教員養成部会(112回)議事録

1.日時

令和2年2月18日(火曜日)10時00分~12時00分

2.場所

一橋大学 一橋講堂2階中会議室1,2
東京都千代田区一ツ橋2-1-2

3.議題

  1. 義務教育9年間を見通した養成、採用、研修、免許制度、人事配置の在り方について【審議】
  2. 複数の学科間・大学間の共同による教職課程の実施体制について(報告書)【報告】
  3. その他

4.議事録

【加治佐部会長】 どうも皆さん、おはようございます。時間が参りましたので、始めたいと思います。ただいまから第112回中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして誠にありがとうございます。

初めに、会議資料について、事務局より確認をお願いいたします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 資料の確認をさせていただきます。上から順に座席表、議事次第、それから議事次第に記載しておりますように、資料が1-1から1-4、それから資料2-1から2-2まで、それから、参考資料が1から4までというふうになってございます。もし不足等ございましたら、近くの事務局の者にお知らせいただければと思います。

それから、この後御説明する機会がございませんので、この機会に言及させていただきます。参考資料3をごらんいただきますと、こちらの養成部会でもこれまで何度か御議論いただきましたけれども、令和2年度以降の小学校教員資格認定試験の見直しにつきまして、けさ大臣会見で発表してございますので、後ほどごらんいただければというふうに思います。

以上でございます。

【加治佐部会長】 会議の進め方について御説明いたします。本日は、まず、議事の1について、東京都教育庁人事部長の浅野様、北九州市教育次長の太田様から地方自治体の現在の取組や課題について、また、玉川大学教師教育リサーチセンターのセンター長、高橋様、教職課程支援室課長、髙野様から大学における小中の教員免許併有について御説明いただきます。その後、委員の皆様から自由に御意見を頂ければと思います。

それでは、議事の1に入ります。東京都教育庁の浅野様から小学校専科教員に対する小学校教諭免許状の授与要件の緩和について御説明をお願いいたします。10分ほどでよろしくお願いいたします。

【浅野東京都教育庁人事部長】 東京都教育委員会で人事部長をしております浅野と申します。本日はよろしくお願い申し上げます。以下、着座にて御説明申し上げます。

今年度、内閣府が実施いたしました地方からの提案募集制度におきまして、私ども東京都から提案いたしまして、昨年12月に閣議決定されました対応方針の中で認められたものでございますけれども、小学校専科教員に対する小学校教諭免許状の授与要件の緩和につきまして提案したものを中心に御説明申し上げたいと思います。

資料は、資料1-1という東京都と記載された資料をごらんください。A4、横型の資料でございます。

提案の趣旨といたしましては、中学校教員免許状所持者が小学校教諭二種免許状を取得する際に現状よりも取得しやすい環境を整えていただきたいというものでございます。資料に沿いまして御説明申し上げます。

表紙をおめくりいただきまして、資料の右下にページ番号を振ってございますが、1ページをごらんください。小学校における専科教員の状況でございます。小学校で授業を担任する場合には、小学校教員の免許状を有していることが基本となりますけれども、囲みの中に記載いたしましたとおり、中学校又は高等学校の教員の免許状を有する者につきましては、免許法16条の5の規定によりまして、当該免許状に係る教科に相当する教科につきましては小学校の教諭等となることができ、小学校で当該教科の授業を担任することができることとなってございます。すなわち例えば中学校の音楽免許を持っておれば、小学校全科の免許を持っていなくても小学校で音楽の授業をできる、そういうことになります。参考といたしまして、中学校教諭免許状を有し、小学校において専科教員として授業を行っている教員の数のデータでございますけれども、平成29年度の数字になりますが、全国では5,704名、専科として行っている教科は音楽、図画工作、体育、以下小学校で教える全教科にわたってございます。東京都では1,687名でございまして、教科は音楽と図画工作がほとんどで、少しだけ家庭がある、そんな状況でございます。

2ページをお開きください。さきに述べました音楽、図画工作、家庭に加えまして、いわゆる英語の教科化に伴い実施いたします英語専科指導教員について東京都の状況を御説明いたします。東京都教育委員会では、小学校における英語教科化に伴い、二つの目的、一つは授業時数増に対応した教員の働き方改革の推進、そしてもう一つは英語指導の充実による教員の質の向上、この二つの目的を実現するため英語専科指導教員の配置を行うこととしてございます。令和2年度の計画では、22学級以上の学級数を有する全ての小学校、114校に配置する予定でございます。「見込」と書いてございますけれども、これは予算積算時点で22学級以上の学校は114校だったという意味でございまして、この4月に実際に各校で学級を編成して、22学級以上の学級を有する学校が114を超えた場合にはその学校全てに配置する、そういう予定でございます。

また、21学級以下の小学校につきましても、非常勤の時間講師を配置することができる予算を確保しておりまして、全ての小学校で授業の時数増に対応することとしております。

活用の例のイメージ図を右下に示しましたけれども、3年生、4年生の外国語活動及び5年生、6年生の英語の授業を英語専科指導教員が対応し、その他の教科を従前どおり学級担任等が教諭するというものでございます。そして、英語専科指導教員には中学校又は高等学校の英語の免許状所持者、あるいは英語検定準1級以上に相当する資格を有する者など英語の指導力を有する教員を充てることとしておりまして、専門性の高い系統的な指導の実現を目指してございます。

3ページをお願いいたします。東京都教育委員会では、小学校における英語教科化に向けてただいま御説明いたしました英語専科指導教員の配置に加えまして、採用面からも施策を実施しております。すなわち教員採用選考におきまして、通常の小学校全科の採用区分とは別に、小学校全科英語コースという採用区分を設けて、英語の専門性の高い教員を募集してございます。この小学校全科英語コースの採用に当たりましては、必要な免許状といたしまして、小学校教諭普通免許状に加えまして、中学校教諭又は高等学校教諭の英語の普通免許状を有していることを応募資格としてございます。この採用区分は平成28年度実施の選考から導入しておりまして、29年度からこの英語コースで採用された教員を学校に配置してございます。配置先といたしましては、英語教育推進校や英語専科指導教員配置校への配置を基本としておりますけれども、現在まだ採用間もない若手でございますので、まずは小学校全科教員としての基礎的な経験を積むことを中心に指導、育成を行っているところでございます。中長期的には小学校の英語教育の重要部分を担わせていきたいと考えてございます。

続いて、4ページをごらんください。小学校教育の専門性向上の必要性についてです。小学校教諭の質の低下が懸念される一方で、国民からのニーズや、あるいは時代の要請に応じまして、学習指導要領の改訂など、小学校教育におきましても専門的な指導内容が増えてきていると思います。資料中ほどの一つ目の■に記載しましたけれども、現在でも専科で対応している音楽や図工などの教科に加えまして、さきに申し上げましたとおり、来年度から学習指導要領改訂によりまして外国語活動や教科としての外国語の新設等が行われるところでございます。

また、二つ目の■に記載しましたが、小学校教育における特色の観点から、現在、中央教育審議会におきまして審議されていると聞いているところでございます。

これらを踏まえますと、小学校教育の専門性の向上が今後ますます必要になると考えておりまして、アプローチとしては二つあろうかと考えております。一つはこのページの下側に記載した図の左側でございますけれども、中学校教育免許状保持者の中から小学校教育の特色を理解した人材を確保していくという方法で、もう一つは図の右側になりますけれども、小学校教員免許状保持者において教授する教科の専門性の向上を図っていく方法かと思います。本日は、図の左側、すなわち中学校教員免許保持者に小学校における発達段階に応じた専門性を持たせる方策につきまして取り上げさせていただきます。

5ページをお願いいたします。教育職員免許法では、所持する校種の教員免許に隣接する校種の免許を申請者の実務経験を生かして取得する方法が規定されております。ただし、このページの冒頭に記載してございますように、中学校教員が小学校教員免許状を取得する場合には当該学校、すなわち中学校において3年間の勤務実績が必要でございます。例えば中学校教員が勤務実績を活用して、小学校教員免許を取得する場合には、現在二つのパターンがございます。このページの下にある概念図をごらんください。一つ目は下から3段目でございますけれども、中学校の勤務経験を持つ教員が12単位を取得するパターン、こちらが一つ目でございます。二つ目でございますが、下から2段目でございまして、中学校の勤務経験を持ち、さらに小学校での勤務経験がある場合には単位の更なる軽減措置が受けられまして、6単位の取得で免許状が授与されるというものでございます。この二つのパターンですが、ともに所定の単位数のほかに当該学校において3年以上勤務することが必要とされておりまして、資料中ほど、上の囲みにございますとおり、当該学校とは文部科学省通知によりまして有する免許状の学校とされており、ただいま申し上げた中学校教員免許状を保持している場合で言いますと、当該学校は中学校になりますので、中学校において3年以上勤務することが必要となるわけでございます。

しかし、概念図の一番下のパターンでございますけれども、中学校教員免許状を持ち、小学校で長く専科教員として活躍してきた者で、中学校での勤務経験がないケースでは、現在は中学校勤務経験がないために制度対象外となってしまう、こういう状況でございます。ここを何とかしてほしいということで提案したものでございます。すなわち、6ページになりますけれども、中学校普通免許状所持者が小学校教諭二種免許を取得する場合に、小学校の専科教員の在職年数を含めるなどの軽減措置を講ずることを提案したものでございます。これにより期待される効果といたしましては2点ございます。1点目が特定の教科の専門性を持った教員が小学校教員の免許状取得の際に改めて児童への指導方法の知識等を学ぶことによりまして、小学校教育に対する専門性、すなわち児童の発達段階に応じた指導力などの向上が期待できるということでございます。教育の質の向上が期待できると思います。例えば長らく小学校で音楽専科として活躍してきた中学校免許のみの教員が小学校免許を取得する上でますます児童理解などの専門性が向上して、質の高い音楽の授業が期待できるかと思います。

2点目でございますが、教員確保という観点から人材の有効活用を図ることができるということでございます。小学校教諭免許状取得者が増えることによりまして、校内の人事配置の面などにおいて柔軟な対応が可能となって、円滑な、あるいは弾力的な人員配置への寄与が期待できると考えております。こちらは人事上の自由度が高まる、柔軟な対応ができるということになります。例えば小学校の音楽専科教員が小学校全科免許を取得することができれば、何らかの事情で学級担任が欠けた場合に、その学級担任の代役として小学校の全科を教えるという対応が可能になるということでございます。この人材の有効活用という点につきましては、内閣府の提案募集の際に複数の府県や政令指定都市等の追加共同提案団体からも同様の意見が多くありましたので、多くの地方公共団体が本提案による要件緩和を望んでいるものと考えてございます。

簡単ではございますが、以上で説明を終わります。よろしくお願いいたします。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。よく分かりました。

それでは続いて、北九州市の太田様から、「一部教科担任制」の導入の取組に係る御説明をお願いいたします。

【太田北九州市教育委員会教育次長】 北九州市教育委員会教育次長の太田でございます。本日は北九州市教育委員会にこのような機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

では、本年度より導入をしております「一部教科担任制」の取組について御説明をいたします。

本市では、平成30年度まで小学校全校で学級担任以外による専科指導、また、一部の学校におきまして、保健体育科、外国語科の中学校教員による専科指導を実施してまいりました。本年度からこれらに加えまして、中学校教員が小学校に異動して学級担任を持つという形で、一部教科担任制を一部の学校──現在16校ほどございますけれども──導入いたしました。本日はこの取組について御説明いたします。

お手元の資料の方が分かりやすいかと思いますけれども、これはある学校の6年1組の1日の時間割でございます。1時間目は6年1組の学級担任が国語の授業を行います。2時間目は5年2組の学級担任が社会科を、3時間目は学級担任以外の専科指導教員が理科を、4時間目は6年2組の学級担任が算数科を、5時間目は学級担任以外の専科指導教員が外国語科を、6時間目は中学校から異動し、6年3組の学級担任である教員が体育科の授業を行いますというような流れになっております。

では、次に、1時間目の国語科を担当しているA教員と6時間目の中学校から異動したB教員が担当する授業についてもう少し詳しく説明いたします。A教員でございますけれども、6年生全学級の国語科の授業を担当します。それに加えまして、学級担任である6年1組の音楽、図工、家庭科、道徳、総合的な学習の時間、特別活動の授業を担当いたします。週29時間の授業がございますけれども、そのうち24時間の授業を本人が担当する。5時間の空き時間というものが生まれてきております。

続きまして、B教諭でございますが、B教諭が担当する授業については5、6学年、全学級の体育科の授業18時間と道徳、総合的な学習の時間、特別活動の授業を担当する。小学校免許がありませんので、音楽科、図工、家庭科の授業を担当することができないというふうになっております。ですから、授業時数につきましては22時間ということで、先ほどの教員よりも少ないですけれども、7時間の空き時間というこの中には、実際には他学年の体育の授業に入ったりとか、あるいは他教科でTTに入ったりというようなことで支援を行っているということでございます。

効果としてはいろいろあるのですが、主なものとしては、1点目としては、担当教科数が絞られるため、教員は教材研究を深めることができる。国語をずっと教えるということですので、それに特化してやればいい。小学校は通常1時間の授業の単位、すごく教材研究を行いますね。ですから、それが3時間、3回やれるということになりますので、改めてそこでも次のことにも関係しますけれども、教科担任の教科では複数回授業を行うことができるため、授業改善につながる。こういった効果が出てきております。

3点目でございますが、空き時間、先ほど5時間、7時間と挙げましたけれども、この空き時間に教材研究や授業準備、豆テストの採点、生徒指導などの時間、こういったものに活用することができております。ということは、当然、放課後も早く帰れる。業務改善につながっているということでございます。

4点目は、学級の枠を超えて授業を行っていきますので、児童を学年の全教員で育てるという意識が高まる。これは何組の子供というよりもうちの学年、6年生の子供であるというような意識が出てきているということでございます。

続きまして、効果ですが、さらに5点目としましては、一つの学級で複数の教員が授業を行うということから、子供の良さを様々な視点から発見できる。A君はということで、1人の担任だけの見方ではなくて、複数入ってまいりますので、こういういいところもあるよねと。この子は、今日、こんな様子だったよねというようなことが言えるということになってきております。

6点目は、児童に複数の教員が関わっているため、児童にとって学習や学校生活などの相談ができる先生が増えている。担任の先生以外にもあの先生にちょっと相談してみようというようなことが実際に起こってきております。

7点目、最後ですけれども、1人の教員が全学級の授業を担当するため、学級間の学習指導の差が少なくなる。ベテランの非常に指導力のある先生と、今若手が増えておりますので、どうしてもその先生との授業力の差というものが出てまいりますけれども、これによってそういったものが少し解消されている。こういった効果が見られております。

課題といたしましては、まだまだ始めたばかりですので、今から新たなものが出てくるかと思うのですけれども、まず1点目としては中学校から異動した教員が教育課程や児童の発達段階など、これを理解するのに時間がかかる、戸惑うということがございます。

2点目は、学級担任制では、主に学級担任が学級の時間割というのを作成いたします。学級の枠を超えて授業を行ったり、学級担任以外の教員が授業を行ったりしますので、学年全体で時間割、もっと言えば、学校全体で時間割を作るということになります。小学校はこれになれておりませんので、非常に戸惑いが出て、こういったものへの不安、お休みが出たときにかなり時間割を操作しなくてはいけないというようなことで、これは中学校では当たり前のようにやっているのですが、経験がないので、これでちょっと戸惑っているということがあります。

それと、これを当初、導入した段階では、自分の学級に他の教員が入って授業するということも、大分薄らいできているかなと思ったのですが、これだけたくさんの人が入ってくるというのは経験しておりませんので、かなり抵抗感がございました。自分の学級という意識が非常に強いということがあるのではないかと思われます。

3点目は、中学校から小学校に異動した教員が小学校の免許を取得していない場合、担当できない授業があるということでございます。

こういったことで、本市では現在中学校教諭の小学校免許取得率が12%程度という状況です。より円滑に仕組みを継続していくためには、中学校教員が小学校の免許を取得するという人が増えていくのが必要かなというふうに感じております。それに合わせまして、より柔軟な免許制度に改められないのかなというのが学校現場から正直な声として上がってきております。先ほどもちょっとありましたが、自習のときに監督は入れますが、授業になかなか入れないというようなことも学校現場から声が上がってきていると。

以上で本市の取組については説明を終わります。どうもありがとうございました。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

続きまして、玉川大学の高橋様、髙野様から小中免許の併有についての取組に係る御説明をお願いいたします。

【高橋玉川大学教師教育リサーチセンター長】 玉川大学教師教育リサーチセンター、高橋でございます。本日はこのような機会を頂きまして、誠にありがとうございます。

本来であれば、今夏の議題のような重要課題につきまして大学としての取組の内容報告でございますので、学長が報告すべきところではございますが、年度末により調整がつかなかったため、全学体制で取り組んでおります組織として教師教育リサーチセンターがございますので、センターから御報告をする次第でございます。

頂いた課題につきましては、義務教育9年間を見通した養成、採用、研修、免許制度、人事配置の在り方について、ということでございますので、養成大学の立場として本学の小中免許の併有についての取組を御報告させていただければと思っております。

本学の教員養成の特徴につきましては、4年間一貫した支援体制にて養成しているということ。それから、全学体制による教員養成支援をしているということ。この全学体制の取組の組織として教師教育リサーチセンターがございます。さらに、単位の実質化による半期16単位キャップ制の中での教員養成を行っているということが大きな特徴かと思います。

社会や教育現場の要請に応えることを踏まえ、より質の高い教員養成を目指して、免許取得に対して様々な基準を設け、運用上の工夫をしながら対応しているところでございます。本学が取り組んでおります小中免許の併有の考え方につきましては、小学校教育を深く理解して中学校の教科の専門性も踏まえた教員、もう一つにはより高い中学校での教科の専門性を備えて、小学校教育も理解した教員を養成するということを目指しての内容でございます。

それでは、具体的な取組内容につきまして、課長、髙野より御報告させていただきます。

【髙野玉川大学教師教育リサーチセンター教職課程支援室課長】 髙野でございます。よろしくお願いいたします。

資料1-3に基づきまして御説明させていただきます。まず、本学で取得できる教育職員免許状ということで、本学では小学校免許を主として取得できる教育学部と、中高の免許を主として取得していく文農工芸術学部と大きく二つに分けて御説明させていただきたいと思います。

まず教育学部につきましては、教育学科と乳幼児発達学科がございますが、乳幼児発達学科につきましては、幼保の保育者養成をメーンとしており、今回のテーマからは唯一外れる学科になっております。教育学科につきましては初等教育、社会科教育、保健体育という三つの専攻に分かれており、初等教育の専攻で小学校を主として取る学生がおります。その学生が社会科教育、保健体育で主として取る中学校免許、社会、保健体育のいずれも二種免許ということを前提とはしておりますが、サブ免許として取得するような履修モデルを組んでおります。

それとは別にダブル免許プログラムということで、他学科履修により免許を取得するということも選択肢として用意しております。これにつきましては様々な条件をクリアしなければならないのですが、詳細については後ほど御説明したいと思います。

もう一方の文農工芸術学部につきましては、それぞれ資料にお示ししたような中学校、高等学校の免許を取得することを主としております。それ以外に小学校二種免許について取得できるプログラム、ダブル免許プログラムを用意しております。

免許の取得に当たっては、先ほど高橋の方からも触れられましたが、通常の学期では16単位という履修上限を設けております。そのほかに夏休みにサマーセッション、春休みにウィンターセッションということで、それぞれ6単位修得できる特別学期を設けております。こちらにつきましては1週間1単位で、単位の実質化を遵守ということで取り組んでおりまして、それぞれのサマーセッションにつきましては2週間で1期、それを3期、3科目とれるということで、プログラムを組んでおります。

ダブル免許プログラムという構想なのですが、小中免許の併有を推進するために始めております。こちらにつきましては入学後に希望者を集めてガイダンスを実施して、希望者が申請してくるというような仕組みになっております。前提としては、学科の教職課程の受講条件を設けておりますので、そちらをクリアした学生が第一条件になっております。その次にはダブル免許プログラムの受講条件というものもございまして、こちらについてもクリアした者が受講できると。最後に、免許種によっては定員を設けておりますので、定員の範囲内で受講しているというような状況です。

ダブル免許プログラムにつきましては取組としてはかなりさかのぼるのですが、2006年度、通信教育課程で小学校二種免許を取得するプログラムを開始したのが始まりです。こちらにつきましては教育学部以外で中学校一種免許状を取得する学生を対象として、3年次から2年間掛けて履修するということで開始いたしました。2014年度からは先ほど御説明いたしました通学課程で設置した特別学期、サマーセッション、ウィンターセッションを利用して、小学校二種免許を取得できるプログラムをスタートしております。改組があるところから順次ということで、2014年度から芸術、2015年度から文学部の英語教育学科、2017年度から国語教育学科、今年度より農学部と工学部を追加して、これをもちまして2006年度から行っておりました通信教育課程によるプログラムは全部通学課程の特別課程でやる方式に移行しております。

先ほどのスライドは中学校免許を主として取る学生が小学校二種免許を取得するプログラムのお話でしたが、この8ページ目のスライドにつきましては、小学校一種免許を主として取得する教育学科の学生が中学校の二種免許を取得するプログラムの話になります。まずスタートといたしましては、2016年度義務教育学校英語専科教員養成プログラムということで、小学校の現場で外国語が教科化される前提で、それを見据えまして、英語の中学校二種免許を取得できるプログラムを開始いたしました。こちらにつきましては特別学期を利用してスタートしております。今年度の入学生からになりますが、今度は教科担任制の議論がなされる中、その導入を見据えてということで、教科の高い専門性を有した小学校教員の育成、養成ということを目標といたしまして、中学校二種の国語、数学、理科、高等学校一種の情報を取得できるプログラムを開始しております。先ほどの英語につきましては、今年度の卒業生で初めて両方免許を併有する学生が卒業する予定になっております。

こちらにつきましては、小中免許併有のために追加履修が必要な単位数ということで一覧表にさせていただきました。小学校一種免許を取得するためには法令で定められている59単位を履修ということで、玉川大学は科目の構成の都合上60単位になっておりますけれども、その他卒業要件として必要な単位が40単位ございますので、小学校一種免許のみ取得して卒業する場合には100単位必要になっております。それに加えて、今ここに挙げられているような単位数を修得することになります。本学、16単位キャップ制度で、4年間2学期ずつ履修していきますので、4年間で128単位履修可能ということなので、通常の学期のみで小学校免許と中学校二種免許の取得ができるような仕組みになっております。このたび免許法及び施行規則、認定基準等いろいろな改正に伴いまして、共通開設できる科目が増えたことで以前の旧法のときよりも単位数を少し削減することができました。

中学校一種免許を取得するに当たっても法令で定められている59単位なのですが、それ以外、小学校二種免許25単位を追加履修しなければなりませんが、その他の学位プログラムの基礎となる科目と卒業要件として必要な単位が異なるため、こちらにつきましては特別学期、128単位の外で履修するという方法をとっております。

今度は受講条件というお話になりますけれども、小学校二種免許状につきましては、累積GPA、資格・検定の取得、指定科目の履修等、それぞれ条件を付けておりまして、各学科の中学校免許取得を継続するに当たっての条件をクリアした者のみが継続できるという条件を付けております。教育学科のダブル免許プログラムにつきましては、小学校免許を主とする学生のうち1年次の修了時に累積GPAが4点満点の3.20以上という学生がこのプログラムに参加できます。

英語につきましてはそのほかにいろいろな資格や検定の一定以上のスコアを有していることであるとか、こちらに書いてあるELFというのは本学の英語のプログラムの名称でございまして、科目名につきましてもELF101、102、201というような形で4単位科目を設定しておりますけれども、ELFというのがイングリシュ・アズ・ア・リンガ・フランカということで、共通語としての英語という方針でやっておりますが、こちらの201以上を修得するということが条件になっております。

国語につきましては日本語運用能力テストと累積GPAによる学科内の順位まで指定しております。

数学につきましては数学検定の合格と数学の基礎的な科目の修得、理科につきましてはそれぞれ理科の検定、情報につきましては一番いろいろな条件があるのですが、これらをクリアした者のみが4年間で免許を併有していくということになっております。

本学において、こういう仕組みを整備したことで、2015年度卒業生では17%程度だった小中免許の併有の率が今年度の卒業予定者においては38%ということで倍増しているような状況です。実現に当たっては、教育学科においては特にカリキュラムを設定した後で履修モデル、時間割編成の工夫ということで、4年間を見据えたプランニングをした上で履修させております。学位プログラムとの相当性というところにつきましては、いろいろなお声がございますが、教員養成の学科と割り切ってカリキュラムの「定食化」を図っております。その他の学科の小二免履修につきましては、特別学期という外枠を利用して、学生の自由意思でやるというよりは組織的に履修できるように計画しております。

今後の展開なのですが、2021年度入学生より、今、芸術学部で改組を申請準備中ですので、こちらが承認されましたら、音楽と美術の小学校二種免許を追加していくことを計画しております。あと、2020年度から国語教育学科の卒業生が加わってきますので、小学校二種免許の取得者も増えていくという予定でございます。来年度、再来年度ぐらいまでは増加傾向にありまして、ひょっとしたら免許取得者の50%ぐらいが小中免許を取得するという状況が実現するかもしれません。そういう見込みになっております。こちらにつきまして教職課程受講者は免許取得だけではなくて、実践的指導力を身に付けるために社会貢献であったり、一般教養の修得であったり、学校体験活動の時間確保などやらなければいけないことがたくさんございます。ですので、小中免許の併有をより推進するためには法令で定められた最低限の単位を履修するだけでいいようになると有り難いかなと思っております。先般、新聞紙上でも拝見しましたが、共通開設の拡大というところは非常に有り難い取組になるかと思います。新法移行で、質問回答集等で教育課程編成論は履修しなければならないと解釈できるような文言がある、ということで、他大学にも聞いて回って、安全策で履修させるということでやっていますけれども、それによって本当は2単位、もうちょっと少なくできたかなというところもございますので、いろいろな解釈で履修単位数が増やさなくならないような、極力減らしていただければということを望んでおります。

私の方からは以上です。ありがとうございました。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。皆さんの御意見を頂きます前に前回も出していただきましたけれども、論点例の確認を事務局の方からお願いいたします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 お手元の資料の1-4をごらんいただければと思います。教科担任制の導入に係る論点例ということで、前回の養成部会の会議のときに出させていただいた論点例でございます。本日、北九州市、東京都、それから玉川大学と、3者から、それぞれの観点での御説明をいただきましたので、論点との関係で少し整理しておきたいと思います。

まず、東京都、北九州の方からそれぞれ専科指導、あるいは小学校での学級担任制を導入していく上で、小学校と中学校の両方の免許の併有を促進していくことが望ましいというところの御発表がございました。まず1の養成段階のところでございますけれども、養成段階で小学校と中学校の両免を取得していくようなカリキュラムということで、玉川大学の方からも御発表いただきましたけれども、その際に、やはり両免取りにいきますと、非常に修得単位数が増えてくると。特に2ポツにございますように、一般学部の出身者につきましては、なかなか御自身の在籍している学科では小学校の免許は取りにくいという状況にありますので、ここの課題をどのように解決していくのかというところが、それぞれから出された課題だろうというふうに思います。

それから、3ポツのところで現職教員のところに言及してございますけれども、まさに東京都の方から御提案いただきましたように、現職の教員の方が隣接校種の免許状を取得する場合の特例というのは、別表第8というものが免許法の中にございますけれども、ここを更に弾力化して、もう少し現職教員が小学校の免許を取りにいくことができないかという御提案を承っておりますので、この点についてどう考えるかということで、東京都の提案はこの3ポツにまさに掛かっている部分ということになってまいります。

それから、1ポツのところをもう一度ごらんいただければと思うのですけれども、隣接する学校段階を見通した幼児児童生徒理解や指導力を身に付けられるような教職課程のカリキュラムというふうにございます。まさに北九州市の御説明にございましたように、中学校の体育の免許だけを持っている先生が小学校で学級担任をされていると。これは平成28年度に行いました省令改正で、中学校免許で専門の教科以外に道徳、特活、総合的な学習の時間を持てるように改正してございますので、まさに学級担任が持てるというふうな改正をしてございます。この制度を利用する形で、北九州で今取り組まれているところでございますけれども、お話の中にも出てまいりましたように、中学校免許しか取得しておらないのですが、免許制度上は小学校まで学級担任ができてしまうという状況ですので、これに対応する形で、養成の方についても見直す必要がないのかどうか。まさに隣接する学校段階を見通したような児童生徒理解、指導力というものを育成していく必要がないのかどうか。こういった問題提起であるというふうに思いますので、北九州市の御発表というのはまさに1ポツのところにもまた掛かってくるものであるというふうに理解してございます。これの論点以外のところにつきましても御議論いただければと思いますけれども、取り急ぎ3者の御説明について論点を整理させていただきました。

【加治佐部会長】 それでは、以上、御説明いただいた内容に係る御質問も含めまして、御意見等お願いいたしたいと思います。いずれも非常に分かりやすい御説明だったと思います。いかがでしょうか。

じゃ、木村委員からお願いいたします。

【木村委員】 ありがとうございました。大変分かりやすい説明で助かりました。

理解を深めるために幾つかお尋ねしたいことがあります。東京都の説明の5ページです。今、説明があったところの内容なのですが、5ページの一番下、小学校の専科教員をしていながら、中学校の経験がない。こういうパターンの先生というのはどういう立場なのか。簡単に言うと、中学校の免許を持ちながら、初めから本採用として採用されているのか、それとも講師等の立場で採用されているのか、ここをお伺いしたい。

北九州市の説明にも一つだけ。中学校免許の専門性が重視されていて、中学校免許を基に、小学校免許を取得させていこうという論理なのですけれども、北九州市さんは、小学校の教員免許の専門性というのをどのように考えておられるのか。小学校の先生の倍率が低いということなので、中学校の先生方が入るというのはよく分かりますが、その辺りの認識をお伺いしたい。

最後ですが、私は小中学校の免許併有がいろいろな面で有り難いというふうに思っています。そういう意味で、大学の卒業時にできればいずれの大学でも免許の敷居というのを下げていただいて、併有できるというのを原則にしていただければと思いますが、この辺り、どちらからでもいいのですけれども、何らかの御指導をいただければというふうに思っています。

以上です。

【加治佐部会長】 3点ですが、まず東京都からお願いいたします。

【浅野東京都教育庁人事部長】 東京都でございます。御質問の趣旨は、中学校の免許しか持っていないのに、小学校でのみ働いているというのが違和感というか、不自然さを感じるので、それは何でそんなことになっているのかということの御質問かと思いました。確かに免許法の大原則から言えば、小学校で勤務するのだから、小全の免許を持つということが基本的な考え方なのでしょうが、東京都の場合ですと、相当前からこのやり方をやっておりまして、小学校のいろいろな教科の中で比較的実技系といいますか、技術が必要な音楽、図工、家庭、こういったものについては、小学校全科の先生ももちろんできることは当然承知しておりますけれども、そういった技術を教えるにはよりそれを専門的にやってきて修得してきた教員の方が教えるのがいいのではないかという考え方が根底にあります。つまり中学校の音楽免許を持っている人間が、小学校で音楽のみやるという方が、実は音楽の専門性という点ではいいのではないかという、そういう考え方がございます。なので、先ほど申し上げたように、小学校では東京の場合には、音楽、図工はかなりの割合で、こういったタイプの先生が専科教員として勤務しています。免許法上の例外規定を一般化して使っているのは何か変じゃないかと言われればそういうことになってしまいますけれども、そういった考えでやっておりまして、したがって、正規教員でございます。

【加治佐部会長】 分かりました。

【太田北九州市教育委員会教育次長】 北九州市でございます。小学校の専門性ということでお話がございました。入学したての小学校1年生が座っている姿をごらんになったことはございますか。恐らくこの机に頭がちょっと出るかなというぐらい。ところが、6年生になりますと、私より大きな子もいますね。そういった6年間の大きな成長、発達段階というのをずっと見てきているということから、教育課程、そして、学び方というようなところについては、すごく専門性というのは発揮されています。私どもは、教科自体の事細かなものについては中高の方が専門性があるというふうに思っておりますけれども、子供の発達段階に基づいた児童理解ということについての専門性はすごくあるのではないかな。そういったことから、子供に寄り添う指導である、授業ということができているということはありますね。ですから、私はよく言っていますが、小学校は人を信ずることを教えてくれますね、最初に。そういう段階で中学校の先生、高等学校の先生は学ぶことがたくさんあるなということは常々申しております。

以上です。

【加治佐部会長】 3点目は玉川大学にお答えいただいた方がよろしいですかね。

【木村委員】 はい。

【加治佐部会長】 それでよろしいですか。

【髙野玉川大学教師教育リサーチセンター教職課程支援室課長】 ありがとうございます。免許を取得しやすくというところで、今一番現場でハードルが高くなっているのは、教育実習に2回行っていることです。春に主とする免許、4週間、秋にサブ、ダブル免許2週間ということで行っていますけれども、そこの受け入れのマッチングが非常に現場の方もお忙しくて、受け入れできないとかいう状況もあります。今回、先週の教育新聞に載っていたところでは、教育実習の緩和は見送ったというようなことは拝見しております。ただ、それをやってほしいとも、実は現場の方も思っていなくて、やはりそれぞれの免許の専門性なりというところがございますので、今大変だと申し上げましたが、大変ではあってもやらなければいけないかなと思っています。ちょっとお答えになっているか分かりませんが、教育実習が課題ですということで申し上げます。

【木村委員】 最後にいいですか。

【加治佐部会長】 どうぞ。

【木村委員】 現場サイドで私どもが願っているのは、今の免許法の下で改革を進めていくとすれば、是非養成の段階で複数の免許が取れるような工夫をしていただきたいということと、もう一つは、現場のキャリアを重視していただきたい。いろいろな面で、現場のキャリアを重視した複数免許の取得へのステップの道筋を作っていただきたい。大きくはこんなふうに思います。済みません。失礼いたしました。

【加治佐部会長】 分かりました。

それでは、喜名委員、お願いします。

【喜名委員】 東京都の小学校でありますので、先ほどの東京都の小学校の専科のことについて少し補足させていただきますと、本校は音楽と図工と英語と家庭科の専科教員がおります。そのうち音楽と図工については中高の免許でありますので、それのみしか指導できないというか、そのことを担っております。通常、東京都はそういう制度がずっと長くあるので、何も違和感はありませんし、専科ということについての考え方ができているのかなと思います。逆にこういうお話を地方の校長先生とお話しすると、とても信じられないというか、学校経営上難しいということをよくおっしゃいます。教員免許、中免しか持っていない、いわゆる全科でない先生が小学校にいるということは学校経営上厳しいのではないかということをおっしゃいますけれども、東京都はそんなふうに全く思っていないというところがあります。

また、東京都の方から英語のお話がありましたけれども、本校も昨年度から英語専科の配置を受けております。とても有効でありますし、専門性が高い教員、特に語学ですので、本校は学級数が多いので、5、6年生の英語のみでありますけれども、とても助かっています。そして、3、4年生については先ほど御紹介がありましたが、3、4年生のそれぞれの担任の中で英語の得意な者がその学年、全部、授業をして、その分を講師で、うちで言えば算数をやっていますけれども、講師で宛がって、授業時数が増えないようにしている、そんなことをやっています。

英語の専科については中学校の英語の免許を持っている先生が入ってきて指導するということもあるわけですけれども、その中で先ほど来お話があるように、中学校の免許があるからといって、教科ではもちろん指導できるのだけれども、小学生の児童理解というのでしょうか、そういうものが十分でないと、なかなか指導が難しいということを感じるところであります。時々、中学校の数学の先生に高学年の算数を教えてもらうなんていうこともありますけれども、やはり専門的な指導の仕方はできたとしても個に応じる指導とか、細かいところまで見ていくということが難しいのかな。そういう意味では先ほどの免許を併有するということはとても大事なことでありますし、その方が特にこれから義務教育学校が増えていく中で、いろいろな意味で小中両方の免許を持っている先生が増えていくことは望ましいことだと思っています。

例えばですけれども、小中という免許の在り方ではなくて、義務教育の免許というような形にして、その中で、例えば前期の部分の免許と、更に専門性をプラスアルファした後期課程の免許というような形に養成の段階でもできていけば汎用性も高まるのではないかなと思います。

先ほど来、小学校の教員においても専科の専門性が必要であるというお話がありましたけど、全くそのとおりで、教員のライフスタイルの中でも専科のそれぞれの研究教科という、当教科だけではありませんけれども、研究教科を持って、そのことをずっと教員をやっている中で研究を続けてきているので、そういうスタートの部分からの専門性を高めておくということも必要ではないかなと思います。これからの専科制の話が増えていく中で、どうしても課題になるのが免許の話だと思いますし、中学校の免許を持って、その教科の免許を持っているから、すぐに小学校の中で十分に指導ができるかというと、そうでもないというところが課題ではないかなと思います。

以上です。

【加治佐部会長】 分かりました。

それでは、川越委員、お願いします。

【川越委員】 免許とはちょっと離れると思いますが、人事配置の在り方ということがございますので、その点について感想と、それから質問1点、お願いいたします。

東京都の方で小学校の英語に関して専科教員と、それから講師で対尾硫黄というお話がございました。小中の接続という部分で、小学校と中学校をどう接続するか。特にこれから教科として英語を学んでくる子供たちを中学校でどう受け入れていくかというのが中学校の方では一つ大きな課題になっています。現在、外国語活動が行われていて、外国語活動のプラス面として、子供たちが英語のおもしろさを体感して中学校に入学してくる。英語を使ってコミュニケーションすることのおもしろさをしっかりと受け止めて中学校に入学してくる。それから、音声面できちんと育てられて中学校へ入学してくる。そういったメリットがございます。一方で、小学校から中学校に入る段階で既に英語に対する苦手意識ができる、あるいは完全な英語嫌いで中学校に入学してくるということがございます。これが外国語活動から教科というふうになって、文字が入ってくるなどとなったときに、どんな形で中学校に入学してくるのか。その子供たちをどうやって受け止めていくのかというのが一つ大きな課題として中学校にございます。その中で、小学校の専科教員を配置していただける。それから、学級数の基準に行かないところには講師で対応していただける。そういった専門性の高い先生たちが配置されて、教科としての英語が行われるということは大変すばらしいことだなと思います。財源の壁というのはあると思いますが、できましたら、それこそ全国でこういった取組が進んでいけばいいのかなというふうに思っているところです。

ただ1点、講師で対応ということでありましたが、多分、東京は1,300校ぐらい小学校があると思うのですが、学校規模からいって、ほぼ9割が講師で対応というふうになったときに、講師の確保が問題になるのでは。今、中学校の全国の校長先生方に聞くと、ともかく講師が足りない。それで、学校によっては、地域によっては、教頭先生、副校長先生が授業を持つ。場合によっては校長先生も出動する。そういう状況がございます。そういった状況がある中で、講師対応というふうに考えたときに、これは質問なのですが、東京の場合、9割方、講師で対応しますよといったときに、講師の確保の見込みといいますか、見通しといいますか、そこをもし分かれば教えていただきたいというのと、外国語、英語ということになりますと、当然、免許を持っているのは中学校又は高校の英語教員もということになり、講師の奪い合いの可能性もあるのかな。そこのところが心配ですが、そこのところを教えていただければと思います。

以上です。

【加治佐部会長】 それではお願いいたします。

【浅野東京都教育庁人事部長】 東京都でございます。講師で対応するときの講師の人員の確保についてはどうなのかということの御質問だと思います。確かに時間講師の確保というのは、年々厳しくなっている現状がございます。正規教員の採用選考の倍率が皆様御案内のとおり、全体的に低下しておりまして、教職に就きたい人にとっては正規教員への道が比較的なりやすいというのと、反対の現象として、正規教員に残念ながらなれなかったけれども、教職をやりたい、時間講師等やりたいという方が徐々に減っているという現象がございますので、それは大きな課題だと思っています。

一方で、今申し上げたような講師の活用というのも今後施策としてはどんどん進めていくわけで、そのギャップをどう埋めるかということに関して今私どもが考えているのは、年齢の高い方の活用です。定年で引退する年齢になった後でもまだ体が元気で教職をできるのであれば、今後も引き続き学校教育に頑張って参画してほしいという呼び掛けをしております。60歳で定年後は、また、再任用も終わって65歳を超えてもまだ体が動くし、学校の仕事をやってもいいよという方については、東京都では70歳まで働こうキャンペーンというのを始めているのですけれども、70歳までは体が動くのだったら、是非学校で講師として、また臨時的任用教員として働いてもらいたいということでお願いをしているところでございます。

逆に言うと、そういったところに活路を見出すしかない状況ですので、全体的には教員免許保持者が増えるといいなと思っているところでございます。

以上です。

【加治佐部会長】 中高の英語の先生を、小学校への活用の可能性みたいなことも御質問されたように思いますが。

【川越委員】 それはいいです。

【加治佐部会長】 それはよろしいですか。分かりました。

それでは、この後、田中委員、竹原委員、立田委員、北神委員、古沢委員の順でお願いいたします。田中委員、お願いします。

【田中委員】 小学校の教科担任制をメーンにした議論であることは承知しているわけですが、私、幼稚園の立場で言いますと、特に私学の立場で言いますと、教員という、例えばこれが幼であろうと、小であろうと、中であろうと、それの資質という部分と幼稚園で行う教員の資質というものをどこで育成するのかというのをそろそろ整理してもいいかな。ある意味、私の立場で言いますと、教員免許を持っている人を採用して、現場で担任はすぐ持つわけじゃないですけど、数年間、現場で育成した上で免許を授与できて、担任を持っていく。正直な話をすると、大学で免許を持った人がいい先生だとは全然思えない。逆にこの人いいなと思う人を採用した上で育成するという発想に、どちらかというと変えていきたい。現実にはそういうことをしたこともある。となってくると、現場の中の何年間かが例えば基礎免許としての教員プラス幼稚園免許を発行する場合の設置者の判断の中で優遇されていくとかという、この形をとるということは、例えば小中の先ほどの例なんかでも中学校免許は持っているけれど、小学校の現場の問題というのは行かないと分からないですね。やってみないと分からないですね。そのことが小学校免許を持ったから分かるのかと言われると、私は非常に疑問だと思います。基礎の部分があって、様々なところに行ったことによって、それを身に付けるという、こういう複数の線というものを考える時代だろうかなというふうに思いました。

以上です。

【加治佐部会長】 免許状の根本的な在り方を考えさせる御意見だと思います。

それでは、竹原委員、お願いします。

【竹原委員】 教育委員会・大学の試みを聞かせていただき、ありがとうございます。その中で中学校の先生が小学校で教える場合、児童の理解が足りないのではないか、という課題があるという話が出ました。そのためには教員養成段階で子供の発達を幼児期から18歳までを考え、各段階の基礎的な児童生徒理解を共通に学んでおくということが大事なのではないかと思います。中学校の免許だから中学生のことだけを見ればいいのではなくて、その前後の接続のことも考えながら、子供への対応、発達に応じたコミュニケーションを考える必要があるのではないでしょうか。

教科の方もそうですが、英語の先生が高校の免許、中学の免許を持っていたとしても、小学校の英語教育でどう学び、さらに社会に出て世の中でどう使われるかという見通しを持ったうえで、免許を取る必要があると思います。中学校・高校の教科書だけが教えられ、満点の答案が書けたとしても、それが子供の小さいときからの学びとどうつながり、社会に出てどう生かせるかということが重要なのではないでしょうか。今までの教員免許では、中学校や高校だけが教えられればいいという発想に近かったのではないかと思いますので、改めて接続の重要性を考える必要があると思います。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

立田委員、お願いします。

【立田委員】 小学校の教科担任制は、今後の小学校教育にとって大変大切だと思いますし、また、1人の教員が複数の学校種の免許を持つことについても義務教育9年間の一貫性や、小中学校の連携など、様々な点でメリットが大きいと考えます。一方で、どうしても教科担任制のことが話題になると、近年の小学校の教員採用試験における倍率低下の問題、要するに、小学校の教員が足りないということと一体的に語られてしまうことがあり、それに対して懸念があります。私が勤務する横浜市では、教科担任制のことを教科分担制と呼んでおり、一部の小学校でのモデル実施の段階ですが、まだまだ小学校の現場全体としては、担任が1日丸ごとクラスの子供に関わる、その良さへのこだわりがあるようにも思われます。まずは教科担任制の良さが十分に学校現場に伝わっていかないと、そこが不十分だと、小学校の教員が足りない分を中学校の免許保持者で補うのかというような話になりかねないので、先行事例などを踏まえて、教科担任制が小学校の教育の充実につながるという、そこを前面に押し出していく必要があるのではないかと考えます。

【加治佐部会長】 よろしいですか。ありがとうございます。

それでは、北神委員、お願いします。

【北神委員】 発表ありがとうございました。行政の方のお二人に3点ほどお伺いしたい部分があります。一つは北九州市さんが取り組まれている一部教科担任制の中で小学校の教員については、特定の教科を自分の専門という形で深めていくという仕組みが採られていますが、その先生は、同一校に勤務中は、例えばこの例で言うと国語を担当されている6年生のA先生は、同一校ではずっと国語を担当されるのか。異動する場合も国語という形の専門性を持って異動するというような形を人事配置上お考えになられた取組なのか。そこをまず教えていただければと思います。

【太田北九州市教育委員会教育次長】 専科を導入する場合に、必ず今言ったような御質問が学校現場から出てきます。なぜかというと、その先生がその教科を教えるのはいいのですが、教えない教科が出てくるというようなことがございます。今回、こういった形を16校入れましたのは、とにかくいろいろな教科をいろいろな先生が教えるということを大事にしております。ですから、まずは国語が得意な先生は国語、社会が得意な先生は社会をやって、ただ、それだけだといけませんので、2年目はちょっと変えていただく。特に小学校では国語と算数の授業がすごく多いので、これは基本的には身に付けていただく必要があるのではないか。そういったことは考えています。人事配置上で申し上げると、私も人事の担当をしておりましたけれども、なかなかそれだけで人事というのは動きませんので、総合的なものでやっていきますので、まだまだそこは難しいかなというのが正直なところです。

以上でございます。

【北神委員】 ありがとうございます。

2点目は、東京都の場合、専科教員で配置される。北九州の場合は一部教科担任。その先生の育成の問題で考えたときに、研修という仕組みの中で、その先生たちは専科教員として育てていくのか。小学校教員として育てるのか。そこら辺りの研修のプログラムの連携みたいなのは行政サイドとしてはどうお考えなのかというので、お二人にお伺いしたい。

3点目は、中学校の免許を持っている方に、小学校の二種免を取らせるという形で、今、東京都さんの方から単位の軽減という御提案がありました。そのことに関連して、もう一つ、この部会でも御報告、承認されたように、小学校資格認定試験を、もう少し試験日程も緩和して、内容も精選していこうという形で、本日、報道発表されましたが、例えば小学校資格認定試験をもっと有効に活用していこうみたいなことを行政サイドとしてお考えになるようなことはあるのか、ないのか。そこら辺り、御意見を頂ければと思います。

以上、2点です。よろしくお願いします。

【浅野東京都教育庁人事部長】 東京都でございます。中学校免許のみで、小学校で専科教員として行っている音楽の専科教員の育成を、小学校教員として行うのか、もともとの中学校、どっちでやるのかという、そういう御質問だと思いました。先ほど現状を申し上げたとおりでありまして、入都するときの資格は音楽でいいますと、小中共通の入都資格で採用しています。免許は中学校免許を持っていてください、配置は小か中か、どっちかですというやり方でやっていますが、実際上の配置は、小学校の方に配置される方が多いです。入都資格はそうなので、長期的に本人の希望等によって、小中間の校種移動があるかと言われれば、理論上はあり得ますが、実際はそんなにないです。1度小学校に配置された方は比較的そのままずっと小学校で勤務される方が多いので、御自身の免許状は中学であることは当然認識されていますけれども、小学校でずっとやってきてこれからもやっていくのだろうという認識でいらっしゃる方が多いと思います。したがって、そういった意味で、今配置されている学校の教員として育成していくという考え方でございます。

【太田北九州市教育委員会教育次長】 二者択一のような考え方ではなくて、本市は、実は人材育成プログラムというのを作っておりまして、異校種を経験させよう。特に10年未満の先生方については3から4校経験していただこうということで、今動いております。そういった中で、どうしても小学校は今不足しておりますから、小学校から中学校に行くということは少ないですが、何人かは毎年異動しております。ですから、異校種を経験することによって、先ほどお話も出ていましたけど、発達段階、ずっと変わってくるよねということを小学校から逆に中学校を見てもらう、中学校から逆に小学校、ずっと上ってくるのを見てもらうというような、いわゆる教育する者、教科を教える者、そういった者として大事な資質をそこで身に付けていただきたいということが一番です。

以上でございます。

【加治佐部会長】 分かりました。

【北神委員】 小学校資格認定はどうでしょうか。

【加治佐部会長】 そうですね。3番目の質問ですね。

【浅野東京都教育庁人事部長】 もう一つ、小学校教員資格認定試験のことについてということでございますけれども、小学校教員資格認定試験は、小学校教員の免許をもっと取らせるような緩和の方向といった政策、と思うのですけれども、私どもの立場で言いますと、小学校免許を持っている方が世の中にもっといっぱいいてほしいというのが基本的な認識です。採用選考でもそうですし、あと時間講師、臨時的任用教員、その他いろいろなところでも教員免許を持っている方がだんだん少なくなってきている実感が肌感覚としてございますので、とにかく免許を持っている方が世の中にたくさん出てほしいというふうには思っているところでございます。

【太田北九州市教育委員会教育次長】 当然、二種免という話、先ほどから挙がっています。資格認定試験、数多く免許を取らせるにはどうしたらいいのかというのは、当然そうなので、私も実は小中高と一種免を持っていますが、大学のとき、単位数が非常に多くて苦労しました。当時は教員になろうという学生、一般の大学でも結構多くおられました。今は正直申し上げまして、教員養成系に行く学生の中でも免許取得が難しいことについて、どうなのかなという学生さんも増えてきているというのが実情ではないか。そういった中で、現在ある免許法の中で、私は、臨免とか、もう少し特別免許状とか、そういったところも活用できないのかなというのを思っております。というのは、私ども、政令市になると免許授与権限がありません。ですから、いつも県教委の方に申請して、県の方で検定してもらって、そして、免許を頂く。政令市には給与等の権限が移譲されましたけれども、これはそのままになっていますので、お話を伺うと、特区では少しできるということも伺っていますが、なかなかそれが出ないので、そういったところも少し窓口としてあるのではないかなという気はしております。

以上です。

【加治佐部会長】 では、古沢委員、お願いします。

【古沢委員】 ありがとうございます。私も小学校の教科担任制については特に高学年はメリットがいろいろな意味で大きいのではないかと思います。また、教員確保が大変難しい現状の中で、小中の免許の併有のハードルを下げることは必要な状況なのかなと思います。ただ、本来、そのためには教員養成課程を見直しすることが不可欠で、小学校の各教科の指導の質というのを確保していただきたいというのは強く思います。

その上で幾つか質問なのですが、東京都の方からの要望として小学校の専科教員を務めた方が中学校での経験がないため、小学校教員の免許状を取得しづらい状況というのを指摘されまして、私もこれを知りませんでしたが、どのような理由で中学校での勤務経験がある方と区別しているというか取りづらい状況があるのか。文科省の方かもしれませんけれど、お聞きしたいなと思いました。余り想定されていないのかもしれないですけれど、その辺の事情は分かりづらく思いました。

それから、同じ表の中で、中学校の教諭の方が免許を取得するために、大学の必要単位、12単位ありますが、この中には小学校の各教科の指導について履修する必要があるのかどうかということを、理解不足で済みませんが、お聞きしたいと思います。

それから、細かいことで恐縮ですが、北九州市の例の中で、全学級の国語を担当しているA教員という方が音楽、図工、家庭科なども担当されていますが、この方はどのようなくくりというか、免許を持っていらっしゃる方なのかなというのをお聞きしたいと思いました。

以上です。

【加治佐部会長】 では、二つ、お願いします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 最初の制度のお話二つにつきまして御説明申し上げます。参考資料1でお配りしております教科担任制の導入に係る教員免許制度の在り方に関する参考資料の10枚目のスライドのところをごらんいただければと思います。隣接校種の免許状取得に必要な要件、別表第8(抜粋)という資料がございます。これが先ほど東京都の方から提案のあったものに係る部分でございます。ここに上から三つ目の欄のところに、教員の最低在職年数というのが書いてございます。それぞれ3年というふうになっております。この表の見方としましては、例えば真ん中の欄の図で行きますと、有することが必要な教員免許状というのに、例えば中学校教員免許状を持っている方が小学校教諭の二種免許状を取りにいく場合には、現行制度では中学校での勤務経験が3年必要でございまして、この3年の中学校での勤務経験に加えまして、下の必要修得単位数ということで、中学校免許を持っておられる方の方でいきますと、各教科の指導法が10単位。これが小学校の指導法を学ぶ部分が10単位。それから、生徒指導、教育相談、進路指導について、小学校の部分についてこの内容を学ぶのが2単位、合計12単位という構成になっております。勤務経験の3年というのが中学校免許を持っている方は中学校での勤務経験しか今勘案してないということですけれども、これは当時の経緯がよく分かりませんが、別表第8が入った時代は、まだ専科教員で入るというのもかなり限定されておりまして、恐らく中学校免許を持った方が小学校で勤務するというのが例外的な状況だったと思います。ですので、中学校免許を持った方は基本的に中学校で勤務していて、小学校の方の理解も促すためにこういう別表第8というのが恐らく入ったというふうに思いますので、小学校で勤務するという状況が余り想定されてなかったのだろうと思います。その後で専科の範囲というのがだんだん広がってきまして、専科の活用も広がってきたというところがございますので、東京都からまさに御提案があったように、中学校免許しかない方が小学校でしか勤務しないということも恐らく出てきているという時代の変化があるのかなというふうに理解しております。

【加治佐部会長】 北九州市さん、お願いします。

【太田北九州市教育委員会教育次長】 A先生ですけれども、もともと小学校の一種免を持っている先生ですので、御自身が全部教えていましたが、今回、こういう形にしているということです。

以上です。

【加治佐部会長】 それでは、この後、安藤委員、高橋委員、坂越委員の順でお願いします。

【安藤委員】 では、安藤です。よろしくお願いいたします。前回の話題から引き続き今日のお話を伺いまして、非常に気になっているのは、教員の専門性って何だろうということを改めて深く考えさせられました。三つの事例報告の中から、いろいろとヒントはあったと思いますけれども、そもそも教員の専門性とは何かということを考えたときに、共通に各委員の方から出されたのは、子供の理解とか、子供の受容力というのがまず基本にある。これは発達段階に応じてきちんとできるということだと思います。二つ目は、学習指導力というか、授業力というところ。そこら辺に特化して専門性という言葉が使われている気がしてなりませんが、今日のテーマである教科担任制ということに絡めれば、当然授業力とか学習指導力ということがあるのでしょうけれども、その前提には子供の理解力とか、受容力というのが出てくる。さらに三つ目に考えるのは、最近言われている組織の中の人間としての力とか、あるいはさらには教員自身が学び続ける力という、こういうところも一つ専門性に加えたとするならば、養成段階において、その三つのものをどういうふうに付与させていく、あるいは身に付けさせていくかということは大きな課題になってくるのだろうなということを思っています。

そういったことを考えたときに、先ほど竹原委員から話がありましたけれども、固有の専門性、特化した授業力とか、学習指導力という、一つの窓口になるような固有の専門性を付ける部分と各発達段階を共通に1本通せる、共通する部分が何かあるだろうなと。学習指導要領をきちんと分析しなくてはいけないのですが、発達段階等々含めても、とにかく共通して教員として身に付けるべきことと、そして、固有の専門性ということがどうしても両輪にあった指導、あるいはそういう養成をしていかないと今回の議論というのはなかなか進んでいかないかなと思います。ただ教科専門だけを話題にしていったときに、果たしてそれが養成段階としてふさわしいかどうかということも今日、改めて考えさせられました。

そこで1点、東京都の方にお聞きしたいのですが、ペーパーの方で6ページの方に期待する効果として、二つ目に教員確保というところから人材の有効活用ということが御提言されているわけですが、教員採用試験を受けていく学生にとって、自分のなりたい教員像とか、あるいは目指したい校種というところを目指していくわけですね。それで受験していくわけですけれども、採用試験段階で受けたところと違う校種に行ったときの先生方の意識とか、例えば中学校希望の先生が小学校への赴任となったりしたとき、そのギャップが先生方にとって惑いがあったり、迷いがあったり、あるいは戸惑ったりするのではないかという懸念があります。大学でも出口のところを意識して養成していくわけですが、採用されたときに希望とは違う校種に入ってしまうというところのそういう部分がどうか。ですから、何を言いたいかというと、人材確保、あるいは人材の有効活用というところだけで考えてしまうと、学ぶ先生にとっての意識というのが非常に気になるところでございまして、この辺は期待する効果として、教員確保という観点からの人材の有効活用ということをもう少し御丁寧に御説明していただけると有り難いなと思います。

【加治佐部会長】 お願いいたします。

【浅野東京都教育庁人事部長】 まず資料の人材有効活用と書いた趣旨でございますけれども、小学校全科教員が何らかの事情で欠けてしまうというケースがあったりします。その日だけたまたまいないというケースもありますし、出産・育児等の事情が発生して、しばらくいないということが分かるケースもあったりします。そういったときに、学校では、学級担任の代わりをどうにかしなきゃいけないというふうになるわけでございますけれども、その日だけの事象であれば、誰かがということにもなりますし、また、産休育休代替教員の場合にはもっと長期的になりますけれども、誰かがやらなきゃいけない。産休育休代替教員のことで言えば、それはそれで別の制度がございますが、先ほど委員のお話もありましたけれども、そんなことを言っても、なり手がいないじゃないかということもあって、学校では代替の教員を確保するのに苦労したりする実態もございます。そういったときに、学校では人が見つからない、どうしようというときに、こういった方がいれば、臨時的に代替することができるという。まさにそれが柔軟といいますか、自由度があるといいますか、そういうことができるというものがございます。

今のお話のほかにも、東京都の場合には島嶼部もありますので、比較的小さな学校もありまして、そういったところでは今申し上げたような事例でなくても、柔軟な運営をするために小学校全科教員が音楽免許も持っているとうれしいという話も聞いたりしますので、特に小さい学校でもそういった事情があるというふうに思います。

【加治佐部会長】 よろしいですか。

【安藤委員】 はい。

【加治佐部会長】 それでは、高橋委員、お願いします。

【高橋委員】 高橋でございます。私は、教科の専門性について少しお話ししたいなと思います。教職の専門性というのは様々ありますが、今回、教科担任制ですので、教科に関しての専門性が、小学校とはいえ、一定程度期待される中での免許のお話なのかなというふうに思ってございます。そういった中で、結果的に各教科等の免許が取りやすくなっても、実際に教科の専門性に欠けるようでは余り意味がないかもしれないというふうに思ったりもしています。もちろん免許制度が難しいことによって教員確保が難しいという点は重々考えておりますので、教員になりたい希望の方と専門性の確保の両側から見ていかなきゃいけないとは思っているところでございます。そういった中で、玉川大学さんの取組において、教科の専門性を担保する意味で資格試験などを前提条件として取り組んでいる点について、非常にユニークだなというふうに感じたところです。こういった工夫によって免許が取りやすくなるのかな、なんていうふうに思う一方で、学位プログラムと教職課程の相当関係といいますか。そういう大学卒業程度の教科の専門性を今のダブルプログラムの中でどのように確保しているのか。あるいはそういった相当関係についても御意見をお持ちなんじゃないのかなということをプレゼンテーションの間で感じたところがありますので、その辺について御意見を頂戴できればなというふうに思っています。

以上になります。

【加治佐部会長】 玉川大学さん、よろしくお願いします。

【高橋玉川大学教師教育リサーチセンター長】 ありがとうございます。本学の状況については、先ほど髙野からお話をさせていただいた次第ですが、教科の専門性、各教科の二種免許の専門性については、大学としても課題の一つであると捉えております。通常の中高の免許を各学科で取得する場合には、各学科の免許以外の科目で専門性を磨き、身に付けていますが、二種免許の場合は、それが余りできません。その点については大学としての課題と捉えておりますので、今の段階ではこのように工夫をしていますというような具体的に示せるものはございません。ただ、取得しなければいけない単位数をもし減らすことができるのであれば、工夫する事が可能であると考えます。今の本学の方法では、各長期の休みにも授業を組んでおります関係で、学生に休みがありません。社会経験や個人的な学びの場が非常に少なくなっておりますので、そういった時間を確保して、それぞれの専門性を更に身に付けていくことができるのであれば、教科の専門性は今よりも確保できるのではないかと思っております。今後、共通開設の柔軟性や、拡大解釈等ができるようになることを期待しております。

【加治佐部会長】 それでは、坂越委員、お願いいたします。

【坂越委員】 大変貴重な御発表、ありがとうございました。勉強になりました。ちょっと感想めいたことも含めてなんですが、一つ目は、長谷室長が整理された論点の一つ目ですね。養成段階で隣接する学校段階を見通したそういう指導力というのは本当に当然のことで、ちょっと我田引水っぽいですけど、コアカリキュラムを作って、その中で「幼児、児童及び生徒の心身の発達及び学習の課程」という大事な科目があります。そういうところで、幼小連携は意識しました。でも、当然ですけど、小中ギャップだってあるわけで、そこのところを見通したコアカリの改善というのは次のステップの課題かなというふうに思いました。

それから、二つ目の小中の免許、これは本当に現場の教育委員会で採用する側の方々は、小中免、これが前提で採用試験する予定のところもあるし、現場のニーズはすごくあるだろうというふうに思う中で、今日お話しいただいた玉川大学の事例というのは、複数免ということがすごく慎重丁寧に設計されていて、幼小中高特支の免許すべてを取得し卒業時総計200単位というような、そういう免許の取り方に比べると、かなりハードルが高くて、すごく制限を掛けているなと受け取りました。その辺の工夫は他大学の一つのモデルかなというふうに思ったのですが、済みません、今更ということにはなりますが確認の意味で発言させていただきます。今の教職課程、課程認定というのは、基本的に幼小は目的養成、計画養成というこの枠の中で動いていることは事実です。当然、今後もそのままでいいのかという議論があってよいし、できるだけそういう複数免の可能性ということは開いていくべきだろうというふうに自分自身も思うのですが、でも、今の枠内で考えたときに、ちょっと状況を教えてもらいたいと思ったことは、小学校から中学校の免許を取りにいくときに、小学校はまず全科があって、私は国語をピークとして、国語を特化してやりますよという言い方はよく分かるのです。今度は逆に、他学部で中高免を取っていて、小学校免を取りにいく。この学生さんはどういう思いなのでしょうか。小学校の先生になりたいのであれば、教育学部教育学科に入りなさいよと思ってしまうのです。例えば農学部に入ってきた学生さんがどんな形でオリエンテーションを受けて、小学校の先生になりたいと思って二種免許であっても取ろうとするのでしょうか。そこのところのガイダンスなり、指導なり、あるいはひょっとすると、学生さんの考えなんかも聞いておられたらちょっと教えてもらいたいなと思います。

【加治佐部会長】 よろしいですか。どうぞ。

【高橋玉川大学教師教育リサーチセンター長】 ありがとうございます。少し答えにくい質問ですが、中高の免許を取得しようとする教育学部以外の学部の学生については、中学校、高校のクラブ活動の指導を希望する学生が中高一本やりということがあると思います。また、校種に強い希望はないが、教員になりたいという学生に関しては、大学で学んでいくうちに中学校、高校だけではなくて、小学校の教育も必要だと考えて取得する学生もいると思います。さらに、迷いながらも、その学部に入学した学生もいるかもしれません。そういう学生については、中高の免許だけではなくて、小学校の免許も取れることが非常に有効であると思いますし、本当は小学校を目指したかったけれども、という学生も中にはいるかもしれません。また、小中一貫校があったり、小中高の一貫校があったり、そういう学校で学んできた学生にとっては、専門性を深く学んで小学校の免許もと考えるのではないかと思っています。

本学については、そこまで細かく、具体的に考えながら小中免許の併有を運用しているわけではありませんが、社会の変化に応じて、という考えに基づいて併有を促進しております。少なくとも7、8年前から社会は急激に変化しており、これからも変化していくということも考えて、小中免許の併有を推進しながら教員養成を行っていきたいと考えております。坂越先生の御質問の答えにはなっていないかもしれませんが、今の社会情勢を考えて教員免許を取得する学生や、校種の選択に少し迷いながら免許を取得する学生もいるかもしれません。小中一貫校のこともあり、個人の状況や社会の情勢等を総合的に捉えて、学生は教員免許の取得を目指し、大学はそれを支援しているのが現状です。

【坂越委員】 済みません。ありがとうございます。

【加治佐部会長】 それでは松田悠介委員、お願いします。

【松田(悠)委員】 ありがとうございます。小学校の教科担任制が今後進んでいく流れがある中で、先ほど太田次長がおっしゃられたように、特別免許状の活用というのも一つポイントになりそうだなと感じました。その上で、現行の特別免許状の制度だと、小学校の教科の免許というのは特にないわけですから、そこに対して特別免許状を付与するというのは現行だとなかなか難しいという理解で合っているか確認させてください。また、今後教科担任制が進む中で、小学校の特定の教科に特別免許を付与することに対する議論や、検討が進むことが可能なのかというところをお伺いしたいです。

太田次長にお伺いしたいのが、とはいえ特別免許状制度は非常に柔軟な制度になってきている感覚もあり、私も福岡県と少しお話をさせていただくと、「福岡県としても積極的に特別免許状を検討していきたい。その場合は基礎自治体から上がってくる要望に真摯に応えていきたい」という回答がありますが、現行、北九州市さんの中で特別免許状、教科担任制という文脈でも結構ですが、特別免許状を付与する上で課題になっていることであれば教えてください。また、今後、積極的に付与することを検討していく方向性があるのかないのかというところを含めてお伺いできればと思っております。

【加治佐部会長】 どうぞ。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 まず、特別免許の制度の部分でございます。今、小学校につきましても特別免許状は教科別で出せることになっておりまして、国語、算数等の教科別に出ることになっています。ただ、小学校でそれが余り目立っておらないのは、授与件数がかなり少ないというところがございます。これは小学校教科別で免許を出しますと、その教科しか担当できませんので、専科でしか入れないというところがあります。ですので、今後、仮に教科担任制がもっと広がってくるのであれば、小学校の特別免許状の活用というのも広がってくるということに関して期待があるのかなというふうに思っております。

【加治佐部会長】 それでは、太田さん、お願いします。

【太田北九州市教育委員会教育次長】 実際に本市から特別免許状ということについては県の方には申し上げてないのが実情です。ですから、免許について、なかなかこちら側からお願いしても、条件が出てきますので、そういったことで、そういった事務手続なんかも少し簡素化していただくと、また申請とか、あるいは検定に向かう場合もやりやすいのではないかなという感じはしております。

以上です。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。あといかがですか。まだもう少し予定よりありますが、何か。よろしいですか。

坂越先生がおっしゃいましたけど、実際は、中高の免許を持っている方が小学校の免許を取りにいくというケースは大学院で取るとか、通信で取るとか、かなり以前から多く実施されているわけですね。現実が先行していると。そのときに、おっしゃったようなことを本当に考えたかどうかは別にして、現実は先行しているのは間違いないですね。

それからまた、小学校の課程で中学校の免許を取るというのもかなり以前からあるわけで、実際に小学校の課程を出て、中学校の教員になっている人もいるわけですね。現実はかなり先行しているということが言えると思いますね。兵庫教育大学なんかであれば、以前は初等教育教員養成課程だったのですが、学校教育教員養成課程というふうに名称も変えて、卒業要件として小学校免許だけでなくて中学校免許も取ることを求めています。ちょっと頑張れば、二種ですけれども、中学校の複数教科の免許が取れるという形にもなっています。ただ、坂越先生が言われたようなことをちゃんと考えてやったのかどうか、帰って改めて調べ直してみたいとは思いました。教科の専門性が付いているのかどうかですね。

いかがでしょうか。それではよろしいですか。本当に分かりやすい御説明をされて、皆さんの御質問、御意見も非常に明確であったと思います。本当に3グループ、ありがとうございました。

それでは、議事の2に入ります。事務局から教職課程の基準に関するワーキンググループの報告書について報告をお願いいたします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 それでは、お手元の資料2-1と2-2に基づきまして御説明を申し上げます。

この教職課程の基準に関するワーキンググループでございますが、2月7日に最終の会議が開催されまして、そこで主査一任となりまして、これで主査と御相談いたしまして、確定いたしましたものを本日御報告させていただきます。

まず、このワーキングで何を議論してきたかというところをイメージでごらんいただきたいと思いますので、資料の2-1の2枚目をごらんいただければと思います。ここに見直しの方向性というふうに書いてございますが、この教職課程の基準、教員養成部会の下に置かれております課程認定委員会の方で教職課程認定基準に照らして基準に適合するものを教職課程として認定するという仕組みになってございます。その基準について議論してまいりました。

この課程認定基準でございますが、この見直しの方向性のところの矢印の左側にございますように、基本的にはそれぞれの学科、あるいは教職課程ごとに独立して専任教員でありますとか、必要な授業科目を備えるということが大原則になっております。あるいは右側の複数の大学の間においてというふうにございますが、それぞれの大学が単独で専任教員や授業科目を備えるということが大前提となっております。これを矢印の右側の方にございますように、大学内の学科、あるいは教職課程の間で教員や授業科目を共通にしていくということ、あるいは右側の複数の大学の方でございますが、大学間でこれを共通にしていくことを可能にするという方向性で議論をしていただきました。

それからまた併せまして、その下のところにございますように、教職課程の質の保証及び向上に関する仕組みというものを今回更に織り込んでいくというところで報告書をおまとめいただいております。

この教科担任制の議論とも少し関係するところがございますので、少し詳細に資料2-2の方で御説明申し上げたいと思います。お手元の資料2-2の2ページ目から3ページ目のところで、今回の検討の背景でございますが、ここに三つ背景を掲げてございます。一つは2ページ目の上の方の括弧書きのところでございますが、学校現場、地域の教育課題に対応した教職課程の充実ということで、今、非常に学校現場、地域の教育課題に対応する形で教職課程の内容の充実というものが求められておりまして、複数の学科でありますとか、複数の大学の強みを持ち寄って、教職課程の内容を充実していく必要があるということが一つ。それから、その下の中ほどのところの括弧のところにございますが、複数種類の免許状取得の要請というところがございます。まさに本日御議論いただきましたように、小学校と中学校の免許を併せて取得をするというように、複数の、今例えば小学校の教職課程と中学校の教職課程の間で、できるだけ共通する部分に関しては科目を共通にすることで、全体としての単位数を減らすことで、学生にとっては両方の免許を取得しやすいようなカリキュラムを組んでいくということが一つ要請されているということがございます。

それから、右側の3ページ目のところの一番上にございますように、教員採用数の少ない種類の免許状に係る養成研修体制の確保とございますが、特に採用数の少ない中学校の技術でありますとか、美術といった科目につきましては、国立の教員養成系の大学でももはや単独の大学では教職課程を維持することができないようになっている県もございまして、県内に一つも養成課程が存在しないという状況もございます。ですので、複数の大学で合わせて教職課程を維持できるような仕組みを作るということが一つの背景となってきてございます。ただ、やはり学科間あるいは大学間で共同にてやることによりまして、教職課程の責任の所在が不明確になってはいけない、あるいはカリキュラムとしての体系性が失われてはいけないということで質の保証の在り方についても併せて議論したというのが今回のワーキングの議論でございます。

次の4ページ目のところに学内での共同化ということで漢数字の三以下のところでございます。見直しのポイントにイメージで書いてございますように、それぞれの学科あるいは教職課程で独立して授業科目を備えないといけなかったところから、学科間で、あるいは小学校と中学校の教職課程で共通して科目を共有できるようにしていくという方向性で議論がされてございます。

もう少し詳しく見てまいりますと、ちょっと本日の議論との関係で7ページ目の方に飛んでいただければと思います。特にここの7ページ目の中程に矢印の表がございます。現行の基準で申し上げますと、教育の基礎的理解に関する科目でありますとか、道徳、総合的な学習の時間等の指導法などの科目につきましては、一般学部と教員養成系の学部の間で、特に小学校と中学校の間の教職課程で科目を共通にすることができないということになっております。ですので、一般学部、例えば工学部でありますとか、農学部の学生が小学校の免許も取りたいというときには、ここ科目は共通にできませんので、中学校の科目をとって、更に小学校の科目もとる必要があるということで、合計単位数が非常にそこで積み上がってくるというところもございました。そういうところも踏まえまして、青枠の分につきましては、基本的に学校種ごとの共通性がある程度高い部分ということで、複数の学科の間、一般学部と教育学部の間も含めまして、共通開設を認めていくというところで、この青枠に囲っておりますように、全部丸が付いているという状況でございます。

一方、その下の赤枠のところでございますが、教育実習と各教科の指導法の部分につきましては、例えば教員養成系の学部の中でも小学校と中学校の教職課程の間では分けて科目を開設するということになっております。ですので、先ほど玉川大学の方からお話がございましたように、教育実習に行くに当たって、小中両方取る場合には小学校の実習に行き、中学校の実習に行きということで、別々に行く必要があるということでありますとか、指導法の学習についても小学校と中学校でそれぞれ別の単位を修得する必要があるということになってございます。ただ、ここにつきましてはやはり中学校と小学校ではそれぞれの学校種ごとの違いが大きいということを考慮しまして、今回のワーキングの中ではここについては結論を出しておらない部分でございます。

次の8ページ目のところに移っていただければと思いますが、8ページ目の一番下の段落の部分、「現在の教職課程認定基準では」というところの以下のところでございますけれども、単純にここを教育実習と指導法の部分を共通にするというわけにはなかなかいかないという御議論でありましたが、例えば中学校と高校は既にそうですが、中高に関しては基本的に両方の免許を取るということが前提になっておりまして、指導法についても、教科専門についても、教育実施についても完全に共通化されているという状況にございます。同じように、小学校と中学校についても9年間を通じた児童理解でありますとか、指導法について履修すると。ですから、小学校と中学校の両方の免許を取得することを目的とした教職課程というものを新たに置きまして、その中については実習と指導法の一部についても兼ねるということも考えられるのではないかと。ただ、これにつきましてはかなり大きな議論でありますので、養成部会の方で更に検討していただきたいということで論点が提起されているところでございます。

それから9ページ目のところで専任教員につきましても学科間でより共通化を広げていくということが提言されてございます。

11ページ目のところに入っていただきます。これは学部と連携課程というふうに書いてございます。これは、昨年の大学設置基準の改正でできるようになった部分でございますけれども、大学の学部の間でより柔軟に新しい一つの学位プログラムをできやすくするということで学部と連携課程という新しい制度ができるようになっておりまして、これにつきましても教職課程を置けるような仕組みを設けるということで提言がされてございます。

それから、12ページ目から13ページ目のところをごらんいただければと思います。漢数字の四以下のところでございますが、これが複数の大学において教職課程を実施する体制ということでございまして、先ほど申し上げましたように、基本的に大学は自ら専任教員と授業科目を備えるということが大原則になっております。ただ、今回、このワーキングで提言されておりますのが、大学間で教職課程について共同化をしていくと。ですので、A大学とB大学の間で専任教員と授業科目をそれぞれ提供し合って一つの教職課程を設置する仕組みということを提言されてございます。

13ページ目をごらんいただきますと、実は類似の仕組みで共同教育課程というものがございまして、例えば群馬大学と宇都宮大学の教育学部が共同で教育学部を設置するということがこの4月から開始することになってございます。共同教育課程というものは、A大学とB大学で完全に学部、学位課程を一つにするというものでございますので、卒業に必要な124単位全部について共同化をしていくというものが教育課程、共同学部と呼べるものでございます。

今回ワーキングで御提言を頂いておりますのが、右側の教職課程の共同設置というものでございまして、それぞれ学部自体は単独で存在したまま、教職課程の一種免であれば59単位の分についてだけ連携していくと。この部分についてだけ共同化するというのが今回の仕組みでございます。今回のワーキングで提言されておりますのは、今、大学分科会の方で同時並行にて議論されております大学等連携推進法人という仕組みを活用するということで今回の共同設置についてもやっていくということが前提になってございます。ただ、先ほど申し上げましたように、大学間で一つの教職課程を運営しますので、その責任体制でありますとか、カリキュラムの体系性というものが失われてはならないということで大学間での責任体制をちゃんととっていただく、大学間の協議の場を設置することでありますとか、やはり片方の大学がフリーライドすることのないように、幾つかの要件を課すということが今回のワーキングでも提言されているところでございます。

最後に3番目の論点でございます。16ページ目のところをごらんいただければと思います。今回、学内で専任教員でありますとか、科目を共通化できる、あるいは大学間で専任教員や科目を共通化するという新たな仕組みを、いわゆる規制緩和的な要素が入ってございますので、質を保証し向上するための仕組みをしっかりと織り込んでいくということで、見直しのポイントの箱の中に書いてございますように、一つは全学的に教職課程を実施する組織体制の整備を義務とする。これは先ほど申し上げましたように、全学的にリソースを共有しますので、その中での責任体制、あるいはカリキュラムの統一性というものをしっかり担保するために、全学的な体制を整備していくということでございます。

それから、教職課程に関する自己点検評価の実施を義務とするというふうになってございまして、従来、学校教育法に基づきまして、大学の自己点検評価というものは義務になってございますけれども、教職課程を対象としたものというものは制度化されてございませんでした。これを、教職課程を対象にした自己点検評価を吟味するということを提言されてございます。ただ、このワーキングの報告にもございますように、新たな評価を義務付けることによって大学の負担を過度に増やすことのないように、既存の自己点検評価の中で教職課程についても扱うといったような形の弾力的なやり方ということを提言いただいてございます。

以上の全学的な体制でありますとか、自己点検評価の実施というものは既に27年の中教審の答申でも提言されていたものでございまして、今回のワーキングを経まして、これをまさに制度的に位置付けるという関係になってございます。このほかに課程認定委員会による実地視察のより計画的な実施でありますとか、情報の公表、教職員に対するFD、SDの実施というものについても充実していくということが提言されてございます。

今後の予定でございますが、今回のワーキングの提言を受けまして、この後、教育職員免許法施行規則、それから課程認定基準の改正の作業に入ってまいります。来年度半ばぐらいまで掛けて、大学分科会の議論と並行しながら行っていくということになってございまして、その後、準備が出来次第、各大学への御説明、それから各大学への適用ということになってまいります。

以上でございます。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

教職課程の基準に関するワーキングで約1年間検討した結果をまとめたものであります。ワーキングの委員の方がここに何人かおられますが、いかがでしょう。何か御質問等ございませんか。よろしいですか。

大学間の教職課程の共同設置は、大学等連携推進法人が前提になっていますが、これは今年度内にまとまると聞いていましたけれども、ちょっと延びているのでしょうか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 資料2-1の2枚目のところで今後の予定を出させていただいてございますけれども、今、大学分科会の方でまさに現在進行形で大学等連携推進法人の制度設計の議論がされてございまして、当初年度内を目標にしておりましたけれども、令和2年度にずれるような見込みでございます。ですので、今回の我々の方の制度につきましても、大学等連携推進法人の議論が前提になってございますので、その議論の状況を見ながら、制度改正を令和2年度中に行うということで考えてございます。

【加治佐部会長】 分かりました。

それでは、よろしいでしょうか。以上の議論が今日の内容です。

それでは、今後の日程について事務局から説明をお願いいたします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 次回の教員養成部会の開催は3月16日を予定してございます。日時、場所等の正式な開催通知は改めて御連絡させていただきます。

【加治佐部会長】 それでは、どうもありがとうございました。今日はこれで終わります。



―― 了 ――

 


(総合教育政策局教育人材政策課)