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生涯学習分科会(第104回) 議事録

1.日時

令和元年9月9日(月曜日) 14時00分~16時30分

2.場所

文部科学省東館3階 3F2特別会議室

3.議題

  1. 社会的包摂に向けた学びに関する有識者ヒアリング
  2. その他

4.議事録

【菊川副分科会長】
 まだ御出席予定の方が4名ほどいらっしゃるそうでございますが,定刻になりましたので,ただいまから第104回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。
 実は,明石委員長も千葉から今お見えになっているということで,間もなく到着になると思いますが,それまで私の方で代行させていただきます。
 本日は,大変皆様お忙しいところ,また交通事情の悪い中お集まりいただき,誠にありがとうございます。
 本日,報道関係者より,会議の全体について撮影,録音を行いたい旨,申出があり,許可しておりますので,御承知おきいただければと思います。
 まず,配付資料の確認を事務局からよろしくお願いいたします。

【野口生涯学習推進課課長補佐】
 お手元の資料を御確認ください。資料としては,まず議事次第,座席表がございます。それから資料番号が付いているものとして,資料1の第10期の検討課題,資料2の前回までの分科会における主な御意見,資料3として審議スケジュール及び審議の視点例,それから委員の方から事前に提出資料を頂いていますので,それが資料4-1から4-3でございます。それから,これは机上には置いておりませんが,タブレットの中に,本日御発表されるお二方の高橋様,海老原様の提出資料がございます。
 過不足等ございましたら,事務局までお申し出いただければと思います。
 以上でございます。

【菊川副分科会長】
 ありがとうございました。
 では,審議に移ります前に,事務局から本日の審議事項について御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

【根本生涯学習推進課長】
 生涯学習推進課長の根本です。よろしくお願いいたします。
 私の方からは,これまでの審議の経緯及び本日の審議事項につきまして御説明させていただきます。資料は,資料1から3になっております。
 まず一つ目,資料1に関するものですけれども,今回につきましては,第9期までの審議及び101回の会議で委員の皆様方から頂きました御意見等を踏まえまして,資料1のように「第10期生涯学習分科会の検討課題について」を作成しております。また,これに沿いまして議論を進めてきています。
 具体的な日程等につきましては,資料3をごらんいただければと思います。資料3の1枚目のところですが,こちらのようなスケジュールで,101回から今回104回目まで進めてきております。101回目は,先ほどの全体的なところで,102回目のときには,人生100年時代の到来,Society5.0の実現,健康長寿社会の到来等を踏まえて,新しい時代の生涯学習・社会教育の在り方について御審議を頂きました。また103回におきましては,子供・若者の地域・社会への主体的な参画・行動を通じた,よりよい社会の創り手の育成に関連いたしまして課題意識を深め,また共有することを狙いとして,テーマごとにヒアリングを行ったところです。
 これまで委員の先生方から頂きました御意見等につきましては,資料2にまとめております。資料2をごらんいただければと思います。簡単にポイントのみ説明をさせていただきます。
 まず,この四角枠囲いの中の概要というところがそのポイントになるかと思いますので,そちらの中から幾つかを紹介したいと思います。
 まず1ページ目の(1),人生100年時代の到来,Society5.0の実現等につきまして,改めて生涯にわたってこれからの時代に求められるスキルを身に付けることの重要性,またICT等の技術を活用して誰でも学びたいときに学べる環境を整備することの重要性等につきましての御意見を頂いたところです。
 少し飛びますが,4ページ目,(2)です。こちらは社会的包摂に関する課題についてということで,支援から取り残された人々に対し対するアウトリーチ型の支援の重要性,多様な人々が共に学ぶという多様性の視点を持って学びをデザインするということの重要性等について指摘がございました。
 続いて6ページ目のところですが,こちらは(3)のところで,家庭と地域の教育力の向上についてです。子供の成長とともに親子で学ぶ機会の提供が重要であるということとか,家庭と地域が連携した教育力の向上と,それを牽引するリーダーの存在が必要であるということ,また家庭の教育力が落ちているのをどう立て直すか,どう施策に展開していくか等について御議論いただきました。
 7ページ目のところ,(4)ですが,こちらは子供・若者の学び,社会の創り手の育成についてです。子供や若者が身近な課題を自分事として主体的に取り組む機会が重要であるといったこと,また学校教育と社会教育の垣根を取り払っていくことの必要性についての御意見を頂いたところでございます。
 最後に9ページ目のところ,(5)ですが,これは民間団体や人材の活躍・連携促進,また関係機関,行政の役割についてです。こちらについては生涯学習・社会教育を担う人材としてのコーディネート能力が重要であるといったこと,また組織として持続的に取り組んでいくためには,官でも民でもない中間的な組織による人材育成の可能性についての示唆も頂いたところです。
 104回の本日につきましては,社会的包摂に向けた学びの在り方について,これまで先生方に頂きました御意見等を踏まえ,更に課題に対する理解を深める機会としたいと思っております。
 冒頭にお示しした資料1の中にもございますが,社会的包摂に関する課題に着目した社会的包摂を目指すための学びの在り方等について御審議いただきたいと思っております。
 具体的な審議の論点につきましては,資料3の2ページ目をごらんいただければと思います。(1),(2)とございますが,まず(1)の社会的包摂に向けた生涯学習・社会教育の在り方・姿はどうあるべきかということです。社会的包摂に着目して,学びの姿は具体的にどのような形であるべきか,また生涯学習・社会教育の果たすべき役割や強みは何かといったことについて,視点例として記載しております。
 二つ目といたしましては,(2)のところで,そういう社会的包摂に向けた生涯学習・社会教育を推進するためには,どのような課題があって,どのような方策が考えられるかということです。
 特に第9期の答申でも挙げられました「開かれ,つながる社会教育」を実現していくためには,NPOや社会教育団体など民間団体や人材の活躍・連携をどのように促進していくかということが考えられます。また,関係機関や行政の果たす役割や取組をどのように考えていくのかということなどが課題として挙げられております。
 加えて,社会的包摂に着目した福祉,労働,医療分野との連携の視点であったり,また学びに関しまして特に支援を必要とする人,またそのような場や機会にスムーズにつなげるための視点,さらには社会的包摂に関する課題について人々の理解をどのように促進していくかということ,こういうことが審議の視点等に挙げています。
 そのほか,これまでの第102回,第103回にも審議の視点例として取り上げておりますが,民間団体が持続的・発展的に取り組む上での課題は何か,また生涯学習・社会教育の取組を行う人材をどのように育成していくのか,更に行政の果たすべき役割は何かという視点も併せて記載させていただいたところでございます。
 本日は,こういった論点,視点を基にしていただきまして,社会的包摂に向けた課題の中でも外国人との共生を推進していただいております2団体からお話をお伺いしまして,社会的包摂に向けた学びの課題とは何か,またそれをどのように解決していくのか,更に行政として学びを通じてどのように社会的包摂を促進していくのか,できるのかということにつきましても御意見を頂ければと思います。
 また,事務局から事前にお示しさせていただきました資料3のこの審議の視点の資料を基に,あらかじめ3名の委員から御意見のメモを提出していただいております。資料4にまとめて御用意しておりますが,誠に御多用の中,貴重な御意見を頂きましてありがとうございました。御提供いただいた先生方におかれましては,ヒアリングの後の意見交換で御意見を具体的に御発表いただければと思っております。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。

【菊川副分科会長】
 御説明ありがとうございました。第101回から103回までの生涯学習分科会を振り返り,また本日の審議の視点例ということで御説明いただいております。
 今時点での事務局の説明について特段の御質問がなければ,早速,御発表に移りたいと思います。本日は,社会的包摂に向けた学びに関連して,認定NPO法人ネットワークかながわ事務局長の高橋清樹様,それから一般社団法人kuriya代表の海老原周子様より発表していただきます。
 御発表の前に,お二人の発表者の方々を御紹介させていただきます。
 認定NPO法人多文化共生教育ネットワークかながわ事務局長の高橋清樹様です。長年,神奈川県立高校や養護学校の教員として勤務し,外国につながる子供・若者の教育支援に取り組まれてこられました。団体の事務局長として,高校進学ガイダンス,関係団体のネットワーク会議,定時制高校のキャリア支援など,神奈川県教育委員会や県内の市町村教育委員会,国際交流協会,さらには多くのNPO団体と広く連携して活動されています。また,本年6月に文部科学省に設置された「外国人児童生徒等の教育の充実に関する有識者会議」の委員も務められております。
 続きまして,一般社団法人kuriya代表の海老原周子様です。国際交流基金や国際機関で勤務された後,移民の若者を対象としたアートプロジェクトを立ち上げ,2016年,一般社団法人kuriyaを設立し,多文化なコミュニティづくりや外国籍等の若者育成などに取り組まれています。kuriyaは,移民の若者たちをはじめとする多様な人たちが集うインターカルチャーな場を作り,それぞれの持つ知識やスキルを共有し,学び合いながらアートプロジェクトを行うことで,彼らに生きる糧やライフスキルを身に付ける機会の創出を狙いとして活動されています。
 今回は,それぞれの発表後に質疑応答を行います。
 それでは,まず高橋様からよろしくお願いいたします。

【高橋氏】
 皆さん,こんにちは。今御紹介いただきました高橋と申します。よろしくお願いいたします。
 それでは,タブレットに従って御説明いたします。
 私どもの団体,略称がME-netと呼んでいただいていますけれども,特徴としては,1995年にボランティア団体として設立いたしました。活動先行型というんですか,みんなでとにかく活動,必要な課題に対して活動しようということで,まずは外国につながる子供たちの高校の進学の説明会,ガイダンスを,ちょうど日本語教室の代表者とか,それからいろいろな通訳ボランティアの方とか,私はそのとき高校の教員だったんですけど,高校の教員とかが集まって,実行委員会を立ち上げて,本当に手弁当で始めたというのが最初です。その後,緩やかなネットワークということで,多文化共生を意図して活動してまいりました。
 2006年に,たまたま,この高校進学ガイダンスが県の教育委員会との協働事業という形で,これは神奈川県が独自に行っている,かながわボランタリー活動推進基金21という提案型の助成事業があるんですけれども,そちらの方に提案して,採択されて,それで助成金を頂いて,県の高校教育課と協働事業というのが2006年から5年間ということでスタートしました。
 かながわボランタリー活動推進基金21とは,神奈川県の提案型の助成金制度で,行政とNPOが,民間団体とが協働して行うことが適切な事業ですね。行政だけではなかなか手が届かない,民間だけだと,やはり公的な信頼性等々ですね。特に高校進学というのは,情報としても信頼性が求められますので,そういった意味で,協働でやることは必要だということで申請し認められたものです。
 5年間,継続可能というのが一つの特徴です。
 民間と行政が,それぞれ会議を設けて,協働内容をいろいろ検討して実施をするというスタイルをとっています。
 これは助成金の使い勝手の良さですけれども,1年間の上限が1,000万ですね。人件費とか家賃も可能と。基本的に民間の負担率はないということで,NPO側からすると,非常に利用しやすい助成金になっています。
 これは5年間でしたので,2006年から2010年まで,外国につながる子供の教育支援事業として実施をしてきました。高校進学ガイダンスの実施,それから10言語の入試のガイドブックを作成しました。それからコーディネーター・サポーターを,外国につながる子供が多い高校に派遣をして,学校と協議しながら実施をしてきました。それから年1回,ネットワーク会議というのを設けて,行政とNPOが会議をして,課題を共有しようということになります。
 この協働の意義というのは,やはり先ほど申し上げましたけど,行政の公共性,情報等の公益性とか信頼性が非常に確保できるという面がありますけれども,一方,民間ができる,きめ細かなアフターフォロー等,そういうことが可能と。
 私たちが大事にしたのは,その両者が,まずはお互いに課題を共有しようと。どういう課題があって,そのために,どういう解決のための協力関係,それから信頼関係を構築しようということで実施をしてきました。
 結果,2011年以降は,かながわボランタリー活動基金が終了しましたので,単独で神奈川県の高校教育課と協定書を結んで,予算を頂いて,現在も協働事業を続けております。実際,事業の中身は非常に拡大をしてきています。
 ざっと流れとしては,最初は1995年で,フリースクールも実施していますけれども,2006年から,こういった協働事業が始まり,最初は外国につながる子供の高校進学,入り口の課題に対しての対応だったんですけれども,高校にコーディネーターを派遣した後は,高校の中での支援というのは,やっぱり課題として移ってきました。
 現在は,これだけ,いろいろな事業を実施しています。青いところと,それから左側の緑のところは,県の教育委員会と協働してやっているところです。下の高校との連携による多文化学習支援センター,これがちょっと特徴的な活動になりますので,これを詳しく御紹介したいと思っています。
 右側の方は,独自事業で実施をしている内容です。
 外国につながる子供や家庭の支援については,学齢期の段階は学校,それから行政とのつながりなんですけど,なかなか,やっぱり行政の目は非常にこぼれやすい側面があります。そこで,支援者とか母語サポーターが,いろいろな居場所活動とか,学習教室とか,子ども食堂にも今,外国につながる子供たちも参加していますけど,そういった居場所と関連して,支援者,サポーターが,学校側とか行政側のつなぎ役をやるという形で,より地域に密着した支援が,神奈川県では比較的行われているかなと思います。
 ただ,このME-netは,その全体のいろいろな緩やかなネットワークとして支援の相談を受けて実施をしたりしていますけれども,この後,高校以降になると,どうしても高校と行政のところに入る団体は,やはり,より行政側と連携した支援が必要だということで,ここの部分については,私どもの団体が中心となって,国際交流ラウンジとか学習教室と連携しながら,それぞれ支援をしているというような状態で,高校以前と高校以降のところをうまくつなぎ合わせて支援をするという考え方で実施をしています。
 高校以降の課題としては,中退率の高さ,在留資格の問題,経済的な課題,それから社会的な自立へ向けた支援というような,四つぐらい大きな課題があると認識をしております。
 中退率については,文部科学省が今年の初めですか,に発表したところでは,日本語指導が必要な高校生の中退率が9.6%ということで,一般の1.3%の7倍以上あるという状況とか,高校の後の進学も,日本語指導が必要な高校生は,大学等上級学校に行く割合が42.2%で,全体よりも30%近く低いとか,就職した者についても,非正規の割合が非常に高いとか,進学も就職もしていない者の率も非常に高いというようなことが,文部科学省の調査で出てきています。
 その中で,私どもは今,相模女子大学と連携して,多文化学習活動センターを,相模大野の相模女子大の中で毎週土曜日,実施をしています。運営は今年からです。今までは高校とNPOの連携だったんですけど,今年から県の教育委員会も直接関わることになって,県の教育委員会と県立高校11校の校長が運営協議会を作って。あとは大学3校と私どもの団体ですけど,運営協議会を作って運営をしております。学び手は地域の外国につながる子供・若者,中学生,高校生以上が対象となっています。教え手の方は大学生,それから高校生,社会人ボランティア等になっています。特徴としては,やはりボランティアは日本語とか学習教室の支援に参加する際に,なかなか不安もありますし,どう教えたらいいかというところもあるので,グループ化して,そこに必ず日本語教師とか高校の教員が入って,適切にアドバイスをしてグループで指導する形をとっています。
 一時期,一番多いときは子供たちが50人以上来ておりました。昨年は,39回行って,学習者は954名。高校段階の外国につながる高校生も多いんですけれども,今,日本人の高校生のボランティアがたくさん来ていて,この場が日本人の高校生と外国につながる子供・若者が直接教え合うというか,一方的に教えるのではなくて,教え合う,学び合うというところで,非常に効果のある学習教室が実施できていると思っています。
 それから多文化教育コーディネーター派遣制度というのは,先ほど申しましたけれども,現在26校の高校にコーディネーターを派遣しています。これ,予算は県の方から,大体1校,学校によって違うんですけれども,25万ぐらい頂いて,1回5,000円で派遣をしております。
 中身は,何をするかというところは,例えば日本語指導をするんだとかという限定的なことをやるのではなくて,やはり学校の基本的なリソースというか,学校ができることを更に高めて教員の力をアップするとか,教員の力をコーディネーターの方もバックアップして,いろいろな形で支援をするということも念頭に置きながら,学校と協議して実施をしています。
 場合によっては,実際コーディネーターやっている人は母語話者であったり,地域の支援者であったり,教育に関わっていた人,あとは大学の先生方も何人か入っていただいています。
 県との協議としては,コーディネーター会議を年に5回ぐらい,担当者が来て,参加をして情報交換をしています。それから県が主催し,高校の担当者が集まって,コーディネーターといろいろな事業報告会とか,そういったこともやって情報交換をしています。
 実際,何をしているかをざっと言うと,入学時に合格者説明会とかオリエンテーションのサポート,そのときに通訳の必要性,翻訳文書の必要性等々を確認して,プレイスメントテストを実施しています。
 それから学期中はいろいろ,授業のサポート,三者面談のサポート,母語により聞き取り調査をしたり,先輩を呼んで交流会を実施したり,学校行事のサポート。それから,これから申し上げますけど,定時制高校においては「校内相談カフェ」の実施。それから担当者会議での情報交換。
 あと,いよいよ進級・卒業時に,なかなか単位がとれないとか,まだ進路が決まっていないという方については通訳を派遣して,三者面談等でサポートをしたり,さらにはドロップアウトする生徒についてはME-netとしてサポートしたりするような体制をとっています。
 高校生向けの進路相談会も独自で行っていまして,今年7月6日にユニコムプラザというところで行いました。それから,7月27日に県立川崎高校で行いました。それぞれ全体で120名ぐらい高校生が参加して,それで右側の写真にもありますけど,先輩が直接,自分の体験談をいろいろ話して,これ,ずっとローテーションをして,いろいろな先輩の話を高校生が聞くという形で,より先輩の話を聞くということは非常に効果的だと感じています。
 また一方で,下の方にありますけれども,大学とか専門学校側が外国につながる高校生,いわゆる日本にいる子,親が外国人で子供たちが小学生,中学生ぐらいから来ている子供たちの存在というのを,残念ながら結構知らないんですね。外国につながる子供というと,まず真っ先に出てくることは,留学生ですかというのが圧倒的に多いんです。だから,留学生というところの意識が強過ぎて,外国につながる子供たちって日本名を名乗っていたり,日本に長いので,そこそこ日本語も話せるんですけど,でも,やっぱり経験が不足しているところもあってサポートが必要なんですけれども,その存在が埋もれてしまっているために,大学とか専門学校でも中退したり,それから,なかなか進路が決まらない方も非常に多いんですね。そういった意味で,こういう進路相談会を通じて,大学とか専門学校といろいろ情報交換して,そういう子供たちの存在を伝えたいと思っています。
 実際,数的には,留学生と外国につながる高校生って,外国籍もいるんですけど,日本籍もいまして,合わせると,ほとんど人数的には変わらないんですね。ところが残念ながら,その存在がなかなか見えないという状態にあって,そういったことでも進路相談会を実施しています。
 今回参加した大学と専門学校は,こういったところです。
 それから,定時制でのキャリア支援なんですけれども,これは相模向陽館高校での「ひまわりカフェ」というのを金曜日に実施をしています。このカフェというのは,学校の中で居場所を作って,それでカフェなので,お菓子とか飲物を自分で選んで食べながら,そこにいるスタッフと,いろいろ何げない話をするというところがスタートなんですけれども。スタッフは高校生の話をとにかく聞く。傾聴のプログラムに基づいて聞くというところから,子供たちがいろいろなことを,少しずつですけど,話してくれるということで,いろいろな相談,友達関係とか,家族状況とか,あと学校生活の悩みで進路相談等々,出てきます。
 この相模向陽館は,外国につながる子も100人以上いますから,その中に,外国につながる子たちもたくさん来ています。
 それから大学生のスタッフと,高校生が下の方に並んでいると。下にいる子はみんな外国につながる子供たちですけれども。
 校内カフェについては,8月19日の朝日新聞の朝刊に,今,全国で50校ぐらいあって,いろいろな形で展開されていると。神奈川県にも今13校実施しているというような報告もあります。
 私のカフェをやっていたところで感じていることですけれども,今,大人から見た現代の若者論というのは非常に,やっぱりコミュニケーションが苦手で,いじめとか不登校が多い,それから自己肯定感が低いが故に自殺者が多いとか,社会との関わりが少ない,ゆえに離職率が,高卒で3年以内が40%とか,大卒3年以内が30%という状況が生まれているというのは,大人の方の見方なんですけれども,一方で,今の世の中というのは,どうしても子供たちから見ると圧倒的に,やっぱり家庭と学校のつながりが強くて,かつてあった地域の人たちの関わりとか,遠くの親戚とか,いろいろな専門家につながるみたいなところがどんどん,どんどん狭まっていて,どうしても狭い社会の中でコミュニケーションを図らざるを得ない状況の中で,どうしても親が良かれと思った,こうした方がいいんじゃないかみたいなアドバイスが指示とか命令に聞こえてしまう。それから学校からも,どうしても学校は何でも禁止する。これは駄目,あれは駄目みたいな。そういう狭い中で子供たちが,やはり社会との距離感が非常に遠くなっている。
 一方で,ネットの世界というのは飛び越えて彼らにとっての社会になっているから,ネットの社会から来る情報については,もう情報のシャワーとして受け止めるような状況にあって,近くにいるいろいろな大人との関わりが非常に薄くなっているということが見てとれます。
 その中でカフェというのは,狭い社会で生きている子供たちが自発的にコミュニケーションをとる手段。こういう手段が,機会がないというのは,やはり社会が作り出したものと考えると,こういう自発的なコミュニケーションを作る機会として,このカフェというのがあると,そこに,いろいろな近所の子供,大人,近所の大人とか,お兄さん,お姉さんとか,もしかしたら福祉機関の方も参加して,カフェでいろいろな関わりができる場になるということもできるかなと思っています。
 学校内カフェですと,まず高校生は,これが欲しい,あれが欲しいって欲求するんですね。これを受け止めて,欲求行動が起きても,すぐにかなえられないこともあっても,これも大事かなと。一方で,話がしたいといって,自分からいろいろ話をしてくる。これが自己開示。
 次に,不思議なことに,相手のことを知りたいと思うんですね。最初から相手が何者じゃなくて,自分の話を聞いてくれる人がいて,だんだん話しているうちに,この人,誰だろうということで,いろいろ相手に対して聞く。これが一つの社会の入り口かなと思っています。
 さらには,誰かの役に立ちたいと言って一生懸命,やっぱりカフェの手伝いをする子が現れます。そういうところで自発的に社会の役に立ちたいということで自己肯定感が生まれるということが,自然に見てとれます。
 スタッフは肩書,看板は掲げないんですけど,実際は,こんな形で,いろいろなスタッフが来ています。それこそ,私どもの団体もそうですけど,青少年育成のよこはまユースとか,メンタル系のメンタルサービスとか,デートDV専門のエンパワメントかながわとか,就労支援機関のCLCAとか,若者サポートステーション。私も今ここに勤めていますけれども。あとは大学生,それから見学には,よく福祉関係の方,自治会とかロータリークラブ,会社の社長さん。下に写っている写真は,左側が会社の社長さんなんですね。社長さんが来て,一緒にいろいろ話したり,ゲームしたりというのが自然に生まれるという場所です。
 高校生の素顔って本当に,何でお菓子とか無料なのとか,私たちのために何でこんなことしてくれるのとか,本当は話相手が欲しいとか,本当は大人を信じたいとか,それからよくあるのは,過去に戻ってやり直したいとか,そういうことをいろいろ言ってくるのですね。ヤングケアラーみたいな子供が多くて,カフェがあると頑張れるという素顔を見せてくれます。
 左側のように,この女の子は車椅子の子なんですけど,大学生にいろいろ話しているうちに抱きついて泣いてしまったみたいなこともあります。
 最後に,多様性とか多文化共生を受け入れる共生社会というものは,やはり子供たちが持っているいろいろな生きづらさとか,自分を受け入れてもらえない孤独とか違和感などというのを抱えているんですけど,それを,ただ受け止めるだけじゃなくて,その次に,どうしたら一緒に生きやすい社会を創ることができるかということを考える立場で受け止め合って,そして考えると。結果は,すぐ出るということはなかなか難しいかもしれないんですけど,そういった周りの受け止め方みたいなことが,多様性がただあるだけじゃなくて,それを受け止めるというような場所や人間関係を広げていくということが,共生社会に向けて必要な要素じゃないかと感じています。
 ありがとうございました。

【明石分科会長】
 会長の明石です。ちょっと遅れまして申し訳ありませんでした。
 高橋さん,どうもありがとうございました。では,ちょっと質疑を頂きたいと思います。質問ある方。じゃ,関委員から。

【関委員】
 本当に小さな質問なんですが。始められたとき,高校の先生辺りが中心になってスタートされたということですが,何名ぐらいから始められたのかというのが1点。
 そして,ちなみに,そのときに学校というか,高校生が,どのぐらいの外国の方の高校生が実際に,神奈川ですかね,県全体ですかね,その中で学校ごとに,どれぐらいの子供の数がいたときに,こういったものが動き始めたのか。その辺,もし分かれば教えていただけたら有り難いです。

【高橋氏】
 まず1995年の段階では,団体をスタートしたところでは,高校の教員は,最初のときは六,七名ぐらいですかね,で始めて,あとは支援者。日本語教室の代表者とか,通訳のボランティアの方とかが,やはり同じぐらいですかね,七,八名ぐらいで,実行委員会を作って実施をしました。
 そのときは,中学生の子供向けの高校の説明会ということでスタートしたので,第1回の進学ガイダンスというのを県社協,県の社会福祉協議会で行っているんですね。そのときに,どのぐらい子供が来るかなというのは想定外で,実際来たのは100名ぐらいで,会館から定員オーバーだと怒られたんですけれども,やっぱり,すごくニーズが高いなと思ったのが,きっかけです。
 それで,その後,そういう進学のガイダンスをスタートしていって,2006年に教育委員会といろいろな活動をしたときは,最初スタートは4校の高校で,定時制2校,それから,神奈川県に外国人枠というのがあるんですけど,そこの学校が2校でスタートしました。そのときに各校三,四十名ぐらい,在籍が各学校おりまして。定時制高校は,もっと多かったですね。数が多かったですけれども,そういうところで,学校の中でスタートしたというのが最初です。
 現在は26校なので,ほぼ1,000人ぐらいですかね。実際,学校を全部合わせると,1,000人ぐらいの高校生,何らか外国につながる高校生と関わっているという感じです。

【関委員】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 じゃ,続きまして清原副分科会長。

【清原副分科会長】
 高橋さん,大変具体的な実践の話ありがとうございました。二つ質問させていただきます。
 1点目は,外国につながる子供や家庭という表現を一貫して,してこられました。つまり,外国人とか外国籍市民とかという表現ではなくて,外国につながる子供や家庭と表現されてきた趣旨,本旨について教えていただければというのが1点目です。
 2点目の質問は,学校内にカフェを作ることが非常に有効に機能していらっしゃるということが,きょうの御報告で分かりました。学校というのは飲食だとか,あるいは学年を超えたりとか,国籍を超えたり,またいろいろな立場を超えた人が交流する企画というのはほかにもあるとは思うんですが,しかし今回カフェという取組をされてこられて,本当にそれぞれの参加者が自身の本音を出す,そういう場になっているということがうかがえました。
 そこで,いろいろな外国につながる生徒たちがいると思うんですが,多国籍,外国の種類によっては言語的に母語が多様でしょうし,日本語ということだけで触れ合えないかもしれないし,そういう異文化,異言語,多言語の中で,カフェのもたらすコミュニケーションの効果について発揮するために,どんな工夫をされているか,教えていただければと思います。
 2点よろしくお願いします。ありがとうございます。

【高橋氏】
 外国につながるという表現は,実は県の教育委員会の指針の中で,外国籍とか外国人という国籍にとらわれず,実際は日本籍の方も結構いらっしゃるということで,外国にルーツを持つとか,外国につながるということで,もう少し幅広く広げていこうということで,今,日本籍を持っているとか,二重国籍ですね。重国籍を持っている方で,外国籍とかというカテゴリーでは入ってこない子供たちも多いので,そこで神奈川県のかながわ教育ビジョンの中で,これは1990年の最後ぐらいに,教育ビジョンで神奈川県がそういう名前で打ち出しをしているところに,私どもも倣っています。
 それからカフェについては,外国につながる子供も視野には入れているんですけど,もともとは私どもはカフェを定時制高校で実施しています。定時制高校で今,私どもの団体6校で,そのカフェを実施しているんですけど,定時制に来る子たちというのは,やはり外国につながる子の割合が非常に高いんですね。神奈川県の場合は一般の,全体から見ると,定時制高校に来る生徒の割合って2%前後なんですけど,外国につながる子だけだと30%近くになるんですね。やはり圧倒的に,全日制の高校に入るのには,なかなか日本語とか,テストでクリアするところが厳しくて,定時制高校に入ってくる子たちが非常に多いと。それも日本で長く過ごしているというか,小学校低学年とか,場合によっては日本生まれの子供たちが実は,家庭環境の中で日本語を使っていなくて,母語で家庭では過ごし,学校行って日本語で勉強するという環境の中で,なかなか日本語の,特に学習言語的な,思考言語的なものが身に付かなくて,実際に学校の成績が,なかなか中学校でいい成績とれなくて定時制に来る子たちとかいるとか,あとは,もちろん定時制は不登校の割合とか,生活困窮の家庭の割合とか,すごく高いので,そういった意味で,外国につながる子が持っている課題と日本人の生徒が持っている課題が,すごく共通なんですね。カフェって,外国のつながる子だけ来なさいなんてカフェは,ちょっと物理的に無理なので,もう等しく,同じ課題について,やっぱり対応する必要があるということでカフェを実施するということと,あとは日本人生徒と外国人生徒が一緒に過ごせるような場ということでやっています。
 大学生が何人か入っているんですけど,その中に外国につながる大学生,先輩が入っていて,そこで一緒にいろいろ,例えば中国の出身の外国ルーツの,外国につながる学生がいたりすると,自然にいろいろ会話できるなんていう仕組みもやっています。あとは,いろいろ取組もしていますけれども。

【清原副分科会長】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。では牧野委員,お願いします。

【牧野委員】
 御報告どうもありがとうございました。私も日本全国あちこち這い回っています。神奈川県の事例として御報告を頂いたのですが,例えば今日,いわゆる農山村地域ですとか漁村地域にたくさんの外国人の方々,これは後からの海老原さんの御報告とも関わってくると思いますが,たくさんいらっしゃって,少し思い返しますと,多分バブルの頃,90年代初頭ぐらいに,特に農村花嫁から始まって,各地にいわゆる外国人集住地域といいますか,日系ブラジル人などの集住地域ができていった。ある意味で,いわゆる第一次産業,農林水産業ですとか,さらにはいわゆる製造業の現業部門のところに外国人の方々がどんどん入り始めて国際化が始まって,そしてその方々が日本に定住するような形で残って,多分,高橋さんが扱っていらっしゃる子供たちは,2世や3世の世代に入ってきていると思うのです。
 そういうことの中で例えば,ちょっと言い方が悪いですが,底辺労働者として入ってきた方々が,日本語能力をきっちり付けない形で2世,3世へつながっていくことで,同じような階層構造というか,階層の再生産がなされているのかどうか。
 これは日本の場合も,例えば貧困家庭の子供たちが学校教育を通して,世代間で貧困が再生産されるという議論がありますけれども,同じような構造を持っているのかどうか。または,いわゆる外国籍,さらにはいわゆる外国につながる子供たちの特有の構造があるのかどうか。何かお気付きのことがあれば少しお聞きしたいと思います。

【高橋氏】
 構造的な問題というところですけど,やはり親が自国の教育文化,教育の仕組みの中で育ってきていますから,子供は特に高校に行く必要はない,働けばいいんだという感覚を持つような家庭もあり,そういった意味での貧困の連鎖を生むような状況がありますけれども,それを逆に,高校に入って,しっかり勉強して将来大学とかで自分の自己実現を果たすという意味では,やはり高校に入っていくということは非常に重要だと思うんですね。そういった意味で私たちは,その高校に入った後きちんと,このキャリア支援という枠組みでやっていくと。
 実はカフェはキャリア支援と書いていますけど,これは非常にベースだと思っています。この後,本人たちが将来何をしたいかとか,そういうことを考える素地を作って,そこで最終的にキャリア支援,進路支援をしていくような枠組みで考えていますので,やはり,ちゃんと日本の社会の中で高校に入ることが,まず最低条件であって,その後,自分自身がどう自己実現を果たすかということに持っていくような流れが必要だと感じています。

【牧野委員】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 あと福田委員と東川委員と牛尾委員がいらっしゃいますけれども,ここは簡単な質問という形で,一人1問ずつ,お願いしたいと思います。
 では,福田委員からお願いします。

【福田委員】
 ありがとうございます。ものすごく簡単な質問です。今,先ほどのパワーポイントの14ページにございましたけれども,留学生ではない外国につながる高校生の存在。私,専門学校の団体の代表をしておりますけれども,途中までは何で専門学校に相談されないんかなと思っていましたけれども,御指摘のとおりでして,我々がほとんど分かっておりませんでした。その15ページに,神奈川県で実際に大学や専門学校,そして団体を呼んでという,参加したいという御報告ございましたけれども,全国的にはほとんどあるんでしょうか。そこだけ教えていただきたいんですが。

【高橋氏】
 こういった取組ですか。

【福田委員】
 はい。こういう団体ですね。サポートしていただいている団体ですね。

【高橋氏】
 そうですね。私ども全国ネットワークも組んでいますから,都市圏が多いですけれども,大阪とか,東京とか,それから静岡,愛知には,やっぱりそういった団体があります。こういう会を実際やっているのは東京と大阪なんですけど。神奈川と。ですから,まだまだこれから広げていきたいなと思っていますけど,まだ本当に,これから入り口の段階だと思っています。

【福田委員】
 全国に団体,協会ございますので,また後で名刺交換させていただきますけれども,是非詳しく。やはり進路が見えないので寂しいということが一番いかんと思いますので。済みません,長くなりました。
 以上です。

【高橋氏】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 では,続きまして東川委員お願いします。

【東川委員】
 失礼します。簡単に。先ほど御発表がありました多文化学習活動センターに,このボランティアの方が高校生180名強いらっしゃって増えてきたと,そういうお話を頂いたんですが,非常に気になったのが,彼らがその後どのような進路をたどったり,あるいは何か非常にリーダーシップを発揮するような場を目指していくような,助成されるような,そういうシーンがあったのかどうかと非常に気になったものですから,そこをちょっとお伺いできればと思います。

【高橋氏】
 多文化学習活動センターに関する高校生ですね。ちょっとここのところ人数増えてきて,それは,やっぱり高校が11校と連携しているので,その高校から来る高校生が増えたということで増えたんですね。その以前も,相模原青陵高校というところが単独で私どもの団体と連携していたので,そこからずっと来ていた高校生たちがいますけれども。
 一つは,全国で国際理解教育研究発表大会というのがあるんですけど,そちらの方にその相模原青陵の高校生たちが,外国につながる高校生インタビューしたり,彼らの困っていること,日本社会の文化の違いみたいなことを高校生がインタビューして,発表して,最優秀賞をとったんですね。だから,そういった意味だと,やっぱり彼らが自分で感じることなんかを,きちんと発表していくと。それから,そういうのを文化祭で発表したりすることがすごく学校の中,又は社会に対しての発信力になると思っています。

【明石分科会長】
 では最後,牛尾委員お願いします。

【牛尾委員】
 ありがとうございます。先ほどのカフェの運営を伺って,外国につながる子供たちだけを一くくりにして捉えるのではなく,いろいろな立場の人たちを巻き込んで,正にダイバーシティ&インクルージョンという考え方で進められて成果を出しているというのは,とてもすばらしいことだと思いました。
 外国につながる子供たちが,こちらでのさまざまな活動や支援を受けて,その後どのような道を歩まれたのか,進学,就職いろいろと考えられますが,具体的な進路を教えていただきたいことと,何か一皮むける経験があって大変立派な社会人になられたり,優れた功績を挙げられたりする方もいらっしゃると思うのですが,その子たちが今度OB,OGとして,この活動に,またメンターとして帰ってくるというようなことはないんでしょうか。

【高橋氏】
 今ちょうど,そういったお話のような部分で言うと,私たちは多文化ユースプロジェクトという大学生自身が作ったチームが今動き出していまして,ちょうど自分たちで助成金をとって,自分たちで後輩にキャリア支援をしたいということで,そういう活動の場を作ったりということで,今,20人ぐらいですかね。多文化ユースの,いわゆる大学生の子たちが自分たちでチームを作って動き出しています。
 ですから,そういった意味だと,自分たちがいろいろ苦労して,こうやって進路選択をしたり,大学に入っていくという中で,それぞれ,やっぱり後輩に対して自分たちの経験を伝えていこうという形で,本当に動き出したところです。
 進路についても,大学卒業して,ちょうど行政の職員に今年合格した子もいます。ですから,いろいろな形で自分たちの活躍の場というのをどんどん見つけていっている状況だなと思っています。
 具体事例はたくさんあるんですけど,一つ,公務員になった子もいるということで御紹介したいと思います。

【明石分科会長】
 高橋さん,本当に貴重な御意見ありがとうございました。
 では引き続きまして,海老原さんから御発表をお願いしたいと思います。基本的に20分程度の御発表で,あと15分ほどの質疑応答をしていきたいと思います。
 では,よろしくお願いします。

【海老原氏】
 御紹介にあずかりました一般社団法人kuriyaの海老原と申します。きょうは,どうぞよろしくお願いいたします。
 本日の発表なんですけれども,このような流れで,主に事例紹介を中心に,お話しできればと思っています。
 最初に団体について簡単に紹介しますと,私たちは,たくさんの可能性を持っている外国ルーツの若者たちが,その力を生かして輝ける社会というところを目指しています。16歳から26歳の,いわゆる高校生,大学生,社会人1年生から3年生相当の外国籍の若者を対象に事業を実施してきました。
 2009年より活動を開始しまして,最初はアートを通じた地域との交流というところをやってきたんですけれども,だんだんと,例えば高校生の中退の状況ですとか,いろいろな課題が見えてくる中で,2016年に法人化しまして,居場所づくりやキャリア支援といったようなことをやってきました。
 これまで約10年間活動する中で,300名ほど,様々な国籍の外国人の子供,若者と出会ってきたんですけれども,東京を中心に神戸,茨城,愛知でワークショップなどを提供しながら定時制高校やブラジル人学校,ネパール人学校などでも活動してきました。
 行政との連携や企業との協力を得ながら,また助成金を得ながら活動しておりまして,新宿区との協働事業ですとか,アーツカウンシル東京さん,トヨタ財団などから協力を得ながら事業を展開してきております。
 先ほど,もう前の発表で説明があったので,簡単に外国人の若者を巡る状況についてお話しさせていただきますと,昨年,東京の新成人の8人のうち1人が外国人という報道がなされましたが,例えば,こちらの一番左の図を見ていただきますと,定時制高校に通う日本語指導が必要な生徒たちの母語別状況を見ますと,英語ができる子が28%,中国語ができる子が33%,そのほかアジアの言語ができる子が多く在籍しています。
 また真ん中の図のところ,若者16歳から26歳まで在留資格別に見ていった場合,日本で足元で育っている外国籍の若者が22%おりまして,これは技能実習生の24%と同じぐらいになります。
 一番左の図のところ,今度は子供から若者までということで,0歳から26歳まで在留資格別に見ていくと,留学生や技能実習生と同じぐらい,外国人の日本で育っている子たちがいることが分かります。これから伸びる人口ですし,社会保障の担い手にもなっていくところなんですけれども,先ほどありましたとおり,中退率も高く,非正規雇用率も高いというような状況にあって,これまで例えば小学生とか中学生向けの学習支援とか,日本語教室では大人向けのものはあっても,若者というところになかなか支援が届いていないというような現状がありました。
 このようなことに対して私たちが事業としてどういうことをしているかというと,三つの事業を通じて課題解決に取り組んできました。
 一つ目がAfter School事業として,定時制高校での居場所づくりを行っています。中退予防を目的に,学校で外国籍等の生徒が孤立しないように,放課後の部活動という形で居場所づくりを行っていまして,高校,大学,NPOの三者連携で,2015年から立ち上げて,週1回から3回ぐらい,留学生や大学生を呼んで,様々な多文化交流事業を実施しています。
 二つ目がOut of Schoolという形で,学校外での活動として実践型インターンシップ,団体内でインターンシップのプログラムを設けているんですけれども,こちらは2017年から活動を開始しまして,若者たちがインターンとして,私たちの団体のプロジェクト運営や事業のリサーチなど関わってもらうプログラムです。
 三つ目は政策提言として,直接的な支援だけではなく,環境整備にも取り組んでいまして,例えば先ほどお話しした高校中退率や非正規雇用率としたデータは,これまで実は出ていなかったんですけれども,その現場で活動する中で,肌感覚として中退率が非常に高いのではないかということで,昨年度,文部科学省の方に調査の必要性を提言させていただきまして,調査を行っていただき,中退率の高さなどを明らかにすることができました。
 また,高校生のための具体的な支援策というところで,日本語だけではなく,例えばキャリアとか居場所作りとか,そういったような包括的な支援の事業の必要性を常々感じていまして,そちらを提案させていただいたところ,今年度より補助事業の一環として取組が始まっております。
 きょうは,この中でも,社会教育ということで,学校外のプログラム,学校外での学びの場,インターンプログラムについて事例紹介できればと思っています。
 そもそもなぜこのような学校外での学びの場が必要と思ったかというところなんですけれども,高校中退率が非常に高い,中退した若者たちが学べる場がない,また,高校を卒業して親と一緒に暮らすために来日した若者も一定数いるんですね。私たちが活動を続けていく中で,そういった高校を中退した子とか高校を卒業してから来日したような子たちに,どこか,何か学べる場がないかと聞かれたときになかったんですね。なので,そのような状況に対して,学校でもない,家でもない第三の学びの場を作る必要性があるというところが最初のきっかけです。
 二つ目に,ライフスキルの習得というところも必要性を感じまして,多くの高校生や若者が経済的にも家庭的にも厳しい環境にある子が多いです。もちろん日本語ですとか例えば数学といったような学問・勉強も大事なんですけれども,現実の世界で直面する困難に対してどうやって乗り越えていくのか,困ったときに誰にどういうふうに相談するのか,どういうふうに情報を集めて課題に取り組んでいくのかといったようなライフスキルを身に付ける機会が重要だと感じました。
 三つ目が,多様な人と出会う機会,社会からの孤立を予防する,そういったものが必要性として感じたところです。
 このような背景から様々な人とのつながりや体験を通じてライフスキルを提供するということを目的に,高校生,高校中退者,高卒で来日した20代の若者と,ここは幅広くインターンとして受け入れ,プロジェクト運営やリサーチなどをサポートしてもらっています。
 また,もう一つ,仕組み作りとして,多くの若者がアルバイトで自らの生活費ないしは親の生計も助けているような状況の中で,こういった活動に参加したくてもできないということがありますので,活動支援補助として奨学金のような形で,アルバイトで時間が取られてしまう分,補てんをするというようなことをしています。
 このようなインターンという形で働きながら学べる場を作るという仕組みを設けたときに参考にしたのが,Work-Based Learningという欧米で既に行われている取組がありまして,out of school for youth at-riskという形で,困難な状況にある若者への社会教育として,働きながら学べるプログラムが既に中退予防や進路決定などにインパクトのある取組として進んでいるというところを,大学の教授の方やいろんな方からアドバイスを頂きまして,その枠組みを参考にしています。
 具体的にどのような事業を行っているかということで二つ事例を紹介させていただければと思うんですけれども,一つ目は,美術館,社会教育施設でもありますが,こちらで実施をしたプロジェクトとして,東京都美術館でターンフェスティバルという社会包摂をテーマにしたアートフェスティバルがあったんですけれども,そこで多文化を考えるワークショップをインターンたちが企画して提供するということをしました。
 インターンの子たちはワークショップの企画,準備,実施,振り返りという一連のサイクルを体験するんですけれども,大体5人から8人ぐらいのグループで作業をしていきます。まず,企画としてワークショップのプラン作りを行いますが,例えば親子連れが多いのではないかとか美術だけではなく文化全般に興味がある人が来るんじゃないかとか,そういったターゲティングなども想像しながら企画に落としていきます。準備として当日ボランティアへのオリエンテーションですとかスタッフの役割分担,資料作成などをしながら,当日までに必要な作業を洗い出して段取りを付けていきます。当日の実践では,実際にワークショップの参加者への説明や司会進行,ボランティアへの指示などを担ってもらっていました。最後に振り返りの機会なんですけれども,参加者が楽しめるように積極的に話しかけられたかとか,司会進行のタイムスケジュールがうまくいかなかったとか,自らやったことを客観的に振り返りながら,自分の役割はどこまで達成できたのか,チームとして目標が達成できたのかというところを振り返ります。このような体験を通じて,横の方に五つの学び,五つの体験と書かせていただきましたが,こういったことを身に付けることを目的としています。
 参加者の中で出てきた感想としては,フィリピンから来日した若者がいたんですけれども,これまでは,例えば学校とかアルバイトとかでも言われたことしかしてこなかったと。ただ,ワークショップの企画で自分のアイデアが採用されたことで自信が持てて,アルバイトとかでもここは改善した方がいいなと思ったポイントを勇気を持って言えるようになったというような効果があり,提案する力が付いたという感想なども頂いています。
 二つ目の事例として,今度,社会に働きかける,社会の課題に対してインターンを自らがアクションできることを考えていくというプロジェクトを行いました。これは段階的に二つのフェーズに分けて実施をしていて,最初に,自らを知り行動することと,それから次のアクションとして,社会に働きかけるというステップになっています。
 最初のフェーズのところなんですけれども,まず自分の強みを知ること,それから自分の抱えている課題に対して小さな行動を起こすことを実際に体験していくんですけれども,三つのアクティビティーから成り立っています。最初にライフマッピングといって,これまでの人生で体験してきたことをこちらの図のような形で描いていくんですね。それを見ながらどんなときが大変だったか,どんなときがチャンスだとかを考えてきて,それに対して自分の強みを生かしてどうやって乗り越えたかというところを,これもグループワークで考えていきます。例えば来日して大変だったことですとか,言葉が分からなかったこと,友達ができなかったこと,いろいろ出てくるんですけれども,そういったときにどうやって乗り越えてきたということを改めて振り返る中で,自分の強みを認識していくんですね。
 二つ目のアクティビティーは,リゾースマッピングというもので,自らの周りのリゾースとか資源に対して意識的になるというようなアクティビティーです。これは例えば困ったときにどういう人に相談するとか,どんなふうに調べるとか,そういったことを対話で繰り返しながらやっていくんですけれども,大体,最初はみんな親とか友達というところで止まってしまうんですよね。でも,そこから,じゃあ例えば学校ではとか,アルバイト先ではとか,たまに行く市役所ではとか,ネットだとどういうところを調べるというふうにどんどん掘り下げていくことで,いろいろと自分の周りに実は頼れる資源がこんなにあるんだということを明らかにしていく内容です。
 こうやって自分の強みを知って,使えるリゾースを把握した上で,最後の三つ目のアクティビティーとして,それらを使って自分の今直面している課題に対してどうやって解決していくかというアクションプランを考えていきます。例えば,参加した高校生ですと,卒業後すぐに就職する必要があった子なんですけれども,どういう仕事に就いていいか分からなくて不安だという課題を抱えていたんですね。それに対して彼女が取ったのが,まずアルバイトを始めて,お金を稼ぐというよりも就業体験を積むことで自分の適性を知るというアクションを選んだんです。彼女の場合は日本と母国と行ったり来たりする中で,幼稚園は日本,高校からは日本,中学校はフィリピンという子だったんですけれども,環境が変わっても粘り強く負けずに取り組んできたというところが自分の強み体験としてあると。同時に,先輩とか親戚とかいろんな人に聞いてつながりで助けてきたという経験があるというところを基に,いろいろな自分の周りの先輩ですとか親族ですとかそういった人の体験を聞きながらアルバイトを見つけて始めました。これって小さなアクションかもしれないんですけれども,日本語に対して苦手意識を持つ中でアルバイトを始めるって心理的なハードルがかなり高いものだったんですけれども,それを自ら行動できたことで自信が付いたんですね。
 このようなフェーズを経てから,第2ステップとして,実際に社会課題について取組を考えていくということをやっていきます。このときは課題設定として,これから外国人が増えていくと予想される中で,学校生活の過ごし方が分からない外国籍の高校生や,どのように外国籍の生徒と接していいか分からない教員がいる現状があると。そのようなところに対して,参加した子たちが自ら外国人として日本で生活してきた経験を基に,彼らに役立つような,あとの人たちに役立つようなガイダンスをまとめようということがテーマ設定でした。
 自らの体験を振り返って,例えば学校で大変だったこと,欲しかったサポートはどんなことだったか,それを自分だけではなくてほかの人はどうだったかなということを分析したり共通項をまとめていったりしていきまして,最後に提案としてまとめていきました。出てきたところが,外国人の抱える課題というと,日本語というところがどうしても着目されがちなんですけれども,それ以外にも友達を作る機会がないとか孤立しがちであることとか進路や就職をどうしていいか分からないという課題もあるということが出てきたんですね。最後にそういったような課題に対して,生徒なりにじゃあどうすればいいか,高校生だったらどんなアクションがあるかというところを考えて,プレゼンテーションという形で提案をまとめて,実際に発表の場を設けました。
 このようなプロジェクトを進める中で参加者が言うようになったのは,自分も外国人として苦労してきたから,これから新しく来日する外国人の子が苦労しないようにしたいということが出てきたんですよね。なので,このインターンプロジェクトのポイントとしては,エンパワメントの場といいますか,自分も社会の一員として何かできることがあって,社会課題に働きかけるといったときに,どうしても力がないと思ってしまいがちなところが傾向として見受けられるんですけれども,例えば日本語もできないし,外国人だし,無力感みたいなところを感じることがあるんですが,そうではなくて,このようなプログラムを通じて,自分にも何かできることがあるんだよということを実感して,自己肯定感を持たせていくというところが狙いです。
 今このような事業紹介をさせていただきましたが,学校外での学びの場を設けていく中で私たちなりに社会包摂に向けた学びの場ってどういう場だったらいいのかなというのをまとめたのがこちらの図になります。
 四つのCと書かせていただきましたが,コミュニティ,ケア,キャパシティー,キャリアの四つの頭文字を取って四つのCとさせていただいています。これが包括的に踏まえたときに視点として必要なのではないかなと思っていまして,まず,学びとしてのコミュニティがある中で,ただそのコミュニティがあるだけではなくて,実は支援につなぐ必要性が出てきた場面があったりしたんですね。中には虐待,ネグレクトなどを受けているような事例があったときに,自傷行為をしてしまって病院に同行支援に行ったりですとか,あとはカウンセラーとかソーシャルワーカーに相談を仰いでつなぐというようなときがありました。そういったような福祉や医療との連携も必要になってくると思いますし,また,支援と同時に,先ほどお話ししたような自分も何かできるという自己肯定感ですとか成功体験ですとか,そういったエンパワメントの機会,キャパシティービルディングの機会も非常に重要だと思っています。
 こういったようなものをコミュニティの中で内包していったときに,キャリアとか進路の相談などの対応も乗るようになっていまして,中退してしまった子が学校にもう一回戻りたいというときの相談対応ですとか,あとは高校生が大学に進学したいんだけれども,お金がないし,どういう大学に行っていいかも分からないし,どうすればいいか分からないというところもあるので,実はこれから高校生向けのキャリアの伴走支援,どういった専門学校や大学に行ったらいいのか,そういった支援も始めていこうと思っています。
 このような複合的な機能を持つ学びの場としてのサードスペースが大事だと思っているんですけれども,これに加えて,このようなサードスペースの学びの場にどうやって対象者がアクセスできるかというアクセサビリティー,参加への仕組みを考えるのもすごく重要だと思っていまして,そもそも学校のような既存の教育の枠組みからこぼれてしまったような子たちがアクセスしづらい原因があると思うんですよね,正規の教育であったりするところに。なので,その原因を考えてアクセスしやすい仕組みを考える必要があると思っていて,私たちの場合はそれがインターンシップという形と活動支援補助金を出すというような仕組みとして設けていました。
 インターンシップのもう一ついいところとして,やったことを履歴書に書けるというところがあるんですよね。なので,アルバイトで例えばコンビニでずっと働きましたということに加えて,こういうNPOでインターンとして企画運営をしましたということを書けることが,次の就労とか仕事のステップにつながるという側面も出てきていまして,実際に参加者の中にはそこから就職が決まった者も何名かいます。
 最後に,社会包摂の学びの場を実施していくに当たって,主にこのような四つの課題があるのではないかなと思っています。まず人材のところなんですけれども,今,東京でこういった外国ルーツを対象とした,若者のみを対象とした団体で,フルタイムスタッフを雇っているところって実は私たちの団体ぐらいしかないんですね。神奈川は本当に多文化共生先進国だなと思っていまして,それと比べるとなかなか事例も活動も少ない。担い手の育成が必要ですし,また,仕事としていろんな人とつないだり地域とつながったりというスキルも専門性も必要になっていくので,ボランティアのみならず職業としての確立が大事なのではないかなと思っています。
 また,サードスペースといったときに物理的な場として,社会教育施設などを活用していくようなこともあると思いますし,今私たちは田町にあるコワーキングスペースを活用しているんですけれども,多様な大人と出会える場として,既存の社会教育施設に加えて,社会の中のいろいろなオルタナティブなスペースも活用の可能性があるのではないかなと感じているところです。
 三つ目に連携と書かせていただきましたが,先ほどあった虐待のケースのようなところで,たまたまそのとき高校生で私たちが居場所作りを行っている定時制高校から中退してしまった子だったんですね。そのときはちょうど中退する・しないの瀬戸際のところだったんですけれども,たまたま運よく学校の教員とのコネクションがあったので密な連携を図ることができましたが,やっぱり人と人とのつながりのみに頼ってしまっていて,これがもう少し制度的につながるような連携の仕組みがあるといいのではないかなと思います。
 最後に認識と書かせていただきましたが,学びの場って,もちろん学校もありますし,非常に大事だと思うんですけれども,学びの場にも多様性があっていいのかなと思っていまして,学校だけはないところが,学びの内容も勉強だけではなくて,例えばライフスキルのような,いろんなところの学べるような学びの場があるんだよというところがもう少し広がっていければなと思っています。
 最後に,今でも活動していて印象に残っている言葉があって,高校を中退したネパール人の若者が,先ほど御紹介した美術館でのインターンを終えた後に,すごいチャレンジングで,大変だったんですけれども,でもとても成長できたと思うということを言って,うれしかったというふうに言ってくれたんですね。彼女は経済的に苦しい状況にあって,親をサポートするために学校を辞めてアルバイトで生計を助けていたんですけれども,やっぱり中退してしまってアルバイトをする日々の中で,毎日が同じことの繰り返しで将来が見えないと。一体自分はどうなっていくんだろうと思っていたそうなんですね。なので,こういった機会がこれまでなかったし,諦めていたんだと。なので,自分が成長できるような機会があることが日本に来てすごくうれしかったことだったというふうに言っていました。
 そもそも社会包摂が必要なことって,もちろん外国人のみならず例えば発達障害の方ですとかマイノリティー的な立場に置かれている人たちが,どうしても社会の枠から外れやすい傾向があるのではないかなと感じていて,実際の私たちの活動も外国人の子だけじゃなくて日本人の障害のある子も参加したりとかしていました。そういったときに,枠から外れてしまうとじゃあどういったところで成長機会を得て社会をつながっていくかって考えると,今回この発表を準備させていただいて,社会教育って実は学びの場の機会の確保の最後のとりでなんじゃないかなと実感として思っております。
 ちょっと駆け足になりましたが,私からの発表は以上になります。御清聴どうもありがとうございました。

【明石分科会長】
 海老原さん,貴重な事例等,また,すばらしい御提案を頂きましてありがとうございました。では海老原さんに対する質問がありましたらお願いいたします。

【高倉委員】
 ありがとうございました。事例2の説明の中で,自分の強みを知る・弱みを知るということは自分の自信につながることから,就職にもつながっていくと感じました。先ほど高橋さんの話の中では,若者サポートステーションと連携をし,就労支援を行っているとの話しがありましたが,就労支援について,具体的に行っていることがあればお聞きしたいと思います。

【海老原氏】
 本当に御指摘のとおりで,その必要性をすごく感じています。就労支援もやっていければなとすごく思っているんですけれども,正直,神奈川のように若者サポートステーションとの連携やそういったところまではまだできていなくて,やりたいけれども人員的にも限られている中でどこから手を付けていいかなというところが現状です。でも本当に必要性,特に高校を卒業して就職する子が定時制高校とか多いので,ちゃんとした伴走は本当に必要だと思っています。

【明石分科会長】
 ほかにございますか。

【山本(仁)委員】
 1点,先ほど御指摘の中にアクセサビリティーが非常に大切だということだったんですけど,現状はどんな形で海老原さんのところに子供たちといいますか,学生はアクセスしてくるような形が多いんでしょうか。

【海老原氏】
 アクセスのアウトリーチ活動というものはかなり力を入れてこれまでやってきたところなんですけれども,私たちが特に大事にしているのが,エスニックコミュニティーと直接つながっていくこと,そこにアウトリーチを手伝ってくださる方をお願いしたりしています。
 全国にもあります在日ネパール人協会というところがありまして,そこの青年委員会みたいなところがあるんですけど,そこで元その部長をされていた方ですとか,あとは実際のワークショップとか事業に参加した高校生とか若者をユーススタッフとして,雇うというか,ちょっとこれもアルバイト代を出しながら手伝いをしてもらって,彼らたちに直接その人集めをしてもらうんですね。なので,そういった形で直接的につながれるようなことはしています。
 あとは,みんなすごく忙しいというところはありまして,高校生であっても,若者,高校を卒業した子であってもアルバイトをすごくしている中で,活動に参加したいんだけれども本当に物理的に時間がない,可処分時間というんでしょうか,ないという子が多いんですね。なので,そこを,私たちの場合,インターンシップだとペイドで,幾らかアルバイトを休んだ分,その分の補てんとして活動支援金をサポートするという形だったりとか,何か関わるときにおいても,例えば交通費を補助するようにしたりとか,そういったところの仕組みは意図的に作っています。ただ,やっぱりお金を与えるってある意味ちょっと気を付けなければいけない部分もあると思うので,その部分に対してはちゃんと,こういう業務内容なんだよ,こういうコミットメントをちゃんとしなきゃいけないんだよというところは伝えていますね。

【明石分科会長】
 ほかに何かございますか。

【牧野委員】
 ありがとうございました。社会教育にとっても大事なことで,感銘を受けました。
 ただ,一つだけお聞きしたいのは,ご報告にもありますように自信を付けるというか,自己肯定感ですとか非認知能力という問題が関わっていると思うのですけれども,それと例えば母語の保存ですとか日本語の支援のようなことはどう関わっているとお思いでしょうか,ちょっと経験的なお話を聞きたいと思ったのですが,いかがでしょう。言語の問題と自己肯定感ですとか,そういうことの関係なのですが。

【海老原氏】
 そこはちょっと学術的な研究とかはしたことがないので本当に現場での肌感覚になってしまうんですけれども,自己肯定感と日本語習得ですとか母語のところって,実はすごく関係性があるんじゃないかなと思っていまして,日本語が理解できて一定しゃべれるようになっても,日本人と話すのが怖いと言う子が結構いるんですよね。自分に自信が持てなくて,積極的に人と話したりとかできない。言葉って,私も海外で育って,英語が全くできない中イギリスに行って一からやるという体験をした身からすると,使わないと伸びないんですよね。もちろん,ちゃんとした日本語教育も大事なんですけれども,それに加えて,日本人の友達を1人持つことがすごく言葉を伸ばすことにもつながるし,やっぱりそのときに,先ほど質問であったとおり,自分の強みとか自信もすごく大事になっていると思っていて,ただ,自分のできない部分ばかりに焦点を当てがちになってしまって,実はこんな強みがあるんだよ,こういうことができるんだよというところは,周りが意識的に言ってあげないと,自分では培うことが難しいと思うんですよね。
 あと,母語のところに対しても,特にフィリピンの子とかはそうですね。日本生まれの子とか,あと日本とのダブルの子だったりすると,自分のルーツを隠したがるような子もいる傾向もありまして,そういったところでも,恥ずかしいことでもないし,むしろ自信を持って,例えばタガログ語ができるとかビサヤ語ができるとか,そういったことは自信を持っていいんだよというのも機会としてあるといいと思います。

【篠原委員】
 日本に住む外国人の子弟が通う学校の一つのスタイルとして,インターナショナルスクールというのがありますよね。結構最近,全国にできていて,日本人の子弟も受け入れているところがあるんですけれども,こういう学校のいろんな問題というのは,あなたたちの活動の対象外なんでしょうか。それとも,こちらは日本の学校にむしろ外国人の人たちが一緒に学ぶということで,逆に外国人が中心で日本の人も今入ってやっているような学校スタイルですよね。そういうのはどうなんですか。別格の存在なのか,あるいは,そこはそこで関連性というのは求めていかれるのか,どうでしょうか。

【海老原氏】
 インターナショナルスクールのようなところと今後関係を,関連性を持ちながら事業をするかどうかという御質問という理解で大丈夫ですか。インターナショナルスクールもいろいろあるのかなと思っていまして,いわゆるIBカリキュラムとか大使館の御子息の方ですとか,そういったような方が通われるところとは,ちょっと同じ外国人としてもターゲットが違うのかなと思っています。ずばり言ってしまうと,経済的なところですね。私たちが接しているのは,経済的な貧困ラインにある子たちというところが多いので,これからインターナショナルスクールと何か連携してというところは特には考えてないんですけれども,ただ,やっぱり,貧富の差はあれど,同じ外国人として暮らしていく大変さみたいなところは,インターナショナルスクールに通っているようなところの親御さんも感じているところはあると思いますので,事業としてではないんですけれども,こういった活動に対して理解をしてもらったり関心を示してくださったりということはあります。

【篠原委員】
 一つだけ。やっぱり包摂という概念は,そういうのも全部僕は普通,想定論であると思うんですけどね。これは私の意見です。

【海老原氏】
 そうですね。そこは実は私たちも事業をやっていく上で最初悩んだ部分でもあって,お金のあるなしでラインを引いてしまってもいいのかというところはありました。例えば,実際にこれまで長くやってきたようなアートを通じたワークショップですとか,そういったようなものは,特にあなたは貧困の子だから参加してもいいとか,そういうことは全くせずに,誰でも参加していいよというふうな形ではやってきています。
 ただ,今言ったような居場所作りとかインターンプログラムは,どちらかというと,これも事業の選択として,経済的になかなか困難な状況を対象にするというふうにしてきました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 ほかになければ私の方で,海老原さん,1点だけ。この事例紹介で,After schoolとOut of schoolって二つ分けていらっしゃいますよね。サードスペースって,第三の空間というのが大事だとは思うんですけれども,この二つを分けた意味はあるんでしょうか。

【海老原氏】
 そうですね。放課後というところと,本当に物理的にも学校外というところで分けているんですけれども,どちらも居場所作りの要素はあるんですが,授業を作っていく上で,既に移民が多いような海外の事例を参考としていたときに,学校の中にあって放課後のプログラムだと,学校に行っている子が参加できるんですよね。
 分かりにくくて申し訳ないんですけれども,アフタースクールとしたのは,基本的には学校の中にいる子たち,学校の中にいながらも孤立を感じているような子たちに対しての居場所作りをしています。
 アウト・オブ・スクールというふうにしたのは,本当に物理的な意味でも学校外で,例えば学校を中退してしまったとか,学校にも所属していないような子たちも参加できるということで,アウト・オブ・スクールと位置付けています。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。新しい概念だと思ったのでお聞きしました。
 では,これまで高橋さんと海老原さんの方から貴重な御意見を頂きました。
 これからは資料3に提示しています審議の視点といいましょうか,今回の社会的包摂の問題を生涯学習でどう捉え直すかということに議論を絞っているんですけれども,それから,関委員とか菊川委員,清原委員から貴重な御意見も出ております。
 これから50分ほど想定しまして,審議を深めていきたいと思っております。例によりまして自由な発言を頂きたいんですけども,できたら名札を立てていただけると助かります。
 では,まずこちらの山本委員から。

【山本(健)委員】
 きょうは二つの事例ありがとうございました。日本のこれからの社会といった非常に切実な問題かつ重要な問題だと思いますので,こういうことに対する試みが民間のいろんな努力で始まっていること,大変心強く思いました。
 そこで二つあるんですけれども,そのことの重大性ですが,きょうの資料の中でも入管法の問題に触れられた記事がありますけれども,皆さん方余り注目されなかったかもしれません。今年3月の東京大学の卒業式の式辞で,五神総長が見田宗介さんの『まなざしの地獄』というエッセイを取り上げられて――かつての永山則夫事件ですけれども――要するに,永山則夫は青森から希望を持って上京してきた。そこに身を置かれた自分はまなざしの地獄の中にあって,希望が恨みに重なって,ああいう事件になったという分析をされていて,東京大学の学生にしっかりと教訓を踏まえるようにおっしゃっているんですけれども,ちょうど3月の卒業式,入管法を施行する前なんですけれども,私も,いや,五神総長,不思議なことをというか,こういう時点で取り上げられているんだなといろいろ思ったんですけれども,考えてみれば,正にこれから日本は,青森から来たような少年だけではなくて,アジアから多くの青少年が日本に希望を持ってやってくると。それに対して,彼らをどう受け止めて,新たにエリートが,本当にダイバーシティの視点で受け入れられるリーダーになれるのかということについて非常に深刻な話をされたんだなと思っております。
 これは作成された経過もお聞きしたんですけれども,五神総長もいろいろお考えになったようですけれども,その意味で,これからの日本にとって非常に切実な問題であるなと私自身思っていたんですけれども,対照的な二つの団体をきょうは紹介いただきましたが,取り上げられて,大変心強く思いました。
 きょうのテーマで,生涯学習あるいは社会教育の課題としてどう受け止めるかというときに,日本の社会教育の歴史からすれば,例えば差別の問題とか切実な問題を公民館などでしっかりと受け止めて,地域の中で本当にインクルーシブを包摂していくような協働学習をやってきた蓄積があると思います。
 ただ,残念ながら今の社会教育の状況は,実際そのものも変質はあると思いますけれども,神奈川県のように,正に課題を正面から掲げて,協働事業として展開するということも部分的にはありますけれども,多くの行政機構がサービスになっていて,本当コミュニティとしてそういう課題を真正面から取り上げるかということについては非常に脆弱になっていると思いますし,要は,関さんのようにその遺伝子を引き継いだ,この社会教育の人たちもおられますけれども,これがだんだん衰弱しているという状況の中で,社会教育の政策として,しっかり過去の伝統とつなぎながら,新しい課題をどう取り上げていくかということについては切実な問題なので,概算要求でもいろいろされているようですけれども,もっと正面に掲げて我々は考えていく必要があるなと改めて思いましたので,発言させていただきました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,菊川副分科会長。

【菊川副分科会長】
 私は地方の生涯学習・社会教育行政を長く見てきた立場から,資料4-1について補足説明をさせていただきます。
 本日のテーマの社会的包摂の例示として四つ課題が挙げられていますが,この四つの課題に対して生涯学習・社会教育行政との位置関係ですけれども,やはり地域における日常的な助け合いの風土が土台になければ,こういう問題というのは長期的に解決していかないと思います。しかし,一方,地方の生涯学習・社会教育行政がやれることには人的にも物的にも限りがありますので,施策の重点化をどういうふうにやっていくのかが大事だと思ったところです。
 そこで解決のための方策ということで,最初に人材だと思います。いつも同じことを言って恐縮ですけれども,やはり社会教育主事や社会教育士等の社会教育人材がまだ残っているうちに,その質量を高めていく政策を行う必要があるのではないかというのが1番目です。
 それから,きょうの事例を二つ聞かせていただいて,特に外国人や困難事例等々,関係行政領域とか,あるいは特定目的のNPOとか,専門人材というのが必要だと改めて思ったところでございます。専門人材の一つの供給元として,高橋先生の御発表にありますように,やはり経験者OBといいますか,そういう方々が人生100年時代の中のせめて80年ぐらいまで,専門家としてリタイア後,地域で活動をされる仕組みがいるのではないかと思いました。
 それから,地域ですが,関係者以外の住民をどう巻き込むかというところで,地域の中では人々はあるべき論では決して動かないというふうに思っております。ですから,昔から社会教育主事は,人々の本音や自身の必要性,楽しさを加えた企画をする中で,必要課題を要求課題に変えていくことを工夫し,このことは社会教育主事独自の力量だったと思いますが,こういうものが今も求められていると思います。
 今期の生涯学習分科会の役割の一つですが,9期の「開かれ,つながる社会教育」,あるいは,「人づくり,つながりづくり,地域づくりにつながる社会教育」という答申を具体化することということが10期に求められていると思います。
 それで,今日のように,非常にすぐれた発表事例の普遍的条件の分析,あるいは調査研究を実施し,それを地域の生涯学習・社会教育関係者が共有化するということが求められているのではなかろうかと思っているところです。 

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,引き続きまして,関委員,資料がありますから。

【関委員】
 きょうはいろいろお話を聞かせてもらいながら,改めて都市部,東京あるいは横浜の現状と,我々地方の現状は違うんだなと初めに感じました。先ほど8人に1人が外国の関係の方というお話を聞きました。我々の地域で言えば,実際,我々の町が12万ほどの人口なんですけれども,そのうち外国の方は,その1%に満たないような現状であります。それゆえに,自分たちの地域の課題としてまだまだ捉え切れてないのかなときょうの話を聞いて感じました。
 ですから,本当,それを自分たちの我がこととして考えるために,置き換えではなくて,むしろSDGsみたいな取組の中で,もっと真剣に考えていかなければいけない,そういう訴えも必要ではないかなと感じます。
 あと,どうしても支援というとケアという形になって,その人との関係性の中に,どちらかというと,上から下のイメージがどうしても伴うような気がしてなりません。やっぱり社会教育というんであれば,共に学ぶというスタンスが基本になければいけないんだなと改めて感じたものでございます。
 実際,これも具体的な話なんですけれども,この中に書いておりますけれども,新居浜にいる1%の外国の方は,この頃労働者として新居浜で働く人が結構多いようでございます。その企業との絡み,本当に一部の企業でありますけれども,そこに対してのアプローチすら社会教育あるいは行政としてはまだまだつながってない気もいたします。そういったところで接点を作っていって,外国の方といろいろなつながりができて,共に学び合って,一緒に何か事を起こしていく,本当に公民館の原点である,集い学ぶ,そして結ぶ,そういった機能を改めて地域の中に組み込んでいくのも,今から本当に必要ではないかなと思っております。
 以上でございます。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,清原副分科会長。

【清原副分科会長】
 ありがとうございます。清原です。
 私も事務局から是非社会的包摂と生涯学習・社会教育をめぐる視点について,何か意見があればという御提案がありましたので,資料3の事務局に整理していただいたものに沿って考えてみましたことを少し補足的に発言させていただきます。
 まず,社会的包摂と生涯学習・社会教育をめぐる問題の背景でございますが,本日は象徴的に外国につながる子供・若者に対する,高橋さん,そして海老原さんの実践例を伺いましたけれども,そうした対象だけでなくて,困難を抱える家庭や子供たち,あるいは障害のある大人や子供たち,いわゆる引きこもりなど,社会的に孤立しがちな若者や高齢者への支援,あるいは共に学ぶということについては,正に持続可能な開発目標SDGsの誰一人として取り残さないという理念と重なると思います。
 従いまして,こうした皆さんが自立していくこと,何よりも基本的人権を尊重されていくこと,そして,共生していく方向性について,生涯教育・社会教育の立場から検討することが正に有意義になってきていると問題の素材を認識するわけです。
 それでは,具体的に社会的包摂に向けた生涯学習・社会教育の在り方・姿はどうあるべきか。社会的包摂というのは漢字が並んでいてとても冷たく,外国語のダイバーシティ,インクルージョンがいいのかというと,それもなんですけれども,要するに,誰もがそれぞれ尊重されて,共に生きるためにという目標をいかに生涯学習・社会教育が実現していくかということだと思うんですね。
 その際,一つとして,生涯学習・社会教育における学習内容として社会的包摂を設定する際の在り方・姿を考えるという視点と,生涯学習・社会教育の学習者として外国人の家族や子供たち,障害のある大人や子供たち,いわゆる引きこもりなど,社会的に孤立しがちな若者や高齢者を位置付ける場合とに分けられると思います。もちろん社会的包摂に関わる課題を検討する際に,当事者が一緒に学び合うということが重要であるということを,実はきょう,お二人の事例は明らかにしていただいたのではないかなとも感じています。
 また,学習者を,外国人の子供・若者とする場合には,外国人児童・生徒に対する学校教育での外国語教育や補習授業等の教育と,生涯学習・社会教育あるいは首長部局の国際交流部門における取組とどのように区分するのか,連携するのかということが重要で,神奈川県の事例などは,正にその連携が示唆されているなと思いました。
 また,学習者を障害のある子供・若者とする場合には,学校における特別支援教育といかに役割分担するか,連携するかという課題があります。自治体行政においては,社会的包摂に係る諸課題については,従来,学校教育の担い手,あるいは社会教育の教育委員会というよりも首長部局で対応してきているという経過があります。
 しかし,生涯学習・社会教育の在り方を検討する際には,教育委員会,大学,専門学校,あるいは,きょう明らかになったことは,定時制教育とは密接不可分な連携が有意義であるということから,より一層,首長部局と教育委員会の連携が重要ということが明らかになったのではないかと思います。
 それでは,次に,上記を実現するためにどのような課題があるか。特に,NPOや社会教育団体などの民間団体や人材の活躍連携をどのように促進していくことが考えられるか,関係機関や行政の果たす役割や取組はどのようなことが考えられるか。これもきょうお二人の事例から,正にNPOや民間団体の活力というのが社会的包摂には不可欠ということが明らかになったと思います。
 そこで,具体的に外国人の家族や子供の場合には,国や民族によって,言語,文化,習慣等に沿った対応が必要となるのではないかと思われますし,障害のある大人や子供を学習者とする場合には,障害者差別解消法の規定に沿って,障害種別に適応した合理的配慮が不可欠です。外国につながる子供たちで障害のある場合もありますから,そうした伏線で考えていくことが重要になると思います。
 そこで情報提供者や講師としての活躍の在り方も重要で,お二人の事例から,共に学ぶ中にあった外国につながる学習者が学習機会を保障されるだけではなくて,社会的包摂について学習する際の情報提供者や講師として活躍するという方向性が示されました。このことが重要で,特にカフェなどに参加していた方が公務員になったというのは,やっぱり重要な方向性かなと思いました。
 私は市長をしていたのでつくづく感じているんですが,社会的包摂に向けた学びの条件整備を進める際には,教育委員会と首長部局の密接な連携が必要ですし,民間団体の皆様との連携が極めて必要になり,国際交流協会やNPO法人や社会福祉法人などとの関係が重要と考えます。
 社会的包摂についての生涯学習・社会教育を推進する上で,先ほど関委員からも問題提起があったのですが,こうした問題が深刻である重要度が高い地域とそうでない地域がありますが,少数であってもそういうニーズがあることは確かです。そうであるならば,隣接自治体間の連携や広域連携の必要性もあるのではないかと思います。
 また,海老原さんは国に問題提起をされて,それが実現されたということですが,国でも,文部科学省以外でも,このような課題に取り組んでいるところがあり,国において文部科学省が他省庁と連携されているように,首長部局と教育委員会のみならず,隣接地自治体間,あるいは離れた自治体と,このような問題に直面している自治体との連携も考えられるでしょうし,外国と日本との連携も,今はインターネット時代ですからあるかもしれません。
 きょう,お二人の問題提起を踏まえながら,障害者や支援を必要とする,最近市町村でも注目している引きこもりの課題なども含めて,社会的包摂と生涯学習・社会教育をめぐる問題を更に推進していくときの視点を加えさせていただきました。
 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

【明石分科会長】
 貴重な御意見ありがとうございました。
 では,牛尾委員,お願いします。

【牛尾委員】
 きょうのすばらしい事例を伺いながら,社会的包摂ということについて,また,改めて考えたわけでございますけれども,私はやはり大学の教員として思いますのは,こういった外国人であるとか,障害を持つ人であるとか,マイノリティーといいますか,そういう立場にある人に対する理解をどれだけ深めていけるのか。特に大学教育において,社会に出る前の大学生の段階で,そうした多文化理解ですとか,多文化社会の中での共生というものをアカデミックに,また実体験として,様々な属性の皆さんとの交流であるとか,一緒に何か,例えばカフェという話もありましたけれども,そういった一つの授業を共にすることによってその意識を変えていくといったカリキュラムを大学の中でももっと積極的に展開していけるような,それを促進していくような方向性が重要になっていくのだと思いました。
 一つ,それがきっかけとして考えられるのは,私どもの大学でも,SDGsというものを意識してどれだけ大学が変わっていけるか,例えば,アドミッションポリシー,ディプロマポリシー,カリキュラムポリシーという三つの視点からSDGsにどう向き合っていくのか考えていかなければいけないという立場にありますので,正にそのカリキュラムの部分であるとか,また,受入れ,アドミッションのところでは,現行の外国人入試の在り方を見直していくことが必要になってくるのだと思います。
 例えば在日の外国人の方で,日本語がまだ足りていないという方に対する受け入れをどう考えるのかということ,また,経済的な支援という意味で,やはり奨学金をどうしていくのか,特に給付型の奨学金をどれだけ充実させていけるのかということがとても課題になっています。
 これについては,うちなどは私立大学ですので,卒業生や御父母の方々への寄附金の呼びかけが何より重要となるわけですが,公の意味での奨学金をもっと大きく配分できるような,国としての対策というものは常に求められるところだと思いますので,そこのところの議論が極めて重要であると感じました。
 それから,きょうはご発表の中で,孤立したところに置かれている方はなかなか自信が持てないというお話がありましたが,必ずどんな方でも自分の強みというものはあるはずで,例えば,アートが好きで何か芸術的な表現ができる。じゃあ,その人たちのアートをギャラリーなどの場で展示する。そこにいろんな人たちが見に来て,その作者と対話ができるような機会,そういうイベントなどを開いていくことはその方々の自己効力感を高めていく意味でとても大切だと思いました。
 この間,私,実はなるほどと思ったことがあったんですが,これは神奈川で行われていた聾者の方が人形劇をする公演で,ただ表立っては聾者の方による人形劇とは謳っておらず,一般の市民の方は通常の人形劇だと思って観劇するわけです。観客は人形を操る人の中に手話を使っている人がいるのを見て,おそらく手話の解説なんだろうなと思うわけですが,公演終了後の出演者の見送りの場面で初めてそれは聾者の方が主宰する劇団による公演であることに気付くわけです。実は障害者の方による人形劇だったんです。けれども,別に聾者の人形劇を見に来てくださいとは出してないわけです。子供たちは,普通に人形劇を見に行ったつもりが,聞こえない方が人形を一生懸命操ってやっている姿や手話によるパフォーマンスの面白さを知って,「うわ,すごい!」と純粋に感動して,作品の素晴らしさは障害者,健常者に関わらないことを体感するきっかけになりました。その子たちが覚えたての手話を使って演者の方にお礼の御挨拶をして,会場を後にする様子を見て,これが正に包摂の世界だなと感じました。ですので,こういう特別な人がやる舞台ですよとか,こういう人がやったアート作品ですよとか大げさに言うんではなくて,普通にこうしたテーマの素敵な芸術作品の展示会がありますよという形で紹介することでマイノリティー,マジョリテイーのバリアを減らしていく機会につながるのではないかと考えました。
 そのような場を創出していくためには,今正に各企業SDGsということで,CSRの充実を考えていますので,うまく連携しながら,自然に触れられる機会というものを多く作っていければ,特に子供たちとか若い人たちというのは偏見を持つ前の人たちなので,そういう人たちに対して意識を改革できるような場というのをどんどん作っていけたらいいのではないかなと思いました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,萩原さん。

【萩原委員】
 ありがとうございます。幾つかポイントを絞ってということですが,まず,当事者がいろんなところに参画できているという社会的包摂は非常に重要で,そのときの当事者の強みを生かせるためにも,やはりNPOの存在というのは非常に大きいなと実感いたしました。
 障害というと,実はうちの孫が先天性代謝異常で生まれ,そして,肝臓移植をしているので内部障害ということになります。そうなってきたときに,自分の孫自身が当事者であるということの強みと,母親の強み,それが社会を変えていく力になるんだなということで,まずは当事者自身が発信できるようなものということでNPOを立ち上げました。
 そのときに障害を持つということを隠すんじゃなくて,どう当事者が自分で発信できるか。最近言われているのが,助けてと言える社会をもっと作っていこうじゃないかと。求援力とよく言われています。求援のキュウは求める方です。私,今,困っているので助けてと言える社会。ところが,日本はどちらかというと,人に迷惑を掛けないとか,助けを求めてはいけないというところが強くあったように思います。
 ですから,求援力を,助けてと求めるような教育というのも必要ないじゃないかと。その当事者が,今度は自分の強みを引き出せるのは,エデュケート,引き出す,そしてエンパワメントできるようなものを作っていくという,正にそれが社会教育というところにもつながってくるんではないかと思いました。
 お二人の話を聞いていて,やはりボランタリー基金21にも関わった人間としては,ほんのちょっとの支援があって,いい活動を展開させていて,それが全国展開になっていく,つながっていく。
 実はいろんな困難を抱えている方たち,特に学習支援のところでは,社会学的な調査結果によると,経済的な問題もあるし,文化環境というか,学習環境もあるけども,実は一番重要なのはつながり格差であると。つながり格差を何とかなくしていくということが実は大事だというところに,きょうのお二人の活動の中に,正にそこを埋める活動をいろいろ展開しているなと。だとすると,NPOを支援するための仕組みをどのように作っているのか,ボランタリー基金21は,岡崎さんの非常に重要なアイデアで,永続的にできるような仕組みを作っていますし,海老原さんはたしかトヨタ財団ですよね。すいません,関わっていたので。トヨタ財団なんかも助成することによって,最初のNPP,よく私たちはノン・プロフィット・パーソンと言っていますが,もうけにもならないことを率先する人がいなければ,こういう活動は展開しません。そこに対して,大事だよね,これを応援したいねという人たちが集めって,NPGになり,そして,NPOになり,そこに支援をする財団があったりとか,人がいたり,その仕組みをしっかりと作っていく。そこに行政だったり,民間企業であったり,先ほど企業のお話もありました,というのが大事かなと思った次第です。
 ですので,私が一番言いたいのは,やっぱり生きづらさを持っている方たちが自分から発信できるような,それから,待っているんじゃなくて,先ほどアウトリーチということをおっしゃっていたので,そこも手厚くしていかなきゃいけないんだけれども,海老原さんが私たちのような活動をしているところで,フルタイムの職員を持っているのもうちだけでしょうという,やっぱり脆弱性というか,そこの基盤整備をしっかりとやっていくということが,様々な主体が連携協働しながら社会的包摂を進めていく一つの大きなポイントになっていくのではないかなと改めてお二人の御報告から感じた次第です。
 以上です。ありがとうございました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,牧野委員,お願いします。

【牧野委員】
 きょうはどうもありがとうございました。たくさん学ばせていただきました。その上で,審議の視点ということなのですが,社会的包摂という形で今日は議論が進んでいますが,包摂というと,弱者ですとか,少数者の方々を社会に巻き込んで,一緒にやっていきましょうという議論になるような感じがするのですけれども,もう既に外国人の方々というのは少数者ではないでしょうし,高齢者の方々も圧倒的な数になっているわけで,その意味では,共生していくというところから,更にもう一歩進んで,社会を一緒に作っていくというような,新しい社会の創造へ向かうというような議論に向けていく必要があるのではないかと思って今日はお話を伺っておりました。
 特に,例えば社会的包摂を進めていく上で,自立を促していく,支援をしていくという場合に,やはりどうしても考えなければいけないのは,その方々の雇用や就労といったことで,社会的,経済的な生活をベースにして,社会の中での自立を支援しようという議論になるかと思うのですが,実はこの就労の問題も,2015年の答申を作るときにも議論になったと思いますけれども,従来の就労とか雇用といったものが保障されるのかというと,もうそうではないのではないかという議論があったはずだと思うのです。
 そういう意味では,いわゆる就職,いままでは,就社するという感じで,例えば一つの会社に勤めて,同じような職種に就いて,一つの仕事で一生を終えていくような議論であったわけですが、そうではなくて,むしろマルチステージであったり,又はパラレルキャリアのような形で,雇用関係に入るというよりは業務委託を受けるような関係に入ったりですとか,さらにはテレワークのような形で,会社に行かなくても仕事ができるという,今後様々な可能性が展開していくだろうということの中で,学校経由の就労をベースに今までは社会制度を考えてきましたけれども,むしろそうではなくて,一生涯学び続けて,自分の人生を考えながら自分の人生を作り直し続ける力を付けていこうという議論の中で,生涯学習ですとか学び直しという議論が出てきていたのだと思うのです。
 さらに,このことは,内閣官房にできた人生100年時代構想会議などでも言われた「学び直し」という議論とも関わってくると思います。更にそこでマルチステージな人生を歩むことが提唱されましたが,そうしたものと,例えば,この生涯学習分科会での議論,今後,社会教育や生涯学習をどうするのか,開かれつながる社会教育の実態はどうなのかというときに,やはり人生につながりつつ,人生を常に考え直しながら,学び続けて,新しい自分のステージを自ら作っていける力を付けていけるような生涯学習の在り方,また社会教育の在り方といったことが検討される必要があるのではないか。そうなってくると,そこに例えば,むしろ包摂ということよりは,一緒に生活をして,一緒に新しい社会を作っていく,その学びをどう保障するかという議論の中で,では,制度をどうしたらよいのかということが議論になるのではないか。こんなことを考えながら,今日はお話を伺っておりました。
 このこととの関わりで申し上げれば,私の感覚では,既にこれまでの議論の中で様々制度的な改革がなされていて,多分,新たな社会をつくるための材料はあるような気がするのです。例えば,来年から始まる学習指導要領の中で,コミュニティースクール,地域学校協働活動,さらには探求的な学習との関わりで,いわゆるアクティブラーニングが言われている。更に社会教育士という称号ができて,来年度の社会教育主事養成課程から,取得できるようになりましたが,こういう方々をどうやって社会に普及させて,今日議論になっていたようなコーディネーターですとか,支援者のような形で活用していくのかといったことも,あとは制度の運用の仕方で随分変わってくるような気がします。
 そういう意味では,そうしたものも含めて,今後の新しい社会,あと10年,2030年が,15年答申のときには議論になっていましたけれども,あと10年ぐらいで社会はがらっと変わっていくだろう,格差が広がっていくだろうと言われる中で,やはり一緒になって新しい社会をどう作るのかといったことを生涯学習と結び付けていく必要があるのではないかと感じております。
 どうもありがとうございました。

【明石分科会長】
 どうもありがとうございました。では,篠原委員,お願いします。

【篠原委員】
 やっぱり社会教育ということを考えるときに,どうしても地域というのが結び付いてきますよね。地域というのが一体どこなんだと。住んでいるところなのか,自分が仕事をしているところなのか,いろいろありますよね。だから,その辺を,いろんな地域がコラボできるような,一つの大きな仕組みとは言えないけど,雰囲気作りというのが僕は大事だと思っています。
 例えば,学校でいっても,公立の学校に通っている子は,自分が住んでいるところが地域だと思います,まず第一。私立の学校に通っている子は,自分の住んでいるところの学校じゃなくて遠くに行くわけですよ,学校のあるところがむしろ地域になっていると。僕は捉え方は多様だと思うんです。だから,そういう面で,やっぱり地域というものを,余り安易に持ち出して,地域活動,地域活動でやることに,前から僕は抵抗感がありまして,その辺を少し大きく捉えていくということが必要かなと。
 それから,もう一つは,教育全体で言えば,原則は学校と家庭と地域のコラボなんですよね。だけど,家庭の教育力も今非常に落ちていますし,また,そういう教育支援が必要な家庭もいっぱい出てきている。これも事実です。だけど,家庭の教育力というのは,そんなのしようがないんだという前提で議論するのは僕はおかしいと思っている。やっぱり家庭ももっと頑張ってもらわなきゃいけない,そのためにどういう支援をしていかなきゃいけないのかということで,地域がやってくれるから家庭はしようがないんじゃないかという位置付けにすべきではないと,これだけは申し上げておきたいと思います。
 以上です。

【明石分科会長】
 非常に大事な御指摘かと思って,よくサードプレイス,第三の居場所と言いますけれども,果たして第三の居場所は住んでいる地域なのか,職場とかたまり場なのか,非常に大事なことなので,ちょっと今後検討させていただきたいと思います。

【篠原委員】
 ちょっと私,後があるので,ここで失礼します。

【明石分科会長】
 では,高倉委員,お願いします。

【高倉委員】
 本日は非常に先進的な事例をお伺いしましたので,私からも困難を抱える外国人の家族や子供たちについて触れたいと思います。
 外国人の家族や子供たちは孤立しがちであることから,地域において互いに認め,尊重し合いながら,学び,働き,生活ができるよう共生に向けた学校や職場,地域作りを推進していくということが非常に大事だと考えております。
 我々連合も47都道府県全てに地域組織を持っており,本日は連合長野の事例を紹介させていただきたいと思います。連合長野におきましては,外国人労働者に対して日常的な労働相談や心のケアの相談,生活相談などを実施しています。
 また,外国人の子供たちには,連合長野を含めます31の支援団体が連携をして,外国籍児童就学支援事業「サンタ・プロジェクト」では、教育環境の充実に向けた母国語教育整備助成金や外国人の子供たちが日本語を学ぶ環境を整備するための外国籍児童・生徒等日本語学習コーディネート事業を実施しています。
 一方で,学校現場の教職員からヒアリングをした内容を紹介しますと,愛知県のような外国人の子供たちが多く住んでいる地域では,大学生ボランティアの協力もあり、何とか対応ができている。しかし、外国人の子供が散在して居住している地域では,保護者も子供も日本語が話せない場合には対応が非常に難しく地域間格差が大きいとのことでした。また,多様な言語を通訳できる人材や施設を準備するための費用も不足をしており,十分な対応ができてないというのが実態である。これら外国人の子供たちの教育環境を整備するのは本来教育行政が果たすべき重要な役割であると思っています。
 まず,学校教育においては,外国人の子供たちの教育の機会を確保するため,就学に関する情報を母国語で伝えることが必要であると思います。冒頭の高橋さんの話にもありましたが,日本語教育が必要な高校生の非正規の就職率が40%,通常の高校生の非正規就職率4.3%と比較すると大きな格差があることから,日本及び母国語の教育支援を併せて行っていくということも必要だと考えております。
 そのようなことから,今後、取り組んでいただきたいことを申し上げると,公民館などの社会教育施設においては,諸外国の言語や文化などを認識し合い,地域で共生できるよう話合いや交流の場を積極的に設定するということを行っていただきたい。加えて,フリースクールや中学校の夜間学級,これらの学びを支援するなど,日本に居住している全ての外国人のためにも学ぶ機会を確保するための環境整備,これをより一層推進していただきたいと考えております。
 以上です。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。では,忙しい中,横尾委員,ありがとうございます。

【横尾委員】
 遅れてすいません。定刻どおり着く予定だったんですけれども,台風の関係で飛行機が1時間40分遅れました。私ども被災をしまして,今,激甚指定になっているんですけれども,きょうは何とかやりくりができて,是非ここに行っていろんな意見を言ってくれという後押しを受けながらきょうは来たところです。
 では,意見を申し上げたいと思います。せっかく貴重なプレゼンがあったにもかかわらず聞けなかったのがとても残念ですが,後でフォローさせていただきたいと思います。社会的包摂について感じていること,また,行政の現場で見聞きしたことを基に意見を述べたいと思います。
 例えば去年の豪雨,今回の大洪水と台風,こういったときに旅行者である外国人の方に本当に緊急メールとか緊急情報が共有されているかというと,まだまだ完全じゃないんじゃないかなと思います。特に去年の場合は外国人の方でかなり困った方がおられました。こういったことを,逆に今回の包摂に出てくる様々な立場の方々というのは,我々に気付かせてくれるタイミングなんじゃないかなと思っています。
 外国語の利用については,多言語対応が必要になりますけれども,例えば,平時で考えると,佐賀県や九州の幾つかの県は,観光用に多言語対応ガイドができているんですね。できれば危機管理状況になったら全都道府県をオンラインで全てつないで,災害が来てないところがバックアップして助けてあげるということはかなりできますので,そういった社会的仕組みを作りながら,いろんな立場にある方を支えるべきと思っています。
 また,難病を始め課題のある若者やお子さんがいらっしゃいますけど,こういった方々についても,厚生労働省はしっかり難病を把握されていますが,自治体では情報として全部把握できてないんですね。できたらこれを分かち合って,細かいケアができるようなこともしていかなければいけないだろうと思いました。
 そういう社会的な仕組みを作りながら,一方では,人と人とが出会いですので,そういうコミュニケーションや共感を持てるような社会作りに一番重要なのはこの会議のテーマで生涯学習だろうと思っています。
 以前から話題になっている危機管理につきましても,今回身に染みて感じました。災害救助法というのは皆さん御存じですか。私も熟知していませんでしたが,今回,非常に多く学びましたが,正直なところ,その身にならないと,職員を含め,本気でその条文一文字一文字の理解はなかなか及ばないと思います。そういったことがいつかあるということで社会的な教育学習の機会の中に,平時のときに危機のことを学ぶ,危機のときにまた新たな平時を作り出すような努力をすることが大切と思っていることです。
 そこで幾つか提案というか,私の意見ですが,一つは大人がもうちょっとしっかりしなければいけないと思います。やっぱりああいう大人になりたいねという素敵な大人に大人がならない限り,子供たちにどんな立派な本を示しても,映画を示しても,アニメを示しても,どうせ違うことやるんでしょうと言われたら元も子もないと。そういった意味からすると,大人の社会教育なのか,生涯学習なのか,そういったことで範を示すようなことをすべきと思います。
 こう言い出すといっぱい議論があると思うんですけれども,私は簡単な英語のフレーズですけど,「ビー・ジェントルマン」という言葉がとてもいいと思っています。レディーを無視しているわけではありません。クラーク博士が札幌農学校で教えられたわずか短い期間に,新渡戸稲造先生を始め,その教え子たちが非常に活躍をしていますが,教えの精神のど真ん中にあったのはビー・ジェントルマンだと聞いています。やっぱり人としてあるべき姿を自ら求めるという努力をお互いにすべきと思っています。
 二つ目はきょうのテーマにも出てくる,様々な立場,障害のあるお子さんたち,社会的に孤立している子供たちやハンデのある立場の方々ですけど,英語ではこういった方々のことを,時折表現として「ギフテッド」と言います。ギフトを受けている,天から何かを受けているという意味。そういう見方を,日本人である我々がどこまで深くできるかというのはとても大切と思っています。
 先ほども少し触れましたように,今まで気付かなかったこと,今,適当にやっているじゃないかと,行政としては弁護したくなるようなことでも実は全く足りてないということを教えてくださるわけですから,このことを真剣にソーシャルワーカーや担当の職員や関係の御家族からでもいいですから,ヒアリングを掛けて,ここはどう解決したらいいかということをこつこつと,地道に一つ一つ積み上げてこそ,やっぱりより社会教育の中での包摂性というのも高まるんじゃないかなと思っていますので,是非そういった努力が必要だろうと強く感じています。
 また,お話の中に包摂ということが,なかなかなじみにくい言葉というか,すとんと胸に落ちる言葉には,もう少し時間がかかるのかなという御意見がありました。私も若干感じるところがあって,どうも翻訳調だなという気がします。でき得るならば,孔子廟のある町だから言うわけじゃないんですけれども,日本語の中に仁とか,あるいは中国から来た恕,寛容とか,漢字の中に込められた先人の教えがありまして,そういった多くの日本人が共感できるような言葉,キーワードを探すのか,作るのか,そういったこともとても大切じゃないかなと思います。世代を超えて多くの方々が,そうだよね,そうしたらいいよねというような発信を是非文科省で整理していただくことは未来のためにとても大切なことだろうと強く思っているところです。
 そういったもろもろのことを込めて,今回のテーマであるこういったことが少しでも改善していくことが,よりよい日本社会に資すると思っていますので,是非生涯学習こそ,本当に肝腎,要だということを改めて感じていることを申し添えて,意見にかえさせていただきます。ありがとうございました。

【明石分科会長】
 はい,どうも。じゃ,東川さん。

【東川委員】
 失礼します。先ほどお話があった中で,もうけにならないことを一生懸命やるというようなお話もありましたけれども,私ども日本PTAという団体でして,正にその骨頂かなというようなところで,金銭的な利益というのは全然ないんですけれども,ただ,いろんな対価というものはたくさん矜持できるという意味では,最大のもうけも出ているんじゃないかなと考えています。
 先ほど来,学校,地域,家庭ですとか,様々な話が出る中で,人材を輩出する出所としては,PTA経験者,OBというのは,実は地域にたくさんいまして,長年やっていらっしゃるという方が相当いらっしゃるというところでいうと,そういう方たちを,学びの場としてやる社会教育関係団体としては非常に自負するところもあるかなと思っております。
 多くの方たちがやってよかったなという中において,菊川委員の資料をちょっとお借りしますと,社会的包摂の課題として幾つか挙げていただいている中で,困難を抱える家庭や子供たちの支援,あるいは外国人家族や子供たちへの支援,障害の有無のところがある中で,私たちの学びの場に出てきてくださる方については,様々な議論がある中においても何かしらのものを得て,地域や家庭あるいは学校に還元をしながら社会活動をやっていくわけですけれども,残念ながら,ここに記載されているような方たちは,やっぱりその場にお見えにならないといいますか,出る機会がなかなかないと。その背景には,ここに書かれていることが一つは理由になっているということもあるので,社会的な支援を受けるという意味では,きょう,二つの団体の代表の方にそれぞれお話しいただいた,こういう存在というのは非常に重要でありますし,逆にそういったものを更に共存しながらパワーアップしていくためには,それぞれの全国域内の教育委員会ですとか首長さんと連携して,私ども更に一歩パワーアップし,社会教育活動をやっていく必要があるなと強く感じたところです。きょうはありがとうございました。

【明石分科会長】
 各委員から非常に貴重で,また具体的な御意見も頂きました。個人的に一番気に入ったといいましょうか,刺激を受けたのは,萩原委員の求援というか,当事者が支援を求めるというのは,到達目標かなと。でかい到達目標はSDGsの17があるんでしょうけれども,その前の段階で,こういうことが欲しいんですよと。
 ふと思ったのがクラウドファンディング。あれは正にこういうことをやりたいから世間の皆様応援してください,そういうのが社会包摂です。要するに,そこまでいければいいなと,そのために逆算して,どういうような人材とか,空間とか,人材育成するかとか,そういうことを考えようとしたときに非常に参考になったというか,そこまで成熟すればいいかなと。何か助けてあげるんじゃなくて,是非これを応援してくださいという人を育成するのが社会教育かなという感じがしておりました。そういう意味では,非常に刺激的な会になったと思っております。
 ありがとうございます。
 では,本日の審議はこのあたりとしたいと思います。本日頂いた御意見は次回以降の検討に向けて生かしていきたいと思っております。
 では,事務局から何か連絡事項ありますか。

【野口生涯学習推進課課長補佐】
 次回以降の分科会の日程についてでございますけれども,資料3をごらんいただければと思います。下の方ですけれども,第105回分科会につきましては,10月15日火曜日,15時から17時半を予定しておりますので,委員の皆様におかれましては日程の確保をお願いできればと存じます。
 以上でございます。
 それでは,本日の生涯学習分科会はこれにて閉会いたします。ありがとうございました。

―了―

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