生涯学習分科会(第110回) 議事録

1.日時

令和2年8月17日(月曜日)10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省 9階 総合教育政策局会議室 ※WEB会議

3.議題

  1. 議論の整理(案)について
  2. その他

4.議事録

【明石分科会長】
おはようございます。定刻となりましたので,ただいまから第110回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。本日は,お忙しいところをお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
本会議は,新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため,ウェブ会議方式にて開催させていただいております。
本日はWebEX上で報道関係者及び一般の方々の傍聴を受け入れております。傍聴者は会場全体を映した映像を傍聴することになりますが,委員におかれましては,御自宅や職場からの接続に際しましては背後やお手元の映り込みに御留意ください。
次に,ウェブ会議運営に当たっての留意事項の説明及び配付資料の確認を事務方からお願いいたします。
では,補佐。

【野口生涯学習推進課課長補佐】
生涯学習推進課の野口でございます。本日はよろしくお願いいたします。
本日は,前回に引き続きウェブ会議方式にて開催いたします。御不便をおかけすることもあるかと存じますが,何とぞ御理解のほどよろしくお願いいたします。
ウェブ会議を円滑に行う観点から,前回も申しましたけれども,改めて4点ほどお願いいたします。
まず1点目でございます。御発言に当たっては,インターネットでも聞き取りやすいよう,はっきり御発言いただければと思っております。
2点目でございます。御発言の都度,名前をおっしゃっていただくよう,よろしくお願いいたします。
3点目でございます。御発言のとき以外はマイクをミュートにしていただきますよう,よろしくお願いいたします。
4点目でございます。御発言に当たっては,「手を挙げる」ボタンを押していただき,御発言が終わりましたらボタンを解除いただければと思っております。
お手数をおかけしますが,何とぞ御協力のほどよろしくお願いいたします。
それでは,資料の確認をさせていただきます。本日の資料につきましては,議事次第にございますとおり,資料1,議論の整理(案)でございます。御不明な点がございましたらお申しつけいただければと思います。
以上でございます。

【明石分科会長】
本日は,第10期生涯学習分科会議論の整理(案)について,委員の皆様から御意見を頂きたいと考えております。本日は,第10期生涯学習分科会議論の整理取りまとめに向けては最後の審議の場となる予定ですので,その点を踏まえて御意見をお願いいたします。
議題は,第10期生涯学習分科会議論の整理(案)についてでございます。
それでは,審議に入る前に,事務方より御説明をお願いいたします。根本課長,お願いいたします。

【根本生涯学習推進課長】
生涯学習推進課の根本でございます。資料の1に沿って御説明をさせていただきます。
まず,1ページ,「はじめに」というところでございますが,この第10期につきましては,9期の答申を踏まえまして,人生100年時代,またSociety 5.0など,社会の変化とか課題を踏まえました新しい時代の生涯学習,また社会教育がどのような施策が考えられるのかというのが1つ目の議論でございます。
もう1点は,「開かれ,つながる社会教育」へと進化を図っていく上で,民間団体又は人材の活躍とか連携をどのように促進していくのか,さらに,関係機関や行政の果たす役割は何か,また,取組はどのようなものが考えられるかということについて,ヒアリング等を進めてまいりました。
その中で,新型コロナウイルス感染症に関する対応が出てきておりまして,これは社会教育に対しても大きな影響を与えております。それぞれの場において学びを止めないことの重要性が共通認識され,更に学びの新たな可能性が示されたところでございます。
社会教育は,学びを通じて個人の成長を期すとともに,他者との学び合いを深め,お互いのつながりを形成していくというところにも重要な特徴があります。新型コロナウイルス感染症への対応を通じまして,包括的な社会を目指す生涯学習・社会教育の在り方というのが強く求められました。また,ここ近年につきましては,大規模な水害等が多発しております。自然災害等によります国民の生命・財産への被害等も激甚化してきています。こういう中で,「命を守る」生涯学習・社会教育の重要性が強く認識されたところであり,この点につきましても一定整理を行わせていただきました。
2ページ目でございます。社会的包摂の実現ということの中でございますが,必要性は言わずもがなのところでございます。2つ目の括弧のところに社会教育の果たす役割ということがございますが,ここの29行目辺りからは,地域の多様な人々が相互に理解し合い共生できるような環境をつくっていく上で,社会教育は極めて重要であり,多様な人々が共に学び合う場を社会教育を通じて実現していくことの重要性が言われているところでございます。
3ページに移りますと,外国人とか障害のある方々を含め多様な困難を抱える方々にとって,新型コロナウイルス感染症の拡大によりまして,課題がより深刻化していっているところでございます。
このような問題を解決するに当たりましても,人々がこうした問題に関心を持ち、解決のために社会に参画していううえで必要な知識や技能を習得するということが非常に重要になってきているという点をこの段で触れております。
3ページの中段ぐらいのところでございますが,社会教育の取組ということで,新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う学校の臨時休業等におきましては,民間団体とか社会教育施設におきましても,インターネットを通じた無料の学習コンテンツの公開とかオンラインによります学習支援,居場所づくりなどに努めてきたところでございます。
障害のある方に対しても,また,外国につながる子供たちに対しても,様々な取組がなされてきたところでございますが,ここのページの34行目以降でございます。社会教育等につきましても重要な役割を果たしてきている事例が見られるという一方で,地方公共団体や社会教育施設における取組は一部にとどまっていたという課題を挙げております。
4ページに移ります。4ページ目の2つ目の丸でございますが,これらの課題を考えまして,例えば,総合教育会議などを通じて関係部局が連携して取り組むこと,また,行政だけではなくて,産業界,大学,NPOやPTAなどの民間団体など,多様な関係機関と協働していくことの重要性が触れられているところでございます。以下について,少しこれまでのヒアリング等しました事例を取り上げているところです。
続いて6ページのところ,これは人生100年時代に関するところでございますが,1つ目の丸でございますように,健康寿命が延びまして,人生100年時代と言われるようになってくると,より多様で豊かな生き方・暮らし方のマルチステージということが言われているところでございます。こういうときに,健康を保持しながら活動できるようにする部局が大事だということでございます。
さらに,3つ目の丸でございますが,高齢者は地域こそが生活の生きるフィールドということで,そこでの学びや活動を通じて地域における孤立を防ぐということが期待されるという観点もございます。
また,マルチステージの人生になりますので,大学とか専門学校等でのリカレント教育の充実というようなのもいろいろな形で御意見を頂いたところでございます。
更に少し飛びまして35行目でございますけれども,活動の成果というのをこの地域活動への参加とかボランティア活動などにも生かしていくという,社会への還元についても触れられたところでございます。
続きまして,8ページの方に移動します。8ページのところでは,Society 5.0に向けたこれからの生涯学習・社会教育について触れさせていただいています。
1つ目の丸は,Society 5.0についての概要,こういうことで,これまでではないような「非連続的」という形で表現しておりますが,大きく社会的な在り方が変わるということで,社会全体のデジタル化が進められているというところを取り上げております。
これにつきましては,2つ目の丸にございますように,産業界によります新しい商品とかサービスを生み出すことができるような人材育成とか,また,私たちの日常生活におきましても,これらのリテラシーを高めることによって,一人一人が不安なく自らの意思で生活できるような,そういう場をつくる必要があるということに触れています。
更に3つ目以降につきましては,Society 5.0によりまして,時間的,空間的な制約を超えた学びというのが一般的になってくるということ,その辺の充実と,更にそれに加えまして学習履歴の保存等が容易になったりすることが可能であるということ。
また,今回の新型コロナウイルスの中では,オンラインによります学習とかテレワークなどが広がっております。これらについての,これは時間的な節約等ができるということでメリットも多く,オンラインでの広がりがあったというようなことでございます。
ただ,一方で,対面の授業とか活動の利点,これを全て代替することはできないということとか,インターネット上のトラブルから人間関係の悪化につながるようなこともあるという指摘もございました。
さらに,その次の括弧のところ,最後の丸のところでございますけども,社会教育施設におきましても,このような新しい技術を有効に活用して,例えばオンラインによる取組とか,また,移動困難な高齢者等が参加しやすくするとか,また,若者も参加しやすくなるというようなことで,いろいろな工夫ができるということ,これはまた多くの住民の参加によります人づくりを広げていくことが期待されるというようなところに触れております。
さらに,9ページでございます。こちらにつきましては,ICTの活用能力を身に付ける機会の少ない高齢者に対するものでございますが,これにつきましても社会教育施設等での活動内容の充実を進めていく必要があるということ,特にインターネットが今までは生活の単なるオプションでありましたけれども,これからの時代におきましては生きるための命綱にもなり得る時代になってきているということから,デジタル・ディバイドの解消を図ることが重要であるということが指摘されております。
更に加えまして,社会教育施設のICT環境につきましても,環境の整備を進めていくことが重要であるという指摘でございます。
続きまして10ページ目,地域活性化についてでございますが,人口減少等がある中で,また,若い世代の地方からの流出と東京圏への一極集中というふうな大きな観点がある中,あと,最後の3つ目の丸のところでございますけれども,災害やパンデミックなどへの対応,また,地域住民の命を守る生涯学習・社会教育という観点からも重要であって,このためには,先ほどまで申し上げてきました行政とかに加えまして,産業界とか大学とか金融機関,労働団体,NPO等,非常に多様な主体によります連携・協働と支援が大事だということにつきまして触れさせていただいております。
次に,すみません,12ページに移りまして,子供と若者の地域参加の観点でございます。
こちらにつきましては,特に平成28年度から選挙権の年齢が18歳に引き下げられたということもありまして,高校を中心といたしまして選挙管理委員会と連携したような主権者教育が展開されているところでございます。今回のコロナ禍におきましても,地域に関する子供たちの関心が高まっているということについて触れさせていただいております。
さらに,13ページに移りまして,社会的な参画について社会教育が果たすべき役割ということの中に3つ挙げられておりますが,特に3つ目のところにございますように,専門的な知見を有する社会教育主事,公民館主事等が学校と連携して取り組むということの重要性を挙げているところでございます。
14ページ以降でございますが,こちらは,これからの方策等についてまとめられているところでございます。
1つ目が,新しい時代の学び方とその在り方についてですが,在り方について最初のところに挙げているように,社会的包摂の関係とかSociety 5.0,人生100年時代,新型コロナ感染症,このようなものに対応していくことが重要であって,また,4つ目の丸でございますけども,答えが1つでなく,解決が容易でない課題に対しても,人々が主体性を持って取り組むということ,さらに,共に学び合いながら課題解決に取り組むことが重要であると。その中には子供・若者の参画というのが非常に重要になっているというようなことが挙げられております。
学びの姿ということになりますと,1つ目の丸のところで,学びの捉え方が多様化してきているということ,また,ダイバーシティーの観点とか,学びと活動の循環,また,新しい技術を活用した学び,そのような多様な学びの姿が展開されているということ。ただ,オンラインによります学びにつきましては,これは対面によります取組と両方が融合することによって更に豊かになっていくというようなことについて,15ページの頭のところで触れられているところでございます。
また,丸2のところにつきましては,ここは新たなパンデミックとか自然災害等に向けて対応するために,必要な知識を知って,課題解決に向けて共に学び合う機会の充実が挙げられております。
3つ目のところでございますが,学びを通じた生涯活躍の地域づくりというふうな観点の中では,全国各地で豊かな学びの活動が行われますように,学びを通じた生涯学習の場づくりというのが重要になっているということ。
さらに,その次の丸のところでございますが,学びの活動をコーディネートする中核となる人材の存在が重要になっているところ等について触れられているところでございます。
16ページでございますが,こちらのところにつきましては,9行目のところ,新しい動きを創り出す人のフォロワーとして寄り添い背中を押すことができるような,そういう「人づくり」,「つながりづくり」,「地域づくり」を実現するための取組が必要であるということが挙げられております。
17ページにつきましては,社会教育主事の取組,また,社会教育士という称号を取得できる制度や社会教育士に期待される役割等について説明させていただいているところでございます。
続いて,18ページからの新しい技術を活用した「つながり」の拡大というようなことでございますが,ここは主に19ページのところ,社会教育施設におきましては,従来のような対面での学びの機会をつくりにくい,そういう状況にあっても学びを止めない,そのためにICTの技術を活用した新たな形での取組を積極的に推進する必要があるということ。そのためには,1つは,パソコンとかWi-Fiなどの環境整備をするということの重要性が挙げられておりまして,その具体的な内容といたしましては,既存の財源等の活用というようなところでございますが,その下の事例にございます和田公民館でのいろいろ創意工夫をしたような取組とか,その下の米印の10番のところにありますような,1つは,社会教育施設活性化事業費という地方交付税交付金の措置がされていること,また,千葉県の大多喜町とテルウェル東日本株式会社の協同の取組が挙げられるように,民間との取組の連携が重要であるというようなことが挙げられているところでございます。
さらに,20ページに行きまして,こちらからは幾つかの取組の関係でございますけれども,例えば,社会教育施設でこれまで行われてきている学習会のようなもののデジタル化をするというようなこと,また,これは社会教育施設に限らず,地方公共団体とか民間団体などで行われている優れた活動のデジタル化と,さらにはMOOCなどとの連携をするということ,このような形で,なかなか各社会教育施設ではコンテンツが充実しないものについて,それを連携させることの重要性について触れているところでございます。
さらに,その下のところにつきましては,情報リテラシーを習得するための方法というふうなことで,企業等との連携というのが挙げられています。また,GIGAスクールによりまして,小・中学生が学校において1人1台パソコンの中でいろいろな情報ツールの使い方を身に付けてきておりますので,これらを家庭に帰って御両親とか祖父母とかにも提供するというような形での広め方というのも一つ期待されるところでございます。
その下のところにつきましては,学習情報の可視化というふうなことについて,引き続き推進方策について検討していくということの必要性が挙げられているところでございます。
さらに,リカレント教育の充実についてということで,大学・専門学校等々の活動について触れております。
21ページでございますが,ここは,地方の優れた取組と,これの全国展開をする際の方策ということで,1つは,それぞれの実施主体によります多様なニーズを踏まえて創意工夫した取組を進めるというふうなこと。そのために,先進的な事例や他の地域でも取り上げることが期待されるような事例について,国が収集して発信していくことが必要であるということ。
また,最後のところにつきましては,より多くの人たちが優れた取組・ノウハウ等について共有する場や機会を充実させていくことの重要性について触れられているところでございます。
最後のページにまとめといたしまして,2つ目の丸でございますが,社会教育につきましては,個人の成長と地域社会の発展の双方に重要な意義と役割を持つものであるということ。そこには学びの場を通じた住民相互の「つながり」が必要であるということ。これらが新しい時代の生涯学習・社会教育の鍵となっているということ。
さらに,包摂的な社会とか,「命を守る」生涯学習・社会教育に取り組むことにつきましては,地方公共団体の首長部局とか産業界,大学と,又は民間団体等,様々な機関との連携ということの重要性がいま一度確認されたところでございます。
4つ目の丸のところでございますが,こうした取組を行う上で,これまで以上に「つながり」と新しい技術を活用したオンラインによる「つながり」,両者をうまく組み合わせることによって,更に豊かな学びが実現することが期待されている等々について触れさせていただいているところでございます。
最初の1ページに戻っていただきまして,1ページの最初のところ,「第10期生涯学習分科会 議論の整理」の下のところに副題(案)というのを用意させていただきました。これは今まで申し上げましたようなところの観点を踏まえたものということで,生涯学習・社会教育を進めるに当たりましては,今までは人中心の学びと活動のつながりというようなことでしたが,これからは,人と技術の融合によって広がり,更につながっていく,そういう生涯学習・社会教育を進めていくというようなことで,サブタイトルとしまして「命を守り,誰一人として取り残すことのない社会の実現へ」という形で整理させていただいたところでございます。
長くなりましたが,御審議方よろしくお願いいたします。

【明石分科会長】
根本課長,ありがとうございました。
それでは,今,事務方から御説明いただきましたことを踏まえまして,皆様から自由な御発言をいただければと思っております。どなたからでも御自由に御発言いただけますか。
それで,御発言を頂きます方は「手を挙げる」のボタンを押していただきますようお願いいたします。こちらから御指名させていただきますので,ミュートを解除いただいて御発言をお願いします。
事務局がこれから挙手している委員を順にリストにします。
では,まず,髙倉委員,お願いいたします。

【髙倉委員】
髙倉でございます。暑い中,皆さんお元気でしょうか。
今回提案を頂いた整理の案は,コロナ禍により大きく社会情勢が変化をする中で,これまでの論議が丁寧かつバランスよく整理されており,事務局の皆様の御尽力に,心より感謝申し上げたい。
その上で2点申し上げる。
1点目は,リカレント教育に対してである。6ページ(2)5つ目の丸に記載されている通り,社会人が大学等で学ぶ際の時間と費用の課題に言及いただいたことは感謝申し上げたい。しかしながら,記載されている「企業等が必要に応じて連携・協働」との表現だけでは対応策のイメージが伝わりづらいのではないかと感じる。調整の結果かもしれないが,可能であれば,「有給教育休暇制度の制度化検討」など,社会人が学ぶ上での課題改善につながりやすい表現に修正していただきたい。
2点目は,10ページ「地域活性化の推進」3つ目の丸に,「労働団体,金融機関,NPOといった多様な主体」を加筆いただいたことに感謝申し上げたい。これまでの産官学という固定概念から,より広い主体の担い手が協働する取組の必要性があると印象づけることにもつながり,様々な団体との協働を後押しする効果があると評価したい。
その上で,多様な主体による連携・協働やや多様な世代が共に学び合う機会は,「命を守る」学習・教育に限らないことから,地域活性化の推進全体に係る表現に加筆いただければ幸いである。
最後に,提案いただいたサブタイトルは,正にSDGsの精神であり,「誰一人として取り残すことのない社会の実現」に向けた決意の表れを感じるすばらしい表現であることをお伝えしたい。
以上であります。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
では,大久保委員,お願いいたします。

【大久保委員】
ありがとうございます,大久保です。改めて今回整理された資料全体読ませていただいて,かなりこの間の議論も反映されて,充実した内容になってきているなと思っております。
その中で,社会教育に関する記述については,大変メッセージ性も出てまいりまして,充実してきているのですけれども,いわゆる生涯学習という観点のところに関しては総体的にちょっと弱いなという感じがしております。例えば8ページのところに,テクノロジー,Society 5.0との関係の議論も書いてあるのですけれども,これは御提案なのですが,私は前回のこの会議の中のプレゼンテーションのときにも申し上げましたけれども,テクノロジーとかデジタル化というのが進んでいくことというのは,生涯学習を進める上で非常にチャンスといいますか,好機だと思っているんです。コロナという残念な出来事がありますけれども,それによって更に加速をしたわけで,まさしく生涯学習とか自己が主体となって学び続けていく学び直しやリカレント教育ということに関しては環境がより整ってきたんだと。このチャンスをうまく生かして生涯学習を推進していく必要がある。そういうニュアンスのことをしっかり書いてはどうかなと私は思っています。
8ページの丸の3から4つ目の当たりに少し部分的に触れていますけれども,このデジタル化とかオンライン化,テクノロジーの進化というものは,生涯学習において非常に大きな役割を果たしていると私は思っていまして,私なりに整理しているのは,5つぐらいのポイントに整理しているんですけど,1つは,これによって,いつでもどこでも学習ができるようになるということ。
2つ目には,ここには触れられてないんですけど,コストが下がるんですよね。個人として負担するお金もそうですし,社会的なコストも下がると。
それから3つ目は,様々な人が今度は学習コンテンツを提供する側にもなりやすくなるので,コンテンツが豊富になると。本当に学びたいものがラインアップされていくということ。
4つ目には,テクノロジーを活用することで,個別最適な学習プログラムになったりとか,あるいは復習したりするというような活動がテクノロジーによって支援されていく,学習支援が盛り込まれていくということです。
5番目には,学習履歴がきれいに残りますので,自分はこういうことを学んだのですよということの学習の証明もしやすくなるといったことが私はメリットだと思っているのです。そういったメリットを最大限に生かして,この機に生涯学習を大きく前に動かしていくのだということを言ってはどうかと思います。現状の書き方は客観的というか,他人(ひと)ごとみたいな形に書かれているような感じがするので,主体的にそういうことを書いたらどうかと思っています。特に,コロナによってテレワークが浸透し始めてきていること,これがかなり追い風になるのではないと私は思っているので,その辺りのところの書きぶりをもう少し工夫するとバランスが取れるのではないかなと思っておりますので,御検討をお願いしたいと思います。
以上でございます。

【明石分科会長】
大久保委員,ありがとうございました。
では,次は佐賀の横尾委員,お願いします。

【横尾委員】
では,申し上げたいと思います。
まず,10ページです。地域活性化の推進の3つ目の丸に,災害・感染症対策,前回のことが出ていますが,ここの関係者のところがどっちかというと地方創生の主体を書かれていると思いますので,もしパンデミックを書くのであるならば,ここに医療関係者も具体的に記述いただいた方がいいと思います。関係の皆さんは今も大変苦労されていて,感謝と敬意を表す意味でも是非入れてほしいなと思っています。
あわせて,そのパラグラフの最後の方ですけど,「学び合う機会を充実する」と書かれているんですが,できれば,「学び合い,連携・協働により,学びを対策充実に高める機会を充実」というふうにつないでいただいた方がいいかなと思っています。
次に,14ページです。14ページには,一番下の方ですけれども,学びのいろいろなオンラインのことが書かれているんですが,この際,もうちょっと明確にMOOCの可能性と拡充を書いていただいた方がいいと思います。過去のパターンの延長線に未来はありませんので,でき得るならば,新しいものを創造するという観点で臨んでほしいと思っています。
その理由は次のページですけど,15ページ目を見ると,どうしても公民館を使った教育というのがあえて書かれているんですけれども,MOOC,オンライン,ウェブ,いろいろな活用が今回可能になってきていますので,アメリカにある例えばカーンアカデミーのように,どこにいても,シニアでもジュニアでも学べる,そういう機会を創出するためにも,MOOCの可能性をもっと強めて書いていただいたらどうかと思います。
続いて15ページ目ですけども,15ページ目には,基本的な方針の「命を守る」,前回の議論が出ています。是非このときに,最後のセンテンスですが,「学び合い,行動できる機会の充実は,住民と人々の」というふうにしていただいた方が,これだと住民だけの命を守っちゃいますので,通行者や観光者や外国人,当然いますから,是非学びが行動になること,そして住民のみならずあらゆる人々の命を守るということを記述すべきだろうと感じています。
続いて18ページ目ですけど,18ページは,前回,私,申し上げたんですけど,下の方ですが,文部科学省が提供されている「子供の学び応援サイト」は書かれているんですけど,実はNHKを始めいろいろなところが官民たくさんの学びのサイトを作られました。そういったことを若干触れた方が現実に即すると思います。そのためには,「文科省では」ではなくて,「文科省をはじめとして」としていただくだけでそれをカバーできますので,是非検討いただきたいと思います。
続いて20ページ目です。GIGAスクールのことが書かれています。もちろん,先ほどの説明にありましたようにそれで内容は足りているんですが,表現としては,政府も強くおっしゃっているし,今回のコロナ禍で分かってきたことですが,データ化社会がどんどん進むと思います。そういうことを踏まえると,この記述は,「GIGAスクール構想により,デジタル社会を担える人材となることとともに,パソコンやタブレット」というふうにつないでいただいた方がより有効だと思います。
続いて21ページ目です。リカレント教育が書かれていますが,シニアの方を意識した対策の強化が必要と思います。例えば年金生活者の方でも学べるというチャンスをつくることが発信としても大事だと思います。そういった意味では,放送大学やMOOCの活用で,どの地域でも,どの世代でも,シニアでも簡易に学べるよと,やる気があったら学べますよということ是非記述していただいて,今後の改革に生かしてほしいと強く思いました。特に年金生活者で,定年後,新たなステージで学びたいと思って求めている方は多いと思います。
そして最後ですけど,22ページです。2つ目の丸に社会教育のところがございます。ここは後の方でも書かれているので,冒頭,「生涯学習と社会教育」と書いていただいた方が後につながりがいいかなと思っています。
最後の22ページに,座長にも提案なんですけど,今回,コロナのことがあってかなり議論も新たな展開を呼んだと思うんですね。そのことも若干触れていただいたらどうかなと感じています。例えば,新型コロナウイルス感染症で議論もより広い分野に及んだとか,あるいはコロナ後の学びのスタイルについても大いに議論したと,そういうことを共に充実していくべきではないかということを,この際,まとめのところで発信したら,より有効なものになるんじゃないかと感じています。
以上です。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
では,続きまして,萩原委員,お願いいたします。

【萩原委員】
ありがとうございます。前回の議論を踏まえて非常にまとめていただき,ありがとうございました。2点ございます。
まず1点目なんですけれども,最初のところですね。最初のところで「命を守る」というところに,できれば,生涯学習とか社会教育の前に,「リスク教育等を踏まえた」とか「リスクコミュニケーションを含めた」というふうな,何らかのそういったものを入れていただけるとより明確になるのかなと思いました。
あともう1点目なんですけど,先ほど髙倉委員からも御指摘ございましたが,6ページのところですね。6ページの連携・協働のところですね。「一方,社会人が大学等で学ぶに当たって」というところなんですが,やはり「企業等が必要に応じて連携・協働」というのは,髙倉委員も御指摘しているように,ちょっと積極性がないような気がするので,もう少し積極的に取り組むというふうなことを入れていただきたいのと,それから,現実の問題としてやはり企業側,企業だけではないんですけれども,学びたいという社会人に対してまだまだ理解が進んでいないというところがあります。ですから,自分が大学院に行っているということを言えないというふうなこともありますので,是非そういった理解を進めとか,あるいは,これからリモートの中で,リモート学習も進む中で,そういう場の提供,具体的にはそういうことなんですけれども,そこまで書かないまでも,「理解を進め,積極的に取り組んで」いくというふうな形でどこかで入れていただけるといいかなと思っております。
以上です。ありがとうございました。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
では,続きまして,牧野委員,お願いします。

【牧野委員】
お願いいたします。私もこれを拝見しまして,これまでの議論をうまくまとめてくださっていると思います。とても御苦労されたのではないかと思います。感謝を申し上げたいと思います。
その上で,幾つか,少し大きな話にもなるかもしれませんけれども,お話をしたいと思います。まず,前回,今村委員からの御指摘もあったと思うのですが,せっかくこういう形で議論の整理をして,社会に出すものですので,できれば,今回,私たちはこういう議論をして,また,新しいポスト・コロナという時代を受けて,これからどういう社会をつくろうとしているのかというか,少し希望が持てるようなことをどこかに,前ふりでも2の方の総論のところでも結構ですので,入れていただけないかなと思っています。例えば1の大きなところ,現状・課題というところで,社会的包摂と人生100年,Society 5.0,地域活性化,さらには子供・若者の地域社会への参加と多世代交流という形で,大きく5つの課題が出されているわけですけれども,これらは,ほかの省庁でも扱っているものが並んでいるような感じにも見えてしまうところがあるので,こうした社会的な課題を受けて,社会教育や生涯学習が一体どういう社会をつくることにつながるのか,もう少し言いますと,社会教育や生涯学習がきっちりと展開することによってこそ,実は各省庁がやろうとしているこの5つの大きな課題が実現していって,もっと希望が持てる社会になるのだということをどこかに書けないかなと思います。できれば,例えば2の(1)の基本的考え方の「新しい時代の学びの在り方」の前ぐらいに,学びを基本にして人々が自治を高めていくことによって,社会が立て直っていくといいますか,孤立を防ぎつつ,命を守ることを基本にして,更にその上で新しい社会の展望が見えてくるというようなことが書かれてあると,2で新しいいろいろな考え方,施策が書かれているわけですけれども,それがより,こういう関係でこういう施策が採られるのだといったことを,国民の皆さんに分かっていただけるのではないかと思いますので,検討いただけないかと思います。
その上で幾つか,これも少し大きな話になるかもしれませんけれども,1つ,14ページの「社会・個人・家庭の在り方」というところで,今回の議論も反映されているわけですが,マルチステージ論が人生100年時代構想会議からも出ていたのですが,今回のコロナ禍でのオンラインの生活の中で言われ始めているのが,今までは通勤する生活をする中で人生をどう考えるかという議論してきたのですが,今後,どちらかというと日常生活の中に働き方をどう組み込んでいくのか,その意味でワーク・ライフ・バランスということよりは,むしろ自分の人生の時間を自分の手に取り戻すというような議論が今出始めています。そういう観点からも,学びが大事になってくるのだろうと思いますので,その辺りも少し何か検討していただければと思います。
それからあと,幾つか気になるといいますか,例えば「強み」という言葉があったりですとか,それから「生涯活躍」ということが書かれたりしているわけですけれども,確かにそういうことにはなるのだろうとは思うのですが,例えば誰一人取り残さないというときに,何か活躍できる人にならなければならないとか,そういう人についていかなければいけないとか,強みを持たなければいけないというようなことにもなりかねない危うさがあるのでは,という印象もあります。その意味では,例えば孤立をさせないといったことと,それからもっと言えば,ちょっと変な言い方になりますけれども,いるだけでいいのだというような,何か強くなければいけないとか,何か活躍しなければいけないということよりは,誰もがお互いに少しおもんぱかり合いながら,互いにつながっていく社会というようなことがどこかに強くイメージできるとよいという感じも受けています。それが2つ目です。
あと,17ページの,社会教育士の育成についても,3つ目,4つ目の丸のところに書き込まれているといいなと思いましたのが,大学へのリカレント教育ですとか,又は放送大学などの活用です。そういうことも書かれていると,社会教育士の育成に関してはより広がりが出るのではないかと思います。
あと,最後になりますけれども,最初に申し上げたことと関わるのですが,「おわりに」の2つ目の丸と3つ目の丸に関わるのだと思いますけれども,「つながり」が新しい時代の生涯学習・社会教育の鍵となるということですが,そのつながりをつくることによって,この社会の基盤を立て直すということにつながるのだといったことも強く言っていいのではないかと思います。
更に3つ目の丸のところですけれども,そういう社会が実現することが,行政論的に,どんな社会をつくろうとしていて,そこに学習とか学びがどう位置づくのかといったことをやはりきっちりと言っておくことが求められるのではないかと思います。すみません,具体的にどういう文言にしたらいいかということは申し上げませんけれども,少しその辺りも検討していただけるとよいと思っています。
失礼しました。ありがとうございます。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
では,続きまして,澤野委員,お願いいたします。

【澤野委員】
澤野です。前回からの短い期間で大分議論を焦点化して修正してくださいまして,どうもありがとうございます。今期の分科会は総合教育政策局が新たに創設されて初めての生涯学習分科会だということでしたけれども,正にそういった総合的な観点から多角的に議論が行われたということが,議論の整理ということでよくまとまっている報告になっているのではないかと思います。
私の方から3点指摘したいです。まず,報告書の15ページ11行目の「命を守る」生涯学習・社会教育のところですが,この15,16行目に「また,である」と未完成の文章があったのに気がついて,これからまたそこに文章を加えられるとしましたら,社会教育施設あるいは生涯学習施設,学校も含めるとしたらそういった方がいいのかもしれませんが,とにかく施設の防災の拠点としての観点から,防災の拠点としても活用する可能性がある施設としての整備も必要であると,正に命を守るということで触れてはいかがかなと思いました。もちろん,避難所になるような場合への備えというのはどちらの施設もされているとは思ういますが,今回明らかになったように,Wi-Fiですとか,スマートフォンなどがもし持ち込まれるとしたら,充電が必要かなと思ったり,また若狭公民館の事例で駐車場を活用してドライブスルーで何かいろいろ面白い事業が行われたという事例も紹介がありましたので,そういった防災の拠点としての施設の在り方を見直すというようなことも必要ではないかと思った次第です。
2点目は,17ページ全体ですけれども,社会教育主事や社会教育士がこのテーマでは非常に重要な役割を果たすということで,特にこの22行目に「多様な人材が社会教育主事の講習を受講し,社会教育士として活躍できるよう」という文言があったのですが,そこでまた平成30年度の社会教育調査の指導的役割のある職員の統計を見ましたところ,社会教育主事というのはジェンダーのバランスがとても悪いということが分かりました。図書館とか女性教育施設などは8割以上の指導系職員が女性であるのに対して,社会教育主事は18.4%しか女性がいないというのが分かりました。ジェンダーバランスだけでなくて,社会的包摂を促進するということでは,障害のある方とか外国に背景のある方とか,あるいは多様な世代の方が社会教育主事となる,また,多様な世代の方とネットワークがある人が社会教育主事や社会教育士になることによって,多様な人たちがよりつながりを持ちやすくなる学びの場のコーディネートがしやすいのではないかと思います。多様な人材と書いてあるからいいんのですが,事実,ファクトとしてジェンダーのバランスも悪いというような,実際には余り多様性がない人たちが指導者になっている可能性もあるのではないかなと思いましたので,その点,少し留意していただければと思います。
あと3つ目は,これは報告書に反映させるかどうかは要検討ですけれども,生涯学習という考え方や理念そのものがまだまだ日本の中で浸透してないこと,特に若い人の間でそういう状況があるのかなと思っています。この分科会でも私も意見を言わせていただいて,2ページ目のところに生涯学習の定義を書いていただいたり,国連のSDGsとの関係でも重視されているということが書かれているんですが,教育基本法の第3条の生涯学習の理念がせっかくあるので,改正してからもう14年ぐらいたっていますけれども,何か資料的なものをこの報告書にもしつけるのであれば,そこで再掲していただくとかしていただければいいかなと思います。というのは,実は私,大学で生涯学習概論という授業をいつも前期にしているのですけれども,今回,全部オンラインでしたせいか,原因はちょっと分からないのですが,最終レポートを採点していて,生涯学習とはどういうものかというのを教育基本法の第3条にも触れながら書くようにというのを課題の一つに入れていたところ,80人ほどいる受講者のうちの10人以上が旧教育基本法の第3条,教育機会の均等のところを引用してきてしまったのですね。どうしてだろうと思いましてグーグルで検索してみましたら,文部科学省のサイトで「教育基本法第3条」と入れると古い方の教育基本法がトップで出てきてしまうということが分かりました。教育機会の均等ももちろん重要で,現在は第4条に書かれていますですけれども,そういうような現状でちょっとショックを受けたものですから,どこかで,生涯学習の理念が教育基本法にも書かれているということを強調していただけないかなと。その理念がこういう形で新しい時代でどう実現していくのかということを我々が討議したのだということをどこかに記載していただければと思います。
以上です。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
では,引き続きまして,菊川委員,お願いいたします。

【菊川副分科会長】
ありがとうございます。今回の議論の整理は例えば副題にしても,これまでの議論を反映した副題になっていると思いますし,また,本日も委員の先生方が適切なコメントをくださっていて,更によくなるのではなかろうかと思います。
それで,私も2点申し上げさせていただきたいと思います。
1点目は,高齢者教育です。最初の6ページの理念のところか,具体的施策の17ページの②「地域における学びの輪の拡大」のどちらかに,高齢者教育,特に団塊の世代の活躍を記載できたらと思っております。団塊の世代は昭和22年から24年生まれということで,今ちょうど70代前半なのですね。子供の頃は受験競争が厳しくて辛抱強い世代だと思いますし,また,日本の高度経済成長を牽引してきた活力ある世代だとも思っております。この世代が楽しみとやりがいを持って地域づくりとか社会づくりに積極的に参画してくだされば,新たな可能性が開けるのではないかと思っております。また,彼ら自身も,健康づくりとか生きがいづくりで,人生100年を,最後まで生き切ることに資すると思います。コロナ等で先行きが見えないと言われますけれども,冷静に考えれば,地域には生かせる人材がたくさんいらっしゃいます。そのようなことに取り組んでいくのが,これからの新しい時代の社会教育や社会教育主事,社会教育士ではなかろうかと思います。それが1点です。
2点目は,先ほど何人かの先生もおっしゃっていただいたのですが,リカレント教育です。20ページの一番下でしょうか,やはりここも,コロナ後の学びのスタイルの変化を踏まえたリカレント教育というのをはっきり指摘した方がいいように思います。このたび各大学は,軒並みネット授業を迅速に取り入れたと思います。放送大学でも今までと違ったやり方で対応しています。ですから,MOOCだけではなく,各大学がやってみていろいろなことを感じたと思いますので,そういうことを是非,働く人や高齢者の退職後のリカレント教育も含めて生かす,アフターコロナの新たな学びのリカレント教育というのを追求していっていただきたいと思います。
以上でございます。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
次に,牛尾委員,お願いします。

【牛尾委員】
牛尾でございます。今回の取りまとめの報告書を見まして,本当に各所にいろいろな配慮がなされて,大変よいまとめになっていると思いました。ありがとうございます。
私は,6ページの「人生100年時代と生涯学習・社会教育」のところで2点ほど申し上げさせていただきたいと思うんですが,6ページの8行目ですね。「充実した人生を送るには,必要なときに必要な学びを通じて成長し,心身の健康を保持しながら活動できるような」というふうに,前回の委員会のときにも私申し上げたんですが,本当に健康を守るというのは,体の健康,精神の健康,そして社会的な孤立やそういうものを防いで全員参画ができるような,そういうトータルな意味での健康というところでその文言を入れていただけたのはとても有り難かったなと思っているんですが,やはり命を守る学習というところも今回強く打ち出すわけですけれども,コロナによって,生きていくということについての厳しさ,環境変化などについても私たちは改めて気づかされたわけですし,障害のある方,また,加齢によって機能障害を受けた方,いろいろな意味でも人生の中での多くの困難であるとか挫折があったとしても,生き抜いていくんだというポジティブな力をどれだけ支えていけるかというところが生涯学習の中にも求められていくというふうに改めて思います。そういう意味で,ヘルスリテラシーというような言葉に代替されるのかなとも思うんですが,自分が心身ともに健康に生きていくための必要な情報というものを入手して,また,それを理解して,評価して,活用していく,そういった知識・意欲・能力というところに,それをどれだけ支えていけるかというところをヘルスリテラシーを与えていくというんですかね,そこによって個人が人生をどう生きていくのか,自分がどうそれを消化して主体的に意思決定をしていけるのか,それを支えていくというところを学習機会の提供という意味での生涯学習の価値というものを多少ニュアンス的に入れていただけたらなと思いました。
それから,主体的に生きていく,生き抜いていくという意味では,キャリア自立ということが重要になっていくわけですけれども,同じ会社に勤めて生涯を終えるような,そういった形の人生一つのキャリアというのが通用しない時代,100年人生,寿命も延び,また,いろいろな環境変化も強まっていく中で,そのキャリア自立というところを支えていくというのもまた生涯学習の中で大変重要なわけで,その学び直しというところ,また,自分の変化を起こしていく,進化をしていく,何度も挑戦ができる。それを支える意味でのこの16行目ですね,マルチステージの中での学びの形態として大学などでのリカレント教育の重要性というのが語られているわけですけれども,この25行目ですね,ほかの先生からも御指摘ありましたけれども,「大学,専門学校,企業等が必要に応じて連携・協働しながら,リカレント教育の充実に取り組んでいく」というような,もちろんそのとおりなんですが,もう少し踏み込んだ形で,例えば私の大学を見ておりましても,大学の学校教育においては当然コロナ禍にあっても継続するということでオンライン中心で展開いたしましたけれども,リカレントの部分ではやはり提供できない形になってしまったという残念なところがあります。そういう意味では,行政から積極的な働きかけというものを持ちながら,大学や専門学校でのリカレント教育も止めないというような,もう少し踏み込んだところを出すことはできないのかなというふうな印象を持ちました。
私からは以上でございます。よろしくお願いします。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
東川委員,お願いします。

【東川委員】
失礼いたします。東川でございます。総政局事務局の皆様におかれましては,この議論のまとめ(案)について大変な御尽力を頂いたことに,まずは感謝を申し上げたいと思います。
私からは,感想と御指摘を少しだけ申し上げたいと思いますけれども,まず,先ほど牛尾先生もおっしゃっておられましたし,それから先般,牧野先生がおっしゃっておられました「命を守り,誰一人として取り残すことのない社会を実現」といった,この「命を守る」という部分が,この副題,サブタイトルといったところに記載されていることによって,この議論が最も重要とすべきことが何なのかといったところをまずここで示しているということに対して,大変共感をしているところでございます。
私から指摘につきましては,まず,感謝,お礼を申し上げなければいけないんですけれども,4ページになります。3ページから続きます「社会的包摂に関する社会教育の課題」として,家庭教育の重要性というところからつながるわけですけれども,丸の2つ目で,「これらの課題については」のくだりがある中で,「行政だけではなく,産業界,大学,NPOや」と,「NPOや」というところで前回止まっていたところに対して,社会教育関係団体として相当の人数として800万人を擁する団体のPTAを是非入れていただけないかと申し上げたところ,ここに記載がなされていることに対して,まずは感謝を申し上げたいと思います。
関連して,10ページなんですけれども,「地域活性化の推進」ということで丸の3つ目になりますが,「災害やパンデミックへの対応などの視点から」ということで,ここにも命の重要性といいますか,「命を守る」という意味での生涯学習や社会教育という観点も重要であるという指摘がなされていて,これに対しては,横尾委員の方から,地方再生の主体であるところから医療団体も加えたらどうかという御指摘も先ほどありましたけれども,私としては,ここにも可能なのであれば「PTA」というような文言を是非入れていただきたいと思っております。今はコロナ禍ですので,私どもPTA活動も様々な制限があって,ただ,いろいろな工夫をしながら活動は止めてないわけであります。過去を見ますと,東日本大震災,ああいったときも,PTAのネットワークを使ったりしながら,今,社会生活に必要な物資であったり,あるいは家庭で不要になった教育用材等を誰よりも早く取りまとめて届けたといった,そういう事例がありましたし,また,今,コロナに関する風評やいじめやそういったものが発生しないようにといったような取組というのもかなり全国的な活動の中で取組がなされておりますので,是非ここにつきましても「PTA」という文言を入れていただく御検討をしていただければなと思っております。
それから,全体的な書きぶりとして,先ほど牧野先生からもあった強くなければいけないというメッセージ性について,私もちょっと同様な印象を受けていまして,非常にリーダーシップを持ってこのタイミングで変わらなければいけないといったところを発信しつつも,でも,できる人ができることをということですけれども,書きぶりとしては,強いメッセージを発信しつつも,現状のまま,できる人ができることをというようなメッセージ性も少し入れていただくと,更に全体像としてはまとまりがよくなるのではないかなといった感想でございます。
以上でございます。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
続きまして,関委員,お願いいたします。

【関委員】
本当に事務局の皆さん方,取りまとめ御苦労さまでございました。今回,今まで私どもやってきた活動が本当にアナログだったなということを,今改めて思っております。アナログとデジタルがつながることで,これから先の新しい学びができるのかなということを本当に感じた報告書でございます。
何点か話をさせていただけたらと思うんですが,1点目は17ページの部分でございます。社会教育主事あるいは社会教育士という人材が非常に社会教育を進める上でクローズアップされた文言になっておるのかなということを感じております。私,非常に心配なんですけれども,社会教育士という人たちがこれから先いろいろな場面で活躍していく上では,多分,いろいろな不安をこれからいっぱい感じてくるんじゃないかなという心配をいたしております。多分,今まで経験が豊富な方もいるかもしれません。しかし,同時に経験がまだまだ今まで少なかった人がいろいろな壁にぶち当たることもいっぱいあろうかと思いますので,本当の意味でのつながり,今回,この文言を見ておりますと,これまでになかった社会教育関係者あるいはその周辺の人たちも含めた新しいつながりのポータルサイトといいますか,プラットフォームなんかもできるのかなというふうなニュアンスを受け取っておるんですけれども,そういう中で,社会教育主事や社会教育士が人とつながることで自分のスキルを高めていけるような,そういうふうな活動ができる場をつくっていただければ有り難いなというのが1点でございます。
それと,20ページなんですけれども,この中で一番初めの丸の部分で,これまでにない新しい学びが広がっていくのではないかなという期待を抱かせていただいております。横尾先生のお話にもありましたけれども,MOOCを始めいろいろな新しい学びがあろうかと思いますし,ほかの様々な機関が取り組んでいるいろいろな活動もあるんじゃないかなと思います。防災であったり,健康寿命の延伸であったり,いろいろな先進的な取組もあろうかと思いますので,そういったものを是非このポータルサイトの上に載せていただいて,様々な学びが全国各地で展開できるような支援をしていただけるような支えをお願いできたらいいなと思っております。
それと3点目なんですけれども,21ページの6番なんですが,これまでいろいろな情報を共有するための場として,全国でのいろいろな大会であったり,研修会等もあったかと思います。しかし,今の状況の中では,そういったものを展開するのはなかなか困難な気もいたします。今回,こういうふうな形でウェブ会議でいろいろな情報交換ができておりますけれども,そういったものが日常的に展開できるような,そういうふうな機会を是非これからもっと広げていってもらって,先ほど申しました社会教育主事,社会教育士あるいはその他いろいろな関係のNPOの皆さん方等が,テーマを決めていろいろ情報交換できる,議論ができる,そういった場が増えていけば,ますます本当の意味のつながりが広がっていくのではないかなということを感じております。
以上でございます。ありがとうございます。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
では,清原委員,お願いいたします。

【清原副分科会長】
皆様,こんにちは。清原慶子です。これまでの私たちの審議及び審議外でも文科省事務局にお伝えした内容などを積極的に御反映いただいた根本課長以下事務局の皆様に感謝申し上げます。そこで,更に本日,各委員がおっしゃった内容にも力を得て,幾つか発言をしたいと思います。
1点目は,「はじめに」というところと,そして主たる内容と,「おわりに」というところの関連性を考えながら,提案なのでございますけれども,「はじめに」のところで丸の2つ目に,「今期中において,新型コロナウイルス感染症に関する対応が発生して,学校教育でも社会教育でも,それぞれの場において学びを止めないことの重要性が共有された,そして学びの新たな可能性も示された」とあります。ここの部分に,全体の中できめ細かく今回提案をさせていただいている「ICTの活用」ですとか,「オンラインの学習機会や情報共有の手法の実現」ですとか,そうした具体的な文言が入った方が,「新しい学びの可能性」というところに,後の内容との整合から具体性が出るのではないかと思います。特に「社会的包摂」ということについては,多様な対象に「ICTやオンラインの活用」などが提起されていますし,また,「Society 5.0に向けたこれからの生涯学習・社会教育の在り方」についても,「ICTは生きていくための命綱である」と。しかし,だからこそ「デジタル・ディバイドの解消が重要である」と,このようにも指摘されています。これらの重要な指摘は,「はじめに」というところに少しきっかけが書かれていると,更に「現場の皆様の前例なき実践」などが含まれている中で,実感を持って読んでいただけるのではないかなと,このように思いました。
それから,同じく2点目として,「はじめに」の充実について申し上げたいんですが,「はじめに」の丸の最初の黒ポツの2点目に,「住民の主体的な参加を得て,多様な主体の連携・協働と幅広い人材の支援により行われる『開かれ,つながる社会教育』へと進化」とあります。本日,牧野先生あるいは牛尾先生もおっしゃったんですけれども,やはり「学習者の主体性」というか,あるいは私たちが「学習する前に持っている,「生きたいと思う気持ち」,あるいは「生きていく人間の主体性」を,今度のコロナ禍でお一人おひとりが痛感されていると思うんですね。その思いを支えるのに,児童生徒なら学校教育という場が開かれていますが,大人には地域の社会教育・生涯学習の機会が正に「命を守る」とともに「生きる意欲を支える」,そうした働きを改めて持っているということを痛感しました。そこで,「住民の『生きる』を支えるとともに,主体的な参加を得て」というような形で,何か「生きる主体性」,「学びの主体性」というのが「はじめに」の問題意識の中に書かれたらいいなと感じました。
次に,3点目に申し上げます。今回の取りまとめでは,やはり大変重要なのが,「生涯学習・社会教育における多様な主体との連携」というのが具体例をもって示された点です。例えば労働団体あるいはPTAという団体も明記がされました。この点で,地域活性化のところの10ページでございますが,私も横尾多久市長と共感させていただいているのは,パンデミックのときというのは,正に,医療関係者,保健関係者あるいは高齢者のケアなど福祉の関係者,そして子供の虐待の予防に関わる組織や,あるいはこども食堂なども大いに活躍をしていただいています。したがって,地域活性化のところにはできる限りの担い手の具体例を示していくことが,これからの実践に向けての私たちのメッセージを強力なものにするのではないかなと,このように思います。
4点目に,私は,12ページ以降に書かれている「子供・若者の地域・社会への参画と多世代交流の推進」というのも,正に今回の取りまとめの特徴だと思います。「人生100年時代」を迎えている中で,もちろん,長寿の方の学びやボランティア活動も大いに重要ですが,やはり選挙権を得たということもありますけれども,正に子供・若者たちが地域の課題解決に大いに力になる。そのために,学校教育と社会教育の壁を越えて,コミュニティースクールあるいは学校と地域の協働が進んでいるわけですが,更に家庭教育,社会教育・生涯学習の連携が,コロナ禍の中で具体的に現れつつありますので,NPOも含めて,この子供・若者の対応ということについては,今後取りまとめられましたら,是非積極的に地域へ,また国民の皆様に発信をしていただければなと思います。
最後に,今回,取りまとめのテーマとして「人と技術の融合で,広がり,つながる,生涯学習・社会教育」,さらに,サブタイトルとして「命を守り,誰一人として取り残すことのない社会の実現へ」と,正に私たちが議論してきたエッセンスが集約されていると思います。これらがメインのタイトルで,むしろ副題に私たちの「今期の取りまとめ」というのが書かれるようなイメージかなと思ったぐらいです。ただ,ちょっと悩ましかったのが,「人と技術の融合」という表現なんですね。人と技術が融合するという中には,もちろん,その手段として技術を人が使うということと,また,技術が先にあって,人がそれを順応しながら生かしていくという,相互連関性を意識しての「融合」という表現だと思うんですが,やっぱり生涯学習・社会教育が目指しているのは,学習者,国民・市民の「主体性」なので,技術は「方法」というか,それを生かすための「手段」として生かされるというような関係の方が望ましいのかなとも思ったりします。そうしますと,「融合」という言葉が,人の「主体性」と技術の「手段」というか,「方法」をちょっと薄めるか,あるいは昇華して象徴としてしまうのかなと思って,ここはちょっと皆様の御意見を伺いながら何か腑に落ちる形にできたらなと,このように思っています。
いずれにしましても,各委員のそれぞれの思いを集約した議論の整理が現段階できていることに感謝し,更に今日の議論で中身を濃く,厚く,また現場の皆様に届く形にできたらいいなと,このように思います。どうもありがとうございます。
以上です。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
では,山本委員,お願いします。

【山本(健)委員】
山本です。機械の調整で申し訳ありませんでした。多くの方がもう議論の整理について御意見を述べられましたので,私は,重なることも多いので,別の意見を申し上げたいと思います。
全体を振り返ってみますと,第10期は,これまで非常に若い委員の方がたくさん参加しておられましたし,現場からも若い委員の方の実践の反映もあって,今日の整理の中にもたくさんの事例が盛り込まれておりますけれども,生涯学習分科会としては新たな展開への前進があったのではないかと思います。しかし,まだまだ若い世代の参加があってもいいと思いますので,10期の後半あるいは更に第11期ということになるかもしれませんが,若い研究者の参加を含めて是非若い世代の参加で考えていただければ,また新たな前進もあろうかと思います。
もう1点なんですけれども,少し前回にも触れたんですが,この分科会を含めて,中央教育審議会全体として,教育再生実行会議などもそうですけれども,急場の対応に追われているということで,かなり社会全体の構造的転換が必要とされるときに原理的な議論も重要なのではないかと思います。先ほど澤野委員もおっしゃいましたけれども,総合教育政策局の下での生涯学習分科会ということで,この点でも,更に総合性を意識した全体の教育への提言なども考えた議論も必要なのではないかと思っております。状況の変化が急ですので,それに対応する施策の立案,その根拠を求めての実務的な必要は理解できるんですけれども,新コロナ禍の経験は,これまでの制度や方法といいましょうか,その転換の必要を迫っていると思います。これまで,例えば小規模学級などは,財政的負担などを理由に忌避されていたと思いますけれども,教育再生実行会議や中教審でも議論が始まっておりますし,先ほど髙倉委員も有給休暇についてちょっと触れられましたけれども,雇用の様々な事情を考えれば,教育のための,学習のための有給休暇制度なども踏み込んでいいのかもしれません。抽象的なことになりますけれども,人間と人間の関係とか,人間の社会の関係,それを意識づける教育を含めた制度の再構築が求められているわけで,そこには非常に大きな異なった,世界的にも大きな異なった見方,論争的な言説があるわけで,そういう言説や見方についての学習を交えての議論の展開といいましょうか,これまでの経験値の延長線上でない原理的な議論を踏まえた施策の立案ということも求められておりますし,そういうものが実務家の方々の更に知恵を引き出すことになると思いますので,今後の分科会の展開については,そうしたことも期待を含めて,今回の議論の整理が大変意味があるなと思っております。
以上です。失礼いたしました。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
では,引き続きまして,中野委員,お願いいたします。

【中野委員】
中野でございます。浅口市の教育長の中野でございます。お盆明けということですが,本市では8月20日から2学期が始まります。コロナ対策とともに熱中症対策に取り組んでいかなくてはならないなと思っているところです。
さて,それぞれの委員の方が言われましたが,前回の意見を踏まえて本当に短期間の中でまとめていただいて,有り難く思っております。
17ページの社会教育士の活用の部分ですけれども,この17ページ,社会教育士の中身が充実してきたなと思いますし,また,牧野委員が言われたような,まだまだもう少し活躍というか,生かされる場があるということで書き加えるということになれば,更に可能性が広がるなということを思いました。
それから19ページのところですが,社会教育施設についてということであります。公民館の方も,まだやっぱり高齢の方はコロナを心配されてなかなか公民館に帰ってきていないという状況ではありますけれども,この中に,社会教育施設などでの学びを止めない方策と,人と人をつなげるICTの活用ということ,しっかりとこれに踏み込んでいきたいと思う中できちっと記述されて,十分でない現状も書かれておりますし,それから環境整備の必要性と財源確保について示されているということを本当に評価したいと思います。
その他になりますが,20ページのところの8行から13,14行目にありますけれども,「児童生徒の力を活用した家庭内や地域での学びの輪を広げていくこと」ということがあるのですが,私,今後は本当にそういうことがしっかりとなされていくかなと思うのですけれども,保護者の学びというのが充実してくるのかなと思います。今までは子供を教え導くために学んでいたということがあると思うんですね。PTAとかそういったところの講習とかそんなのがありますが,今度は,子供と保護者が一緒に活動したり,一緒に学んだりする取組ということがなされてくるのかなと思います。子供も保護者も同じ学習者として一緒に刺激し合いながら取り組むという活動が出てくる中で,子供のたちの力,そういったものが生かされていくようなことがでてくると思います。そういったときに,今後教育課題として,環境問題,防災とか地域創生とかいろいろ現代の課題,新しい課題,これは一緒に学ばないといけないと思いますし,当事者意識を持つことということがすごく重要になるのかなと思います。
14ページのところに,「社会・個人・家庭の在り方」とあるんですが,21,22行の,「子供・若者が地域や社会の課題に対し」ということで,「主体的に関わり取り組む活動を通じ」の後に,「当事者意識を持って」という文言等を入れることによって深まるのかなというふうなことも思いました。
小さいことでしたけれども,十分に中で議論できなかった保護者の学びということもあったのですが,今後またさらに,こういった中から新しい課題も見つけながら議論が進んでいくような気がします。今回のこのまとめについては,今,上手にまとめていただいているということを私は評価したいと思っています。ありがとうございます。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
では,篠原委員,お願いします。

【篠原委員】
篠原です。大変いい形でまとめつつあるなという印象でございます。私のお願いしたこともそれなりに入れていただいているようで,ありがとうございます。
ただ,12ページの一番上の丸ですね,「主権者教育」という言葉を入れていただいたのは大変有り難いんですけれども,18歳選挙権ということと,それから,皆さん方も御存じのように,2022年の4月から18歳成人になるんですよね。「18歳成人に2020年の4月からなるということも踏まえ」とか,何かそういう表現をここに1つ入れていただけないかなということが1点と,それから,今度のコロナの感染の拡大,再拡大を見ていましても,無症状,軽症の若い人たちの割合が非常に高くなっているということなどを踏まえると,やっぱり若者の行動というものが非常に社会的に関心を今集めていると思いますので,10行目,11,12行目のところですね,社会との関わりのところについて,「若者の行動が今度のコロナ禍において大変注目を集めているということなどもあり」とか,何かリアルな感じをちょっと入れていただけないかなと思います。
それから,14ページ目の21,22行のところの,これも今の僕が申し上げたところと全部関連するんですけれども,ここもやっぱりもう一つ,家庭の在り方というものが関わってくると思うので,家庭の部分ももうちょっとここにも入れていただけないかなと。家庭教育と言ってもいいかもしれません,というふうに思います。
それから,先ほど清原委員からサブタイトルについて,「人と技術の融合」ということで,ちょっと違和感があるというお話がありましたけど,私も全くこれ,違和感ありますね。「人と技術の融合」という,だから,はっきり言えば,デジタル的なものとアナログ的なものの融合,もっと言えば人とデジタル化の融合,対面とオンラインの融合,人とICT化の融合,そんなのを全部包括して言っているんだと思いますけども,技術という言葉が何かもう一つぴんとこないんですね,私も。だから,人とデジタル化の融合とか,あるいはICT化の融合とか,何かそういう言葉に少し置き換えてここはやられた方がいいのかなと思います。これは私の全く個人的な意見でございます。
ありがとうございます。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
福田委員,何か一言ございますか。

【福田委員】
私,社会教育のことは以前も申したように余り理解がない方なんですけれども,中教審の大学分科会の委員もしておりまして,その中で地方の活性化というのは大きな位置を占めておりまして,地域連携プラットフォームというようなことが大分議論されてきて,もう成案として発表もされております。これはどういうことかというと,もう先生方に釈迦に説法ですけれども,地域の人材の育成,要するに地方から東京へという流出を少しでも止めて,その地方,地方での有用な,有効な人材をどのように育てていくかという,そういった意味で地域単位での連携プラットフォームと。これはもちろん,これも生涯学習も一緒ですけれども,高等教育機関のみならず行政が中心になって,地方公共団体が中心になって,また,労働団体であったり,経営者団体であったり,産業界,一緒になって同じテーブルに着いて,まず,この地方では共通的にどういう人材がいるんだという議論を深めて,共通認識を持って,そこでコンセンサスを得たものを情報発信していくと。情報共有を皆がその地域でしていくというようなことだったと思うんですけども,今回のまとめにも,あらゆるところに,例えば,「産業界,大学,NPOやPTA等の民間団体など,様々な関係機関と協働して」という言葉が,今申し上げましたのは4ページの3行目ですが,また,地域活性化の推進,10ページなんかでは,3つ目,災害やパンデミックだけではなしに全てに言えることだと思うんですけれども,17行目に「地方公共団体だけでなく」と,先ほどと同じように「産業界,大学・専門学校,金融機関,労働団体,NPO等の多様な主体による連携・協働」だけで終わっているので,連携・協働にやはり共通認識を持った上でということ,ここが大事なのかなというふうにずっと感じておりました。共通認識の例が,その下にありますような島根県の益田市ではこれが一応情報発信されてこういう形になっているのかなと,成果を含めて読ませていただいたということでございます。
以上です。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
以上,出席委員の先生方から御発言を頂きました。二度目の先生方で,まず,萩原委員,牛尾委員,清原委員,中野委員,横尾委員の順番で,できましたら2分以内でお願いできれば幸いですけど,お願いします。できましたら,そのときに,清原委員がおっしゃって,また篠原委員がおっしゃったような,今日のテーマの「人と技術の融合で」のことにも絡めてアドバイスいただければと思っております。よろしくお願いします。
では,萩原委員,お願いします。

【萩原委員】
ありがとうございます。正にそこの点をお話ししようと思っておりました。やはり融合と言うと本当に溶け合っちゃうということなので,NPOの方では,NPOと行政の協働という言葉を使いますが,最近よく,人と技術,あるいは人とロボット,AIの協働というふうな言葉も使われるようになったので,それを使ってもいいかなとは思います。NPO業界の方では協働とは組織対組織みたいなことを言っているんですが,今,いろいろな定義があってもいいと思うので,何かそれぞれの,人,それから技術,それが協力し合いながら,広がり,つながる,生涯学習・社会教育をつくっていくんだというので,「融合」ではない言葉として「協働」,この文章の中にもかなり出てくるので,そこに使ってはいかがかなと思いました。
以上です。ありがとうございます。

【明石分科会長】
では,次,牛尾委員,お願いします。

【牛尾委員】
すみません,二度目の挙手はしていなかったので,お時間も貴重ですし,飛ばしていただいて結構です。失礼しました。

【明石分科会長】
はい。では,清原委員,お願いします。

【清原副分科会長】
ありがとうございます。清原です。タイトル(テーマ)についても,明石分科会長が皆様の御意見を聞いていただき,ありがとうございます。
私も,「融合」という言葉よりも,さきに萩原委員が提案していただいたNPOの場合には「協働」,「コラボレーション」という言葉も使われるということで,それも一つのキーワードかなとも思いました,「多様な主体との連携・協働」でということが,今回の提案,議論の整理の基調にもなっておりますので,その多様な主体の連携・協働プラス技術も大いに活用してということだろうと思います。
私が実は1点だけ発言したいと思いましたのは,19ページ以降に事例として加えていただいた福井県高浜町和田公民館の取組及びそのページの脚注です。実は,なかなか社会教育・生涯学習の施設にはWi-FiであるとかICTとかが充実せず,オンラインの活用など難しいという声があります。そんな中,小規模な自治体の公民館でも本当に御努力されている事例が今回含まれているというのは,元気を得ることだと思います。
また,具体的に脚注には補助金等もあるという情報もあります。本来,国の支援がなくても各自治体では主体的に環境整備をしたいところですが,市長経験者としては,やはりしかるべく国や都道府県の支援も得て市町村が充実をしていきたいと思いもあります。ただ,GIGAスクールの推進が決まっておりますので,そこには時差が生じる可能性があります。けれども,創意工夫,そして民間や関係団体の連携があれば,こうした実践の事例があることに元気を得ていただくというのも必要かと思いまして,今回,この事例や脚注の記述は重要だと思い,確認の発言をさせていただきました。
どうもありがとうございます。以上です。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
あと,ほかの委員の方々で追加の発言ございますか,横尾委員,お願いします。

【横尾委員】
すみません。正に座長がおっしゃった点で意見です。
このところの「人と技術の融合」ですが,当然のこととも言えますし,表現,いろいろな御意見があるところだと思います。そして,ビジネスの世界で今非常に加速していて,今回のコロナでより加速していて,多分,来年か再来年には一般の方の耳にも届いてしまう言葉としてDXがあります。デジタルトランスフォーメーションです。まだ年配の皆さんとか地方ではなかなかなじみがないんですけど,報道とかニュースにはどんどん出てきていますので,来年かそこらにはもうデジタルトランスフォーメーションというのが一般的になると思うんですね。そういった中に今回の整理ということですので,できたら冒頭のところは,DXと書いちゃうと分かりにくいので,「デジタル時代に」というのを入れていただいて「広がり,つながる」とかいう形,あるいはほかの委員の方がおっしゃった点を加味するとか,そういったことをした方が,「人と技術の融合」というよりはもうそっちの方が明快じゃないかなと,この状況から思います。
そしてもう1点は,今,清原委員もおっしゃったことですけど,19ページの一番下の脚注を見ていくと,実は予算はほかにもあります。ですから,この書きぶりでいくならば,(防災利用目的)の後に「など」を入れておかないと正確ではなくなると思います。防災強靱化に関する予算の活用とか,あるいは公立学校等施設整備の予算でも,こういった関係はいろいろな応用編があるようでございますので,社会教育施設とすると少し限定されますけど,是非「など」を入れて幅を持たせた方がいいんじゃないかと思います。
言いたかったのは最初の前半の部分です。よろしくお願いします。

【明石分科会長】
ありがとうございました。
各委員から非常に貴重な意見を頂きまして助かりました。ありがとうございます。本日の審議はこの辺りにしたいと思っております。
様々な御意見を頂きましたので,取りまとめにつきましては,分科会長一任という形でお任せいただいてもよろしいでしょうか。
頂いた御意見につきましては,事務局と相談の上,取りまとめに反映し,改めて委員の方々にお知らせしたいと思っております。
今回,10期の審議に当たり,委員の皆様におかれましては熱心な御参加を誠にありがとうございました。会期全体は来年の2月まででございますが,議論の整理に関する審議自体は一旦こちらを区切りとさせていただきますので,取りまとめに当たって,事務局を代表いたしまして,浅田総合教育政策局長より御挨拶をいただければと思っております。
浅田局長,よろしくお願いします。

【浅田総合教育政策局長】
総合教育政策局長の浅田です。
まず,分科会委員の先生方,皆様方には本当に貴重な時間を何度もこのために頂きましてどうもありがとうございました。それから,明石分科会長,清原副分科会長,菊川副分科会長も,どうもありがとうございました。
今回は,第10期ということで,第9期までの蓄積を踏まえながら,その後の新しい様々な社会の変化あるいは課題もありました,そうしたことを踏まえて,これからの時代の社会教育・生涯学習の在り方と,それから,開かれ,つながる社会教育への進化をどういうふうに考えていくかということを中心に御議論いただいたと思います。
今日も,どういう社会を我々は目指すのかと。そのために社会教育や生涯学習がどういう役割を果たすべきなのかといった御意見も頂きましたが,私も全くそのとおりだと思っています。社会教育や生涯学習というものが独立したものとしてあるのではなくて,やはり人々が幸せに生きられる国や地域をつくっていくということが,まず我々が考える,願うべきことであって,そのために社会教育や生涯学習といったものがどういうふうにそれを支えてというか,関わっていけるだろうかということを考えるべきなんだろうと思います。
今日の議論では様々な御意見を頂きましたが,取りあえず出させていただいた時点では,「人と技術の融合で,広がり,つながる,生涯学習・社会教育~命を守り,誰一人として取り残すことのない社会の実現へ~」ということで,これまでの御議論を整理していただきました。実は今回出させていただいた案についても,我々事務局は,これまでに頂いた御議論,御意見をどういう言葉で表すのがいいだろうかということで,実は相当何度も中でも議論いたしました。今日御議論あった「人と技術の融合」のところも,実は正に非常に悩んだところでありますが,また今日の御意見を踏まえてより適切なものに何とかしていきたいなと思います。そこはほかも含めてですが,分科会長の下で調整をさせていただければと思っています。そこの表現がどうなるかちょっと分かりませんが,新しい技術をどういうふうに使っていくかということや,あるいは命を守る社会教育・生涯学習といったことは,これからの新しいキーワードになっていくんじゃないかなと感じているところでございます。
また,社会教育については,従来から,言わば推進役,中核となるような人の役割,存在というのが非常に大事だと思っていますが,一方で,それをどう広げていくかというのはなかなか難しいなということも感じています。新しい仕組みである社会教育士,これも是非生かしていきたいと思いますし,今日は社会教育主事に女性が非常に少ないといった御指摘も頂きました。私,それは,むしろこれから人材をどういうふうに得ていくかということの一つのヒントになるかなと受け取らせていただいたところでございます。
それから,様々なキーワードがありますが,1つは,やっぱり私,「つながり」ということが社会教育や生涯学習のキーワードなんだろうと思っています。地域の活性化とか,あるいは人が幸せを感じながら生きられる地域づくりといったことからも,この「つながり」というのはとても大事だと思います。御議論あったように,対面でのつながりと,それから今日の会議もそうですが,対面じゃないけれども,オンラインでのつながりと,そういったものが,これからやはりこれまで以上にオンラインの方をどういうふうに生かしていくか,そしてそれぞれ両方ともいい面がありますから,それをどう組み合わせながら,更に可能性を大きく広げていくことができるのかといったことを考える必要があるんだろうと思います。
また,命を守るという方で言えば,新型コロナウイルス感染症への対応ということが一つありますし,それから,ずっと続いている災害への対応ですね,こういったこともあります。また,それ以外にも,より広い意味で言えば,いろいろな困難な状況や課題を抱えているいろいろな方々とのつながりとか,支え合いとか,そういったことを社会教育や生涯学習で支えていくということも大きな役割の一つなんだろうなと思います。それらを含めた「命を守る」社会教育・生涯学習といったことも,それも非常に大事なキーワードだと私自身も改めて認識をいたしましたが,それを具体的にどういうふうに施策につなげていくのかということも,是非本分科会での御議論を生かして考えていきたいなと思っているところでございます。
それから,ちょっといろいろなことを言って申し訳ありませんが,オンラインの活用ということや,それから「命を守る」ということを考えても,例えば私は母親が田舎で独りで住んでおりますが,高齢者,そういうものに余り強くない高齢者とか,それから日本語が十分できない方々も含めて,ほかにもいろいろハンデを持った方がおられますが,そういった方々も含めて,今や日常生活あるいは仕事の上でもとても重要・必須になりつつある情報活用能力ですね,そういったものについてのデジタル・ディバイドができるだけ生じないようにしていくということも本当にとても大事なことだろうと感じています。
そういった頂いた様々な御意見,御指摘を,是非これから,我々,施策に生かしていきたいと思っていますので,今回,第10期の議論は今回で取りあえず一段落ということになりますけれども,これからもいろいろな形で御指導いただければ大変有り難いなと思っているところでございます。約1年半にわたって貴重なお時間を頂きまして,どうもありがとうございました。心より御礼申し上げます。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

【明石分科会長】
浅田局長,ありがとうございました。
では,私からも一言申し上げたいと思います。簡単ですけれども,例えば関委員が言われましたように,新しい学び,社会教育における新しい学びという言葉はずっと言ってきましたが,今回の議論のまとめを見ますと,やっとそれに魂が入ったかな,と思います。これまで新しい学びというキャッチコピーはあったのですが,具体的な面が不足していました。例えばAIと共存するとかということもあったんでしょうが,今回のコロナ禍の問題で初めて,人とデジタルの時代の学び方がはっきりしてきたかなと思います。前回も申し上げましたけれども,一番それを感じたのは大学の先生方なんですよね。ずっと対面で来た学びが,初めて遠隔授業となりました。それでオンラインとかオンデマンドの中でどういう学びをつくっていくか,が課題になりました。そうすると,これまでの授業の在り方を変えていかないと駄目なんですね。単なる話しっ放しじゃなくて,いかに問題を絞って課題を出して,学生自ら学んでいけるか。そういう意味では,主体的で,対話的で,深い学びは,社会教育でも一番得意だったのですけども,今後もっと進めていきたいと思います。
そうすると,その新しい学びを支えるためには,支援システムがまだまだ社会教育は不十分です。1つは,やっぱり人材育成というのを本気でやらなきゃいけない。幸いにも社会教育士の育成もありますけども,もう少し今の情報社会に見合った人材育成が求められます。と同時に,いろいろな部局との,またいろいろな団体との連携ができるような幅を持った人の育成が必要になります。それらを本気でやっていかないとなかなか難しいだろうな,と思います。
先ほど澤野委員の提案があって,浅田局長が言われましたけれども,社会教育主事の中で女性が2割もないという現実があるということを確認しなければなりません。これは非常にゆゆしき問題なので,そういうことも含めて,いま一度,社会教育士の人材育成を本気で取り組んでいきたいな,と思っております。サブタイトルは,今,横尾委員がおっしゃったようなことが非常に参考になります。この辺を事務方と副会長さんたちの知恵も頂きまして決めさせていただきたい,と思っております。
どうもありがとうございました。
それでは,最後に,事務局から事務連絡をお願いいたします。

【野口生涯学習推進課課長補佐】
生涯学習推進課の野口でございます。
委員の皆様におかれましては,昨年の4月から約1年半にわたりまして熱心に御審議をいただきまして,誠にありがとうございました。会期自体は来年2月まででございますので,今後も会期までの期間,審議・報告事項等ありましたら,必要に応じて開催させていただければと思っております。
また,本日御審議いただいた議論の整理(案)につきましては,本日頂戴した御意見を踏まえて,分科会長とも御相談の上,委員の皆さんに改めて御連絡させていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
以上でございます。

【明石分科会長】
それでは,本日の生涯学習分科会はこれにて閉会いたします。誠にありがとうございました。

―― 了 ――

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