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生涯学習分科会(第105回) 議事録

1.日時

令和元年10月15日(火曜日)15時00分~17時30分

2.場所

文部科学省東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 民間団体や人材の活躍・連携に関する有識者ヒアリング
  2. その他

4.議事録

【明石分科会長】  
 それでは,定刻となりましたので,ただいまから第105回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。
 本日は,お忙しいところお集まりいただきまして,まことにありがとうございます。
 本日,報道関係者より,会議の全体について撮影,録音を行いたい旨の申出があり,許可しておりますので,御承知おきください。
 次に,配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。補佐,お願いします。

【野口生涯学習推進課課長補佐】
 机上の資料をごらんください。
 資料としまして,本日は,議事次第,座席表及び資料1として第10期生涯学習分科会の検討課題について,資料2として審議の視点例,資料3として関委員から御提出いただいております資料を配付させていただいております。
 本日御発表いただく発表資料であります資料4,5につきましては,スライドで投影予定でございますので,机上には配付しておらず,参考資料と併せて机上のタブレット端末に格納しておりますので,御参照いただければと思います。
 過不足等がございましたら,事務局にお申し付けください。
 以上でございます。

【明石分科会長】
 よろしいでしょうか。
 それでは,審議に移ります。
 本日の議題1は,民間団体や人材の活躍・連携に関する有識者ヒアリングでございます。
 移る前に,事務局から本日の審議事項等についての御説明をお願いいたします。根本課長,お願いします。

【根本生涯学習推進課長】
 資料2をごらんいただけたと思います。
 きょうの全体的なテーマといたしましては,地域課題の解決に取り組む民間団体や人材の活躍・連携についてということでございます。
 大きなポイントといたしましては,四角印にございますように,第9期の答申やこれまでの議論等を踏まえていただきまして,地域課題の解決に取り組む民間団体,人材活用の連携をどのように推進すべきかということ,また,これらの連携・推進を図る上で,関係機関とか行政の果たすべき役割や,取組はどのようなことが考えられるかということでございます。
 審議の視点につきましては,下の5項目のようにございます。まず一つ目,中核を担う人材の育成,また,それに対する課題と方策,同じような形で多くの人々に主体的に参加していただくための課題と方策,三つ目は民間団体が継続的,発展的に取り組んでいくに当たっての課題とそれに対する取組を後押しするための方策ということ,更に企業,大学,専門学校などがどのような形で参画・連携することが考えられるかということ,最後に生涯学習・社会教育行政の果たすべき役割とその課題等についてでございます。
 これは主な視点でございますが,このような視点に沿っていただきまして,活発な御議論をいただければと思っております。
 また,本日の議題に関しまして,関委員から御意見を頂きました。資料3に添付させていただいておりますが,今後の審議の中でまた御発言等を頂ければと思います。
 以上でございます。

【明石分科会長】
 課長,ありがとうございました。
 今の事務局の説明について,御質問はございますか。
 なければ本日は,宮城潤委員,ハバタク株式会社代表取締役の丑田俊輔様より発表していただきます。
 御発表の前に,丑田様を御紹介したいと思います。
 ハバタク株式会社代表の丑田様です。2010年にハバタク株式会社を設立し,2014年に秋田県五城目町に新拠点を立ち上げまして,五城目小学校の新校舎の建築や教育留学の取組など学びに関わる様々なプロジェクトに携わっておられます。本日は,民間団体として,生涯学習,社会教育の場作りに関わられる立場からお話を伺いたいと思っております。
 お二人それぞれの御発表の後に質疑応答に移りたいと思います。
 では,宮城委員,よろしくお願いいたします。

【宮城委員】
 ハイサイ。こんにちは。沖縄の那覇市からやってきました,那覇市若狭公民館の館長をしております。NPO法人地域サポートわかさという団体が指定管理を受けていますが,そこで館長をしています宮城です。よろしくお願いします。
 まず,若狭公民館,そして,那覇市の公民館の設置状況やエリアの概況を少しお伝えしたいと思います。
 緑色で縁取られているのが那覇市です。左上のオレンジ色が付いているところが若狭公民館のエリア。星印がありますけれども,こちらが那覇市の公民館です。小学校は36校,中学校は17校に対して,公民館は7館なので非常に少ないというのが分かると思います。
 若狭公民館のエリアが左上のオレンジ色の部分なんですが,このエリアの人口は約3万人で,この中には中学校2校,小学校3校。でも,実はこのエリアぎりぎりのラインに三つの小学校があって,そこまでも連携対象としなさいと言われているので,そうすると大体5万人を対象とするかなり広域なエリアを見る公民館となっております。
 若狭地域は海沿いにあって,琉球(りゅうきゅう)王朝時代から海の玄関口として栄えたところです。戦後は埋立てによる開発が進められて,古い文化,そして,新しいコミュニティの両方の側面があります。
 若狭公民館は,今,指定管理者が運営しているとお話ししましたが,運営体制はいろいろ変わっていまして,平成4年に開館,平成16年から6年間,民間から公募による非常勤館長を採用するという体制になり,平成22年から5年間,館長は行政職員,それ以下はNPO法人が運営するという形になり,平成27年から完全に指定管理者として運営しております。
 ちなみに,私は社会教育指導員として入って,翌年,非常勤館長になり,一部業務委託団体の事業責任者,そして,今は指定管理者の館長となっております。
 指定管理者の地域サポートわかさですけれども,メンバーは近隣の自治会長であったり,民生委員,学校関係者,公民館の利用者であったり,また,近隣の施設長,児童館だとか交番だとか図書館だとか,そういった方も定例会には参加して意見交換をしているという感じの団体です。
 平成17年に公民館を拠点にして,地域の関係機関,団体が連携しながら地域作りに取り組めないかということでフォーラムを行って,それを継続的に運営するものとして任意団体が生まれ,今,NPO法人になっているということです。
 その背景として,那覇市は早々に公民館運営審議会を廃止したことや,公民館の民営化というのが議論され始めていたということもあります。要するに,公民館が指定管理者制度を導入して,民間企業が入ってきたりするということを心配するような動きで,地域のネットワーク組織として立ち上がった団体です。
 地域のネットワーク組織なので,保育園であり,老人会であり,自治会であり,様々な団体が関わっているので,地域の中でいろいろお祭り等も自主的に開催していて,様々な地域の交流事業を活発にやっております。
 ネットワーク団体なので,地域活動,公民館を拠点にすばらしいね,よく頑張っているねというお声を掛けていただけることが多いですが,ところが,実は,那覇市は自治会加入率が非常に低いです。若狭公民館から本庁地区の自治会加入率14.8%,つまり,自治会未加入率が85.2%,地域活動と関わりのない人たちがほとんどという状況です。
 また,生活保護率も高い。6.2%と聞くとどうですか。かなり高いなと思われます。自治体によって生活保護を受けやすい,受けにくいというのがあるんですけども,同じ那覇市と比べても倍近いような状況です。
 この辺りは県内有数の歓楽街が連なっていて,居酒屋,スナック,キャバクラ,ラブホテル,ソープランドなどが集積しているような地域でもあります。
 それと関連して,夜間働く女性も多いです。那覇市内の夜間保育園のほとんどが若狭公民館のエリアに集中している状況です。学校関係者に聞くと,一人親世帯も非常に多くて,ある小学校だと6割ぐらいが一人親世帯という学校があったりもします。
 また,日本全国あちこちでもそうだと思うんですけど,沖縄県内でも那覇市内,そして,若狭公民館のエリアというのは外国人労働者,留学生が非常に多いです。若狭公民館のエリア周辺には六つの日本語学校やその寮もあり,そこに通っている学生たちも多く,急激に外国人をよく見るようになったなという状況があります。
 このような状況から,若狭公民館エリアの課題としては,自治会活動は活発なんですけれども,そもそも加入している人たちが少ないよねと。地域活動に参画する若者も少なくて地域の担い手に不安があるなとか,生活困窮世帯も多いです。子供の貧困率も当然高い。子供の多様な体験,居場所の必要性も感じております。地域につながりのない一人親世帯も多いですし,外国人留学生と住民によるあつれきというのも懸念されています。
 こういった状況の中,やはり自治会,町内会の加入率が低いということもあって,地域コミュニティの再構築というのが重要ではないかという話はよく耳にするところです。
 そういったとき,そもそも地域って何だろう,コミュニティって何だろうとちょっと考えてみると,地域とはこのように定義されています。ですが,実際,人によってこの地域の範囲は様々で,那覇市の場合は行政区単位に公民館があるとか,自治会があるとか,若しくは小学校区単位にあるとかでもないですし,先ほど本庁地区,真和志地区,小禄(ろく)地区,首里地区という四つの地域で那覇市が成っているという自治会加入率の表も出したんですけれども,PTA連合会の区分であったり,民生委員の区分であったり,そういったものも4地区に分かれているはずが,全部違うんです。異なる。要するに,圏域が様々,福祉であれ,教育であれ,地域活動であれ,様々な圏域がばらばらなので,人によってイメージする地域の範囲が相当異なります。
 また,コミュニティって何だろうと。同じ興味,関心,利害を共にし,情報の共有,問題の解決など行う共同体と定義されていますが,地縁だけではなくて,血縁や学縁,志縁,趣味縁,こういったコミュニティもあるなと思っています。
 コミュニティというのは,それぞれの興味,関心,利害を共にして,互いに問題解決などを行う共同体,要するに,自分らしくいられる居場所でなければならないと思っています。
 地域コミュニティと地縁組織はこんな感じかなと思って書いたんですけど,自治会加入率が80%だと,この一定の地域に対して自治会に入っている人たちは黄色い丸ですね。そして,自治会中心に高齢者の見守り,介護予防,子供の安全・安心,伝統芸能の継承や交通安全,環境美化,防災,防犯,親睦事業,その他もろもろ,いろんなことをやっていらっしゃると思います。80%ぐらい加入率があると,縁の青いところのあたりの人たちをどうしようかと,うまく取り込めないのかなと,そういう議論がよくされているのかなと思います。
 自治会加入率が15%だとこうです。地域,自治会,町内会が担わないといけないことをこれだけの人たちでやらないといけない。相当無理があるなと思っています。自治会加入率が80%だと,残りの20%の人はどこにいて,どういうことをしているのか何となく分かると思うんですけど,この状態だと中にいる人で一生懸命やっても,全く分からないです。
 この青い周りのところがサイレントマジョリティーという固まりではなくて,実は孤立しがちな人たちである,そういう集合体であり,それぞれがつながっているわけではない,そういう状況があるのかなと思っています。
 やっぱりコミュニティというのは居場所でなければならないと思っているんですが,地縁組織に対して,自分の居場所だと思っている人が一体どれぐらいいるのだろうかということを考えたりします。やっぱり地域はつながらないといけない,散々言われます。つながろう,つながろうと言うんですけど,つながりって強制するとしがらみになります。そのしがらみが嫌だから,つながらないでいい社会というのを私たちが好んで作ってきた結果がこういう状況ですね。やっぱりつながっていくって非常に面倒くさいんです。面倒くさい。でも,この面倒くさいというのを乗り越えるには,楽しいとか,そういった何らかの魅力が必要だろうと思っています。
 そこで,私たちが気を付けているというか,意識しているのは,魅力ある楽しい活動を軸にしながら,新たなコミュニティを作って,地域課題に取り組む,そういったことを心掛けています。
 地域課題に取り組む,地域課題解決と言っても,何か特効薬があるわけではありません。特効薬があるわけではないので,市民が主体的に,そして,継続的に活動しないことにはどうにも変わっていかないと。継続的に活動するというのが大変なところで,やっぱり問題意識だけを持って活動していても疲れちゃうんです。活動そのものに魅力がないと活動は継続しないだろうと。
 地域課題には様々な課題があります。それに向き合うのに,活動そのものを魅力的にしていく,これをうまく掛け合わせる。真ん中のバッテンですね。これが公民館であれ,社会教育の立場にある者の腕の見せどころかなと思っています。
 このように地域課題に取り組みながら,魅力的な活動と思って活動している事例を幾つか紹介します。
 最近やっている防災キャンプという取組があります。防災×キャンプ。楽しく防災をやっていこうということで,特徴として面白いのは,行政の様々な機関にもちろん連携して取り組んでいただいています。それ以外にキャンパーとかペットのコミュニティの人たちにも関わってもらっています。キャンパー,キャンプが好きな人たち。那覇の町中の公園で,絶対宿泊などしちゃいけないようなところ,こういう企画だと宿泊してもいいという許可をどうにか下りられるようにしました。そうすると,町中の公園で宿泊するとなると,キャンパーは喜んで来ます。喜んで来たときに,自分たちの趣味,楽しみで関わっているんだけれども,その技術だとか経験だとかというのは,実はみんなの役に立つんだよということを,ボランティアとしてキャンパーを募集し,防災キャンプに参加した人たちにいろいろノウハウを教えていただく。サバイバルのノウハウを教えるのではなくて,キャンプを通して,ありもので何か工夫をしていく知恵だったり,いざというときに助け合って共同していくことだったりということをこのキャンプでは主に意識してやっています。それで自分事,自分の楽しみと思ってやっていたことは,実は地域や社会に役立つという経験をキャンパーは知ります。地域の人たちも実はこのキャンパーたちが資源であるということに気付くようになる。そういった仕掛けも考えていたりします。
 在住ネパール人との交流です。住民とのあつれきが懸念されてくる中で,交流するイベントをしようとしました。最初はオールドカマーのネパール人が今の若いネパール人を教育しなきゃいかんみたいな感じで交流企画を持ったんですけど,そうすると,当然ながら,ネパール人の学生たちは来ないんですね。それを楽しいイベントにしようと。
 実は,2019年4月14日はビクラム歴だと2076年1月1日。五十何年も先をいっているんです。そういうことも私たちは知らないんですけど,こういうお互い食や踊りや歌というので文化的な交流をしながらやると,非常に親しい関係になれる。そして,一緒に顔を見ながら交流して,一緒に準備,片付けに取り組んでいく。そういうことを繰り返していって,ネパール料理教室を開催したり,そこからまたやさしい日本語で防災について考える講座に一緒に取り組んだり,地域のお祭りでネパール屋台を出してもらったり,そういうふうに展開したりもしています。
 あと,若狭公民館のエリアは非常に広域だというお話をしました。広域だと徒歩1時間ぐらい掛けないと若狭公民館に来られないという地域の方々がいます。そこで,じゃあ,移動式の公民館をやっちゃおうということで取り組んでいるのがこちらです。公民館の「つどう・まなぶ・むすぶ」という機能を,この曙地区というところで公園を活用して,その機能を生かすというプロジェクトです。
 公民館がここにあるのが見えますでしょうか。後ろにあるパラソル,そして,下に黒板でできたテーブルを公園に置いて,これを公民館だと言い張る活動です。そうすると,いろいろ地域の方,子供たちも楽しんで集まってきて,そこでおしゃべりをする。おしゃべりをした中で,こんなことに困っているとか,誰々さんがこういう得意なものを持っているだとか,そろそろこういうイベント,例えばハロウィンの時期なので,ハロウィンの何かしたいねみたいな話が出てくると,それを形にしましょうということで,私たちはちょっとお手伝いをする。公園周辺の地域の店舗だとかお宅,事業所に声を掛けて,こども食堂なども協力してハロウィンのイベントなどもしたんですけど,様々な仕掛けをしています。こういった活動をただやるだけではなくて,その後,振り返るような場も持って,共有しています。
 先ほどごらんいただいた地域のコミュニティの状況です。自治会とか町内会は非常に小さいです。それ以外にも,実は趣味だとか,NPOだとか,行き付けのお店だとか,そういう興味,関心事でのコミュニティって複数に地域の中にはあるだろうと。それぞれのコミュニティがしっかり活動をして,それが見えるような形になっていく,そして,つながっていく,そうすると,より強固なコミュニティになるのかなと思っていたりします。
 地域の中にある多様な小さなコミュニティを顕在化し,それぞれの活動を広げる。例えば,先ほどお話ししたように,キャンパーの活動を広げる,自分たちだけのものではなくて社会化していく,そういうことを繰り返すことによって,地域全体が緩やかにつながっていくということができるのではないかなと思っています。
 ここでちょっとごらんいただきたいんですけれども,これは割と有名な動画なので,ごらんになった方もいらっしゃるかもしれません。

(映像上映)

【宮城委員】
 TEDでムーブメントの起こし方のお話をされたものです。
 音楽のフェスで裸踊りをしている人がいる。それに乗っかってくる1人のフォロワーがいて,一緒に踊り出す。踊り出して,みんなもおいでよと示していく。示して,声を掛けて,「面白そうだ」というふうになると,ほかの人がやってきます。1人フォロワーが生まれると,次にまた別のフォロワーが生まれてきて,その後,少しずつ増えていきます。
 私が心掛けているとしたら,新たな動きを創り出す人というのは,やっぱり世の中にいます。そのフォロワーとして寄り添って,背中を押すということを心掛けています。公民館はどんな事業をするかということも大事なんですけれども,何かをやりたい,誰かの役に立ちたいと思っている人は実はたくさんいます。アンテナを張って,そういった人たちの情報をキャッチし,相談に乗って背中を押す,それだけでいろいろつながっていくのかなと。
 例えば不登校の経験がある方からの相談で,自身がアメリカに留学して帰ってきたときに,自分の経験からきっかけがあれば学ぶ意欲が持てるだとか,定時制の高校に行っているときに周りの困窮世帯の状況を知っているので,自分のできることをしたいということで無料英会話教室を立ち上げたいと。教育委員会などにも相談に行ったけれども,誰も相手にしてくれないというところで若狭公民館に来ました。
 話を聞くと,すごく熱い思いがあり,とてもいいことをしようとしている。じゃあ,一緒にやりましょうということで,無料英会話教室を始めて,6年ぐらいやっています。
 大学生が学習支援をしたいと。ただ学習支援をするのではなくて,学習支援のインターンプログラムを開発したいという学生が来て,キャリア教育の専門家と一緒に,事前研修や事後研修の在り方などを考えて取り組む学習支援をしたり,映画制作会社の社長からこども映画祭を作りたい,子供がスタッフになり,子供が審査員になり取り組める,そういう映画祭を作りたいということで一緒になって取り組んだりもしています。
 クラシック音楽の専門家の方々から,音楽を通した子供の居場所作りをしたい,それも相談を受けて,一緒にジュニアジャズオーケストラという活動もしたりしています。
 また,南極観測隊のOBの方から,私のつてを通じて南極教室できますよという話が持ち込まれて,南極との中継をして南極教室をやったり,ブラジルのサンバのチームが浅草に来たりする。そのついでに沖縄公演をすることが決まった。せっかくなので市民講座を開きたい。若狭公民館でできませんかと持ち込まれて一緒にやるなど,ほかにもいろいろありますけど,私たちが何かをするということだけではなく,地域のため,子供たちのため,社会のためにやりたいと思っている方はたくさんいるなと思っています。そういったことの後押しをしていくということも公民館の一つの役割かなと。
 学習相談というものがありますけれども,相談というのは,学習者に対して情報を提供するだけではなくて,寄り添って後押しをするということも非常に重要かなと思っています。
 それと,少しオーバーしちゃいますが,関さんからの意見と関連するものがあるので,少し御紹介したいなと。
 私,公民館に勤めて驚きました。公民館には適当な施設,設備がある,少ないけれど事業費がある,有給の常勤職員がいる,このような条件がそろっている公民館は資源の宝庫だと思いました。それまで別のNPOでは,貧乏で,自分たちでお金を作りながらどうにかやっていたものに対して,とても恵まれた環境があるなと。でも,実際ふたを開けてみると,利用者に偏りがあるし,趣味的な講座がほとんど,利用者以外に知られていない,そういう状況がある。でも,この資源の宝庫である公民館,そして,地域に物すごく根差されている公民館が本当に生き生きと活動し始めれば,全国に1万4,000館ある公民館,全国各地,日本中が豊かになっていくんじゃないかみたいなことを妄想しまして,じゃあ,公民館を面白くするにはどうしたらいいかということを考えました。
 そのためには,公民館の実態を知るべきだと。助成金をもらって,まず県内の公民館の調査をしました。公民館の調査をして見えてきたところ,利用者が固定化しているという課題意識を持っているにもかかわらず,広報に関する課題意識が低い。広報を必要としないんですね。そして,事業に関する課題,運営に関する課題もアンケートを採ったんですが,「どちらともいえない」という回答が非常に多かった。これはどういうことでしょうか,ちょっと考えていただきたい。
 また,「どちらともいえない」というものが多い中でも,わずかな課題としては,経験豊富な職員の不足とか,事業企画のノウハウやネットワークの蓄積が困難であるみたいな回答が出ました。実は「どちらともいえない」という回答というのが非常に私はポイントだと思っていて,そもそも問題意識が希薄で,やる気がないんじゃないかという意見もある有識者からも聞こえてきたんですけど,果たしてそうだろうかと。それもあるでしょうが,公民館というのは,ほかの行政や他部署と違って,我が町の課題はこれです,だから重要施策はこういうふうに打ち出して,このあたりを強化していきますということを設置自治体が定められない,示されない,公民館職員任せであると。そもそも専門的に勉強してきたわけではないけれども,地域に根差したことをしなさいと急に言われる,何をしていいか分からない,そういう状況があるのかなと思っています。
 そこで,ちょっと宣伝なんですけど,実は企画づくりのじゃばら手帳というのを開発しました。これは事業企画をするためロジックモデルの作成手引書的な感じです。じゃばらなので,メモをしていくと,事前事後を見比べたりもできますし,企画のベテランの方の思考の流れに沿ってメモをするように書いていくと整理されて,事業企画ができるというデザインになっています。
 これを基に活動を始めたのがパーラー公民館の取組。そのパーラー公民館の取組は,お手元の資料にあります。こちらは無料で配付しますので。本来は,じゃばら手帳を買うとこれが付いてくるというものです。
 この考え方,どういう考え方で取り組んでいるのか,どういうポイントがあるのかというのを整理して,こういったものを見て,何かをしたいと思う人,公民館職員であったり,地域活動をする人の後押しになるように,そういったものを作成したりしています。
多様な地域住民の課題,状況を把握して,地域課題の仮説を立てて,ユニークなプログラムで取り組んでいく。そのように留意しながら,若狭公民館では取り組んでおります。
 以上です。超過してしまいましたが,ありがとうございました。

【明石分科会長】
 宮城委員,ありがとうございました。少し質問だけありましたら,お願いします。どうぞ。

【清原副分科会長】
 宮城委員,本当にありがとうございました。
 まずは,公民館を含めて,地域を皆様の居場所にするというコンセプトの中で,多様な団体との連携をされていらっしゃるということが大変伝わってきました。
 特に地域の課題の中で,一人親が多いとか,あるいは外国人の方が多いとか,そういうことを地域課題と言っても,悪い問題として位置付けるのではなくて,むしろ,地域の特徴,資源,魅力として捉えて,交流のイベントとして作り上げていらっしゃるということを感じましたが,特に市長さんも登場されてテープカットされたり,また,参加者と一緒にいらっしゃったりする姿が――私はお会いしたことがあるので――大事なことだなと思いまして,そこで質問です。
 いろいろな地域の団体がございますけれども,その地域の団体がこれまで企画としてまとめ上げるときに,公民館に提案をする仕組みというのをお作りになってきたのでしょうか。それとも,宮城さんはじめ,地域で団体を発見して,そして,公民館の方から働きかけて一緒に協働しませんか,連携しませんかと働きかけたんでしょうか。両方でしょうか。
 そして,始められたら,やはり継続されているというのが,この『作り方と育て方』からうかがえるんですね。そうしますと,一度始めると,その先を見越しながら,検証しながら,やれるものを最初から取り組まれたのか,それとも,取りあえずやってみて,そして,それによってまた一緒に継続を考えていこうと複数のパターンを持って取り組まれたか,本当にユニークな連携がありましたので,伺いたいと思います。特に,公民館主事とか公民館の職員が何でもかんでも自分たちで企画して,運営しようという方向ではないように感じました。そのことは簡単そうで意外と難しいので,この館の取組の中でいかに地域の人材や団体の力を引き出されたかということについて伺えれば幸いです。よろしくお願いします。

【宮城委員】
 ありがとうございます。
 地域の方の声を聞くとか,いろんな人材を把握したりするための仕組みがあるかというと,ないです。そういうものは明確には作っていないんですけれども,やっていることとしては,若狭公民館,広報は力を入れています。
 これまで公民館の中にいる人たちの話をすると,やはり利用者の固定化,高齢化みたいなことは皆さんおっしゃるんですけれども,でも,実際やっていることを伝える努力をどれだけしているのかというと,余りしていないなと思っていて,しなくても人が来るという状況がこれまであったからだとは思うんですが,なので,私たちはなるべく広報に力を入れて,発信するように心掛けています。
 楽しいことを楽しいよと発信していると,反応してくれる方がいるということがまず一つです。それと,いろんな方が寄ってきて,いろいろやってくださるというところでいうと,ひとつ大きな要素があって,私がとても頼りないんです。なので,何かやりたいことはあるんだけれども,うまくできないというのを見かねて,いろんな方が手伝ってくれるという状況が生まれていて,でも,やると,面白い,楽しいということで,またリピーターになってくださるし,困ったら助けてと言うということを心掛けてはいます。
 それと,継続することに関して言うと,継続することは余り目的としては持っていないです。課題がある,その課題に対して取り組む,その取り組んだ先の展開というのはもちろん考えていきます。継続しなかったら,継続する必要のないものだったんだと思うようにしているので,なくなる場合もあるだろうなと。ただ,何かを起こすということは,やっぱり課題意識があるからやっているので,やって失敗したね,なくなるということではなくて,何か次の展開を考えます。
 なので,それを思うと,一生懸命プランを立てて,そして,お金をどこから持ってきて,どういうふうにしてやるかということよりも,まずはリスクも少ない形で一歩踏み出してみるみたいなことをやって,そこで動きながら得た情報とか,可能性を見ながら,次の展開を考えて動いていくみたいな感じで取り組んでいます。

【清原副分科会長】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,中野委員。

【中野委員】
 ありがとうございました。
 公民館の本来の目的が果たせていないんじゃないか,公民館がだんだんと元気を失ってきているという状況にある中で,若狭公民館の取組というのはすごく活発にされて,すばらしいなと思いました。
 そういった中で,最後のアンケートの課題の中にあったように,スタッフというか,そういう人たちがどういう意識を持って取り組むかということが課題だと思っておりまして,職員をどう育てるかというあたりが課題だと思っています。
 この本を取り上げたときにぱらっと見たら,ここにいろんなこと,正にノウハウが書かれているなと思って感心したのですけれども,このNPO法人地域サポートわかさというのは,宮城館長がおられて,それから何人かの専門的なスタッフがいるのかなと思ったんですが,そういうことではなくて,メンバーは近隣自治会長とか民生委員とか学校長とか,そういう方々なんですね。であれば,そういう方々の意識を上げるときに,どういった取組をされたか,そういったものがあれば教えていただきたいと思いました。

【宮城委員】
 ありがとうございます。
 地域の中で,自治会加入率はこれだけですとお話ししました。地域のうちのNPOの理事,メンバーの皆さんというのは,この黄色い部分にいる人たちだったりします。なので,この黄色いところにいる人たちは,物すごく活発に動いていて,地域活動を一生懸命やってくださっているので,そのお手伝いをするというのはずっとしているんですが,どうしても視点が内向きになっちゃうんですね。周りに取り残されそうな人たちがいるということをつい忘れてしまいそうになる。だから,この黄色い人たちはしっかり頑張ってもらって,そのための後押しはするということとは別に,実は公民館の人は,それプラス,うちの理事たちが目を向け切れていない,ついつい見落としてしまう人たち向けにもどんどんやっていこうみたいな感じで,シングルマザーだったり,外国人だったりとか,そういう人向けの取組も始めたと。
 とはいえ,やっぱり地域の重鎮,キーパーソンたちがメンバーであるので,私たちがこういう活動をすると,何かしらやっぱりつながっていく影響もありながら,地域の中で地縁の組織の後継者をどうするかということも課題ではあるんですが,そこばかりに目を向けるというよりは,後継者問題というよりは,地域で見えている課題に対して取り組む中で,人は出てくるだろうと,そういう感じでやっています。
 回答になっているかちょっと怪しいですけど,そんな感じです。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,関委員,お願いします。

【関委員】
 本当に公民館の原点,青空公民館と極めて近いものをパーラー公民館に感じました。今,平成から令和に変わる中で,これから先の新しい公民館像がこの中に見えてきているんじゃないかなと思います。
 1点質問は,一番初め,民営化をむしろ行政側の方から促そうとしたと。それに対して,地域の人は何とか公民館を自分たちで回していかなければいけないということで,結果,NPOみたいなものを組織して,それを引き受けようとした。その辺の流れをもう少し詳しく聞かせてもらって構いませんか。

【宮城委員】
 平成16年から民間から公募による非常勤館長という制度をとっていて,最初の非常勤館長は恐らく野心的でもあったと思うんですね。彼女は指定管理とか民営化された地域の人たちにとって,自分もここで何かしたいという思いがあったんだと思います。それで地域の方に声を掛けて,とてもうまく盛り立てて,場を作っていったという状況があります。
 ただ,地域の方々,NPOって何なの,指定管理者制度って何なのって分からないまま,ふだんから自分たちの公民館だと思って活動しているんですけれども,より自分たちの公民館になるんだということで,物すごく盛り上がって,そこに乗っかってきたというのがあります。
 ただ,経営的な視点というのは基本的にないので,思いがあればいいのかというと,ちょっと難しいところもあったりして,例えば行政が指定管理者制度を導入,民営化というものは,建前はどうあれ,予算縮減というのが本音ですね。どんなに安く落とされても,やりたい人たちばっかりになると冷静さが失われて,私たちはやりたいからやりますみたいな感じになっちゃうんですよ。その辺がちょっと危ういなというところではあったんですけれども,どうにかこうにかやっています。
 もっと話をするともっと長くなりそうですので。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,牧野委員。

【牧野委員】
 どうもありがとうございました。これまでにも,何度も見せていただいていますが,またいろいろ進化しているので,驚きました。ありがとうございました。
 一つだけお聞きしたいと思いますのは,先ほどおっしゃったフォロワーと広報の関係です。フォロワーがあのような形でどんどん一緒になって活動していく形で事業が動いていくという話はよく分かるのですが,多分,その前にフォロワーの掘り起こしをしているはずだと思うのです。その意味で,きょう,宮城さんはおっしゃいませんでしたが,若狭公民館が重視されている広報の仕方として,紙媒体の館報をとても大事にされていると思うのですが,その配り方ですとか,更にその作用・効果について,少しお話しいただきたいと思います。

【宮城委員】
 ありがとうございます。
 そうなんです。広報の話をいっぱいしたいんですけれども,長くなるので今回は割愛しましたが,情報発信媒体はインターネットを活用して,様々な手法で発信しているというのをやるんですが,インターネットの情報というのは,興味,関心がある人が取りに行って受け取れる情報ですよね。もともと意識を持っていない地域の方には届かないということで,官報の配付はいろいろ工夫しています。
 先ほどお話ししたように,自治会,町内会の加入率が15%以下だったりすると,回覧板とかも機能しないわけです。なので,各戸に配付してください,これは無料ですよね。それで新聞販売店にお願いして,地域のことだし,共益的な,公共的なものですということで協力していただいて配付してもらったり,先ほどお話ししたように,二つの中学校,六つの小学校の全児童,生徒に配付していたり,近隣の施設,カフェとか郵便局とか銀行もそうですし,あと,公共施設には置いています。2か月に1回発行しているんですけれども,毎回1万3,000部刷っています。印刷代はばかにならない,こんな予算あるのかと思われると思うんですが,その分は若狭公民館の活動に賛同していただける方を募って広告を取っていて,その広告収入で印刷費や配付する経費はほとんど賄えています。新聞販売店に関しては,これまで無料で配付していただくということをお願いしていたんですけれども,新聞販売店も今なかなか厳しい状況にあるので,広告収入が黒字になった部分を地域に還元するということで,販売店にもお支払いして,とんとんぐらいでどうにか1万3,000部,2か月に1回配付できている,そういう状況です。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 ほかにございませんか。では,ちょっと私の方から一つだけ。
 宮城さん,相談から生まれた事業ってありますよね。教育相談というのはよく聞くんですけれども,公民館における相談の機能というのは,具体的にどう考えればいいかなと。非常に面白い試みだと思うんですよ。ここで言いますと,何かコーディネーターの役割なのか,悩みを相談して解決させるのか。普通,教育相談とかというのは,いろいろな課題とか悩みを聞いて解消するという狙いがありますけれども,公民館における相談から生まれた事業というのが非常に興味深いんですが,どういう相談を受けて,それは広報で相談を募るのか,ネットで頂くのか,まずその辺のことからちょっと知りたいんですけれども。

【宮城委員】
 そうですね。基本的にオープンで,いつでも相談に来てくださいという思いは持っているんですけども,積極的に仕組み化して発信しているということはないです。何かあったら来てくださいという姿勢は広報とかで流すことはあっても,こんな相談窓口がありますというのは言っていません。
 ですが,やっぱり何か若狭公民館の活動に触発されて,私もこんなことしたい,こんなことできるんじゃないかな,誰かのためにこういうこと,自分の専門性を生かしてこんなことができたらいいなと思う方が,やりたいという思いで募集していなくても来られるというか,そういうことがあって,例えば普通にフラを習いたいんだけれど,サークルありますかとか,ほかの公民館ってどんな活動していますかという,そういう相談ももちろん来て,それにも対応しているんですが,それだけではなくて,自分が受ける側ではなくて,誰かのために何かをしたいと思っている人は世の中たくさんいるなというのを最近感じていて,そういう方がそれを実現するにはどうしたらいいですかということで来られることも多いです。
 例えば学生団体が,学生で全然ノウハウもないんだけれども,何となくこんな試みをやってみたいと相談に来られるとか,実際に相談に来て,若狭公民館じゃなくて別の公民館でやった方がいいんじゃないかとか,そういうことも紹介したりします。でも,紹介しても,受け切れなくて戻ってくることもあります。公民館だけではなくて,何か助成金であったり,世の中にいろんな支援がありますので,私たちが持っているもの,行政の機関であれ,そういうものは紹介して,何かやりたいと思っている人ができるようにどうしたらいいかなということを話を聞きながらちょっと提案したりということをしていると,それが少しずつ広がっているという感じでしょうか。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 まだまだあると思いますけれども,ちょっと先に進みたいと思います。
 それでは,引き続きまして,丑田様,お願いいたします。

【丑田氏】
 御紹介に与りました,ハバタクの丑田と申します。よろしくお願いいたします。
 秋田県の五城目町という人口1万人弱の中山間地域にふだん暮らしておりまして,そちらでの活動を中心にお話しさせてください。
 簡単に自己紹介ですが,大学時代に東京の千代田区神田の公共施設を民間で賃貸借して,起業家やNPO,社会,地域活動を行う人が集うコワーキングシェアオフィスを作るという,ちよだプラットフォームスクエアというところの創業に携わりまして,その後,日本IBMというテクノロジーの会社でグローバル戦略の仕事を4年ほどしまして,2010年にハバタクという教育,学びを扱う会社を創業して,今,10期目という形です。
 この会社は,簡単に紹介しますと,新しい学びのクリエイティブ集団と名乗っていまして,多様性や創造性に富んだ,共創的な,共に創る学びの環境を日本の地域社会や教育環境の中にいかに取り入れていくかということをビジョンに活動してきました。
 学びといっても,生涯学習も正にそうだと思いますが,本当に様々な領域に学びという領域はまたがってくると思っておりまして,例えばやっている活動の一例ですと,グローカル・リーダーシップ教育という形で,全国の高校や大学を中心とした教育機関を世界に開いていくという取組として,高校生の海外修学旅行のプロデュース,又はICTを活用した英語学習のプラットフォーム作りなどを学校向けに提供しているほか,右側の方は,不動産ディベロッパーさんと暮らし,住まいの中にも,ふだん家で過ごしている時間って非常に長いと思います。皆様も私もそうですけれども,その時間に子供たちや大人がもっともっと学びを生み出していけるような,そういった住まいの空間をどう創り得るかという新しい住まいの在り方と学びということを掛け合わせたマンション開発を行ったり,はたまた,東京の神田という下町のもともと酒屋さんのビルを改修して,様々な地域の方々が東京に来たときに交流して,刺激をし合いながら,地域に新しい商いを生んでいくような起業家たちが育つ拠点を東京に商業施設としてオープンしていたりという,そんな活動をしてきた会社です。
 本日は,秋田の五城目町で行っている活動として,地域を広義の学びで醸していく,といったビジョンで2014年から活動して,今5年目となる取組について報告させていただきたいと思います。
 学び続ける地域社会の共創に向けた様々なプロジェクト群を同時多発的に進めていくことで,「世界一,子どもが育つまち」というふうに,自分たちが誇れるような地域になっていくんじゃないかと,そういった思いでやっている様々なプロジェクトを紹介してまいります。
 こちらが五城目町の中心地の風景です。観光地ではないんですけれども,本当に豊かな里山の暮らしや風景が残っている,そんな町です。いわゆる普通の町という感じです。
 活動として,地域の次世代が育つ環境作り,まず一つ目として行っています,町では小学校の統廃合がこの10年の間に非常に進んで,5個あった小学校が今は町で1校になっております。五城目小学校が町で唯一の学校になっておりますが,こちらの小学校と,そして,県内の大学,秋田には国際教養大学という約30か国地域から留学生が集う大学が秋田市にあるんですが,このようなグローバルな大学,そして,地域の様々な職人さんや農家さんや起業家たちと連携したような学習環境を作っていこうということで,総合学習の年間の授業として,五城目で世界一周という授業を5年前から行っております。国際教養大学の十数か国の留学生が毎回,一,二か国ずつ学校にやって参りまして,子供たちと自分の地域について意見を交わしたり,対話するような流れを前半の春学期に行っていき,外を知ることで,今度は地域の中のことを探求していこうという気持ちが子供たちに徐々に芽生えてきて,地域の様々な方々に子供たちがフィールドワーク,町歩きをしたりとか,訪問したりすることで,地域を学んで,最後に国際教養大学にバスを使ってみんなで行って,この五城目町という地域について世界の様々な学生に報告していくといった年間のプログラムを毎年行っております。
 こういった流れの中で,今,町で唯一の五城目小学校の校舎,築年数も非常に古くて,土砂災害地域に指定されている場所に立っているということもあって,早急に建て替えをしたいという流れが町でありまして,この小学校の新校舎を建築するときに,地域の住民たちが,そして,子供たちも含めて,様々な住民たちが参加しながら,未来の小学校を建設していく,建てる前からどんな学校にしたいかということを様々な方々をワークショップ形式等々で巻き込みながら,学校を共創していくといったプログラムを2年前から町と一緒になって進めております。住民参加のワークショップや展示会,子供たちのアイデアなどを様々な機会を設けながら集めていって,そして,出てきたコンセプトが,「越える学校」です。それを受けてちょうど今月,小学校の建設が始まったタイミングです。
 どんなことが意見として多く出たかと申し上げますと,小学校が1万人の町で中心市街地に1校になったことで,今まで小学校というのは地域のコミュニティ,集落のコミュニティのハブというか,つなぎ役になっていた要素は非常に大きかったんじゃないかなと思います。それは,学校にある意味用がなくても,その地域の人たちが運動会を応援しに行ったりとか,ちょっと子供たちを見守ってくれたりする中でつながりをより豊かにしていくような,そういった機能があった学校が町の中心部に統合されることで,お子さんがいる親御さんだったり御家庭は,学校にもちろん用があって関わりますけれども,遠くの集落のおじいちゃんやおばあちゃん,お子さんがいない御家庭にとっては,小学校が非常に遠いものになっていくという現象がこの数年間,非常に顕著になってきたんじゃないかなと。そういう方々もワークショップにたくさん参加してくださっていまして,もちろん自分たちも学校に遊びに行きたいとか,関わりたいという思いを持ってくださっている方は非常に多いですし,何なら用がなくても学校に行きたいという,生きがいとしてというか,自分も小学生みたいに学びたいというような,そんな思いを持っている方も非常にたくさん地域にはいらっしゃいます。
 この資料の左下に,「越える」を軸としたエリアの再定義と書いてございますが,もともと生涯学習のエリアとして,体育館であったり,屋内温水プール,図書室があるエリアに隣接する形で小学校を建設しようとなりました。そして,一番真ん中の赤い円に「生涯小学校エリア」と書いてございますが,先ほどお話ししたように,生涯,何歳になっても小学生の頃の気持ちで学び続けるぞと,そういう意思を込めた,どんな町民もここにふらっと立ち寄ってもいいよと,そういったエリアを学校のど真ん中に置いてみようじゃないかということになっていったんですね。
 このエリアには地域図書室,そして学童等が入っている多目的棟。そして五小パークという,いわゆる公園エリアがありまして,例えば,地域の図書室と子供たちのお昼休みや放課後に行く図書室が重なることで,子供たちが本を読みに来ると地域のおじいちゃんが本を読んでいたりとか,ちょっとおしゃべりしてきたりして,そこで学校の教育プログラムの,教室の中ではなかなか出会えなかったような地域の大人と偶発的に出会ったり,若しくは,そこにいるおじいちゃんが,もしかしたら午後の学校の授業にそのまま引っ張り込んでいかれて,いろんなことを教えてくださったりとか,そういった揺らぎを小学校の中にどんどん受け入れていこうよと,そういった意思も込めて,生涯小学校というエリアを真ん中に置くということになっていきました。
 このエリアがあることで学校と地域が溶け合っていく。そうすることで地域の商店街であったりとか,地域の里山,目の前に自然公園があるんですけど,そういったところも,校庭として活用していけるかもしれませんし,校舎の枠を越えて,様々な境界を越えていくような小学校を作っていきたいんだという声を取り入れた学校建設を今,行っております。来年の秋に完成しまして,小学生たちがその校舎に移ってくる予定になっております。教育移住,Uターンで戻ってこられる方にも,こういう新しい小学校が建つこと,非常にユニークな,チャレンジングな試みをしている学校があるという認知が広がっていくことで,移住・定住というような課題にも教育が絡んでいくことができるんじゃないかなとも思っています。
 ちょっと視点を変えて,広義で学びを捉えていきたいと思いますが,地域の学びの環境,学習環境を捉えたときに,地域の中に深く入っていくという,中で考えていくことも非常に大事だとは思うんですが,テクノロジーが非常に発展してきた時代に,住まい方も,二拠点居住であったりとか,教育留学だったりとか,様々なスタイルが今,当たり前のものになりつつある時代に,地域の枠を越えて,地域の外に住んでいる方も,その地域の共同体の中に適度に受け入れたり,お互いが学びあったりするような,そういった環境って非常に大事なんじゃないかなと考えておりまして,その事例の一つとして,「シェアビレッジ」というプロジェクトを紹介したいと思います。
 この写真の茅葺(かやぶ)きの古民家,解体予定だった非常に立派な古民家がありまして,こちらの古民家を仮想の村に見立てて,年貢という名の年会費を納めて村民になりませんかと全国の方々に声を掛けたところ,「村民になりたい」,「年貢を納めたい」と言ってくださった方が,今,2,300人ぐらい,全国47都道府県にいまして,いわゆる住民,自分が住んでいる地域を越えて,この村という仮想のコミュニティに参画していくと。それによって都会と田舎がどっちの方が豊かであるとか,どっちの方が格好いいみたいな,二項対立を越えてお互いがお互いの豊かさを享受したり,学び合っていける新しいコミュニティ像を,デジタルテクノロジーも活用しながら作っていけるのではないかということを,民間事業としてやっています。
 例えば,右の写真,地域のおばあちゃんたち,子供まで団らんしていらっしゃいます。村民になった人たちは第二の田舎として,この古民家に里帰りという形で泊まりに来ていらっしゃるんですけれども,そういった方々が,観光では味わえないような地域のコミュニティ,共同体に,適度に参画するような関係性を生み出していくということをしています。例えば,茅葺(かやぶ)きの屋根をふき替えるって,昔は地域の集落の中での贈与経済で,助け合って,「今年は佐藤さん家の北面の屋根をやろう」と言っていたところを,家が減って人口も減って高齢化してきたことで,なかなか地域に住んでいる方々でできなくなってきているところを,泊まりにきた村民が屋根をふき替える作業を地域の方々と一緒に手伝っていったりとか,若い人がいなくなってお祭りがなくなってしまったところを,外から来た人が一緒にもり立てることで,もう一度地域の小さなお祭りを復活させていこうとか,そういった地域の中で閉じていたコミュニティを少し開くことで,新しい共同体,地域活動,そして学びの創発が起きていくのではないかといったことを意図したプロジェクトです。
 より教育に近い観点でいうと,秋田県は教育県というスローガン,思いで非常に頑張っている県だと思いますが,こういった秋田の教育環境をもっと秋田の外側にもシェアしていくことが,もしかしたら秋田に住んでいる子供たちや大人にとっても学びを増幅させる環境作りになるのではないかということで,様々な取組が行われています。左側は教育シェア宣言。これは秋田の教育環境を世界にお裾分けしようというスローガンで,新しい教育ビジネスやNPO的活動を秋田から作っていきませんかという,県のビジネスプランコンテストのスローガンとして行ったものです。右側の方は秋田の教育留学でして,数年前から秋田県の生涯学習課が行ってきた取組なんですが,例えば,首都圏のお子さんが秋田の小学校に1日から1年までオーダーメードで入学できるという仕組みで,毎年10人程度の子供たちが秋田の小学校に入学して通っています。この取組はまだまだ認知が広がっているとはいえなくて,不登校のお子さんが自然豊かな場所で学ぶという文脈で取り上げられることも多いんですけれども,実はこういった学びの多拠点化であったり,学びの遊動化という視点は,そういった狭義の対象層だけではなくて,より多くの人に開かれるポテンシャルを秘めているのではないかなと思います。五城目町では,たまたま事例として,アメリカのニューヨークに住んでいる御家族で,奥さんが五城目出身で旦那さんがアメリカ人なんですが,ふだんはニューヨークの大都会でふだん育てているものの,子供のアイデンティティーを形成する環境として,日本の里山で育ってほしいという思いもあるということで,毎年夏頃に五城目小学校に入学しに来るんです。9か月アメリカの小学校,3か月は五城目の小学校で。毎年来るものですから,子供たちも仲良くなって,英語でしゃべったりとか,アメリカの話を聞いたりということで,地域の子供たちも外から多様な人が来ることで学び合いが勝手に,自然発生的に起きていくという,そういったことってもっともっと起きてき得るのではないかということで,この教育留学というものがより幅広い子供たちに提供できるような仕掛けを進めていけたらいいんじゃないかなという話を最近はさせていただいたりしています。都会から田舎に来るだけではなく,例えば,田舎の私の子供が東京の小学校に武者修行に行くとか,そんなこともこれからあってもいいんじゃないかなと。沖縄にも行かせたらとてもうれしいなと思いますが,雪国も沖縄の子に体験していただくとか,そういった流れが進んでいけばと思いますし,インフラとして,例えば,教育民泊みたいな形で首都圏のお子さんを田舎の御家庭が受け入れて,その受入れ費用も一定基準を作ることで,自治体が寮を設置していなくても,秋田中で子供たちを受け入れていく体制を構築することができるんじゃないかなと,そんなことも今,話し合っております。
 子供だけではなくて大人たちももちろん学び続けようよという時代になってきていると思います。五城目町では小学校の廃校舎を活用して,新しい仕事を生み出していく挑戦者に向けたレンタルオフィス,シェアオフィスとして,2013年の冬から開放を始めています。地域の今までの雇用創出,仕事の生み出し方というのは,比較的外発性が高いものが多くて,大きな工場を誘致してくるとか,何か特定の産業を誘致して,雇用を100人作るということが非常に多かったんですけれども,これからの働き方として,一つの要素で雇用を作るというのは地域の生態系が画一的になってしまったり,テクノロジーの進化,グローバル化で一気に撤退したときに,その100人の雇用がなくなってしまうということがままあるのではないかなと。そういったときに,小さくても新しいチャレンジを地域に根ざして,地域の土着な暮らしをベースにしながらアドベンチャーを生み出していく,そういう土着なベンチャーをもっと増やしていこうよと。1人,2人の会社が成長して5人になったり10人になったり,そういった会社が10社いると雇用は100人ぐらいになるんですよね。うまくいかない会社ももちろん出てくるんですが,再チャレンジしたり,ほかの会社がその受皿になっていったりと,しなやかさが出てくると考えて,そういった多様な仕事が内発的に生まれる場,そのための学びの場というのも積極的にこの町は提供しています。今,20社ほど新しい会社がこの施設をきっかけに生まれています。
 その中の一つとして,教育を地域から変えていこうという取組をやっている会社もあります。G-experienceという会社で,大阪でお子さんが所謂不登校だったんですが,五城目町に引っ越してきたときに,地域のつながりが非常に豊かで,そして小さな町ということもあって,学校の先生や教育委員会も親身になって相談に乗ってくださると。そういった環境の中で,不登校の「不」というのが,何とか学校に戻そうという意味合いを含む側面もあると思うのですが,やっぱり合わない子というのは,その子に合った学びの在り方があるのではないかと。不登校44万人の衝撃というNHKでも放映された番組がありましたけれども,今の教育環境になかなか合わない子供も一定数いて,そういった子供たちが,どうしたら一人一人の興味関心を生かす学びの在り方を作れるかというところを,学校教育と,地域の教育と,家庭教育がハイブリッドに合わさって,一番その子に合った学びの在り方を作ろうという取組をやっていらっしゃいます。そういった親子向けのオンラインのサロンを作って,月額の定額でそういった知見をシェアしていくということをやっています。彼らの取り組みの記事はYahoo!トップに載ったんですが,一時期大炎上しました。学校に行かせないというのは親のエゴじゃないかと。やっぱりそういう声ももちろんありますし,なかなか難しいところもあるかもしれませんが,多様な子供たちの学びの場を地域から発明していくことはもっともっとされたらいいんじゃないかなと思っています。
 地域に根ざした仕事が育つ環境作りといたしまして,町には五城目朝市という500年以上続く生活市が残っていまして,この市も高齢化で店舗が非常に減ってきていると。この市を若い人たちを中心に,もちろん心が若ければ100歳でも200歳でもオーケーだと思いますが,そういった人たちが新しい商いをここで生み出していくようなチャレンジの場にアップデートしていけないかと町の女性たちが動き始めました。月1回ほど日曜日に当たる朝市の日がありまして,その日に「朝市plus+」という形でPRし,出展ハードルを下げることで,例えば,将来カフェをやりたいとか,雑貨を売ってみたいという,新しい取組が生まれる市場として朝市をアップデートすることで,今,70店舗ぐらいお店が出るようになってきて,3,000人ぐらい,町内外の人が来るようになってきました。こういった環境を作ることで,結果的に自然発生的に新しいお店ができたりとか,新しい地域活動が生まれたりし始めています。そういった取組が,自発的,内発的に起きていく環境をどう作るかというのも生涯学習の一つのテーマなんじゃないかと思います。
 最後の事例として,遊びがもっとあふれる環境を作っていけないかと。学びというと結構真面目になり過ぎてしまって,やっぱり地域の中でも,ちょっと真面目そうな人とか,意識が高い人しか来なかったりということがままあるんじゃないかなと。一方で遊びというのは,子供たちに「おまえ何でそんな遊びしてるんだ」と言っても,余り理由もない,目的もないし,言語で説明することもないというのが遊びの強烈なパワーじゃないかなと。遊びから結果的に学びにつながっていったりとか,遊びから新しい仕事が生まれていく,そういう時代にこれからなっていくのではないかなと思っています。この朝市商店街にある空き物件を,地域の五,六十人の親子で改修して,「ただの遊び場」,ただで誰でも来られて,何のとりとめもないただの場所ですという意味を込めて, 2年前にオープンしました。ここでは学校でも家でもできない,ちょっと危険な遊びもできたり。また,統廃合で子供たちがスクールバス登校も多くなってきたことから,放課後家に帰ると集落に点々と落とされていって,昔はいろんな学年の子供たちが集落にいたんですけど,今は集落ごとに1人とかになってしまったときに,山に1人で行ってきますというのはちょっと怖いと。そうしたらiPhoneを置いておいて,ちょっとYouTubeでも見ておけということもいい悪いは別として増えてきているのは事実で,そういったときに,こういったサードプレイスが学校から徒歩で行ける場所にあることで,それも民間の活動として,少しグレーな遊びも含めて,地域の見守りの中で許容していくような場があると,子供たちが遊び心を忘れずに多様な学年や多様な地域の方々と出会えるような,そういった学習環境ができるのではないかと。これは非営利な活動として,「あそび場」の作り方をオープンソースで無料で公開することで,いろんな地域が自分の町の遊休不動産を遊ばせていく流れを作ろうと思っています。子供たちや大人までが遊び続けられる環境がそこら中に生まれていくという,遊びのプラットフォームになることを期待して今,育てております。
 最後です。「遊び学び続ける地域社会」と僕らはスローガンで呼んでおります。学びといっても様々な切り口があり,まずは次世代が育つ学びの環境。そして,大人たちが新しい働き方を生んでいくような学びの環境。朝市にも見られたような地域の暮らしの中で人が自然と学べるような環境。そして,シェアビレッジのような地域の外とつながっていく,ローカルとローカルがトランスローカルにつながっていくことで学びが起きていくような環境。更に全ての土台として遊びが生まれていく環境。こういったことを多面的に捉えながら,地域の,本当に0歳から100歳まで遊び学び続けられるような社会生態系をデザインしていく,そんな取組を目指して活動しております。
 残りの資料は補足資料なので,これで終わらせていただきます。ありがとうございます。

【明石分科会長】
 丑田様,ありがとうございました。
 では,質問に移りたいと思いまして,まず山本委員。次に髙倉委員。

【山本(健)委員】
 ありがとうございました。非常にスケールの大きいというか,地域という舞台で,大きな事業展開であるとともに,その根底にはいろんな方々の学びというか,参加と学びがあるように感じたんですけれども,越えるというキーワードがあったんですけれども,いろんな新しいものに対して,ワークショップなどでいろんな方が参加されているので,葛藤とか対立もあるのではないかと思うんです。それを恐らく越えるということで,お互いに越えながら新しい学びに到達することによって作り出されてきたんじゃないかと思うんですけれども,そういう葛藤や対立のエピソードとか,それを乗り越えた経験等があれば,ちょっと教えていただけませんか。

【丑田氏】
 ありがとうございます。本当にそれぞれのプロジェクトにドラマが3時間ずつぐらいあるんですけれども,要所要所いきますと,例えば,やはり小学校,公共施設って本当にいろんな意見がありますので,まずどこに建てるかというところでとても割れていました。中学校は町の中心部から少し歩いた所にあるんですが,中学校と隣接することで小中がもっと連携できる学校にした方がいいんじゃないかというところと,町の中心地の近くにある生涯学習,社会教育エリアに隣接させることで,もっと地域に開いた学校にできるんじゃないかというところで,結構そこはやはり議論になって,最終的にもちろん納得していない方も多くいらっしゃると思いますけれども,地域に開いた学校にしていこうというふうに場所が決まっていったりとか,ワークショップの中での激しい議論もかなりありましたし,全てをかなえることはできないかもしれないですが,何とか最善の手を打っていこうという流れを,町の教育長もリーダーシップをとりながらやられているかなということがあります。
 そして,ハイブリッドスクーリングのような,いわゆる学校に行かない学びも認めようよというのは,やはり物議を醸すところがありまして,本当にいいんですかという声を上げる地域の方ももちろんいらっしゃったんじゃないかなと思いますけれども,やはり小さなコミュニティの中でしっかりと対話をしていくことができれば,その子供や家庭にとって一番いい形を共に模索していきながら,次第に共感の輪が広がっていくのではないかと思います。地道に積み重ねをしていくことが大事なんだと思いますが,何とか大きなトラブルには至らずに,多様性を認める文化が育ってきているのではないかなとは感じています。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。では,髙倉委員。

【髙倉委員】
 各地域では,少子化や超高齢化,労働力不足等の問題があり,いかに持続可能な社会を確保していくかが非常に重要であります。そうした中で,地域の活性化に向け今回,沖縄と秋田の非常に先進的な例を聞かせていただき大変勉強になりました。
 そこでお聞きしたいのは,丑田さんの話の中で,廃校オフィスを活用し地域に根差したベンチャーを誘致していく取り組みについてですが。具体的にどのような形で誘致をされているのか,地元の企業と連携をされているのか,などをお伺いしたい。
 また,我々労働組合の連合も,地方組織があり,学び方や働き方をキーワードに,地域フォーラムという枠組みを活用した取り組みを行っています。様々な面で連携が取れることもあるかと思いますので紹介させていただきます。
 具体的には,経営者団体や行政機関,大学教員や地方議会議員,一般の方々などと地域課題の解決や地域活性化に向けた社会対話の機会を設けています。例えば,今年の取り組みで,連合愛知での中小企業の活性化をきっかけに地域を元気にする活動や,連合三重では全ての人が働きやすい職場環境作りについてのフォーラムを開催いたしました。
 また,前回の分科会で議題になりましたが,連合兵庫では外国人労働者との共生についての意見交換を行っています。加えて連合では,これまで職場や地域で取り組んできた,支え合い・助け合い運動の見える化,情報共有,参加促進を図るため,新たに「ゆにふぁん」という仕組みを構築いたしました。地域の労働組合やNGO,NPOなどが行っている支え合い・助け合いの活動への参加や支援を促し,労働組合,ユニオンのファンを作っていこうということで「ゆにふぁん」と命名し,活動を進めています。
 連合も,今年で結成30周年となりました。今年の秋には連合のウェブサイトに新たなプラットフォームを開設いたします。このプラットフォームは,全国各地で取り組んでいる活動事例を掲載することにより,関心を持った活動に直接参加,支援できるようにするものです。ボランティアの参加や物品提供のほかに,個人の意思による資金支援の形としてクラウドファンディングなども活用しています。関さんの意見書にもありましたが,我々労働組合も,様々な活動があります。その相乗効果を高めていく活動が必要じゃないかと思っています。しっかり連携を取れるよう,文科省との情報交換等の仕組みを充実していただきたいと思います。

【丑田氏】
 ありがとうございます。廃校のオフィスの話を回答させていただきますと,2013年の冬にできて,初期の入居者が弊社ハバタク,東京の千代田区から新しく事業所を作るという形で入居したのと,もう一社は製造業で,プラスチックの金型を作っている製造業で起業した方。そして,秋田市から,もうちょっと自然豊かな場所で仕事をしてみたいというITの会社と,3社が入居しました。このバランスが比較的よくて,この広い校舎に3社だと結構冬も寒くてさみしいので,みんな生き延びるために勝手に仲間を増やそうと努力し始めるんです。なので私も町に家賃を払って,お金を受け取っているわけではないんですけど,それぞれが勝手にPRをするんです。とてもいい場所がありますよと。自然の中の場所で働くと創造性も高まりますよとか。地域のいろいろな遊休資産,山であったり,田畑であったり,空き家だったりとか,若しくは地域の時間軸と歴史や文化というのも新しい事業を生み出す価値の源泉になっていくと思いますので,そういった田舎だからこそ生み出せる新しい価値の生み出し方,事業の生み出し方,そしてテクノロジーも活用した遊動的なワークスタイル,ライフスタイルというのがもっと増えていくんじゃないかというところをそれぞれが発信していくことで,徐々に外から移住して,この町でチャレンジしてみたいという方だったりとか,町の中で新しいチャレンジをしたいんだけど,ちょっと相談に乗ってもらえないかという方が迷い込んでいらっしゃったりとか。町に住みながら秋田市に通って仕事をしていた方がいらっしゃったんですが,その方も地元でこれだけ頑張っている人たちがいるんだったら自分も負けてられないなということで,秋田市から地元のこのオフィスに,デザインやウェブサイトを作る会社を移してきて,新しいことをしたいというのが徐々に芽生えていったんです。
 そこに更に上乗せされる形で,先ほどのシェアビレッジのような取組で,今まで町に御縁がなかった人が町に遊びに来るようになったりとか,若しくは教育留学のような取組の中で親子で町に滞在したときに,ここで子育てするのはいいかもなと。お父さんは東京の企業で勤めていらっしゃったりはするんですけど,こっちで暮らすためには仕事を作らねばということで,新しいチャレンジを始められたりと。若しくは東京の会社と行き来しながら2拠点で仕事を生み出していって,そういった方々が徐々に徐々に蓄積することで,急進的ではなくてゆっくりぽつぽつと会社が増えて,ここで生まれた会社が20社ぐらいになっていったと。そんな形に今なっているかなと思います。

【明石分科会長】
 菊川さん。

【菊川副分科会長】
 遊び学び続ける時代というのは本当にそうだなと思いながらお聞きしました。実務的な観点で2点です。越える学校という中に生涯学習エリアというのと,生涯小学校エリアというのがあるのですけれども,この二つのエリアのコンセプトの違いは何かをお尋ねしたいのが1点です。
 それから,とてもすばらしい活動だと思うのですが,これは会社としてやっているのか,それともプラスNPOとしてもやっているのかとか,あるいは,こういう形の採算性はどうかなど教えていただければと思います。

【丑田氏】
 ありがとうございます。
 生涯小学校のエリアに関しましては,もちろん生涯学習の要素も含めまして,小学校の要素も含んではおるんですけれども,この二つの要素が混ざり合うような結節点,溶け合う交差点という位置付けで,生涯という言葉と小学校という言葉を合わせて真ん中に置いている形です。なので,きっぱりとこれはこっちでしかできないというものはないとは思ってはいるんですけれども,生涯,子供たちのような気持ちで学び続けていこうよといった思いも込めてこういった名前にしていると。その中に地域図書室があったりとか,公園があったりするという,そんな位置付けでございます。
 生涯学習エリアには既存の生涯学習センターであったりとか,あと図書室の機能は,この生涯小学校エリアに移転して,真ん中に置くことにはなっているんですけれども,プールや地域の体育館が既存のエリアにはありまして,もちろんここも学校とつながっていますし,逆に学校の教室や体育館も,場合によっては地域の行事に町民の希望があれば開いていくというような,そういったつながりをどんどん生んでいくエリアとして真ん中に置いているというような位置付けでございます。
 二つ目が,ハバタクは株式会社でして,民間の資本でやっている会社でございますが,これからの時代,組織形態でNPOだからこうとか,株式会社だから,社団だからというのが徐々に解けていく時代になっていくんじゃないかなと思っていまして。ハバタクという会社自体は,基本的には教育をもっとよくしていく,豊かにしていくために存在する会社ですので,not for profitではあるんですけど,ちゃんと事業としては稼ぎが出て,新しい事業に再投資できるような利益がどれだけ捻出できるかという,ビジネスモデルやビジネススキームはかなり必死に作っています。
 例えば,シェアビレッジという事業は年貢という会費を頂いたりとか,宿泊交流のお金を頂いたりとか,地域のおばあちゃんたちが郷土料理作りをしてくださるような有料の体験プログラムがあったりという形で,より多くの人が地域に来れば来るほどちゃんとお金が回っていくような仕掛けになっていますので,事業としてはちゃんと黒字化しています。
 ただ,茅葺(かやぶ)き屋根を直すお金に利益を投入し続けているので,利益がぶっ飛んでいく,利益が屋根になっていくという状況になっていたり,小学校の建築のワークショップも企業としてしっかりとお金を頂きながら支援させていただくということもしております。ただのあそび場は非常に非営利性が高いプラットフォームでして,それ自体でものすごく儲かる事業かというとそうではなくて,地域のボランタリー経済の中から学びの環境,遊びの環境が豊かになっていくというところがフロントにはありますが,そういった遊びと学びをつなげていくという知見を持っている企業は,まだまだ日本の中には多くないと思っていまして,そういった知恵を弊社が国内外のプレイヤーに提供することで,表側のボランタリー経済と裏側のマネタリー経済をくっつけていくようなビジネススキームを作っていったりと,何とか持続的にお金が回って続けていける仕掛けや,それが様々な地域にスケールアウトして広がっていくような仕掛けをどうしたらもっと格納できるかというところは意識しながら,何とか楽しく生きています。

【菊川副分科会長】
 ありがとうございました。

【明石分科会長】
 では,清原委員。

【清原副分科会長】
 丑田さん,ありがとうございます。
 まず,本日の課題が「地域課題の解決に取り組む民間団体や人材の活躍・連携について」なんですが,まず,丑田さんが,霞が関,丸の内,大手町,そして,秋葉原,神田などがある千代田区でお仕事をされていたのに,五城目町に移られて,正に今,地域課題解決の人材として活躍されたきっかけというか,それはどういうことだったのかなということを端的に教えていただければというのが1点目です。
 2点目に,実は私は三鷹市長をしておりましたときに,NPO法人三鷹ネットワーク大学推進機構の理事長に国際教養大学の鈴木典比古先生にお願いして就任をしていただいているんですね。国際教養大学は,三鷹市とは遠隔です。でも,佐竹知事の御理解も頂いて連携をしているんですね。
 そこで,今回の課題の一つに,「大学や専門学校等と地域との連携」というのもありまして,丑田さんが取り組まれる中で,秋田が誇る国際教養大学と五城目町の児童生徒との連携などで,大学が貢献する可能性,とりわけ留学生の日本での貢献という視点から工夫されていることや,あるいはそんなに苦労なく,同じ秋田県ですからやれますよということでもいいんですが,他の地域にヒントになる御提案を頂ければと思います。
 最後に3点目なんですけれども,小学校の建て替えというのは極めて重要な地域課題だったと思います。従来は教育委員会が町と一緒に,それなりにアンケートぐらい取って建て替えればよかったかもしれませんが,今回は住民参加方式でされたということです。東京の三鷹市でも,実は複数の小中学校を建て替えるときに,必ず児童参加,住民参加で取り組んできましたが,五城目町において,この小学校の建て替えが果たす地域の凝集性とかアイデンティティーだとか,町民意識の向上だとか,あるいはこの小学校をよりよくすることで,外からの留学生も増やすまちおこしの効果もあったのではないかなと思いまして,この小学校が実は社会教育,生涯学習の現場にこれからこそなっていくとも思いましたので,その辺の地域課題解決における教育課題との兼ね合いとか,見通しとか,未来への展望だとか,お話しいただければと。
 欲張ってごめんなさい。3点,よろしくお願いします。

【丑田氏】
 ありがとうございます。1点目は,端的に言うと,実は千代田区と五城目町は姉妹都市なんです。30周年記念でこの間,式典が行われまして,子供たちの児童交流が毎年ずっと行われてきています。その縁が一番大きくて,私も2004年からちよだプラットフォームスクウェアというところの立ち上げで千代田区の神田でずっと活動しておりますが,その中に市町村サテライトオフィスという全国の地方自治体が一区画をシェアするブースを作っていまして,十数自治体の全国の名立たる自治体が入ってくださっているんですが,その中に姉妹都市の関係で五城目町も入ってきたと。私の妻が秋田市の人間でして,秋田に縁のある,ちょっとやんちゃな自治体が入ってきたよということで紹介していただいて,帰省しがてら寄って,日本酒をたらふく飲まされていたら,いつの間にか引っ越すことになっていたと,そんな感じでございます。
 もう一つが,これからの日本社会の変化というのは,縮小高齢化する時代の中で,どうサステナブルな社会をデザインしていくか,共創していくかということが大きな問いとしてあると思っていまして,この人類未到の問題提起や課題をいかに軽やかに解決していけるかというところは,恐らく世界中が注目していくイシューになっていくはずで,僕は日本のローカルとか田舎,地域社会というところが世界の中で最も先端的なチャレンジができる場になっていくんじゃないかなということを思っている。世界に出ていく学びと,日本の足元を掘っていくことで世界に突き抜けていく学びというのがクロスしていく時代になってきているんですけれども,もっともっとなっていくはずだと,そんなことで,秋田に住みながら活動しているという形です。
 大学と地域はもっともっと近付いたらいいなという思いは私もありまして,国際教養大学も本当にいろいろなチャレンジを模索されていらっしゃると思います。少しばかりサポートさせていただいているんですけれども,地域にどうしたらもっと関わりを深められるかというところに,サステナビリティであったり,新しいテクノロジーといったキーワードをしっかりと交えながら,本質的に地域が持続可能になっていくようなアウトプットを出せる学びの環境を,大学として秋田県の各地域と連携しながらできるかということを,今正に模索を始めています。
 ほかには,例えばAkita Age Labというチームが2年前にできたんですけれども,国際教養大学,東京大学のサステナビリティ学グローバルリーダー育成大学院プログラム,そして,国連大学のサステナビリティ高等研究所,そういった大学群や弊社も含め連携しながら,縮小高齢社会の持続可能性を見据えた新しい社会システムをいかに作っていくかということを,私たちのような企業と研究者の方々,研究者も日本だけではなくて,北欧であったり,アジアやアフリカであったり,様々な経済レイヤーの位置にいる研究者たちとコラボレーション,併走しながら研究や実装をしていくというような,研究と教育と実践を橋渡ししていく,組織というほど重たくはないんですけれども,ネットワーク型のコミュニティを作ったりしています。そういったふだんなかなか出会わなかったような人たちが共に大きなイシューに立ち向かっていくということを,大学のパワーやネットワークを生かしながら一気に推し進めていくということは非常にパワフルな可能性を秘めているんじゃないかなと思っています。
 最後の小学校に関しては本当におっしゃるとおりで,もちろん第一義には未来を担う子供たちがどんな学びを行っていくか,そういう環境を作れるかというところがまずコアですけれども,それに加えて,地域の様々な世代が交わったり学び続けるような環境を小学校の空間,エリアを軸にどう作っていくかということはとても大事だと思いますし,そういった町の教育環境が非常に豊かになってくると,結果的に移住者,定住者が増えていくと思いますし,五城目町でも実際に,教育環境が豊かであるということで引っ越してきた移住者だったりとか,町に住み続けたいという方が着実にいらっしゃる。学校ができると,町なかで子育て世帯が家を建てたいとか,今も五城目の町なかは結構建設ラッシュでして,子育て世帯の家がいっぱい建っているんですけれども,そういった住宅産業にも飛び火していくと思いますし,本当に多面的な効果というのを教育や学校というのは持っているはずです。そのポテンシャルをなるべく最大限引き伸ばすために,多様なステークホルダーや関係者,町の人たちが小学校作りに携われるようになったら,とてもすてきだなというふうに思いつつ,やっております。

【清原副分科会長】
 どうもありがとうございます。

【明石分科会長】
 あとは,質問は一つでお願いします。
 では,牛尾委員,澤野委員,それから萩原委員,横尾委員でお願いします。
 まず,牛尾委員から。

【牛尾委員】
 大変すばらしい事例を聞かせていただいて,住民の人たちにとっての生涯教育のみならず,地方創生という意味で,過疎化する地域の中で使われていないものを有効活用し,また,その土地ならではの強みを生かしてシェアしていくという考え方は大変意義があると思いました。また,あそび場の話では,ICT社会だからこそ求められる人のもつ創造性や想像力刺激し人と人との相互作用によって倍加していくような場を提供する,とても魅力的な取組であると思いました。
 お話にもさっきあったんですが,千代田区の都心部で行っていたまちづくりのノウハウやそこで培ったものは,秋田でも生かされたのでしょうか。千代田区では公共施設をまちづくりの拠点として活用していくというプロジェクトですよね。そこでの手法が地方においても生かされるものなのか,生かされないのだとしたら,どこが違い,どこが難しかったのかということ。あと,秋田の地域行政との関わり,ボランタリー経済で回しているというお話を伺いましたが,行政との関わりというのはどういうふうにされていたのか教えていただければと思います。

【丑田氏】
 ありがとうございます。
 東京の神田で行っていた活動のノウハウというか知見というのは非常に生きております。視点として,東京も田舎も,もちろん環境は違うんですけれども,東京って飽くまで抽象的な東京でしかなくて。例えば神田の錦町三丁目という地域でやっているんですけれども,町内会もちゃきちゃきの江戸っ子のおっちゃんたちがいらっしゃったりとか,神田祭も仕事もみんなそっちのけで全力でやったりという,ある意味,非常に田舎っぽい感じなんですよね。そういうふうに地域を切り取ると,同じ東京の中でも無数のローカルや無数の地域があって,コミュニティがあるというふうに捉えられるし,貨幣資本だけではなくて,地域の社会関係資本,ソーシャルキャピタルをどう高めていくかという取組が,結果的に神田錦町というエリアのチャレンジの総量を押し上げていったりするんですね。
 千代田プラットフォームスクウェアは今,400社弱ぐらい会社が入居していらっしゃいますが,育った会社が社員が増えて入り切らなくなると,地域の神田の空きビル,まだまだ当時はいっぱいありまして,その空きビルにどんどん出ていくんですね。そうすると,歩いていけるエリアに7棟ほどサテライト棟を作っているんですけれども,エリアに新しいチャレンジをする方々があふれ出ていったりとか交差していくという影響が自然発生的に起きていくと。誰かが完全にデザインやコントロールし切れないような領域だからこそ,多様性やしなやかさに富んだ産業構造,町のソーシャルキャピタルの高まりにつながっていくと,そういったことが神田で起きていたことだったんですね。
 これは実は田舎町でも,様々な環境は違えど,先ほどの廃校オフィスのような場所が新しいチャレンジをする人の集う場所,環境として生まれていったりとか,最近だと,廃校舎は町の中でも山の方にありまして,そこを卒業して町なかにテナントを構える会社が出てきたり,その空いた居室にまた新しい方が入っていったりというような変化が起きていったり,一部で起きていたチャレンジが町にあふれ出していったりというような,そういった作用が時間をかけながらゆっくりゆっくり起きていくというところに関して,非常に生きているなというふうに思いました。
 東京を活性化しようという人は余りいないんじゃないかなと思うんですが,それというのは,東京でチャレンジしたことが世界中が注目していたりとか,自分のチャレンジや問題提起がいろいろな都市であったり地球規模の課題に何らかの影響を与えるんじゃないかという,私はそれを課題の代表性というふうに呼んでいまして,小さなチャレンジかもしれないけれども,そのチャレンジが様々な地域であったり様々な都市に勇気を与えたりとか,いい影響を与えていくようなインパクトの広がりを見せていくというようなことが非常に大事だなと思いまして。秋田や五城目町も,自分の住んでいる地域にもっと人が増えたらいいなとか,地域をもっと活性化させたいという思いは,まず,誇りやプライドとして持ってはいつつも,五城目,秋田にもっと来てということだけでは,ある意味,秋田に興味がない人は関われなくなってしまうんですよね。出身者だったりとか,何らかの御縁,血縁がある方というのは乗っかりやすいんだけれども,それ以外の人はある意味排他し過ぎてしまうというところもあって,秋田という地域を大上段に置き過ぎないと。
 例えばシェアビレッジという取組でいうと,もちろん,五城目町の茅葺(かやぶ)き古民家を未来に残したかったんですけれども,こういった日本の消滅しそうになっている原風景や文化をどうしたら次世代に紡いでいけるのかというような問題提起であったりとか,若しくは東京と田舎という二項対立をもっと超えてお互いに学び合っていこうよというような問題提起というのは,恐らく五城目だけではなく,日本中の地域がきっと課題として抱えている代表性を持ったものなんじゃないかなと思っていて,そういった広がりがあるメッセージをしっかりとコアに出していくようにすることができると,活動のパワーが増幅していくんじゃないかなと思っています。
 最後,行政とのつながりでいいますと,持ちつ持たれつと言うとあれですけれども,基本的には民間企業ですので,ちゃんと自分たちで民間投資でお金を投資しながら,地域で持続的に事業を行って暮らしていけるようなことをまずベースとしてしっかりとやっていくというのが大前提ですし,その中で,公民連携で,例えば小学校を作ることをサポートさせていただくとか,小学校の授業をさせていただくというところは,行政の方々と膝を突き合わせて相談しながら,受発注の関係というよりは,一緒にどう作っていくかという関係性をかなり心掛けています。行政側も,お金がない自治体というとあれですけれども,余り補助金が豊かでもないし,物すごい起業を応援する制度がたくさんあるかというと,そうでもなかったりするんですが,小学校の廃校をそういったチャレンジの場にするという環境を作るとか,民間が全力投球できるような環境自体を行政が作って,その先にどんなビジネスが生まれていくかとか,どのぐらい大きくなっていくかというのは,その環境の中でチャレンジするプレーヤーたちに委ねていくというのが五城目町の行政のいいさじかげんなのかなと。なので,余りあめもあげ過ぎないというか,補助金で生殺しにしないというところは,見ていてすごく気持ちいいなという感じはありますし,私たちも行政に泣き付いて仕事を下さいというのは,うちの町は余りないですね。

【牛尾委員】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 では,澤野委員,お願いします。

【澤野委員】
 私も行政との関係のところが一番お聞きしたかったのですけれども。感想だけでも。
 秋田県といえば,1970年代に日本に先駆けて生涯教育の推進を始めた土壌なので,きょうのお話を聞いて,私などは,学力が高いのは学びの文化が浸透しているのが秘けつかなということも思っていたんですけれども,正にきょうのお話を聞いて,秋田県にはそういった50年ぐらいにわたる生涯学習の歴史の影響があると思いました。秋田県では生涯最初は生涯教育と言っていたと思うんですけれども,生涯学習という言葉の使い方も,この審議会の審議の中で,どうしても「生涯学習・社会教育」と必ずなっているのが実はちょっと気になっていまして,生涯学習イコール社会教育というふうに思っている方も多いと思うのですけれども,秋田県では学校教育の中でも生涯学習という言葉も使っているし,概念が浸透しているのかなと興味深く思いました。
 最後に資料的なところで,Learning by Beingというのがとても気になりました。生涯教育の概念を秋田県が推進したときは,Learning to Beというユネスコの,正に人間として生きるための学びが今後大事という概念がありましたので,ちょっとだけでもいいので,このキーワードについて教えていただきたいんですけれども,どういうふうに考えていらっしゃるか。

【丑田氏】
  Learning by Doing,覚えるとか享受するというだけではなくて,Doing,作りながら学ぶとか,動きながら,体験しながら学ぶということが,アクティブラーニングという流れも正にその一環だと思いますけれども,そういった言葉が教育の世界では割とメジャーになってきているなと。ただ,これからの学びの在り方は正に生涯学習的で,Learning by Being,教室を飛び出てストリートに出ていくというふうに言ったりもするんですけれども,自分の在り方であったり環境次第で全ての営みが学びになり得る。こうしてしゃべっていることもそうかもしれないし,遊んでいることもそうかもしれないし,旅をすることもそうかもしれないんだけれども,そういった全ての営みを学びに変換していくという回路と環境をどう作っていき得るかというところが,恐らく生涯学習という視点から切り込める,「Intel入ってる」じゃないですけれども,あらゆる領域にくっついていけるようなポテンシャルを秘めているんじゃないかなということで,本当に生涯学校はこれからの日本の次の100年を担う一番大事な領域じゃないかなと勝手に思ったりはしているという意味で,そういう造語を最近言うようにしているというところです。

【澤野委員】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 では,萩原さん。

【萩原委員】
 ありがとうございました。時間がないので,二つ聞きたい。一つは,学校の先生がどうようにこの動きを受けとめているかということと,もう一つ,全町民が入学ということですので,入学式と卒業式はどうなっているのかなというのを教えていただきたいと思います。遊びなので。お願いします。

【丑田氏】
 先生方は本当にいろいろな感情があるとは思いますが,ワークショップの中でも先生向けに行った回もあったり,若しくは町民向けの回に先生方や校長先生がいらっしゃって,一町民,肩書も超えて,一町民として参加してくださったりということも結構見られたなと。もちろん全ての先生が毎回いらっしゃるわけでは当然ないですけれども,そういった流れを見ていると,非常にうれしいなというか,できた後にどうなっていくかというところへのわくわく感というのがすごく出てきますし,先生がワークショップにいらっしゃると,子供たちの学びの環境だけではなくて,先生の働く環境をどうよくしていけるかという意見もおのずと出てきたりするんですよね。職員室の空間自体も,例えば最近の企業のワークスタイルはすごくクリエイティブな環境で働いている会社も多いと思いますが,職員室ももっとアップデートできるんじゃないかとか,もっと入りやすくなる,いろいろな人が,子供たちも親御さんも地域の人も先生ともっと日常で話し合えるような,開かれた職員室ってできるんだろうかとか,そういう議論が活発に交わされていたのはすごく印象的だったなと思います。
 二つ目,何でしたっけ,もう一度。

【萩原委員】
  入学式。

【丑田氏】
 そうでした。入学式はやる予定でして,まだ決まっていないんですけれども,学校の建設が無事終わって入学するというタイミングで,町民みんな1万人ぐらいわっと来たらいいなという思いはあるんですが,どうなるかは分かりません。地域図書室の図書の蔵書は町民が1冊ずつお勧めの本を持ってくるというのもいいんじゃないかという話は出ていて,そうすると,みんなコメントを書いてもらって,俺はこの本がとにかく好きなんだみたいなので,町民の顔がまた子供たちに見えてくる触媒になるんじゃないかなと思って,そういったいろいろな仕掛けは継続的にやっていくことになるんじゃないかなと思います。卒業はないかもしれないですね。死んでも卒業できないかもしれない。

【萩原委員】
 ありがとうございました。

【明石分科会長】
 では,横尾委員。

【横尾委員】
 もう時間がないので短くコメントします。地域おこしを以前やったこともありますし,今は政治家,首長として仕事をしています。その経験からの,個人的なアドバイスですが,是非,奥様に感謝した方がいいと思います。なぜならば,一般的にこういうコンサルティング的なことをやって地域に根付くというのはなかなか難しいところがあるものですけれども,多分,スピリットの部分で癒やしを感じていらっしゃると思うのですよ。それはお話にあったように奥様が秋田に根っこがあったということをさっきちらっと言われたんですけれども,それは結構大きいと思います。そういう意味からすると,Living by Beingじゃないかと思いますので,今後とも頑張ってください。
 以上です。

【丑田氏】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 丑田さん,本当に貴重な実践を説明いただきまして,ありがとうございました。
 では,あと35分ほどの時間が残っております。きょうの課題の「地域課題の解決に取り組む民間団体や人材の活躍・連携について」でございまして,民間団体や民間企業の取組は,沖縄とか秋田含めて見えてきました。それも踏まえながら,人材の活躍・連携ですよね。どういう人材を育成するかという方向性も含めて,各委員の方々から御意見を頂ければ。
 まず,その前に,関委員がレジュメを用意していただきましたので,これを口火として御説明いただければ。

【関委員】
 口火となるかどうか分からんですけれども,きょうの話を聞きながら,改めて若者,あるいはよそ者の活躍を受け入れる地域の力が大事なんだなというのを感じました。課題として,私の方でお手元にも示しておりますので,簡単に述べさせていただきます。
 一つは,これは今,いろいろなところで感じるんですけれども,総務省さん等が行っておるような地域運営組織的な動きと,従来,公民館が戦後にできてから取り組んできたもの,私は基本的にはかぶる部分が非常に多いと思うんですけれども,それが現場の方では全く別のものとして受け入れられてしまって,何かいい関係ができていない,そこが非常に問題ではないかなと思います。住民の側からしたら,当然一つのものであってしかるべきで,その辺をきちんと整理していくべきではないかなというのが1点目です。
 それと,今までの社会教育が行ってきた研修というものが,ともすれば学ぶことが目的化してしまって,そのことによって何を生み出していくか,その部分が非常に不明確であったのではないかなという気がいたします。とりわけ人材を育成するということで,バンク等も作ってきたわけでございますけれども,作っても活躍する場面がなく,いつの間にか,せっかく火が付いても消えてしまうような,そんな取組を繰り返してきて,逆に住民の方にも不信感が生まれてきていることがないかなと反省いたしております。
 それともう一点は,今までいろいろなプログラムを組み上げてきたんですけれども,本当に今の時代に合った,実証的なデータに基づいて,先ほど宮城さんの方から実証のアンケートの結果等も教えていただいたんですけれども,そういうものに取り組む自治体というのが,どちらかというと社会教育分野では少なかったのではないかという反省点を挙げたいなと思います。過去の情報にいつまでもすがって,思い込みの中で事業を打っても,なかなかみんなに響かない,そんなことが多いのではないかなと思います。
 その中で,行政として取り組むべき役割として2点挙げさせていただきました。一つは,今,いろいろなものを取り組んでおられます。それを行政の中できちんと交通整理するべきではないかなというのが1点でございます。
 そしてもう一つは,人材の育成のプログラム,今,社会教育士の養成等も新しい方向性が示されておりますけれども,そういった人材が地域の中できちんと活躍していけるような,そういうきちんとした筋道を示して,できればそこで開発したものを,市民とともに学びも深めていく役割を社会教育士等に担ってもらうような仕掛けまで行政は組み上げるべきではないかなと考えます。
 以上でございます。

【明石分科会長】
 非常に大事な課題3点と行政の役割2点をまとめていただきました。非常に具体的で分かりやすい課題提示だと思っております。
 ほかに何か意見がありましたら,お願いします。
 では,横尾委員。

【横尾委員】
 今のことに関する御意見じゃなくて,この課題検討についてでよろしいんですよね。

【明石分科会長】
 そうです。

【横尾委員】
 事前に頂いて,少しメモで文部科学省事務局には送ったところですけれども,そのことを踏まえて意見を述べたいと思っています。
 最後のページ,3ページに「以上を踏まえ」という記述がございますが,この中にポツで四つ書かれているんですね。一つは,時代の変化,人生100年時代の到来,Society 5.0の実現,また,健康長寿社会の到来,これは時代の変化とも言えるんですけれども,こういったことに対するよりよい施策をどうするかというふうな書きぶりがいいのではないかなというのは一つ感じているところです。
 そして,ここは4点なんですけれども,5点目に是非加えていただきたいことがあるので,今から意見を述べたいと思います。例えばお二人の御説明の中でもありましたように,場所を選ばずいろいろなところで知識を吸収し,自分なりに学んで,こうやったらいいなというプランがあれば実行できる世の中になってきているわけですね。そのときに必要な手立ては,以前だったらなかなか人も探しにくい,お金も探しにくいんですけれども,今はこの指とまれ方式をネット上でやると,かなり関心のある人はスペシャルインタレストで集まってくださいますし,資金が必要だったら,例えばクラウドファンディングをやればいいとか,いろいろな方法が出てきます。
 こういった可能性をできる若い人,学生,大学生,若手の社会人は仕事としても学びとしても既にやっていると思うんですが,生涯学習分科会でございますので,生涯学習ということを考えていくと,ゼロ歳は無理だとしても,幼少期の頃,就学前から就学をして卒業して,卒業後の大人になった後の社会人,あるいは全体のトーンで書かれているベストセラーの『ライフシフト』にある退職後の新たな人生,ひょっとしたらサード人生もあるかもしれませんが,そういった中に必要なのは,情報教育の恩恵を受けるICTのリテラシーだと思います。
 このことがとても重要だということで,最近,実は情報教育を推進するという法律が新しくできました。このことに基づいて,政府も学校におけるICT教育を小中高でより充実させようとされています。また,予算配分に向けましても非常に重要ということであります。実はきょうちょっと遅れた理由は二階幹事長にお会いして,国会議員の皆さんと一緒に与党総裁室で60人ぐらい人が入りまして,具体的に問題提起,意見も申し上げました。首長が7人いましたので,7人の侍と言ったら,いや,侍じゃないですねと言ったら,幹事長は侍だと言われましたが,そういった中で励ましを頂いて感じて,そういう一つの大きなトレンドがあります。そして,このICT教育の充実で,人々の能力,リテラシーを高めないと,社会として弱くなっていくし,そのことは,ひいては日本の国力を衰えさせていくんじゃないかなという危機感を持っています。そういう意味でも,単に学校時代の教育のみならず,大人になってからの学びも重要だと思います。
 なぜこのことを繰り返し言うかといいますと,例えば皆さん今,スマホを持っていますけれども,使いこなせる人は物すごくいっぱい情報を使えるんです。同じ電話料金,通信料金を払っているのに,使いこなせない人は十分使っていないんですね。もったいないです。画像を撮る,写真を撮る,それをリンクで張る,フェイスブック,SNSで共有する,LINEでつながる,コストはかけずに通信ができる,いろいろな方法があるんです。こういったこともどこかで年配の皆さんも含めて教えていかないともったいないと思うんですね。そういう意味でも,それを私は生涯学習分野で,たまにはそういうセミナーや講座や学びの場があっていいし,小学校でやってもいいしという感じがするのですね。
 ですから,新しく五つ目のポツに,「情報教育充実が加速する時代状況の中,就学前,就学,卒業,そしてその後の人生でも有益となる情報リテラシーの充実・育成,そして,学びの機会を確保する」ということを是非加えていただきたい。そういう知的インフラの上に生涯学習・社会教育のよりよい充実,そして,一人一人が企画をし,発信をし,仲間と一緒に,思いを一緒にする人とやれるということがあれたらいいと思っています。そして,そのときに大事だろうと思って共感するのはお金ではないと思います。もちろんお金も大事なんですけれども,思いは目的意識とか志だと思うので,そういうのを持てば,仮に小さなサークルでもやりがいがあるし,先ほどの動画で紹介があったように人が増えて,裸の1人目のばかが踊って,3人目ぐらいになるとトレンドが起こるというすてきなビデオも見ましたけれども,それも思いや志や夢の共有だと思うんですね。その基本としての情報の教育ということを是非,生涯学習分野でも扱っていただきたいと思っています。
 少し残念なことに,機構改革で,生涯学習部局にあったICT担当が今,学校教育部局に行ってしまいましたので,ちょっとそこも,生涯学習でも情報教育は重要ということを,文科省には考えてほしいなと思っています。
 以上です。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,中野委員,お願いします。

【中野委員】
 きょうの発表の中で,地域の課題に取り組む公民館であり民間団体の先進的な取組,すごくすばらしかったなと思いました。明石会長が言われたように,地域課題に取り組む事例というのは増えているかなと思うのですけれども,今,地域の高校では,少子化による生徒数の減少で高校の再編とかが避けられない状況になってきています。であれば,どんな形で地域に高校を残すのがいいのかということで,地元の自治体や地域の住民が危機感を共有して,主体的に考えて議論する動きが活発化してきています。
 先日,地方紙に紹介された事例では,高校の学区の市町長とか教育長,商工会のトップ,地域住民代表も入って地域連携組織コンソーシアムを立ち上げて,コミュニティ・スクールの考えも取り入れて議論したときに,「地域を支える人材育成は学校だけに任せるだけではなくて,地域総掛かりでしていくべきだ」という,声が上がったというのです。そこで,地域課題を考える授業を行って,高校の魅力化を図ろうとしているという動きが活発化してきているということなんです。そこで問題なのは,高校生一人一人,いろいろな興味や関心をもち,地域課題と効果的に結び付けるため,また,学びというのは極めて個別性の高い営みになってくるし,最適化された学びというものの実現を図るためには,企業とか自治体との連携が大切であり,地域の多様な主体である大学,産業界,小中学校や社会,教育,いろいろな団体が連携する必要性が生じてきていると思います。
 さらに,AIやSociety 5.0など激変する社会に対応する新学習指導要領が2020年から小学校,その次からは中学校,その次からは高校というふうに全面実施となってきますので,開かれた教育課程であるとか,高校での探求学習,こういった実現に向けては体制整備が急がれているわけです。そのときにそれぞれの高校で課題が挙がっているのは,外部からのコーディネーターを配置して地域企画を進めるんだけれども,どうしてもボランティア的な活動の人に頼るとか,地元自治体の地域おこし協力隊とかがありますよね。そういう組織を使うんだけれども,3年したらいなくなるとかいうことで,継続が難しいんだということです。こういった地域のコーディネーターを専門職として確立するような必要性があるんじゃないかということをこれからも考えていく必要があるということです。
 きょうのような地域の公民館であるとか民間の団体と一緒になってできるようなことが本当に地方でできれば,そういう団体が増えてくれば,また,そういう団体がしっかりと確立されていけば,学校での学びというものもしっかり支えてもらえるようになっていくかなと考えています。
 先ほど,関委員が二つの視点で言われましたけれども,私もその考えに本当に同感です。
 以上です。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,菊川副分科会長。

【菊川副分科会長】
 こういうすぐれた事例をお聞きするたびに,その中心にいる方の資質や志をいつも感じるのですが,でも,余りそう思い過ぎるとシステムにならないですね。それで,関委員の提出資料のように,有効な事例を全国から集め,情報を整理して発信していくこと,あるいは社会教育士等の養成というようなことだと思います。そこでお二人に一言ずつお聞きしたいのですが,こういうすぐれた実践事例が全国に広まっていくためのシステム的な仕掛けで,何か御提案みたいなのがあれば教えていただきたいと思います。

【明石分科会長】
  まず,宮城委員からお願いします。

【宮城委員】
 先ほども宣伝したんですけれども,これ。実は関委員からもありました思い込みになっていないかだとか,そういう話,まず課題設定が上手じゃないですよね。何となくこんな課題があるんじゃないかというところからスタートしていることがあるので,課題設定がうまくいっていないのに,どんなにプログラムの精度を高めても解決するわけがないという。その辺で,思い込みを思い込みでなくするために,どのように現状を把握するのか,こちらの方では,まず初めに地域を知ろうというところで,統計情報を見るとか,住民から話を聞くとか,地域の来歴を知って地域特性を知る,歩いて,目で見て確認するという当たり前のことが書いてあるんですけれども,公民館の職員や地域で活動する方々はこういうことって実は余りしていないのかなと。
 その中で,どのようにニーズや課題の仮説を立てるのか,この仮説の立て方もポイント2で書いてあるんですけれども,表面的に見えてきた,人が言っている主観的なニーズではなくて,それをいろいろな角度から見て,本質的なニーズは何なのかというのを考えると,その辺も恐らく苦手なんだろうなと。なので,どういうプログラムをやるとか,どういう実践をするとかというよりも,その辺の考え方を学べたらいいなと。
 学べたらいいなと言っても,行政とかでも市民大学とか地域コーディネーターを育てようみたいなプログラムをあちこちでやられているんですけれども,熱心な方がインプットしに結構集まられているなと思うんですが,学んで満足しておしまいということもあって,実際,コーディネーターであれ,活動する人がどこで育つかというと現場なので,実践も踏まえながら経験していけるような場をどう作っていけるのかなと。公民館職員だとかは,正に現場にいるはずの人たちなので,学んで実践できるはずなんですけれども,ここも関委員がおっしゃったように学ぶことが目的になっていると。課題を見付けて,その課題のために目的意識を持って学ぶということがなかなかできていない現状があるのかなと思っています。なので,どう仕組み化するのかというのは非常に難しいんですけれども,私なりに考えたのがこれだと。しつこくてすみません。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。では,丑田さん。

【丑田氏】
 社会の大きな流れとして,中央集権的な,要は,どこかが決めてプログラムを各市町村に適用していくとか,管理していくというような構造から,徐々に自律分散型の社会へと変化が起き始めているんじゃないかなと。生涯学習というのは,正に一人一人の創造性や個性をどれだけ表現していけるかとか,個性が絡み合うことで新しい学びが創発されるかという,非常に自律分散的な学びのスタイルだなと思っていまして,プログラムというか環境のデザイン自体もそういった社会の在り方の変化を捉えたような施策になっていくと,抽象論ですけれども,視点としてはとても大事なことなんじゃないかなと。そういった視点から,それぞれの施策を横串で見ていけたらとてもいいんじゃないかなと。
 例えばきょうお話しした事例ですと,子供たちの教育環境がどうするともう少し遊動的になるか,モビリティー化されるかというところで,例えば住民票をわざわざ移さなくても,東京の子が秋田で学べるとか,秋田の子が沖縄で学べるみたいな,そういった制度の環境設計はどうあるべきかといったところは,もしかしたら公共が整備する環境のデザインなのかもしれませんし,不登校という概念も,時代の流れとともに,今までの定義から再定義しなければならなくなってくるかもしれないと。そういった時代の流れに応じて子供たちの学び方が変わっていったときに,どのような制度設計をしなければいけないかという視点で討議が行われていくと,より自律分散的で,一人一人の個性や地域性を反映した学びの在り方が発露していくのではないかなと感じております。

【菊川副分科会長】
 ありがとうございました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 あと5人の方が手を挙げておりまして,1人2分を超えないでお願いします。まず,清原委員,大久保委員,牛尾委員,牧野委員,山本委員でお願いします。

【清原副分科会長】
 本日,宮城委員,そして丑田さんのお話を伺っていて幾つかの気付きがありましたので,発言いたします。
 1点目は,地域の捉え方,コミュニティの捉え方ですが,自治会加入者が少ないというのは全国的な傾向です。那覇市の事例から学ばせていただいて,那覇市の事例は私たち,どの自治体も直面する課題を先取りして取り組んでくださっているなと思いました。
 そこで,25ページに,必ずしも自治会加入率が低くても,例えば趣味とか興味・関心とかママ友とか,NPOとかサークルとか,行きつけの店とか,そういう多様な切り口で,楽しさを込めた地域,コミュニティというのを考えていくべきだというのは,私たちが固定観念で地域を捉えず,新しい地域を作っていくという有力な示唆を頂いたと思っています。
 2点目。だからこそ,多世代化が進んでいるということ,そして,外国人の方も増えるということ,さらには一人親,さらには貧困,そうした課題の中で,障害のある方も含めて,様々な多様性をいかに地域の中で含んでいくかというときに,私たちが生涯学習,社会教育を,地域課題を共有して解決していくプロセスとしていくことが,ますます重要になってくるんだと感じました。
 3点目。宮城さんがパーラー公民館のときには,わざわざ館長というんじゃなくて,「若狭公民館用務員」となっているんですよね。

【宮城委員】
 パーラー公民館の用務員。

【清原副分科会長】
 この「パーラー公民館」の場合は用務員だとなっている。私はこの企画相談を受けるときに,市民が,無用な意識を社会教育主事(社会教育士)や公民館主事や公民館の人に対して持たないで,用務員さんとして館長さんも動いてくれると,こんなような上から目線ではない,横の連携の態度,姿勢というのが,企画相談につながったと思うんですよね。学習相談ではなくて,自らが主体的に(学習機会を)企画するということです。これからも主事の在り方とか職員の在り方の中で,いかに協働のパートナーとして市民に信頼をされるかということが重要だと思いました。
 4点目。お二人とも,「楽しい」とか「遊び」とか「プレイフル」とか,「遊び」という要因を学びと並べられましたので,私はやっぱり「遊び」を加えていくことが未来を作ると思います。
 最後に,横尾委員も言われたんですが,千代田区と町を結ぶのはICTだったり,町内の他施設をつなげるのもICTだったりします。つないでおけば,対面したときに意味がありますので,私もICT基盤は大事だと思います。
 最後に,総合的に,各地域の取組が絶対に,丑田さんが言われたように,少子長寿化の中の国際的なモデルになる,それが今の社会教育,生涯学習の現場なんだなと改めて思いましたので,気負うことは必要ないと思うんですが,「楽しく遊びながら学ぶ」というコンセプトを広げていければなと感じました。
 どうもありがとうございます。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,大久保委員,お願いします。

【大久保委員】
 お二人の話を聞いていて全体に感じたのは,行政の役割というのは生涯学習のエコシステムを作ることなんじゃないのかということです。何をエコシステムと言っているのかというと,一つは,つながりが生まれるエコシステムです。そこで地域の中と外,両方をまたいだようなつながりが生まれる。つながりがあると,そこに自分の持っている知識をシェアしようという発想が生まれる。このシェアが本当の生涯学習なんじゃないか。教えるとか育てるとかという意識よりは,互恵的にシェアする感覚があるのがきょうのお話の特徴かなと私は思ったんです。そのつながりが,おっしゃるように無理があったりとか,楽しくなかったりとか,強制されたりすると,しがらみになってしまうので,そうならないように維持していくのがエコシステムの大事なポイント。
 もう一つは,そのリーダーの人たちをどういうふうに育成するのかというクエスチョンがあるんですけれども,私はいまいち育成するという感覚じゃないイメージを持っていまして,つまり,生涯学習に対して参加してくれるエネルギーを持った人たちをその地域の行政が積極的に見いだすということと,その人たちに信頼して委ねるというのが基本的な機能なんじゃないのかなと。そういう形で,エコシステムを地域ごとに作っていくことができたときに,何か新しい社会教育像といいますか,生涯学習の姿みたいなものができるのかなというのが,きょうお二人のお話を聞いたイメージでございます。

【明石分科会長】
 どうもありがとうございました。
 では,お隣の牛尾委員。

【牛尾委員】
 生涯学習に対して,学びたいものや将来の目標を明確に掲げて臨む人もいますが,中には定年後や子育てが一段落したところで漠然と何か学んでみたい,それは単なる趣味かもしれませんし,何かキャリアに結び付けられたらと考えて学び始めるケースも両方あると思いますが,ともあれどこで何が学べるのかわからない,またどのくらいの労力や費用,時間をかけて学べば新たな道が拓けるのかわからない。その辺のことが気になりながら踏み出せないでいる人もたくさんいるんではないかと思います。私たちは,そんな漠然と学び直しを考えている人たちの気持ちに寄り添って,その人たちのニーズを顕在化させ具体的な道を指し示す必要があると思うんです。そこで明治大学の女性の学び直しプログラムを修了された女性の方の事例をお話ししたいんですが,その方は,出産を間近に控えていて将来のキャリアアップにも関心が高い方で,今の段階では明確なビジョンはないんですが,とにかく一歩踏み出したいという思いで講座を受講されました。その結果,起業するんですが,その会社の業務内容は,その方のように悩んでいる人,何か学びたいけれども,どうしたらいいか分からない人のために学び直し講座を一覧で見られるようなウェブサイトを展開するビジネスだったんです。正にそこにヒントがあるんじゃないかと思います。
 それは社会教育士の仕事かもしれませんが,各地域で学びたい気持ちのある人に対して,適切な教育プログラムを教育機関別,費用別,難易度別などで横並びにして,誰もが便利に比較検討できるような仕組みを構築できれば,大きな助けになると思うんですね。地域ごとにそのようなシステムの構築とコーディネーターによる相談体制を整えていくことが必要になるのではないかと考えました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,牧野委員。

【牧野委員】
 きょうはどうもありがとうございました。いつもちょっとしゃべり過ぎるので,きょうは我慢してきたのですけれども,お二人の話を聞いていまして,私がいる大学も含めてなのですが,地域を壊してきているのではないかととても強く思うところがあります。実は私たちが実践の過程で作ってきたものも壊され続けているところがあって,ちょっといらいらしているんですけれども・・・・・・。きょうのお話は,先ほど大久保委員もおっしゃいましたが,エコシステムという話とスポンテイニアスという話がお二人の報告からありました。自発的に生まれてくるものをどう育てていくのかといったことと,それから,まだ私たちの中に残っている教育に対するある種の固まった見方をどう組み換えるのかということ,これが今日のテーマなのではないかと思います。例えば立身出世のための教育であったりですとか,金もうけのための教育であったり,いわゆる産業社会の拡大発展モデルがあって,そのモデルにもとづいた教育という営みが巨大な慣性力を持って動いているところがあると思うのです。しかし,それをもうそろそろいいかげんに変えなければいけなくなっているのではないかと思うのです。それはある意味では,私たちは消費社会を過ぎて,次の社会に行かなければならなくなっているところもあるということです。その意味では,きょうお二人がおっしゃったように,社会を作り直していくとか,作っていくといったことがベースになるような新しい社会がやってくるということなのではないかと思います。
 そう考えたときに,例えば先ほどのお話ですと,宮城さんがおっしゃった25ページの図なのですが,この図が示しているような,好きな人々が集まった小さなサークルがいっぱい集まってくると社会が出来上がっていくというようなことと,エコシステムであったり,スポンテイニアスであったりということがよく似ているような感じがするのです。大きい社会を上からおろした形で社会を作っていくということよりは,人々がいろいろな形でたくさん集まって,動き回る中で小さな社会がたくさん作られていって,それが一つの秩序を構成しながら,次の秩序に移っていくような社会の在り方というのか,そうしたものがこれから構想されていかなければいけなくなってくるのではないかなと思います。その意味では,個別最適であることが全体最適につながるような教育の在り方を考えなければならなくなっているとも思うのです。従来の企業は,いわゆる部分最適で動いてきたところがあると思うのですけれども,むしろ個別最適であることが実は全体最適でもあるというような形の作り方があるんじゃないかと,きょうお話を伺って,思いました。
 その意味で,下から持ち上げていくような社会の在り方を作り直さなければいけないと思うことと,それからもう一つ,行政的には,学びというのか,学習も含めて概念の組替えをしなければいけなくなっているのではないかとも思うのです。教育ということよりは,むしろ学びをベースにして,人々自らが新しい社会を作っていく主役になっていく。それぞれが結び付いてネットワークをつくるというよりは,小さな集まりを作ることで,それがいっぱいになって社会を埋め尽くす形で,それぞれがそれぞれの動きをすることが,実は社会を動かしていくような秩序が作られていくということにつながるような,こういう社会の作り方があるのではないかと思うのです。
 そこに既につくられた制度として社会教育士の活用の仕方があるのではないかなと思いますので,是非とも文科省には,社会教育士の養成の在り方について,もう少し社会に開きつつ,いろいろな方々が社会教育士という称号を活用して社会で活躍できるような仕組みを作っていただきたいと思っています。
 以上です。どうもありがとうございました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,山本委員。

【山本(健)委員】
 丑田さんが問いに答えられて,五城目町に日本の未来と世界の未来を見るみたいなことをおっしゃったんですけれども,これは非常に重要なことだと思うんですね。つまり,我々,この間,中教審のレポートをたくさん出してきましたけれども,その辺が非常に曖昧で中途半端だったんじゃないかと思うんですね。その点では,Society 5.0と言われて,一方では地方自立的分散性を可能にする条件でもあるんですけれども,より集中効率性も保証する条件でもあるわけで,これは誰かがどちらか判断しなくちゃいけない。それを日本の市民社会がどう判断するかということが問われているときに,若い丑田さんのような方がこういうモデルといいましょうか,登記されていることが非常に重要だと思うんですね。
 つまり,恐らくそれは五城目町に創造の自由というか,積極的に関与すれば発展していく自由というか条件があるということが重要だと思うんですけれども,日本で発展している地域は大体そういう地域だと思いますね。その中で,市民の方々,地域の住民の方々も創造の自由を自ら体現し,獲得し,そこで主権者としての市民も育っていくというプロセスが,正に社会教育がコミットしていく,大いに関与していくステージだということを今,我々は非常にはっきり自覚したんじゃないかなと思いますので,是非その辺のストーリーというか流れを大事にしていただきたいなと思います。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。非常に貴重な意見を頂きました。私もきょう,宮城委員の言われた地域課題ということをすっと言うんだけれども,地域課題の発見というか,限定といいましょうか,それができていないのではないだろうか。例えば千葉大を見たときに,学生の卒業論文の指導をするんですけれども,大体テーマがすぐ決まらないね。テーマが決まればすいすい行くんですよね。半年ぐらいかけてテーマ決定をキャッチボールしながら決めていくんですけれども,結局,地域課題とは何ぞやというのを地域を含めてディスカッションしなければいけないかなというのがはっとしました。
 もう一点は,山本委員も言われましたけれども,沖縄の那覇の若狭公民館エリア,1万5,000人の世帯で,秋田の五城目町の1万ちょっとの小さな集落でしょうけれども,そこから世界に発信できる共通な課題があり得るんですよというのが二つ目の発見かなと思いました。
 そういうことを踏まえますと,きょう,菊川副分科会長が申し上げましたように,一つの事例を何とかほかに普遍化していく,そういうシステム化を考えていかなきゃいけない。そうすると,固有な地域課題もあるけれども,共通する地域課題もあるはずだという,その二つの視点をこれから探していかなければいけないかなということを,きょうの議論を踏まえて私としては感じました。
どうもありがとうございました。
 ちょうど時間となりましたので,このあたりで審議を終わりたいと思います。
 本日頂いた御意見は,次回以降の検討に向けて生かしていきたいと思っております。
 では,議題は以上ですけれども,事務局から連絡事項がありましたら,お願いいたします。

【野口生涯学習推進課課長補佐】
 次回以降の日程につきましては,現在調整中でございますので,また追って御連絡させていただければと思います。よろしくお願いいたします。
 以上でございます。

【明石分科会長】
 それでは,本日の生涯学習分科会はこれにて閉会いたします。ありがとうございました。

―了―



 

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