令和7年7月25日(金曜日)13時00分から15時00分
文部科学省会議室 ※WEB 会議併用
(分科会長)清原分科会長
(副分科会長)萩原副分科会長
(委員)内田委員,浜田委員
(臨時委員)熱田委員,加藤委員,古賀委員,関委員,田名部委員,塚本委員,戸田委員,野田委員,東委員,山内委員
(事務局)塩見総合教育政策局長,橋爪大臣官房審議官,神山社会教育振興総括官,吉田政策課長,中安生涯学習推進課長,髙田地域学習推進課長,降籏日本語教育課長,寺坂高等教育政策室長,片見リカレント教育・民間教育振興室長,粟津生涯学習推進課課長補佐 他
中央教育審議会生涯学習分科会(第134回)
令和7年7月25日
【清原分科会長】 皆様、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから第134回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。本日は御多用の中、しかも全国的に猛暑の中、御参加いただきまして、どうもありがとうございます。
本会議は、対面とオンラインのハイブリッド方式で開催いたします。本日も、ユーチューブ上で報道関係者及び一般の方々の傍聴の希望を受け付けております。報道関係者から、会議の全体について録画を行いたい旨、申出がございまして、許可しておりますので、どうぞ皆様、御承知おきください。
次に、事務局から本日の会議の運営に当たりまして、留意事項の説明をお願いいたします。粟津さん、お願いします。
【粟津生涯学習推進課課長補佐】 本日は、対面とウェブ会議方式を併用して開催させていただいております。御不便をおかけするかと思いますが、何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
ウェブ会議を円滑に行う観点から、4点ほどお願いさせていただきます。1点目、御発言に当たっては、インターネットでも聞き取りやすいようはっきり御発言いただきますようお願いします。2点目、御発言の際には、名前をおっしゃっていただきますようお願いします。3点目、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いします。4点目、発言に当たっては挙手ボタンを押していただき、御発言後はボタンを解除いただければと思います。お手数をおかけしますが、御協力よろしくお願いいたします。本日会場にお越しの皆様は、御発言の際には、ネームプレートを立てるか挙手をしていただきますようお願いいたします。
次に、文部科学省総合教育政策局の中の幹部に夏の人事異動がございましたので、御紹介をさせていただきます。お手元に資料1として名簿をお配りしております、御出席の方々について紹介いたします。
塩見総合教育政策局長でございます。
【塩見総合教育政策局長】 どうぞよろしくお願いいたします。
【粟津生涯学習推進課課長補佐】 神山社会教育振興総括官でございます。
【神山社会教育振興総括官】 よろしくお願いいたします。
【粟津生涯学習推進課課長補佐】 吉田政策課長でございます。
【吉田政策課長】 よろしくお願いいたします。
【粟津生涯学習推進課課長補佐】 以上でございます。
本日は、塩見局長から一言御挨拶を申し上げます。
【塩見総合教育政策局長】 それでは、失礼いたします。着座にて失礼いたします。
7月15日付で総合教育政策局長に着任いたしました塩見と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私、実は私事で恐縮ですが、数えてみますと、今回、かつての生涯学習政策局時代を含めて、総合教育政策局の仕事に関わらせていただくのは5回目ということになりました。直近は6年前まで在任させていただいていたんですけれども、本当にその間の社会の変化というものの早さというのは本当に身に染みて感じております。特に、生成AIの出現ということで、学び方でありますとか、あるいは働き方、また、その人の生活全体について本当に大きな変化が起こってきているという現状にございますし、国際的な情勢、また国内的にも様々な課題が発生している中で、より一層一人一人が自分の頭でしっかりと考えて、また、多くの人々と協働しながら、この平和で民主的な社会というものを維持していくために学んでいくということの重要性が一層高まっているように感じております。
今回の生涯学習分科会におきましては、昨年諮問されました地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方と推進方策、またさらに、急増する外国人の増加に対応した日本語教育機関の認定制度について、中心的に御議論いただいているところでございますけれども、今後の我が国社会の在り方というものを考えながら、ぜひ積極的な御議論を賜り、私ども、それを踏まえて政策を立案していきたいと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
【清原分科会長】 塩見総合教育政策局長、ありがとうございます。御指摘のとおり、「平和で民主的な社会を維持していくため」にも、とりわけこの生涯学習分科会の役割は大きいと改めて確認させていただきました。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。そして、神山社会教育振興総括官、吉田政策課長もどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、議事に移ります。
まず、前回の3月に開催した分科会以降、政府として重要な文書が幾つか閣議決定をされております。これは、大きな方向性を示すものでございまして、極めて重要な内容が含まれております。その中には、ぜひ委員の皆様に御紹介をして共通認識を持っていただくことが、今後の生涯学習分科会の審議にも有益と考えて、事務局にお願いをしたところでございます。それでは、中安生涯学習推進課長から、資料の1-1、資料1-2について御説明をお願いいたします。
【中安生涯学習推進課長】 お時間をいただきまして、ありがとうございます。
資料1-1を御覧ください。
経済財政運営と改革の基本方針2025、いわゆる骨太の方針2025における主な生涯学習分科会関連記載ということでまとめさせていただいております。
第2章、賃上げを起点とした成長型経済の実現、今年の骨太のテーマということで、1ポツのところの(1)のところでありますけども、地域の人材育成と処遇改善について、在職者を含め、大学、短期大学、高等専門学校及び専門学校においてアドバンスト・エッセンシャル・ワーカー、下に注がついていまして、デジタル技術等も活用して現在よりも高い賃金を得るエッセンシャル・ワーカーの育成に取り組むということが記載されております。
また、(2)三位一体の労働市場改革のところですけども、下から4行目、産学共同によるリ・スキリングプログラムについて、毎年約3,000人が修得できるよう、提供拠点・プログラムを拡充するとなっております。
2ポツ、地方創生2.0の推進等でございますけども、(4)文化芸術・スポーツの振興ということで、一段落目の終わりのほうからでございますけども、文字・活字文化の振興や「書店活性化プラン」の推進等が記載されております。
3ポツ、教育DXでございますけども、ちょっとここはいろいろ書いていますので、ざっくりになりますけど、ページ最後のところですけど、ハード・ソフト両面から教育環境を充実するということが書かれております。
それから4ポツでございますけども、国民の安心・安全の確保ということでございます。(5)外国人との秩序ある共生社会の実現ということで、段落終わりのほう、認定日本語教育機関の体制整備・活用を進めるとなっております。
(7)「誰一人取り残されない社会」の実現(女性・高齢者の活躍)ということで、段落真ん中のほうでございますけども、国立女性教育会館を機能強化した、機構法に基づく新機構の創設により、地域の男女共同参画を推進するとなっております。
第3章、中長期的に持続可能な経済社会の実現、これはある意味、毎年書かれているようなことに近いことでございますけども、2ポツ、主要分野ごとの重要課題と取組方針(2)ということで、上から6行目、放課後児童クラブ等への支援等についての記載がなされております。
それから、その次のページへ行っていただきまして、(3)公教育の再生・研究活動の活性化(質の高い公教育の再生)でございますけども、一段落目終わりのほう、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な取組等を加速するといったことが書かれております。そこから3行下に下がっていただきまして、地域の日本語教育の体制整備、外国人児童生徒への支援体制の強化、在外教育施設の特色を生かした機能強化、2行下がっていただいて、セーフティプロモーションスクールの考え方を取り入れた学校安全の推進、一行下がっていただいて、豊かな感性や創造性を育むための体験活動・読書活動を推進する等のことが、関係の記載として書かれております。
資料1-2は、新しい資本主義の実行計画でございますけども、基本骨太を少しエラボレートするような形で書かれているものですので、説明は省略させていただきます。
以上になります。
【清原分科会長】 中安生涯学習推進課長、御説明ありがとうございます。資料1ー1、資料1-2につきましては、分科会の皆様とこれまで審議している内容と大きな相違がないものと信じております。私たち委員と政府が同じ方向を向いて、国民本位の政策に取り組んでいくことを確信したいと思います。皆様、御確認いただけましたでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、続きまして、議題の2、「我が国の『知の総和」向上の未来像~高等教育システムの再構築~(答申)』について御説明をいただきます。よろしくお願いします。
【寺坂高等教育政策室長】 それでは、御説明いたします。高等教育局高等教育政策室の寺坂と申します。よろしくお願いいたします。
本年2月に、我が国の「知の総和」向上の未来像~高等教育システムの再構築~として答申を取りまとめたところでございます。この審議過程におきまして、清原分科会長から、第12期の生涯学習分科会の審議まとめを御報告いただきました。取りまとめに向けまして、大きな御貢献をいただきましたことに心より感謝申し上げます。
それでは、主なポイントを概要に沿って御説明いたします。資料2の1ページ目でございます。1として、今後の高等教育の目指すべき姿のうち、直面する課題といたしまして、社会の変化、高等教育を取り巻く変化を掲げてございます。特に大学進学者数の推計といたしまして、62.7万人いる進学者が2040年には46万人に減少するということを示すとともに、目指す未来像、人材像を示してございます。その上で、高等教育が目指す姿として、学ぶ人の数と一人一人の能力を掛け合わせた我が国の「知の総和」を向上することが必須と位置づけてございます。そして、高等教育政策の目的といたしまして、質、規模、アクセスの3つの観点を示してございます。ここでいう質とは、教育研究の質を図ることで学生一人一人の能力を最大限高めること、規模につきましては、社会的に適切かつ必要な高等教育機会を量的に確保していくこと、アクセスにつきましては、地理的・社会経済的な観点からの高等教育機会の機会均等を実現するということを掲げてございます。また、これらと並行して、今後の高等教育を考えるに当たって重視すべき観点といたしまして、教育研究、学生への支援、高等教育機関の運営、社会の中における高等教育機関という4項目にわたる観点を示してございます。
2ページ目を御覧いただければと思います。2、今後の高等教育政策の方向性と具体的方策の1つ目の柱でございます教育研究の質のさらなる高度化について掲げております。初めに、(1)の学修者本位の教育のさらなる推進といたしまして、出口における質保証の促進、認証評価制度を見直し、在学中にどれくらい力を伸ばすことができたのかといった教育の質を評価する新たな評価制度へ移行すること等を示してございます。
また、(2)の多様な学生の受入れ促進として、外国人留学生や社会人等の受入れの促進、また、社会人の学びの拡大を図っていくということ、また、通信教育課程のさらなる質向上のための制度改善を図っていくということを位置づけてございます。
さらに、(3)の大学院教育の改革といたしまして、学士・修士5年一貫教育の大幅拡充、幅広いキャリアパスの開拓促進、(4)の研究力の強化として、質の向上に向けた研究環境の構築、業務負担の軽減ということ、(5)の情報公表の推進として、高等教育機関の情報を横断的に比較できる新たなデータプラットフォームを構築すること等を記載してございます。
3ページでございます。2つ目の柱の規模の適正化につきまして、(1)、高等教育機関の機能強化として、意欲的な教育・経営改革を行うための支援、高等教育機関の間での連携の推進ということ、また、(2)として、高等教育全体の規模の適正化の推進ということで、厳格な設置認可審査への転換、再編・統合や、縮小、撤退への支援について示してございます。
また、3つ目の柱の高等教育へのアクセスの確保につきまして、地理的な観点からのアクセス確保として、地域の高等教育機関、地方公共団体、産業界などの関係者が議論を行う協議体である地域構想推進プラットフォームの構築を行い、これを支える地方公共団体や国の体制整備、コーディネーター等の支援について示してございます。さらに、協議体の議論を踏まえて国が支援をする仕組みや、大学等への連携をより緊密に行うための仕組みとして、地域研究教育連携推進機構の導入も掲げてございます。加えまして、地方創生の観点から、国内留学や学生寮の整備、サテライトキャンパスの取組を進めるとともに、遠隔・オンラインを活用した大学間連携による授業の共有化についても記載をしてございます。
(2)の社会経済的観点からのアクセス確保につきましては、個人への経済支援の充実に加えまして、社会的観点からのアクセス確保に向けて、入学前から負担軽減の情報等を伝えていくということも示してございます。
続きまして、4ページでございます。
4ページ上段には、機関別・設置者別の役割や連携の在り方を掲げてございます。(1)機関別の役割といたしまして、大学、短大、高専、専門学校等の機関別の役割について示すとともに、(2)といたしまして、国立、公立、私立それぞれの役割を示した上で、定員規模の適正化や再編統合等につきまして記載してございます。(3)といたしまして、教育研究の質向上につながる取組を、設置者の枠を超えて支援をしていくということも掲げてございます。下段でございますけれども、高等教育改革を支える支援の在り方といたしまして、高等教育への投資は未来への先行投資であるということを位置づけた上で、より一層社会からの信頼が得られるよう、教育研究活動の高度化や情報公表を進めていくこと、必要なコストを明確にした上でその必要性を訴えかけていくこと、公財政支援、社会からの投資、個人・保護者負担のそれぞれについて、持続可能な発展に資するような規模・仕組みを構築していくということを掲げてございます。
その上で、右側ですけれども、短期的な取組といたしまして、公財政支援の充実、社会からの支援強化、個人・保護者負担の在り方について掲げるとともに、中長期的な取組といたしまして、教育コストの明確化を踏まえた負担の見直しや新たな財源の確保についても言及をしているところでございます。
一番下のところでございますけれども、制度改革や財政支援の取組など今後10年程度の工程を示した政策パッケージを策定いたしまして、具体的方策の実行に速やかに着手をするということとしてございます。
次ページ以降は、参考資料ということで省略をさせいただきますけれども、9ページにございますように、この答申の中身、内容につきましては、動画を作成いたしましてコンテンツとして配信を行ってございまして、しっかり発信をしていきたいと考えているところでございます。
説明は以上でございます。
【清原分科会長】 寺坂高等教育政策室長、大変分かりやすい御説明をどうもありがとうございます。改めて申し上げますが、一昨年の9月に中央教育審議会総会で、「急速な少子化が進行する中での将来社会を見据えた高等教育の在り方について」の諮問がなされました。その際、私は「生涯学習分科会での議論が貢献できるのではないか、ぜひ貢献したい」と申し上げたところです。また、昨年5月に「高等教育の在り方に関する特別部会」において、『第12期の中央教育審議会生涯学習分科会の審議のまとめ』を報告し、意見交換を行いまして、当分科会での議論について適切に盛り込んでいただくことができました。本当に感謝を申し上げます。
この内容につきましては、本日5番目の議事で「リカレント教育の推進の現状について」皆様と意見交換をさせていただきたいと思っておりまして、その際に、重要な答申の内容となると思います。ぜひ参考にしていただければと思います。この時点で特段の御質問等ございますでしょうか。大丈夫でしょうか。オンラインの方もよろしいでしょうか。
もしなければ、この内容については、今申し上げましたように、リカレント教育の推進の現状について皆様と意見交換する際に、中央教育審議会の答申でございますので、先ほど御紹介ありましたように、今後の10年間を目安に、これから具体的な取組をしていく中にリカレント教育も含まれていくことになると思いますので、そのときに御意見をいただくことをお願いしたいと思います。
それでは次に、議題の3、「専修学校制度の見直しについて(学校教育法施行令の改正等について)」に移ります。人生100年時代やデジタル社会が進展する中にあって、職業に結びつく実践的な知識、技能、技術や資格の習得に向けて、リ・スキリングあるいはリカレント教育を含めた職業教育の重要性が高まっています。このことを踏まえまして、専修学校における教育の充実を図るために、学校教育法の改正について、この生涯学習分科会でも議論を行いました。そして、昨年6月に改正法が成立いたしました。施行は、来年の4月からとなっています。文部科学省のほうで、そのための政省令の整備を行っている段階でございます。その状況について、本日は御報告をいただきまして、皆様に御理解をいただければと思います。
それでは、中安生涯学習推進課長から、専修学校制度の見直しについて御説明よろしくお願いいたします。
【中安生涯学習推進課長】 時間をいただきまして、ありがとうございます。
資料3を御覧いただければというふうにございます。
資料3の2ページ目には、今回の政省令の内容をつらつらと書いておりますけど、ちょっと経緯を御説明させていただきますと、令和6年の2月16日生涯学習分科会において、学校教育法の一部を改正する法律の案を御説明させていただきました。その後での御議論、その後国会での御議論等も踏まえて、当年6月、先ほど分科会長のお話もありましたけど、改正法が公布をされておりまして、その後、関係政省令の整備の検討を行ってきたというところでございます。
具体的な内容については、専修学校の質の保障向上に関する調査研究協力者会議というものが、総合教育政策局長の下に設置されておりまして、そこで議論をしてきたものでございます。
3ページでございますけども、学校教育法の改正の内容の振り返り的な話になりますけれども、大きく分けて3つありまして、大学等との制度的整合性を高めるための措置ということで、専門課程の入学資格について大学の入学資格と同様とする(1)ですとか(2)、専修学校においても単位制を使っていくというような話でございます。
それから、大きな2つ目のかたまりは、専門学校、専門課程修了者の学修継続の機会確保や社会評価の向上のための措置ということでございまして、(3)でございますけど、専攻科を置くことができるとするということですとか、(4)ですけども、修了者は専門士の称号を得ることができるようにするという内容でございます。
また、大きな3つ目のかたまりとして、教育の質の保障を図るための措置ということで(5)ですけども、外部の識見を有する者による評価を受ける努力義務を定めるというようなことがありまして、こういったことを政省令の段階で具体化していっている状況の御報告が今日の御報告になります。
4ページをお願いできればと思います。専修学校の修了認定、専門課程ですね。ちょっと略して専門学校と言いますけども、専門学校の修了認定についてでございますけども、31単位掛ける修業年限、専門学校の場合は、修業年限が1年以上という定めになっておりますので、主として1年から4年までということですけども、31単位×修業年限以上の単位数ということでございます。これは、大学が124単位以上、短期大学は62単位以上とされていることのバランスを図ってということで、この方向で検討しております。
それから、一番下の教職員の研修についてでございますけども、2行目の奥のほうからですけど、専門課程を置く専修学校には、大学と同じように研修に係る規定を整備して、教員及び職員向けの学校の教育活動等の運営に係る研修でございますとか、授業の内容・方法を改善するための研修・研究ということをしっかりやっていただくという形にする予定でございます。
5ページは、かなりちょっと技術的な内容なんですけれども、ちょっとざっくり申し上げると、2年以上の専門学校について特定専門課程という呼び方を法令上の定義として与えているということですので、説明ちょっとこの程度にさせていただいて、6ページをお願いします。
この6ページですけども、今申し上げた、ここも若干テクニカルなんですけども、特定専門課程を修了したものは専門士と称することが可能ということが法律でできるようになりましたので、文部科学省告示で、個別に学校を認定の上、専門士の称号を認めていた仕組みを廃止するというものでございます。
それから、7ページをお願いします。こちらは、4年制の専門課程について、特に高度専門士の称号ということを付与するというものが、これはもともとあったんですけども、それについて、大学院の入学資格と一体化を図るということで、技術的には大学院に入学することができる専門課程または専攻科の修了者が称することができる称号として高度専門士を位置づけるということで規定の整備を行うという内容でございます。
続きまして、次のページは飛ばしていただいて、9ページにお願いできればと思います。専攻科及び適格専攻科についてということでございまして、1つ進んでいただければと思います。
書いてあるとおりですけども、特定専門課程を置く専修学校には、専攻科を設置することができるということになりましたので、どうやって設置するのかということについて、少し技術的なことを定めておりますけども、基本的には、所轄の都道府県の届出事項として、専攻科の設置をできるようにするというのが上半分の話でございます。下の〇のところですけども、ただし、大学院入学資格を認める専攻科、これを適格専攻科と称することにしておりますけども、それについては、一定の基準を定めるということとしております。
次のページをお願いします。専門学校の実態とちょっと関わる部分があるので、短時間での説明でちょっと難しいところはあるかもしれませんけど、改正前、左側、専門学校の場合、1つの専門課程を出た後、さらなる資格を取るために別の専門課程に入るというケースが実態として結構あったということでございます。それについて、ただ2個専門課程を出ただけなので、例えば4年勉強したとしても大学院に入る資格を得られないとか、そういう課題があったということでありまして、そういった専門課程Bのようなものについては、適格専攻科として位置づけることによって、学びの隘路を少しでも解消していこうということを制度化しようとしているものがこちらでございます。これまで説明した趣旨等を説明したものでございまして、それについて、高等教育の修学支援制度についても、高等教育の修学支援制度は1個目の学校しか対象にならないという制度になっているものですから、専攻科に行く場合は2つセットだよねという形で、そこまで修学支援制度の対象にしようということを改正内容としているものでございます。
それから、ちょっとページを飛んでいただいて、最後、15ページをお願いできればと思います。こちらは、専門学校、今のような大学入学資格に関わることでございますとか、就学支援に関わるようなことということについて、専門学校への支援が手厚くなるという部分がありますので、専門学校についても、大学に準ずるような形での評価のことについてもきっちりやっていただこうということで、第三者評価と、認証評価とは違うという意味で第三者評価と呼びならわしをここではしておりますけども、そういったものを充実してもらうということが法律上求められております。それについて、具体的にどうするかということについてガイドラインを定めることとしておりまして、そこにちょっと幾つか書いております。評価項目等については、こちらは今、大学等のほうにおいても評価の在り方について検討がなされている途上と理解しておりますけども、教育内容に関することを中心な評価としていくということを専門学校のほうの制度では考えていこうということでございます。
2ポツ目については、評価者について評価を実施する者の専門性・中立性に関する要件というものを明確に示そうということを考えております。
それから3ポツでございますけども、今ほど申し上げたような大学院入学資格が付与される専門課程及び専攻科を有する学校ですとか、外国人が卒業後に就労しやすい、法務省と連携して在留資格の切替えが少し便宜が図られるというようなプログラム認定校がありまして、そういった認定校については、質の高い教育を実施していただいているということが早期から求められるということで、法律は努力義務でありますけども、令和8年4月1日から、こういった第三者評価の実施を求めていくということにしたいと思っています。
4ポツにありますが、こういった第三者評価は5年に1回ということをしていくということでございまして、前回、1年半ぐらい前になりますけど、そのときの御議論等をいただいた状況、その後の状況を踏まえまして、現在このように整理して検討を進めているということの御報告でございます。政省令については、今、パブリックコメント等も進めさせていただいておりまして、早ければ8月末の交付等を省令については進めていきたいと。政令については、技術的なことから既に交付をさせていただいていると、そういう状況でございます。
以上になります。
【清原分科会長】 中安課長、御説明ありがとうございます。学校教育法の一部を改正するということを通して、専修学校の制度の見直しが進められていることについて御説明をいただきました。本件につきましては、専門学校での教育に精通している大平委員に御意見をいただきたいと思っておりましたところ、本日あいにく御欠席となりました。ただ、私から事前にぜひ御意見を提出していただくようにお願いいたしましたところ、提出していただきましたので、事務局から大平委員の御意見を御紹介ください。よろしくお願いします。
【粟津生涯学習推進課課長補佐】 御紹介いたします。中央教育審議会生涯学習分科会7月25日、大平委員意見。
職業教育の重要性が高まりを見せる中、今回の学校教育法の一部改正は、大変意義深いものであること。法令改正を踏まえ、実践的な職業教育機関として、引き続き専修学校における教育の充実は図っていくことが重要であること。政省令改正に伴い、8年度の施行に向けて学則変更等の具体的な準備が始まるため、各学校と都道府県、所管課が緊密に連携を図る必要があること。
以上でございます。
【清原分科会長】 ありがとうございます。大平委員からは、この法律の改正の意義と共に、それを具体的に8年度に施行していくために、都道府県の所管部との、専修学校との連携をという御提案でございます。これも、先ほどの「知の総和」向上のための大学についての答申と連携をしまして、やはり私たちが生涯学習を考えていく上で、リカレント教育、リ・スキリング、職業教育というものを質高く担保していくために、重要な専修学校をめぐる制度改正も進んでいるということでございます。
何か御質問とか確認事項ございますか。ウェブの方、何かありましたら御遠慮なく。大丈夫でしょうか。もしお気づきの点がございましたら、後ほどのリカレント教育の推進の現状についての意見交換のときに併せて御発言をいただければありがたいと思います。よろしいですか。
それでは、皆様、この専修学校制度の見直しについても、ぜひ生涯学習分科会として現状を共有していただけますことをお願いしますし、文部科学省において適切な取組の推進をよろしくお願いいたします。
それでは、議題の4に移らせていただきます。「社会教育の在り方に関する特別部会、審議事項1に関する意見の整理について」です。昨年諮問されました、「地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方と推進方策について」は、私が部会長を務めさせていただきまして、生涯学習分科会の委員の皆様、また、他の関係者の皆様にも委員をお願いいたしました特別部会での審議を重ねております。かなり集中的に議論を重ねておりまして、諮問いただきました3つの審議事項のうち、1点目の「社会教育人材を中核とした社会教育の推進方策について」は、一定の意見の整理を行っております。多くの委員の方は特別部会にも関わってくださっていますが、生涯学習分科会として、本日、きちんと共有をしておきたいと思います。
そこで、髙田地域学習推進課長から、この審議事項1の取りまとめについて御報告をお願いいたします。よろしくお願いします。
【髙田地域学習推進課長】 地域学習推進課長、髙田です。よろしくお願いいたします。
今、清原分科会長から御紹介がありましたとおり、今、審議を進めておりまして、審議事項1、社会教育人材を中核とした社会教育の推進方策について、一定の議論がまとまりましたので、この審議事項1に関する意見の整理という形で昨年3月にまとめているというものでございます。ちなみに、昨年の8月から審議は本格的にスタートいたしまして、昨年度、6回、この特別部会を開催しております。そして、今年度に入りまして、既に3回審議を進めておりまして、それは今進めております社会教育活動の推進方策という審議事項2を今審議しているというような状況でございます。
次に、意見の整理の内容について簡単に御紹介いたしますと、まず、1つ目、2つ目、審議するに当たっての基本的な考え方、考え方というか方針をまとめたものでございますけれども、社会教育情勢の変化を踏まえた社会教育の推進ということで、第4期教育振興基本計画においても示されました2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成という観点、そして、日本社会に根差したウェルビーイングの向上、そういったような観点からアプローチをしていくというようなこと。また、社会教育は住民自治の基盤を耕し形成する営みであると、そういうような考え方の下で審議を進めているところでございます。また、地域コミュニティの基盤を支える社会教育の在り方ということで、まず、社会教育における学びの特徴というのを再認識するということで、それが対話を通じた主体的な学び合いでありますとか、人づくり、つながりづくり、地域づくり、そういったようなことの循環が地域全体のウェルビーイングを向上させるだとか、そういったような特徴を有することを確認した上で、社会教育というものが、地域活性化や課題解決に向けた主体的な活動へと発展させていくことが期待されていると、地域づくりに資するものであると、そういったような観点から議論を進めているということでございます。
3ポツの社会教育の推進に向けた今後の方向性というところで、社会教育人材を中核とした社会教育の推進ということでまとめておりますけれども、大きく6つの視点でまとめております。
(1)の基本的な考え方につきましては、今後の社会教育行政というのが、特に社会教育人材の育成活躍促進というものが重要な柱として捉え直していくことが必要であるということ。そして、社会教育人材のネットワーク化と、そういったような観点が必要であるという考え方の下で、社会教育人材の具体的な方策について検討しているところでございます。
次のページに移りまして、(2)社会教育人材に期待される役割・能力については、これまでも、学びのオーガナイザーであるだとかコーディネート能力、プレゼンテーション能力、ファシリテーション能力が重要であるというようなことは、これまでも議論していたところでございますけれども、より、それを今深掘りするような形で議論をしております。従来的な社会教育主事の在り方につきましても、次の(3)で社会教育主事・社会教育士の位置づけということも議論しておりますけれども、社会教育主事がこれまで機関車的に引っ張っていたようなところが今後は、触媒的な機能を果たすことも重要じゃないかというようなことも、具体的に議論されたりもしておりますので、そういったような観点で、社会教育主事をどう位置づけていくのか、適切な任用要件の設定・見直し、戦略的なキャリアデザインの明示、チームで活動できるような体制のサポート、そういったようなことについて議論をしているところでございますし、また、社会教育主事の活躍促進に向けた方策として、企業・行政等の採用において評価される仕組みとはどういったものがあるのかということについて、その周知等の重要性を議論したところでございます。
さらに、(4)社会教育主事と社会教育士の養成の改善ということで位置づけを議論していく中で、やはり社会教育主事と社会教育士の異なる役割に応じた養成の在り方というのも見直す必要があるのではないかということで、今、1階建て・2階建てというようなカリキュラムの問題について、具体的に今後さらに議論を進めていくというようなことにしているところでございます。
そして、社会教育人材のネットワークの構築・活性化について、より色々な分野との横串を通したような振興に寄与することが期待されるというようなこと、そして、若年層を中心に社会教育への関心や参画を広げる工夫。具体例といたしまして、学校の探究学習などとの連携・協働の促進、コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的推進なども併せて議論しております。
以上が、社会教育人材の議論ですけれども、それと連動しまして、社会教育行政と関係機関との連携の在り方ですとか、社会教育行政を推進する上での重要な視点というようなことで、さらに今後、審議事項2、審議事項3において、そういったことをさらに深掘りして議論していくというようなことをまとめております。特に共生社会の実現だとかデジタル社会の対応などについての社会教育でのアプローチというようなことについて、重要ではないかというような議論もあったところでございます。
私から、意見の整理についての報告は以上でございます。
【清原分科会長】 髙田課長、ありがとうございます。ただいま、特別部会に一定の審議を進めることとなっております諮問、「地域コミュニティの基盤を支える今後の社会教育の在り方と推進方策について」、資料4の冒頭にございますように、審議事項は大きく3つございます。1つが、「社会教育人材を中核とした社会教育の推進方策について」、審議事項の2は「社会教育活動の推進方策について」、そして、審議事項3は、「国、地方公共団体における社会教育の推進体制等の在り方について」でございます。
本日は、まず最初に、審議を深めて一定の意見の取りまとめがなされた審議事項1の「社会教育人材を中核とした社会教育の推進方策について」、皆様とその内容を共有するために御説明をいただきました。さらに、今後、審議事項の2、審議事項3と継続して部会で審議をしてまいりますが、その折々に生涯学習分科会で報告をしてもらいまして、生涯学習分科会全体で、その内容を共有して進めていきたいと思います。この人材についての今の資料4の取りまとめについて、特段の御意見や御質問はございますか。いかがでしょうか、大丈夫でしょうか。オンラインの方は、もし何かありましたら挙手ボタンを押してください。大丈夫でしょうか。
それでは、まずは、特別部会で審議事項の1について一定の意見の取りまとめができました。でも、これでこのテーマが終わったわけではなくて、審議事項の2、審議事項の3を審議する中で、当然社会教育人材の問題というのは、また戻って内容が強化されていくものと考えております。しかしながら、まず、この段階までまとめたことを、皆様、どうぞ共有していただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
それでは、本日、皆様と意見交換を深めたい議題の5に移らせていただきます。生涯学習分科会では、第12期において、社会教育人材や外国人の日本語の学習と並んで、社会人のリカレント教育について精力的に議論を重ねてまいりました。参考資料にございますとおり、議論の整理としてリカレント教育についてもまとめてきたところです。その後も、リカレント教育、リ・スキリングの重要性は言うまでもなく、今期の分科会においても議論すべき重要なテーマであると考えております。
本日は、文部科学省が推進の取組を進めているリカレント教育について御報告をいただきたいと思います。すなわち、文部科学省でどのように今リカレント教育の推進を位置づけているかということを共有させていただきます。併せて、文部科学省で実施しているリカレント教育事業で連携されているボストンコンサルティンググループからも、民間企業、産業界のニーズや大学に期待することについて御発表いただくようにお願いをいたしました。本日は、マネージングディレクター&パートナーの折茂美保さんにお越しいただいております。お忙しいところ、どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
それでは、まず最初に、リカレント教育・民間教育振興室長の片見さんに、リカレント教育推進の現状について報告をお願いいたします。よろしくお願いします。
【片見リカレント教育・民間教育振興室長】 ありがとうございます。片見です。どうぞよろしくお願いいたします。
資料5に沿って説明をさせていただきます。
私のほうから、まず、リカレント教育推進の現状と課題、今後考えている施策の方向性などについて御説明をさせていただければと思います。
おめくりいただいて、2ページ、今映っている資料ですけれども、リカレント教育の必要性、様々な必要性ありますけれども、最も大きな必要性の1つとしては、労働生産性という観点が挙げられると思いますので、御説明させていただきます。
このページは、皆さんもご存じかと思いますが、我が国の生産年齢人口が今後どんどん減っていくといったことを表した資料でございます。
次のページへ移動していただきまして、一方、我が国の世界の競争力はどんどん悲しいことに下がってきてしまっていて、2023年には35位というような現状になっております。
次のページへ移動していただきまして、すみません、駆け足で申し訳ありませんが、この労働生産性の各国比較を見たときに、4ページの左の図でございますけど、日本はかなり低い位置にいますと。一方、右の図を御覧いただくと、これは仕事関連の成人学習参加率が上がるにつれて、時間当たりの労働生産性も上がっていく傾向にあるといったことを示したものでございます。つまり、労働生産性を上げるためには、リカレント教育、リ・スキリングが重要になってくるだろうということが示されていると。
次のページに移動していただきまして、一方、世界から取り残されている日本の現状ということで、我が国ではOJT以外の人材投資がかなり少ないですよというのが左。かつ右の図で、社会学習・自己啓発を行っていない人の割合というものが日本はもう格段に高いと。下のところですが、企業は学ぶ機会を与えず個人も学ばない傾向が強いということが見てとれます。
次のページへ移動していただきまして、ちょっと違う視点ですけれども、経済産業省、産業構造審議会が2040年の就業構造推計というものを先日出しておりまして、それを見てみますと、右下のほうですけれども、職種間、学歴間のミスマッチがいろいろと2040年には出てくるだろうと、このままいくと。特にマイナス326万人というところがありますけれども、これは専門的、技術的職業のうち、AIロボット等の活用を担う人材というのが、これだけ2040年にはこのままだと足りなくなるだろうということが示されておりますので、このような分野にどう人材を輩出していくかということが重要になってくると。また、左の青の部分ですけれども、実はこの推計の前提にされているところなんですけれども、生産年齢人口は減っていきますので、189万人分については、そもそもAIロボットを活用したり、労働の質の向上、まさにリ・スキリング等によって生産性を向上させるということがそもそも前提になっている推計ですので、そこができていないとどうしようもないということになってくるのかなと思っております。
こうしたことも踏まえまして、次のページですけれども、冒頭議題の1でも説明させていただきましたが、政府文書、各種の文書等々で、リ・スキリング、リカレント教育について様々な提言がなされております。
1つ紹介しますと、2つ目の新しい資本主義実行基本計画では、最先端の知識・技能の習得を2029年までに毎年3,000人以上、また、地方の経営者等の能力構築を2029年までに5,000人という具体的な数字も踏まえて、提言がなされているという状況でございます。
こうしたことも踏まえまして、9ページまで飛んで、お願いします。文部科学省としての対応、特に大学・大学院におけるリカレント教育をどうしていくべきかという対応の方向性なんですけれども、まず、現状といたしましては、三すくみの状態ということをよく言っております。というのは、大学側としては、企業ニーズ、社会人ニーズが分からない、定員が埋まらないと。企業としては、スキルアップすると退職されるんじゃないか、そもそも大学でどんな教育が行われているかよく分からないと。社会人は、学んでも処遇に反映されないので、やってもしようがないんじゃないかと。そのようなことで、三すくみの状態が今起きているということがあるんじゃないかと。これを、三方よしの状況に変えていこうということで、対応の方向性としては、安定的にこれらが回る仕組みが必要で、そうしますと、企業や個人、自治体がお金を出してもよいと思えるニーズを捉えた教育、プログラムの提供が不可欠だろうということで、次のページに移動しまして、今年度、文部科学省としてリカレント教育エコシステム構築支援事業というものを実施させていただいております。
メニューが大きく2つありまして、1のほうでは地方創生ということで、地方の大学、産学官金等々のステークホルダーがプラットフォームのような形で連携をしまして、中小企業の経営者や地域ニーズを踏まえた人材に対するリ・スキリングを行っていただくというものでございます。
もう一つ、メニュー2につきましては、最先端の教育研究を行う大学が、成長分野、例えばDXやサプライチェーン・マネジメントなど、今後ニーズが高まってくる分野に関する人材を対象にして、最新の知識等を与えるプログラムを、産業界と連携してそういったプログラムを作っていただくというようなことに対して、文部科学省として支援をしているところでございます。
11ページ、12ページは、今のメニュー1、2で採択され、現在プログラムの検討を行って、これからプログラムを提供していただく大学等の一覧を記載させていただいております。
13ページでございますけれども、本事業の中長期的な展望でございますが、令和7年度、本年度は、まず、プログラム開発だったり短期での提供ということを位置づけております。来年度は、それを本格運用する、受講層を拡大するというようなことが必要になってくるのではないかと。また、やはりエコシステム、自走してうまく回るようにするためには、マネタイズ、きちんとお金を払ってもらえるようなプログラムにして、大学としてもそこでお金を取って、文部科学省からの補助がなくても回るような仕組みを構築することが必要だろうということで、3から5年目にかけてはそういったことに対する支援を行って、5年ぐらいを見据えて、自走化していくというようなことを考えているところでございます。
1ページ飛ばして15ページに移動していただきまして、そういった状況も踏まえまして、本日、皆様には、この事業の今後の方向性などについて御意見をいただければありがたいと思っておりますけれども、我々としましては、現在どのようなことを考えているかと申しますと、大学、企業、個人というふうに3つパート分けておりますけれども、大学については、これは当然ですが、プログラムの質をさらに上げていっていただくことや、自走に向けた支援、こういうことが必要になってくるんじゃないかなと思っております。例えば、今年度の結果を踏まえて、さらにプログラムを改善していただく、マネタイズに関する支援を充実するというようなことが必要になってくるのかなと思います。
そして、企業という点につきましては、やはりいろいろな提言でも出されておりますけども、これは受講した方の処遇を改善していただくということを促す取組が必要なのではないかなと思っておりまして、すみません、1ページ戻っていただきまして、14ページに、最近ボストンコンサルティンググループさんに協力していただいて調査をした結果を載せておりますけれども、企業に聞いたところ、処遇改善について有効だと考えられる施策、どういうものが考えられるかというと、右のほうに行っていただいて、自社ニーズに応じた教育プログラムの開発だったり、検定資格取得につながるプログラムの提供、また、習得できるスキルを客観的に可視化する仕組み、こういったものが有効だろうと。さらに、その下の結果としては、スキルセットの整備支援が必要だと思いますかということについては、必要だと思うという多くの回答が得られております。
こうしたことを踏まえた取組というのが、15ページに戻っていただいて、処遇改善を促す取組として今後必要になってくるんじゃないかということを考えております。
また、個人については、受講者層の拡大に向けた支援ということで、処遇改善を進めることはもちろんですけれども、それに加えまして、やはり、昨今必要性がいろいろ言われておりますアドバンスト・エッセンシャル・ワーカーや、就職氷河期世代の方、非正規雇用者の方向けのプログラムだったり、オンラインで全て受講できるようなプログラムの拡大だったり、そういったようなところが必要になってくるのではないかなと。また、今年度、領域として採択できなかったもので介護だったり、蓄電池だったり、人事財務だったり、採択したもの以外にもまだ必要性がある分野があると思っておりまして、そういったところについても今後支援を拡充する必要ということが出てくるのではないかと思っているところです。
以上のような点を中心としまして、本日は、リ・スキリング、リカレント教育に関して幅広く御意見いただければ幸いでございます。
また、すみません、これは委員の方々のみに配付をさせていただいております、資料5の別配という形ですけれども、本日御欠席されている金子委員から御意見をいただいておりますので、その紹介をさせていただければというふうに思います。
今見ていただいた15ページの3分類に基づいて御意見をいただいているというような構成になっておりますけれども、(1)の大学プログラムの質向上については、1つ目、産官学が連携し、産業界のニーズを踏まえた学びのプログラムの開発などに取り組む必要があると。2つ目、社会人が学び直しを進める上で壁になっているのは、費用と時間の問題が大きい。働く場と学ぶ場を行き来することができるよう、社会人が企業に在籍しながら通学できるカリキュラムの編成、夜間や休日に開校する講座、オンデマンド講座、オンライン講座などを充実させる必要があるといただいております。
(2)企業処遇改善を促す取組としましては、1つ目、全ての労働者が能力を発揮し続けるには、能力開発の機会が等しく確保される必要がある、特に機会が限られる非正規雇用で働く者や、中小企業で働く者を後押しするため、国として能力開発が人材不足や企業の稼ぐ力の向上につながるとの認識を高めるとともに、費用負担などの支援を継続拡充することが必要である。
2つ目、自己啓発の取組に対する人事考課における考慮は、正社員でも28.8%と割合が低い。労働者の能力発揮を適切に評価し処遇改善に結びつけていく能力開発と処遇改善の好循環の実現が不可欠であるといただいております。
最後(3)個人受講者層の拡大に向けた支援としましては、労働者が自主的に本業に関連したスキル等を習得するための能力開発促進の環境整備として、長時間労働の是正や企業による有給の訓練、研修休暇などの制度導入促進が必要である。同時に、自発的な能力開発を後押しするため、(2)に記載したように、受講した研修や訓練の成果を適切に評価し処遇向上に結びつけることでモチベーションも向上することが期待できるといただいております。
私のほうからは以上でございます。
【清原分科会長】 片見室長、ありがとうございます。文部科学省の、主としてリカレント教育エコシステム事業の御紹介と、日本労働組合総連合会副会長臨時委員の金子様の御意見の紹介いただきました。
それでは、続きまして、ボストンコンサルティンググループの折茂様より、リカレント教育を取り巻く産業界、大学の状況について御報告をお願いいたします。よろしくお願いします。
【ボストンコンサルティンググループ(折茂様)】 ありがとうございます。ボストンコンサルティンググループ、マネージングディレクター&パートナーの折茂と申します。本日、大変貴重な機会を頂戴いたしまして、ありがとうございます。ここから10分程度ですか、短い時間とはなりますけれども、私のほうから、リカレント教育を取り巻く産業界及び大学の状況ということで、少しお話をさせていただければと思います。
お手元の資料、2ページでございます。今申し上げましたように、産業界の状況、それから大学の状況、この2つ、まずは産業界の状況のほうからお話し申し上げます。
次、3ページですけれども、先ほど来、この委員会でもいろいろキーワード出てきておりますけれども、非常に現代、外部環境の変化が激しい時代であるということで、まさに冒頭、塩見局長からもお話ございましたが、この生成AI、DX、こういったところが、教育もそうですし、それから働き方、産業構造の転換もこういったところに非常に大きな影響を与えているということが言えるかと思います。また、地政学のリスクというところ、日々我々もそういった報道を見るわけですけれども、こういったところ、それから気候変動・サステナビリティー、まさに今日も大変猛暑でございますけれども、こういったところを肌身に感じるところでございます。
そうした中で、4ページでございますけれども、リカレント教育というものが産業界並びに個別の企業の経営にとっても非常に必須な投資となってきているということが言えるかと思います。先ほど片見室長から御紹介のあったアンケートの中でも、企業の経営者の皆様、こういったところからも、96%の方が、リカレント教育が必要であるというふうに御回答いただいておりましたし、また、何らかのリカレント教育導入済みであるという企業様は8割を超えてきているというところでございます。加えて、導入済みの企業では88%が効果を実感しているということで、一定の取組はなされているのかなということが見えてきているところでございます。
こういった動きをする背景として、5ページですけれども、リカレント教育、当然企業からすると、何らかのリターンのないものには当然のことながら投資がないということで、やはり非常に企業経営にとっても重要な要素であるということをお示ししてございます。具体的には、この3つほど、大きな項目としてお示ししておりますけれども、まずは企業全体の競争力を強化していく、それから産業構造転換の大規模な転換にしっかりと追いついていくという意味で、この専門スキルを高度化していく必要があるということ。
それから2点目ですけれども、各職業従業員の自律的なキャリアを支援し、キャリアパスを最適化していくことで、人手不足ということは非常に言われておりますけれども、限りある人的資源というものを最大限に有効に活用していくと、そのための自立的なキャリア支援という目的もございます。
それから3点目ですけれども、エンゲージメントの向上ということで、よく、リカレントをやるのはいいけど、学んだら転職されてしまうとか、こういったところもありますが、逆に、学んだ人材がこの会社でもう一花、二花咲かせられるという、こういった思いになれば、おのずと離職もしないということで、エンゲージメントの向上に向けて配置転換、処遇反映、離職の抑制、こういった目的というのもございます。
6ページですけれども、こういった産業界が求めるニーズに対して、リカレントニーズに対して、さらに高等教育機関に期待される領域というのが一体どういうところなのかというのをお示ししたのが6ページでございます。左側、ちょっとグレーにしておりますけれども、当然企業の独自性の強い領域というのは、企業が自社で育てていくスキル領域であるというふうに我々考えてございます。一方で、一定汎用的なものですとか自社で賄い切れない部分、こういったところを社外に頼る、求めていくスキルであるということで、少しベン図のような絵が書いてございますけれども、この全体が、緑色の全体が産業界が求めてリカレントニーズだとしたときに、左側ですけれども、高等教育機関にとって魅力的なニーズ、量、重要度が存在すると。一方で、この白抜きになっている2- 2というところは、民間企業でも代替できるようなライトな領域であるというところがございます。一方で、右側ですけれども、企業にとって、これもまた頼る価値があるということで、逆にライトではなくて深い学び、長期の学びが必要な領域、こちらも、場合によってはこの白抜きの2-3というところですけれども、研究領域、ドクター・コース、こういったところがございます。この2-1という部分、この高等教育機関で提供する必要のあるリカレント領域、ちょうどこのベン図の真ん中の辺りというのが、大学がリカレント教育という形で提供していくといいのではないのかというものでございます。
具体的に7ページですけれども、特にこちらでお示ししたような5領域というのが、リカレント教育、イコール社外の教育機会へのニーズが高いと見られてございます。高度の1番から、左から順にいきますけれども、産業特化の高度専門人材、例えば半導体ですとか、先ほど室長からもございましたが、蓄電池、こういった、今後重要性が高まることが見込まれ、一定の研究専門性が必要な領域というところ。それから、2番目ですけれども、高度専門人材ということで、一定機能を特化しているようなDXの人材ですとかサプライチェーン・マネジメントとかグリーントランスフォーメーション、こういった機能特化型の領域。それから3つ目ですが、これは古くて新しい領域だと思いますけれども、経営/リーダー(候補)人材領域と。それから4点目ですが、一般社員の底上げというのも必要になってまいりますので、こういったベースのビジネススキル、実装スキル、DXスキル、こういったところを上げていくと。加えて、社会全体ということを見ていくと、ある領域では、例えばAIの活用によって少し人的リソース必要なくなるところがある一方で、エッセンシャル・ワーカーの皆様含めて不足してくる部分もあると。こういった領域が一体どこなのかということですとか、そのギャップを埋めるにはどういった教育が必要なのかと、こういったところも考えるのではないかということで、この5つの領域をお示ししてございます。
細かく書いてございますのが、次の8ページ、9ページでございますので、本日は割愛をさせていただきますけれども、10ページ、この企業側で、リカレントの導入、進んできてはいるものの、処遇に十分反映し切れていないという課題も見えてきてございます。具体的には、処遇反映できているのは3割程度ということで、実際、リカレント導入する企業が9割程度という中で、実にその3分の1というところが1つ課題かと思ってございます。
右側ですけれども、処遇反映に向けてということで、3つほど書かせていただいてございますが、1点目は、このリカレント教育を、リカレント教育と人事戦略が分割してしまうのではなくて、人事戦略の一環として捉えて制度設計をしていくというようなことですとか、2点目ですけれども、学習の効果を長期的な視点で人材育成活用につなげていくということ、それから3点目ですが、実際に2点目とも関連しますけれども、一体どういうビフォーアフターでどういう姿になっていってほしいのかということも明確にしながら、実際に受講者に向けてこういうことをこれから期待するよといったようなコミュニケーションも含めて行っていくというようなことが、今後重要になってくるのではないかと考えてございます。
それから、11ページ以降のところで、ひいては大学の状況はどうなっているのかということを簡単にお話し申し上げたいと思います。
12ページでございますけれども、こうしたリカレント教育のニーズの高まりも受けまして、大学ならではの強みを生かした取組を推進する大学、こちらは国内外で出てきているというところでございまして、具体的にはこの大学ならではのよさと大学の取組の施策という2点、簡単にお話し申し上げます。
まず、大学ならではのよさということで、やはり民間企業ではなかなか提供できないのが議論と実践の教育効果というようなことですとか、やはりグローバルの動向、最先端の知見の取組というところは、やはりその領域の最先端の研究者がいらっしゃるというところが1つ大きな強みだと考えてございます。
加えて、ある意味アカデミアという場で、この企業からも一旦少し置いておいて、いろんな領域の方々と出会いネットワーキングできるというようなところも、大学ならではのよさだというふうに考えてございます。
そうした、ならではの強みを生かすという意味での右側ですけれども、大学側で取り組んでいく施策ということで3つ書いてございますが、やはり、大学ですと、なかなか全学の取組になりづらいというところがございますので、逆に、各教授の個別の取組ではなくて、大学執行部がしっかりとコミットして全学方針に位置づけていくということが重要であるということ。それから2点目ですが、この企業のニーズをしっかりと拾い上げて、大学の持つリソースとちゃんとつなげていくという意味でのコーディネーターをしっかり配置をしていくというようなところ。それから3点目ですが、企業と一体でプログラムを開発していくというところが、大学の取組の施策の工夫として重要なポイントかと思います。
13ページ以降、ハーバード大学のお取組について、少し御紹介申し上げてございます。この大学の取組の施策ということをしっかりと取り組まれたものになりますけれども、13ページですが、ハーバード大学において、リカレント教育、実は、いわゆる学位プログラムが全収入の13%であるというところに比して、実はリカレント教育も9%ということで非常に重要な位置づけを占めているというところになります。やはり、こういった中で、ちょっと細かいので中身については細々御説明申し上げませんけれども、しっかり収入は持続性確保ということで、非常に法外な金額を取らないというところは原則ではあるものの、非常にニーズが大きいということで期待も高まっておりますし、プログラムも多数提供されているというところになっております。14ページでございますが、ハーバード大学、100年ぐらいの歴史がある、リカレント教育は100年ぐらいの歴史があるものになりますが、成人向けの多様なコースを提供されてございます。先ほど申し上げたように、収入の大きな柱の一つになっているというところですが、右側に、様々なコース、ポジショニングとありますけれども、縦軸に費用、横軸に誰を対象にしたものかということを書いてございますけれども、実際に対象にする層も非常に幅広いですし、費用面も、非常に高い、Harvard Extension School1-1というようなところから、本当にライトに受けられるような4-2のようなHarvard Online、こういったようなところまで幅広くプログラムのポートフォリオも組んでいるというところになります。
そして、最後、15ページですけれども、先ほど全学的なトップのコミットメントが重要であるということと、それから、コーディネーターというようなプロフェッショナルコーディネーターというような人材が重要であるというふうに申し上げましたけれども、この左側に組織図書いてございますが、ハーバード大学で、実際このリカレントのプログラムというものはProvostの下に非常に独立した組織としてしっかりと位置づけられているというようなところと、それから、右側ですけれども、リカレントメントコンティニューエデュケーションの中では、外部からも専門性の高い職員スタッフ集めてしっかりと給料もお支払いしながら、プログラムの企画運営、こういったところまでを提供しているというところになります。
こういった取組は、ハーバードは100年以上の歴史があるというふうに申し上げましたので、一どきにできることではございませんけれども、こういったところが目指す北極星の1つにはなるのではないかということで、御紹介をさせていただきました。
以上でございます。
【清原分科会長】 折茂様、ありがとうございます。リカレント教育を取り巻く産業界、大学の状況について御報告をいただきました。
さて、なぜ生涯学習分科会がリカレント教育について検討するのかということで、改めて、今日配付されております参考資料の2を御覧ください。これは、第12期、前期の中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理(概要)で、皆様に改めて確認をさせていただきますと、まさに、「全世代の一人一人が主体的に学び続ける生涯学習とそれを支える社会教育の未来への展開」、そして、「リカレント教育の推進と社会教育人材の養成・活躍の在り方」について、前期では提案をしているわけでございます。はじめにというところにある重要なキーワードというのが、「生涯学び続ける社会の実現及び全ての人のウェルビーイングを目指したリカレント教育」と私たちは明記しているわけでございます。そして、だからこそ「全ての人のウェルビーイングにつながる地域コミュニティを支える社会教育人材の在り方」となるわけですが、この概要の下の「社会人のリカレント教育」というところでも、企業、社会人、高等教育機関というふうに分けて、私たちも提案をしているわけでございます。
したがいまして、産業界の状況、大学の状況に焦点を当てて、本日、リカレント教育について問題提起と情報提供をしていただきました。それに基づいて御意見をいただきたいと思いますし、併せて、「全ての人のウェルビーイングを目指したリカレント教育」となっておりますので、産業界だけではなくて、例えば国も自治体もそうですが、公務の世界においてもリカレント教育は必要になってくるわけですから、皆様におかれましては、今日の情報提供、問題提起、とりわけ資料2で「知の総和」答申が示されておりますし、資料5では、15ページに本日の論点ということで、先ほど片見室長から提起をしていただきましたし、それに関連して、折茂様からは、産業界の状況と大学の状況、併せてハーバード大学についての情報提供をいただいて、13ページの冒頭には、「ハーバード大学のリカレント教育は生涯学習社会の実現が最上位目標である」ということも示していただきました。
では、いろいろ情報をいただきましたので、これからは、順次皆様から御意見をいただきたいと思います。御意見のある方は、挙手ボタンを押していただくか、会場の委員の皆様は札を立てていただくことでも結構です。ありがとうございます。最初に手が挙がりました。野田委員さん、お願いします。
【野田委員】 野田でございます。御報告いただきまして、ありがとうございました。
御指摘どおり、労働市場のニーズと教育機関が提供するスキルのマッチングや整合性を図り、産学連携でコンテンツを共同開発していくことが非常に重要だと思います。と同時に、今後考えていかなければならないのが、大学・企業・個人の3者が共通に理解し、説明できる学習の証明書、この枠組みのプラットフォームをいかに整備していくかという点で、これから重要になると考えています。今日の資料でも御紹介いただきましたとおり、日本の大学でもリカレント教育プログラムが徐々に広がりを見せており、そこでデジタルバッジやマイクロクレデンシャルといった新しい学習の証明書が次々と発行されているものと思います。マイクロクレデンシャルというのは、いわゆる、これまで長期間コストをかけて取得していたマクロなクレデンシャルである伝統的な学位に対比されるもので、特定の知識・スキルを短期間で、ニッチな内容も含め、隙間時間などを活用しながらオンラインやハイブリッドなどの様々な形式で取得する学習成果の証明になります。
こういったものが徐々に発行されるようになってきているのですが、今現場で直面している課題というのが、これらの証明書の形式や情報構造が本当にばらばらで、受け取る企業側にとっても、これは何を学んだ証明書なのか、その知識・スキルがどの程度のレベルに相当するかが判断しにくいですし、また、学習者自身からも、例えば大学が提供している履修証明プログラムなどで、せっかくいいコンテンツを学んだものの、企業にその内容が伝わるか不安で、履歴書に証明書を掲載するのをためらってしまうという声が多く上がっています。また、最近は特に、マイクロクレデンシャルの開発を検討されている大学が増えていますが、お話を伺うと、質保証の観点からどういうことに注意してプログラムを設計すればよいのか、また、マイクロクレデンシャルにどういう情報を記載すれば通用性や正当性を持ったものとして対外的に説明できるのか、といった御相談を多くいただいています。やはり国として、証明書やバッジに記載すべき、ある程度標準化された共通の項目や指針があると助かるという御要望が寄せられていまして、いわゆる通用性や相互運用性の問題として、情報の標準化や共通の枠組みの整備が必要だと考えています。この件については、既に国際的には多くの取組が進んでいまして、例えばEUのスキルアジェンダ2020ではアップスキリング、リ・スキリングを進める上で、マイクロクレデンシャルが重要な施策の1つとして捉えられているのですが、そこで出されたマイクロクレデンシャルの10の指針に基づき、発行する側、運用する側と、それを評価・承認する側が共通に理解できるような記載項目の標準化が進められています。具体的にどのような内容を載せるのかというと、まず、プログラムの質保証です。片見室長の資料にもございましたように、プログラムの認証や質保証に通じる項目だと思います。どういう知識・スキルを習得したのか、このクレデンシャルを持っている人は具体的に何ができるのか、そして、資格枠組みに照らしてどのレベルに相当するのか。こちらの会議でも3月にお認めいただいた学位、教育資格をマッピングしたものがありますけれども、今世界でも8割を超える国々が資格枠組みを持っていますので、そのクレデンシャルが例えば学士相当レベル6、修士相当レベル7であることが証明書に記載されていれば、学位プログラムで学び直しを行う際に単位に読み替えることも可能となります。さらに、学修成果の確認に活用するアセスメント手法や、クレデンシャルを取得するのにかかった時間数などが国際標準化された内容になるのですが、こういう項目を最終的な学びの証明書に記載することで、誰にでも読めて説明可能な、通用性を備えた学びの証明の実現につながると思います。
欧州以外でも、ニュージーランド、オーストラリアといった先進的な国々に加えて、近年はインド、マレーシアなどのアジア諸国、サウジアラビアやアラブ首長国連邦などの中東地域、アフリカや南米・カリブ地域などで、国を挙げたスキル戦略として、こういった共通項目の整備が進められています。日本におきましては、リ・スキリング、リカレント教育を本格的に進めていくには、こういった教育機関・学習者・雇用者の3者が共通に理解できる共通言語としての枠組みが重要だと思いますが、これはゼロからつくるのではなくて、もう既に整備されている国際的な標準指針の材料がそろっていますので、それを参考にしつつ、日本の文脈に即して形づくっていくのが重要かと考えております。
長くなりましたが、以上です。
【清原分科会長】 野田委員、ありがとうございます。リカレント教育を考えていく上では、学習証明書が重要であり、デジタルバッジあるいはマイクロクレデンシャルというのは、国際的な標準をきちんと見定めながら、統一化、標準化を図っていくべきであるという御提案、これは総合教育政策局でもかねてから課題の1つとして位置づけていただいていますので、応援をいただいたと思います。ぜひこれを再認識していきたいと思います。
それでは、内田委員、山内委員、古賀委員の順でお願いします。
【内田委員】 内田です。論点の説明、どうもありがとうございました。
私からは資料の5の論点のところで、今後の取組ということに関連して、2つほど申し上げたいと思います。
1つは、私自身も大学の中でコンソーシアム、産学連携のコンソーシアムをつくって講義などを提供するという、実際のリカレントに関わるような活動をしてきたという自身の経験からも幾つか考えたことがございます。1つは、エビデンスをどう取るかという問題です。企業の取組につなげるためには、この効果の検証というものをどういうふうにやっていくべきか、その指針やエビデンスは必要かなと思っております。
その際に、企業としての効果検証には色々な方法があると思います。例えば人材としての活力が上がったであるとか、スキルアップしたとか、技術的なところからマネジメントに至るところまで、かなり幅広い部分が含まれると思いますので、この総合的な評価をどういうふうにしていくのかというのは、議論を進めないといけないのかなと思っております。
もう一つは、全ての人のウェルビーイングにつながるようなリカレントという観点からいうと、企業にとって意味がありましたというだけではなくて、やはり個人として、このスキルアップをしたことが仕事の働きがいにつながったとか、自分自身の仕事の意味を考え直す機会になったというような機会の提供が必要なのではないかと思っています。こうした個人としてのリカレント教育に参加した意義についても、エビデンス指標に入れていくことが必要ではないかと思います。これらの2つのエビデンスをそろえていくと、企業としても意味のある活動だというふうに取り扱いしやすくなるのではないでしょうか。リカレントはどうしても、土日とか夜の実施など勤務時間外という考え方になりがちですが、本来的にはワーク・ライフ・バランスの観点からみても、そして仕事への意義づけという観点からも、勤務時間内に実施できるようにしていかないといけないと思っておりましす。仕事の一環としてやっているんだという認識をみんなが持てるような社会をどう実現するのかということが、今の日本においては極めて重要な課題じゃないかと思います。
普通はめいっぱい仕事をした後にさらに勉強するには相当モチベーションがないと継続が難しいと思いますので、これをどういうふうに変えていくかということを最終ゴールにしてはどうかと思います。
2つ目は、自走に向けた支援というふうにあるんですけれども、自走に向けた支援の中で、ある種のマネタイズなどが大学と企業とのウィンウィンの関係をつくっていくということになっていくのだろうと拝察します。いろんな事例をちょっと拝見して、少ないパイの争い合いみたいにならないかなというのが心配事の1つでした。つまり、大学としては、ほかの大学よりもよりよいプログラムをつくってお客さんを取りたいというふうになっていったときに、もちろんその競争を通じてよりよいプログラムができていくという可能性はある一方で、いろんなものが乱立し、企業としても選ぶ場合に、やはりコストの安いところを選ぶなど、価格競争的になってしまうと、本来的なリカレントの在り方というところから遠くなってしまうのではないかということを懸念いたします。
そういう意味でいうと、各大学が各自で自走するというよりは、むしろプラットフォームの作成をかなり促進していただいてはどうかと。つまり、幾つかの大学が連携をする、自分たちのところでは足りない人材というのをほかの大学と連携することによって、より総合的なプログラムを活用できるというような、このプラットフォーム推進化というものによって、不要な競争を防げないでしょうか。こうしたことを文科省に主導的に促進していただけるとよいのではないかと思いました。
以上です。ありがとうございます。
【清原分科会長】 ありがとうございます。内田委員からキーワードを2ついただきました。1つは「エビデンス」、それは企業にとっても、そして個人にとっても、リカレント教育というものが、それぞれ意味あるものとして客観的に評価されるような仕組みづくりが有用であること。2番目のキーワードは「プラットフォーム」、すなわち、もちろんいい意味での競争は必要かもしれませんけれども、やはり大学が連携する、あるいはそのリカレント教育そのものを充実するための、よりよいプラットフォームをつくることで、過剰な負担を持つことなく、よい環境整備をという御提案です。ありがとうございます。
それでは、山内委員、古賀委員、続けて加藤委員、塚本委員の順でお願いします。それでは、山内委員、お願いします。
【山内委員】 ありがとうございました。まず、文科省が今進めているこのような試行は非常に重要ですので、さらに深めて進めていただければと思いますし、折茂さんから御報告いただいたように、アメリカでも非常に先進的な事例がたくさんあるということだと思います。実は私、東大がedXに参加するときにハーバードの方といろいろお話をしましたが、ハーバード大の仕組みはとてもよくできており、もうかったお金を、先生が授業するときに結構負担がかかるところに上手に回して、先生が新しい授業開発をやりやすいようにしているというのは非常に重要だなと思いました。
一方で、ただ、ハーバードがうまくいっているのは、先ほど文科省の方が三すくみと言いましたが、もともとアメリカにおいてよい循環があるのに加え、英語で展開するとグローバルに市場があるので、お金を得られやすいという状況があると思うんです。我々は、もちろん英語でやればたくさんの方に受講いただけるのですけれど、やはり日本語を母語とする方にいかに仕組みつくるかということを考えると、三すくみの状況に戻るわけです。そうすると、大学側のメリットとして、お金を持っていくのはなかなか率直に言って厳しいところで、私の提案は、もちろん最終的にはこの三すくみが解決してハーバードのようになるとよいなと、まさに北極星的な存在としてとらえているのですが、当面の目標としては、むしろ大学院に社会人を呼び込むためのパスとして位置づけるほうが、大学としては、実はモチベーションを維持しやすいのではないかと。
実際、私が所属する情報学環という部局では災害対策エグゼクティブプログラムというリカレント教育プログラムを持っていまして、私自身は大学院新領域創成科学研究科がやっているスマートシティースクールというのに出向しているんですけど、そこは企業の方とか、自治体の方とかが、スマートシティーに関心がある方が来られるんですが、私は教育とDXに関して講義しているんです。ただ、別に関係ないように見えたとしても、大変熱心に聞いていただいています。普通の企業だと気がつかないような新規事業の面みたいなのについて結構考えたり、より深い問題をつくったりするみたいなことが実際に起こっていて、かなり好評なんです。
逆に言うと、そういうある種リカレント教育だと、さっきのウェルビーイングにもつながるし、かつ、それは大学院で研究のテーマにもつながりやすいので、それこそ先ほど野田委員がおっしゃったように、マイクロクレデンシャルで、そういう営みが定式化されていくと、多分1年ぐらいで修士号が取れるような仕組みをつくれると思いますから、いわゆる生涯学習と高等教育を上手に連結するようなことができれば、大学側も大学院を充実したいとみんな思っているので、お金がすぐ入ってこなくても、モチベーションにつながるのではないかと思いまして、意見を述べさせていただきました。
私からは以上です。
【清原分科会長】 山内委員、大変具体的な御提案ありがとうございます。「知の総和」答申でも、大学院教育の改革というのは明確にうたわれていて、研究力の強化もそうですけど、今おっしゃったように、大学院教育あるいは大学教育と生涯学習との連携がよりよく設計されるといいなと私も共感して聞いておりました。ありがとうございます。
それでは、古賀委員、お願いします。
【古賀委員】 古賀です。この会議では、中間支援NPOとしての発言をさせていただいておりますが、2年前から専門職大学院のビジネススクールの教員も担当しておりまして、今日はその視点で意見をさせていただきます。
私が所属しておりますのは、地方都市の公立大学法人に設置されている専門職大学院、MBAを修得するビジネススクールです。直近の、今年度の入学者の傾向としまして、従来のような公務員や企業の従業員に加え、事業承継の流れもあいまって、数年後に社長に就任予定となり改めて経営のことを学ばなきゃいけないという方だったり、実際に事業承継をされたばかりの経営者の方だったりと、「事業承継」というトレンドも如実に表れているところです。加えまして、外国人も増えておりまして、中には正社員として働き始めていて、自らのキャリアプランの実現に向けて今のうちにリ・スキリングしておきたいという志を持っている方もいらっしゃっています。
幸い定員を超える志願をいただいて非常に活性化をしてきているところなんですが、ここ数年こうした学生の動向を見ていて、改めて感じていますのが「学びのナビゲーションシステム」みたいなものがあればという点です。
具体的には、新たな学びを始める前の段階で、何か学ばないといけないと考え始める段階において、リ・スキリングなりリカレントにいざなう仕組み、例えばそもそも自分の今の立ち位置、あるいはこれからのキャリアプランで何を学ぶべきなのか。今持ち合わせている時間とかお金とか、もろもろの条件下でどのように学ぶことが可能なのか。それから、先ほどの御発表にも「ビフォーアフター」という言葉がありましたが、どうなっていきたいのか、自分のアウトカムを描けるような、何かそういう仕組みがあればいいなということを常々感じております。本学でも入学後、取りあえず必修科目から始め、そこから選択科目という形になっていくんですが、その過程で、「この科目も取得しておけばよかった」という声も聞かれることが度々あります。要所要所で学びの状況を自己点検でき、かつ終了後も学びを絶やさない、中には学んだら終わりになる方もいらっしゃいますので、例えば「修了しても科目履修をしよう」とか、あるいは「別の大学院に進学しよう」とか、学びの意欲と学びの具体的なアクションを持続できる伴走なりフォローアップも可能な、そういうナビゲーションシステムのようなものがあればいいなと思っています。
加えて、社会人大学院生の中には、エリアを越えて横のネットワークをつくろうという動きもありまして、異なる大学院の学生同士で学び続けるオンラインコミュニティーもできているようです。併せてそういうものと連動していくと、先ほどの「プラットフォーム」がよりよくなっていくように思いました。
以上です。
【清原分科会長】 古賀委員、ありがとうございます。専門職大学院での御経験から「学びのナビゲーションシステム」があればいいし、「広域的な大学院間のネットワーク」、「プラットフォーム」が有効ではないかという御提案いただきました。ありがとうございます。
それでは、加藤委員、お願いします。
【加藤委員】 加藤です。よろしくお願いいたします。私は、日本語教員養成と、日本語教育にも携わっておりますが、本日は、前者の日本語教員養成機関の立場で、企業や機関というより、教員個人の視点から、このリカレント教育やリ・スキリングについて申し上げたいと思い、手を挙げさせていただきました。
今、多文化共生社会の実現が目の前に迫る中で、リカレント教育やリ・スキリングを通じて、国家資格である登録日本語教員を目指すことは、非常に意義深い取り組みだと思っています。登録日本語教員になる道には、大学で養成されるルートと、私どものような民間の養成講座を終了するルートと、大きく二つがあります。
特に民間の養成講座では、受講生の多くが社会人経験を有する方たちで、まさにリ・スキリングの担い手です。多くは教育分野以外の出身ですが、それぞれの職業経験や専門性を活かして、外国人の就労、生活、学習を支援することで、地域社会の活性化や人材不足の解消にすでに大きく貢献しています。
また、教育現場における人材不足の補完という点でも重要な役割を担っていますし、個人にとっては、キャリアの再構築や社会参画の機会としても大きな価値があります。
日本語教員という職業は、年齢やこれまでの背景に関わらず、新たな社会的な役割を担うことができる点で、とても開かれたものだと考えています。一方で、文部科学省の資料等でもわかるように、日本語教員は十分に増えているとは言えない状況です。そうした中で、リ・スキリングやリカレント教育は、これから不足が見込まれる日本語教員の確保に向けた有効なアプローチの一つになるのではないかと考えております。
加えて、経済産業省によるリ・スキリングを通じたキャリアアップ支援事業の活用によって、受講者の経済的負担も軽くなりつつあり、受講のハードルも下がってきています。こうした制度が人々のウェルビーイングの実現に貢献し得る存在として、さらに広がっていくことを期待しております。そのような思いを込めて発言させていただきました。
以上です。
【清原分科会長】 加藤委員、ありがとうございます。日本語教員の事例から、個人の視点ではキャリアの再構築あるいは社会参加、地域参加の成果を実感できるということ、また、文部科学省だけではなくて経産省の支援事業などの活用もあるということですから、各省の連携というのも必要になってくるかもしれません。事例に基づく御意見、ありがとうございます。
それでは、塚本委員、そして戸田委員の順でお願いします。まず、塚本委員、お願いします。
【塚本委員】 どうもありがとうございます。外資系企業に勤務後、地方の国立大学の非常勤理事と、日本企業の社外取締役を幾つかやらせていただいておりますので、大学と企業の両方の立場から発言させていただければと思います。
大学、企業、個人という3つの視点があったと理解しております。大学に関しては、今回ご紹介のあったリカレント教育エコシステムについては、採択していただいて、地域の課題と地域の企業、さらに業界団体、自治体、そこに必要となる外国人人材も含めて教育という軸でとても良い好循環をつくっていただいて大変感謝をしております。
1つ気になっておりますのが、参加者からの受講料です。国立大学の先生たち清らかな人が多くて、民間企業の相場とは大分違う安い値段をおっしゃってくださったりするので、これぐらいは適性というようなものを文科省さまなどから出していただけると、大学関係者も適切な金額を設定し、無理なく自走につなげるということがうまく回って行くのではないかと思います。
また、企業に関しては、室長、ボストンコンサルティングさまからもご指摘がございましたが、処遇改善するためには、企業が必要なスキルを可視化することも重要ですし、キャリアパスに関して個人と会社がお互いに納得の上でプランを作るということも必要だと思います。現段階では、キャリアパスインタビューなど将来の育成について、まだなさっていない企業も多々あります。社員のキャリアパスについての希望が分かれば、現在の従業員のレベルを把握し、今後なりたい姿となるために、そのギャップを埋めるために何を勉強すればいいかというのがはっきりすると考えます。スキルを可視化すると同時に、キャリアパスに関してインタビューして、個人と企業の双方が理解し合うというものも入れたほうがいいとすると、処遇改善につながるのではないかと思います。
また、上場企業に関しては人的資本の開示というのがあり、有価証券報告書にも記載されるようになりました。最近成長戦略と一体となった人的資本の開示をするという議論が進み、金融庁がパブコメをそろそろなさるとなっています。もしも開示義務の中に、リカレントにどれぐらいお金をかけていて、どういうふうにしているのかというのが入ると、企業はきちんと用意するのではないかと思います。
最後に、個人のことです。皆さまがすでにおっしゃったように、「生涯学習をし続けるとよりよい仕事が就ける、よりよい豊かな生活ができる」という認識はあんまり国民一人一人に浸透していないと思われます。そのようなマインドセットが生まれるようなキャンペーンというか気持ちづくりなどのような風土作りもあると良いのではないかと感じます。例えばスウェーデンの友人と話をしていると、「勉強し続けていれば、仕事はあり続ける」ということを確信しているように感じます。国民一人一人がよく理解しているから、社会全体が好い循環となるような雰囲気が醸成できると良いのではないかといいかと思っています。
以上、勝手な発言で失礼いたしました。
【清原分科会長】 塚本委員、ありがとうございます。大学の観点からは、授業料について問題提起をいただきました。また、企業については、キャリアパスと処遇改善の関係、また、リカレント投資に対する金融的な位置づけの意義で、最後に個人としては、リカレント教育をすることに対する社会的な機運の醸成が、まず必要ではないかという御提案いただきまして、ありがとうございます。
それでは、戸田委員、よろしくお願いします。
【戸田委員】 本日は御報告、そして折茂さんの御発表を聞きまして、大変参考になりました。私も加藤委員と同様に、日本語教育を担っている立場、そして、1つの、小さいんですけれども、組織の代表として意見を述べさせていただきます。
まず、日本語教育の立場からです。今後、外国人材の受入れ、留学生の受入れが拡大するという中で、リカレント教育、リ・スキリング教育の中に外国人材という方々も含まれてくると思います。そのときに、雇用主の理解というのがどれだけ得られるのか。特に中小の場合ですと、なかなか難しい。そして、それが教育を受けた後の処遇改善にどうつながるのかというところの理解を深めていただきたいと思っています。高度人材だけではなく、多種多様な外国人材の方々へのリカレント教育の推進と、理解と推進というところをお願いしたく思います。
それからもう一つ、今日のこのリカレント教育の資料の最初に、日本社会の高齢化ということが挙げられていました。実は、2024年度に発表された調査によりますと、日本国内に在住する外国籍の高齢者というのが10年前の1.5倍に増えていまして、更に日本全体の高齢者の約180人に1人が外国籍の方、在留外国人であるという数字が出ております。その方々の問題というのが社会的な孤立ということなんですけれども、先ほどハーバードのリタイアした後の教育というのが示されていましたけれども、非常に心強いなと思ったのは、高齢者も社会を構成する一因であるというところから、日本語教育の継続はもちろん、活躍できる、孤立させずに活躍できるリカレント教育、高齢者のための教育というのが必要ではないかと考えております。
もう1点、小さな組織ではありますけれども、組織の代表として感じていることは、今日の折茂さんの資料の中で、大変なるほどと思ったのが、7ページの、特にリカレント教育へのニーズが高いと見られるという5つの領域についてです。これを当協会で働いている人たちに、それぞれ受けてもらったらというか、受けてもらいたいなと思いました。しかし、内田委員がおっしゃったように、やはり働きながら学ぶことの体力的な、気力も体力もですけれども、難しさがあります。リ・スキリングについて、協会の中で推奨しても、忙しい、時間がない、介護、子育て、いろんな事情で受けられないという声を聞きます。やはり就業時間内で受けられるというのが理想的だと思うんですけれども、一方で、ある職員が受けている間、その職員が組織の中にいない、その時間帯いないということになると、また経営する側としても、そこをどういうふうに補完していくのかという、経済、財政、財務の面から考えても難しいと思っております。
以上でございます。
【清原分科会長】 戸田委員、ありがとうございます。1点目は、外国人材についても、リカレント教育を受けられるという雇用主の理解が重要だということ。2点目、日本人であれ外国人であれ、高齢化が進んでいく中での孤立させない意味でのリカレント教育の意義。3点目は、勤務時間内にリカレント教育できればいいけれども、その難しさもあるかもしれないという問題意識を御紹介いただきました。
以上、大体御意見は出そろったと思うのですけれども、今まで出ました意見について、片見室長、そして折茂さん、何かコメントありましたら御発言どうぞ。
【片見リカレント教育・民間教育振興室長】 委員の皆様、様々な御意見をいただきまして、誠にありがとうございます。一つ一つの意見は、言ってしまうとちょっと時間があれですけれども、それぞれいただいた意見を踏まえて、今後さらにしっかり検討していきたいというふうに思っておりますし、清原先生からありましたように、文科省の中でも、まず、高等教育局との連携というところもありますし、政府内でも、経済産業省、厚生労働省の連携、今でもやっているところはありますけれども、そういうところをもっと密にしていかなければいけないなというふうに再認識いたしました。
あとは、全体的に、いろいろな方々の共通理解やつながり、そういったところがちょっとキーワードになってくるのかなということも感じておりますので、そうしたことも何か考えていければなと思っております。ありがとうございます。
【清原分科会長】 ありがとうございます。どうぞ、折茂さんも一言どうぞ。
【ボストンコンサルティンググループ(折茂様)】 すみません、ありがとうございます。
いただいた御指摘、本当にいずれもそのとおりだなというところと、私自身、学び直しがちゃんとできているのかというと、業務に忙殺されている部分もありますので、御指摘のところも、そのとおりというふうに思っております。
一方で、私ども民間企業のお客様、多数いらっしゃいますけれども、どうやるかはさておき、これは組織全体として学び直しをしていかないと、この10年後の会社はないなというのが、経営陣の皆様の非常に共通理解でございます。こういったところを一どきに全てを変えるというのは非常に難しいところだと思いますが、かといって、一歩も踏み出さないと本当にすくんだまま縮んでしまうということだと思いますので、まさに文科省様の今の事業も含めて、その一歩を踏み出す1つのきっかけではないかなと思っておりますので、我々も引き続き精進してまいりたいなと思ってございます。
以上です。
【清原分科会長】 ありがとうございます。寺坂高等政策室長も何かありますか。
【寺坂高等教育政策室長】 ありがとうございます。大学に関するコメントもたくさん頂戴いたしましたし、また、大学院教育との連携という観点でも御意見をいただいたと思います。2月の「知の総和」答申に記載されていた方向性とも、方向性に沿った御意見をたくさんいただいたかなと思っておりますので、我々が答申に基づいて進めていく際にも、総政局との連携もさせていただきながら取り組んでいきたいと思っております。ありがとうございます。
【清原分科会長】 ありがとうございます。塩見局長、一言いただけますか。
【塩見総合教育政策局長】 ありがとうございました。すみません、ちょっと油断しておりまして、申し訳ありません。
本当に大変すばらしい御意見たくさん頂戴したと思います。リカレント教育というのは、冒頭の御挨拶でも申し上げましたけれども、やはりそういう学び続けていくということが不可避な社会になってきていると思いますし、また、いろいろ今日の御意見にもありましたように、学んでいくことがそれぞれの本人、一人一人のウェルビーイング、幸せにつながっていくん社会をいかにつくっていけるかという視点で取り組んでいくことが大事だと思っております。特に、その中で高等教育機関、特に大学をはじめとする高等教育機関が果たす役割、非常に大きいと思いますし、また、特にこの学びの強みであります、学ぶことだけではなくて、そこでの仲間づくり、ネットワーキングといったことの強み、そういうものをこのリカレント教育の中でも生かしていくということも含めて、新しいやり方というものをさらに御議論いただいてよいものをつくっていけたらと思いました。どうもありがとうございます。
【清原分科会長】 塩見局長、ありがとうございます。今おっしゃってくださったように、まさに本日、リカレント教育について、片見室長が、「大学、企業、個人という視点から意見を」ということを言っていただいたことによって、どれ一つ欠けてもリカレント教育は成り立たないわけで、私たちとしては、個人のウェルビーイングを第一義的に考えたとき、やはり企業が、個人が学ぶということに対して理解をきちんと持ってもらい、まさに「人材」を材料の「材」ではなくて、貝偏の「財人(たからびと)」として、どれだけ企業が考えるかということによって、企業にももちろんメリットがあるし、企業がいい活動ができれば、働く人もさらに生きがいを持てるし、自分の私生活も充実していくでしょう。そして、その学びの仕組みを今までしっかりと築き上げてきた大学、大学院の皆さんにも、改めてリカレント教育に視点を持っていただくことによって、まさに地域の活力、地方創生、そして全体としての人々の生涯学習の保障も担ってくださっているということを再認識していただけるのではないかなと思いました。大学も変化をしようとしている「知の総和」を求めて、その知の取組をするのが一人ひとりの学習者でありますから、そういう意味では、本当に今日皆様の御意見が一人ひとりのウェルビーイングを実現していくために向けられたと思います。
そして、大事なのは、今デジタル社会でもございますので、一人ひとりの学習履歴というものがしっかりと客観化されて、自らも設計できるし、他者からもそれが評価されて、よりよいものになっていくための仕組みというのも、やはり、私たちもこれまでも提案してきましたし、ぜひ国におかれてもさらにその分野についても研究をしていただければなと思います。
予定の時間が近づいてまいりました。本日は、報告も多く、皆様には生涯学習分科会の一員として共有をしていただきたいものを共有できて、ありがとうございました。さらに、リカレント教育につきましては、生涯学習分科会が前期から引き継いだ重要なテーマでございますので、そのことについて、皆様がそれぞれの実践を通して建設的に御提案をいただきましたので、さらに次に進むことができるのではないかなと思います。特に、山内先生が、「リカレント教育が私たちの生涯学習と、そして高等教育を包含するようなものになっていく」ということを言っていただいたら、片見さんが、「連携が重要」ということを改めて言っていただいたので、省内の連携だけではなくて、また、企業、大学、個人のつながりだけではなくて、ほかの省庁とも有意義な連携をしていただくことで、国民にとって充実したリカレント教育が進みますように、私たちもさらに貢献をしていきたいと思います。
本日も熱心な御審議をいただきまして、本当にありがとうございます。それでは、本日の審議はこの辺りとさせていただきます。事務局から御連絡事項ございますか。
【粟津生涯学習推進課課長補佐】 前回の分科会において御決定いただきました生涯学習分科会の運営規則に基づきまして、書面議決を行ったもの、さらには日本語教育部会で議決を委ねているものについて参考資料でお配りしております。こちらも御確認いただければと思います。
事務局からは以上です。
【清原分科会長】 それでは、資料の御確認よろしくお願いいたします。なお、本日も私たちの体温を超えるような気温が全国で表示されております。本当に御報告にもありましたが、地球の温暖化、私たちの生きる環境の変化というものが、いろいろな課題にあらわれていますけれども、まず、健康第一でございます。次の生涯学習分科会でも、皆様、お元気にしていただいて再会をしたいと思います。
それでは、本日の生涯学習分科会はこれにて閉会いたします。傍聴してくださった皆様、ありがとうございました。御出席の委員の皆様、どうもありがとうございました。
以上です。
〇会議後に関委員より寄せられた意見
議題(5) リカレント教育の推進の現状について
1.経済活動の発展に資するもの以外のリカレント教育に対する配慮
今回の議論は「骨太の方針」と密接に関連するものとして、2040年以降の社会を見据えた持続可能な社会の創り手の育成にフォーカスしたものであったと考える。第4期教育振興基本計画の目標8の議論の際、当初の記載が「リカレント教育をはじめとする生涯学習の推進」であったことを思い出した。人生100年時代の生涯学習においては、産官学金が連携・協働してプラットフォームを構築し、従来の富士山型の人生設計ではなく、八ヶ岳型の人生を歩んでいく若い世代の人生設計に貢献できるリカレント教育が重要であることを再確認した。
その上で、生産年齢層の職業キャリアに直結するリカレント教育やリスキリングだけではなく、リタイア後の人生、いわば「下山」の時代の人生設計においても、学び直しの必要性を強く感じた。家庭を維持し、子どもを育て、会社人として貢献する時代を終えた後に、これまでの人生を振り返り、人間として学んでおく必要があったと一念発起して学び直しに取り組む人の存在を目の当たりにすることが多くなった。若い時期には関心があっても時間に追われて学ぶことができなかったリベラルアーツ的な学問や、地域に根差した歴史や民俗に関する研究に取り組む高齢者層の存在は決して少なくないと感じている。社会の文化的成熟を高める観点からも、経済的価値に限らず、自らの人生を総括し、自らの存在価値を確認するための学び直しに対しても温かい眼差しを持つべきではないかと考える。
定年退職後の人の中には、それまでの「会社人」としての人生を「社会人」として再構築しようとする人が増えている。地域コミュニティの中で他者のために役立つことに取り組みたいと考え、社会教育主事講習を受講して社会教育士となり地域活動に関わる人や、子どもたちのために役立つことに挑戦しようと児童心理や体験活動について学ぶ人もいる。地域コミュニティの再生を図る上でも、学び直しや学びほぐしに取り組む姿勢を持った人財は重要な存在である。昨日の議論で、日本語教育の教師育成や地域づくり人材に関する話題もあったが、リカレント教育の領域はさらに広げていくべきではないかと考える。
2.社会教育がリカレント教育に貢献できる可能性を見出すべきではないか
最先端の科学知識や学術研究の領域については、大学等の高等教育機関に依拠せざるを得ず、公的社会教育施設が提供できるプログラムは基本的・導入的な内容に限られる面がある。また実態として、就労していない層が主な対象となることが多く、就労者層に対する学習機会の提供は限定的である。
その中で、社会教育主事講習については、現在オンデマンドで受講できるよう運営を行う機関も増えており、自宅で学ぶことや公民館等で集合受講することも可能となっている。社会教育主事講習の受講をリカレント教育の一環として積極的に情報発信することができれば、新たな地域づくり人材の育成につながると考える。その際には、現在特別部会で議論されている講習内容の「二階建て」構造の見直しも含めて検討すべきではないか。
もう一点は、学習相談および学習情報提供機能の拡充である。どのようなリカレント教育の機会があるのかを一元的に把握でき、その内容について相談に応じることができる機能を、生涯学習センターや中央公民館等が担うことが望ましい。リカレント教育プラットフォームが構築される際には、社会教育もその一員として参画し、ハブ機能を担うべきである。また、その中で職業経験に基づく専門性を有する社会教育士がいれば、オーガナイザーとして活躍することも期待できる。
3.リカレント教育に取り組むことができる企業や人と、それが困難な企業や人との分断の回避
大企業においては、系統的な研修や人材育成戦略のもとで独自のリスキリングやアップスキリングが行われていると考えられる。一方で、中小企業や個人事業者においては、時間的・予算的余裕が限られているため、リスキリングの機会を得ようとしても、それを実際に活用することが難しい場合も多いと考える。一部のエリートに限定された機会提供とならないよう、すべての人のウェルビーイングの実現につながる仕組みの構築が求められるのではないかと感じた。
リカレント教育が、国民一人ひとりの自由な意思に基づく学びとして発展していくのか、それとも一部の企業や個人に限られたものとなるのかは、社会人になる以前の教育段階において基盤が形成されているかどうかにも関わる問題であると感じた。先導的な人財と基盤を支える人財の双方に対して、それぞれにふさわしいリカレント教育が提供されることにより、2040年以降の持続可能な社会の実現につながるのではないだろうか。
――了――
電話番号:03-5253-4111(内線3273,2972)
メールアドレス:syo-bun@mext.go.jp