生涯学習分科会(第114回) 議事録

1.日時

令和3年12月21日(火曜日)13時00分~15時00分

2.場所

文部科学省 東館5階5F4会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. 第11期生涯学習分科会の検討課題について
  2. 第11期生涯学習分科会の議論の方向性について
  3. その他

4.出席者

委員

(分科会長)   清原分科会長
(副分科会長) 牧野副分科会長
(委員)    今村委員,内田委員,清水委員,中野委員,萩原委員
(臨時委員)   伊東委員,金子委員,澤野委員,関委員,薗田委員,千葉委員,辻委員,長谷川委員,松本委員,宮城委員,山内委員,横尾委員

文部科学省

(事務局)藤原総合教育政策局長,出倉大臣官房審議官,根本社会教育振興総括官(併)地域学習推進課長,山下生涯学習推進課長,伊藤生涯学習推進課民間教育事業振興室長,宮本男女共同参画共生社会学習・安全課室長補佐 他

5.議事録

【清原分科会長】
 皆様,こんにちは。
定刻になりましたので,ただいまから第114回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。
 本日は,大変御多用のところお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 本会議は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止するため,ウェブ会議方式にて開催させていただきます。
 本日は,YouTube上で,報道関係者及び一般の方々の傍聴を受け入れております。また,本日,報道関係者等より,会議の全体について録画を行いたい旨,申出がありまして,許可しておりますので,御承知おきください。
 次に,ウェブ会議運営に当たっての留意事項の説明及び配布資料の確認を事務局よりお願いいたします。

【山下生涯学習推進課長】 
 ありがとうございます。
 本日は,ウェブ会議方式にて開催させていただきます。御不便をおかけすることもあるかと存じますが,何とぞ御理解のほど,よろしくお願いいたします。
 ウェブ会議を円滑に行う観点から,4点ほどお願いさせていただきます。
 1点目,御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいよう,はっきり御発言いただく。
 2点目,御発言の都度,名前をおっしゃっていただく。
 3点目,御発言以外は,マイクをミュートにしていただく。
 4点目,発言に当たっては,手を挙げるボタンを押していただき,御発言後はボタンを解除いただきたいと思います。
 お手数をおかけいたしますが,御協力のほど,よろしくお願いいたします。
 それでは,資料の確認をさせていただきます。議事次第及び資料1から資料5,参考資料1から3を配付してございます。

【清原分科会長】 
 それでは,改めまして,分科会長の清原でございます。
 議事に入ります前に,御連絡がございます。
 これまで委員を務めていただきました髙倉委員が退任されまして,ここで御紹介をさせていただきますが,金子晃浩委員に新たに御参加をいただいております。
 金子委員,一言御挨拶をお願いいたします。

【金子委員】 
 はじめまして。本年9月の自動車総連の定期大会をもちまして会長に就任いたしました金子と申します。
前任の髙倉同様,どうかよろしくお願いいたします。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。
 金子委員は,日本労働組合総連合会副会長でいらっしゃり,全日本自動車産業労働組合総連合会の会長でもいらっしゃいます。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは,ここで議題の(1),第11期生涯学習分科会の検討課題についてに入らせていただきます。
 この議題の検討に当たりまして,前回の審議を踏まえて,事務局において,第11期生涯学習分科会の検討課題及び本日の審議について,資料を作成していただきましたので,事務局からまず説明をお願いします。
 山下課長,お願いいたします。

【山下生涯学習推進課長】 
 ありがとうございます。皆さん,資料1を御覧ください。
第11期の検討課題及び本日の審議についての資料でございます。
 本日は,議論すべき事項が多々ございますので,私から,本資料については簡潔に説明させていただきます。
 1枚目,第11期生涯学習分科会の検討課題についてでございますが,前回の会議での御意見を踏まえまして修正した事務局案でございます。修正箇所は赤字にしてございます。
項目に変更はございませんが,前回は,内田委員から,「日本の生涯教育におけるウェルビーイング概念の適用について」,また,ゲストスピーカーの乾先生から,「社会人に学習を促すうえでの課題と個人の学習が社会に及ぼす効果」とのタイトルでプレゼンをいただいたところでございます。活発な意見交換をいただき,それらを踏まえて,検討課題の3,「生涯学習・社会教育が持続可能な地域社会を形成・維持していくために,学びの過程はどのようにあるべきか」に,「個人や地域社会のウェルビーイングを支える場としての生涯学習・社会教育基盤の在り方」を検討課題として追記してございます。
 次に,2枚目をめくっていただけますでしょうか。本日の審議の進め方(1)でございます。
 本日の審議の中心テーマは,「これからの社会で活躍するために求められる能力とその育成方法」としてございます。
 長谷川委員と山内委員に,それぞれ御専門である「これからの社会におけるアート教育やデザイン教育」について,あるいは「生涯学習におけるオンライン学習の位置付け」について御発表いただきます。
 その後,40分程度,質疑応答と意見交換を予定してございます。
 次に,3枚目,本日の審議の視点(例)でございます。
 本日の審議のテーマ,「これからの社会で活躍するために求められる能力とその育成方法」に関しまして,1枚目にお示しした検討課題のうち,2及び3を中心に御審議いただき,新たな視点での教育の可能性や,方法論等の意義を明らかにしていただきたいと考えてございます。
 審議の視点の例を事務局案としてお示ししてございます。
これらを参照していただきながら,忌憚なき御意見をいただきますよう,よろしくお願いいたします。
 次に,4枚目,本日の審議の進め方(2)でございます。
 こちらは,年明け以降の本分科会の議論の取りまとめに向けて,どのように議論を進めていくべきかという問題意識の下で,資料4として,清原分科会長と牧野副分科会長に資料を作成いただいております。
 これを本日は,牧野副分科会長に御説明いただき,本日のところは,委員の方からどうしても確認すべき点があるという方の御質問のみを受ける形にさせていただき,正式な議論は年明けの会議,2月15日に開催予定でございますが,そこで各委員の皆様に意見交換をしていただきたいというところでございます。
 各委員の方におかれましては,年末年始の慌ただしい中でございますが,是非本日のこの資料を前提で意見交換したいこと,各委員それぞれの立場で,御意見を,できれば文書にまとめていただき,事務局に1月中を目途に御提出いただければ,そちらも次回の会議資料にさせていただき,各委員の意見を踏まえて,さらに意見交換をさせていただき,議論を深めていきたいというふうに事務局としては考えているところでございます。
 簡単ですが,私からは以上です。

【清原分科会長】 
 山下課長,ありがとうございました。
 今御説明いただきましたように,第11期の生涯学習分科会は,特に大臣から諮問をいただいているわけではございません。そこで,私たち分科会の委員が,主体的に検討課題を設定しつつ,委員の皆様の今実践されていらっしゃること,これまでされてきたこと,今後の方向性などについて御報告をいただくことをこれまで重ねてまいりました。
 本日も,2名の委員の皆様に,まさにこれからの社会で活躍するために求められる能力とその育成方法について御報告をいただき,私たちの共通認識を固めていきたいと思います。
その後,今後の検討の方向性について,牧野副分科会長に提案をしていただくという段取りでございます。
 それでは,第1の議題の中で,「これからの社会で活躍するために求められる能力とその育成方法」というテーマで,まずは,その検討材料として,長谷川敦士委員と,山内祐平委員より発表していただきます。
 最初に,「これからの社会におけるアート教育とデザイン教育」について,長谷川委員に20分程度御発表いただきます。
 それでは,長谷川委員,どうぞよろしくお願いいたします。

【長谷川委員】 
 では,私のほうからプレゼンテーションをさせていただきます。
これから20分程度,話題提供させていただきたいと思います。
「これからの社会におけるアート教育とデザイン教育」と題しまして,私のほうから話題提供させていただきます。
 簡単に自己紹介させていただきますと,私,長谷川敦士と申しまして,現在,武蔵野美術大学という美術大学で,今日御紹介する造形構想学部という,アーティスト,デザイナーの育成ではなくて,アート,デザインを学んで,例えば自治体で働くであるとか,企業の一般の企画職で働くであるとか,そういった人材を育成するような学部,大学院というところで,現在,教員をやっております。
同時に,株式会社コンセントというデザインの会社を,もう20年ぐらい自分でやっております。
 ここに紹介しております書籍『THIS IS SERVICE DESIGN DOING』という本も御紹介させていただいておりますけれども,こういったサービスデザインという概念,今日はそこは深くは触れませんけれども,事業開発にデザインを使っていくサービスデザインという概念を啓蒙するような,啓発するような団体の日本代表を行っておりましたり,人間中心デザインと言われておりますようなアプローチの普及に努めるNPOをやっておったりもしております。
 一応,バックグラウンドは理系で,もともと物理から認知科学に移りまして,その後,デザインをやっておるということです。
 早速内容に入っていきますけれども,まず,昨今,デザインというものが社会で求められているわけですけれども,これは世の中の変化ということがまず大きな要因となっているというふうに考えられております。
 テクノロジーがインターネットの普及,スマートフォンの普及で,一人一人がコンピューターを持ち歩く時代に今なっている。AIが普及していって,より高度なテクノロジーを使った,個人に,一人一人に最適化したようなソリューションがつくれるようになっている,こういったようなテクノロジーが変化していくような背景ですとか,あと,ビジネス自体も,それに伴いまして,物を提供する,物をそのまま受け渡すだけではなくて,それをサービスとして提供するというような体験を提供する時代に変わってきている。あるいは,経済も,今,サーキュラーエコノミー(循環経済)などということが言われておりますけれども,成長だけではなくて,循環を考えていく,社会システム自体も考えていかなければいけないと,こういうビジネスの変化が起こっている。
 こういったことを総合的に社会の変化ということと,経済,政治,国家といったような,そういった観点も同時に考えていかなければいけない,こういういわゆるVUCAの時代と言われているような,ちょっと先が読めない時代になってきている。こういった時代の中で,問わなければいけない,解決しなければいけない問題というものの種類が変わってきているということが指摘されております。
 これは,「Wicked Problems」と言われております。「厄介な問題」というふうに日本語で訳されたりしますけれども,従来型の最適化を図っていく,単純な問題ですとか,それらが組み合わされた問題というのは,基本的には解がある問題を,そこに目がけて解いていくということが行われておりましたけれども,今,我々が,社会が直面している問題というのは,解もよく分からないし,正解もあるのかないのか分からないし,そもそもそれが問題なのかもよく分からないというような,まさに厄介な問題なわけですけれども,こういった問題に社会が直面しているというふうに言われておるわけです。
 こういった問題に対して,どのように向き合っていくのかというときに,従来ですと,これまでの実例から仮説をつくって,それを実行するということが行われていたわけですけれども,しかし,もう新しいことを考えていかなければいけないので,仮説というものが存在していない。
どうしようかということで,ここでデザインのアプローチが登場するわけですけれども,デザイン,あるいはアートの分野で「習作」という概念がありますけれども,よく分からないものに対して,考えていてもらちが明かないので,まずはつくってみて,つくってみると,そこから仮説が見いだせる,つくってみたものから,自分でも想定していなかったような新しい仮説が見つけ出される,こういったような行為といいますのが,いわゆるアブダクションというふうに呼ばれておりまして,演繹機能に加えて,第3の思考方法というふうにも言われたりしますけれども,仮説形成,アブダクションという思考がデザインの分野の中ではもともと行われておりまして,こういうアプローチ,分からないものに対して,まずはチャレンジしてみる,こういう考え方などが今の社会で厄介な問題に対して適切なアプローチであろうというふうに考えられて,こういったところがデザインの思考が社会で求められている一側面にあるかと思います。
 加えまして,人間中心デザインという考え方がございまして,これは,デザインを行うという行為の,今,社会でユーザーエクスペリエンスデザイン,ユーザー体験のデザインというような言葉などがよく聞かれるようになっておりますけれども,基本のアプローチはこういうダイヤグラムで表現することができまして,まず,この2のところからのスタートですけれども,利用の状況の把握と明示化をする,観察をするわけです。そこから課題が何かということを見いだしていって,それにアイデアをつくって,それを評価することで検証していく,こういう人に合わせて,物がどういうスペックがあるかということ,物のほうから考えるのではなくて,人に合わせて考えていく,こういうアプローチというものがHuman Centered Designということで,かれこれもう30年ぐらい使われている手法ですけれども,こういうアプローチが現代のデザインの思考として有効と考えられています。
 このアプローチが,これはもともとデザインの分野の中でつくられたものでしたけれども,ビジネスにもこのアプローチが使えるであろうということで,2000年代中盤ぐらいから,日本でも大分今,普及してきておりますけれども,デザイン思考というふうに言われるアプローチ,これはデザイナーのやっていることを非デザイナーがやってみるという意味で,ビジネスパーソンですとか,教育の現場ですとか,あるいは一般の日常ですとか,様々なところで応用ができるものですけれども,最初にユーザーの共感を,これは観察によって共感を得て,そこから課題を提示して,それをアイデアで解決策を考えて,試作をつくって評価をする。
先ほどぐるっと描いていた絵を,実は横に並べて,ちょっとキャッチーな感じに言っている。基本的には同じことを言っているんですけれども,こういったデザインの思考というものが有効であろうということが,ここ15年ぐらいビジネスの中では普及してきている。
 例えば,これはアメリカのGEのCTスキャナーを,ちょっと子供の遊園地のようにデコレーションがしてあるわけですけれども,子供がこういう計測機器に入るというのは怖いわけです。そういうものを,この場所自体をちょっと楽しげにするということで,子供の不安を取り除いて,楽しくはないかもしれませんけれども,検査ということを子供にもできるようにする。
例えばこういうことなどは,デザイン思考の,子供の観察ですとか,そういったところから新しい解決策をつくっていくというようなアプローチとしてはよく知られておりますけれども,こういった形でデザインの思考によって,本当のユーザーの困り事をとらえて解決するということなどができるということで,これはビジネスの世界では大分一般化してきているという状況があるかと思います。
 加えまして,このデザインのアプローチというものをさらに抽象化いたしますと,これはデザインの分野の中でダブルダイヤモンドと言われておりますアプローチに一般化することができます。
 これは,2つダイヤモンド,ひし形があるわけですけれども,1つ目のダイヤモンドは,まず調査をして課題空間を広げていって,課題をいろいろな可能性を見ていって,そこから1回,収束という形で,問題が何かということを定義する。そこで問題の定義ができると,今度は解決策を探索を始めて,解決策をつくっていく。このように,まず課題を見つけて,その後,課題を解いていく,こういう2段階で考えていくというものがデザインのプロセスとして一般化されておりまして,こういうアプローチで問題に対して向き合っていく。つまり,まず最初からもう課題解決を行うのではなくて,課題がそもそも何なのかというところから向き合っていく,こういった辺りもデザインのアプローチの特徴というふうにいえるかと思います。
 まとめますと,デザインのアプローチ,デザイン思考というものがいろいろ生かされる局面といいますのが,冒頭述べましたアブダクション,試しにつくってみる,こういったようなやり方が,様々な局面の中で,今,求められていることを理解し,体得するということが1つはデザインの思考を身につけるということになってきます。
 2つ目が,ユーザー中心に考える。ユーザーということを考えて,その人にどう向き合っていくかということを適用するような,そういったアプローチというものがデザインの中で培われてきましたので,これを習得することができる。
 3つ目が,ダブルダイヤモンドのアプローチで,すぐに解決を考えるのではなくて,まずは課題の探索を行って,そこから解決策の探索を行っていく,こういうアプローチ。
 こういった辺りにデザインの思考を一般のデザイナーでない人たちが学ぶということの意義があるのかなというふうにいえるかと思います。
 続きまして,今度,アートのほうですけれども,こちらはいわゆる美術鑑賞ということとは別に,アートとして自分でアートを生み出してみるということが,実はアートの思考として重要というふうに言われております。
 その際には,自分だけの物の見方,いろいろなものを観察して発見することによって,ユニークな自分の物の見方ということを会得しまして,そこから自分なりの解決策,自分はこう考えるのだというような答えを見つけ出して,そこから社会に対して何か新しい問いかけを行っていく。
どうしてこれはこうなっているんだろうかとか,素朴な疑問とよく言われますけれども,社会の中で様々な新しい問いを生み出していく。こういうような態度というものが,アートの視点を学ぶ,アートを学ぶことによって得られる思考形式というふうに考えられておりまして,これを従来の思考法と対比いたしますと,ロジカルシンキングと言われている思考ですと,例えば誰かにプレゼントをするということを行うときに,ロジカル思考ですと,リサーチをして,今の10代の人は何が好きなんだろうとか,そういうリサーチの結果からプレゼントを考える。
これがロジカル思考というもので,デザイン思考は,リサーチというよりは,実際に観察を行って,そこから何をあげたらいいかを考える。これがデザイン思考で,アート思考というものは,そこにお構いなくと言うとちょっと語弊がありますけれども,自分がどういうものをあげたいのかということから考える。このような対比として表現できるというようなことなどが指摘されております。
 また,別の見方をしますと,ロジカル思考というものは,これは10を100にするような,最適化を図っていくような思考であり,デザイン思考というものは,もう既に存在している課題を見つけ出して,そこから解決策を見つけていく思考。アート思考というものは,何もないところから課題自体,価値自体をゼロから見つけ出す思考というふうに整理することもできまして,こういった観点から,従来型の,冒頭述べましたような社会のいろいろな未知のWicked Problemsに対して,こういったデザイン思考,アート思考という態度が求められている,このように指摘がされているわけです。
 実はこういった人材育成につきまして,経済産業省さんの事業といたしまして,「高度デザイン人材育成の在り方に関する調査研究」,高度デザイン人材とは言っておりますけれども,実はここで言っておりますのは,デザイン素養を身につけたビジネスパーソンの育成ということを想定いたしまして,世界中のそういった教育を行っている教育機関をリサーチして,そこからどういったカリキュラムモデルがつくれるかという調査研究事業ということを2018年,19年に実施しておりまして,私のほうでそちらの座長を務めさせていただいております。
 その中では,学習要件といたしまして,デザイン,アートと,ビジネスにそれを生かしていくということで,リーダーシップ,あるいはビジネス知識というものも必要というふうに整理がされておりまして,デザインの中では,実際にデザインの何らかのデザインスキルということを体得することによって,先ほど述べましたようなアブダクションの思考であるとか,そういったものを身につけていく。
 加えて,デザインについても,これは哲学というふうに言っていますけれども,デザインアプローチ自体が何なのかということを理解するような,ちょっと俯瞰して見るような視点ということと,アートのトレーニングを受ける,こういったようなことが,まず,学習要件としては必要であろうと。
 加えまして,それを育成するための教育の場といたしまして,いろいろな現場が重要である,コラボレーションが重要である。
 また,教師陣も様々なバックグラウンドが必要であろうと。それらを教育する場として,オープンな文化と環境というものが必要で,評価の枠組みも,チャレンジを評価しなければいけない。このようなことが明らかになってきました。
 実践中心の場での学びであるとか,不確実な状況で試行錯誤をするということですとか,あと,どういった人々とやるかということが重要であるとか,あと,全てを1人で教えられるわけではありませんので,様々な教育の環境でも教師が必要になってくる。そういったものを含めて,オープンな環境で行動を評価するということが重要である。こういったことが見えてまいりました。
 こういったことの実践といたしまして,私は今,武蔵野美術大学というところで教員をやっているんですけれども,武蔵野美術大学という美術大学ですけれども,従来,鷹の台キャンパスという小平市にあるキャンパスがありましたけれども,こちらに加えまして,新しく2019年に,新学部を設置いたしまして,市ヶ谷,都心の市ヶ谷にキャンパスをつくりまして,そこでインスティテュートオブイノベーションという名前で,学部,大学院,研究所という形で連動した教育プログラムをつくっております。
 こちらの中では,社会人も通えるような大学院として設置をしておりまして,今日この大学院のことを御紹介したいと思いますけれども,社会人,いわゆる学部卒の大学院生,留学生といった人が混在する環境で,実際には,先ほどの学習要件のような不安定な環境下でのプロジェクトを実践するようなことを行ったりですとか,修士研究を行ったりですとか,企業との事業を行ったりといったことを実践しております。
 実際に,これはリサーチウォールという,デザインの現場で壁にいろいろな調査結果などを貼りつけて,そういったものを見ながら検討するような,こういう演習課題を行ったりですとか,そういったもののアウトプットがこういうものになるんです。あと,アートの授業も行っておりまして,これまでアートをやってきたことがないような社会人たちが,武蔵野美術大学の美術の専門の教員の下で,こういったアートの製作ということを行っていって,テーマに基づいて,実際に自分たちも作品づくりをやってみるということですとか,あるいは,デザインエンジニアリング,IoTのプログラミングを実践してやってみる,そういったようなことなどを実践している。
 そういったところからの学びといたしまして,冒頭述べましたようなアブダクションアプローチというものを,実際に実践を通じて体得していくということで,ビジネスパーソンたちの学びというものが大変あるなということを感じております。
 あと,アート教育につきまして,これは普通にビジネスを行っている,バックグラウンドが非デザイン,非アートのビジネスパーソンたちが,アート教育に物すごく関心を高く持ちまして,実践をしているというところも感じております。
 あと,企業,地域,教育などにおいてプロジェクトを実践していきますと,やはりリアルなプロジェクトに,課題ではなくてリアルなプロジェクトに入っていくということで,正解のない,例えば地域に実際に行ってプロジェクトを一緒にやったりしますけれども,簡単には解決できない課題というものの中で試していくということで,教育効果というものは大変高いなということを感じております。
 あと,多様性です。社会人,学部卒生,留学生/一般大卒,美大卒が混在している環境ということで,本当にもうカオティックな環境になるんですけれども,逆にそこでの学びというものは大変大きいなと感じております。
 あと,修士研究を行っているということで,学び,インプットするだけではなくて,アウトプットするということも強いておりますので,これは大変よい学びになっている。
 あと,社会人大学院生というのは,やはり忙しい仕事の合間を縫って来ておりますので,大変学習効率が高いということも実感をしているところです。
 といったところで,最後のまとめですけれども,今お話しした内容が,基本的には話題提供という形で,是非皆さんからも御意見を伺いたいのですけれども,社会におけるアート,デザインというものをどのように理解してもらうのか,その環境というものをリカレントの教育ということもありますし,教育者を育成するということでの環境をどうつくっていくのか。
 あと,中等教育の機関で「探求型学習」というものが最近盛んに行われておりますけれども,実はこの探求型学習は,アート教育,デザイン教育と構造が近いこともありまして,こういったものとどういうふうに接続をしていったらいいのか。
 あるいは,もっと遡りまして,初等教育の図工・美術の教育というものも,やはりこういったことを視野に入れながらいくと効率がよいのではないかというような視点。
 そういったときに,従来,美術家の育成として存在していた美術大学というものも,やはり存在も変わっていくのかなということなどを感じておりまして,是非今日はそういった辺りを議論させていただければと思っております。
 といったところで,私のほうから話題提供とさせていただきます。

【清原分科会長】 
 長谷川委員,ありがとうございました。
 いろいろ御質問,御意見あると思いますが,それはこれから山内委員から御報告いただいた後で,皆様と意見交換したいと思います。
 それでは,山内委員からは,「生涯学習におけるオンライン学習の位置付け」について,やはり20分程度で御発表いただきます。
 山内委員,どうぞよろしくお願いいたします。

【山内委員】 
 よろしくお願いいたします。私,東京大学大学院情報学環というところで学環長,部局長をしております。
研究としては,情報社会における学習環境について,どうデザインしていくか,特にICTをどう活用するかみたいなことについて研究をしておりますが,今回は特にオンライン学習の話,特に大規模に国際的に行われたオンライン学習,MOOCと呼ばれますが,この話と,対面学習とオンライン学習をどう組み合わせるかという観点で,私が行いました反転学習に関する研究プロジェクトの2つを御紹介したいと考えております。
 御存じの方も多いと思いますが,このMOOCというのは,Massive Open Online Courseの略で「MOOC」と呼ばれておりますけれども,数千人から数万人程度が,大学や企業・生涯学習機関の講座を無償で受講できるような仕組みでございます。
 具体的には,5分から10分程度に分割された映像を,基本,大学の授業を模しておりますので,1週90分程度のものが4週から8週ぐらいあって,映像を見た後に掲示板等でディスカッションをしたり,質疑応答したりして,最終的にテストをして,合格すると履修証明証というものがもらえる。
受講は無償なんですけれども,履修証明書が必要な場合は,大体1コース数千円程度ですが,そこが有料になっておりまして,プラットフォームは,この履修証明証の収入で運営をしている,そういうものでございます。
 私,最初に自己紹介のときに少しお話をさせていただきましたが,今,主ないわゆるグローバルMOOCと呼ばれている国際的に展開しているMOOCプラットフォームは,両方アメリカにありまして,1つはCourseraというスタンフォード大学の教授らが設立したソーシャルベンチャー企業,2012年につくられたものですけれども,これが参加組織数が253で,配信講座数が4、600,登録者数が7、600万人というふうになっています。
 2位のedXは,ハーバード大とMITがもともとNPOとして設立したものですが,ちょうど今年ですか,民間企業である2Uというところに売却されまして,こちらが登録者数が3、500万人ということで,両方登録している人はいるんですけれども,延べ数としてカウントすると,基本的に,こういうグローバルMOOCに登録している人が1億人を超えている。つまり,日本の人口に相当するような人たちが,こういうMOOCで学んでいるという状況にあります。
 ちなみに,このグローバルMOOCに対して,地域的に展開しているMOOCをRegional MOOCというふうに言いますけれども,例えば,イギリスのものは,英語なのでリージョナルにしてはちょっと大きいんですが,イギリスは国策で,ユニバーシティ・オブ・ザ・イヤーとかが中心になって,Open Universityが中心になって設立しているようなFuture Learnというのがあって,日本の場合はJMOOCというMOOC推進の協議会組織があるという形になっていますが,スケールが大分違うのはお分かりいただけるかと思います。
 ちなみに,Times Higher Educationランキングトップ25大学のうち,Courseraの加盟が16大学で,edX加盟が16大学で,両方に10大学が加盟していて,東京大学は,このCourseraとedXに両方に加盟している大学になります。
 私は,このMOOCの事業を立ち上げるところを担当させていただいて,今は大学総合教育研究センターというところで,継続的にコースの開発,運営が行われておりますが,現在,18コースで提供されておりまして,特に私が深く関わったのは,この左側のCourseraのところで,上の一番右上に,「From the Big Bang to Dark Energy」というコースがありますけれども,これは物理学者の村山先生が提供している宇宙の始まりと終わりに関する非常に面白い講座で,このコースが今でも東京大学のコースの中で一番人気があります。
 どういう方が受講しているかというのをこのコースで事例として申し上げると,実はこれ,コースに入ると,自己紹介の掲示板があるんです。
そうすると,面白いんですけれども,どんな方が受講しているか自己紹介してくれるから分かるんですけれども,我々が想定していたのは,これは大学の一,二年生レベルのものなので,多分,高校の先生は興味を持たれるかなと思って,例えばイタリアから高校の物理の先生が,自分の専門性をアップデートしたいからこの講義を受講しましたみたい
な,そこは何となく予想していたんですけれども,結構こういうニーズがあるんだなと思ったのが,いわゆるひきこもりの中学生,高校生というか,例えばパキスタンからアクセスしていた女の子なんですけれども,中学生の子でしたけれども,将来,宇宙生物学とかを勉強したいんだけれども,やっぱり自分の身の回りの学校だと,十分自分の関心に沿うような教育が受けられないので,このコースを取りに来ましたというのです。これは,実はNHKの「クローズアップ現代」で取り上げられて,実際にこういう子が受講しているんだというのを番組で知るという状況だったんですけれども,そういう子であるとか,日本だとインターナショナルスクールに通っている子で,高校の先生に推薦されたであるとか,あとは,ちょっと意外だったんですけれども,ニューヨークにいる看護師さんの女性の方ですけれども,自分は子供に是非科学者になってほしいと思っていて,子供と科学的な対話ができるようになるために,この講座を受講しましたと,本当に生涯学習らしく,いわゆる高等教育の範囲では収まらないような,いろいろな学習のニーズを,今のは物理で紹介しましたけれども,それぞれ物理学のコースもあれば,建築のコースもありますし,もう少し人文的なコースもありますし,いろいろなコースがあるんですけれども,それぞれで学習が行われているような状況でございます。
 今日御報告したいのは,このMOOCがいろいろ発展をしてきていて,対面学習にどうつながっていくかというところは結構ポイントになるかと思いますので,少し補足をしておきたいと思います。
 今,発展の形態として2つの方向性が出てきていて,1つは,こういったコースを複数束ねたカリキュラム化が進んでいるということ。もう1つは,これを基盤として学位プログラムに展開されているということです。
 ちょっと具体的な事例を基にしながらお話をしたいというふうに思いますけれども,さっきの束ねるという意味では,一番最初に出てきたのが,このジョンズホプキンス大学で出しているData Science Specializationsという,これはCourseraのある種のカリキュラムなんですけれども,御存じのように,データサイエンスというのは,今日の議論と直結すると思いますけれども,これから必要な能力の割と筆頭としてよく挙げられるもので,ただ,このデータサイエンスに関して,ある程度やっぱり学んで専門性がついたというためには,さっきMOOCの1コースというのは,その大学の授業の大きさにもよりますけれども,大体1コース当たり半期分から1期分に当たるぐらいの大きさなんです。つまり,大学の1つの授業を受けたからといって,データサイエンスに関して,ある程度専門性があるという状況にならないわけです。
なので,コースを9コース束ねて,かつ,一種のプロジェクト学習です。キャップストーンプロジェクトといわれまして,学んだことを,例えば自分の会社の中で実際のデータを分析してみるみたいなことをやって,それを評価するみたいなものを全部束ねて10コースぐらいにすると,これはかなり本気になって,半年ぐらい必死になって勉強しないと,このSpecializations全体を修了することができないんです。
なので,やっぱりこのSpecializationsを修了しているという修了証があると,企業の中でも,これはある程度データサイエンスで詳しい人だなと認めてもらうことができるというので,LinkedInとかにそういうものをアピールしたりしている場合が結構多いんですけれども,そういうことができるというので,爆発的にこれが普及しました。
 これをきっかけに,もう少しビジネス寄りのものとか,今日のお話でいうと,デザイン思考的なものも実はあるんですけれども,それも含めて,かなり現代的な仕事に直結した専門性があるコースを束ねる形でカリキュラムがどんどん展開されています。
 ちなみに,これは修了証は先ほど有料だという話をしましたが,修了証は10コース分なので,大体数万円です。ですが,内容を見ると,これはちょっと一概には言えませんが,恐らく一般的に行われている企業に派遣してくるタイプの,もしくは企業が社員を送り出して受講するタイプのいわゆる企業内教育の研修プログラムでいうと,数十万円分ぐらいのボリュームがあるものが数万円で修了証が取れるということで,それで爆発的に普及したということもあると思います。企業によっては,その数万円は企業側が出しますというところもあって,その辺りもかなり大きい要因になってきているかと思います。
 それから,学位ですけれども,コースを束ねると,より専門性が上がるということで,さらにどんどん束ねていった上で,かつ,この後の後半の話にもよりますけれども,やっぱり映像を見て掲示板でディスカッションをしてテストを受けるというのは,結構古典的なやり方で,あまりアクティブな学習の仕方ではないんですよね。そういう意味では,それだけで学位を出すところまでいかないだろうということで,そういうコースで学習する部分に,いわゆるリアルタイムの,こういうWebexとかZoomのようなテレビ会議システムであるとか,場合によっては,対面の課程を加えることによって学位を出そうという動きが,CourseraでもedXでもあって,今日御紹介するのはCourseraのイリノイ大学の事例ですけれども,こちらはiMBAプログラムというオンラインでMBAが取れるプログラムがあるんですけれども,先ほどカリキュラムとして束ねたものとしてSpecializationsというのがあると申しましたけれども,そのSpecializationsをさらにいっぱい束ねていって学位化していったものです。
 こちらは,Specializationsを束ねると同時に,この一番下に書いていますけれども,その中でテレビ会議の授業もあって,この中でグループワークとかをしっかりやることによって,オンデマンドの授業だけではなくて,ケース・スタディーみたいなものもしっかり学ぶことによって行っている。
 これはカンファレンスでイリノイ大の人たちが発表していましたけれども,今すごい人気があって,倍率も物すごく高くて,実際に出している学位は対面の学位と変わらないんだそうです。でも,すごく人気があって,特にインドを中心に物すごく支持があって,大変成功していますというお話をされていました。
 今見たように,オンライン学習は,MOOCはどんどん形を変えながら,ある種の社会教育的な機能を担うようになってきて,つまり,いわゆる学校教育である大学と生涯学習が,ある種,連結を始めていると言ってよいと思いますけれども,逆にこのCourseraのトップをされたイエール大の元の学長がこういうことをおっしゃっていたんですけれども,やはりこれからの大学は,自国の若年層だけではなくて,高等教育レベルの知を求める全ての人のためのユニバーサルサービスに転換すべきだ。MOOCはそのためのプラットフォームの1つなんだというお話をされていましたし,私もそうだろうというふうに思います。
 ただ,こういうことをやっていくときには,オンラインで映像を見てテストを受けるというだけではやはり不十分なので,特に対面学習のようなオンライン学習以外の方法と,どう組み合わせていくかというのが,こういう方向性では非常に重要になってくると思いますので,次に,そのためにやったプロジェクトについてお話をしていきたいというふうに思います。
 反転学習という話なんですけれども,反転授業というのは,通常の授業は,大体左側がいわゆる典型的な授業なんですけれども,授業のほうを対面でやって,応用問題のほうは,おうちで宿題としてやってきてくださいねというのが今までの授業だったんですが,反転授業というのは,逆に,オンライン学習がみんながアクセスできるようになったら,むしろ知識の応用のほうが難しいんだから,知識の習得のほうはオンラインでやってきて,知識の応用のほうはむしろ対面できちんとサポートするというやり方のほうが合理的なのではないかということで,2012年ぐらいから,高校とか大学を中心に試行錯誤されるようになってきたものです。
 私は,これを先ほどのMOOCと結びつけて,生涯学習の分野でこういうことができないかということで,実際に日本のMOOCプラットフォームであるgaccoというところで,うちの史料編纂所の本郷和人先生の御協力で,「日本中世の自由と平等」というコースで,対面学習とブレンドをする反転学習コースというのをつくりました。
 具体的にはどういうことかというと,先ほど申しましたけれども,オンライン学習というのは,ビデオを見て掲示板でディスカッションして課題を出してというのが4週間続いて,最終課題で終わる,これが普通のMOOCのやり方なんです。
 これに対して反転学習コースは,2週間に1回,このMOOCの活動である程度基礎的なことを学んだ後に,応用的な対面活動を入れて,最終課題に向かうというようなコースを設計して,その効果を図ったということでございます。
 これが実際の対面学習の様子なんですけれども,見ていただいて分かるように,高校生から高齢者の方まで,先ほどちょっと言い忘れましたけれども,グローバルMOOCでも,村山先生のコースでも,大体9歳から90歳ぐらいまで受講者がいらっしゃって,このときもたしか14歳から70歳ぐらいまでいらっしゃったかと思います。要するに,みんな歴史が好きで学びたいと思っていらっしゃる方で,ただ,年齢層は多様です。今回,高校生に関しては,このときには奨学金みたいなものをこちらから旅費として出させていただいて東大に来てもらっているというような状況ですが,その特別枠の方向性と,それからランダムに4名以下でグループを組んでグループワークをしていきました。
 具体的に,どういう課題をやったかというと,第1回の対面学習では,これはちょっと専門的になりますけれども,中世史の講座なので,中世史の歴史の捉え方として,権門体制論という,権力構造は基本1つだという考え方と,統合国家論は,実は権力構造が東と西で2分割されていたんだという,2つの大きい学会の中に仮説があって,それぞれの学者が学会で行っている活動をそのままオーセンティックにまねをするみたいな形で,歴史資料に当たりながら,どちらの歴史認識がより妥当かをディベートするみたいな活動を第1回で行っています。
 第2回では,歴史資料を読みながら実際の課題に取り組んでいくということで,信長とほかの戦国大名はどう違ったのかとか,信長と朝廷の権力の違いはどうだったかとか,信長が一向宗を敵視した理由は何だったかみたいなことを,こうやってグループでディスカッションをするということをやりました。
 そうすると,実際にどうやってこれがちゃんと学べたかというのをはかったかというと,いわゆる歴史的思考力みたいなことに関するスケールみたいなものがあるので,信長が天下統一目前まで実現できた要因を300字以内で簡潔に答えてくださいというので,これを事前と事後にやって,専門家に評点をつけてもらって,その差を,こういうものはいろいろな要因によって差があるので,その要因統制の上で比較をしていったわけです。そうすると,反転学習がない一般的なMOOCだけやっている映像で学んでいるグループと,反転学習,つまり,対面を後でやって思考力を伸ばすような処遇を受けたグループで,もちろんだから,最初から対面学習に来る人のほうが,もともと初期値の成績が高いとか,映像をいっぱい見ているとか,学歴がとか,いろいろな要因があるんですが,それは全部統制した上で,事後の思考力が高いレベルに上がっていく確率というのが,反転学習がない場合は大体3割程度なんですけれども,反転学習がある場合は,それの倍以上,6割を超える確率で上がるということが研究によって明らかになっております。
 以上をまとめますと,MOOCでこれだけのスケールでやっていることから分かりますように,オンライン学習というのは,まさに9歳から90歳まで人生100年時代に必要な多様な知識を学ぶ機会を提供できるようになっておりまして,世界中の大学や企業や生涯学習機関も含まれておりますので,例えば,科学館とか美術館も含めて,いろいろな学ぶ機会を提供しております。
 ただ,これだけで現代的な必要な能力がカバーできるかというと,そういうわけではなくて,より高度な能力を育成することを考えると,先ほど反転学習のところで紹介させていただいたように,対面の協調的学習と組み合わせるということが非常に重要で,今後の生涯学習,特にポストコロナのことを考えていくときには,せっかくできてきたこのオンライン学習の動きと,今まである対面学習をどのように未来に向けてつないでいくかということが,今後の大きい課題になっていくかというふうに考えております。
 以上,ちょうど時間になりましたので,私からのプレゼンテーションはおしまいにさせていただきます。どうもありがとうございました。

【清原分科会長】 
 山内先生,大変にありがとうございました。
 ただいままで,長谷川委員から「これからの社会におけるデザインとアート教育」,山内委員からは「生涯学習におけるオンライン学習の位置付け」について御発表いただきました。
 それでは,このお二人の御発表と,事務局で用意していただきました資料1を踏まえまして,最大14時30分までをめどに,委員の皆様で意見交換をさせていただければと思います。
 御発言に際しましては,手を挙げるボタンを押していただきまして,こちらから指名をさせていただきます。指名をさせていただきましたら,ミュートを解除していただいて御発言をお願いいたします。
 それでは,どなたからでも,どうぞ。挙手ボタンを押してください。よろしいですか。どうぞ皆様。
 それでは,順次,手を挙げていただきたいと思いますが,まず,横尾委員,御発言をお願いいたします。

【横尾委員】 
 皆さん,こんにちは。ようやくしばらくぶりに皆さんとお会いできてうれしく思いますし,清原座長,誠にお疲れさまでございます。よろしくお願いします。
 今日は,貴重なお話をいただいて,ありがとうございました。
 1つはデザイン,アート教育とデザイン教育です。デザインについて,個人的にもすごく関心を持っています。例えばヨーロッパ,北欧などのデザインを生かした暮らしの環境とか,教育の環境とかを積極的にされている例も非常に興味深く見ています。
 そういった中で思い出すのは,受験期に私が読んだ本に,『試験に出る英単語』というのがありまして,この中に英単語「デザイン」の解説があって,デザインの「デ」は,たしか接頭語ですかね,そして「外へ出す」という意味がある。また「サイン」は心の中に思っているイメージとかというような説明がありました。ですから,人々が心の中に思っているものを外へ形として出す,見えるようにするというのがデザインだという理解を当時したのです。今でもポイントとしては外れていないなと思います。
 一方では,デザインというのは,いろいろなところで今使われています。可能なら,デザイン教育は,実はお一人お一人の方々が持っているイメージを外に出していくチャンスになるんだということとか,よりクリエイティブなことをやれるんだという可能性も含めた,そういった定義づけというと大げさなんですけれども,そういったトレンドになっていくと,より多くの人々が,これはダイバーシティも含めて,自信を持ったり,可能性を広げたりできるのではないかなと思っているところです。
 また,映していただいた画像の中で大変興味深いというか,びっくりしたのが,CTスキャンのデザインをされたところです。大変楽しく,わくわくランドになるのですけれども,私ども,今度,病院をつくる計画ですけれども,ここまでいけるかどうか分かりませんが,創意工夫はしたいものだと思いました。
 いずれにしろ,デザインが,同じ環境でも,視覚は非常に人々の思考に影響を与えますので,よりよいデザインを取り入れていくというのはとても大切だと思いました。
また,アートについては,ともすると,絵画とか音楽とか,幾つか限られた分野で思っていたように自分自身反省もするのですけれども,より広いコンセプトでアートを捉えて,それを教育に生かしていく,それを幼い頃から学ぶ,あるいは触れるということを是非つくっていくことが,心豊かな生涯学習社会と,一人一人の個性の進展につながるなと思いました。
 2点目の御教示をいただいた山内先生,久しぶりのお話を聞いて,誠にありがとうございました。
 私,個人的にも,かねてよりMOOCの可能性と展開に非常に期待をもっていまして,前のこの分科会でもこの重要性を述べさせていただいたところです。
 実際に,米国訪問時に米国西海岸でカーンアカデミーの学校も訪ねてみたのです。
そのスクールでは本当に自由闊達に子供たちがクリエイティブに自分自身の学習プログラムを検討し,自分の時間割もつくります。そして,いろいろな世代の方とも交流をします。オンライン活用ですので,世界からでも情報を簡単に取れます。そういったものを目の当たりにして,非常にインパクトが強かったんです。
 そして,今,日本は新型コロナウイルス感染症のコロナ禍です。でも,おかげさまでというと違和感があるかもしれませんが,このコロナ禍で,それが逆におかげさまになったこともあります。
そのひとつが,オンラインによる学びです。いろいろなことができる,学びもできるということが分かって,このことは,スマホやパソコンを持っている方が多くは既に実感を始められていると思っています。特にビジネスをしている方は,オンライン会議がもう日常になっていますので,その有用性と可能性は非常に強く感じておられると思います。是非このMOOCの取組がより闊達にできるようなサポートを期待します。
その円滑な実現にはルールのこととか,コストのこととかあるのですけれども,是非文部科学省並びに関係省庁でその推進を進めていただくといいなと思いました。
 学位を取るためのMOOCももちろん重要なことですが,より多くの方々は,年齢を重ねながら,ああいうことも知りたい,こんなことを学んでみたいとお感じでしょう。
あるいは,働き世代の方々も,自分のスキルアップにこういう学びをしたいけれども,講座に行くまでの時間とコストはかけられないけれど,それがオンラインでならできるという方もたくさんいらっしゃると思うのです。
そういうような,いわば国民を挙げての生涯学習の質の向上とか,学びで一人一人の可能性を広げていく,そういったことをしっかり支えるMOOCに是非なっていただきたいなと,誓いを込めて拝見させていただきました。是非そんな方向になっていけばいいなと期待をしています。ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 横尾委員,ありがとうございます。市長の立場として,IoTの取組も推進されているので,共感できるところが多かったのではないかなと伺いました。
 それでは,手を挙げるボタンを下ろしていただければと思います。
 続いて,何人かの方,順番を申し上げますので,御用意ください。
 関委員,中野委員,千葉委員,澤野委員,内田委員の順で御発言をお願いします。
 それでは,関委員,お願いいたします。

【関委員】 
 長谷川先生,山内先生,本当にありがとうございました。
 特にここのところ,先ほどの横尾市長のお話にもございましたけれども,新型コロナで,まさに今までなかなか取り組んでこられなかったオンラインでの学びが一気に進展したと私どもも感じております。
 先ほどの山内先生のお話の中にあったJMOOC等に我々も今,チャレンジしているところなんですけれども,このような学びが,やはり個人の学びが,まず基本にあろうかと思うんですけれども,例えば,私どものような生涯学習センターであったり,あるいは公民館等の施設が,それぞれの地方の中で,そういった学びを進めたいという人を集めて,一緒に学び合うような共同視聴的な取組というものは果たして可能なものなのかどうか,それを1点お伺いできたらというのがございます。
 あと,コンテンツとして,例えば,地域づくりのような視点にウエートを置いたコンテンツというものをつくっていくことによって,人づくり,地域づくり,つながりづくりという前回の方向性などとつながるような新しい学びの展開が,これからもっと増えていくことができるのではないかなとも思うんですけれども,今は多分,アカデミックな領域の学びが多いように私も見ておるんですが,それをより地域の実態に合わせた,一緒に学び合えるような展開の講座がこれからできないものかどうかなというのが1点でございます。
 もう1つは,それぞれの自治体で,なかなか地方で専門的な学びを展開するということを単独でやろうとすると難しい場面に出くわします。都会で学んでおる方々と同じような学習の環境を地方にも広げていくために,例えばオンラインの社会教育のネットワークみたいなものが,よりこれから広がっていくような可能性がないものかどうか,その辺についてまた御指導いただければありがたいなと思っております。

【清原分科会長】 
 関委員,よろしいですか。

【関委員】 
 はい。

【清原分科会長】 
 それでは,幾つか山内委員に御質問がございましたので,ほかの委員の御発言の前にお聞きしたほうがいいかなと今判断しましたので,お答えいただければと思います。

【山内委員】 
 御質問ありがとうございます。
 1つ補足でお話をさせていただきますと,ミートアップと言って,コロナ前は何人かが集まって勉強会をするようなことが結構あって,今はなかなかコロナで難しいところがあるみたいなんですが,その中には,例えばニューヨークの公共図書館みたいなところで集まったり,そこに先生が,助教さんぐらいの先生が来てみたいなことが結構あって,例えば社会課題を解決するようなMOOCの講座があった場合に,その地域で受講者を募って集まってもらって,コロナの事情が,ああ,そうか,別にコロナの事情とかはなく,そこの地域で集まってもらったところに,その講師の方を,例えばZoomでゲストで呼ぶみたいなこともできると思うんです。
 なので,オンライン学習は,いわゆるその地域でやっているコミュニティでの学びみたいなものとの接続も十分できると思いますので,是非そういう形で新しく展開をしていただけるといいかなと思いました。
 こんな感じでよろしいでしょうか。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。共同視聴を含めて可能性があるということで安心いたしました。
 それでは,中野委員,よろしくお願いします。

【中野委員】 
 浅口市の中野でございます。よろしくお願いします。
 今日,長谷川委員,山内委員のお二人の御発表,本当に興味深く聞かせていただきました。いろいろな発見があったわけですが,まず,長谷川委員の発表につきまして,アート教育,デザイン教育の考え方ですが,こういった辺りはすごく面白いなというふうに思いましたし,今後生かされていくなと思います。
 最後,提案された探究学習とか,小学校における美術とか,そんなところにどういうふうに連携していけるか,つながっていくかという辺りは,また一緒に考えていきたいなというふうに思いました。
 発表の中で,高度デザイン人材の教育要件というのがあったように思うんですが,その辺にも納得感がありました。
教育要件として,多様な他者とのコラボレーションが必要不可欠であるということですよね。社会の解決課題には,自分の文化や考え方と全く違う人々との会話によって糸口を探ることができるということであるならば,価値観の違う人を避けるということであってはいけないと思うんです。
受け入れていく,または,その人たちを自ら求めていくような,これも能力だったりするのかなと思うのですが,そういったものが必要になってくるかと思います。
 ついつい公民館とか学習の場では,価値観が同じ人が集まって学ぶ場を提供しがちなんですが,やっぱり違った価値観の人とのコラボレーション,これを面白がって,そういった体験の場を用意するということは大切になってくるかなというふうに気づかされました。ありがとうございます。
 次に,山内委員のオンライン学習のよさを本当に最大限に活用する多様な方法,そういったものの提案だったと思うんですが,その辺りに感銘を受けました。
このオンラインと対面,これをいろいろと組み合わせることで,本当にまだまだいろいろな学びができてくるのかなということだと思います。MOOCの活用によって,世界ともつながれるし,それから,自ら考え他者と協力し合って社会を改革していくというか,そういった人間力が育つのかなというふうに思いました。
そこには人生100年時代を生き抜くための学びを続けていく,そういったヒント,それから可能性が秘められているというふうに思いました。
 このオンライン学習ですけれども,一方では,知を求める全ての人がレベルの高い知識を得ることができるというのはすごいことだなと思いますし,また一方で,理解や認識が不足する部分で,議論によって補ったり,深めたりできるのかなと思います。そうした得た知識を生かしてディスカッションする,議論するということで,深い学びが生まれるという,この未知なる進化が期待できるように思います。
 今,学校現場では,先ほどの話に出ておりますが,新型コロナウイルス感染拡大で,何とか学びを止めない方法,これを工夫している中で,1人1台端末を使って,学習経験が本当に未来の教育をすごく急速に進めているなと思っているわけですが,中学校でも反転学習が研究実施されているところがありまして,理科などで基礎的な知識は家庭でのオンデマンド型の学習を行って,その内容をもって1時間たっぷり,実験ができるというふうな授業,また,考察の議論にすごく時間がかけられる。どうしても学校の中では時間が限られていますので,いかに有効に使うかという。そして,学校で仲間と学ぶよさがさらに生かされているということがあるようです。
効果的で効率的な学習方法になっていますし,自ら学ぶような主体的な学習ができて,問題解決の育成につながっているようです。
 こういった辺りが生涯学習にも生かされて,手法が構築されれば,さらに豊かな学びにつながるというふうに思います。
公民館などでも,ブレンド型の学習はできないものか,そうすることで対面のよさが生かされて,質の高い学びといったものにつながるし,そういったものが提供できるという,その可能性を感じました。
 生涯学習の中で,本当に参加したいと思えるようなよりよい学習,これをデザインする授業内容の工夫改善も必要ですし,コーディネートする人の育成も必要ですし,先ほど関委員が言われたネットワークを構築するといった辺りも重要かと思います。
 もう1つ,長谷川委員が言われた評価の面で,学習者の意欲はもちろんなんですけれども,失敗したとしても,何をなそうとしたかといったような望ましいチャレンジがあれば総合的にポジティブに評価するといった基本的な姿勢というか,そういったものが大切であり,そういう考えを持って生涯学習,社会教育を進めていくということは大事かと思いますので,そういった辺りに,生涯学習,社会教育の在り方が見えてくるような気がしています。
 以上です。

【清原分科会長】 
 ありがとうございました。
 これから千葉委員,澤野委員,内田委員,金子委員,辻委員に御発言をお願いします。時間の関係で,二,三分ずつ要約して御発言いただければありがたいです。
 それでは,千葉委員,お待たせしました。どうぞお願いします。

【千葉委員】 
 ありがとうございます。なるべく短くお話をしたいと思いますが,長谷川先生,山内先生,どうも,大学の状況について,大変よく理解ができました。
 その上で,この生涯学習を考える上で,何を,誰に,どうやって,どうしてというようなところで考えていきますと,1つは,今よく言われているリスキリングということで,技術の進展に合わせて,技術を新しくワーカーの方たちがリニューアルをしていくということが必要になってきて,そういう将来,未来に必要になってくる分野については,先ほどの山内先生のお話にもありましたけれども,意欲のある若者が,こういうことを勉強していただくことも大変結構なことだというふうに思うんですけれども,それをどうやって意気天していくのかというのは,CourseraやMOOCのようなオンライン学習,また,対面では今のところコミュニティカレッジのような,そういうものも必要になってくるのかなと,その地域における必要な学び直しというものが必要なのではないかと。
こういう非学歴型の教育機関というものが,やはり我が国はちょっと不足しておりますので,こういったところを強化していく必要があるのではないかというふうに思います。
 また,どうしてということでお話をしますと,やはり人生100年時代ということと,社会の変化が大変速いスピードで動いていくということで,それでこういう生涯学習のリスキリング分野が必要になってくると思うので,我が国の生産性の向上だとか,国際競争力であるとか,こういったところがターゲットになっていくというふうに思います。
 一方で,もう1つはライフ・ロング・ラーニングということで,本当に全ての方たちの学びの場という形で考えていくと,学びの分野も大変広くなりますし,また,学びの対象も大変広くなっていくわけですよね。
学ぶ場所についても,オンラインやコミュニティカレッジみたいなものだけではなくて,図書館であるとか,全ての場所が学びの場になっていく。
 この前,豊橋のまちなか図書館というのを見学に行きましたけれども,ああいうような場所で,学びたい意欲のある方たちが,場合によっては教え合ったり,ボランティアの方たちがそこで教壇に立ったり,そういうような形での教育を展開することによって,よく生きるというようなところにつながっていき,また,間接的ではありますけれども,生きがいを持ってこの世の中に参加をする方たちが社会をよくしていく,こういったところにつながっていくというふうに考えます。
 この生涯学習は,日本語で言ってしまいますと大変幅広いんですけれども,こういう大変幅広いものをこの委員会ではどういうような捉え方をして議論を進めていくのがよろしいのか,両先生も含めて,もし何か教えていただけることがあればと思って御意見を申し上げました。
 以上です。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。リスキリング,コミュニティカレッジ,キーワードをいただきました。
 それでは,続きまして,澤野委員,お願いします。

【澤野委員】 
 本日は,長谷川委員,山内委員,大変興味深いお話,ありがとうございました。
 3点申し上げたいんですけれども,第1点目は,アートとデザインの教育に関して,現在,学校教育の中でも,Science,Technology,Engineering,ArtとMathematicsでSTEAM教育とか,そこにRoboticsが入ってSTREAM教育というような観点で,文理融合型の教育などと言っているようですけれども,アートの要素が,いわゆるSTEMと言われていた理数系の教育の中でも,いろいろなものを開発する上で非常に大事だということで重視されるようになっていると思うんですけれども,それでちょっと私もロシアとかフィンランドの事例なども調べているところなんですが,日本はどうしてもやはり学校教育の中に閉じて,それに取り組んでいる印象があるので,まさに学校外で子供も大人も生涯学習の課題として,STEAMとかSTREAMの学びにアートというのが入ると,何かわくわくする学びになると思いますので,そういう取組もできるのではないかなと,長谷川先生のプレゼンを聞きながら感じていたところです。
 もう1つは,MOOCに関しては,やはり生涯学習のツールとして私も注目はしてきて,自らもCourseraの興味のある講座などを申し込んでみたりして,受講してみたりもしていたんですけれども,なかなかやはり受け身で,コミュニティに入ったりすればいいんですけれども,反転学習でもないと,途中で挫折することが非常に多くて,継続が難しいと感じていましたので,本当にそういうFlipped,反転学習とか,こういう事例のような形で,多世代の人たちが交流できるような学びの機会があると本当にいいなと思いました。
 MOOCの場合は,やはり大学,高度な学び,大学の先生や,大学の研究と触れることができるという高度な学びに,いつでも,どこでも,どんな年齢の人でも,時間もフレックスに対応できるというところが非常に魅力的だと思います。
 そこで,やはりヨーロッパとかでは,今,ライフ・ロング・ラーニングの面で,持続可能な地域社会づくりとか,サステーナブル,SDGsとも関わって,一般の人々のエンゲージメントとか,あとシチズンサイエンスという発想が結構あって,高度な学び,地域の課題,地球規模の課題をローカルに考えて,知を共に構築していくシチズンサイエンスという発想があるので,そういったところにMOOCと反転学習などで,日本でもそういったことを目指すことが可能なのではないかなと思ったのが2点目です。
 3点目は,先ほど,もう御意見ありましたけれども,学習者が非常に多様で,多世代の人たちが交流できるメリットがいずれのケースにも見られたと思うんですけれども,まさに社会教育的な観点からもそういう取組が,今後,重要になっていくのかと思いましたが,アートの,長谷川委員のほうのデザイン思考とか,そういうほうも,これは個人でこういう学びのプロセスがあるのか,あるいは,やはり多様性のある人たちがいて,チームでデザインしたほうがよりよい事例なのかというのは,ちょっと知りたかったところです。
 以上です。

【清原分科会長】 
 それでは,これから,内田委員,金子委員,辻委員,薗田委員までで御発言を一応閉じさせていただいて,その後,長谷川委員,山内委員から,御意見を伺ってのコメントをいただければと思いますし,御質問にもお答えいただければと思います。
 それでは,内田委員,よろしくお願いします。

【内田委員】 
 長谷川委員,山内委員のお話が,私自身も本当に非常に刺激になりました。ありがとうございました。
 もう本当に手短になんですけれども,今日の議題にも関連するところだと思うんですが,いろいろな形でやっぱりアートを教育デザインの思考であるとか,MOOCの教育は非常に効果があると思うんですけれども,この効果検証の中に,今日少しプレゼンの中にも,例えば学習がどれぐらい深まったかとか,そういったことがあったと思うんですけれども,前回からも議論になってきましたこのウェルビーイングです。
例えば,本当にそこの中で生きがいを見つけるとか,広い意味での人生の目標が見つかるみたいな,このウェルビーイング指標というのが,効果検証に既に取り込まれているような事例があるのかとか,もし今まではないとすれば,今後こういった展開が可能なのかどうかというのを質問したいと思いました。
 以上です。ありがとうございました。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。後ほどお答えいただければと思います。
 それでは,金子委員,お願いします。

【金子委員】 
 発言の機会をいただきまして,ありがとうございます。
 本日の山内委員,長谷川委員からの御報告,今回初めて参加させていただきますけれども,教育の方策というのはいろいろあるんだなというふうに大変気づきの多いプレゼンだったなというふうに思います。ありがとうございます。
 そういった観点で,今回の審議課題としまして,リテラシースキルと,有効な育成方策ということもありましたので,その関連で少し思うところを幾つか申し上げたいと思うんですけれども,デジタル社会において,新聞だとかテレビといった従来のメディアに加えて,最近,ブログやSNSといった多様かつ双方向の情報が非常にあふれ返っているということでありまして,自分なりの意見を持つこと,自分たちが社会をつくっていくという当事者意識を持つこと,先ほどの報告にもありましたけれども,世の中には多様な考え方や見方,そして価値観があることを認識すること,こういったことが重要ではないかなというふうに考えています。
 そのためには,膨大な情報の中から,妥当性だとか信頼性を公正に判断する能力を身につけていくということが,今後ますます大切になってくるのではないかなというふうに思っています。
 そういった意味で,物事を正しく知ること,そして1つの事象を多様な角度から捉える観点を学ぶことのできるNIEが有効ではないかなというふうに考えております。
既にこのNIE教育というのは,学校教育の現場でも活用されていると認識しておりますし,生涯学習の現場にも広がりつつあるのではないかなというふうにも承知をしているところなんですけれども,今後広めていくためにも,是非とも地域の好事例を横展といいますか,水平展開をいただければなというふうなところが1つお願いでございます。
 それともう1点は,持続可能な地域社会を形成,維持していくには,やっぱり一人一人が当事者意識を持つこと,そして地域社会の積極的な関わりを持つことが,とても大切ではないかなと思っています。
 そのためには,受け身の関係ではなくて,いろいろな関係性,子供たち,また,その働く世代,子育て世代,企業だとか,OBだとか,いろいろな方々とお互いに教え,教えられるような場が重要だと思います。
 そういう意味では,公民館だとか図書館といった,いろいろあると思うんですけれども,社会教育施設などを活用しながら,そうした場の設置です。そして,その多様な世代を超えた人たちとの参加促進に向けた地域の関係団体,そして職場との連携などの取組も是非お願いしたいというふうに思っております。
 以上です。

【清原分科会長】 
 金子さん,ありがとうございました。NIEとおっしゃったのは,Newspaper in Education,新聞を使った……。

【金子委員】 
 そうです,そうです。ええ,Newspaperです。

【清原分科会長】  ありがとうございます。
 それでは,辻委員,お願いいたします。

【辻委員】 
 貴重なお話,ありがとうございました。私は,自己紹介あるいは報告のときも申しましたが,社会的に少し困難を抱えている人たちのことを考えております。
 その点で,今日の長谷川委員の御報告は,小学校の図工ですとか美術ですとか,そういう自由な発想というものを大切にするというところから始めていって,いろいろな人が自由であることが大事だよと,それも尊重されるという,そういうことを子供のときから身につけていくという点で,大変示唆的なお話をいただいたと思いました。
 それから,山内委員の御報告は,私も本当によく知らない世界なんですけれども,こんなに進んでいるのかと思いましたし,また,反転授業という方法で,しかもそれを地域の中でやれる可能性もあるということで,うまくいくとすごくいいなと思いました。
 そのときに,少し日本の中にこれを取り入れていくときに考えたほうがいいかなと思うことは,以前,放送大学の関係者の方から,スクーリングのときに,何かやっぱりちょっとスクーリングで皆さんとうまくそりが合わないという方がいて,一方で,学歴的には低くて,とても人生苦労してきたんだけれども,ここに来てスクーリングでとても人気者になっているような方もいらっしゃるということで,こういう反転授業の中で,その人が持っている能力みたいなものによって,また競争してしまうというのでしょうか,高齢者の方が定年退職した後も競争してしまうというようなことにならないように,このコーディネーターみたいな人を上手に配置するということが政策的にできるとすごくいいなと。
そういうふうにすれば,ひきこもりの若者も関心のある講座を受けて,また,地域の中のそういうスクーリングにも出かけるという,そんな仕組みができるといいなというふうにお聞きしました。
 ありがとうございました。

【清原分科会長】
 ありがとうございます。
 それでは,薗田委員,よろしくお願いします。

【薗田委員】 
 ありがとうございます。もう皆さんからもかなり出てきたんですけれども,実際,山内委員と長谷川委員のお話が,本当にすごい私も勉強になりました。
頭の中の整理ができたのと,MOOCはこんなに進んでいるんだと,これ,本当に世界中のユニバーサルな教育にいろいろな機会が与えられるということで,すごい夢を持ちました。
 特に,長谷川委員がおっしゃったデザイン思考の件なんですけれども,やっぱり私たちもいろいろな企業さんとお話ししていると,かなり大企業の割と偉い人たちが,ロジカルシンキング,ロジカルシンキングとおっしゃるんですけれども,デザイン思考とか,やっぱりそういったアート思考でゼロイチを生み出すということが非常に難しいので,今,SDGsの課題解決であったりとか,トランスフォーメーションということができないというところがネックになっているんですけれども,こういったところから,本当に子供たちからそういった教育をしていけば,あるいは,今の若い人とか,新しく発想を豊かにしたい方々がこういったことを学んでいければ,すごく変わってくるなというふうには思いました。
 ちょうど先週,石川県七尾市というところに行ってきたんですけれども,そこでは能登SDGs市民大学,こういったものがあって,こちらのほうでワークショップをやってきたんですけれども,2040年のジェンダーギャップがなくなって,かつ,ウェルビーイングな世界はどんな世界なのかというのをワークショップでやってきました。
 実際,リアルとオンラインを重ねてハイブリッド型でやったんですけれども,ちょっとオンラインのほうがやっぱり難しかったんですが,今日のお話を聞いて,いろいろな方法があるかなというふうに思ったんですが,実際,長谷川委員のほうから,ワークショップとかをするときのコツみたいなものがあれば,是非また御教示いただきたいなというふうには思いました。
 特にその中では,デザイン思考というのをベースにしながら,高校生から70歳までの方々が150人ぐらい,オンラインで50人ぐらいと,リアルでは100人近くの方が集まって,実際に議論をして,ワークショップの中でいろいろ未来を考えるというバックキャスティングの手法と,シナリオプランニングという手法を両方使いながらやってきたんですけれども,そういった機会にも,本当に今日のお話の長谷川委員と山内委員の両方のいいところ取りができるなというふうに感じましたので,また,是非いろいろとアドバイスしていただければと思います。どうもありがとうございました。

【清原分科会長】 
 ありがとうございました。
 本日,多くの委員の皆様から,御意見あるいは御質問をいただきまして,御質問で残っている部分がございますので,その御質問への御回答と,皆様の御意見をお聞きになってのコメントを順番にいただければと思います。
 まず,長谷川委員,お願いします。

【長谷川委員】 
 長谷川でございます。皆様,大変有意義なといいますか,いろいろな御意見をいただきまして,私も大変参考になるところでございます。今日こういった形で,御意見,本当に的を射た御指摘をいただきまして,本当にデザインあるいはアートというものの広がりというものを感じております。
 ちょっと簡潔に御質問にお答えしていきますと,澤野委員からいただきました多様性のところです。私ども,大学院のほうは,社会人が入れるということを銘打っておりまして,会社に居ながらにして,居ながらというのは変ですね,勤めながら来られるようにしておりますこともありまして,実に幅広く,1期生では本当に60歳の方も2名おったりですとか,男女,あと,アジア圏が多いですけれども,留学生という人々が多くおりまして,そういった人たちを,基本的にはデザインのプロジェクトはチームを組んで実施をして,アートのプロジェクトが割と個人で自分と向き合っていく,もちろんそうではないものも,個人でデザインをやってみるものとか,チームでアートをつくるものもあるんですけれども,そういったチームで実践する中で,やはり世代も違って,業界も違って,言葉が通じなかったり,言葉が通じないというのは,言語の問題ではなくて,言っていることが全然話が合わなかったりする,あるいは,学生から,大学院なので学部は出ていますけれども,本当に23の人と四,五十代のビジネスパーソンとが,同じ学生として,同窓生として振る舞わなければいけない。
そこは上下がもうありませんので,そういう環境という中で,これは美大という空気もありましたので,割と自由に,ちょっとおかしなことを言ってもいいという環境の中で,そうはいっても,デザインのプロセスというものを体感していくということで,1年目のかなりハードなプログラムがあるんですけれども,本当にみんないろいろな視点を身につけていくなというふうなことを感じております。
 実は,こういった形で,いわゆるビジネスに使うだけではなくて,社会,地域の例えばコミュニティ活動ですとか,NPOの活動ですとか,企業の中の活動,そういったものにデザインがより広まっていく,デザインの民主化という言い方がされたりしますけれども,ここで言うのは形をつくるデザインではなくて,プロジェクトを遂行するというデザインですけれども,そういった形で,いろいろなデザインのプロジェクトが世の中で同時多発的にポコポコ立ち上がって,一部の人だけがやるのではなくて,みんなで自分たちの周りの社会課題を解決していくという,こういったことをソーシャルイノベーションというふうに今デザインの業界の中では呼んだりしておりますけれども,そういった世界が来るといいなということを感じながら,そういった多様性を,大学という環境で無理やりコンバインして,そういった中で修行を積んでもらうということをやっております。
 続きまして,内田委員からのウェルビーイングの指標のところですけれども,特にウェルビーイング指標という形のようなものは置いてはいないんですけれども,大学院に入学する際に,企業の課題を解決したいというような形で,例えば最初は,大学に入る前は,企業のモードで世界を見ているのが,大学に入ってそういったアートの授業ですとか,そういったものを受けて,教育の環境の中で同級生たちと議論していくうちに,そういった借りてきた課題ではなくて,割と自分が本当に何をしたかったのかというような課題に,大学院生たちが,社会人の大学院生たちが変化していくというのを目の当たりにしておりまして,特にそこの,まだそういう形での計測といいますか,指標化というのはしていなかったんですけれども,割と自分自身を見詰め直すという変化が起きているという辺りは,これは御指摘を受けて気づきましたけれども,かなり面白いといいますか,態度変容と言えるのかなというふうに思っております。
 金子委員からの御指摘のあった地域との関わりの辺りです。
実は私どもで,美大なんですけれども,いろいろな地域ですとか,本当に地域です,市区町村の単位ですとか,エリアマネジメントという商工会のような単位ですとか,そういったところと協定を結んで,産学のプロジェクトという形で,実際に北海道に1か月滞在するとか,宮崎に実際に行くとか,そういうことを学部生,大学院生が,やはりこれもミックスして,現地で現地の人たちとプロジェクトをやるということを,まさにリアルな答えのない問いに向かうということのために実践しておりまして,そういったものに行くと,これはいろいろなプログラムがオプションが選択可能で,といいますのも,東京出身の人は地方に行く観点が重要であったり,地方の出身の人は,あえて地方に行かなくて,むしろ東京の都市の課題に向き合うとか,そういうことを行っているんですけれども,そういったところからの学びが大変多いですし,そういった活動が地域にも刺激になるところがあるということで,これは私どもだけでなくて,そういう活動を行うことで地域にも役立つし,学ぶ側にも得るものがある,そういう構造が今後つくられていくのかなというふうに思っております。
 辻委員の御指摘のあった小学校との接続のところは,まさにこれは大学としてというよりも,アートデザインを実践している者として,やはり今後すごく活性化していきたいところで,そこにすごく小学校の教育などのところに可能性が,先ほど御指摘があったSTEAM教育のまさに一端を担うものとして可能性がすごくあるかなと思っております。
 薗田委員のワークショップのコツのところですけれども,ちょっとここで一言で述べるにはなかなか難しいところがあるんですけれども,またどこかでお話しさせていただければと。
 以上となります。ありがとうございます。

【清原分科会長】 
 ありがとうございます。また,今後のコミュニケーションで深めるべき課題だと思います。
 それでは,山内委員,お願いします。

【山内委員】 
 個別にお答えするのではなくて,2つにまとめて補足のお話をさせていただくという形にさせていただければと思います。

【清原分科会長】 
 はい,お願いします。

【山内委員】 
 1つ目は,私が今日お話をしたのは,基本的には,知識やスキルを,やっぱり長い人生の中でどうアップデートするか,今日のお話で言うと,リスキリング,プラス,それをベースにした高次能力の育成みたいなところでは,MOOCのようなオンライン学習と対面学習の組合せが効果的であるという話をしました。
 ただ,これは全ての生涯学習の領域を覆っているわけではなくて,恐らく御指摘のあった,例えば市民性の涵養みたいな話とか,あとウェルビーイングみたいな話は,違うやり方,目標が違うのではないか。つまり,目標が違えば,やり方が違うのではないかと思っています。
 そういう話だと,私が実は関与しているものだと,私がいる情報学環・福武ホール,赤門の隣にあるところで,毎月1回,UTalkというサイエンスカフェ的なイベントをやっていまして,そこにもいろいろな方がいらっしゃるんです。コーヒーを飲みながら,なぜこの東大の研究者はこんなことに関心を持って,何を面白いと思っているのかみたいなことを,コーヒーを飲みながらいろいろ対話的にやるみたいなイベントをやっているんですけれども,そういうものですとか,今日,今村委員がいらっしゃいますけれども,文京区にはb-labという中高生の放課後の居場所みたいなものがありますけれども,そういうような何か居場所系のものとか,いろいろなやり方が,つまり,目標に応じてやり方があって,なので,このオンラインのやり方も,多分それによって変わってきますので,そこはちょっと注意が必要な点かなというふうに思いました。それが1点目です。
 2点目が,対面学習を組み合わせていくときに,辻委員から,ファシリテーションの話が多分あって,それも非常に重要で,逆に,社会教育施設はファシリテーションスキルはもう既にお持ちの方が結構多いのかなと思うんですけれども,1点補足させていただくと,実は空間の在り方みたいなものも結構重要で,ちょっと画面共有をさせていただきますけれども,これは私が東大で駒場の人たちと一緒に,教養学部の人たちと一緒につくったアクティブラーニングスタジオで,机がフレキシブルに動くようになっているんです。
この空間のレイアウトがグループワークにどれぐらい影響を与えるかというので,比較的,長谷川委員の話が,ちょっとデザイン思考的な課題を与えて,どれぐらいパフォーマンスの差が出るかというので,1つは円形で,一般的によくグループワークで用いられるんですけれども,もう1つは三日月形で,リーダーが真ん中に入ってグループワークをしたんです。そうすると,個人の態度,行動,実行力,グループのグループワークの進め方やメンバーの相互関係とリーダーシップ,それからグループワークの成果,全部,三日月型のほうが高いんです。私自身,これをやってびっくりしたんですけれども,これだけの差なんです,レイアウトで。これでも実はパフォーマンスの差が起きるということなんです。
 なので,私が申し上げたかったのは何かというのは,ファシリテーションのスキルもそうなんですけれども,対面学習は結構いろいろな複雑な要因が,恐らくその共同体的な人のつながりも含めて,いっぱい要因があって,それだけ実は豊かだということなんです。
なので,やはり対面学習の場を持っているということは,すごく学習を,対面であることの豊かさを生かしながら深めていくことができるという,とても恵まれた環境にあるので,そこを工夫すれば,オンライン学習がすごいように言いたいわけではなくて,実は対面学習は工夫の余地が物すごくたくさんある領域なので,そこを是非,さらなる工夫を重ねることによって,よりよい生涯学習につなげていっていただければいいかなというふうに考えています。
 私のほうからの補足は以上でございます。

【清原分科会長】 
 どうもありがとうございました。
皆様との意見交換や質問を通じて,さらに委員のお二人の御説明で深まることができました。
 実は今日,第1の議題,冒頭から,御担当の藤原総合教育政策局長と,出倉審議官も聞いていていただいて,突然ではございますが,せっかくですので,藤原局長からも,この第1の議題についてコメントをいただければと思います。よろしくお願いします。

【藤原総合教育政策局長】 
 どうも失礼いたします。総合教育政策局長の藤原でございます。
 委員の先生方におかれましては,本日も熱心な御議論をいただきまして,誠にありがとうございます。
 また,長谷川先生と山内先生から,今日は御発表もいただきましたけれども,大変参考になる取組を聞かせていただいたと思っております。
 申すまでもなく,人生100年時代という中で,社会の技術革新等が激しく変化する状況の中で,人生100年時代にふさわしい生涯学習の在り方といったものが必要となってきているということだろうと思います。
 そのための方策としては,いろいろな取組がされてきているということだと思いますけれども,これはまだまだこれから発展途上の部分があって,今日お話を伺ったようなことも含めて,社会全体でダイナミックなスキームをつくっていくということが求められてきているのかなというふうに思っている次第でございます。
 それと同時に,生涯学習,社会教育ということを考えたときに,様々な方々を含めた社会的な包摂をどうやって各地域で実現をしていくのかといったことも大変重要な機能なのかなというふうに思っております。
 これからの社会の在り方を考えたときに,やはり個々の人々の努力だけではなくて,地域としての取組をどういうふうに進めていけるのか,そのときに社会教育施設,生涯学習機関が果たすべき役割が大変大きいものがあるのかなと思っておりまして,そうしたことも含め,トータルで,さらに御審議をいただければというふうに思っている次第でございます。
 本日は誠にありがとうございました。

【清原分科会長】 
 ありがとうございました。
 議題(1)につきまして,お二人の御発表者と委員の皆様によって論点が深まってまいりました。議題(1)については以上で閉じさせていただきまして,この御発表のやり取りも踏まえた上で,議題(2)に移らせていただきます。
 議題(2)は,第11期生涯学習分科会の議論の方向性についてでございます。
 牧野副分科会長より,御提案のペーパーを作成いただきましたので,御発表をお願いします。資料4でございます。これをまず御発表いただきましてから,今後,今年から来年に向けて議論を深めていきたいと思いますし,この分科会でこれまで御発表を個別にいただかなかった委員の皆様にも問題提起,御意見をいただく,そのための資料でございます。
 それでは,牧野副分科会長,御説明をよろしくお願いいたします。

【牧野副分科会長】 
 どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 長谷川委員,山内委員,御発表どうもありがとうございました。
 ちょっと時間が気になったので発言を控えていたんですが,これからの私の御報告とも少し関わりますので,最初に少し感想めいたことをお話しさせていただきますけれども,長谷川委員のロジカル思考からデザイン思考,さらにはアート思考へというお話,特にVUCAの時代と言われているような先行きが不透明になってくる社会の中での新しいアプローチだと思いますけれども,これは,あえてこういうふうに区分けをしてみたらどうかと,ふと思ったんですが,例えばロジカル思考というのは,ある意味では,再現性を重視したアプローチであって,学校教育に基づいてつくられているようなところがあるのではないか。
そのデザイン思考ですとか,アート思考,または今日お話がありましたアブダクションアプローチというのは,どちらかというと,一貫性のアプローチというか,一貫性を重視しながら,ある意味で突然変異するようなことに期待をかけるようなアプローチの在り方ではないかなと思っていまして,それはある意味では,社会教育や生涯学習が今までまちづくりなどで通ってきた1つの在り方のような感じも受けるんです。
 その意味で,例えばアブダクションアプローチのプロセスの過程で起こっている,その御本人たちの変化は一体どうだったんだろうかというふうに思いながらお話を聞いていたんですが,先ほど内田委員がおっしゃったウェルビーイングをどうするか,どう捉えるかということにも関わると思うんですが,何となくアプローチの過程で,過程そのものがある種のウェルビーイングの形になっているということはないのだろうかというふうにも思いました。
 さらにそこで山内委員から御報告がありましたMOOCもそうなんですけれども,私,どちらかというと,反転学習ですとかブレンド型学習が,ある意味では,例えば,先に知識を学んだ上で議論を重ねて,知識の運用をそこでということだったんですけれども,アート思考がそこに組み込まれる形で,一貫性のある種のセレンディピティみたいなことを期待するような動きにもなっていくのではないかというふうにも受け止めていまして,その意味で,こうしたものが重なって展開していくようになってくると,ある意味で,一貫性の,ちょっと難しい話をすると,狂気と景気と言ったりしますけれども,同時並行的に一貫性のものがどんどん展開して変化していくと同時に,本人の中では新しく一貫性のものがどんどん次へ次へ生まれていくという,ある種の面白さというか,楽しさみたいなものが生まれてきて,新しい価値がどんどん生まれていくのではないかなと思ってお話を伺っていました。
 それが変えれば,例えば新しい社会の在り方,または人と人との間の関係の在り方を組み替えながら,それぞれがその社会とか間の主人公になっていくというか,居場所を自分でつくりながら新しい社会の主役にもなっていくような,何かそういうアプローチにつながっていくのではないかなと思ってお話を伺っていまして,ちょっとわくわくしながらお話を伺っていました。
 そこで,今日の資料4になるんですけれども,清原・牧野メモというものなんですけれども,今日の資料1にありました,第11期の生涯学習分科会の検討課題についてということで事務局のほうでおまとめいただいたものがあるわけですけれども,第10期を受けて,第11期で,これまでここにありますように,6名の委員から御報告を受けました。
今回,実は私が知る限りですけれども,これだけ多彩な方々が集まられた生涯学習分科会はあまりないのではないかなと思いまして,そういう意味で,いろいろなお立場から,ここにありますように,デジタル社会における生涯学習の在り方,特に社会的包摂をどう実現するかですとか,それからあと,生き方を豊かにするために,学校教育を終えた後,どのような学び,またはリテラシーを,またスキルを身につけていくのかといったことですとか,さらには,持続可能な地域社会をどう実現するのかといったことに関わって御議論いただいたんだというふうに思います。
 それを受けまして,例えば,今後どうしていくのかといったことを清原分科会長と議論させていただいて,おおむねこのような方向性でどうかということを,今日,御提案させていただいて,また皆さんのほうから御意見をいただきながら,今後の議論の方向性を固められたらというふうに考えています。
 実は,今回は,前回もそうですけれども,諮問が出ていて答申を出すという分科会ではありませんので,どちらかというと自由に議論していただいた上で,政策形成の基盤になるような議論を展開できないかなというふうにも考えております。
 1つは,1ページ目の下にありますように,大きな視点としまして,例えば,現在,各省庁の政策的な動向ですけれども,どちらかというと,地域コミュニティがとても注目をされ,焦点がそちらに移ってきているのではないか。
 例えば,総務省が地域運営組織というのをずっと提唱されていて,町内会ですとか自治会が壊れていく中で,新しい自治組織の形成といったことを推進されていますけれども,その中で,やはり総務省が盛んにおっしゃるのは,社会教育や公民館の活動がしっかりしているところが,実は地域形成もしっかりできていて,この運営組織もうまく展開できているんだというお話があったりですとか,それから厚労省も,従来,地域包括ケアというふうに言ってきたんですが,実は認知症を患う方が今,700万人近くになって,あと40年で1、150万人を超えるという,総人口の8人に1人が認知症を患う時代がやってくることを見据えながら,包括ケアではなくて,地域共生社会をつくらなければいけない。そのときに,従来のような福祉的なアプローチだけではなくて,むしろ住民の方々の興味や関心に基づいたまちづくりのアプローチを併用するのだというふうに言い始めているんです。
そこに,やはり厚労省も注目をしてきていますのが,社会教育や公民館の活動ということでした。
 さらに,ほかにも例えば国交省が,今,地域防災システムをつくっていますけれども,ここも被災後の避難所規定がうまくいっているところが,ほとんどが公民館活動が活発なところだということを彼らも調査で知っていまして,盛んに最近では楽しい防災ということを言いながら,公民館活動の活性化みたいなことを言い始めているんです。
 当然,文科省は,今,コミュニティ・スクールを提唱して,どんどん推進をしていますし,その中で地域学校協働活動ですとか,GIGAスクールで個別学習と,いわゆる全体の最適化といったこともお考えになっています。
 その意味で,どんどん今,コミュニティがいろいろな政策の焦点になってきているんですけれども,少し歴史的に振り返ってみますと,明治以降,新しい国をつくってくる過程で,何となくそういう実感があるんですけれども,何かこう,国という全体の枠組みが動揺すると,コミュニティが焦点化されてきて,さらに自治が強調されてくるような動きをこの国の政策は特徴として持っているのではないかなと思うんですけれども,今改めて各省庁の政策がコミュニティに下りてくる中で,私たちが考えなければいけないのは,住民がいかに学びながら自分たちの関係性を鍛えていくのか。
それをいかに自治へというふうに高めていくのかといったことを考えなければいけないのではないか。そういうことの中で,社会教育や生涯学習を考える必要があるんですけれども,ややもすると,各省庁のいわゆる一般行政のアプローチの考え方でいきますと,課題を解決するために社会教育や生涯学習がどう活用できるかというような,そういう議論になりがちではないかなと思うんです。そうした形でよいのかといったことを,やはり私たちは一度考えておかなければいけないのではないかというふうにも思います。
 2枚目になりますけれども,一方で,コミュニティが焦点化されてくると同時に,もう一方で,学びといったことですとか,学び直し,またリカレント,またはリスケリングといったことが,今,政策的な課題にもなってきていまして,ある種,学校教育以外の学びが注目をされ始めているということがいえるのではないかというふうにも思います。
 それは,1つは社会の構造的な変容といったこともありますし,現在の経済状況の在り方ですとか,簡単に言えば人生100年ということなんですが,高齢社会の中で高齢化率がどんどん高まっていくということで,いわゆる年金問題とか,医療保険も含めて,従来の社会保障体制が様々な課題を抱え始めたといったこともあるかと思いますけれども,そういうことの中で,例えば,もう少し早く言えば,1990年の生涯学習振興整備法のときに,本来,生涯学習を総合行政として運用するという形で法案がつくられていたわけですけれども,審議の過程で様々な省庁の間の綱引きが起こり,最終的には,当時の通産省と文部省が一緒になってつくった,ある種,教育産業振興法みたいな形で生涯学習振興整備法が出来上がっているわけですけれども,その後,95年に高齢社会対策基本法が制定されているんですが,これは厚労省のものではなくて,いわゆる総合行政,また総合法として出されたもので,その中に生涯学習が総合行政として明記をされているということがまずあります。その後,少し飛びますけれども,直近ですと2017年の人生100年時代構想会議で,全世代型社会保障を行うといったことと抱き合わせで学び直しが提起をされてきている。また,リカレント教育が強調されるようになってきている。
 これは,少し悪口的な話をすれば,社会保障が重くなってきているので,ベーシックインカムに切り替えていく中で,足りない部分を自分で補えるように,学び直しの機会を保障し,学び直しては社会参加を繰り返すような人生といったことが構想されていたわけですけれども,新しい生き方といったことを学び直しで保障するような制度設計をしませんかという議論になっていました。
 その後,2018年に高齢社会対策大綱がつくられて,そこではいわゆるエイジレス社会といいますか,年齢によって差別をされたりですとか,年齢によって区分けをされるような社会ではなくて,一生涯活躍できるような社会の仕組みにしませんかということと,もう1つは,地域コミュニティで若い世代が自分たちの老後といいますか――「老後」という言葉は使ってはいけないんですね,エイジレス社会ですから――自分たちが高齢期に入っても,ああいう人生が歩めるんだということがイメージできる社会をつくろうということが言われていて,社会参画といったことが非常に強調されているんです。
 ただ,そこから,実は一億総活躍ですとか,人づくり革命,生産性革命という安倍政権の末期の頃の政策が展開してくるような形になった。その後,いろいろな会議体,例えば選択する未来も,コミュニティを重視しながら,ワーク・ライフ・バランスを重視し,社会的なセーフティネットを整備しながらデジタル化を推進するみたいな議論をどんどん立ててきていますし,新しい岸田政権でも,新しい資本主義実現会議で,成長と分配というふうに言っているんですが,その根幹に何があるかというと,ちょっとこの事務局の方に聞きましたら,やはりそれぞれの人々の生産性の向上といったこと,そのためにリスキリングを重視し,さらに学び直しやリカレント教育をという議論をやっているということなんです。
 さらに,全国社会福祉協議会も,従来の福祉教育という考え方から,先手を打った形での社会教育へ,簡単に言えば,様々な小さい問題が大きくなる前に,地域の人間関係をベースにしながら,新しいコミュニティや人間関係をつくって,社会の基盤を安定させるような社会教育をというふうに言い始めています。
 その意味では,やはり生涯学習ですとか社会教育といったものが,この全世代型社会保障の問題と,それから,ある意味では,新しい資本主義という,生産性を向上させようといったこととの絡みで,例えば学び直しの機会保障をしていくですとか,さらには一生涯学び続けて働き続ける,また,社会貢献し続けるような人生の在り方といったことを,政策課題化してきているんだというふうに思います。
 その意味で,生涯学習や社会教育というのは,いわゆる教育行政が中心であるわけですけれども,教育行政の範疇に収まるものではなくなってきてしまっているというのが実態ではないかということなんです。
 その意味で,社会基盤としての社会教育や生涯学習といったことを,改めて私たちは,教育に携わる者として,どう捉えたらいいのかといったことが,やはり問われてくるのではないかというふうにも思います。
 例えば,振り返ってみればということなんですけれども,戦後,公民館の構想が出され,新しい社会教育,戦前の社会教育から新しい社会教育に切り替えていくということの中で言われていましたのは,ここに6つの絵がありますけれども,ちょっと詳しい説明は省きますが,簡単に言えば,いわゆる社会教育,みんなが学ぶ機関でもあるわけですけれども,当然これは地域のいわゆる産業振興です,生活の改善をしていくものでもあったり,また,民主主義を勉強する場所でもあったりですとか,さらにその町村の自治の振興機関であったりですとか,産業振興機関と書かれてあるわけです。
 そして,上の真ん中の絵にありますように,人々が交流・親睦を深めるというように言われながら,ここには少なくとも3世代の人々が書き込まれていて,乳飲み子がいますけれども,もしかしたらあの子は4代目かもしれないわけです。その意味では,次の世代をちゃんと育成していくという意味において,自分たちの住んでいる地域コミュニティを持続可能なものにしていくための機関でもあるというような説明がなされていました。
 その後,社会教育法の中にも,社会教育法なので教育法ではあるわけですけれども,例えば第20条の公民館の規定を見ますと,教養の向上は当然なんですが,健康の増進とか情操の純化,それから,生活文化の振興,社会福祉の増進といったことが書き込まれてあるんです。ですから,いわゆる教育という範疇を超えた形で,住民生活に関わるようなものを扱う場所として公民館が置かれていたということがあります。
 さらにずっと飛ぶわけですけれども,最近ですと,コミュニティ・スクールを推進していくというときにも,従来は,学社連携とか融合と言われたんですが,現在は協働という議論が出てきていて,学校を支援することから,子供たちを学校と地域が一緒になって,車の両輪のようにして育てていきましょうというふうに大きく方向性が展開をしています。これはなぜかといえば,ある意味では,簡単な話で,人生100年を生きる時代に,いわゆる学校教育といいますか,国民教育制度が関わることができるのは,せいぜい12年間なんです。小学校から高校まで。新しい学習指導要領は幼稚園まで入れて15年間で設計されていますけれども,人生初期しか関われない。その意味では,そこで子供たちは,知識を学ぶわけですけれども,さらにそこで一生涯学び続けるための基盤をつくる必要があるという理論で新しい学習指導要領が設計されているというふうに思いますけれども,それを受けていくものとして,地域と学校が一緒になって,車の両輪のようにして,子供の探究活動ですとか,いわゆる単に知識を詰め込むということだけではなくて,それをいかに使えるようになるのかといったことを一緒に行っていきましょうというふうに変わってきているわけです。
 それを受けて,2018年に,こちらの生涯学習分科会のほうから,開かれつながる社会教育ということが提供されて,社会教育基盤としては,人づくり,つながりづくり,地域づくりということで,社会基盤としての社会教育といったことが提起をされてくる。
 ただ,ここでやはり問わなければいけないのは,社会教育というところに,先ほどの各省庁のコミュニティ政策を代入しても,あまり違和感がないということなんですよね。そうなると,社会教育の固有性は一体どこにあるのかが問われなければいけなくなる。
 さらに,同じ年ですけれども,社会教育士,社会教育主事をさらに活用しようということで,学びのオーガナイザーとして活用していただくために,「社会教育士」という称号を新設したことになります。
 そうしたことを受けながら,前の期ですけれども,第10期の生涯学習分科会で,命を守る社会教育ということが議論の整理として出されてきまして,これはSDGsとも関わりながら,誰一人として取り残さない社会を実現する。社会的な包摂をということが基盤になる。そういう社会教育や生涯学習を実現しましょう。
 さらに,デジタル化への対応ですとか,また,今回のコロナ禍という,ある意味では,その予防ですとか,様々な課題に対応できる力を社会につけていくといったことが議論になり,デジタル社会における様々なリテラシーの問題ですとか,機会保障のことが問題になった。その意味では,改めて第10期で,社会基盤としての社会教育や生涯学習といったことが議論の課題になってきたということになります。
 それらを受けまして,さらに今回の3回にわたる委員の皆さんからの御報告を受けて,今後の大きな方向性として,こんなことが考えられないかというのが5番目ですけれども,1つは,やはりコミュニティをベースにした自治といったことをどう考えるのか。そこにおける人々の学びといったことが,どう展開しながら,例えば住民自治と団体自治を鍛え上げていくのかといったことを問わなければいけなくなったのではないか。
 さらに言えば,もう少し実践という問題と,学びとは何かという原理的な問いかけを融合できるような議論をどこかでする必要があるのではないか。例えば,機会保障としてのFor Allというものを,さらにそれをベースにしながら,全ての人々が関わりながら,先ほどの一貫性の景気と狂気という形かもしれませんが,自分がちゃんとそこの,ある意味では主人公として,この社会を成り立たせているんだ,つくっているんだと思えるような在り方をどう模索できるのかといったことを議論できないだろうか。
 そうなってくると,社会基盤としての社会教育,または生涯学習というわけですけれども,もう一度,課題解決のためにあるのかどうかといったことも含めて,社会教育や生涯学習とは一体何なのかといったことを再定義する必要が出てくるのではないか。
ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども,社会教育や生涯学習がきっちりと展開をしていると,その上で一般行政の様々な事業が実はスムーズに展開をしていきますし,課題もそんなに大きくなる前に人々の間で解決がなされていくような社会,社会基盤が豊かに形成されていくんだというふうに考えれば,ある意味では,一般行政の基盤でもありながら,それに優越するというか,優先されて実践されていかなければならないものとして置かれていくのではないか。
 こうしたものを考えるときに,どうしても譲ってはならない価値としては,当然,命という問題と,人々の尊厳の問題ですとか人権といったことです。それが子供たちも含めて,100年,老若男女合わせて全ての人々に保障されなければならないという観点から,社会教育や生涯学習といったことをどう捉えていくのか。そうしたことを今後,議論させていただきながら,政策提言に結びつくような形で,最後,議論の取りまとめがつくられるといいなというふうに考えたということです。このことを分科会長と事務局の方々とも議論させていただいて,今日,御報告をさせていただきました。
 ちょっと時間が迫ってきていますけれども,御意見ですとか,また,次回以降ですけれども,さらにこれについて,たたき台としていただいて,御意見をいただければと思っています。
 どうもありがとうございました。

【清原分科会長】 
 ありがとうございました。
 今,牧野副分科会長から御説明いただきましたように,この間,諮問はありませんけれども,私たち生涯学習分科会として,きっちり望ましい生涯学習,社会教育の在り方を提言していきたい。その意味で,かような委員の皆様6名の御報告を出発点として,私たちは,文字どおり多様な視点と,課題解決に向けた具体的なイメージなども持つことができてきたように思います。
 そこで,本来ですと,この資料4を基に,皆様と今後の進め方について意見交換をしたいところですが,残念ながら,もう予定の3時になりました。ここで,どうしても今日の段階で確認をしておきたいことがおありになる委員の方がいらっしゃればお受けしたいと思いますが,大丈夫でしょうか。いかがでしょうか。
 もしよろしければ,初めて説明をさせていただいた正副分科会長の資料でもございますので,これを今の牧野副分科会長の御説明をお聞きになって,お持ち帰りいただきまして,今後,事務局に御意見をお寄せいただき,この資料4を,こういう言葉を使って牧野副分科会長には申し訳ないんですが,私,分科会長としては,これはたたき台だと思っておりますので,皆様にたたいていただいて,強めていただいて,是非,今回の委員のメンバーの総合力によって,望ましい生涯学習,社会教育の方向性の提言に結びつけることができればなと思っておりますので,そうした段取りで,来年に向けて,皆様とこの出発点を共有させていただくということで御了解いただけますでしょうか。
 ありがとうございます。皆様,うなずいていただきました。
 それでは,これまでの審議を共有し,これからの審議に向けて,この資料4を共有させていただくということで,本日の会議とさせていただきます。

【横尾委員】 
 すみません。

【清原分科会長】 
 どうぞ,多久市長。

【横尾委員】 
 意見を求められるということなので,スケジュールを示してほしいんです。
いつまでにとかですね。そうしないと,皆さんからの集約も,ばらばらになってしまう可能性があるので。

【清原分科会長】 
 はい,分かりました。
 それでは,この後,山下課長から,今後の審議の予定の説明がございますので,そのときに,今おっしゃっていただきました日程についても御紹介させていただきます。
 それでは,山下課長,よろしくお願いします。

【山下生涯学習推進課長】 
 ありがとうございます。今後の審議予定の日程の件については,まず,資料5を御覧ください。
 次回の第115回分科会は,2月15日火曜日,1時から3時を予定しておりますので,委員の皆様におかれましては,日程の確保をお願いできればと思います。
 また,第116回以降についても,資料5に記載のとおり予定してございます。
 ただ,来年度,117回以降のところは,年度が替わらないとスケジュールが分からないというような日程調整での御意見もございますので,来年度4月以降の分科会については,改めて皆様の日程調整もさせていただき,開催日時を今はこういう形で予定させていただいておりますが,場合によっては変更なりというようなことも可能性としてあるかなと考えております。この予定で,できれば押さえていただければありがたいなと思います。
 それで,先ほど御意見ございました,資料4についての皆様から御意見をいただきたいということの締切りでございます。年末年始の宿題ということで,1月中には事務局に御提出いただければありがたいと思います。1月中目途というところでお願いしたいと考えておりますので,よろしくお願いいたします。
 以上です。

【清原分科会長】 
 そのことについては,また改めて皆様に正式にメール等で御連絡をさせていただきますので,フォーマット等,標準化,共通化したほうが書きやすいということもございますと思いますので,改めて事務局から連絡をさせていただきます。
 よろしいですか。
 ありがとうございます。
 それでは,皆様に集中して取り組んでいただきました本日の生涯学習分科会,第114回をこれで閉会とさせていただきます。
 御報告いただきました長谷川委員,山内委員はじめ,皆様,大変熱心に御参加いただきましたことに感謝申し上げます。
 牧野副分科会長の説明いただきました資料4を,年を越して,私たちの出発の基盤として,皆様の御意見をより深め,強めていきたいと思いますので,何とぞよろしくお願いいたします。
 それでは,皆様,どうぞお健やかに年末年始をお過ごしください。そして,また来年,元気に分科会でお目にかかりますことを願っております。皆様,どうぞよいお年をお迎えください。
本日はありがとうございました。
 

―― 了 ――

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