生涯学習分科会(第117回) 議事録

1.日時

令和4年4月27日(水曜日)14時00分から16時00分

2.場所

文部科学省東館3階 3F1特別会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. 社会教育主事・社会教育士について
  2. 報告書骨子案について
  3. その他

4.出席者

委員

(分科会長) 清原分科会長
(副分科会長) 牧野副分科会長
(委員) 今村委員,清水委員,内田委員,萩原委員
(臨時委員) 大久保委員,澤野委員,関委員,薗田委員,千葉委員,辻委員,長谷川委員,宮城委員,山内委員,横尾委員

文部科学省

(事務局)出倉大臣官房審議官,安彦社会教育振興総括官(併)地域学習推進課長,神山生涯学習推進課長,小屋松地域学習推進課長補佐 他

 

5.議事録

【清原分科会長】
皆様,こんにちは。分科会長の清原です。定刻になりましたので, ただいまから 117 回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。 本日は,大変にお忙しいところ,お集まりいただきましてどうもありがとうございます。 本会議は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため,ウェブ会議方式にて開催させていただきます。
本日の議題でございますが,まず,社会教育主事・社会教育士について,事務局から資 料を基に御説明いただいた後,質疑応答,意見交換等の議論を行いたいと思います。
続きまして,報告書骨子案について,前回会議における御意見を踏まえ,事務局におい て内容を充実していただきましたので,これについて意見交換,議論を行っていただきた いと思っております。
なお,本日もユーチューブ上で報道関係者及び一般の方々の傍聴を受け入れています。 報道関係者等より会議の全体について録画を行いたい旨申出があり,許可しておりますの で,どうぞ御承知おきください。 次に,事務局から,人事異動の紹介と,引き続いて,ウェブ会議に当たっての留意事項 の説明及び配付資料の確認をお願いいたします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】
事務局でございます。 事務局に人事異動がございましたので,御報告いたします。 まず,社会教育振興総括官兼地域学習推進課長の安彦広斉が着任いたしております。
本日,公務のため,遅れて参加をさせていただきます。 そして,私,生涯学習推進課課長補佐として着任いたしました中村崇志と申します。ど うぞよろしくお願いします。 本日はウェブ会議方式にて開催させていただいております。御不便をおかけすることも あるかと存じますが,何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。 会議を円滑に行う観点から,4 点ほどお願いがございます。
1 点目,御発言に当たっては, インターネットでも聞き取りやすいよう,はっきり御発言をお願いします。
2 点目,御発 言の際には名前をおっしゃっていただくようお願いいたします。
3 点目,御発言時以外は -- 2 マイクをミュートにしていただくようお願いいたします。
4 点目,発言に当たっては「手 を挙げる」ボタンを押していただき,発言後はボタンを解除いただきたく存じます。
お手数をおかけいたしますが,どうぞよろしくお願いいたします。 続きまして,資料の確認をさせていただきます。
本日の議事次第及び資料 1 から資料 4 までの資料,さらに,参考として参考資料 1 から参考資料 6 までを配付しております。資 料 3 は本日御審議いただきませんが,先日,書面にて委員の皆様に御審議を頂き,承認を 頂いておりました社会通信教育の認定について答申を頂きましたもので,改めて書面で御 報告させていただくものです。皆様,御協力ありがとうございました。 事務局からは以上でございます。

【清原分科会長】
ありがとうございます。 着任されました中村課長補佐さん,どうぞよろしくお願いいたします。 それでは,議事に入ります。
まず,議題 1,社会教育主事・社会教育士について議論いただくのに先立ちまして,まずは,社会教育主事・社会教育士について,資料 1 に沿って,事務局の小屋松地域学習推 進課課長補佐さんから報告をしていただきます。
それでは,小屋松さん,よろしくお願いいたします。

【小屋松地域学習推進課課長補佐】
はい,よろしくお願いいたします。
地域学習推進課の小屋松と申します。よろしくお願いいたします。
では,社会教育主事・社会教育士につきまして,私の方から御説明させていただきます。 資料 1 でございますけれども,1 枚おめくりいただきまして 2 ページ目でございます。 社会教育主事の職務,期待される役割ということでございますけれども,社会教育主事は, 上段の方にございますように,社会教育法に基づき,都道府県・市町村の教育委員会に置 くこととされている専門職員ということでございます。
社会教育主事の役割といたしましては,地域の学習課題を把握しまして,社会教育事業の企画・実施や関係者への専門的・ 技術的な助言と指導を行うとともに,関係各機関とのネットワークを活用して,地域住民 の自発的な学習活動ですとか,学習を通じた地域づくりの活動を支援する役割を果たす専 門職員ということで規定されてございます。
ページをおめくりいただきまして 3 ページ目でございます。こちらは社会教育主事の配 置率といったものでございますけれども,社会教育主事の配置率でございますが,かつて都道府県が社会教育主事を市町村に派遣します派遣社会教育主事制度が開始されたことによりまして,グラフの左下の赤い棒にございますように,平成 8 年には 94.0%まで配置率 が増加しておりましたけれども,これが平成 10 年に制度自体の定着や地方分権の流れから この経費が一般財源に組み入れられることになりまして,派遣社会教育主事を存続させる 都道府県が年々減少したこと等によりまして,配置率は,平成 30 年度でございますけれど も,46.6%まで低下しているという現状がございます。 資料をおめくりいただきまして 4 ページでございますけれども,こういった現状があり ますが,近年の地域住民の学習ニーズの多様化,それから高度化ですとか,現代的課題へ の対応の必要性ですとか,社会教育に求められる機能が年々拡大し続ける中で,社会主事 には,多様な専門性を有する人材や資源を有効に活用することで,あらゆる学習ニーズに 応えていく,正にコーディネーターとしての役割の期待が高まっているところでございます。
このため,社会教育主事の養成につきまして,学習及びその成果を実際の地域課題の解決等につなげていくために,より実践的な能力の育成が行われますように,社会教育主 事の養成等の改善・充実に関する検討会というところにおきまして,このタイトルにござ いますように,平成 29 年 8 月に社会教育主事養成の見直しに関する基本的な考え方につい てということが示されてございます。
具体的な内容でございますけれども,おめくりいただきまして 5 ページでございます。
この提言内容を踏まえまして,平成30年2月に社会教育主事の講習規程の一部が改正され ております。改正のポイントといたしましては,中段にございますように,この1ポツのところでございますけれども,学習者の多様な特性に応じた学習支援に関する知識及び技能の習得を図るための科目である「生涯学習支援論」という科目と,それからその次,多様な主体と連携・協働を図りながら,学習成果を地域課題解決等につなげていくための知 識と技能習得を図る科目である「社会教育経営論」というものが新設されまして,これが令和2年4月から新しい課程として施行されることとなってございます。 こういった改正を踏まえまして,次に,おめくりいただきまして6ページでございますけれども,社会教育士でございます。社会教育士とは,この規程の改正,それから施行後 に社会教育主事講習や大学での養成課程の修了者に与えられる「称号」として制度がスタ ートしてございます。これは飽くまで称号ということで,資格というものでは一般的には ございません。それで,制度がスタートしました令和2年度におきましては 706 名で,こ こに書いてございませんけれども,令和 3 年度におきましては 1,750 名の方が,これまで 合計で 2,451 名ということで社会教育士という方々が誕生しているという現状でございます。
おめくりいただきまして,資料7ページでございます。
社会教育士はどういう役割かと いうことでございますけれども,社会教育士には,社会教育主事講習ですとか大学養成課 程で習得したコーディネート能力,それからファシリテーション能力,プレゼンテーショ ン力などを発揮していただいて,社会教育行政の分野だけではなく,この絵にもございますように,地域における多様な主体の地域課題解決の取組などにおきましても,その取組 全体をけん引するような中心的な役割を担うことが期待されているというところでございます。
8ページでございます。ということでございまして,様々な分野で期待が高まっている 社会教育士でございます。こちらにございますように,これらの能力を生かしまして,社会教育行政のみならず,この資料の上から2つ目の丸にございますように,地方創生にお きましても,地域の人材や資源などをつなぐ専門人材としまして,行政や NPO などの各所 での活躍ですとか,それから,3つ目の丸と1つ目の丸とも関係いたしますけれども,コ ミュニティ・スクールと地域学校協働活動,地域学校協働本部をつなぐ地域学校協働活動 推進員として活躍することですとか,あるいは,学校におきまして,教師や学校事務職員 が資格を取りまして,地域の教育資源を有効に活用しまして,社会に開かれた教育課程の 実現をより効果的に推進することなどが期待されているというところでございます。
9ページからは具体の事例の御紹介でございますけれども,こちらの当分科会委員の宮 城委員が館長をされております公民館でございます沖縄県の那覇市若狭公民館の事例でご ざいますけれども,この若狭公民館様では,宮城館長をはじめとしまして複数の社会教育 主事有資格者の方がスタッフとして館を運営されているという現状でございます。
スタッフの社会教育関係の専門性が生かされまして,例えば,中段にございます「なは防災キャ ンプ」という取組におきましては,行政機関ですとか防災の専門家だけではなく,キャン パーですとか,あるいはペットコミュニティの方など様々な人を巻き込みまして,その方 の知識や特技を防災的観点で活用するといった取組も進められておりますし,また,誰で も簡単に楽しみながら学べるということをコンセプトにされまして,楽しみながら防災を 学びつつ,地域の人たちのつながり,それからコミュニティを創出しておられるという取 組でございます。
続きまして,10 ページ目でございます。こちらは島根県益田市様の事例でございますけれども,益田市におかれましては,この左下の方の円の図にありますように,市長部局,それから教育委員会,学校,地域住民,企業などが一丸となりまして「ひとづくり」に取 り組める体制,「ひとづくり推進本部」というものを設置いたしまして,右上の方の取組 の概要にありますように,これらの多様な主体となる役職というのにひとづくり推進監という役職をつくりまして,社会教育主事の有資格者を任命されているという状況でございます。これらの方が社会教育主事と連携しまして,多様な主体と協働しまして,若者が地元に定着したくなるような魅力的な地域づくりを進めて,地元で働きたい,地域を元気に したいという若者を増やして,地域を担うための人材育成をされているという取組でござ います。
11 ページ,最後の事例でございますけれども,こちらは高知県南国市の集落活動センタ ー「チーム稲生」という取組でございます。このチーム稲生でございますけれども,中山間地以外では初めての集落活動センターということで,公民館を拠点としまして,公民館のサロン化というものと,それから公民館を中心とした地域拠点づくりを進められているというところでございます。困難な社会的課題を解決していくためには,社会教育を基盤とした地域づくりを促進していきたいということで,昨年度に中心メンバーの方 1 人が社 会教育士の称号を取得されて,ますます活躍しておられるというところでございます。 最後のページでございますが,こちらは文科省の方の PR サイトでございます。昨年 2 月にこの社会教育士の PR 特設サイトを開設いたしまして,サイト内の活躍する社会教育士というところでは,様々な場面で活躍する社会教育士を動画など交えながら紹介してございますので,お手すきのときに御覧いただければと思いますので,よろしくお願いいたします。 説明は以上でございます。

【清原分科会長】
小屋松課長補佐さん,御説明どうもありがとうございました。
この間,生涯学習分科会では,生涯学習・社会教育の取組を担う専門職としての社会教育主事や社会教育士の地域コミュニティにおける活躍ということについても言及される委員の皆様がいらっしゃいました。
そして,皆様と事例を共有したり,あるいは今後の生涯 学習・社会教育の在り方を提案していくときに,やはり重要な担い手が社会教育主事・社会教育士といった生涯学習・社会教育を担う専門職の方です。そこで,今日は,委員の皆 様と,改めまして,社会教育主事と社会教育士の違い,あるいは共通点,そして現状について共通認識を持っていただいた上で,今後の議論を深めたいということで御報告を頂きました。
それでは,ただいまの御説明に関しまして,御質問,御意見を頂きたいと思います。御質問,御意見のある方,どうぞ挙手ボタンを押してください。よろしいでしょうか。
それでは,まず清水委員,それから関委員,大久保委員,牧野委員の順でお願いいたし ます。 では,清水委員,お願いします。

【清水委員】
日本PTA,清水です。
ちょっと確認というか,すみません,ちょっと聞き取りにくかったものですから,同じような質問というか,確認になって申し訳ありませんが,資料の 3 ページのところです。
社会教育主事の人数の推移のところなのですけれども,ここが年々,平成 8 年から 30 年までの数値が書いてありますが,8 年から 30 年に至るところで大幅に人数が減少しているというところの理由をもう一度,すみません,ちょ っと聞き取りづらかったものですから,もう一度御説明いただければと思います。

【清原分科会長】
御質問ありがとうございます。
3 ページのところで,社会教育主事と派遣社会教育主事の配置率の変化,人数の変化等の要因について御説明いただけますか。 いかがでしょう。

【小屋松地域学習推進課課長補佐】
ありがとうございます。すみません,ちょっと聞き取りづらかったかもしれません。
派遣社会教育主事のお話などもしましたけれども,減 少している要因につきましては様々な要因が考えられると思いますが,その一つの大きい 要因と考えられますのが,もともと国から補助をしておりました派遣社会教育主事制度と いうのがございました。これは,都道府県が市町村に社会教育主事を派遣するときのかか る人件費等の費用を補助するものでございましたけれども,それが平成 10 年に,制度自体 が定着していったことですとか地方分権推進の流れなとから,この制度がいわゆる一般財源化ということで地方交付税化されたということがございまして,そこは一つの原因になって減少していったこともあるのかなという御説明をさせた頂いたところでございます。

【清原分科会長】
清水委員,いかがでしょうか。

【清水委員】
はい,分かりました。ありがとうございます。よく理解できました。ありがとうございます。

【清原分科会長】
要因がはっきりしてよかったと思います。 それでは,関委員,お願いいたします。

【関委員】
小屋松補佐,ありがとうございました。
1 点質問なのですが,今,社会教育主事は教育委員会事務局に設置する専門職員ですよね。
そして社会教育士は,それ以外の様々な場で活躍してくれるような人であると思うのですが,その中で,例えば私もそうなのですけれども,過去に社会教育主事の発令を受けて,それ以降,いろいろな場で活動しておるような人間の位置づけ,あるいは派遣社会教育主事で活躍していて,学校等に戻って,社会教育士になるために研修を受けることはなかなか難しいというふうな人間の位置づけ,そういうふうなものをどういうふうなイメージで持っておられるか,あるいはそういう人が潜在的にどれぐらいたくさんいるのか,もし分かれば教えてもらえたら有り難いです。

【清原分科会長】
関委員,ありがとうございます。
社会教育士が新たに生まれる前に活躍されていた方の状況についてどのように把握しているか,いかがでしょうか。小屋松さん。

【小屋松地域学習推進課課長補佐】
ありがとうございます。
まず,これまでたくさん社会教育主事の有資格者の方を養成してきたという現状がございまして,正確に何人いる かということがすぐには分からないのですけれど,かなり多くの方は一応有資格者でおられるということだと思います。
今回,社会教育士制度が始まりましたのが令和 2 年度でございますので,それまでの有資格者の方というのは,一応,現行制度上は社会教育士と称号を名のることができないという状況ではございますけれども,これまで経験をたくさん 積まれてきた方々であることは間違いないと思いますので,位置づけとして,当然,その 方々にも有資格者として,いろいろな行政以外の部分でも社会教育行政以外でも活躍していただきたいというところには変わりはないものかと考えてございます。

【清原分科会長】
関さん,いかがでしょうか。今のようなお答えがありましたが。

【関委員】
私も当然,これからまた社会教育士の研修を受けて社会教育士になりたいと思っております。
そういうふうな潜在的な人材がもっとこれからも増えていくような働 きかけをしていただけたら有り難いなと思っております。 以上です。

【清原分科会長】
ありがとうございます。
今,関委員の御質問の中から浮かび上がってきました問題の所在というのは,大変重要なポイントになってくるのではないかなと思います。私たちの今後の議論の中で,更に具体的な提案をしていくべき方向の一つかなと思って受け止めておりますので,関委員,またそういうふうな項目での御発言,更にお願 いいたします。
それでは,大久保委員,お願いいたします。

【大久保委員】
大久保です。ありがとうございます。
社会教育士についてちょっと質問をさせていただきたいのですが,社会教育士,立ち上がってまだ 3 年目というところで, こういう新しいものを定着させていくというのはなかなか大変なことだなと思うのですが, 先ほど御報告いただいたように,2 年間で 2,400 名ぐらいの人が社会教育士という称号を得たということをお聞きしたのですが,このような方々のうち,どのぐらいの人たちが実質的に社会教育に関わりを持っておられるのか,その分野と全く関係なくて日常的にも社会教育から離れてしまっているのか,一旦どこかで点検をしてみた方がいいのかなと思うのですが,現状は何かそれに関する情報を持っておられるかどうかということをお聞きし たいと思います。
あと,社会教育士という称号を取った人たちが,その後に社会教育のテ ーマについて継続学習ができるような機会があったりとか,そういう方々を緩やかにコーディネートしながらやっていくための施策としてどのようなことを今お考えになっておら れるかということや,あるいはもう一つは,社会教育士の称号を取った方々が,この社会 教育士というものに対してどういうふうに評価・認識をされているのかということ,その 辺りがちょっと気になっておりまして,何か情報があればお聞きしたいと思いました。
よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】
ありがとうございます。
社会教育士の資格を取られた方がどのぐらい実際に活動をされているか,そして 2 点目,継続学習の機会はどのようになっているか, 3 点目,社会教育士の資格を取得された方の自己評価という点ですが,小屋松さん,いかがでしょうか。

【小屋松地域学習推進課課長補佐】
ありがとうございます。
2,400 人以上の方が社会 教育士の称号をもう得られているという現状に対しまして,実質どのくらい社会教育にその後携わられているのかというところでございますが,例えば公民館主事ですとか,もともと社会教育関係の NPO ですとか,そういうところで活躍されている方が称号を取られているというケースでは,当然,継続的に関わっておられるのかと思いますけれども,それ以外の方がどのぐらい関わっておられるかということは,正直,まだ全容を把握できていないところでございますので,この後,本題の骨子の方の中にもそういった社会教育人材 の在り方,養成ですとか,そういうところの在り方の話もございますけれども,委員御指摘になりましたように,そういったところを一旦立ち止まって点検していくとか,どういうふうにやっているのかフォローアップをしていくということも,今後,検討の余地があ るものかなと考えております。
同じように,その後,継続して学ぶ機会があるのかというお話でございますけれども, こちらにつきましても,社会教育行政の中に入られている方であれば,公民館とかそういったところの研修の機会などもあるかもしれませんけれども,そういった以外のところでは,どういうふうにフォローアップをしていけばいいのかということも確かに大きな課題 であるのかなと思っております。
そういったところも含めて今後また御議論をいただけた らなと思いますので,よろしくお願いします。

【清原分科会長】
資格を取られた方の,その資格を取ったことに対する評価などにつ いての調査はされていらっしゃいますか。
どうでしょう。

【小屋松地域学習推進課課長補佐】
そうですね,先ほど PR サイトを作っているという お話もさせていただきましたけれども,そういった中でストーリーベースでお話を聞いて いる方の限りであれば,本当にこの称号が役立っているとか,これによって活動の幅が広 がっているお話も聞くところではございますけれども,正直,網羅的にこれを把握してい るという状況ではございませんので,そこもまた検討していく余地のある観点かなと考えてございます。

【清原分科会長】
ありがとうございます。 大久保委員,いかがでしょうか。

【大久保委員】
ありがとうございました。
スタートして一定数が今,称号を出せたと ころなので,逆に 2,400 人というのは限定的な数ですから,一旦,その方々向けに簡単な アンケート調査でもいいので振り返りをしておくと,今後の施策を考える上で重要な情報 になるのではないかなと思います。よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】
ありがとうございます。
私も,12 ページに紹介されております社会 教育士特設サイト・PR 動画公開というのを拝見して,生の声を聞かせていただいて,この 資格を取られた方が幅広い分野で活動されている,あるいは今後される可能性があるとい うことを確認させていただいたのですが,大久保さんが御提案されましたように,社会教 育士の皆様に対して更に機会があれば調査をしていただき,より一層,実態が明確にされ るということも有意義なことではないかなと,このように受け止めました。
それでは,牧野委員,お願いいたします。

【牧野副分科会長】
どうもありがとうございます。
実はこの社会教育士の新設について,また社会教育主事の改革について,検討会議等を通して下案を作らせていただいた者としては,ここ 2 年間で 2,400 名の社会教育士が誕生したというのはちょっと驚きというか,とても有り難いと思って,今お話を伺っておりました。
実は,私も大学で社会教育主事の課程の一部の授業を担当したりしているのですけれど も,社会教育主事の改革については私が中教審に関わる前ですので,中教審,私は 8 期からお世話になっていますので,その前から議論になっていまして,簡単に言いますと,社会教育主事は,法的には都道府県,また市町村の教育委員会の中に必置するという,必ず 置くことになっている専門職であるわけですけれども,そして社会教育の企画・立案から 指導・助言をするというのが大きな役割だったと思いますが,先ほど事務局の方からもお話がありましたように,いわゆる財源が一般財源化されていくといったことですとか,それから地方分権の流れの中で,たしか全国市長会から必置を外してほしいというような議論も出たりしたということの中で,多分,各自治体で手当てがなかなかしにくいということで採用が減っていったということがありまして,当時はとても残念なことに,大学で学生たちが社会教育主事を取りたいと言ってきても,基本的に「あんまり就職ないよ」と言 わなければいけないような職になってしまっていて,これをどうしようかという議論がずっとあったのです。一時は,廃止論まで出ました。それを何度も何度も検討会議等を設置して,議論を繰り返す中で,最終的な結論になりましたのが,社会教育主事を廃止することは,国の資格ですので,ちょっともったいないのではないか,と。
ただ,とても特殊な資格でして,私も主事になれる資格を持っているのですが,発令されないと主事とは言っ てはいけないという資格になっていまして,ちょっと分かりにくいのではないかという話にもなったのです。さらに,教育行政のネットワーク化の議論と関わっていたと思いますが,社会教育の範ちゅうを従来の学校教育,家庭教育支援,社会教育という狭い教育行政 の範囲で考えていたものを,社会教育と例えば民間教育事業者であったり,まちづくりで あったり,また福祉的な施策であったりというところと関わらせて,学びをベースにして, 地域づくりであったり,まちづくりであったり,また生活を支えるといったことへと展開させつつ,更にそこに学校と家庭教育支援を結びつけて全体で生涯学習と呼ぼうという議 論が出たときに,社会教育主事の在り方を変えようという議論になってきて,最終的に社 会教育士という称号を新設して,主事としては教育委員会で御活躍いただく,ただ,同じ研修を受けた方々が,他方で学びのコーディネーターとして住民の中に入って,地域での学習を支えていく人材として活躍していただこうという議論になったのです。その場合には,法令というか,法律を変えて主事の名称を変えたりするのではなくて,臨機応変に対応できるように文科省令で対応できるように,ということで新しい公的な社会教育士という称号を新設して,社会教育士は主事ではないけれども,学びのオーガナイザー的な専門職という形で活躍をしていただこうということになったのです。
その後,たしか 2018 年の 中教審にかけていただいて,答申の中に入ったのではなかったかと,すみません,うろ覚 えですけれど,思います。そして 2 年間,実は新たな主事課程の科目に実習が入りましたので,実習先を確保するために 2 年間猶予を置いて,2020 年(令和 2 年)度から正式に始まったということです。そして,この 2 年間で 2,400 名の方が受講されたということにな るのかと思って,とても有り難いと受け止めています。教育の現場にいる者としての実感は,やはり社会教育士ができてから学生たちも取得したい学生が増えてきたことは確かです。
それからあと,いろいろな大学や自治体がやっていらっしゃる社会教育主事講習にも関わっていますけれども,先ほど大久保委員の御質問 とも少し関わるのですが,今はどちらかというと NPO ですとか,又は福祉団体ですとか, 又は地域の様々な活動団体の方々が,社会教育士を取りたいと言って講習を受けに来られるという事例がとても多くなったように実感しています。
その意味では,新たに取られた方々が新たに社会教育士になるとか社会教育主事として活躍をされるということよりは, 既に活躍されている方々が資格というか,その称号を取りにいらっしゃっているという実感がとても強くなっているので,まずはその辺りで普及をしていくのかなと考えています。 ただ,反面で,ここは少し皆さんに御議論いただきたいのですけれども,実は,社会教育士の称号が取れるようになった,で,受講したいのだけれどもという方が増えてきたの ですが,特に社会教育主事講習の在り方がほとんど従来のままになっていまして,各地の 大学に文科省から補助金がついて委託をするという形で開講されるのですが,大学の講習の開き方が従来型のものがとても多くて,定員が設けられていて,受講申請をしてもなかなか認めてもらえないということになってしまっているというお話をいただくことが増えています。従来は,例えば都道府県なり市町村から派遣されて受講されていたので,個人 の受講希望の方が受講されなかったのですが,今,社会教育士が取れることになって,個人でどんどん申し込まれる方が増えてきています。しかし,その需要に講習の側が追いついていないという実態があるのではないかと思います。その意味ではもう少し,社会教育主事講習の在り方を今後どうするのか,検討する必要があるかと思います。
例えば私が関わっている北海道は,大学への委託ではなくて,北海道教育庁が受けて,オンラインで主事講習をやっています。主事講習は全国区,実は文科省の事業ですからどこでやられても 全国区なのですけれども,北海道の方だけではなくて大阪の方や,又は島根の方や,あちこちから受講されてきて社会教育士の称号を取っていらっしゃるので,そういうことも含めて,今後,社会教育主事講習の在り方について少し御議論いただいて,新しい方向性が出てくるといいなと考えておりますので,また是非ともよろしくお願いしたいと思います。
ありがとうございます。

【清原分科会長】
牧野委員,ありがとうございます。
ちょうど牧野委員が社会教育士 について検討する過程にも御参加であったということ,そして実際に社会教育主事講習にも携わっていらっしゃるということから,この 2 つの資格に関わる問題の所在が明らかになりました。私たちとしては是非,現行の制度の国民・市民のニーズとかなっていない部分については積極的に改善していくという方向の提案もさせていただきたいと思っています。
特に資料の 7 ページには社会教育士について分かりやすく整理がされていまして,今, 牧野委員も御紹介されましたように,地域コミュニティの活性化,すなわち,学びをベー スにした地域づくり,まちづくり,そして組織づくりといいましょうか,そうした分野に おい社会教育士が活躍していると。
これが,こういうふうにすることが望ましいというだけではなくて,実際に活動している人が社会教育士の資格を取りながら,更に力量をアッ プしているというような方向性も示唆されました。そんなことを受け止めながら,私たち も積極的な提案を牧野委員がおっしゃるような方向でもしていきたいと思います。 横尾委員からも手が挙がっております。横尾委員,お願いいたします。

【横尾委員】
こんにちは,皆様。横尾でございます。
幾つか意見を述べさせていただ きたいと思います。 社会教育主事に関して,全国市長会から少し見直しをしてくれという意見が出たことに少し触れたいと思います。これは,現有制度の仕組みがやや拘束的な感じが非常に強いこ とと,講習を受けなければならないということがあり,例えば,急遽人材が必要な場合な どに,職員を研修に派遣しなければいけないということなど,現場では大変苦労があった ということが背景にあるのです。
そういった面で非常に時間的・コスト的負担が発生して, なかなか運用に難しい面があったということがあります。また,社会教育主事に限定しなければならないという必置義務規定があると,それにより拘束された人事になってしまう という苦労があること。この辺をもうちょっと緩和してくれという趣旨だと思っています。 ところで,そういったことがあることが前提でありますし,また時代の流れを踏まえて 申し上げますと,今回のテレワークあるいはオンラインでのこういった新たな学びのスタ イルが可能になってきましたので,今も御意見がありましたけれども,この資格取得等についての研修については,オンライン活用が有効だと思います。このことは,以前から私 が申し上げていますように欧米でいうところの MOOC ですね,ビデオ映像などを活用して学 びということを徹底して展開していけば,そういった移動とか学びの負担はどんどん減っ ていくと思います。是非そういった学びの改善をお願いしたいと思います。
もう一つは,カリキュラムの内容です。詳細まで今日述べる時間はありませんけれども, 時代に合わせて変化していくべきだと思います。
例えば社会教育主事資格を持っている方も必要な人材として妥当とは思えますけれども,仮に資格の有無ということでなくとも, 例えばコーチングとか,いろいろなファシリテーターとかのことができる人がいらっしゃいます。あるいは企画力に優れた方あるいは仕掛けをして物事を進めることに優れた方, そういった方々も実は同じようなポジショニングで,組織の中,グループの中,活動の連 携の中で活用していただくと非常に効果的だと言えます。
ですから,そういったことの緩やかな対応の主権,自主的にできる権限も自治体に与えていただくことも意義があると思います。 その上でカリキュラム的な内容で申し上げますと,例えば ICT の進歩は目覚ましいもの があります。こういったものをどう使うかという技量,スキルについても学んでいかないと立ち行かないと思います。また皆さんは,ある意味でファシリテートして,リードしていくわけですので,それいった ICT ほかの優れたスキルを学ぶということも是非取り入れた方がいいと思います。多くの方々がオンラインを中心に学びの可能性を広げておられますし,スマホは既にもうパソコンの台数より増えていますので,そういった利活用の中で, 新しい時代の ICT・デジタルを前提とした時代の社会教育,また,それを少しリード役, ファシリテート役として担う社会教育士・社会教育主事ということで,是非文部科学省の 方で検討いただくのが今後有用だろうと思っています。 以上です。

【清原分科会長】
横尾委員,ありがとうございます。
私たちが第 11 期において重要な キーワードとしているのが,社会のデジタル化,ICT の活用に対して,生涯学習・社会教育がいかに課題としてそうしたテーマに対応していくかだけでなくて,手段としてデジタ ル化を活用していくかということも重要になってきておりますので,今,御提案いただきました学びの専門性の内容と,それを学ぶときのオンラインの学び方など,そういうところにもいい意味でのデジタル化が生かされていくということが重要であるということを受 け止めました。ありがとうございます。
それでは,第 1 の議題につきましては,社会教育主事,そして社会教育士について,改めて,その資格の特徴と現状について,また,皆様の質疑あるいは御意見から問題の所在が明らかになりましたので,今後の報告書骨子案にもつなげて生かしていければと思います。
それでは,ここで一旦,議題 1 は終了させていただきまして,議題の 2 に移らせていただきます。議題の 2,報告書骨子案の議論に入ります。 今回は,前回の会議でお示ししました報告書骨子案に,前回,委員の皆様から頂きまし た多様な御意見を赤字で追記した資料 2 を事務局において作成いただきました。まず,この資料の御説明を頂きたいと思います。その後,こちらの報告書骨子案に関する質疑応答, 意見交換を行いたいと思います。 では,事務局の神山課長から資料の御説明をよろしくお願いいたします。

【神山生涯学習推進課長】
それでは,資料の 2 の御説明をさせていただきたいと思います。
今お話がございましたように,前回の資料,骨子イメージの資料に,前回の御意見を踏まえまして,赤字で溶け込みのような形で入れさせていただいておるというものになってございます。 細かい字句の修正,語句の適正化のところは省かせていただいて,大きなところの御説明をさせていただきたいと思います。
1 ページ目に関しましては,下の方に米印で,生涯学習に関する定義,それから社会教育に関する定義について記載をしてございます。前回, そういったものを明らかにすべきだという御意見を頂きましたので,生涯学習につきまし ては,白書の記載ぶりですとか,教育基本法での規定ぶりなどを参考に書かせていただいております。
また,社会教育につきましては,社会教育法に書かれておる定義とともに, 前回の御意見の中で,社会教育の対象者が幼児から高齢者までと多様であることに配慮が必要だといった御意見もございましたので,それらも書かせていただいてございます。
次のページを御覧いただきたいと思います。2 ページ目でございます。 こちら,「生涯学習・社会教育が果たしうる役割」ということで,そのすぐ下に副題のようなものを入れてございます。前回,最後の方で牧野委員から,副題のようなものを検討してはどうかと,キャッチフレーズのようなものを検討してはどうかということでしたので,取りあえずここに書かせていただいてございます。
前回御提案を踏まえ,分科会長及び副分科会長と御相談して書かせていただいた案でございますので,書きぶりについては,この後,御議論をいただければと思いますが,中身としては,「より良く生きようとする一人一人の意思を尊重しながら,共に学び,支え合う生涯学習・社会教育」といった内容にしてございます。
その内容は下の方にも出てまいりますが,白丸の「生涯学習を通じたウェルビーイングの実現」のところの最初のポツのところでは,ウェルビーイングの実現に関しまして,個性を持っているという多様性を認め合うということが前提として重要だといったことですとか,そうした個性や多様性を重視するということは,そのままで何もしなくてよいとい うことではないよといったこと,それから,人は皆,よりよく生きようという意思を持っているので,それが等しく尊重され,その実現を図れるような社会を目指していくことが重要だといった形で,ウェルビーイングを目指すときの考え方を書かせていただいてございます。また,一番下の枠の外の米印のところに,ウェルビーイングについて,ほかの教育再生 実行会議などで記載されておる考え方についても注釈のような形で追記をしてございます。 それから,資料の真ん中辺でございますけれども,赤字になっておるところ,ここは, 前回の意見の中で,一人一人の人間力の向上,人格の形成を図るといったことも重要だといった御意見があったことを踏まえて追記をしたものになってございます。 また,先ほど一番下の米印の 1 つ目を御紹介しましたが,2 つ目の米印のところでは, リカレント教育に関する基本的な考え方,定義のようなものを記載させていただいてございます。
続きまして,3 ページでございます。「社会的包摂の実現を図る役割」のところの 3 つ 目のポツを追加いたしまして,障害者に関する記述として,合理的配慮が求められていること,また,アクセシビリティについて言及をしておりまして,当初から包括的に配慮した対応をするといったことがあらゆる人にメリットをもたらすことにつながるので,その推進が重要だといったことにも触れてございます。 それから,その 3 つ下の赤いポツでございますが,社会的参加に制約のある者向けの学習機会の充実のみならず,共に学ぶことにも言及をといった御意見を踏まえまして,そういったポツを追加してございます。 それから,その次の白丸,「地域コミュニティの基盤としての役割」のところでは,一番最後のところで,社会に開かれた教育課程の実現を図るといった学習指導要領の方での 考え方を明記してございます。また,枠の外には,前回の御意見の中で御紹介があった北欧の「フォルケホイスコーレ」 のことにも触れております。こちらについては事務局の方で調べた限りで書かせていただ いていますので,補足等があれば,また御意見をいただければと思ってございます。
次に,4 ページ目でございますけれども,こちらは,今,赤字で「各主体において取り組むべき施策」というふうになってございます。国・地方公共団体が進める取組,それから公民館ですとか,先ほど紹介があった社会教育主事などの取組を書いておったところを, 「各主体において取り組むべき施策」という形でまとめてございます。 1 番目の「国・地方公共団体が進めるべき取組」のところでは,前回御意見として,地方公共団体が地域の実情に応じて施策の優先づけができるようなイメージなどを示した方がよかろうといった御意見がありましたので,それを反映させてございます。 また,2 つ目のポツでは,文部科学省の方での関係局課の連携推進なども重要ということで,それを追記しております。 それから,下の方の 2)のところでは,「公民館等の社会教育施設の機能強化」ということで,そもそも機能強化の前提となりますデジタル基盤の強化に言及をした上で,デジタル・ディバイド解消といったようなときにも,単なる操作スキルだけではなくて,正しい情報を適切に取捨選択できる資質を身につけることが重要といった御意見も踏まえて修正をしてございます。 さらに,米印のところでは,共に学べる場の例といたしまして,先ほどの若狭公民館のお話ですとかの追記をしてございます。
それから,5 ページ目でございますけれども,上から 3 つ目のポツのところでは,前回 意見がありました,公民館がリアルに集う場だというところも重要なのだといった御意見 を反映してございます。 それから,推進方策としておるところの 3 つ目のところでは,「社会教育施設のデジタ ル基盤の強化」という書き方にしておりまして,前回,クラウドなども重要だといった御 意見がございましたので,「デジタル基盤」ということで広く読めるような書き方にして ございます。 それから,3 番目でございますけれども,社会教育主事,社会教育士等の関係は先ほどもお話がございましたが,1 つ目のポツでは,社会教育主事の役割をもう少し書き下そうということで,平成 30 年の答申などの書き方を引用しまして,「学びのオーガナイザー」 として,社会教育行政のみならず,地域における多様な主体の地域課題解決の取組についてもけん引することが重要な役割だということにも触れてございます。 それから,その次のポツでは,社会教育士に関しまして,地域の教育力向上による地域 コミュニティ構築に資する取組を推進するためだということを明記してございます。 それから,推進方策のところ,一番最後のところでは,社会教育人材の在り方について 先ほども質疑応答や御意見を頂きましたけれども,その人材の在り方についての検討というのがもう少し必要だろうということでございまして,社会教育士の役割等につきまして 「検討を継続する」といった書き方に直してございます。
最後のページ,6 ページ目でございますけれども,こちら,最初の白丸のところで「今 後重点的に取り組むべき施策」というようにしてございます。この前のページまでのとこ ろで大きな議論をしておりましたので,ここではもともと,コミュニティ・スクールですとかリカレント教育といったキーワードで示される一定のまとまりのある施策を列挙していたという部分になってございます。先ほど御覧いただいたように,主体別という書き方 をしたところもございましたので,今,便宜的に「今後重点的に取り組むべき施策」ということで 3 つ並べておりますが,もっと,以下の 3 つ以外のより広がりのあるテーマにし た方がよかろうとか,大きな議論の流れに沿った方がよかろうといった考えもあるかと思いますので,そういった全体の構成ですとかテーマの広がりについてのご意見も,今日の 御議論の中でいただければと思ってございます。今日の段階では,前回の資料と同じよう に,1)と 2)と 3)はそれぞれ,1)は「障害者の生涯学習の推進」,それから 2)はもともとコミュニティ・スクールの話でしたので,「地域と学校の連携・協働の推進」,そし て 3 番目が「リカレント教育の推進」という形になっておりますが,こういった構成です とか,そのほかの重点的に取り組むべき施策や,まとまりのあるテーマといったものにつ いても御意見をいただければと思っております。 このページの修正したところを若干御説明いたしますと,1 番上の 1)のところの 2 つ目 のポツでは,障害者の生涯学習に関しまして,通信教育の活用の話ですとか,大学や専門 学校における学習機会の充実の話,それから特別支援学校の進路指導の改善充実が必要だ といったことを追記してございます。 それから,その 2 つ下では,学校に通う段階と社会への参加の段階の円滑化といったと ころが重要だという点も触れてございます。 また,2 つ目のコミュニティ・スクールのところでは,1 つ目のポツの中で,いじめや不 登校等の子供たちを取り巻く様々な課題の解決にも資するといった面も追記をしてございます。 また,その次のポツの中では,前回御意見がありました教育活動の充実ですとか学校に おける働き方改革にも資するものだということで,コミュニティ・スクールについての記 述を充実させてございます。 それから,3 つ目のポツでは,高等教育も含めて学校教育や社会教育と地域コミュニテ ィとの関係について,好事例の横展開を図るということを追記してございます。 それから最後,3 つ目でございますが,リカレント教育の関係では,1 つ目のポツで,MOOC ですとか,LMS(ラーニング・マネジメント・システム)といったものを活用すること で知識の習得は行い,対面の授業では議論などの充実を図るといったことに触れてござい ます。また,社会人に向けてより受講しやすくする取組なども推進・促進するということ にも触れてございます。 一番最後では,リカレント教育に関して,受けやすい職場環境ですとか,学んだことが 適切に評価されるといったことが重要だということでございまして,こういった側面ですと,厚生労働省さんですとか経済産業省さんとの連携ということが必要になってまいりますので,その点について触れているという内容になってございます。 私の方からは以上でございます。

【清原分科会長】
神山課長,御説明ありがとうございました。
この骨子案についての意見交換でございますが,もう少し中身が固まってまいりましたら少し分けて御議論いただくのもいいのかなと思いますが,本日のところは,あちらこち らに視点が飛んでも,かえってそれぞれを関係づけながら深まることができるかなと思いますので,特にページを分けずに,どの部分からでも御意見をいただければと思います。 皆様,挙手ボタンを押してくださいませ。いかがでしょうか。 それでは,まず辻委員,そして澤野委員,横尾委員の順番でお願いいたします。 では,辻委員,お願いいたします。

【辻委員】
辻です。ありがとうございました。
私は,6 ページの重点的に取り組むと ころで,重点的なので,もう少し具体的に書いていただければということで発言をしたい と思います。 1 番目の障害者の生涯学習の部分の 2 つ目のポツの丸 2 というところなのですけれども, これは大学の教育あるいは専門学校の教育をということで,まだほとんど進んでいない部 分だと思っています。履修証明だとか公開講座は知的障害の人にとって大変いいだろうと思いますし,通信教育は肢体不自由の方かなというふうに思うのですけれども,聴覚障害 や視覚障害の方にとっての情報保障というのはやはり大きいのですね。しかし,情報保障を自前で全部お金を大学が出すわけにもいかなくて,そこで情報保障のスタッフ,例えば対面朗読だとか,パソコンテイクなんかのスタッフ養成を社会教育が大学の力を借りながらやって,そこで身につけた知識・技能を大学で生かしていただくみたいな循環が必要だというふうに進められている部分も一部あると思います。それから,精神障害の方の場合は,やはり就労の問題がありますので,就労支援に向けて,自治体や地域社会の中にある 就労支援組織との連携というようなことを書いていただくと,大学や専門学校の学習機会 の充実というのがとても具体的で,全ての障害を視野に入れた書き方になるかなと思いま した。 それから,同じ 1)の 4 つ目のポツのところですけれども,学校から社会への移行の部 分が,「円滑化を図る」と書いていただいているのですが,具体的にちょっと問題になっ ているのは,特別支援学校と書けばいいのか,あるいは中等学校と書けばいいか,分かりませんが,そういう高校までの教育と大学の接続の問題,それから,そこに社会教育というものも関わる。だから,特別支援学校と大学と社会教育の連携ということを通して円滑に実施できるといいなと,そんなふうにイメージしておりますので,できれば具体的に書 いていただければ有り難いと思いました。 以上です。

【清原分科会長】
辻委員,大変具体的な御意見をありがとうございます。
学校教育においても,生涯学習・社会教育においても,情報保障の視点というのは極めて重要だと思いますし,スタッフ養成によって学校教育と生涯学習・社会教育が接点を持っていくという具体的な御提案は大変現実的なニーズもあると思いますので,今のような方向で是非中 身が具体的になっていくようにしていきたいと思います。

【辻委員】
よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】
はい,ありがとうございます。
それでは,澤野委員,横尾委員,大久保委員,牧野委員の順でお願いします。 それでは,澤野委員,お願いします。

【澤野委員】
ありがとうございます。澤野です。
資料の中で,まず,3 ページ目の北欧の「フォルケホイスコーレ」の定義のところで, 前々回に頂いたメールで「御意見を」というのをちょっと見落として,先ほど長々と事務局の方にはメールでお書きしたのですけれども,この例がノルウェーについて書かれた報告書から引用されているということでしたので,一応,この「フォルケホイスコーレ」という言葉はデンマーク語とノルウェー語で,北欧諸国には 5 か国全部にこのタイプの生涯学習施設があるのですけれども,スウェーデン語だとフォルクヘーグスコーラ,フィンラ ンド語だとカンサンオピストとか,ちょっといろいろ違うので,folk high-school という 英訳を使った方がいいのかなということもあり,御指摘させていただきました。
もともとは,19 世紀に高等教育を受けることができない農民の青年が,農閑期に,主に冬の間ですね,宿泊型で全寮制のノンフォーマル教育機関というものをデンマークの牧師で幅広い教養人でもあったグルントヴィさんという人が提唱して設置されるようになった もので,教師も学生も寝食を共にしながら,対話を重視した教育方法ということと,現在も続いていることとしては試験とか成績評価を行わないということなのですけれども,修 了時で,現在では,ここで通常 1 年制って書いてありますが,2 週間ぐらいの短期コースから 3 年間ぐらいで高校レベルの教育資格も取得できるような,そういう長期コースも様々あるということと,大学との橋渡しにはなっているのですけれども,それ以外にも職業訓練のコースもあったりということで,大事だなと思うところは,非常にフレックスな生 涯学習施設であって,様々な社会・経済の変化に対応して,そこは日本の社会教育もそう あってほしいなと思うところなのですけれども,病気とか障害で学びを中断しなければならなかった人とか,難民,移民の方などがまた社会人としての生活を続ける上で必要なことを学び直したり,何か生きがいのためのウェルビーイングのための学びを気軽に受けることができる。各地域にそういうものがあって,授業料部分は無料であるというところがインクルーシブな生涯学習であり,また,民主主義を支える市民性教育の場としても世界から注目されていて,北欧だけではなくて,南米とかアフリカ,南アジアなどにも広まっ ています。東欧諸国などでもそうです。なので,その定義のところは,今,説明が長過ぎ て申し訳ありませんでしたが,もうちょっと実態に合わせた定義を文章としては提案させてもらいました。
あともう 1 点だけ,リカレント教育については,恐らく,次期の教育振興基本計画の諮問にもあるので,そちらでもちゃんとした定義が出るのだと思うのですけれども,2 ペー ジ目の一番最後のところでは「決まった定義はないものの」と書かれてしまっているので すが,これは OECD とか,これも実はスウェーデン発で,流れを変えるという「オーテルコ マンドゥ・ウートビルドニング」というスウェーデンが 1960 年代の終わりに取り入れたものが,Recurrent Education と英語になって日本に入ってきたという経緯もありますので, いつでも学び直しができるシステムという,流れを変えるというシステムのことを指しています。それは 6 ページ目の一番最後のところには書かれていると思うのですが,この 2 ページ目のところですと,それが何か教育内容,社会人を対象とした実践的な教育を意味 すると書かれてしまっているので,これだと,もちろん現在はそういうニーズだからそうなのですけれども,またちょっと社会・経済の状況が変わると,あるいは対象によっては, 退職後の生きがいのためにまた学び直すということもリカレント教育には含まれているので,その辺りも配慮が必要かなと思いました。そして,日本では大学とか大学院ばかりがリカレント教育の場のようにも考えられていますけれども,こういう folk high-school とか,あるいは高校レベルの内容をもう一度学び直すとか,そういうものも含まれている概念であるということも指摘しておきたいと思います。 以上です。

【清原分科会長】
澤野委員,ありがとうございます。
澤野委員の御指摘から,私たち としてもできる限り国際的なグローバルな視点を持って提案をしていきたいと思いますので,また定義等について御貢献をいただければと思います。ありがとうございます。 それでは,横尾委員,御発言をお願いいたします。

【横尾委員】
では,よろしくお願いします。私の意見については,大半を参考資料 6 としてメモをつけさせていただいておりますので,そちらを御覧いただければやや細かい ところでも拾っていただけるかと思いますので,よろしくお願いします。時間の節約のため,それは読み上げません。
そこで 1 点目に書いていることだけはちょっと申し上げたいのです。それは,今回のこの骨子案の整理についてはとても大事なタイミングだと思うのです。コロナ禍があったり, 人生100 年時代,デジタル化社会の前,GIGA スクールなどなど。そういった中で非常にもったいないのですけれども,前提となる状況の中に GIGA スクールをやっているというのを文部科学省が書いていないのです。これは是非とも書くべきことだと思います。
全国で一斉に 1 人 1 台 PC 端末を小中学校,義務教育学校で使えるようになったのは歴史的にも初め てのことであります。これについては,例えば,最初のパラグラフの 4 つ目のポツですかね,「学校教育においても,『令和の日本型学校教育』の構築に向けて」とあるのですけれど,その前に GIGA スクールを令和になって始めたということを明確に言っていただいて, その上で新しい教育をやるぞということを是非書いていただいた方がいいと思います。
次に,提出したメモと関連することを先に申し上げます。 まず,4 ページ目の中に図書館のデジタル化のことが書いてあるのです。これに反対ではないのですが,一番下の部分ですね,「図書館のデジタル化を図り」と書いてあります と,何をどこまでどのぐらいまでやるべきなのか,やった方がいいのか,コストをどうするのかといろいろな議論が沸き起こってくるのです。この記述は,全くその詳細イメージなどがないままに書かれているようでして,ここら辺はもう少し何か配慮をしないといけないのではないかなという気がいたします。 続いて,5 ページの一番上のところで「地域課題解決のための学び」というのも一言書いてあるので,趣旨は私なりに分かるのですが,これはあいまいなままに認識がばらばらになってしまうのではないかと案じます。政策として全国に展開する意味ではちょっと課題も出てきてしまうのではないかなと思います。もう少し何かイメージできるようなものを追記するか,補足するかした方が,文部科学省の生涯学習を推進するというビジョンからすると必要なことではないかなと改めて感じているところです。それぞれが違うことをイメージしてゴールに向かっても意味がない,あるいは推進にも無駄が出ますし,効率が 悪くなりますので,是非配慮が必要ではないかと思います。
そして,改めて今日,資料を拝見し,お話を聞きながら感じたことで申し上げます。それは最後のページです。これから取り組むべき,「今後重点的に取り組むべき施策」で 3 つ挙げていただいています。もちろん,これらはそれぞれ大事だと思います。 まず,1 点目ですけれども,実は,こんな状況があるのを皆さんに御紹介したいと思います。私は ICT 教育を推進すべきということで首長協議会を立ち上げて,いろいろな方々のお話を聞き,情報も集めてきたのですけれど,こんなシーンがもう現実に可能になって います。それは,全盲の方がレストランに行ってオーダーをすることを想像してみてください。その方の目の前に 3 人のお友達がいて,その友達がどんな方かをウエラブルグラス を通して AI が認識をする。AI によりかなり鮮明に分析できるようになっています。少し詳しくなりますと,例えばメニューについては,実際には見ることもできなくても,メニューを持つご自分がかけているウエラブル眼鏡で見ると,そこにカメラが内蔵してあって連動し,上から記述内容を順番に読み上げてくれる。そうするとメニューを読めることになります。そして目の前にいる人たちがどんな人たちかについては,首を 1 回横に振れば, 左の人は髪の長い女性の方で何十代ぐらい,目の前はネクタイを締めているビジネスマン で何歳ぐらい,右の人は老年の方でどういう方という情報が,これも AI が顔認識その他により分析して教えてくれる。そのようなことがもう可能なのです,着ている服までわかる。 これらは既に AI で現実的に可能になっているような時代がもう目の前というか,体験が始まっているのです。こういったことが今後,AI や ICT が 5 年,10 年単位で進化していくと, ハンディキャップをもつ方をもっともっとサポートできるツールや仕組みというものが社 会的にも技術的にももっと進んでいくと思うのです。そういったものも想定しながら,ここにあります障害者の皆さんの生涯学習のサポートというのはより技術を生かした形のも のも想定しないと,今後,時代遅れになっていくのではないかなという危機感を持っています。ですから,是非文部科学省の方で科学技術関係の分野の方と情報交換して煮詰めていくことが大事じゃないかなと,まず一つ思っています。 もう一つ思うことは,これ,3 点に絞っていただいているのですけれど,改めて今思う と,コロナもあったのですけれど,コロナ禍でお籠もりというか,ステイホームもあったし,そしてオンライン,またテレワークもありました。今までと違う働き方や活用の仕方がどんどん可能となって世の中に出てきているのですね。そうすると,やはりツールとしても変わってきたので,学びも変わるわけです。当然,そういった状況の中で,そもそも生涯学習ということについては一人一人の個人の自主性がとても大切ですし,そして自分で自分の学びをプランニングして,必要なときに必要な知識や学びをするということがで きるようになっていくわけですね。これまでは体を移動しなきゃいけないから大変だったけれど,オンラインで本当に手軽にできる。情報検索も,以前だったら図書カードをめくって本を読まなくては分からなかったけれど,一瞬にウェブ上で探せる。そういったことになった社会の中で,一人一人にとっての生涯学習のあるべき姿,そしてそれが本当に大切なことですよと啓発をして,国民一人一人がより生涯の学びをできるようにする,そういう観点で大きな柱をもう 1 本立てておかないと,障害者の皆さんと地域と学校のこととリカレント教育だけではちょっともったいないなと,物足りないなという気がとても強くしておりますので,是非そういった御配慮もお願いしたい。 以上が私の主に申し上げたい点です。細かいところはメモで出していますので,事務的 にフォローしていただくと有り難いと思います。 以上です。

【清原分科会長】
横尾委員,ありがとうございます。
横尾委員が御指摘のように,前提となる状況の中で,主として,生涯学習・社会教育をめぐる文部科学省の答申等の動向を中心に整理しておりますけれども,教育全体を見ましたときには,この間,やはり GIGAスクールのことが重要ですし,また,次期教育振興基本計画をちょうど検討している今, 計画作成のプロセスであるというようなことを含めて,御指摘のように前提となる状況等 については更に詳細にしていきたいと思います。 幾つか,キーワードだけだとちょっと誤解を生じたりするのじゃないかという御指摘を 図書館の記述や地域課題解決のところに頂きました。それはおっしゃるとおりでございまして,これは,まだ骨子案の段階なのでキーワードとなる視点や文言を書いておりますが, それをどのように内容を充実していくかということについては,今,横尾委員から頂きましたような御意見で,委員の皆様の御意見で,その中身の充実と方向性の提示を図っていきたいと思います。
なお,最後に,「今後重点的に取り組むべき施策」のところで,おっしゃるとおり,先ほどの社会教育主事・社会教育士の研修にもオンラインをもっともっと導入したらという ふうに横尾委員に御提案いただきましたし,MOOC のこともかねてから御指摘いただいておりますように,「今後重点的に取り組むべき施策」の中に,やはり生涯学習・社会教育全体のオンライン化とか,あるいは先ほど辻委員がおっしゃった情報保障とも関係しますが, そういう中におけるコミュニケーションや情報利用の保障あるいは公平化というか,公正化というか,そういう方向性が求められていると思いますので,それが,この「重点的に 取り組むべき施策」なのか,あるいは今後の生涯学習・社会教育振興方策の中に,人材だけではなくて手法としての GIGA スクールが進んでいるのに,公民館,生涯学習センターのいわゆる GIGA 化は進んでいないので,そういうことを振興方策の中に入れるか,どちらが有効かは別として,そういう視点をやはり反映していかなければいけないなと受け止めました。
それでは,大久保委員,続いて牧野委員,御発言をお願いいたします。

【大久保委員】
大久保です。よろしくお願いいたします。2 点,意見を申し上げたい と思います。
1点目は,5 ページのところの大きな 3 番ですね,「社会教育人材の一層の活用」というところ,先ほどのお話に続いてもう少し申し上げたいと思っております。私はやはり社会 教育士のことがとても気になっておりまして,立ち上がって間もないこのタイミングでしっかりと方向性をもう一段階書いておけないかなと思っているのですが,例えば先ほどのお話の中に,社会教育士は,実際に称号を取った後に,行政とか学校教育の中だけでなくて,NPO とか民間とか非常に様々な領域に社会教育士という称号を持った人たちが存在しているという状況になってきています。
これからより開かれた社会教育を推進していくと いう観点で,そういう様々な NPO とか民間など多様な場に存在・所属している社会教育士という称号を持った皆さんが,コミュニティとかジャンルを超えて横のつながりを大事にして,その方々が例えば NPO と民間なり行政なりともつながってネットワークをつくって, そういう中で社会教育のオーガナイザーとして活動していただくということがとてもイメ ージとして私は広がってくるところがありまして,そうすることによって,社会教育主事とはまた違った社会教育の担い手として役割を果たしていただけるのではないかと。
そういうような活躍ができるように,行政の推進の施策を通じて機会づくりをしたりとか,あるいは情報提供を社会教育士の皆さんにしていったりとか,あるいは継続の学習機会をつくったりとかいう形で支援をしていくというようなことなのかなと。社会教育士の役割の明確化というのも書いてありますけれども,ちょっとそれに関連するところで,今のような方向性がもう一段階考えられないだろうかなというのが 1 点目の意見でございます。
それから 2 点目は,次のページ,6 ページの 3 番にあります「リカレント教育の推進」というところに関する意見です。お書きいただいているとおり,リカレント教育の仕組みをつくって,その仕組みを通じて必要なリテラシーとかスキルを身につけるということがここに書いてあると思うのですけれども,1 つ私が加えていただきたいなと思うのは,や はりリカレント教育,こういうものを機能させていくためには,一人一人,個人の学習習慣がとても重要だと思っています。例えば,子供の頃に社会教育などを通じて学習習慣を身につけた人というのは,学習することの習慣ってずっと継続していくのですよね。それが,高校に入り,大学に入り,また社会に出て社会人になった後も学習行動を続けていく。 以前の報告にもありましたとおり,社会人の中でも,自分から進んで学習行動を取っている人はごく一部なんです。その一部の人たちというのは,学生時代に自己学習をしていた人は社会人になってもしているということで,また,社会人のときに学習行動を取ってい る人は,またリタイアして高齢者になってからも多くの方々が学習を継続していくという, そういう生涯学習というものがそこに展開されていくのだと私は思っていますので,個々人が学習の習慣を身につけ,継続できるようにするということと,このリカレント教育の仕組みをきっちりと回していくということがある種両輪のような形でやっていけるといいなということで,この 3 番の「リカレント教育の推進」の中に,個人の学習習慣というこ とについても一言書いていただくといいかなと思ったので,意見として言わせていただき たいと思います。以上 2 点でございます。

【清原分科会長】
ありがとうございます。学習習慣という大変重要なキーワードを頂きました。前段の社会教育士のネットワークづくりや機会づくりについて,事務局で何か御発言ありますか。大丈夫ですか。どうでしょう。はい,お願いいたします。 それでは,少し遅れてこられました社会教育振興総括官兼地域学習推進課長に 4 月から 就任されました安彦広斉さんがいらっしゃいますので,御発言をお願いいたします。

【安彦社会教育振興総括官】
今,御紹介いただきました社会教育振興総括官,4 月か ら就任しております安彦と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
私もちょっと前まで GIGA スクールの担当をやったり,その前は高校の探究活動の担当をやったりということで,どちらかというと学校教育の方の担当をここ最近やってきたのですが,実は,高校生が地域に出ていって,地域のことを学ぶとか,地域や企業のことを学ぶ,地域と一緒に学ぶ地域協働学習,そういったものが探究活動で取り組まれたりしているのですが,社会教育士の関係で言いますと,そういった高校生が出ていく先に,しっかりそういったところを受け止めてくれる社会教育の分かる方々がいるか,いないかで,高校生たちの学び,探究の学び,これ,高校生は探究し続けるために高校までにそのスキル を身につけるわけですが,そういったところにそういった方々がいらっしゃるというのは 非常に効果が高いということで,若者がそういった社会教育の中で学んでいくという,そういったことがとても大事だなとつくづく実際に見に行って感じたところでございます。
そういったことも含めまして,地域の教育力の向上であったり地域コミュニティの構築というところで,社会教育士がしっかりと活躍していただけるような形で,学びのオーガナイザーという形で関わっていただくというところが特にこれから大事になってくるかと思っております。具体的なところについては,まだこれから御議論いただきまして,御指 摘いただいたような形をどう実現するかというのを具体的には検討していきたいと思って おりますので,またそちらの方をよろしくお願いいたします。
また,その際に,やはりデジタル化というのは非常に大事になってくるかと思っておりまして,先ほど GIGA スクールの関係で横尾市長からも御発言ありましたけれども,学校教 育でプログラミング教育だとか情報活用能力というのは非常に大事だと言われて,これは必ず学ぶということになったのですが,実はこれは子供たちだけではなく,大人社会の皆さんも同じように必要な能力になったから子供たちにも教えるという,そういう構造になっておりますので,そういったデジタル化も進めながら,できるだけ社会全体で子供たちを育てていく,自分たちも活躍していくということをデジタルが支える,こういったとこ ろの視点も大事なのかと思っております。是非ともそういった視点も含めましていろいろ 御意見をいただければ有り難いなと思っております。 よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】
安彦総括官,ありがとうございます。正に学校教育と生涯学習・社 会教育のつながりというのがますます重要になっていきます。その中に社会教育士の活躍や,あるいはデジタル化ということが貢献する可能性について受け止めさせていただきま した。ありがとうございます。
それでは,次に牧野委員,その次に山内委員ということでよろしくお願いします。 では,牧野委員,お願いします。

【牧野副分科会長】
すみません,山内委員が先でも結構ですけれど,よろしいですか。

【清原分科会長】
ごめんなさい。

【牧野副分科会長】
すみません,よろしいですか。

【清原分科会長】
いいですよ。先にお願いします。

【牧野副分科会長】
ちょっと遠慮があります。すみません。

【山内委員】
では,私から先でよろしいですか。

【清原分科会長】
はい,どうぞ。山内委員,お先にどうぞ。そして,続きまして薗田 委員,お願いします。

【山内委員】
すみません,恐縮です。申し訳ありません。私から 2 点,簡単なので先 に行かせていただきます。
まず,字句の問題なのですが,すみません,6 ページの「リカレント教育の推進」のところで,丸 2,「知識の習得には MOOC や LMS を活用することなどにより,対面の授業にお ける課題解決に向けた議論等の一層の充実を図ったり」というのを追記していただいてありがとうございます。私が報告したことを反映していただいたのかなと思いましたが,趣 旨としては是非入れていただければと思う一方で,「MOOC や LMS を活用」というのは特定のサービスを想起させる感じがしておりまして,私自身は MOOC に関係しておりますので, MOOC という言葉を入れていただいて個人的にはうれしいのですが,報告書を読まれる方の 層を考えると,MOOC とか LMS が何なのか分からないかもしれないなとも思ったりいたしま して,表現としては,「知識の習得にオンライン学習を活用することにより,対面の授業 における課題解決に向けた議論の一層の充実を図る」みたいなトーンでもよろしいのかなと思いましたが,御判断はお任します。これが 1 点目です。
2点目の方がより本質的で,今日最初に社会教育士のお話を伺いまして,知識としては 知っておったのですが,大変よく理解できました。中で既に横尾委員等から御指摘もあり ましたが,私もこのお話を伺えば伺うほど,社会教育士の養成の中で ICT の活用等をどう 統合していくかが今後重要な課題なのではないかと考えるようになりました。その意味で, 推進方策のところでいうと,恐らく 5 ページの「社会教育主事,社会教育士等の社会教育 人材の一層の活用」のところで,「地域住民の学習支援に必要な ICT スキルや」というと ころでちょっと触れられているぐらいのように見えまして,もう少しこの辺りを踏み込んで書いていただいてもよいのではないかと思ったのですが,いかがでしょうか。 私からは以上 2 点です。

【清原分科会長】
山内委員,ありがとうございます。
山内委員はご自身が関係されて いるということで MOOC について遠慮されましたが,実は生涯学習分科会では第 9 期の頃に生涯学習の在り方を検討する際にも MOOC について学ばせていただいて,いわゆる長寿社会において,生涯学習の観点からも,リカレント教育の観点からも,MOOC の学びというのは 重要であるというふうに着目してきた経過があります。従いまして,例文を言っていただ いたような,もちろん一般的な表現をさせていただきながら,具体的には既にこうした学びの機会が保障されているというふうに記述させていただくことは一向に偏ってはいないと思います。 それから,2 点目の御指摘は,大変重要でございまして,先ほども社会教育主事・社会教育士の中で牧野委員が養成における問題の所在をおっしゃいました。私は,山内委員も御指摘のように,社会教育士におかれては,ICT の活用については限られた条件の中でそんなに活発に使えるような組織や自治体ばかりではないとは承知していますが,やはり基本的なスキルとしてカリキュラムの中に位置づけていただく方向を今回の私たちの提言では示させていただくのが現実的ではないかなと思っております。横尾委員も御指摘の GIGA スクールが進んでいく中,学校教育と生涯学習・社会教育の間のギャップというのが生まれてはいけないので,やはりこの時代を生きていく上で,基本的な ICT の活用というのは全ての国民・市民に保障されるべきでしょうし,そうであるならば――これは私の意見になっております。分科会長というよりも清原の意見でございますが,社会教育士の養成についても,山内委員が御提案されたような ICT の活用についてしっかりと明示していくと いうことが今正に適切なタイミングではないかなと思っています。すみません,分科会長が個人的意見を付け足してしまいました。失礼しました。 それでは,牧野委員,どうしましょう,たくさんの方の手が挙がっておりますので,副分科会長としては最後でよろしいですか。

【牧野副分科会長】
はい,すみません,ありがとうございます。それでお願いいたし ます。

【清原分科会長】
それでは,お手が随分挙がりましたので,この順番でお願いします。
薗田委員,関委員,千葉委員,清水委員,そして牧野委員ということで,それでは,薗田 委員から御発言お願いします。

【薗田委員】
ありがとうございます。薗田です。前回,欠席をしてしまいましたので, すみません,今頃発言させていただいているのですけれども,「リカレント教育の推進」 のところで,先ほどもスウェーデンの語源から来ているってお話があったのですが,それ ぞれのニーズに応じて必要なリテラシーやスキルのところで,是非スウェーデン発のバックキャスティングという考え方を入れて,学び直しをするためにも,今までの延長線上ではなく,やはり未来から考える,未来にあるべき姿を想定して,社会・コミュニティもどうあるべきか,あるいは自分の未来もどうあるべきかという,未来を起点にして考えると いう考え方がバックキャスティングなのですけれども,皆さん多分,言葉はもう大分聞い て知っていらっしゃると思うのですが,スポーツと同じように,テニスとか野球も知って いるけれども,やはりやってみないと醍醐味が分からないというのがありますので,そういったことを学べるような要素も入れていただいたり,これは是非社会教育士の中のスキルの一つとしてもバックキャスティングのやり方ってある程度形になっているようなもの がありますので,そういったものを入れていただけるといいなというのが 1 点と,それからもう一つ,プログラムの開発のところなのですけれども,今,大学等におけるということで大学を含むという形で書いてあるのですが,例えば最近,私も企業のコンサルティングをやりながら自治体に呼ばれていろいろお話をする機会が多いのが SDGs なのですね。ここ最近も,例えば去年の 12 月に七尾市という能登の方に行ってきまして,そこでは,SDG s 大学というのを七尾市長が学長さんになって,実際に高校生からもう 70 代ぐらいのリタイアした人たちもやってきて,そこでいろいろな共通のテーマを話し合うことによって地 域の課題を解決していくということを商工会議所が主体にやっているのですけれども,例えばプログラムの開発の中には結構 SDGs という,今,文科省も推進していますが,子供たちももちろん学んでいるし,実際に企業の方あるいは地域の方,大学とかいろいろな教育機関の方あるいは自治体,いろいろな方々の接着剤になってくる。そしてそれぞれ,グロ ーバルな課題もありますけれども,ローカルな課題も解決していくというところでは,非常にこれから有効な共通テーマになってくると思いますので,そういったプログラムの中でも特に SDGs みたいなところをしっかり入れ込んでいった方がいいのではないかなというふうには考えています。是非よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】
薗田委員,ありがとうございます。やはり民間の視点で,地域の中においてもいろいろ検討するときにバックキャスティングとか,あるいはプログラム開発 とか,SDGs とか,キーワードが極めて重要になってくると思いますので,是非反映していきたいと思います。 それでは,関委員,よろしくお願いいたします。

【関委員】
ありがとうございます。5 ページの「公民館等の社会教育施設の機能強化」 の推進方策の 2 つ目の項目なのですけれども,「学校や公民館,図書館等の複合化・集約化などにより,地域コミュニティ全体の連携機能を強化する」とございますが,これは, 今,子供の数,間違いなく減っておると思うのですけれども,そういったものも視野に入 れて,場合によったらもう学校の統廃合など,地方の方ではかなり今深刻な問題だと思うのですが,そういったものも含めて学校の中に公民館とか図書館の機能を組み込んでいくような,本当の地域のみんなの学校という方向をある程度志向するものと理解してよろしいのでしょうかね。こういったものが本当に具体的に進んでいくのであれば,多分,今から先,学校を閉めるのではなく,もっと違う意味合いの施設として教育の中で活用していける方向が見えてくると思うのですが,この辺についてどこまで前向きに考えていくのか, その辺,もう少し議論してもいいのかなという感じを受けました。 以上でございます。

【清原分科会長】
ありがとうございます。大変重要な御指摘を頂きまして,これは正に,人口が急激に減少して学校の統廃合や社会教育施設の統廃合などが課題になっているところにおいては,それをなくしてしまうのではなくて,有効な意味で複合化・集約化を図るということはポジティブな方向だと思うのですけれども,必ずしもそういう選択肢だけが最善とは限りませんよね。
ですから,今,関委員が問題提起していただいたのは,一つの方向性としてこういうものはあり得るかもしれないけれども,これが最善というふう に決めつけたような記述はちょっと慎重な方がいいのではないかという御意見でしょうか。

【関委員】
そうでございます。いろいろな選択肢があると思います。それを議論していくのが大切なことかなと思っております。

【清原分科会長】
ありがとうございます。大変重要な御指摘で,極めてデリケートで, 本当に都市事情・自治体事情によって選択肢は多様な方がいいのであって,全てが複合化 ・集約化することで最善ではないかと思いますので,この辺の記述についてはちょっと慎 重に,また皆様の御意見も承りながら,表現していきたいと思います。ありがとうござい ます。 それでは,続きまして,千葉委員,お願いいたします。

【千葉委員】
ありがとうございます。千葉です。
このレポートの内容については異論があるわけではないのですけれども,社会教育主事・社会教育士ということについて私は 全く知らなかったのですね,これまでそういう資格あるいはそういう方がいらっしゃると いうのは。我々大学や専門学校を中心とした高等教育機関では,今,教室を飛び出して地域で活動するというのはもう至極当たり前のことになっておりまして,社会課題の解決だとか,地域課題の解決に取り組む,そういう学生さんたちはたくさんいます。実際に卒業 研究で地域医療の研究をしていたり,あるいは,被災地の出身の学生たちが防災かるたを 作ったりとか,様々な事例があります。そういうような学生さんたちを是非この社会教育主事の方々の活動に何らかの形で関わらせていただくということが,人間的成長にもつながりますし,また,必要は発明の母だというところでは,そこでまた課題が見つかることによって学習意欲が湧いてくる,そういうことが期待できるんではないのかなと思います。
私の専門学校は「若きつくりびと」の育成というのが教育の目標なのですけれど,先ほど説明があった人づくり,つながりづくり,地域づくり,こういったことは私どもの教育 とも非常に合致しているところですので,是非そういう方たちが活動されている公民館で あるとか様々な施設と連携を取って活動をしていきたいと思いますので,是非高等教育機関の方にこういう学生の学びの場があるのだということを周知していただくことが重要か なと思います。 以上です。

【清原分科会長】
ありがとうございます。
本当に学生にとっても地域課題の解決というのは主体的に取り組むべき価値のあるものだと思いますので,大学・高等専門学校と生 涯学習・社会教育の出会いがもう少しエンカレッジされますように,そういう方向性を示 していければなと思います。ありがとうございます。 それでは,清水委員,お願いいたします。

【清水委員】
ありがとうございます。私は,6 ページの「今後重点的に取り組むべき 施策」の 2 番の「地域と学校の連携・協働の推進」というところで意見を述べさせていた だきます。 この 2 番の内容につきましては,我々PTA の役割というのが非常に重要であると考えます。特にここに書いてありますとおりコミュニティ・スクールというところにつきますが, 今日頂いております参考資料の 4 番のコミュニティ・スクールの参考資料,いろいろとデータが入っていました。実はこのコミュニティ・スクールにつきましては,非常にまだまだ地域的な格差があると思います。先進的に取り組んで見えるところもあれば,まだまだ浸透していないところもあるというところの中で,私たち PTA としても,ここをもう少し広く,たくさんの会員,全国の会員の皆さんに周知をしたいというところで,少し脱線い たしますけれども,我々PTA といたしまして,このコミュニティ・スクールについてもう少し一般の PTA の会員の方々に分かりやすく説明するために,今,簡単な動画を作成しています。これをまずは全国の特にまだまだ浸透していない地域の PTA の皆様方に広く御活用していただいて,コミュニティ・スクールがこういうことだということを分かりやすく 説明できるような,そのような周知を今後徹底的にしていきたいなというところを取り組んでいるところでございます。
すみません,少々話がずれましたが,一応意見でございます。 以上です。

【清原分科会長】
ありがとうございます。清水委員,それは,とても重要だと思うのですね。コミュニティ・スクールを,ある市が教育委員会・学校中心に進めていくという 矢印(方向性)だけではなくて,PTA の皆様がコミュニティ・スクールについて学んで, 我が地域ではコミュニティ・スクールがあった方がいいと思って,PTA の皆さん,あるいは保護者の皆様が一緒になって発意してつくっていくという方向性があってもいいわけで す。そのためにも知らないよりは知った方がということで,PTA の全国の組織として動画 も作られているということで,正に PTA を通した生涯学習を実践されていらっしゃるので はないかなと受け止めました。そういう意味で,私たちも生涯学習・社会教育を考えていくときに,大変重要な担い手として,組織として PTA の皆様を,清水委員が委員でいらっしゃるからというよりも,なぜいらっしゃるかということを考えて,例えばコミュニティ ・スクールに関する今日配付しております参考資料 4 の 2 ページに,地域学校協働本部にしっかりと保護者,地域住民・PTA・地域の青少年というふうにPTA が明記されているのですね。ですから,そういうことを通しましても,是非改めまして PTA というキーワードが地域の構成メンバーとしてはっきりと示されるようにしていきたいなというふうに受け止 めさせていただきました。ありがとうございます。

【清水委員】
ありがとうございます。

【清原分科会長】
それでは,牧野委員,大変遅くなって申し訳ありませんが,御発言 をお願いいたします。

【牧野副分科会長】
すみません,ありがとうございます。
事務局の方々も,私たちのこれまでの議論を案としてうまくまとめてくださって,感謝をしております。それからあ と,今日,皆さんの方からいろいろ具体的な修正案ですとか御提案いただいたので,またこれを反映していく必要があるかなと受け止めていました。 しかも,事前に少し打合せがあった上でこんなことを申し上げるのは申し訳ないなと思 いながら申し上げるのですけれども,少し全体の枠組みといいますか,この整理を出すと いうことにおいて,私も以前からですけれども,今,私たち自身が,世界的な課題を日常 生活で引き受けざるを得ない時代に生きているのではないかということは申し上げていたと思うのですが,特にここの「社会を取り巻く状況等」というところに,人生 100 年,人口構造の変化ですとか,Society5.0 という技術革新の問題,DX,あと新型コロナのことが 入っているのですが,更にやはり気候変動ですとかエネルギー問題ですとか,又は格差, 貧困さらに孤立という問題ですとか,まさに今回のロシアのウクライナ侵攻のような戦争ということが起こる時代になってしまったということも含めて,何か世界的な大きな変動 を私たちが直接影響を受けるような時代になってしまったのではないかと改めて思うのです。
しかも,ウェルビーイングが今回この第 11 期の分科会の大きな課題にはなっているので すけれども,そのウェルビーイングをどう捉えるか。例えば,いわゆる経済的な物の豊かさということを基本に考えていくということになるのか,それとも,それプラス,もっと 自由に物が言えたりですとか,また自分で決定できるということも保障できる,その意味でよりよい生を生きるというか,よりよい生活をということになるのかといったことにおいても,少し硬い言い方になりますけれども,何かある種の価値選択を迫られてしまう時代に生きているのではないかという印象があるのです。もう少し硬い言い方をすると,民主主義の在り方が問われているといいますか,そうしたことと生涯学習が切り離せないような状況になってきている。その意味では,民主主義という問題とウェルビーイング,それは私の感覚でいきますと,やはり全ての人々が社会参画をしつつ自己決定ができるとい うことが保障されていくという,そのための学びが保障されるということではないかとも思います。
今まで,全ての人々を一人も取り残さない,全ての人々のために機会を提供す ると言ってきたことを基盤にしながら,今度は,全ての人々が社会参画をしていくとか自己決定ができるというようなことへつなげていくというか,それを独りよがりになるので はなくて,お互いの関係性の中で自己決定をしつつ,それぞれがよりよい社会をつくっていくことがウェルビーイングにつながっていくのだというような議論をしていくといいますか,何かそのようなことがこれから必要になるのではないか,と思うのです。その意味ではフォーオール(For All)の上にバイオール(By All)という形で議論を重ねていけるようなもの,それを実現できるプラットフォームとして社会教育や生涯学習をどう構築する のか。そのときに,より具体的にある種,場としての在り方といいますか,そこに今日皆 さんが議論してくださったことが関わってくるのではないかと思います。何か全体の話をちょっと元に戻すような議論になってしまって申し訳ないのですが,そういう観点から, 一度,議論の整理の骨子の構造を考えてみたらどうかと思っていまして,その辺りでまた 皆さんの御意見等をいただければと考えていました。
すみません,大きな話になって申し訳ありませんけれども,以上です。

【清原分科会長】
いえいえ,大変重要なお話で,先ほど横尾委員も,その前提となる 状況の中に,例えば教育だったら具体的に GIGA スクールというのが鮮明に出されるべきだ とおっしゃったのですが,その横尾委員と,私,市長同士の付き合いもあったので,同じ感覚で,前期においては,やはりコロナ禍と災害多発があったので,正に「命を守る」と いうのがキーワードになったわけですね。
ところが,今,世界に目を見渡せば,侵略,侵攻,戦争というのがあり,世界的な気候変動だけではなくて,急激な物価高とか,本当に生活に困っていらっしゃる方がコロナのときにも増して顕在化しつつあるという,こういう中でいかにキーワードとしておっしゃった「学びを保障していく」かということは,戦後の社会教育の原点にも重なる,正に「学びの保障」,「学習保障」だと思いますので, そうした前提をしっかりと置きながら議論していくということは皆様と共有できるのではないかなと思います。
さて,まだもう少し時間がございまして,本日,萩原委員,宮城委員,長谷川委員も御 出席なのですが,今までの御議論をお聞きになっていて,何か更に御提案とか御質問があれば。ありがとうございます,手を挙げていただいて。長谷川委員,よろしくお願いいたしま す。

【長谷川委員】
すみません,議論,本当に多岐にわたっていて,どの話題をと思っていたところ,正に今の牧野先生のお話のところで,どう今回のペーパーを考えていくかというところの論点が結構クリアになった気がしました。
牧野先生の今の御指摘の捉え方というのは,ちょっと見直すべきところが出てくるので事務局の皆さんにはお手間かけるのですけれど,大賛成でして,といいますのも,やはり市民が学びというものをどう捉えるかということの捉え方の問題にもなってくると思うのですね。従来,学びというのは,何か目的があって,例えば職に就くために何かの技術を習得して,それはその技術を使うた めに学ぶというような,そういうどちらかというと手段として必要であるというところからの学びということがあったわけですけれども,ウェルビーイングを考えていくというときに,実はもう手段としてそこまで必然といいますか,喫緊の学ばなければいけないということがないとしても,学ぶということ自体を自身が行い続けるということで,やはりそこで自己効力的なものが生まれていってウェルビーイングの実現にもつながるということですとか,あと学び自体も,手段として捉えますと,必要な先人がつくった知識ということをいかに自分にインストールするかという,教えてもらうということが学びにどうしても構造としてなってしまうと思うのですけれども,これ,先生方がいる中で私ごときが言うのも何ですけれど,ピアジェが言っていました構成主義的学びというか,自分でゼロから,私,いつも大学なんかでも車輪の再発明をしろということをよく言っているのですけれども,つまり,車輪があるということを自分で先人の知恵を使って利用するということ は,それはそれで効率性を上げるわけですけれども,ゼロから車輪を再発明する手間は, 実は効率は悪いのですけれども,自分で車輪を発明するぐらいのことを,これ,車輪はどうでもいいのですけれども,自分でゼロから不格好でも何か知識をつくっていく,ゼロから自分で立ち上げてみるということを行うと,実はそこで,その状態では稚拙な車輪しかできないけれども,車輪の次を導けるようないわゆるイノベーションといいますか,その先に向かうような知見というものは,ゼロから再発明を行ったときに,そのモメンタムと いいますか,その大路が生まれていくというようなことがあると。
そういう側面で生涯教育も捉え直していくということには物すごく可能性があると思い ますし,ちょうど私が専門にしているデザインの領域も,これもちょっと以前も御指摘さ せていただいたかと思いますけれども,正にデザイン・バイ・ピープルという,専門家がデザインを――デザインというのは,これは広義のデザインで,今日の議論の中でも出て きておりますような例えばインクルーシブ的な考えを実践していくアプローチ。社会教育士のお話も,私も今日お話を伺って,全然存じていなくて,これはデザイナーの業界もこれを皆取るべきだというふうにちょっとプロモーションしなきゃと早速思ったのですけれ ども,そういった知識を専門家が持つのじゃなくて,社会の全ての市民の皆さんがデザインのエッセンスのことを学ぶことでよりよい社会をつくっていけるという意味で,デザイ ン・バイ・ピープルということがこれからのデザインだというふうにデザインの業界でもくしくも今ちょうど言われているということとも合致しますし,正にそこの学びをいかに保障するかというところの視点が今回のペーパーの中にも盛り込まれると大変すばらしいものになるなということで,すみません,最後の牧野先生のお話にちょっと乗っかるような形になってしまうのですけれども,私からの意見は以上となります。

【清原分科会長】
ありがとうございます。長谷川委員の御発表のときに「デザイン」 をキーワードに伺って,それは本当に創発的なもので,何かのためではなくて,共にデザ インをする中から生まれてくる妙味というのも御説明いただいたところですので,そうし た今おっしゃってくださったようなことも反映していきたいと思います。 それでは,萩原委員,よろしくお願いします。

【萩原委員】
ありがとうございます。私,3 月 31 日をもちまして立教大学を定年退職 して,今,日本で唯一のというか,独立行政法人国立女性教育会館の理事長になりました。 その視点から申し上げますと,社会教育を進める,特に法律的には女性の教育を進めるということになっているのですけれども,そういう館の理事長になった点から言うと,この中には,男女平等であるとか男女共同参画であるとかそういったものが全く入っていないのを,どうしようかって今ずっと考えておりました。誰一人取り残さない SDGs の前文には, ジェンダー平等なくして目標達成なしというふうに明記されてもいますので,何らかの形でその文言は必要になってくるのではないかなと思っております。 それから,以前,澤野委員だったと思うのですけれども,社会教育主事に女性が少ないというような発言があったような気がするのですね。やはり社会教育主事あるいは社会教 育士の男女のバランスあるいはその方たちの持っているジェンダーバイアスが,社会教育であるとか生涯学習,そういったところに反映されてしまったときの問題点というのもございますので,是非,どういうふうな形で入れ込むか分かりませんけれども,今,非常に 社会的にも重要なポイントであるジェンダー平等あるいは男女共同参画といったものをどこかに入れ込むような方向でやっていただきたいなというのが要望というか,ずっと考え ていたことです。 ありがとうございました。清原さん,よろしくお願いします。

【清原分科会長】
はい,ありがとうございます。もちろんです。と申しますのも,この生涯学習分科会の委員,臨時委員には,本当に女性が多くいらっしゃいまして,当たり 前のように男女共同参画になっているものですから,あえて,何ていうのでしょうかね, 言葉は注意深く言わなきゃいけませんが,あえて見落としていた感があります。私も今, 目が覚めました。幸いにも,男性であれ,女性であれ,平等に,私も分科会長を務めさせていただいていて運営もそのようにしておりますが,では地域社会の生涯学習・社会教育 の現場はどうかということをはっきりと見たとき,萩原さんが国立女性教育会館の理事長になられたからではなくて,そのことだけではなくて,私たちがしっかりとその視点で取り組んでいることは,言葉がなければそれは欠けた視点になりますので,しっかり「男女 平等参画」,「ジェンダー平等」という言葉を使うかどうか別にしても,ちゃんと地域社 会の中で LGBT の皆様も含めてしかるべき公平・平等が図られるべき方向で生涯学習・社会 教育を進めていくと,これを皆様との共通認識にさせていただければと思います。よろし いでしょうか。 それでは,最後に,宮城委員から手が挙がりましたので,御発言をお願いいたします。

【宮城委員】
若狭公民館の宮城です。公民館を運営している現場の立場,視点からで す。
これまでの議論も興味深くお話を伺わせていただきました。いろいろ頭の中でごちゃ ごちゃ整理できないまま入ってきているようなところもあるかもしれませんが,御了承く ださい。牧野委員,そして長谷川委員のお話に引き続いてというか,現場のお話をしたいなと思います。 この生涯学習・社会教育の基盤整備,そして制度設計についてどのようにしていくかということでの御議論もある中で,現場でどういう形で落とし込めるのかなということを考えておりました。牧野先生からお話あったように,やはり前期と今期,社会状況は変わっ てきていますし,いろいろと考えるべきことや,ここで議論すべきことは変化しているのかなと思ったりもするところです。そこで,やはり重要なところは,社会教育主事や社会教育士の人材の一層の活用というところと関わってくると思います。現場の人たちに落と し込むことの難しさというか,体系的に学んで,そして実践していくということを社会教 育主事の方もされてきているとは思うのですが,社会状況に応じてアップデートすることの難しさを感じております。やはり社会状況が変わっていく中でアップデートもしなければならないですが,長谷川委員からもありましたように,教育を手段としてではなくて学ぶこと,その本質,そして民主主義ということについてどういうふうに捉えるかということも含めて,改めてちょっと掘り下げた議論が必要であろうということを感じました。
その中でアップデートするというのは仕組み化はできることかもしれませんので,その辺りもちょっと議論していけたらなということを思ったというところです。 雑ぱくな感想みたいになりましたが,以上です。ありがとうございます。

【清原分科会長】
宮城委員,ありがとうございます。
やはり現場にしっかりと,生涯学習分科会が空理空論を議論しているのではなくて,地に足の着いた皆様の現場の声を踏まえた取組について提案をし,それを受け止めていただくような,そういう着実な仕組みをつくっていくということも大事だと受け止めました。
それでは,本日,骨子案を基にいろいろな御意見を頂きましたけれども,事務局を代表 して,社会教育振興総括官に就任された安彦さん,皆様の御意見を聞いて,何か受け止め 方をお話しいただけますでしょうか。

【安彦社会教育振興総括官】
ありがとうございます。本日,ちょっと途中遅れて参り ましたけれども,皆さんの意見を聞かせていただきまして,これまで議論していったものの骨子イメージのところでございますが,大変示唆に富んだ御意見を頂いたかと思ってお ります。こちらの方,また再度まとめ,イメージをブラッシュアップしまして,また皆様 方の方に御議論いただければと思っております。 生涯学習分科会のところで議論された,これからの時代にとても大事な視点がたくさん 含まれておりまして,ICT の時代においてどういった形でそういったものを活用していくのか,社会教育の中でもこれからこういった取組をするとこういった効果が出るのかというのをできるだけ見える化する,そういったときにデジタルというのは非常に役に立つということで,先ほど LMS の話が出ましたけれど,皆さんが学んだことは,当然個人情報は しっかり守りながらですけれども,データがどんどんどんどん取れてきて,ほら,こんな成果が出ているじゃないかというのを地域の人たちと共有していくことで,では,もっとこうしよう,ああしようというような取組が,どんどんサイクルが,新しいデジタルの力も使いながらやっていく。そういったものが実際,人と人とのつながりをどんどん深めて いって,社会教育,また生涯学習が充実していく,そういった社会というのが非常に明る い日本の未来を築いていくのではないかと思いましたので,また引き続き皆さん方に議論いただければと思っておりますので,よろしくお願いいたします。

【清原分科会長】
ありがとうございます。 それでは,本日の審議はこの辺りとしたいと思います。 本日頂きました皆様の多様で率直な御意見を踏まえまして,次回以降に向けて,また事務局において報告書の素案の作成を進めていただきたいと思います。 本日の議題は以上になります。 事務局から連絡事項をよろしくお願いします。

【中村生涯学習推進課課長補佐】
事務局から,生涯学習分科会の今後の審議予定につ いて,資料 4 を御覧いただきたいと思います。
次回の会議日程は 5 月下旬ではなく 6 月上 旬に変更してございますので,改めて御案内いたします。6 月 3 日(金曜日)15 時から 17 時に次回(第 118 回)生涯学習分科会を開催し,報告書の素案を御提示の上,議論いただきたいと考えております。その後,6 月 30 日(木曜日)14 時から 16 時に第 119 回生涯学習分科会を開催し,報告書の取りまとめに向けた議論を頂きたいと考えております。 事務局からは以上でございます。

【清原分科会長】
ありがとうございます。 本日は,誰一人も取り残さないだけではなくて,しっかりと「ジェンダー平等」の視点も皆様と確認することができました。私たちとしましては,是非,今期の生涯学習分科会の委員の皆様お一人おひとりのそれぞれの御専門と現場,それを踏まえた御意見が可能な限り最大限反映された報告書をまとめていきたいと思います。皆様,この分科会で御発言いただくだけではなくて,何か気づかれましたら事務局まで御遠慮なくメールで,御意見 や,この点について調べてほしいとか,こういうような事例があるとか,そういうことをお寄せいただくと,私たちの報告書が肉づけされていくことになると思いますので,皆様のコミュニケーション,よろしくお願いいたします。 それでは,本日の生涯学習分科会はこれにて閉会いたします。御出席の委員の皆様,長 時間にわたりまして熱心な御参画ありがとうございます。また次回,よろしくお願いいた します。

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