教員養成部会(第103回)議事録

1.日時

平成31年1月25日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

三田共用会議所 第四特別会議室
東京都港区三田2-1-8

3.議題

  1. 平成30年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定について(答申案)【審議】
  2. 免許状更新講習の開設者の拡充について【審議】
  3. 学校における働き方改革について【報告】
  4. 教師の資質能力向上に関する自由討議【審議】

4.議事録

【無藤部会長】  それでは、おおむね定刻だと思いますので、ただいまから第103回中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会を開催いたします。本日は、御多忙の中、御出席いただきましてありがとうございました。
  次に、会議資料ですけれども、事務局から御確認をお願いいたします。
【渡邉教育人材政策課課長補佐】  はい。資料の確認をさせていただきます。
 端末に本日の配布資料を開いた状態で御用意させていただいております。順に、座席表、議事次第、次に課程認定委員会における審査状況について、次に議事次第に記載のとおり資料1-1から資料4-2まで、また、参考資料1及び2を配布してございます。
 参考資料1でございますけれども、先週18日に取りまとめられました政府の教育再生実行会議の中間報告でございまして、今回の中間報告では、技術の進展に応じた教育の革新と新時代に対応した高等学校改革について、中間的な提言がまとめられてございます。また、参考資料2は、昨年11月に柴山文部科学大臣が発表いたしました「柴山・学びの革新プラン」でございまして、教師を支援するツールとしての先端技術の活用を進めようとする計画となってございます。それぞれ教師の資質・能力向上に関する内容も重要な部分として含んでございますので、御参考としていただければと存じます。
 また、デスクトップには、本日の会議資料を含めまして第97回からの会議資料を格納したフォルダを置いてございますので、適宜御参照いただければと思います。
 また、本日の配布資料のうち、資料1-4及び1-5、また、ほか1種類の資料につきましては、審議の公平性を期すために、教員養成部会運営規則の規定によりまして、非公開とさせていただいております。
 御不明な点等ございましたら、お近くの事務局員までお申し付けください。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 ということで、本日は、審議案件3件、報告案件1件についての御審議を頂きます。
 議事の1については、課程申請ですね、課程認定のところですね、了承が得られれば、答申をきょう行うということを予定してございます。
 それでは、議事の1、平成30年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定について審議を行います。この議事につきましては、教員養成部会運営規則の規定に基づき、非公開となってございます。報道関係者等の皆様におかれましては、御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
(報道関係者入室)
【無藤部会長】  それでは、平成30年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定について、答申を行います。
(答申文手交)
【無藤部会長】  それでは、議事を進行させていただきますが、続きまして、資料1-6、教職課程の基準に関する検討事項について、事務局より御説明をお願いいたします。
【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】  それでは、お手元の資料1-6をお願いいたします。「教職課程の基準に関する検討事項」という資料につきましてご説明申し上げます。
 先ほど答申を頂きました今回の再課程認定の審査の中では、課程認定基準に照らしまして、全大学の教職課程の状況につきまして審査を頂きまして、より質を高めるために、各大学の教職課程に不備のあるところについては御指摘を頂きまして、4月から、これまでよりも質の高い教職課程としてスタートしていくことができると考えてございます。
 一方で、全大学の御審査をいただいたところを踏まえまして、教職課程をより効果的・効率的に実施するために基準の方に改善すべき点があるのではないかということにつきまして、課程認定委員会の方から検討事項についての御提案がございました。この課程認定基準につきましては教員養成部会の決定事項でございますので、課程認定委員会からこちらの養成部会への御提案という形で頂いてございます。
 この資料1-6のところを読み上げさせていただきます。
 これまでの教職課程認定の審査等を踏まえ、本委員会としては、教職課程の水準の維持・向上及びその効果的・効率的な実施等を図る観点から、教職課程の基準に関し、特に以下の点を中心に検討を行うことが適当と考える。
 1としまして、複数の学科等間の複数の教職課程における授業科目の共通開設の拡大について。例えばでございますが、括弧にございますように、教職課程認定基準4-9の(1)による中学校及び高等学校の「教科に関する専門的事項」に開設する授業科目の共通開設について、御検討が必要ではないかという点が1点。
 それから、今回行いました課程認定の後も全学的に教職課程の質を保証し、向上させるための継続的な仕組みが必要ではないか。
 この2点について検討事項として御提案を頂いてございます。
 ここで御提案頂いております検討事項のほかにも、課程認定の基準につきましては、前回の会議で御報告を申し上げました免許外教科担任の在り方に関する検討会議の報告書の中でも、例えば、大学間で共同して教職課程を設置する仕組みについての御提案がございました。あるいは、「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」の中央教育審議会の答申の中でも、例えば学部等横断的な学位プログラムの設置でございますとか、大学連携推進法人のように学内の学部等の組織でありますとか、大学の枠を超えて教育研究を行う仕組みが提言をされているところでございます。
 こうしました大学の学位プログラムの在り方でございますとか、組織間の関係につきまして、教職課程も恐らく影響を受けてくるところがあろうかと考えられます。ですので、課程認定基準の一部の手直しということだけではなくて、恐らくまとまった御議論を頂く必要があるのではないかと思われますので、是非教員養成部会の方でも御議論いただければと考えております。
 以上でございます。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの御説明につきまして、御意見、御質問等がございましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。どうぞ。
【牛渡委員】  ただいまの検討するという方向性、大変よろしいかと思います。今回の課程認定の実施に当たりまして、様々な大学の関係者から、学会等を通じて聞いているんですが、共通開設あるいは他の学科の科目を活用するということに関しまして、もう少し幅を広げてほしいという意見等の報告が上がってきております。それぞれの学部・学科ごとの専門というのを、教職課程の専門性と同時に大学全体として専門性を認めていくような、より効率的・効果的な在り方を是非御議論いただきたいと思いますので、ご検討よろしくお願いしたいと思います。
【無藤部会長】  ありがとうございました。今のような問題も含めて議論ということで理解してよろしいかと思います。ありがとうございます。
 ほかにございますか。では、とりあえずのところは、今の件につきまして、本日出されました御意見などを踏まえて、次期の本部会において御検討を進めていただくようにお願いしたいと思います。
 それでは、議事の2でございます。免許状更新講習の開設者の拡充について、事務局より御説明をお願いいたします。
【長谷教育人材政策課教員免許企画室長】  それでは、お手元の資料2「免許状更新講習の開設者の拡充について」の資料をごらんいただければと思います。
 今回御提案しております事柄の趣旨としましては、この趣旨の部分にございますように、近年の幼保連携型認定こども園の増加でございますとか免許更新制の対象者の円滑な更新講習の受講を促進するという観点から、幼保連携型認定こども園を所管しております都道府県、政令市、中核市の市長部局の方も更新講習を開設できるようにしてはどうかということについてでございます。
 背景としましては、こちらの中ほどにございますように、幼保連携型認定こども園が最近急激に増加をしてきております。この幼保連携型認定こども園で勤務をする保育教諭につきましては、原則として、保育士の登録のほかにも幼稚園教諭の免許状を持っているということが必要になっております。この幼保連携型認定こども園の施設が増加をしているということを背景としまして、更新制の対象となる保育教諭の増加ということも見込まれるところでございます。
 これに加えまして、保育教諭だけではございませんが、免許更新制の対象者自体も非常に多くなっている時期に差し掛かっております。資料の「2020年度には」と書いてございますが、失礼しました。これは、2020年の3月末でございますけれども、免許更新制の対象者が過去最多となることが見込まれる状況に今なっておりまして、対象となる方が円滑に更新講習を受講できるように、更新講習の開設数の確保ということも必要になってございます。
 つきましては、一番最後の対応方針のところでございますが、幼保連携型認定こども園について所管をしております都道府県、政令市、それから中核市等の中でも、保育教諭を対象としました研修を開設している部分がございます。こうした研修につきましても背景としまして、更新講習の開設ができるように、首長部局についても開設の対象として検討していってはどうかということにつきましてお諮りをさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 ただいまの事務局からの御説明ですけれども、御意見、御質問ございましたらお願いしたいと思います。
 私が注釈加えるのは何ですけれども、幼保連携型認定こども園は、幼稚園教諭と保育士資格、両方必要で、一応、5年間の猶予期間がありまして、片方だけでいいというのをもう5年延ばしたところですけれど、それに伴って、しかしながら、片方だけの人が相当数いて、しかも希望しても取れない場合もあるということが特に自治体から来ておりますので、それへの対応ということだと思います。そういう実情に照らしてということで、よろしゅうございますでしょうか。
(「異議なし」の声あり)
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 それでは、本件につきましては、本日出されました意見を踏まえて手続をお進みいただくようにお願いしたいと思います。
 それでは、議事の3でございますけれども、学校における働き方改革について、事務局より御報告をお願いいたします。
【常盤木初等中等教育局企画官】  失礼いたします。初中局の常盤木でございます。
 資料3をごらんいただければと思います。本日午前中に行われた中央教育審議会の総会におきまして、答申として柴山文部科学大臣に提出されたところでございます。ここに御出席いただいている各委員の皆様にも、初中分科会等で大変貴重な御意見を頂きました。改めまして感謝申し上げます。
 それでは、きょう正に取りまとめられた答申の内容について、お時間をおかりして御説明申し上げたいと思います。
 資料3、まず、3ページをごらんくださいませ。第1章は、皆さんのファイルでいうと7に当たるんですが、下にページが書いてありまして、そこの3ページでございます。3ページから5ページにかけましては、これまでの我が国の学校教育の成果とその蓄積、そしてまた、今後、大きな時代の変化を迎える中で、新しい学習指導要領を踏まえた学びの充実の必要性について記載いただいております。
 その上で、5ページでございますが、このような高い成果が、学校の教師、先生方の長時間にわたる献身的な取組の結果によるものであるとすれば、今後持続可能であるとは言えない。「ブラック学校」といった印象的な言葉が独り歩きする中で、意欲と能力のある人材が教師を志さなくなり、我が国の学校教育の水準が低下するようなことは子供たちにとっても我が国や社会にとってもあってはならないと今回の答申の基本的な考え方をお示しいただいているところでございます。
 その上で、2.学校における働き方改革の目的といたしまして、7ページになります。6ページから始まる2のところの7ページになりますが、1行目の後半からでございます。‘子供たちのためにというものであればどんな長時間勤務も良しとする’という働き方は、教師という職の崇高な使命感から生まれるものではあるが、その中で教師が疲弊していくのであれば、それは‘子供のため’にはならない。3行ほど下でございますが、子供たちに対して効果的な教育活動を行うことができるようになることが学校における働き方改革の目的であり、そのことを常に原点としながら改革を進めていく必要があると記載されているところでございます。
 8ページでございます。8ページでございますが、働き方改革の大きな目的の一つといたしまして、志ある教師が、適切な勤務時間管理がなされなかった中で勤務の長時間化を止めることが誰もできず、ついには過労死に至ってしまうような事態があってはならない。こうした事態は、御本人はもとより、御遺族、家族にとって計り知れない苦痛であるとともに、児童生徒や学校にとっても大きな損失である。さらに、こうした事態が生じてしまった場合、勤務実態が把握されないことをもって、公務災害の認定に非常に多くの時間が掛かり、遺族や家族を一層苦しめてしまうような事態は決してあってはならないと明記されているところでございます。
 こうした目的を受けまして、10ページからが第2章になります。第2章は、現状の要因の分析と改革の方向性でございます。
 1つ目の丸でございますが、小学校、中学校、高校と学校種別に書いてございまして、学校種別によって状況は異なっております。その下の方の白丸にございますように、この10年間でも勤務時間が増加しておりますが、その要因を3点ほどまとめています。1つ目は、若手の教員の増加。そして11ページに移りまして4行目ほど、2つ目が、総授業時数の増加。そして3点目といたしまして、中学校における部活動の指導時間の増加。勤務実態調査を基にいたしました分析をしているところでございます。
 13ページでございます。基本的な方向性がこの13ページの2.から始まっているところでございますが、この中で、14ページに進んでいただきまして、14ページ1つ目の丸でございます。「特に、」で始まるところでございますが、ここには、今回の答申におきまして、文部科学省の果たすべき役割は大きい、学校と社会の連携の起点・つなぎ役として、前面に立って働き方改革を進めるよう御指摘を頂いているところでございます。
 その下、丸1から丸5まで、今回の答申の基本的な方向性を頂いているところでございまして、以下、3章以下、この1から5に沿ってまとめられているところでございます。
 16ページから第3章が始まります。
 16ページは、まず、1で勤務時間等に関する制度の現状を整理させていただいた後、19ページでございます。18ページから始まる項でございますが、19ページから20ページにかけて、勤務時間管理の徹底の必要性、そして19ページの下から20ページにかけて、本日、文部科学省といたしまして決定いたしました公立学校の教師の勤務時間の上限ガイドラインについての記載がございます。こちら、ガイドラインそのものにつきましては、77ページまで続く答申の後ろ、別添資料1として添付してございますので、後ほどごらんいただければと思います。このガイドラインの中では、いわゆる「超勤4項目」以外の業務が大変長時間化している実態を踏まえまして、今回このガイドラインにおいて、こうした時間を含めた「在校等時間」という新たな概念を入れ、その在校等時間を把握することによって、その上で時間外勤務の上限目安を、民間、また他の公務員の仕組みなども踏まえまして、1か月45時間、1年360時間を超えないようにするとしているものでございます。また、このガイドラインの中では、臨時的な特別な事情があった場合の特例的な扱い等についても記載しているところでございます。
 答申20ページに移りたいと思います。答申20ページの最初の段落でございます。「上限ガイドラインの実効性」という段落でございますが、今御紹介申し上げたこの上限ガイドライン、この実効性を高めることが重要であり、文部科学省はその根拠を法令上規定するなどの工夫を図り、学校現場に確実に遵守されるよう取り組むべきであるという御指摘を頂いているところでございます。
 21ページでございます。この21ページの4は、労働安全衛生管理です。
 (1)で現状と課題を分析してございますが、我が国の学校におきましては、学校の労働安全衛生管理、こうしたものが必ずしも十分ではないという現状がございます。
 このため、23ページの(2)になりますが、労働安全衛生管理体制の充実、全ての学校でのストレスチェック、さらには産業医の仕組みの普及、こういった点について御提言を頂いているところでございます。
 26ページになります。26ページは、研修や人事評価を活用した教職員の意識改革、これについても記載を頂いているところでございます。
 28ページから第4章となります。第4章は、学校及び教師が担う業務の明確化・適正化でございます。一昨年末に頂きました中間まとめに引き続きまして、29ページにございます表のとおり学校の業務を整理し、その上で今回の答申におきましては、その下、2の(1)にございますように、文部科学省が取り組むべき方策として、30ページにわたって幾つか記載してございますが、例えば、働き方改革の目的についての明確なメッセージの発出。働き方改革を進める上で、地域や保護者といった社会との連携が必要となる際に文科省が連携の起点・つなぎ役になって前面に立って働き方改革を進めていくこと。業務改善の地方自治体における取組状況を可視化して公表すること。そして、今後、文部科学省が学校に様々なお願いをするようなときには、スクラップ・アンド・ビルドの観点から一元的に調整する部局を創って、そこで調整を図る。そういった御提言を頂いているところでございます。
 30ページの下、(2)教育委員会が取り組むべき方策、31ページには(3)として各学校が取り組むべき方策と続いてございます。この(3)学校が取り組むべき方策では、一部の教職員に業務が偏ることのないよう、校務の分担や見直しを適切に進めること、そしてまた、学校における学校行事等の大胆な見直しについても求められているところでございます。
 32ページ、かなり注が多くなってございますが、32ページには、過去の裁判例から、学校や教師が法的に全ての責任を負うというわけではない、保護者や地域からの学校への過剰要求は認められない、こういった点についても併せて記載されているところでございます。
 38ページ、ここからが第5章に入ります。第5章は、学校の組織運営体制の在り方です。
 現在の学校の組織運営体制を踏まえまして、種々、御提言を頂いているところでございますが、例えば、お時間の関係で、今後の提言といたしまして、41ページの最初の丸でございます。特に学校現場で増加傾向にございます若手教師、この若手教師をどのように支援していくのかということが大きなポイントだということを御議論賜っているところでございます。
 続きまして、44ページをごらんください。44ページからが第6章、勤務時間制度の改革についてでございます。1が給特法の今後の在り方です。給特法の枠組みの下で、超勤4項目以外の業務につきましては「自発的」に勤務していると整理されてきたため、勤務時間管理が不要であるとの誤解が広がり、あるいは時間外勤務を抑制する動機付けを奪ってきたのではないかという御議論を頂いたところでございます。
 45ページに進みますが、こうした状況を大きな問題と捉え、こうした状況を改善するため、先ほど御説明申し上げました上限ガイドラインを文科省として定め、超勤4項目以外の業務についても在校等時間として管理・把握していく、そして、勤務時間の縮減を図っていくという大きな方向性をお示ししたわけでございますが、そうした観点と、45ページ、次の丸にございますとおり、教師が、語彙、知識、概念がそれぞれ異なる子供たちに分かる授業を行っていくという教師としての専門性、こうしたものを掛け合わせながら、基本の勤務時間制度、あるべき姿について議論をいただいてきたわけでございます。
 46ページ、3つ丸があります下の方の丸で「したがって、」の部分でございますが、そうした議論の結果、今回の答申では、現在の給特法に定める諸制度につきましては、現在の基本的な枠組みを前提とした上で、これまで御説明申し上げた勤務時間の上限ガイドラインや勤務時間の圧縮を図っていくことを真正面から行っていくことが大事である、こういった御提言を頂いているところでございます。
 一番下の行でございますが、なお、この際、教職調整額が「4%」とされていることについては、中長期的な課題として引き続き検討すべきであるという御議論を賜っているところでございます。
 47ページでございます。勤務時間制度の2番目といたしまして、1年間の変形労働時間制の導入についてでございます。こちらにつきましては、1つ目の丸に、かつて先生方の夏の休日まとめ取りのように、一定期間集中して休日を確保することが有効であるとの観点から、選択肢の一つとして検討を進めてきた、こういう背景・経緯を明確にここに記載した上で、48ページ上から6行目ほどになりますが、こうした1年間の変形労働時間制を地方公共団体の御判断で導入できるように、法制度上措置するべき。ただし、その下、前提として、長期休業期間中の部活動の在り方、部活動等の大会の在り方あるいは研修の在り方についても、文部科学省がしっかりと汗をかいて、夏休みに休める環境を作っていく必要があると、こういった御指摘を頂いているところでございます。
 49ページ、この勤務時間制度に関しまして、3.といたしまして中長期的な検討という項がございます。労働法制や教師の専門性の在り方、公務員法制における今後の動向等も踏まえながら、今後も引き続き必要に応じて検討を重ねるべきという御議論を頂いているところでございます。
 51ページからが第7章でございます。第7章は、働き方改革の実現に向けた環境整備でございます。働き方改革の実現に向けては、言うまでもなく条件整備が不可欠です。51ページから52ページにかけまして、教職員定数をはじめとした学校の指導・運営体制の強化・充実について、また、業務改善・効率化への支援といったメニューが記載されているところでございます。
 駆け足になりますが、54ページでございます。54ページには、今回の議論も踏まえて、今後更に検討を要する事項が挙げられているところでございます。今回の議論では様々な御指摘を頂いたわけでございますが、引き続き検討が必要な事項として、具体的には、小学校における教科担任制の充実や教育課程の在り方の見直し、免許更新制がより実質的なものとなることも含めた養成・免許・採用・研修全般にわたる改善・見直し、新しいテクノロジーの活用、小規模校の在り方の検討、こういったことについて記載いただいているところでございます。
 最後、56ページからが第8章、フォローアップでございます。
 こうした働き方改革が自走する仕組みが必要であると、こういった御議論を頂く中で、56ページの一番下の丸にございますが、現在、文部科学省が行っています業務改善取組状況調査などを通じて、改革の進捗状況を市区町村ごとに把握し、公表していくことが必要ではないかと御議論を頂いているところでございます。
 その上で57ページでございますが、一番上の丸、3年後の勤務実態の調査について記載があるところでございます。
 57ページの最後の2つの丸でございますが、中教審の委員の皆様の強い御意思に基づきまして、中教審として保護者や地域の方々への呼び掛けを頂いております。一番下の丸のように、今回の働き方改革は、子供たちを最前線で支えていく教師がこれからも自らの時間を犠牲にして長時間勤務を続けていくことを望むのか、心身ともに健康で、その専門性を十二分に発揮して質の高い授業や教育活動を担っていくことを望むのか、その選択であるという問い掛けを頂いているところでございます。
 最後に、以上申し上げました諸施策につきまして、答申の本文としては最後になります77ページに、諸施策を工程表として時間軸をもってお示しさせていただいております。今回、この工程表に沿いまして、今回頂きました提言の内容を、文部科学省、教育委員会、連携いたしましてしっかりと行っていきたいと思っております。
 お時間頂きましてありがとうございました。説明は以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 ただいま御説明いただいたとおりですけれども、私も働き方改革特別部会の委員として参加いたしました。教員養成部会として受けるべきことというのは、実を言うと具体的には特に書いてないわけですね。ただ、先ほど読み上げていただいた部分にも養成・採用・研修の再検討みたいなのが出ておりますが、恐らく、文部科学大臣の下で具体化する本部などをお創りになるときょう聞きましたので、そういう中で、より具体的なことをこちらの部会で論じなさいというふうになるのではないかと予想はしております。
 ともあれ、今のことについての御意見、御質問があれば承りますが、いかがでしょうか。どうぞ、お願いします。
【本図委員】  どうもありがとうございます。2点お伺いしたいんですけれども、77ページの工程表を見た上で、当然、午前の議論の上でなので、本文を精査して読んでいないということで御容赦いただきたいんですけれども、労働環境の改善という点では、冷房について私のおります仙台でも相当に大変なことになっておりまして、そういったハード面での整備というところはこの工程表の中ではどういうふうに位置付いているのかという点をお聞きしたいことと、それから、東北地方でよくあるんですけれども、教員の遠距離通勤といいますか、それは自家用車になります。このことは実は結構負担になっているのではないかと思うんですが、こういった点についての調査や実態という点ではいかがで、そのことについては今回どのように取り上げられたか、取り上げられていないかというような点、2点お聞きしたいと思います。
【常盤木初等中等教育局企画官】  ありがとうございました。
 まず1点目、労働環境一般といたしましては、第3章の4、先ほど少しお時間の関係で説明は省いてしまいましたが、労働安全衛生管理の必要性の中の25ページに、ハード面での労働関係、労働環境の改善について記載しているところでございます。今、特に御指摘があったエアコンにつきましては、文科省も今回の補正予算を通じまして何とか来年の夏までにそういった設備を調えるよう別途させていただいておりますので、この工程表自体には今のところ載ってないということでございますが、本文に書いてあるとおりで、必要な、重要な要件であると認識してございます。
 2点目のお尋ね、御指摘のとおりだと思います。人事につきましては各任命権者の責任で行われているものでございますので、将来的な人材養成も含めまして、時には長時間通勤といいましょうか、そういったものも強いられるような人事の実態があることは我々も承知をしております。調査というお話がありましたが、現在のところ、文部科学省でそういった調査を行っているところではございません。ただ、働き方改革は、学校の先生一人一人が心身ともに健康に過ごしていくことになりますので、この長時間勤務への対応につきましても併せて各自治体での取組は促していきたいと思っているところでございます。
【本図委員】  ありがとうございます。長時間勤務ではなくて遠距離通勤、しかも自家用車という。これまでは、通勤手当が出るからということで処理されていると思うんですが、先生方、それでお金ももらっているしというと頑張ってしまうんですけれども、やっぱりそれはちょっと本質的に、人事も含めてですし、労働時間に、通勤という概念も少し考えていく必要があるのかなということでした。
【常盤木初等中等教育局企画官】  済みません、繰り返しになってしまって恐縮でございますが、そういったものも含めての学校の先生の健康管理をどのように行っていくのかという問題であると思っております。ただ、一方で、人事につきましては、やはり各教育委員会が将来的な人材育成も踏まえてやっている部分もございますので、そこもバランスをとりながらということになるかと思いますが、一つの大きな論点であるとは承知しているところでございます。ありがとうございます。
【無藤部会長】  とりあえずよろしいですか。
 じゃあ、田中委員。
【田中委員】  前回もお話しさせていただいたと思うんですが、幼保連携型認定こども園という形で、学校教育法の枠外ですけれども、学校教育を行っていると、こういう定義の施設ができて、そこの中では11時間が標準時間として子供が在籍していることが可能になっているという枠組みがある意味ではできてしまっているわけですね。そのままの状況の中で小・中・高と行ってしまうということがどういうことを及ぼすのかというのが、これは将来的な課題だと思うんですが、家庭といわゆる学校施設とかのどういう時間が子供にとって過ごすべき時間なのかというような視点での考えをどこかで深めていかない限り、今の、どれだけ子供が長くいるから先生が対応せざるを得ないという状況を改善する道にはならないと思いますので、この今の働き方改革の一定の方向性は非常に重要な視点ですが、もう少し別の視点での議論もこれから視野に入れていただきたいということをお伝えしたいと思います。
【無藤部会長】  はい、御要望として大事な点だと思います。ありがとうございます。
 ほかにございますか。よろしいでしょうか。ありがとうございました。
 それでは、議事の4番目であります。教師の資質能力向上に関する自由討議について、事務局より御説明をお願いいたします。
【渡邉教育人材政策課課長補佐】  議題の4でございます。本案件は、第9期の教員養成部会の最終回に当たりまして、前回、部会長からも御指摘を頂きましたことも踏まえまして、教師の資質能力向上に関しましてより広い視点から自由に御討議を頂きまして、今後の政策や本部会における検討につなげていくことを意図して設定をさせていただいたものでございます。
 資料4-1をご覧いただければと思います。自由討議に当たりまして、必ずしもこれらに限られるものではございませんが、御参考といたしまして、最近の教師の資質能力向上に関する様々な議論を踏まえまして、論点(例)として示させていただいたものでございます。
 1点目は、Society5.0に向けた教師の資質能力向上についてということでございます。
 超スマート社会とも言われますSociety5.0、そういった今後来るべき社会におきましては、スタディ・ログの活用などによる公正に個別最適化された学びの実現など、学びの在り方に大きな変革が起こることが期待もされているところでございます。こうした時代の変化を踏まえました教師の資質能力向上ということにつきまして、例えばそうした時代における教師の役割でありますとか、特に伸ばしていくべき資質能力とは何かということでありますとか、また3点目には、本日、参考資料としても配布してございます教育再生実行会議の中間取りまとめにおきまして、そうした教員養成を先導するフラッグシップ大学の創設を検討するということが提言をされているところでございますけれども、そのための養成、免許制度の在り方ということを挙げさせていただいております。また、全ての教師にICTの活用方法を習得させるための教職課程の在り方についてということでありますとか、技術や情報の免許につきましては、昨年の免許外教科担任の在り方に関する報告書がまとめられたところでございますけれども、そうしたことも踏まえました専門性の確保のための方策でありますとか、一方で、このように知識が目まぐるしく更新をされる時代におきまして、教職課程において担保すべき教科の専門性の在り方ということ、そして一番最後には、外部の専門人材がより柔軟に学校教育に関われるための方策といったようなことを論点として挙げさせていただいております。
 次に、大きな2点目の論点(例)でございますけれども、総合的な教師の資質能力向上についてということでございます。
 これは、養成・採用・研修それぞれの取組のほか、それらを通じた方策でありますとか、教師の人事管理など、より広い視点に立って関連する取組を総合的に捉えた論点(例)ということで挙げさせていただいてございます。
 まず1点目に挙げさせていただいておりますのは、いわゆる教員不足、特に小学校教員の倍率が著しく下がっているということが指摘をされる中で、教職の魅力向上、その他の方策をどのように図っていくべきかということでございます。
 次のページをご覧いただきますと、それとも関連をいたしまして、多様な人材を教職に迎えるための取組はどのようにあるべきかということでありますとか、現在の免許状の区分等を超えた指導に対応するための免許制度の在り方ということでありますとか、また、制度化されました指標の整備状況も踏まえまして、免許更新制の効果的な運用といったことも含めまして、教職生涯にわたります職能成長を促進するための方策はどのようにあるべきかということ。そしてまた、外国語教育、日本語指導が必要な児童生徒への教育でありますとか、特別支援教育などの課題に対応するための教師の資質能力向上策や、またあるいは、免許以外も含んだ資格制度といったことの可能性についてどのように考えるかといったことや、また、職能開発に重点を置いた人事評価でありますとか戦略的な人事配置、優秀な人材を学校管理職に登用する手だてといったような論点を挙げさせていただいているところでございます。
 大きな3点目の論点(例)でございますけれども、客観的根拠を重視した教師の資質能力向上のための政策の推進についてということでございます。第3期の教育振興基本計画におきましても、いわゆるEBPMを推進していくということを掲げさせていただいているところでございますが、教師の資質能力向上に関する政策におけるEBPMの可能性ということに関しまして、例えば2つ目に挙げさせていただいておりますような事柄に関するエビデンスを収集することについてということでありますとか、最後に挙げさせていただいておりますのは、そうした調査研究が様々行われるための環境の醸成ということについて挙げさせていただいているところでございます。
 また、資料4-2でございますが、今し方申し上げたところと関連をします資料について幾つかまとめて資料として提示をさせていただいてございます。御参考として御参照いただければと存じます。
 以上、よろしく御討議のほどお願い申し上げます。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 ということで、きょうは、今期、本部会の最終回ということであります。そういう意味で、1時間ちょっとあるわけですけれども、委員の皆様全員に御発言を頂戴できればと思います。この期を振り返ってどうであるかということもありますし、先ほど次期へのいわば課題として2つほどありましたけれども、より具体的な御要望ということでもよろしいかと思います。
 私、ちょっとだけ申し上げると、今期は本当に再課程申請に具体的に関わられた委員の皆様に大変御苦労をお掛けしたわけでありますけれども、その前の段階で言えば、コアカリキュラムの策定をしました。更にその前を考えてみると、教職課程の質保証という意味で、最終的には中教審答申にまとめられたわけですけれど、そこには本当にいろいろな議論があったわけです。それらを再課程申請と並行して具体化はちょっと難しかったので、言うなれば先送りになっていることがいろいろあると思うんですが、そういうことや、また、特に課程申請に関わられた先生方では具体的なところまで感じられたり、逆に、何人かの方は多分申請する側、審査される側といいますか、の立場の方もおられたと思いますが、そういうところで感じたこと、様々あろうと思いますので、お願いしたいと思いますが、ただ、20名ほどですので、1人3分以内になりますので、申し訳ありませんが、一番重要なところということで。
 全員御発言いただくので、順番でいいですか。渡邊先生からでいいですかね。済みません、ちょっと楽をしたいと思います。
【渡邊委員】  いろいろとありがとうございました。本部会で様々な勉強もさせていただきましたけれども、まだ考え方を十分まとめておりませんが、御指名でございますので発言させていただきます。
 人材確保ということで、先ほど競争倍率の低下という問題の御指摘がございましたけれども、自治体によっては2倍を切っていて、大変深刻な課題だと受け止めているところも耳にするところでございます。昨今、働き方改革の中で「ブラック」というような言葉を使われる中で、教職が大変厳しいというふうなイメージが先行しているところもございますが、本市に限らず、多くの先生方は御自分の仕事に生きがいですとかやりがいというものをお持ちの中で働いていらっしゃるかと思います。ですから、教職の魅力というものをやはり併せて伝えていただいて、「皆さんの持っている能力を、将来を担う子供たちのために発揮していきませんか」というふうなメッセージをもっと強く出していただいて、教職がやはり魅力ある極めて重要な職なんだということを常に語っていただきたいなと思っております。
 それから、育成指標のお話がございましたけれども、本市でも教員育成協議会、関わりのある大学さんといろいろと協議の機会が作れまして、これは大変いい仕組みだなということを改めて感じております。これまで、まとまって多くの大学さんと意見交換する機会というものはありそうでなかったということもございまして、この中でまた育成指標を共に作りまして、同じような共通理解の中で養成・採用・研修というものを一体化していける取組だと考えておりますので、今後、各学校などにおいてもこうして作った育成指標をどのように活用していくのか、その辺りを大事にしていきたいと思っております。
 また、大学の先生方におかれましても、やはり教職課程に関わる方については、こういった育成指標など十分御理解いただいて、教育委員会あるいは学校等と同じ目線で学生を育てていただければ大変有り難く思うところでございます。
 以上でございます。
【無藤部会長】  ありがとうございます。
 では、どうぞ、若江委員。
【若江委員】  キャリアリンクの若江でございます。産業界の立場から参加をさせていただいて、いろいろと勉強させていただきました。大学の課程認定のことであるとか、大学もそうですし、教育委員会も様々なことに取り組んでおられるという実情を知りました。現場の力が一番ですので、様々取り組んでいただいていることに対して、これまでは産業界をはじめ一般社会が余りにも無関心であったと思います。今回の2020年の学習指導要領の改訂や入試改革、高大接続の入試改革等をきっかけに、いろいろな場面でマスコミニュース等でも取り上げられるようにはなってまいりました。ただ、その情報があまりにもパーツであり断片的であることから上滑りな表面的な理解にすら至らず、反発や誤解を生じているのが実情ではないでしょうか。深い理解につながるように、産業界ももっとこれまでとは違う取組をしていかなければならない。このように中教審で先生方がお取り組みになって検討していただいていること、また、文部科学省の皆さん方が取り組んでいただいていることをやはり現場に正しく伝えなきゃいけないということを強く認識いたしました。
 それとともに、今日もマスコミの方々もたくさん来ておられるかと思いますが、いろいろな場面で報道はされるんですが、余りにも断片的過ぎて、それによって大きなまた違う誤解を生じているという場面も多々目にしたり、耳にします。是非とも社会にわかりやすい情報発信をお願いしたいです。今こそいろいろなところがきちんと連携をとっていかなければならないと思っております。
 ありがとうございました。
【無藤部会長】  ありがとうございます。
 では、どうぞ。
【森山委員】  私の方からは2点お話をさせていただきたいと思います。
 これまでの中で、1つは、先ほど渡邊委員からもお話ありましたけれども、働き方改革のこれからの進め方と、それに関わってやはり教職の魅力は、教員の養成にとって非常に重要なところがございます。今後、働き方改革と教職のいわゆる養成段階での教師の魅力といいますか、そこの関係をやはりきちんと対応していく必要があるなということを痛感しています。
 それからもう1点は、先ほどお話がございましたけれども、教職課程の質保証という問題です。これはコアカリキュラム等これまで進んでまいりましたが、やはり更に調査・研究をもう少し進める中で、教職課程の質保証についてのある程度の明確な枠組みを作っていく必要があるのではないかと。その中で現在進められています養成・採用、そして研修の一体的改革の中での教職課程の質保証ということを議論していくということが重要なのではないかと思います。
 この2点、今後、是非この中でも具体的な意味で進めていく必要があるかと思います。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 どうぞ。
【松川委員】  岐阜女子大学の松川でございます。私、教員不足の中における教職の魅力向上ということに関しまして1点だけ申し上げたいと思います。
 先ほど働き方改革の話がありましたように、教職というのが大変きつい仕事だというイメージが広がってきているということが、残念なことだと思っております。構成員の年齢層が変わってくる大きな変り目で、若手教員が増えてきているわけでございますので、教育界というのは大変伝統的なところでございますが、思い切った、先ほどフラッグシップ大学というようなお話もありましたけれども、教員養成の中でポジティブなイメージを出すような新しい教員養成の在り方を示す必要があると思います。それから、それを実施する時、特に国立大学の教育学部の附属学校等を中心にしながら教職課程を組んで、例えばICTを使った全く新しいタイプの授業の在り方、それから外国籍の子供たちを取り込んだ共生型の教育だとか、幾つかトピックを挙げて、これまでの教育とはかなり違うんだというイメージと、それからそれに対応する新しい教職の在り方があるということを具体的に示していかないと、与えられたものをとにかくこなしてということだけでは魅力のある職場だというイメージが出てこないと思うんです。全国でどのくらいのところをそういうフラッグシップ大学とするかということはまた考慮の余地があると思うんですけれども、思い切ってSociety5.0に対応できるようなものというのを具体的に示していく必要があるので、是非具体的に一歩を踏み出して方策を考えていただきたいなと思っております。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 では、本図委員。
【本図委員】  ありがとうございます。
 2点ございまして、1つは研修の部分です。これからもこの部分は、ひょっとすると見過ごされがちだったり、予算を掛けても「エビデンスは」というようなことを言われがちで、そういった成果を明らかにしていくことを考えつつ、やはりもっと先生方が学べる環境というようなことを今後も充実させていく必要があるのではないかと思っておりまして、そういう中では教職大学院も展開されているわけですけれども、教職大学院だけじゃなく、いろいろな形で先生方が学べる、学び続ける教員像が掲げられてきましたが、ここをもっと実質化していくという点はなおいろいろあるのかなと思っております。
 それから2点目は、中央政府の関わり方といいますか、国の関わり方なんですけれども、先ほども冷房の話をしてしまいましたが、あるところに来ると、「地方の裁量で」とか「自治体で」とか「教育委員会で」というところがあるんですが、まだまだ大きなところは、例えばいじめ案件などもそうです、地方自治の範疇でというだけでは収まらない大きな問題もありまして、まだまだ地方分権の中にあって一定の水準を担保していくというところで国が関わっていただいたり、サポートしていただくという点は、物理的にもソフト的にも大きいのかなと考えております。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 では、お願いします。
【藤井委員】  私の方からは、2年ほど前に学び続ける教員の答申の内容を議論した際、そこで育成指標を作るための議論をしたのですが、これがどうなっているのか、実質化して、先生方が主体的に自らの力量を向上していくようなものになっているのかどうかという辺りがよく分からないということがあります。そのときに発言したのは、ポートフォリオのようなものを各自が持って、この研修に行って、次はこういうふうにして、また教職大学院の単位を取って、それを累積してステップアップしていくというような、そういう話も出ていたかと思います。先生の側に立った力量向上・能力向上の在り方というようなものも今後またフォローアップしていければいいのかなと思います。
 そういう議論を昔していたのに、今は働き方改革が出て、そしてSociety5.0にどう対応するのかというように、矢継ぎ早にいろいろな課題が出てきていて、消化不良という感じがします。国の方でSociety5.0に対応するので、情報処理能力とかプログラミング教育とかいろいろ言ってはいるんですけれども、ここで言われている様々な仕組みが大丈夫なのかなと。分断化とか格差拡大にならないのかなと非常に心配もある中で、個別最適化された学びの実現ということがぽんと出てきて、ちょっと戸惑いもあります。教員養成としては、その辺りにどこまでいけるのかというとなかなかつらいところがあります。最後に、具体的には、さっき松川委員もおっしゃっていたんですが、先導的な取組をやることで国民に対してこんなことができるんだということを、是非、附属学校を活用して見せるということをやっていただければなと思います。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 じゃ、平本委員。
【平本委員】  ありがとうございます。それでは、私の方からは4点、話をさせていただきたいと思います。
 私は、現在、学校現場におりますので、その観点からお話しさせていただきます。これまでの部会の中でも、教育現場に様々な教育課題があるということは、議論の中でいろいろ出てきたところだと思います。そういう中で教員養成という観点に立ったときに、その在り方をもう一度原点に立ち返って、現状、社会の今の状況を踏まえながら考えていく必要があるのではないかと思っております。例えば、これまで教員養成は大学を中心にしてやってきているわけですけれども、その学びの場を大学の中だけにとどまるのではなくて、大学所在地の近隣の学校と協働して教員の養成を行っていく、これが非常に重要だと思います。教育実習の在り方も、これまで3年生、4年生でということを考えていますけれども、集中的にやるのではなくて、4年間なりの期間の中でどういう位置付けにしていくかということももう一度考えて、効率化を図っていく必要があるのではないかと考えております。
 2点目ですけれども、教員養成・育成を教育委員会又は学校の中だけで行うのではなくて、社会全体の力をもっと積極的に生かした教員の育成を考えていくべきではないかと思っております。教育委員会におりますときに、役割として、100以上の事業所、会社の経営者の皆さんと研修等での受入れを議論してまいりましたけれども、非常に民間も教育に関して高い関心を持っていることは間違いないと思います。ただ、その力と我々が結び付いているかというと、なかなか結び付いてない。もっと民間の力を教員養成・育成部門でも積極的に活用していくということが重要ではないかと考えています。例としては、民間派遣を経験した教員の学びは非常に深いですし、視点を広げる点でも大きかったと考えておりますので、是非そういう点も御検討いただければと思っております。
 それと、先ほど来、御説明いただいた働き方改革の中に出ていましたけれども、働き方に関連することとして、実際、見えにくいですが、学校現場の大きな課題は、実は、教員になったけれども、自分自身もそのつもりでなったけれども、教員として求められている資質・能力を十分に備えていない人たちもいます。ところが、今の状況は、なかなか教員は学校間の異動しかできないため、場所を変えているだけで根本的な課題解決になかなか繋がらない教員がいることも、事実です。ただ、その数は限られていても、それが周りの同じ職場で働く他の教員の疲弊感を引き出す、非常に大きな要因になることもあります。是非、条件付き採用ですとか、又は指導力不足の教員への対応の在り方について、やはり制度面からもう一度考えていく必要があるのではないかと考えております。
 最後、これまでもお話が出ましたけれども、本校へも教育実習生や学生ボランティアが来ていますが、公立学校で勤務することに非常に不安感を持っている学生がいることは事実です。是非、夢を持って教育現場に入れるような環境を総合的に考えて作っていく必要があると思います。そうしないと、教育の質の低下など大きな課題を更に引き出してしまうことになりかねないと、我々学校現場の人間は危機感を感じているところです。是非引き続き現状を踏まえた御議論をスピード感をもってお願いできればと思います。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 じゃあ、中西委員。
【中西委員】  まず、この場で申し上げないと説明がないのかなと思うので、あえて最初に申し上げますが、昨日からいろいろ報道されている中で問題になっている統計の問題ですね、学校教員統計もミスがあったと報道で知っているんですが、その説明がこういう場でなぜないのか、ずっと疑問に思っていて……。
【無藤部会長】  それについては後でちょっとございます。
【中西委員】  あ、あるんですね、はい。ちょっとそういうことに敏感になっていただきたいなというのをまず最初に申し上げておきたいと思います。
 で、働き方改革のことなんですけれども、教員の魅力を伝えていくということは、確かにそれも大事だとは思うんですが、働き方を変えるんだという強いメッセージを文科省は文科省、教育委員会は教育委員会、校長は校長で出さないと、本当に働き方は変わらないと思うんですね。そういうメッセージを出すことについて本当に現段階で成功しているのかというのは、ちょっと疑問を私は持っております。Society5.0という言葉を頻繁に聞くわけですけれど、それこそ教員の世界はSociety4.0に本当に達しているんでしょうか。そういうことも感じております。
 あと、我田引水になりますけれども、メディアの世界から大学の教員になって3年目で、教員養成の本当の端っこの端っこに今ちょっと関わっているわけですが、2つ感じていることがありまして、1つは、コアカリキュラムのときにも申し上げましたが、これだけフェイクニュースとかいうものが飛び交うような時代になって、情報教育は確かにICTを使うことも大事だと思うんですけれども、それだけではなくて、世の中の動きをしっかり捉える、正確に捉えるという意味において、本当にニュース教育みたいなものも必要だと思いますし、やっぱり教員養成の中でそういう視点を持っていただきたいのが1つ。
 それからもう1点は、今学期に新しく科目を開設してもらったんですが、それは、地域を学生に取材させて媒体を作るというものでした。それをもって、いかに教員になったら地域の大人とかと関わらなきゃいけないかということを実感してもらうという授業だったんですが、学生の反応を聞いていると非常に有効だったと思っています。そういう視点も今後の教員養成を考える上で考慮していただきたいなと思います。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 統計調査のことは審議官ですか。お願いします。
【平野大臣官房審議官】  済みません、この場をかりまして、本日、新聞紙上に出ております統計調査につきまして、文部科学省の状況をちょっとお話しさせていただきます。会議が終わってからと思ったんですけれども、私も3時半にはこの場を離れまして、また引き続き統計の会合等に出ることになっておりますので、話の途中ではございましたが、ちょっとお時間を頂きたいと思います。
 皆様がふだんお仕事等でお使いになっております教員基本統計の中にいろんな項目があるんですけれども、その中に、特別支援学校の先生方がどういう状況かということをいろんな指標を用いて書いてございます。その中で、例えば年収別ですとか、あるいはどのような免許を持っていらっしゃる方がいらっしゃるですとか、そういったものが各年代ごとにどれぐらいいらっしゃるかということについて分類をしてございます。その中で特別支援学校という分類だけではなくて、更に聾学校でございますとか、あるいは盲学校でございますとか、あるいは肢体不自由というような形で、それぞれ分けて出さなければならないものを、特別支援学校という形だけでまとめて出していたというページがございました。そのことを総務省には報告をしてございまして、今回、発表もさせていただいております。ただ、いわゆる印刷になったハードページの方ではそのような形で一部抜け落ちがあったんですけれども、ウエブページで使うe-Statの方につきましてはそれらは全てそろっていたというようなことでございます。
 また、報告する時期につきましても、中間報告につきまして約2か月ほどの遅れがありました。最終報告につきましては全く遅れはなかったんですけれども、その2点につきまして総務省にお届けしております調査計画との相違があったということで、現在、報告をしておるところでございます。
 この後もいろいろと政府全体で調査統計の在り方等につきまして是正措置が入ってくるかもしれませんけれども、その際にはまた随時お話をさせていただきたいと思います。
 以上でございます。
【無藤部会長】  ありがとうございました。よろしいですね。
 では、永田委員、お願いします。
【永田委員】  本会ではいろいろありがとうございました。私自身は小学校教員から始めておりますが、今、教師教育や教員養成の只中にいるので、その課題についてこれほどまで考えたことは今までありませんでした。大変勉強になりました。
 大きく2つのことについて感想のような形で述べたいと思います。私がこの会で役割を持っていた立場は道徳教育の充実に関することだったと思いますが、正に昭和33年に道徳の時間が始まって、昭和の30年間と平成の30年間が経って1分が1年であればちょうど一周して、また、中学校からも小学校に引き続いて教科書が使われて全面実施となっていく、ちょうどそんな時を迎えています。その中で、例えば大学の教職課程が安定しないと、各学校の実施自体も養成と研修の実際の連続ということで充実が図られていかないと思います。そこで、この4月からは始まる教職課程のコアカリキュラムの提示によって、各大学がいろいろなシラバスを作ってきています。しかし、その実施の目前となっていながらも、例えばお弁当箱はあるけれど、ファストフードしか入らないんじゃないかというような印象のところがまだどうしてもあります。それはまだやむを得ない段階だろうと思いますが、道徳のみならず各教科等も含めてということですが、特に道徳で言うと、今、全国的に教えているのは私どもも調査したりしているんですが、そうすると、どう見てもこの内容では対応できていないままになっているところもあったりしますので、そのような部分での見直しの機能とか、つまり、チェック機能が必要だと思います。また、特に道徳教育などは専門性を確保された教員が少なくて、大体第2専門か第3専門でやっている先生が多い。あるいは退職校長先生がやられている。そうすると、退職校長先生は古い形でしか知っていなかったりするので、先進的な授業をやらずに、今までのことをやっていればいいというようなことも多く、そのようなものがマイナスの意味で広がっていくのはまずいのかなと感じます。だから、文科省も「道徳教育アーカイブ」というようなページで常に情報提供したりしていますが、これは1つの教科等のみならず全教科等で例えば情報提供できるような、活用サイトというような一定の情報が得られるようなものはあってもいいのかなというような印象を持っています。今がちょうどそのターニングポイントというか、更なる再生のときなので、それを一つ感じます。
 もう一つは、私が今、実際に所属する教職大学院の課題なんですが、教師再教育というか、学校リーダー育成のシステムとして今充実が図られているところなんですが、その中でも、例えば先ほど話題にもなりましたように、教員就職率が下がってくる中で入っている学卒院生のタイプというのは、全国的にどうしても今苦しい状況があるのは、もちろん皆さんお感じになっていらっしゃると思うんですね。一概に言えないと思いますが、モラトリアムというか、まだ教員になれない、なりたくないというような印象で入ってくる学生たちの教育の充実を図るのがハードルが高いのは、それぞれの教員養成系大学で感じているところがあると思います。そこには一定の心の問題が学卒院生自体に伴っているケースもしばしば聞いたりすることもあります。そのような課題も、教職大学院拡充の裏側であることも、考えていかなくてはいけないということがあると思います。
 私も何人か指導学生を担当しているんですが、例えば、都内のある学校に小学校で研修に2年間行くんですが、その同じ学年に初任者もいるわけです。そうすると、いい関係だと、それはお互いに増幅するんですが、例えばある中学校には同じ学年にやはり初任者がいるんです。学卒生と教職大学院生のお互いがライバルだと言っていました。これが、いい意味でのライバルだったらいいんですが、それが教職大学院で2年間学ぶことがプラスになる研修などはどういうものかというのをこれからも考えていかないと、今ちょうど教職大学院が拡充の一途ということもありますので、それを是非意識しておいていただけたら私どもも関心持っていけるかなと、そう思っております。
 以上2点、ちょっと細かなことでしたけれど、お話し申し上げました。ありがとうございました。
【無藤部会長】  ありがとうございます。
 では、田中委員。
【田中委員】  私も2点です。
 第1点は、最近、いろんな政府の会に出ていても、何か夢がないというか、こうあるべきかなというような議論が余りできないなと。その原点はというのは、これはもうこの仕組みの中で限界なんですが、今回の働き方も、現状分析があって、そこからどう変えるかという、現状から脱却できないんですね。変えるということはできるんですけどね。全然違う視点での議論をどこで国家的にできるのかという、これは文科省の課題ではなくて国家の課題だと思うので、ここでは単にそんなことを思っていたというぐらいで結構だと思います。
 第2点は、例えばSociety5.0の方向性が出ているときに、小学校、中学校のOECD、PISAでも高い学力水準到達というのがかかっていますが、恐らく世界の常識は、4歳、5歳が勝負で、そこが充実しない限りPISA学力テストの上位をとることはまず無理だろうというのが恐らく世界の流れになっている時代に、小学校以降の課題として挙げていること自体がやっぱりある意味では時代遅れかなと思っています。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 それでは、竹原委員。
【竹原委員】  私は地域のものとして、日々、先生方と御一緒に動いています。今回、大変貴重な審議に加えていただきまして、そして学ばせていただき、感謝しております。
 働き方改革の答申の中にも、PTA、地域との協力関係ということが出てきました。チーム学校という言葉も出てきました。それから、社会に開かれた教育課程ということで、「子供が協働的に学ぶ」というフレーズが出てきますが、実は大人も、教職員の方も協働的であるようにこれから教員養成があったらいいと思っております。
 教員養成の段階で、保護者、企業、他の行政、それから私たち地域の者と共にパートナーとなってこれから動くというときに、なぜパートナーとなるのかということをきちんとお伝えいただき、地域や社会に視野を広げ、体験的にどういうプロセスで協働的に動けるのか、どうコミュニケーションをとったらいいかということを学んできていただければと思っています。コミュニティスクールや地域学校協働本部を推進している中学校ですが、、ある中堅の先生が、「何と面倒くさい学校に来たんだろう、すぐ異動してやろうと思ったが、子供が確かに変化することを見て、やっぱり良い学校だと言い切れる」と語ってくださったことがありました。またキャリア教育を担当している若い先生が、地域の方や企業の方と会い新しい世界を知って、見る見る目が輝き、子供の教育にそれが反映される場面をみることもあります。先生方も多様な人と出会い、社会総がかりで子供を育てることを楽しい、価値があるということを体験していらっしゃると思います。そういう意味で、教員養成も地域との協働という視点を取り入れていただきたいと思っております。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 では、高野さん。
【高野委員】  明海大学の高野です。
 教職のコアカリの検討の頃からこういった教員養成の関係にちょっと携わらせていただいた観点と、それから学校の教員十数年、教育行政25年、今、大学で4年、5年目を迎えているという、様々なところに関与したということで少しお話をさせていただきたいと思います。
 1点目は、コアカリのときにも議論になったかと思いますけれども、教職のコアカリ、かなり苦労して、様々な御意見を聴取しながらこしらえていった中で、英語教育のコアカリというものがあったかと思います。別立てで英語教育のコアカリということで走っていたわけでございますけれども、その会でもちょっと主張させていただいたわけでございますが、英語教育だけではなく、ほかの教科のコアカリキュラム的なものが何で大学の教員養成にはないんだろうと非常に素朴な疑問が、教育委員会で教員の研修を担当しているときに本当に思った次第でございます。何が何でも国で全てのものを作れということではないわけでございますけれども、やはり一様の教育というもの、先生として教壇に立つ教職の学生を育てるという大学の責務としては、やはりそういったものに準じてやっていくことが必要ではないのかなという感じが1点しております。今のお題は教師の資質能力向上に関する論点(例)を参考に話をせよということであったわけでございますけれども、そういった視点も今後必要ではないのかなというのが1点目です。
 2点目ですけれども、コアカリのときに特別に配慮を必要とする児童生徒の教育ということで特別支援教育について入って、若干、外国籍、日本語を母語としない児童生徒の教育の在り方についてもやはりきちんと切り込んでこなきゃいけないということで、コアカリキュラムの一部に入ってきたわけでございますが、今後、外国人労働者の急増というものを日本が迎え、様々な中で、今、首都圏・東京においても外国人児童生徒の教育というものが非常に難しくなってきているという中で、やはり日本語教師の育成は一方で任せておけばいいんだということだけではなく、国語の教員、国語の教員のみならず教育を担当する者は、日本語指導の概括的な知識というものが必要になってくるのではないかというような感じがしております。国も様々な形でJSLの教育の改革ということで今いろいろ打っているところかと思いますけれども、やはり今後、児童生徒の教育にとってこういった視点は、これを教員免許の中に入れろということは、そこまでは言いませんが、是非ここは考えていかなきゃいけない課題になってくるであろうというのが2点目でございます。
 そして3点目でございますけれども、私も都の教育委員会におりまして教員の採用と研修は担当していたわけでございますが、今、大学に身を置く人間でございますけれども、大学とやはり教育委員会、学校との中でどうしても温度差が出ている。それを一つつなぐ手段として育成協議会を作って、育成指標を作るという形である程度功を奏していくことが今後期待できるかと思いますが、まだまだ大学の方はそれについて熟知しているものではないと。ここをもう少し切り込んだ形で、教員を養成すべき大学と教育委員会、学校が一体的な形になっていかないといけないだろうなという感じがしてなりません。採用がじゃあどう変わったのか。ほとんど変わっていないのではないかなというのが、これ、私、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そんなふうな状況にある。そして、大学の教員は十年一日のごとく昔の教育をやっていると。これでは、魅力ある教員を育てるといっても、働き方改革云々されているわけでございますけれども、やはり少し抜本的に斬新な形で大学に新たな風を吹き込まないと教育は変わっていかないのかなと、こんな感じがしているところでございます。
 以上、3点ほどお話を申し上げました。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 じゃあ、松木委員。
【松木委員】  簡潔に4点ほどお願いします。
 1点目は、更新講習についてです。ここのところずっと、50代の教員が大量に辞めていかれる中で、新規に採用される人たちが増えてきた。結果として、都道府県の教育委員会として見れば、臨時任用になってくれる先生あるいは非常勤講師になってくれる先生が急激に減っていて、非常に困っているという現状があるかなと思います。一方で、高齢化社会の中で生産年齢人口がだんだん減っていく、そういった中で60を過ぎた先生方の定年の延長だとか、あるいは再雇用ということが本当に重要な課題になっていくかなと思うんですが、ネックになるのは更新講習でして、50代のときに管理職になると免除されるということもあって、その後、60以降に勤めようとしていくと、どこかで60過ぎてからの更新講習がひっかかって、更新講習を受けるんだったらというような、継続して勤めたいという気持ちをそいでいってしまうような状況がたくさん生まれているなと思います。ある意味で早急な課題かもしれませんが、60を過ぎた方の更新講習の在り方について調査なり、それに対する対応を是非御検討いただけないかなと思います。それが1点目です。
 2点目は、育成指標についてです。指標は全ての都道府県でできたかなと思いますが、できたら壁に飾ってあるようなものにもうなっちゃっているんじゃないかなというような気がします。指標と研修の結果との間のたゆまない精察の往還、これをどうやって実現していくかということが課題ですが、作るところまでは課せられても、その後のことについてもう一歩踏み込む必要があるんじゃないかなと思っています。指標の見直しということと研修の見直しをリンクさせていくということだと思うんですが、研修の方に関しても、先ほどの働き方改革の中で時間の制限ということが出てくるかなと思うんですが、それが時間の制限として取り扱われるのは、研修だけが実際の先生方の業務と切り離されて別のことをやっているからじゃないかなと思うんですね。より日々の授業を支えていけるような研修の在り方の見直しということと、できれば生涯にわたっての成長を支えていくことのできるような研修、とりわけ年代別の研修に陥ってしまわないで、自分の三十数年の教職生活を振り返りながら、次の10年間に向けてどういうことをしていったらいいのかということを見直していけるような研修の在り方を是非検討していただけないかというのが2点目です。
 3点目は、近年の答申等の中で養成・採用・研修の一体化ということが絶えず言われてきていますが、私どものいるような地方の県では、もう既に先生のなり手がいなくなってしまった地域が幾つも出てきております。先生のなり手にいない地域は更に過疎化が進んでいくというようなことが起きていて、是非その養成・採用・研修の一体化ということを考えたときに、高大接続を含めた養成の在り方から教員研修もより大学教育等のリンクをした両方で共同していけるような研修の在り方、そして更に退職後についても含めて考えていけるようなシステムを作っていく必要があるんじゃないかなと思っています。
 4点目は、新しい時代に即した教育の改革を進めていこうとしたときに、附属学校を使わない手はない。是非とも附属学校にそのための先駆的な役割を求めていっていただけたらなと思います。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
【酒井委員】  ありがとうございます。そうしましたら、大きく分けて2点についてお話しさせていただきたいと思います。
 1点目は、きょうの話題は非常に大事だと思っておりまして、質の高い教員あるいは質の高い教育をするためには、やはり働き方そのものを改革しなければならないという、その部分は養成のこの部会ではなかなか話が出ないんですが、是非進めていただきたいというところ。そのためには、ここで議論があるのか分からないんですが、学校の中にきちっと様々な職員の配置を充実させてほしいと。例えば、コンピューター化が進んでいる中でコンピューター関係の専門家が全く配置されないですとか、それから、先ほどの日本語教員をきちっとした形で配置するですとか、そうしたことが急務となっていると思います。それから、時間管理ですが、在校等時間を更に短くするというお話でしたけれども、持ち帰りが増えるだけでしたら意味がない。ですから、エビデンスとしては、総時間をきちんと把握するような形で勤務を把握しませんと、いつまでたってもこの状況は変わらないだろうと思います。
 2点目は、教員の養成・研修のところですが、繰り返し申し上げているところなんですが、学校段階をきちんと意識した議論をどこかでしていただきたい。幼児教育の養成、小学校教員の養成、中等レベルの養成は、やはりそれぞれ課題がありますので、そこにきちんと焦点化したところを議論としていただきたい。先ほどお話がありました幼児教育は、やはり4歳、5歳、非常に重要だと思っておりまして、その質の担保。その中では、例えば今、専修学校での養成というのがかなりの部分を占めておりますが、これはやはりかなり見直しの対象ではないかと思います。一方で、中等教員養成は、教員自身の探究力をどう伸ばすのかということが非常に重要なんですが、そうした観点からの議論が一向に進まない。コアカリを整備するだけでは、やはりそこは問題が一向に解決しないということで、そこの部分も是非検討をお願いしたいと思います。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 では、どうぞ、坂越委員。
【坂越副部会長】  自分の職務である大学での教員養成に主に関わって2点ほど。
 1つ目は、やっぱり質保証です。教職課程の質保証です。きょうも再課程認定、報告がありましたけれども、これ、入り口で、その認定された後、その中でどういう形で教員養成が行われているのか、さらには、そこから輩出された人材がどういうふうに活躍しているのかということをきちっと見ていくための仕組み。現在も実地視察とかありますけれども、これはやっぱり年間に見られる回数、場所が限られていますから、何とかその仕組みを作らなきゃいけない。
 もう一つ、別の観点で質保証の話ですけど、今、大学、国公私立含めてですけれども、様々な組織改組なり、あるいは融合型の新しいタイプの学部だったり、学科だったりというところがたくさん出てきている。そういう大学として目指していく方向と、教職課程、教員養成というのが本当にマッチしているのかどうなのか。ひょっとすると、私たちが関わっている教職課程のいろんな仕組みというのが、今、大学に求められている新しい形とずれているかもしれないとまで思ってしまう。だから、基本的に大学が独自で自分たちの認識で考えなきゃいけないところですけれども、大学の中で教職課程というのをそれぞれの大学がどのように位置付けて、どのように展開していこうとしているのかということも含めての質をきちっと見ていく必要があるだろうと思います。
 もう一つは、教員の魅力化といいますか、やっぱり教員養成をしている我々大学の中でも、私、広島県出身ですけれど、とうとう今年度末まで小学校の教員定数が埋まらずに、とんでもないことですが、何とかやりくりしているような状態があったりして、そういう中で、先ほどから出ていますけど、やっぱり教員を目指す学生たちに教職の魅力を伝えていくことは必要ですよね。いろんなすばらしい実践もあるし、先ほどちょっとお触れになりましたけれども、地元の教員を地元の大学で育てるというような仕組みがあってもいいかもしれない。ただ、大学で教職・教員養成に関わっている私の見方として、教職の魅力化、生きがいを伝えることは大事なのだけれども、ちょっとここ、言葉が走りますが、生きがい、やりがいさえあれば何でもできるという、こういう働き方というのはやっぱり問題が残るかと思います。もう少し教員養成において、大学生の時代にそういう働き方を自分はどう捉えるのというような自分の働き方を考えさせる時間も必要なのかなというふうなことを思いました。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 じゃあ、お願いします。
【北神委員】  大きく4点ほど申し上げたいと思います。
 この間、こちらの方では、教師の質保証ということで、養成・採用・研修の一体的改革を進めるという形で議論させていただいて、養成段階は、免許法の改正、コアカリの策定という形で動いたと。研修の方は、育成協議会の下での育成指標が作られたと。仕組みは作られたんだと。ですから、31年4月以降はその内実をどう作るかというステップに入ったと。この内実形成をどうフォローするのかということをしっかりとモニターしていかないと、仕組みは作ったけれども、内実は何も変わりませんでしたということがあったのでは一体的な改革にならないだろうと。その点が1点。
 2点目は、その養成・採用・研修という部分で考えたときに、養成と研修にはメスが入ったけれども、採用・選考の在り方という部分を今後どうするのかという点です。その部分が正にコアカリで学んだものが育成指標の1年目にどうつながるのか。それを採用・選考という部分の中でどのような方法、中身、そういうもので検証できるのかどうか。その部分に正に志願者の拡大みたいな部分のものが政策的な判断として入る余地があるのかどうか。そこら辺りを検討するというのが2点目ではないだろうかと。
 3点目は、原点に立ち返ると、教師の成長というのは3つある。自己成長を中心にして校内研修と校外研修、この3つだと。中心はやっぱり自己成長なんですね。教師一人一人が自らの職能成長に向かっていかないといけないと。そのために、どういう条件が整えば自己成長をできる環境になるのかと。例えば研修の時間、校外研修に出ていく時間がないとか、出ていくときに誰か授業をやってくれる人材が学校にいるのかとか、そういう条件整備をしっかりとしておかないで「頑張れ、頑張れ」という形になってしまうと、今の状況は何も変わらないと。そういう意味では、教師の自己成長を支える条件整備をどこまでフォローできるか、そういうものを国としてもどこまでできるのかどうかというのがあるのではないだろうかと。
 それと4点目は、校内で育てる、校外で育てるといっても、育てるための仕組みという部分にいったときには、やっぱりそれを支える人材をきちんと配置しなきゃいけないと。例えば校内研修であれば、校内研修をリードできるリーダー教員を意図的・計画的に作っておかないと、経験だけでリーダー教育が務まるわけではない。これは同じように、学校管理職もやっぱり計画的・意図的に人材育成をしていかなきゃいけないと。そういう意味では、人事評価と研修の成果ということを連動したやり方みたいなのにも積極的に踏み込むべきではないかと。その検討が必要だろうと。
 あわせて、校外研修という点で見たときには、各県市が持っている教育センターの機能強化という部分も、もう一つの大きな課題としてあるのではないだろうかと。今、どう見ても研修の実施機関になっていて、研究機能という部分のものは弱いのではないだろうかと。そこの部分が機能強化されることによって、各県で必要な研修プログラムの開発や研修の運営体制の問題とか学校支援機能とかという部分のものがセンターが担えるようになると、そこと学校、そして教員個人へのサポート体制ができるような仕組みができるだろうと。その部分のところの条件整備という部分を今後進めていくことが課題ではないか、そのように思っています。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
【牛渡委員】  私の方からは2点お話しさせていただきます。私は、今、幾つかの学会に関わっておりますので、他の先生方とはちょっと違って、学会レベルでどういうことが今話されているのか、あるいは要望されているのかという観点から、2点お話しさせていただきます。
 1点は、コアカリキュラムです。私も教職コアカリキュラムの作成に関わらせていただきましたが、そのときの会議の第1回目には、医師養成、薬剤師養成、獣医師養成といった他の専門職養成のコアカリキュラムの紹介をしていただき、我々はそこから学んだわけですね。そして、教員養成の場合も、教員養成の出口のところで一つの基準を作り、あるいは教師に求められる内容を示して、それに向けて養成するという、基準を基にして質を高めるという発想に私も賛成いたしました。そして実際に検討もしたのですが、ただ、一方で、このことはもうちょっと大きな観点からいえば、自由であるべき大学教育の中身を国家が統制するということにもなるわけなんですね。これは、大変大きな問題であります。ですから、学会レベルでは、そこのところが非常に懸念されているところであります。
 じゃあ、他の専門職養成では、一体この問題をどうやって解決しているかというと、ここに学会が入ってくるわけです。学会に委託する、あるいは学会と連携してコアカリキュラムを作っていくことで、この懸念を解消しているわけです。今回、教職課程コアカリキュラムを作成したときに、再課程認定に向けて非常に短い期間の中で作り、ワーキングの先生方も大変御苦労されたんですけれども、やはり検討時間がもう少し必要だったかなと思いますし、そして、今回、全ての大学がこのコアカリに基づいて再課程認定を受けておりますので、今回の再課程認定のコアカリキュラムの利用方法とか中身について、できれば学会と今後連携して、もう一度、よりよいコアカリを作るような、修正をするような、そういう方向で検討していただけないかというのが1つであります。
 コアカリキュラムについてもう一つなんですが、先ほど教科のコアカリのことが出ましたけれども、これは、教職のコアカリとかなり根本的に違った問題を抱えているということです。なぜならば、先ほどの医師養成、獣医師養成、薬剤師養成、これは全て目的養成なんですね。ところが、教員養成の場合だけは、教育学部以外に理学部、文学部、農学部等、ほとんど全ての学部・学科で教員養成をしているわけです。ベースのところにそれぞれの学問があるわけですね。その学問の上に教職課程が乗っかっているということです。ですから、教科のコアカリを作るときに、例えば理学部で理科の先生の免許を出すときに、何を教科の専門として勉強するかというと、物理学、化学、生物学、地学等を勉強するわけです。それは、それぞれの理学部の専門科目として開設されているわけですね。高い大学レベルの学術的なものを勉強しているわけです。ですから、ここのところにコアカリキュラムを乗せるというのは一体どういうイメージで考えればいいのか。コアカリキュラムは明らかに、例えば高等学校であれば、高等学校の学習指導要領をちゃんと教えられるように教科の力を示すわけですから、そうしますと、その大学の物理学、生物学を高校レベルにしてしまうということになりかねない。そうしないためにはどうしたらいいのか。私も、教科のコアカリ的なものは必要だと思います。やっぱりきちっと学習指導要領と学校で教えられるようにしてほしいんですけれども、一方で、こういう開放制の下での組み立て方があるわけですね。これを一体どういうふうに両立させていくのかということについて慎重に検討していただきたいと思いますし、そこのところをうまく仕分けしないで教職コアカリと同じように考えていきますと、いろいろな問題が出てくるんじゃないかと思っております。つまり、大学レベルでの教科の、例えば高等学校の教科の先生の専門性がかなり著しく落ちてしまう可能性があるということとか、そういったようなことが懸念されますので、慎重に検討していただきたいと思います。
 それから2点目は、教職大学院のお話なんです。平成27年12月の答申で、それまで少数にとどまっていた教職大学院を、今後は量的にも増やしていくんだということが答申されました。私もそれはすばらしいと思いました。つまり、教職大学院を増やして理論と実践を融合・往還させて、実践力・指導力を高めていくような教員養成を広げていくことには大賛成なんです。ところが、現在、いろいろ聞いてみますと、国立の目的養成系のところでは、修士課程を廃止して全てこの教職大学院に変えていくような方向に今動いていると聞いております。これまで教職大学院には教科の内容がほとんどなかったんですね。ですから、やはり教科についても理論と実践を往還させるようなことが必要だと思いましたので、私はそれには賛成なんですが、ただ、一方で、修士課程がなくなるということ自体に学会のいろいろな会員から懸念の声が出ています。なぜならば、理論と実践の往還というのは、今の教職大学院は恐らく実践的な実際的な面から求められる理論と実践の往還だと思うんですが、実は教育学の分野ではもっと広い、比較教育だとか教育哲学等の学術的な理論があるわけです。もっと大きな理論があるわけですね。そこのところとの関係性が切れてしまうんじゃないかということです。狭い意味での理論と実践の往還だけになってしまうのではないか。もちろん狭い意味での理論と実践の往還は核として必要ですが、それを支えるもっと広い理論と実践の往還というものができるような体制、すなわち修士課程を残しながら教職大学院と両方兼ねられるような、そういう体制にできないだろうかというふうなことが、今、要望として出ております。
 そしてまた、学生の方から見ても、例えば留学生なども比較教育学研究のために、例えば中国から学生がやってきましても、教職大学院では目的が違うわけで研究できないんですよね。さらに、学術的な日本の教育学研究の後継者養成といった面から見ても、教職大学院だけに特化していくというのは問題が出てくるんじゃないかということを懸念しておりまして、教職大学院の必要性を認めつつ、学術的な研究という体制、修士課程レベルの在り方を検討していただければと思います。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 じゃ、一木委員。
【一木委員】  よろしくお願いします。私からは、特別支援教育の立場から3点申し上げたいと思います。
 まず1点目は、以前も申し上げたかもしれませんが、特別支援の免許につきましては、学習指導要領が規定します教育内容と十分に対応し切れてないという課題がございます。教員養成課程では、障害について学ぶということは保障しますが、子供たちが学校で学ぶ教育内容について、これから教師になろうという学生が十分に学ぶ仕組みになり得ていないという仕組みになっています。視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、病弱、こういったお子さんは基本的には小・中学校等と同じ教育内容を学び、加えて自立活動を学ぶ、知的障害の学校のお子さんは、知的障害の障害特性を踏まえた別途用意された独自の教科を学ぶということになっていますが、特支の免許の中で、これらの自立活動あるいは知的障害の教科をしっかり学ばないと免許が取れない、こういう仕組みになっていない現状にあります。実際、免許を取得する学生は増えております。さらに、文科省から「免許保有率向上を」というメッセージを受けて、各都道府県が認定講習を実施するところですけれども、免許取得者は増える、しかし、それが一体何の専門性を担保すると考えたらよいかと思うところです。
 自立活動に焦点を当てますと、自立活動の目標あるいは内容、これは指導要領に明示されていますが、中には、特別支援学校の免許を出している大学であっても、学生は特別支援学校の学習指導要領を一度も開くことなく卒業するという、こういう現状もございます。そうしますと、受入れ側の教育センターあるいは各学校が、学習指導要領を開き、自立活動の目標、内容を説明すると、こういった現状にあるところです。ですので、是非これはお願いしたいのですが、養成段階の現状、改善すべき課題、これを洗い出す必要性を感じているところでして、各教育センターあるいは特別支援学校の校長会等に特別支援の免許を保有して初任教師として赴任した教師の自立活動の指導の理解に関する実態について調査を実施していただけないかと思うところです。
 それから2点目です。現在、特別支援学校の免許取得を希望する学生や免許を出す大学が増えています。特別支援教育について学ぶ学生が増える、これは大変心強く思っておりますが、その全てを免許で対応するということに無理があるのではと実感しているところです。免許の場合は教育実習が漏れなく必要となりますが、様々な事情から、実習先の確保が非常に難しい状況にございます。中には、教員採用試験で加点されるインセンティブがある関係で特支の免許を取得したいという学生もいる中で、免許だけではなくて、何らかの単位取得でもって資格化を検討する、そういった制度設計についても併せて検討いただければ幸いです。
 最後に、本日の資料に目を十分に通し切れてないところで、見落としているかもしれませんが、養成・採用・研修や働き方改革等、国からメッセージを出していただくときに、特別支援学校や特別支援学級、通級による指導の現状や課題を想定したメッセージも合わせて発信していただけますと、現場の先生方も非常に心強いのではないかなと感じた次第です。
 以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 では、最後、安部委員。
【安部委員】  最後でございます。2つ申し上げたいと思います。
  私は短期大学の教員養成という点で1点、お願いをしたいと思います。御案内のように、短期大学は幼稚園教諭の2種免許を主に出しておりますが、この志願者、つまり幼稚園教諭を希望する人が、18歳人口の減を反映しているというものの、最近減少しているというのを非常に憂いているところでございます。先ほど働き方改革というお話もございましたが、幼稚園教諭というのは、仕事の勤務時間も長い、3Kのような仕事のように見られる傾向が増えてきたように思います。働き方改革という流れの中で、幼児教育並びに高等教育は、これまで日本では義務教育に比べますと予算措置が今まで低いといわれていますが、現政権は幼児教育と高等教育の無償化を言っております。この無償化が、保護者の負担軽減だけではなくて、教員の待遇の改善に結び付ける必要を非常に感じておりますし、それから、幼稚園教諭はどうしても若い方が多うございます。その人たちが子育て等で仕事を中断しても、また職場に戻れるというキャリアパスを描くためのリカレント教育、あるいは人生100年時代を迎えて定年後の多様な――現在は幼稚園教諭は女性が多いわけですけれども、幼児教育の中に男性、高齢者を含む多様な世代の方々が参画していただくようなことができないかなと思っております。
  それから、もうちょっと大局的に、先生を志望する方が少ないというようなことをずっとおっしゃっていたんですけれども、教師というのはいい仕事であると、教師は未来を育てる仕事であるということは、教職に携わっている者はどの教育段階の教諭でも思うわけですが、そういう教師として関わる未来を担う子供たちにどのように育ってほしいか、彼らに身に付けさせたい力・能力・資質は何かというような、要は教育の理念とか哲学とかそういう根本的なことをしっかりと自覚することが必要ではないかなと感じます。そして、その方法論として、その理念を実現するためには、教師が持つべき能力については、ICTやAIの発達の中で教育の方法が、今後劇的に変化をすると考えられています。それに堪えられる人というのはある意味若い世代で、非常にイノベーティブな意識を持った教員が必要です。そういう方の発掘について、例えば大学では、ベストティーチャーの選定等もやっていますけれども、新たな教育方法等のグッドプラクティスみたいなものをどの教育段階でも生み出すことが必要ではないかと思います。従来の概念とは教育の内容も方法も変わっていく中で、教師の在り方について原点に立ち戻ることと、新しい技術・知識というものを身に付ける機会というのをふんだんに提供するということが、教員養成には必要ではないかと思います。
  以上です。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 一通り御発言を頂戴いたしまして、時間も迫ってまいりまして、私も若干だけ発言させていただいて終わりに向かいたいと思います。
 既に委員の皆様、いろいろ多面的に御発言いただいたので、余りもうないんですけれども、1つは、今回、再課程申請やその前のコアカリキュラムというようなことで、学部教育の中のカリキュラムの在り方というものもある程度検討がされたと思うんですね。これは、皆さん方のような教職の専門家から見れば当たり前ですが、一般の教職課程を持っている大学では、そもそもカリキュラムって考え方があるんだか、ないんだかというところもありましたので、今回それが普及したとすればよかったと思っております。一方で、育成指標で現職の研修の仕組みというのも作り始めておりますけれど、これを実質化するのはこれからだろうと思うんですね。そして、どなたかもおっしゃっていたように、いずれにしても、養成も研修も、今後、研究ベースといいますか、幾つかの学会と共同するということや委託研究というのもあると思いますけれども、何とかそちらに踏み出す必要があるのではないかと思います。それが第1点であります。
 2番目は免許の問題なんですけれど、幼児教育をちょっと別におくと、小・中・高の免許の在り方それぞれに様々な問題があると思いますが、例えば小学校、中学校で言えば、小学校は今、随分専科教員を増やしておりますけれども、このまま専科教員の割合が増えていったときに、小学校免許とは何かというのが、あるいはそれを育成する養成課程は何かということが問題になる。非常に極端に言えば、英語は全部専科がやるんなら、学部教育で小学校免許に英語は要らなくなるわけですけれど、その辺りはそういう動向と絡むので簡単ではありません。検討が要ると思いますし、中学校などで言えば、もう既に問題が出ておりますが、小規模化する中で、一部の教科について本来の免許を持っている人が必ずしも指導していないということについてどうしていくかとか、小・中学校をまとめる義務教育学校については、小学校免許と中学校免許両方ということになるんですが、その複雑さとか、いろいろ検討すべきことというか、やり残したことがあるように思います。
 3番目、どなたかもおっしゃったと思うんですが、免許更新講習の在り方も一度しっかりと議論して見詰め直す必要があるんだろうと思います。今のようなやり方でいいのかもしれないし、相当違うものにすべきなのかもしれませんが、いずれにしても、現場教員としてかなり不満・批判を持っている方も多いように思います。
 それから4番目でありますが、私の狭い意味での専門の幼児教育の中で1つだけ触れますと、免許などの在り方について言うと、どうしても幼児教育の場合には幼稚園免許と保育士資格、今、両方持つということが標準になってまいりましたが、保育士資格は当然ながら厚生労働省でありますので、なかなかこの部会で議論ができません。そういう意味では文科省の枠を超えなきゃいけないのかもしれませんが、どこかでそれは議論していただかないと困るように思っております。実際に幼稚園と保育所、今、お子さんは5歳児レベルでいうと半々ぐらいになっていますし、認定こども園も増えているので、幼稚園教諭だけよくしても困るわけですね。
 それからもう一つは、幼稚園教諭の場合には、2種免許の方が今でも非常に多い。特にある年齢以上はそうなんですけれども、そのことが直接レベルが低いことを必ずしも意味しないとは思いますが、実は来年度予算で文科省幼児教育課の中で2種を1種にする上進講習を大幅に増やすということが出ていたと思います。そういう意味で、小学校に近付けるというのは難しいでしょうけれど、幼稚園の中でも1種免許によって質向上を図るということを幼児教育課として提言しているように思いますので、付け加えさせていただきました。
 まだいろいろあるんですけれども、時間が過ぎましたので、ここまでにさせていただきたいと思います。
 本日、多様な意見をお出しいただきましたので、それらの意見を踏まえて、次期の本部会において引き続き御検討を進めていただくようにお願いしたいと思います。
 それでは、時間過ぎまして恐縮でありました。本日の審議はここまでとさせていただきます。
 最後に、事務局からお願いします。
【柳澤教育人材政策課長】  委員の皆様方におかれましては、2年間にわたりまして本当に精力的な御意見を頂きまして、ありがとうございました。きょうお話に出てまいりました再課程認定がやはり一番大きな作業だったと思いますけれども、そのほか初任者研修の弾力的実施などなど、制度の改善に向けた御議論も頂いたことが成果としてつながっているところでございます。本日最後には、本当にまた多様な御意見、課題を頂きました。是非、次の期の審議会の方にもつなげていき、少しでも実現できるように努力してまいりたいと思います。
 本当にどうもありがとうございました。
【無藤部会長】  ありがとうございました。
 それでは、これをもちまして、第9期の教員養成部会を終了いたします。長期間にわたる熱心な御審議、誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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