクールサポーターという制度を設けておりまして、これは地財ではなくて補助金で、学校においてICT環境を整備するときの最初のもろもろの支援をしてくれる人材ということでございます。まさに今、交付申請に向けた処理をやっているところでございますので、まだ今の時点で何人ということはないのですけれども、そういったものも活用してしっかり支援してまいりたいと思っております。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。部会長からも御案内がありましたけれども、御発言をまとめてコンパクトに頂けると大変ありがたく存じます。

続きまして吉田委員、松田委員、橋本委員の順番で行きます。吉田委員、お願いします。

【吉田委員】 ありがとうございます。今、このコロナに対する対応に関しましては、もう今さら言ったって間に合わない。本来、GIGAスクールがどうのと今頃言っていることがおかしいのであって、1人1台が3人に1台でいいと言っていた段階からもう既に遅れてしまっているのですから、そんなことを今言ってももうやむを得ないと思っています。

ただそういう中で、今日、これは教員養成部会ですので、先ほどの13ページの件で私がお話ししたいのは、今さらこんなことを学生にやらせなければいけないのかどうか。今の学生は本来であれば、もう大学でそれこそいろいろなものでシェアポイントを使って、それから個別学習とかそんなものはICTでやっているのが当たり前ではないのか。もう今、都道府県、市区町村、それから学校によっても違うと思いますけれども、高校以下でかなりこういうことは進んできていると思います。それは今回のコロナの対応で差が出てきたわけだと思いますけれども、この教職課程はただでさえも忙しいのに、こういうことを加えるのではなくて、大学の授業自体でこういうものをちゃんと使って、自分たちが使えるようにさせるのが大学のお仕事ではないですかというのが、私は言わせていただきたいです。

といいますのは、今回のコロナにおいても大学は9月までオンライン学習なんて平気で宣言しているところがあります。我々、卒業生たちがその立場に置かれて何を言っているかというと、オンライン授業でも何でもないと。まるでユーチューブですというのが子供たちの答えでした。それはやはり大学として考えなければいけないし、文科省として教職課程でこんなことをやるのではなくて、学校に普通の中で取り込まれていれば問題ないと私は思っていますので、あえて言わせていただきました。

すいません、失礼します。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。ありがとうございました。

ちょっとここで秋田委員がどうも手を挙げられているけれども、システムで認識できていないということで、秋田委員、一度お話をお願いできますか。

【秋田委員】 ありがとうございます。限られた時間なので、何点かICTに関して申し上げたいと思います。

オンラインのいろいろな使い方があるのですが、実際にこの期間に中高生の声を聞きますと、オンラインが非常に一方向になっていて、反対に伝統的な授業に戻っているというような声が、高校生等から本当に生の声として上がっております。10ページに書かれているような、先ほどの動画にもありましたが、「プロジェクト型学習を通じて創造性を育む」ことや、このピンチをチャンスにして新たな形の学習の在り方ということを、やはり若手教員も含め学校全体で考えていただくことが大事だろうと思っています。

また2点目として、GIGAスクール構想の中で一番今後難しいのが、いろいろなビッグデータの収集分析と書かれているのですけれども、各学校でも教えるだけではなくて、どう評価をうまくして学習支援をしていくのかというところが各学校では難しい点です。ですので、自治体や国で今後そういう、ICTを用いてどう教えるかということだけではなくて、学習ログから学習評価をとして学びを見取る支援をしていくシステムにすると教員の支援になるのかというようなところを、ぜひ御検討いただけるといいと思っております。

最後に3点目ですが、教員養成段階で、先ほど吉田先生からもありました。実は現在のところでも、教員のオンラインによる授業や子供への指導支援を遠隔からサポートするようなことを、大学の学生たちが実際にやっている大学がございます。例えば学級通信を作って配信するとか、授業で出された課題の支援を、実際に大学生が学校の先生のサポーターとして入ることによって、そこで学んでいくというようなことが、今、実際なされております。今、教育実習ができなくなっているので、そういうことも実習単位の一部として認めてもらえないかと考えております。今、要望書を私ども博士課程を持つ9大学教育学部長会議から出す予定です。特別なICTの使い方の授業をやるというよりも、養成段階でこうした形で様々な形で、インターンと呼ぶだけでいいのかどうか分かりませんが、学校と地域の養成大学が連携しながら、実際に学校もよくなるし、生徒も学生もそうした手応えを感じられるような形の仕組みをつくっていただくことが必要だろうと思います。

また、アドバイザーというところでは、ぜひ産官学の連携をうまく活用していくことが重要だと思います。

以上です。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。ありがとうございました。

ここで、今日発言をなさっていない松田恵示委員、高橋委員、このお二人にはぜひ御発言いただきたいと思いますので、このお二人を先に指名したいと思います。まず松田恵示委員、お願いします。

【松田(恵)委員】 それでは手短に。今、秋田先生がおっしゃったことはまさに同感です。大学では同様のことを本当に既に行っておりますので、その仕組みをぜひ組織的に広げていくような御支援を頂けたらと思います。

ICT指導力の向上に関して、本日御提案いただいたことは大変重要なことですし、推進すべきことだと思いました。その上で、昨今の現場の状況や教員養成の状況から思うことが3点だけございます。

1点はまず、今回つながるということの必然性の中で、ICTが本当に教育現場で必要性を持って迎え入れられているのは皆さんおっしゃるとおりなのですけれども、だからこそエネルギーが出ておりまして、その中で遠隔授業を行ったのは小中高ではパーセントとしては数字が出ているところかと思いますが、例えば朝の会等、他の取組の中で実は行っていらっしゃるというのは、もうちょっと数字に見えないところであるのではないかと思いました。

そういう中で、OJTのような現場でお互いに伝え合う活動が非常に活発になっておりまして、そういう意味では、研修においてもそういうOJTのようなものも推進するような要素を少し入れていただけるとありがたいなと思いました。

2つ目は、そのことと少し関連するのですけれども、各学校でも非常に取組に対してエネルギーが生じておりまして、ところが、例えば保護者面談をICTで行うというような提案が学校から出たときに、教育委員会とか校長会等で「今はちょっと待ってください」というようなコントロール、まあ必要なことももちろんあるのですけれども、そういう部分を少しそごとして感じております。その辺り、ぜひ何か、せっかく現場のエネルギーがうまく活用されますような御助力をお願いできたらと思います。

最後、重なるのですけれども、養成段階でICT関係の学習内容を記載していくのは重要なことだと思います。その中で、今も出ておりましたが、従来のICT以前の状態のものを、効率化とか合理化ということでICTを使うという、その面も非常に重要ですし進めていくべきだと思うのですけれども、ICTが逆に前提になったときに、例えばコンピテンシー育成において、ある種ニューノーマルとして新しい学習指導はこうあるのだというような内容もぜひ取り入れていくような柱を明確にしていただければありがたいなと思いました。

以上です。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。ありがとうございます。

高橋委員にお願いしたいと思っております。

【高橋委員】 すいません、聞こえますでしょうか。東京学芸大学の高橋でございます。

基本的には、今回議論いただきたい論点というお話について、私は皆、賛成でして、ぜひ制度化を具体的にしていかなければいけないと感じております。

ICT環境とか、今回GIGAで学校現場はそろいますが、養成段階や研修の段階においてもICT環境や制度を整えて、基準をつくって研修や養成をして、ICT活用を促していくみたいなループをきちんとつくっていかなくてはいけないなと思っています。

養成段階に関しては、現状のコアカリは実際に活用まで求めているかといえば、養成段階で実際にICTを活用して指導するという段階まで求めているかといえば、少し記述が弱い面も見られなくもないなと思います。実際に養成段階でICTを活用した指導の実際が学べるような、もう少し強めの書きぶりに修正していくことが、やはり少なくとも必要だなと思っております。

本当は夢のようであれば、必履修科目とかができて、対応してコアカリができてみたいなことがあればいいとは思いますが、少なくとも、実際に学生がICTを活用しながら、という部分を強調できればと思っております。

ただし、実際にやろうと思うと、まず学生のICTの操作スキルは極めて低いです。遊びでは使えますが、業務に堪え得るレベルではございません。これに関しては、幼少期から、子供は得意でどんどん覚えるので教えなくてもいいとか、やはり大人のほうが甘えさせているところがありますので、しっかり業務で使えるレベルに指導していかなければならないということ。そうなってくると、まず、学生自身のICT環境が不足している。PCを持っていない学生ではスマホで十分だという学生もいますし、大学の情報セキュリティーポリシー等で全くクラウドとか新しいシステムが使えない大学もございますので、この辺りについての修正をしていく必要があるなと思っています。

研修段階においては、ICT活用指導力のチェックリストで毎年文部科学省によって先生方のICT活用指導力についてはチェックしてございまして、これは年々上がっているわけなのですが、実際にはICT環境が整備されていることを前提としてという枕言葉がついている関係か、地域差はほとんどないような結果が出ております。しかし、実際に各地を訪問し、実際の活用レベルを拝見すると、非常に差がある現状であります。情報モラルの指導とかは結構どこも高めなのですが、多くは低いようにかんじますので、しっかり地域差を埋めていくことも含めて、先生方にどういうふうに伝えていくのかということも大事かなと思っています。

情報活用能力に関しては今回学習指導要領に示されましたので、これをどう子供に指導していくかということの課題になるとは思います。今回、根本は変わっていませんが、指導要領の3つの柱に対応して書きぶりが少し変わってございますので、それに対応した内容をどう伝えていくのかなと思います。

いずれにしましても、お忙しい先生がどう研修していくかという話は、遠隔の研修とかeラーニングの研修とか、そういったものを上手に組み合わせながら、私もこの間、大分教員研修とかをやりましたけれども、600人とか数千人の受講者がいるような研修もできておりますので、短時間で複数回できるみたいな、少し形の違う研修とかでやっていくことが大事かなと思います。

その大前提は養成段階と同じなのですが、先生方が実際には使いたくてもセキュリティーとか制度とかの問題で非常に自由に使えない問題があります。すごく使いたい先生はいっぱいいらっしゃいますし、便利だと思っていれば、すごく使っていただけると思います。しかし、一部においてメールアドレスも付与されないような地域もございますので、先生方がやはり積極的にICTを、自分の仕事を充実させるという意味でもまず使えるようにしていかないと、とても学習指導にICTというふうにならないのではないかと思っています。

ちょっと早口で申し訳ございませんが、以上になります。ありがとうございました。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。ありがとうございました。

大変申し訳ありませんけれども、お時間が来てまいりましたので、発言いただけなかった委員におかれましては、メール等で御意見を事務局にお寄せいただければと思っております。申し訳ございません。

部会長にお返しいたします。

【加治佐部会長】 本当に申し訳ありません。初めてのZoomの会議ということで、私も学内では全部Zoomでやっていますので慣れてはいるのですけれども、あまり時間の制限という中でやっていないものですから、なかなかまずかったなと思っております。次回は事務局と一緒になってそこらの工夫もしていかなければいけないかなと思っています。本当に申し訳ありません。発言の時間がなかった方には、今ありましたように、ぜひメール等でお寄せいただきますように、あるいはまた次回、発言いただければと思います。

それでは次回の予定について、事務局からお願いいたします。

【中村教育人材政策課長補佐】 事務局でございます。

次回の教員養成部会の日程につきましては、委員の皆様から頂いています日程を基に事務局で調整の上、追って御連絡いたします。

【加治佐部会長】 それでは本当に今日はお忙しい中、ありがとうございました。また次回、どうぞよろしくお願いいたします。



―― 了 ――

 


(総合教育政策局教育人材政策課)