生涯学習分科会(第120回) 議事録

1.日時

令和4年7月25日(月曜日)10時00分から12時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎4階第3会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. 議論の整理(案)について
  2. 生涯学習分科会において審議すべき今後の検討課題について
  3. その他

4.出席者

委員

(分科会長) 清原分科会長
(副分科会長) 牧野副分科会長
(委員)清水委員,中野委員,萩原委員
(臨時委員) 関委員,薗田委員,辻委員,松本委員,山内委員,横尾委員

文部科学省

(事務局)藤原総合教育政策局長,里見大臣官房審議官,黄地地域学習推進課長,神山生涯学習推進課長 他

5.議事録

【清原分科会長】 
皆様,こんにちは。定刻になりました。ただいまから第120回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。本日は大変御多用のところ御参加いただきまして,誠にありがとうございます。

 本会議は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため,ウェブ会議方式にて開催させていただいております。

 本日の議題ですが,前回会議までの御意見を踏まえまして,事務局において,議論の整理の案に追記や修正をして頂きました。これについて事務局から御説明をしていただいた後に,皆様と議論を行っていただきたいと思います。

 なお,本日もユーチューブ上で,報道関係者及び一般の皆様の傍聴を受け入れております。報道関係者等より,会議の全体について録画を行いたい旨の申出がございまして,許可しておりますので,どうぞ皆様,御承知おきください。

 次に,事務局から,ウェブ会議方式の運営に当たりまして,留意事項の説明及び配付資料の確認をお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 事務局の中村でございます。本日はウェブ会議方式にて開催させていただいております。御不便をおかけすることもあるかと存じますが,何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。

 ウェブ会議を円滑に行う観点から,4点ほどお願いをさせていただきます。

 1点目,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいよう,はっきり御発言をお願いいたします。

 2点目,御発言の際にはお名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。

 3点目,御発言時以外は,マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。

 4点目,発言に当たっては,手を挙げるボタンを押していただき,御発言後はボタンを解除いただきますよう,よろしくお願いいたします。

 お手数をおかけいたしますが,御協力のほどよろしくお願いいたします。

 続きまして,資料の確認をさせていただきます。議事次第及び資料の1から資料の2までの資料を配付しております。資料の2は,本日御審議を頂きませんが,先日,書面にて委員の皆様に御審議を頂き,承認を頂いておりました社会通信教育の認定及び廃止等について答申を頂いたものでございます。改めて本日の会議資料として,書面で御報告させていただくものです。皆様,事前の御協力ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。それでは,もう1点議事に入る前に,文部科学省において人事異動があったということでございますので,事務局から御紹介をお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 事務局の中村でございます。事務局に人事異動がございましたので,新たに参りました職員を御紹介いたします。

 まず,総合教育政策局担当大臣官房審議官の里見朋香でございます。

【里見審議官】 
 里見でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 よろしくお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 続きまして,地域学習推進課長の黄地吉隆でございます。

【黄地地域学習推進課長】 
 地域学習推進課長の黄地でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 よろしくお願いいたします。それでは,里見審議官,黄地課長さん,くれぐれもよろしくお願いいたします。

【黄地地域学習推進課長】 
 よろしくお願いします。

【清原分科会長】 
 それでは,議題の1,議論の整理案について入ります。

 今回は,前回の会議でお示しいたしました議論の整理の案を基礎といたしまして,前回の会議の中で,あるいは会議後に委員の皆様から多くの意見を頂戴いたしました。それを事務局において追記・修正をして頂きました。これについて,本日さらに委員の皆様から御意見を頂きたいと思います。

 それではまず,事務局から資料の1につきまして説明をしていただきます。その後,皆様と質疑応答・意見交換を行いたいと思います。

 それでは,事務局の神山課長さん,御説明をよろしくお願いいたします。

【神山生涯学習推進課長】 
 神山でございます。それでは,お手元の資料の1に基づきまして,修正点について御説明をさせていただきたいと思います。

 まず,資料1の表紙でございますけれども,副題を表紙のところに移動させてきまして,また,副題自体も,特に前半部分についてウェルビーイングに触れる形で修正をするということで,今の案では「全ての人のウェルビーイングの実現に向けて,共に学び,支えあう生涯学習・社会教育」という副題にさせていただいてございます。

 続きまして,目次のところは若干修正ございますが,それぞれのところでまた御説明をさせていただきます。

 その次,3ページ目の「はじめに」を御覧いただきたいと思います。「はじめに」のところでは,一番最初のところは,GIGAスクール構想についてこれまでも触れておりましたけれども,全ての子供たちの学びを保障できる環境整備のためにやっておったという趣旨を踏まえて修正をしたり,社会的に広く活用されているICT端末普及などの流れにも言及するような形で修正をしてございます。

 同じページの次の白丸でございますけれども,生涯学習分科会の第11期に当たる時期の話を追記しています。中身としましては,例えばデジタル庁が発足をしたという話ですとか,ウェルビーイングに関しましても,その官民を超えた共通の関心事項になってきておりますということについて新たに触れてございます。

 さらに,前回御意見もございましたことを踏まえまして,あらゆる暴力のない社会を目指して,社会的包摂や共通価値の尊重を促進する上で,教育が重要な役割を果たすという認識を広く共有していく必要があるという点について触れております。これについては,あらゆる暴力の阻止ですとか共通価値に関しての参考として,一番下のところで,平成28年の教育大臣会合における「倉敷宣言」にも言及する形にしてございます。

 続きまして,5ページ目に参ります。5ページ目は生涯学習・社会教育をめぐる現状と課題ということでございますが,Society5.0ですとかDXについて,下の方で脚注にその追記をしてございます。また,一番上の白丸のところでは,その変化を前向きに受け止めて,未来の社会を自立的に生きていくのだと,予測が困難なだけではなく,変化を前向きに受け止めて,未来の社会を自立的に生きていくということにも言及をしてございます。

 その次の白丸では,下の2行は少し場所を移動してございます。

 その次の白丸に関しましては,サイバーセキュリティのところで重要性を増しているのだという話ですとか,個人の不安を解消し得ることにつながるといったことに触れてございます。

 それから,6ページ目に参りまして,先ほどの2行を移動したものがこちらの最初の白丸になってございまして,さらに,そこにデジタル田園都市国家基本構想に触れるような形にしてございます。

 さらに,同じページの社会的包摂に関する3つ目の白丸におきましては,困難を抱える家庭や子供たちというのが少し分かりにくいという御意見もございましたので,「特にひとり親世帯において深刻とされる貧困の状況にある子供」といったような形で記載を改めてございます。

 また,その次の白丸で,学習の重要性に関する部分ですが,学習習慣に関することとしまして,日本企業のOJT以外での人材投資については諸外国と比較して低水準・低下傾向にあるなどの調査結果があるということを7ページの頭にかけて記載を追記してございまして,それを踏まえ,学びやすい環境の整備が必要だということに言及をしてございます。

 続きまして,7ページの中の2つ目の白丸に関しましては,政府における取組といたしまして,「新しい資本主義」におきまして,人への投資が重要な投資となっておると。なので,生涯学習・社会教育の一層の振興が求められるといった文脈のことを数行追加させていただいてございます。

 あと同じページの一番の下のところでは,社会に開かれた教育課程についてこれまでも言及をしておりましたが,注釈のところで,前回,牧野委員からも御指摘ございましたけれども,それが求められた背景のようなことについても,注釈の形で言及するようにしてございます。

 続きまして,8ページでございますけれども,8ページに関しては,地域コミュニティと生涯学習・社会教育の連携のところでございまして,従来一番最初の白丸で連携が図られているとなっていたところを「連携を深めることが重要となる」という形で修正をしてございます。

 そのほかの部分は若干の文字の修正でございますので,9ページに参りまして,2の生涯学習・社会教育が果たしうる役割に関してでございます。

 これについては,まず1)の生涯学習・社会教育に関してというタイトルだったんですが,それを「生涯学習・社会教育の基本的な役割」と修正をした上で,その最初の3行が2全体のイントロのような内容でございましたので,1)のタイトルの位置を少しずらしてございます。

 同じページの中の生涯学習に関する書いた部分でございますけれど,2つ目の白丸のところで,前回分かりにくいという御指摘もございましたところについて修正をしておりまして,「障害等により,あるいは長期にわたる欠席や中途退学を経験したことにより,十分に力を付けられずに中等教育を終えた若者をはじめとする」といった言い方にさせていただくとともに,その次の行のところで,「進学を含む新たな社会生活や職業生活」ということで,必ずしもその障害のある方々が進学などをする機会がないわけではなく,必ず職業に就くというわけではないという趣旨のことを反映させてございます。

 その次の白丸のところでは,ウェルビーイングという言葉がここで出てまいりますので,下の注釈で,従来も注釈を書いておりましたが,内田委員から中教審の教育振興基本計画部会の方で御説明を頂いた資料などもございましたので,そういったものを参考に,下の注釈のところでウェルビーイングについて,個人のみならず個人を取り巻く「場」が持続的によい状態であることまでを含む包括的な概念ということも含め,下のところに書かせていただいてございます。

 それから,10ページ目でございますけれども,10ページ目では,一番上のところで,内容に関する当事者というところが若干分かりにくいということで,ここでは「教え学び合う当事者」という言い方に修正をしてございます。そのほか字句の修正をさせていただき,同じページの下の方ではウェルビーイングの実現に関しまして,2つ目の白丸,このページでは一番下の白丸を追加してございまして,先ほどの注釈のようなものも踏まえながら,ウェルビーイングについて考え方についてもう少し丁寧な説明を追加させていただいております。ウェルビーイングについては,その個人を取り巻く周囲の他者ですとか,その個人が暮らす社会の良い状態や希望を持てる状態であるかという側面にも注目する必要があるということですとか,社会的環境が持続的に良い状態になるように,個人の周囲の環境を支えていくアプローチが必要といったことに言及してございます。

 続きまして,11ページは用語の見直しをところどころしておりまして,例えば一番下のところでは前回御意見のありましたスキルアップという言葉を「アップスキリング」に直すなどの修正をしております。

 12ページに参りまして,地域コミュニティの基盤としての役割の部分でございますけれども,最初の白丸では,「個人の成長や自己実現」といったことを追加させていただいたり,そのパラグラフの最後のところでは,「それを支える場やつながりもターゲットにする」といったような修正をしてございます。

 また,その次の白丸では,「一般行政の基礎ともなる地域住民の信頼関係や相互支援の気風をつくるなど,社会基盤の形成の役割を担ってきた」ということで,社会基盤形成の部分をもう少し分かりやすく書かせていただいてございます。

 その次の白丸,「公民館等」で始まる白丸でございますが,ここでは,従来新たに活動を始めると書いておったのですが,別に始めるものばかりではないということで,「地域で活動する」という形の記載ぶりにしてございます。

 それから,同じページの一番下の白丸のところでは,地域住民に関しまして,自治会ですとか青少年健全育成協議会,それから,御意見もありましたPTAのお話も触れるような形で修正をさせていただいてございます。

 それから13ページでございますけれども,社会的包摂に関する4)でございます。

 これの2つ目の白丸のところでは,社会的制約のある方々を並べておる中で,「貧困の状況にある子供」についても触れるような形にしてございます。

 また,その次の白丸では,「国民全体のデジタルリテラシーの向上のための取組を進め」るということを追記したり,さらにその次の白丸では,従来書いてあったことに加えて,「ユニバーサルデザインの観点で改善を図り」ということで,このパラグラフの趣旨をより明確にしてございます。

 それから14ページに参りまして,これに関しましては金子委員からも御意見が寄せられておりまして,不登校などの事情で義務教育を受ける機会を逃して,十分に受けられなかった方々について夜間中学が役割を果たしているのだということに言及をしてはどうかという御指摘を頂きましたので,それに対応した3行ほどの記述を追加してございます。

 続きまして,15ページでございます。15ページは,3の今後の生涯学習・社会教育の振興方策でございますが,1の公民館等の社会教育施設の機能強化,デジタル社会への対応のところに関しては,最初の白丸は,後ろにあった3行を上の方に持ってきた形にしておりまして,3行目の終わりから4行目にかけて,地域住民の意向が運営に取り入れられるようにすることなどにより機能強化を図るということで,記述を追加してございます。

 さらに続けて,「公民館における地域のコミュニティ拠点機能の強化」ということで,社会教育施設の機能強化とコミュニティ拠点としての強化の話を分ける形で書かせていただくとともに,コミュニティ拠点の機能といたしましては,子供の居場所としての公民館の活用ですとか住民相互の学び合い・交流の促進といったこと,そういったものを進める必要があるということに加えまして,地域住民ですとか有識者からの外部評価を活用した運営の改善なども必要だということにも言及するような形にしてございます。さらに,博物館等の文化施設の活用促進についても言及をする形にしてございます。

 その次の白丸では,前回御意見を頂いた文化芸術活動についても記述を追加してございますのと,自治的・民主的な住民の一員として社会参加する各種活動にも触れた上で,ウェルビーイングの実現と密接な関わりがある活動だということに触れてございます。

 さらに,そのパラグラフの下から2行目ぐらいのところでは,デジタル基盤を強化するというだけではなくて,それとともにデジタル教育を充実することも大事だということに言及してございます。

 それから,16ページに参りまして,16ページの最初の白丸のところでは,従来書いてあった一番上のところに加えて,そのパラグラフの中の一番最後に,「デジタル・シティズンシップを育むための教育の側面にも配慮すべきである」ということで,デジタル・シティズンシップについて言及をしてございまして,脚注のところでさらにそのデジタル・シティズンシップについて,ユネスコの資料ですとか情報通信審議会での言及などについて触れてございます。

 同じ16ページ,図書館のところに関する白丸に戻りますが,図書館については,図書館のアクセシブルな書籍の充実の話など,視覚障害者等の読書環境の充実を図ることの記述を2行ほど追加してございます。

 それから,2の社会教育主事と社会教育士等の社会教育人材の,従来,「一層の活用」としていた部分でございますが,一層の活用ということではなくて,行政が活用するということだけではなくて,活躍の機会の拡充となるように「養成と活躍機会の拡充」という形でタイトルを見直してございます。

 続きまして,17ページに参りまして,17ページは一番下のところで,社会教育主事ですとか社会教育士が,ICTスキルだけではなく,環境教育や人権教育,男女共同参画に関する内容等の現代的な教育内容に関する知識などを習得するために,継続的な学習の機会の確保が必要だといったことですとか,個人や地域社会のウェルビーイングの向上につながる社会教育士の活動に関する優良事例の展開が必要だといったことで,記述を追加してございます。

 それから18ページに参りまして,3)の地域と学校の連携・協働の推進というところでございますが,これの最初の白丸のところでも「子供の貧困」ですとかを追加をしてございます。

 また,その次の白丸では,コミュニティ・スクール活動のところでNPOにも触れる形にするとともに,最後のところで地域学校協働活動推進員等の資質向上のために,社会教育士の称号を取得することも推奨するといったことにも言及をしてございます。

 それから,同じ18ページの中では一番下のところになりますけれども,学校の働き方改革に関して,部活動の地域移行について,従来スポーツに触れておったわけですが,新たに文化芸術活動に親しむ環境の在り方等の観点からも,議論がされておるということを追記しておりまして,19ページでも,一番上のところで,「子供たちの多様な体験を支える受皿となる地域のスポーツ活動や文化活動の充実を図るとともに」というような記述を追加させていただいてございます。

 また,その次の白丸でも部活動の地域移行に関しまして,指導者の「質の確保」ですとか,「世代間交流が円滑にすすむよう,国において必要な措置を講じることが求められる」といったことについても追記をしてございます。

 続きまして,4のリカレント教育の推進に関しましては,19ページの中で一番下の白丸のところで,前回の御意見も踏まえまして,それぞれの高等教育機関の特性を生かしてリカレント教育がなされていると言及にするとともに,下の注釈のところで,大学においては,大学院レベルのものですとか分野横断的なものですとか,さらに,デザイン思考やアート思考に関するプログラムなどが提供されているといったことや,放送大学で全国的に提供されている話,また,専門学校においては,専門職業人材を対象に実践の場で新たに必要とされる最新技術のアップデートをするためのプログラムなどが提供されていますよということにも言及をしてございます。

 本文の方でも前回の御意見を踏まえて,専門学校については実践的かつ専門的な実習を行うリカレント教育の充実が必要だといった話ですとか,時間的・経済的な制約がある中で学び直しをする女性や就業者,求職者など個人のニーズに応じる必要があるのだといったところをより分かりやすく言ってございます。

 それから20ページに参りまして,最初の白丸のところでは,前回の御指摘を踏まえて,いろいろな情報提供,情報発信は独立行政法人もやっておるということに言及するとともに,履修証明制度の活用なども考えて,学習の可視化を図っていくというような文脈になるように修正をしてございます。

 また,その次の白丸のところではリカレント教育に関しまして,国外の事例も参考とした情報発信のお話ですとか,テレワークなどの増加とか雇用労働環境の変化などを踏まえるといったことについて言及をしてございます。

 それから,次の21ページに参りまして,2つ目の白丸のところ,障害者の生涯学習推進に関しまして,「当事者の意見を踏まえながら」決めていくということに言及をしてございます。

 また,その次の白丸で,研修に関して「福祉関係職員」への研修についても言及をするようにしてございます。

 それから,22ページに参りまして,その2つ目の白丸のところで,令和元年の社会教育法の改正について,注釈があった方がよかろうということで,下に注釈を追記してございます。

 また,同じ22ページの中では,一番最後の白丸のところで,社会教育主事の配置ですとか社会教育士の地域社会における活用の例として,これも注釈のところで,島根県の取組に触れるとともに,民間団体などとの連携協力の文脈のところでは,千葉県の取組にも注釈のところで触れるような形にしてございます。

 それから,23ページに参りまして,これも前回の御意見を踏まえまして,最初の白丸のところに,地方公共団体における創意工夫の取組が大事だということと,ベストプラクティスなどの情報の相互提供による知見の共有が大事だということに触れてございます。

 それから24ページからが前回,タイトルとして「おわりに」というのをお示ししておったのですけれども,分科会長や副分科会長の御示唆も頂きながら追記をしてございます。また,タイトルについても「おわりに」ということではなくて,将来に向かって,「これからの生涯学習・社会教育に向けて」というタイトルに修正をしてございます。

 最初の白丸のところでは,これまでの経緯にも触れつつ,生涯学習や社会教育が果たしうる現代的な役割について,あるいは社会教育の担い手となる社会教育主事や社会教育士など,あるいは公民館の社会教育施設に関する振興方策について議論を行ったということに言及してございます。

 その次の白丸では,デジタル化社会に対応した在り方についても議論をしたということに触れてございます。

 さらにその次の白丸では,ウェルビーイングに関しまして,先ほど御説明したようなところも踏まえた議論がなされましたということに触れてございます。

 そしてその次の白丸では,様々な背景を持つ年代の異なる多様な個人が,ともに学び,支えあうと。そうした学びを通じたつながりが生まれて,さらに生きがいですとか喜びも生まれて,学びの活動が継続して,広がっていくといった好循環が生まれるという点に着目をして,それが生涯学習や社会教育の醍醐味とも言えるのだというような書き方をさせていただいております。

 さらに,その地理的な制約ですとか経済的な状況等にかかわらず,「誰一人取り残されない学びが,社会の多様な自治体の自助・共助と行政による環境整備により進められなければならない」といった形で記載をさせていただいております。

 その次の白丸では,生涯学習・社会教育に関わる主体に関しましては,幼稚園,小中高校,大学ですとか専修学校とかの学校教育関係の施設のほかに,公民館などの社会教育施設,それから,それを所管する行政も挙げられるわけですけれども,それに加えて企業やNPOなどの民間の組織ですとか個人もその主体となるということに言及した上で,さらに,教育分野以外の行政機関や民間組織が関連してくるというケースも数多くある。こうした多種多様なその主体が,あらゆる人の身近に学びの機会があるような社会の重要性についての共通認識を持ちましょうということ,それから,そうすることでウェルビーイングを高めることができるといったことに言及してございます。

 その次の白丸では,特に社会教育の担い手となる社会教育主事ですとか社会教育士,また,社会教育施設の活動というものについて,ソーシャルキャピタルの形成ですとか,地域住民のウェルビーイングの実現の双方に寄与する意義深いものだということに触れた上で,住民一人一人が学びの必要性に気づいたとき,あるいは学習方法や内容に迷ったときに,手を差し伸べられる存在として社会教育主事とか社会教育士が活躍することですとか,地域住民がつながる「場」として社会教育施設が活用されることが期待される,さらにはICTなどを活用するメリットを生かして,誰一人取り残すことのない社会の実現を目指すということに触れてございます。

 最後,25ページでございますけれども,最初の白丸ではデジタル化に関して,Society5.0などにも触れた上で,学校を卒業した全ての世代の人を対象に,デジタル社会の進展に取り残されないようにするための学習機会が望まれるということに触れてございます。

 その次の白丸では,社会教育に関しまして,従来果たしてきた役割の重要性にも言及した上で,その行政のサービスを受ける受益者としてだけではなくて,地域社会を形成する一員として活動に参画していくといったことが重要だといったことにも触れてございます。

 さらにその個人の尊厳ですとか意思決定等が相互に尊重されるべきことも忘れてはならないことに言及をし,さらに,これからの社会の形成者となる子供や若者世代の意見を表明する機会を保障しながら,社会参画を促していく必要があるということに言及をしてございます。

 その次の白丸では,社会教育の担い手となる人材が大事だということに触れて,社会教育士については,本文にもございますように「制度の在り方も含めた検討を進めていく必要がある」ということに言及をしています。

 最後は,生涯学習や社会教育に全ての人が関わりを持つことができる環境整備に向けて,国,地方公共団体をはじめあらゆる関係者が積極的にその取組を進めるように望むということでしめてございます。

 少し長くなりましたが,全体の修正は以上でございます。

【清原分科会長】 
 神山課長,御説明ありがとうございます。資料の表紙のところを少し映していただいてよろしいでしょうか。共有していただいてよろしいですか。

 資料1は,まさに皆様とこれまで議論してきたものをまとめたものでございまして,第11期における中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理となりますが,副題に「全ての人のウェルビーイングの実現に向けて,共に学び,支えあう生涯学習・社会教育」という副題の提示もさせていただいております。

 ただいま御説明いただきました内容を象徴する副題をつけて,提出したいと思っております。

 また,最後の従来「おわりに」となっていた部分は,牧野副分科会長とも御相談しまして,第11期の今後の残された時間に議論すべきテーマを含めるとともに,第12期につなげる,かけ橋となるような内容として要約したものでございます。

 それでは,以上の説明を踏まえまして,これからよりこの議論の整理の案を充実するために,皆様から御意見あるいは御質疑を頂きたいと思います。今回は内容を区切りませんで,どの場所のことを言っていただいても構いませんので,御発言をお願いいたします。

 それでは,皆様,挙手ボタンで意思表示をしていただきましたら,私の方から順次指名をさせていただきます。そして,本日は委員の皆様が大変御多用の日程を選んでしまったようで誠に申し訳ないのですが,欠席の方も多いのですが,既に欠席される方で,事務局に御意見をお寄せいただいた方もいらっしゃいますし,本日御出席の皆様におかれましては,是非とも全員一言ずつは御発言を頂きたいと思いますので,そのようによろしくお願いいたします。

 それでは,最初に多久市の横尾市長,よろしくお願いいたします。

【横尾委員】 
 ありがとうございます。皆さん,お疲れさまです。

 では,幾つか意見を申し上げます。まず,最初に表紙ですけれども,今も課長からお話があったように,すっきりとしたサブタイトルの配慮も頂いており,大変分かりやすくなって,伝わりやすくなったなと思います。整理いただいたことに感謝申し上げます。

 また,事前にたくさん細かいことも書いて資料として添付で送ったのですけれど,いろいろ対応いただいてありがとうございました。個人的には今のタイミングとしては,長期的にはウェルビーイング,中期的にはデジタル田園都市国家構想を支えるという位置づけの生涯学習の推進がとても大切だろうと考えています。

 そういう感じのタイトルも期待したところでございますが,今回のサブタイトルのまとめなどがとても有効的だと思います。また,時期的に考えますと予算編成の概算要求を控えておりますので,今後,文部科学省や生涯学習分科会に関わるところでの政策の具現化ということも多分念頭にもたれているのではないかと思いますが,これからの5年ぐらいがとても大切な時期で,特に日本の未来創造に欠かすことのできない時期の生涯学習になると思っております。是非そういったミッションが果たせるようにやっていかなければならないと思っています。ということで,幾つか項目を拾い上げて意見を申します。

 まず,1ページ目です。これは事前のメモでも実は伝えたのですが,事実関係としてみても,GIGAスクールは令和34月に全国で一斉にスタートしています。このことは是非明記した方がいいと思います。たまたまこの分科会の10期と11期の期間が第10期は令和28月まで,第11期は令和35月からということで,ちょうど端境期のところにGIGAスクールはスタートしていますので,なかなか明記されていないのかもしれないのですが,文部科学省の行政の歴史においても,あるいは子供たち,そして大人を巻き込む今後のデジタル化への対応を考えてもGIGAスクール構想のスタートは極めて重要ですので,是非事実関係として書いていただいた方がいいのではないかなと思っています。そうしないとあまりにももったいないし,未来の目から見ていきますとそれはあり得ないなとも感じているところです。

 今後GIGAスクールで学んだ子供たちが,きっと私たちの世代には計り知ることのできない未知の新たな活路についても,問題や課題を解決して開いてくれると思いますので,是非補足の改善をお願いしたいと思います。

 次に,10ページ目です。10ページ目はウェルビーイングのことの記述がありますし,大変期待をしています。実はウェルビーイング,今私も個人的にも勉強したり調べたりしているのですが,今後のキーワードの一つとして,もっと注目され,意義も大きくなっていくと思っています。特にそういう意味では,SDGsの目標の3つ目がGood Health and Well-Beingという記述で書いてありますので,そのことも少し触れていただいたら,こういうまとめとしても社会的なインパクトも少しオーソライズされるのではないかと思います。

 続いて13ページ目ですけれども,脚注のところで,デンマークのことを取り上げていただいています。ここではいわゆる高等教育機関等に関する記述ですけれども,教育機関等が行っていることに限定することなく,実は若宮さんがおっしゃったと前も紹介したと思いますが,デンマークでは,高齢者の団体も自ら創意工夫をしながら,会員の皆さんには一般の方へのデジタルリテラシーの向上に貢献するようにされていると仄聞しています。

 そのような視点と改善に基づく活動というのは今後の日本においても必要なことであり重要ですので,是非デンマークでは,そういうデータリテラシーの向上もされている,一般の高齢者団体もやっているよということも付記いただくとありがたいと思います。

 次に,19ページ目です。6行目に,学校の部活動の地域移行についての記述がございます。あまり言うと長くなりますので割愛しますが,簡潔にまとめてあるのでいいかと思うのですが,実は現場で言うと人材確保について大変苦労もしながら改善を図ろうとしています。

 ところが,そこに当該自治体内で確保しなさいとか,隣の自治体の人は駄目ですよみたいなルールがあるやに聞くのですが,そのようにルール化してしまうと,なかなか指導者を見いだせません。そもそも学校の先生方は広域人事で動かれていますので,是非流動的な部分,柔軟な部分を認めた対応,特に地域の特性を生かせるような工夫ができるような余地も残していただくといいと思います。このことは今回は必ずしも書かなくていいのかもしれませんが,そういう課題があることは皆様にもお伝えしたいと思います。

 次に,20ページから21ページのところで,多様な障害に対応した生涯学習の推進ということです。障害者の皆さんのことについても触れていただいて,大変勇気づけられる記述になっていると思っています。実は障害者の皆さんは,私もお会いしていますけれども,実は親の世代,保護者の皆さんの最大の希望や悲願の一つは,生まれた順番としていずれ親は先立つのですね。そのときに自分たちが他界した後,我が子はどんな住まい方,どんな暮らし方,働き方ができるだろうかということを大変心配もされておられます。

 そのときになってということでは間に合いませんので,それ以降,困ることがないようにあってほしいと切実な思いをお持ちです。体裁よい表現で「学べる」というレベルではなく,今申し上げたような切実な思いに裏打ちされた日々の命と暮らしと生活をかけた切望があります。そのことを深く理解しながら,公が広く関わり,支えていくというのが大切です。それが一人一人のウェルビーイングにもつながると思うのです。そういった意味では,関係のあるところがうまく連携をしていくような働きかけもどうしても必要です。是非文部科学省の生涯学習,特に身障者の皆様や障害を持っている方の皆様への配慮を,せっかく今回取り上げていただくので,その辺のことも少し踏まえたものにしていただくと多くの方が安心されると思います。

 続いて24ページ目の24行目です。生涯学習の「主体」のことが書かれています。私,個人的な意見で申し上げれば,「生涯学習・社会教育に関わる主体」と書いてあるのですが,やはり生涯学習の主体は個人一人一人だと思うのです。一人一人が覚醒をする,自主性を持つ,積極的に関わる,学ぼうとするというのがとても大切です。そのことを涵養することも少し啓発してはどうかなと思います。

 そのことを触れておいた方が,誰かがどこかで誰かやってくれるという受け身ではなくて,自ら学ぶという意味で,生涯学んでいこうという生涯学習ということも啓発で広がっていくと思いますので,是非そういったことも触れていただくとありがたいと思います。

 最後のページ,25ページです。最終のページの最後のあたりですけれども,首長や教育長の存在がとても大事だと思います。私自身,首長です。また熱心な教育長さんとも県外の方とお話ししたりしています。その重要性を是非再認識してもらうことも大切ですし,人々のデジタルリテラシーをみんなで協力して高めていくということが大切だろうと思います。首長や教育長さん,もっと頑張った方がいいですよ,ということを記述すべきではないかと思います。その進捗の成否は,未来の日本社会全体としてのウェルビーイングが向上するかどうかにもつながってくると思っています。そのことの重要性を首長,教育長の皆様に的確に伝えて,深く認識を頂いて,大いにそれぞれに御尽力いただくように促してみてはどうかと期待しています。是非そうすべきだと思っています。

 そのような人的な努力をしていくことが,未来をつくる,支える,創造する,いわゆるソフトパワーになると思っています。

 そして最後ですけれども,別紙にチャート化したパワーポイントが1枚つけられています。全体像概要案が示されているのが添えられています。この末尾のところに「国と地方公共団体が果たすべき役割」という項で短くまとめられているのです。これは別紙で,カラーのチャートとなっています。

 この中に,デジタルリテラシー教育向上を明記するようにしていただいたらどうかと思います。特に国と地方公共団体が連携をしながら,パワーポイントに示されたところです。その下の方ですね。もう少し下,その緑のところの一番下ですね。是非国と地方公共団体が果たすべき役割に,デジタルリテラシー教育の向上を明記していただいて,そのことによって全体の加速化もできるように図っていただきたいなと思っています。

 いろいろ申し上げましたが,以上でございます。

【清原分科会長】  横尾市長,ありがとうございます。GIGAスクールのスタート時期の明記というのは必要なことだと思いますし,ウェルビーイングのキーワードがSDGs3つの目の指標に入っていることも明記するとともに,80代のプログラマーとして著名な若宮正子さんが言われているように,デンマークにおいては高齢者団体の活動もあるということも付記することは有用だと思います。そして部活動については全国市長会・町村会も本当に注目しているテーマで,今回書いてあることにも意味があると思いますので,是非人材についての広域連携のことも含めて,現実的な課題への対応がもうすぐ始まりますので,記述を深めることに工夫したいと思います。

 そして障害者のことについて御指摘のとおりで,私たちは生涯学習・社会教育などでつい学びが中心になりますが,学びを起点として働き方であるとか全体の暮らし方というものの基盤になるわけですから,そうした配慮の記述が望ましいというふうにも思います。そしてこれは,横尾市長さんだけではなくて,ほとんどの委員の方がいろいろなところでおっしゃってくださっているのが,学びの主体の「個人」の学ぶ意欲や姿勢や思いというのがやはり出発点ですので,自主性,主体性を尊重した記述というのはごもっともだと思います。

 そして市長や教育長の存在が大きいという,まさに特に市区町村長の認識が生涯学習・社会教育の振興には不可欠だと思いますので,この点についてはこれからの課題のところであれ何であれ,配慮してしっかり対応する必要性について市長経験者としても同感なので,書くことが望ましいと思います。

 そしてこのデジタルリテラシーについても,きっと含めることはこの全体の中で可能だと思いますので,できる限り御発言については反映にできると思いますので,事務局と相談したいと思います。

 それでは,これから御発言はこの順でお願いします。中野委員,松本委員,清水委員,辻委員,関委員の順番で,牧野委員がその後です。中野委員,お願いいたします。

【中野委員】
 浅口市の中野でございます。よろしくお願いします。コロナの状況は大変でありますので,気をつけながら生活しております。

 それでは,表題のことについてなのですけれど,前回インパクトのある形ということでお話ししましたが,議論の象徴となるという意味で,しっかりと全ての人のウェルビーイングの実現に向けてという文言,とてもいいなと思いました。

 2行目の共に学び,支えあうという文言,これがどういったところに出てくるかなということを思ったのですが,実際には最後のまとめではなくて違う文言になっていましたけれども,これからの生涯学習・社会教育に向けてというところの中に,24ページの17行,18行,ここにずばりこの言葉で示されていましたし,この段落というか,白丸の部分はとてもしっかりと示されていたなと感心をしました。それが表題についての感想です。

 それから,18ページです。いろいろなところへ飛ぶのですが,18ページの10行のところですが,コミュニティ・スクールの導入の促進と併せてということなのですが,導入しているところについてもこれから持続可能な組織にしていく必要があると思うのです。そういったときに,この地域学校協働活動推進員というのはすごく重要な役割で,この人を中心に組織化されていくといいと思いますが,やはり学校運営協議会を開催しようと思うと,それに関わる事務的なこととかいろいろなことが結構あるわけですが,よくあるのは教頭先生であったり,教員の中に地域との連携の代表の教員がしていたりというのはよくあるのですけれども,これが地域学校協働活動推進員が常駐化して,そういう活動ができるようになってくると,また,新しい持続可能な形の学校運営協議会が可能になってくるかなと思っています。

 そういった方の常駐場所というのも必要だと思うのですが,あとは,この財源がやはり問題かなと思うのです。その財源をどういうふうに確保していくかということになりますが,今日のこの全体の議論も財源に向けた今後の議論に反映していけばということもありましたので,ここに財源が必要だということをお話ししたかったのです。

 それからもう一つは,横尾委員さんが言ってくださった部活動のことについては,大変いろいろな面で今工夫,研究しながらやっています。これについてもやはり財源面の必要性というか,そういったことをまた今後研究していく必要があるなと思いながら,聞かせていただきました。

 最後に,これからの生涯学習・社会教育に向けてという部分についてですが,これについてお話をしたいと思います。

 つけてくださっている資料がありますが,参考資料,これすごくいい参考資料を集めていただいたなと思っています。参考資料・データ集というものですね。これが何かすごく明確になった資料がありました。

 その中の6ページのところにこの循環ですか,「よりよい場の状態と個人のウェルビーイングが循環する」という中で,向社会的行動の,その次の向かっている方向ですかね。これが多世代共創ということで,後継の世代への継承ということで向かっていく方向性が示されているなと思うのですが,そういったことがまとめの中では25ページのところの16行,17行のところですが,その中に,「これからの社会の形成者となる子供・若者世代の意見を表明する機会を保障しながら,その社会参画を促していく生涯学習・社会教育の機会づくり」と表現されていて,この辺りは私はすごく評価する部分かなと思います。

 今後こういったところを目指していきながら,学校教育の中でではなくて子供たちが社会教育に関わることで育っていくと。その子たちが将来に向かって牽引している役目を果たしてくれるかなということを期待しているので,この部分はすばらしいなと思いました。

 一番最後なのですが,25ページの最後の文章で,最後の白丸ですが,文章の書いてある最後に「強く望みたい」と書いているのですが,希望的であったりとか望みたいというところに意味とか,含みがあるのかもしれませんが,「強く望む」とはっきり示した方がよいのではないかなというのが私の考えです。

 以上です。

【清原分科会長】 
 中野委員,ありがとうございます。副題について,これまでの皆様の審議が反映されているというところを,きちんと概要のページを根拠に確認していただきまして,ありがとうございます。

 それからコミュニティ・スクールの関係では,地域学校協働活動推進員の役割が重要で,これについては社会教育士の皆様の活躍ということも関係していると思いますが,常駐化というか,より活躍しやすいようにという御趣旨の御提案と受け止めました。

 なお,これまでも中野委員をはじめ皆様の御意見の中に,子供・若者の意見も,大人の意見だけではなくて,きちんと傾聴して反映するという御意見がありましたので,ここに反映させていただきました。このことが学校教育現場ではもちろんですが,中野委員が言われたように,生涯学習・社会教育の現場でも子供・若者の声がきちんと傾聴し,反映されるということが重要ですね。

 そして最後のところですが,表現ぶりについて,これは「望ましい」とか「期待される」じゃなくて,「期待する」ならすると,しっかりと書く,あるいはそうすべきであるなら「すべきである」というように皆様の御発言を背景に言い切るようにしていきたいなと思います。ほかの皆様の御意見もこれから聞いて,そのように対応したいと思います。

 それでは,続きまして,皆様からたくさん手が挙がっておりまして,松本委員,清水委員,辻委員,関委員,山内委員,萩原委員,この順番で取りあえず進みます。

 では,松本委員,お願いいたします。

【松本委員】 
 ありがとうございます。まちの保育園・こども園代表の松本です。その議論の取りまとめ,ありがとうございます。

 皆様からもありましたように副題つけていただいたことにより,この分科会で私たちが議論してきた内容がすごく分かりやすく,読んでいただく方に届きやすくなったのではないかなと思いました。

 また,全体として充実した取りまとめをしていただいているわけですけれども,私としては,最後のポイントのところで2点申し上げたいと思います。

 これからの生涯学習・社会教育に向けてというタイトルにまず変えていただいたこと,これもとてもいいなと思いました。まさに未来志向で私たちがこれから,まさに築き上げていきたいというところのある種の大切な観点を盛り込んでいただいたなと思っているのですけれども,この中で2点申し上げたいのは,一つは細かい点でいささか恐縮なのですけれども,まさにこの24ページの24行目になりますけれども,ここのまさにこの生涯学習・社会教育に関わる主体として,先ほど横尾委員からも,あるいは中野委員からもお話ありましたように,ここに社会教育に関わる主体としては,その個人ということももちろん私も入れていただきたいというところもあるのですけれども,もう一つ,細かい点で恐縮なのですが,幼稚園,認定こども園というところがある中では,私たち保育園をやっている立場としては,この学校教育関係の施設という,そういうようなくくりになっているので,ここに入れるのがなかなか難しいところもあるのも承知はしているのですけれども,保育園も重要な社会教育に関わる主体としての役割も担っていけると私は思っておりますので,下の方にあります,教育分野以外の行政機関とかそういったところと関連するのかもしれませんが,もう少し保育園も十分活躍してもらえる可能性があると私は思っていますので,その辺りも盛り込んでいただけるといいかなと思いました。保育園も今やまさに幼児教育の一翼を担っている重要な機関でもありますので,その辺り盛り込んでいただきますとありがたいですし,または子育て支援拠点にもなっております。

 そういう意味では,地域のいろいろな方々をつなぎやすいという性質も持っていますので,生涯学習・社会教育にも,むしろ連携しやすい場としても位置づけられると思いますので,その辺りも考えていただければと思いました。

 もう一つの点は,これもこの最後のページのところになっているわけで,24ページになっているわけですけれども,私としてはこの取りまとめの中で,2番目の生涯学習・社会教育が果たし得る役割ということで,3)で地域コミュニティの基盤としての役割ということをまとめていただいているところがございますけれども,このことが本当に私はとても大事だと感じておるところがありまして,これからの生涯学習・社会教育に向けての取りまとめの中で,こういったことをもう少し書いていくことができないかなと感じたところがございました。

 そういう中では,4つ目の白丸になりますけれども,まさに「様々な背景を持つ年代の異なる多様な個人が,ともに学び,支えあう。こうした相互性のある学びの活動の中から,学びを通したつながりが生まれ,学びに関わる各人にとっての生きがいや喜びが生まれ,学びの活動が継続し,広がっていく」。このことが私たち現場でその地域の方々と接して,まさにそういったコミュニティづくりをやっている立場からしますと,このことがまさにコミュニティづくりに大きく寄与すると私は感じているところがございます。

 なのでもしかしたらここの4つ目の白丸のところに,今,私が読んだ後に続く,「こうした好循環が生まれることは」の後に,例えば「ともに学び,支えあう地域コミュニティの形成にもつながり,」ということを入れて,「こうした好循環が生まれることはともに学び,支えあう地域コミュニティの形成にもつながり,生涯学習・社会教育の醍醐味とも言える」というような形でつなげてみるのはどうかとか,ここに入れるということ以外の別の場所で入れていくということも考えとしてはあるのかもしれませんけれども,私としては,そういったこのことがとてもコミュニティづくりに重要なポイントなのではないかと感じているところもありまして,そのような点を盛り込んでいただくのはかどうかということを提案させていただきたいと思いました。

 全体としては,本当にこれまでの皆さんの議論を踏まえて,大変充実した内容にしていただいたと思っております。感謝しております。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 松本委員,ありがとうございます。松本委員にも,実践について御報告をしていただいており,まさに保育園の取組がコミュニティ及び地域の学びの基盤として実践されていることを確認させていただいております。

 したがいまして,保育園を含めて,もちろん広げれば児童館ということになっていくと思いますが,どうしても文科省ですので,教育施設については「学校等」なんてしないで,具体的に列挙した点までは認識が広がったのですが,保育園等も含めるように反映に努めたいと思います。

 2点目の御指摘は極めて重要で,これは牧野委員と私が常に今回皆様に御理解をいただけたらなと思っておりました視点が,「生涯学習・社会教育がまさにまちづくり,地域づくり,地域コミュニティの基盤として機能している」ということで,これが折々に皆様の御発言から確認をされてまいりました。

 そして横尾市長が例示された,「デジタル田園都市国家構想」などもまさに「地方創生」の取組みで,その基盤は地域コミュニティということになりますので,生涯学習・社会教育が地域コミュニティづくりの基盤となり,ともに学び,支えあうという文章として御提案されたことは是非反映したいと思いますが,神山課長,いかがですかね。

【神山生涯学習推進課長】 
 その方向で検討させていただきたいと思っております。

【清原分科会長】 
 そうですよね,本当に恐れ入りました。こちらが地域コミュニティの基盤だってしっかり言っていて,文章も書きながら,最後のところは希薄だったかもしれませんので補強したいと思います。ありがとうございます。

 それでは,順次御発言をお願いいたします。それでは,清水委員,お願いいたします。

【清水委員】 
 日本PTAの清水です。まず,副題のところ,表紙の副題のところも含めまして,大変分かりやすく丁寧に反映をしていただきまして,ありがとうございます。全体を通して非常に分かりやすい内容になっているのではないかなと感じました。

 私は以前から話をしておりますとおり,特に日本PTA,特にPTAという立場といたしまして,コミュニティのところです。例えば12ページのところです。地域コミュニティの基盤としての役割というところの33行目,これは先回是非PTAとしてもコミスクについて積極的に取り組んでいくという趣旨の話をさせていただきましたところ,PTAという言葉を足していただきました。ありがとうございます。

 この関係でいきますと18ページのところにも,地域と学校の連携・協働の推進というところで,ところどころたくさんPTAのことも含めて書かれております。また,5行目のところになりますけれども,18ページの5行目,「子供の貧困」という言葉も書いていただいています。非常に私たちPTAといたしましても,この貧困問題についても非常に重要であると認知しておりますし,この言葉を足していただけることも非常に大切なことではないかなと感じております。

 そして,この審議経緯の後のところのカラー版の第11期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理概要(案)というカラー版のやつがあったと思うのですが,ここの下の方の地域と学校の連携・協働の推進という項目がございます。ここで3番目の一番最後のところです。「社会教育関係団体等と積極的に連携」という表記がございます。

 私ども日本PTA,日本最大の社会教育関係団体だということで,様々な会議体でそのような報告をさせていただいております。是非こういったところにもPTA等というような表記もしていただきますと,大変ありがたいなと思いました。

 以上でございます。よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 清水委員,ありがとうございます。清水委員,常にPTAの皆さんが学校と連携するだけではなくて,社会教育関係団体として生涯学習・社会教育の現場においても実践をしていただいているということ,そのことが今回見過ごされずに明記されたということは有意義だと思います。

 しかも子供の貧困,あるいはPTAにおかれてはデジタル・シティズンシップの教育にも力を入れていただいておりますので,そういう意味で漏れなく問題認識が御発言を通して反映されていると思いますけれども,今,御指摘のような点をもう1回点検して,本当に漏れがないようにしたいですね。

【清水委員】 
 よろしくお願いします。

【清原分科会長】 
 そうですね。そして,清水委員の言及された概要の3につきましては,部活動の地域移行の推進に向けた箇所であるために,少し書きぶりには注意しなければいけないようですので,ほかのところでPTAの皆さんの活動との関係が分かるようにしたいと思います。そういうことでよろしいでしょうか。ありがとうございます。

【清水委員】 
 ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 それでは,ありがとうございました。

 続きまして,この順番で,辻委員,関委員,山内委員,萩原委員,薗田委員の順でお願いします。牧野委員,最後ですみません,お待ちください。

 それでは,辻委員,お願いいたします。

【辻委員】 
 名古屋大学の辻でございます。サブタイトル,大変いいテーマをつけていただいたと思っております。

 私などは,ハンディのある人たちをどうするかという,それだけなのですけれども,委員の皆様の御意見で地域とのつながりをどうするかとか,それからデジタル技術をどう使うかとか,そういうことも含めて全ての人のウェルビーイングという,そんな報告書になりそうで大変うれしく思っております。

 その上で,今日お話ししようと思うのは,それを実現していく上で今は社会教育士と社会教育主事というものが生まれてきているものをてこにして,どういうふうにそれを実現できるかなということを考えてみました。

 24ページ,25ページなのですけれども,24ページの下から2つ目のところに,それぞれの校種別に期待をするというそんなことを書いていただいておりますけれども,幼稚園,認定こども園,小学校というのはコミュニティ・スクールを一番の筆頭にして,地域とのつながりの中で子供を育てていくという部分で,これは社会教育主事はそこで活躍はできないわけで,社会教育士を名のれる人がそこでうんと活躍していただけるようになるといいなと思っております。

 それから,次の高等学校や特別支援学校というのは,高校卒業した後,つまずいたときに学び直しをしたり相談に行ったりするという,そういうことを少し芽を出した上で高校を卒業させてあげるということが私,大事だと思っていまして,そういう意味でまずは進路指導だとか生活指導だとか,そういう先生方が社会教育士の資格を取って,そういうパイプ役のようになっていただけるとありがたいなと思っております。

 社会教育の側から,学校教育にアプローチしてもそれは学校と社会教育は別物ですからと言って,はじき返される感じが多いものですから,社会教育士をこういう学校の中に配置していくことによって,連携ができていくといいなと思っております。

 それから,公民館や図書館に社会教育に関する職員がいるというのは当然のことだと思いますけれども,もう御案内のとおり企業やNPOの人たちが社会教育士を名のりながら活動する。それによって力量を高めたり社会的な信頼を得ていくという状況ですので,そこは大事だと思っております。

 それで25ページの下から2つ目の丸の部分についても,社会教育士のことが書かれているわけですけれども,少し全体として申し上げたいことは,社会教育士をもっと活性化する,増やしていければと思うのです。いろいろな大学で,今,以前の社会教育主事だけだったときよりも受講者が増えているという話があって,NPOの方などは受講ができないというそんなような状況もあると聞いていますので,社会教育士をもっと多くの人が取ることができるように,予算措置なんかをしていただけるとありがたいと思っています。

 そういう方々をまず企業やNPOの方は,先ほど言ったように信頼性を高めたいということで,自ら割と取りに来ていただいているように思うのですけれども,私の感覚で言うと学校が鈍くて社会教育は全く別物だということで,教頭や副校長になる一歩手前として,社会教育主事を取りにいこうかというのはあるのですけれども,やはりコミュニティ・スクールだとか進路でつまずいた生徒をどうするかという部分をアドバイスできるという意味で,学校教育の関係者に対して,文部科学省から社会教育士を取るようにという,そんなことをしていただけるとありがたいなと思っております。

 それから併せて,今,社会教育主事というのは教育委員会の中の社会教育や生涯学習の課の方が持っていればということだと思うのですけれども,できれば教育委員会にいる方の相当数が社会教育士は名のれるというぐらいになったらどうかと思います。要するに学校教育を所管して部署で働いている教育委員会の方も,社会教育についての見識があるという,社会教育士と名のれるぐらいのことをしておくと,それぞれの自治体の中で学校教育と社会教育が連携がうまくいくのではないかと思っております。

 こんなふうにして,社会教育士がすごく勢いづいてまいりますと,社会教育主事がいないと,自治体としてはどうにも対応できないという状況が生まれてくるのではないかと思っております。

 8ページに,3つ目の丸で,社会教育主事は減少傾向にあると書かれていて,これはデータ的にはそうなのですけれども,これをどう盛り返していこうかというときに,先ほどから言っているようにいろいろな分野で社会教育士がいい活動を始めてくる。そうすると,教育委員会の生涯学習課は何をしてくれるのですかというような感じで相談が持ち込まれたりすると,これはやはり社会教育主事を配置しないといけないのではないかというようになってくるかなと思っておりますので,例えば8ページのところは,「人数は減少傾向にある」でとどめないで,社会教育士と連携してかつ活動が盛んになることが必要であるとか,そんなふうにしていただけるといいなと思っております。

 以上です。

【清原分科会長】 
 辻委員,ありがとうございます。最後のまとめのところで,この制度的な問題についても触れていますが,この点だけ少し,牧野委員には,これまでも社会教育士のことについて御発言いただき,また,その育成・研修等にも関わっていらっしゃいますので,今の辻委員の御意見についてのみ後でまた発言いただきますが,コメントいただけるとありがたいです。

【牧野副分科会長】 
 ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 その次に関委員もその関係で御意見いただきます。

 牧野委員,お願いします。

【牧野副分科会長】 
 ありがとうございます。今,辻委員のおっしゃったことは全くそのとおりだと思います。社会教育主事制度の改革については,様々な議論があって,社会教育主事を廃止も含めてどうするかという議論の過程で,もっと普及・活用できないかという方向性が出され,そのある種緊急避難的な措置,といいますのも,法改正などには時間がかかるため,現行制度を維持したまま,一層活用してもらうためにはどうしたらよいのか,という苦肉の策として社会教育士という称号をつくった,そして社会教育主事ではなく,主事に任用,発令されなくても,社会教育士を名のって活動できるようにという形で改革をしたというのが本当のところです。その後,これだけいろいろな方々が注目をしてくださって,今回の議論の整理の中にも書かれていますけれども,この2年間で約2,400名の方が社会教育士を取られているということで,過去になかったことなのです。

 その意味で,これを専門職として独立させるような形で制度改革ができないかというので,今回のこの議論の整理の「おわりに」の部分の,今後に向けてという記述の中で,あまり具体的には書かれてありませんが,まだ具体化できないので書かれておりませんが,「制度の在り方も含めた検討を進めていく必要がある」という指摘になっているかと思います。

 実は,上記の主事制度改革の議論の中で,これはまだ全然実現しませんでしたが,例えば教職課程の中に入れて,教員免許の資格要件に組み込んだらどうかですとか,学芸員とか司書の方々の専門職としても学んでもらうという必要があるのではないかという議論があったのですが,前回の改革ではそこまで踏み込めなかったということです。今後,制度を検討する中でより具体化していければと考えています。

 以上です。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。というわけで辻委員,問題提起していただいた学校教育現場での活躍であるとか,あるいは企業・NPOでの活躍などを充実する方向のためにも,この「今後に向けて」というところに,制度的な見直しも含めて前広に検討していただくように記述した次第です。

 関連して関委員からも,その件について御意見があると思いますが,それに加えて,その他の御発言についても関委員,していただいてよろしいでしょうか。よろしくお願いします。

【関委員】 
 ありがとうございます。新居浜市の生涯学習センター,関でございます。

 本当に今回の取りまとめを見させていただいて,ウェルビーイングの実現という一本の柱の下に,いろいろなものがきちんとつながっていることを実感いたしております。

 ただいまの辻委員の社会教育士の問題でございますけれども,全く今の辻委員と私も同感でございます。自分が今まで経験してきた様々な領域の自分の得意な分野を発揮しながら,地域社会の中に学びの,特に対話的な学びの場を提供していく上で,この社会教育士が担っていただける,そういう役割は本当に大きいのではないかなと思っております。

 今はどうしても社会教育主事は行政の中の専門職員でありますから,人数的にもかなり減ってきているのはもうやむを得ないと私も思っておるのですけれども,それ以外に今回2,400人の社会教育士の方が増えたということは,これからその活動の輪がますます広がっていく一つのきっかけができたのじゃないかなと思っております。

 このまま増えていくことを願うのが我々の思いなのですけれども,多分このまませっかく取ったのに,活躍できないということになると恐らくしぼんでいく結果になりそうな気もいたします。そうならないようにするためには,多分これから先も社会教育士になった人,社会教育主事も含めてかと思うのですけれども,それがつながっていくためのプラットフォームみたいなものがきちんとあって,お互いが日々情報交換もしながら悩みも多分抱えると思いますので,そういったものを先輩の社会教育士,社会教育主事がきちんとサポートしていけるような,そういう仕組みができたらいいなというのを感じております。

 以前,公民館海援隊あるいは図書館海援隊のような事業が文科省の提唱で行われていたことがあるのですけれども,そういったものが実際の実務ときちんとつながるような形で回っていくような新しいプラットフォームを望むものでございます。

 そういう中で多分,これから新たに社会教育士になっていこうという夢を描いてくれる人も,行政職員の中あるいは民間のNPOとかいろいろな活動者の中で,たくさん生まれてくるのではないかなと期待をいたしております。是非社会教育士がこれから定着していくことを願っております。

 あと何点か,公民館の関係で少し触れたいのですけれども,公民館はまさに今までウェルビーイングを実現してきた場所であると私は信じております。戦後できて,それから地域の人たちと一緒に自分たちの幸せをどうやって思い描いていくか,実現していくか,その取組を今まで重ねてきた社会教育施設であろうかと思います。現在その数がピークの十八万二千数百ですかね,平成11年ぐらいだったかと思うのですけれども,それがいつの間にやら13,600ぐらいに今減ってきています。その減ってきているということをどう今きちんと検証していくか,それが今大事な時期ではないかなと私は思っています。恐らく公民館でなくコミュニティーセンターとか地域創生センターとか,いろいろな形に移管していっておりますけれども,基本的なその公民館的機能は昔も今も変わっていないと私は信じております。

 実際に公民館ではなくなって新しい施設になっても今どうなっているか,その追跡調査をして,それがいい方向なのであれば,逆に既存の公民館はそのいいところを生かしていけばいいし,あるいは新たに変わったところの中に課題があるのであれば,それをトータルに一緒に解決していくような方向を求めていってもいいのではないかなと思っております。

 公民館,これはもう私,昔からずっと思い描いていた夢だったんですけれども,公民館の「公」の字は現在は公であります。しかし,これから先,この方向性の中でウェルビーイングを目指していくのであれば,まさに幸せの「幸」に公民館の「公」の字を置き換えて,公民館イコールウェルビーイング実現拠点であるという打ち出しをしてもいいのではないかなという気持ちを持っております。

 あともう少しだけなのですが,デジタル社会への取組の中でも本当に今高齢者等は,せっかくスマホとかパソコンを持っていてもなかなか使えない人が本当にたくさんいることを今実感しております。公民館等にきちんとしたWiFiとかの環境も整備する中で,地域のいろいろな人が公民館に行けば,スマホも使えるようになるというところぐらいまできちんとサポートしていけるような,ここ何年かの中で誰一人使えない人がいなくなるような社会を今実現していくために,頑張っていくような拠点として公民館を活用して,本当の意味のウェルビーイングセンターになっていければいいのかなと思っております。

 以上でございます。

【清原分科会長】 
 関委員,ありがとうございます。まずは辻委員が提起していただきました社会教育士について,育成や,あるいは拡充,社会教育主事も含めた人材の問題について,今回,未来志向のところにしっかりと位置づけさせていただきましたが,それが現場の感覚でも適切であるということ。まさに公の民の館(公民館)だけではなくて,幸せの民の館(幸民館)として公民館が機能するようにというメッセージを込めた内容にしたいと思っております。

 なお,藤原総合教育政策局長をはじめ事務方の皆様も,社会教育士についての問題意識は私たちと共有していただいていると思いますので,未来に向けて書いた社会教育士人材,あるいは公民館の充実については,今後のしっかりとした検討課題として位置づけていただけるものと思っております。

 それでは,お待たせいたしました。続きまして,山内委員,お願いいたします。

【山内委員】 
 東京大学,山内でございます。

 まず,この報告書についてですが,事務局並びに委員の皆様の御努力でとてもよいものになったと考えております。まさに,今後の生涯学習・社会教育の方向性を網羅的に示すすばらしいものが出来上がったと思います。

 今まで具体的に追記のお願いをしてきましたので,1点だけここに追記しなくてもいいけれども,恐らく議論が今後必要になってくるだろうという点をお話しさせていただければと思いますが,それは「デジタルリテラシーの育成」という言葉です。

 何か所か出てくるのですけれど,例えば13ページの下から2つ目の丸でも,「国民全体のデジタルリテラシーの向上のための取組を進め」というのがありますし,何か所か最後のまとめも含めて出てくるのですが,このデジタルリテラシーの向上のための取組というのが,具体的にどういうものを指しているのかということに関しては,実は難しい問題をはらんでいるのではないかと考えております。実は先ほど関委員もおっしゃったように,恐らく公民館等の現場の感覚からすると,機器の操作や情報の収集,発信,加工ぐらいの極めてベーシックなものを全ての人に提供するというのがまず真っ先にくるのだろうとは思うのです。

 ただ一方で,今回の要するに報告書の趣旨がウェルビーイングを目標にしているということなので,デジタル・シティズンシップもそうなのですけれど,高度な内容も同時に柱として入っていて,つまりこのデジタルリテラシーの向上というところでどこまで踏み込むのかが難しい判断になるのではないかと思います。。

 つまり最初は操作でもいいのですけれど,そこから先,例えば今のGIGAスクールの話で言うと,ICTを活用した問題解決であったり,ICTを活用したプロジェクト学習みたいなものまで生涯学習として踏み込んでいくのかいかないのかというところは,今後重要な議論になるのではないでしょうか。

 また,その中で,社会教育士がどういう役割を果たすかということも重要な問題かと思うので,一応ここで提起をさせていただければと思って発言いたしました。

 以上です。

【清原分科会長】 
 山内委員,大変重要な御指摘ありがとうございます。何となくお題目みたいに「デジタルリテラシーの向上に向けた取組」と書いてありますが,今後の検討のところに,きちんと「デジタル・シティズンシップの育成」を含め,今後のデジタルリテラシーの取組の具体化についてはどのような在り方ができるのか,その工程表を含めて全国津々浦々の公民館や生涯学習センターが困らないようにしていかなければならないと思いますので,この具体的な内容については引き続き重要な検討課題であるということです。

 しかもGIGAスクールが先行しておりますので,そうした動向にギャップを持つ若い世代もいらっしゃるわけですから,高齢者だけの問題ではないので,内容については重要な検討課題であるということをしっかりと次なる課題のところに明記しておくことが望ましいと思いました。本当に重要な御指摘,ありがとうございます。

 それでは,萩原委員,お願いいたします。

【萩原委員】 
 ありがとうございます。まず,最初にSDGsの前文に記されたジェンダー平等について明記していただいたこと,また,NPOについて適切な箇所に加えていただいたことに対して本当にありがとうございます。

 それから,17ページの34行目に社会教育主事・社会教育士の学習すべき項目の中にもきちんと男女共同参画を加えていただいたことを大変ありがたく思います。誰一人取り残さないための,また,ウェルビーイングの社会を目指すためには,この生涯学習を進めるに当たって,重要な役割を果たすでありましょう,社会教育主事,社会教育士の方々がもし無意識の思い込みを持っている場合には,学ぼうとしている人たちの意欲や機会が阻害されることにつながってしまいますので,このいわゆるアンコンシャス・バイアス,無意識の思い込み,これはジェンダー問題だけではなくて,障害者に対してや子供に対してや高齢者や,また,外国にルーツを持つ方々に対するこういった無意識の思い込みの解消はとても重要だと思っています。

 そのための学習機会の提供,これまでも研修の中にあったと思いますが,正しく理解してそれを解消していくために,NPOあるいはその関連専門機関との連携による研修の充実をなお一層図るといった一文を入れていただける,さらにありがたいかなと思います。

 以上です。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。この間,問題提起していただきました点について一定の反映はしているわけですが,さらにもう少し丁寧に,具体的に研修の充実というような方向で補強ができたらと思います。

 「誰一人取り残さない全ての人のウェルビーイング」を掲げる以上,やはりきめ細かい取組が不可欠だと思いますので,関係する職員はもちろんのこと,学ぶテーマとしてもこの「アンコンシャス・バイアス」というか「無意識の思い込み,偏見」といいましょうか,そういうものについても私たちが学んでいくということも,地域の人々の学びのテーマとしても実践の前に大事なことかなと,お伺いしていて確認いたしました。

 それでは,薗田委員,お願いいたします。

【薗田委員】 
 ありがとうございます。今の萩原委員がお話されたアンコンシャス・バイアスについて私も同意見で,内容をしっかり入れていただき,ありがとうございます。

 ウェルビーイングについての考え方なども含めて,全体的にまとめていただけて文章としてもきちんと入って,内容的にも充実した内容になっているなと思ったのですが,今,企業のSDGsコンサルティングを行っている立場からの意見ですが,最近ウェルビーイング経営という言葉やウェルビーイングビジネスという概念が入ってきて,企業の方々もウェルビーイングを非常に意識をしています。そもそもそのウェルビーイングを実現するための人材育成をどういうふうに考えていくのかというと,やはり本当に一番効果的なのは子供のときからの教育となります。もちろんリカレント教育の中のアップスキリングだけではなくてリスキリングの中で入れていくという方法もあると思います。

事例の一つは先々週,兵庫県豊岡市というジェンダー平等を非常に熱心に推進している市なのですが,豊岡市教育委員会のお話を聞いてきました。そのときのキーワードとしてはいわゆる「非認知能力」。一生懸命実践することで,自己肯定感,あるいは意欲を高めることに成功しています。あるいはやり抜く力であったりとか自制心,コミュニケーション能力も含む社会適応力などの非認知能力が高まっています。いわゆる学力では測れない能力ですよね。

 豊岡市の教育委員会教育長の嶋さんという方にもお話を聞いたり,あるいは豊岡市の市立竹野小学校の校長先生から聞いて,実際に演劇を使ったワークショップをやっていらっしゃる現場も見てきました。豊岡市の場合は非認知能力の中でも,特に「やり抜く力」と「自制心」と「協働性」の3つにすごく力を入れていて,結果的に自己肯定感が高まって非常にいいポジティブな影響が人間関係も含めていろいろな能力を発揮できています。その現場を小学校教育の中で見せてもらいました。非常に短時間でそれが達成できているなと思いました。今回もう内容としては追加で入れられないかもしれませんが,多分非認知能力を高めていくことが非常にウェルビーイング実現にレバレッジが効くポイントだと思いますし,子供のときの方が非常に有効ですが,今大人になってから,特に企業人も,非認知能力を高めていくということが,リカレント教育の中で非常に有効だと感じましたので,どこかに一言でも入れていただければと思いました。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。先ほど山内委員もICTを使って,ただ,知識とか操作するだけじゃなくて例えばプロジェクト学習への活用とおっしゃったように,やはりアクティブラーニングと言われるような分野でも,ICTを使うというようなこともありますし,今おっしゃった,まさに自己肯定感を高めてやり抜く力というのは子供たちだけではなくて大人にも,今のこの厳しい状況の中では必要でしょうから,何らかの形で学ぶ手法とか,学ぶ目的と手法の検討などについても触れられると思いますので,適切な場所を探して今の薗田委員の実践例に基づく御提案を反映したいと思います。

 それでは,大変長らくお待たせしました。副分科会長をお務めなのでいつもすみません,最後にいろいろなことを踏まえて御発言いただこうと思っておりまして,牧野委員,お願いいたします。

【牧野副分科会長】 
 牧野です。よろしくお願いいたします。全体うまくまとめてくださってとても感謝しております。どうもありがとうございます。その上で幾つかまた少し考えがありますので,お伝えしたいと思います。

 最初にサブタイトルですけれども,これ,皆さんおっしゃるようにうまくまとめてくださっているのですが,少し気になることがありまして,例えば「全ての人のウェルビーイングの実現に向けて,共に学び,支えあう生涯学習・社会教育」ということなのですが,この「共に学び,支えあう」がどちらにかかるのかということだと思うのです。全ての人のウェルビーイングの実現に向けて,共に学んで支えあっていくということなのか,実現に向けた生涯学習・社会教育が共に学び,支えあうという実践の在り方をとるのだということなのか。

 その意味では,全ての人のウェルビーイングの実現に向けてというのは大きな方向性というか標語としていいと思うのですが,それに生涯学習・社会教育をつけようと思うのであれば,むしろウェルビーイングを実現する,共に学び,支えあう生涯学習・社会教育に向けて,とか,のために,とか,そうなるといいと思いましたので,そこを一つ御検討いただければと思いました。

 それからあと,先ほど清原分科会長からも最後「おわりに」ではなくて,「これからの生涯学習・社会教育に向けて」にしたのだということであったのですが,これはこれでいいと思うのですが,「はじめに」がついているので,例えば「はじめに」もちょっとしたタイトルをつけて,「生涯学習・社会教育の新たな役割に向けて」くらいにしておいて,最後のところを「結びに」くらいにして,このタイトルをつけておいたらどうかと思いました。すみません,細かなところですけれど。

 それからあと,3ページ以降ですけれども,「はじめに」のところなのですが,生涯学習分科会の第10期,11期に当たるという表現が幾つかあるのですが,例えば第10期生涯学習分科会会期期間と,第11期生涯学習分科会の期間とかという言い方にした方がしっくりくるかなという印象があります。生涯学習分科会の第10期,第11期の期間という言い方で通らないことはないと思うのですが,少しその辺り細かな話ですけれども,どうかなと思いました。

 それからあと,5ページですけれども,例えば最初の丸のところで「変化を前向きに受け止め,未来の社会を自立的に生きていくことが求められる」,確かにそうなのですが,誰に求められているのかといったようなこともきっちり書いておいた方がいいのではないかと思いました。

 次に,6ページの1つ目の丸のところで,こうした社会の変化に対応すべく,貧困,孤独・孤立対策とデジタル田園都市国家基本構想が出てきたのですが,このデジタル田園都市構想は,社会の変化に対応すべくということもありますけれども,これは先ほどの横尾委員からもありましたように,ある種,国の基本的な構造の組替えと関わっているので,少し何かそうした文言を入れた方がよいのではないか,これは並列になるのかというとならないのではないかなと思いますので,少しそこもどうかなと思いました。

 それから,その同じページの4つ目の丸のところで,「特にひとり親世帯において深刻とされる貧困の状況にある子供」というのがあるのですが,子供の貧困そのものがやはり大きな問題になっていますので,何かこれは例示として入れて,例えば子供の貧困で括弧してこの文言というような形の方がいいのかなというふうにも思いました。

 あと「等」とありますのでいいですけれど,例えば子供の問題を扱うとき,ヤングケアラーの問題とかそうしたものをどうするかということが出てきたり,福祉的な問題を抱えている人々をどうするかという議論にもなるかと思いますので,少しその辺り検討いただければと思いました。

 それから,9ページの2つ目の丸のところで,「十分に力を付けられずに」という表現がずっと残ったままになっているのですが,どんな力がつけられないのかということになってしまうかなという感じもしていて,むしろこういういろいろな制約があって,教育機会を十分に得られなかったというような表現にしておいた方がよいかなという印象があります。

 その後ですけれども,例えば10ページ,10ページがいいのか後の方がいいのかはありますけれども,「社会教育は持続的な地域コミュニティの基盤として不可欠である」と書いていただいていて,これは私たちがいつも主張していることなのですが,だからこそ,ある意味では社会全体の大きな,大きな社会全体の基盤でもあるというような,何かそういう表現につながると,ウェルビーイングですとかあとデジタルの話ですとかの基盤を整備するのだという議論にもつながると思いました。

 それからあと,すみません,細かなところばかりで申し訳ないのですが,18ページの最初の丸のところで,「いじめ等の悩み」とあるのですけれど,これいじめって悩みなのかなと思いましたので,「いじめや不登校,子供の貧困等」では駄目なのでしょうか。いじめ等の悩みが新たに加えられているのですけれども,この辺りの表現が少し気になりました。

 あとは,最後の「おわりに」の,従来の「おわりに」のところに行くのですけれども,全体のまとめと今後に向けてという方向性を持たせる場所になっていますので,例えば最初の丸のところを経て,その次に,今回のこの第11期の議論は,例えばウェルビーイングを基調とした,ウェルビーイングの実現に向けた生涯学習・社会教育の推進体制の整備であるということを言った上で,それを受けて,社会的包摂とそれからデジタルといったことが大きな課題として取り上げられていて,そして,それらのさらに基盤としての地域社会の担い手を育成する社会教育というか,そういう構造を持ったものだといったことを明記した上で,その以下の丸の順序を入れ替えたらどうかと思ったのですけれども,いかがでしょうか。例えばすぐにデジタルのことが出てきますけれども,むしろそのデジタルのことを少し後に下げて,最初にウェルビーイングの議論をした上で,その後にデジタルのものを入れて,そしてその後に例えば,社会的包摂という問題を入れた上で,社会基盤としての生涯学習・社会教育であるといったことを記述するようなことでどうかと思いました。

 それからあと,先ほども御指摘がありましたけれども,24ページの同じところで5つ目の丸の関わる主体ということなのですが,これは団体と行政の話になってしまっているので,やはりここは当事者としての個人の在り方についてきっちりここで述べるか,後から一つ丸を起こすかといったことも含めて考えておく必要があるかなと思いました。

 その意味では,例えば最後の方になるかと思うのですが,全ての人々が教育や学習機会の平等の保障の上で,その学習の当事者として,社会教育や生涯学習の実践を担って,ウェルビーイングの社会を実現していくという,そうしたことを支えるのが行政の役割だというような議論になるといいかというふうにも思いました。

 あとは先ほどの御議論でもありましたけれども,やはり自治体の首長さんとか教育長さんの役割については,どこかでやはり明記をされたらどうかなと思っていました。例えば北海道の公民館協会にはいわゆる社会教育推進首長部会というのがありまして,北海道の全市町村の半数以上の首長さんが組織されているといったこともありますので,そんなことも少し触れておくと,今後社会全体としてこの生涯学習・社会教育をウェルビーイング実現に向けて推進していくのだという方向性が強く出るのではないかという思いを持ちました。

 以上です。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。今,牧野委員が言われたサブタイトルについてでございますが,少し映していただけますか,サブタイトルのところ。共有をお願いいたします。ありがとうございます。サブタイトルのところです。

 ここを全ての人々のウェルビーイングを実現するということで,実現に向けてではなくて「実現する,共に学び,支えあう生涯学習・社会教育」という御提案でしょうか。

【牧野副分科会長】 
 ウェルビーイングを実現していく生涯学習・社会教育で,生涯学習・社会教育が共に学び,支えあうものなのだという。

【清原分科会長】 
 そうですね,ですから,実現に向かうのではなくて実現していく,あるいは実現するとか,実現していくという表現がよろしいですか。

【牧野副分科会長】 
 そうですね,実現するでもいいかもしれないです。社会教育の後に例えば,向けて,とかが今回の議論ですので。

【清原分科会長】 
 なるほど,皆様に御提案いたします。

 「全ての人のウェルビーイングを実現する,共に学び,支えあう生涯学習・社会教育に向けて」という御提案がありますが,皆様の趣旨としていかがでしょうか。あるいは「全ての人のウェルビーイングを実現していく,共に学び,支えあう生涯学習・社会教育に向けて」ということで,よさそうでしょうかね。皆様のうなずきしか少し分からない,お声出していただいても結構なのですが,すみません。そんな方向でまとめさせていただくと,要するに生涯学習・社会教育が主人公になるというようなことだと思います。

 それから,期間についてということについてはそうだと思います。

 それから,6ページのところでの「デジタル田園都市国家」のところでは,確かに並列してあるものに少し質的な違いがあるようでございますので,この表現についてはもちろん貧困対策や孤独・孤立対策も内閣府が所管するとか,デジタル田園都市国家基本構想も内閣府が基本的に担当するということで,国としては優先順位が高い取組のようですが,もう1回確認をして,単に並列することがいいのかどうかを確認したいと思います。

 それから,子供の貧困というのが4つ目の丸のところにございまして,そのページですよね。「特にひとり親世帯において深刻とされる貧困にある子供」とせず,後にも子供の貧困という言葉が出てまいりますので,「子供の貧困」ということで統一して,ただし,とりわけ私たちはひとり親世帯において深刻とされている貧困にも目を向けていますということにしてはどうかという御提案ですので,これについても前後の関係から「子供の貧困」という言葉を優先した方が統一感があるようですので,そのように検討していきたいと思います。

 それから,9ページ,「十分に力を付けられない」となっているところ,これは恐らく「十分に教育機会を生かせなかった」ということで,教育機会を得られなかった人もいるでしょうし,得られたのだけれども,生かせなかったということもあるようですから,この辺もいま一度,表現を丁寧に再検討したいと思います。

 10ページのところで,「生涯学習・社会教育は地域コミュニティの基盤であるだけではなくて,社会全体の基盤である」というのは御指摘のとおり,この間一貫して皆様と検討してきたのが身近な地域コミュニティの基盤であるとともに,だからこそ社会全体の基盤であると議論してきましたので,これについてはしっかりとその旨を表記すべきだと思いました。

 それから,18ページです。「いじめ等の悩み」という表現がありますが,確かに加筆されているのですが,18ページのいじめのところです。これはいじめ等の悩みとした趣旨が事務局,理由はおありだったでしょうか,どうでしょうか。「いじめ等の悩みや不登校,子供の貧困等」となっているところですが,「等の悩み」がなくても大丈夫ですか。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 事務局から補足でございます。
様々な状況にある子供たちに関して丁寧に書きたいという意図で,いじめ等の悩みを抱えている子供とし不登校についてはその後につなげて書くということで現在の表記になっておりますけれども,いじめイコール悩みという捉えられ方にならないよう表現の修正をしてみたいと思っております。

 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。それでは,その最後のところです。

 私も,牧野委員が御提案されましたように,「はじめに」というところにも副題を考え,そして,「これからの生涯学習・社会教育に向けて」というところは,「結びに」とする。「終わりに」と言うと何かここで終わってしまうみたいで私は嫌だなと思っていて,「これからの生涯学習・社会教育に向けて」というのを提案したのは私本人でございますが,最後に,結論として一定のまとめをするということであれば「結びに」として,「これからの生涯学習・社会教育に向けて」とする方が,なるほど説得力があるかなと思いましたので,これまでの議論を踏まえて,「結びに」,今後はこのようなことを進めていくと。したがって,第11期の議論が「ウェルビーイング」を基調としつつ,「社会的包摂」や「デジタル化」の課題を生かしつつ,「地域社会や社会の基盤としての生涯学習・社会教育」について検討しましたと書くのは最も適切だと思いますので,是非そのように持っていきたいと思いました。ありがとうございます。

 それでは今現在,全ての委員の皆様から御意見を頂いています。大体最初の方に発言された方は,皆様の御意見を聞いていると少し補足の発言をと思うのですが,横尾委員はその趣旨の挙手でしょうか。

【横尾委員】 
 よろしいですか。

【清原分科会長】 
 どうぞ御発言ください。

【横尾委員】 

 表現で文部科学省として落としてはいけないことがなされているので,追加したいと思います。

【清原分科会長】 
 どうぞ。

【横尾委員】 
 24ページ24行目です。生涯学習・社会教育の主体として,「小学校,中学校,高等学校」と書いてあるのですけれど,「義務教育学校」が抜けています。

【清原分科会長】 
 なるほど。

【横尾委員】 
 これは絶対入れなければなりません。是非文科省のスタッフの方,下読みされるときに,「抜けていますよ」と指摘されていいと思いますし,義務教育学校はもう小中一貫教育で全国に展開しているわけですので,その子供たちや先生方ががっくりされます。このままではまさに「誰一人取り残してしまいます」ので,そうならないようにお願いしたいというのが1点です。

もう1点は,先ほど少し前半も申し上げたのですけれど,13ページの22行から25行にデジタルデバイドのことが書かれているのです。これは事前にペーパーで出したのですけれど,生かされていないので申し上げます。デンマークがやはり世界の幸福度ランキング1位になっていますが,そのベースの一つに,このデジタル教育,リテラシーの充実があると思うのです。そういう努力を非常にされていることなども加えたり,あるいは世界のいろいろなベストプラクティスがありますので,そういったのも参考にしてもっともっと改善をしていこうということもしていくべきだということも,加えていただくとより効果的だと思います。前半は是非お願いします。

【清原分科会長】
 ありがとうございます。学校種別については,実は委員の皆様から「大学等」とか集約してしまった「等」の中身を,できる限り詳しく列挙するようにという御意見があり,事務局と御相談して少々文章が長くなっても全て列挙しましょうと言いましたが,義務教育学校が抜けていたということで御指摘ありがとうございます。

 是非それは再確認をしていただいて,文部科学省の文書として学校について,さらには,松本委員が御提案いただきましたように,保育園とか関係の福祉施設との連携も極めて重要ですので,学校教育機関を列挙する場合には学校教育機関のみで結構ですが,ほかの多様な機関との連携を提案するときには,福祉の関係施設についてもできる限り分かりやすく例示するように,事務局の皆様と連携したいと思います。

 そのほか,ほかの委員の皆様の御意見を聞いて,どうしてもという方いらっしゃれば御発言いただきたいんですが,よろしいでしょうか,大丈夫ですか,大丈夫でしょうか。

 それでは,本日も本当に全ての御出席委員の皆様から御丁寧に,それぞれの御意見を提起していただきました。その場で私が方向性を分科会長としてお答えしたものもございますが,今後,本日頂いた御意見を中心に牧野副分科会長,そして,事務局と御相談をいたしまして必要な修正をして,より皆様の御意見が丁寧に反映されますように取りまとめたいと思います。

 取りまとめにつきましては,いつもながら恐縮ですが,こういう言い方しかできないのですが,取りあえず分科会長にお任せいただきまして,しかし,私は副分科会長を頼りにしますし,事務局も頼りにしますし,皆様から引き続きいただきました御意見で,是非これはというようなプッシュのメールも反映しながら,責任を持ってまとめたいと思いますが,一定のお任せを頂いてもよろしいでしょうか。

(「異議なし」の声あり)

【清原分科会長】 
 全員の方にうなずいていただきました。どうもありがとうございます。それでは,そのようにさせていただきます。

 さて,この「第11期生涯学習分科会の議論の整理(案)」につきましては,本日の皆様の審議を受けまして,一旦の取りまとめになります。ただ,私たちにつきましては,先ほどの社会教育士の事柄につきましても,あるいはデジタルリテラシー向上に向けた具体的な取組の内容につきましてもしっかりと受け止めて,課題として位置づけていくことになります。

 そこで文部科学省として,今後講じる施策について御検討いただくという必要が生じると思われます。8月以降も,適切なタイミングに生涯学習分科会を開催していきたいと思っております。これからの生涯学習・社会教育の振興のためにできることはまだまだたくさんあります。是非,委員の皆様にも引き続き御参画を頂き,建設的な御提言を頂きたいと思います。

 ここで,総合教育政策局長の藤原様,いらっしゃいますよね,大丈夫ですね。それでは,一言,御挨拶を頂きたいと思います。藤原局長,お願いいたします。

【藤原総合教育政策局長】 
 ありがとうございます。

 この第11期の生涯学習分科会では,昨年の5月以降,計10回にわたって御審議を頂いてまいりました。清原分科会長,また牧野副分科会長はじめ,委員の皆様方におかれましては大変熱心に御審議を頂きましたこと,改めて御礼を申し上げたいと存じます。

 第9期の答申,第10期の議論も踏まえながら,教育振興基本計画部会でも御議論いただいているウェルビーイングやデジタル化への対応の視点も取り入れながら,社会的包摂の実現や地域コミュニティの基盤といった生涯学習・社会教育の果たすべき役割や振興方策について,大変重要な内容の御提言を頂いたと思っております。

 私どもといたしましては,この提言の内容をしっかりと受け止めて,時代の要請に応えて,生涯学習・社会教育がその役割,機能を一層発揮できるように,そしてまた,関係する皆様方がより一層のやりがいと情熱を持って取り組んでいけるような環境整備をしっかりと進めてまいりたいと考えております。

 今,分科会長からもお話ありましたけれども,今後の生涯学習・社会教育の振興に関する具体的な施策につきましては,検討をこれから精力的に進めていきたいと考えておりますけれども,その内容につきまして適宜生涯学習分科会に御報告し,御審議をお願いしたいと考えております。どうぞ引き続きよろしくお願いを申し上げます。本当にありがとうございました。

【清原分科会長】 
 藤原局長,ありがとうございます。

 私たちの審議をよく傾聴していただきまして,これまでも政策に反映していただいてきたところですが,引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 本日の議題は以上になります。事務局から連絡事項をお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 事務局の中村でございます。

 第11期生涯学習分科会における議論の整理につきましては,本日頂戴いたしました御意見を踏まえ,分科会長とも御相談の上,整い次第,皆様に御連絡を差し上げるとともに,文部科学省のホームページでの公開を考えております。

 また,次回の開催日程につきましては,今後調整の上,改めて御連絡をさせていただきます。

 事務局からは以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。私たちが今直面しているのは大変厳しい国際情勢と新型コロナ感染者数の急増でございます。横尾市長をはじめ,全国の首長さんは本当に心を痛めて具体的な対応をしていらっしゃると思いますし,国民一人一人が自ら感染予防対策に努めるとともに,心身の健康の確保に本当に疲れを感じながらも,邁進しているところだと思います。

 どうぞ生涯学習分科会の委員の皆様,そして,文部科学省の関係者の皆様,そして熱心に傍聴していただいている全ての皆様,どうぞ健康に守られて,それぞれのお役割を果たしていただくことを願っております。

 何よりも心身の健康を第一に,この酷暑の夏を克服していただきますように,そのことを願い,これまでの取りまとめに御協力いただきましたことに感謝をして,本日の生涯学習分科会を閉会させていただきます。

 御出席の委員の皆様,そして,事務局の皆様,傍聴してくださった皆様,長時間の御参画,どうもありがとうございます。それではまた,御連絡いたしますのでお目にかかります。

 本日,これで閉会します。ありがとうございました。

 

―― 了 ――

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