生涯学習分科会(第116回) 議事録

1.日時

令和3年3月25日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省東館5階 第5会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. 報告書骨子案について
  2. 障害者の生涯を通じた多様な学習活動の充実について
  3. コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議最終まとめについて
  4. その他

4.出席者

委員

(分科会長)   清原分科会長
(副分科会長) 牧野副分科会長
(委員)    内田委員,中野委員,萩原委員
(臨時委員)   金子委員,澤野委員,関委員,薗田委員,千葉委員,辻委員,長谷川委員,松本委員,宮城委員,山内委員,横尾委員

文部科学省

(事務局)出倉大臣官房審議官,根本社会教育振興総括官(併)地域学習推進課長,神山生涯学習推進課長,郷家地域学習推進課地域学校協働活動推進室長,若林男女共同参画共生社会学習・安全課室長補佐 他

5.議事録

【清原分科会長】

 皆様,こんにちは。清原でございます。
 ただいまから第116回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。
 本日は,年度末の大変御多用のところお集まりいただきまして,まことにありがとうございます。文部科学省近くの桜も咲き始めています。
春も近づく中となりましたが,新型コロナウイルス感染症はまだまだ油断ができません。そこで感染拡大を防止するため,ウェブ会議方式にて開催をさせていただきます。
 本日は,議題1にありますように,前回までの議論を踏まえ,今後の審議のまとめに向けて,事務局において報告書骨子イメージ案を作成いただきましたので,これについて議論を行っていただくことが主な議題となります。
しかしながら,議題の審議に当たりましては,議題2,議題3の内容を踏まえておくことが適当だと考えられますので,まず事務局から議題2と議題3について御報告を頂きまして,質疑応答の時間を設けたいと思います。
その後,議題1の報告書骨子(案)について事務局から御説明を頂き,それに関する意見交換を行っていきたいと考えております。
 なお,本日も,ユーチューブ上で報道関係者及び一般の方々の傍聴を受け入れております。
報道関係者等より,会議の全体について録画を行いたい旨申出がありまして,許可しておりますので,御承知おきください。
 次に,事務局から,ウェブ会議運営に当たっての留意点について説明をしていただき,配付資料の確認もしていただきます。
 それでは,神山課長お願いいたします。

【神山生涯学習推進課長】 
 それでは,本日,ウェブ会議方式にて開催させていただいておりますので,御不便もおかけするかもしれませんけれども,何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
 そのウェブ会議を円滑に行う観点から,4点ほどお願いをさせていただきます。
1点目は,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいよう,はっきり御発言を頂きたいと思います。
2点目,御発言の都度,お名前をおっしゃっていただきたいと思います。
3点目,御発言時以外は,マイクをミュートにしていただきたいと思います。
4点目,発言に当たっては,手を挙げるボタンを押していただきまして,御発言後はボタンを解除いただければと思います。
お手数をおかけいたしますが,御協力のほどよろしくお願いいたします。
 続きまして,資料の確認をさせていただきたいと思います。
議事次第及び資料1から資料4までの資料と,更に参考の資料としまして,参考資料1から参考資料4を配付しておりますので,御確認をいただければと思います。
 事務局からは以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。
 それでは,まず議題2の「障害者の生涯学習の推進を担う人材育成の在り方検討会」について,このたび報告書が取りまとめられたとのことですので,障害者の生涯学習に関するこれまでの検討状況もあわせて,事務局の若林男女共同参画共生社会学習・安全課課長補佐から御報告をしていただきます。
 では,若林補佐,よろしくお願いいたします。

【若林男女共同参画共生社会学習・安全課長補佐】 
 失礼します。それでは,障害者の生涯を通じた多様な学習活動の充実について,資料2-1,2-2,2-3に基づき,説明をさせていただきます。
 資料2-1を御覧いただければと思います。
2ページ目にございますが,障害者の生涯学習をめぐる社会情勢の変化,今回,報告書を取りまとめるに当たって,まずはその背景となる大きな動きについて御説明をさせていただければと思います。
 政府・文部科学省の取組といたしまして,平成26年に障害者の生涯学習機会の確保を含む障害者の権利条約に我が国は批准しております。
こうしたものを受け,平成28年に国や自治体における障害者に対する合理的配慮の義務化を含む障害者差別解消法が施行され,平成29年,当時,松野文部科学大臣の時代になりますが,特別支援教育の生涯学習化に向けた大臣メッセージを発出し,文部科学省においても障害のある方に生涯学習を進めるための担当の室を設置しております。
 次に,3ページ目を御覧いただければと思います。
障害者の生涯学習に関する現状と課題でございますが,障害者の学校卒業後の状況は,全体の高等教育進学率が今,8割を超える中,特別支援学校の卒業生の高等教育機関への進学率というのはまだ2.2%にとどまりまして,特別支援学校の中でも卒業生の9割を占める知的障害のある生徒さんについては0.5%にとどまっております。
 こういった点について,保護者の方等々からは,学校卒業後に学びや交流の場がなくなってしまうことに対する懸念であったり,あとは現に障害者の生涯学習に従事されている方からは,障害がある方はその特性からゆっくり成長すると。
にもかかわらず,学ぶ機会が障害のない方に比べて非常に短くなっている,学び続けることができていないといった声も聞かれるところでございます。
 もう一つ下の枠囲みになりますが,障害者本人の意識やニーズがどうだったかという点についても,平成30年度に文部科学省が行った調査でございますが,障害者の生涯学習の機会が充実されることは重要だと思うと答えた当事者の方は8割を超えており,ただ一方で,一緒に学習をする友人や仲間がいないですとか,学ぶための社会の理解ですとか,学ぶための場がないという声もたくさん頂いておる。つまり,ニーズと供給がマッチしていない状況がある。
 資料の右側になりますが,生涯学習に従事する,サービスを提供する側の公民館等で,実際,障害者の学習活動の支援に関わった経験の有無を調査したところ,「ない」と回答された数が85%を超えておる。
下になりますが,障害者の学びの支援を継続するための課題としては,予算の不足ですとか資源が不足しているという声もあります。
 こういったものを集約しますと,左下になりますが,まず課題として,1点目が,当然,障害のある方が学び続ける生涯学習の機会が現在不十分で,そういった機会の充実が必要だということ。
 2つ目になりますが,生涯学習を提供する側の地方公共団体においては,まだそのノウハウや実施体制が不十分であるという現状がある。
 3番目になりますが,既にNPOですとか大学,多様な主体が障害者の生涯学習に関わっておるのですが,資源,特に予算等の資源の面から,その活動をしっかりと持続させていくことであったり,他の団体に広げていく点に課題があるということが分かっております。
 こうしたことを踏まえて,文部科学省では,地方公共団体がNPOを含む民間団体と連携した持続可能な事業実施体制を整備することであったり,あとは障害に応じた学習プログラムの開発や,そもそもの担い手の育成というものが重要な課題だというふうに受け止めておるところです。
 次の4ページ目を御覧ください。今回御報告させていただく報告に先立ちまして,平成31年3月に障害者の生涯学習の推進方策について検討が行われ,その結果をまとめております。
 ここでの詳しい説明は割愛しますが,この会議でまず目指す方向性としては,当然のことながら,誰もが,障害の有無にかかわらず共に学び生きる共生社会を実現していこう。
2つ目に,障害者の主体的な学びの重視,個性や得意分野を生かした社会参加の実現を目指す。この理論自体は,今回の有識者会議においても全く同じ考えでして,今回の有識者会議においては,この会議で議論された中でも更に追加的に議論が必要な点について検討を行ったということでございます。
 次に,5ページ目を御覧ください。文部科学省では,学校卒業後における障害者の学びの支援に関する実践研究事業を継続しております。
具体的には,各地域において様々な実施主体で障害者の生涯学習に取り組んでいただくということ,また点と点を面にするための地域コンソーシアムの形成ですとか,あとは全国を幾つかのブロックに分けたコンファレンス,実践研究集会の実施などでございます。
 こういったものも目指しながら,先ほど言ったような目指すべき社会に一歩でも近づけるよう取り組んでいるところです。
 次の6ページ目を御覧ください。今回,御報告させていただきます障害者の生涯学習の推進を担う人材育成の在り方検討会についてでございます。
 先ほど御説明させていただいた前の有識者会議の報告においても,障害者の生涯学習を担う人材をどのように育てていくのか,その人材にはどのような専門性が必要なのかといったような点が,更に検討すべき事項としていただいておったところです。
 そうしたことや先ほど御説明させていただきました現状の課題を踏まえまして,主な検討事項としては,1点目は,これまでの文部科学省の取組の事業における障害者の生涯学習を担うコーディネーターの役割に関する研究成果の検証。
 2点目は,これまでの事業を踏まえた障害者の生涯学習プログラムの事例の紹介や,実際に支援を行う際の具体的な役割を明示し発信する。つまり,各自治体が障害者の生涯学習を新たに始めようと,更にブラッシュアップしようといった際に,参考になるような情報をしっかりと集約して発信すること。
 3点目に,障害者の生涯学習推進を担う人材,コーディネーター等が身につけるべき専門性や具体的な役割の検討。
 4番目に,現在,社会教育に携わっている方々の活用も含めた,障害者の生涯学習担う人材の育成や配置の具体的な方策についての検討でございます。
 下の委員の御協力を得て,もう一つ下の審議経過のとおり議論したところです。
 次に,7ページ目を御覧ください。ここからが有識者会議の議論のまとめ,報告の概要でございます。
 上の現状と課題,検討事項につきましては,先ほど御説明したとおりです。
 1ポツから説明させていただきます。まず,「共生社会のマナビ~障害者の生涯学習支援入門ガイド・事例集~」,先ほど言ったような新たにスタートする際に参考になるような情報を,先ほどの有識者の先生方の御協力を得ながら取りまとめたものでございます。
本日は資料2-3として配付しておりますので,後ほど御覧いただければと思います。具体的な考え方ですとか,実際に取組を行う際の参考となるような情報を集約したものになっております。
 次に,2ポツでございます。障害者の生涯学習推進を担う人材が身に着けるべき専門性や役割の整理を出しました。障害者の生涯学習を担う人材に想定される役割として,大きくコーディネーターですとか事業推進者と呼ばれる,全体を取りまとめて障害のある方のニーズと地域の様々な支援をうまくつないで全体を設計する方。
次に,講師,指導者,学習支援者,例えば特定の分野の専門性を持たれた講師や指導者,あるいは障害者の学び自体を支援するような方々,そして広くボランティアですとか学生さんですとか,学びを支援するサポーター,大きくこの3つのカテゴリーに分け,それぞれ必要な資質であったり能力を検討したところでございます。
 特に3者共通して求められる意識や理解としまして,当事者中心の生涯学習の視点,障害のある方のニーズであったり,障害のある方がふだん困っていることがまず学びの起点になるだろうと。
それに対して新たな学習を始めるという視点でございます。飽くまで健常者の方が想定する困り事ですとか,そういったものではなく,当事者中心の考え方というものがまず大事だろうと。
 次に,障害に関する基礎的な理解,これは当然,障害の種類ですとか程度に対する基本的な理解というものが必要だろうと。これらに加えて特に,真ん中になりますが,事業推進者,コーディネーターについては,先ほども言ったように地域で様々活躍,要は活用できるような資源があると。
 具体的には,実際に活動しているようなNPOですとか,あとは生涯学習というより,例えば学校教育に従事している特別支援学校の関係者ですとか大学の関係者,あるいは社会教育の様々な資源というものをしっかりと把握して,必要な資源をうまくコーディネートしていくというものが,先ほどの2つの視点や理解に加えてコーディネーターには求められるのではないかというのが,今回の検討の整理でございます。
 これは総論として考えられることで,実際の報告書の中には,右下でございますが,教育委員会ですとか公民館,図書館それぞれの実施機関ごとに必要とされるような資質や考え方,身につけておくべき知識も報告でまとめております。こちらについては資料2-1の9ページにございますので,後ほど御覧いただければと思います。
 次に,8ページ目を御覧ください。実際に先ほど言ったような資質をしっかりと発揮していただくために必要な方策として,6点まとめてございます。
 1点目が,障害者の生涯学習の研修機会の充実。これは障害者に関わらず様々な生涯学習を担う方々について,障害者に対する理解をしっかり身につけていただくものでございます。
 2点目が,社会教育主事講習の学修内容の充実。
 3点目が,社会教育士制度等による担い手育成。社会教育を担う方々には,当然,障害者の生涯学習という視点も身につけていただきたいというものです。
 4点目が,特別支援学校等教員に期待される役割。特別支援学校の学校教育と生涯学習をしっかりつないでいっていただきたい。
 5点目に,大学の社会教育主事養成課程の充実。
 6点目が,最後の当事者中心の生涯学習を実現する上でも,障害者本人が,担い手ですね,生涯学習の提供側になるような仕組みの検討が重要だろうというのが結論でございます。
 最後に,4点目としまして,人材育成に関わらず,もう少し広い視野で見たときに求められる取組として5点ございます。
 1点目が,社会教育施策における障害者の生涯学習の重点化や明確化。例えばということですが,社会教育法等に障害者の生涯学習についてしっかりと位置づけるという御意見もございました。
 2点目に,推進計画の策定と推進状況の確認。こちらは制度というよりは,例えば国の教育振興基本計画等々においてもしっかりと位置づけ,その進捗状況を把握していくべきではないかという点。
 3番目が,先ほどと同じく学びを担う人材の育成・確保。
 4番目が,モデル事業,先ほど言った文部科学省の事業においても,今はモデル的に様々な試行を新たに開発していただくというフェーズですが,どこかのタイミングで,例えば補助事業,自治体が基本的には行うものを補助するという発想の転換も必要なのではないか。
 最後,5番目に,障害者の生涯学習や共生社会に関する啓発の充実。こちらについては,当然,健常者の方も含めて,障害者の生涯学習の重要性というものを今後もしっかりと啓発していく必要があるのではないかという御意見を頂いております。
 9ページ目は,先ほど言ったように,各実施機関ごとに必要とされる資質・能力,10ページについては事例集の概要になりますので,後ほど御覧いただければと思います。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 御説明ありがとうございました。
 それでは次に,「議題3のコミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議」について,このたび最終まとめが取りまとめられたとのことですので,事務局の郷家地域学校協働活動推進室長さんから報告をしていただきます。
 では,よろしくお願いいたします。

【郷家地域学校協働活動推進室長】 
 事務局の郷家と申します。よろしくお願いいたします。
 コミュニティ・スクールにつきましては,地域学校協働活動との一体的推進を図ることによりまして,地域とともにある学校づくり,そして学校を核とした地域づくりを進めて,未来を担う子供たちの成長を地域全体で支える社会の実現に資するものというふうに考えております。
 従いまして,コミュニティ・スクールというものは学校教育のみならず,生涯学習や社会教育の領域にも大きく関わるものでございますので,今月の14日にこれを公表したんですけれども,14日には初等中等教育分科会においてこの最終まとめを御報告させていただきまして,本日,生涯学習分科会におきましても報告をさせていただくという形としておりますので,よろしくお願いいたします。
 資料3-1,最終まとめの概要を御覧いただいているところでございます。
 コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議につきましては,平成29年の地教行法の改正法附則におきまして,一番上のところに経緯とありますけども,法施行後5年を目途として,学校運営協議会の活動の充実及び設置の促進を図る観点から,学校運営協議会の在り方について検討を加えることとされておりました。
 このため,令和3年4月に松田恵示東京学芸大学理事・副学長を座長としました検討会議を設置いたしまして,計10回にわたる議論を行いました。その上で取りまとめていただいたものでございます。
 本日は資料3-1を中心に説明いたしますけれども,資料3-2の方に本文がございますので,適宜御覧いただければと思っております。
 まず,1番目のコミュニティ・スクールに関する現状と2番目のコミュニティ・スクールの成果と課題でありますけれども,コミュニティ・スクールは保護者や地域住民等が学校運営に参画する仕組みとしまして,平成16年の地教行法改正により制度化されました。今年度で17年が経過しております。
平成29年の地教行法改正によりまして,学校運営協議会の設置が各教育委員会の努力義務となりました。
これによりまして,コミュニティ・スクールの導入数は飛躍的に増加しております。
 右の表を御覧いただければと思いますけれども,平成17年の当初は,初め全国で17校でスタートしておりまして,その10年後,平成26年には1,919ということで,約10年かけて2,000ほど伸びたということであります。
その一方で,平成29年の法改正以降の伸び率を見ていただきますと,毎年2,000校伸びているということでございます。令和3年5月時点のコミュニティ・スクールを導入している学校数が1万1,856校,導入率でいいますと,33.3%ということとなっております。
これは学校運営協議会の設置を各教育委員会の努力義務とした成果と,我々は判断しているところでございます。
 その下でありますけども,コミュニティ・スクールにつきましては,社会に開かれた教育課程の実現に向けた教育課程の充実・改善,あるいは特色ある学校づくり,学校における働き方改革等,学校運営に大きな成果が見られています。
今回のコロナ禍においても,地域連携・協働による学校運営の重要性が一層認識をされているところであります。
 ただ,課題もございまして,課題としましては,コミュニティ・スクールの導入が全学校種で100%近い自治体もございますけれども,全く導入してない自治体も一方であるということで,その差がちょっと大きくなっているということでございます。
また,導入をしたんですけども,十分な協議がなされていないということで,形式的な学校運営協議会になっている,報告事項が中心になってしまっているという事例も伺っております。
 こうした現状と課題を受けまして,これからのコミュニティ・スクールの在り方,3番目でございますけれども,まず現行の制度の評価でありますけれども,現行制度は御案内かもしれませんが,学校運営協議会には3つの権限がございます。
 1つは,学校運営に関する基本方針を承認すること,2つ目は学校運営について教育委員会又は校長に意見を述べること,3番目としまして教職員の任用に関し教育委員会に意見を述べること,この3つの権限があるんですけれども,この権限についてや,先ほど申しましたけども,コミュニティ・スクールの導入を努力義務としたこと,あるいは29年法改正で学校運営への必要な支援に関する協議というものが新たに加わったんですけども,この評価につきましては改正以降導入数が飛躍的に伸びている。さらには学校運営の改善,働き方改革にも資している。
要するに地域学校協働活動との連携も進むということで多大な成果があるということで,特段さらなる法改正は必要ないというふうに結論を出しているところでございます。
 その一方で,導入促進上の課題や運営上の課題としまして,具体的には,例えば学校評議員会との混同とか,先ほどの3つの権限というものを導入していない学校運営協議会が見られるといった点,あるいは先ほど申しました形式的な会議に陥っている。
又は学校の支援活動そのものがコミュニティ・スクールだというふうに混同しているということがありますので,この課題については関係者のさらなる理解促進が必要だというふうにまとめているところであります。
 その上で,その下の囲みでございますけども,これからのコミュニティ・スクールの在り方としまして,関係者の十分な理解と相互の信頼関係の中で,教育長のリーダーシップの下,教育委員会が主体的・計画的に全ての学校へのコミュニティ・スクールの導入を加速し,国はその取組を支援。地域との連携協働により,対話と信頼に基づく学校運営を実現という形で,今後の在り方を示しているところであります。
 それを受けまして,取組の方向性でございます。下に3つほど挙げています。
 1つは(1),まだ導入率が33.3%でありますので,量的拡大ということで,導入を促進していこうということでございます。
 1つ目の丸,教育委員会による導入計画の策定ということで,各教育委員会に努力義務が課されておりますので,しっかりと計画をつくって,導入を進めてもらいたいということであります。
 あるいは2番目の丸でありますけども,類似の仕組みを取っているところもありますけども,これにつきましても段階的な移行をしっかり促進していく,支援していくということでございます。
 (2)コミュニティ・スクールの質的向上ということで,先ほど17年経過して少し形骸化・形式的なものも見られているということですので,それをしっかりとしたものにしていく一つとしては,地域学校協働活動推進員の配置促進・機能強化ということで,これまで社会教育法に位置づけられているものでございますけれども,この方をしっかり学校運営協議会の委員として位置づけて,配置を促進,機能を強化していく。
 あるいは市教委がこれから取り組むことに対して都道府県の教育委員会がしっかり伴走体制をつくって,支援していくということが言われているところであります。
 3番目の丸ですけども,最もよく意見が出てくるのは,適切な人材がいない,委員としての適切な委員がいないということがありますので,その委員の人選というものが重要であるということも指摘しているところでございます。
 (3),これは社会教育・生涯学習との関係にも関わってくるところでありますけども,コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な推進でございます。
 こちらは本文の方では22ページにありますけども,両取組の相乗的な連携・協働の推進が必要であるということをまず言った上で,具体的には学校と地域が連携・協働した教育活動により,放課後の学習支援等,多様な課題への対応を推進していく。あるいは子供たちの地域社会への参画や大人の学び等,地域課題解決のプラットフォームとしての活用を進めていくということでまとめているところであります。
 最終まとめの本文を見たいと思いますので,ちょっと事務局お願いしたいんですけども,資料の11ページを画面に出せるでしょうか。ここはコミュニティ・スクールの意義・役割が書かれているところですけど,丸の4番目のところを見ていただければと思います。
 「さらに」からのところでありますけども,「さらに,学校運営協議会は,保護者や地域住民等の意見も踏まえた上で合意形成が得られる場なので,保護者や地域住民等の当事者意識や参画意識を高め,学校や子供たちを核とした保護者や地域住民等による新たなコミュニティーづくり,民主主義社会の基盤強化にも資するなどその効果の広がりが期待できる制度でもある」という形で,学校運営協議会,コミュニティ・スクールの社会教育・生涯学習への意義・役割というものが記載されております。
 更にその下,「加えて」とありますけれども,「保護者や地域住民等が学校運営協議会やそこで行われる協議に基づく様々な活動に主体的に参画することは,それ自体が生涯学習・社会教育であり,コミュニティ・スクールは,保護者や地域住民等がこれまで培った知識や技術を学校や地域の課題解決に活かせる自己実現の場,又は仲間との生きがいづくりの場にもなっている」ということで,学校運営のみならず,大人の学び,生涯学習・,社会教育にも大きく資するということを表現させていただいているところでございます。
 概要に戻っていただければと思います。4番目,最後ですけど,コミュニティ・スクールの推進ための国の方策ということで,下に3つほど丸が挙がっております。
教育委員会の主体的・計画的な取組,活動への支援ということで,地域学校協働活動推進員の配置を促進していく,常駐的な活動ができるように支援していく,あるいは子供教室とか家庭教育支援等の教育活動を充実するための支援をしていくということでございます。
 2番目の丸,教育委員会の伴走支援体制構築の支援ということで,都道府県教育委員会にアドバイザーの配置を促進していく。
あるいは国が委嘱していますCSマイスターの派遣等による,まだ導入をしてしないところ,あるいは形式的になってコンサルが必要なところにつきましては,プッシュ型の支援をしていく,あるいは研修を支援していくということでございます。
 最後の丸でありますコミュニティ・スクールに関わる関係者の理解促進ということで,今回,教育長のリーダーシップということを強く言っておりますけども,教育委員会のみならず,それを後押しする首長の理解促進がとても大事だということで,首長の理解促進ということも大きく表現をさせていただいております。
さらにはフォーラム・広報の実施,コミュニティ・スクールの実態把握等ということで,これからの国の方策を提言させていただいているということでございます。
 この検討会議を受けまして,コミュニティ・スクールの導入がしっかり加速して,学校運営の改善に資するものとなるよう,推進方策の着実な実施が我々に求められておりますので,頂いた具体的な取組や手段を受け止めさせていただきまして,今後の教育振興基本計画等の議論も踏まえまして,実施に向けて取り組んでいかなければいけないと思っているところでございます。
 以上でございます。

【清原分科会長】 
 郷家室長さん,ありがとうございました。
 それでは,ただいま御報告を頂きました「議題2,障害者の生涯を通じた多様な学習活動の充実について」,そして「議題3,コミュニティ・スクールの在り方等に関する検討会議最終まとめについて」,皆様から質疑を頂き,意見交換をしていきたいと思います。
 御質問,御意見のある方はどうぞ挙手ボタン,手を挙げるボタンを押してください。こちらから指名をさせていただきます。どうぞ。よろしいですか。
 それでは,ただいまから申し上げる順番で御発言をお願いいたします。
まず,辻委員,関委員,松本委員,宮城委員,そして澤野委員,牧野委員の順番でよろしくお願いいたします。辻委員,どうぞ。

【辻委員】 
 御報告ありがとうございました。私は,障害者のことで発言をさせていただきたいと思います。
 冒頭で,知的障害の子供たちが大学に進学できていないというデータを頂きました。そういう状況の中で,公民館で青年学級をというふうに私は流れてほしくないと思っていまして,知的障害のある人たちも大学で4年間学ぶという道を是非開いてほしいと思っております。ところが,知的障害の方の場合,知識が問われる入試になかなか合格できないということがございます。また,授業にもついていけないということもあるかと思います。
 そういう状況の中で,ちょっと私,障害児教育の方から聞いただけの話なんですが,スウェーデンなどでは同じように大学で知的障害のある人たちも学ぶ。
それは日本でいうと聴講生のような形で学んで,相当数の単位というか,障害児用の単位の評価の仕方があるようで,そういう単位を積み重ねていくことによって,何がしかの資格が取れるようにする仕組みがあると聞きました。具体的には,教育学部に入学して,障害のない人は一般の教員免許を取っていくんだけれども,知的障害のある子は特別支援学校のアシスタントのような仕事ができるという仕組みがあると聞いております。
 だから,知的障害があるから大学は無理,社会教育,公民館でというのではなくて,是非大学でじっくり学ぶ,青年期を大学で過ごすという道を開いていただきたいと思っております。
 その絡みで申しますと,特別支援学校の高等部において,進路指導というのが物すごく視野が狭いと思っております。
一般就労するか,作業所に行くかという形,そして直接働くための能力を磨くということに傾斜しがちであって,学校を卒業した後に生涯学習というものがあるんだよとか,場合によっては大学で学ぶことができるんだよとか,そういうことが余り教えられていないと思います。
 したがって,特別支援学校の高等部においてどういうふうなことを生徒に教えていくか,ここでいえば,生涯学習という学び方があるんだよということを教えていただくということをしていただければいいと思っております。
 そして3点目は,公民館で障害者のための社会教育をするというと,これまで障害者青年学級ということでやってまいりました。
それもまだまだ普及が足りませんけれども,私がちょっと経験したことは,これは身体障害の方なんですけれども,一般のサークルに入ろうとしたところ,断られたという話を3件ほど聞いたことがあります。
例えば俳句をやりたくて俳句のサークルに入ろうとしたんだけれども,車椅子の人が入ると,俳句をつくるための旅行に行きづらくなるので困りますという感じの排除というものがあると聞いています。
 したがって,いわゆる狭い意味での社会教育で障害者のためのサークルや学級をつくるということに加えて,一般のサークルに障害のある人たちはどうやれば入れるのかということを考えていく必要があると思っています。
 今,大学と特別支援学校高等部と公民館の話をさせていただきましたけれども,これらをコーディネートしていく,アドバイスしていくという,今回も御提案を頂いている障害者生涯学習の専門家を育てるということは,大変大事なことだと思っています。3つのパターンが紹介されていましたけれども,そのうちの1つ目の事業推進者という者の力量が,大学に働きかけ,特別支援学校高等部に働きかけ,公民館の一般の人たちに働きかけられる,そのような専門職を養成していただけると有り難いと思っています。
 長くなってすみません。

【清原分科会長】 
 いいえ。どうもありがとうございました。
 それでは,辻委員には挙手ボタンを下ろしていただきまして,次に関委員から御発言をお願いいたします。

【関委員】 
 失礼いたします。関でございます。先ほどの障害者等の生涯学習についての絡みで,1点御質問したいと思います。
 先ほど85%が学習機会を提供したことはないということでございましたけれども,正に85%の中に自分が入っていることを反省いたしております。
 その中で,これまで自治体の中で障害者に対してのいろいろな学習を提供してきたのは,むしろ福祉の領域がかなり多かったのではないかという気もいたしております。我々はなかなか今まで排除されてきた人たちの意見を聞く機会もなかった,そういった反省があったり,あるいは実際に障害を持った方と長年の付き合いもなかなか今まで持ってなかったということが正直ございます。
 それを越えていくために,福祉の領域と教育の領域がどういうふうに役割分担をしていくか,つながっていくか,そこに対して教育だけがやるというスタンスではなく,共に手を携えて共同で取り組んでいくという方向性をもう少し強く打ち出してもいいかなと思っています。
 社会教育士だけではなくて,例えば社会福祉士とか,いろいろな日常の現場で動いている人もいっぱいおられます。そういう人とつながっていくような方向の中で,これからできれば15%しかいなかった社会教育の現場のつながりがもっと膨らんでいくように,我々も今,前向きに取り組んでいかなければいけないのかなと思っておるところでございます。
 以上です。

【清原分科会長】 
 関委員,辻委員のご発言に関係して,障害者の生涯学習に関して御質問のある委員いらっしゃいますか。
ちょっと挙手していただいて。では,宮城委員と澤野委員と萩原委員,障害者の部分についてでございますので,続けて御発言をお願いします。それをお聞きしてから,若林さんにお答えいただきたいと思います。
 それでは,宮城議員お願いします。

【宮城委員】 
 那覇市若狭公民館の宮城です。よろしくお願いします。
 障害者の生涯学習というところで気になったのは,学びの範囲といいますか,どういった学びを想定しているのかというのがちょっと気になりました。
例えば,学んだことによって,学校を出た後,就業に向けて学ぶとか,若しくは何か役割を担うために学ぶというものも当然あると思うんですけれども,それ以外の学びもあるだろうと思ったりしています。
 実は私もちょっとだけ関わっているところで,沖縄でプロの楽団の琉球フィルハーモニックというところが,障害者向けのコンサートを企画運営しています。
そこはクラシックのフルオーケストラのコンサートをするんですが,障害の種別は問わず,身体も精神も情緒も,車椅子はもちろん,ストレッチャーのまま運ばれてとか,そういう方もいるような状態でやっています。
だから,それは何かの役に立つための場ではなく,音楽を享受するための場をつくっているんですけれども,その企画運営に際して,実は保護者も当事者も,そして関わる方々,ボランティアも含めて様々な学びがあったりします。
 その中で感じるのは,学びを提供するということだけではなくて,先ほど辻委員の方からもありましたけど,共に学ぶような場をつくっていくことで,お互いに学んでいけるということがあるのかなということを思ったりしました。
 また,公民館の取組もちょっと紹介させていただきますが,災害時の避難所,模擬避難所を想定した防災キャンプという取組をしています。そういう取組の中で,実は障害の当事者団体にも声をかけて参画していただくようにしています。それは相障害者向けの企画ではないんですけども,いざ災害が起こったときに,皆さん被災するわけですから,そこでの避難所の在り方とか,それぞれの困り事というのをあらかじめ検証する,検討するための場としてやっています。
 そういう障害者向け,特別なものを取り出して学習を提供するということだけではなくて,共に学ぶという場を現場にいる人はより意識する必要もあるのではないかと思ったりしたところです。
 なので,障害者の生涯学習というときの学びの範囲とか想定されるもの,どういったものをイメージしているのかということもお尋ねしたいと思った次第です。
 私からは以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。
 すみません,松本委員も関連しての御質問でしたか。では,松本委員,そして澤野委員,萩原委員でお願いします。

【松本委員】 
 ありがとうございます。
私はどちらかというと感想なりということに近いのかもしれませんが,御紹介いただいた中で,「誰もが,障害の有無にかかわらず共に学び生きる共生社会の実現」というところが,実はここはとても深い意味を持った内容なのではないかと思っていたりします。
つまり,社会の理解というものをいかに推進していくかということをキーワードとして幾つか挙げてくださいましたけども,そういうことだというふうに思っていたりします。
 例えばニューロダイバーシティーという概念がありますけども,それこそ脳も,いわゆる自閉症の人を中心とした脳の感じ方の多様性の議論であったりすると思いますが,つまりその方々が社会に適応するために,もちろん大事なこともたくさんあるわけですけども,そういうのではなくて,そういった感じ方が社会で活躍できるようなある種の個性としても考えられる,そのようなムーブメントがある意味ほかの国では起こっていたりするようなところもあります。
 日本でもある意味,そういうふうに障害というものの理解をまた改めて深めていく,正に共存する多様な社会を目指していく,そのためのムーブメントをつくっていくことが本当に大事だと思いまして,その点でも生涯学習が担っている役割というのは大きいのではないかと感じたということがまずあります。
 先ほどの高等教育に関しましても,もしかしたらそういう意味では,先ほど辻委員がおっしゃっていましたけども,物差しの多様化といいますか,入試制度なども様々な物差しを持っての取組がより充実していくとよいのではないかと感じたところがあります。
 すみません,ちょっと感想めいたところでしたけども,以上になります。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。それでは,澤野委員お願いします。

【澤野委員】 
 聖心女子大学の澤野と申します。
 質問ですけれども,障害者について,知的障害者も含むということは分かりましたが,知的障害にしても障害というのはかなり多様だと思いますので,その辺りの多様性に対する配慮ということはこの中で,まだ報告書をちゃんと読ませていただけてないので,申し訳ないんですけれども,議論がなされていたのかというところを1つ質問させていただきたいと思います。
 その上で,今回,この概要の中でアクセシビリティーということに対する配慮というのがあまり出てきてないのではないかというのがちょっと気になりました。
多様な障害のある人がアクセスするというのは,多様性に応じた学びへのアクセスの仕方があるのではないかと思います。支援の仕方もそれぞれ異なると思いますので。
 私も先ほど辻委員がおっしゃっていたスウェーデンの障害のある人に対する生涯学習の在り方について注目しているのですけれども,スウェーデンでは大学の中にも様々な障害に対応するための部署がありまして,身体的な障害のある人でしたら,例えば聴覚障害者が希望すれば必ず無償で手話通訳をつけるとか,目が不自由な人のために拡大コピーや点字化ができる機器などがある部署,「ハンディキャップコントロール」というのが必ずあるのですけれども,その中に知的障害の人に対応する様々な相談窓口もあります。
 今回の議論の中でも,発達障害とよく言われているものが含まれていたのかどうかということもちょっとお聞きしたいです。
というのは,日本の大学の中で結構,今,発達障害のある学生への対応というのがどこの大学でも年々そういう人の数が増えてきていて,教員の側でもいろいろな負担が増えているということで,そういう支援の必要な学生にパスポートを出すようなことをうちの大学でもしています。
事前にそういう申請があった場合に,授業のやり方も特別な配慮をするということが既にできているので,そういう意味ではそういう人たちも含めると,2%以上の人が高等教育に既に来ているのではないかという印象があります。
 スウェーデンの場合は,ヤーヴレというところに知的障害者のための特別な大学というのも既にできているということです。
障害というのは人生の途中で障害が生じる場合もあるわけですし,10代になってからそういう発達障害のような精神的な障害が出てしまって,学びが一度中断するようなケースもあるので,スウェーデンではそういう人たちのためにフォークハイスクールというような成人教育の場で特別な支援が行われる,それが生涯学習の一環として重視されているので,日本の場合は,公民館などがそういう多様な学びの場につなぐような社会教育の場になって,その後のキャリア支援とか高等教育に結びつけるような,少しリハビリ的な,義務教育から高校以降にまた何か障害が生じたような場合に,一旦リハビリ的な場として公民館のような場が活用できたらいいのではないか,そこでコーディネートの人の役割が発揮できるのではないかということをちょっと考えました。
 質問としては,障害の多様性について,どのようにこの委員会ではお考えだったのかということを伺いたいと思います。
 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。それでは,障害に関する御質問の最後,萩原委員お願いいたします。

【萩原委員】 
 ありがとうございます。質問というよりもコメントになります。
 大学等の高等教育機関の役割というところで私自身も非常に実感をしておりまして,うちの大学でも受講生の中に障害を持っている学生がいる場合にはきちんと情報提供されて,そのための支援の在り方というか,学生にノートテイカーとかいろいろついたりするんですが,私自身が視覚障害者の学生を受け持ったときに大変大きな勉強になりました。学びですね。
 ですから,私の方もその学生のニーズに寄り添いながら,早めに授業のあれを全部出すであるとか,そういう努力というか,そういうことをしたりとか,あるいは映像を流す場合にはしっかりとそのものについて説明をするとか,それが結果として,障害を持っている学生だけではなくて,そうでない学生たちに対しても非常によりよい学びであったということがアンケートの中にもありましたので,こういった場を教員が持つというか,非常に重要であると思います。
 ですので,ニーズに応じた障害者の方たちの当事者の声を聞きながら,そういう学習支援のスキルを身につける場であるとか,研修の場というものが教員側の方にも持てるようなことも何か盛り込んで,もうあるのか分かりませんけども,盛り込んでいくことが大事だなということを今回非常に感じました。
ユニバーサルな学びにつながるのではないかというふうに,障害者のための生涯学習というのはあるというふうに思いました。
 コメントだけです。ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 どうもありがとうございます。
 以上,焦点を絞ってお答えいただければと思うんですが,1点目は,障害者の生涯学習の場を考えるときには,「教育分野だけではなくて福祉を含む主体の連携」というのが必要ではないかという関委員の御質問,それから辻委員と共通して,必ずしも障害のある方だけを対象にした生涯学習の場が有用なのではなくて,「障害のある人ない人が,いわゆるインクルーシブに学ぶ生涯学習ということについての検討」はいかがだったかということ,そして澤野委員からは「障害者の多様性」についてということでしょうか,焦点を絞ってお答えいただければと思います。よろしくお願いします。

【若林男女共同参画共生社会学習・安全課長補佐】 
 大変示唆に富む様々な御意見ありがとうございます。
先ほどおまとめいただいた3点について,焦点を絞って回答させていただきます。
 まず,福祉領域ですとか,生涯学習以外の様々な領域で活躍をされている方,それを先ほど地域の資源という言い方をしてしまいましたが,そういった方々にこの報告書の中では,例えばということですが,社会教育士という制度をうまく活用して,そうした周辺領域の方々にも障害者の生涯学習に従事していただく。それはお互いの領域にとってのかけ橋であり,有用な手段なのではないかということを一つの方策として示させていただいているところです。
 2点目でございますが,様々な障害のある方がいらっしゃると。ただ,そこで提供されるサービスというのが障害のある方に限定したものであったとすれば,それは共生社会の実現という観点からは不十分だと考えております。
 共に学ぶという意味では,障害のある方ない方ともに一つのプログラムを共に学ぶということも当然想定されますし,学びを支援するサポーター,あるいは学習支援者のような形で,健常者の方にとってもいろいろな気づきの機会になるということをこの会議の中での議論でも期待しているところです。
 最後に,障害の多様性についての議論でございます。
必要な資質として,障害に関する基礎的な理解が重要だと。この中には,先ほどの情報保障の話であったり,視覚障害,聴覚障害様々な障害というものをしっかり学んでいくことは必要なポイントとしては押さえられておるのですが,限られた会議の中で全ての障害種について幅広く議論をするということはなかなか難しかった部分もあり,実際には最も障害者の生涯学習の領域として取組が進んでいない知的障害であったり,そういった障害種の方を念頭に置いた議論は行われたのかなと思いますが,そこで必要な観点というものは当然特定の障害種に限定したものではなく,様々な障害種に共通する部分だとも考えておりますので,こうした考え方を様々な障害種の方に提供していただきたいと考えております。
 以上でございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。千葉委員は関連しての御質問でしょうか。コミュニティ・スクールに関連してでしょうか。

【千葉委員】 
 障害者の方々の生涯学習のことについて,ちょっと意見を述べさせていただきます。
 我々高等教育機関を運営している者からすると,辻委員から頂いたような事例であるとか,萩原委員から頂いたような事例が非常に重要だと思います。
我々も専門学校の方で障害者を受け入れた結果,クラスに非常に助け合いの精神が生まれて,大変いい結果になりました。こういう好事例をどこかにまとめて,高等教育機関の方たちが見られるような方法,場をつくっていただくと,受け入れるイメージが湧いてくるんではないかと思います。
 それから,あとは障害の程度によっては,大学,専門学校の通信教育と公的な場所というものを組み合わせた形で,自分のペースで勉強できる,あるいは専門学校の通信教育ですと,就職につながるような技能教育ができるということがありますので,その方その方のケースは本当に多様だと思います。ので,学校へ通える方はそういう好事例を示していただいて,そうでない方については通信プラス公民館,生涯学習施設,こういう組合せも御検討いただいたらいかがかなと思います。
 以上です。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 どうもありがとうございます。
障害者の生涯学習に関する研究につきましては,辻委員が冒頭発言してくださいましたように,「高等教育という機会も障害のある方に保障していくこと」と,それから「生涯学習と高等教育機関の通信制も含めた連携の可能性」というものについても,今千葉委員がおっしゃいましたように敷衍できるのかなと。このような皆様の御意見を伺うことができたと思います。
 さて,牧野委員はコミュニティ・スクールに関しての御発言でしょうか。御発言お待たせいたしました。よろしくお願いします。

【牧野副分科会長】 
 ありがとうございます。すみません,今日,学位授与式をオンラインでやっていまして,ちょっと接続が不安定かもしれませんけども,お願いいたします。
 私の方はコミュニティ・スクールだけではなくて,2つに関わって,できれば今後の議題1の議論につなげるために少し発言をさせていただきたいと思います。
 議題3の方ですけれども,まずコミュニティ・スクールなのですが,お話を伺って,こういう形で進んでいるのだなということは強く印象に残ったのですが,実は2015年12月21日に3つの答申が出されていて,いわゆる第1,第2,第3答申と呼んだり,アクティブ・ラーニングを基本にした教員資質向上答申,またチーム学校答申,それから地域学校協働答申と呼ばれているものが出たのですけれども,本来これ3つはワンパッケージでコミュニティ・スクールを形成し,子供を社会に開かれた教育課程の中で,学校できっちりと一生涯学ぶ力をつけつつ,地域で様々な体験活動等を保障して,地域で子供たちを育てていけるような体制づくりをしましょうという議論を相当やったというふうに,私は中にいて受け止めていました。
それが実際の施策として展開されていく過程で,学校は学校,地域は地域という形でまた分かれていく中で,それを再統合するのだみたいな議論に近くなっているような印象を,先ほどお話を伺って思っていまして,ここはなかなか変われないのだなという印象が少しあります。
 その意味では,学校観といいますか,又は社会観といいますか,平等とは一体何かといったことを一度この分科会で議論して,議論の整理,今日の議題1につながりますけれども,そこにつなげていくことを考えなければいけないのではないでしょうか。言い方を換えれば,学校が持っているある種の平等観ですとか人間観みたいなものが,先ほどの議題2である障害を持った方々や子供たちの生涯学習といった議論の中にも滑り込んではいないだろうかという印象を持つのです。
 先ほどの皆さんの御議論もそうなのですけれども,例えば今日の御報告は,どちらかというと方策を考えるということで御報告があったのですが,その中で多様性と共生といったことを基本にして,認め合っていく,そして多様であることを前提でお互いに受け止め合うということが言われていて,これは私はとても大賛成なのですけれども,例えば平等といったことも,本来,人間は均質であるといったことを基本に近代社会の平等をつくってきたはずであったものが,質的に違っているから比べてはならないのだということで,平等というか,公平性を確保するという議論に近いものに変わってきているように思うのです。
 このことはまた,とても新しい観点というか,社会的な包摂といったことを基本に考えられていくという新しい平等観につながるのだろうと思いながら,もう一面で,例えば,だから違っているのだから,違っているでいいでしょという議論にならないのか,相対主義的な議論になりかねないのではないかという不安を持ってしまうのです。
 例えばオランダのビュートゾルフの実践であったり,私たちが今関わっている成年後見制度の中で議論になっているのは,個人の意思決定をどこまで支援するのか,自己決定をどこまで尊重できるのかという議論をやっている中で出てきたのが,結局この分科会で議論されているウェルビーイングに関わるのですけれども,よりよく生きたいという意思を持っている点においては皆同じではないか。ただ,よりよく生きるといったことの中身は違っているし,質は違うのだけれども,よりよく生きることも自ら決定をしていきたいという強い気持ちを持って生きようとしていることにおいては同じではないか。
 そうすると,そうしたことも前提にしながら,よりよく生きたいという意思を基本にした教育や学びの在り方といったものはどういうものであるのか,またそれを保障するというのは一体どういうことであるのかといったことを,この分科会で議論して,次の政策提言につなげられるような議論に展開できるといいなと思っていたということです。
 それを少し皆さんにも共有していただきたいなと思って発言をしました。お願いいたします。

【清原分科会長】 
 牧野委員ありがとうございました。
 私からも発言をさせていただきます。今回,第2の議題,第3の議題で,御担当者から一定の取りまとめについて御報告いただきました内容というのは,正にこれから私たちが第11期の生涯学習分科会としてまとめていく方向性について,大いなる示唆を提供してくださったと思っています。
 まず,「障害者の生涯学習」についてでございますが,私,実は内閣府の障害者政策委員会と厚生労働省の社会保障審議会障害者部会で,正に障害者の権利条約,そして障害者差別解消法の施行に当たって,いかに「合理的配慮」というものを各生活分野で実現していくか。もちろん教育,生涯学習,旅行,スポーツ,芸術文化活動,地域での日常生活の中でいかに保障していくか,という議論に関わった経験がございます。
 そのときに多くの委員がおっしゃいましたけれども,障害も多様であって,そして障害種別によって合理的配慮として求められるものも多様であって,もちろん基準となるもの,標準的なものはあるにしても,いかにそれを保障していくかということで,今日,多久市長もいらっしゃいますけれども,各自治体でも本当にきめ細かい検討と取組をしてきた経過があります。
 さて,そういう中で,改めて私たちが「誰一人取り残さない」ということを目指していくためには,今回の「障害者の生涯学習」について検討していただいた内容というのは大いなる示唆を与えてくださっていると思いますので,私たちの今期の提言の中にも大いに反映をさせていきたいと思っているところです。
 また,コミュニティ・スクールに関しましては,初等中等教育分科会で御報告いただきましたときに,私は,最後に御紹介いただいた本文にも書いていただいておりますように,コミュニティ・スクールというのは児童生徒を中心とした学校教育の充実という機能や効果を果たしているだけではなくて,それに関わる教職員はもちろんのこと,保護者や地域の住民の皆様,学校運営に関わる住民の皆様にとって生涯学習は学びの場であるということであるならば,学校教育と生涯学習をつなぐ場に,正にコミュニティ・スクールがなっているわけであり,次期教育振興基本計画においても,コミュニティ・スクールというのが学校分野の中で有意義であるだけではなくて,生涯学習・社会教育の分野との密接な関連性のある中で有意義ではないかというふうに発言もし,私としても重要な項目として,是非,生涯学習の分野からもコミュニティ・スクールには注目し,位置づけたいと思ってきたところです。
 そこで,今日また焦点を絞って御報告いただいたことを皆様と共有させていただきましたので,これから後半の私たちの議題に生かしていきたいと思っています。
 今,牧野委員がおっしゃったこと,私が話しましたことで,郷家室長さん,何か更にコメントいただけますでしょうか。いかがでしょうか。

【郷家地域学校協働活動推進室長】 
 ありがとうございます。牧野委員から非常に示唆に富む御意見いただきました。
 2015年の中教審答申のときには,実は文部科学省の中でコミュニティ・スクールを担当する部署と地域学校協働活動というのを担当する部署が違った部署でして,その答申の中で別々な部署が別々にそれぞれ分科会を置いてまとめたという経緯があります。
 そういう中で少し別々なものがあった感もあったかもしれませんけども,資料の中にも書いたように,平成30年10月に再編を文科省の中でしまして,初中局のコミュニティ・スクールを総合教育政策局の方に持ってきて,今私のところにある室で担当しているということで,よりそこが一体的な今取組をしている,一体的推進をしているということになっておりますので,そういう流れの中で今回の報告,あるいは令和の答申の中で学校教育の中でも地域を開いていこうと,地域を取り込んでいこうという流れになっていますので,そういう方向でこれからやっていくということが御説明できればと思っております。
 以上でございます。

【清原分科会長】 
 どうもありがとうございました。
 それでは,議題2,議題3につきまして皆様から幅広い御意見を頂き,今後の議題1につなげていくことができると思いますので,ひとまずここで議題2,議題3は閉じたいと思います。若林さん,郷家さん,御報告,そして質疑応答ありがとうございました。
 それでは,議題1に入ります。
今回はこれまでの議論を踏まえつつ,今後より具体的な政策提言を目指しまして,審議のまとめにつなげていくための報告書骨子(案)のイメージを事務局において作成いただきました。
 まず,これについて御説明を頂き,その後,こちらの報告書骨子(案)に関する質疑応答,意見交換を行いたいと思います。
 それでは,神山課長,御説明よろしくお願いいたします。

【神山生涯学習推進課長】 
 それでは,資料1に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 この資料は4ページものになっておりまして,最初の2枚がこれまでの議論を踏まえた内容,それから後ろの2枚が,それを踏まえて,今後の施策としてどんなことが考えられるかというのを案としてお示ししたものでございますので,これからこれをベースに御議論いただいて,議論の整理につなげていくというイメージでございます。
 1ページ目から御説明をさせていただきますと,最初は前提となる状況等につきまして,社会を取り巻く状況ということで,人生100年時代ですとかSociety5.0の到来といったものを踏まえ,社会が急激に変化して,かつ予測困難な時代になっている。
 その中で,2つ目のポツですが,持続可能で安心安全に暮らせる社会を実現していくために,困難な立場に置かれている者の社会的な包摂を推進していくことが大事ではなかろうか。
 そして3つ目,学び直しをはじめとします生涯学習の必要性が増大をしてきている,特に学校教育以外の学びの重要性が再認識されているといったことに触れてございます。
 また,学校教育側の「令和の日本型学校教育」の構築に向けて,先ほどコミュニティ・スクールの説明がありましたけれども,学校と地域の住民が連携・協働していくことの重要性にも触れてございます。
 また,各省庁の施策でも,地域コミュニティーに着目した施策が展開されているといったことにも前提として触れてございます。
 それから,下半分ですけども,中教審における審議といたしまして,第10期,前期でございますけども,「命を守り,誰一人として取り残さない社会の実現」を目指して,社会的包摂を実現するための生涯学習・社会教育の在り方についても議論をしましたということに触れてございます。
 また,教育振興基本計画の策定に向けて諮問がなされておりまして,その中でも「学校内外において,生涯を通じて学び成長し,主体的に社会の形成に参画する中で,共生社会の実現を目指した学習を実現するための環境づくり」といったことが審議事項とされておりますし,参考に書かれていますように,ウェルビーイングが実現されるように教育関係の制度等の在り方を考えていく必要があるということも触れられてございます。
 2枚目の方にまいりまして,先ほどの前提条件を踏まえて,生涯学習や社会教育が果たし得る役割についてまとめたものが,2枚目になってございます。
 大きく3つございますが,1つ目は生涯学習を通じたウェルビーイングの実現ということで,学びあう,あるいは教えあう,助けあう,励ましあうといった相互性に支えられながら,一人一人が主体的・持続的に学んでいくという生涯学習がウェルビーイングの実現の中核となる。
ウェルビーイングということについても,御議論を踏まえまして,よりよく生きること,その意欲を湧き上がらせること,その場を自らも一員として他者とともに形成していくことを実現していく,そういったウェルビーイングの実現の中核に生涯学習がなるんではなかろうかということを最初に掲げてございます。
 また,2つ目のポツでは,生涯学習社会を通じたウェルビーイングの実現に向けて,学校教育以外の学びの機会の充実が重要ということで,リテラシーレベルあるいはリスキリング,また自己実現など,広い意味でのリカレント教育の充実が必要ではないかということに触れてございます。
 その次のポツでは,生涯学習社会の基盤としては,個人の成長だけではなくて,地域社会の発展やウェルビーイングに資するような地域コミュニティーが基盤であると。
ですので,個人を支える場と場を支える個人の相互作用の循環が重要だといったことに触れてございます。
 また,誰一人として取り残さない社会的包摂の実現ですとか,それを支える地域づくりを進めるために,社会教育行政に関わる人材ですとか,施設のミッションの再定義が必要ではなかろうかということを掲げてございます。
 その次の白丸は,社会的包摂の実現を図る役割でございますけども,共生社会につきまして,様々な他者を尊重することを含めた自他の適切な関係性の下で,それぞれの自己の生き方の実現を共に図っていく。
言わば「「生きる」を共にする」ような社会,共生社会ということを掲げた上で,社会教育が立場の弱い人たちに対して学習機会を提供する役割を果たしてきたこと,また高齢者や障害者といった困難な立場にある者について,社会的包摂の実現に向けて関係機関と連携したり,あるいはICTを利用することで,必要な学習の機会を提供していくことが重要だと触れてございます。
特に,デジタル・ディバイドの解消は喫緊の課題だということでございます。
 また,地域コミュニティーの基盤に関しましては,先ほど申し上げたようにウェルビーイングの実現のためには,個人の成長だけではなくて,それを支える場もターゲットにしていくことが持続性のためにも大事だということ。
 それから,社会教育行政に関しましては,「学び」の実践を核とした地域づくりのための営みという性格を強く持っており,一般行政の基盤ともなる社会基盤形成の役割を担ってきているということに触れてございます。
 さらに,福祉をはじめとする様々な分野で地域コミュニティーに着目した施策展開がなされておりますので,それはいずれも地域住民の「学び」が重要な役割を担っているということで,関連施策と連携しながら,地域づくりに資する社会教育の振興方策を講ずることが重要だと。ただ,その際に,他施策の手段として利用されるということだけではなくて,生涯学習社会の実現に向けて,関連施策をむしろ主導するような視点が重要ではなかろうかというふうに書かせていただいてございます。
 最後,コミュニティ・スクールや地域学校協働活動に参画すること,先ほど議論があったとおりでございまして,学校を核とした地域づくりにもつながるものですし,子供ですとか親の若い世代が地域コミュニティーに参画して,社会教育とつながりを持つようになる場としても重要ではないかということに触れてございます。
 ここまでがこれまでの議論を踏まえたことを並べてございまして,3枚目以降は,その考え方を踏まえて,今後の生涯学習・社会教育の振興方策について考えられるものをまとめたものでございます。
 最初に基本的な考え方といたしまして,振興基本計画などもございますので,そこで考え方を明確にする。その際に次の3つのこと,1つ目は,「社会的包摂の実現」ですとか「地域コミュニティー構築」に関する他の行政機関ですとか,NPOなど民間機関との連携・協力が大事だよねといったこと。それから2つ目が,デジタル化を踏まえて課題を整理するということ。3つ目は,国や地方公共団体,あるいは社会教育施設,そのほか社会教育主事をはじめとしたその主体それぞれの役割を明確にする。こういった3つの点を踏まえながら,基本的な考え方を明確にする必要があるということに触れてございます。
 具体的な振興方策につきましては,主体ごとに書いてございますが,国や地方公共団体が進めるべきものといたしまして,社会教育行政が社会的包摂の実現ですとか,地域コミュニティー構築に資する社会的基盤としての役割を果たせるように全体像を明確化するですとか,他省庁との連携協力体制の確立をする,また学習成果と活動の見える化などの施策を進めるべきだということを示してございます。
 都道府県に関しましては,市町村のネットワーク化の支援ですとか研修を実施していただいたり,市町村におきましては様々なステークホルダーと連携しながら,関係する取組を地域住民の学習活動の支援を通じて推進をしていただくということかなと。また,その際に,教育委員会が生涯学習社会の実現に向けまして,首長部局とも積極的に連携を図るべきであろうということでございます。
 2つ目が公民館等の社会教育施設の機能強化でございますけれども,社会参加に制約のある人の学習機会の充実ですとかデジタル・ディバイドの解消など,社会的包摂に関連する講座の推進,あるいは図書館などもデジタル化を図って情報サービスの充実を図るといったことに触れてございます。
 また,地域課題解決のための学びをICTを活用して幅広く実施して,地域のつながりづくり,あるいは地域人材の育成などを進めようということ。
 それから,先ほども議論がありましたけども,障害者の生涯学習の支援ですとか子供の貧困など,多様性の包摂や多世代の交流の促進を図るために,社会教育施設においては「自前主義」から脱却して,学校教育や福祉部局との連携を進めてはどうか。
 また,コミュニティー拠点機能の強化ということで,公民館への社会教育士の配置などを書いてございます。
 また,支援方策としましては,社会教育施設が果たすべき役割を基準などで明確化をしたり,学校と公民館,図書館等の合築などによって連携機能を強化したり,あるいはICT機能の強化に対する支援をしたりしてはどうかということを掲げてございます。
 3つ目は社会教育主事や社会教育士などの活用ということで,地域づくりの中核人材としての社会教育主事を地域づくりの中核人材として位置づけて,配置を促進する。
 また,社会教育士につきましても,公民館への配置促進などを含めて活用を促進してはどうかということでございます。
 支援方策としましては,研修や事例展開ですとか,社会教育士については,役割を明確化したり,称号付与の要件を見直したりといったことも考えられるのではないかということでございます。
 また,マル4は,個別の課題ごとに書かせていただいておりまして,1)は障害者の生涯学習の推進ということで,先ほど議論いただいたようなことも踏まえまして,人材育成の確保ですとか理解の促進が必要だといったこと,あるいは大学などの取組や特別支援学校での取組などを進めてはどうかといったこと。
 それから,関係機関の連携構築を図るといったことに触れてございます。
 2)のコミュニティ・スクールも先ほど議論がございましたが,子供たちですとか,地域の課題の解決のためのプラットフォームにしていこうといったことや,地域学校協働活動推進員の配置などとあわせて,多様な教育活動を推進しましょうということに触れてございます。
 最後,リカレント教育に関しましては,大学等におけるプログラムを充実すること,あるいは社会人が受けやすいようにしていくこととあわせて,ポータルサイトなどの充実を図ることで,公民館などにおける学習活動との関連なども含めて,必要な情報発信を充実していけるのではなかろうかということも書いてございます。
 こうしたことで全体としての骨子イメージになっておりますので,御議論いただければと思っております。
 以上です。

【清原分科会長】 
 どうもありがとうございます。ただいま御説明いただきましたように,事務局においてこれまでの委員の皆様からの御報告やそれを踏まえた意見交換を基礎といたしまして,「第11期中央教育審議会生涯学習分科会における議論の整理」というテーマで骨子のイメージ(案)をつくっていただきました。
 ここで1つ御報告がございます。先の生涯学習分科会で,中央教育審議会に,末松文部科学大臣から次期教育振興基本計画について諮問がありましたと報告しました。
そして,生涯学習分科会としてもしっかりと貢献していきたいということも御報告いたしまして,皆様も是非生涯学習分科会の内容が次期教育振興基本計画に反映されるようにということで,御賛同いただいたところです。
 その後,中央教育審議会の中に次期教育振興基本計画部会というのが設置されることになりまして,その初回が去る22日に開かれました。その際,委員として,生涯学習分科会長である私と副分科会長である牧野委員,関臨時委員,そして今日は御欠席でいらっしゃいますけれども,今村久美委員,清水敬介委員も委員として指名されました。
従いまして,計画部会のメンバーとしても皆様の議論を踏まえて発言をしていきたいと思いますが,その答申がまとまるのは来年度末になると思います。
 したがって,私たちの議論の整理というのはそれよりも先に提出されるということになりますので,生涯学習分科会の提言が次期教育振興基本計画にも反映されるチャンスでもございますので,この骨子(案)を基に皆様の御意見で更に補強し,また具体化して取りまとめていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,これから残る時間は30分余りでございますが,皆様からこの骨子(案)について御意見や御質問等を承りたいと思います。
 それでは,どうぞ挙手ボタンをお願いいたします。
それでは,今,申し上げます順番でよろしくお願いします。
横尾委員,山内委員,金子委員まで,まず順にお願いします。

【横尾委員】 
 ありがとうございます。横尾でございます。いつもお世話になっています。
今回は簡潔におまとめをしていただいて,意見をということですので,時間の制約もありますから,簡潔に申し上げたいと思います。
 まず1つ目には,ウェルビーイングという価値観をこの間からこの会議でも示していただいています。
これは,これからキーワードになるなという直感を持っています。あわせて,リスキリングあるいはリカレントもあります。ただ,こういった言葉は一部の国民の方にとってはまだまだ真新しい言葉だと思いますので,是非どこかで,こういったものだよ,こういう価値観だよ,こういうことが大切なのだよ,ということが分かるような発信とか啓発もしていかないと,せっかくの目標達成にならないのではないかと1点目に思っています。是非お願いしたいと思います。
 それを踏まえて,ウェルビーイングにも資するような地域コミュニティーという記述があったのですが,これもどこかで御教示いただければと思います。
 2点目は,そもそも生涯学習という場合にいつも思っていたことなのですが,与えて学んでもらうことではなくて,自ら学ぼうという意欲を持つ人をいかに育てるかということが一番大切だと思うのです。
自己実現のために,自己成長を自ら考えて志向していくような個人をどう育んでいくか。
そういったことを真ん中に置いた方向性も出していただくことが,こういった時代状況の中だけにとても大切と思います。可能なら,その中に「人間力の向上」とか「人格の形成・陶治」とか,そういったキーワードも入れていただくと,未来を担う人材の育成と大人もしっかりしなくてはということも伝えられると思います。
 例えば社会モラルのない人が大勢増えますと,交通事故と事件とかが増えます。
また,親としての責任というものが分かってない大人ばっかりが増えますと,児童虐待も当然起こりうると思われます。さらに,助け合いの気持ちがないような地域ですと,そこで育つ人々も本当に心がすさんでいくような社会になってしまいかねません。こういったことが起こらないように,あるいはよりよい社会になるように育むのも生涯学習の大切な役割だと思います。ですから,学校での修学が終わったら学びは終わりではなくて,正に生涯,天命全うまで学び続ける,そしてそのことを社会に還元する,人々とともによりよい社会をつくっていく,そういったことを目指すようなこともどこかで謳っていただいたらいいと思っています。
 そういった意味では,3ページにありますが,図書館のことの記述もあるのですが,ここでは「デジタル化」ということが書いてあるのですが,これをあまりに強く入れてしまうとそっちの方に走り過ぎる懸念も出るかと思います。
やはり,書物は書物としてしっかり読むということはとても大切ですし,その人の思考も充実していきます。そういった配慮も必要であると思いました。
 最後になりますが,前から申し上げていますけれど,MOOCですね,動画等によって学ぶという手法です。
これは簡単ですけれど深く広く学べるツールがどんどん出てきていますので,こういったことの利活用をもっともっと考えていただいて,一般の国民の皆さん,そして社会教育士などの専門を目指す皆さん,そういった方々が学びやすいアクセスを確保する,そういったことも取り入れていただくと全体も向上していくと思っています。よろしくお願いします。
 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。自己成長,人間力の向上というところはとても大切だと思います。具体的な政策を羅列するだけというのではなくて,何のための生涯学習・社会教育なのかということをきちんと発信することが大事だなと受け止めさせていただきました。
 続きまして,山内委員お願いします。

【山内委員】 
 ありがとうございます。私からは,ICTに関係して1点だけコメントさせていただければと思います。
 取りまとめ,どうもありがとうございました。
公民館等の社会教育施設の機能強化の支援方策の中に,社会教育施設のICT機能強化に対する支援ということで,PC等の機器導入,Wi-Fi環境整備への支援等がございます。当然ながらこういう基盤整備は必要だと思うのですが,このイメージが重要かなと考えております。
間違って伝わって,逆に一昔前の学校のコンピューター室みたいに端末が40台並んでいる部屋をつくるという感じではない方がいいのではないかと思っております。
実際に使われる際の状況を考えると,地域に関する問題解決にICTを活用していくというところで,デジタル・ディバイドを解消しながら日々活用するみたいなイメージだと思うので,そうすると今のGIGAスクールとか高等教育と同様,結構重要なのは実はクラウド環境の整備になります。
 なので,機器導入も大事ですが,クラウド環境整備ということをしっかりキーワードに入れていただくのがよいのではないでしょうか。PC等の機器導入ももちろん必要ですが,基本的には多くの方がスマホを持っている状況でどうするかを考える必要があります。
 スマホだけでは情報を生産するにはやっぱり十分ではないので,そういうことができるスタジオ的な機能,アメリカでは青少年を対象とした社会教育施設には,映像が編集できるような,割と強力なワークステーションが居場所的な空間に数台置いてあるのですが,そういうことも含めて,つまりどういうイメージでICT機能を強化することが社会教育施設のエンパワーメントになるのかということをしっかり伝えておくことが大事ではないかということで,今後,詳細化するときに御配慮いただければと思います。
 私からは以上です。

【清原分科会長】 
 どうもありがとうございます。
大変重要なポイントでございます。高齢者も含めて誰もがスマホを持つ中では,クラウドということをきちんと考えていくということと,編集等での交流も含めて,これはきちんと反映するように是非していきたいと思います。ありがとうございます。
 続きまして,金子委員,中野委員,長谷川委員の順でお願いいたします。
 金子委員,よろしくお願いします。

【金子委員】 
 自動車総連の金子です。よろしくお願いします。
 今回の骨子イメージをお示しいただきまして,非常に目指す方向性が見えてきたなと思っております。ありがとうございます。その上で,2点意見を申し上げたいと思います。
 まず,1点目はデジタル社会に関することになりますが,社会的包摂の実現を図る役割として言及されておりますデジタル・ディバイド,これは正に喫緊の課題であるというのは全く同感であります。
 一方で,適切な活用も同時に言及すべきではないかと思っております。デジタル社会にあふれる情報は,慎重な検証を要する情報が大変多いということでありまして,偏った情報で形成されるような世論の影響の大きさは,今回のロシアのウクライナ侵略におけるロシア国内の状況を見ても,非常に再認識されるところではないかと思っています。
 多くの情報を取捨選択して正しい情報にたどり着き,行動する。
そのために必要なスキルや行動規範を身につけて,デジタル社会のよき担い手となる。
こういったことを目指す,いわゆるデジタル・シチズンシップ教育の推進も重要ではないかと思っています。
 将来を担うZ世代というのは,我々が思っている以上に非常にデジタルになじんだ世代でもあります。学校教育はもとより,生涯学習の観点からも推進すべきでありますので,基本的な考え方の中にこうした点を織り込むべきではないかと考えているのが1点です。
 2点目は,具体的な取り組み④のところですけれども,コミュニティ・スクールと地域学校協働活動の一体的な取り組みの推進というのは,生涯学習の基盤の一つとして役割を担うものと大いに期待をしております。
 コミュニティ・スクールについては,高等学校までが導入の対象というふうに理解しています。
一方で,大学を始め高等教育に関しては,産官学金労言士,多様な主体による地域連携プラットフォームについて,ガイドラインでその意義が示されているというふうに理解をしております。
 生涯学習を推進する立場としては,高校・大学接続の観点からも,幼児教育から高等教育まで,そして社会人の学び直しについて,切れ目なく支える立ち位置で提言してはどうかと考えております。
 コミュニティ・スクールと地域学校協働活動というのは,生涯学習の一つの基盤としての役割を果たす際に,学校の働き方改革の視点も重要だと思っておりまして,検討会議の最終まとめにも記載されておりますように,学校と地域がうまく連携できれば,学校教職員と地域住民が共に理解し,学びを支える,学校を支える地域コミュニティーとなると思います。
 教員が子供に向き合う時間を確保するためにも,地域学校協働活動推進員の常駐化に向けた配置も促進をいただければと思っております。そして,好事例を積極的に横展開することも重要だと思っていますので,是非その点も積極的に進めていただければと思っております。
 以上になります。

【清原分科会長】 
 どうもありがとうございます。
デジタル・シチズンシップ,要するに横尾委員もおっしゃいましたけれども,自己成長,自己という自身それぞれがきちんと生きていくのを支えるという意味でも,情報社会ではデジタル・シチズンシップというのが重要になってくる。このキーワードを生かすとともに,先ほどおっしゃってくださいました,コミュニティ・スクール等を生涯学習との関係の中でしっかり位置づけていくという御提言を承りました。
 それでは,中野委員お願いいたします。

【中野委員】 
 浅口市の中野でございます。よろしくお願いいたします。
 大変分かりやすくまとめていただきまして,本当にありがとうございます。質問も含めて,2点について述べさせていただきます。
 1つ目の質問ですけれども,3ページの①の国・地方公共団体が進めるべき取組の国の部分,最初の部分ですが,後半部分に「地域人材の活躍推進に向けた個人の学習成果と活動の見える化に向けた必要な施策を推進する」という記述があるんですけれども,ここはそういった学習履歴の可視化のことであるとか事例の横展開とか,そういったことを意味しているのか,もっと違うところを狙っているのか,ちょっと分かりにくかったので,御説明いただければ有り難いかなと思いました。
 それから2つ目ですか,4ページの④の(1)ですが,障害者の生涯学習の推進です。これについては,先ほどの説明にもありましたけれども,本当に重要なところだなと思います。
現場としましては,公民館等では人権教育ということで,障害者差別であるとか,共生社会の理解についての講座というものを行っていたんですけれども,障害者の学習の機会であるとか,障害者とともに学ぶという機会が身近にあったかということ,又はそういう考えがあったかということ,こういったことについても疑問です。
 先ほど資料の中に,障害者の学習支援の経験のある公民館は14.5%にとどまるということがありましたけど,本当に考える必要があるなということを思いました。こういったところをしっかりと表現していくといいのかなと思います。
 課題の中に予算的なものもございましたが,そういったこともきちっと位置づけて,予算化できるような状態をつくっていくことも重要なのかなと思います。
 障害者の生涯を通じた多様な学習活動について推進するということは,障害者の方とつながる機会になると考えています。社会教育施設などにおけるこういった取組の充実は本当に必要なものだと感じておりますので,しっかりと議論し,まとめていく必要があると思います。
 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。
「障害者とつながる生涯学習」というキーワードを頂きましたので,そこは大事だと思います。
 御質問の1点目,見える化についてお答えいただけますか。

【神山生涯学習推進課長】
 基本的には,先ほど御指摘があった学習履歴の可視化ですとか,横展開といったものを考えておりますので,次回もう少し分かりやすい形にしていきたいと思います。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 御質問ありがとうございました。よろしいでしょうか。

【中野委員】 
 ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 それでは,続きまして,長谷川委員,辻委員,関委員の順番でお願いします。
 長谷川委員,お願いします。

【長谷川委員】 
 武蔵野美術大学の長谷川です。私からは,要望が1点と感想が1点となります。
 1点目は,先ほど澤野委員からもあったアクセシビリティーのことです。ほかの委員からもICTの強化の言及等がありましたけれども,私もアクセシビリティーの導入といいますか,推進の実務の方も携わっているんですけれども,どうしてもいろいろなICTの機能がちょっと派手めといいますか,見える,何か新しい機能の方にどうしても関心がいきがちで,アクセシビリティーの対応を考えるというのは実は当初から包括的に行っていくことで,かなり後々運用はそんなに,大変じゃなくなると言うと語弊がありますけれども,後から手を入れるとなかなか大変になっていくんですけれども,当初の思想から考えていくということでかなりの効果が見込める。
 今日の前半の議論の障害者への対応というところで,アクセシビリティーというのは一般には,例えばデジタルコンテンツの全盲の方への音声読み出し等の対応となりますけれども,それが実はマシンリーダブルになるということにつながっていきまして,その先の応用ということにもつながるものでもありまして,ちょっとテクニカルなところもあって,自発的に最初からやろうというふうにはなかなかならないところではあるんですけれども,障害を持つ方への対応等を考えたときに,こういった場で明示化をしておくということで,大分推進が進むのではないかという期待が持てますので,ほかのICT導入とも全て連携するところだと思いますので,是非ここは何らかの形で言語化をすることがあるとよいのではないかと思っております。これが1点目です。
 2点目ですけれども,こちらは本当に感想レベルなんですけども,私ずっと民間企業で,民間で仕事をしておったりすると,今回は論点の整理ということでまずは理解をしているんですけれども,これを読まれる方が,すごくいろいろな論点がいっぱいあって,どこからどう手をつけていいものかとか,どういうふうにプライオリティーづけをしていくべきなのかとか,あるいは具体的にはどういうことなのかという辺りで表面的な議論で止まってしまうということが,読み手の立場に立つとちょっと危惧されるところがあります。
 プライオリティーづけをするようなものではまだこの段階ではないとは思っているんですけれども,今後議論が深まっていく際にユースケースもある,具体的な導入のケースの形であるとか,プライオリティーであるとか,そういったものがなるべくこういった中で示されている,プライオリティーを示すということは,あちらを立てればこちらが立たずで,プライオリティーが低い方からすると,どうしてだという話にはなるわけですけど,その辺りの踏み込みがあること,それは戦略としてどういったところからやっていくという考え方なのかということがもし示されると,大分導入の具体性が高まって,それはどういう成果に結びつくのかということにもつながりやすくなるかなと思って,これはな
かなか難しいということは認識した上で,まだ感想レベルのところではありますけれども,意見として述べさせていただきます。
 以上となります。

【清原分科会長】 
 長谷川委員ありがとうございます。アクセシビリティーというか,ICTについて生涯学習・社会教育の視点から提案するときには,澤野委員も口火を切っていただきましたし,山内委員も言っていただきましたように,提示の仕方というのが極めて大事だと思いますので,この点については,せっかく委員の皆様の中にICTの専門家もいらっしゃいますので,表層的な言葉だけじゃなくて,具体的なイメージが例示できるように,また委員の皆様に御協力をお願いしたいと思います。
 2点目の点については,私も牧野委員も正副分科会長の協議の中でそのことをすごく感じておりまして,皆様の御意見を承りながら,是非いい意味でのめり張り,強弱をつけ,プライオリティーは何かということ,これは難しいんですが,要するに分かりやすくメッセージを提言していく方向で,皆様と御一緒にまとめていきたいと思っています。ありがとうございます。
 それでは,辻委員,関委員,澤野委員の順でお願いします。

【辻委員】 
 辻です。
 1ページ目の社会を取り巻く状況等の中の3つ目のポチの部分が,「特に」という言葉を使って,「学校教育以外の学び」ということを言っていただいていて,4つ目のポツは学校教育との連携ということを書いていただいているように思うんですけれども,この学校教育との連携,4つ目のポツのところにその必要性が,「令和の日本型学校教育」の構築ということが挙げられているんですけれども,今日,知的障害の人たちが大学に行けるようにならないものかという議論などもさせていただきましたように,困難を抱えている人たちが学校から社会に移行するときに,いろいろな問題が起きやすいわけです。障害のある方もそうですし,引き籠もりの若者もそうなんです。
 だから是非4つ目のポツのところの「学校教育においても」というか,学校との連携の必要性の理由として,困難を抱えている人たちが学校から社会に移行するときに,そのことが大事なんだというように書いていただけると有り難いなと思いました。
 そのことを根本に置きまして,2ページ目の社会的包摂の実現を図る役割のところに,その方策として学校教育以外で施策が必要なのと,一方で,学校との連携という形で施策が必要だというように書いていただけると有り難いと思いました。
 それから,更に3ページ目のところの基本的な考え方の整理の1)ですけれども,他の行政担当部局やNPO等民間団体と。前回,厚生労働省や総務省や農林省の方からお話しいただいて,他の省庁との連携ということも大事だと思うんですけれども,今述べてきたようなことからいうと,文部科学省の中の連携,総合政策教育局と高等教育局と初中局の連携と。このままだとほかの省庁との連携のように話が流れていくように思いましたので,御検討いただければと思いました。
 以上です。

【清原分科会長】 
 辻委員ありがとうございます。
大事なのは,学校教育と生涯学習・社会教育の連携というときに,きちんとその内容,視点について,誰の視点で連携が望ましいか,必要かということ,そして何よりも文科省の局間でも横連携をすることによる充実も提案していきたいと思います。
 それでは,関委員お願いします。

【関委員】 
 今回,この振興方策を読ませていただいて,本当に現場の人間にとっては大きな勇気をいただける内容ではないかなというイメージを持たせてもらいました。こういった形で,ICTの環境にしてもいろいろな条件整備ができたら,そこの中で何が今できるかということを現場の人たちは考えて,動いていく大きなきっかけになるのではないかと思っております。
 何点かなんですが,1つは,今間違いなく全国各地で様々な新しい取組が生まれておると思います。
先ほどの障害者の生涯学習の事例にしても,今回,事例集を見せていただきましたけれども,本当に既にすばらしい事例が幾つかあると思います。そういった活動実践を広く紹介していただいて,そのことをきっかけにして様々な全国の人々がつながるような体制の整備につなげていただければ何よりかなと思っております。
 あと,地域運営組織,コミュニティー政策の絡みで,全国の公民館等は減っておるような嫌いもございます。そういった中で,そういったものと公民館はこれからどういうふうにつながって,学びをきちんと組み込んで,お互いが一緒にまちをつくっていけるのか,そういったことについてももう少し議論していただけると有り難いかなと思います。
 あと,社会教育の担い手として,社会教育士が今多く生まれておると思うんですけれども,まだまだどういった方向で活躍すればいいかというのが見えてない現状があろうかと思いますので,今回ここの中でいろいろな提案がなされておりますので,何をやればいいか,そういったものをみんなが共有できるような提案になっていければいいのかなと思っております。
 以上です。

【清原分科会長】 
 どうもありがとうございました。
現場感覚と離れないようにしなければいけないということ,そして公民館間の連携ということも更に踏まえたいと思いますし,社会教育士につきましては,先ほど御報告いただいたコミュニティ・スクールの報告書でも,学校運営協働の活動をする担い手が社会教育士から学ぶということも記述されていましたので,是非その辺のこともかなり詳しく書くことが必要かなと受け止めました。ありがとうございます。
 それでは,続きまして,澤野委員,萩原委員,牧野委員の順でお願いします。
 それでは,澤野委員お願いします。

【澤野委員】 
 聖心女子大学の澤野です。
私の方からは,生涯学習・社会教育の定義についてと,地域の中の地域コミュニティーの基盤としての社会教育ということについて,ちょっとだけコメントさせていただきたいと思います。
 前回,発言できなかったんですが,要望として,生涯学習と社会教育が自分の中で,生涯学習の中に社会教育は含まれるものなので,その辺りの定義を報告の中でも書いていただきたいと思います。
次期の教育振興基本計画の諮問でも,「生涯を通じたあらゆる学び,幼児教育から高等教育,そして社会教育」と,社会教育が付け足しみたいな印象もあるんですけれども,そういう形で審議が行われていくようですし,前回,他省庁の方でも,様々な議論の中で割と多世代にわたる生涯学習の観点が地域づくりの中で生きているのかなということも思いました。社会教育を中心に今回も恐らく議論されていくという骨子だと思うんですけれども,社会教育の中でも幼児から高齢者までという地域住民の多様性への配慮と,学校教育,また家庭教育との連携という視点もあるということを,まず共通理解として定義づけが必要なのではないかと思いました。
 もう一つの地域コミュニティーの基盤としてとか,社会的包摂の実現を図るという観点はとてもいいと思うんですけれども,その場合,恐らく基礎自治体,市町村レベルでの社会教育も具体的なことがイメージされているかと思いますが,前回,厚労省とか他省庁の方でも地域づくり,まちづくりの中でかなりインクルージョンの視点があり,そこに関して,厚労省の方でしたでしょうか,重層的支援という言葉があったのが大変印象に残りました。正にそういう多様性への対応,障害のある人もない人もとか,多世代に対する支援ということを考えたときに,重層的支援ということで行政の縦割りもどうにかして解消してということがあったかと思いますので,社会教育・生涯学習の場合ですと,教育委員会と市長部局との連携という仕組みについても大事なことになろうかと思います。
 そして,前回の他省庁の報告の中でも公民館の位置づけがかなり出てきたので,社会教育施設といえば図書館,青少年教育施設とか,地域ごとに違うと思いますけど,博物館,美術館なども様々ある中で,公民館というのが今一番注目され,またそこを改善することが求められているのかと思いました。それで何となくいろいろ調べていたところ,内閣府の方ではデジタル田園都市国家構想というのがあって,そちらも審議会のようなものがあるようなのですが,その中でも包摂的な空間づくりという中で,大学とか地域の中の様々な学びの場,空間を考える中で公民館DXという言葉も出てきていて,そちらの方からも公民館のデジタル化のような予算がつくのかなということを感じました。
 ですが,公民館とか社会教育に重要な点は,デジタル化も本当に大切で,今後の様々な機能を考える上でそれが進むことが非常に望ましいと私も歓迎したいところです。私は渋谷区在住・在勤なんですけれども,「シブヤ大学」という地域の生涯学習に主体的に関わっている若い世代の人たちとちょっとお話しする機会があったところ,Z世代の人たちが今,SNSではなく,リアルなつながりを逆に求めるようになっていて,しかもそういう学びの場でも社会貢献とか社会的な問題について対面で意見交換をしたい,つまりSNSを使うとすぐに炎上してしまったり,フェイクのような情報とどう闘うかみたいな問題も多分出てきてしまうため,そういう人たちみんなが対面で集まれる公共の場として公民館というのが存在するのではないかということで,再注目しているということも伺いました。
 なので,公民館が,都内ですと多目的な生涯学習センターとか,社会教育館とか,名前も変わってきていたり,そういう多目的な行政部門も福祉部門と一体型になっている場合が多いかと思いますが,地域に目を向けると,地方都市の中などでも公民館活動が非常に盛んな例などもあると思いますので,そういうグッドプラクティスの事例についても,まちづくりの中での学習都市とか生涯学習宣言都市とか,多久市や岡山市などもユネスコのグローバルラーニングシティーに入っていたりするような都市だと,まち全体でまた社会教育施設もうまく位置づいている例が日本にたくさんあると思いますので,そこのところは国際的にも日本型生涯学習としてアピールできる部分ではないかと思いますので,そういう事例についても検討した上で,報告書がまとめられたらいいのではないかと思いました。
 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。皆様,予定されている15時が近づいてまいりまして,申し訳ございません,まだ御発言が萩原委員,そして牧野委員残っておりますので,御都合のある方は15時の予定でございましたので,どうぞ御退席ください。お時間に余裕のある方はもうしばし延長させていただきますので,御参加いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 それでは,萩原委員お願いいたします。

【萩原委員】 
 時間がないところ,ありがとうございます。簡単に。
 リカレント教育の推進のところなんですけれども,私どもの大学院は社会人向けですので,民間企業あるいは公務員の方々がいらっしゃっているんですが,残念ながら中には職場に黙ってきている方もいらっしゃいます。ですから,是非この辺りに企業と職場の理解,あるいは仕組みをつくるであるとか,支援の推進等も入れていただければと思います。
 以上です。ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 どうもありがとうございます。働くということと学ぶということの両方を保障する仕組みということも,現実的にもっともっと必要になってくると思います。
 それでは,牧野委員お願いいたします。

【牧野副分科会長】 
 すみません,お時間のないところ。私の方から1点だけなのですけど,本当はあれこれ言いたいことがあったのですが,1点だけ。
 今回も議論のまとめの整理をつくるに当たって,テーマを決めたらどうかとも思っていまして,第10期の議論のまとめが,横尾委員からの御提案もあって,命を守る社会教育ということになっていたと思うのです。
それで誰一人取り残さないということにつながるわけですけれども,今回それを受けた形でさらに,先ほどからの皆さんの議論を聞いていますと,例えば「よりよく生きるを励ます社会教育」ですとか,「よりよく生きるという意思決定を支援する社会教育」というのはいかがかと。そういう形でテーマを決めて,そこに議論が収れんするような構造を取ったらどうかなと思いましたので,その理由については今日は時間がありませんから申しませんが,ちょっとお考えいただければと思いました。
 以上です。

【清原分科会長】 
 どうもありがとうございます。冒頭の御発言で,横尾委員も自己成長とか人間力とか,何を自分たちが大事にして,保障していくための生涯学習・社会教育を提言するかということを明記した方がいいとおっしゃいました。
そして牧野委員からは,本日,最後の発言になりますが,「よりよく生きるを励ます」,そして「一人ひとりの意思決定することを尊重し,保障していく」というメッセージを鮮明に出していってはどうかということでございますが,もう時間は過ぎておりますが,このような具体的な政策や提言の内容を凝縮したメッセージのようなものを今期の生涯学習分科会として提言していってはどうかと。
言葉は今日決める必要はないと思いますけれども,そんな方向性については皆様いかがでしょうか。どうでしょう。
 うなずいていらっしゃる方が多いので,これからまた意見交換の時間を次回も持たせていただきますので,その中で皆様が出していただいた多様な視点,そして具体的な御意見,それらを集約して「命を守る」という生涯学習・社会教育を推進して,更に今の厳しい社会状況の中で「よりよく共に生きることを励ます」でしょうか,そのような方向性を皆様と念頭に置きながら具体的な提言ができればと思います。
そのことも,本日,御報告を頂きました「障害者の生涯学習の在り方」でありますとか,「コミュニティ・スクールの在り方」の検討が私たちの生涯学習分科会の議論と密接な関係を持っていることによって,内容が皆様によって更に深められたように受け止めました。
 それでは,議案1については,時間の関係で本当に申し訳なく思いますが,ここで一旦閉じさせていただきたいと思います。
 本日の議題は以上になります。
 事務局から連絡事項がございましたら,お願いいたします。

【神山生涯学習推進課長】 
 資料4を御覧いただきますと,次回の第117回の分科会では報告書の素案を提示させていただいて御議論いただいて,その後2回ほどにわたって報告書のまとめに向けて議論を頂きたいと考えております。
日時につきましては,暫定でございますけども,資料4に記載のとおりの予定をしておりますが,後日,改めて日程調整をして,開催日時を確定させていただきたいと考えてございます。
 以上でございます。

【清原分科会長】 
 それでは,文部科学省社会教育振興総括官の根本さん,一言,今日の会を踏まえて御発言いただけますか。

【根本社会教育振興総括官】 
 ありがとうございます。すみません,国会の関係で今ほど到着しました。
 私も長く公務員生活をさせていただきまして,この審議会につきましては,10期,11期につきましていろいろと先生方の御意見等を拝聴させていただきながら,次の内容について進めるということをさせていただいております。
 ただ,そういう中でございますが,私,これで定年退職ということになりまして,4月からは少し命の洗濯をして,また何らかの形で社会教育・生涯学習のお役に立てればと思っているところでございます。
 先生方におかれましては,本当にいろいろな貴重な御意見を頂きまして,これからの社会教育・生涯学習というのはまたいろいろな社会の変化,特にSociety5.0とか人生100年時代,また地域のいろいろな教育力の変化,低下等に伴っている中で,新しいコミュニティーをつくっていくことも非常に重要になってきている,またそれが求められている時代になってきていると強く感じております。
 そういう国からの発信ということが非常に重要な役割を担うと思っておりますので,議論を更に活性化していただきまして,またいろいろな整理をまとめていただければと思っております。ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 根本さん,ありがとうございました。根本さんにおかれましては,この第11期の生涯学習分科会発足のときには生涯学習推進課長として私たちと御一緒していただいて,そして(その後は社会教育振興総括官という)新たな役割を担ってこられましたが,これまで社会教育・生涯学習の現場に多くいらしたと思います。
 めでたく定年退職ということでございますが,これからは一市民一国民として,これからも生涯学習・社会教育の現場でお目にかかる機会があることを願っております。
皆様と御一緒に拍手でございます。(拍手)お疲れさまでございました。

【根本社会教育振興総括官】 
 ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 それでは,以上をもちまして本日の生涯学習分科会を閉会といたします。
 いつもながら皆様の熱心な御発言によりまして時間が延長してしまい,分科会長として申し訳なく思いますけれども,ただ,この骨子を踏まえた皆様の御意見が,これからの今期の提言の取りまとめに大きな血となり肉となると信じております。
 本日は大変ありがとうございました。
 これにて閉会でございます。

―― 了 ――

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