教員養成部会(109回)議事録

1.日時

令和元年10月4日(金曜日)9時30分~11時30分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階第2講堂
東京都千代田区霞が関3-2-2

3.議題

  1. 教員免許更新も含めた体系的、効果的な研修の実施について【審議】
  2. 教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループ中間まとめについて【報告】
  3. その他

4.議事録

【加治佐部会長】 どうも皆様おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第109回中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。

初めに、会議資料について、事務局より確認をお願いいたします。

【赤間教育人材政策課課長補佐】 資料の確認をさせていただきます。お手元に議事次第と座席表をお配りさせていただいておりまして、端末の方を御覧いただきますと、資料1-1から資料5まで、それから参考資料がございます。またデスクトップの方には、本日の会議資料含めまして第104回からの会議資料を格納したフォルダを置いておりますので、適宜御参照いただければと思います。不明な点等ございましたら、お近くの事務局員までお申し付けください。

以上でございます。

【加治佐部会長】 本日は、まず、次第にあります議事の1について事務局から説明いただいた上で、2つの機関からヒアリングをすることとなっております。1つが教職員支援機構次世代教育推進センター長の大杉様。岡山大学大学院教育学研究科副研究科長の髙瀬様から、教員育成指標の効果的な活用の在り方や、教職生涯を通じた計画的・継続的な学びの在り方としてラーニングポイント制について御説明いただくことになっております。それが済みましてから、委員の皆様から自由に御意見を頂ければと思っております。

それでは、議事の1に入ります。まずは事務局から説明をお願いいたします。

【赤間教育人材政策課課長補佐】 失礼いたします。お手元のまず資料の資料1-1を御覧いただければと存じます。ここ2回、社会人活用の関係で御議論をさせていただきまして、今回は研修の体系化等々の議論という形になりますけれども、関連する御意見を第103回、104回の教員養成部会の自由討議の中から拾い上げさせていただいておりまして、そのおさらいのような形になってございます。

幾つか項目がございますけれども、1つ大きな枠としましては、教員育成指標と養成、採用という形で御指摘いただいてございまして、育成指標、今後、具体的にどう活用していくのかとか、あるいは育成指標を作ったけれども、その周知が必ずしも十分ではないのではないかという御指摘を頂いたところでございます。

2つ目、大きな項目といたしまして、研修の体系化、それから免許更新制の関係で御議論いただいてございますけれども、まさに指標と研修をリンクさせながら、生涯にわたる成長を支えていくというための研修ということで、自らの教職員生活を振り返りながら、次の10年に向けてどういうことを研修していくのかを見直しできるような研修の在り方を検討することが必要であるとか、一人一人のポートフォリオのようなものを各教員が持ちまして、その中で次にどういう研修を受けていくのか、あるいは教職大学院の単位を取ってという形で、そういったものを累積していく、ステップアップしていくために、そういったものを累積していくような枠組みが考えられるのではないかという御指摘。それから一番最後のところでございますけれども、再任用された方の更新講習の在り方についても検討が必要なのではないかという御指摘も頂いてございます。

その次のページでございますけれども、研修体制という形でございまして、やはり学校現場の中の年齢構成が当然変わってきてございます。そういった中で、今までミドルリーダーという方がいらっしゃったわけですが、そこの層が薄くなってきている。その中で、例えば校内研修をリードできるようなスクールリーダーを意図的・計画的に育成していく必要があるのではないか。あるいは熟練期といわれるベテランの方々の研修にもスポットを当てて議論をしていくべきではないかという御指摘を頂いたところでございます。

こういった点を踏まえまして、私どもの方で、資料1-2で今回の議論に関連する論点の例をまとめさせていただいてございます。1つ目の丸でございますけれども、まさに教員育成指標と研修計画をどう更に有効活用していくのかいうことで、例えば、今日いろいろと御説明していただく形になりますが、自己との目標設定とか、あるいは研修成果の振り返りという形で、そういった効果的な活用事例を更に普及していくことが考えられると思っております。

2つ目の丸でございますけれども、大学と教育委員会の連携・教育ということで、これは当然、協議会を活用しながらやっていくわけでございますけれども、それを更に実質化していくという意味で、どういったことが考えられるかというところでございますが、研修プログラムの共同開発とか実施段階で教育委員会と大学が連携していくということは当然あるわけでございますが、実際の研修の成果をちゃんと把握し、検証し、更なる改善につなげていくというところも協議会の中でPDCAサイクルを回していくことが考えられるのではないかというものでございます。

3つ目でございますけれども、教員の負担軽減を図りつつ資質能力を向上させるための体系的・効果的な研修の在り方ということで、次の1-3の資料とまた関連してくるわけでございますけれども、各教育委員会が行っている研修でありますとか、大学で開設していただいています免許状更新講習、それから上位の免許状を取得するための認定講習でありますとか、あるいは教職大学院での単位取得というもの、様々なものがあるわけですけれども、こういったものを一連のものとして接続させて、あるいは先ほど申し上げましたとおり、ラーニングポイントという形でこういったものを蓄積していく。そして一人一人の受講履歴、研修履歴を記録していきながら、計画的な、体系的な研修を行っていく必要があるのではないかというものでございます。

4つ目の丸に関しては、初任者が円滑に勤務をスタートするための効果的な要請、研修の在り方ということでございまして、既に養成段階の学校インターンシップ等々にも取り組んでいただいてございますし、教師養成塾あるいは採用予定者に対しての入職前の事前研修もやっていただいておりますけれども、そういった実践的な機会の充実、それからいわゆる若手教員に対して、学校の中でメンター方式の研修も実際行われておりますが、そういったものも普及を進めていく必要があるのではないか。当然初任者ということだけではなくて、若年の教員が増えてまいりますので、そういった2年目、3年目の教員も含めた体系的な若手教員研修が必要ではないか。臨時的任用教員等々も含めたとございますけれども、学校の中では正規教員の先生と同じようなまさに仕事をしていただいている方々になってございますので、そういった方も含めて組織的な研修をどうやっていくかということがございます。

下から3つ目の丸に関しては、先ほど申しました年齢構成の問題の中で、いわゆる内の研修をどう充実していくかということでございますけれども、これもいわゆるメンター方式の研修の中で、研修をリードしていく方が出てまいります。そういった方々をまさにミドルリーダーとして育成していくということを例として挙げてございます。

下から2つ目の丸に関しては、管理職の養成・研修について、どういう形で進めていくかということでございますが、これは当然、教育委員会としても教職大学院というところでも、当然やっていただいておりますし、ちょっと違った切り口として、民間企業というところも含めて多様な主体によってマネジメント能力という、求められる能力を育成するための研修機会の充実が考えられるのではないかと。

そして、一番最後については、御指摘の中でもありましたけれども、いわゆる再任用された教員の資質能力の維持・向上という観点で、更新講習や研修の内容の負担といったものをどう改善していくかということを例として挙げさせていただいてございます。

続きまして、資料1-3でございますけれども、これにつきましてはまさに今、御説明をさせていただいたような内容。特に、資料1の上から3つ目の丸のところが関連すると思いますけれども、それを今回議論していただく際の一つのイメージとして示させていただいたものでございまして、左から右に教職生涯の流れの中で、様々な研修を実際に受けていく。そういったものを一連の研修履歴として記録し、ラーニングポイントのような形で蓄積して、上位の免許状、隣接免許状の取得あるいは教職大学院での学びという意味での高度化につなげていく。また免許更新制も当然ございますので、そういったものをここの中でどういう位置付けにしていくのか。いわゆる継続的な学習成果を10年ごとの中で学習歴として評価し、次への研修計画に結び付けていくようなイメージの絵を描かせていただいてございます。

事務局からは以上でございます。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

続いてヒアリングに移りたいと思います。まずは教職員支援機構の大杉様から、教員育成指標の効果的な活用の在り方に係る説明をお願いいたします。質疑応答は全ての説明が終わってからまとめて行いたいと思います。

それでは、どうぞよろしくお願いいたします。

【大杉教職員支援機構次世代教育推進センター長】 おはようございます。教職員支援機構の大杉でございます。

今日は育成指標策定について、機構の方で調査、フォローをしてきましたので、それを踏まえて育成指標の課題やそれを改善する方途等についてお話をさせていただきたいと思います。

最初に育成内容を分析する観点を述べたいと思います。これを述べた後で、どういう課題が今、教育委員会で持たれているか、これから先生方の成長を支援していくために、どういう方途を考えればいいのかということについて話をさせていただきたいと思います。

ポイントは指標の共通性と独自性という観点と、アセスメントの観点で見ていくと、課題や改善の方途が見えてくるのではないかということで、枠組みをこのように設定しました。御存じのように育成指標はこういう形式で作成されることが多いんですけれども、各教育委員会で作成されるプロセスは御存じのように文部科学省の指針に基づいて作成していきますが、世界的にはナショナルスタンダードということで、共通的なものが多いんです。日本の場合は都道府県の抱える教育課題も踏まえてそれぞれ指針を参酌しながら、かつステージの区切りも県独自のあるいは指定市独自の考え方によって何段階に分けて作られています。独自性と共通性はなかなか把握しづらいので、機構の方でプロジェクトチームを作って分析したわけです。指標が文書で書かれていますからテキストマイニングの手法を用いました。言語を区切って、どういう言語が結び付いているかということを中心に見ていきました。その結果、ほぼ10万語の用語がどういう形で結び付いているかということで見ていくと、採用時、中堅、ベテラン教員の層にはどういう用語が集まっているかを見ていきました。ざっくり言うとこういう結果になっています。教育課程についての基本的な内容理解とか、あるいはベテランになると深い理解で、指導できるほどの深い理解。資質能力については生徒指導、進路指導、授業についての実践力から、それに関する校内研修体制を構築したり、学校運営の企画あるいは参画、推進主体となって指導、助言ができるということが中心になっています。こういうものが教育委員会で書かれているということで、共通性を抜き出したんです。

次に、指標に関して今、どういうことが課題になっているかを調査してまいりました。これは先ほどの御議論のポイントのところと重なりますけれども、データ的にもこういう問題が出てきます。ただ、指標の周知あるいは理解についてはどの段階の先生も同じだというわけではないということ、指標の活用の仕方、あるいは研修効果把握というのが、教育センターを回ってみますと大きな課題になっているということが出てまいりました。

機構は育成指標に関するアンケート調査を年数回やっています。これに加えて教育センター、教育委員会を訪問し、あるいは教職大学院や学校を訪問して実際にお話を聞いて、この内容を確認しているんですけれども、教育委員会としては、指標の周知・理解について、課題だと思っていたのが、昨年末の段階です。さらに、指標に対応した研修効果把握という課題があげられました。どういう効果があるのか、本当に効果があるのかということを課題としている。その他の例はここには当たりますけれども、アンダーラインを引いているのは実際に教育センターや教育委員会をお伺いしたときに、ここがよく話題に出てきました。研修履歴システムの円滑な活用に関すること、あるいは指標策定効果、研修というよりも策定したこと自体がどういう効果を及ぼしているかをどう把握するかということが課題になっている。さらに昨年末、今後、機構が行うアンケートで取り上げれば役に立つ情報って何がありますかと問うたわけです。裏を返せば、今こういう課題があるからこういう情報が欲しいということになると思うんですけれども、ここで指標の活用に関してということが出てまいります。

さらにその他の例で、ベテラン期における指標に基づいた育成方法というのがやっぱり課題だというのが出てまいります。これはここでまとめていますけれども、管理職は校長会・副校長会・教頭会できっちり説明しています。さらに初任者は1年目、2年目、3年目までやられることが多く、中堅研で10年目程度の中堅の方が悉皆で研修で行われていますから、ここはきちっと説明している。おおむね理解されていると。先週、今週も教育センターを訪問させていただいて調査をしましたけれども、受講する前に研修の要綱を受講者にお渡しするけれども、要綱の冒頭のところにこの研修はこういう指標に対応していますという文章をきちっと書いて説明しているので、この方々はよく理解されていると思うんだけれども、ベテランの先生方は悉皆研修が少ないので、お伝えすることがまだなかなか十分できていないというのが感想として上がっています。

データ的にも校長会、あるいはセンター研修で説明をやっていますし、学校に指標を配布していますよという形で示されています。このように悉皆研修でうまく伝えていますよというのが出てきているわけです。次に、こういう状況の中で指標をどう使うかという問題を見てまいりました。便宜上、活用する場を大学と教育委員会、学校というふうに設定しました。大学ではカリキュラム・授業の狙いを改善する等というところで上がっている。あるいは教育委員会では、採用面接やセンター研修の狙いや内容編成等で活用しているとか、学校では校内研修ですが、ここはちょっと他の活用とは違いが出てくることが分かっております。

教育委員会で活用について具体的にどういうことを行っていますかということを公開されているものを御提供くださいと照会し、数十近くの教育委員会が提供していただきました。例えば長崎県は構造図で教育委員会、学校、大学はこういうところで活用できるという場を説明されています。これは、養成の目標であり、採用の目安だというゼロステージ、採用時の教員の使用ということで示されています。福岡市はこういうようなことで使いますよというのを更に具体化した形で、例えば福岡市の先生になるには、これが必要なんだということが書かれています。

各活用段階をもう少し詳しく見ていきますと、養成段階において、大学では具体的にどういう活用が求められているかということで、実際に活用しているものについて調査をした北海道のアンケート調査が公開されています。これは大学の独自性、自律性に養成は委ねられるべきであることを十分に踏まえつつ、実際に育成指標に関して、大学ではどのようなことをやっていますかということを聞いています。資料の20番のここを見ていただければ質問内容が分かるんですけれども、指標に示された当該資質能力を重点的に育成するための授業科目、例えば「講座名や科目名」や「シラバス(授業の狙いや到達目標)」において、明記されていますか、使っていますかということが問われています。新潟県の公表資料では、学部段階では資料21番にありますように教育実践研究で育成指標を配付して、資質能力について説明しながら指導したということが示されています。大学の公開例は余り多くなかったんです。このぐらいだったんです。

あと採用についても具体的にどのような指標の活用が考えられているかということで、養成と採用という非常に近接した場でどう使われているかというのを見ましたけれども、ここでは教員採用における観点あるいは模擬授業の観察視点としてこの指標の活用を検討しているという委員会がこれだけあったということが分かっております。

続いて、学校や先生方あるいは研修の関係を目標設定とセンター研修という形で表しました。これについては先生が年度当初の目標を設定する際に、指標を基に自己を振り返って目標を立てて、その達成状況を確認して研修を受講するという使い方が中心になっています。これは例えば鹿児島県の例で赤い枠組みで示しているのが、目標設定について書いてある部分です。どんな力を付けていけば良いのか、育成指標を見て今年度の目標を立てたいと思いますという使い方が書かれています。あるいはブルーのところはこの設定した目標を実現するためにバランス良くこういう研修を受けたいと思いますという形で使われますよということを示しているわけです。

続いて、学校内での研修での活用ということで、具体的には中堅・ベテラン教員が、校内研修組織作りや運営等、あるいは若手教諭への助言活動を行うことで、冒頭に説明いたしました指標に示された指導力、あるいは企画・推進力を養う「場」となるように校内研修を行うということです。いろいろな領域、テーマで、ベテランが若手に対してこういう活動をすることで、指標に沿って育っていくということが示されているわけです。

これはちょっとここに例がありますので見ていただいて、最後に、ここは少しこれからのポイントになると思いますので重点的に見たいと思うんですけれども、実際に育成指標を設定して、それを目指して成長する。その支援体制は研修等できちっとやるんだということですが、ただ、実際に自分が成長したかどうかということを評価した上で、更に次にどうステップを踏むかということが非常に重要になってきます。その意味では指標を基に設定した目標の実現状況を自己評価シート等のメタ認知機能を持つシートを使ってちゃんと把握して次の段階に進むということについて取り組んでいる教育委員会もございます。

幾つかありますけれども、例えば大阪府は初任や中堅やベテランの先生方にこういうシートを持ってもらって、ここにある指標に基づいて自分の自己評価、レーダーチャートになるんでしょうか、ここに書いて、実際に目標についてどうだったかというのを見た上で、どういう研修を行うか、かつ具体的にはセンターのこういう研修を受けるということを書いて、実際に自己評価して成長を目指している。これが記入例になりますけれども、こういうふうに年度当初の目標設定と年度末にここまでいった。これが十分にできていないということであれば、どういう研修を受けるかということを考えていこうというわけです。その他にも、こういうレーダーチャート的なシートを作って評価を行うということを行っています。こういうことを含めた上で、目指す姿にどう育っていくかという支援体制をどう作るかということを中心に考えたときに、こういうことが言えるのではないかということで、最後に個人的な意見で申し訳ないんですけれども述べさせていただくと、冒頭に言いましたように、指標については、テキストマイニング等を使って調査し、こういう共通性があるんじゃないかということで、指標の共通性と各県の教育課題を踏まえた独自性を持つ指標が出来上がってきていることを明らかにしました。大学もコア・カリを作って独自の内容を踏まえながら養成の構造を作っているときに、採用段階での指標の活用を考えたときに、共通性を評価する採用システムはどういう形であってもいいと思うんですけれども、例えば共通性だけを把握する採用試験、テストとか、あるいはもっと別の方法があるかもしれませんが、そういう検討がやっぱり必要ではないか。人は評価されるものに向かって努力するわけですから、こういう共通性の部分を明確化した上で評価していくという指標の活用ですね。養成と採用、そこに大きなポイントがあるんじゃないか。

最後2つですけれども、教員の成長支援システムとして研修があるとすれば、研修に関わって研修履歴を参照しながら、指標に示された姿に届いていない箇所を成長させるための研修メニューを紹介できるようなソフトと書いてあるのは、研修講座の受講申込みはウエブで申し込んで、アンケートもネットを使ってアンケートを送ることが多くなっています。1年後にこういう研修内容を活用しましたとか、そういうアンケートを実施されることが多くなっています。自分でこういう研修を受けた。自己評価をやったけれども、この点がまだ自分は不足している。そうすると、こういう指標を育てる研修がここにありますというのがネットで出てくるようなソフトがあれば非常に効果的に支援ができるんじゃないかと思います。

最後に研修の効果把握につきましては、成長する教員の姿を捉えるパネル調査はやらないといけないだろうと思います。その結果を毎年、育成協議会に報告するということで、策定の結果責任を明確化して、指標の活用を実質化することが必要ではないかと、極めて個人的な見解でございますけれども、考えているということでございます。

私の方は以上で説明を終わらせていただきたいと思います。御清聴どうもありがとうございました。

【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。

それでは続きまして、岡山大学の髙瀬様から、教職生涯を通じた計画的・継続的な学びの在り方として、ラーニングポイント制に係る説明をお願いいたします。

【髙瀬岡山大学大学院教育学研究科副研究科長・教授】 私の方からは、提出しております資料に基づいてお話をさせていただきます。提出しています資料の中に、概念図といいますか全体図を用意しておりますので、それは前の方に写していただきながら御説明させていただきたいと思います。お手元にあります資料も見ていただければと思います。

岡山大学の教職大学院ではラーニングポイント制については少し早めにスタートしているといいますか、そこの実現に向けて動いてきたという経緯があります。そこで、この教職大学院のラーニングポイント制といったときに、まず何をやろうとしたのかというと、とにかく教職生活の全体を通じた総合的な教員の資質能力の向上といったものに教員自らが取り組んでいくといった学びの機会を提供していこうという観点で、ラーニングポイント制を作っております。

そのときに気を付けるといったことになりますか、岡山大学の教職大学院として留意していることは、1つは学びの機会を提供するということですから、現職教員が学びやすい仕組みにしなければならないだろう。そしてその学習成果を岡山大学の教職大学院の単位として出すからには、それは大学院相当の学習である。これを保障していかなければいけないだろう。こういったこの2点を重視して、大事にしているということになります。

このラーニングポイント制を作っていくところで、少し問題になったというか、話題になったんですけれども、教育委員会と基本的には相談しながら、しかもこれを単位の履修を含めた上で教職大学院で単位とすることで、専修免許の上進とかいった部分もありますので、その辺りのことを県、市の教育委員会とは相当話をしたんですけれども、そこではやっぱり研修の実施主体がそれぞれ研修の目的というものがあるわけなので、やみくもに研修を単位化することについては、県や市の方からも反対があって、お互い異なる目標を持っているんだから、お互いに協働的で補完し合える関係であるという制度であることが重要であると言われました。現職教員が学びやすい仕組み、大学院相当の学習を実現すること、それからラーニングポイントの対象となる研修については、実施主体の意図ですとか目的だとかを互いに尊重するといったことを含めて、ラーニングポイント制としています。そうしたラーニングポイント制というのは基本的には対象となる現職教員の研修というのを指定しておりまして、そこの部分と岡山大学の教職大学院の授業を開放する。その授業は教員がそれぞれの実践活動の中から課題を見付け出して、その改善に向かって研究を進めていくという振り返りの科目という形になるんですけれども、その科目を教職大学院開放講座として開放する。これをまとまりのあるプログラムとして、セットとして、単位を出す場合には、教育実践演習A、B、C、Dという授業科目を用意しているんですが、それは専修教員免許状の課程認定の科目としても準備しておるものですが、そこの方に認定として出していると。そういった意味ではまとまりのある学修プログラムとして教職大学院の授業を対象となる現職教員研修と組み合わせて、それを教職大学院の選択科目なんですけれども、教育実践演習という授業で単位化していくといったことになっています。

この対象となる現職教員の研修ということになるんですけれども、これは岡山県の教育委員会、岡山市の教育委員会と合意したものになります。その中身については、図の中ではこの対象となる現職教員研修の例となっていますが、濃い青のものが総合的ミドルリーダー研修、教科指導ミドルリーダー研修といって、岡山県の教育委員会、岡山市の教育委員会、教員センターの方が作っているということになりますが、その授業の研修です。それから岡山大学や地域に対してやっている授業力パワーアップセミナーというもの、現職CST、コア・サイエンス・ティーチャーの養成プログラム、これは県と岡山大学がやっているものです。そこの部分を組み込んでいきましょうと。これはどういったものであるかというと、どの研修をこの対象プログラムとするかといったところで、県、市とやったときには、やはり大学院相当のレベルの学習をやらなきゃいけないということになるので、この研修というのは岡山大学の教員が岡山県の教育委員会、岡山市教育委員会との連携、協力をして、その研修の立案、実施、評価、改善に関わっているものになります。それは基本的には教育センター、市の教育センターと協働で立案から評価、改善までやるわけですから、育成指標といったところにもしっかり関わってくることになります。この研修を受ける対象についても県、市が指定した人という形になりますので、県の育成といったところに合致する、その研修を教職大学院のものとして、単位として認定していきましょうということになります。

ちょっと薄い青とオレンジ色という形になっていますけれども、教職員支援機構が開講する研修講座のうち、教職大学院が認めるものという形で、研修のマネジメントを推進する指導者の養成とを目的とする研修という枠で行われているもの。これは教職員支援機構の方で教職大学院の学生に開いている、そしてこれはもし教職大学院で単位化すると2.6単位分ですよとか、そういった形で教職支援機構の方がレベルを保証しているということになります。そうしたものは教職大学院としても認めていくという方向でいいだろうと。

それからそれぞれ地域センターというものがあって、岡山大学にもそこを使わせていただいているんですけれども、教職員支援機構と岡山大学が連携協力して、その地域センターの研修講座として開講する研修講座もやっています。これについては、中身も教職大学院の学生を意識していますし、その水準も保つということになっています。

もう1つ、黄緑色のところに入っているんですけれども、ここの部分を少し強化していかなければいけないと考えております。岡山大学の教員が附属学校園ですとか地域の連携協力校。連携協力校といってもいろいろなわけですけれども、そうした学校の求めに応じて、学校リーダーを育成するプログラム。校長先生などがこういった人材育成を含めて学校を経営していきたいといった依頼があって、そこにプログラムとして教職大学院がOJTを進めていくために協力していくと。その支援をやっていくと。これらを対象とするプログラムとして捉えております。それに教職大学院が実際に行っている教育実践研究1、2があるんですけれども、これが振り返りの科目という形がありますが、それを組み合わせることによって一つのまとまりのある学修プログラムとしています。単位の認定は先ほどから申し上げておりますようにその教育実践演習A、B、C、Dとやっておりますが、それぞれ6単位から2単位となっていますが、学びの成果ですとかそうした部分を考えながら、どの単位を認定していくのか。単位の数ということになりますが、それを認定していくのかとしています。最大16単位出せるようにはしてあるんですけれども、これは15単位を例えば科目履修等で取ったとしたら、それの専修免の上進を可能にする単位数をここでは用意しているとなります。

このプログラムの特徴といいますと、研修講座やそうした現職教員が対象として学修する研修講座自体ではなくて、教職大学院での授業を開放講座として組み合わせて学修プログラム全体を捉えていく。その成果全体に対して、単位として認定していくということになります。これは学ぶ研修の中身だけじゃなくて、学びの機会を提供して、現職教員が自分で質の向上に努めていくことを目指していますので、学び方というんでしょうか、自分をどう資質能力を向上させていくかという部分、プロセスを重視しているということになります。

以降は後ろの方の文字になっているところの方が分かりいいかもしれませんが、3というところに、令和元年度、今年度について個別の取組というふうに書いてあるところがあります。一つ、どう進んでいるかということなんですけれども、対象となる現職教員の研修は実施主体がそれぞれが行っているもの、もちろん岡山大学が実施主体となってやっているものもあるんですが、県、市なり教職員支援機構なりが進んでいますので、結局、それはラーニングポイントに関わりなく、毎年、毎年行われていくことになります。そこで、行われていくということは、結局、現職教員がこのラーニングポイントの対象の研修を受けているということとイコールになっていきますので、その現職教員が教職大学院での振り返りをして、学びというものを単位化したいと思ったときにはそういったことができる人たちが増えていっていると。毎年100名以上というのはこちらとすればちょっと謙虚な数なんですけれども、100名から200名ぐらいの教員がこうした対象の講座を受けておりますので、年々、ラーニングポイント制によって教職大学院の単位化に申請するといいますか、そういうふうに学習の成果を評価してもらいたいという人たちがいれば、それはそういった資格がある人たちが増えてきているということになります。そうした意味では特に学修を支援するという観点がありますので、いつ研修を受けたかの有効期間は特に設けていないということになります。それは研修を受けて自分がどう学校で変わっていったのか、若しくは変われなかったのか。そういったこととかを含めながら、じゃあ今はどんなふうに考えて学校で関わっているのか。そのことを教職大学院の開放講座ということで振り返ることで、自分の教職生活全体を振り返りながら、自分の資質能力を向上させていくと。そうした部分に単位を与えるというものであるから、有効期間を特に設ける必要はないだろうと考えて、このようにしております。

これによって、どういうことがあるかといいますと、教職大学院にとってはという形になりますが、その修業期間の短縮が可能になる履修プログラムになるだろうと。これは岡山大学の事情があるんですが、岡山大学は実習を余り免除していないところがあります。というのは実習と振り返り科目はセットにして捉えているというカリキュラムの都合上、実習の免除による短縮ができないシステムになっておりまして、そうしたシステムを考えた上でも、こうしたところで単位を認定していくことで、結果的に2年間の就業期間を1年間にすることも可能になっているということです。実際に県、市との働き掛けで本年度からは岡山県、岡山市からそれぞれ1名、短期履修制度という形で1年間で修了するということを前提にした、それは近い将来管理職となることを前提とするというふうに県、市から言われているんですが、そうした現職教員が1名ずつですけれども派遣されていて、来年度も派遣いただけるとなっております。それから岡山大学の附属学校・園では、授業を少しシフト等を考えて、週当たり1日半、この通学で授業を取って、2年間で修了するということを前提とした派遣も昨年度から行われていて、毎年1名ずつ来ていただいているという形です。まだちょっと数は少ないんですけれども、そうした利用といったところで始まっているということになります。

もう1つのポイントとしては、先ほど言いました支援機構の地域センターを利用してという形になるんですが、そこの正式な講座として、岡山大学で作成した研修プログラムを認めていただいて、開講していくということをやろうとしています。それは全国に開かれた岡山大学が教職大学院のラーニングポイント制とする意味で、支援機構の講座は全国に開かれていますから、それが単位化されていくということで、岡山県、岡山市だけじゃなくて、全国に対しても責任を持って単位を出していくということが可能になるのではないかということで、ここの研修講座についての作成と、開発といったところに力を入れているということになります。

もう1つは、やっぱり本来であれば地域の先生方がそれぞれの学校でOJTなり、そうした人材育成に関わりながら、そこで資質向上をさせていくことというのが教員としては一番多くの先生たちが行われる研修だろうと考えますので、今、ちょっと力を入れていますのは、先ほど言いましたけれども、学校側の校長等からこういったOJT研修を自分の経営戦略の中に入れてやっていきたいという要望があった場合には、そうしたプログラムを人材育成の観点から考えて、その経営戦略を応援する。そうした要素、コンサルテーション的な要素も踏まえた研修プログラムを協働で開発していると。これはまだ開発段階という形になるんですけれども、まずは附属の幼稚園、小学校の方でも安全管理・安全教育の実現に向けたOJTといったところで、ほかの教職員といいますか、多くの関係するOJTに参加している先生たちみんなに対して、そこの研修をなるようにはこっちにはどうしたらいいかを今、検討しているところです。

それから岡山市立の小学校から要望があってやっているんですけれども、地域資源を活用した教育課程の編成・実現に向けて、若い先生たちが多いので、そういった先生たちがきちんと学校の教育課程というものを考えられるようにしていきたいという校長の思いとかがありまして、それに対してそういったことを念頭に置いた校内研究への支援ということをしてほしいと言われていますので、それをプログラム化していくという動きがあります。ちょっとこちらとしても予想外だった部分があるんですが、真庭市という市があるんですけれども、その真庭市の教育委員会から、真庭市に在住する高校生が教職を希望するというところを盛り上げていって、大学に教員になって、採用されたときには真庭市の教員、若しくは近隣の教員になって、地域の教育に貢献していくといった養成・採用研修、養成の前の教員志望者の増加といったところから含めた取組をやろうとしていますので、そこへも教育をしてほしいと。ひいてはこういったプログラムの中で、そこにいる指導主事の先生たちにラーニングポイントを与えて、将来的にはまたそういった人たちが教職大学院で学んで資質向上に努めていくということを考えたいと、教育長からの依頼がありまして、これもプログラム化できないかと考えているところです。

そうしたところでいいますと、今言う養成といいますのは、比較的学びやすい部分といったところが出てきていて、県、市からいいますと勤務校を離れた長期的な研修が難しい40歳代後半の現職教員が派遣されてきているという意味では、少ないんですけれども、学びの機会を少しは広げることになっているのかなと思っています。それからこういった研修を受けた人たちにラーニングポイント制に活用されますよと言うことで、かなり自分たちの研修を教職大学院として単位化して、将来的に教職大学院に入りたいという問い合わせ件数は研修のたびに増えていっているということになっています。それが大事なのは、教育委員会にとってはこの研修という一人一人の研修をキャリアパスというんですか、そういった部分の一部としてきちんと位置付けられるということが大事で、先ほどから出ていますように、教職歴や研修歴がきちんとポートフォリオ化されていくことが重要なんだろうと。そうすることでこういったラーニングポイント制も広がりが出てくると。現在は研修の修了証明を出して、そこの部分でも判断しているという状況になりますが、ポートフォリオ化されていくことも必要かなと思います。

大学としましては、県、市、教職員支援機構と関わりながら、学校と関わりながらこういったプログラムを作るという形になりますので、県、市。

【加治佐部会長】 済みません。時間が大分。

【髙瀬岡山大学大学院教育学研究科副研究科長・教授】 済みません。そこの部分でやっていくということになります。そうしたところで将来的に教職大学院の単位化ができるということになりますので、教職大学院の学習に対するインセンティブが高まる取組と結び付いていけばこういった活動は広がっていくのかなと思っております。

以上です。長くなりまして済みませんでした。

【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。

それでは、大杉様、髙瀬様からの御説明についての御質問も含めまして、御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。

いかがでしょうか。それでは橋本委員、松田委員ですか。

ではまず橋本委員、お願いします。

【橋本副部会長】 具体的な報告を頂きまして、本当にありがとうございました。特に最初の大杉センター長のお話についてですけれども、感想と意見になります。

調査結果の報告もしていただきましたけれども、まさに私どもも同じような結果になっているな、あるいは指摘されたことも全く重なるなと思って聞いておりました。それに加えまして、いろいろな検討も具体的な工夫された事例も御紹介いただきまして、本当にありがとうございました。参考にしたいと思いました。その中で、自己評価ですね。大阪府等の事例の報告を頂いたんですけれども、これを見ておりまして、実際に教職員評価制度なんかも入って、校長が面談するときにいろいろ評価をする材料としてこういったものを有効に使えるんじゃないかなと。もっとその辺をリンクさせて取り組んでいければこれも非常に意味を持つんじゃないかなと感じたところです。

それから、最後にまとめのところで、個人的なとはおっしゃいましたけれども、指標については、我々も全国的にかなり共通性があるんじゃないかなと感じております。それについて共通性を評価する採用システムということで、採用統一試験などの検討がとおっしゃいました。まさしく大学入試と同じで、共通性のある部分について、共通テスト、そして個別性を活かすところについては、各府県で別の試験を考えてという、こういうシステムは大いに考える値打ちがあるんじゃないかと思いましたし、是非こういったことが実現されるように、これは教育委員会としても願っているところであります。

以上です。

【加治佐部会長】 では、御意見ということでよろしいですか。

【橋本副部会長】 はい。

【加治佐部会長】 それでは、松田委員、お願いします。

【松田(悠)委員】 ありがとうございます。すみません、途中で失礼するため、先にコメントさせていただきます。

質問とコメントがちょっと混ざっておるんですけれども、まず1点目、採用に使われているとおっしゃっていましたが、とても素晴らしいなと思いました。ここでの御質問なんですけれども、これは採用で使われることを前提に設計をされているのかというところはちょっとお伺いしたいなと思いました。私は採用基準と現場に入ってからの育成の基準は多少性質が変わるものがあると思っています。採用の段階では、やっぱりトレーニングが難しいものというところを見極めていく、トレーニング可能なものについては、入ってから指標をうまく使って運用するということが効果的だと感じております。その辺の設計の思想と、今後もし採用から一貫したルーブリック、育成指標みたいなものも検討されている場合であれば、そのお考えをお聞かせいただきたいと思いました。

2点目ですけれども、これはどなたが指標を作っているのかも結構重要だなと思っておりまして、そこの作るプロセスであったりだとか、見直しのプロセスですね。恐らくPDCAを回していくことはとても重要だと思っておりますので、そこの仕組みについてお伺いをしたいなと思いました。

次ですが、26スライド目か何かにベテラン、中堅層が新人教員を育成するということもありましたが、私なんかは今後はベテランか否かということが重要というよりは、指導力があるかどうかがすごく重要だと思っておりますので、今後こういったものを運用する若しくは作っていく際には、できるだけ若手の、エネルギーがあって、本当に学習熱心でいろいろな時代に合った研修であったり指導法みたいなことを開発されている方々を中心に作っていくと、またちょっと雰囲気が変わるのかなと思いましたので、なんかベテラン至上主義……。まあベテランの方々が素晴らしい先生方がたくさんいらっしゃるので、そこはそこでうまく知見は活かしながら、どちらかというと時代に合った教育という観点からはかなり若手の力を活用されていくとよろしいんじゃないかなと思いました。

あとベテランにどう活用していただくかという話だったんですけれども、やっぱりこういうものというのは、評価をするのであればそれがどう待遇につながっていくかとか、そういったところの連動が重要になってくるかと思いますので、恐らく今、そこが余り直結していないからこそ、なかなか捉え方がちょっと異なってしまったということがあるのかなと思いましたので、そこら辺のベテランに向けての浸透というところと実際の評価と待遇であったりの連動性というところのお考え、何かあればお伺いしたいなと思いました。

あと、最後ですけれども、共通性はとても重要だと私も思っているんですけれども、なんかもう時代がこれだけスピーディーに変わっていく、Society5.0の話もありますけれども、私の中での共通性というのは、多分時代が変われど変わらない大切な子供たちと信頼関係の築き方であったりだとか、コミュニケーションの取り方であったりだと思うんですが、併せて専門性のところがよりすごく重要になってくるかなと思いますので、都道府県に合った地域の特性に合った個別性、専門性というのもあるんですけれども、教科に応じた専門性のところを今後どうお考えなのか、作られるのにどうお考えなのかというところをお伺いしたいなと思いました。

ちょっと多くて申し訳ございません。以上でございます。

【加治佐部会長】 それでは大杉さん。

【大杉教職員支援機構次世代教育推進センター長】 5点ございましたけれども、1点目の採用なんですが、これは資料で見ていただきましたら23番になると思うんですけれども、これにつきましては、現在これを検討しているという段階になるんです。ただ、採用時のときの指標のクラスター分析を行ったのですが、そうすると、大きなクラスターが9つできました。一番数が多いのは、基礎的な知識を身に付けているクラスターで、その次に、重要な内容について理解、実践力とか、実際にまだ授業を行っていませんので、教育課程や学習指導要領といった基本的な内容について十分理解しているということがやっぱり出ています。あとは指導法とか授業とかそういったものを考えるというところが出ていますので、面接のときにそれを視点に見ていくことは可能であろうかと思います。

2点目に誰が作っているかということについては、協議会のメンバー構成は、協議会本部だけの場合と、下部の組織を作っているとか、原案を教育委員会でお示ししながら議論して作っていくとか、都道府県によって違いますので、教育委員会によっては協議会の議事録をホームページで公開されています。これは全部違いがあるということで、1つに絞って言えないなということがあります。このPDCAシステムを回す場合、教育センターによっては、指標に基づいて研修計画を作る。研修を実施する。研修を実施した後、年度末に研修内容を基に自分はその成果を学校の改善にどう使ったかというのをウエブで報告してもらって、それを基に研修センターは指標と研修計画を改善していくことを考えていく。それは当然、協議会等に上げられるんだと思うんですけれども、そういったことが行われているところがあります。

あとベテランと新人の関係なんですけれども、おっしゃるように年齢ではなくて職務経験年数なんですが、教育センターによっては10年目の方と1年目の方を一緒の研修を行って、そこでベテランが新人に対して指導・助言しつつ、内容を両方が学んでいくとか、あるいは5年目の人に地区内の研修計画を立てて、運営を任せて指導を発揮させて、実際に新人を育てるというシステムを作っているところとか、いろいろな形で行われていると聞いています。

あと、4番目の質問なんですが、人事評価とまた狙いが違いますので、確かに国によっては一致しているところがあります。先々週シンガポールに行ったときには、NIE、ナショナル・インスチュート・オブ・エデュケーションで、スタンダードと人事評価を一致させている話を聞きました。教育長から推薦を受けた人が研修して、それをうまく基準を超えると上級の職に登用されるということでした。一致しているところとそうでない国があります。我が国は先生方が成長の姿を見つつ、前の人がこういうふうにやるから自分たちはやっぱりこういうことを目指していこうということを考えるというものになっています。

あと、共通性につきまして、確かにおっしゃるように時代が変わったときに専門性という問題が非常に出てきますので、このことが一番反映されるのは恐らく高等学校だと思うんです。高等学校の教科の部分だろうと思います。指針では教科ごとの指標があってもいいと書いてあるんですけれども、まだ全国的には教科の指標が出ているというデータはないです。29年度末に作って、30年に研修を実施して、31年度にちょっと改善も含めて検討しているという段階なので、これから期待したいと考えています。

【松田(悠)委員】 ありがとうございます。

手短に1点だけ。大変生意気に聞こえるかもしれないんですけれども、やっぱり現行のベテランの先生方であったりだとか教育センターが現行のものを評価して改善をするとなると、今までの連続性の中でしか物が作れないと思うんです。僕、今、時代がこれだけ劇的に変わっていく中を考えていくと、未来から逆算してどうあるべきなのかという議論も、いいバランスで組み込まれながら、こういった設計が進むといいなと思っておりますので、過去からの連続性、経験からの連続性と、全くもって別次元の未来からの逆算した志向で、こういった指標であったりだとか中身が作られてくるようになると、とても時代に合って、現場に合ったものが設計されるかなと思いましたので、是非御検討いただければと思いました。

ありがとうございました。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

いかがでしょうか。では北神委員。

【北神委員】 ご発表ありがとうございました。

大杉先生に1つ、指標の活用の部分で採用絡みのところでお尋ねしたいことがあります。作られている指標は国の指針でいうと、採用1年目からスタートするという形で作ると指針で出されているわけですが、幾つかの自治体は、いわゆるゼロステージといって、養成が終わった採用時のところとリンクする、養成の最後と教員1年目の接続の部分をゼロステージという形で設定されているところが幾つかあります。そういうところでは、協議会の中で、例えば採用の在り方なんかは議論されているようなことが議事録から読み取れるようなことか、そういう中身が分かるようなものがあるのでしょうか。そこに大学関係者も協議会に入るわけですから、その育成指標に基づいて採用の在り方もこんな形で考えていくんだみたいなことが議論の俎上に上がっているのかどうか、調査された関係の中で分かる範囲で結構ですので教えていただければと思います。

【大杉教職員支援機構次世代教育推進センター長】 協議会の議事録が公開されているところは非常に少ないので、まだそこの点については把握できていないですけれども、ゼロスタートのところの指標を分析すると、先生がおっしゃるように養成段階の目標を非常に重視したような指標と、教育委員会がこれからの研修の第1段階という指標の在り方に、重点が分かれているところがあるんですね。両方併せ持つということなので、どちらかに重点が掛かっているという感じの分析結果が出ております。

【加治佐部会長】 それでは、古沢委員、お願いします。

【古沢委員】 御発表どうもありがとうございました。

大杉さんのお話を伺って、やはり養成採用研修の一体化というのはある程度必要なのかなと思いました。

ちょっと細かいことかもしれませんが、岡山大学の髙瀬先生に御質問なんですけれども、1つは、ラーニングポイントというのは非常に興味深く伺っていたんですが、附属学校に週1日半派遣するというのをもうちょっと詳しくというか、具体的にどのようなことをされているのかということと、あともう1点、特定の自治体への支援ということなんですけれども、高校生段階の志望者を大学として支援していくというのは非常に面白いと思ったんですが、差し支えなければもうちょっと具体的に伺いたいと思いました。

以上です。

【加治佐部会長】 それでは髙瀬さん、お願いします。

【髙瀬岡山大学大学院教育学研究科副研究科長・教授】 ありがとうございます。

附属については、附属ですから勤務しているわけなんですけれども、同じ大学ということもあります。私たちのところは交流という形で県、市の教員が附属の方に来ているわけなんですけれども、附属でいろいろ学ぶ中で、教職大学院で授業料を払わなくて良いという形になりますので、学ぶということが県、市にとってのメリットにもなるといったことで話ができたところです。ただ、授業がありますので、ちょっと難しいながらもやっていただいているのは、1日半研修日と附属の方が空けてくれて、その空けてくれた日は岡山大学にやってきて授業を受けると。岡山大学としてはそこに必修科目というのを曜日で固められるようには時間割を組むんですけれども、必修科目はそこで取った上で、附属の先生たちに対していろいろ授業とかの振り返りの科目とかというのは土曜日だとか日曜日だとか、夏季期間とかを利用したりしてやりながら、1日半大学に来るということを2年間することで2年分の授業を履修したということで修了できるという制度にしています。

先ほどもう1つ言った真庭市については、教育長さんが県北といって岡山の中でも北の方にあって、なかなか教員が定着してくれないと。ここで採用されて3年間ぐらい出たら、また岡山市とか倉敷市の大きな町に出ていってしまうとなってしまうと地域の教育が成り立っていかない。そうすると定着する人が欲しいということで、地元の高校生で教職員になる人たちから支援をしていって、それが大学、いろいろな大学とかに出て、そこからまた戻ってきたときに、その先生たちがこの地元でまた貢献できるように、この資質向上といったところを市がきちっと循環的にいくように支援していきたいんだ、そういったシステムを作りたいという意向があって、そのときにそのプログラムを作る教育委員会の職員ですとか、学校の先生たちにまた学びの機会を広げるという意味で、ラーニングポイント制に活用していきたいと。そうした市の大きな循環的なイメージの中に入ってやっているという形になります。

【加治佐部会長】 続きまして、喜名委員、本図委員、木村委員の順でお願いします。

【喜名委員】 ありがとうございました。

大杉先生からお話のあった成長把握のための自己評価ということはとても大事だなと思っています。その背景としては教師自身の成長とか学び続ける教師ということを考えると、自分自身のこと、自分の指導力などを客観的に把握できる力というのが必要だと思っています。そして、現場ではやはり一番ここが問題ではないかなとも思います。この自分の指導力だとかそういうものを客観的に判断できるかどうかという力は弱くなっているのではないかなと思います。そういう意味ではこの指標をもっと細分化して、ルーブリックのような形にして見ていくということも必要だと思いますし、もう1つ、研修そのものにこの自分をしっかりと見ていくという中身も研修の中身として必要ではないかと思います。先ほどお話があったように、今までやってきたような研修ではもう教師の今の資質能力に追い付いていかないというのが実際のところでありますので、教育委員会や学校が行う研修も内容を変えていかなければいけない。その1つの柱がこのメタ認知力ではないかなと思っています。意見でございます。

以上です。ありがとうございました。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

それでは、本図委員、お願いします。

【本図委員】 御報告ありがとうございました。大杉先生と髙瀬先生に1つずつ質問がございます。

大杉先生にお伺いしたい点は、指標の共通的なところ、独自性含めても全国展開されているところで、問題はそこに一緒になって行われている研修の質ではないかと思うんですが、ここの研修の中にマクロ的な情報とミクロ的な、例えばカリ・マネというのはもう皆さん現場でも分かっているわけで、実際にカリ・マネということをベースにして、じゃあ探求の課程ってどうやっていくの? それはミドルリーダーとしては何をしていくの? というようなマクロとミクロが兼ね合った研修が本当に展開されているかどうか。ここが次の非常に問題なんじゃないかと思うんですが、そんな点はいかがでしょうかという御意見を頂きたいということでございました。

それから髙瀬先生には、もし聞き逃していたら大変恐縮なんですが、このラーニングポイントは専修免許状の一角を担う可能性があるのかどうか。すなわちそういった免許とか免許の可能性、上進の可能性とか、ラーニングポイントを持ったことが、そういったものを持った先生方の学校の配置にどう関わっていって、そういうことは学校は教職大学院はそういった人事に教育委員会のところに口出しできないと思いますけれども、少なくともそこをどう図っておられて情報共有をされておられるのかというところを少し教えていただきたいです。

【加治佐部会長】 それでは大杉さん。

【大杉教職員支援機構次世代教育推進センター長】 御質問にありましたように、研修の質というのは本当に大事な点だと思います。この点については教育委員会も研修効果把握とか、研修効果測定について、非常に課題意識を持っておられます。先ほどの説明でも申したんですけれども、実際に研修内容を身に付けて、それを使って、研修は自分の理解だけじゃなくて学校を変化させるというところまでが研修効果と考えたときに、1年後に、年度末にこの研修内容を受けてこういう取組をしました、こういうように変わりましたということをウエブでアンケートで答えるんですけれども、先ほどお話がありましたように、その自己評価は本当に正しく評価されているかという問題が当然出てくると思いますが、それについては校長先生も確認して、確かにそうだ、いや、そこまでいっていないとか、それを同時に記入してセンターへ送り返すというシステムを作っているところもあります。これは公開されているところなんですけれども。

【本図委員】 それは機構でもそういった研修をなさっておられて、私がおります宮城県でも総合教育センターとそんなふうにもっと変えていこうなんて進めているところなんですが、問題は先生方は学校を支える力とか協働するとかそういった言葉はもう分かっているんだけれども、問題は、じゃあ本当にそれをどんな姿で、学校の文脈の中で実際にはどんな言葉でやっていくのかというところは、仙台市のセンターと今、一緒に研究したりしているんですけれども、まだまだ分からないんですよね。特にミドルリーダーのところなんていうのは、文章が様々なので、研究から生徒指導から教務から。抽象的な言葉では幾らでももう耳に入っているんですけれども、それをどうしていくかという実例をもっともっと研究して、そして共有して、その実例の姿で実際の子供への指導、先生方へのリードをやっていかなければ、まだまだやることがいっぱいあるんじゃないかななんていうふうに思うところでした。

【加治佐部会長】 それでは髙瀬さん。

【髙瀬岡山大学大学院教育学研究科副研究科長・教授】 専修免許につきましては、認定する教育実践演習A、B、C、Dという授業があるんですが、課程認定上のものを受けていますので、ここをラーニングポイント制で取る授業ということが専修免許につながります。そのために、内容とか担当者とかいったものが条件に合うように一応、配置はしております。その学校の専修免許を取った人たちをどう配置するかというのは、おっしゃられたように大学院の方から県には特に言えることはなくて、うまくできていないという状況です。

【加治佐部会長】 それでは、木村委員、川越委員、竹原委員、立田委員の順番にお願いします。時間も大分迫っておりまして、もう1つ議題もありますので、簡潔にお願いします。

【木村委員】 御報告ありがとうございました。

私は長崎県の行政におる者ですけれども、本県の動きと併せて感想を述べさせていただきたいと思います。

私どもは育成指標を県内の教員養成機関の大学と一緒に作りました。その結果、育成指標を大学と共有ができたことが大きなメリットだったと思っています。加えて、先ほど松田委員がトレーニングできないものとトレーニングできるものというような言い方をされたんですが、全くそのとおりだと思いつつも、私どもは、是非大学の間にトレーニングしていただきたいものを共有できたと思っています。

2つ目なんですが、同じように教職大学院のコース内容においても、この指標を基に大学と協議をし、指標に基づいた内容の工夫、コースを作ってもらっている。この辺りもメリットです。また、私どもが行う採用の視点の1つでもあります。加えて、研修の体系化の大きな方向性にもなりました。このことも良かったと思っています。

これも先ほど松田委員がおっしゃったことと関連するんですが、若手を鍛えるという話がありました。指標で明らかになったことは、若手から中堅ぐらいまではしっかり鍛える。ところがそれより上の世代になりますと、ミドルリーダーとか管理職員とか幾つかにぐっと絞られてくる。ミドルリーダーと管理職員以外も多数いるんです。彼らをこの指標の上でどう育てるか。もう少し言えば、再任用も含めて先輩の先生方にも活躍していただかなければならない。この先輩の先生方に教員生涯を最後まで現役でばりばりでやり抜いていくための指標でもなくてはならないという考え方を私どもは持っています。

そこでもしアイデアがあればということなんですが、私は最終的にはOJT、学校でどうするかだと思います。育成指標の周知徹底まではいけるんですが、活用となるとなかなか。ベテランをどう研修に向かわせるかなど、先ほど自己評価の例があったんですが、学校での指標の活用の仕方について、良い例があれば教えていただきたいと思います。

以上です。

【加治佐部会長】 よろしいですか。ではベテランのところを簡潔にお願いします。

【大杉教職員支援機構次世代教育推進センター長】 学校訪問をさせていただいたときに、校長先生から校内研修について、OJT中心だと思うんですけれども、学校の教育課題を今まで取り上げて研修をしてきたので、指標に沿って研修するという観点がちょっと欠けていましたと。検討したいのはいろいろなテーマ・領域について、ベテラン、専門的な知識や指導能力がある者がメンターとなって、ちゃんとあらゆる問題について組織を作って企画を立てて、指導するということを任せてやるという方向です。そういった能力を育てることをやっぱり検討したいと。おっしゃるように本当に課題なので、また。済みません、来週は長崎を訪問させていただきますので、よろしくお願いいたします。

【加治佐部会長】 よろしいですか。では川越委員、お願いします。

【川越委員】 御報告ありがとうございました。私から2つ感想と要望といいますか、ちょっとお話しさせていただければと思います。

1点目ですけれども、養成、採用、研修の骨格となる指標ですけれども、その対象となる教員にとっては、是非、自分自身のロールモデルを考える上での参考になるような指標になればと思います。というのは、かつては学校にはそれぞれの年代の教員がいて、学校の中に教員としてのキャリアを考える上でのロールモデルを見い出すことができたんですけれども、今、年齢構成がアンバランスでそういうことができません。ですから、是非指標が、教員が自分自身のキャリアプランを考えていく上での参考になるような内容になってほしいというのが1つ。

それから研修のお話が出ましたけれども、中学校長会の調査によれば、重要性は認識しているけれども学校で十分できていないことの一つにOJTがあがっています。6割強の学校でOJTができていない。もう1つは、様々な先進校の視察など学校の外に出かける、これも5割強の学校ができていないという現状がございます。そこで、研修の内容ですとか実施方法を考える際に、先ほどの資料のおしまいの方にあったICTの活用を推進していただきたい。子どもたちの学習も個に応じて、いつでもどこでもできる学習ということがうたわれていますので、教員研修についても、是非どこでも時間を選ばず研修できるようなことも併せて考えていっていただければなと思っております。

以上でございます。

【加治佐部会長】 分かりました。

それでは、竹原委員、お願いします。

【竹原委員】 ありがとうございます。

今後変化していく社会で子どもたちを育てるとき、教員養成段階で学ぶ内容も変えていかなくてはいけないと思っています。その中で、今の先生方が既に大学で学んできたことではない、新しい課題やテーマがありますが、中でも社会に開かれた教育課程を実現するために、企業や地域ともっと連携・協働し、パートナーシップを結んでいくために、マインドを変えていかなくてはいけないと思います。学校と地域がどうつながるかということを深く学び、協働的に動けるような内容を入れていただければと思っております。

【加治佐部会長】 また参考にしてください。

それでは、立田委員、お願いします。

【立田委員】 まずは感想ですが、前回の議事にもありましたけれども、今後、学校現場に多様な人材が入ってくるであろうということを考えますと、今、児童・生徒に個別最適化された学びが求められているのと同じように、教員にも一人一人に応じた研修とか育成が必要ではないかと思います。お話にあった研修履歴に基づく研修紹介ソフトの開発や、ラーニングポイント制ということには大きな期待をしたいと思います。

一方で、ここからは意見になりますが、今、学校現場の状況を考えますと、研修がしづらい状況、学びにくい状況というのがあると思いまして、3つに絞ってお話をさせていただきます。1つ目は働き方改革の関連で、今、夏休みなどの長期休業中に学校閉庁日を設ける自治体が増えていますが、この閉庁日には基本的に集合研修は入れられませんので、研修の回数を減らさざるを得ない、あるいは閉庁の前後に数多くの研修が集中して、運営する教育委員会の側にも難しさが出てきていると思います。

2つ目は都市部を中心に10年ほど前から教職員の大量採用のピークがありましたけれども、その大量採用の世代が今、子育て世代へ移行していて、育児休業を取得する教員が非常に増えています。3年あるいはそれ以上、育児休業を取得した後、復職しても今の変化の激しい学校現場になかなかなじめずに、離職に至ってしまうケースも見られます。そこで、休業中にも学ぶ機会を確保していきたいということがあります。

3つ目は今のことと表裏一体ですが、臨時的任用職員や非常勤講師が増加している中、こういう立場の方は参加できる研修が限られていたり、勤務条件の関係で参加できなかったりという課題があります。こうした課題をクリアするための手立ての一つは、先ほどお話のあったICTの活用だと思います。といっても、特に新しいシステムを大々的に開発ということでなくても、例えば教職員支援機構のオンライン校内研修システムですと、1つの講座を20分ぐらいにまとめたものが既に80本以上、配信されていると思います。こうした既存のコンテンツをうまく活用して、教育委員会が学びの機会のパッケージ化を図ることも有効ではないかと思います。いずれにしても、ICTの活用には教員一人一人に応じた研修や学びの機会の確保という面で、様々な可能性があると考えます。

以上です。

【加治佐部会長】 御意見ということでよろしいですか。

それでは、一木委員、お願いします。

【一木委員】 特別支援の立場から大杉先生に1点、お尋ねさせてください。

特別支援学校の教員に求められるものというのは、基本的には小中高の教員と共通する部分があろうかと思いますが、加えて独自性もあるかと思います。育成指標や研修の在り方の議論において、特別支援学校教員の養成の現状ですとか、現職教員の実態がどの程度、加味された議論となっているのか、あるいはその点については今後検討を別途必要とするとお考えになっておられるのか教えていただければと思います。お願いします。

【大杉教職員支援機構次世代教育推進センター長】 今、本当にインクルーシブ教育が重要視されている中で、本年度調査をしましたら、教員についての指標は全部作っていますけれども、新たに作りましたとあったのは、特別支援学校の先生の指標を独立させて作りましたということです。そういった形で徐々に特別支援教育についての内容について議論が出てくるのではないかなと思っています。

あと1点、さっきのICT活用で、今週、教育センターにお伺いしたときに、西日本なんですけれども、働き方改革や育児休業はまさにおっしゃるとおりです。ただオンライン講座を見るときの障害になっているものが1つありまして、それは市町の学校でYouTubeが見れないようにシャットされているということです。オンライン講座なりICTを使った集合研修じゃない形でできるものが、そういう内容以外のところで障壁になっているという話をお聞きしましたので、加えさせていただきたいと思います。

【加治佐部会長】 ありがとうございます。

それでは、私から髙瀬さんに2つほど。1つは、岡山大学のラーニングポイント制は質保証といいますか、教職大学院のレベルを保つということが非常に意識されていると思います。確かに書かれていますように、あるいは本図さんも言われたように、教職修士につながる研修ですよね、教育委員会のものもですね。あるいは専修免許状につながるわけですよね。ただ、そういうふうに非常に工夫されて質保証されようとしているんですけれども、一方で、余りそこにこだわると今度はなかなかやりにくいですね。ハードルが高くなります。特に現場の方にとっては。そういう難しさがあるんですね。だけれども、質保証が要るということです。だからその質保証のところを、教職大学院の科目はともかく、その教職大学院の単位になるかもしれない教育委員会が用意される授業、研修のプログラムあるいはその中身についての質保証が要るわけですよね。それについて、これは大学と教育委員会だけの問題なのか、そこに何らかの国としての質保証をやられるのか。つまりこれは専修免許状とか教職修士につながるということなんです。そこらをどう考えているのかをお伺いしたいというのが1点です。分かる範囲で。

それともう1つ、髙瀬さん、これは経営する側として非常にあれなんですよ。ちゃんと大学に収入が入るのかな。教育委員会の研修にも大学は関わっていますよね。その質保証するためのいろいろな工夫もされている。そのコストは誰が払っているのか。とにかくそういうコスト負担の問題あるいは収入の問題のところをちょっとお伺いできればと思います。

【髙瀬岡山大学大学院教育学研究科副研究科長・教授】 ありがとうございます。

質保証の部分について、おっしゃっていただいたように教職修士、専修免許につながることになるわけなんですが、少なくとも県と市との話の中では、県、市が出す研修についてはやっぱり教職大学院なり大学なりの教員が立案していて、その立案している人間が認定される単位の事業者であると。要するに課程認定で通っている人間であるといったところを今のところはそういった制限の中でやっているという前提があるのでやっています。そこの部分がもう少し緩やかになってくると、私たちとすると、どなたかが研修そのものを単位化するとかと、少し楽にできるのかなとは思っているんですけれども、今のところの工夫としては、担当者とかもなりながら内容等のシラバス、大学の方の授業のシラバスを研修内容ときちっと合うように作っているといったところがあります。ですからこれから広げていくにはどうしたらいいのかというところなんですけれども。

コストの面については、実際に立案している人間のコストに関しては、ボランタリーなものになっているということです。科目等履修とか教職大学院に正規の学生として入った場合にはその授業料でしか入っていないということになります。

【加治佐部会長】 分かりました。ありがとうございました。

それでは、本当にありがとうございました。お2人の御報告は大変に有意義で、今後のいろいろな施策立案に参考になったかなと非常に思っております。どうもありがとうございました。

それでは、議題の2に移ってまいります。事務局から教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループについて、中間まとめに係る報告をお願いしたいと思います。

よろしくお願いします。

【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】 それでは資料4-1と資料4-2に基づきまして、Society5.0時代に対応した教員養成を先導するフラッグシップ大学の在り方についての中間まとめについて、御説明いたします。

まず資料4-1で、概要を示しております。これで全体像を把握いただければと思いますが、このフラッグシップ大学の中間まとめにつきましては、教育再生実行会議の第十一次提言を踏まえまして、フラッグシップ大学の目的や必要性、その役割、また創出方法でございますとか、国として行うべき条件整備、支援などについてまとめたところでございます。

このような骨格で中間まとめは構成されておりますけれども、具体については、資料4-2に基づきまして御説明いたします。

資料4-2を御覧ください。1ページ目が目次ということで、先ほど申し上げました骨格の部分でございます。次の3ページ目は中間まとめの性格でございます。この中間まとめは、先ほど申し上げました、教育再生実行会議の第十一次提言「技術の進展に応じた教育の革新、新時代に対応した高等学校改革について」を踏まえてまとめられているものでございます。教育再生実行会議では、該当箇所を抜粋したものを枠囲いで入れておりますけれども、例えば今後の社会変革に伴う教育革新の大きな流れを見据え、教師のICT活用指導力の向上、アクティブ・ラーニング、個別最適化をはじめとするSociety5.0に対応した、産業界とも連携し教員養成を先導するフラッグシップ大学(例えば教員養成の指定大学制度等)を創設するといったような議論がございました。また、AIやIoTなどの技術革新に伴って変化するこれからの社会で活躍することのできる人材を育てるために、STEAM教育や児童生徒がICTを道具として活用することを前提とした問題発見・解決的な学習活動等についての高い指導力を有する教員の育成を促進するといったようなことがうたわれているものでございます。

そういったことを踏まえまして、今回、ワーキンググループではそういったことに対応したフラッグシップ大学の目的や役割、教育研究内容あるいはガバナンス、マネジメントなどについて検討するとともに、それと連動するような大学教員の在り方、大学教員の養成・採用・研修などについて、議論してまいりました。

ワーキンググループ設置以降、これまで6回議論したわけでございますけれども、今後、本日の教員養成部会での御議論やパブリックコメントで寄せられた御意見等を参考にしながら、更に検討を深め、年内に最終まとめをする方向で、ワーキンググループにて御議論いただいているところでございます。

次のページでございますが、フラッグシップ大学の目的・必要性でございます。冒頭、AIやロボティクス、ビッグデータ、IoTといったものの中でも教師に求められる役割や能力は大きく変わってきているという中で、幾つか例示されておりますけれども、新たに個別最適化された学びを構想する力でございますとか、ファシリテーション力やマネジメント力、あるいは「チーム学校」の考え方の下に多様な他者と協働するような力といったようなことが一層重要になってくるとともに、新たな学問研究の成果を教育現場での実践に生かしつつ、新たな先端技術の活用の下に、更なる改善や見直しにつなげていく力といったものが特に求められているとございます。

そういった中で、これまで教員養成大学を含めた各大学で様々な取組や個別の好事例などもあるかと思いますが、既存の制度や人的・物的条件、予算等の制約の中での取組でございまして、教員養成の在り方自体を大きく変革するような起爆剤にはなり得ていないのではないかということ。また、大学の体制として、そのようなことに対応できる機動的な教員養成の実践であるとか、先導的試行等が十分に行える体制というものが、まだ大学の中でも整っていないのではないかといったような問題意識から、このような現状から大胆に踏み出して、Society5.0時代に向け、我が国の教員養成の在り方自体を変革していく牽引(けんいん)役となる大学を創出することが必要ではないかといった観点から教員養成のフラッグシップ大学の役割が改めて検討されたものでございます。

3番にフラッグシップ大学の役割が三つほど示されております。一つ目が我が国の教員養成を新たに次元に引き上げる牽引(けんいん)役ということで、Society5.0に象徴される新たな社会の到来を見据えて、先導的・革新的な取組をやっていく大学。その際には、教育関係だけではなくて、研究機関やNPO企業等とも緊密に連携して、教員養成の理想像も改めて追及しながら養成プログラムの開発を行っていく。さらにそういった取組を現職研修にも生かしていくことが求められる役割として示されています。

二つ目が教員養成のネットワークの中核ということで、先に示された取組を効果的に展開するために、コア・カリキュラムや評価基準の開発等にも積極的に取り組み、全国の教員養成大学や教育委員会とも連携しながら、ネットワークの中核的な役割を果たすことが求められるということでございます。

三つ目が我が国の教育政策上の課題解決と政策提言の拠点ということで、先ほどの先導的・革新的な取組と併せまして、教育課題や教育政策上の様々な課題解決ですとか新しい時代における学校教育や教員養成の在り方などを積極的に政策提言するといった拠点となることをフラッグシップ大学には求めたいということで、このような大学をごく少数、最大でも三つ程度の拠点で取組を開始することが適当ではないかということでございます。

4番、フラッグシップ大学の創出方法についてでございます。これについては、公募選定方式という形が想定されております。文部科学省においてあらかじめ必要な要件を明示し、それに対して希望する大学が申請し、大学の計画等に基づいて評価、選定した上で、フラッグシップ大学を決めていくといったことを考えております。選定期間については5年から7年程度としてはどうか。またこの取組については、来年度に評価・指定を行い、再来年度から取組を開始するといったスケジュール感が示されているところでございます。

具体的な要件についても、ここで示されております。全学的に取り組むような体制でございますとか、あるいは教員養成の実績、体制などについて、高い実績を有していること。あるいは、教育研究力などについて、 Society5.0に対応したような教育研究力が十分にあることや、今後そういったことを計画する構想がきちんと入れられているかどうかということが要件として示されております。

また、多様な関係機関との連携・協働ということで、社会に開かれた教育課程ということもございますけれども、いろいろな主体と積極的に連携・協働した上での実績といったものを改めて求めていきたいということでございます。

また要件の中で、教育環境と財政基盤というものも入っておりますけれども、今後求められる遠隔教育だとか、教育ビッグデータの活用だとかいったことも含めた未来の教室を先取りしたような学習環境。またそういったことができるような財政基盤についての充実などについても求めていきたいということでございます。

次に大学教員の育成戦略ということで、このようなことができる大学教員を養成したりあるいは採用したりするような継続的な取組も求めていくということですし、現職研修でありますとか附属学校についても、よく考えた上で、十分な計画が練られているようなことを確認するとされております。

最後、フラッグシップ大学としての成果について、それを普遍化、発信して共有していくような取組ということについても触れられております。

続く評価の部分につきましては、特に重要だということで、この取組について継続的に評価・助言していく仕組みが適当ではないかということでございます。

最後に5番、国として行うべき条件整備、支援等でございますけれども、フラッグシップ大学に求められる役割といたしまして、先導的・革新的な取組を求めるということでございますので、既存の仕組みに縛られずにそういった取組ができるように、制度の特例だとか弾力化のための規制の緩和などが必要ではないか、ということ、また予算面での支援も引き続き行っていくことが必要ではないかとされております。

最後に、他大学、学校現場等への対応ということで、フラッグシップ大学での取組の成果がきちんと他大学や学校現場にも還元されるといったようなことについても今後配慮していく必要があるということがまとめられているところでございます。

以上が現在、教員養成部会の下に設けられました教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループでまとめられた中間まとめでございます。

以上でございます。

【加治佐部会長】 ありがとうございました。

御意見、御質問お願いしたいと思います。

では橋本委員からお願いします。

【橋本副部会長】 これから大きく時代が変化してまいりますので、そうした教育改革に直面している中で、先導的な取組を強力に進めるためのフラッグシップ大学を創設するということはよく理解ができます。また現実的に考えたときに、フラッグシップ大学に恐らく重点的な投資もされていくことになるかと思うんですけれども、ほかの大学、とりわけ近隣の教員養成系大学への影響が少し懸念されるなと思っております。と申しますのも、今、本当に教員の人材確保が大変厳しくなっておりますので、これが何か負の影響を与えないことを願っています。その意味では、中間まとめの中に、今回ごく少数の拠点での取組から始めると書いておられますので、その点、少し安心材料かなとは思っております。

それから一番最後に書かれておりましたように、フラッグシップ大学以外の大学等の環境整備について、国において財政措置等、配慮をするというここを本当にしっかりやっていただきたいなというのが1つのお願いです。

また、フラッグシップ大学の役割として、牽引役としてその成果を展開していくといったこと、あるいはネットワークの中核として教員養成大学間の連携協力といったことを挙げられておりますけれども、連携協力といいますと言葉だけになりがちな面もありますので、是非そういったことを実質化していただきたいと思いますし、そのためには、評価をきっちりやっていただくことも大事なんですけれども、入り口のところで、例えば選定に当たって具体的にこういう連携等を考えていますよというプランなんかを提案していただいて、それで選定をしていただくという仕組みをお考えいただけるとありがたいなと思います。

以上です。

【加治佐部会長】 髙田室長。

【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】 ありがとうございます。

まさに今おっしゃられたようなことについても、このワーキンググループで検討しておりまして、ただいまの御懸念についても対応できるような形で制度設計を目指していきたいと考えております。

【加治佐部会長】 では北神委員、お願いします。

【北神委員】 1点教えていただきたい部分があるんですが、このフラッグシップ大学は教員養成の先導的、革新的な取組をする具体的な教員養成プログラムを開発するということが1つの目的というか使命として掲げられているのですが、そのためには規制緩和するとされています。そのときに免許法の扱いはどれぐらいこの議論の中では行われているのか。その免許法に定められている免許基準自体の規制緩和をする中で、新たな教員養成プログラムとか教職課程の基準、コア・カリキュラムの開発というところに行くのか、それとも免許法という枠内でできる範囲の部分のところをやっていくという話で議論が進められているのか、フラッグシップ大学の検討をされている中で免許法の扱いがどう議論されているのか、ちょっと情報として教えていただきたいと思います。

【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】 免許法の扱いについても、ワーキンググループにおける検討の中で、議論に上がっておりました。フラッグシップ大学には、まさに革新的な研究をしていただきたいということから、それに当たってもし既存の免許法が障害になるということであれば、規制緩和をしていくということは考えられます。ただ、具体的にどういった取組をしていくかによって、その緩和の内容や範囲も変わってきます。また、いわゆる審査の中で、かなり厳格に見ているところもございますので、その運用で対応できる部分もあれば、恐らく省令の中で特例を設けなければいけないといったところもございます。一方で、ワーキンググループの議論の中では、免許法の中で必ずやらなければいけないという観点で定められた事項について、全くやらないというようなことは、さすがにできないのではないかという議論もありましたので、そのような単位数の上限といったような部分については少し検討していく必要があるのではないかと思っております。

【北神委員】 それに関連して、考えられているフラッグシップ大学で養成する人材像といわゆる一般の教員養成系の大学で養成する人材像は大きく変わるのか、変わらないのか。例えば今日のペーパーの1枚目に、これから求められる教員の力という形で一層重要になるというのは、27年の答申でも書かれた部分のところがベースだと。それに対して「また」という部分のところが今回新たに加わっている部分のところだと読めるのですが、そうすると、フラッグシップ大学で養成する教員像というのはやはりレベルが違うんだとか、求められている資質や能力が違うんだという前提の中で枠組みを考えるのか、その辺りの議論というのはどうなのかちょっと教えていただければと思います。

【髙田教育人材政策課教員養成企画室長】 その点については、おっしゃるような観点から明確に類型分けした議論をしたわけではございません。ただ、 Society5.0時代に応じたことということについては、いずれ当然全体に普遍化するような話でもございますので、そういった視点から、全体に波及することもあれば、波及させるにはまだ早いということで、そこは具体的にフラッグシップ大学に指定された大学で行われる先導的なプログラムの中身によっても変わってくる部分かと思っています。

また、先ほどの免許の特例の話の部分でも少し議論があったのは、例えば今、研究開発学校制度という形で教育課程によらない研究開発を学校の中で行い、それに基づいて新しい教育課程を作っているわけですけれども、免許制度においてもこのような指定したところにおいて、免許制度の大枠は守りつつ、少し大胆な変革をしたようなものを検討してもらって、そのようなものがいずれ新しい免許のカリキュラム改正に反映されるかもしれない、といったようなことも含めて、今後、具体的な検討を進めていただきたいと思っております。

【加治佐部会長】 いかがですか。よろしいでしょうか。

中間まとめということで、更に議論を深めて、今日の御意見もそうですけれども、パブコメをやって年末に最終報告という段取りになっております。またそのとき御報告するということです。

それでは、もう1つ議事がありますので、事務局から説明いただきたいと思うんですが、保育教諭の免許状・資格取得に係る特例制度についてです。

それでは、よろしくお願いします。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 それでは資料5を御覧ください。保育教諭の資格に係る特例に関する内閣府の子ども・子育て会議の議論の状況につきまして、少しだけ御報告させていただきます。

幼保連携型認定こども園で勤務をする保育教諭は保育士の資格と幼稚園免許の両方が必要でございますけれども、これにつきまして片方の免許・資格で良いといういわゆる片免特例、それから両方の資格を併有促進するための取得の特例という2つの特例が、先の通常国会で更に5年間、令和6年度まで延長するという改正が成立しております。それを踏まえまして、秋田委員が新たに座長になられております子ども・子育て会議の方で、更に併有を促進するためのインセンティブについて議論が必要ではないかということで、論点として上がってございます。例えば、現在もそうですけれども、この資格取得のための補助でありますとか環境整備、あるいは勤務経験を勘案するなどの更なる弾力化の措置が必要ではないかといった御意見がございます。具体的な対応策につきましては、認定こども園制度を所管する内閣府、保育士資格を所管する厚生労働省、それから我々文部科学省の方で具体的な検討を行いまして、また改めまして、こちらの教員養成部会、子ども・子育て会議等で御審議いただきたいと考えております。

本日はこういう論点が出ておるという審議状況の御報告でございます。

【加治佐部会長】 この件、御質問ございますか。

松木先生。

【松木委員】 認定こども園の中には保育園出身というか、保育園が元で出発しているところがかなりあるんですね。そういった中で、例えば幼稚園免許を上進講習で2種を1種に切り替えていきたいといったような要望が非常にたくさんあるんですが、現行の制度の中では保育士経験がカウントできないために8単位等の履修で幼稚園免許の上進ができるようにはなっていないなと思いまして、保育園出身のこども園にとっては、かなり不利な状況にもなっているなと思うんですが、今回の保育園の幼稚園がより密接な関係を保ちながら、新たな幼児教育の制度を作っていくことを考えますと、保育士の経験に関しましても上進講習のときに、例えば幼稚園免許に関してカウントできるような工夫といったようなことはできないものなんでしょうか。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 上進につきましては、まず最低限の資格として2種免許状を取得するということが前提になっておりまして、2種免の取得のところでこちらの保育士としての資格については勘案をしているところでございます。

上進につきましては、2種免許を持っていることを前提としまして、幼稚園での勤務経験を勘案して更なる資質の向上を図っていきますので、現時点では保育士の勤務経験はそこには入っていないというところが現状でございまして、そこの考え方の整理が必要になろうかとは思います。

【加治佐部会長】 それは文部科学省だけでは決められないんですか。

【松木委員】 幼稚園免許ですから文部科学省担当の範囲じゃないかなと思うんですが、是非、御検討いただきたいなと思います。

【加治佐部会長】 はい。それでよろしいですか。

では田中委員、お願いします。

【田中委員】 この延長につきましては、ありがとうございます。現場としては非常に必要なものだと考えています。ただ、私立幼稚園連合会、幼児教育研究機構というところが持っておりまして、そちらの方では、今、60%ぐらいですが、全教員の番号を付けて、研修システムが出来上がっております。研修履歴も過去10年さかのぼって、こども園側へのキャリアアップになるというのは、先代の会長が頑張ってくれて通知が出ているところです。これから今言われた保育所由来のこども園というのが増えてくるときに、私たちが持っている研修機構の研修履歴又はシステムと、これからどうクロスしていくのかということが私自体の課題だと思っていますので、またこれは文部科学省とも調整を図っていきたいと思っています。

もう1点は、厚生労働省はとりあえず先にお金が出るんですね。キャリアアップ研修をする前にお金を付けて、それを獲得するためにこの研修を受けなさいと。こういうシステムが先に動いちゃうもんですから、私学助成の場合に、やっとこれも今年度の概算で、私学助成のキャリアアップについても都道府県レベルの交付税の中にはそういうものが入ったわけですけれども、やっぱり文部科学省としても本気で国庫の中にそういうキャリアアップに対する補助の仕組みを真剣に考えていただくように、どうぞお願いしたいと思っております。

【加治佐部会長】 よろしいですか。お答えは特に。分かりました。

よろしいでしょうか。それでは最後に1点確認していただきたい事項が。

【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 部会長、安部先生から。

【安部委員】 済みません。長くなり申し訳ございません。

この更に5年延長というのは、現在の幼稚園も保育所も、そして認定こども園も保育人材が不足している中で、どうしてもこれはやらなければいけないことだと思います。幼稚園教諭並びに保育士の資格免許を出す機関として養成を長くやっている短大の立場から言いますと、この制度はあくまでも暫定であります。これは厚生労働省管轄の保育所も含んで、将来的には養護を必要とする就学前教育を担う教育の在り方に対しては、もう少し統一的なものを構想していただかないと、これは短大に限らず4年制大学も同じく幼稚園教諭と保育士資格の両方を出す養成機関としては、養成課程上に非常に不全感というのが起こっているのが現状であります。やはり日本の就学前教育の質の向上という面からも養成課程の一本化という方向に向けて、文部科学省だけでなくて、厚生労働省の方とも御相談いただき行っていただければというのが養成機関としてのお願いでございます。よろしくお願いいたします。

【加治佐部会長】 分かりました。それでは、この議題はよろしいですか。

それでは最後に1点確認していただきたいことがあります。

10月25日に開催されます第4回新しい時代の初等・中等教育の在り方特別部会において、本教員養成部会のこれまでの審議状況を報告することとなっております。報告内容については、これまでの議論を踏まえまして、部会長一任とさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。

それでは、確認させていただきました。

以上、本日の審議は終わりたいと思います。

今後の日程について、事務局から説明をお願いいたします。

【赤間教育人材政策課課長補佐】 次回の本部会の開催につきましては、11月11日月曜日の開催を予定してございます。正式な開催通知は改めて御連絡させていただきます。

以上でございます。

【加治佐部会長】 それでは、本日はどうもありがとうございました。これで閉会です。



―― 了 ――

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