教員養成部会(111回)議事録

1.日時

令和2年1月23日(月曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省15階 15F特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 義務教育9年間を見通した養成、採用、研修、免許制度、人事配置の在り方について【審議】
  2. 教員資格認定試験について【審議】
  3. Society5.0 時代に対応した教員養成を先導する教員養成フラッグシップ大学の在り方について(最終報告)【報告】
  4. その他

4.議事録

【加治佐部会長】 それでは、定刻になりましたので、ただいまより中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会第111回を開催いたします。本日は御多忙の中、御出いただきまして誠にありがとうございます。

初めに、会議資料について、事務局より確認をお願いいたします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 それでは、お手元のタブレットをごらんいただきたいと思います。端末に本日の配付資料を開いた状態で用意してございます。順に議事次第、座席表、それから議事次第の方に記載してございますように、資料の1から3まで、資料の1と3につきましては枝番号で幾つかございますので、御注意いただければと思います。それから、参考資料の1から8までございます。それから、机上にも幾つか資料を配付してございます。それから、開いている資料のほかにも、デスクトップの方を開いていただきますと、前回までの会議資料を保存してございますので、こちらも適宜御参照いただければと思います。もし機器の操作等で御不明な点がございましたら、近くの事務局員までお申し付けください。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

それでは、今日の会議の進め方について御説明いたします。まず、議事の1について、事務局から新しい時代の初等中等教育の在り方論点取りまとめ等と、そのうち義務教育9年間を見通した養成、採用、研修、免許制度、人事配置の在り方について御説明いただきます。その後、委員の皆様から自由に御意見を頂ければと思います。

また、議事の2において、今後の教員資格認定試験の在り方について事務局から御説明いただいた後、委員の皆様に自由に御意見を頂き、そして最後に、議事の3において、Society5.0時代に対応した教員養成を先導する教員養成フラッグシップ大学の在り方について、事務局から教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループの最終報告について御説明いただきます。

それでは、議事の1に入ります。まずは、令和元年12月に取りまとまりました新しい時代の初等中等教育の在り方の論点取りまとめ等についての概要と、その論点のうち、義務教育9年間を見通した養成、採用、研修、免許制度、人事配置の在り方について事務局から説明いただいた後、自由討議を行いたいと思います。

それでは、説明の方よろしくお願いいたします。

【田中初等中等教育局教育制度改革室長】 初等中等教育局教育制度改革室長の田中でございます。よろしくお願いいたします。

まず、私の方からは論点取りまとめ全体を御説明申し上げたいと思います。今、資料でいいますと、資料1番のシリーズになりますけれども、恐縮です。今、資料1-1が開かれているかと思いますが、時間も限られますので、概要の方を中心に御説明申し上げたいと思います。恐縮ですが、その隣のタブの資料1-2の方をごらんいただければと思います。よろしいでしょうか。

この諮問につきましては、昨年4月の柴山前大臣からの諮問を受けての御審議を頂いているものでございます。初等中等教育分科会の下、主としてメインの役を特別部会が担っておりますけれども、この教員養成部会も含めまして、多岐にわたる論点につきまして、それぞれ連携しながら御検討、御審議を頂いているところでございます。この論点取りまとめは、昨年末の段階での、その時点での議論について取りまとめいただいたというものでございまして、非常に諮問事項、多岐にわたりますけれども、その中でも特に優先して急いで御議論いただくべきことについて論点を、そこを中心にまとめていただいたものでございます。

まず、1枚目でございますけれども、新しい時代、いわゆるSociety5.0と言われるような、そういう時代を見据えた学校教育の姿、2020年代を通じて実現する、どういう姿を目指していくかという、あるべき姿についてまずまとめていただいたものでございます。

この中では、育成を目指すべき資質・能力というところ、ここに掲げられているものでございますが、こういった資質・能力を育てるために、子供の学びの在り方はどうなっているのか、それが左側。右側は、子供の学びを支える環境はどうあるべきか、というところをまとめていただいております。

まず、子供の学びの姿ですけれども、多様な子供たちを誰一人取り残すことのない、個別最適化された学びが実現しているというものです。以下、丸で幾つかイメージが書いてございますけれども、一番上のところですと、児童生徒一人一台コンピュータや高速大容量通信ネットワーク環境の下、教師を支援するツールとして先端技術を有効に活用することなどによりまして、基盤的な学力の確実な習得が行われるとともに、多様な子供たち一人一人の能力、適性に応じた学びが提供されている。

その下でございますけれども、その多様な中でも、特に特別な支援が必要な子供たちに対する個別支援も充実し、さらに特異な才能・資質を持つ、いわゆるギフテッドと呼ばれるような子供たちは高度な学びにアクセスすることができる。

その下でございますけれども、外国人児童生徒等を含めた全ての子供たちが安全・安心に学ぶことができる。また、その下、探求的・協働的な学びが実現していると、こういったところが掲げられてございます。

右側でございますけれども、そういった子供たちの学びを全国津々浦々の学校において質の高い教育活動を実施可能とする環境が整備されているということ。

一つ目の丸でございますけれども、多様な人材を教育界内外から確保するため、教職の魅力向上や教員養成、採用、免許制度も含めた方策を通じまして、質の高い教師集団が実現されるとともに、教師と多様な専門スタッフとがチーム学校を実現しているということでございます。

その下でございますけれども、教師が生涯を通じて学び続けると。その下、今日の議題の中心になるかと思いますけれども、学級担任制と教科担任制が効果的に実施されている。

その下でございますけれども、先端技術や教育ビックデータを効果的に活用できる環境の整備をしている。さらにその下、人口減少が加速する地域におきましても魅力的な教育環境が実現されている、こういったようなところが掲げられてございます。

これにつきまして、一番下ですけれども、こういう教育を実現していくために、特に、次の事項について検討を進めていくことが必要だということで、次のページ2ページ目をごらんいただければと思いますが、各論の方に入ってまいります。

今回、この後、高谷課長の方から説明がありますけれども、補正予算の動き等もございまして、昨年末の時点で、これからの学びを支えるICTや先端技術の効果的な活用について、特に重点的に御提言を頂いたところでございます。

ここにございますように、子供たちが多様化する中、誰一人取り残すことのない、個別最適化された学びの実現には、教師を支援するツールとしてのICT環境や先端技術が不可欠であるということが打ち出されております。特にその効果、こういったことができるようになるということは、このマル1からマル4に書かれてございます。

一方で、現状は情報化の致命的な遅延、さらに地域間の格差というものが生じておりまして、これは非常に大きな問題であると。義務教育は特にそうですけれども、教育の機会均等の観点からも、令和の学校のスタンダードの実現に向けまして、ハードだけじゃなくて、ハード・ソフト一体で国の取組を進めるべきだということで、下にございますように、ハードについては1人1台コンピュータ、それから高速通信ネットワークの環境の整備等、ソフトに関しましては、デジタル教科書・教材等も含めまして、良質なリソースの開発・導入を進める。さらに働き方改革の観点で統合型校務支援システムの導入を進める。

特に人材につきましては、教師の資質・能力の向上と専門的人材の確保による指導体制の充実が必要であり、そのための研修等の機会を段階的・継続的に図ることが必要ですし、また外部の人材ということで、専門家、ICT活用教育アドバイザー、支援員等にも入っていただくということが掲げられてございます。

この先でございますけれども、これらの取組と併せまして、今後、中教審として以下の事項について検討を深めていくべきであるというところが提示されておりまして、まず、一つ目ですけれども、教師の在り方や果たすべき役割、指導体制の在り方、ICT活用指導力の向上の方策はどうあるべきかについては、今年度内、つまり3月までをめどに方向性を示す必要があるということ。その下でございますけれども、先端技術の活用による年間授業時数、標準時数の在り方、学年を超えた学び等については早急に検討する。さらに、デジタル教科書につきましては、今後の在り方について、令和2年度をめどに方向性を示すということが示されております。

次のページ3ページ目をごらんいただければと思います。こちらは今日のテーマと関わるところになりますので、この義務教育9年間のところにつきましては、恐縮ですが、後でまた資料1-1に戻っていただきたいと思いますけれども、そのほかのところといたしまして多くの論点がございますけれども、教育課程の在り方について、学力向上やSTEAM教育の推進など、教師の在り方について、ここはまさに養成部会で御議論いただいているところでございます。それから、新しい時代の高校教育の在り方について、高校の特色化・魅力化の実現に向けた方策や定時制・通信制の在り方、幼児教育の質の向上、外国人児童生徒への教育の在り方、特別支援教育の在り方等について、幅広く御議論を各有識者会議等も含めて進めていただいているところでございます。

続きまして、ここのメインになります教科担任制のところにつきまして、大変恐縮です。最初の資料1-1にお戻りいただきまして、こちらが本体になります。こちらの、大変恐縮ですけれども、9ページ目をごらんいただければと思います。よろしいでしょうか。なかなか探すのが大変かもしれず、大変申し訳ありません。

この9年間を見通した教科担任制の在り方については、この1枚で提言されておりまして、まず1番目でございますけれども、小学校における教科担任制の導入によりました期待される効果として、教科指導の専門性や授業の質の向上、教師の負担軽減、学力向上、また複数教師による多面的な児童理解による児童の心の安定など、こういった意義、さらに小学校から中学校への円滑な接続が実現できると期待されると。義務教育9年間を見通した指導体制の整備に向けまして、小学校高学年の児童の発達段階、外国語教育をはじめとした教育内容の専門性の向上などを踏まえまして、令和4年度をめどに小学校高学年からの教科担任制を本格的に導入するべきであるとされております。この本格的導入というのは、この後に述べます制度面での整備、そういったことを含むことであると考えております。

2ポツ目でございますけれども、このためということで、教育課程・指導体制の一体的な検討が必要であるということでございます。その際、一律的な方式ではなくて、各学校や地域の実情を踏まえ柔軟な教科担任制が実施できるやり方が必要ではないかというふうに提言されてございます。

具体的にどのような制度かと申しますと、まず一つ目でございますけれども、当然教員の配置、義務標準法の在り方も含めた教科担任制に必要な教員定数の確保の在り方について、これは特別部会の方を中心に今後御審議いただくことになろうかと思います。

(2)でございますけれども、小学校における教師間の分担の工夫だけでなく、中学校の教師が小学校に来て教えると、そういう小学校と中学校の行き来の在り方など、小・中連携、義務教育学校における教育の在り方、これについても検討が必要であるということでございます。

続きまして、(3)でございますけれども、こういった掲げた点や教科指導の専門性を高める教員養成・研修の仕組みの構築や教科指導・探求活動等の専門性の高い教師の学校種を超えた配置の推進など、免許法の在り方も含めた義務教育9年間を見通した養成、採用、研修、免許制度、人事配置の在り方についてです。こちらにつきましては、まさに教員養成部会で御審議を深めていただく点かなというふうに承知しております。

(4)ですけれども、小規模校においても高学年の教科担任制が実施可能となる仕組みの構築でございます。

3番目になりますけれども、特に小学校高学年以降の専門性の高い教育を踏まえると、逆に小学校中学年までに基礎的・基本的な知識・技能を確実に習得させる必要があると、こういった方策も含めた教育課程の在り方について検討が必要であるということになっております。

概要につきましては、以上でございます。

【加治佐部会長】 続けて、お願いします。

【高谷初等中等教育局情報教育・外国語教育課長】 それでは、続きまして、私、情報教育・外国語教育課長の高谷でございます。

私からは今回補正予算案が取りまとまる中で、ハードウェアの整備について大きな動きがございました。そこについて御説明させていただきたいというふうに思います。お手元の資料の1-4をごらんいただきたいと思います。左から4番目をクリックいただきまして、ブルーの1枚目の表紙が出る、その資料をごらんいただければというふうに思います。

教育の情報化ということで、1枚おめくりいただきまして、ページ番号1と打ってあるところでございますが、今回の補正予算、いろいろな経緯がもちろんございました。政治的な動きもございました。そのあたりを簡単に御紹介しておりますが、6月には「学校教育の情報化の推進に関する法律」というものが全会一致で成立いたしました。こういう動きの中で概算要求、私どももGIGAスクールネットワークということでネットワーク整備について概算要求をまとめさせていただきましたが、その後、財務省、政府内で1人1台学校の情報化端末ということをいろいろ議論していく中で、必要性・重要性に関しまして多数の御意見を頂戴し、政府の中でも大変議論が出てございます。そういうことを表しておりますのが少し、2つほど、10月10日の予算委員会での大臣の答弁でございます。「平成の時代はパソコンやタブレットはあったらいいなというものだったが、令和時代はなくてはならない教材となっている」。さらには、11月13日の経済財政諮問会議の安倍総理の御発言の中でも、「パソコンが1人当たり1台となることが当然だということを、国家意思として明確に示すことが重要」。このような総理の御意向なども踏まえながら、予算の取りまとめに向けまして、関係省庁で議論を進めてまいりました。

2ページ目のページ数を打っているところをごらんいただきますと、一つ細かい字のポンチ絵が出てまいりますが、右上をごらんいただきますと、内閣官房IT総合戦略室、総務省、文科省、経産省と名前がございます。これらの省庁が集まって学校の情報化、皆様方から大変期待が高くなっているという中で、各省がばらばらに施策を打つのではなくて、一つの方向を全省庁で、関係省庁で目指して、それで整備を進めていこうということ皆で作った図でございます。

先ほどの田中室長の説明の中でも、一人一人に個別最適化されたというものが何度かキーワードとして出てまいったかと存じます。それにしっかりと対応できるような環境ということで、左側には子供たち一人一人の端末、そして右側にはデータの標準化をしながらクラウド活用していく。さらにはデジタル教科書・教材、民間の教育コンテンツ、このようなものを子供たち一人一人の学びのデータログに付加などしながら、一人一人に最適なコンテンツというものを子供たちに提供していく、こういう姿を目指す。

そのためには、真ん中にブルーで書いてございます。高速大容量、機密性の高い、安価なネットワークの整備。すなわち子供たちの手元の端末とコンテンツやクラウドをしっかりとつなげる通信ネットワークが必要だと。このような大きな考え方に基づきまして、今回の補正予算もなってございます。という意味で、端末のみではなくて、しっかりとネットワークも整備をするということが今回の整備の方針でございます。

次の3ページ目は、補正予算案がまとまります1週間前に総合経済対策ということで、その考え方のベースになるものでございます、閣議決定がございました。この中で黒字でございます。「学校における高速大容量のネットワーク環境の整備を推進するとともに、義務教育段階において、令和5年度までに、全学年の児童生徒一人一人が端末を持ち、十分に活用できる環境の実現を目指すこととし、事業を実施する地方公共団体に対し、国として継続的に財源を確保し、必要な支援を講ずることとする。」ということが閣議決定に盛り込まれておるというところでございます。

その下に3つほど施策が載ってございますが、先ほどの関係省庁で一つの方向を目指すということに沿って、各省庁がこれに対してしっかり対策を打っていくということで、文部科学省としましては、「GIGAスクール構想の実現」と銘打ちまして、端末と校内ネットワークの整備ということに至っているというところでございます。

具体的な中身が4ページ目と5ページ目でございます。4ページ目は校内通信ネットワークの整備ということで、小学校・中学校・特別支援・高等学校における校内LAN整備、さらには端末を保管する電源キャビネットの整備ということで、国としては2分の1、地方公共団体、学校設置者等に公立の場合は補助をさせていただく。私立、国立にも補助をさせていただくというようなところでございます。

また、5ページ目は児童生徒1人1台端末ということで、小・中、それから特別支援などの児童生徒、義務教育段階の児童生徒が使用するPC端末につきまして、公立の場合は定額4.5万円、私立の場合には補助割合2分の1、上限4.5万円、国立も4.5万円という形で定額の支援ということでございます。

6ページ目が基本的なロードマップ、今回の補助の考え方でございます。ピンクの色が端末の整備、グリーンが校内ネットワークの整備でございます。校内ネットワークにつきましては、今回の補正予算で希望する学校全てに対応いただく、高校まで対応いただく。端末につきましては、優先する学年として小5、小6、中1、その次に中2、中3、そして小学校3・4・2・1と下がっていくというようなことを優先しますが、ほかにも希望するところがあれば、予算の範囲内で対応させていただきたいと思ってございます。

一方の薄いオレンジ色のところは地方財政措置、3クラスに1クラス分は自治体が整備をするということが基準財政需要額にも出ております。毎年の地方財政措置でも講じられております。ここは自治体様にはしっかりと、まだ整備ができていないところにも整備をいただきたいということで表現をしております。

7ページ目は、先ほどの田中室長の説明に重複いたします、ハードだけではなくてソフトと指導体制、しっかりと整備をしていくべきということでございます。

8ページ目は、ただ予算を措置するということだけではなくて、様々整備しやすい、例えばハードの調達について、私どもからモデルとなる仕様書を提示させていただいたり、セキュリティポリシーもクラウド活用前提のセキュリティポリシーにしたり、あとは関係省庁との連携、民間企業からの支援の募集、さらには3番目としまして、先生方にすぐにでもお使いいただきやすいようなノウハウ集ということで手引というようなものを公表などしながら、しっかり学校で使っていただける環境をこれから早急に目指していきたいというところで施策を進めておるところでございます。

以上です。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 続きまして、先ほど両名から説明申し上げましたのが、今回の諮問に関する論点取りまとめとの関係で今の状況を説明させていただきました。特に、それに関連することということでGIGAスクールについても説明させていただきました。これらにつきましても後ほど御意見いただければと思いますが、本日は特に、この論点取りまとめの中でも教科担任制の導入との関係での免許と制度等の在り方について御議論いただければということで、特に参考資料、それから論点例というものをお示しさせていただきました。

まず、教科担任制の議論に入るに当たりまして、こちらの方で少しイメージが湧くようにということで、机上の方に紙で、教科の分担のイメージというものを配付させていただきました。あくまでイメージということですので、机上資料にさせていただいております。いろんな教科の分担、教科担任制の在り方というものが考えられるわけでありますけれども、概念的に分けますと、ここに出ておりますマル1のところ、1人の先生が大部分の授業、教科を担当しつつ、理科でありますとか、音楽、家庭科、外国語といったような特定の教科について専科の先生が入るというようなパターンがマル1。

それから一つ飛びまして、マル3の方ですけれども、これは中学校と同じように、それぞれの教科を一人一人の先生が分担するというようなことも考えられるわけであります。

それからマル2のパターンでありますけれども、7月24日に合同部会ということで教員養成部会も一緒に入った形で、この教科担任制についての議論を特別部会の方とも行いましたけれども、そのときに横浜市、それから兵庫県の方から御紹介いただきましたけれども、先生方が教科を分担し合って担当するようなパターン、例えばマル2の例でいきますと、3クラスある場合に、3人の先生がそれぞれ自分の得意な教科を分担し合って担当していくようなパターン、いろいろなパターンが考えられるわけでございます。

特に、今後は小規模校が増えていく、あるいは義務教育学校が増えていった場合には、こういった教科担任の分担というものを、小学校、中学校を通じて行うというようなことも十分考えられるわけでありますので、特に中学校の先生が小学校で活動するというようなケースが恐らく増えてくるだろうということが、今回の論点取りまとめの中でも想定されるわけであります。そういった状況を踏まえまして、免許制度、あるいは教職課程の制度の中でどのようにそれを受け止めていくかということが、こちらの養成部会で御議論いただきたいことということになってまいります。

その前提としまして、免許制度につきまして少し御説明を申し上げたいと思います。お手元のタブレットの資料1-6をごらんいただければと思います。一番上のタブのところに資料2とありますが、それの一つ左の側が資料1-6でございます。

「教科担任制の導入に係る教員免許制度の在り方に関する参考資料」ということで幾つか資料を用意させていただきました。この中で、3ページ目をお開きいただければと思います。普通免許状授与件数というふうに表が出てございますけれども、表に出てございますように、基本的に免許の種類というのが、幼・小・中・高・特別支援学校というように学校種で区分されているということが一つ。それから、専修・一種・二種という形で養成段階の学位に対応する形で種類が分かれているということが一つの区分ということになります。

この制度になりましたのが、昭和63年の改正のときにこの仕組みが出来上がりまして、学校種別、それから学位の別によって免許の種類が区分されるということになっております。これがある意味、免許制度の原型でありますけれども、平成の30年間の間に何度も改正がございまして、このステレオタイプはかなり変わってきてございます。

その背景となっておりますのが、少し先の方に進んでいただきまして、恐縮です、19ページ目まで飛んでいただければと思います。他校種・他教科の免許状の所持による特別の選考という表が出てございます。これは30年度の教員採用選考試験での状況でございますけれども、各教育委員会の方も複数の学校種の免許状の保有というものを採用のときに考慮事項としているところが増えてきておりまして、教育委員会のニーズとしましても、複数の学校種にわたる免許状を持っているということが求められることが増えてきているということが一つの背景としてございます。

それから、中教審でも2回にわたりまして実は議論されてございまして、次の20ページをお開きいただければと思いますが、これは平成14年の答申でございます。これは中等教育学校が導入された後、最初にこの教員養成、免許制度の関係について出た答申でございますが、この中でも下線を引いてございますように、「一学校種のみならず隣接する学校種においても教授できる資質能力を身に付ける」といったことが提言されてございまして、具体的には、このときには、下の方にございますけれども、小学校における専科指導の拡充でありますとか、1番下の下線のところでございますが、現職教員が他校種の免許状を取得する際の促進する制度の創設といったことが提言されてございました。

それから、2ページ進んでいただきまして、22ページに入っていただきますと、平成26年の論点整理というものが出てございます。これは、最終的には平成26年、27年の答申という形で出てございますが、義務教育学校が制度化された際に、やはり同じように学校段階間の接続の円滑化という観点から議論がされてございまして、この際にも学校段階間、それから教科横断的な視野を持った教員の指導力を育成する必要があるということで提言がなされてございます。

こういった実際の教育委員会からのニーズでありますとか、中教審の中での学校種間の接続の円滑化に関する議論を踏まえまして制度が変わってきたわけでございますが、25ページ目をお開きいただければと思います。中学校教諭免許状の指導範囲ということで書かれてございます。昭和63年に今の原型ができたときには、一番上の図のところにございますように、基本的には中学校教諭の免許状というのは、6から9と書いてありますけれども、中学校の3年間を指導するということが大原則でありまして、専科指導の範囲というのはほとんど限定されておりました。これが先ほどごらんいただきました平成14年の中教審の答申を受けまして、専科指導の範囲が拡大されました。

その後、平成28年、先ほどの26年の議論を踏まえまして、さらに施行規則の改正がございまして、中学校の免許を持っておる先生は、小学校で自分の専門教科を指導することに加えまして、いわゆる学級担任の機能、つまり、道徳、特別活動、総合的な学習の時間の指導もできるようになっておりますので、現在の中学校免許というのは、小学校の1年生から中学校の3年生まで、実は学級担任と一つの教科の指導ができる。つまり、中学校と同じことが小学校でもできるようになっておりますので、事実上の教科別の義務教育免許になっているというのが今の中学校免許の状況になってございます。

それから、次の26ページ目をごらんいただければと思います。箱で図が示してございますけれども、基礎免許状とありますが、例えば養成段階では、いわゆる主たる免許、「主免」というふうに呼ばれていると思いますけれども、この主たる免許のところにつきましては、一種免許であれば59単位しっかり勉強するということを基本としまして、その上で養成段階であれば、「副免」という形で他教科あるいは他校種の免許を取るということが広く今行われてございます。あるいは現職の先生になられてから勤務経験をプラスすることで、かなり少ない単位数でほかの免許状を取得するということができるようにもなってございます。これがまさに14年と28年の改正のときに実現されたことでございまして、この2回の改正を経まして、基礎免許状、あるいは主たる免許、主免から一定の単位数を積むことによって他校種、他教科に弾力的に広がっていけるというように、校種間の垣根というものもかなり弾力化していくような方向で免許制度というのが今出来上がっているという状況になってございます。

現状をベースとしまして、それでは今回の教科担任制というものにどのように対応していくのかということで、タブのところ、お隣の資料1-5をごらんいただければと思います。幾つか論点をお示しさせていただきました。3点、お示しをさせていただきました。

一つは養成段階であります。2回の中教審の答申でも言われておりましたように、隣接する学校段階を見通した幼児児童生徒の理解でありますとか、教科の指導力を身に付けられるような教職課程のカリキュラム、単位数、それから免許状の学校種の区分も含めまして、教職課程や免許制度の在り方をどのように考えていくのか、これは養成段階での問題ということでございます。

同じく養成段階でありますが、特に特徴的なこととしまして、2ポツのところでございます。いわゆる教員養成を主たる目的とする学部、いわゆる教育学部と言われているところは小学校と中学校、あるいは隣接する学校種の免許を取るというのが基本的に行われているわけでありますけれども、それ以外の例えば法学部でありますとか、理学部、文学部といったような一般学部と言われているところにつきましては、中学校と高校の免許状を取得するということが基本になっておりますので、一般学部出身者の多い中学校の免許を持っておられる方々が小学校で活躍をするというときに、どのような教職課程・免許制度を取っていけばいいのかということ。

それから、3番目に今度は現職の先生方でありますけれども、現職の先生方、特に中学校の先生が小学校で今後教科担任として活躍をしていくといったような場合に、別の学校種で指導するための免許、それから研修制度の在り方、特に、先ほど申し上げました小学校と中学校の間にまたがって現職教員が配置されるための研修や免許制度の在り方といったところが論点になってこようかというふうにお示しをさせていただきました。

これとの関係で、恐縮でございます。もう一度先ほどの参考資料にお戻りいただければと思います。何度も前後しまして恐縮でございますが、まず、現状を少しごらんいただければと思いますが、15ページ目をごらんいただきたいと思います。隣接学校の教員免許状所有状況という資料がございます。これは小学校の先生方が中学校の免許を持っているケースの割合を示してございます。平均しますと、6割ぐらいの小学校の先生が中学校の免許も持っておられるという状況にございます。ですので、小学校の先生が中学校でも活動するという場合には、比較的スムーズに移行ができるだろうというふうに思われます。

一方で、次のページをごらんいただきますと、16ページ目のところ、中学校の先生が小学校の免許を持っている割合になりますと、平均で26.6%、かなり県によって状況が異なってございます。このように小学校の免許を持っておられない中学校の先生方が多いような場合に、どのように教科担任制へ移行していくのかというところが一つの課題になってこようかというふうに思います。

先ほど免許制度の在り方についてということで論点を出させていただきました。その際に、恐らく御参考になろうかと思われるところで、23ページ目のところをお開きいただければと思います。非常に細かくて恐縮でございますが、4つに分けた図が出てございます。この図は、先ほど御紹介いたしました、平成26年にワーキンググループがございました。教職員支援機構の高岡理事長が座長としておまとめいただいた論点整理ですけれども、そのときに、いろいろ考えられる限りの免許制度のパターンを列挙した上で在り方を考えていこうという方針でこの論点整理を取りまとめていただきまして、その際に幾つかのパターンをお示しいただいております。

この中で、現行制度というのが左上にございますが、その後、(1)、(2)、(3)という3つの案がございます。この中で、(3)というものが少し異色でありまして、これは現行の幼・小・中・高の免許を廃止しまして、小学校プラス中学校の義務教育免許でありますとか、幼稚園プラス小学校の免許、あるいは中学校プラス高校の中等教育免許というものに全て再編しまして、つまり、現行の幼・小・中・高の免許を廃止して、全面的にこちらの隣接校種の免許状に移行すると、一番徹底したパターンでございます。

それ以外のパターン、(1)と(2)の方は、現行の幼・小・中・高の免許を残したまま、両方持てるように促進していくというのが(1)と(2)のパターンでありまして、(1)はまさに現行制度のままで両方の併有というのを促進していくというものでございます。(2)につきましては、併有を促進する一つの方法として、中ほどに水色でございますけれども、小学校と中学校を併せたような免許、あるいはその右にございますように幼稚園と小学校を併せたような免許、中学校と高校を併せたような免許というものも併せて作るということが出ているわけでございます。

ただ、この場合には、要するに小学校と中学校を単純に足したもの、あるいは中・高の免許を単純に足したものということになりますので、既存の小・中の免許との違いというものを議論する必要があるというところでございます。結果として、平成26年のときには、(1)の両方の免許を促進するという考え方に立ちまして、先ほど申し上げましたように学校種間の免許の取得の弾力化が図られたというところでございます。

それから、もう一つのパターンとしまして、24ページのところでございます。これは教科別の免許を入れるということでございまして、特にマル2のところ、小学校と中学校を通じたような教科別の義務教育免許を導入するというのがマル2の考え方、それからマル3のように小学校から高校まで通じた教科別の免許を作るという考え方、それからマル1のように小学校だけに通用する教科別の免許を導入するという考え方、これが示されてございます。結果的には、先ほど御紹介しましたように中学校の免許というものを、事実上マル2の教科別の義務教育免許に変えたというのが、このときの結論ということになっております。

それから、先ほどデータを省略しましたけれども、中学校の先生はほとんどの方が高校の免許まで持っておられますので、現実にはマル3のパターンが実現されているというのが現状というふうになってございます。このようにいろいろなパターンが考えられるわけでございますので、こういった点もごらんいただきながら、この後、是非御議論いただければというふうに考えております。

以上でございます。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

内容が非常に多岐にわたっております。ですから、全てを当然議論していただいてよろしいのですが、特に、長谷室長からの説明がありましたように、教科担任制が導入されるということが検討されております。それに応じた免許制度、あるいは免許を取らせるための研修等々の在り方ですね。これを新たにまた考え直す必要が出てきたということだと思います。今のお話のように、これまでも答申等で出ておりまして、実現した部分もあるということであります。恐らくそれを更により取りやすいというかな、質を保証した形で、より教科担任制に対応するために取りやすくするということを検討するということになるのだろうと思います。

特にどこからということはいたしませんので、御自由にいろいろ、3時20分ぐらいまで御議論いただければと思います。どなたからでも結構ですが、いかがでしょうか。

じゃ、田中先生。

【田中委員】 昔ですね、昔と言ったら変ですが、厚生労働省の保育所指針の検討会議で議論をしたことがあるのですが、幼稚園の段階の幼保というのは、実は保育士資格と教員免許というのが二重に取得を余儀なくされていて、どこかで統合できないだろうかという、これは省庁の垣根を超えなきゃならないので難しさはあるのですが、それプラス実は児童福祉法の範囲が0から18歳までを対象にしていますので、保育士という資格を取った場合に、0歳児を行う保育所から18歳の児童福祉施設まで一つの資格で全部一くくりになってしまうのですね。

事実上、保育所等の現場の混乱は、児童福祉施設で実施をしていて0から6までに触ったことがない、深く関わったことがない人までが現場にすぐ放り込まれるという状況を改善して、また幼保の免許のことをこれから考えていくには、もう少し別の視点を入れながら考えなきゃならない。ありていに言いますと、厚労の方も保育士の資格を保育所保育士とか施設保育士とか、そういう区分をつけない限り統合的なことは無理だろうという議論が実は一度厚労の中で、保育所指針の検討会の中でいたしました。

複数のというか、非常に幅広いところを行うことのメリットと専門性という部分から考えたときのデメリットと、かなり複雑な要素をはらんでくると思いますので、私は幼稚園の段階として、幼・小がどうのこうのと今のところ結論的な考えは持っておりませんが、かなり複眼的な物の考え方をしてもらわないと、特に幼保、こども園とかという複数免許を保有する現場としては混乱が生じるかもしれないなというのを今のところ思っております。

以上です。

【加治佐部会長】 ちょっと新しい要素が入っている。何か事務局で。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 御指摘のように保育士のカバーされている範囲が非常に広いという一方で、保育教諭が導入されましたので、保育士と幼稚園、両方取らないといけないというのが幼稚園養成課程、保育士養成課程でも課題になっておりますので、そこを保育士と幼稚園の間をより取りやすくしていくというのも一つの課題として上がってこようかと思います。それはまさに今回の小学校、中学校と同じような問題があるということで、部会長、御指摘のように、質を確保しながら、いかに弾力的にやっていくかというところが幼保、それから幼稚園、保育士との間でもやはり課題になってこようかというふうに思います。

【加治佐部会長】 それでは、喜名委員、お願いします。

【喜名委員】 ありがとうございます。まず、小学校高学年における教科担任制、これについては大賛成でありますけれども、やはり御指摘のようにというのでしょうか、小規模校の場合どうするのか、免許をどうするのか、いろいろ考えなければいけない問題がたくさん出てくるなというふうに思います。

まず一番は、学校規模によってこのことができないということにならないような教員の配置が必要でありますし、もう一つ、現在でもいろいろな工夫で教科担任制のような形をやっているところがございますが、それも単純に授業を交換するということで進めています。そういうことではなくて、しっかりと専科の教員を配置するという方向で、これは当然ながら標準法と定数の改善ということがセットになってまいりますし、もう一つ、この基準としての小学校の教員の授業の標準的な持ち時数というのでしょうか、そういうものをしっかりと決めた上で、この教科担任制を入れていくということも必要ではないかなというふうに思います。

東京都はかなり特異な例でありますけれども、標準法に基づいて教員の数が決まっていますけれども、最初から音楽と図工が専科として配置されています。東京都教育委員会の採用の仕方としても、小・中共通ということで音楽、美術を採っております。学級数が多くなると、3人目の専科ということで配置をされるわけですけれども、これは全国どこでもやっていない形であります。その分、音楽と図工の専門性の高さというところは担保がされているのだというふうにも思います。

ただ、一方で、どうしても高学年に配置をするので、持ち時数のアンバランスがかなり生じていて、特に今、中学年がかなりの持ち時数になっているというところもあります。また、地方ではその数を少人数学級の数に充てているので、28こま、高学年全教科を教えているというところもあります。この辺をうまく是正して、工夫もあるのですけれども、働き方改革の視点も入れながら自由度を高め、みんなでアイデアを出し合わないと難しいなということがあります。

あと中学校との連携というのもあるのですが、実際に物理的にかなり厳しいだろうな。義務教育学校だとか、近隣の小・中が隣接しているようなところであれば、今度は中学校の教員の持ち時数との関係もありますけれども、そういうことも可能ですが、小学校と中学校が離れているような学校では、なかなかそれも厳しいだろうなということも思います。義務教育学校がこれからどんどん増えていくということであれば、そういう方向も難しくはないのかなというふうに思いますけれども、なかなか今の制度では中学校の先生に来てもらってということが、実は英語が始まったときに、外国語活動が始まったときにそういうことをかなりいろいろ工夫したのですけど、なかなかうまくいかなかったというのが実際のところであります。

以上です。

【加治佐部会長】 田中教育制度改革室長、また御参考にしてください。-何かございますか。よろしいですか。

それでは、橋本委員、お願いします。

【橋本副部会長】 3点ほど申し上げたいと思います。私も教科担任制への導入自体は基本的に賛成です。恐らく、論点まとめにもありますけど、一律的な形ではなくて、地域の実情等に応じて柔軟なスタイルをとられるのかなとは思うのですけれども、もし一定の枠組み、標準的な枠組み等を示されるとか、方向付けをされるとかということになりますと、そういった情報というのを早く明らかにしてほしいなという思いがあります。と申しますのも、どうしても各教科の需要見通しなども、都道府県の教育委員会としては持ちながら、できたら採用計画等に反映できるようにさせていただけると、よりしっかりした体制が組めるのかなというふうに思っておりますので、なかなか予算との関わりもありますので難しいと思いますけれども、定数の在り方や加配の在り方といったことも含めて、方向性を早く明らかにしてもらえると計画が立てやすくていいなと思います。

2点目は、現在の英語の専科教員の加配については、働き方改革との関係もありますのでT2が入ることは認められていません。しかし、これからも小4以下では、全教科を1人の先生が教えるといったスタイルが基本になるというふうに思いますけれども、高学年の授業を知っているか、あるいは知らないかといったことで、恐らく指導力に将来差が生じかねないなというふうにも思っております。空き時間をどう生み出すかという働き方改革とのバランスを考慮する必要はあるわけですけれども、指導体制として、T2という形で学級担任が教室に入ることの重要性も考慮していただきたい。これは小学校の現場からの意見です。

それから、3点目ですけれども、現在、小学校高学年の英語の指導については、小学校の免許しか持っていない学級担任が指導するといったことが一番多いパターンかなと思います。しかし、一方で、学校によっては英語の免許を持っている専科教員による指導体制も組まれています。これからの小学校高学年の教科担任制の移行を機に、これについて、先ほど参考資料の24ページに一つ例も出されていましたけれども、小学校英語に関わる免許の在り方、あるいは指導体制について、改めてきちんと整理を図っていく必要があるのではないかな、そんなふうに考えております。

以上です。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。特に英語というかですね。

木村委員、お願いします。

【木村委員】 地方の現状を入れながら話をさせていただきたいと思います。先ほど説明があった28年の改正を機に、本県では小・中学校の人事交流を一般の人事の中に入れました。ところが、本県の場合、小学校は小中学校の免許を併有しているのが5割以上いるのですが、中学校の場合は2割以下です。

もう一つ研修の問題でいうと、外国語科が小学校にも導入されましたが、中学校の外国語の指導がそのままスライドできない。簡単に申しますと、授業に対する考え方とか仕組みを研修していただかないと、求められている小学校の授業は実現できないということが分かりました。同一教科において、中学校の免許を持っているから小学校を教えることができるというようなものではないというのを実感した次第です。

次に、これも先ほど話題になったところなのですが、採用試験で複数免許を私どもも一定の加点要件にしております。ところが、福栖免許保有者がもともと少ない。特に、中学校の教員志願者で小学校の免許を持つ者がかなり少ない。また、特別支援学級、通級指導教室が増えてきておりますので、単に小・中とか教科だけではなくて、特別支援教育の免許の併有も必要な状況にあるということです。

ですから、教科担任制は大いに結構ですし、いろいろなことを改革しなければなりませんが、そういう現状もご認識いただきたい。もう一つ、定数でいえば、これはざっくりですけれども、小学校の場合は学級数に対して約1.1倍の教員が配置されています。中学校は、これもざっくりですが、学級数に対して約1.5倍の教員が配置されています。この教員配置の違い、つまり、教え方の文化が違うところで、どう小と中のバランスをとるのかというのも大きな課題ではないかなというふうに思っています。

また、これも学校の教員の配置に関わることなのですけれども、学校に配置するのではなくて、エリアに配置するとか、様々な配置の仕方も、免許法や定数、研修と併せて課題としてあるのかなというのを地方の現場としては思っているところです。

以上でございます。

【加治佐部会長】 何か実情を聞くと、また大変だなという気がしますけど。

吉田委員、お願いします。

【吉田委員】 ありがとうございます。私、今日1-6の資料の2ページ目に、まず、日本の免許の制度についてあって、普通免許、特別免許、臨時免許とあるわけですけど、今回のいろんな教科担任制等を決めるに当たっても、原則大事なことはやっぱり人の配置だと思います。まず、人を確保できるか。変な話ですけど、幾ら免許法で、開放型でいろんな教科が取れるとか、小・中・高、全部一本にするとか言ったって、基本的には学校に先生の数が増えない限りは、こういうことを全部実現できないのではないかと。

そうすると、まず、そっちを国として本当に変えていこうというのだとしたら、働き方改革に乗じてじゃないですけど、併せて、やっぱりそこで人を増やせば、教科担当制もできるようになる。そうすると、今度、免許状の問題が出てくる。免許状という問題でいった場合には、今、木村委員からお話しあった、現状のお話を聞いていても、逆に僕は思うのですが、この免許状で、例えば特別免許状なんていうのは大学での教職課程なんか取ってない人でいいわけです。現実に今、ネイティブの先生とか、そういうのはこれでほとんど日本の場合もやっています。それから、高校の先生が中学校を教えることも、実はこれを使えば簡単だと思いますけど、これも今できません。県によってやっているのが一つか二つあると思いましたけども。

ただ、そういう免許状の取得の困難さが増しちゃうと、今度、縦のつながりを求める場合には厳しくなるのではないかと。今、ただでさえ教職課程の単位が多いわけですから、そうすると、一般の人たちが特別免許状で教員になれることを考えたら、もう少し免許状自体の取得単位数というものを楽にしていって、あとは各学校における配置される先生方の数を、やっぱり人を増やさなきゃ絶対無理じゃないかと。

これは後ほどの話かもしれませんけど、ICTの問題がどこでやられるのか分からない。今日説明があったので、そこでお尋ねしておきたいのですが、ICTの問題についても、教員が楽になるために生徒1台入れる、みたいなことを言っていますけど、教員にまず、ハードの配置もないですよね。それから、教員が研修とか書いてありますけど、研修する時間、どこにあるのだと。そうすると、その研修する時間とか考えても、今の教科担当制の話じゃないですけど、やっぱり人を増やして、そこでみんなが余裕を持っていろんな研修していけば、そこに進むことができる。だけど、今のままでは、私は、失礼だけど公立ではかなりきついのではないかと。特に小学校の場合は、担任の先生があそこまでやらなきゃいけない中で、じゃあそこは、給食の時間はボランティアでいいじゃないかとか、いろんなことを言う人がいますけど、僕、教員ってそういうものじゃないと思うし、小学校の先生って授業で、教科で教えていることが生きがいなのではなくて、やっぱり子供と接して子供を育てていくという中では、休み時間だ、放課後だ、給食だってすごく大事な時間だと思う。それを逆に放棄して、そこを無理やり休みの時間にして、それで教科をやらせるって、そこも矛盾が多くないですかと。

ですから、原点に立ち戻ると、やっぱり人を増やすこと、配置を増やすことをやって、そして、そこにやるために免許状をいかに楽にするか。そして、そのツールとして、例えばICT環境を整えるなら整えるのだって、やっぱりそこの至るまで、子供に幾ら1人1台渡したって、先生が使えないのだったら何にもなりませんので、その過程というものもやっぱりしっかりできるようにしてくれなきゃいけないのではないかなという思いを言わせていただきました。よろしくお願いします。

【加治佐部会長】 分かりました。

それでは、松田悠介委員、お願いします。

【松田(悠)委員】 ありがとうございます。ちょっとお伺いしたいのがICTの促進と、中身でいうとアクティブ・ラーニング的な流れ、それと教科担当制がどうかみ合うのかというところが非常に重要だなというふうに思ったので、そこら辺のビジョンをお伺いできたらいいなと思っているのですが。というのは、例えば個別最適化をするためにICTを導入していくと。それは先生の資質に依存するのではなくて、ある程度高いレベルの教材、指導教材であるとか、問題を解くということもそうですし、最近ですとオンライン教材、とても高いレベルの塾の先生が授業を教えて、それを映像にして、なるべく多くの人に見てもらうという民間のサービスもたくさんありますけれども、要するに知識を教えるということそのものを人がやるのではなくて、ある一定、そういったテクノロジーの助けを得ようという流れだと思います。

そうすると、やっぱり教員の在り方って変わっていくべきじゃないですか。今までの先生が知識を教えるというところからもう少し、アクティブ・ラーニングの中でいうと、知識をアウトプットするところのファシリテーションをしていくのが教員の役割になっていったときに、20世紀型の教員の在り方とかで教科担任制って余り考えない方がよくて、結構未来志向で教科担任制とか担当制をどう考えるのかというところがすごく重要だなと思って。そうすると、特に知識や教科の専門性を持っているということは、とても重要なのですが、ファシリテーター的な役割をどう学校に増やしていくのかとか、今、吉田委員の方からもありましたけれども、先生方がどうやってICTを使いこなすかという論点もあると思いますが、それは、僕の経験からは、年配の方にテクノロジーを研修するよりは、子供たちに触って使ってもらった方が非常に進むので、余りそこは、既存の先生方にどうテクノロジーを適用するかという以上に、そういう先生方のサポートをするようなICT委員とか、そういったテクノロジーのスペシャリストをどう学校に配置するかという話もあると思います。なので、人を増やすとか、そこに、教員がいろんな免許を取れるようにするという流れもいいのですが、もう少し、いろんな施策がある中で、どうシナジー、歯車を組み合わせながらビジョンを持って各論をどう進めていくのかというところが結構重要だなというふうに思っていて、そこら辺が、各部署で今やっているのか、教科担任制を考えていったり、ICTの流れを考えていったり、コンテンツを考えるところが、どういう今議論がなされているのかというところをちょっとお教えいただきたいなというふうに思いました。

【加治佐部会長】 田中室長、お願いします。

【田中初等中等教育局教育制度改革室長】 今、御指摘の点でございますけれども、ICTの導入ということと教科担任制ということは、一見それほど関係がないのではないかというふうに見えるかもしれませんけれども、教育の質の向上という目的と、それからもう一つは働き方改革という点で、それぞれ、一つは別のアプローチという面があろうかな、というふうに思っております。

まず、働き方のところは、先ほどICTで働き方改革につながるかどうかという御指摘も頂きましたけれども、ここはうまく導入することによってつながる部分がある。それから、教科担任制に関しましては、先ほどから持ち時間の話も出ていますけれども、特に中学年とのバランスという問題はありますけれども、1人が全部教えるのではなくて、教科を分担することによって小学校においても持ち時間の減少、もちろん人の配置が増えることが前提かと思いますけれども、そういったところにつながるということがございます。

それから、教育の質の向上ということでいうと、ICTの導入によって教師のファシリテーションの部分とか、そういった部分が増えてくる。それはそのとおりかなと思いますし、まさにそこもこれから中教審で御議論いただくことかと思いますけれども、教科の専門性が要らなくなる、教科の専門知識は、例えば動画に任せて、あとは、内容はよく分からないけれども、教師はファシリテーションするということではないのだろうと考えております。それはやはりその教科の専門性を持った上で、更に言うと、むしろ、STEAMなども言われていますけれども、教科横断的な学びも新指導要領で求められていくところでございますけれども、そういった専門性はやはり必要であろうと。

そういったことからいうと、小学校高学年での免許担任制というのは、外国語に代表されますけれども、小学校段階での専門性を高めていくというふうになりますし、またICTも、今ほど申し上げましたようにICTがあるから専門性は要らないということではないと思いますので、ただ一方で、教育の質を高める、もちろん基礎的な知識・技能の習得の部分でICTが役に立つ、あるいは探求の部分で探求の助けになるという面があることはあります。そういった優れた実践事例というのをこれから広げなければいけませんけれども、いずれにしろこの両者というのは、働き方改革だったり、教育の質の向上だったり、そういう目的を複合的に達成していくためのそれぞれの要素ではないかというふうに考えているところでございます。

【松田(悠)委員】 はい、分かりました。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

それでは、続きまして、安藤委員、松田恵示委員、高橋委員、大体これぐらいになるのかなと思いますが、では、安藤さん、お願いします。どうぞ。

【安藤委員】 それでは、よろしくお願いいたします。発達段階に応じた質の高い教育というところと、そして新しい時代の学びの保障、あるいは推進というところが今回大きな一つのキーワードになるのだろうと。そのときに、そのキーワードをきちんと担保できる教員の専門性というのはどうしても欠かせないと思います。そうすると、その専門性を、特に大学の教育課程の中できちんと保障できるような教育課程にしなくてはいけないなということを考えているわけです。これまでの議論を考えますと、やはり小学校、中学校という分断された考え方ではなくて、今推進している義務教育9年間というくくりの中で大学教育が教員育成というところに関わっていかないと、ただ免許を出すためだけになってしまいます。義務教育というところをどう考えるかというところで改革していかなくてはいけないだろうなと今日のお話を聞いて思いました。

その意味で、教員養成段階においては、特にワーキングの26年の論点整理の図を見させていただきますと、教科教員免許状というのが一つ柱になっていましたけれども、こういうことは一つの可能性としては、きっと一番手がつけやすいし、改革が進みやすいと考えます。私たちは学生たちを見ていますと、小学校の教員の専門性というよりはむしろ小学校教員の基本として何でもできるような形の教育を進めがちになっているわけですけれども、やはり教員の専門性ということを考えますと、学生が自分の売りとか専門性を持って現場に入っていく。そして9年間の指導ができるような、そういう指導ができる教員を育てていかなくてはいけないなということを考えます。

そうなりますと、今後、今までの問題点でいきますと、中学校の先生になる場合は教科専門の時間数が多くて、一方、道徳の授業はやらない。逆に言うと、小学校の先生については教科専門のところは薄くしてという、そういう教育課程になっていますので、この辺を少し整理していけば、意外と養成の段階では整理しやすいのではないかなということを一つ思います。

2点目には、隣接校種の問題については、こういう意味では現場に入ってからの先生方の問題が一番大きいと思いますけれども、特に専修免許状を例えば取得した場合、実は現場ではなかなか専修免許状が評価されていないというか、持っているだけで終わってしまって、それが現場で発揮されていないのが実態でありますので、例えば専修免許状を取ったら隣接校種の指導資格が得られる、あるいは自分の持っている教科等を教えることができるというような、幅を広げて隣接校種で教えられるというような、何か専修免許状の資質というか、生かし方を考えれば、質の高い教育ということの推進にはつながっていくのではないかなということを2点目に思うところです。

最後に、3点目でございますが、現場教員がどうしても分断しているケースがあります。つまり小学校、中学校の教員の場合、小学校から中学校へなかなか転勤しづらい、あるいは中学校から小学校へ転勤しづらいという。そこにはやっぱり免許という問題がどうしても引っ掛かっているようです。そこで、地域における研修、あるいは先生方の経験というものをうまくラーニングポイント制で担保して、それを免許と言わず資格的に保証していくような制度ができれば、もう少し行き来しやすくなるのではないかと考えます。ですから、先生方の経験とか、あるいは研修を受けた履歴というものをきちんとラーニングポイント化して、それをうまく学校配置の方に生かしていけると、非常にスムーズにいくのではないかなということを思っています。以上3点、お願いいたします。

【加治佐部会長】 よく分かりました。特に2点目が全然これまでなかった、あったのかもしれないけど、少なくとも今日は出てない視点だと思いますが、専修免許状のいわゆる実質化にもなるのかなという気がしますが、どう思われます。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 お伺いしまして思いましたのが、専修免許状で指導範囲を広げるというより、むしろ例えば教職大学院で他校種、他教科の免許を取れるようにするというのが一つあるのかもしれないなと、それが一つ教職大学院の有効な活用の仕方にもつながるのかなというふうに思った次第でございます。

【加治佐部会長】 なかなか定員確保に苦労しているので、是非お願いしたいですね。それはともかく、魅力化の一つではありますよね。また、こういう新しい方向とも一致しますので、非常にいいのかなと思いますね。分かりました。

それでは、続きまして、松田恵示委員、お願いします。

【松田(恵)委員】 今日配付いただきました机上資料の小学校高学年における教科の分担イメージの図がすごく考えさせられるものだったのですが、考えさせられると言いますのは、これは多分、「1」、「2」、「3」とありますが、ゼロ(「0」)みたいなものがあって、ゼロは要するに全教科をお一人の先生が教えられているということだと思いますが、小学校の低学年がゼロの状態だとしますと、ここで言う「3」というのは、高等学校はほぼ3、教科内容はもちろん違いますけれども、「3」になっていて、そうすると、非常に単純化しますと、間にある中学校、むしろ間に中学校が抜けているといいますか、中学に対応する固有の特徴がなければいけない気がしたわけです。教師の内容の面での専門性ということで言うと、ですね。

といいますのは、現在、養成・研修に関わっておりまして、確かに先ほどもお話がありましたけど、中と高というのは両方免許を持っている学生も多いですし、実際にそのような現場の先生方も多いです。これは、もちろん現在の仕組みからいきますと、それは当然なのですが、一方で、子供たちの様子を考えたときに、むしろ小と中のほうも隣接していて、一旦ちょっと区切りがあって高、ないしはそこから大学、高等教育へという話だと思います。

だとしますと、本来は、例えば中学校の内容、免許段階でもう少し他領域、他教科に関連するような免許取得のための制度内容になっているとか、あるいは先ほど複数免許の問題がありましたけれども、中学校においては、むしろ高校とは違って複数免許が取りやすいような全体的な仕組みになっている等の、何か大きく、そのような性質付けというのが逆に必要なのかな、なんていうことをちょっと感じました。ですので、免許制度の問題を考えるときに、むしろ中学校の在り方というのが一つ考えてみる必要があるところなのかなと感じたというのが一つです。

二つ目には、同じく分担のイメージの資料なのですが、これは教科のくくり方とか、単数か複数か、あるいは全部かというようなことになっていますが、一方で固定するのか、非固定なのかという問題があって、例えば「2」で小学校の高学年で教科分担したとしても、それは生涯にわたって、例えば国語、音楽、家庭ということで担任するのか、あるいは10年ごとにこれが変わっていくのかというような、そういう運用上の問題があると思います。

現状、小学校現場では校内研究といいますか、授業研究が盛んに行われていて、例えば本学なんかですとピーク制というような形で、小学校免許でも中・高の免許との隣接関係も含めて、理科に強い小学校の先生みたいなイメージで養成するのですが、そういう出自のある先生方がいつでも授業研究で理科を選択しているか、というとそういうことではなくて、現場へ出た後、体育をやられたり、あるいは国語をやられたり、あるいは10年ぐらいで教科を変わられたりというような形で、実際には教科を変えて研修をされているというところがあると思います。また、一方では、ある教科の研修を校内でできるだけ広げていくというようなこともなさっていて、つまり、免許制度と研修というのは、そういう意味では運用の面でリンクしているところがあるとはおもいますが、そのあたり固定的な運用を考えるのか、非固定的な仕組みとして捉えていくのかということも併せて考えていく必要があるのだなと感じました。

今のことに併せますと、例えば「2」のようなことは、逆に言いますと、この3教科だけで仕事としてやっていくということになりますと、現在9教科やっているよりは、やや授業準備等において余裕ができると。この余裕を作ること自身が非常に重要な問題で、逆にこういう対応をするために、むしろ現状よりも広がっていかないと、逆に働き方改革が厳しい、研修がすごく多くなるというような仕組みになっちゃうと、ちょっと本末転倒になっちゃうかなと感じたところがあります。

最後に、一般学部と教育学部というような、開放制と専門性というような教員養成での議論がありましたけれども、ここで例えば教育委員会の研修制度と教職大学院ですね、こういうものが連携して、岡山なんかではラリーポイント制という形で既になさっていますけれども、そういう教師の一生涯にわたる学びの在り方が何がしか、例えば上申制みたいな免許制度にも関連付いていくというようなことで計画ができるというような視点も一つ重要だなと感じた次第です。

【加治佐部会長】 四つぐらいおっしゃいましたけど、いずれもなかなか傾聴に値するかなと思いました。

それでは、高橋委員、お願いします。

【高橋委員】 高橋でございます。免許制度についてコメントすべきかと用意はしていましたが、ICTについて話題でしたので、少しコメントさせていただきたいというふうに思います。

先ほど教員用のICT環境の整備が不十分じゃないかという御意見がございましたが、実際には教員の120%分の校務用のパソコンが整備されているというのが現状でございますので、これをどう活用していくのかということが今の課題で、整備より今度活用の方に行っていると思います。ただ、コンピュータの多くは、いろいろセキュリティ上等の問題で職員室のとある場所に机に固定されていたりして、社会で使われる使い方と少しイメージが異なる部分がありますので、そこの部分は、僕は課題だというふうに思ってございます。

この話は非常に大きな差があるなというふうに思っています。先ほど御説明にあったところにあった新しい時代の初等中等教育の在り方論点取りまとめの育成を目指すべき資質・能力で、変化を前向きに受けとめ、という言葉が出てきておりますが、全体的な方針として、ですね。僕は、これは先生方も含めて、我々年をとってきた身も含めて、変化を前向きに受けとめられるかどうかということが、今、物すごく試されているなというふうに思っております。

キーワードで言いますと、私は溶け込みと言っていたのですが、中央省庁、各省では、今、デジタルトランスフォーメーションという言葉で解説されております。全く感覚の違うコンピュータの使い方が始まっているなというふうに思います。これは本当に1人1台整うだけでも無理で、これが本当に溶け込んで身体的になっていくと、本当に使い方が変わりまして、いろんなことが起こってきます。

少し小さいお話でしますと、例えばスマートフォンみたいなものの使い方、クラウド対応のワープロソフトとかの使い方の研修、教員研修とかをしますと、このボタンを押して、このボタンを押して、あれを押して、これを押してというような説明に、あれとかこれとかいう説明になるわけですね。そうすると、50歳ぐらいの先生が「あれとかこれじゃなくて、このボタンの名前を教えてくれ」と言います。だから僕がハンバーガーボタンですとか言うと、その先生がハンバーガーボタンとか言ってメモするわけです。そうすると、今笑いが出たように、スマホを使い慣れている人から見たら、そんなボタンの名前を覚えてもほとんど意味がないということは身体的に理解しているわけです。

ところが、今の50代の先生方は、僕のイメージでは、2000年前後に教育の情報化、職員室の情報化が始まったときのリーダーだったはずの人たちで、そのときに、多分、50代の人はついていけないと言った人たちが、20年たって自分たちが50代になり、そのときにそう同じようなことになってしまっている。現在、実際に研修をしていくと、最後には、パソコンより電話の方が早いとか言われるなど、久しぶりに20年ぶりに聞くメッセージだなと思うのですが、この変化を前向きに受けとめて研修を受けるということが本当に難しいなというふうに思ってございます。

この後学校に1人1台が来ますが、私自身も、実は今まで台数が少なかった時代は、ICTに効果があるということは信じていても、実際その少ない台数を運用する過程でいろいろ無理が生じるので、若干こういうときは使わない方がいいのでは、みたいなことは言っていたわけなのですが、本当に子供1人1台になった場合は、デジタルトランスフォーメーション、ICT活用の学校教育への溶け込みが新しい次元に向かって、大いに変化を前向きに受けとめて、いいも悪いも含めて上手に処理していくということが必要かなと思います。

その際の教員研修に関しては、こういう特別な研修をするより、この中教審の場でも実際にはこういうふうに資料を閲覧するための道具だけじゃなくて、ここにどんどん議事録が表示されていって、それに対してみんながコメントを付けていく。我々も今ゼミはそうやっていて、ゼミのやり方が全く変わりましたけど、最初に議事録が送られてきますので、会議の冒頭に、それから議事録を作るみたいなゼミの仕方に変わってきています。

だからそういうふうにして、どんどん変わってきますので、従来のコンピュータの考え方では立ち向かえないようなことが多分この後起こると。まさに変化をどう前向きに受けとめるかということが問われているのだなと。そういうようなことで研修・養成も少し考えていかなきゃいけないのではないのかというふうに思ってございます。

以上になります。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。またいろいろ意見が出ましたので、田中室長、あるいは高谷課長、参考にしていただければと思います。それが資料1-5の論点例ですね、幾つか出ましたので、また次回以降、これを更にどういう方向で進めていくかということが課題になるということかなと思います。何か、よろしいですか。

【木村委員】 簡単な質問いいですか。

【加治佐部会長】 どうぞ。はい。

【木村委員】 文科省の方に簡単な質問です。教科担任制の審議の中でこういう話題は出なかったかというお尋ねです。高学年に教科担任制、これが小学校6か年の分断につながらないかというような心配を少しだけしています。というのは、いろいろな教科等が高学年から順番に入ってきて、今、高学年専門の先生と低学年専門の先生というのが少しずつ出てきています。本県の場合は、各教員が1年生から6年生までの担任を経験するようにしようということで各学校と言ってはいるものの、教科担任制ということで小・中をつなげたときに、次に出てくる分断として、小学校の下学年と上学年というのでしょうか、このあたりの分断への危惧というような話題は出なかったのかという単純なお尋ねです。

【加治佐部会長】 田中さん。

【田中初等中等教育局教育制度改革室長】 済みません、今、全ての議論を記憶しているわけじゃない、間違っていたら申し訳ありませんけれども、私の記憶では、済みません、後で確認しますけど、そういった今のような明確な御意見は特になかったかなと思います。ただ、一方で、先ほども御指摘がありましたけど、中学年の持ち時間の話であるとか、あとは今小学校内で分断とありましたけど、本日も御指摘がありますように、義務教育9年間、中学校まで含めてどういうふうに考えていくかという、そういった方向の議論の方が多かったかなというふうに承知しております。

【加治佐部会長】 一木委員、どうも失礼しました。どうぞ、申し訳ないです。

【一木委員】 失礼します。特別支援教育の立場から1点だけ申し上げます。ICT化が進む中で、それを活用しながら、子供の深い学びの成立を図るといったときに、教科の専門性というのはとても大事だろうというふうに思っています。その高い専門性を有する教員が小学校の高学年段階で携わるということは大事なことかなと思うわけですが、特別支援学校の現状としまして、どうしても人事の調整の場のような形になってしまって、中学部、高等部では特定の教科の先生に偏っているという現状がございます。ですので、このあたりは採用の問題もあるかとは思いますけれども、この場におきましても課題を共有していただければと思います。

以上です。

【加治佐部会長】 はい。分かりました。

それでは、ありがとうございました。議題の2に入ります。教員資格認定試験の見直しというか、改正ですね。こちらについてお願いいたします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 それでは、お手元のタブレット、資料2をごらんいただければと思います。説明から割愛いたしますけれども、参考資料2の方で今年度の小学校教員資格認定試験の結果についても掲載してございます。今年度、台風19号の影響で代替措置も行いまして、結果としまして、248名の方の合格を出してございます。これも踏まえまして、今回小学校教員資格認定試験の見直しについてお諮りをさせていただきたいと考えております。

見直しの経緯と方向性のところにございますように、昨年の7月にも一度、教職員支援機構の方から当時の見直しの方向性についてお話をさせていただきました。背景としまして、この資格認定試験、社会人等の教員免許を取得されていない方ですとか、他の学校種の教員免許を持っておられる方が活動の場を広げようとするときに、小学校の二種免を取るための仕組みとして機能してございます。

しかしながら、近年、受験者の減少がかなり続いてございまして、この試験が始まりました昭和48年度には6,000名を超えるような受験者がございましたけれども、今年度は780名の方の受験にとどまっておりました。実は行政事業レビューでも御指摘を頂いたところでもございますので、こういった状況を踏まえまして、この試験の実施を実際に担当しております教職員支援機構の中で研究チームを設けたりしまして、文部科学省、当教職員支援機構で協力しながら検討も進めてきておりましたし、7月にも一度こちらの養成部会でも御意見を頂いてきたところでございます。

これらのことを踏まえまして、今回新しい見直し案をお諮りさせていただきますが、特に今回重視をした点としまして、ここの中ほどのア、イ、ウというふうにございますように、一つは、現行では3次までの試験、合計6日間にわたっております試験の時間的負担の軽減を図ること。それから、イのところにございますように、知識・技能を確認するというところを重視しているところから、特に教職への意欲でありますとか、学校教育での知識・技能の活用の力というものを確認する方向に重視をしていくということ。それから、今年度台風で試験が実施できなかったということも踏まえまして、予備日を設けるために、全体的に試験のやり方についても検討していく必要があるということで検討を行ってまいりました。

一つは、ここにございますように日程や会場につきましては、6日間の試験を、後に御説明申し上げますが、2次試験までの3日間ということにしまして、試験日程についてもかなり圧縮するということにしてございます。ただ、採用日程等もございますので、試験の合格発表については、1月下旬ということは維持していくというふうに考えております。

それから、自然災害への備えとしまして、予備日をしっかり設けて対応できるようにしていくということがございます。それから、会場数につきましては、これまでの受験者の動向ですとか、台風があった場合の対応なども踏まえまして、全国2会場ということで厳選していくということで考えてございます。

具体的に試験の内容・方法の見直しにつきましては、次のページをごらんいただければと思います。ここに、試験内容の変更点というところにございますように、現行では、1次試験で2日間かけて択一式の試験を行いまして、2次試験で2日間かけまして論述、それから作画、演奏、運動などの実技の試験、それから口述試験を行いまして、最後の3次試験で指導案の作成でありますとか、授業観察を2日間にわたって行ってございます。

この中で、御自身が選択をしていない試験の科目のときにはずっと待っていただくとか、実技試験や面接のための待ち時間というのが非常に長く設定されてございましたので、これらを精選するというところが一つの改善点。それから、中ほどに赤字で書いてございますけれども、従来の択一式にしましても、論述式にしましても、それから実技試験というふうにありますけれども、実際にはデッサンを描いたりですとか、ピアノの演奏をしたりですとか、あるいはマット運動とか、バスケのシュートをして何本入ったかというので点数を見たりとかいうふうに、実際の知識ですとか、自分は何ができるかという技能のところを重視して見ているところがございました。

これよりは、むしろ知識や技能というのを具体的な授業の場面に即して活用できるような試験に変えていきたいと。例えば、実際御自身がマット運動をするというよりは、マット運動の指導をしているときに生徒がけがをしたら、どういう対応をすべきか、ということでありますとか、数学の図形を教えるときに、どういう発問をするのがいいのかと、こういったような、より指導場面に近いような問題に変えていくということで、内容についても厳選しつつ、質はむしろ高めていくということが一つのポイントでございます。

それから、最後の紫色のところでございますけれども、従来、口述試験を行っておりましたけれども、やはり時間の関係で1人5分程度の試験しかできないというところがございました。ここのところを、第2次試験は2日間掛けますけれども、その中で指導案の作成に加えまして、模擬授業もやっていただきまして、実際に指導力があるかどうかということを見ていくことでありますとか、実際、今年度の代替措置のときにも行いましたけれども、グループ討議を行いまして、その中で、グループ討議の状況でありますとか、それを踏まえた論文の作成といったことで本人の理解度等を見るということも行いましたので、こういった形で、よりコミュニケーション能力ですとか、教師の適性をしっかりと見ていくような試験に変えていくということで全体的に変えていきたいということでお諮りをさせていただきたいと思います。これにつきまして、是非御意見を賜ればというふうに考えております。

【加治佐部会長】 日数的にはかなり削減ということですね。内容も変わっている、質の担保は当然留意されているということですね。何か御質問等ございませんか。

受験料とかは変わりますか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 今回お示しをしていますのは見直しの方針でございまして、今後、実際の実施要領ですね、来年度の実施要領等も定めてまいりますので、受験料等については、その中で具体的に定めていくことになろうかと思います。

【加治佐部会長】 分かりました。受験者が増えるような措置を講じたということですね。よろしいですか。

それでは、議事の3に参ります。教員養成フラッグシップ大学検討ワーキンググループからの報告をお願いいたします。

【齋藤教育人材政策課教員養成企画室長】 それでは、御挨拶が遅れましたけれども、1月1日付けで教員養成企画室長の方に着任いたしました齋藤でございます。いろいろ今後よろしくお願いいたします。

それでは、私の方から資料の3-1、3-2、3-3が全体の資料でございますけれども、このうち3-1が報告書のポイントとで、これは今回初めてお示しするものでございますけれども、あと3-2が概要、それから3-3が本体ということです。3-1と3-2、最初の2つの資料を基に御説明をさせていただきたいと思います。

まず、資料3-1でございますけれども、経緯といたしましては、教育再生実行会議の第11次提言の中で、Society5.0時代に対応した、教員養成を先導するフラッグシップ大学、例えば教員養成の指定大学制度等を創設すること、また、STEAM教育、ICTを道具として活用することを前提とした問題発見・解決的な学習活動等についての指導力を有する教員の育成といった提言されたことを踏まえ、本部会の下にワーキンググループを設置いただきまして、加治佐部会長はじめ、部会の委員の方々にも参加、御議論いただきまして、今回取りまとめたということでございます。

中身につきましては、項目立てとして四つほど掲げておりまして、一つは教員養成フラッグシップ大学の役割、それから右側に行きまして、具体的な公募・選定、評価の在り方、それから具体的な要件、左側に戻りまして制度面・予算面での大学に対する支援といった中身でございまして、最終報告の方で整理したということでございます。

以降、資料3-2に沿って細かいところを御説明申し上げたいと思いますけれども、まず、教員養成フラッグシップ大学の目的・必要性というところでございます。教員養成大学・学部等は教員の養成・研修に大きな役割を担っていただいているところですが、現状としては、教育現場が期待するような新たな教育課題やニーズに適時・的確に対応し得る機動的な養成・研修の深化、先導的な試行等を十分に行えるだけの体制・状況にはなっていないのではないかとの問題意識から出発しています。その上で、教員養成フラッグシップ大学の構想としては、ここから踏み出して、教員養成の在り方自体を変革していくような牽引役となる大学を創っていくことが提言されたというような位置付けにされております。

その上で、教員養成フラッグシップ大学の役割としては、一つ目として、我が国の教員養成を新たな次元に変革する牽引役になっていただき、その成果をその他の教員養成大学・学部等に展開していくといったことを期待されているということでございます。

それから、2番目として、我が国の教員養成ネットワークの中核については、先導的・革新的な取組を展開するために教員養成大学・学部、それから教職課程認定大学間のネットワークの中核になっていただくといったことでございます。

それから、(3)が学校教育の課題解決への寄与、政策提言の機能については、我が国の教育が直面する様々な課題を解決すること、具体的には、例えば新学習指導要領の実施、特別支援教育、日本語指導を必要とする児童生徒の教育、Society5.0に対応した教育内容の検討、若しくはICTを活用した教育といったことを掲げておりますが、こういったことに対しまして、理論と実践に裏付けられた対応策を提示していくこと、さらには、研究成果に基づいて政策提言までやっていただくといったことを期待されているといったことでございます。

これらを踏まえまして、点線の中でございますが、実際にフラッグシップ大学の対象になるところというのは、真にこのような役割・機能を果たすことが見込まれるごく少数の拠点となるように限定して選定すべきではないかとされております。

それから、右側の方に少し飛んでいただきまして、教員フラッグシップ大学の選定等の細かい具体的なところでございますが、公募・選定に当たりましては、希望する大学を募り、この部会の下に専門家による委員会を設けまして、厳正な評価・選定を行っていただきたく、実際には5~6年程度の期間で、令和3年度から取組をしていただくことを想定しているということでございます。

要件については、全学体制、即ち主たる目的とする学部・学科、教職大学院、附属学校等をフルセットで備えていることやリーダーシップ、ガバナンスやマネジメントの体制といったことでございます。それから、教員の実績、体制、教育研究力、それから、特に重要なところでございますが、研究開発計画・構想として、教員養成・研修に密接する分野において、特に高い、革新的、挑戦的な教員養成の在り方に関する研究開発の構想を持っているといったことでございます。

更に、多様な関係機関との連携・協働といったことができるかどうか、教育環境と財政基盤、大学教員の養成戦略を持っているか、現職教員の研修、教職を志す社会人対象のプログラムの実施等、附属学校につきましても実績と今後の挑戦的な計画を持っているかというような観点、それから全体として成果を普遍化して発信、共有できるかといったことでございます。

以上全体として、(3)にございますように、取組の進捗を評価して、必要に応じて全体の計画を見直していくとされております。

最後に、国として行うべき条件整備、支援等でございますが、制度面・予算面において、既存の仕組みに縛られることなく先導的・革新的な取組に挑むことができるように特例的な扱いを可能とするといったことで、例えば教職課程の認定に関する規制の緩和といったことに加えて、予算面での継続的な支援といったことも本文の方に記載をしております。

それから、(2)が他大学、教育委員会、学校現場を含む環境の整備といったところで、教員養成フラッグシップ大学なるところ以外の教職課程認定大学や学校における情報通信環境の整備が必要という観点についても言及しているところでございます。

それから、各教育委員会や公私立学校等への協力の要請の考慮といったことでございます。

以上が大体この報告といったことで本文としてまとめさせていただきまして、本日の最終報告をもちまして、対外的にも公表をさせていただきたいというふうに考えております。

説明は以上でございます。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

御質問等よろしくお願いします。

松田さん、どうぞ。

【松田(悠)委員】 最終報告ということで、ここからそこまで何かが大きく変わるものではないとは認識しておるのですが、御質問させていただきたいのが、大学が先導した方がいいですよねという確認というか、Society5.0に向けてというのは、今まで大学の教職課程・学部が頑張ってきたことだと思います。先ほどの全体の図を見させていただいたところで、何か結構ポイントになりそうだなと思ったのが企業の役割だと思います。そこの企業の役割をどう位置付けるかというところ、それがクラッグシップ大学、大学そのものに任せていくのか、重要なプレーヤーとして位置付けるのかによって、この想定って結構色合いが変わるなというふうに思っておりまして、いま一度確認させていただきたいのが、先ほどありました教員養成の新たな次元へ牽引する。今までと違うところって改めてどこなのかというところを確認させていただきたいのと、企業の役割みたいなものを改めてどうお考えなのかというところを、民間企業ですね、のところをお伺いできればと思っています。

【加治佐部会長】 よろしくお願いします。

【齋藤教育人材政策課教員養成企画室長】 実際に議論していただいたワーキンググループの先生方にも後程補足していただければと思いますが、後段の企業のところにつきましては、本文の方の7ページ目のところで、先ほども多様な関係機関との連携・協働といったところの中で、企業等との連携に積極的に取り組んでいるということがありますので、こういったところを当然選定に当たっては考えていくといったこと、また、先ほどの革新的な研究開発計画・構想においては、実際に教員養成系の大学で先導的に取り組まれ、中には企業から出資ですとか、実施主体としてもリードしている事例もあるというふうにお聞きしておりますので、そういったことも考慮しつつ、ただ、一応選定する相手としては大学といったことで、そういった企業の方たちも活用しながらやるということかなと思っています。

違う次元というところのお話という点については、教育の在り方自体が変わっていく中で、教員養成課程の在り方自体も教育現場に合わせて変えていくといったところも含むかと思いますので、EdTechですとか、そういったことを本文中にも記載しておりますが、そういったところも含まれるのかなと思います。

【松田(悠)委員】 議論のプロセスの中で取り扱われたのかだけ確認したいことが1点あるのですが、今、大学を母体として企業との連携という構想だと思うのですが、逆に民間企業を主体として、そこにいろんな大学や教育機関が入るという構想が議論の中に入っていたのか。そうすると結構、今までの在り方と抜本的に違うなという感覚があるのですが、そういう発想というのは議論のプロセスであったのかないのか、いかがでした。

【加治佐部会長】 どうしましょう。じゃ、柳澤課長、どうぞ。

【柳澤教育人材政策課長】 議論の過程では、そういう観点はなかったです。いわゆる教員養成というのは今でも教職課程でやっているという考えがありまして、そこにいろんな方々に入っていただく、従来やっていたレベルを超えた方々に深さで入っていただく、また、政策提言までやっていくとか、そういう観点での部分を革新と呼んでやってきたという流れです。

【浅田総合教育政策局長】 もともとはこのワーキングに託された任務が「教育再生実行会議の第11次提言で言われたフラッグシップ大学を具体化することを検討してください。」ということだったので大学中心の話になっています。ただし、議論の中で、報告書の中にも盛り込まれているようにSociety5.0ということを意識して、いわば時代を先取りして、教育を先取りした、先端技術、科学的知見、外部人材等を効果的に活用した創造的、革新的、挑戦的な今後の教員養成の在り方に関する研究開発計画や構想を有していることとか、それからさきほどありましたが、教育委員会だけではなく、NPOや企業等との連携に積極的に取り組んでおりとか、NPOや企業等との連携・協働による取組の実績を有していること、ということが入っていて、あくまで主体は大学だけれども、そういうことが非常に強く求められているということをちゃんと理解している大学ということが求められるということで議論が進んでいます。

【加治佐部会長】 はい。よろしいでしょうか。

【松田(悠)委員】 はい。

【加治佐部会長】 いかがですか。

喜名委員、どうぞ。

【喜名委員】 質問でありますけれども、日本全体で何校ぐらいの指定が行われるのかということと、あと地域に分割して、それを設置するのか。また、政策提言の中に、先ほど議論のあった免許法のことなども盛り込まれていくのかということについてお伺いしたいと思います。

【柳澤教育人材政策課長】 最終的な報告の中では、ここにありますように、ごく少数の大学ということにはなっておりますので、数は明示してございません。ただ、議論の中では、例えば二、三くらいではないかとの意見も出ておりまして、いずれにせよ多く指定するというものではなくて、とにかく突出したところを数少なくという御議論をいただいたところです。

あと政策提言の内容は、それぞれの大学がどのような内容を出してきていただけるのかなので、それがどういうものを出せというのは、ここでは書いてございませんけれども、当然ながら免許の在り方、教職課程の在り方、また、教員の就職率については、どうしても大学の評価にはつながるところがあるけれども、単に教員にするというだけの数値だけで判断するのはおかしいのではないか、教育関係のジャンルに人材を輩出しているということも評価できないかとか、その場合、どういう評価指標でそれらを評価するのか、そんな議論もありました。もしそれらの中で適切な評価指標があれば、そういうのも提言していただくというのも含めての政策提言というふうにまとめてございます。

【加治佐部会長】 地域のこともおっしゃいました。

【柳澤教育人材政策課長】 地域については、特にこの中でどのように地域に分散、あるいは集約するなどの議論はございません。

【浅田総合教育政策局長】 無理に全国に作るということではなくて、本当に突き抜けたようなチャレンジングなことをする覚悟と準備があるところといいますか。ここの報告書にも書いていただいているように、各大学でいろんな努力はされているのだけれども、やっぱりいま一歩突き抜けて新しい取組が必要だという問題意識があって、そこにチャレンジしていただけるところでないと意味がないと思っています。その意味では、幾つでなきゃいけないとか、全国満遍なくなきゃいけないというふうには考えていないところです。

【加治佐部会長】 ほかいかがですか。よろしいですか。

安部さん、どうぞ。

【安部委員】 関連する質問なのですが、教員養成大学ですので、教員養成を目的とする大学をフラッグシップ大学に認定すると思うのですが、認定された大学で養成される教員というのは、一般の教員養成の学部、あるいは開放制の下に養成されている他の大学の教員養成の教員と違いがあるのかどうか、あるいは違いを出すという方向なのかどうかということについて、どうお考えなのかお聞きしたいです。また、それに関連して、そこで養成される人材というのは、将来的には、教員養成だけに特化しない、というようなお話もちらっとあったと思いますが、教育養成を牽引するような、新たな分野の人材養成というようなことをお考えなのかということをお聞きしたいと思います。

【柳澤教育人材政策課長】 ほかの大学で養成される人との違いがどれだけ出せるかは、まさに各大学においてどういう工夫をして養成していただくかによると思うのですが、少なくとも先ほどお話しがあったような、企業やNPOなどへの広がりは、この大学には相当出していただくことになると思います。学生の実体験などもかなり入れていただかないと意味がないと思っていますので、そういう幅広さですとか、視野の広さなり、多様な主体の力を借りた教育をすること、それらは当然高いものを出ていただけるのではないかと期待しています。

ただ、それを実際にどのような形で中に組み込んでいただけるかは、応募していただく大学次第かと思っております。当然ながらやっていただくべき最低限の教職課程の内容はあり、最低限必要なものをやらないでほかのことをやっていいというものではないので、そこはしっかり必要な養成をしていただいた上でのプラスの能力ということなのかなと思っています。

それから、新たな分野についても、どういうものを出していただけるのか。まずは教員養成の大学ですので教員になっていただく。ですので、当該大学及びそこでの成果を他の大学での養成等にどう波及していくかというところが期待されているところではありますので、主眼が教員の養成であることは、これは間違いないところでございます。ただ、広く人材の養成という中で、企業等といろいろ絡む中で、必ずしも学校の教員にならないけれども、人を育てるようなところに勤めることもあるのかもしれないし、外部から学校を支援する人材になることもあるのかもしれない。ただ、今ある指標では、教員になっているか、なっていないかでしか見ざるを得ないところがあって、そういう方々が実際に学校教育にどう貢献しているかを評価する指標がないので、もしこういう大学がそのような人材を輩出し、彼らが学校をどれだけ支えているかをエビデンスで示せるのであれば、それも評価されるべきじゃないかと、我々もそう思っていますし、議論ではそういう意見も出ていたところでございます。

【加治佐部会長】 よろしいでしょうか。ありがとうございました。

用意された議題は、以上3点です。

今日はまだ少し時間がありますので、何か今日全体を通じまして、こういうことを言っておきたいというようなことはございませんか。

事務局の方、資料をたくさん用意されていますけど、何か付け足しで説明されるようなことはございますか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 せっかくの機会ですので、今回参考資料をかなりお配りしておりますので、幾つか御紹介させていただければと思います。

まず、参考資料4をごらんいただければと思います。これは昨年末に公表させていただきました、令和元年度公立学校教員採用選考試験の実施状況でございます。この参考資料4の1ページ進んでいただきまして、結果概要というところがございますが、今回の採用試験の動向につきましては、全体の採用倍率は4.2倍、前年度の4.9倍から減少しております。試験区分別、学校区分別では小学校で2.8倍、中学校5.7倍、高校が6.9倍というふうになっておりまして、いずれも前年度から減少しているというところでございます。

今回、文部科学省の方でかなり分析をさせていただきまして、次のページ、2ページ目の調査結果を踏まえた文部科学省の分析と今後の対応のところをごらんいただければと思いますが、中長期的なトレンドでは、かなり採用倍率は低下してきておりますけれども、要因としては、やはり大量退職の中で採用数の増加がかなり寄与しているのではないかというふうに考えております。例えば小学校の方で申し上げますと、新規の学卒者だけ限定して見てみますと、受験者自体は減ってはおらないのですが、やはり新規の学卒者以外の方々、特に一度採用試験不合格になった後に臨時的な任用等で何度もチャレンジされる方がいらっしゃいますけれども、そういう方の層がかなり減ってきているということがございますし、さらに採用数が非常に増えてきているところで、自治体で特に採用倍率が下がっているというような傾向も見て取れるわけでございます。

ですので、今後の対応としては、やはり計画的な採用というのを呼びかけていくということでありますとか、年齢構成のバランスに配慮しまして、いろんな形で、いろんな年齢階層の方が入ってこられるような仕組みをとっていくというようなことがございますし、何より働き方改革等も含めまして、教師という職の魅力を向上していくということが大事であるというふうに考えているところでございます。

それから、そのほかに幾つか調査関係で、参考資料5の方で教員研修の実施状況でございますとか、参考資料6で大学院修業休業制度による休業者、大学院に休業して研修に行くという方々の調査を公表してございます。

それから最後、参考資料7でございますけれども、来年度の予算ということで今要求をしてございますものが出てございます。中身は一つ一つ見てまいりませんけれども、特に今回、補正予算の中で、就職氷河期世代を対象とした教職に関するリカレント教育プログラム、今、民間企業の中で、免許は持っておられるのですが、なかなか採用に至らずに民間企業で働いておられる方ですとか、志望を変えて教職員に挑戦してみたいという方もいらっしゃると思いますので、そういった方がスムーズに教職に入っていけるようなリカレント教育プログラムというものを開発して、民間企業等から教職に入ってこられるような道も作っていくということが一つございます。

それから、この養成部会でも以前御議論いただきましたけれども、外部人材の活用というところにつきましてフォーカスを置いたような形での予算を要求してございますので、こういった形で、いろんな多様な方が教職に入ってこられるような環境を作っていきたいということで予算も計上しているところでございます。

参考資料は以上でございます。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

やはり一番気になりますのは、参考資料4の3ページ目のところですかね。確かにおっしゃるように長期トレンドで見ると、受験者が増えたり減ったりしていますので、今が長い目で見たときには物すごく少ないとは言えないし、場合によっては、先ほど言いましたように、少なかったときと比べたら、増えているという言い方もできると思うのですが、ただ、最近の傾向でいうと、24、25年ぐらいがピークで、あとずっと右肩下がりになっているわけですね。特に、この1ページのところにありましたけれども、総数が1万2,000人減っています、前年度に比べて。それまでは、たしか2,000とか、多くて4,000、5,000ぐらいでした。それが突然この年増えています。私も愕然としましたが、ひょっとするとまた今年度受験者はもっと減っているのかもしれませんが、非常に危機感を持つべきかな、というふうに思っております。

だから、そうですね、ここで取り上げるべきなのかどうか、とにかく一つこの教員養成部会としても何か、何ができるか分からないのですが、話題にして、認識を共有して、何らかの対応ができるところまでいけば一番いいと思うのですが、非常に深刻かなというふうに思っております。

何か、柳澤課長、どうですか。

【柳澤教育人材政策課長】 ありがとうございます。今、おっしゃっていただいたのは、参考資料4の4枚目の資料ですかね。受験者数と採用者数、競争率のグラフの関係でのお話の中で受験者数が減ってきているというお話かと思います。これについてしっかり対策を立てていかなければいけないというのは、まさにそのとおりだと思います。

要因としては、受験者数が減ってきている、この数年間で見てみると、景気の変動とのリンクが強く見える、つまり、民間の方に流れている傾向があるのだろうと想像できますが、かといって教員志望者が減っていいというわけではないと思っております。

そういうことをしっかり分析をした上で対策を立てなければいけないということもございまして、同じ資料の中の、資料の右下の番号でいうと6でございますが、今回新しく分析を加えた一つがここです。先ほど長谷室長の方から言及しましたけれども、上の図5の小学校の受験者数の内訳というところで、新規の学卒者と既卒者の受験者数の内訳を分析してみたものがこれでございます。濃い色が新規学卒者で、薄い色が既卒者ですけれども、新規学卒者の数で見ますとちょっと減っているという程度で、ほぼ横ばいです。一方で、薄い色の既卒者の方の数が顕著に減っており、この結果、総数が落ちていることが見えてきました。我々もこうやって分析してみて初めて分かったことですが、中学校の方は新卒の方も少し減っているところではありますが、特に小学校に関していうと、実はそんなに減っているわけではなく、既卒者、つまり、1回受けたけれどもだめだったという方は、ほかの職の方に行かれて、もう1回受けることは余りされていないということかと思われますけれども、このように新卒、既卒で分けて見ていくと、傾向も変わって見えてくる。であれば、どういう方をターゲットに打ち出していくのかも変わってくる。このため、このような分析を通じて、例えば、今は社会人向けのリカレント事業などの対策を立てていこうとしているのが現状でございます。

以上です。

【加治佐部会長】 はい。分かりました。よろしいでしょうか。

それでは、ちょうど時間になりましたので……。

朝日さん、どうぞ。

【朝日委員】 済みません、時間のないところで。全体的に通して、前回の全体の分科会のときに私、発言をさせていただいたのですが、これらの論点のまとめの中で、外の枠を強くしてくださるICTであるとか、制度の改革というところはとてもすばらしいけれども、学校としては、学校の中のチーム力であるとか、教員の集団の力であるとかいうところが非常に大事であるということを全体の中で発言をさせていただきました。

今回の教科担任制は、それの物すごくいい提案だと思っていますので、最後のまとめですけれども、この部会でこの教科担任制をやることのメリットを強調していって、小学校で言えば、本当に打ち合わせをする時間がない、それから不登校だとか家庭支援が必要な子供がたくさん出ていく中で、そういう子たちへの手当てもできない。そういうところで教科担任制が導入されたところで、きちんと教員が打ち合わせをしたり、先輩から指導方法を学んだりしていく中で、自信を持って学校の教員たちがこれからの時代の子供たちの教育に当たれるというふうに思います。

特別支援学校では、私、小学部と幼稚部だけのろう学校にいますけれども、小学部の教科指導を経験する中で、一度幼稚部の経験をさせてからまた小学部に戻したいだとか、私は前任が高等部の学校の校長でしたけれども、高等部の生徒たちの姿を見ていて、今、幼稚部におりてみると、本当に幅広くいろんなことが課題だなと思っています。教科担任制は学校の力を、チーム力を高める起爆剤だということで、是非、いろんな課題はありますけれども、進めていっていただきたいという意見でございます。

【加治佐部会長】 はい。分かりました。

それでは、これで終わりたいと思います。どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。

次回の日程、済みません、お願いします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 次回は、また後日御連絡させていただきます。

【加治佐部会長】 分かりました。済みませんでした。終わります。



―― 了 ――

 


(総合教育政策局教育人材政策課)