参考資料2 第101・102回生涯学習分科会における主な御意見

(1)「人生100年時代の到来、Society5.0の実現、健康長寿社会の到来」に関して

○人生100年時代に追加して、Society5.0を支え加速するための生涯学習・社会教育の在り方を考えていった方が良い。現在、ICTスキルがあらゆる仕事で必要な素養となっており、時代の流れに必要なスキルとして身に付けなければならないが、大人や特に高齢者がなじめていない現状があり、ICTを活用して価値ある人生を育むためにも基本スキルを身に付けることが必要。

○平成も終わる中で新しい社会教育の方向性を示すべきではないか。個人の要望が前に出過ぎてやってもらって当然という受益者感覚が根強い状況がいまだ続いており、本当の意味での人づくりをなしえていないという問題がある。

○生産性向上や働き方改革のベースに生涯学習があると考えている。誰でも学びたいときに学べる環境の整備が重要であり、社会教育施設のみならずEdTechや放送大学、MOOCを活用して学びの機会を充実していくことが重要ではないか。

○Society5.0の時代には高度な認識を持ち判断のできる高い水準の教育を受けたうえで社会に参加する必要があり、そのためには多くの人々が大学教育に参加することが必要。高等教育の役割は大きく変わってくるのではないか。

○人生100年時代における学び直しのシステム作りを誰がどう担うのかを整理しなければならないと考える。

○個人の学習は地域と職域を行ったり来たりしながら進むので、地域と職域がまたがったところで議論できるとよい。大人は学習行動を取っていないと言われるが、実は仕事で行うアウトプットの前後に学習行動が埋め込まれており、このような学習を促進していけないか。

○社会人は学ぶ時間がなく大学は敷居が高いと感じているため、使いやすい科目履修の在り方等について考えていく必要がある。また、労働者の働き方改革を推進していくことや生涯を通じて学びと仕事を繰り返すライフコースを想定した価値観を醸成していくことが重要である。

○SNSでつながったインフォーマルな学びがたくさんあり、お金を払っても学びたい人はいるが、それはSNSが使えて収入がある人たちに限られており、学びの質にも格差が増大している。マルチステージの人生を豊かにするために生涯学習・社会教育が果たす役割は何かについて議論が必要。

○同じ集団に帰属してその中で競争する社会から自立し協働する社会へ変化する中で、自立と協働の時代の社会教育とは何かについて議論する必要が生じている。

○他省庁が地域共生社会や健康長寿社会を推進しようとしており、重要な基盤は学びだといっているが、これは元々社会教育の領域。一般行政が教育的手法を使って人々を自立させ新しい社会を創っていこうとする中で、社会教育の役割は何なのか。

○人々が「自分たちがこの社会を担っているのだ」と思えて主役になるような社会を作るために、どのような新しい社会教育を作っていくか検討する必要がある。

○高齢者をはじめ地域住民が、生涯学習・文化・スポーツを通じて地域で活動をすることで健康を保てるという筋道で考えていく必要がある。

○人生100年時代の中で心と体の健康を維持し、心豊かに生きる上で生涯学習は重要。高齢者対策としてではなく、子供の頃から対策をとらなければならない。

○人生100年時代においては、社会人大学院や学びの場としての学校など、社会教育と学校教育が有機的で密接な関係を持つようになってきている。

○生涯学習とは学校を卒業した人だけが対象なのではない。生まれてから天寿を全うするまでの人間の生涯全てで、深く学び生きがいを持って生きることのできる環境を作っていくことが必要。

○社会教育・生涯学習は公共的なものなのか、私的なものなのか、という議論をしていく必要がある。

○自ら調べ自ら歩き自ら解決の方法を考えていくアクティブラーニングのような学び方が社会教育・生涯学習にも重要ではないか。

○F1会議の参加者は政策提言をする際に、政治の世界は生活に非常に密着しているということを学んだ。目的が明確であれば公私は関係ないのではないか。

○社会人だけでなく高齢者も含めたリカレント教育を担う大学等の役割は非常に大きい。生涯にわたって身につく学びを誰がどう保証するのかについて議論する時期に来ている。

○単線型の人生がまだまだ当たり前だが、人生100年時代にマルチステージの人生を設計していくためには、自分は次のステージに行けるんだという認識や変身する力を持つことが必要。

○身近な学びの場でまず心に灯をともし、更に学びたくなると大学等の専門的な学びの場につながるというステップを意識していくことも必要。

○社会問題解決も自らとの関係性が薄いと本当の力にならない。自らの欲を持って学ぶという側面をもっと押し出していく必要があるのではないか。

(2)「困難を抱える家庭や子供たちへの支援、外国人の家族や子供たち、障害のある子供たちなどへの支援、社会的に孤立しがちな若者や高齢者への支援といった社会的包摂に関する課題」に関して

○入管法改正により外国の方が増えてくるが、子供の学びは学校が対応するとして、大人の外国人の学びをどうするのか。

○貧困問題については、社会が専門分化すればするほどできる制度と制度のはざまに落ち込んだ人をすくい上げる必要がある。

○外国籍や引きこもり、障害者など孤立しがちな人たちへの支援が必要。つながりを作ることのできない人につながる仕組みについて議論が必要。

○豊島区は消滅可能性都市とされたことで、住民が自分事として地域を見つめるきっかけとなったが、その際に学びが必要ということに気づいた。特に若いF1層の方の学ぶ意識が高まっており、企業と豊島区が協働して学ぶ場を作った。大学と企業、行政が連携・協働しながらニーズに応じた学びの場を提供していくことが重要。

○「葉っぱビジネス」で有名な上勝町では、高齢者もICTを使いこなして働いている。SNSやICTを通じて新しいコミュニティを作っていくんだという気持ちが地域活性化や若い人との連携につながっており参考になる。

○子供の貧困は、経済的問題だけではなく文化資本や社会関係資本も含めて総合的な問題であり、行政だけでは解決できず地域や民間企業も巻き込んでいかなければならない。

○人生100年時代の学びは、「多世代性」、「多職種性」、「多民族性」、「多文化性」、そして男女,あるいはそれ以外のLGBTも含めて「多様な性」が共に学ぶ、多様性、ダイバーシティが大事になるのでははないか。

○仕事引退後は、人々とのネットワークや自身の有能感といった精神的な自立がなければ幸せな余生を送っていけない。高齢者にもっと社会参加をしてほしい。

○放送大学やMOOC等のオンラインでの学びをうまく利用し、全国の高齢者の自宅や近くのセンターでの学びを促進することが重要。

○市民大学や公民館に来る人は市民全体から見ると非常に少数派であり、取り残されている人も多い。そういった人へより身近なところに根ざすアウトリーチ型の社会教育の展開が必要。

(3)「子育て環境の変化に伴う子育てを巡る課題を踏まえた家庭・地域の教育力の向上」に関して

○親世代の学びが充実されているかが課題。情報に振り回され、孤立しながら子育てをしている親が多いので、子供の成長と共に親子が学ぶ機会の提供が重要になってくる。コミュニティスクールや地域学校協働本部を活用し、家庭や地域の教育力が向上することが理想。そのためには、つなぐ人が大事ではないか。

○家庭教育は、学校における働き方の改善にもつながる。そのためには家庭と地域の連携を通じた教育力の向上が必要であり、それを引っ張るリーダーの育成が重要。

○一般的に家庭の教育力が全般に落ちていると思うが、これをどう立て直していくか、どう施策を展開していくかが重要ではないか。

(4)「子供・若者の地域・社会への主体的な参画・行動を通じた、よりよい社会の創り手の育成」に関して

○地域と学校が関わって社会総掛かりで次世代の育成に取り組むということが、社会教育に関わる文科省の強みなのではないか。

○北欧では主権者教育・政治教育の一環として、地域の活動に当たり前に子供が関わっているが、日本では学校教育と社会教育が住み分けられてしまっている。社会に開かれた教育が行われても良いのではないか。

○子供たちが、自分たちが地域の担い手だという主体性を持つことのできる学習環境を作っていくことが大事。

○日本の若者政策は雇用対策になりがちで、積極的市民を育てる政策はまだまだ弱い。子供・若者が社会に関心を持ちプレーヤーになっていく為の政策について検討する必要がある。

○スウェーデンでは若者議会があり、ノンフォーマルな教育の中で子供たちが自分たちが何をしたいかを考え政策を作っていく。若者が社会に関わって自分が考案したことが反映されたという実感を持つことが大事なので、日本でもそういった施策を進めていくことが重要。

○大人の意識を変えるのは大変なので、子供を中心に様々な体験・経験をさせて人材を育てていくのが良いのではないか。

(5)「地域や社会の課題解決に向けた取組を行う民間団体や人材の活躍・連携の促進」及び「関係機関や行政の果たす役割や取組」に関して

○ビジネスモデルがないとNPOは続いていかない。モデルを作ることのできる人材の育成が重要ではないか。

○「社会教育」という分野に取り組むプレーヤーは増えておらず、団体を作ってはつぶれるという状況になっている。社会教育のアイデアを持ち推進できる色々な世代のプレーヤーが生まれてくる仕組みを作ることはできないか。学校の補佐ではなく、主体的にアイデアを前向きに実現していくことのできる民間団体をもっと増やしていけたらと考える。

○地域における学びについては、労働組合も各産業の特色を知ってもらうための教育機会やワークルール等に関する講座を提供しており、社会教育の担い手の一つとして労働組合も追加してほしい。

○大学がもっと地域と連携することも必要。すでにやっていると思うが、それをもっと効果的に広げていかなければならない。地域に大学生が出て行って学生起業や社会貢献活動をすることで地域貢献につながる可能性があり、また学生にとっても学びになる。

○社会教育士が社会で活躍できるようにするため、活用の仕方を議論すべき。

○取組の中身を支える人材がどういう役割をするかが重要。相当数いる学びたい市民が社会教育の現場で動いている人とマッチできているかが課題。学びを地域課題解決に還元していくところまで結びつけるのが社会教育を担う人材の仕事であり、これを個人の資質能力に任せず仕組みとして位置づけられるかが重要。

○生涯学習・社会教育を担う人材としての社会教育主事、社会教育士の養成プログラムをどのように作っていくか。地域学校協働活動や民間団体の活動のためにも社会教育士の資格制度を育てていくべき。

○社員の大学・大学院での学びやNPO等での活動に対して理解のない企業が多いので、国の政策で理解の促進を図っていくべき。

○2018年は働き方改革の効果が出て個人の学習時間が大幅に増えた。ワーク・ライフ・バランスが少しずつ個人に浸透しており、働いている人たちが地域や社会教育に関わる大きなチャンスを迎えているのではないか。

○近年、キャリア支援の一環として会社が社員のボランティアを本格的に支援し始めている。そうした動きが社会教育に関わるきっかけとなるので、この契機に会社と社会教育をつなげていけたら良い。

○教育は総合行政であり、複数の部局を横につながないと解決策が出てこない。また、どこまでを公共財にするか明確に仕分けしないと後で混乱してしまう。

○社会教育主事は学びのオーガナイザーとして全体をうまく構造化・組織化し、社会教育士が学びを身近なところでプロデュースしていくことが必要。そのためには社会教育士を定着させなければならない。

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総合教育政策局生涯学習推進課

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