平成30年8月2日(木曜日)14時00分~16時00分
一橋大学一橋講堂1階特別会議室
東京都千代田区一ツ橋2-1-2 学術総合センター内
【無藤部会長】 それでは、定刻となりましたので、ただいまから第101回中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会を開催いたします。本日は、御多忙の中、御出席いただきまして、まことにありがとうございました。
それでは、事務局より、本日の配付資料の御確認をお願いいたします。
【渡邉教職員課長補佐】 資料の確認をさせていただきます。
座席表をお配りしておりますのと、議事次第、又、議事次第に記載のとおり、資料1-1から資料4-2まで配付してございます。資料1-1につきましては大部となってございますので後ろにつけておりますが、それ以外は順番のとおり配付してございます。過不足等ございましたら、お近くの事務局員までお申し付けください。
【無藤部会長】 はい、よろしくお願いします。
本日でございますけれども、まず、議事の1について諮問を受けた後に、議事の2について、事務局から御報告いただきまして、議事の3については御審議いただき、また、議事の4については、事務局から御報告を頂きます。
それでは、早速、議事の1に入ります。平成30年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定について、諮問を受けることといたします。
(諮問文手交)
【無藤部会長】 ということで、今、諮問を頂戴いたしましたので、その概要につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
【長谷教職員課教員免許企画室長】 教員免許企画室長の長谷でございます。
ただいま承認いたしました、「平成30年度教員の免許状授与の所要資格を得させるための大学の課程の認定」について、概要を御説明申し上げます。
教育職員の免許状授与の所要資格を得させるための課程、つまり大学の教職課程につきましては、教育職員免許法の規定に基づきまして、文部科学大臣の認定が必要とされております。
また、文部科学大臣の教職課程の審査に当たりましては、中央教育審議会に諮問することとされておりまして、文部科学大臣は中央教育審議会の答申を踏まえて認定等を行うこととされております。
諮問につきましては、中央教育審議会の会議の運営に係る申し合わせに基づきまして、中央教育審議会総会の会議を経ないで諮問する場合は、あらかじめ会長にその諮問の内容を報告するとともに、諮問した場合には事後に審議会にその諮問の内容を報告することとされております。
平成30年度におきましては、大学の改組等による教職課程認定申請に加えまして、平成31年4月の教育職員免許法及び同法施行規則の改正の施行に伴いまして、再課程認定を行う予定としております。
本日、諮問をいたしましたのは、教育職員免許法及び同法施行規則の改正に伴う再課程認定となっております。
なお、通常の改組等に伴う課程認定につきましては、前回の教員養成部会にて諮問をさせていただいております。
再課程認定申請のありました大学につきましては、資料1-2を御覧いただければと思います。再課程認定の申請を行っている大学等数について、資料1-2を御覧いただきたいと思います。それから、諮問後につきましては、教員養成部会の下に設置されております課程認定委員会において審査が行われますが、再課程認定におきましては、法令改正により変更となった箇所や、教職課程コアカリキュラム及び外国語、英語コアカリキュラムが新たに策定された箇所を中心に審査が行われる予定でございます。
再課程認定については、先ほど御覧いただきました大学数等の資料の次の資料に、年間のスケジュールを示してございます。全体の平成27年度の中央教育審議会の答申以来の流れにつきましては上の段。それから、詳細な再課程認定、通常の課程認定のスケジュールについては下の段に記載がございますので、御参考に御覧いただければと思います。
以上、御報告させていただきます。
【無藤部会長】 ありがとうございました。
ただいま、再課程申請に関わって事務局から御説明を頂きましたけれども、御質問等があればお願いしたいと思います。ファイルが非常に大きいので、その上に名札を置いていただけるとあり難いですが、いかがでしょうか。特段よろしいですか。万が一、後で思い付いたら、そのときに聞いていただいても構いません。
それでは、課程認定委員会の委員の皆様方に今後審査をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
議事の2でございますけれども、子ども・子育て会議の審議状況について、事務局から御説明をお願いいたします。
【長谷教職員課教員免許企画室長】 子ども・子育て会議の状況について、御報告をいたします。資料の2-1から2-3を御覧いただきたいと思います。平成27年4月1日に施行されました子ども・子育て支援法の一部を改正する法律によりまして、幼保連携型認定こども園の保育教諭に関する特例が2つ定められてございます。
1つは、幼保連携型認定こども園の保育園につきましては、保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方を保有しなければならないとされているところ、施行から5年間の間はどちらか一方の資格・免許状を保有していればよいとする、片面特例と呼ばれているもの。
それから、もう一つの方が、両方の資格・免許状の保有の促進をするために、保育士資格と幼稚園教諭の免許状について、施行から5年間に限っての取得の特例を定めているものでございます。この取得の特例については資料2-2の4ページ目から5ページ目に、それぞれの取得の特例を定めてございますので、後ほど御覧いただければと思います。
幼稚園教諭の免許状については、この特例は教育職員免許法の附則の第19項に規定されてございます。今申し上げましたこの2つの特例については、施行から5年間に限られておりまして、平成32年3月31日に期限を迎えることとなっております。
子ども・子育て支援法の一部を改正する法律の中には、この資料2-2の最初の1ページ目を御覧いただければと思うのですけれども、こちらにございますように、5年後の見直し規定がもともと設けられてございまして、今申し上げました2つの特例の扱いも含めまして、子ども・子育て会議で議論が開始をされております。これまで5月28日、それから、先日7月30日にこの点について議論がございました。この子ども・子育て会議の委員の方々からは、保育士資格と幼稚園教諭免許状の両方を保有していない方が、幼保連携型認定こども園にまだ1割弱程度存在していること、これは資料2-2の最後のページを御覧いただきますと、「幼保連携型認定こども園の保育教諭の保育士資格の保有割合」と書いてございますけれども、「どちらか一方のみ保有」と中上に書いてございます方が、データ割合10.8%ぐらいまだいらっしゃるということでございますので、こうした現状を考えますと、片面特例、それから、免許状保育士資格の取得の特例について延長が必要であるという御意見が多く出されておりました。このほかに、免許状取得を促進するための措置が必要であるという御意見ですとか、免許状更新講習の受講が受けやすくなるような条件整備が必要であるという御意見。これは少し御説明しておきますと、片面特例がある間は、保育士資格だけでも勤務ができることとなっておりますので、この片面特例期間の間に幼稚園教諭の免許状を更新されていない方は更新しておくことが必要になるのですけれども、今ちょうど、この30年度、31年度には更新講習の受講対象者が全体的に多い時期に当たっておりますので、なかなか更新が終わっていない方がいらっしゃるという御指摘がございました。
以上のような御意見が出されていたところでございます。
それで、今後のスケジュールでございます。資料2-1の一枚紙を御覧いただきますと、直近で7月30日に会議がございましたけれども、今後、秋頃から年内あるいは年明け頃にかけまして、この特例も含めました施行後5年の見直しに係る議論が行われていく予定となってございます。
なお、この幼稚園教諭の免許状取得の特例については、免許状の授与要件に関わってまいりますので、こちらの教員養成部会でも御議論いただく必要がございますので、この子ども・子育て会議の議論の進捗と合わせまして御審議をお願いしてまいりたいと考えております。
以上でございます。
【無藤部会長】 ありがとうございました。
ただいまの事務局からの御説明について、御質問などあればお受けしたいと思います。
では、秋田委員。
【秋田委員】 質問ではなく意見です。今、事務局から御説明がございましたように、現在、幼保連携型認定こども園の数は大変増えてきております。しかし、今、まだ各々片方の免許のみの方がこの図にあるように10.8%、12.2%といった1割強おられますので、是非これは特例を延長していただくと同時に、免許が取りやすくなるようなインセンティブというのでしょうか、何かそういう策を練っていただけるとよろしいかと思います。皆さん忙しくて研修に出て受講ができない。それから、講座がいっぱいで研修の数が足りていなくて受けられないという現状を考えて、早目にこの措置をしていただければありがたいと思います。
以上です。
【無藤部会長】 ありがとうございます。ほかにございますか。とりあえずよろしいということで、この議論そのものは継続でございますので、よろしくお願いいたします。
それでは、次でございますが、議事の3です。教員免許制度に係る検討事項について、事務局から説明をお願いいたします。
【長谷教職員課教員免許企画室長】 それでは、資料3-1から3-5までについて御説明を申し上げます。今回、幾つかの論点、テーマについてまとめて取り上げさせていただきました。背景としまして、最近、報道等で各地域の学校におきまして、必要な教員を確保するのに非常に苦労されているという事例が生じているということが指摘されることがしばしばございました。それとは別の文脈で、政府全体の規制改革実施計画との関係で、免許外教科担任制度の在り方について議論を行ってきておるところですけれども、この検討の中でも免許外教科担任が生ずる背景としまして、授業時間数が少ない実技系の教科の免許状を持つ教員がそもそも少ないということ。あるいは、非常勤や臨時的任用教員の確保が難しいといったことが指摘されてございます。
それから、前回の会議で御報告しましたSociety5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会の文脈の中でも、情報教育の中心的な教科である高校の情報や、中学校の技術の免許状を持つ教員が少ないこと。小学校教員の採用倍率の低下といったことが指摘されてございました。今申し上げましたように、それぞれ異なる文脈の中からではございますが、例えば、実技系教員の確保の問題ですとか、非常勤、臨時的任用教員の確保の問題、小学校教員の採用倍率の低下のように、教員の需給に関係する課題が指摘されてございます。本日、この後、3つの課題についてそれぞれ御説明申し上げていきますけれども、本日の会議では、これらの課題について、現状ですとか、対応方針等について、自由討議をお願いできればと考えております。
次回の会議では、本日頂きました御意見を踏まえまして、養成、免許等に関しまして、政策的、制度的な論点について整理をさせていただきまして、引き続き御議論いただきたいと考えているところでございます。
本日は、この自由討議の素材としまして、先ほど申し上げましたように、免許外教科担任制度の在り方に関する検討会議の検討状況、Society5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会の報告書、それから、教師不足の状況について幾つかの都道府県教育委員会の聞き取りを行いましたので、その結果の概要について御説明をさせていただきます。
それでは、まず、資料3-1から3まで御覧いただければと思います。昨年12月4日の教員養成部会でも免許外教科担任の在り方について、有識者による会議を立ち上げるという御報告をさせていただいておりました。この免許外教科担任制度の在り方に関する検討会議、この資料3-1に設置の要綱を掲載してございますけれども、教育委員会関係者、中学・高等学校の校長先生の方、それから、学識経験者、ジャーナリストの方に御参加をいただきまして、国立高等専門学校機構監事の加治佐哲也先生を座長として設置をされてございまして、本年1月以降、これまで4回の会合が開催されております。
この会議では、これまでに免許外教科担任の許可が用いられる理由ですとか、その縮小に向けた対策について教育委員会の委員の方からの御報告、僻地における教育に対応した教員養成や、教員養成課程において複数の免許を取得できるようなカリキュラムを工夫されている大学からの御報告。それから、遠隔授業の実施をすることによりまして、免許外教科担任の授業の質を向上させるような実践事例の報告。さらには、学校現場からの御意見として、中学・高校の校長会の御意見を伺ってまいりました。この中で多岐にわたる論点が提示されましたので、資料3-2にございますように、会議で指摘をされました論点を第4回の検討会議で整理をしてございます。本日はこの資料に沿いまして、少し御説明を申し上げたいと思います。この資料自体は、第4回の会議の議論のために、各論点の位置付けが見やすくなるように交通整理をしたものでございますので、必ずしも会議で出された意見を網羅しているわけではございませんが、論点として大体申し上げますと、次のような点を御指摘いただいておりました。
まず、漢数字一のところからですが、免許外教科担任制度が用いられる背景としまして、これは第1回の会議で事務局から御報告をしたのですけれども、教育委員会の方々へのアンケートの結果、それから、この会議のメンバーの方々からの御発表から見てみますと、まず、数字の1のところですが、所要の免許状を保有する教員の配置上の課題があるということで、例えば、基礎定数の少ない小規模校では全教科の教員配置が困難な場合があるということ。あるいは、その教科の免許を持った教員は配置されておるのですけれども、配置された教員の数に対して、中規模校、大規模校では授業時間数が多くなる場合がございますので、そういった場合に免許外教科担任が必要になるといったこと。あるいは、技術や家庭、情報といった実技系の教科について免許状を保有している者が非常に少ないといったことが状況として挙げられてございました。
それから、特別な指導を行う場合にどうしても必要になるということで、例えば、特別支援学級における指導がある場合や、少人数指導、ティーム・ティーチングがある場合、あるいは専門教科、これは工業ですとか、商業、水産等ございますが、そういった場合に免許外教科担任が必要になるといったことがございました。
それから、背景的な事情がございますが、その他のこととしまして、例えば、定数外で配置された教員では足りない場合には、非常勤ですとか臨時的任用教員を確保しまして授業実数を担当していただくことが通常行われているのですが、なかなかこういった教員の確保が困難な場合があるという御指摘がございました。あるいは、教員の持ちコマ数が多いですとか、校務分掌の負担が重いといったような勤務負担の観点もあるという御指摘も頂いていたところです。
こうした背景に対しまして、免許外教科担任を縮小するためにどのような対応が可能であるかというところで、大きく分けまして2つの対応がございます。1つには、この漢数字二の1ポツ、「教員の採用・配置の適正化」というところで、これは非常に大事なところですけれども、教員定数の充実というところ。これは国の施策としても必要であるといった御意見。それから、これは都道府県教育委員会でも計画的な採用や配置が必要であるということ。それから、特に授業時間数の少ない教科については複数の学校で一人の教員の方が担当していただくという兼務の促進も考えられるという点がございました。
もう一方の対応策としまして、複数の免許状ですとか、希少免許状を取得することを促進する必要があるのではないかということがございました。例えば、技術ですとか、情報ですと、その免許状を持っているだけではなかなか採用数が少ないという状況がございますので、1人の先生が複数の教科の免許状を取得することで、複数の教科を担当できるといったことがございますので、1つは養成、採用段階で複数の教科の免許の取得を促進できるような、例えば、これは大学のカリキュラムの工夫ですとか、採用上の措置といったことが考えられるということ。
それから、現職の教員の方が免許状認定講習を受講することによって、他教科の免許状を取得することが可能になっておりますけれども、その他教科の免許状の取得を促進するために、免許状の授与要件についても検討が必要ではないかといった御意見がございました。
それから、何度か申し上げましたように、技術や家庭科、情報等については、そもそも免許状を持っている方が少ないところがございまして、特に幾つかの都道府県では、もう技術の教員養成課程がないような県もございますので、そういったところについても教員養成課程を確保して、そういった教科の教員養成、それから、研修の体制が確保できるようにする必要があるといった御意見がございました。
それ以外には、例えば、制度の厳格な運用ですとか、そもそも勤務負担をしっかり軽減していく必要があるといったところもございました。
今、申し上げましたような、いろいろな対応を講じましても、どうしても免許外教科担任によらざるを得ない場合が出てまいりますので、そういった場合には、例えば、免許外教科を担任する方への研修を実施すること。あるいは、同じ校内にいる先生方、あるいは近隣の学校の先生方によって支援をするといったこと。さらには、その教科の免許を持った方が遠隔授業を行うことによって、その免許外教科担任の方を支援していくということ。こういったことも御指摘があったところでございます。
今、申し上げましたような論点について引き続き議論してございまして、現在、この会議の取りまとめに向けて作業をしているところでございます。この報告がまとまりましたら、こちらの教員養成部会でもご報告をさせていただきたいと考えております。
資料3-3として配付させていただいておりましたものは、この免許外教科担任に関する基礎的なデータとなってございまして、第1回目のこの会議で公表させていただいた資料でございますので、参考データとして御覧いただければと思います。
続いて、2つ目の事務局からの報告といたしまして、資料3-4を御覧いただきたいと思います。Society5.0に向けた人材育成に係る大臣懇談会報告書の概要でございます。こちらは、前回の教員養成部会でも最後に御報告をさせていただいてございました。概略だけ申し上げますと、まず、1ページ目をおめくりいただきますと、この中でAI技術の発達に代表されますようなSociety5.0に社会像を描いた上で、そこにおける学びの在り方、求められる人材像を提示してございます。
これを受けまして2ページ目の中では、そうしたSociety5.0に向けて取り組むべき政策の方向性としまして、1つには「公正に個別最適化された学び」の実現。
2つ目としまして、基盤的な学力や情報活用能力の習得。
3つ目として、大学等における文理分断からの脱却という3つのものが掲げられてございます。
3ページ目以降に、そうした方向性に関しまして、当面、取り組むべきリーディング・プロジェクトとして、幾つかのものが並んでございますが、特に4ページ目を御覧いただきたいと思います。
この4ページ目の一番下の丸でございますが、基盤的な学力を確実に定着させるための学校の指導体制の確立、教員免許制度の改善が掲げられてございます。この中で指摘がございますけれども、小学校教員採用試験の倍率が低下しているということ。それから、中学校、高等学校でも情報教育の中心となる教科である技術科、情報科のような特定教科の免許状を保有する教員が少ないことを踏まえまして、指導体制の質・量、両面にわたる充実・強化を図る観点から、免許制度の在り方を見直すということが書かれておりまして、例として、複数校種あるいは教科の免許状取得を弾力化するといったことも指摘されてございます。これは、免許外教科担任制度の在り方に関する検討会議で、先ほど申し上げましたように、指摘をされていたことと同じでございますけれども、高校の情報ですとか、技術のように、それだけでは採用数が少ないような教科に関しまして、複数の免許状を弾力的に取得できるようにすることができないのかといった問題提起があったところでございます。
この資料3-4については非常に簡潔ですけれども、以上で説明を終わらせていただきまして、3番目に、渡邉から資料3-5に基づきまして、教師不足の状況について御報告を申し上げます。
【渡邉教職員課長補佐】 それでは、資料3-5を御覧いただければと思います。「教員不足」についてでございます。近年、各地域におきまして「教員不足」といった状況が多く報じられているところでございます。例えば、全国で数百人といった規模で不足が生じているといった報道でありますとか、それによって最近では広島県のある公立中学校におきまして、国語や理科といった教科について必要な教員が確保できず、4月中にその授業が受けられなかったという事例もあったところでございます。
この要因といたしましては、教員の大量退職、大量採用を背景として、臨時的任用教員等が不足しているといったことが言われているところでございます。こうした状況は昨年においても多く報じられたところでございまして、近年の顕著な傾向となっていると認識してございます。
2ページ目を御覧ください。こうした状況を受けまして、当課におきまして、最近の報道やその他の事情を勘案いたしまして、任意に選ばせていただきました、資料2にございます11の自治体の協力を頂きましてアンケートを実施いたしました。その結果によりますと、平成29年度始業日時点におきまして、小学校、中学校ともに数百人の規模で不足が生じているとともに、そのうち右側のグラフでございますけれども、授業の実施に影響を及ぼします中学校の教科担任が不足するといった事例も一定数含まれていたところでございます。
3ページ目をご覧ください。この不足の要因について、大きく上半分の「教員又は必要教員数の増加に関する要因」と下半分の「臨時的任用教員等の確保に係る困難に関する要因」とに分けてございますけれども、教員又は必要教員数の増加に関しましては、産休・育休取得者数の増加でありますとか、特別支援学級数の増加が多く挙げられているところでございます。
一方で、「予定人数を採用できなかった」でありますとか、「正規教員採用数の抑制」といったことは聞かれなかったところでございます。
また、臨時的任用教員等の確保に係る困難に関する要因といたしましては、講師、登録名簿登載希望者数の減少でありますとか、採用候補者がほかの学校や教員以外の職に就職済みであるといったことが多く挙げられたところでございます。
一方で、必ずしも多くはございませんが、採用候補者が免許状の未更新等により採用できなかったことも挙げられているところでございます。
4ページ目をお願いします。こうした状況に関しまして、各地の教育委員会において取り組んでいることとして挙げられておりますのは、正規教員の採用者数を引き上げるといったことでありますとか、教員採用における特別選考の実施等の工夫、又は再任用の積極的な活用、又、退職教員、大学生、中高生といった方々への積極的な広報でありますとか、教員免許状が休眠状態となっている者に対する教員免許状更新の促進といったことに取り組んでいる例も聞かれたところでございます。
5ページ以降におきましては、退職者数、採用者数、受験者数、採用倍率、その他の関連するデータを掲載してございますので、御参考として頂ければと思います。「教員不足」については、一義的には任命権者において取り組んでいただく必要があるものと考えてございますけれども、例えば、アンケート結果でも幾つか見られましたような免許更新に関する工夫でありますとか、国としてできることについて御意見を頂戴できればと考えてございますのと、本件については免許外教科担任に関する議論などとも密接に関連する部分があろうかとございますので、一括で状況の御報告をし、御議論いただきたいというものでございます。
以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
【無藤部会長】 ありがとうございました。
ただいま、事務局から教員の設置等の問題について御説明いただきました。この議題が本日のメインでありまして、時間として1時間ぐらい取りたいと思っていますので、皆様方から御質問だけではなくて、フリーに様々な意見を出していただきたいと思います。いずれもすぐ決めるということもあるのかもしれませんけれども、やや時間をかけなければならないものも入っておりますので、そういった様々な見通しの中で御発言をよろしくお願いいたします。どなたからでも結構ですので、名札を置いてください。
では、中西委員、どうぞ。
【中西委員】 質問です。資料3-2の真ん中から下の「免許外教科担任の縮小に向けた対応」の中の複数校での兼務とか、それから、一番下の遠隔授業といった視点とか、こういうものはどれくらい現状としてあるのかということは把握されているのですか。
【長谷教職員課教員免許企画室長】 定量的に現状として幾らあるかということを把握しているわけではございませんけれども、例えば、遠隔授業に関しましては、幾つかの例がございまして、この免許外教科担任制度の在り方に関する検討会議の報告を頂きましたのは、熊本県の高森町というところで、まさに美術の教科におきまして、免許を持った大規模校の教員が授業配信をして、免許外教科担任でやっている小規模校に授業を行うといったことがございました。ほかにも幾つか、県ではこういった取組が行われているところがあると承知しておりますが、定量的には承知をしていないところでございます。
それから、複数校兼務ですけれども、資料3-3、「免許制度に関する基礎資料」の8ページを御覧いただければと思います。こちらの中で、これも教育委員会に伺いまして、どれくらいの教育委員会でこういった取組が行われているのかということを示したものでございますけれども、2ポツの「免許外教科担任の解消に向けた取組等」の中で、教育委員会の取組の中でマル7でございますが、この当該免許を保有する教員の複数校併任が45%の教育委員会ではこういった取組が行われているという御回答を頂いております。
【無藤部会長】 よろしいですか。
【中西委員】 はい。
【無藤部会長】 私から質問ですけれども、遠隔教育の場合の行う条件のようなものが、現行の法令上あると思うのですが、そういうものはどうなっていましたか。
【長谷教職員課教員免許企画室長】 これは、高等学校と中学校とで要件が異なっておりまして、まず、高等学校、中学校両方でできる要件としまして、授業を受ける受信側の教室には当該教科の免許を持った方がいる。それで、それを授業を配信する送信側には、その場合には、受信側の教室に当該教科の免許を持った教員がいるのであれば、例えば、ゲストティーチャーのような形で授業を配信していただくということが当然可能になっております。これは中学校でも高校でも可能な仕組みになっておりまして、一方で、高校の方だけにできる仕組みといたしまして、受け手側、受信側の教室には、当該教科の免許ではないのですが、例えば、高等学校であれば高等学校の何等かの教科の免許を持った教員がサポートとして入っておりまして、送信側には当該教科の免許を持った教員が授業をするという形も可能になっております。
【無藤部会長】 ということです。
では、ほかに。
【本図委員】 「教員不足」についての調査につきまして教えていただきたいのです。この結果のところで学校の地理的な条件とか、規模といった、現在、自治体レベルでの情報ですけれども、学校レベルでどんなところが、という情報をお持ちでしょうか。と言いますのは、経験的に言いますと、沿岸部とか、どちらかというと過疎地域といったところで非常勤講師を探しにくいという感じは受けておりまして、学校レベルでの情報がございましたら、教えてください。
【長谷教職員課教員免許企画室長】 御指摘のとおりで、同じ自治体の中でも地域によって見つかりにくさがあるということは指摘を受けるところはございます。ただ、この調査の中では、あくまでも自治体単位の、全体の数字だけを聞いておりまして、御指摘のようなところについては把握ができてございません。
【本図委員】 はい。
【無藤部会長】 では、渡邊委員、吉田委員。
【渡邊委員】 私は採用する側の立場でもございますので、少し現状について参考までにお示しをさせていただきたいと思っております。
先ほど説明もございましたが、採用倍率につきましては、近年低くなっていることがございます。最近この10年間で見ますと、本市では、平成22年度は4.7倍という高い倍率で、その時点では応募者数も1,022名という、大変多くの方々が応募されておりましたが、昨年度29年が2.6倍、その前の年が2.3倍ということで、近年では初めてその辺り、3倍を切ってしまいまして、質の確保という面で危惧している点がございます。応募者数も多いときには1,000人を超えていたような時代がございまして、最近ではようやく700名を少し上回るような状態になって、本年は少し改善はしておりますけれども、以前に比べますと応募者数そのものが減少しているような状況を見ています。
免許外の教員については、先ほどもございましたように、技術ですとか情報の教員が免許外という形で申請を受けているものでございます。昨年29年度は1件、28年度は4件という状況がございました。
それから、産休・育休の取得状況は大変多くなっておりますのが気になっております。経年の変化で少し申し上げますと、平成26年度は産休が166名、育休が353名という数です。27年度は、産休が193名、育休が349名。28年度は、産休が182名、育休が383名。29年度は、産休が233名、育休が395名という数になっておりまして、本年度は7月末の段階で既に産休が144名、育休が289名ということで、恐らく前年度を上回る数になるだろうという見通しを持っております。この産休・育休の代替の教員でございますけれども、年度の当初におきましては、代替者確保は比較的できているような状況がございます。この場合には、通常、産休・育休の予定をあらかじめ確認しておりますので、産休・育休取得の前には任用手続を行いまして、産休・育休に入ると同時に任用しているような状況がございます。
ところが、10月、11月ぐらいになりますと、臨時の登録者がもう底をついてしまうような状況がございまして、代替者の確保が大変難しくなっているような状況がございます。昨年29年度では、10月以降は小学校が9人、中学校が3人、特別支援学校が3人というところで代替者の確保ができないような状況がございました。特に2月、3月に産・育休に入る職員の代替者を探すというのは大変難しい状況がございます。
これに代わりまして、どういう方々にそれを補っていただいているかということでございますけれども、実は60歳とか65歳の方々に大変御活躍をいただいている状況もございます。この人数を少し申し上げますと、26年度は60歳以上の非常勤講師が230名、65歳以上が70名。27年度は、60歳以上の非常勤講師が280名、65歳以上が111名。28年度は、60歳以上の非常勤講師が293名、65歳以上が127名。29年度は、60歳以上非常勤講師が321名、65歳以上が157名という数でございまして、今、御紹介しましたように年々60歳、65歳以上の方々に御活躍を頂いているような状況がございます。今年度も既に60歳以上の方に392名入っていただいておりまして、65歳以上は210名ということで過去を上回っている状況がございます。この数の中には、一部養護教諭ですとか、学校用職員、事務職員、用務職員も含んでおりますので、全部が教員ではございませんけれども、大多数は教員だと御理解いただいてよろしいかと思っております。
一方、臨時的任用教員につきましても、60歳以上については昨年度は35名という数でございまして、65歳以上も2人という数が見られておりますので、こういう方々に数はまだ60歳、65歳以上の臨時的任用教員は少ないですけれども、御活躍いただいている状況がございます。
今後、懸念しておりますのは、現在の旧免許状の所有者です。65歳で切れてしまうわけです。今、御紹介しましたように、65歳以上の方々にもかなり活躍をしていただいているわけですが、果たして来年度、再来年度は更新講習の受講期間という形になるだろうと思うのですが、65歳を超えて、更にそれ以上活躍されるという方、特に免許状更新講習を受講してまで、現在使える免許を保有するような方が今もいらっしゃるだろうかというところを非常に心配しているところでございます。ですので、この場合に、先ほど臨時免許状のような話もございましたけれども、あるいは更新講習を猶予するような措置が取れるとか、65歳以上の方々で一定の要件を満たす方には免許の更新講習を受講しなくても単年度に限って免許状を有効な状況を作れないかどうかとか、そのようなこともお考えいただくと、2年後、3年後の課題に対応していけるのではないかと考えているところでございます。
そのほか免許状の更新講習につきましては、様々な現場の混乱もございまして、旧免許状と新免許状の2つが存在しているということで、手続的に難しいというお話もございますが、ここで少し本題からそれてしまうところがございますので、お時間がありましたら御紹介させていただきますけれども、以上のところで現状についての御報告とさせていただきます。
以上でございます。
【無藤部会長】 ありがとうございました。
では、吉田委員、お願いします。
【吉田委員】 ありがとうございます。私、ここ数回欠席していたので、最初にお尋ねさせていただきたいのですけれども、この免許状保有者が総体的に少ない技術・家庭・情報等を含めて、教科外教科担任を増やそうという形での方向性ですが、今現在、これと特別免許状との関係はどうなっているのでしょうか。先ほどの3-3の資料で特別免許状の取得者は非常に少ないのですけれども、ここの部分はどうなっているのでしょうか。
【長谷教職員課教員免許企画室長】 今、特別免許状の教科ごとの保有者が手元にございませんけれども、記憶では特別免許状で多いのは英語がかなり多いですので、美術ですとか情報の方というのはそれほど多くなかったと記憶しております。
【吉田委員】 それは使えるのですよね。
【長谷教職員課教員免許企画室長】 はい。制度としては技術ですとか、情報の特別免許状を出すことも可能になっておるのですけれども、なかなかそこについては、利用は広がっていないところがございます。
【吉田委員】 そこでもう一つお尋ねしたいのは、今、これは中学校なり、高等学校なりの教科外免許という感覚なのかもしれませんけれども、現実に今、小学校で英語という教科が誕生して、小学校の英語の授業をやるという場合に、中高の教員免許と並行して小学校の教員免許を持っていれば小学校で教えられるわけですが、それが実際に教えられない形になっている。特にこの特免という制度で、私が1つ納得できないのは、まず、中高の教員免許を持っている人は、教員は先ほどの3-2の資料でもあるように、ほかの研修等で単位を増やして取得すれば取れるのだから、それでやれと言われるようですけれども、現実に、教職員にそこまでの時間があるのかどうか。それから、小学校の働き方改革の中で小学校の先生方の時間の厳しさとか、そういうことを考えたときに、中高の教員免許状を持っている人が、小学校特免で、英語なら英語、それでこのSociety5.0でも完全に高学年の専科制の先生云々と出ていますよね。そうすると、本来、特別免許状というのであれば、実際に一番、教科指導をして直接携わっている人が、そういう縦割りというのか、横割りというのか分かりませんけれども、それによって指導ができない方が、私はかえって大変にしてしまうのではないかなと。今、渡邊委員のお話でもありましたように、10年の免許更新制度が1つ、大きな弊害になっている例というのはたくさんあります。これももともとの当初の教員免許状更新の目的と今の目的とで違ってしまったわけですけれども、現実に例えば、産休とか育休が突然出た場合に、うちなんかでも私立学校として、前、教員で務めていた先生に急遽、3か月でいいから戻ってくれないかなと言って戻ってもらおうとしても、結局10年経過してしまっているために、更新講習を受けていないから失効しちゃっている形になってしまう。そうすると、それが使えない。でも、その人たちは教師としてはすばらしい力を持っている。そういう意味で、この特別免許状なり、何なり、臨免とまではいかないにしても、私は本来免許状を持っている人にそういう自由を与えられるような形を取ってほしいし、教員だから特別免許状は出せないという論理は、本来おかしくないのでしょうかということをもう一回お尋ねしたいのです。
【長谷教職員課教員免許企画室長】 ありがとうございます。まさに特別免許状の活用をもっと進めていきたいというのは我々も非常に考えておりまして、例えば、そのためのガイドラインの策定などをしておったのですけれども、そのおかげもありまして過去2年間ぐらいは授与件数が増えてきておりましたが、また更に、もう少しこれを増やして使い勝手のよい制度にしていくためにどうしないといけないかということにつきまして、今、御指摘いただいたことも含めまして我々ももう一度考えていきたいと思っております。
それから、御指摘がありましたように、小学校の英語の指導をどうしていくかということが、今、非常に大きな課題になっておりまして、1つは御指摘がありましたように、中学校の英語の免許を持っている方に専科指導で入っていただくということは1つの大きな力になるだろうと思っておりますし、あとは小学校の先生方がお忙しい中に中学校の英語の免許状を取るための認定講習を受けておられたりするといったこともございますので、そういった形での先生方の研修といいますか、学習といいますか、それをもっと後押しできるようなことを我々もやっていきたいと思っております。
【吉田委員】 本当にそう思うのですけれども、例えば、この現職教員の他教科の免許状取得の促進とか、自分たちが何教科も教員免許状を取るということを進めるということはあるのですけれども、実際に日本はそれによって評価されないのですよね、今までが。今、現実に、うちの卒業生もそうですけれども、教員の希望者が減ってきています。昔は我々私学ですと、今、採用面接をするときに、女子の場合、九分九厘、男性でも8割ぐらいそうですけれども、自分たちが小中高と経験した中で、お世話になった担任の先生とか、部活の先生とか、顧問の教科の先生にあこがれて、自分もそういう人になりたいと教員を目指している方がほとんどで、今はそれを望んでも、先生になったら大変だという部分の方が前面に出てしまうわけです。その先生の大変さというものをなくしてあげる。今回の働き方改革も絡んでくるのかもしれませんが、もう少しアピールの仕方を変えていかないと、きょうはSociety5.0のことが資料3-4の4ページに、先ほどリーディング・プロジェクトの2番として、ここで下の方に出ているのですけれども、教員倍率が低迷しているとか、そういうことを踏まえて、もっと広報して教員にしなければいけないということも書いてあります。ここで私はもう一つ大事なことがあると思っていますのは、このSociety5.0が今、非常に大きな声で叫ばれていますけれども、ちょうど教育課程が変わるところなのです。教育課程の変わり目に、ここではかなり数学的思考とか、文理統合みたいなことが言われています。今回の教育課程の改革でも、実際に合教科とか何とかと最初スタートしましたけれども、実質的にはほとんどできていない。今までどおりの形になっています。ICTもしっかりと整理されているとは言い切れません。そういう中で、また政府がこうやって、この新学習指導要領の確実な習得というところの欄を見ても、お金のかかることばかりですけれども、これを全部お金を保証した上で、こういう案を出していただけているのか。今、現実に新しい教育と言っていますけれども、教育再生実行会議ができてから、結局、アドバルーンだけ上がっていますが、お金がついてこないで、文科省自体も本当に今、苦労なさっていると私は思うのです。そういう意味で、是非こういうことをやるのだったら、全部の絡み合わせ、教育課程もあるし、教員の働き方もあるし、そして、何といっても、そのためには人が必要。その人を増やすためには予算が必要。新しいツールを使うためには予算が必要。その部分をもう少し、是非この会議でも打ち出していただけたらいいなと願っておりますので、よろしくお願いします。
【無藤部会長】 ありがとうございました。
それでは、坂越副部会長。
【坂越副部会長】 複数免許について少し伺わせてください。原則論に戻ってしまうようなことで申し訳ないのですけれども、実際の教員確保の対応として、複数免許ですとか、例えば、数学、情報みたいな形の関連するような複数教科、あるいは、一種免と二種免の組み合わせといった、工夫の余地は大分あろうかとは思います。その方向としてそうだろうなと思いつつ、一方で、原則論ですけれども、これまで教職課程というのは、かなりそれを実質化、充実していこうという方向で取り組んできたと認識しています。ただ単位を積み上げるだけではなくして、中身的にもそれを教えられる専門性を深めていこうという形で、教職課程を改善してきたと思うのです。そのあたりの教職課程の実質化と柔軟化との関係性というのは、今の協力者会議の検討の中で話題になったのかどうなのか。もしあれば、伺わせてください。
【長谷教職員課教員免許企画室長】 ありがとうございます。この検討会議の中でも、複数の教科、複数の講師を教えられる先生方というのは、非常に教育委員会の方にとっても、あり難いと言いますか、そういう指導力を持った先生方というのは重宝される。もちろん、そういった複数の免許を持った方というのが、それぞれの指導力が欠けては意味ないですので、それをあわせて養成課程あるいは認定講習の中での教育の実質化といったことも必要であるという御意見も出ておりました。ですので、その両方を満たしながら、どういった形で複数免許の取得を促進していけるのかと、そこはなかなか難しい課題であると思いますので、是非こちらの養成部会の方でも具体的な論点として今後も御議論いただければと思います。
【無藤部会長】 ありがとうございます。
では、平本委員。
【平本委員】 今、各委員の皆様から様々な視点から御意見を頂き、学校現場の立場で同じ現状認識を感じることが多いです。私は、現在、学校におりますけれども、長い間教育委員会にもおりましたので、両方を視野に入れながら発言させていただきたいと思います。
まず、技術・家庭科の関係についてお話ししますけれども、正直なところ、非常に危機感を持っております。不足数を何とか整えようと思っても、簡単にこの課題が乗り越えられる状況ではありません。正直なところ、技術科の採用応募者数は非常に厳しいです。応募してきても、実際の受験数は更に減るという状況で、需要に対して供給が全く追いついていないというのが、現実の状況です。したがって、この課題を改善するためには、今、他の委員の方からのお話がございましたとおり、複数の免許取得は1つの手立てだろうと思います。一方において、免許を取るための工夫だけでは追いつかないと思います。実際には、免許を取得しても、民間の方に魅力を感じて進路を選択してしまう人が非常に多いということも視野に入れておかないといけないのではないかと思っています。言い換えますと、学校現場の実態に対して、制度が追いついていないというのが現実の状況ではないかなと思っています。
ですから、教員の不足ということを改善していくためには、学校現場の状況をもう一度しっかりと踏まえた、根本的な取組を総合的にやっていかないと、部分修正だけでは大きな改善策にはなかなか結び付かないのではないかという危機感を強く感じております。
それでは、具体的に教員になることに魅力を感じられない幾つかの例をお話ししますけれども、現在、教員の多忙化が大きな課題となっていますが、1人の担任だけでとても子供の課題に対応し切れない状況があります。したがって、児童・生徒指導に関する専門家もこれから今まで以上に必要になってくるだろうと感じております。都市によっては、外国からたくさんの子供たちが入ってきておりますが、担任が、1人の日本語が分からない子供の指導を支援し切れるかというと、それも難しい状況が現実にあります。何といっても、特別な支援を必要としている子供が増えておりますので、その対応に非常に苦慮しているということがございます。例えば、個別支援学級、生徒8人に対して教員1人の配置が基準になっておりますけれども、とても1人の教員では対応し切れない、重い課題を抱えた子供たちも学校の中におります。このような課題をトータルで見て、これまで以上に具体的に考えていくということが必要ではないか。言い換えると、学校現場にどんなに課題があっても、魅力を感じてそこに向かってチャレンジしてきてもらえるような環境をきちんと整えていくことが、遠回りなようですけれども、結果的には非常に重要ではないかと感じているところです。その点をこういう場で議論し、少しでも早く、時間がたつと状況が変化していってしまうので、是非迅速な対応を望みたいと思います。それには、昨年度末までに育成協議会が各都道府県で設置されたと思いますけれども、大いにこのような組織を積極的に活用しながら、課題の解決に結び付けていくことが必要と感じているところです。
以上です。
【無藤部会長】 ありがとうございます。
では、岸田委員、お願いします。
【岸田委員】 ありがとうございます。この免許外教科担任制度はとりわけ、今、お話があったように、技術・家庭の問題は、私も大変危機感を持っております。この資料3-2の、今、協力者会議で議論している、ここで書かれている中身はまさにそのとおりなのですけれども、例えば、複数免許を取るとか、あるいは複数校での兼務を促進するといった一定の努力で解決する問題も一方でありながら、小規模校での教員配置のようになかなか努力では難しい部分もあるので、そこらは整理をしながら考えていく必要があるのではないかと思います。とりわけ技術・家庭の課題だと思っているのは、小規模校への配置については、美術とか音楽も環境的には同じなのです。ところが、美術とか音楽は、その教科の免許を持っている非常勤講師が入っているケースが技術・家庭に比べて多いのです。それはなぜかというと、恐らく美術とか音楽の場合には専門性が必要なのだろうという意識があって、技術・家庭については、本来は専門性が極めて大事なのだけれども、専門性に対して安易に捉えている意識がどこかにあるような思いがしてしようがないのです。ですから、技術・家庭も高い専門性が必要なのですよということをもう少し全体的な意識として持たせる必要があるのではないかということが1点です。
それから、もう一つは、教員不足の問題ですけれども、先ほど渡邊委員がおっしゃった、65歳の免許更新制度の弾力化は私も同じことを思っていまして、これは65歳だけではなくて、もっと若い人たちもそうなのですが、教職の免許更新制が始まったときに、免許を持っている人の絶対数が多いということで、この制度を順調に滑り出させる必要から現役の先生以外は受講させないということでスタートしたのです。今、10年以上たって、ほぼ安定した形で制度が運用されつつある中で、この非常勤講師になってほしい人たちが、この免許更新講習がネックになって、なかなか教壇に立てないということが起こらないように、この免許更新講習制度と、この教員不足、とりわけ年度途中で非常勤講師になってもらいたい人たちがスムーズに非常勤講師として教壇に立てるように、そうして点での免許更新講習制度の弾力的な扱いについて、そろそろ当初の現職教員だけというだけではなくて、少し考えていかないといけない時期にきているのではないかということを思っているところです。
以上、2点です。
【無藤部会長】 ありがとうございました。
では、松木委員、お願いします。
【松木委員】 私の住んでいる地方の県では、県庁所在地を除いて全ての市町村で義務教育段階の学校の統廃合が進んでいます。統廃合できるところはいいのですが、当然、統廃合にも限界がありまして、小規模な学校、特に中学校等がどうしても出てきてしまいますので、そんなときに今の技術の問題もそうなのですが、複数校を担当するということが、当然、措置として出てくるわけで、余り機能しないなと思っています。それは、遠隔地の学校を行ったり来たりしなければいけないわけですから、学校に滞在する時間がどうしても短くなる。義務教育段階の学校の教師は、授業をしていればいいわけではなくて、生徒指導のことやら、あるいは特別活動など、様々な教師としての総体の仕事をしなければいけない。それを複数校担当するということになると、なかなかできない状態が起きてくる。実際のところ、複数校担当するという措置では、当然、もう限界がきているかなという気がいたします。
では、どんな方法があるかというと、ICT等を使っての遠隔地教育といったものがもう一つの柱になってくるのだろうなと思うのですが、実際、遠隔地の授業を参観してみると、はっきり言っておもしろくない。本当にリアリティがないというか、おもしろくないなと思うのです。そのときに配信する側の教員も、単に授業の専門性ということだけではなくて、学び方そのものの在り方が大きく変わってくる中で、ICTを活用しながら、学び方の在り方そのものを見直すような資質や能力が求められてきているのではないかなと思います。
一方、受信側が教科の免許を持っているのは、確かにゲストティーチャーとして機能するわけですが、小さな学校でそうやって免許を持っているということになれば、今回の内容の解決にはならないということになりますよね。その受け手の方にも大きな課題があって、配信された授業を見ながら、それをその地域の問題あるいは課題に置き換えて考え直したり、目の前の子供の興味や関心に置き換えて、もう一度一緒になって論議するような、学びの専門としての、教えの専門というよりも子供と一緒に、配信される授業を活用しながら学びを深めていくような教師の資質や能力が問われてきているようにも思います。今回の指導要領の改訂が進めば、当然ですがカリキュラムマネジメントやらクロスカリキュラムといったことも念頭にしながら授業をしなければいけない。そうすると、評価の単位を、評価のフレームを超えたところの知識やら資質、能力といったことも求められてくるようにも思います。全体的に見たときに、これまであるような教員免許のフレームから、新たな学び方の在り方も含めて、もう一度そのフレームを、時間のかかることですので、すぐに結論が出る話ではないと思うのですが、検討していくことをし始めなければいけないのではないか。そのように思うところでもあります。
以上です。
【無藤部会長】 ありがとうございました。
では、若江委員、お願いします。
【若江委員】 私は、産業界の立場から教育を支援するという動きをサポートしている流れで、発表させていただきたいと思います。今、松木委員からお話しいただいたようなところと関連してくるのですけれども、企業は今、世界的な潮流としてESG投資という、要するに、社会の課題に対してきちんと取り組んでいかないと、企業の存続自体がないということです。その中の大きな課題として、皆さん御承知のようにSDGsで17の課題の中の4番目に教育が挙げられていて、それは企業から見ると、自分たちの未来を支える人材育成としての教育という視点もあるのです。それに対して、これまでも企業はいろいろと学校教育を支援して、特に今日話題になっている技術・家庭・情報の部分は、まさにSociety5.0もあるように、社会と密接につながっていますので、最近県の家庭科教育部会や研究会ですとかに企業さんに出向いていただいて、家庭科で学んでいることと社会がどうつながっているかを実感できる授業の共同開発などの連携・協力はここのところ随分実施されています。今後、さらには教科書を超えたよりリアルな教材作りみたいなところを企業がサポートして、教材研究や教材開発などの先生方の負担をできるだけ軽減することにも貢献できそうです。それがうまく機能すれば、今日話されているように主免許ではない方が、技術・家庭・情報を教えられるときのサポートのひとつになるのかと思います。
今はどちらかというと、企業さんは出張授業等で教育現場を支援しているのですが、今日の話をお聞きしていると、これからは企業の教育支援としては、ネット配信型のクオリティの高い教材を、現場の先生方と一緒になって作り、それが現場でうまく使いやすいものを支援していくという方向に、私たちが企業に向けていろいろ情報を提供していかなければいけないなと思ったのが一つです。
それともう一つは、先ほど平本委員からもお話がありましたように、企業の社会貢献で出張授業などに行っていただいている方々にお聞きすると、「教員免許を持っています」という人は意外にいらっしゃるのです。でも、それこそ宝の持ち腐れでもしかしたら、いざ活用しようとしたときには、10年更新などもしていなくて使えないということがあるに違いありません。産業界に更なる連携を求めることはたくさんできそうですがいろいろ課題がありそうなので、その一つ一つについて、もう少し具体的に進めたり、情報提供・交換をしていかなければいけないと思います。それとあと特別免許についてですが、過去に私たち産業界から随分働きかけを都道府県教育委員会にしたのですけれども、そのときには、工業とか、商業とかの特別な技術を持っている、例えば旋盤技術とか、すごく特別な分野以外は特別免許は出さない、出せないと言われました。都道府県も、一旦特別免許を出すと、ずっと教員としての資格を与えてしまうので、よっぽどでなければ出せないということもお聞きしました。状況が変わっているということもありますので、特別免許の在り方だとか、免許を持っている人とゲストティーチャーの関係性ですとか、遠隔授業の在り方などを一度もう少しクリアに提示していただければ、産業界からもう少し動けることもあるかなという気がいたしました。
以上です。
【無藤部会長】 ありがとうございます。
では、松川委員、お願いします。
【松川委員】 もう既に多くの委員の方がおっしゃいましたけれども、本県でも、教員採用試験の倍率が非常に下がっていて、教職の魅力が薄れていることに、特に地方では危機感を持っております。今、全体的に人口減少、人手不足、東京一極集中ということで、私は岐阜ですけれども、岐阜から愛知へ流れ、愛知は東京へというように、どんどん人が都会の方に集中していくことが増えている。そういう中で教職の魅力というのは、非常に下がっていると言わざるを得ないと思います。ここのところ小学校の教員採用倍率はずっと2倍台ですので、一次試験、二次試験とやる意味が事実上余りないのではないかというぐらいになってきております。
私は今、教員養成課程も持っている私学に行きましたが、実際、教職の魅力がどう薄れているかというと、3Kと言うと語弊がありますけれども、いじめだとか熱中症だとか、危機管理上のリスクが非常にある職種だというイメージがあります。昔でしたら女子学生は幼稚園教諭だとか小学校の先生になりたいと言っていたのですが、そうでもなくて、地元の国立大学も教員養成課程がありますが、そこのトップ層は教員になっていないのです。ほかの職種へ就いていってしまうことがあります。私は去年まで県教育委員会におりまして、県庁の中にも教育学部出身で教員免許を持っている県職員は結構いるのですが、なぜか教員にはならなくて、相対的に教職の魅力が薄れていると感じました。
一方で塾が栄えていると言うと語弊がありますけれども、教科を教えることに特化するのだったら、塾で教えた方がいろいろなリスクがないと考える人たちも増えてきているというのは、由々しき問題だと思います。
このSociety5.0の4ページに書いてありますけれども、公教育の役割は非常に重要なのに、優秀な人材が教育職に集まってこないようになりつつあるというのは、制度的に問題があるので、多くの方がおっしゃっているように待遇改善を考えないといけないと思うのです。数年前に高校でも民間企業の方を理数系の科目に採用することをやりましたけれども、待遇が悪いので来ないです。教員になったら民間企業で働くよりもお給料が下がることは目に見えているのに、来る人はないわけです。小学校は特に大変で、この4ページにも書いてありますが、全科担任制もいいかもしれませんけれども、私は高学年における専科制というか、教科担任制は導入すべきだと思います。そうできるための人員を確保するようにもっていかないと、今、働き方改革が進行していまして、中学校は部活動などに外部指導者が来たりして改善が見られるような雰囲気を醸し出しておりますけれども、小学校においては朝から帰りまで休み時間もないというような職種になかなか来てくれる人はこれからないのではないかと思っております。そういう意味では、免許制度の在り方を複数の校種だとか、複数免許ということに留まらず、もう少し抜本的に変える必要があると思いますし、それから、これも前にやった議論だと思うのですけれども、今、保護者の方の学歴が大変高くなっている中で、一種免のベースが学士というのでは、もたないのではないかと。義務教育段階でも専修免を持っていただくように、それに伴って待遇を上げていただくことを、私は中期的にでも考えていただく必要があるのではないかと思っております。
【無藤部会長】 ありがとうございます。
【本図委員】 2回目なので手短に話します。教職の魅力については教員養成課程におりますので、大学としても大変なところだけではなく、教職の創造性とか、楽しさをささやかながら努力して学生たちに伝えていきたいなと思っております。魅力をどうしていくか、そういう本質的なところは今まで御議論があったとおりのところだと思うのですけれども、もう一つ、労働環境的には、先ほど学校の状況はと御質問しました我意は、統廃合が進んでいて、学校も過疎地の中にあれば、子供たちの通学区域も広がっておりまして、何か問題があったり、不登校があったら、大変広大な通学区域の中の子供たちのところに先生方は駆けつけなければいけない。そういう昔とかなり違った状況がございまして、待遇といいますか、労働の点では僻地手当とか、寒冷地手当とか、そういうものに代わる、かなり遠距離から通学して、それでまた遠距離から通ってくる子供たちもフォローしなければいけない。そういう点での手当とか、優遇措置も検討が必要な時期になってきているのではないかと思います。
【無藤部会長】 ありがとうございました。
では、安部委員。
【安部委員】 ありがとうございます。先ほどからいろいろな先生方がおっしゃっているのですけれども、本当に若い人たち特に、大学生等にとっても教員の仕事の魅力の低下が著しいと、私も思います。それを改善するためには率直に言って、教員を増やす必要があるのではと思います。今の少子化の中では教員をそんなに増やしてはいけないというところもあって、それが学生たちの中に少子化だから教員はもういらないのではないかという感覚に繋がると思います。今は働き方改革等で教員の仕事は軽減の方向にあり、その促進のためにも、教員を増やしていく必要があるのですけれども、増やすべき教員について申し上げたいと思います。技術や情報の教員のなり手が少ないということ、これは本当に大変なことだと思うのです。このSociety5.0のページの中にも、教育は文理分断からの脱却というのがありますけれども、学びの在り方が幼稚園段階から変わってくるという中で、文理分断を避けなければいけない。文理分断の脱却というのは、よく言われるのは大学の入試段階で文系・理系を分けないとか、大学の学部の文理を統合するという論議はよくあるのですけれども、そのためには初等中等段階から学び方を変えていかなければいけないと思うのです。その学び方の今後、中核となるのがAI時代への対応。グローバル化の中で英語は小学校から導入されましたけれども、今後はAI時代への対応ということで、技術とか情報の教員に担っていただかなければいけないプログラミング学習などが、小学校、幼稚園段階から始まると思います。従来とは違った学び方をするような教科が当然出てくると思うのです。そういう対応をする、新しい分野の教員の確保というのは、養成課程を増やしていくこととか、あるいはその分野の教員をなるべくたくさん確保するための対応が非常に重要なことになってくると思います。
そして、少子化の中ですから、先ほどから言われているように、複数校での教科担任、1つの学校で担当する時間数が少なければ複数校での勤務を可能にするとか、あるいは、複数の教科をもった先生方に学校の中核となっていただけるよう、複数免許の取得を奨励するような環境整備を早急にやらなければ、初等教育、中等教育の本当の改革はできないのではないかなと、若い人の教員を志望することに対するネガティブな感覚等を見ておりますと、そういうことを日頃感じる次第でございます。
以上です。
【無藤部会長】 ありがとうございます。
では、北神委員、お願いします。
【北神委員】 幾つかお話をという形で指摘をしたいと思います。
まず、「教員不足」とか、免許外教科担任の問題で考えると、免許状の発行枚数、発行件数から考えれば、物理的には発生しない。数的には、ですよね。なぜ発生するかというと、エリア別、地域別の課題がそこにリンクしてくるはずだと。そうすると、どういうエリアで免許外教科担任が発生し、そこでは免許状保有者が圧倒的に不足しているということは、要するに養成の問題だと。そうすると、そのエリア別、地域別の中での計画養成みたいなものにどこまで踏み込むのかどうかと。中長期的な展望の中で見通しを持った形でやらざるを得ないのではないかと。全国的に考えれば、きょう頂いている資料の3-3の4ページに、免許状の授与件数が載っておりますので、これを見る限りにおいては、そういう問題は発生しないのだけれど、そこへの手当をどうするかということで考えると、当面の問題として考えれば、その採用の部分で手を打たざるを得ない。その採用の部分で考えれば、特別選抜制度みたいな形を積極的に導入していく形で当面切り抜けるという現実的な対応策をやっていかない限りは、なかなか免許外教科担任の問題とも教員不足の問題も解消できないのではないか。計画養成には一定の時間がかかってしまうという部分があるので、それは中長期的に検討していく必要性があるだろうと。
それともう一つ、教員定数の配置基準そのものもどこかで見直しをかけていくことをしないと、学級数という形の中の教育の定数配置という形ではもう対応できないのではないか。何か違う考え方を、例えば、小規模学校への特別配置みたいな形の部分は積極的に予算措置をしていくみたいなことも、政策レベルでは考えていく必要性があるのではないか。統廃合だけでは問題は解決しない。そのエリアにどうしても小規模学校を残しておかない限りは、その地域自体が衰退してしまうという部分のことを考えれば、そういうことも何らかの特例措置的な対応として考えるべきではないか。
あとは突拍子もない話かもしれませんけれども、教科の再編みたいな部分は、ここの議論ではないと思うのですが、特定教科にこういう形の免許外教科の発生数が出てくるということは、1つは授業時数の問題がありますよね。授業時数がどうしても少ない教科になかなかその教員のなり手がない。では、将来的にこの教科をずっと維持していくのか。それとも先ほどの文理統合ではありませんけれども、教科の再編みたいな部分の、長期的な展望の中で、教員免許の総合化みたいな部分まで踏み込むのかどうか。一度、中教審の中でもそういう議論をした経緯があったと思うのですが、そういうところも長期的な展望の中では検討する必要性があるのかなということを、こういう実態を見たときに感じているところです。
以上です。
【無藤部会長】 ありがとうございます。
では、平本委員。
【平本委員】 たびたび申し訳ないのですけれども、いろいろ今、御意見を頂いて感じているのは、すぐできるものと、時間のかかるものと両方あったと思うのです。ただ、現状は、先ほどもお話ししましたけれども、危機感を感じるぐらい厳しい状況があります。それには、迅速な対応が必要だろうと考えています。具体的にはどうするのかということですけれども、教育現場に入ることに非常に強い不安感を持っている学生が多いというのは、これまでにもお話に出たとおりだと思います。教育実習に本校にも毎年参りますけれども、教育実習を受けることによって逆に不安を募らせてしまう学生もいるのです。これが現実なのです。これまでですと、教育実習をすると、非常に夢を持って教育を目指すという学生さんが多かったのですけれども、その逆の現象も今、出てきているというのが実際です。それを考えたときに1つ柔軟に対応できるかどうか、御検討いただきたいのは、その学校の状況を改善していくための加配措置です。先ほど、応募者が少ないという話と矛盾するようかもしれませんが、具体的なすぐできる手立てとして、予算がかかることですし、そんなに簡単なことでないということは十分に予測できますけれども、人の問題が非常に大きいだろうと考えております。今、お話にあった定数の問題も、もちろん見直しは必要だろうと考えておりますが、学校の状況によった加配を柔軟に対応できるような、何かそういう具体的な取組が欲しいと、学校現場の立場では感じているところです。「教育は未来の投資」と、よく言葉では言いますけれども、まさに今ここでしっかりとした手立てを取らないと、この先がますます大変になるのではないかという危惧を感じております。
以上です。
【無藤部会長】 ありがとうございました。ひととおりお話、御意見を出していただいていますが、ほかにありますか。よろしいでしょうか。
では、ひととおり御意見を頂戴いたしましたので、事務局におかれましては、本日様々に頂いた御意見などを踏まえて、更に論点を整理していただきまして、また次回以降、どこかで審議を行うことを進めたいと思います。
それでは、残り、議事の4でございます。「今後の高等教育の将来像の提示に向けた中間まとめ」について、事務局から御説明をお願いいたします。
【石橋高等教育企画課高等教育政策室長】 高等教育政策室長をしております石橋と申します。よろしくお願いいたします。
資料4-1と4-2をお配りさせていただいておりますが、資料4-1は概要、資料4-2は中間まとめの本体になります。資料4-1の概要に基づいて御説明をさせていただきます。
中央教育審議会大学分科会の将来構想部会におきましては、昨年来、大臣からの諮問を受けまして、「今後の高等教育の将来像の提示に向けたまとめ」に向けて、秋の答申に向けた審議を進めてきているところでございます。その中で、教員養成部会にも関わってきます大学の在り方等にもリンクしていますために、御報告の時間をいただいております。
中間まとめの概要でございますが、前段の部分、黄色になっているところが、この将来像の提示に向けてターゲットイヤーとしております2040年の社会の姿、高等教育の課題と方向性を整理している部分でございます。
それから、後段の部分、緑色、青色、赤色とありますが、これらが具体的な今後の方向性を示したところでございます。
まず、2040年の社会の姿でございますけれども、きょうも御議論が出ておりましたSociety5.0、第4次産業革命のような時代の変化。それから、人生100年時代、グローバル化、地方創生といった社会の変化が予測されているところでございます。2040年というのは22年先、今年生まれた子供たちが大学を卒業するぐらいの感覚でございますが、この間、このような変化が起こってくることを高等教育でも見据えた上で対応していかなければならないだろうということでございます。
その上で、高等教育の課題と方向性の部分でございますが、学習指導要領が改訂されたことも受けまして、何を学び、身に付けることができるのかということを中軸に据えた学修者本位の高等教育の転換が必要であるということで、高等教育における学びの再構築のところで整理をさせていただいております。
その下でございますけれども、今も議論になっておりました文系・理系の区別にとらわれない、新しいリテラシーにも対応した教育も必要だろうと考えております。
高等教育におきましては、新たな役割として人生100年時代に対応したリカレント教育、海外展開や留学生の受け入れ、それから、地方創生、地域を支える人材の育成も必要であろうと考えております。
その際、高等教育は社会からの関与や理解と支援をきちんと好循環で得ていく必要があります。高等教育機関自らが強み・特色を社会にきちんと発信していくことが、よりよい支援や好循環を得ていくために必要ではないかと考えております。
また、18歳人口減が見込まれておりますので、できる限り多くの学生さんが学び、一旦社会に出た後も学びを継続していただくことが必要と考えております。国公私全体で支える高等教育がより重要になってくるだろうと整理をしております。
緑色の部分からが方向性になりますが、「社会の変化に対応できる人材とその成長の場となる高等教育」ということで、学修者が自ら学んで身に付けたことを説明できる体系的なカリキュラムの編成や、質保証、情報公表が大事でございます。学修成果の可視化や質保証システムの全体の見直しを、今後更に議論していくこととなっております。
赤色の部分でございますが、「高等教育機関の教育研究体制」ということで、多様性をキーワードに整理をさせていただいております。自前主義から脱却して、多様な人的資源を活用していくこと、それから、18歳で入学するという従来モデルからの脱却をして、多様な年齢層の多様なニーズを持った学生への教育体制の整備が必要であろうと考えております。
多様性がキーワードと申し上げましたが、それを5つに整理をしております。多様な教員、多様な学生、多様で質の高い教育プログラム、多様性を受けとめるガバナンス、そして、大学の多様な強みの強化を整理させていただいております。
ガバナンスは、今後特に必要となってくる強みを生かした上での連携・統合ということを考えております。2つ目の点のところでございますが、国立大学における一法人複数大学制度の導入や国公私の枠を超えた連携を可能とする「大学等連携推進法人」という緩やかな連携の仕組みの創設も必要ではないかと考えております。
青色の部分でございますが、規模の話をさせていただきますと、本格的な人口減少が始まってまいります。18歳人口が120万人から2040年には88万人に減少すると言われております。中央教育審議会の将来構想部会におきましては、推計を行いまして、2040年の大学進学者数は、約51万人、現在の約80%の規模に減少するということでございます。こういう状況を踏まえて、リカレント教育、社会人学生の方や留学生の方も受け入れていくことになります。単なる縮小ということにはなりませんけれども、こういうことを考えた上で、一人一人を大切にする学びへの転換が更に重要になってくると考えております。
高等教育の規模や地域配置ということは、これまでであれば、例えば、国が高等教育計画を作ってきたような時代もございます。けれども、国も将来像を考えますが、地域と一緒になって将来像を考えていかなければならないのではないかと考えております。各都道府県別に大学の配置状況や入学者減の推計なども含んだデータを出させていただいて公表もさせていただいているところでございます。このような客観的なデータも踏まえまして、各自治体、産業界を巻き込んで、地域の国公私立大学が地域連携プラットフォームなどを構築して、将来像の議論や連携・交流の企画をやっている恒常的な体制が必要ではないかと考えております。
これがもう少し進みますと、大学等連携推進法人制度を活用しまして、国公私が緩やかな連携をしていく中で、地域の高等教育をきちんと支えていく必要があるのではないかと考えております。
内容については、以上となります。これらの議論はまだ中間的なまとめでございまして、秋頃の答申に向けまして、精力的に御議論を行っていただくことになっております。特に質保証のシステム、規模も含めた地域配置の議論、それから、大学院教育については、更に深い議論をしていただくことを予定しております。
御報告は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【無藤部会長】 ありがとうございました。
ただいまの御説明について質問をお受けしたいと思いますが、いかがでしょうか。
【長谷教職員課教員免許企画室長】 済みません、事務局から補足と言いますか、今回、御報告をさせていただいた背景も少しお話をしておきたいと思います。ただいま、将来構想部会の中間まとめについて御報告をさせていただきましたが、大学全体を取り巻くマクロの状況の観点から、大学間の連携・協力というのは具体的な話までございました。教員養成の関係では、既に昨年の12月ですが、こちらの教員養成部会の中でも、国立の教員養成大学・学部に関しまして、国立教員養成大学学部・大学院・附属学校の改革に関する有識者会議の報告で、教員養成の機能の強化と効率化について提言が行われてございました。
それから、先ほどの免許外教科担任制度の在り方に関する検討会議の検討状況の中でもお話をさせていただきましたが、情報ですとか、技術ですとか、あるいは家庭科のように採用数は少ないけれども、学校教育の施行規則ですとか、指導要領の中で共通的に学習すべきとされている教科については、一定の地域的なまとまりの中で教員養成研修機能をある程度維持していくことが必要だということを言われてございます。
こうした大学を取り巻く全体的な、あるいは教員数を取り巻く全体的な環境の中で、この教職課程の在り方についても、考えていることが必要な論点があるのではないかという観点で、今回、御報告をさせていただいた次第でございます。
以上でございます。
【無藤部会長】 ありがとうございます。ということを受けて、御質問などはいかがでしょうか。
秋田委員、どうぞ。
【秋田委員】 ありがとうございます。先ほどの2040年の社会の姿という議論がございましたが、今後の高等教育の中で、多様な教員であったり、その多様な価値観、ダイバーシティということは非常に重要になると思っています。
ただし、一方で、高等教育の議論になると抜け落ちるのが、今も小中高は教員がカギだと言っているのですが、免許を持たないで教壇に立っている大学教員の質については、みんな委員が関わっているからか、きちんと議論されていません。学び方を学ぶ大学の授業はどうあったらいいのかということを、きちんと議論することなく、例えば、カリキュラムとか、高大接続とかは議論されますが、一番重要な高等教育の教員の質について、議論がなされていないということは、問題であろうと私は思っています。多様な人が入れば入るほど、その基礎となるベーシックなファカルティ・ディベロップメントであったりが必要です。私の本務校でも、例えば、今後、若手の大学教員になる人のための知のプロフェッショナルとしての、要するに大学教員になっていく人のためのトレーニングをしたりし始めています。教員養成の教壇で教える先生、大学教員をどのように育てていくのかという視点が、高等教育においても必要なのではないかと思います。ここに書かれている図柄は美しいのですが、結局、引き受けて一番最前線でやる大学の教員が、大学の自治という名前の下に好きなことだけや特定のところだけを主に議論してしまうのでは、問題は大きいのではないかと考えます。高等教育の教員が引き受けるべき役割は何かということを、今後明確にすべきではないかと、自分の首を絞めるようでありますが、思いましたので、お話しさせていただきました。
【無藤部会長】 ありがとうございます。
余計な注釈的な話ですけれども、教員養成課程については、ここでコアカリキュラムという形で、全部ではありませんが、一部に導入して、再課程申請でも当然、教員審査があるわけで、幼稚園教諭から小中高の免許を担う人たちについてはありますね。それで、その教職課程が十分かというのは、以前の教職課程の在り方、質を改善する方向でいろいろな提言がありますけれども、まだ一部しか実施されておりませんので、そのことが少なくともこの部会での仕事ではあるし、もう少し広く秋田委員の御意見があったかと理解しました。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。どうぞ。
【渡邊委員】 先ほど説明いただきました資料の、「2040年に向けた高等教育の課題と方向性」の左側、上から3番目にあります、「社会に開かれた教育課程」という理念の初等中等教育からの接続を意識した、高等教育における「学び」の再構築というお話がございましたが、もう少し具体的に、どのようなものを目指そうとされているのか教えていただければあり難いのですが、いかがでしょうか。
【無藤部会長】 お願いします。
【石橋高等教育企画課高等教育政策室長】 ありがとうございます。よろしければ、中間まとめ本文も一緒に御覧いただければと思っております。6ページ目、「2040年に向けた高等教育の課題と方向性」ということで整理をさせていただいているところでございます。
7ページ目から「初等中等教育からの接続と多様性をどう考えるのか」ということで整理をさせていただいております。特に今回の学習指導要領の改訂を理解した上で、高等教育を展開していかなければならないということを答申の中でも盛り込んでいきたいということで議論が進んできているところでございます。
【渡邊委員】 ありがとうございます。先ほど、秋田委員の御発言の中にも少しそういった趣旨がございましたけれども、側聞するところでは、大学の先生も、なかなか新しい学習指導要領の情報をお持ちでなくて、1つ前の世代、場合によっては2つぐらいの感覚の講義をされていらっしゃるような話を、採用した教員から耳にすることがございます。そういった意味で、学習指導要領を今回改訂した時期でもございますし、教職課程に携わる先生方も、今、接続のお話でお話しいただきましたけれども、どういうことがこれから現場の教員に求められていくのかというところをしっかり御理解いただいた上で、大学の方にされることが大変大事だと思いますので、今回、中間まとめでございますが、しっかり打ち出していただければ、大変あり難く思います。
以上です。
【無藤部会長】 ありがとうございました。
ほかにはいいですか。どうぞ。
【本図委員】 たびたび失礼します。ありがとうございました。今回の議論と、内閣府で国立大学の在り方についての議論が出て、私のような小さな大学では、これから特任は40歳以下しか取れないとか、大変厳しい状況がございまして、一方、課程認定があって、学習指導要領も熟知したような、そして、学校現場もきちんと分かる、そういう教科専門の礎も取っていかなければいけない。そういう中で、もう大学の教員の定員も打ち止めだという状況があるのですけれども、内閣府の議論等はどのような関係になっているのでしょうか。
【石橋高等教育企画課高等教育政策室長】 ありがとうございます。中央教育審議会での議論は、国立大学のみならず、国公私立大学全体の議論、それから教育を中心とした議論になっております。内閣府の議論については、特に科学技術・イノベーション会議がございますので、どうしても研究に寄った議論の中で、若手の研究者が少なくなっている現状が、日本の研究力に対して悪影響を及ぼしているのではないかというところから議論が始まっているのではないかと思っております。
ただ、緊急を重視する大学の議論がなされているのが内閣府の議論ではないかと思っております。そこは文部科学省、中央教育審議会全体として、個別枠の役割も含めて議論をしていくということでやってきておりますので、バランスの取れた議論が必要ではないかと思っているところでございます。
【無藤部会長】 ありがとうございます。
ほかにはいかがでしょうか。
松木委員、どうぞ。
【松木委員】 教員養成に限ったことですが、教員養成をやっていますと、これからの教師のことを考えると、高度専門職業人として教師が成り立っていくためには、ずっと学び続けてもらわなければいけない。そのためには、学部を4年間、つまり、採用前4年間の教育から、教師30年間の学びを支えていくような生涯学習機関に大学自身が変わっていかなければいけないとも思いますし、少子化のときでもあるから、ある意味、いいチャンスではないかなという気持ちでいるのですが、現職の先生方が学ぶときに、非常に厳しい状況にあると思います。特に、大学院にもう一度戻って学びたいと思うような世代の人たちは、子育ての最中であったりして、非常にお金もかかる。教師自身のインセンティブをどうやってつけていくかということを考えると、学び続けていくために大学へ行くための授業料等の補助についても、学部段階だけではなくて、奨学金等も含めてですが、大学段階でもそういった保証を是非検討していただけないかと思っています。よろしくお願いします。
【無藤部会長】 ありがとうございます。
何かあれば。
【石橋高等教育企画課高等教育政策室長】 ありがとうございます。リカレント教育は教員の先生方だけを対象としたものではないのですが、リカレント教育全体については、今まさに議論をやっているところでございます。特に時間とお金をどう生み出していくかということがカギになってくると思っております。ですから松木委員がおっしゃってくださったようなことも含めて、どういう形で皆さんが持続可能に学んでいただけるかということは、知恵を絞っていかなければいけないと考えております。
【無藤部会長】 ありがとうございます。
ほかにはございませんか。大体よろしいですか。またこの議論ができる機会もあろうと思いますので、きょうのところはここまでにさせていただきたいと思います。
それでは、大体時間ということで、本日の審議はここまでとさせていただきたいと思います。今後の日程等につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
【渡邉教職員課長補佐】 次回につきましては、平成30年10月16日14時からの開催を予定してございます。次回の会場について、また、その後の予定については、事務局から改めて御連絡をさせていただきます。
また、一点、お知らせをさせていただければと思います。報道等で御存知の方もいらっしゃるかと存じますけれども、文部科学省におきましては、この10月に大きな組織改編を予定してございまして、教育政策全体の総合的、横断的な推進等のために、既存の生涯学習政策局を母体といたしまして、新たに総合教育政策局を設けることとしております。この中で、本部会の事務局を務めます、教職員課については、現在、高等教育局が担っている教員養成政策と、社会教育主事等の社会教育人材の育成に関する政策も併せて担うこととしまして、新たに教育人材政策課として、総合教育政策局に移行することを予定してございます。
こうした中で、本部会の位置付けについてでございますけれども、現在のところ、特段変更が加わる予定とはなってございませんので、念のため、申し添えます。次回の会議から、事務局も新しい名称になろうかと思いますけれども、引き続きよろしくお願いいたします。
以上です。
【無藤部会長】 ありがとうございました。
それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。皆様、御苦労さまでした。
総合教育政策局教育人材政策課