資料2 これまでの主なご意見のポイント

「1.関係者の連携と住民の主体的な参画による新しい地域づくりに向けた学習・活動の在り方」について

 (1)これからの社会教育に求められる役割

○地域の様々な課題を「学ぶ」という観点から棚卸しし、施設や教育機関が担うべき役割を見直すことで、新たな社会教育の姿が見えてくるのではないか。
○「地域課題解決」の危機感をあおりすぎるとその重圧で、市民が身動きできなくなる。将来展望を開いていくということをポジティブな表現で「魅力化」と表現することも考えられるのではないか。
○現代的課題に応えるというだけでなく、住民の自主性・自発性の尊重、楽しい仕掛けづくり、多世代の交流といったものをベースに置きながら深刻になってくる社会教育の課題を解決しなければならない。
○住民たちが、顔が見える範囲の小さな「社会」を多数形成し、その中で楽しさをベースとした学びや活動を組織していくことによって、社会の安定性を増していく必要があるのではないか。
○Society5.0においては、人間的な出会いやつながりの場が重要。学びの意欲は、自身の能力が伸びるといったこともあるが、むしろ同じような志向の友人ができるといったことからもたらされる。
○各分野の地域コミュニティの維持発展のための施策も、公民館がしっかりしているところではうまく機能する。他の行政分野から社会教育や教育委員会と連携したいというニーズがある。
○人口減少地域だけでなく、都市も、地域コミュニティの不足・孤立化の課題を抱えている。この議論を大都市と地方の対立というような視点で捉えず、地域コミュニティの維持発展が大都市にとっても重要という視点で議論してほしい。
○最終的には、行政が住民を信頼して住民自治を振興していくような在り方に変わっていく必要がある。


(2)地域住民等の参画の在り方

1)参加者が主体的であることの重要性

自分たちで街の運営をしていくため、市民の側も、学習や教育について、分配を求めるのではなく、むしろ自ら創造し、作り出していくことが必要。
○子どもの貧困対策の取組が地域づくり・学びの場づくりに発展した事例があるが、様々な立場の方々が参加し、その主体性が尊重され、様々な取組が立ち上がっている。主体性を育むという学びのポイントがあるのではないか。
○プロセスを丁寧に考えることが重要。ゼロから1を生み出すことに十分時間をかけることで、参加者に、自らの主体的な課題であるとの意識が生まれる。


2)仕組み・仕掛けづくりの方向性

○若者支援、子供の貧困対策等の分野では、体系的な学びというよりは、様々な方が地域課題の解決のためにアイデアを出していくうちに活動ができあがっていく事例が多くある。このような活動の位置づけを社会教育の中でどう整理するかは重要ではないか。
○地域課題解決につなげるには、人々の学びの状況を取りまとめ、人材として整理して、課題解決につなげる中間組織が必要だが、その例は非常に少なく、漫然と学び続けている状況が多く見られる。自治体や企業・団体と連携する仕組みを作ることが必要。
実践の中にある学びをキャッチして次につなげていくことが社会教育主事やコーディネーターに求められているのではないか。
○今後、地域に点在することとなる、民間や行政職員などの多様な「社会教育士」をつなぐことで、地域づくり、課題解決に資する動きを作ることができるのではないか。
○それぞれが置かれた課題を解決するには、あらゆる施設を活用しつつ住民が自らアクションする必要があり、それをすくい上げる行政の役割が必要。行政の部局を超えて、子どもから高齢者までが置かれている課題をいかに解決するかが必要。
○住民を巻き込むには、子供、学校、教育を入口としたり、家庭教育支援から始めることが考えられる。
○地域課題をパターン化し、その課題に対する成功モデルを集めて、成功要因を分析したりするなどし、主導者・場所・資金などがわかる導入モデルを検討してはどうか。


3)子供・若者の参画、学校との連携

受けた教育を社会に還元することの意義は大きく、そのためには、地域の課題解決の取組に高校生や大学生を巻き込むのは大変重要。
子供こそが地域活性化の起爆剤であり、子供たちを地域の担い手として巻き込んでいくことが必要。
○地域でのボランティア活動を学校教育で必須化し、単位としていくことができないか。
学校教育と社会との連携が非常に重要。発達段階に応じて地域との関連を作ることが必要。子供たちへの教育的効果も高く、世代間交流が生まれ、地域コミュニティの維持にもつながっていく。


(3)社会教育関係者に期待される役割

○(諮問では)施設について強く書かれているが、社会教育関係団体や人をいかに育て、活用するかを考えなければ、しっかりした議論にならない。
○今後、地域に点在することとなる、民間や行政職員などの多様な「社会教育士」をつなぐことで、地域づくり、課題解決に資する動きを作ることができるのではないか。
○地方公共団体の職員は公民館主事の経験で教育的目線や地域課題への当事者目線を養うことができる。社会教育士などを行政の中にしっかり位置付けることが重要。
社会教育委員が地域社会だけでなく、学校教育にもしっかりと入り込むべき。
○学校と地域を結ぶ「学びのオーガナイザー」が職員室で活動できるようにすべき。それにより総合学習や職場体験などへ支援でき教職員支援にもなる。
地域おこし協力隊はネットワークを作るのには非常に適任。社会教育士の勉強もしてもらい、彼らをうまくこの仕組みの中で活用していくことが重要。


(4)今後の議論の視点・留意点

○教育委員会や文部科学省の範囲内だけでなく、関係省庁としっかりと連携していく前提で議論する必要がある。
○高齢化の進展や地方財政の厳しさ、担い手減少などの環境変化が社会教育に与える影響は大きい。担い手に住民などの参加を求めないと成立しない等を踏まえて議論をすべき。
○多様な人々が対象で、生活そのものである社会教育を行政的に整理していくのは学校教育行政と比べて難しい。社会教育の概念整理をしつつ、例えば、社会教育士の活用や学校地域協働活動が真に機能するためにはどのような留意事項があるのかなどを具体的に整理できると良いのではないか。


「2.公民館、図書館、博物館等の社会教育施設に求められる役割」及び「3.社会教育施設が求められる役割を果たすために必要な具体的方策」

※「審議のまとめ」に記載された内容は省略

(1)社会教育施設と地域住民との関係等

○これまでの社会教育施設は、ともすれば市民にとって敷居の高いものだったのではないか。多くの市民に使ってもらうことを第一に考えることが必要。
○40代以下の若い世代から見ると、公民館は非常に入り難いというのが本音。一方で、ちょっと集まる場所が欲しい、との思いはある。
○社会教育施設の力を十分に発揮するためには、施設に縁遠い現役世代や学生にいかに近づいてもらうかが重要。新たな施設整備を予定する際は、企画段階から中学校でワークショップを丁寧に行うなど、若い世代の意見を取り入れることが重要。
○隔離された個室ではなく、活動の様子が誰にでも見えるような社会教育施設を整備することによって、立ち寄った者が興味・関心を持ち、学びの連鎖が起こることを期待。
自分たちで街の運営をしていくための活動拠点となる公民館が今後必要になる。公民館は教育委員会だけのものとせず、外縁を広げていくことも必要。
○人口減少地域の公民館は、地域そのものの存続のためにどれだけ公民館機能が生かされるかが切迫した課題で地域の生業を立てていく取組こそが求められている。

 (2)施設の複合化・高機能化

○人口減少時代においては、多世代交流やコミュニティづくり、健康寿命の延伸等が重要。複合施設として公共施設の利用者数を増やすことで交流のチャンスが拡大。複合施設である社会教育施設であるからこそ、学びの機会づくりが日常化していることが重要。
○単館で整備すると、その施設が使用されない時は利用者が居ない状態になってしまう。複合施設であれば一部使用していなくてもその部分を開放するなど様々な使い方が可能。


(3)施設の運営主体

○行政が運営する発想を捨てて、例えば市民団体等に運営してもらうことも考えるべき。高給でなくても地元で地域のために働きたい人が増えており担い手は必ず見つけられる
○施設の運営に市民が関わり、愛着を持った運営をしていく仕組みを作ることが重要。
○市町村において専門職を直接雇用するのは難しいが、指定管理とすることによって、非常に高い専門性を持った司書や学芸員、社会教育士など専門職を配置することができる。


(4)多様な資金調達の工夫

○資金確保については企業と市民の力を借りるべき。公金だけで運営する発想は捨てて、皆でお金と人と知恵・アイデアを出し合って運営していくべき。
○クラウドファンディングの実施により、クラウドファンディングへの参加者がその事業に注目するのみならず参加意識を持って持続可能に関わっていただけるきっかけとなる
○資金調達には多様な方法がある。事例周知だけにとどまらず、成功要因・失敗要因の分析や業務フロー・手順、経理や関連法令などの留意事項等がわかるようにすると良い。

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生涯学習政策局生涯学習推進課

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