資料1-1 人口減少時代の新しい地域づくりに向けた社会教育の振興方策について(案)

【第1部 今後の地域における社会教育の在り方】

第1章 地域における社会教育の方向性~「社会教育」を基盤とした、人づくり・つながりづくり・地域づくり~

○ 住民が学びの場に参加すること、そのこと自体が個人の幸せに加え、前向きな地域の活力を生むもの。(人づくり)
○ 学びの場での住民のつながりや相互承認の関係は、生き生きとした地域コミュニティの基盤となるもの。(つながりづくり)
○ 山積する地域課題の解決には、住民のつながりの中で、それに自ら取り組もうとする人々の主体性が基盤となることが重要。(地域づくり)
○ 今後は、地域において、社会教育を基盤とした人づくり・つながりづくり・地域づくりの好循環を目指すことが重要。

第2章「社会教育」を基盤とした、人づくり・つながりづくり・地域づくりに向けた主要な視点と具体的な方策

1.学びの場への地域住民の主体的な参画
○ 健康、安全、子育て、趣味や教養など、個人の生涯にわたる幸せにつながる学習機会を積極的に設けることが活力ある地域づくりの上でも重要。
○ 住民の学びを通したつながりの輪の中で、自主性を担保しつつ、地域課題に関する様々な考えや意見を交流する機会を設けることも重要。
○ 地域の運営の在り方が、様々な団体や住民自身が主体的に参画し進めるものへと進化していくことも期待。
○ 学びの場への住民の主体的な参画の障害となっている要因の解消が重要。また、住民参加型による地域コミュニティの将来像の構想・共有も有効。
○ 社会教育の積極的な参画が期待される若年層や、全ての住民が分け隔てなくその活動に参画する社会的包摂の観点に留意が必要。
<具体的な方策>
 ・地域住民の主体的な参画のためには、きっかけづくりが重要であることから、地方におけるきっかけづくりの取組※を収集・分析し、広く共有する。
 ※例:楽しさをベースにした学びや活動の企画、防災や健康づくり、学校や地域学校協働本部との連携等、身近なテーマの設定等
 ・将来像の実現のための構想から評価に至るモデル例・留意点等を示したガイドラインの作成と周知を行う。

2.多様な主体との連携・協働
○ 専門性や多面性等を確保する観点から、首長部局、NPO、学校、地域学校協働本部等との連携・協働が必要。
○ 社会教育に関わりはなかったものの、地域づくりに熱意をもって取り組んできた人材を、新たな担い手として巻き込むことも可能。
○ いわゆる中間支援組織(地域づくりのための体制の整備等を支援するNPO等)は、社会教育においても活躍の可能性。
<具体的な方策>
 ・首長部局が策定する総合計画等や教育振興基本計画において、連携・協働体制の構築を含め、社会教育の推進について明記する。
 ・行政に加え、地域づくりに関係するNPOや企業等の関係者が一堂に会する協議会等へ参画を図る。
 ・NPOや企業等の多様な主体との連携に関する先進事例の収集・分析、情報発信を進める。

3.社会教育主事、社会教育士等の専門的人材の活用
○ 住民の主体的な参画のための環境整備や、様々な主体との連携・協働体制を構築しつつ学習活動を組立てていく「学びのオーガナイザー」が必要。
○ 社会教育主事は、今後の社会教育の振興を図っていく上で、「学びのオーガナイザー」としての役割を果たしていくことが期待。
○ 社会教育主事講習等規程の改正により、講習修了者等が「社会教育士」と称することができることとされ、社会教育の専門的な知見を有する者が、
行政をはじめ、学校やNPO、企業等様々な場において幅広く活躍することが期待(2020年度から施行)。
<具体的な方策>
 ・社会教育主事の配置促進のため、社会教育主事等の必要性・重要性の発信強化、社会教育主事講習等の受講方法の多様化に向けた検討を行う。
 ・社会教育士について、その活動のイメージを具体的に描き、社会的な関心を一層高めていけるよう、職務や活躍の場の明確化等に係る検討を行う。
 ・専門人材がネットワークを作り、コーディネーターとしての役割を十分発揮できるよう、関係者※間の情報共有、連携・協働を図る場の設定等を行う。
 ※社会教育主事、社会教育主事有資格者、社会教育士のほか、社会教育推進員(仮称)(様々な地域活動に携わっている者であって、行政が委嘱する者)を含むことが想定。

【第2部 今後の社会教育施設の在り方】

第1章 今後の社会教育施設に求められる役割

○ 学習と活動の拠点としてのみならず、住民主体の地域づくり、持続可能な共生社会の構築に向けた取組の拠点としても位置付けられるべき。
  公民館:住民が主体的に地域課題を解決していくための学習と活動の拠点、地域コミュニティのセンター的役割
  図書館:他部局とも連携した個人のスキルアップや就業等の支援や、住民のニーズに対応できる情報拠点、地域住民の交流拠点
  博物館:「社会に開かれた教育課程」に向けた学校との連携などのほか、観光等を通じた国際理解の増進や経済活性化の観点からも期待

第2章 今後の社会教育施設の所管の在り方

○ 地方公共団体の長が公立社会教育施設を所管できる仕組み(以下「特例」という。)を導入すべきとの地方公共団体の意見を踏まえ検討。

1.特例を設けることについて
○ 他行政分野との一体的運営による質の高い行政の実現の可能性
  社会教育施設の事業等と、まちづくりや観光等の関連する事業等を一体的に推進することで、より充実したサービス等を実現
  福祉、労働、産業、観光、まちづくり、青少年健全育成等の行政分野における人的・物的資源や専門知識等を公立社会教育施設でも活用
○ 施設の効果的・効率的な整備・運営の可能性
  首長部局が中心となって行っている社会資本整備計画等に社会教育施設を位置付けることにより、より戦略的な整備が進む可能性。
  様々な分野の施設が複合した形で整備されている場合にその所管を一元化することで、当該施設の運営がより効率的に行える可能性。

2.社会教育の適切な実施の確保の在り方について
○ 政治的中立性の確保等の観点から、公立社会教育施設の所管を長とする場合には、一定の担保措置を講ずることを検討する必要。
○ このことは、社会教育行政への住民の意向の反映、社会教育施設の専門性確保、社会教育と学校教育の連携を推進する上でも重要。
○ さらに、住民の主体的な参画による学びと活動を通じた課題解決とその過程の人々の成長という社会教育の意義を実現する上でも重要。
  担保措置については、例えば、特例についての条例を定める際に、教育委員会の意見を聴くことを義務付けること等について議論があった。なお、具体的な在り方については、これらも含め、法制化のプロセスにおいてさらに詳細に検討する必要。

3.当審議会としての考え方
○ 以上を踏まえ、社会教育に関する事務については今後とも教育委員会が所管することを基本とすべきであるが、地方の実情等を踏まえ、より効果的 と判断される場合には、地方公共団体の判断により長が公立社会教育施設を所管できる特例を設けることについて、社会教育の適切な実施の確保に 関する制度的担保が行われることを条件に、可とすべき。

4.地方公共団体において特例措置を活用する場合に留意が求められる点
○ 教育委員会は、総合教育会議の活用等を通じ多様な主体と連携・調整を行い、社会教育の振興の牽引役として積極的な役割を果たす必要。
○ 社会教育施設としての専門性を確保する観点から、首長部局において、教育委員会との連携の下、専門的職員への研修の充実が必要。
○ 社会教育に専門的な知見のある人材の積極的な登用や、地域で熱意を持って取り組む様々な分野の人材との協働した人づくりが重要。
○ 特例により、施設の所管を首長に移す場合でも、住民の主体的な学びを通じた人づくり・つながりづくり・地域づくりの視点が重要。

第3章 多様な資金調達手法の活用等、民間の力を活用した社会教育施設の運営

○ 持続可能な社会教育に向けて、多様な資金調達手法を活用することが重要。クラウドファンディングは、出資者の参加意識の醸成にも寄与。
○ クラウドファンディングについて、優良事例の収集・周知が必要。その際、成功・失敗の要因分析や業務フロー等に係る情報の収集・提供が有効。

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生涯学習政策局生涯学習推進課

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