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生涯学習分科会(第106回) 議事録

1.日時

令和元年12月2日(月曜日) 10時00分~12時00分

2.場所

文部科学省東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. リカレント教育に関する有識者ヒアリング
  2. その他

4.議事録

【明石分科会長】
 おはようございます。定刻となりましたので,ただいまから第106回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。
 本日は,お忙しいところをお集まりいただきまして,まことにありがとうございます。
 本日,報道関係者より,会議の全体についての撮影・録音を行いたい旨の申出があり,許可しておりますので,御承知おきください。
 次に,配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。

【根本生涯学習推進課長】
 本日の議事でございますが,本日,議事次第と座席表及び資料1,2につきましては,机上の方に配付させていただいております。さらに,御発表資料3,4につきましては,スライドに投影予定でございますので,机上には配付しておりません。参考資料と併せまして机上のタブレット端末の方に格納しております。御参照いただければと思います。
 過不足等がございましたら,事務局の方にお申し付けいただければと思います。よろしくお願いいたします。

【明石分科会長】
 それでは,審議に移る前に,事務局から本日の審議事項等について御説明をお願いいたします。根本課長,お願いします。

【根本生涯学習推進課長】
 資料2を御覧いただけますでしょうか。
 まず,1ページおめくりいただきまして,3ページの方から簡単に概要を説明させていただきます。本日は,人生100年時代の到来,Society5.0の実現などに関するリカレント教育についてをテーマとさせていただいております。
 まず,3ページのところですが,これは,生涯学習の今の状況です。まず,学習者の人口のところを御覧いただきますと,教育委員会とか公民館における学級講座等の受講者数が3,000万人を超えるということ,そのほかに知事部局とか大学の関係のところでもかなりの数の受講者がいること。さらに,右側の方ですけれども,カルチャーセンター等におきましての民間教育の中でも一定数の学ばれている方々がいるということでございます。
 統計的に見ますと,その左下のところでございますが,教育委員会とか公民館等で行っております学習内容を見ていただきますと,教養の向上とか趣味,または体育・レクリエーション,家庭教育とか家庭生活に関することが非常に多い。職業知識と技術につきましては1%程度ということで,余り行われていないというような状況です。
 ただ,一方,右側のところで御覧いただきますと,今後学習したい内容,この中で,特に若い年代の方々におきましては,職業上必要な知識・技能についての希望が非常に多いという状況でございます。
 1ページめくっていただきますと,これが大学における状況。大学では,約50万人が正規課程等で学ばれているということです。さらに,下のところですが,大学の公開講座で134万人ぐらいの受講者がいるということです。
 5ページの方に行きますと,リカレント教育を推進するに当たって,いろいろな希望・要望等をお聞きしたのが左上のところです。大きく言いまして,費用の問題,時間の問題,あとはプログラムの内容の問題等,学習情報についての問題というのが大きく上げられているところです。
 6ページ,7ページにつきましては,国全体の骨太の方針等に記載されているような内容ですが,昨年度からリカレント教育に関する提言等で非常に大きなものがございます。主なものをかいつまんで申し上げますと,6のリカレント教育の下にございますように,社会人・女性・高齢者等の多様なニーズに対応して大学や専修学校等のリカレント教育の充実を図るべきであるということや, e・ラーニング等を活用したリカレント教育の充実等が掲げられているところでございます。
 さらに,9ページの方を御覧いただけますでしょうか。先ほど申し上げました幾つかの課題に向けて,文部科学省といたしましては,来年度の概算要求の中で,一つは社会人向けの実践的なプログラムの開発・拡充というものを重点的に行っています。さらに,リカレント教育を支えます専門人材の育成という観点から,新しくリカレント・ファシリテート人材の養成等についても要求をしているところです。さらに,学習基盤の整備という観点から,社会人向けの情報アクセスの改善とか,リカレント講座の運営モデルの構築等に関します要求をしているところです。
 1ページ目にお戻りいただきまして,こういう背景等がございまして,本日御議論いただければと思っていますのが,生涯学習及び社会教育の観点から,リカレント教育を推進するための課題とか,更にそれを推進するための方策等について,特に企業や大学,専門学校等,多様な主体との連携・協働というようなことと,また,更に社会人が主体的・自律的に学びに向かうための仕掛けなどについて御議論いただければと思っているところでございます。
 以上でございます。

【明石分科会長】
 課長,ありがとうございました。
 今の事務局の御説明について,御質問はありますか。
 なければ,早速発表に移りたいと思います。本日は,大久保委員,文化服装学院事務局生涯学習部長の須藤久栄様より発表していただきます。
 まず,発表の前に須藤様を御紹介したいと思います。学校法人文化学園文化服装学院事務局,生涯学習部長の須藤様でございます。文化服装学院は,1957年より通信教育講座を創設し,1966年からは通学制のオープンカレッジを開講し,リカレント教育普及及び生涯学習の拠点として取り組まれてまいりました。本日は,専門学校の生涯学習部長として,専門学校におけるリカレント教育に係る取組をお伺いしたいと思っております。
 それでは,発表後に質疑応答を設けたいと思っております。
 では,早速,大久保委員,よろしくお願いします。

【大久保委員】
 それでは,最初に私の方からお話をさせていただきます。
 私のお話しする内容は,主に職業能力の向上に資する大人の学びということに関してでございまして,とりわけテクノロジーの視点から少しお話をしようということでございます。
 以前にここの場でも少し御紹介したことがあると思うのですが,社会人の学習状況について,結構寂しい状況だというお話をさせていただいたと思います。これは,リクルートワークス研究所の全国就業実態パネル調査で分析しているのですけれども,例えば,社会人に,昨年1年間に自分の意思で何らかの仕事の知識や技術が向上するための取組をしましたか,それは,本を読んだでも,人に話を聞いたでも,講座に通ったでも何でも良いのですけれども,そういうのを聞いているのですけれども,これは,昔も今も変わらず大体33%という,3人に1人という割合です。かなり自己学習の状況については寂しい状態なのです。しかも,残念なことに,やらなかった人に何でやらなかったのですかと聞くと,特に理由はないという答えが過半数になるわけです。そもそもニーズを感じてないという状態なわけです。
 この3人に1人という状態なのですけれども,同時にこの方々に学生時代の学習についても聞いていまして,大学時代に,テストの直前以外に自分で勉強をしたかというと,3割ぐらいがやったという。学生時代に3割やった人がそのまま大人になっても継続的な学習をしているという構造がそこにありまして,なかなか社会に出てから日常的な自己学習行動というのは身に付かないということを確認しております。これが私が先ほど言った寂しい状況ということです。それをもしかしたらテクノロジーが何とかしてくれるのではないかという,少し明るい期待を抱いてきょうはこのプレゼンテーションをするわけでございます。
 添付資料の方にも報告書は丸ごとアップしておりますので,後で是非お読みいただきたいと思うのですけれども,何を申し上げたいかというと,テクノロジーによって幾つか大事な,今の寂しい状況を変えるインパクトが出てくるだろうと思っているわけであります。
 上の緑のところからぐるっと5つのことが書いてあるのですけれども,自分自身が気付いていない動機とか,興味の存在に気付かせてくれるようなテクノロジーが進む。つまり,学びたくなるような気付きがそこに出てくるのです。あるいは,学んだことを試したくなるような技術が出てくる。あるいは,アウトプットに,すぐ成果につながるようなテクノロジーが出てくるとか,自分が学習したことを流通させやすくなるようなテクノロジーが出てくるとか,あるいは,誰かと学び合いながら一緒に何かを作っていくような,共創知みたいなものを支えるテクノロジーが出てくるとか,こういったことがここに書いてあるのですけれども,そういう変化が出てきて,もしかしたら大人の学び行動がテクノロジーによって変わるかもしれないと思っているわけです。
 その5つを例で示してみたいと思います。まず1つ目なのですが,ライフログというのが大変活発にいろいろなところで展開をされております。行動ログとか,経験ログとか,内省ログというふうに言うのですけれども,自分が経験してきたことが全部記録にデータとして蓄積されていくとか,あるいは,自分の気付いていない行動もデータが全部蓄積をしてくれるとか,そういったものがたまっていくと,そこにAIがお世話を焼いてくれて,あなたはこれに興味があるのでしょうというふうに言ってくれるという,簡単に言えばそういうことであります。
 どこまで活用するかというのは,個人情報との関係で難しいところもあるのですけれども,典型的に言うと,最近ウェアラブルデバイスという,例えば眼鏡とか,こういった首からぶら下げるようなもので,自分の行動の記録が全部残っていって,それによって自分のことが分かる。眼鏡のJINSさんがデバイスの付いた眼鏡を売っていますけれども,あれをつけていると24時間のどの時間に集中しているかとかが分かるわけです。つまり,自分がどのことをやっているときにすごく興味を持って没頭できていたかということを自分で後から見て気が付くという,そんなようなこともできるものもあって,このライフログというものについては,今すごく進化をしつつあり,その中から自分の学ぶべきものとか学びたいものが発見できるというのがこのライフログというものであります。
 2つ目に書いたのは,実際に学ぶことと,それを試すことが行ったり来たりしながらできるようなテクノロジーが進化をしてきているという例でございます。Progateという例をここに出したのですけれども,これは,プログラミングを支援するサイト,です。今は高齢者もプログラミングの勉強をする人が大変増えています。ただ,なかなか下地のない人には敷居が高いのですけれども,本当に簡単な図を見て,実際にプログラミングを始めてしまって,わからなくなったらまたそこに戻る。そして理解したらまたプログラミングに入るという。行ったり来たりしながら学習していくようなものなのです。今多くの人たちに使われておりまして,100万人以上の人たちが現在使って,これでプログラミングの勉強をしているという状態になっています。散々勉強をした後に初めてやっとやれるという感じではなくて,短いものをやってすぐ試すという。これは学習習慣が身に付いてない人にとってはすごく大事なことで,蓄積を最初に求められてしまうと,途中で挫折してしまうのですよね。すぐ使ってこそ続けられるという,そういうことをテクノロジーのサポートを受けて形にしているということだろうと思います。これが2つ目の切り口です。
 3つ目は,実際に学んだら活かしたいということでございまして,自分が勉強をして何かに詳しくなった,それを今度は誰かに伝えたいとか,教えたいとかという場が用意されると,学習行動が促されるのではないかと思うわけです。ここに例として出してあるのは,ストアカという,ストリートアカデミーを略してストアカと言うらしいのですけれども。ですから,あらゆる人が先生になるということのようでございまして,朝,ストアカのサイトを見てきたのですけれども,登録している先生が2万3,000人,どんどん自分で登録してできるわけです。そこに37万人ぐらいのそれを勉強している生徒がいるようで,3万6,000ぐらいの講座が今そこに開設をされている。1個1個はすごく短いものです。実践的な知識,ノウハウみたいなものが豊富で,ビジネスの領域だけでも相当な種類のプログラムが用意されているので,少し何かを知りたいとか,これはどうなのと思ったときに行くと,それに適した講座がコンパクトに用意されているという感じです。受講するときにお金が掛かります。500円からということになっていまして,本当にワンコインで学べるという感じなのです。そういう形でやって,その仲介しているサイトのところに,多分教える側から見ると10%から20%の手数料が取られるという感じなのですけれども,そういう形の,誰でも教える側に回れるし,いつでも自分の知りたいことがコンパクトに学べるという,こういうマーケットが出来上がりつつございます。こういう広がりというのは,社会人の学習行動を促進することにつながるのではないかと思います。
 続いて,これは4つ目でございますが,学習した履歴をきちんと信用保証してくれたりとか,あるいは,ちょっとした単位で学んだことをいろいろな形で自由に組み合わせて新しい価値を作っていったりするような,そういう技術の領域が進化しているという話です。
 信用保証のところでは,デジタルバッジというような技術を皆さんは御存じかもしれませんけれども,小さな単位の学びとか経験したスキルを証明してくれるものです。そういったものによって自分の学習履歴みたいなものが外に対してもこれをやりましたよということが証明できるようになる。
 あるいは,今,大変大きなビッグマーケットになっているブロックチェーンというものがございます。ブロックチェーンは,最近毎日のようにニュースに,新聞もにぎわしているもので,多分二,三年以内には1,000億円ぐらいの市場になるのではないかと言われています。もともとは,ビットコインに使われた技術だったりしますが,そのほかに,決済をしたり送金したりするとか,あるいは金融関係の取引にも使われていますし,流通のトレーサビリティなどにも使われていますし,あとは電子カルテとか,著作権管理とか,いろいろな分野に今このブロックチェーンという技術が使われていますけれども,今は世界中の国が特許合戦をやっている最中です。
 こういうブロックチェーンみたいな技術が,学習に関しても非常に重要な役割を果たしていくのではないか。自分が勉強をしたもの,小さいものもきちんとそれを信用保証してくれて,それをデータとして蓄積してくれて,ほかのデータと組み合わせたりとか編集したりすることを促進してくれるということで,自分が学んできたことを体系化したりとか,あるいは人にそれを提供したりするということをこのブロックチェーンが現実のものにしてくれると,こういうことのようであります。世界中にこのブロックチェーンが学習を変えるのだと言っている人が結構いるのです。分散型台帳と日本語で言うのですが,ブロックチェーンというものが大きなものになるのではないかという話でございました。
 もう1個,5番目ですけれども,実際にいろいろな人と一緒に学ぶことで新たな動機が引き出されて,複数人で共創知みたいなものを作り出すという,こういうものを支援するテクノロジーがかなり広がっていくのではなかろうかと思います。日本ではまだそれほどポピュラーになってないかもしれませんが,coffee strapというプログラムがあって,これは何かを学びたいなと思ったときに,同じものに興味を持っている学習仲間を世界中から探すというサイトなのです。かなりマニアックなことでも,それで見ると,世界のどこかには一緒に学びたいと思っている人がいて,その人とつながりながら学習をすることができるという支援プログラムがありますし,ここに例として出しているのは,これはCitizen Scienceというプログラムなのですけれども,研究者と市民が一緒に学ぶというものです。全体のコーディネーションは研究者がやるのだと思いますけれども,研究の内容によっては,いろいろな市民の人たちにデータ取得の協力をしてもらうと進化するような研究というのがあると思うのです。そういうチームに一般の市民の人たちに入ってもらって,その人たちは自分の生活環境の中で取得できるデータをここにアップをしていくと,それがコーディネーションされて全体として研究活動が進んでいくというような,そういうものであります。結構大掛かりな研究の一翼を一般市民が担えるということで,そういうことについて学習行動に少し動機付けをするという,そんなことにもつながっていくようなプログラムであります。
今のは,切り口別に5種類のテクノロジーの領域を御紹介してみたのですけれども,こういったものがあると,もともと最初に寂しい状況だと言ったような,学習習慣を持っていない人たちでも敷居が低くて,興味・関心を引き付けられるし,手軽に始めて,しかも達成感が得られるということになっていくので,随分変わっていくのだろうと思います。
 最後に未来の学びということで整理してみたのですけれども,1つは,個々人の学習の到達度とか,興味・関心によって,一人一人に個別化されたプログラムが提供されるような学び環境になっていくだろうと思います。多くの人たちに共通して1つのプログラムを提供しようとすると,どうしても,もう自分が分かっているところもあったりとか,あるいは自分が関心のないところ,必要のないところもあったりして無駄が発生するのですけれども,そういうことがないために効率的になると,こういうことでしょうね。
 それから,2つ目は,アウトプットを目的とした手段としての学びが拡大する。学んでいつか役に立つだろうという話ではなくて,かなりアウトプットをすることを想定した上で,それに必要なことを学んでいくという。必要は発明の母ではありませんけれども,かなりそれによって目的達成意欲が高まりますし,学んだことの成果感というものが実感できるという,こういうふうになっていくのではないかと。
 3番目には,誰かとの「つながり」を意識しながら学べるようになる。先ほどのcoffee strapではありませんけれども,学び仲間がいるとか,実際には会ったことはないけれども一緒に何かを作っている仲間がいて,そこに自分の学習を提供しようとか,あるいは,世界中に自分の教え子がいるとか,こういったようなことになっていくので,「つながり」というものを重要にした学習が展開される。
 4番目は,学んでいるという意識が薄れると書いたのですけれども,何か勉強しましょうみたいな感じではなくて,そう言われてみれば,これは学習だよねというふうに後から分かるような,そういったような形になって,学びというものの考え方がもう少し広がっていくのではなかろうかと,こういう変化です。
 こういう変化全てを今申し上げたようなテクノロジーが支援をしてくれる。かなりこの第4次産業革命と言われているようなテクノロジーというのは,学習に対して優しい,ある意味明るい展望を描かせてくれるものになるのではなかろうかという,大変楽観的なプレゼンテーションですね。そういうところに期待を持ちたい。
 もともと社会人の職業能力向上のための学習行動というのは,昔からずっと低いままで変わらないのです。何をやっても変化しなくて,どうしたものだという感じだったのですけれども,もしかしたらこのテクノロジーこそがこれを変えるきっかけを与えてくれるのではないかと思っております。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,大久保委員の御発表について,御質問がありましたらお願いいたします。
 どうぞ,関委員。

【関委員】
 今,お話しいただいたことは,本当に今まで全く考えてなかったこともいっぱいあるのですけれども,現段階で,例えば最後の方にあったCitizen Scienceみたいなものというのは,もう既に何らかの形で動いていっているのですか。

【大久保委員】
 教育関係のテクノロジーは,日本はかなり遅れております。今回このレポートを,参考資料の方にまとめたものを皆さんのところにデリバリーしているのですけれども,日本というよりは,海外でポピュラーになっているものも多くて,一部日本語対応しているものもありますけれども,日本独自のプログラムというよりは,海外で生まれて日本語対応しているという感じのプログラムです。ですから,そういう意味では,もう既に日本でも使えるようになり始めてきているということなのですけれども,若干日本は後れを取っているということも言えるのではないかと思います。

【明石分科会長】
 では,髙倉委員。

【髙倉委員】
 ストアカや,Citizen Scienceなど,全く初めて聞く言葉を教えていただき,ありがとうございました。
 ブロックチェーンのキャリア台帳というのを教えてもらったのですけれども,あれは大久保委員とともに能開分科会で取り組んできたジョブ・カード制度に代わりキャリアの蓄積ができることも考えられるものなのでしょうか。また,企業などで実際にキャリア台帳を導入することで査定への活用等も考えられるが,そうした広い分野での使われ方も視野に入れられているのか,教えていただきたい。

【大久保委員】
 ブロックチェーン自体は,先ほど御紹介したとおりすごく幅広い技術なのでいろいろな分野で使われて,教育の中でどういう形で使われていくかというのはまだはっきりと見えないところもあるのですけれども,根底は学習履歴証明というのがベースにあるのです。それは,書き換えられなくてきちんと信頼できる。今まで学習履歴というのは,ずっと本当に本人が勉強したか,代わりの人が受験したのではないかとかという心配がありました。あるいは,そもそもやったことについてどの程度きちんとやったのかということをジョブ・カードに書こうとしても,今度は信用保証をどうやってするのかという問題が必ず引っ掛かっていましたよね。ですから,そういうところとつながっていく技術であるということだと思います。
 それともう一つは,まだこれは十分ではありませんけれども,今度は企業側が社員の能力向上,人材育成のためにこういった技術をどう取り込んでいくかというのがこれからのテーマになっていくだろうと思います。

【明石分科会長】
 では,牧野委員,お願いします。

【牧野委員】
 どうもありがとうございました。
 今,お話を伺っていまして,少し難しい話になるかもしれませんが,個人の在り方に対する見方といいますか,個人とはどんなものだろうといったことを改めて考えなければならない時代に入ったのではないかという感じがしているのです。
 今までですと,個人というのは個体として,一人ひとり独立した存在として捉えられ,それが集団や社会を作っていると見なされ,例えば,市場であれば個人をターゲットとして捉えてきたのですが,それが機能不全を起こしている。それに対して今度は,テクノロジーを使って,個人にとって個別最適であることが結果的には全体最適になるような形での組み上げが可能になるのだというお話でもあると思うのですが,その個人というのは,これまでのような孤立した一人ひとりなのか,それともある種の関係性を持ちながらそこに生きている関係論的な存在なのか。本来,関係論的な存在であった個人が,関係から切れることによって,実は余り面白くないというか,面倒くさいから学ばないということになっていたのが,関係の中に埋め込まれていくと,実は楽しくなってくるというか,そういうことがあるのではないか,と今,伺っていて思ったのですが,この個人に対する見方をどう変えるかといったこともこれから議論になると思うのですが,そのあたり,お考えがもしありましたら教えていただきたいと思います。

【大久保委員】
 ありがとうございます。
 おっしゃるとおりで,どちらかというと教育そのものは集団というものを念頭に置いて作られてきた側面があると思うのですけれども,一人一人興味・関心も違いますし,持っている強みとか能力も違いますので,今後ダイバーシティの時代に入ってくると,個性化みたいなものが重要なキーワードになってくる。自分は一体何が強いのだろうかとか,自分は一体何ができるのだろうか。これは,キャリアデザインの起点になっていくと思うのです。
 ただ,個というのはそんなに強いものではないので,個性化とかそういう話は,一方で孤独とか孤立にもつながるところがあるわけです。学びを孤独にするというのは良くないと思っていまして,これは別の話ですけれども,特に若い世代などで,自分1人で学んでいるという学習行動をとっている人というのは,それが職業的キャリアにつながっていないケースがすごく多いのです。つまり,学習がひとりよがりになってしまうのです。本当に使える知識を学ぶとかということでないとなかなかうまくいかない。つまり,学習というのは「つながり」が非常に重要で,それは実際にアウトプットをする立場の人とつながっているとか,学習仲間とつながっているとかという「つながり」を作っていく。つまり,個と「つながり」というものをセットにして今の集団に置き換えていくということができなければいけない。テクノロジーがその方向を支えてくれるのだと思っています。

【明石分科会長】
 では,清原委員,お願いします。

【清原副分科会長】
 ありがとうございます。
 5つの具体的な類型を示していただきながら,人生100年時代に,テクノロジーをいかにリカレント教育あるいは学習に使っていくかという御示唆を頂きました。
 特に文部科学省においてもリカレント教育を戦略的に展開する人材の育成ということで,「リカレント・ファシリテート人材育成システム構築事業」というのを新規で提案されているようなのですけれども,私は,この5つの類型に共通しているのは,単に学習に関する情報とか,学ぶことに関する情報を提供するだけではなくて,インタラクティブに相互性を持って,正に大久保さんが言っていらっしゃるような「つながり」というものをきちんとICT,テクノロジーによって実現することです。例えばインターネットによるつながりであっても,無機的なものにしていない類型を5つ御紹介いただいたのではないかなと思っているのです。そういう意味で,特に一人ひとりが,今までは「学歴」で職業とか社会的活動に1つの情報を提供していたのが,「キャリア台帳」,「学習履歴」,「ライフログ」,そういうキーワードを頂いたので,人生100年時代は,単なる学歴以外,職歴だけではない,学習履歴とか,資格の履歴とか,そういうものを,個人もそうですし,雇用している人も,あるいは社会で活躍する人を求めている人も,共通して持つことが重要と感じたのです。
 そこで御質問は,先ほど,文部科学省でも考えているリカレント教育を支援する人材が,テクノロジーをどういうふうに使っていくことによって,例えばお示しいただいた5つの類型の個人個人にふさわしいものとマッチングができるか,そういうイメージも持ちたいなと思っています。せっかく凝縮した5つの類型を,より一人一人の個人に適切に届けるためにも,テクノロジーが使われたら良いなと思いまして,何かビジョンがあればお話しいただきたいと思います。よろしくお願いします。

【大久保委員】
 ありがとうございます。
 お答えになるかどうかはあれなのですけれども,このテクノロジーが進化したことと,それから,人生100年時代でロングになったことによって,大きな変化があると思っていまして,それは,1つは,これまでは,学びというのは,教える人と教えられる人によって構造ができていた。ところが,教える人と教えられる人の関係が非常に相互的になっていって,かつ,教えるということのコンテンツを作る人ばかりではなくて,実際には優れたコンテンツは大量に流通しますから,一人一人は本当は作らなくても良いのかもしれない。それを実際に活かすとか展開していくためのコーディネーター的な役割をとるということもあるかもしれませんが,もう一人の第三の役割というのが非常に重要になってくるということが1つあると思っています。
 それともう一つは,このテクノロジーは,実際に活用することをかなり促進してくれるので,学ぶことと,その学んだ成果を活かすことが非常に密接につながっていく。活かすことが動機付けになるので,学歴を求めたりとか資格を求めたりすることばかりが学習の目的ではなくなるということがすごく大事な要素ではないかと思っていて,そうなったときに,本当に企業の中の実践的な実務と個人の学習がつながっていく可能性が出てくるという,その2つのところの視点が僕は大事なのではないかなと思います。

【清原副分科会長】
 どうもありがとうございます。

【明石分科会長】
 菊川委員,お願いします。

【菊川副分科会長】
 簡単な質問ですが,冒頭,職業に関して自己啓発活動をしている人が3割ぐらいで,これは変わってないというお話がありましたけれども,ただ,職業は日々課題が変化している中で,適応するためには,必ず学ばないと適応していけないのではないかという職場環境に今あると思うのです。ですから,そういう中で3割というのが少し解せなくて,それは,例えばアンケートの取り方とかにも関係があるようにも思えるのですが,いかがでしょうか。

【大久保委員】
 ありがとうございます。
 これは,質問をするときの質問の聞き方というのは,「昨年1年間に自分の意思で」というのを最初に付けているのです。この「自分の意思で」というのを付けると急に数字が落ちるのですね。つまり,職場のその変化に適応するために,会社はOJTやOFF-JTを提供したりとかいろいろな指導があるのだと思うのです。それはここには含んでなくて,飽くまでも「自分の意思で」というのを言うとこれだけ低くなってしまう。受動的な態度では学んでいるのだと思うのですけれども,そうでないところで行くと低いというふうに私は理解しているのです。

【菊川副分科会長】
 わかりました。
 ただ,OJTにしても,意思がなければ学びませんので,私は,働いている人というのは,学んでいるというふうに捉えた方が良いのではないかと思っております。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは,続きまして,須藤様,お願いいたします。

【須藤氏】
 文化服装学院の須藤でございます。よろしくお願いいたします。
 先ほども御紹介いただきましたので,冒頭の部分は早く過ぎたいと思いますけれども,文化服装学院は通信教育と通学制のオープンカレッジを軸に生涯学習ということで教育活動を行っております。それも1957年から通信教育部を創設しておりますので,歴史的には,通信教育は長く行っているという形でございます。
 事例を紹介するような形になるのですけれども,生涯学習のオープンカレッジは,昨年の講座で言いますと103講座を企画いたしまして募集をいたしました。その中でどれぐらい開講できたかといいますと,大体75%でございます。その25%がどうして開講できなかったのかなというのを毎年検証いたしまして,次の年に講座をまた増やして,例年100講座ぐらいは募集をかけております。その募集をしております講座に関しては,きょうパンフレットをお持ちしておりますので,後ほど御覧いただければと思います。昨年で言いますと100講座,75%開講で受講していただいたのが1,602名ということになります。
 生涯学習はどのような目標で取り組んでいるかといいますと,通信教育,オープンカレッジの学習というものは生涯にわたって行われるものということで,多彩なライフステージ,そちらの新たなチャレンジを応援する講座です。興味があるものはいろいろだとは思われますが,どのような講座を選択してもやりたいものがあるというような形でしております。オープンカレッジは1,602名,通信教育も4講座持っておりますが,合計で1,264名に受けていただいております。
 先ほど学んだことを伝えたいというようなお話を頂いたときに,こちらが少し特徴的かなと思いますのは,サポート体制というのをとっております。サポート体制は,通信教育を受けまして,全国に受講生がいらっしゃいますので,その後,学習グループ指導員ということで認定を申請しましたらば,こちらの方が審査をしまして,指導員ということになりますと,全国で学んでいる方に対してサポートをしていくということを行います。
 実際に実物を作ったりいたしますと行き詰まることがありますので,対応はいろいろな窓口的には行っているのですが,近くの方と話をしたいということもあると思いますので,今のところ全国に176名おります。ブロックで,県ごとですとか,東北地区,関東地区など,その地域グルーピングをしまして活動をしております。その活動は,学校の方に来ていただいて,発表ですとか,年何回かは打合せをしながら状況報告と懇親会等を行っております。
 それから,実際に最近増えていますのは,ページの一番下の方なのですけれども,企業からの研修をコーディネートしてくれないかということでの依頼が多くなってまいりました。各企業様の課題もあると思いますし,企業以外は海外の学校からもコーディネートをしてくれないかということもあるのですが,きょうは企業の方に特化したいと思います。
 企業研修の前にオープンカレッジの特徴的な事例を1つお伝えしたいと思いますが,50歳以上の方を対象にしました「輝きシニア」のファッション研究というのを始めました。これは,若いときから体型が変わりますので,機能的に着たい,それから,シニア世代,自分で着やすい服を作りたいということで,体型を研究しながら服を作っていこうじゃないかということでやりました。学園の中には文化・服装形態機能研究所というのがありますので,体型を研究しています。若い方の体型,それは学生のボディといいますか,身体を3Dで計測をして,それを平均化したボディを作る。それを50歳,それから子供服,もっと行きました年齢の方ということで,ボディも開発しております。そういうボディを使いながら服を作るということも行っております。講座は年21回行います。21回といいますと,月2回ぐらいは来なければならないのかなと思うのですが,全国は九州ですとか北海道から来ていただきながら学ぶという講座です。
 次に,特化していますけれども,家庭科の先生方に何かサポートはできないかということで,これも手分けをして,家庭科教員,小・中・高の家庭科の先生方に,服を作る基礎ですとか,それから,少しレベルアップしましたジャケット的なものの講座を行っているのですが,1つは,こちらの基礎的な講座,7名でしたけれども,もう一つの家庭科教員の方は,46回目,1973年からやっております講座でございます。今年も61名の方が来ていただきました。約2日間で9時半から16時半までジャケットを製作する。事前にアンケートをとって,どのようなサイズかというのも聞いております。これは大変好評な講座だと思います。
 それから,企業向けの研修講座ですけれども,企業の中でも,先ほどもお話があった,企業の方は,働いている方の中の研修を企画したいのだけれども,その働いている方のスキルをアップするために,学校の施設ですとか,内容ですとか,そういうことを使って育成してくれないかということになりますが,これも企業は手を挙げた方を招聘してくれていると思います。指名している方がいるのかどうかは企業の方針もありますが,もちろん長い研修になりますので,やりたい方というふうに聞いていらっしゃる場合も多いかなと思います。
 様々な職種ですとかキャリアにおいて,気付きを促すカリキュラムですので,余りかけ離れた職種の方に実施するというのも難しいのかなと企業の方はおっしゃっていますが,2007年度ぐらいから具体的に取組を行っています。
 長く続いていますのはイオンリテール(株)なのですが,今年で9回目です。商品部の方にマーチャンダイザー養成講座ということで,2011年から今年度まで行っている講座です。企業から要望がありましたら企画を相談しながら行いますので,少ない場合は年2回から3回,多いときにはもう少しやっているときもありますけれども,オーダーがあれば企画をするという形です。
 イオンリテール(株)の研修は,自社ブランドの商品開発に向けて,「ものづくり」の研修を1年間実習したいということです。素材ですとか染色,デザイン,立体裁断,量産。量産というのは工業生産です。デザイン画,ニット,いろいろな講座,それから人体機能の講座等を土曜日2コマ。1コマを2時間30分としてカウントしているのですけれども,大体1日かかりますけれども,午前1コマ,午後1コマということで実習を伴っております。年23回という講座を行っています。カリキュラムは御参考に,次のところになりますが,人体のところ,それから外にも出ていきますけれども,実際にほかのところの企業を見に行ったりもしているということで講座を開講している。この研修は大変好評で,例年オーダーを頂いております。
 そのほか,少し紹介になりますけれども,こちらもIROYAさんという企業がありまして,アパレルITベンチャー企業になります。最近立ち上げた企業さんなのですが,ECサイト,インターネットでのサイトの中で必要な基礎知識等の講座を行えないかということでオーダーを頂きました。学校の方に来ていただいていろいろな学習をしております。これも年間24コマ,1コマ2時間半の講座で24回やっております。
 次に,またこれも御参考になると思います。
 それから,ハイブランドメゾンということで,こちらの方は,実際,バッグを扱っている企業になりますので,皆さん御存じの企業かと思うのですけれども,3年計画で研修ができないかということの御相談を頂きました。1年目は全体研修,2年目はeラーニングです。eラーニングは,こちらも委託事業として補助金を頂きまして,eラーニングを使えるようにほかの企業と開発したのですけれども,そのeラーニングを使って2年目では研修を行う。3年目は,文化服装学院の通信教育講座を受けていただくということで実施をしております。今年は,少し前後するかもしれませんが,中身を入れ替えながら取り組んでいるところでございます。
 そのほか,COACH JAPAN,ゼニアジャパン,そごうですとかDUNHILLリシュモンジャパン等の研修を行ったり,JUNグループ,トレジャーファクトリー新入社員研修。このトレジャーファクトリーの方は,学内にショップ実習室というのを持っておりますので,そこで店舗販売の実習体験をしながら新入社員の方の研修等も行っているという状況でございます。
 シューズマーチャンダイジング研修,これは企業に限らずシューズ業界で働く方が受けたらいかがでしょうかというふうに広くお伝えしながら,文化服装学院ではシューズデザイン科もございますので,お知らせしながらやっている講座です。
 最後の方になってくるのですけれども,文化服装学院の中には,大学生を対象にしました服飾研究科というのがあります。服飾研究科は,大学生,短大生,高等専門学校を卒業した方が入学できるという1年課程。
 それから,Ⅱ部になります。Ⅱ部の方はどのような方でも入学するチャンスがある課程です。月曜日から金曜日まで,夕方の6時から8時半までカリキュラムを組みまして,3年間で卒業する,または2年間で卒業するⅡ部の服装科とファッション流通科というのを持っております。Ⅰ部(昼間)のカリキュラムを縮小したような形でⅡ部で行っています。
 その学生の在籍の状況はといいますと,文化服装学院の在籍数は約3,600名いるのですけれども,服飾研究科は,現在,今年度の5月1日は在籍数63名です。それから,Ⅱ部の夜間部は在籍数が367名ということで学んでいただいております。
 その学びの学生がどのような構成になっているかと申しますと,昼間どのようなお仕事かというのをアンケートをとりましたら,5%は正社員の方でいらっしゃいました。1%の方は嘱託社員,4%の方は契約社員。一番多いのは72%,アルバイトの方が多かったようでございます。4%の方は学生ですから,大学に通いながら学んでくれている学生,その他がいらっしゃいます。
 Ⅱ部の学生は,大変意欲が高くて就職率は大変高いです。Ⅰ部,Ⅱ部と呼んでいるのですけれども,アパレル業界,それからその他の業界,大卒の方もいらっしゃいますし,1回職を離れた方もいますので,年齢層は60歳以上の方もいらっしゃいます。保護者の方が入学式に来たのかなと思われますと学生の席に座るということもありますので,自らそういう学習をしたい方は,年齢を問わず入学をしていただいているというような形でございます。
 事例を発表するような形になりましたけれども,文化服装学院の方は以上でございます。ありがとうございました。

【明石分科会長】
 須藤様,ありがとうございました。
 では,佐賀の横尾委員から先ほど資料が届いておりますので,紙媒体をお配りしたいと思います。お願いいたします。
 それでは,これまでの大久保さん,須藤様の御発表を踏まえまして質疑をしたいと思います。皆様から自由な御発言を頂ければと思っております。よろしくお願いいたします。

【澤野委員】
 まず,今の文化服装学院の質問をよろしいでしょうか。

【明石分科会長】
 質問ですね。では,澤野委員。

【澤野委員】
 このリカレント教育となると,いろいろな目的の方がいるので,必ず費用の負担の問題が出てくるかと思うのですけれども,この企業の研修の場合ですと,費用はどのようになっているのかということを1つお聞きしたいです。
 それと,企業研修のためのプログラムの開発は,その会社の方,派遣側の方とも共同で作られるのか,それとも独自で行われているのかを教えていただきたいです。

【須藤氏】
 まず,費用は企業の研修ということで予算を取っていらっしゃると思いますので,御本人様ではなくて企業の方から頂くような形になります。
 プログラムに関しても,研修を御担当されています方と御相談をしながら,こういうものを入れてほしいですとか,そういう部分を御相談して決めていますし,日程的なことですとか,回数ですとか,そういう部分も御相談しながら決めています。
 費用に関しても,講師の費用は大分抑えておりますので,オープンカレッジで頂いている,生徒さんからもらうような費用で研修ができるようにしておりますので,そこのところは大体決まりを作って行っているような形です。企業によって余り差がないようにしております。

【明石分科会長】
 では,髙倉委員,お願いします。

【髙倉委員】
 ありがとうございました。
 文化服装学院が,様々な企業と積極的に連携し,リカレント教育に取り組まれていると理解することができました。
 大久保委員の話の中にも,学びを希望する人は非常に多いが,実行する人はなかなか多くないとありました。だからこそ,手軽で楽しく学べるといいますか,そんな仕掛けが必要だと思います。その点で工夫されていることがあれば教えていただきたい。

【須藤氏】
 企業研修とは少し違ってしまいますが,オープンカレッジの方は,気軽に楽しくというのをすごく心掛けておりまして,学内でもはじめてさん見学会ということで,少し敷居的に私ができるのだろうかと思うときには,来ていただいて,相談に乗りながら学内を見学して,やりたいことですとか,あとは,先ほどもおっしゃったように,500円,ワンコインでワークショップをやり,作りたいものはどのようなものですかというような形で,いつも生涯学習センターでは相談できるようにしているのです。
 先ほど言ったサポート指導員というのが各地域でお教室を持っていますので,御希望があれば,その地域の方のサポート指導員を御紹介して,学びの入り口みたいなものをなるべくみんなで協力していきますよというようなことは御紹介していくような形になります。リピーターの方が多くて,1つ講座をやりますと,その初級,中級,上級というのを設定しておりますので,初級から中級に行って,それから上級に行くという方はすごく多いです。

【明石分科会長】
 よろしいですか,髙倉委員。
 では,萩原委員,お願いします。

【萩原委員】
 御発表をありがとうございました。
 私が関心を持ったのは,「輝きシニア」のファッション研究のところなのですが,立教大学も50歳以上の方を対象としたセカンドステージ大学というのを随分やっております。そこで学ぶためには入学試験というのがあるのですが,こちらではそういったもの,今13名が受講生ということですけれども,希望者が多いのかどうかというのが1点。
 それから,そのセカンドステージ大学から更にもっと学びたくなるという,先ほどの大久保先生の話もありましたけれども,共に学ぶことによって学ぶ意欲が出てきていて,更にということで学部に行ったりとか,あるいは大学院に来る方もいらっしゃるのですが,こちらのⅠ部,Ⅱ部,それぞれの科にそこから入ってくるという方がいらっしゃるのかどうか,お願いいたします。

【須藤氏】
 ありがとうございます。
 このオープンカレッジは,やりたい方はどなたでも入れまして,この「輝きシニア」も入り口もオープンでございます。申し込んでいただければどなたでもということで,今まで何かをしたことがあるとか全く関係なく入られていますし,50歳以上というのを限定しているのは,講座をやっているときに,若い方と年齢が少し離れていると,少し臆するところがあるのではないかなということで,限定すると逆に進みぐあいが同じで,安心して受けられるかもということもあってやりましたところ,意外と好評で,こんなに回数来られるのかどうか心配だったという方もいるのですが,最後は生き生きと発表されているのがとても印象的だった講座でございます。
 それと,服飾研究科ですとか,Ⅱ部とか,そちらの方にというのは,逆に服飾研究科とかⅡ部の方がこのオープンカレッジの自分に合ったプログラムを受けるのも多いです。カリキュラムの中では,年数的に足りない講座があったりする場合には,もう少し特化してやりたいときに,土曜日ですとか,このオープンカレッジは夜もやっておりますので,夜のもう少しここを深めたいという講座を逆に受ける方が多くて,オープンカレッジから行くというよりも逆流している方が多いです。文化学園大学というのを持っていますので,オープンカレッジの講座と単位互換もしておりますので,受けていただければ大学は単位を取れるという講座も協力して設定をしております。

【明石分科会長】
 では,菊川委員。

【菊川副分科会長】
 Ⅱ部のファッション流通専門課程に367名もの方が2年間学ばれるということですが,属性を見てみますと,正社員の方が5%,アルバイトの方が72%ということですが,2年間勉強された後のキャリアアップといいますか,就職への影響あたりのところで何か御存じのことがあれば教えてください。

【須藤氏】
 ありがとうございます。
 Ⅱ部は服飾専門課程とファッション流通専門課程とを合計した形で367名と申し上げましたけれども,3年制の課程と2年制の課程がありまして,希望が多いのは3年制の課程で,圧倒的に300名ぐらいが3年制の課程でございまして,2年制の課程は,余り作らない流通の方を勉強する内容で,それが60名ぐらいです。その方々は,アルバイト等をしながら,最後,3年制の課程で専門的に学んだ後にアパレルに就職したいという希望を持ってきているのですね,2年制の方もそうなのですが。ですので,就職支援室の就職指導を受けながら,就職をしていくという活動を2年次から3年にかけて,それから,1年次の後半から2年次にかけて就職をしていくという活動を行います。就職率は,Ⅱ部の方も高い就職率だと聞いています。

【菊川副分科会長】
 ありがとうございました。

【明石分科会長】
 清原委員。

【清原副分科会長】
 須藤さん,大変貴重な実践のお話を聞かせていただき,ありがとうございました。
 冒頭,根本課長さんから,リカレント教育の中で社会人が大学等で学びやすくなるための取組として,課題となっているトップに「費用」が上がり,次に「時間」,「プログラム」,「情報」と続いているのですが,頂きましたこの通信教育講座,オープンカレッジの概要を見ますと,5ページのところに「学習・受講支援制度」というのが紹介されています。例えば,「就業支援割引制度」とか,「法人向け研修請負制度」だとか,特に「家庭科教員教材開発支援割引制度」だとか,「費用」の点について配慮をされていらして,少しでも敷居を低くするというか,「費用」の面で躊躇しないようにという取組をされていて,そのことは非常に重要だと思いまして,そのときの御配慮や,また,このことをどのように効果として感じていらっしゃるかということが1点目です。
 2点目は,その下に「託児施設のご案内」というのもあって,リカレント教育というときにも子育て中の人が学ぶというのは,なかなか遠慮しがちなところを,この託児施設の活用などの実態はいかがでしょうかということです。
 それから,最後に,実は,興味深かったのが32ページのところに「男の探究」というのがありまして,「男性のための男性だけで学ぶ講座」だと。実は,服飾というと何か女性の分野というイメージが,性別役割分業のせいでしょうか,少なからずあります。しかしながら,男性もまた服飾に興味を持つ人は多いわけで,そうしたことに取り組まれていて,その状況について少しコメントを頂きたいのと,最後,夏休み開催で小学生対象の「プチセミナー」というのを家庭科教員対象以外にもやっていただいていて,リカレント教育というような生涯学習の新たなイメージを,もう小学生の頃から持ってもらうというのは,私は重要なのかなと思いまして,この取組についても御紹介いただければ有り難いなと思います。欲張った質問でごめんなさい。よろしくお願いします。

 【須藤氏】
 いいえ,ありがとうございます。
 まず,費用に関しましては,こちらに書いてありますとおり,なるべく費用面での配慮ができるかということで幾つかやっております。まずは,学内の学生が受けるときには割引するですとか,家庭科教員の割引制度ももちろんなのですが,あと,先ほど言ったサポート指導員から紹介を頂いた場合には割引をするですとか,なるべく割引の部分を多くしています。入学金を免除する等もやっていますし,あとは,多くは受講料の1割引きというのが一番多いのかなと思います。これに対象にならない方もいるのですが,何かに合致する場合にはそれをうまく使っていただくということで,説明をしながら合うものを御紹介しているような感じです。
 それから,その下の託児所も御相談があれば御紹介できますし,こちらを御覧になって聞いていただければと思うのですが,余りこれを利用される方はいらっしゃらなくて,問合せというのは少ないかなとは感じます。ただ,ダイレクトに申し込むよりも,これもこちらと御相談をしながら2割程度割引をしていただいているということなので,こういうところに書くということも重要かなとは思っております。
 男性の「男の探究」というのは,これが意外と人気がありまして,これを見ますと,少し写真が小さいのですけれども,カットソー素材でカジュアルジャケットということで,すごく難しいジャケットを作ってしまいますとすごく時間が掛かるのですが,工業生産ラインの実習室がありますので,そこで初心者の方でもやるということになっている講座は,結構男性の方が受けていただいていまして,これは成立しております。
 あとは,小学生の「プチセミナー」は,先ほどおっしゃっていただいたように,ものを作るということに関してどこの時点で興味を持つかということになります。いろいろものを作りたいのだけれども,実際にどこに行って作るか,小学校の中でもやられているかもしれないのですが,文化服装学院に親御さんと小学生の方が来られて,夏なので夏の宿題といいますか,課題の一環としても利用される方が多いです。これは,オープンと同時にすぐ埋まってしまう講座でございます。小学校低学年と小学校高学年,こちらでも振り分けているのですが,家族で来ていただくということと,作るということの準備を学校の方で全部いたしますので,余り危なくないように親御さんが見ている。あとは,学生に協力してもらって,全てミシンも危なくないように1人に1人付くということでしております。その講座の合間,お昼には,家族の方向けに少し特別講座を行っていまして,通学のときに交通事故に遭わないような蛍光素材を使ったレインコート,そういうものを学内の中でもニッセンケンと一緒に開発していますので,そういうもので交通事故を防ぎましょうというような講座も企画したりしていますので,1日有意義というか,来て良かったなというふうに思っていただけると良いのかなと思っています。

【清原副分科会長】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 では,牧野委員,お願いします。

【牧野委員】
 どうもありがとうございました。
 文化服装学院は,各種学校・専門学校ですね。各種学校・専門学校といいますと,どうしても技能系とか技術系のというイメージが強いと思うのですけれども,私たちが少し調べさせていただいたところですと,技術だけ,技能だけではなくて,どちらかというと,そういう職業領域に入っていくための社会人としての基礎的な教養ですとか,更にはその心得のようなものですとか,ある意味では人間教育的なことをカリキュラム外で一生懸命になされているのだと思うのですけれども,そのあたりを少し御説明いただけると良いかなと思ったのですが,いかがでしょうか。

【須藤氏】
 ありがとうございます。
 カリキュラムを構築する際には,専門性ということで核になる科目もあるのですけれども,今や,それは将来これからそれがずっと職業が残っていくかどうかが分からないぐらいのテクノロジーの速さもありますので,それだけではない科目というのは多く入れております。
 時間制の,学校できちんと時間をクリアしなければ卒業はもらえないのですが,それを単位化しまして,年間,単位化といいますか,こちらの方での換算の仕方なのですけれども,1時間半で1日4コマやりまして,それを年間で科によれば大体33単位から,32単位以上はあれなのですが,大体どの科も35単位から38単位ぐらいやっています。その38単位の中で20単位ぐらいは専門科目なのですが,それ以外は,キャリア教育的なものですとか,特講といいまして,学外の先生方に来ていただいて講座を,今現在社会の中で行われているアパレルの流れ的なものをお話しいただきながら学ぶとか,あとは,先ほどもいろいろ講座に入っていますとおり,人体を学ぶこととか,素材ですとか,歴史ですとか,そういうものを全て入れていく。あとは語学です。英語教育は,これからのアパレルはコミュニケーションがとれないといけないので,全学科で入れるということで取り組んでおります。選択の科目もあるのですけれども,そのラインナップをしながら科の特徴を出すというので,今はいろいろな試みをしながらも,なかなか前には進めない中でも毎年カリキュラム変更をしながら行っているという状況です。

【牧野委員】
 ありがとうございました。

【明石分科会長】
 では,東川委員。

【東川委員】
 貴重な発表をありがとうございました。
 資料の事例の2の中で,家庭科教員対象講座というのがございましたけれども,質問としては,非常に今,学校における働き方改革と言われる中で,教員の長時間過重労働と言われておりまして,自発性が非常に高い状態での受講ということなのか,あるいはどなたかの後押しですとか,きっかけがあって行ってみたというようなところと,それをやったことによって何かほかの講座も受講されて,教員の方のリカレント教育につながったであるとか,何かそのような事例がありましたら御教示いただければと思います。

【須藤氏】
 これも家庭科教員の方のサポートというのは,服飾系が主な学校ですので,何か連携をというのは日頃からやっているのですが,学校に出向くことも多いので,年度の初めにはこのようなパンフレットを作りまして,高校の方に出向く際には持っていくということでやっている中で,この家庭科教員対象講座は大変人気があります。これも60名ということなのですが,定員は30名なのです。ですけれども,教員を増やして希望者はなるべく受けていただきたいということで60名をしているのですが,これもリピーターの方がすごく多いです。昨年受けた方は今年も御案内をするのですけれども,受けたいという御希望が強くて,その中からいろいろな学校の方も御紹介してくださったりするのですが,つながりをすごく強く持っています。毎年それで,今年度はジャケット,来年度は違うものということで変えたりしています。あとは要望を聞いたりとかしていますので,内容も変えて行ってはいるのですが,これが来年度はオリンピックイヤーでもありますので,なかなか難しいかなという,大変残念に言われています。これが46年続いているのは,そういう方々との連携と,そういう学校はいろいろなことで,こちらの新宿に学校がありますが,来ると学内を見学させてくれないかとか,これの講座以外の連携もすごく強く持っておりますので,文化服装学院の施設的なもので利用できるものはどうぞということでしております。

【東川委員】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 では,福田委員,お願いします。

【福田委員】
 どうもありがとうございます。
 私も専門学校関係者なので,お話は大体分かるので,また今の質問で,ほかの方にもう答えられていることもありますので,確認だけしたいのですけれども,先ほどから企業研修をいろいろと各々の企業のニーズに対して打合せをして企業研修,これについては,恐らく受講される方はやらされている感が多少あって,しかし,結果としてはスキルが上がっていくと,こういう理解で,また,もう一つ,今最後の方でございましたけれども,Ⅱ部の学生さんについては,そこの表でも正社員をしつつ受講というか,学校に入学されている方は5%だけで,恐らくこれもキャリアチェンジをしたいのか,それから,それ以外の95%の方は,2年も3年も掛かって学校へ行くことは,当然のことながら新たな職場で正社員として就職をしたいというような希望があってお入りになっているということで良いでしょうか。

【須藤氏】
 ありがとうございます。
 Ⅱ部を選ぶ学生と入学相談等をすると,一番の問題は学費の問題です。昼間の学費の部分と,Ⅱ部の方は半額以下でございまして,その学費の部分の相談でⅡ部を選ぶというのは多いかなと思います。あとは,昼間いろいろお仕事をされている方はⅡ部しか来られない等もありますし,大学へ行っている方はⅡ部しか来られないのですが,学費を自分で稼がなければいけないという相談の中で,いろいろな選択肢の中で,Ⅱ部を選んで来ることで昼間アルバイトをしている学生が多いのではないかと推察はいたします。
 あと,企業研修に関しては,企業の中でこういう研修をやるけれども,手を挙げてくださいというふうにやっているとはいえ,行くと手を挙げたら来なければいけないということもあるので,それは何か研修の一環で何かをというのも企業の考え方もいろいろあるかとは思います。

【福田委員】
 文化服装学院さんだからこそそのバリューがあって,また土地も東京ということで,生涯学習の観点からも,またこれが地方に同じようなことをしようと思えば,実際問題できる方法とかということは,これは地方が大変困っている中で,キャリアをチェンジしたいと思っても通学は恐らく難しいと思うのですよね。ですので,そういった観点から,地方創生とまでは言いませんけれども,何かeラーニングのみで言うことは難しいので,何かお考えがあれば教えていただきたいなと。

【須藤氏】
 文化服装学院は連鎖校というのを持っておりまして,連鎖校というのは,文化服装学院は教材を開発していて教科書を作っているのですが,その教科書を使って良いですよというようなことで,全国に今ですと60校ぐらいですかね,地方のファッション学校と連鎖校提携をしているのです。ですけれども,その連鎖校がⅡ部をプログラムするかどうかはその学校のお考えがあるとは思いますが,そこのところでこういうプログラムをされて入ってくる方がいらっしゃればこちらの新宿まで来なくても学ぶことができるのと,あとは,地域のところでこちらに,新宿の方に来られなくても北海道ですとか九州でもその連鎖校に入学する方というのも多いので,入学相談をしながら地元でこういうような専門性,ファッションを学びたいという方は,そちらに入学されている方がいらっしゃると思います。

【福田委員】
 ありがとうございました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 私の方から一言質問なのですけれども。このリカレント教育を進める場合に,検定試験というのは一つのモチベーションなのかと思っているのですけれども,これを見ますとたくさんの検定を用意していますよね。多分企業秘密か知りませんけれども,年間何名ぐらいが検定で手を挙げてくれるのかという,ユーザーがどのぐらいいるのかをもしよろしければ。

【須藤氏】
 検定も国家試験的なものというのは,なかなかファッションというのは難しいので,認定的な検定になります。日本ファッション教育振興協会というのがありまして,そこでパターンメイキング検定ですとか,ファッションビジネス能力検定ですとか,ファッション販売能力検定ですとか,ファッション色彩能力検定等を企画いたしまして,その検定を学生にお伝えしているのです。その検定で,受ける際に学校の学びだけでは少し不安な方がオープンカレッジの講座を受けて学びのプラスにするということにしております。
 その検定も,昼間の学生,それからⅡ部の学生,社会人の方,企業の方も受ける,スキルアップの1つにしている中で,1つ目安でここまで到達したよという目安のために検定を行っていますので,その率的には,学科によっては,こちらのオープンカレッジに来る学生は,オープンカレッジの講座のスキルアップ講座に来る学生は余り多くないのですが,学内の中でこの学科は全部この検定を受けましょうと決まっているので,検定自体の受験率は結構人数は行っていますが,記憶にあるのは,ファッションビジネス能力検定が流通科でⅠ部の方で400名程度は1回で受けるとか,そういうようなことを繰り返しているような気がします。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは,大久保委員と須藤様の御発言を踏まえながら,リカレント教育を推進するための何か議論を深めていきたいと思います。では,委員の方々,御自由な発言をお願いいたします。
 今村委員,お願いします。

【今村委員】
 子供が体調不良で遅刻をしてきてしまいまして,済みませんでした。
 今,お二人のお話を聞けなかったので,本論とずれていたら申し訳ないのですけれども,リカレント教育をより推進していくためにという観点で提案をさせていただきたいと思います。
 私も人生100年時代の生き方,働き方を見据えたときのリカレント教育の推進は,本当に大切だと思うのですけれども,1つの障壁になっているのが,テストセンターが遠いというところもリカレント教育がなかなか進まない原因なのではないかなと思っています。
 先日の,英語4技能のテストがCBT化されたときの,地方にはなかなか会場が足りないという件が明らかになったと思うのですけれども,CBT化されるのであれば,物理的にもっといろいろなところでテストが公正に受けられる状態に近付けると思います。そのときに,公民館を活用するということをもっと勢いをもって本格検討をしていっても良いのではないかと考えていまして,そこができると,企業の採用がこれからもっとジョブ型採用になっていく際の地方に住んでいても能力証明をしていけるような,いろいろな働き方の提案も進むのではないかと考えています。この部会の課題ではないかもしれないのですけれども,教科「情報」のテストが始まるという際に,また2025年に今回の4技能のようなことになるのはとても残念なことなので,公民館の活用と,テストを実施することができる人材の育成,こちらの方をこの部会から提案していくのはどうかと考えました。
 以上です。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,関委員,お願いします。

【関委員】
 私が本日の話を聞きながら非常に感じたのは,都市部の今の環境と地方の環境との格差がかなりあるのではないかというのと,あと,世代間での格差も非常に大きいのではないかという点です。そういったものの条件をまずは整えていくことが早急に取り組まなければいけないことではないかなというイメージを持ちました。
 あと,現在,社会教育士という制度が始まろうとしておりますけれども,その人材育成の内容に,今まで余りビッグデータの活用とか,情報活用能力といった視点というのが,私などは余りイメージできていませんでした。情報を利活用して,本当に新しい時代の教育を作っていく上での専門性というものがどういうところにあるのか,それをもっと真剣に考えていかなければいけないと感じました。
 あと,先ほど,今村委員もおっしゃっていただいたように,地方の場における公民館のような社会教育の資源,それを有効に活用していく方法についても,もっと積極的に取り組んで良いのかなと感じました。まだまだWi-Fiの環境も整っていない公民館も多い気がいたしますので,そういったものを早急に整備対応していくような,前向きの姿勢が大事なのかなという印象を持ちました。
 以上です。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,髙倉委員,お願いします。

【髙倉委員】
 インダストリー4.0やSociety5.0など,大きく世の中が変化しており,求められる職業能力も大きく変化をしています。だからこそ,希望する誰もが学び直す機会が保障されるという社会の実現を,目指していく必要があると思います。そのためには,本日伺ったような先進事例を参考に,様々な政策,制度につなげていく必要があると思います。
 リクルートキャリアが今年の5月に実施をした「人生100年時代に働きながら学ぶこと」という実態調査の内容によると,学びたいと思う社会人は9割以上を占めており,学ぶ上で悩みがあるという方82.6%のうち,忙しくて時間がとれないという方が約6割,費用が高いという方が約3割と回答されています。同様な調査が厚生労働省の能力開発基本調査においても実施されておりますが,同様の結果が出ていると思います。
 リカレント教育を進める上では,時間の問題が一番大きな壁だと思います。また,本日幾つか質問に挙がった費用の問題というのが二番目の壁ということで言えると思います。学費の減免や長期の有給教育休暇の制度化などにより,時間と費用の壁を乗り越え,誰もがいつでも学びたいときに学び直しができる環境を整備する必要があると改めて感じました。
 以上です。

【明石分科会長】
 ありがとうございます。
 では,牧野委員,お願いします。

【牧野委員】
 きょうはどうもありがとうございました。
 きょうのお話を伺っていまして,今,皆さんがお話をされた,特に実践的なお話の基盤になるようなことだと思いますけれども,もうそろそろ公-私の分け方のようなものをもう一度考えなおさなければいけないのではないかと思って,お話を伺っておりました。
 例えば,公共性と私事性というふうに分けて教育の在り方を考えてきたと思うのですけれども,既にもう学社融合から,現在では学塾融合のような形で,塾が学校の中に入り込んだりですとか,いろいろな形で過去対極にあったものの融合が進んでいます。従来は経営主体といいますか,教育機会を提供する主体によって,例えば,公的なのか,私的なのかと分けてきたところを,もう少し提供の在り方とか,例えば経営のされ方みたいなことで分けるべきだという議論があったのですが,さらに,提供主体や提供の在り方という議論よりは,むしろ学ぶ側を中心にして,どういう形で学ばれているのかといったことで,公—私の在り方を検討し直さなければいけなくなっているのはないか,と思うのです。
 もう少し言いますと,公-私という言い方が良いのかどうかも,検討する必要があるように思います。ただ,「新しい公共」という言い方もありましたので,「共」が良いかというと,もう使い古された感じがしていて,もう少し新しい概念が出てこないかなと思うのですけれども,従来の公共社会をベースに作られてきた公-私という分け方も,次の社会に行かなければいけなくなっているのではないか,こんなことを考えつつ,今日はお話を伺っておりました。
 このことは,政策を作るときもそうでしょうし,私たちが研究をするときにはそうかもしれませんが,そういう概念がベースになって,それが実践にうまく展開していく形で,社会全体に広がっていく,そのことの筋道を確かめることが求められているのではないかと思いました。
 更に,そうなりますと,例えば,先ほど少し申し上げましたが,個人といったものの存在の在り方も,個が社会に屹立していて,個が集団を作っている,社会を作っているという議論よりは,むしろ個がみんなとつながって,その中で様々な学びを展開していくことが社会そのものを変えていくことにつながっていくというような議論といいますか,学んだことを私事化していく中で,更にそれを社会貢献しなさいということではなくて,むしろ学ぶことそのものが社会を変えることであり,作り出していくことであるというような形での捉え返しといったものが,これから必要になるのではないかなと思うのです。その意味では,従来のような学びとか,学習ですとか,教育という議論ではなくて,むしろここで言えば,「学び」というものをどう捉えるかといったことも,今後の検討課題ではないかと思いました。
 以上です。ありがとうございました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,菊川委員。

【菊川副分科会長】
 リカレントや,社会人が主体的・自律的に学びに向かうための仕掛けということで,3点申し上げます。
 一つは,最初の大久保委員がおっしゃったように,あるいは,今,髙倉委員がおっしゃったように,時間と費用の壁を乗り越えるためには,奨学金,あるいは働き方改革等もありますけれども,プラスICTの活用,それから,ICTと通常の学習との融合やバランスが必要なのではないかというのが1点目です。
 それから,2点目なのですが,昔,生涯学習が喧伝されたときに,生涯学習というのは,学歴社会,学校歴社会の打破なのだということを非常に言われたことがございました。学んだことを活かす,活かすだけではなくて,学んだことを見える化するということがとても大事だと思います。放送大学は女性の方が多いのですけれども,見ていますと,資格,それも流通する資格を求めているように思います。再就業をしたい,あるいはキャリアアップしたいというときに,安定的な仕事に就いている男性以上に,それを証明してくれるものを欲しがっている,それが必要とされているというのを考えますので,学んだことの見える化のための仕組み作りが必要というのが2点目です。
 それから,3点目ですけれども,放送大学で学生さんを見ていて,大人とか高齢者の発達可能性といいますか,学習能力が高いというふうに思います。試験が有効で,試験を受けているうちにどんどん楽しくなるという,そういう感じを持ちますので,そういう大人や高齢者の発達可能性に関する学術的研究とか,あるいは啓発ですね。「大人も伸びるよ,高齢者も伸びるよ」というような啓発が大事だと思っております。
 以上です。

【明石分科会長】
 はい。では,澤野委員,お願いいたします。

【澤野委員】
 私,3点考えたことがあります。
 1点は,リカレント教育というのは,もともとは1970年代に労働政策として国際的には提案されたところが大きいのではないかと思いますので,働き方改革とももちろんつなげなければいけませんし,また,社会人の方たちのための費用の問題など,例えば既存の例えば教育訓練給付金が厚生労働省の方でもあったりもするかと思いますけれども,そういったものを充実させることが必要と思われます。また,先ほども御提案がありましたけれども,有給教育休暇制度のことなども厚生労働省がかなり長い間,既に諸外国の事例なども調べていたかと思うのですけれども,そういう成人に対する奨学金の制度なども含めた工夫というのももちろん労働政策にも関わることですし,また,テクノロジーに関しては,文部科学省よりも未来のEdTechですとか,経済産業省などもかなりいろいろな提案や調査・研究をしていると思いますので,正に生涯学習政策が導入された頃の原点に立ち返って,文部科学省だけではなく省庁間の連携で,政府全体で取り組まなければいけない大きな課題だという面があろうかと思います。
 でも,70年代は,リカレント教育というと,大学や大学院に社会人が学び直しをするというイメージが非常に強く,最近の政府などの取り上げ方もそういう面もまだ強いかと思うのですけれども,きょうの御発表を聞きまして,専門学校ですとか,もしかすると職業系専門高校とか,より企業とも連携しやすい教育機関がよりニーズに合っている面もあるのではないかと思いました。
 また,そういったテクノロジーの活用によって,正規の学びだけではなくインフォーマルな個別の学びもリカレント教育として今後は捉えて,それを支援できるような仕組みが必要ではないかというのが1点目です。
 2点目は,ICTの活用に関して,大久保委員の大変興味深い未来像もありましたけれども,ただ,そのツールというのはどんどん変わっていくと思いますし,これからも物すごいスピードで変わっていくのではないかと思います。文化服装学院の通信教育もかなり長い歴史がありますが,大久保委員の御提案にあった学び方などは,こういった紙媒体など,ほかのメディアを使った通信教育でも行われてきたものでもあると思いますし,その地域の中でのインターネットを使ったいろいろな市民塾ですとか,そういう社会教育的なものの中でも実践されていたものも少し含まれているかなと思います。ICTを使うことで,障害のある人とか,外になかなか出られない子育て中の女性とかの学びの機会は増えて,またバーチャルなコミュニティとのつながりは,本当にわくわくする学びにつながると思うのですけれども,その一方で,地域とのつながりが希薄になる可能性もあるので,そのあたりはこれまでの社会教育的なものから学ぶべき点もあるのかと思いました。
 最後に,3点目は,今ほかの委員からもお話があったかと思いますけれども,学びの成果の見える化というか,評価という言葉は余り使いたくないのですけれども,それがリカレント教育の場でますます必要になるのかなと思いました。大久保委員の御指摘もあったように,学びがかなり個別化していくことが予想されるとすると,それは多様化にもつながると思います。学習者の学びの目標や成果そのものもかなり多様になると思いますので,それを自分自身で自己評価のためにIT,テクノロジーを使ったポートフォリオ的な履歴のログにするとか,それは自己評価に非常に有効だと思います。更にそれをこれから人生100年時代のマルチステージの次のステップにどう生かすかということでは,それを見える化して認めることが重要になると思います。諸外国ではかなり多様な学びの成果の研究が進んでいまして,バリデーションというような言葉を使いますけれども,承認するというのでしょうか,評価というよりも。検定とか試験という方法ももちろんあるのですけれども,それ以外のもっと幅広い個々人の多様な学びの成果をどのように認めていくかということで,文部科学省の推進するリカレント・ファシリテーターのような人たちがキャリア・カウンセリングのような技法も使いながら認めていったり,様々な形でサポートするということが必要になっていくのではないかと思います。
 以上です。

【明石分科会長】
 ありがとうございます。
 では,清原委員。

【清原副分科会長】
 ありがとうございます。
 きょうは,お二人の問題提起に触発されて,私も3つの点を発言したいと思います。
 1点目は,改めまして,現在の長寿社会の中で人生100年をどう生きていくかという上で,リカレント教育というものが正に今求められているという理由を確認できたかと思います。特に,長寿化する中で,キャリアデザインをどれだけ個性豊かに,一人ひとりの能力と努力と思いに寄り添って作っていくかということ,しかも多様性を尊重して,孤独にならず,孤立化しない,そうした社会の中での人生設計を考えていく上でのリカレント教育の意義が再確認されたと思います。しかしながら,他方で,地域格差の問題,あるいは,情報通信基盤の格差の問題,あるいは,それぞれの個人には「費用」や「時間」の課題等があるということも再確認されたと思います。
 そこで,2点目に申し上げたいのは,大久保委員がしっかり整理していただきましたように,現代社会,すなわちSociety5.0,あるいは第4次産業革命の時代においては,リカレント教育とICT,情報通信技術というのは,極めて親和性が高いということです。
 その親和性の1点目で,そうは言っても全国津々浦々全ての地域でWi-Fiが使えるかというとなかなか難しいということですが,初等中等教育分科会のこれからの初等中等教育の在り方に関する特別部会で確認されていることですが,政府としては,国の意思として,国家の意思として,全ての小・中学校に1人1台パソコンを実現したいと。しかも,基盤としての情報通信基盤も全国に保障していきたいと。これを国として進めるという方向性が打ち出されようとしています。そうであるならば,学校教育と生涯学習,リカレント教育というのは,もっともっと近づいていかなければならない。学校をリカレント教育の現場として使っても良いのかもしれませんし,公民館ももちろんバージョンアップしていかなければいけないのですが,是非そうした基盤の整備というのが第一義的に進むということを生涯学習の視点からも発言していくべきだと思います。
 2点目に,きょうはライフログの見える化,キャリアデザインを客観化できるツールがありますよと大久保委員から御紹介いただきましたように,ICT活用の意義は,正に多様なリカレント教育を支援するということを確認して,そういう方向で進めていかなければいけないということです。しかし,きょう御欠席の横尾委員からも問題提起がありますが,そうであるならば,道具としてのICTを主体的に使うためのリテラシー教育というのは,子供たちから長寿の方まで,もっともっと普及していかなければならない。その意味でも,私は,今回文部科学省が来年度予算で求められている,例えば「データサイエンティストの養成」であるとか,ICT人材を更にリカレント教育の部門でも強化していこうというのは,一方で大変重要な方向性だと思います。あわせて,「リカレント・ファシリテート人材」というふうに,ICTとリカレント教育をきちんと結び付けて,それぞれの主体性を持った学びをデザイン,支援できるような人材,これはなかなか容易ではないかと思いますけれども,これもまたリカレント教育の中でそういう人材を育んでいくという循環があるのかなと思いました。
 3点目の視点ですが,これは,企業,大学,専門学校との連携の在り方です。須藤さんは,発掘された企業と企業研修としての専門学校のメリットを活かした研修をされています。福田委員のところも企業と密接な連携を持ちながらリカレント教育に貢献されていると思うのですが,企業と教育機関という連携がどうしたらより円滑に進んでいくことができるのかということにつきまして,とかく大学が,あるいは大学院が重視されますけれども,是非専門学校,各種学校等もリカレント教育の中での重要な担い手として位置付けていければよいと思います。特に,文化服装学院さんが「学習グループ指導員ネットワーク」を作ることによって,少しでも新宿ではない学びの通信教育を受けている人を支えようとされてきた。これは,ひょっとしたら学習グループ指導員は,リカレント教育ファシリテートの部分を担っていらっしゃるかもしれませんので,こうした例を増やしていくということが望ましいかなと思いました。
 結びに,いずれにしてもテクノロジーを忌避するのではなくて,いかに大人も子供も使っていけるかということについて,きょう,大久保さんが示唆していただいたポジティブな面を,ネガティブな個人情報の侵害等を防ぎながら,情報セキュリティも保証しながら実現していければ,リカレント教育が具体化していくのではないかなと感じました。
 どうもありがとうございます。

【明石分科会長】
 では,萩原委員,お願いします。

【萩原委員】
 ありがとうございます。
 最初に私の方から以前報告を20分させていただいたときに,21世紀社会デザイン研究科の話をさせていただきました。大学院,社会人ですので,夜の18時半,今の大学は100分授業になったために4限ができなくなってしまったのですけれども,その18時半までに来るためには,相当頑張ってそれこそワークを集中してやらなければいけないという状況があります。
 ですので,その働き方改革とリカレント教育というのは,非常に密接につながるのですけれども,私はワーク・ライフ・バランスを20年ぐらい前からやり始めたときに,8時間労働を当たり前に考えているなと思ったのですね。8時間労働というのはいつ頃から始まったのだろうかと調べてみましたら,1817年ぐらい,第1次産業革命時代にロバート・オーウェンという人が8時間労働キャンペーンというのをやっていて,8時間働いて,8時間寝て,8時間自分の好きなことをするという。そこから1905年ぐらいにILOが8時間労働制でやっていくと。そうすると,今,Society5.0,この時代に8時間労働というのは良いのだろうか,ICとかAIとか言われているのにというので,ずっと6時間労働はどうでしょうといろいろなところで話をしているのですね。6時間労働制を取り入れているところもあるようなのですが,1回その働き方改革というところで,労働時間の在り方と,それから学びというものを1回考えてみたらどうかなというのを御提案させていただきます。
 それから,先ほど牧野委員が,学びがそのまま社会的な課題の解決というか,そういう関心につながっていくような循環が必要だと。これは,たしかチャールズ・ハンディが4つのワークで言っていたと思うのです。人生100年時代で,家庭の仕事,それから有給の仕事,スタディワーク,ギフトワーク,この4つを男女ともにバランス良くやっていくということがこれからの人生の在り方だと。そのときに,そのスタディワークというのは非常に重要だということになると,このリカレント教育というのが重要だろうと思われます。
 そして,企業と大学,あるいは専門学校,そういったところの連携ということになりますと,企業推薦ということもございますが,企業に黙って,職場に黙って大学に来ている学生も多うございます。働きながら学ぶということに対する理解というか,それがまだまだ進んでない状況もありますので,それも一緒に意識改革を進めていくということも今後重要になろうと思います。
 以上です。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,篠原委員。

【篠原委員】
 先日,中曽根康弘さんという政治家が101歳の生涯を全ういたしました。人生100年時代を文字通り体現した人だと思うのです。私は,中曽根さんというのをある時期からずっと見てきたのですけれども,あの人こそ生涯学習ですよ。もう国会議員を辞めた後も本当によく勉強をして,学習をして。
 だから,つまり僕は何を言いたいかというと,生涯学習というものの観点で考えるときに,単にキャリアパスをどう作るかとか,そういうことだけではないのではないかなと。つまり,リベラルアーツ的なものをしっかりともう一遍深掘りしてみるとか,自分なりの考え方をもう一遍ここで作り直してみようとか,そういうような個人の段階での自分自身の深みをつけるための勉強というか学習というのも,これも生涯学習だと思うのですよ。だから,何でもキャリアパスを作るとか,キャリア教育だということに全てを生涯学習というものに結び付けるところに,私は前から違和感がありまして,だから,そういう,別に何か資格を取ろうとか,何か新しい仕事に就こうということだけで生涯学習というか,一生懸命これからも人生長いのだからしっかり勉強していろいろなことを身に付けようと思っている人たちも十分その生涯学習の中に僕は入るのだろうと思うので,その辺を余りにもキャリアアップ,キャリアアップということに全てをまとめ過ぎないように。それぞれの個人の生き方というのがあると思うので,僕は中曽根さんの生涯を見ていて,これもまさしく生涯教育だなと感じましたので,一言述べさせていただきました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 ほかに何かございますか。
 私の方からも一言。菊川委員と,澤野委員と,先ほどの篠原委員の中で,生涯学習で学んだ学びの見える化というようなことを本気でそろそろ考えざるを得ないかなと思っています。
例えば,小学校,中学校では,学力テストが11年続いておりますね。良い悪いは別として1つの測定方法。高校は見える化していませんけれども,大学進学率で高校が評価されてきますよね。大学も本当に4年間,2年間で学びがどれだけ見えたかというのが物すごく問われてきています。6年に1回審査がありますけれども,一番委員の方で質問が多いのは,2年間,4年間で何を学んで身に付けたかということを問われてくるのです。
 そうすると,生涯学習の場面では,教育委員会とか環境生活課で高齢者大学というのをやっていますよね,それとか大学の公開講座とか。その場合の学びの見える化という視点が乏しくて,例えば,履修証明制度もありますけれども,これを資格というか,学位は取れますけれども,何が身に付いたかというのがないという。菊川委員の中では,放送大学の学生たちが成長するというか,伸びているのですよという面ですよね。その辺のことも含めて,従来とは違った生涯学習の学びの見える化を,何かチームを作って検証するというのを持っていかないと,AIと同じような学びではもう駄目なので,AIと共存できる学び方で,篠原委員がおっしゃるように,教養とかそういうAIができない成長スタイルがあるのだろうなという感じがしておりますもので,是非文部科学省の方でもこの生涯学習の学びの見える化と言いましょうか,何かそういうテーマで研究グループを作っていただいて,これまでの都道府県の高齢者大学の成果とか大学の公開講座の成果を含めて,何か検証するような仕組み作りを作っていただければと思っております。
 大久保委員,最後の一言をお願いします。

【大久保委員】
 ありがとうございます。では,1点だけ。
 最後に座長が触れられたことにも近いのかもしれませんが,私は,このテクノロジーを使ったリカレントの問題をいろいろとずっと関わっている中で一貫してずっと思い続けているのは,これまでやってきた教育と,こういったICTを活用した,テクノロジーを活用した学習というのは,代替的なものというよりは補完的なものにするときに最も効果が上がると思っているのです。
 つまり,いろいろな場面で教える立場とかコーディネートをする立場にいる人は,うまく同時にICTのプログラムを使いこなすことによって学習成果を上げることができる。そのためには,環境としてのWi-Fi環境も必要ですし,教える側とかコーディネーションをする側のICT教育,そのリテラシーを高めることは欠かせないことだと思うのです。
 最近,私がよくやっている事例を1個だけ御紹介したいのですけれども,私は企業の中で研修講師として,マネジメントの勉強会とか,介護と仕事の両立のための勉強会などをやるのですが,終わったときにIDを配るのです。例えば,仕事と介護の両立の勉強会をやった後に,実際にそこでプログラムをみんなにやってもらった後に,一人一人が自分の親の介護の問題で具体的な悩みを抱えている。あるいは,どうしたら良いのだと,親はこういうことを言っているけれども,コストが掛かり過ぎるとか,遠隔で心配で,これをどうしたら良いのだとか,いろいろな問題を抱えているわけですよね。そういうことをそのIDを配った人たちが,今度はウエブで相談してくるのです。ネットにそれを書き込んで,どうしたら良いのでしょうかと。そうすると,それを我々の方でクラウドにそれを見えるようにしておいて,そこに全国の介護の専門家,介護施設のスタッフもいれば,ケアマネもいれば,社会福祉士もいるのですけれども,そういう人たちがその質問に全部答えてくれる。そうすると,こういう方法もあるのかというふうに分かるという。教室でやっている学習だけではなくて,その後のフォローアップとしてこういうICTを使うということもあって,そういうことをやると本当に皆さん良く理解が進むということがあるのです。まさしくオフラインとオンラインを組み合わせて,テクノロジーをうまく生かしていくという。その辺のところの姿をうまく描いていくことができないかなと思っています。

【明石分科会長】
 各委員から貴重な御意見を頂きまして,ありがとうございました。
 本日の御意見を踏まえまして,次回以降に検討していきたいと思っております。
 以上で議題は終わりますけれども,事務局から連絡はありますか。

【根本生涯学習推進課長】
 ありがとうございます。
 今回この生涯学習分科会をずっと今まで御議論いただきまして,今までは,どちらかというと従来の生涯学習,社会教育のような分野の中を中心に御議論いただいてきておりました。きょうはもう少しその範囲を広げて,個人の学びということの中には,リカレント教育の部分というのも非常に重要なのではないかという観点から,また,お二人の委員から御発言いただきまして,また,活発な御議論を頂きまして,ありがとうございました。
 今後その学びの見える化等につきましても,どういうふうな方向に検討していくかということを含めて進めていければと考えております。
 次回に向けましてでございますが,次回の日程につきましては現在調整中でございます。また日にち等が決まりましたら追って御連絡をさせていただきたいと思います。
 きょうはどうもありがとうございました。

【明石分科会長】
 それでは,これをもちまして生涯学習分科会を終わりたいと思います。どうも御苦労さまでした。


― 了 ―



 

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