資料1 第10期生涯学習分科会の検討課題について

(社会を巡る状況)

● 人生100年時代において、これまでの、教育→仕事→引退、という3ステージの単線型の人生ではなく、マルチステージの人生へと移行していくことなどが指摘されている。また、Society5.0の実現をはじめ、技術・社会の急速な変化も予想されている。

● 高齢社会に対応するためには、単に長生きをするだけでなく、いかに「健康寿命」(健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間)を伸ばすかが課題となっており、高齢者が心身ともに健康な状態で元気に活躍できることが期待されている。

● 社会が多様化・複雑化している中、困難を抱える家庭や子供たちへの支援、外国人の家族や子供たち、障害のある子供たちなどへの支援、社会的に孤立しがちな若者や高齢者への支援など、様々な社会課題が顕在化している。また、2015年の国連サミットにおいて採択された「持続可能な開発目標」(SDGs)では、その「包摂性」が特徴の一つとされており、誰一人として取り残さずに、持続可能な世界を実現することが掲げられている。

● 子育て環境の変化に伴う子育てを巡る課題について、家庭・地域の教育力を高めていく必要がある。また、これからの未来を担う子供・若者たちが、地域・社会に主体的に関わり、行動することを通じて、自らの可能性を発揮し、よりよい社会の創り手となることが重要である。

● これら様々な地域や社会の課題解決に向けて、住民が単なる行政サービスの受益者としてだけでなく、当事者として取り組んでいくことがこれまで以上に求められている。


(生涯学習・社会教育を巡る状況)

● 生涯学習・社会教育に係る取組については、従来から、生涯学習・社会教育行政担当部局が、公民館、図書館、博物館などの社会教育施設等で、様々な教育活動を提供しており、住民の多様な活動を支えている。

● 一方で、個人の学びのニーズが多様化するとともに、社会課題も多様化・複雑化する中、これらの取組に加え、NPO等の新たな団体が、様々なニーズや課題に対応した多様な学びの機会を提供している。
NPO法人数は5万件を超え、その半数近くが社会教育の推進を図る活動をしている。

● また、企業等において、CSR活動として、教育分野を含む多彩な地域貢献活動が行われている。さらに、大学、専門学校において、リカレント教育として社会人等に学びの機会を提供したり、地域づくりに貢献する取組を進めたりしている。

● 加えて、生涯学習・社会教育行政担当部局以外の行政部局が実施するまちづくり、福祉など様々な政策課題に関する施策においても、住民が政策課題について知識を得たり学びを深めたりする機会が提供されている。

● なお、社会教育は、本来的には、学校教育以外の組織的な教育活動全般を指すものであり、これら民間団体などの多様な主体による学びの取組も社会教育の範疇に含まれうる。

● 第9期生涯学習分科会答申においても、今後、より多様で複雑化する課題に向き合いながら、一人一人がより豊かな人生を送ることができる持続可能な社会づくりを進めるためには、学びを通じて個人の成長を期するとともに、他者と学び合い認め合うことによって相互のつながりを形成していくという特徴を持った社会教育を更に振興し、より多くの住民の主体的な参加を得て、多様な主体の連携・協働と幅広い人材の支援により行われる「開かれ、つながる社会教育」へと進化を図る必要があると指摘されている。

以上を踏まえ、当面の第10期生涯学習分科会においては、例えば以下のような論点について検討してはどうか。

◇ 以下をはじめとする社会の変化や課題を踏まえた新しい時代の生涯学習・社会教育は、どのような在り方や姿となることが考えられるか。
 ・人生100年時代の到来、Society5.0の実現、健康長寿社会の到来
 ・困難を抱える家庭や子供たちへの支援、外国人の家族や子供たち、障害のある子供たちなどへの支援、社会的に孤立しがちな若者や高齢者への支援といった社会的包摂に関する課題
 ・子育て環境の変化に伴う子育てを巡る課題を踏まえた家庭・地域の教育力の向上
 ・子供・若者の地域・社会への主体的な参画・行動を通じた、よりよい社会の創り手の育成

◇ 上記のような生涯学習・社会教育の在り方・姿を踏まえ、住民の主体的な参加を得て、多様な主体の連携・協働と幅広い人材の支援により行われる「開かれ、つながる社会教育」へと進化を図っていく上で、地域や社会の課題解決に向けた取組を行う民間団体や人材の活躍・連携をどのように促進していくことが考えられるか。また、関係機関や行政の果たす役割や取組はどのようなことが考えられるか。

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