生涯学習分科会(第118回) 議事録

1.日時

令和4年6月3日(金曜日)15時00分から17時00分

2.場所

文部科学省東館5階 5F4会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. 議論の整理(素案)について
  2. その他

4.出席者

委員

(分科会長) 清原分科会長
(副分科会長) 牧野副分科会長
(委員) 中野委員,萩原委員
(臨時委員) 伊東委員,大久保委員,金子委員,澤野委員,関委員,薗田委員,千葉委員,辻委員,長谷川委員,松本委員,宮城委員,横尾委員

文部科学省

(事務局)出倉大臣官房審議官,安彦社会教育振興総括官(併)地域学習推進課長,神山生涯学習推進課長 他

 

5.議事録

【清原分科会長】
 皆様,こんにちは。定刻になりましたので,ただいまから118回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。
 本日は,お忙しいところお集まりいただき,誠にありがとうございます。私は今,文部科学省の会議室から参加しておりますが,来る途中,大雨に襲われまして,ずぶぬれになりました。全国各地,雹(ひょう)が降るなど,大変天候が不順でございますが,皆様はいかがでしたでしょうか。
 さて,本会議は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため,ウェブ会議方式にて開催させていただきます。
 本日の議題でございますが,議題として,前回会議までの御意見を踏まえ,事務局において議論の整理の素案を作成していただきましたので,これについて事務局から御説明を頂いた後,皆様と議論を行っていきたいと思っております。
 なお,本日もユーチューブ上で報道関係者及び一般の皆様への傍聴を受け入れております。報道関係者等より会議の全体について録画を行いたい旨申出があり,許可をしておりますので,皆様,御承知おきください。
 次に,事務局から,ウェブ会議方式に当たりまして,その運営の留意点について御説明をしていただきます。
そして,配付資料の確認もお願いいたします。中村補佐,お願いします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】
 中村でございます。本日は,ウェブ会議方式にて開催させていただいております。御不便をおかけすることもあるかと存じますが,何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
 ウェブ会議を円滑に行う観点から,4点ほどお願いさせていただきます。
 1点目,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいよう,はっきり御発言をお願いいたします。
 2点目,御発言の際には,お名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。
 3点目,御発言時以外は,マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
 4点目,発言に当たりましては,手を挙げる挙手ボタンを押していただき,御発言後はボタンを解除いただければ幸いでございます。お手数をおかけいたしますが,御協力のほどよろしくお願いいたします。
 続きまして,資料の確認をさせていただきます。
議事次第及び資料1から資料4までの資料,そして参考として,参考資料1から参考資料5までを配付しております。資料2は,先月,5月13日に開催された中央教育審議会教育振興基本計画部会において,第3期教育振興基本計画の施策の進捗状況等が報告されておりますので,生涯学習関係の部分を抜粋したものとなっております。
資料3は,前回の分科会における委員からの御意見を踏まえ,文部科学省において,社会教育主事資格・社会教育士称号を取得された方の活動状況等に関する簡易なアンケートを実施いたしましたので,その結果をまとめた資料となっております。
 事務局からは以上でございます。

【清原分科会長】
 ありがとうございます。皆様の中から,音声が聞き取りにくいというお声が入っておりますが,音声は聞き取れていますでしょうか。大丈夫でしょうか。ありがとうございます。もし,聞き取りにくい場合など,チャット等でまたお知らせいただければ,対応させていただきます。
 それでは,議題1,議論の整理(素案)について、に入ります。
 今回は,前回の会議でお示しいたしました骨子のイメージを基礎にいたしまして,これまでの会議で委員の皆様から頂いた御意見を踏まえまして,事務局において議論の整理の素案を作成していただきました。これについて,委員の皆様から更に御意見を頂きたいと思います。
 そして,事務局から配付資料についてまとめて御説明を頂いて,その後,皆様から御質問を頂き,また意見交換を行っていきたいと思います。
 それでは,まず,事務局からまとめて資料について説明をしていただきますので,皆様お聞き取りください。
 中村課長補佐。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 中村でございます。本日のメインの議題は資料1となりますが,それを補足する資料として資料2から,資料2,資料3,そして最後に資料1の順に御説明をさせていただきます。
 まずは,資料2を御覧ください。令和4年5月13日に開催された中央教育審議会教育振興基本計画部会における配付資料のうち,生涯学習に関係する部分を御紹介するものです。
 2ページ目を御覧ください。第3期教育振興基本計画の全体構造はこちらのとおりです。一番左の列の基本的方針の上から3つ目,「生涯学び,活躍できる環境を整える」の下に,(10)から(13)まで4つの教育政策の目標が掲げられており,こちらに関係する箇所を抜粋しております。
 1枚お進みください。この資料の構成は,3ページの左手から各指標の状況について,右手,各施策の進捗について,続いて,4ページになりますが,進捗の総括,課題とその対応という構成になっております。時間の都合上,全体を詳細に御説明いたしませんが,目標の(10),人生100年時代を見据えた生涯学習の推進については,4ページ目の一番下,課題とその対応を見ますと,高齢者を含めた全ての人々がそれぞれのニーズに応じた学びを可能にするため,ICTの活用などによる柔軟な学びの機会の一層の充実を図るとともに,特に高度な学習内容については,大学や専門学校等におけるリカレント教育を積極的に推進していく必要があるなどとされております。
 続きまして,5ページを御覧ください。目標の(11),人々の暮らしの向上と社会の持続的発展のための学びの推進について,一番下の課題とその対応を見ますと,身につけた知識・技能等を地域や社会での活動に生かしている者の割合が低下傾向にあり,地域の課題解決に熱意を持って取り組む様々な分野の人材を巻き込み,協働しながら,地域課題や社会課題への貢献につながる学びを通じて,地域コミュニティでの活動を促進していく必要があるとされております。
 続いて,6,7ページを御覧ください。目標の(12),社会人の学び直しの推進については,7ページになりますけれども,一番下の課題とその対応を見ますと,社会人が大学等で学ぶに当たっては,社会人のニーズに合った実践的プログラムが少ないこと,学ぶための時間や情報を得る機会が少ないこと,学費の負担が大きいこと,学んだ成果の職場などでの適切な評価が十分になされていないことなどが課題となっており,行政機関,大学,専門学校,企業等が連携・協働して,これらの課題の改善を図りながらリカレント教育の充実に取り組んでいく必要があるとされております。
 続きまして,8ページ,9ページ目を御覧ください。目標の(13),障害者の生涯学習の推進については,次の9ページでございますが,課題とその対応の欄に,障害者の生涯学習機会が不足している現状の改善に向けて,効果的なプログラムの開発や支援体制の構築等に関するモデル事業の成果を横展開することにより,地方公共団体における主体的な体制整備や人材育成の取組を促す必要があるなどとされております。
 資料2に関する御説明は以上となります。

【清原分科会長】 
 それでは,資料3について,安彦総括官から御説明をお願いいたします。

【安彦社会教育振興総括官】 
 文科省社会教育振興総括官の安彦でございます。
私の方から,資料3に基づきまして御説明させていただきます。
 社会教育主事資格・社会教育士称号の取得者向けのアンケート結果ということで,これは単純に集計できる部分だけ,速報値のような形で第一次集計という形でまとめさせていただいたものでございます。アンケートは5月に実施したものでございまして,修了した方の中からアンケートに回答いただいた方のデータということになります。
 まず,修了年度ということで,令和2年度,3年度とそれぞれ回答いただいた人数が,合計で781人ということでございます。
 資格取得の方法は,社会教育主事講習が圧倒的に多いということでございます。
 男性,女性の比率は6・4というような,回答した方の中ではそういった比率になっております。
 年齢としましては,40代が35.3%と一番多いということで,次に30代,50代,そんな順の年齢構成になっております。
 また,職業としまして,受講当時ということでございますが,一番多いのは教育委員会の職員でございます。その次が教職員ということでございますが,特に教育委員会以外の行政職員の方であったり,一般企業の職員の方が受講しているというのが非常にデータとして面白いデータだなと思っています。特に次の職業,現在の職業というところでございますが,教育委員会以外の行政職員ということで106名というふうになっておりますけれども,様々な社会教育の活動の中で,最近ですと教育委員会以外の,例えば産業振興の部署の人が高校生だとか様々な人たちと地域の社会教育に関わるような活動をするというようなことが増えてきていると。そういったものも背景にあるのではないかなと思っております。現在の職業として一番多いのは,教育委員会の社会教育主事でございますけれども,教職員が180ということで,そういった数値になっております。
 次に,3ページの7ということで,現在,社会教育主事として活動していますかということで,「はい」というのが254というふうになっております。それを生かした活動をしているかという8番のところでございますが,「はい」というのが341ということで,「いいえ」ということで430ということで,過半数がまだ生かした活動ができていないということで,そういった活躍の場というのが非常に期待されているということではないかと思います。
 この8で活動しているということを回答した中で,どんな分野で活動していますかということでございますが,「教育」ということで239と圧倒的に多いのですが,その次に「まちづくり」ということで,先ほど言ったように,教育委員会以外の部署の方がまちづくりという観点で活動しているという,そういったケースが増えてきているということが特徴かと思っております。
 最後,4ページでございますけれども,こちらは社会教育士の称号を取得したことで評価として一番近いものを選択していただいたのですけれども,「よかった」というのが圧倒的に多いのですけれども,「とてもよかった」というのも276と多くなっております。「どちらでもない」というのが183ということでございますけれども,こちらは実際にもう既にそういった社会教育主事として活動されているような方が,特に感想を述べていないというようなケースが多いのではないかなということで,いずれにしても,非常に評価が高いというふうに考えていただければと思っております。
 11番のところでございますが,取得をした後に保有者とネットワークが欲しいという希望がありますかということで,「はい」というのが575ということで,そういった希望が高いということが見てとれるかと思います。
 最後の12番のところでございますが,継続的に学習したい,そういった機会が欲しいということを希望している方が575ということで,75%もの方々が継続的に学びたいという,そういった希望があるということでございます。
 私の方からの説明は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 安彦総括官,ありがとうございました。
 それでは,本日の議題でございます第11期生涯学習分科会 議論の整理(素案)につきまして,神山課長から御説明をお願いいたします。

【神山生涯学習推進課長】 
 生涯学習推進課の課長の神山でございます。
資料1に基づきまして,素案の御説明をさせていただきたいと思います。この素案は,前回の骨子案に対して頂いた意見を踏まえまして,記述を追加・修正したものということになってございます。
 まず,目次を御覧いただきたいと思います。目次では,「はじめに」ということで,中身は後ほど御覧いただきますけれども,「はじめに」のところで前期,第10期との関係などについても記述してございます。
 また,1の生涯学習・社会教育をめぐる現状・課題については,社会的な現状などの記述を充実させてございます。
 また,2の生涯学習・社会教育が果たしうる役割の中では,1の生涯学習と社会教育という項目を増やしてございます。これも後ほど御覧いただきますけれども,生涯学習や社会教育それぞれの意義などにつきまして,前回,より根本的な部分に関する御意見などもあったということを踏まえまして新設をした部分になりますので,御議論いただきたいと思っております。
 また,2のウェルビーイングの実現は前回と同じでございますが,3の地域のコミュニティの基盤としての役割と,4の社会的包摂の実現を図る役割については、3と4の順番を入れ替えてございます。2のウェルビーイングの議論のところでかなり,地域といいましょうか,場の話の議論が一定程度ウエートが高かったと思っておりまして,こちらを3ということで,ウェルビーイングの次に地域コミュニティの記述を持ってきて、順番を入れ替えてございます。4が社会的包摂ということになってございます。
 大きな3番が,今後の生涯学習・社会教育の振興方策ということで,こちらも中身の順番などの入替えなども行ってございます。前回の骨子では,最初に主体別,国や地方公共団体という主体ですとか,社会教育施設という主体ですとか,社会教育の人材といった主体に直目した項目を並べまして,その後に,今後重点的に取り組むべき施策として,障害者の生涯学習ですとか,地域と学校の連携・協働の推進といった話,それからリカレント教育という3つの施策を並べておったという構成になっておりました。けれども,この構成とするよりは,先ほど申し上げたように,地域コミュニティというのが,上の大きな2のところでもより上に来ておりましたので,地域施策に関係のある1の公民館等の社会教育施設のものを最初に持ってきて,それを支えるものとして社会教育主事ですとか社会教育士などの人材の話,それから地域との関係ということで地域と学校の連携・協働の推進,この3つを上の方に持ってくる構成に並べ直してございます。
 また,その後,リカレント教育ですとか障害者等の生涯学習と,比較的,社会的包摂の実現に関係するものを並べておりまして,最後に,全体を支えるものということで,国や地方公共団体が果たすべき役割を持ってくるというような構成に少し見直しをしてございます。
 「おわりに」というのも最後,書いてありますが,これについては今回,記述は入れておりませんで,今日の御議論を踏まえて,また次回お示しをするような形かなと思ってございます。
 それでは,中身に入りたいと思いますけれども,1枚おめくりいただきますと,先ほど申し上げたように,「はじめに」でございます。「はじめに」は,1つ目の白丸では10期のときのことを触れてございまして,コロナがあった状況の中,あるいはGIGAスクール構想を進めておったという状況を踏まえて議論をし,コロナが社会的教育に与える影響ですとか,デジタル・ディバイドの解消などについても議論した。あるいは,自然災害の状況を踏まえまして,命を守る生涯学習といったような議論をしたということに触れてございます。
 2つ目の白丸にも,10期では,「命を守り,誰一人として取り残すことのない社会の実現」を目指して,社会的包摂を実現するための生涯学習・社会教育の在り方について議論の整理をまとめましたということを書いてございます。
 3つ目の白丸では,教育振興基本計画,先ほど説明が若干ありましたけれども,その議論が進んでいるということにも触れて,本分科会の議論と関係していますというような状況を説明してございます。
 最後のところでは,こうした10期の話ですとか,教育振興基本計画を踏まえて,生涯学習・社会教育が果たしうる現代的な役割の明確化ですとか,社会教育の担い手である社会教育主事・社会教育士,あるいは公民館などの社会教育施設に関する施策について整理を行ったというような経緯を書いてございます。
 続きまして,3ページ目でございますけれども,1,生涯学習・社会教育をめぐる現状・課題としてございます。1つ目の白丸のところには,VUCAの時代といった言葉を追加しておりまして,2つ目の白丸は,丸々追加をしているものでございますが,世帯構成ですとかライフスタイルの変化といったものについて記述を充実させてございます。地域社会を支える地縁ですとか血縁といったもの,そのつながりが希薄化していることに加えて,コロナの影響もございまして,孤独や孤立の問題が顕在化してきたといった話,また,情報通信社会が発達してきているということで,ライフスタイルが変わってきているというような話を書かせていただいてございます。
 その次の白丸では,より大きな視点で世界的な気候変動ですとか,エネルギー問題などの国際的な社会課題ですとか,そういったものも個人の生活にとってより身近な問題になってきているといったものを入れております。
 また,その次の白丸では,SDGsに触れておりまして,その目標の一つには,全ての人々への包括的かつ公正な質の高い教育を提供し,生涯学習の機会を推進するといったものが挙げられているということに触れておりますし,また,そのアジェンダの前文でジェンダー平等にも触れているということも記載を追加してございます。
 最後の白丸でございますけれども,それらを踏まえまして,生涯学習の現代的な役割の再確認といったこと,それからまた,社会的包摂の実現を推進していくことが必要だといったことの記述を追加してございます。
 その次は,人生100年時代における学習の重要性ということで,4ページの方に参りますけれども,4ページの一番上の白丸の2つ目のパラグラフのところで,社会人の学習に関しまして,知識の習得だけではなくて,仲間との交流の機会の獲得などのメリットもあること,それから,他方で学習を積み重ねていく学習習慣というのが余り社会人では身についていないといったことについても言及をしてございます。
 その次の白丸では,グローバルの問題が日常生活にも影響を及ぼしているという状況を踏まえまして,自治的・民主的な住民の一員として,社会参加や主体的な判断や行動が求められるようになっていると。その意味でも,地域における社会教育を通じて,また,実際の社会参画を通じて,必要な資質等を見つけていく必要性が増大してきているということを追加してございます。
 その次が,学校と地域の連携ということで,学校と地域住民が一体となっていくということは,地域のコミュニティ,学校教育を支える上だけではなくて,社会教育の振興を図る上でも,前述の自治的・民主的な住民としての社会参画を進める上でも重要だといった記述を追加してございます。
 それから,下から2つ目の白丸を御覧いただきますと,地域コミュニティに着目する様々な施策が進んでいることから,多様な主体と結びつけるような人材ということの需要が高まっているということについても触れた上で,一方で,それをやっていただく社会教育主事の配置が減少傾向だということについて触れてございます。
 一番最後,一番下でございますが,オンラインを活用した学習の重要性ということで,コロナの関係でデジタル化・オンライン化が進んだということもございますが,それは社会的包摂の実現で有用というのは当然でございますけれども,そのほかの様々な場面でデジタル技術を活用することが社会教育の裾野を広げて,その振興に資するということに触れてございます。
 次のページ,5ページ目でございますけれども,こちらは生涯学習や社会教育が果たしうる役割でございます。先ほど申し上げたように,5ページ目には,生涯学習と社会教育という項目を新設いたしまして,それぞれについて,点線で囲っておりますような記述を追加しておりますが,米印に書いてありますように,生涯学習や社会教育が果たしうる今日的な役割として提示するべきポイントはどのようなものかといったところについて,本日御議論をいただければと考えてございます。
 中身については,生涯学習についてでございますけれども,1つ目の白丸では,教育基本法の3条で理念が示されていること。それから,2つ目の白丸では,生涯学習というのが,一人一人がより豊かな人生を送ることができるように,個人の自発的な意思に基づいて生涯を通じて行うのだということに触れた上で,児童期ですとか青年期の学校教育を受けた後も必要なもので,個人の人生を支えて自己実現を図る上で重要な役割を果たしているということに触れてございます。さらに,学び直しをしながら社会参画を繰り返していける社会の実現が望まれるといったことにも言及をしてございます。
 それから,3つ目の白丸の中では,ウェルビーイングとの関係ということで,多様な年代や属性とともに学ぶといった,他者との関係の中で個人の学びもより豊かな学びになっていくといったこともウェルビーイングの実現と密接不可分だと言えるのではないかといったことについても触れてございます。
 続きまして,下半分の社会教育についてでございますけれども,社会教育の1つ目の白丸では,社会教育というのが地域コミュニティの構成員である住民が共に学ぶもの,それから地域づくりの営みという性格を持っているということを書いてございます。また,3行目ぐらいから,住民自身が学びたい意思を持ち,学ぶ内容に関する当事者となり,その学習の成果が地域における活動に還元されるような循環が社会教育において生まれることが期待されるという記述にしてございます。
 その次の白丸では,先ほど述べた様々な省庁の地域コミュニティに関する施策に触れておりまして,そういった中では,住民同士が交流できる場ですとかを整備していくことが大事だと。また,人と人,人と場所をつなぐということが必要とされておりますので,その拠点として,社会教育や社会教育施設が捉えられているとしてございます。
従来から,学びを通じて「ひとづくり・つながりづくり・地域づくり」の循環を生むということが社会教育の役割と言われてございましたので,それが重要視されているという点に改めて注目すべきだという記述にしてございます。
 それから,3つ目の白丸では,社会教育の振興ということで,コミュニティ施策による課題解決を支えるものというのが社会教育振興の重要な点であるのはもちろんなのですけれども,さらに,未来志向で「こうありたい自分,こうありたい地域の姿」を住民自治の観点から考え,そのために必要な学びとその成果の還元が循環する社会教育を基盤とした地域コミュニティが形成されれば,様々な課題が大きな社会問題となる前に地域で解決されていくということが期待できるのではなかろうかと。そういう意味で,社会教育は持続的な地域コミュニティの基盤として不可欠なものだと考えられるというように,社会教育について記述をしてございます。ここについても御議論をいただければと思ってございます。
 続きまして,次のページ,6ページ目でございますけれども,ウェルビーイングの実現の関係でございます。最初の白丸のところでは,ウェルビーイングに関する振興基本計画の諮問などについて触れてございます。
 それから,4つ目の白丸のところでは,ウェルビーイングの実現を目指すに当たって,「個人」に着目するだけではなくて,関係を持っている「他者」ですとか,その個人が置かれている「場」,地域や国といった「場」に着目することが重要と。その理由は,「個人」というのは,その個人が置かれている「場」や「他者」の影響を大いに受け,また「個人」の状態は,その個人の置かれている「場」や周囲の「他者」に影響を受けるという相互の関連性があり,切り離して考えることができないということに触れておりまして,やや丁寧に関係性を説明してございます。
 その次の白丸では,生涯学習の観点から,個人の成長を目的とする学習ということを考えますと,各個人それぞれの各時期において異なる課題やニーズに応じて学習をするということになりますので,それを解決していくということで個人のウェルビーイングにつながっていると。また,国際社会や国家や地域社会などのレベルで今日的なテーマといったものを学習するということを考えますと,学習によって個人の置かれている場の状態が改善するということで,個人のウェルビーイングにも影響していくというように考えられるとしてございます。
 そのようなことを踏まえまして,その次のパラグラフでは,各個人の課題に対応した学習機会の保障ということと,社会的な課題に関する学習機会も保障されるということが重要だということで,生涯学習社会の実現を目指す取組というのを進める必要があるというように書かせていただいてございます。
 続きまして,次のページが地域コミュニティの基盤としての役割でございますけれども,多少,書く順番ですとか,別のところに書いてあったものを持ってくるような修正はしてございますけれども,基本的には前回のものが踏襲されているような形になってございます。
 1つ目の白丸などでは,生涯学習の基盤として,個人だけではなくて,地域社会の発展も含めたウェルビーイングの実現を支える地域コミュニティが大事だといったことを書かせていただいておりますが,こういったものも基本的には,前回触れておったものを移動してきた形になってございます。
 それから,同じページの下の方の4番目に「社会的包摂の実現を図る役割」というのを入れさせていただいてございます。これにつきましても,前回と同様の書き方になっておるかと思いますが,次のページ,8ページの方に参りまして,8ページの一番上の白丸のところでは,デジタル・ディバイドの解消が大事だといったことに加えまして,後半で,デジタルを介した格差や分断が生まれないよう十分に留意してデジタル化を実現することも必要だということを追記してございます。
 続きまして,次のページ,9ページ目が,今後の生涯学習や社会教育の振興方策という内容になってございます。こちらにつきましては,9ページ目の最初の1)のところで,公民館等の社会教育施設の機能強化について触れておりますが,タイトルに「デジタル社会への対応」ということも入れておりまして,デジタル社会への対応,いろいろなところで必要にはなってくるのですが,特にこの公民館等の社会教育施設のデジタル化といったものも必要だろうということで,タイトルにも明示をする形にしてございます。
 また,1つ目の白丸のところでは,これもいろいろなところから移動してまとめて書くようなことをしておりますけれども,1つ目の白丸の3行目からのところで,学校ですとか,公民館,図書館等の複合化・集約化,社会教育等における学校施設の活用促進を図ることなども,地域コミュニティ全体の連携機能を強化する有効な方策の一つと考えられるという書き方にしておりまして,複合化などが施策の一つだというふうなことがはっきりするように,また地域の実情に応じてやるもので,画一的に進めるものではないということが明確になるように,「地域の実情に応じて」ということですとか,「有効な方策の一つだ」という書き方に修正をしてございます。
 また,その同じパラグラフの後ろの方では,オンラインによる講座等の提供の推進ですとか,その面と住民同士が対面でつながる機会を持つことの双方を重視する必要があるということも書かせていただいてございます。
 その次,3つ目の白丸のところでは,ここにも前回,推進方策ということで,PCの導入ですとか,Wi-Fiなどの話を項目として掲げておりましたが,文章の中に埋め込むような形にして書かせていただいてございます。
 それから,その次の白丸は,図書館について書いてございまして,前回,図書館の記述がやや少なめでございましたので,令和3年の著作権法改正で図書館資料をメールで送るということが可能になるという状況を追記してございまして,さらに,図書館でもデジタル・ディバイド解消のための講座をするということも考えられるということで,デジタル化対応の話なども追加をしてございます。
 その次の白丸のところでは,障害者の生涯学習の支援などのところが書かれておりますけれども,「自前主義」から脱却していく必要があるよねというところまでは前回も書かせていただいておりましたが,その後ろの方の幾つか,例えばというところで,地域の高等教育機関と連携して行いましょうといったことですとか,地域の高校生や大学生の参画を得られるよう学校と連携をして行うといったことも、御意見を踏まえて追記してございます。
 その次が,社会教育主事や社会教育士などの活用ということでございますが,次のページ,10ページ目に参りまして,10ページ目の上の方,一番最初の白丸が社会教育主事に関する記述でございます。社会教育主事の記述の中で,平成8年以降は社会教育主事の人数が減少の一途をたどっており,配置率で見ると,平成30年には5割を下回っているといった現状についても書かせていただいてございます。
 その2つ下,「また」で始まるパラグラフのところを御覧いただきますと,こちらは社会教育士の関係でございますが,これも令和2年度からの2年間で2,000人以上の社会教育士が誕生しているといったことも追記してございます。
 その次の白丸では,令和2年度,3年度の社会教育士の活動状況に関するアンケートについて触れておりまして,活躍することができる場の環境整備などが重要ということを書かせていただいてございます。
 その次の白丸でございますけれども,社会教育人材の量的な拡大を図るといったことに触れてございますけれども,後半の方で,社会教育士に関する実態を把握した上で人材の在り方について更に検討が求められるということで,社会教育士の役割の明確化ですとか,十分な講習を行うようオンラインを活用した講習の実施をすること,また称号の付与などについて検討を進めていく必要があるということも書いてございます。
 その次の白丸では,社会教育主事・社会教育士ともにでございますが,ICTスキルなどについても必要だという御意見もございましたことを踏まえまして,そうしたことを継続的に学習する機会を設けるといったことや優良事例の展開といったことで記述させていただいてございます。
 同じページの下の方,地域と学校の連携・協働の推進ということで,コミュニティスクールの関係などでございますが,11ページの方に参りまして,11ページの最初の白丸ですとか,3つ目の白丸のところでは,関係が深いPTA活動についても言及をするようにしてございます。
 また,2つ目の白丸のところでは,令和4年2月に公表した「教育進化のための改革ビジョン」についても触れて,企業等とのより一層の連携の推進ということにも触れてございます。
 それから,5つ目,「なお」で始まるところでは,現在,学校の働き方改革の観点ですとか,地域におけるスポーツ環境の在り方等の観点から,部活動の地域移行について議論がなされているということを踏まえまして,社会教育施設ですとか社会教育団体などと連携して,運営上の工夫を積極的に行うことが求められるという記述も追加してございます。
 それから,11ページ真ん中から下が,リカレント教育の関係でございます。1つ目の白丸では,学びを継続する上で学びの習慣があることが重要ということで,学びの習慣を身につけることの重要性の認識の共有が必要だといったことの記述を追加してございます。
 その次の白丸のところでは,最後の方でリカレント教育の提供主体について,大学や専門学校などの教育機関と公民館などの社会教育施設,それから,民間もいろいろございますということを紹介した上で,その次の白丸では,公民館などでは既にニーズに応じたものをやっていますけれども,デジタル・ディバイドの解消のような,住民が社会参画を図る上で必要なものは十分な機会を提供するように特に配慮が必要だという記述にしてございます。
 その次の白丸は,大学などでございますけれども,リテラシーレベルだけではなくて,より高度な内容のものも提供しているということに触れてございます。
 それから,次のページ,12ページでございますけれども,最初の白丸では,情報提供のポータルサイトについて触れておりまして,この中3行目では,民間企業の民間におけるリカレント教育情報も情報発信ができるようにということの記述を増やしておりますし,同じパラグラフの最後のところで,リカレント教育の推進を図る上で学習履歴の可視化が大事だということで,オープンバッジなどのデジタル技術を活用することも考えられるといった記述を増やしてございます。
 それから5番目が,障害者等の生涯学習の推進ということですけれども,これは2つ目の白丸のところで,「特別の課程」による履修証明制度などの活用について言及をしたりしてございます。
 3つ目の白丸では,「当事者中心の生涯学習の視点」と,障害に関する基礎的理解に加えて,障害者の生涯学習推進を担う人材の育成とかも大事だということで,例えば特別支援学校の教職員に対する研修ですとか,障害者本人が生涯学習の担い手になっていくといったことにも触れる記述を増やしてございます。
 また,その次の白丸では,障害者の生涯学習を支援するコーディネーター的な人材の活用にも触れてございます。
 それから最後,13ページでございますけれども,ここに国・地方公共団体が進めるべき取組というのを書いてございまして,1つ目の白丸では,全体の議論を踏まえて振興基本計画などで全体像を示していくということが必要だというように書いてございますし,その次の白丸では,社会教育施設や,あるいは社会教育を担う人材の役割を明確にするのも国の役割として重要だというように触れております。
 また,3つ目の白丸では,以前,各省庁の事例を御紹介したものがございますので,それをやや具体的に書いたものを追記しております。
 最後,13ページの一番最後のところでは,教育委員会と首長部局との関係につきまして,総合教育会議の場ですとかを活用して,首長部局とも積極的に連携を図る必要があるというような記述を追加したというような形になってございます。
 ちょっと長くなりましたが,以上でございます。

【清原分科会長】 
 神山課長,ありがとうございました。
 皆様に改めて申し上げます。今回,資料2で,第3期教育振興基本計画の進捗状況等について,改めて生涯学習・社会教育の部分を御報告いただきましたのは,先の会で私も報告させていただきましたが,現在,第4期の教育振興基本計画の作成に向けて,中央教育審議会の中に特別部会が設置されております。その部会に私と,それから牧野副分科会長,そして今村委員,内田委員,清水委員,関委員も参加をしております。
その会で先日,5月13日の中で紹介されました資料を皆様と共有することが必要であると,このように認識して今日は御説明をしていただいたところです。
 また,重要な生涯学習・社会教育の担い手として社会教育主事・社会教育士についても,前回,改めて御報告を頂きましたが,最新の調査が上がってきましたので,速報という形で今日は御報告を頂いたということになります。
 本日,皆様と御議論したいのは,資料1,「第11期生涯学習分科会における議論の整理(素案)」でございますが,先ほど事務局より御説明していただいた資料も含めて,これから質疑,意見交換を行いたいと思います。
前半は,2ページから8ページまでの「生涯学習・社会教育をめぐる現状・課題」,そして「生涯学習・社会教育が果たしうる役割」というところについて,御質問,そして御意見を頂きたいと思います。なお,もちろん,先ほどの資料について御質問のある方も,どうぞ挙手ボタンを押していただければと思います。皆様,どうぞ。
 それでは,まず,横尾委員の手が挙がりましたので,横尾委員,関委員,そして大久保委員の順番でお願いいたします。

【横尾委員】 
 ありがとうございます。横尾でございます。大変御無沙汰しております。こうやって会議ができることを有り難く思っています。
 私からは,今のページまでの意見について申しますと,実はこれまで、いろいろなことを考えていましたら,とても大事なことをかなり見落としているのではないかなという反省と気づきがございました。
いま、デジタル化の潮流があります,総理のデジタル田園都市構想はもちろんなのですが,世の中を見ても,実に多くの皆さんはスマホを使って、いろいろな情報を手に入れたり、発信をされたりしている訳です。さらに今後を予測すれば、デジタル社会がいよいよ本格的に加速して,行政サービスも今後もっともっとデジタル化していくと思うのです。
そういった中で,「デジタル社会を生き抜く力」があると思います。よく教育行政の中でも「生き抜く力」という表現がありますが,「デジタル社会を安心して生き抜く力」を身につけることも、現状分析に入れていただきたいと思います。続いて、後半でも意見を言いますが,この施策に入れていただきたいと思います。
 少し述べてみますと,例えば、社会学の用語で「パラダイムシフト」というのがありますが,正に今そのときだと思うのです。いろいろな場面がデジタル化しています。
ところが一方で,セキュリティーに対する教育があまりなされていません。例えば、ある御家庭で,おばあちゃんが孫とインターネットでつながりたい,チャットをしたい,メールをしたいと思ったとします。ところが,使用するアドレスがどこかに知れ渡っていきますと,余分なメールが入ってきて,もしもそこに不審なトラップなどが仕込まれていると、それを開けたら大変危険です。そんなファイルも添付されたりしているのです。そこで,今から早期に、ちゃんとしたネットワーク活用のマナーやルールを教えておかないと大変なことになるわけです。
 先般,与党の政調会長である高市さんとお話をする機会がありました。
その際に,このことに大変危機感を持っているという主旨のことを述べられました。
教育行政の中で,これは学校教育並びに社会教育も入ると思いますが、そういった中でも,デジタル社会に向けての一人一人の個人の力の学びの中にちゃんとこういった教育をしていかないとリスクも高まってしまうのではないかと危機感を持っておられました。是非そういったことも課題として書くべきではないか、問題提起すべきではないかなと改めて思っているわけです。その対策や啓発・学習・講習を進めることで、実は人々は安心して様々な情報にアクセスできるようになりますし、デジタルをかつ王できるようになれます。
 現在,GIGAスクールが進みつつありますので,小学校,中学校,義務教育学校,そして高等学校もいよいよ今後入っていきます。子供たちは本当にハイスペックなものを使いこなせる状況になります。けれども,大人社会でビジネスにつながっている方は日頃使用もされて、熟知されているので大丈夫と思いますが,そうではない方々や,あるいは今の高齢者の方々は,必ずしもデジタルが得意なわけではありません。ひょっとすると,5年後か数年後を考えると,ここでまた世代間ギャップが出るぐらいの勢いではないかなと危惧するのです。
そういった意味でも,機器の使い方はもちろんですが,セーフティ確保ということについても,是非社会教育の中でも取り上げて,「デジタル社会を生き抜く市民の基礎力」として,是非注目をし,そのことを高めていく必要があると思います。そして,それを前提に,MOOCですとか様々なことの展開になると思います。
 改めて今回まとめていただいたのを拝見していると,どうも安全で安心して使えるICT環境を前提としてしまって、我々は議論しているのではないのかな、と感じます。ところが,そもそもその入り口のところで、そういうリスクもありそうだなということです。そういったことのブラッシュアップ,あるいは基礎力の講習,学びを是非やっていくべきだと思います。ですからぜひ,そのことを付け加えていただきたいということを強く思っておりますので,よろしくお願いいたします。
 以上です。

【清原分科会長】 
 横尾委員,大変重要な御指摘をありがとうございます。
正にデジタル社会,Society5.0を生き抜いていくために重要な基礎的な力を生涯学習・社会教育で身につけていくことの必要性を明記していきたいと思います。
特にデジタル・ディバイドという言葉が何回も出てきましたが,これは機器の使い方とか,機器を使える環境とか,そういうところの意味を含むだけではなくて,正に主体的に適切な情報を安全に使うという個人の力も含めて,格差なきように進めていかなければならないという問題意識を私も明確に御意見に賛同しております。
 それでは,関委員,どうぞ。

【関委員】 
 ありがとうございます。取りまとめ,御苦労さまでございます。
これは今になって言うのが果たしていいのかどうか,自分でも頭を悩ますのですけれども,今までの社会教育というのは,特に公民館等で行われている活動というのは,社会教育関係団体をターゲットにしていろいろな活動を今までやってきたような気がするのです。
 しかし,その組織,婦人会にしても青年団にしても,いろいろな組織が今非常に弱ってきている。自治会,コミュニティにしてもそうだと思うのですけれども,そういったものに対して,しかし,いまだに,公民館等は何々学級・講座というものを,そういう方々をターゲットにやってきているところが地方には多いような気がするのです。そして,そのことが結果的に,一部の人間に対しての社会教育を展開するという意識を生み,公民館はそういう団体に帰属していない人間にとっては敷居が高い場所になっているような気がするのです。
 これまでやってきたことは当然,大事にしていかなければいけないことはあるという前提の上で,これから先の新しい,例えば地域運営組織みたいなものを目指すのであれば,その際にきちんとした方向づけをしておく必要があるのではないかなと考えるのが1点です。あともう一点ですが,子供にはアクティブラーニングということで,主体的で対話的で深い学びを求めているのですが、これをむしろ社会教育の方法論として,大人にもきちんと位置づけていくような方向性を打ち出してもいいのではないかと考えます。
 以上,2点です。

【清原分科会長】 
 関委員,ありがとうございます。
正に社会教育関係団体における変化についても明記する必要があります。
今頃なんて思わずに,全ての委員の皆様,今こそチャンスでございますので,かねて,気づきがあったことに加えて,今気づいたことをどんどん発言していただければと思います。子供だけでなく,大人もアクティブラーニングをということでございます。
 それでは,大久保委員,お願いいたします。

【大久保委員】 
 ありがとうございます。大久保です。
私は,5ページのところの生涯学習と社会教育というふうに今回整理して入れていただいたところです。こちらに関してちょっと教えていただきたいというか,これは質問でもあり意見でもあるんですけれど,この生涯学習という言葉がここで説明をされたのですが,その後に出てきます,例えば5ページの後,6ページにも出てきますし,あと後半の11ページにも出てくるのですけれども,生涯学習とリカレント教育というものの関係性,あるいは学び直しとの関係性,それからリスキリングという言葉との関係性が,読んでいるうちに道に迷ってしまうのではないかなと思います。読むと,リカレント教育というのは生涯学習の一部であると書いてあるような気がしますし,さらに,リスキリングはリカレント教育の一部であるというふうに書いてあるような気もするし,また,リカレント教育は学び直しのシステム的な角度からの言い方であるような感じにも取れるのですけれど,この辺りの言葉が一個一個,種類の違う言葉が出てきたときに,読んでいる人が分からなくなってしまうのじゃないかなという心配があります。
 また,ここで生涯学習と社会教育というふうに書いているのですけれど,生涯学習と社会教育との関係性も少し説明があると分かりやすいのかなという感じがします。
 もう一つ言葉の説明ということでは,社会的包摂も脚注をつけるなどした方がいいかなという感じがしていまして,社会的包摂という日本語が,なかなか一般的に理解が安定しないということがあって,もともと政策的には一億総活躍という言葉を使ってみたりとか,企業社会ではダイバーシティー&インクルージョンという言葉が浸透したりとかしているので,場合によってはそういう言葉も引き合いに出しながら,社会的包摂の説明を,欄外でもいいのでちゃんとしておいた方が,その後スムーズに多くの方々に読んでいただけるのかなという気がいたしました。
 以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。
逆に私は,大久保委員に,むしろこの点について更に質問だけではなくて御意見を伺った方がいいかなと思いますのは,「リカレント教育」とか「学び直し」については,大久保委員もいろいろな実践等をお持ちだと思いますので,「リカレント教育」ということについては,今回,生涯学習と社会教育を5ページに書いておりますけれども,改めて,突然出てくるのではなくて,やはりこのように整理できるというようなことをきちんと「生涯学習・社会教育」に並べて書いておいた方がよろしいでしょうか。その辺の御意見を承った上で,事務局で少し今時点の考えをと思いますが,いかがでしょうか。

【大久保委員】 
 そうですね。リカレント教育は今回の中でも大変重要な一つのテーマとして書かれています。私も幾つか調べてみたのですけれど,生涯学習とリカレント教育をほとんど同じ意味で使っている場所もあるし,あるいはリカレント教育といったときは職業能力に限定しているときもあるし,使う場所によって若干使い方が違うのだろうなと。ですから私は,この審議会ではどういう意味でそれを使っているのかということははっきりさせた上で話し始めた方がいいのかなというふうに思っております。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。
これは中央教育審議会の中でも,生涯学習分科会以外でも,「リカレント教育」というのは高等教育の中でも使われることがありますので,御指摘のように明示していく必要があると私も思いますが,事務局でどなたかお答えに。
 神山課長,お願いします。

【神山生涯学習推進課長】 
 御意見ありがとうございます。もう一度用語の統一といいましょうか,用語の使い方について,全体をもう一回通して見直す必要があるという御指摘につきましては,この後,御意見を頂いた後に,また次の回に向けて整理をしたいと思ってございます。
 生涯学習と社会教育との関係,あるいはリカレント教育などとの関係でございますけれども,おっしゃるように生涯学習というのは非常に広い概念でございますので,生涯にわたって学習するという点においては,時間軸で見ますと,恐らく一番広い概念ではなかろうかと。学校教育なども含んだ概念というふうに考えてございます。
社会教育は,学校教育は少なくとも入らないのが社会教育という概念ですので,人生の時間軸で見る限りにおいては,生涯学習の方がより広い概念というふうに思ってございます。
 5ページ目に今回書かせていただいたのは,そういった定義的な意味だけではなくて,生涯学習の方が比較的個人の自己実現などに結びつく側面から議論されることが多かったり,社会教育の方が地域づくりなどの視点を念頭に置きながら議論されることが多いということなど,分科会の中で御意見があったそういった視点から,定義の部分ももちろんなのですけれども,役割の部分についての御意見が多かったのではないかということで整理したものになってございます。
 ただ,リカレント教育の方に関して言いますと,前回の御意見も踏まえまして,6ページの下のところ,脚注にリカレント教育について書かせていただいておりまして,若干前回書いたものから見直しをして,元来は,いつでも学び直しができるシステムという広い意味であったと。一般的には,社会人などを対象にした職業能力の向上といった意味で使われることが多いといったことを書かせていただいております。
 すなわち,元来は,学び直しという意味では,必ずしも職業などと関係ないものも含めた概念でございましたけれども,ただ,最近は,リカレント教育といいますと,一度高校・大学などの通常の学校教育を出た後に学び直すというニュアンスで使われることが一般的になっていると思います。
その中で、さらに職業的なものだけを指す場合も,もう少し広い意味で使っている場合もあるというのは御指摘のとおりでございますので,そうした視点からもう一度,用語が揺れていないかといったところはよく確認をしたいと思います。
 また,リスキリングに関しましても,スキルを身につけるという趣旨でいきますと,リカレント教育の中の更に一部ということでございますが,スキルという用語からして,リテラシーと対比をしてもう少しレベルの高いものという趣旨で使う場合もあります。いずれにいたしましても,御指摘を踏まえて用語の整理はさせていただきたいと思っております。
 また,社会的包摂などの用語の分かりやすさについても,分科会の後で御意見の趣旨を踏まえて,どういった対応ができるか検討させていただきたいと思ってございます。
 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。大久保委員,よろしいでしょうか。

【大久保委員】 
 ありがとうございました。
一つだけ。言葉の中で学習というふうに言っている場合と教育と言っている言葉と両方がありますので,多分,それは言う角度の違いだと思うのですけれど,そういう種類の違うときとか,あとは時間軸の違いと職業能力に限定しているか限定していないかという,その辺の違いが複雑に多分絡んでいると思うのでなかなか難しいと思うのですけれども,いろいろと頭をひねっていただければなというふうに思います。よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。
 それでは,これから辻委員,松本委員,薗田委員,伊東委員,長谷川委員,澤野委員の順番でお願いします。それでは,辻委員,お願いいたします。

【辻委員】 
 辻でございます。まとめていただいてありがとうございます。私は2点,お願いをさせていただければと思います。
 1点目は,5ページの生涯学習についてというところなのですが,2つ目の丸の部分で,最初の5行ほどの部分は,豊かな人生を送る,しかも予測困難な時代,そこで自己実現をという,全ての国民に関わることですよという感じで書いていただいているのですけれども,その後の一文に「学び直し」という言葉が出ていますけれども,これは私が特に生涯学習で今の日本の動き,あるいは海外の動きなどを見ていますと,例えば海外だと移民の人たちとか,失業した若者とか,薬物依存の若者が社会に復帰していくときにこういう学び直しというものが使われている。
 日本の場合でも,十分に力を身につけられずに学校を終えた障害のある人だとか,あるいは高校の勉強がちょっと嫌だなと思って中退したような若者だとか,あるいは一旦就職したのだけれども,就職先でちょっと苦労を伴って新たな人生を選択したいと。ついては職業訓練を受けようとか,そういうようなものが学び直しという,そういうように私は思っております。したがって,ここの1行と4文字ぐらいで書かれている,そういう社会的にちょっと苦労している人たちが学ぶ機会を生涯学習は提供する。そういうようなニュアンスを強く出していただければ有り難いと思っております。場合によっては,3つ目の丸と独立させて,もう一個項目を増やしていただいてもいいかなと思っております。
 2点目は,8ページなのですけれども,そこの最後のところに,障害者の差別解消法のことが書かれていて,合理的配慮をしなければいけないというふうに言っていただいているのですけれども,私,3年ほど前にちょっと確認したら,図書館協会とか博物館協会というのは既にガイドラインをつくっておられたようで,一方で公民館連合会の方は,まだ当時なかったような記憶がありまして,それで,このガイドラインというのは,合理的配慮というのは,それぞれの施設がどれぐらいの配慮をしていくのがいいのかという,そんなガイドラインをそれぞれの業界がつくっていく。
大学でも今そんなようなことをしているわけなのですけれども,社会教育の施設であるならば,このぐらいのことはしなきゃいけないのじゃないかというガイドラインがつくられている団体とつくられていない団体とあるようですので,もし文部科学省の方で簡単に集められる割と近しい団体の方でそういうことをつくっている団体があるのであれば,集約をしていただきたいというふうに思っております。
 以上です。

【清原分科会長】
 ありがとうございました。ガイドラインについては,是非,できる限り収集をして,また御紹介していただくタイミングをと思っております。
 それでは,残念ですが,長谷川委員,急用で退席されたようでございまして,御意見は報告していただいておりますので,後ほど御紹介いたします。
 それでは,松本委員,お願いいたします。

【松本委員】 
 松本でございます。資料をおまとめいただき,ありがとうございました。
とても全体を網羅的によくまとめていただいていて,その議論を今年度していくのにとてもいい題材をそろえていただいたのじゃないかなというふうに思っております。
 その中で,もしかしたら後半の議論になるのかもしれませんけれども,いわゆる,昨今話題にもなっておりますWeb3の概念をどこに入れるかなというところを,あるいは入れるべきかということも含めてですけれども,少し考えるところがございました。
先ほど横尾委員からもございましたデジタル社会が進んでいく中でのパラダイムシフトの大きな一つでもあると思います。また,総理発言でもWeb3の大きな期待というものがあったわけでございまして,かなり世の中も注目しているところがあろうかというふうに思います。
 その中,例えば仮想空間上でのメタバースのところで言いますと,例えば地方に住んでいても,あるいは移動に不自由があったとしても,日本中どころか世界中の人々と学び合うようなことなんかも可能に今なっているわけであります。
あるいは,様々な認知特性を持っていらっしゃる方,例えば自閉症とかADHDの方とかというところの研究で進んでいたりするのですけれども,対人コミュニケーションが余り得意とされていない人たちも,メタバース上では比較的コミュニケーションができたり,学び合ったりするようなことができるなんていう調査もあります。
そういう意味では,これからのメタバースということを生かしていく,Web3の文脈も生かしていくということもあり得るのではないか。
 また,そのWeb3のところでは,それこそNFTなんかも結構語られたりするわけですけれども,Non-Fungible Tokenですね,に関して,例えば学習歴,あるいは仕事の履歴なんかがNFT化されることによって,正しくどういう経験をしてきたかという,キャリアなり学びというものがもっと社会で評価されやすくなってくる。
そのような時代がこれからやってくることが予見されているわけであります。もちろん,誰一人取り残さないデジタル・ディバイドの議論も大事なのですけれども,一方で,デジタル社会の可能性を,生涯学習であるとか社会教育に取り込んでいく施策もどんどん積極的に私たちの分科会で検討していけるとよいなというふうにも思ったりしたところで発言させていただきました。
 以上です。

【清原分科会長】 
 松本さん,ありがとうございます。
後半にかかるとおっしゃいましたように,確かに9ページの冒頭に「公民館等の社会教育施設の機能強化」,「デジタル社会への対応」というのもありますが,さらに,「障害者の生涯学習」ということにも今回触れております。
そのときに,今御提案いただきましたように,障害や地理的な困難を克服することができて,それぞれにとって学びやすい情報通信技術,あるいはAIやWeb3とおっしゃったようなところについても提案ができればなと思って受け止めております。
 それでは,薗田委員,お願いいたします。

【薗田委員】 
 ありがとうございます。
今回の取りまとめも非常にうまくまとめていただいて,大変いいなと思っているのですけれども, SDGsのアジェンダの前文の,全ての人々の人権を実現し,ジェンダー平等と全ての女性と女児の能力強化を達成することを目指すと入れていただいたのは非常にすばらしいなと感じています。
ただ,具体的にこの内容があまり入っていなくて,最後の方の内容には,関係局課の連携推進を含めた,生涯学習・社会教育の振興体制の強化というのが入っています。
恐らく男女共同参画局とかいろいろな関係局と連携していくと思うのですが、「女性活躍・男女共同参画の重点方針」として2022年度版,通称,女性版骨太の方針の原案が5月27日に出されたばかりなのですが,この中に非常に重要な要素が入っています。
日本の中ではいろいろな課題があり,特に女性の経済的自立であったり,女性が尊厳と誇りを持って生きられる社会の実現がありますので,是非この内容を少し入れられるといいなと感じています。
場合によっては,今回,社会教育士という制度では実際にデータを見せていただいても,取り組んでとてもよかったと答えている方が非常に多くて,コミュニティの中核になってくるので,例えば社会教育士の方々の教育研修の一環でアンコンシャス・バイアスを入れると非常に効果的だと考えております。
是非何らかの形でジェンダー平等に関して,今回,国としても進める骨太の方針の一部,何か連携できるところを入れていっていただきたいというのが意見です。どうぞよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 薗田委員,ありがとうございます。
確かに1の部分で触れておりますが,2の部分に対応する部分がないというのは大変重要な御指摘で,ほかにもそういうところがあるかもしれません。
私たちとしてしっかりとSDGsを踏まえ,ジェンダーフリーに触れたからには,しっかりと2の方策のところにもそれを,現状を踏まえて前向きな対応を指摘していきたいと思います。
この点については事務局で何かありますか。大丈夫ですか?では,そのように対応したいと思います。
 それでは,続きまして,伊東委員,澤野委員,牧野委員の順番でお願いいたします。

【伊東委員】 
 宮城県教育委員会の伊東でございます。ありがとうございます。
素案,様々な議論をまとめていただきまして,本当にありがとうございます。この間,何度か欠席をいたしましたので,すみません,話がずれていないかどうかちょっと心配ではございますが,2点お話をさせていただきます。
 1点目は,現状認識というか,前半なのか後半なのかというところはあるのですけれども,学校教育と社会教育とのつなぎということでございます。
学校と社会ということでは,コミュニティスクールという,同じ時期のそういう点はあるのですけれども,1人の人が学校教育を終わり社会に出ていくというところを考えると,リカレント教育のところで学びの習慣を身につけるというところが加筆されたのですけれども,それに加えて,これはどこに盛り込むかというのはちょっとあれなのですが,学校教育において,今の時代背景を踏まえた資質・能力に学びに向かう力を掲げて,探求的な学びというのを重視して取り組んでいるということなので,これはやはり従来のような,学校を卒業すれば学びは終わりということではなくて,学び続けていく力を育てているというところを学校教育側からというような視点も盛り込んでいくということがあってもいいのかなというふうに思ったというところでございます。
 それから,2点目は,これはちょっと私の受け取りの問題もあろうかと思いますけれども,6ページのウェルビーイングの実現のところで,学びの前提として多様性を認め合うことが重要というふうに,本当に重要なことなのです。
そしてそのときに,「人は皆より良く生きようという意思を持っているとの認識に立つ」という表現が,やはりどうしても受け止めようによっては,前向きに生きようとする人間像から議論がスタートしているとも感じられてしまうので,結局,あしたに希望が持てないとか,前向きになれない人たちが大勢いるということを意識しているということを表すためには,例えば,人は本来そういうものを持っているのだということで表現するとか,ちょっと工夫をしていただけるといいかなというふうに思いました。検討いただければ幸いでございます。
 以上です。よろしくお願いします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。
学校と地域との連携の中では確かに,どうしてもコミュニティスクールが前提になる記述がありますが,委員の皆様からは学びの習慣のこと,学び続けること,また先ほど冒頭,横尾市長からは,デジタル社会を生き抜く力という表現もありましたが,要するに学ぶ,そして生きるということを,学校を卒業した後でも継続していくという視点について丁寧な記述をしていくということが重要だと思います。
 2点目の表現につきましては,おっしゃるとおりでございまして,今,本当に自殺率等も高くなっている現状の中で,生きにくくなっている人たちに対するまなざしというところが大変今重要な視点として求められていると思いますので,是非,多様な生き方を包含できるような表現に配慮していきたいとも受け止めました。ありがとうございます。
 それでは,澤野委員,お願いいたします。

【澤野委員】 
 ありがとうございます。
澤野です。実は,5月3日から在外研究で今,スウェーデンのヨンショーピングというところにいるのですけれども,リカレント教育について先ほど大久保委員からもたしか御指摘があったかと思いますけれども,注のところで大分分かりやすくなったかなとは思うのですが,以前もリカレント教育という言葉そのものが,60年代終わりのスウェーデン語から来ているというお話をさせていただいたかと思います。こちらに来てから伺ったところ,今では余り,既に50年以上前にできた言葉なので,古臭く感じて,リスキリングというのがこちらでははやっているそうなのです。
しかも,生涯学習政策を現政権が重視しているようで,生涯学習がよく政策的にも見かける言葉になっていますが,リスキリングとか,アップスキリングが一時代前のコンピテンシー開発(コンピテンス・ディベロップメントと言われていた)もちょっと古臭くなって,言葉としては流行っているということです。あくまでも教育政策というよりは労働政策として行われているようで,かなり予算をつけて,移民・難民も対象として,勤続8年の人にマックス1年間のリカレント教育ができるシステムづくりを行っているようです。
 ですので,私のイメージでは,この注に書いていただいたようなリカレント教育とは異なり,幅広い日本型の人生100年時代というのはマルチステージとなることが本会議の方の資料にもあったかと思います。そうするともうちょっと対象も幅広くした方がいいのかなとも思いました。スウェーデンで今言われているリスキリング,アップスキリングだと,現役の社会人,職業訓練,研修というイメージになりますので。
 その一方で,社会教育をその中で位置づけるということで,社会教育は生涯学習の中の教育なので,プロバイダーサイドからのイメージになるかとは思うのですけれども,子供から大人まで,学校教育とか職業訓練の場合は,人生のステージごとに少し変わっていって学び直しができたとしても,ずっと継続するわけではないですが,社会教育的なことで,これも北欧で重視されているのは,文化的なコーラスとか,様々なスポーツ活動とか,子供の頃に好きなことを見つけさせて,それがずっと生涯生きがいにつながっていくというところが重視されていると思います。
 北欧でも,実は若い人たちのメンタルの病が非常に増えているというのが,今年になって北欧諸国全体で問題になっていまして,その原因としてデジタル社会,デジタル機器を使い過ぎているというのがどうも要因ではないかと議論されています。
なので,コロナで特にステイホームが長く,オンラインが普及したということのいい面もあるのですけれども,4ページのところで,オンラインを活用した学習の重要性で,「対面・集合形式の学習活動に捉われないデジタル技術の活用」というのがありますが,対面・集合形式の学習活動の方がやはり社会教育の場合は大事ではないかなと思います。
捉われないというよりも,補うためのデジタル技術の活用というふうに書いていただいた方がいいかなと思いました。
 もう一つ,こちらで紹介したいのが,本屋さんで個人の学びのコーナーに行くと,見えるか分からないのですけれど,「IKIGAI」,「生き甲斐」というのが,漢字も使われているのですけれど,生きがい本がたくさんはやっていて,フランスとかイギリスでもはやっているらしいのですけれど,漢字の「生き甲斐」なんていうのもあったりして,ウェルビーイングって,やはりスウェーデン語にも翻訳し難い面もあるのだと思うのですけれども,日本型の社会教育は生きがいづくりに効果があるというふうにヨーロッパでも見られていますので,ウェルビーイングの説明とか,1か所だけたしか,生きがいづくりというのが後半のところに出てくるのですけれども,個人の生きがいがまた社会のウェルビーイングにもつながっていくというイメージがもうちょっと出せたらいいかなと思いました。
 以上です。

【清原分科会長】 
 スウェーデンからの貴重な情報,ありがとうございます。やはりデジタル化と,それからリアルな対話とのバランスというのが極めて重要だというふうに私も考えております。
 それでは,お待たせしました。牧野委員,お願いいたします。

【牧野副分科会長】 
 どうもありがとうございます。今の「生きがい」ですけれども,生きがい(Ikigai)と過労死(Karoshi)は今や国際語になっていると聞きましたので,なかなか英語にならないのですね。
とくに「生きがい」は日本独特の概念かもしれませんけれども,今それが注目されているということかと思います。
 こういう形で打合せでお話ししたことも入れていただいて,とてもうまくまとめていただいたので,更に打合せを経ていながらいろいろ申し上げたいことが出てきてしまいましたので,これから幾つかお話をしたいと思っています。
 1つは,「はじめに」のところに,第10期から今期にわたるところの議論の経過が書いてありますが,可能であれば,第11期中に起こったことを少し,もしかしたらこの1の現状・課題に関わるのかもしれませんけれども,入れてみたらどうかと思います。
 1つは,コロナのこともありますが,もう一つ,長期にわたって気候変動のことが大きな課題になっていて,それが激甚災害ということで,第10期で命を守るということが出てきたわけですけれども,更に今回のウクライナ侵攻の問題,戦争という表現を取るかどうかは別としても,そうした問題が私たちの日常生活の中に飛び込んでくるということもありますので,その意味では,大きな社会的な,又は構造的な変動というか,変容といったものが私たちの日常生活に飛び込んでくるというか,また私たち自身がそれを日常生活で引き受けなければいけなくなったというようなことも、どこかで書いておく必要があるかと思いました。
 それからもう一つは,今度は逆で,メタバースの話が先ほど出ましたけれども,やはり新しいいろいろな技術が出てきて,コロナ後の社会の在り方を決めていくような動きが出てきたことも、この11期の特徴ではないかと思いますし,特に私たち,どうしても生涯学習とか社会教育といいますと,大人のことを中心に考えがちなのですけれども,子供たちがこの社会でどういう主役になっていくのかといったことも考えなければいけなくなってきているのだと思うのです。
その意味では,そういう可能性も込めて,「はじめに」のところで今回の第11期のこの取りまとめの背景になるようなことを少し,社会背景のことを書き込んでおいたらどうかというふうにも思いました。もしかしたらこれは、1の生涯学習・社会教育をめぐる現状・課題のところと関わるかもしれませんが,そう思いました。
 それから,2つ目としまして,4ページのところに関わると思いますが,先ほど子供をと言いましたけれども,学校と地域との連携のところで,これは現在,コミュニティスクールの議論が出ているわけですが,更にもう一つ,子供たちを主役にしていくようなというか,子供たちが活躍し社会を担っていくというような方向性のようなものも,やはりどこかで書き込んだらどうかと思いました。
 例えば,現在の学習指導要領も,社会に開かれた教育課程と言っているわけですけれども,基本はやはり2030年に就業構造が大きく変わってしまうということ,そして私たち大人が子供たちにこう生きなさいと言えなくなったといったことを前提として,しかも100年生きる人生の本当に初期ほんの15年間しか学校は関われないといったことの中で,子供たち自身が自ら人生をつくっていく力をつけておかなければということで改訂されてきていると思いますので,そして、その中でコミュニティスクールも出てきていると思いますので,そうしたことも少し書き込んだらどうかと思いました。
 それからあと,先ほどの5ページの生涯学習と社会教育の概念のことなのですけれども,これはやはりこういうふうにしていただくと,とてもよく分かって有り難いなと思いました。更にその上で,先ほどのいろいろな御議論がありましたけれども,例えば生涯学習の最後のところに一つ丸をつけて,上記をある意味で概括をするとこんな形ではないか,例えば、言わば一人一人の「生きるを励ます」といったことが生涯学習。一人一人のニーズに応じて一人一人のリスキリング等も展開していきながら自己実現していくことを励ます。先ほどの生きがいづくりも含めて自己実現をしていくのは,ある意味でそれを励ましていくものが例えば生涯学習なのだという,そういう意味では,多様性とか個別性を保障するものとしての生涯学習という議論。
 さらに,社会教育については,これまでずっと議論していますように,例えば社会基盤であるようなものであったりですとか,人間関係をつくっていくですとか,そのことを考えれば,ある意味で「生きるを支える」というか,ある意味では平等性ですとか,又は共生といったことを保障するようなものとして社会教育がある。そして,この2つを合わせていくと,どこかに出てきていましたけれど,「生きるを共にする社会」といいますか,多様性を持ちながら調和が取れた社会をつくっていくということにつながるのだというような,そういう表現にしてはどうかなというふうに思いました。
 それからあと,6ページ目の,先ほど御指摘があった「人は皆より良く生きようという意思を持っている」というところ,私も実はちょっと引っかかった感じがしまして,これって強い人なのかなというか,強く意思を持たなければいけないのかなと思いましたので,むしろ,「人は皆より良く生きたいという願いを持っている」とか,「生きたいという思いを持っている」というような表現に変えたらどうかと思いました。
 さらに,7ページのところですけれども,これも地域コミュニティの基盤としての役割ということになるのか,最後になるのかまだ分からないのですが,例えばコミュニティの基盤が社会教育等で安定していくことによって人々の生活が安定をし,更に自己実現に向けて動くことができて,更にそれがより大きな社会,例えば国ですとか,より大きな社会の基盤が安定していくと。そうした人々が,自らが主役になって社会をつくったり担ったりしていくというような,何かそういうようなことも少し書き込めたらいいかと思いました。
 2のところまでのところで思いついたことを申し上げました。よろしくお願いします。

【清原分科会長】 
 いろいろな御指摘,重要なポイント,あるいはこれまでの委員の皆様の御意見を踏まえて,具体的に御提案いただきましてありがとうございます。
 ここで中途で退席されました長谷川委員の御意見を御紹介いたします。
 「ほかの委員の方の発言にもありましたが,生涯学習の内容について,より踏み込んだ言及が必要かと思います。『一人一人が豊かな人生を送ることができるような』教育とは果たして何なのかについての提言が必要なのではないかと感じました。関委員からありましたアクティブラーニングへの言及もですし,従来の教育の視点を見直す必要があるかと思っております」ということでございます。
 さて,私も一言申し上げます。今の牧野委員の御意見も含めて,皆様の御意見から触発されまして,やはり「はじめに」というところか,あるいは生涯学習・社会教育をめぐる現状と課題というところは,もう少し皆様の多様な問題意識を指摘しておいた方がいいかなと思いました。
すなわち,例えば子供たちに着目するならば,いじめ・不登校というような問題というのは,学校の中だけで解決する事柄ではなくて,地域社会で受け止めていくというようなことでもありますし,若者たちが長引くコロナ禍の中で,大学生であろうと,就職した人であろうと,いろいろな悩みのふちにあります。
したがって,生涯学習・社会教育は大人の,あるいは高齢者の学びということだけではなくて,子供・若者も含めて,もちろん妊娠中のお母さんが学ぶことで胎児にも聞こえているかもしれませんが,正に生涯にわたって提供される条件整備と考えるならば,私も牧野委員が言われたように,「子供・若者に対する注目」は明記すべきではないかなと感じています。
それは,「こども家庭庁」が来年からできるということだけではなくて,あいまって『こども基本法』という,子供たちの意見を最大限聞き反映するという理念の法律もできるということでもあります。
 また,昨年は「デジタル庁」ができました。国の政策の中でもデジタルということが重要な位置づけになっているわけですが,そうした状況の中で,いかに生涯学習・社会教育が人間の学びに対して望ましい在り方を示していくことができるか。私たちは特に諮問がなかったわけですから,委員の皆様のこの絶妙の構成の中で御指摘いただき,御提案いただいたことをできる限り豊かに包含した提言にしていきたいと思いますので,そのような幅広い問題意識を踏まえた前半にしたいと思います。
 それでは,残りの時間,あと30分弱でございますが,今後の生涯学習・社会教育の振興方策につきまして,9ページ以降に記載されている点につきまして,残り30分弱ですが,御意見をいただければと思います。
 それでは,中野委員,お願いいたします。

【中野委員】 
 ありがとうございます。私の方は,先ほど皆さんが言われたように,本当によく整理してくださっていて,有り難いなというふうなことを思いました。
まず,10ページの社会教育士についての記述ですが,資料3で社会教育主事の資格とか社会教育士の称号の取得者に向けてのアンケート,これの集計結果を示していただいて,根拠となるような形にしていただいたと思っています。
 本県でも,昨年度はコロナ禍であっても,オンラインと対面で実施して受講しやすい形になったのです。本市の教員,先生方が複数受けてくれて,実際に今年,社会教育士として地域と一緒になってコミュニティスクールの推進の牽引役となっていますし,それから,社会に開かれた教育課程の推進役を担ってくれているので,すごく役に立っているというか,効果的だなと思っています。成果はこれからではあるかと思いますが,楽しみにしているところです。
 5つ目の丸で,社会教育士と称号保有者というふうに書かれているのですが,社会教育士と称号保有者というのは違うのでしょうか。ここはあっさりと,社会教育士のネットワーク化でいいのではないかと。ネットワーク化というのは重要だと思っていますので,そこは間違いがあるのであれば教えていただきたいなという点がありました。
 2つ目ですが,前回この会に出席できませんでしたので意見を送らせていただいたところ,反映させていただいている部分があります。13ページの最後の「教育委員会は」というところなのですけれども,当然,教育委員会には生涯学習・社会教育を直接的に牽引する部署があり、この首長部局との連携というのは本当に大事だというふうに日頃から感じています。
例えば,前回の資料に島根県の益田市の取組が載っていたのですが,ほかの冊子で益田市長のコメントが載っていて,益田市版カタリ場や,それからライフキャリア教育かな,これに期待を寄せていると。ひとづくりについても本当に熱い思いが語られていました。こういった市長の理解というのがあれば,施策もしっかり進んでいくなということも感じました。
 本市でも,公民館,旧態依然としているようなことを課題に感じておりまして,「新たな公民館の在り方」というふうに題して総合教育会議を持ちました。そういったことは行って有効であるというふうに思っています。総合教育会議が始まって7年が経過しているのですけれども,そういった中で社会教育を取り上げて議論しているとか,この社会的包摂の実現や地域コミュニティの構想ですかね,そういった議論が話し合われた実態があるのかどうかということ。やっていくのがいいというふうにここに示していただいたのですが,実際にはそういう実態があるかどうか,もし分かれば。あれば教えていただきたいかなと思いました。
 最後に,先ほどからずっと議論になっている,私も子供を主役にするということが大切であると思う中で,中高生が支えられるだけではなくて,社会貢献したり社会参画したりするような実態がだんだん出てきています。そういったものが社会教育につながっていくし,場を設定していくことも大事だと思います。先ほど4ページでしたかね,学びを積み重ねていく学習習慣がある社会人は少数派というのがありました。それをなくすためには,学校教育では、学び方を学ぶ授業をやろうとしているわけなので,そういったものが反映されていくべきではないかと思います。ほかの委員さんが言ってくださったような,この文章の中に反映されると有り難いというふうに感じました。
 以上です。

【清原分科会長】 
 中野委員,ありがとうございます。2つ御質問がありましたが,いかがですか。
 では,中村補佐,お願いします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 まず,社会教育士の称号保有者をネットワーク化するという部分につきましては,社会教育士のネットワーク化というふうにシンプルに言ってもよいのか,記載については見直しを検討したいと思います。社会教育士は称号ということですので,「称号を取得した」という言い方,また、別の言い方をしている箇所もありますので,全体を通じて見直しを考えていきたいと思っております。
 もう一点は,総合教育会議で社会教育について議論されている状況については,第9期の答申をまとめる過程で,総合教育会議で社会教育について議論されているケースがさほど多くないという指摘がされております。直近の調査ではないのですけれども、現在の状況であると思っております。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。ちなみに私が三鷹市長当時は,毎回,生涯学習とか芸術・文化・スポーツに関することは話題にはなっていました。自治体の事情によるものだろうと思います。
 それでは,続きまして,伊東委員。伊東委員,手を下げられましたかね。ごめんなさい。それでは,横尾委員,お願いします。

【横尾委員】
 ありがとうございます。先ほども申し上げましたけれども,デジタル・ディバイドもいいのですけれど,デジタルを使う基本スキルのことを,国としても,都道府県,市町村としてもしっかりやっていかないといけないと思いますので,このことは是非新たに追加してほしいと思っています。
 また,あわせて,9ページの下の方に図書館のことが書いてあるのですが,以前ドキュメンタリームービーでも見ましたけれど,例えばニューヨークのメトロポリタンミュージアムとか,ニューヨークのパブリックライブラリーのことを拝見すると,特にデジタル・ディバイドと限定せずに,地域の課題に入念に図書館が英知を絞って活動されています。例えばブラインド,目の不自由な方へのサービスとしては、点字だけではなくていろいろなサービスをどうするとか,福祉が必要なら障害者どう対応する,そういうそれぞれの社会教育機関において、できることを柔軟にできるような,そういった対応の後押しができる教育行政というのをしてほしいということも是非お願いしたいなと改めて思っています。
 また,一番最後のところには,国・公共団体のことも書かれていますが,ここで先ほど申し上げたセキュリティーのことや,学校教育の方で進んでいくICTを中心とした教育,そしてGIGAスクール,さらにそれらに基づくデジタル社会に向かっていきますので,それに負けずと劣らない,また共存共栄できる社会教育分野でのそういった充実も当然必要だということを記述すべきだと思います。
 そこの後段の下から2つ目のところには,「市町村のネットワーク化の支援」とあるのですが,ちょっと漠としている印象でして,可能なら、どういったニュアンスなのかを伝えるようなことをしていかないと,取りあえず,みんなネットワークというのもどうかなという気がしますので,是非,今後の検討を文部科学省に期待させていただきたいと思います。
 また,最後になりますが,10ページ下から10行目ぐらいのところに,「ICTスキル」という言葉が初めて出てきています。これらについても、やはり社会教育士,教育指導主事さん,こういったことをしっかり身につけられるとともに,より多くの人が,是非とも学び活用できる,そういった社会をこの社会教育・生涯学習分野でやっていかないと本当にいけないという危機感を強く今思っておりますので,よろしくお願いいたします。
 以上です。

【清原分科会長】 
 具体的な御提案,ありがとうございました。
 それでは,関委員,お願いいたします。

【関委員】 
 ありがとうございます。社会教育士の関係で少し触れたいのですけれども,まだまだ社会教育士の認知度というのは低いような気がします。可能なのかどうか私はまだ理解していないのですが,例えば民生委員であったり,あるいは人権擁護委員のような形でこの社会教育士なる者が,例えば公民館主事であったり,あるいは地域学校のコーディネーターであったり,そういう職の資格要件ではなくて,地域社会の中で必要とされるような人材としての位置づけができないものかどうかなというふうなことを考えます。
社会教育士のあの人に頼めば,例えば地域のいろいろな学びのアドバイスをもらえる、新展開してくれる,そんな人材として地域に社会教育士なるものが将来増えていけば,その地域のいろいろな場において新しい学びを組み上げていけるのかなというイメージを持ちます。
 そういった中で,例えば障害を持った方の中にも社会教育士の称号を持つような人が生まれてくれば,障害を持った人の立場でいろいろな新しい学びをその中で展開してくれる人材になってくれるのかなというふうな期待をいだきます。
 あと,もう一点だけなのですが,文部科学省の方で認定し、社会通信教育協会という一般財団法人が生涯学習コーディネーターとか,生涯学習インストラクターみたいな仕組みで人材の育成を過去からずっと継続してきていると思います。
昨日ちょうどある修了者と話をする機会があったのですが,なかなか活躍できる場がないということをその方に言われ胸に刺さりました。このような人材も含め、いろいろな人材が社会の中で活躍できる仕組みを,是非これから長い目線でつくっていければいいのかなと思います。
 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。社会教育士になっていただく方の層の広がりというのは,障害当事者の方も含めて大変重要な御提案だと思います。
 それでは,残り時間少なくなってきましたが,これから辻委員,澤野委員,大久保委員,牧野委員,お願いいたします。ほかに手を挙げていらっしゃる方はいらっしゃらないでしょうかね。
 では,辻委員,澤野委員,大久保委員,牧野委員の順番でよろしくお願いします。

【辻委員】 
 辻です。ありがとうございます。9ページの3の1)の一番最後の丸の部分で,障害者の生涯学習の指導者等を「自前主義」から脱却という部分に,都道府県・市町村,それから高等教育機関と並んでいるのですが,もう一つ,NPOというのは物すごく力を発揮してくださっていると思いますので,それを是非書いていただきたいというのが1点です。
 それから,12ページの5)の2つ目の丸の部分なのですけれども,障害のある方の生涯学習を新しい形で進めていくということで,すごく丁寧に書いていただいたと思っているのですけれども,今日最初の方でお話がありました,第3期教育振興基本計画の目標13の3つ目の丸,「切れ目ない支援体制構築に向けた特別支援教育の充実」というところに,ここの部分を是非反映させていただければというふうに思っております。
 今,この基本計画の方の目標13では,個別の教育支援計画という大変大事な概念が出ておるのですけれども,それが医療・福祉・保健との連携というそのことが書かれていて,これはとても重要なのですけれども,もう一つ,私,重要だと思うのは,卒業後に向けての個別支援計画というのが必要で,その中に生涯学習というものがあるのだよというのを子供たちに伝えていくという,そんなようなことを考えていただきたいので,この5)の2つ目の丸の部分を,できる範囲で教育基本計画の方に反映していただければと思っております。
 以上です。

【清原分科会長】 
 大変重要な御指摘,ありがとうございます。NPO法人というのは,地域活動団体として本当に今重要なパートナーになっているわけですから,明記すべきだと思います。
 そして,切れ目のない支援ということと卒業後の支援ということの御指摘は極めて重要で,ほかの場合でも,養護施設を退所された方,そして障害者施設を退所された方の受皿の課題というのは大変大きいので,これも御発言いただきましたので明記していきたいと思います。
 それでは,澤野委員,お願いいたします。

【澤野委員】 
 ありがとうございます。澤野です。目次を見たときに,私も3の5)の「障害者等の生涯学習の推進」というのがちょっと気になります。
障害者等の生涯学習という区別された分野があるかのような印象を受けます。生涯学習が包摂的になることで障害のある人たちがもっと入ってきやすくなるという,そういうイメージの方がいいのではないかなと思っているということと,あと障害者等の「等」の扱いですね。多分,「等」を入れることでそういうふうに多様な障害に対応するというイメージを出しているのかもしれないのですけれど,その下の本文の方は「等」は消えています。
 そして,特別支援学校に行っていた人たちの生涯学習というのがもちろん大事な視点で,そこは残さないといけないですし,障害に応じた生涯学習が必要なのだとは思うのですけれども,障害というのは,人生のどのステージでも急に自分が障害者になるということがあり得ますので,その観点はどうするのかなということがかねてから気になっているところです。
 目次のタイトルを見ると差別というか区別している感じがするので,例えばですが,「多様な障害に対応した生涯学習の推進」とか,「生涯学習における特別支援を充実させる」とか,そういう表現に変えていけないかなと思いました。例えばパラスポーツとかいろいろな文化活動,芸術活動などは,健常者と障害のある人区別なくみんなで楽しめる生涯学習の分野ではないかと思うからです。よろしくお願いいたします。
 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。これは十分に検討しなければいけないなと思います。
先ほども「社会的包摂」という言葉に,「インクルーシブ」とか「共生」とか,私たちもいろいろな言葉を使用しているわけですが,今回は積極的に障害のある方の学びに関する調査も行われたことから,また,第3期の教育振興基本計画の今後の課題の中でも,「障害者の生涯学習についてしっかりと検討すること」が提案されていたこともあり,それらを総合的に受け止めて,しっかりとしていこうということで一つの章にしておりますが,そのことがかえって障害のある方に対して逆のネガティブなイメージを持つことは避けなければいけませんので,丁寧にこれは検討して対応していきたいと思います。
 それでは,続いて大久保委員,そして,最後に牧野委員,お願いいたします。

【大久保委員】 
 大久保です。よろしくお願いいたします。私も,12ページの5)の障害者の生涯学習のところについてなのですが,ここに今書いていただいているのは,障害者の生涯学習を推進する人材というテーマにかなりフォーカスをして書いていただいているという状況なのですが,障害者にとって更にウェルビーイングを高めていくための社会教育・生涯学習という観点で,何かもう一歩うまく書けないかなというふうに考えております。
 私の専門性に関連するのですけれども,最近は企業の採用で発達障害の方々の採用を積極的に行う動きが世界的に広がってきていまして,ニューロダイバーシティ採用というふうに言うのですが,障害者を低く見るのではなくて,ゲノムレベルの多様性というふうに考えて,そういう方々を,デジタル人材として取り込んでいくとか,そういうことがされているのです。そのときに,コミュニケーションスキルとか態度とか,あるいはこれまでの経歴だとか,そういうことを見るのではなくて,自分自身の障害を受容できていて,自ら人に支援を求められるというところがクリアできていれば,採用基準に乗ってくるというようなことを言うのですね。全く違う採用の見方をしている。
 それを見たときに,自分自身の障害とどう向き合いながら,自分の好きなことを,学習を通じて深めていけるのかということが正に問われているような感じがしますし,コミュニケーションスキルではなくて,自分で人に支援を求めていくような,そういうような理解というようなことがテーマになると思いますので,これは学校教育ということ以上に社会教育のテーマになるのじゃないかというふうに感じました。
今のは例ですけれど,そんなことがうまくこの項目の中に取り込めないかなと感じましたので,意見として述べさせていただきます。
よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。
大変具体的な例も含めて,私たちの見方そのものをもう少し覚醒,目を開いていかなければいけないというふうに受け止めますので,是非今の御意見も反映したいと思います。
 それでは,牧野委員,お願いいたします。

【牧野副分科会長】 
 ありがとうございます。最後のところですけれど,私の方も幾つか皆さんの御意見を伺いながら思ったことがありますので,お伝えしたいと思います。
 1つは,9ページに図書館について書かれてあって,特にこれは障害を持った方々との関わりでいけば,例えば,いわゆる読書バリアフリー法などとの関わりで,今,各自治体でいわゆる読書バリアフリーに関するいろいろな条例等の制定が始まっている,又は大綱等の作成が始まっていると思うのですけれども,更にここには、先ほど横尾委員がおっしゃったような,博物館ですとか又は美術館ですとか,そういういわゆる類似施設みたいなものの在り方についても少し書けないかと思いました。公民館,図書館,博物館,美術館等は社会教育施設ですので,そうしたものを活用というか,機能強化といったことも書き込めないかと思いました。
 それから10ページの,先ほど関委員がおっしゃったこととも関わるのですけれども,社会教育士の称号問題というか,実は私が関わりのあるいろいろなNPOですとか,様々な地域で活動されている方々の意見を聞きますと,やはり社会教育主事にはなかなか発令されなくて,なることが難しいと。
だからこそ社会教育士という称号を付与することにして,そしてそれを使って活動できるようにしたわけですけれども,ここ2年間で2,000名を超える方が社会教育士の称号を取得されているのですが,できれば,これは可能かどうかなのですけれども,ちょっと踏み込んで,社会教育士を少し独立の資格化をしていくというか,これは法改正が必要になりますので大変かもしれませんが,そこまで踏み込んだような形で書けないだろうかという思いもします。
 例えば,先ほどいろいろお話がありましたように,まちづくりの実践現場等で社会教育士の方々が活躍をされていますので,そういう意味では,社会教育主事ではなくて社会教育士という資格という形で,今は称号ですけれども,法的に位置づけることが可能かどうか,その辺りも少し御検討いただけないかと思いました。とても需要が高くなっていると思いますので,御検討いただければと思いました。
 それからあと,障害者等のというところで,私も少しここ,目次を見ながら思ったのですけれども,やはりまだ日本の場合は,ここを少し強調する形で,障害を持った方々がきっちりと社会で活躍できるような動きをつくっていくといったことがどうしても大事ではないかという思いはします。そういう意味で,先ほど澤野委員がおっしゃったように,表現を変えてみるといったことも一つの考え方かなと思いました。
 それから,すみません,前後しますけれど,その上のところのリカレント教育の推進というところで,これももし可能であればなのですけれども,例えば先ほども少し学び直しとリカレント等の議論が出ましたが,例えば安倍政権の末期の方で,人生100年時代構想会議がつくられて,いわゆる全世代型の社会保障と抱き合わせで学び直しとリカレント教育を行うということ,というか重視をするといったことが強調されるような報告が出されていますし,それから現政権も,新しい資本主義実現会議の中でリスキリングですとか,リカレント教育,学び直しを重視するという方向性を出してきておりますので,そのことも含めて人々が学び直し,またリスキリングを繰り返しながら,就労ですとか,それから社会に参画することが保障されていくべきだというようなことを、少し政策との絡みで書いておいたらどうかと思いました。
 それから,あと13ページですけれども,国と地方公共団体の取組の少し前に,それまでの5項目を総括するような形,又は包括するようなものとして,例えば公共財としての学びといったものを社会的に実現するというか,保障するのだというような表現で何か入れられないかとちょっと思いました。実は新しい時代に入ってきていて,先ほどのデジタルというかメタバースのこともあるのですけれども,知識を占有する時代ではなくて,むしろ,例えば対話的にどんどん,学んだらすぐ教えていくとか,学び合っていくとか,伝えていって新しい価値をつくり合うという時代に入ってきているでしょうから,そういう意味で,学びといったことそのものが公共財化されていくというか,そういう社会を実現することが必要だというようなことをどこかで触れられないかと思いました。
 それから,最後になりますけれども,一番最後の,先ほどもこれは議論がありましたように,総合教育会議のことなのですけれども,実はここのところ,幾つかの自治体の教育長さんから御相談があるのは,2018年の第9期の答申ですね,地方創生と社会教育の関わりの答申なのですが,そこで,社会教育施設を特例的に一般行政に移管してもよいという表現が入っているのですけれども,これは本来,教育行政との関わりを切らないで,しかも教育施設として使うことを基本にしながら,どうしても必要であれば一般行政との関わりの中で移管を認めるということが書かれてあると思うのですが,どうも最近,そういうふうには受け止められなくて,議会の方でいわゆる行政の合理化ということの中で,答申がそう言っているのだから一般行政に出せという議論になってしまいがちだということを幾つかの自治体から聞いています。その意味で少し,本来あるべき姿で運用されなくなっているという面があるので,その辺りも少し何か検討するというか,ちょっと言葉を添えられないかなという感じがしております。
 あとは,国と自治体との関係もあって,地方分権の流れの中で対等な関係ということになっていますので,むしろ各自治体が独自性を出しながら国が全体を調和させていくというか,全体を整えていくという役割だということもどこかに書き込んであると,自治体が独自性を出しながら新しい生涯学習の社会をつくっていくという方向に行けるのではないかと思いますので,その辺りも少し御検討いただければと思いました。
 すみません,長くなりましたけれども,以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございました。私も,社会教育士につきましては,先ほど資料3の3ページでも御紹介いただきましたように,どの分野で活動していますかというときに,教育ももちろん239名とありますが,まちづくりが85とそれに続いているということは,大変に重要な数だというふうに受け止めておりますし,先ほど来,称号であることの制約ということについても皆様と確認をいたしましたので,その資格化について今後検討が必要であるというような記述は,私は求められているのかなというふうにも考えております。
 最後に,国・地方公共団体が進めるべき取組というところにつきましては,多くの皆様が,いわゆる文部科学省と他の省庁との関係と同じように,自治体においては教育委員会と首長部局の関係が,生涯学習・社会教育においてもより風通しがよくなるということが重要で,制度的な部分については,もちろん,自治体の考え方というのがあるわけでございますけれども,法に基づく「総合教育会議」という場において,生涯学習・社会教育について,しっかりと首長部局と教育委員会の連携の中で望ましい在り方が検討されていくということは住民にとって望ましいことだと思います。そこで,そうした誰のための行政なのかという観点をこの生涯学習・社会教育の中で,私たちの提言として強く押し出せればいいなと思っておりました。
 以上,皆様からたくさんの御意見を伺いまして,第11期生涯学習分科会における議論の整理(素案)が肉づけられてきたように思います。熱心な御参加ありがとうございます。
なお,時間の関係で発言を御遠慮された委員の皆様におかれましては,是非何なりとメール等で事務局に御意見をお寄せいただければと思いますし,本日御発言いただいた委員の皆様におかれましても,発言時間が制約されておりますので,言い切れなかった点についてお寄せいただければと思います。
 それでは,本日の議題は以上でございます。
 事務局から連絡事項をお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】 
 資料4を御覧ください。次回は6月30日木曜日,14時から16時に第119回分科会を開催し,報告書の取りまとめに向けた議論を頂きたいと考えております。また,7月下旬に予備日を設けたいと考えておりますので,日程については,追って御連絡をさせていただきます。
 以上でございます。

【清原分科会長】
 皆様,熱心な御参加ありがとうございます。6月に入りまして,梅雨の季節ではございますが,穏やかな雨ではなくて,本当に豪雨や雹(ひょう)などの被害が心配されます。皆様におかれましては,どうぞくれぐれも御自愛いただきまして,お元気にお過ごしいただければと思います。
 それでは,6月30日,またお目にかかります。本日はどうもありがとうございました。

 
 ――了――

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