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教員養成部会(第106回)議事録

1.日時

令和元年7月18日(木曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省15階 15F特別会議室
東京都千代田区霞が関3-2-2 中央合同庁舎7号館

3.議題

  1. 「令和元年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定」について【諮問】
  2. 平成30年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定後に計画を変更した教職課程について【報告】
  3. 平成30年度教職課程認定大学等実地視察報告(案)について【審議】
  4. 社会人等による普通免許状取得について
  5. その他

4.議事録

【加治佐部会長】 どうも皆様おはようございます。定刻となりましたので、ただいまから第106回中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会を開催いたします。本日は御多忙の中、御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
それでは初めに、委員の交代がありましたので、事務局から御紹介をお願いいたします。
【赤間教育人材政策課課長補佐】 このたび委員に交代がございましたので、御紹介をさせていただきます。
桑山委員に代わりまして、東京都立大塚ろう学校長でいらっしゃいます朝日委員でいらっしゃいます。
【朝日委員】 よろしくお願いいたします。朝日でございます。
【赤間教育人材政策課課長補佐】 次に、事務局に異動がございましたので、紹介をさせていただきます。7月9日付の人事異動で、前任の清水に代わりまして、総合教育政策局長の浅田が着任をしてございます。
【浅田総合教育政策局長】 浅田でございます。1月まで大学入試センターの理事をやっておりまして、その後は文部科学戦略官で高等教育局を担当していました。過去には初中局、高等局の審議官をやっておりますし、中学校の校長も務めた経験がございます。その前、課長時代には教育大学室も担当していたことがあります。校長時代の経験も含めて、教員養成にはやや厳しめの意見を持っているつもりでございます。これは非常に大事な会議だと思っています。どうぞよろしくお願いいたします。
【加治佐部会長】 よろしくお願いします。
次に、会議資料について事務局より確認をお願いいたします。
【赤間教育人材政策課課長補佐】 資料の確認をさせていただきます。
お手元の端末に本日の配付資料を開いた状態で御用意をさせていただいてございます。順に議事次第、座席表、それから議事次第に記載のとおり、資料の1から資料の9までの資料でございます。それから参考資料が1点ございます。それから、デスクトップの方に本日の会議資料を含めまして第104回からの会議資料を格納したフォルダを置いてございますので、適宜御参照いただければと思います。
御不明な点等ございましたら、お近くの事務局員の方までお申し付けください。以上でございます。
【加治佐部会長】 それでは、会議に入ってまいりますが、今日は大きく2つあります。
1つは、これは毎年度のことだと思いますが、教職課程の認定に関わることです。諮問等を頂くということになります。
もう1つは、4月17日の中教審の諮問の中で、民間人等の外部人材を学校教育の構成員、教職員に迎えるためにどういうふうな免許とか資格とか、あるいはその他いろんな制度上の措置があり得るのか、そのことについて検討いただく。これが2つ目になります。
1つは、今申し上げましたように諮問を受けます。そして、事務局から報告いただいて、議事の3について審議を頂くということになります。
議事の4からが2つ目になるわけですけれども、事務局から説明を頂いた上で、お越しいただいている教職員支援機構及び慶應義塾大学教職課程センター、そして公益財団法人私立大学通信教育協会の方から、現在の組織と社会人による教員免許取得に関わる課題について御説明を頂きたいと思います。その後、委員の皆様から自由に御意見を頂ければと思っております。
それでは、議事の1に入ります。「令和元年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定」について諮問を受けることといたします。
(諮問文手交)
【加治佐部会長】 それでは、今頂きました諮問の概要につきまして、事務局より説明をお願いいたします。
【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 それでは、お手元の資料の1-1、1-2に基づきまして御説明申し上げます。
教育職員の免許状授与の所要資格を得させるための課程、すなわち大学の教職課程につきましては、教育職員免許法の規定に基づきまして、文部科学大臣の認定が必要とされております。また、文部科学大臣の教職課程の審査に当たりましては、中央教育審議会に諮問することとされておりまして、文部科学大臣は中央教育審議会の答申を踏まえて認定等を行うこととされております。
諮問につきましては、中央教育審議会の会議の運営に係る申し合わせに基づきまして、中央教育審議会総会の会議を経ないで諮問する場合は、あらかじめ会長にその諮問の内容を報告するとともに、諮問した場合には事後に審議会にその諮問の内容を報告することとされております。
令和元年度に申請のありました大学につきまして、お手元の資料の1-1をご覧いただきたいと思います。先ほど諮問のありました諮問文でございます。資料1-1の1ページ目のところで1つ訂正がございまして、日付が令和元年7月19日となってございますが、18日の誤りでございます。失礼いたしました。
今回申請ありました大学は2ページ目以降に一覧がございますので、後ほどご覧いただければと思います。
それでは、資料の1-2の方をご覧いただければと思います。この資料の1-2の1ページ目下のところに申請数が書いてございますけれども、令和元年度におきましては、81大学、129の学科と820課程の申請がございました。
この後の流れでございますが、具体的には教員養成部会の下に設置されております課程認定委員会におきまして、認定を受けようとする学科等の目的、性格と免許状との相当関係、教育課程及びその履修方法、教員組織、施設設備、教育実習の実施計画等につきまして審査がなされることとなっております。
特に昨今、学際的な学科等の増加に伴いまして、認定を受けようとする学科等の目的、性格と免許状との相当関係が薄い申請が増えてきておりまして、そのような申請に対しましては慎重に審査を行っているところでございます。
この課程認定申請の審査の結果につきましては、本年11月から12月頃に開催予定の教員養成部会におきまして答申の予定となってございます。以上でございます。
【加治佐部会長】 ただいまの事務局からの御説明について、御質問がございましたら、お願いいたします。
よろしいでしょうか。それでは、課程認定委員会の委員の方々におかれましては、審査のほどをどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事の2に入ります。事務局から「平成30年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定後に計画を変更した教職課程について」、報告をお願いいたします。
【尾白教育人材政策課教員免許企画室専門官】 失礼いたします。資料の2番をご覧ください。課程認定につきましては、教職課程を開始しようとする前年度に認定を受けることとなっておりますが、課程認定後、翌年度の教職課程が開始するまでの間、やむを得ない事由により専任教員の変更が生じた場合につきましては、教員養成部会決定であります教職課程認定審査運営内規、資料の下にございます、運営内規の6番により、再度課程認定委員会において審査を行い、その結果については教員養成部会に報告することとなっております。本件につきましては、平成30年度に課程認定を受けた大学のうち、課程認定後に計画を変更した大学の審査の結果の御報告でございます。
平成30年度の課程認定につきましては、通常期と同様に大学の組織変更等に伴う通常の課程認定と全ての教職課程を設置する大学を対象とした教育職員免許法の改正等に伴う再課程認定がございました。通常の課程認定におきましては、平成30年10月に87大学に認定可とする答申を得て課程認定を行いましたが、このうち20大学から変更の申請がございました。
次に、再課程認定におきましては、本年の1月に846大学を認定可とする答申を得て課程認定を行いましたが、このうち444大学から変更の申請がございました。これらにつきまして審査を行いましたが、最終的に全て可と判定いたしましたので御報告させていただきます。
なお、本資料の2ページ目以降につきましては、平成28年に本手続を新設した際の説明資料を参考までに添付させていただいておりますが、説明は省略をさせていただきます。
以上です。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。ただいまの事務局からの説明につきまして、御質問がございましたらお願いいたします。
それでは、議事の3に入ります。事務局から「平成30年度教職課程認定大学等実地視察報告」について、坂越委員より説明をお願いいたします。
【坂越委員】 それでは、よろしくお願いします。机上配付の資料と、それからタブレットの方の資料3でございます。机上配付の方はそれぞれの視察した大学の個票がございます。それからタブレット資料3の方は全体的にその概要をまとめたものです。私の方からはこの資料3のポイントを説明させていただきたいと思います。
まず、実地視察というものですけれども、これは認定を受けている教職課程の水準の維持、向上を図るということを目的にして毎年実施しています。平成30年度はそれぞれの大学、先ほどありましたように免許法及び施行規則の改正に伴って、教職課程再課程認定の作業が発生するということを考慮して、鍵括弧付きですが、特に問題のある大学、そしてその近隣の大学というところに絞って、3つの大学と1つの指定養成機関について実施いたしました。その概要の報告です。
視察におきましては、まとめの見出しにありますように6つの観点で見ました。1つ目、教職課程の実施指導体制。2つ目、教育課程、教職に関する課目や教科に関する課目、履修方法、シラバス等々。3つ目、教育実習の実施状況。4つ目、学生への教職指導の体制や取組の状況。5つ目、教育委員会との連携、協働状況、学校の現場体験やボランティア活動の状況。6つ目、施設設備、図書等を含んだ状況などについて、教職課程が法令の基準を満たして、適切な水準にあるかどうかの確認を行いました。
観点ごとの気付きというか、ポイントを申し上げます。まず、教職課程の実施指導体制について。教職課程及び教員組織を点検する全学的組織、ファカルティ・ディベロップメントなど、個別の授業の内容、質を点検する、改善するような体制、仕組み、これを一層充実するように求めました。
基本的には、どの大学でも全学組織というのが整えられてはいるのですが、それが実質的に各学科レベルの授業等に結び付いているかどうかという点が、いささか心もとない点もあったということです。
2番目、教職課程履修方法、シラバスの状況について。法令及び教職課程認定基準等の視点から、是正すべき点が確認されたことについては速やかに是正することを求めました。教職のための必要単位の不足であったり、あるいは教員の変更届が遅れていて、実質的教員不足になっていたりというような問題点も、もちろん実地視察した時点では是正されてはいるのですが、過去にそういうことがあったということで注意を促しました。
3つ目、教育実習の取組状況。まだ依然として母校とか遠隔地の学校で実習を前提としている大学がありまして、それについては是正を求めて、できるだけ大学あるいは機関と近い地元の教育委員会、学校と連携すること、そして常に学生への適切な指導、実習生への指導、公正な評価ができるように求めました。
4番目、学生への教職指導の取組状況及び体制について。教職を目指す学生全てが適切な教職指導を受けられるように、体系的かつ組織的に指導していくための全学的な体制を十分に機能させるよう求めました。若干問題点が見られたのは、複数学科がある学部で、その学科で課程認定を受けていない教員免許に関して、さもそれが普通に取れるような形で広報されているような大学等については注意を促しました。
5番目、教育委員会との連携、協働状況について。学生が教育実習以外にも学校現場等で体験機会を得ることができるように、地元の教育委員会、学校との連携、協働に引き続き努めるように求めました。これについては各大学かなり努力されているというふうに評価できました。
6番目、施設設備の状況について。引き続き教育に関するいろんな教育改革が進んでいますので、最新の情報を入手することができるように環境整備を求めました。それ以外、様々、机上配付資料の中に個別に書いてございます。
まとめです。資料3の5ページ目にありますけれども、視察を受けた大学の中には、実地視察への準備を通して、自大学の教員養成やカリキュラムの現状等について評価分析をし、教員養成の在り方の自己検証、改善方策の検討の契機とした大学等もございます。実地視察の1つの効果といいますか、実地視察を受けることの準備状況の中できちっと振り返って改善をしていくということが行われていました。
それから、この報告は本部会で了承いただいた上で公表します。教職課程を有する全大学及び指定教員養成機関に送付することにしています。
全ての課程認定大学等が本報告書の指摘内容を理解し、また、各種答申で提言されている内容を再確認いただいて、教職課程の質的水準の維持、向上を図るための取組を進めていただきたいと強く望んでいます。
以上、実地報告でございます。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。ただいまの御報告に関しまして、御質問等がありましたらお願いいたします。よろしいでしょうか。
なお、本報告案は本部会の了承を経た後、公表し、教職課程を有する全大学に送付されることとなっております。よろしいでしょうか。特に御質問等ございませんか。
それでは、御了承いただけますか。
(「異議なし」の声あり)
【加治佐部会長】 ありがとうございました。
それでは、議事の4、ここから内容が異なってまいりますが、「社会人等による普通免許状取得について」ということで、ヒアリングといたしたいと思います。
まずは事務局から資料の説明をお願いいたします。
【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 それでは、お手元の資料の4から6に基づきまして御説明申し上げます。
今回の中教審の諮問事項の中に、社会人等多様な背景を持った人材で教員組織を構成できるようにするための免許の在り方ということが含まれてございました。その中で、多様な経験を持つ人材によって教員を構成していくということの中で、民間企業等を経験した方が免許状取得をして採用試験を経て入ってくるというルートが1つございます。
それから、それ以外に、例えば特別免許状ですとか特別非常勤講師の制度という形で、一部の学校の教育課程の中に社会人に入っていただいて教育課程を充実していくというもう1つの別のルートもございます。
今申し上げた後者の点につきましては、次回の養成部会で御議論いただきたいと思っておりまして、今回は、多様な経験を持った方が採用試験を受けて、普通免許状を取った上で教職に入ってこられるというルートについて御議論いただければと考えております。
これは、1つは、多様な経験を持った方で教員組織を構成していくということで、今後の変化にも対応できるような多様性のある教員組織を作っていくという点、それから20代の人口が減少してきております中で労働市場が非常にタイトになってきておりますので、教員になり得るような資質・能力を持った方の供給源というのを多様化していくというようなことが期待をされるわけでございます。
ただ、やはり教員として必要な最低限の資質・能力を確保していくということが大前提になってまいりますので、免許状を取得をしていただいて入っていただくというのが1つのルートになろうかというふうに思っております。
その観点で資料6でございます。これは平成30年度の公立学校教員採用試験の実施状況から引いてきてございますけれども、民間企業等の勤務を経験した上で採用選考に合格して入ってこられている方というのが、この年度は合計で1,298名いらっしゃいます。特に多い学校種区分で申し上げますと、例えば括弧内がこの前の年度でございますけれども、高等学校、栄養教諭といったあたりは、特に前年度では1割を超えるぐらいの方が民間企業等を経験して入ってこられているというような状況にございます。
その下の箱のところでございますけれども、こういった民間企業の勤務経験を勘案した上で、特別な選考等を実施している自治体というものがございまして、一部の試験を免除しているのが12県市、特別な選考を行っているのが42県市ございます。後ろに幾つかの県、それから政令市の例を掲載してございます。説明は省略させていただきますけれども、大体一定以上の勤務経験の年数を持っておられる方につきまして、一次試験の例えば教養ですとか教職に関する課目についての筆記試験を免除するというところが幾つかあるところでございます。
今申し上げたのは採用試験でございますけれども、では、社会人の方が学び直しをして普通免許状を取得をするというルートが既に免許法の中にはございまして、その状況を示しておりますのが資料の4と5になります。
まず、資料の4の方でございます。教員資格認定試験についてでございます。制度の趣旨につきましては、大学等で教職課程を取らなかった者で、教育者としてふさわしい資質を身に付け、教職を志すに至った者に対して教職への道を開くことを目的として創設されております。この試験の合格者は都道府県教育委員会に申請をしまして、普通免許状が授与されるということになっております。
制度の経緯、3ポツのところでございますが、昭和39年度にまず高等学校からスタートしまして、48年度に小学校と特殊教育を追加をしまして、教員資格認定試験という形になっております。その後、平成17年度に幼稚園の試験を開設いたしておりまして、平成30年度には試験の事務というのを教職員支援機構に移管をしてございます。現在行われております試験は幼稚園、小学校、特別支援学校の3つの種類となっております。
それから、次の資料の5の方に入っていただきますと、教職特別課程がございます。この制度の概要でございますけれども、教職に関する課目、又は特別支援教育に関する科目の単位を取得するために、大学が設置をする修業年限を1年とする特別の課程でございます。この背景としましては、昭和62年の教員養成審議会の答申を受けまして、大学において教職課程を取らなかった方が教員免許状を取得する機会を拡充するためということで、63年に免許法を改正して導入されてございます。
現在行われています免許状の種類としましては、中学校、高校の専修免、一種免、それから特別支援学校の一種免について教職特別課程の制度がございます。下の方の米印のところにございますけれども、現在では幼稚園、小学校につきましては教職特別課程では認められていないところでございます。
開設主体でございますけれども、それぞれ一種免の認定課程を持っている大学ということでございまして、具体的には次の2ページ目の方に入っていただきますと、大学一覧がございます。現在ではかなり数が減ってきてございまして、慶應義塾大学、工学院大学、岡山理科大学、それから琉球大学が特別支援だけを持っておりますけども、これだけに限られているという状況になってございます。
本日は、それぞれの教員資格認定試験、教職特別課程についての実施をしておられるところにもお越しいただいておりますので、現状につきましては、お越しいただいている方から詳しくお話を頂きたいと思います。
それから、今申し上げた試験と特別課程以外に、通信制の教職課程を履修されて免許を取られている方、社会人の方というのも非常にたくさんおられますので、その観点で通信制の課程につきましても、その団体の方からお越しいただいておりますので、現状につきましては、説明はそちらの方に譲らせていただきたいと思います。
以上でございます。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。
それでは、続きまして、ヒアリングに入ってまいりたいと思いますが、独立行政法人教職員支援機構の大路理事から説明をお願いいたします。質疑応答は全ての説明が終わってからまとめて行いたいと思います。それでは、どうぞよろしくお願いいたします。
【大路教職員支援機構理事】 それでは、失礼いたします。教職員支援機構の理事をしております大路と申します。まずは、本日このような説明の機会を作っていただいたことに感謝申し上げたいと思います。私からは、資料7に基づきまして、教員資格認定試験につきまして、その現状と課題、今後の方向性といったところの説明をさせていただきたいと思います。
まず、その前提といたしまして、そもそも何で教職員支援機構がこんな提言をしているのかというふうに思われる方々もいらっしゃるかもしれませんので、機構がこの試験にどのように関わっているかというあたりの説明をさせていただきたいと思いますけれども、1つは、文科省の方からの説明にもありましたように、この試験についてはもともとは文部科学省の直営で実施をされていたものでございますけれども、昨年度からその実施の実務の部分を教職員支援機構が担うことになったということが1つございます。その実施の実務を担当する中でいろんな課題が見えてきたというふうな部分もございますので、そのあたりも説明させていただきたいと思っております。
もう1点は、教職員支援機構の調査研究事業の1つとして、昨年から教員免許に関わる調査研究も1つ実施をしておりまして、ここにおられる北神先生はいろいろ研究していただいているわけでございますけども、昨年度、教員採用統一試験について研究をしていただいて、今年度から少しその対象を広げて、この教員資格認定試験にも焦点を当てた研究を進めていただいているというような状況の中で、今日のこれからのプレゼンテーションもそのあたりの立場も踏まえた形での御説明をさせていただきたいというふうに思います。
資料といたしましては、パワーポイントの資料を7枚用意をさせていただいております。そのうちの最初の5枚が制度の概要、現状などを説明をしたものでございまして、最後の2枚、6ページと7ページが今日の説明の中心になる部分でございます。
順番に丁寧に説明をしていますと、恐らく時間が足りないので、何を説明しているか分からないということになると思いますので、最初に私が説明させていただくポイントをかいつまんで申し上げ入れたいと思いますけれども、ちょっと後からも説明させていただくとおり、この試験、それなりのお金、具体的には約1億円の経費を使って実施をしておりますし、それから、それなりの手間、これは職員の手間もさることながら、後でも出てまいりますように、非常にたくさんの大学に協力をしていただいて実施をしているというふうな形で実施をしている試験であるわけでございますけれども、その割に受験者の数だとか合格者の数を見ていきますと、一貫して右肩下がりの状況になってございまして、本当に社会的に求められている意義を果たす試験として意義を果たしていると言えるのかどうなのかということが1つございます。
大学に無理にいろいろ仕事をお願いをしていく中で、なかなかこのままの形でサステイナブルな事業として維持をしていくことが徐々に難しくなってきているという状況があるというふうなことを御説明申し上げたいと思っています。
その反面、今日の部会の議題にもございますように、社会人を教職に登用するというふうな社会的ニーズというのは非常に高まってきているというふうに考えられる中で、まさに教員資格認定試験を社会人の参入を促す仕組みとしてもっと活用できるのではないか、そういった観点からの説明をさせていただきたいと思っていまして、そのようなことをお話しさせていただくつもりでございます。
まず、資料の1ページ目でありますが、教員資格認定試験制度の概要ということで、これ先ほど文部科学省の方からございましたので省略させていただきますが、現行、一番下にありますように、幼稚園と小学校それから特別支援学校に関する試験を実施をしております。今日の説明は主として小学校の部分の説明が中心になるかというふうに思っております。
と言いながら、2ページ目は幼稚園の資格認定試験の概要ということで、これも同様の傾向を示している部分もあるので、あえて添付させていただいておりますけれども、文科省の説明からもありましたように、幼稚園の試験につきまして平成17年度から始まった試験でございますけども、幼保の連携を一層促進するという観点から、保育士としての実務経験を持っておられる方々に幼稚園教諭としての免許の取得を促していくためのそうした政策的な意図によって始まった試験でございます。
ここで御覧いただきたいのは、ここ10年間の受験者、それから合格者の数を御覧いただきたいと思っていますけども、年々減少しておりまして、昨年度は何と98人の受験者に対して合格者は21人というような状況になっているというのが幼稚園の試験の現状でございます。
次に、3ページが小学校の試験についてでございます。これ後の説明にも関わってきますので、現行の試験がどういう構成で行われているかということを若干詳しめにお話しさせていただきたいと思いますけれども、そこにありますように、一次試験から三次試験までそれぞれ2日間、合計6日間の試験として実施をしているところでございます。一次試験は択一式でございます。それから二次試験が論述式、それから実技、口述というふうになっています。三次試験が指導の実践に関する試験ということで、具体的にはそこにありますように、授業観察、指導案等の作成、討論等、これは2日間かけて三次試験として実施をしているというのが現状であります。
こちらの方も受験者、合格者数ともに年々減る傾向にございまして、10年度と比べていただきますと、ざっくり半数以下の数字になっていまして、直近の平成30年度におきましては、受験者849に対して112人の合格者、合格率が13.2%という状況になってございます。
次に4ページでありますが、その一方で、この資格試験の合格者の状況を見ていただきますと、この試験の性格が見えてくる部分があるのではないかということで若干御説明させていただきたいと思いますけれども、まず左上、受験時の年齢ということを見ていただきますと、20歳から24歳に限らず、広く年齢分布が多岐にわたっているということが、これを見ていただければお分かりいただけるのではないかと思っています。
それから、右側に受験時の職業というところを見ていただくと、学生が19%ございますけれども、それ以外の社会人が受験者の大半を占めているという状況になっています。
左下に行っていただきますと、試験の合格後の状況でありますが、合格後に採用試験を受験した人の割合が65%に上っているということで、そのうちで実際に採用された方が、これは一番右側の右下のグラフでございますけれども、何らかの形で教員として採用された方が8割に上っているというようなことが見て取れるかと思います。ある意味、これは採用に直結しやすい試験であるというふうな見方もできるかというふうに思います。そういった意味で、もう少し活用方策を考えてもいいのではないかというふうにも言えるかと思います。
次に5ページでございます。5ページは小学校試験の実施体制についてお示しをした図でございます。ここでのポイントは、冒頭申し上げたように、これだけの数の大学の協力によって初めて成り立っている試験であるということをまず御確認を頂きたいというふうに思いますけれども、真ん中から左側に掛かっております試験の運営大学というふうにございますのは、これは一次試験から三次試験までの合計6日間の日程の全て運営を担っていただいておりまして、この中には当然、一次試験の試験監督、採点だったりとか、それから二次試験における実技、口述試験、それから三次試験の指導実施に関する試験、そうしたものを全て担当をしていただくということをこの大学にお願いをしております。
正式には、仮にA大学とすれば、A大学だけは一次試験だけを実施していただいているというところがございまして、二次試験、三次試験を実施していただいているのは5大学ということになってございますけれども、いずれにしろ、これだけの数の大学にこれだけの日数の業務をお願いをしているというのは1つございます。
それから、右側に行くと、試験問題の作成の担当の大学として、教科ごとに8つの大学にお願いをして実施をしておるわけでございますけれども、この問題もそうですけど、何年か特に顕著になってきたのは、大学としてもこの試験に関わるのが、やはり大学は大学なりの事情があって負担であるということで、これ以上引き受けられないので何とかしてくれというふうに返上を申し出てこられる大学の方が結構ありまして、私どもとしては「そこを何とか、あと1年だけでも」とか言いながら引き続いてやっているといったようなところも現状あるわけでございますけれども、実は小学校の試験教科は10教科あるわけでございますけれども、これ8教科分だけを大学にお願いしているということで、裏を返せば、2教科分はやっていただけるところが見つからなかったので、機構が直接、委員の専門家の方々へお願いして問題作成をやって試験を運営しているという実体であるというふうなことでございます。
こういう言い方は適切ではないのかもしれませんが、かつて文科省が直接実施をされていたときに、文科省がお願いをされるならともかく、機構がお願いをして、なかなか引き受けていただけるような大学を見つけるのがなかなか難しいという状況もあるかと思っております。ますますそういった状況は厳しくなるというふうに考えられますので、この試験を安定的に継続的に維持していくためには、やはり何か一工夫していかなければいけないんだろうなというふうに思います。
このページの下に掲載した表でありますが、志願者、合格者一人当たりのコストがこれだけかかっているという意味で御覧いただきたいと思うんですけれども、幼稚園と小学校、それから特別支援学校、この3つ合わせての数字でございますが、全体に関わっている業務経費が約1億、9,600万でありますけれども、志願者一人当たりにすると6.9万円、それから合格者一人当たりにすると62.7万円、これを多いと見るか、少ないと見るかというところはあるかと思いますけど、そういった現状にあるということをまず御理解いただければというふうに思います。
6ページ以降が、そうした現状を踏まえて、どう今後やっていくかということについての提案に関する部分であります。まず、6ページの部分は全体的な方向性というあたりのことについて記載をしておりますけれども、最上段の部分は総論的な記述といたしまして、この試験制度が創設から50年、それなりの一定の役割を果たしてきたということとしつつ、現在の社会的変化への対応、それから他の教員政策との関連性の観点から、このままでいいのかというふうな問題提起がそこに記載をされています。
それから、真ん中のところには、現状の問題点として4点。1つは、何のためにやるのか、その社会的な存在理由は何なのかということ。2つ目が、教育政策、教員政策との連携が十分取れているのか。3つ目は、制度存続のために担い手ということをどう考えるのか。それから4番目として、安定的持続可能な制度とする必要性があるのではないかということであります。
一番下の欄にその具体的な改善の視点ということで4つ。1番が幼稚園に関すること。それから2番が小学校に関すること。それぞれもっと積極的に活用されるような方策を考えるべきではないかといったようなこと。3番目、4番目が作問のこと、それから試験の運営に関することを、もう少し改善を図っていくべきではないかということで、次のページにその具体的な内容が、1つの提案でございますけれども、書かせていただいているところであります。
まず、上の方の左側に書いてございますのは、主として作問、問題作成、それから運営に関する変更をこんなふうにしていったらどうかということでありますけれども、この1ポツから4ポツまでに書かれておりますのは、これは作問に関する部分でございますけれども、端的に申し上げますと、大学にお願いをして問題を作ってもらうという仕組みは早晩成り立たなくなってくるといった中で、機構が直接問題を作成をするという方式に改めざるを得ないでしょうということで、機構に専門の研究者からなる委員会を作って、委員会の下に教科ごとの小委員会を設けて、そこに3名ないし5名、この数字についてはいろいろ議論あるかと思いますけれども、その委員をお願いをして、その委員の先生方を中心に問題作成に当たっていただくという体制を取る必要があるということ。
それから、5番目、6番目が運営に関する部分で、これも大学による運営、いつまで続けられるかというところがあるので、民間委託も含めて、機構の直営で運営できるようにしていきたいということであります。そうすると、現在、小学校については6か所で試験を実施しておりますが、なかなか6か所の試験を運営するというのは極めて困難、2か所ぐらいにコンパクトにした上で実施をするというふうな形でやっていったらどうかということであります。
この左側の部分については、機構の方の努力でどれだけのお金がかかるかというふうなところも見きわめながらではありますけれども、やっていける部分が大部分を占めているのかなというふうに思っておりますけども、問題は、右側の試験の内容及び方法に関する部分についてでありますけれども、先ほど申し上げたように、まず幼稚園については既に2019年度の試験から、当初もともと2日間で実施したのを1日に圧縮をして、より受けやすい試験にするというふうな改善を図っておりますので、今後の話としては小学校のところを中心に御覧いただきたいと思いますけれども、先ほど申し上げたように、一次試験から三次試験まで合計6日間で現在行っているわけでございますけれども、これを一次と二次の試験という形でぎゅっと圧縮をして、それぞれ1日ずつで実施をする試験として、そういう試験に改められないかというふうに考えているところであります。
適宜、資料の3ページにありました現行の試験内容と比較しながら御覧いただければというふうに思いますけれども、ある意味、この変更につきましては実施方法を少し合理化することによって圧縮できる部分もあるんですけれども、試験の内容に変更を来している部分が若干ありますので、その部分を中心にちょっとお話をさせていただきたいと思いますけれども、具体的に申し上げますと、この変更によって何が変わるかというと、実技試験、口述試験、それから三次試験の指導の実践という部分はなくなるということになります。
なくしてもいいというふうな考え方、なくした方がいいのではないかという考え方の背景といたしましては、大きく先ほど来申し上げているように、運営側の制約ももちろんございますけれども、受験者側の負担ということもやはり大きいというふうに思っておりまして、特に社会人の登用のための試験という、そういう役割を考えた場合に、今までの試験の在り方をこういう形で変えていくというのも1つの考え方じゃないかというふうに思っています。
特に実技試験につきましては、音図体の3教科の中から2教科を選択して実技試験を受けなきゃならないということになっているんですけれども、社会人から教壇に立とうとする方々が果たしてピアノの演奏ができなきゃいけないかとか、美術作品の制作ができなきゃいけないかといったようなあたりのところの問題ですね。逆にそれが参入障壁になっているんだとすれば、それを取り除くというのも1つの考え方かもしれない、そういう考え方もございます。
その一方で、試験を簡略化したことによって質の低下を招いちゃいけないということは当然の前提としてあるというふうに思っておりますので、先ほど来、実技試験、口述試験、これを廃止した部分については、1日に圧縮した二次試験の論述試験の問題の中に、これらの試験の中で試そうとしていた内容をきちんと評価できるような試験内容に変えていくということが必要ではないかというふうに思っております。
三次試験をなくすことについてでありますけれども、指導の実践に関する部分を2日間かけて三次試験で見ていただいていたわけですけれども、少なくともここ何年かの傾向としては、ほぼ100%の三次試験合格率になってございます。
そういうこともあるので、これはあえて三次試験という形で実施をするのではなくて、ここからが、一番下の赤い枠で書いてある部分、記載している部分とも関係しているわけでございますけれども、二次試験までの合格者について……。
【加治佐部会長】 すみません、ちょっとまとめをお願いします。
【大路教職員支援機構理事】 すいません、失礼しました。について採用前研修プログラムを提供するということで質の確保を図る。それから合格者名簿を作成をする。教育委員会に提供することによって、より採用につなげていくといったようなことを意識した試験として、これを活用していくというふうなことを考えられないかということを今考えているというふうなことでございます。
私どもからの提案の内容は以上でございます。
この試験につきましては、最終的には文部科学省が実施方針を定めるというふうな形になっていますので、私どもとしては、その実施事務を担う立場から、この試験が求められる社会的意義を果たしつつ、かつ限られた予算、人員の下で継続可能な試験として運営するための制度見直しの方向について提言をさせていただいたということでございます。どうぞよろしくお願いします。
【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。
続きまして、慶應義塾大学教職課程センターの米山教授から説明をお願いいたします。後の質疑応答の時間を確保したいと思いますので、15分という時間をできるだけ守っていただきたいと思います。
【米山慶應義塾大学教授】 慶應義塾大学の米山です。教職特別課程の制度的なことにつきましては、先ほどの資料にありますが、今特別課程を実施している大学が極めて少ない状況です。慶應義塾の例が果たしてそれを代表しているかどうかということについてはよく分かりません。その意味では慶應義塾の個別の事例だというふうに考えていただくのが適当かと思います。
資料8になりますが、2ページ目までが基本的に今日話をさせていただく概要といいますか、簡単なレジュメになっており、3ページ以下がここ数年のデータになっています。ただ、このデータにつきましてはダブルチェックをしていないなど、必ずしも正確だというふうに言い切れないところがありますので、ある程度の傾向を示しているとお考えいただければ幸いです。
1ページ目の最初のところですけれども、慶應義塾の教職特別課程の設置についてです。慶應義塾では、通信教育課程も持っていますし、以前から卒業生で民間の企業に勤める者が多いのですが、その人たちが教員になりたいというので通信で免許を取る、あるいは学士入学をしてくるというケースが見られていました。
そういう意味では、最初、臨時教育審議会で教職特別課程が提案されて、そのときちょうど臨教審の会長代理が当時の塾長だったので、やってみようかという機運は大学の中にありましたし、ニーズもあるだろうと考えていました。ただ、実際には、どういうふうに特別課程を設置するかということが、初めてのケースでしたので、なかなか分かりませんでした。
最終的に特別課程を設置するということが決まった経緯は、1つはもちろん先ほど言いましたような社会人経験を持っている人たちが、1年という短期間で免許を取るというニーズがあるということなのですけれども、実はもう1つ、ちょうどその頃に慶應義塾では新しいキャンパス、湘南藤沢キャンパスが開設されまして、そこの教職課程をどうしようかということが議論になっていたことが関係しています。新設の学部が学際的な学部だったものですから、それまでの既成の教科となかなか対応し切れませんでした。実際には数学に近かったり、あるいは語学に近かったり、さまざまなことを専門にしている学生たちがいて、学部の性格と教科の整合性がとれないものですから、教職課程を置くということについて見送ろうということになりました。
ただ、学生の中には教員になりたいというニーズもありましたので、それも含めて卒業後プラス1年、すなわち教職特別課程に入ってもらって、それで免許を取ってもらおうということを考えました。ですから、社会人を受け入れるということと卒業後プラス1年の教員養成の課程という2つの位置付けをして慶應義塾では教職特別課程をやっていこうということで始めました。教養特別課程は制度としては1990年度からスタートしていると思いますが、慶應義塾では1991年度に認定をもらっていると思います。
設置のときの課題なのですが、当然のことながら、特別課程は既存の教職課程の中に学生が入って学ぶような形になっていますので、一般の学生との差異が問題になりました。慶應義塾の場合では2年生からスタートして、3年間で免許を取らせるような形になっていて、それなりのシークエンスがあるのですけれども、そこが1年間ということだと、すぐに実習に行くということが大きな問題になります。そういう意味では実習の前提条件がない人たちを実習に出さなければいけないという問題ですから、相当大きなリスクを、大学だけではなくて受け入れてもらうところに対しても負っているという問題がありました。
それから、特別課程の設置のときに、理念としては、学部で教職課程を取っていなくて普通に卒業単位を取っていると、教科に関する科目については取り終わっていることが前提で、その後、特別課程で教職に関する科目を取ってもらうという形になるのだと思うのですけれども、実際には教科に関する科目を、施行規則に合うような形できれいに取っている学生というのはいません。そうすると、教科に関する科目を特別課程と並行させて取らせていいかどうかということが大きな問題になっていました。
ほかの大学の事例などを参考にさせていただきながら、いろいろ考えていったのですけれども、なかなか実態がつかめなくて、最終的には教科に関する科目は特別課程の学籍では取れないので、それは科目等履修生で教科に関する科目は取ってもらい、教職特別課程では教職に関する科目だけを取ってもらうという、実際には形式上2つの学籍を持つような形で運用していくということになりました。
もう1つ、一種免許状と専修免許状ということを書きましたが、専修免許状につきましては、もちろん大学院の修士課程を終わっていて、そこで教科又は教職に関する科目を取り終わっていれば専修免許状が出ますということなのですが、先ほども言ったように、卒業後プラス1年ということであると、ポストグラジュエート、専攻科に近いような形式ですから、その間に何かができないかということをいろいろ考えました。
ただ、実際には、後で話しますが、一種免の資格を取るために教職に関する科目を取るだけでも相当大変なものですから、制度的にも、実質的にも無理だろうということで諦めましたが、ただ、専攻科に近いような形で教職特別課程を考えると、専修免許状が取れるということもあり得るのかなと今でも考えています。
慶應義塾の場合には、慶應義塾の卒業生を対象にした試験と、他大学の卒業生を対象にした試験をやっています。大きな違いはありません。2006年から他大学の学生を受け入れるということをやっているのですけども、それまでなぜそれがやられていなかったかというと、教育実習の前提条件になることを外部の人に対して筆記試験でもってやることが難しかったものですからできませんでした。慶應義塾では実習の前提になる教科の力を担保するために筆記試験形式の実力テストというのをやっていて、それに合格しないと在学生でも実習に出さないということにしていますが、2006年からその試験を特別課程の受験者に課し、さらにその合格者に対して論文と面接をやるという形の選考をしています。
どのくらい人数が入っているかということにつきましては、3ページを見ていただくと大体の傾向は分かると思います。合格率は大体50%ぐらいです。今年は入学者が一人だけなのですけれども、ちょうど新法との切り替えだったので、こちらの指導も十分にできなかったということも原因としてあると考えています。
定員は50人ですが、もちろん定員よりも受験者数が少なくても絶対評価で実習に出るだけの力があるかどうか、そこを厳しく判定をするようにしています。したがって、入学者は定員を大幅に下回っています。
入学者のバックグラウンドですが、これにつきましては、後ろの資料にいろいろなものがありますが、年齢について言うと、大学を卒業してすぐの者から50代の者までいます。20代の後半から30代ぐらいが多くなっています。
社会人経験についても、出願のときの履歴書で確認しているのですが、それですと専任で働いているのか非常勤なのか分からなかったりするケースもありますので、どれだけ正確か分かりませんが、約3分の2ぐらいは社会人経験を持っている人たちが入ってきています。職業はいろいろで、金融関係だったり、メーカーだったり、あるいは出版関係だったり、あるいは学習塾にいる方もいらっしゃいます。
教育実習は本来であれば秋に実習ができるといいのですけれども、どうしても春に実習が偏っているのですね。指導としては、できるだけ秋に受け入れてくれるところでというふうに言っていますが、実際は多くは春に実習をやっています。実習に行く前の段階で、本来であれば教科教育法等をきちっとやっていないといけないので、それについては面接のときから注意喚起をする形で対応していますし、入ってきてからは特別課程の学生が孤立しないように、ある程度グループでネットワークを作って動けるようにするような努力をしています。その中で相互に切磋琢磨していただくということもやっています。
それから、教職に関する科目の扱いなのですけれども、これは慶應義塾の場合に大学院に他大学から入ってくる学生についても同じように指導していますが、すでに他大学で教職課程を始めていても、一種免を取得できていない場合は、慶應でできるだけ教職に関する科目も取ってほしいということから必修科目については単位取得済みでも、もう一度取るという努力義務を課していて、そのように学習指導をしています。
それから、教科に関する科目については、先ほど言いましたように、当初は湘南藤沢キャンパスで課程認定がなかったので、その学部の卒業生に対して別表1備考5のロで、特別課程に入ってきた段階で教科に関する科目を認定するということをやっています。今も実は薬学部が課程認定ありませんので、別表1備考5のロというのを使って教科に関する科目については認定をしていますし、実際には在学中にこちらが学習指導するという形で対応しています。
ただ、他大学については、どのような内容のどのような授業が行われているのかということをこちらが確認できませんので、別表1備考5のロを使った教科に関する科目の認定についてはやっていません。ですから、他大学で学力に関する証明書を取ってもらって、そこの単位というのを基準に学習指導をやっているということになります。
特別課程は基本的には授業をフルタイムの学生に近い形で取っていますので、パートタイムだとちょっと厳しいと思います。
メリット、デメリットですが、やはり短期間で免許を取れるということはメリットだと思いますし、さらには学生同士あるいは教員との関係性というのは通信に比べたらあるので、そういう意味ではメリットはあるかと思います。
さらに大学の側としても、社会人経験を持っている人たちが入ってきて演習などをやると、プラスの面というのもあると考えています。ただ、経済的な側面のデメリットが学生にはあるでしょうし、さらには介護等体験等などはなかなかスケジュール上、実施することが難しいということもあると思っています。
最後になりますが、今回の免許法改正で、これまで教職に関する科目、教科に関する科目となっていましたが、大くくり化がされていく中で、別表1備考5のロの認定の範囲も広がっているようですし、大くくり化の中で特別課程をどんなふうに位置付けるかということは、今は旧免許法下で動かしていたのと同じようにやっていますが、まだ課題としては残っているのではないかと考えています。
さらに、特別課程入学までの学習指導が大変で、実際には慶應義塾では通信と併用させて、通信である程度単位を取った後、特別課程に入ってくることを指導することもありますので、そういう意味では特別課程と他の幾つかの課程と組み合わせることでもって、社会人の質を確保した教員資格の取得ということができるのではないかと考えています。
教職特別課程は多くの時間の学習指導がどうしても必要なので、特別課程を置くと教員の負担は増えます。個別の対応が大変なのですけれども、しかし、学生たちにメリットがあることだと考えていますので、もう少し充実させていきたいと考えています。以上です。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。
それでは、続きまして、公益財団法人私立大学通信教育協会の高橋理事長から説明をお願いいたします。
【高橋私立大学通信教育協会理事長】 どうもありがとうございます。画面の資料を使ってお話をさせていただきますので、よろしくお願いします。
お手元の資料の9-1を読み上げますと、30分ぐらいかかりますので、資料9-2が画面に映っておりまして、こちらで手短に15分を目途にしてお話をしたいと思っております。お話をする内容は、二人の先生と同じように大学通信教育でどのような実績があり、今後どのような課題があるかという内容でございます。
先ほど米山先生からお話がありました慶應義塾大学をはじめとして、5校で昭和24年に作られた団体が私どもの私立大学通信教育協会の前身になる財団でありまして、その後、玉川大学も参加をされて、昭和25年からは公式の学校教育法に基づく正規の通信教育課程として6校でスタートしております。ですから、70年の間、大学通信教育というものが日本の法令上大きな位置付けを持って、特に教員養成の分野でも活動してきたということがございます。
大学通信教育については、今日は是非とも質問のときに先生方からも辛口のご質問やご批判も含めて頂きたいと思っております。
通信教育の在り方は、なかなか理解されない部分がありまして、国民一般に周知するという意味での入学説明会ですとか、自助努力としてのガイドラインを作っています。通信教育全般や、とりわけいろいろ誤解の多いメディア授業ですね、これは通学課程より大学設置基準に則った公式の方法で行っているのは、圧倒的多数が通信教育でございますので、こういったものを中心に通信教育の周知・普及を進めているということになります。
教員養成の分野につきましては、協会では各加盟校への説明会を、ご所管の各課のご協力を得て進めていくとともに、免許状更新講習は協会では、これも文部科学省のご支援を頂いて、テキストを作っていまして、今では改訂を重ねまして第4版となり視聴覚障害者対応のCD版も作っておりまして、教員たちが、どこにいても学べるようにということを実現するために努力をしております。
昭和25年当初の加盟校が5校、6校から比べますと、今は、短大、大学そして大学院と61校の加盟校となりました。大学通信教育での免許取得につきましては、幼稚園、小学校、中学校、高等学校はもとより、特別支援学校も含めて広く免許をカバーしているというのが大学通信教育の状態です。
本日、報告をしますのは、私、高橋陽一と申します。武蔵野美術大学で通学も通信教育も教えておりますので、現場の様子も質問がありましたら、お話ができるかなと思っております。
それで、一般的なケースでいいますと、大学通信教育の場合、他の大学の通学の卒業者などが入ってきて、そして教職員免許法第5条別表1で新たに免許を取得する。これが本日の主要なお話かと思いますが、それ以上に実は目立ちますのが、現職教員の免許状の上進や、あるいは異なる校種、教科の免許状を取得する、このニーズも非常に伝統的に大きなものです。それとともに、今も申し上げました免許状更新講習の実施ということになります。
他大学からの編入学ということを最初に申し上げましたが、まだ大学に進学する機会が限定されていました70年前はそうではございませんでした。ただ、今現在で申し上げますと、学部の大学通信教育の場合、高校卒業者は4分の1です。それ以外は短大、大学、そのほか編入学資格のある専門学校などを修了した人たちです。つまり、端的に編入学大学、学び直し大学になっているというふうにご理解いただけると幸いです。
大きな傾向としましては、当然、高齢者も含めての学び直しの社会ですから、50代、60代の比率というのが非常に高くなっているなということと、それと様々な現職の社会人が学んでいることになります。昭和43年度当初の正規課程でも現職教員が3割を占めていた時代から、今はその部分は5%となり、通信教育で学ぶ者も多種多様化していく中で、教員の比率は下がっております。
ただ、非常に危惧しておりますのは、入学説明会で取っているアンケートの集計結果では、ここ数年は教員免許の取得のために大学通信教育を考えていますという人たちが低下する傾向にあることです。この点は一言で申し上げますと、大学通信教育があるから社会人の免許取得がこれだけオープンになっていて、これだけの人数が免許取得のために通信教育の門戸をたたいているのだということだけではありません。まさに本日の課題にもありますように、どういうふうに社会人等が経歴や、あるいは知識・技能を活かして免許取得をしていくかという部分を積極的に位置付けながら、ある意味での低下傾向にある社会人の免許取得をどういうふうなかたちで対策をとっていくか、そのために社会人にとって魅力のあるものや、あるいは学びのスタイルに合致するものを大いに考えていかなければならないのではないかと思います。
本日、時間もなかったものですので、全数調査はできませんでしたけれども、主に教員養成に実績のある大学や、幾つかの少人数科目等を担当している大学5校ほかにお願いをしまして、通信教育の学生は正規課程では全国に20万人ほどおりますけれども、今回の調査対象としては約2万人弱といいますか、そこをフォローする大学のところに調査をお願いしました。
主に教職課程で言いますと、正規課程でも、あるいは科目等履修でも20代後半から30代、40代、これが教職課程履修以外も含めて履修者の主力になるなという傾向が見られます。そして、今回は学校基本調査ではフォローできない科目等履修生についてもデータを出していただきました。こちらも非常に多くの履修者がいるわけでして、ただ、念のために言いますと、20万人のうちの2万人程度が対象だからといって、教職履修者がこれの10倍の10万人もいるというのは実際の履修者としては大き過ぎるわけですけれども、数万人の人たち、さらに言うと、学校基本調査の統計では現れない、それに匹敵する科目等履修の人たちという存在につきましても意識していただければと思う次第でございます。正規課程ではやはり現職教員の比率、科目等履修でも免許の上進、他校種の免許取得、その他がありますから、現職教員の比率が非常に高くなっているというのが見て取れます。
時間の都合上、御協力いただきました玉川大学、長い間の教員養成の通信教育での実績のある大学や、あるいは総合的に今、非常にニーズを集めております明星大学の様子、さらに幼稚園、あるいは保育士養成とリンクして実績を上げておられる聖徳大学や、あるいは少人数科目でも新しい科目である高等学校情報科の免許の取得で活躍している北海道情報大学の事例。また、手前みそでありますけれども、美術の分野では私の本務校であります武蔵野美術大学の様子なども挙げております。
全体の様子としては、このほか、今回は学部のデータで出しておりますけれども、大学院の専修免許状ニーズはどの大学院も高いなということを見て取れますし、現職教員の比率、こういったものも高いということが見て取れます。
また、年齢構成でいえば、当たり前のことですが、通学と通信教育では大きく異なっています。
さて、各校のデータは時間の都合上、省略させていただきましたけれども、以上のことを踏まえて考えますのは、社会人にとって免許取得の魅力は何かということです。やはりそれがあるということを知らせるということも重要です。それと、大学通信教育というのは通学と同じ内容で同じ水準だという、そのプライドといいますか、あるいは自信といいますか、学生にそれを付けるような、そういった教育が必要だということです。
そして、通信教育だからできるということは、場所や時間を問わないということです。昔ですと、週末スクーリングやメディア授業というのがございませんでしたので、夏休みに、休みを1か月取って面接授業を受講しなければならない。いや、それは普通の職場じゃ無理でしょうという時代がありました。メディア授業などの利便性はどんどんと現場の改革で変わってきていますから、これを教員養成のところでどのように活用していくかということです。
古き良き通信教育の70年前のスタイルというのは、124単位を通信授業だけで取るのではなくて、うち30単位を面接授業で取る、全体の4分の1を取るというかたちです。これがその後、放送大学による放送授業、さらには現在ではどんどんと面接授業に匹敵するまで統計上は受講人数が増えているメディア授業、今はこういったかたちで、展開をしているわけでございます。
教育の質の保証でいいますと、通信の教育はすごく大変です。私の勤務する大学では、教科書を作るのに全ての科目で2年前から作成にとりかかります。2単位科目ですと、一人の学生、ひとりひとりに2回の長文のレポートを課して添削をします。その上で試験を受けてもらいます。これが通信教育の標準スタイルですので、実を言うと、私も通学の学生よりも通信教育の学生の名前を覚えています。ただ、学生に実践的な指導力をつけてもらうとなりますと、面接授業で討議をしたりという部分がないと非常に難しいですね。ですから、伝統的に面接授業で開講する今言った30単位の部分は、当然、教科教育法部分や、あるいは教育法そのほかの実践的な内容の教職科目はその中の一部ですけれども、教科教育法そのほかの実践的な内容、模擬授業や討議、発表等に連結する部分は通信教育ならではの工夫を長らくしています。
例えば、教育実習につきましても、オリエンテーションで、これこそレポートも併用するんですけれども、あえて大学に来てもらって免許取得の意思確認や、それこそ応援をする。実際、私のところでは必ずそのときに短くても模擬授業をやってもらっています。それとともに、教科教育法は力を付けてもらうためにも、やはりレポートだけではだめな部分があるので、面接授業と組み合わせていく。あるいは仕上げ科目である教職実践演習については、理論的な振り返りはむしろ冷静にレポートの方がいいんですけれども、ゼミ形式のものを組み込んだり、あと、これは私の大学の例ですけれども、その前にオリエンテーション型をすることで1つ、みんなの意欲というものを高めていくということをしております。
以上のようなことを考えながら見ていきますと、これからの大学通信教育での免許の取得は、どういうふうに進んでいくのがよいかというと、社会人等の勤務経歴や専門的な知識・技能、これを活かしていくことで、一番分かりやすい教育職員免許法第5条別表1で免許を取っていくことが多数ですので、この部分でいかなる改革が現場ニーズなりで必要なのか、あるいは水準の維持ということにも照らして、可能であるかを考えてみるということが大切だと思います。
この部会では、特別免許状そのほかのご議論もされると思いますが、現場から見ると主力の部分、つまり普通免許状の教育免許法第5条別表1による取得を主力に考えていかないといけないと思います。現実に学生からの相談があるのですが、ある人は特別免許状をもらえて、何で私はもらえないのとか、問われます。あの制度があるけれども、実際には誰も出さないって教育委員会は言っていますよと、まことしやかな噂話をしょっちゅう聞くわけです。それは教育委員会の立場になると、非常にやりにくいというのは大学から見ていてもよく分かりますね。逆に言うと、実質的に70年の実績があって、大量の学生たちが努力している部分をどう改革していくかということが大きなポイントではないかと思います。
以上のように、実際、私も複数の学生から聞いたり、他大学からも聞くケースなどに基づいてお話をしていきますと、フルタイムの社会人のために、通信教育側はどんどんと改革をして、年休をそれこそ取らなくても土日でスクーリング対応はできるというふうに改革をしているのですが、やはり教育実習は平日ですし、あるいは介護等体験も平日該当になっています。ここのところがフルタイムの社会人にとっては非常に厳しい。
実際、私は何人もの学生から、免許を取るために職場を辞めました、辞表を出してきましたという話を直接聞いています。一人や二人ではありません。実際、教育実習では1か月休んだりということになりますから、社会人としては教員免許を取得して教員を目指すことは、一か八かのかけになるんですよね。この部分について今後、改革を促進するとしたら、実務経験で勘案できないか、と。介護等体験に相当するような社会活動をしている社会人は随分と今、民間企業でも多いですよね。そういったことも考慮できないかと思います。
ただ、もちろん、その一方で、普通免許状の取得で必要な議論的な部分については、スクーリングでの実施として水準の維持が大切ではないかと思います。
あとは、教科に関する科目、専門性というところでは、やはりここの部分を何か実務や、あるいは過去の学習歴、現時点における実績というものを社会人たちの専門的な知識・技能ということで勘案できないかということは強く思います。
先ほど米山先生も話題にされましたように、教育職員免許法の備考の5のロという伝家の宝刀のようなものがあるんですが、あれは他大学からの編入生に適用しようとしますと、大変なことが起こってしまいますね。ですから、実際には通常の免許法第5条別表1ベースで、既卒の大学、短大で取得した単位から読み替えるわけでして、逆に言うと、そこのところを広く見ながら、ただ、やっぱり一般的なといいますか、包括的な部分については当然カバーしないといけない。そのためには、どのような仕組み、システムが必要なのかということを考えていくということを是非とも教員養成部会の先生方にはお願いをしたいことと思っております。
今後の改革としては、大学通信教育に対する社会人のニーズは非常に大きく、今、実際に受け入れているわけですけれども、今後の各教育委員会、あるいは全体で行われるような教育の研修計画や、あるいは育成のための協議会というところも、社会人学生たちのことを視野に入れて考えてほしいというお願いを申し上げたいです。あと、私どもも他にお願いをするだけでなく、先程申し上げましたとおり大学通信教育やメディア授業に関するガイドラインを作って自助努力をどんどん進めておりますので、現在、社会人等の大学通信教育での免許取得は、若干減少傾向ですが、こういったものにも歯止めを掛けるような努力もしたいと思います。また、教員養成の部分でも望むらくはガイドラインを作ったり、あるいはスタンダードを作ったりということをしていければなと思っております。
今後とも実態やデータなど、ご審議に必要なものがありましたら積極的に協力したいと思っています。
以上をもちまして、私からの「大学通信教育における社会人などの普通免許状取得について」の概略の説明としたいと思います。ご清聴どうもありがとうございました。
【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。社会人の方が普通免許状を取っていただいて、教員になっていただく、その仕組みとして3つあるということで、認定試験、それから特別教職課程、そして通信教育、この制度と取組について御紹介いただいたということであります。
このお三方の今の御説明について、あと残りの時間質疑応答してまいりたいと思います。ご質問、ご意見等どなたからでも結構ですので、よろしくお願いします。どうぞ。
【立田委員】 資格認定試験について伺いますが、小学校に関してですけれども、例えば既に中高の免許を持っている方ですとか、小学校以外で現職の教員の方ですとか、現状でそういった方に対する一定の免除などについてはあるんでしょうか。
【大路教職員支援機構理事】 一定の免除を設けておりまして、ちょっと詳細に説明する能力がないので申し訳ないんですけども、三次試験を免除するというふうな仕組みになっております。
【立田委員】 私はこの4月から横浜市内の小学校で校長を務めているんですけれども、本校の場合、学級担任16名のうち5名は大学卒業時に小学校の免許を持っておりませんでした。5人とも卒業後に通信教育で小学校の免許を取得し、採用試験に合格して、その中でも1名は今、教務主任を務めるなど、校内で活躍してくれています。
最終的には社会人の受け入れというお話になっていくと思うんですが、小学校教員の採用試験の倍率が低下していることですとか、臨時的任用職員の確保が難しいというような状況を考えたときに、既に他校種の免許を持っている方に対して何らかのインセンティブを与えるような、そういう仕組みがあるといいなと考えています。資格認定試験なのか、通信教育なのか、方法はいろいろあると思うんですけれども、検討する価値があると考えています。
【加治佐部会長】 いかがでしょうか。松木先生、その後、松田さん、お願いします。
【松木委員】 意見というよりも感想に近いような話になるんですが、3団体とも非常に努力してくださっているなと思いながら、だんだん数が減少していくという実態を見ますと、全体として教員採用試験を受けていく数そのものがすごく減少している、ブラックなイメージといいますか、そういったことの中で減少していくという、その状況の中で、3大学の御努力も何かある意味駆逐されてしまうのではないかなというような懸念が1つあります。
その一方で、例えば、大路理事さんの方から説明がありました教員資格認定試験のところなのですが、実は私自身も学生時代にこれを受けて免許を取りました。数日で免許を取れる。これはラッキーだなと思って、採用試験も受けておりません。ですから、非常に悪いケースではないかなと思うんです。いざ教員養成をし始めてみると、教員養成を4年間かけてやるのを数日で免許を出していいのだろうかというような危惧も出てきます。
社会人のためのことを念頭に置きながらも、現実には19%の学生が受けているわけですよね。そういった抜け道になっている部分も同時に検討しなきゃいけないのか。それを抜け道と言わない方がいいのか。そこもちょっと微妙なところではあるのですが、社会人のために特化していく方がいいのかどうか、そんなことも含めて御検討いただいた方がいいのではないかなと思っております。
【加治佐部会長】 分かりました。それでは、松田委員、お願いします。
【松田(悠)委員】 今のところに少し関連するのかもしれないですけども、そもそもの目的が何なのかというところがすごく重要だと思っていまして、恐らくこういった資格認定試験というのは、今までの教育現場が獲得し得なかった人材の確保が目的だと思うんです。今、社会情勢が非常に激しくなっていく中で、それこそ求められている人材像もどんどん変わってきている。高いレベルのコミュニケーション能力であったり、ITリテラシー、そして英語の専門性、理科科目の人材の獲得も、もともとの教職課程ではなかなか確保が難しいようなところを、民間に出ていった優秀な人材を確保するための施策だと思うんですよね。その上で、先ほど3つの事例がありましたけれども、特に通信課程や特別課程においては、相当なコミットメントが求められるなと、今御説明にもあったように、感じました。
私の周囲にいる例えば20代後半そして30代の、民間企業でばりばりやっていて能力の高い人材というのは、そもそも家庭を持つ年次にもなってきますし、そういった中でキャリアを捨てて通信課程に入り直す、若しくは特別課程に入り直すというのは、なかなかハードルが高い現状があるなと感じております。その上での資格認定試験というのは、質の保証というのはちゃんと見ていかなければいけないと思うものの、そういった人材がチャレンジしやすいものだなと個人的には感じています。
ただ、出願者の減少の、課題は、そもそも制度を知らない、もしくは知られていないというところが一番大きいと思っており、この制度が全く認知されていないことも課題であるということは1点申し上げておきたいと思っております。
採用ペルソナをちゃんと設定をして、そこに認知するような広報戦略であったり、それこそ周知をする戦略をしっかりと考え、打ち手を打っていくことで、ここの出願者の人数を増やしていくことに対しては貢献できるのかなと思っております。
1点、ちょっと質問があったのは、社会人人材の活用ということを考えていったときに、なぜ幼稚園と小学校に限っているのでしょうか。というのは、そもそもそういった民間経験を経ている人材、専門性をうまく活かしていきたいのであれば、性質としては中学だったり高校の方がより親和性があるのかなというふうに思っておりまして、民間企業で働いている人たちが小学校や幼稚園の先生になりたいかというと、必ずしもそうではない気がしています。どちらかというと中学校の先生だったり、高校の先生で、より自分と年次が近いところでこれまでのキャリア経験を活かしてやっていきたいと、チャレンジしていきたいと思っている人たちはいますので、そういったところ、そもそもの経緯はいろいろあるかと思いますけれども、ここの認定資格そのものの対象資格を中学校・高校であったり、そういったところに広げていくのも併せて検討していくのはどうかというふうに思っておる次第でございます。以上です。
【加治佐部会長】 それでは、今の御質問の認定試験、幼小であって、中高がなぜないのか、ちょっと簡単にお答えいただきます。長谷さん、どうぞ。
【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】 事務局の方から。資料の4にございますように、最初は高等学校、高等学校は非常に教科の種類も多いですので、そういった特殊な教科についての免許を出すことが必要だということで、高等学校からスタートしたという経緯がございます。
ただ、平成16年度に高等学校の資格認定試験というのは休止をされておりまして、この米印のところに書いておりますように、特別免許状が有効期限が延びて普通免許状とほぼ同じような状態になってきましたので、そこは特別免許状である程度代替できるであろうという前提の下で高等学校を廃止をしたという状況がございます。
【加治佐部会長】 今後どうするかですね。また復活するのかどうか。
【松田(悠)委員】 そうですね。
【加治佐部会長】 それでは、続きまして、田中委員、それから秋田委員にまいりますが、御発言される方はこれを立ててください。では、田中委員、お願いします。
【田中委員】 平成16年、17年ぐらいかな、こども園の制度をやるために幼保の資格を制度設計から関わったんですけれども、それで幼稚園は特に認定試験ができたというのがきっかけです。合格率が非常に低かったのは、保育士さんの場合に資格試験ですので、非常に学歴が低い方もかなりおられた。特に中堅以上の方は、保育士で務めていらっしゃる形でほとんど大学を出ている方は少なくて、もともと高卒程度の学力試験が通らない。
三次といっても、いわゆる教職する部分は通るんですけど、というので、制度設計して1、2年目のときにもうちょっと合格率が上がる方法はないかというのが中にもあったんですが、教職としての資格としては、現場的な部分は通るんですけど、もともとの教員としては、例えば憲法は何なのかとかという教員としての免許としての資格の原点の部分をどうクリアするのかというのは現場的にはなかなかクリアできなかったので、合格率が上がらなかったというのが現状だというふうに認識しています。
幼稚園の現場でこの問題等を考えますと、今はほとんど幼保の免許を取っているということと、私立がほとんどになっていますので、例えば私の園とかで今までの例を見ますと、免許を持っていようが、免許を持っていなくても、この人を使ってみたいなという人は採用するんですね。現場的には担任を持たなければ、免許を持たなくてもやる仕事は幾つもありますので、それをしながら通信で免許を取らすという形をほとんどのルートでは使っているかなと。それをしますと、これから幼稚園の場合には家庭教育の接続とか、今までの3歳以上のいわゆる学校教育としての幼児教育以外の分野というのはかなり仕事として増えてきますので、採用して、インターン的な発想で何年間か現場を実習した人が最後に免許という資格を取りに行くというような仕組みができると、現場的には非常に使いやすいものになると思います。
持っていないと採用できないという時代ではほとんどなくなってきているのが現状なので、採用で採りたい人材をどういうルートで免許を取っていく道になるのかということを是非考えていただけたらと思います。以上です。
【加治佐部会長】 分かりました。秋田委員、お願いします。
【秋田委員】 ありがとうございます。私の個人的経験ですが、教員資格認定試験、私のゼミ生は受けておりまして、開放制免許制度でも中高免許しか出せていない大学で、実際にはいろんな学校種を見学に行って、やっぱり小学校の教員になりたいという、そういう学生や院生というのはおります。そういう学生たちにとっては、通信で取る方法も大学院生だとほかの大学に二重に所属することが難しかったりする。そういう院生たちにとっては、この制度というものが非常に有効であります。実際にごくわずか3名ですけど、そのうち2名は今も現職の小学校の教員として実際に勤務し活躍をしたりしています。
そういう意味でも、多様な道を、特に開放制でいわゆる養成だけをやっている大学ではないところから、なりたいという学生への道としてはあることの意味はあると考えます。しかし、これがなぜ増えないというと、そういう情報を知らない人たちが結構多くて、そういう道があるということすら知らされていないがゆえに諦めているというようなことが、それが私のところだけではなくて多くあり得るというふうにも考えます。ですので、そういう意味で、さらにこういう制度があるということを、社会人もそうですし、それから院生等でも、自分の大学ではこの学校種しか現在取得できていないが、ほかにも道があるということを知らせるということは必要なことではないだろうかというふうに思います。
そして、また、きょう御提案を大路理事からありました教育資格認定試験制度の中で、ここで保育士の免許の幼稚園免許の併有を促進するという意味で、現在子ども・子育て支援制度の中で5年間、免許促進のために延長しているわけなんですけれども、是非このあたり、資格試験の制度だけがいいかどうかは別としても、こうした道もあるということを周知していただきたいと思います。そして、社会人で保育士を続けてきて、それなりに教養のある人がこういう方法で取れることによって併有をしていくというようなことも、単に併有というだけではなくて、免許によってやっぱり教育とは何かを学んで、そして試験を受ける機会になるという意味で大変意味があるのではないかと思っております。応募の数が減っているから閉じていくのではなく、新たな価値や意味を与えて、広く周知していくという方向もあり得るだろうと思いました。以上です。
【加治佐部会長】 ありがとうございます。この認定試験に注目が集まっていまして、非常に利便性が高い、あるいはチャレンジする価値がある、抜け道という意見もありましたけど、ただ、知られてないということですね。大路さんとか事務局の方でそれについて何か。
【大路教職員支援機構理事】 御指摘のとおりという認識を持っておりまして、まさにこれを積極的に周知すべきかどうかという議論もやっぱりあるかなというふうに思っていて、何か抜け道という言葉もありましたけれども、そう受け止められている向きもある中で、これを積極的に宣伝をしていくことによって、4年制の通常の課程による免許取得とは異なるものをどういう格好で積極的にやっていくのかということは1つの大きな課題かなというふうに思っておりまして、私が提案させていただいたみたいに、今後試験の在り方を少し変えていって、ターゲットをより明確にしていくということを仮に方向性として取っていくのであれば、その方向性を踏まえて、よりそこのターゲットに向けて周知を強化していくということは必要になってくるんじゃないかなと今思っているところでございます。
【加治佐部会長】 事務局の方はよろしいですか。
それでは、これから古沢委員、北神委員、松田恵示委員、お願いします。それでは、古沢さんからお願いします。
【古沢委員】 ありがとうございます。今、3団体の皆さんの話を伺って、教員志願者が減る中で大変御苦労されているということがよく分かりました。社会人教員の登用は是非推進すべきだと思いますし、多様な機会を提供するのも必要かと思います。
その上で意見を言わせていただきたいのですが、私も資格認定試験に最も関心がありまして、機構がその作問とか運営を担って、簡素化する方向というのはやむを得ないというか、適切ではないかというふうに思います。
その中で、三次試験を廃止というのは、三次試験というのは、養成課程では教育実習に代わるようなものなのかなと思うのですが、もし論述筆記のみになると、負担が大きいということなのでしょうけれど、小学校というのは特に適性が問われる校種ではないかと思っていまして、もちろん教える教科も多いですし、子供の発達段階の理解も必要であるという中で、適性を見て質を確保する機会というのは、保護者の視点からいっても是非ある程度やっていただきたいというふうに思います。
今、大路さんの方からもターゲットをある程度絞るとか、あるいは他の校種の免許を取っている方とか、そういうことであれば理解できるというふうに思います。以上です。
【加治佐部会長】 それでは、何かお答えがあるかもしれませんが、たくさんの委員の方の意見を頂くために、北神さんにお願いします。
【北神委員】 今、機構の方でこの資格認定試験の研究プロジェクトを担当しているものですから、その観点から、委員の方々から出た御意見も含めて、機構のプロジェクト研究で検討していることについてお話をさせていただければと存じます。先ほど松木先生の方から学生という問題が出た部分に関してですが、先ほど大路理事の方からご説明のあった資格認定の合格者の状況で学生が19%いると、この実数は60人なんですが、そのうちの41人は中高の教員免許取得者で小学校以外の教職課程を履修している学生がそこの母体です。つまり、他の校種の免許は取っているけども、今の在学している大学では小学校の免許が取れないので、こちらにチャレンジしているという学生です。その点で、先ほどのターゲットの問題でというと、1つは中学や高校の免許を取っている大学生で、さらに小学校の免許取得を希望している人たちが1つのターゲットとして考えられるだろうと。
さらに、第2のターゲットは今日のテーマである社会人ということ、そしてもう1つは、現職の先生で他校種の免許を取るという形の部分で、いわゆる現職教員がターゲットの第3の部分としてある。恐らくこの3つがこの小学校資格認定試験の今後を考えていくときの大きな柱になるだろうと。
その部分で考えたときに、特に社会人を対象にしたときの質保証をどうするかというのが一番大きな問題になると思います。その点で、試験の中身の問題でいうと、小学校資格認定試験では、小学校の二種免許が取れるわけですので、免許法上での二種免許の規定を土台にして、試験内容というものをどう再構築するかという点が制度設計で必要だろうと思います。その部分の中で、どこまで軽減というか、試験の内容を改善できるかどうかというのが現実的な部分としてあるだろうと。
それと、先ほど松田委員の方から、何で中高がないのかというご質問がありまして、事務局から説明がありましたように、中高の場合は教科ごとに特別免許状が出るので、そちらを有効活用した方が、あえてこちらでチャレンジしていただくよりはハードルが低いのではないかということと、専門がより活かせるだろうということで廃止になった経緯がございます。
ところが、小学校の場合には特別免許状でできるのは各教科でしかできない。小学校は、全教科担任制なので、全部の教科を持ってもらうためにはこの試験制度を活用して入っていただいた方がいいだろうと。
今、機構の方で調査をしていく部分の中で、文科省が調査をしたデータも提供していただいているのですが、その結果を見ますと、この資格認定試験で入った先生と、大学の通常課程で小学校の免許を取った人が現場に出ていただき、その先生たちを預かっている校長先生たちがどう評価しているかというと、約7割の校長は差がないという調査結果が出ております。
そうすると、それは今の試験制度で担保されているのか、その社会人の経験という部分が教員の土台を構成しているという部分の中である程度、基礎的素養という部分のものがあるから大きな差がないのかを精査していくことが必要だと考えております。その一方で、本人はやはり授業力に課題があるというので取り組んでいきたいということも調査から伺えます。そこのあたりも今後の制度設計を検討していく部分の中で、より詳しいデータ分析をしていくことで具体的な提案が今後できるのではないかと思っております。そのようなことも今後の検討の1つとして考えていただければと思います。以上です。
【加治佐部会長】 分かりました。では、松田さん、お願いします。
【松田(恵)委員】 お三方の御報告を聞いて、社会人の登用といいますか、免許制度の在り方で考えさせられることがすごく多くて勉強になりました。
今の北神先生のお話もそうなんですけれども、認定試験に関しては、確かに松木先生もおっしゃるように、委託されている側としては自己否定しているような気持ちになる、正直そういうところはございまして、ただ、今お話が出たように、多様な側面があって、改善の点もあるということはよく分かりました。難易度が結局、知識の再現性というところに絞られているというところが、どう改善できるかということだとは思ったんですけれども、考えないといけないなと思いました。
もう1点、今日の話を聞いていてすごく思ったことがございまして、社会人の登用といった場合に、基本的に現行、教員の採用というのは、養成して採用するという手順で基本的に考えるんですけど、田中委員がちょっとおっしゃったように、採用を先にやって、それから養成するという考え方は確かにあるじゃないかと思ったところがございました。
というのは、例えばパイロットの養成課程なんかは、まず採用した上で2年間の養成課程で免許を取るという形になっていると思うんです。ですので、社会人の場合は、ストレートの学生ではなくて、社会人経験やそれまでの職歴もございますから、ある種教職に対する適不適というものを採用レベルで先行して決めた上で、その後に養成するというような、免許取得と採用との関係を紐づけて少し議論するということも1つあるのかなと思いました。
社会人が多分障壁になることというのは、今を確保しながら先に対してどう準備するかということだと思いますので、先に対するある程度の保証ができていれば、むしろ人材としては移動する可能性はあるのかなとちょっと考えた次第です。以上です。
【加治佐部会長】 ありがとうございます。これから森山委員に御発言いただきますけど、特別の教職課程、あるいはかなり多くの人が学んでいる通信での免許取得、こちらにもその今後の可能性、そういうことを含めて是非御意見いただきたいと思います。森山委員、よろしくお願いします。
【森山委員】 今日、お三方からお話を頂きまして、それぞれに特徴がありました。多様な人材を確保する、あるいは社会人の登用の機会を増やすという意味では、それぞれ3つの方向が示されているわけですので、これはどれがいいとか云々よりも、むしろこういう多様な方向を推進するような何か手だてを考慮する必要があるということを前提にしたいと思います。
特に教員資格認定試験につきましては、社会人登用の機会として積極的に活用すべきだと思います。その中で、受験生を増やすということが今日議論になりましたけども、受験生を増やすには、試験の質を落とさずに合格率を上げるという仕組みを考える必要があるのではないかと考えます。
そうしますと、例えば受験状況の分析であるとか、特に今日、一次試験、二次試験、それから三次試験という3段階の試験の段階が示されましたが、その中でどの段階で具体的に不合格になっているのかとか、そのあたりの分析が非常に重要ではないかと思います。
そういう意味では、今日、幼保についての受験者の状況について具体的に田中委員から御説明がございましたけども、そういうような実際の受験者がどの段階で不合格になっているのかということもしっかりと検討すべきではないかと思いました。是非そういうことを踏まえた上で進めていただくというのがよろしいかと思います。
それからもう1点、教師塾もそうですが、事前に養成と採用をある程度包含しながら進めていくという、そういうことは実際上、大学と教育委員会の間で普通に行われている状況でございます。そういうような観点も、今日、松田委員からもお話がありましたけども、やはり社会人の登用についても検討しないと、社会人登用の現実的な振興というのはなかなか今後進んでいかないのではないかと思いました。以上です。
【加治佐部会長】 ありがとうございます。それでは、坂越委員、それと喜名委員、そして本図委員、橋本委員でよろしいですか、とりあえず。では、お願いします。
【坂越委員】 通信制の高橋理事長から今日は本当に詳しい話を頂いて、認識を新たにしたというか、いろんな教職課程を見せてもらう機会があるのですが、通信というのが一体どんな形で動いているのか、私たち正直分からないところがあって、今回本当に丁寧にやっていらっしゃるということを認識したのですけれども、ちょっとお伺いしたいのは、例えば、協会の内部でいろいろガイドラインがあるにしても、内部で何かこう質保証するような互いのピアレビューみたいな仕組みというのがあるのか、あるいはそういうことを考えられるのかということが1つ。
それから、ICTとか使った授業というのは、これは正規のカリキュラムの中でもどんどん入ってきているので、それは本当に意義あることだろうと思います。1つの不利益というか、先ほど難しい問題ということで、対面とか教育実習ということを言われていたのですけど、例えばそういう部分、教育実習というのは通信の課程だったらどのようなケアをされているのか、少し教えていただけたら有り難いです。
【高橋私立大学通信教育協会理事長】 ご質問、どうもありがとうございます。まずはガイドラインのお話ですが、本当にまだ協会としては自助努力というかたちになります。実を言うと、大学の認証評価がスタートするときに、本協会を通信教育に関する認証評価団体にするという準備をしていたのですが、最後の法令上の制度設計で、通信教育のみの認証評価は法令化されなかったということになりましたが、いわゆる今ちょうど話題になりましたような大学基準協会、その他の認証評価団体が行っているような評価のためのガイドラインを作成しています。あるいは相互チェックというのは少なくても法令の根拠を持ってはできませんので、その意味においては、本協会では研修や加盟校相互の話し合いを行っています。今後、特に教員養成の質保証ということを考えたときには課題のある部分だなと思っています。これが1つです。
2つ目の教育実習のための努力というところですが、これは結局難しいところなんです。実は教員側からすると、学生が通学に15回とか、あるいは7回ぐらい大学に来て、オリエンテーションを繰り返し聞いて、その中であのメニューもこのメニューもやりたいんです。ただ、北は北海道から南は沖縄まで学生を集めてくるとしたら、それは非常に難しい。では、一部分をメディア授業でやっていけるか、あるいはどうするか。ただ、やっぱり面接授業でないとできないところがあって難しいのは確かですね。
そうなったときに、先ほどのガイドラインの話と関連させると、どこまでを面接授業で直接やるか、どこまでがメディア授業で実施できるのかです。この場合も相互型の教員と学生が1対1対応もできますので、どこまで置き替えられるか。実践的なところをきっちり力を持ってもらって、意欲を高めた状態で送り出したい。
1つだけ申し上げますと、実際、私は、通学も通信教育も両方教えていますが、1回目のオリエンテーションで、学校の先生になりたい人と学生に本音を聴いて手を挙げさせるんですね。ちょっと暴言になるかもしれないですが、通学の場合は、あえて公式な話じゃなくて、正直に言うと、大体手を挙げるのは2割か3割です。これに対して通信教育は、今年と昨年のオリエンテーションの例で言うと、手を挙げない人は一人もいませんでした。つまり、全員が手を挙げました。僕は、意欲確認は儀式的なものと言われるかもしれないですが、すごく大切だなと思っています。もちろんこういった意欲、さらに技術的な部分、知識的な部分というのを含めて教員の養成をやっていくということはとても重要なことと思います。だから、私としては、そういった意欲のある社会人たちの、もちろん他の道もあっていいわけですけれども、通信教育であれだけの単位数を取り、あれだけの能力を付けている人たちに是非とも現場の教員になってもらいたいなと思っている次第でございます。
【加治佐部会長】 それでは、お三方、御発言いただけますか。あと5分ぐらいになりましたので是非簡潔にお願いします。喜名委員、お願いします。
【喜名委員】 ありがとうございました。多様な人材が学校に入って、学校が活性化するというのは本当に大いに期待をするところでありますし、小学校における教科担任制についてもこれから議論がされるところなので、こういうことも大切だなと思います。そして、免許の与え方についてこういうシステムがあるということもすばらしいことだと思っています。
ただ、先ほどの話の中でも資格認定の中で、社会人だから実技が要らないんじゃないかというお話もありましたが、それはまたちょっと違うのではないかなということも思います。
また一方で、慶應大学の米山先生の資料の中にもございました、特に御説明はありませんでしたけれども、一般企業で社会人経験を経て教職を志す人の中には、消極的な理由で転職を考えている者もいるということを実は実感をしています。教員採用試験の面接なんかをしていても、一般企業でうまくいかないから、学校ならばというふうに考える人たちがいる中で、そういう人たちは採用の段階でどうにかなるかなというふうにも思いますが、採用倍率がこれだけ低くなってくると、その点もかなり危惧されるところです。以上です。
【加治佐部会長】 なるほど。難しいところですね。それでは、本図委員、お願いします。
【本図委員】 ありがとうございます。簡潔に。きょうは御発表ありがとうございました。高橋理事長のお話で、坂越委員も言っておられたように、大変丁寧にやっておられるんだなということで認識を新たにしたんですけども、1点だけ、この協会で改めまして先ほど法令上にのっとっての質保証という御意見でしたけれども、この協会の中で内部でのもっと御議論とか、そういった見通しついては、質保証という点ではいかがなんでしょうか。
【高橋私立大学通信教育協会理事長】 どうも貴重なご意見ありがとうございました。本協会では、毎年、事務局職員ベースの研修会でも年に1回は、通信教育における教員養成に関するテーマで研修会を開催しています。また、大学通信教育政策検討委員会という委員会を立ち上げて、大学通信教育全般に関する質保証についての議論をしております。
教員養成の部分につきましても、非常に大きなテーマになっているというのは先ほど申し上げたとおりですが、ちょっと非難めいた言い方になるのを許していただきたいのですが、認証評価に関する質保証の議論が進んでいるときもそうでしたが、大学における政策の議論がされる際には、通信教育の話、通信教育のポイントが、ついつい議論の中、法令の中ではちょっと後回しになってしまう、あるいは悪い言い方で言うと忘れられてしまうというところがあります。私たちとしては、忘れないでねということを言うことが仕事だと思いますし、逆に言うと、自分たちでその部分はスタンダードを出していくというのが一番の仕事だと思っております。
はっきり言いまして、通信教育が認証評価で対象になっていないから、自分たちでスタンダードとしての大学通信教育ガイドラインを作った。メディア授業についてはどんどん進んでいるのですが、なかなかまずいケースがあることも確かです。だからスタンダードとしてのメデイァを利用して行う授業に関するガイドラインを作った。ですから、同じようなかたちで社会人の教員養成のために、今日話題になったようなテーマについて、是非とも私どもの協会としては積極的に進めていきたいし、その意味では、この場の議論やあるいは担当部局からのご提案、ご提言というのを積極的に受けたいと思っております。そういったことに向けての準備の体制は整っていると考えているところでございます。
【加治佐部会長】 では、橋本委員、お願いします。
【橋本副部会長】 私もやはり採用する側ですけれども、多様な社会人経験を持った先生の登用が拡大していく、これは望ましいことだなと思っております。今日はいろいろお話を聞かせていただきましたけど、多様なチャンネルがあるということは望ましい方向で、ただ、やはり質の担保ということはしっかり保証してほしいなというのはあります。
その上で、今日は余り意見は出ていなかったんですけど、例えば米山先生の資料の後ろの方にありましたけど、今の教職特別課程の制度ですけども、法律で1年という期間、在籍年数が決まっていますけども、かなり1年というのは厳しい履修内容になってくるのかなと。そういう意味では、これを2年以内とか、広げる手だてがあるのかなということが1つ。
それから、ここもそうですし、通信制課程でも確かに通学制に比べると随分安いわけですけども、とはいえ、プラスアルファでまた負担をして、履修しようとすると、経済的な負担という問題も拡大を進めていく上では大きな問題かなと。厚労省の教育訓練給付金10万円ですかね、出るような制度もあるんですけど、そうしたものの活用を含めて、経済負担への支援というものも考えられないのかなと思います。
それから、最後にもう1点。意欲の問題とか消極的理由でというお話がありました。実は私どもも昔、社会人特別枠というのを設けて試験をやっていたときがあったんですけども、たしか4~5年で40名ほど採用しましたけど、かなりの人間が辞めていったり、よそへ行ったりということで、余りうまくいかなかったことがあります。これは採用のときの試験の仕方にも問題あったかもしれませんけども、こういった社会人だからいいということでは決してなくて、意欲とか、本当に何を目指して教員を考えているのかというところをしっかり押さえられないと、必ずしもうまくいかないなということを身をもって体験しておりますので、あえて最後に申し上げました。
以上です。
【加治佐部会長】 もう時間ですが、せっかくですので、米山先生、今あった、制度が窮屈であること、あるいは経済的負担の問題。そこを簡潔にお答えいただけますか。
【米山慶應義塾大学教授】 「消極的な理由」の部分は、どういうふうに書いたらいいか、非常に苦慮したところで、正確に読んでいただいて大変ありがたく思っています。まさにそのとおりで、現在の仕事がうまくいかず、なんとなく教員ならばできるかもしれないという思いの人がいることも確かです。慶應義塾は通信もありますので、そこでまずはパートタイムである程度単位を取ってもらって、それから特別課程に入ってくるとか、他の課程と様々な組み合わせを考えていくことによって、経済的負担を減らしていくということが必要かなと思っています。
教員免許取得のデータは一括申請の資料なので、免許を取っていないように見えちゃうかもしれないのですけれども、実際にほとんどの特別課程生は教員免許を取っています。ただ、たまには単位を落とす学生もいますので、その学生については2年目に科目等履修生等で面倒を見るということをやっています。
そんなことを含めて、1年というよりも、もう長い期間の在学年数のコースで、大学教員が学習指導に関わる形でコース運営できたらなということがこれからの希望です。当然、入試はやはり質保証の観点から厳しくならざるを得ないですし教員になる前提みたいなものを満たして特別課程に入ってきてもらう。だから、実際には1年の課程だと言っても、本当に1年かと言われると、もうちょっと時間かかっているというのが実態です。
以上です。
【加治佐部会長】 ありがとうございました。本当に内容の豊かな発表をお三方から頂きました。では、簡単にお願いします。
【大路教職員支援機構理事】 教員資格認定試験につきましても様々な御意見いただいたこと、ありがとうございます。参考にさせていただきたいと思っております。
特に社会人ということでかじを切るのであれば、御指摘あったように、社会人として求められる、社会人の特性を踏まえた試験としてどうあるべきなのかといった話とか、それから質の保証をしていくということが当然の前提でございますので、いろいろ御懸念の点もあったかというふうに思いますが、そのあたりの詳細については文科省の方ともよく相談しながら方向性を決めていきたいと思います。
三次試験の話もありましたけど、三次試験については、やるかやらないかということも含めて、仮にやめたときに、それを補うような仕組みとしてどういうものが取れるのかということも考えていきたいと思っておりますし、それから、実技についてはちょっと私の言い方が極端過ぎたので、実技が必要ないからやめると言ってしまったようにお聞きになったかもしれませんが、必ずしもそういう意味じゃございませんで、試験として実施をすることとして適当なのかどうなのかといった観点で考えていきたいというふうに思っていますので、その辺も含めてちょっと今後検討していきたいと思います。ありがとうございました。
【加治佐部会長】 どうもありがとうございました。
それでは、時間になりましたので、本日の審議はこれまでといたします。
今後の日程について、事務局から説明をお願いいたします。
【赤間教育人材政策課課長補佐】 次回の本部会の開催でございますけれども、8月30日の金曜日の開催を予定しております。正式な開催通知については改めて御連絡をさせていただきます。事務局からは以上でございます。
【加治佐部会長】 それでは、今日はどうもたくさんの意見ありがとうございました。これで終わります。

―― 了 ――

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