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生涯学習分科会(第102回) 議事録

1.日時

令和元年6月19日(水曜日) 14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省旧庁舎6階 第二講堂

3.議題

  1. 第10期生涯学習分科会の検討課題について
  2. 第9次地方分権一括法による社会教育法等の改正について
  3. その他

4.議事録

【明石分科会長】
 定刻となりましたので,ただいまから第102回中央教育審議会生涯学習分科会を開催いたします。本日は,お忙しいところをお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 本日は,報道関係者より,会議の全体についての撮影・録音を行いたい旨申出があり,許可しておりますので,御承知おきください。
 議事に入る前に,配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。どうぞお願いします。

【野口生涯学習推進課課長補佐】
 配付資料につきまして,お手元の資料ですけれども,議事次第,それから座席表,資料1の生涯学習分科会の検討課題について。資料2,資料3は,澤野委員,萩原委員,それぞれ御説明資料でございます。それから資料4ということで,地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律(概要)でございます。それから参考資料1として,前回の分科会の主な御意見と,参考資料2として検討課題の参考資料の方を配付しております。
 また,机上のタブレット端末に参考となる資料を格納しておりますので,御参照ください。
 過不足等ございましたら,事務局にお申し付けください。

【明石分科会長】
 では,早速,議題1に入りたいと思います。第10期生涯学習分科会の検討課題について,きょう議論を頂きたいと思っております。
 それでは,前回の審議を踏まえまして,事務局において「第10期生涯学習分科会の検討課題について」,資料を作成しておりますので事務方から御説明をお願いいたします。
 では,根本課長,お願いします。

【根本生涯学習推進課長】
 御説明させていただきます。
 この審議会につきましては,第9期までの議論及び前回の第101回の議論を踏まえまして委員の方々から非常に様々な御意見を頂きました。これを踏まえまして,第10期における検討の方向性につきまして明石分科会長と御相談させていただきまして,事務局からの提案という形で,本日,資料1「第10期生涯学習分科会の検討課題について」を取りまとめさせていただきました。
 資料1を御覧ください。まず,前半部分でございますが,こちらは「社会を巡る状況」として様々な課題について整理しております。前回の分科会では,例えば人生100年時代,又はSociety5.0などの社会の変化を踏まえ,今こそ既存の概念や前例に縛られない新しい生涯学習・社会教育の在り方を考え,打ち出していく必要性について多くの御意見を頂いたところでございます。
 これについて黒丸の一つ目にまとめておりますが,我々の生き方につきましては,従来のように,学校卒業後に仕事をして引退するという,単線型の人生ではなく,働きながら学んだり,家庭と仕事以外にも様々な活動の場を持ち,ソーシャル・キャリアという形で活躍する場など,様々なマルチステージ的なものに変わってきております。加えましてSociety5.0時代の到来ということになりますと,これまでよりも一層変化が厳しく,予測困難な未来がやってきます。AIの技術の発展によって産業は変化し,今ある仕事がなくなることも予測されており,仕事の在り方や求められる人材像,必要なスキルも変わってきています。このように全く新しい社会が到来しつつある中で,新しい生涯学習・社会教育の在り方を考えていく必要があるという御意見を頂いております。
 また,二つ目の丸でございますが,急速な高齢化が進む中で,高齢者も心と体の健康を維持し,活躍することが求められているということを記載しております。幾つになっても,生涯学習,文化,スポーツなどを通じまして健康寿命を延ばし,生きがいを持って地域の活動を担えるような環境整備が必要というようなことについて触れさせていただいております。
 こういうことを背景としつつ,社会の様相は更に多様化・複雑化しております。三つ目の丸では,貧困や格差,孤立などが拡大している中で,貧困を抱える家庭や子供たちの支援,また外国人の家族や子供たち,更に障害のある子供たち,社会的に孤立しがちな人々への支援など,様々な課題に対応していく必要に迫られてきております。
 特に,入管法の改正によりまして外国人の移住が増えていくということが今後変化してくるというようなことも踏まえて,子供はもちろん,大人の外国人の学びの場を保障していく必要性や,孤立しがちな方々が社会のつながりを作ることができるような仕組みが必要であるといった御意見も多数頂いております。
 さらに,4ポツ目に記載しておりますように,例えば共働き世代が増えたり,ひとり親世帯が増えるなど,親たちの子育て環境が変わってきている中で,不安を抱えながら子育てをしている親の学びを充実させることや,家庭と地域の連携を通じて教育力の向上が一層必要となり,また,このような取組は学校における働き方改革にもつながり得るという御意見も頂いております。
 さらに,五つ目の丸でございますが,こういった地域や社会の課題解決を図り,持続可能な社会づくりのためには,行政のみならず,様々な主体,住民自身が地域運営の担い手として主体的に取り組んでいくことが重要であるということを改めて確認させていただきました。
 続きまして,下から二つのポツ以降についてでございますが,社会の状況を踏まえまして「生涯学習・社会教育を巡る状況」をまとめております。まず一つ目でございますが,従来より,生涯学習・社会教育行政担当部局が学びの場を提供し,更に地域住民の活動を支えてきたということ。
 二つ目の丸でございますが,一方で,個人の学びのニーズが多様化し,また,先ほども申し上げましたような社会の変化を踏まえまして,NPO等の民間団体が,制度からこぼれ落ちているような課題やニーズに対応した多様な学習の機会を提供しているということ。
 また,2ページ目の最初でございますが,企業や大学,専門学校などにおいて,CSR活動,又はリカレント教育などを通じた地域づくりに貢献する取組が進められているという状況もございます。
 加えまして,生涯学習・社会教育担当部局以外の行政部局が実施するまちづくりや,福祉など様々な政策課題に対する施策におきましても,住民が地域課題について知識を得たり,学びを深めたり,実際に課題に取り組むような機会が提供されている状況もあります。こういった多様な主体による学びの取組も社会教育の一つと捉えられると思っております。
 また,第9期生涯学習分科会におきましても,今後より多様で複雑化する課題に向き合いながら,一人一人がより豊かな人生を送ることができる持続可能な社会づくりを進めるためには,社会教育を更に振興し,より多くの住民の主体的な参加を得て,多様な主体の連携・協働と幅広い人材の支援により行われる「開かれ,つながる社会教育」を実現させる必要があると指摘されております。
 これらの点を踏まえまして,当面の第10期生涯学習分科会において検討する論点の例として,二つ提案させていただいております。
 まず,一つ目のひし形ですけれども,先ほども話題に上がりました,人生100年時代の到来,又はSociety5.0の実現,社会的包摂,家族の形態や子育て環境の変化などを踏まえまして,社会の変化や課題を踏まえた,新しい時代の新しい生涯学習・社会教育の在り方や姿について御議論いただければと思います。
 また,2点目は,住民の主体的な参加を得て,多様な主体の連携・協働と幅広い人材の支援により行われる「開かれ,つながる社会教育」へと進化を図るために,地域や社会の課題解決に向けた取組を行う民間団体や人材の活用・連携の促進について御議論いただければと思っております。
 本日は,この2点を踏まえまして先生方の御議論を頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

【明石分科会長】
 根本課長,ありがとうございました。
 今の事務局の提案を踏まえて,第10期は,二つのひし形でまとめられている論点について議論を進めてまいりたいと思っております。今回は,それぞれの論点に関連して検討材料として,澤野委員,萩原委員より発表していただきたいと思っております。
 最初に,澤野委員からは,人生100年時代の到来を含めた社会の大きな変化を踏まえ,生涯学習・社会教育の国際的な動向と日本における事例と課題について,20分程度の御発表を頂きたいと思っております。
 それでは澤野委員,お願いいたします。

【澤野委員】
 それでは,座ったまま失礼させていただきます。聖心女子大の澤野でございます。
 お手元の資料2とこのスライドは同じ内容のようですので,見やすい方を御覧になりながらお願いいたします。
 事務局から1か月ほど前にお題を頂きまして,余裕があるかと思い世界の状況をユネスコの資料などを基にオーバービューしてみようかと思っていましたが,特に,人生100年時代を見据えるという一つ目の課題と,多様な主体が連携・協働する社会教育の事例をつなげるのが,20分のプレゼンにまとめるのが難しかったので,自分が長年フィールドとしていますヨーロッパの生涯学習ですとか,北欧,特にスウェーデンの事例を中心に研究していますので,そちらを参照しながら,人生100年時代の対応や変化に対応した生涯学習・社会教育に関して,何か日本のヒントになるのではないかと私自身が考える点を紹介させていただこうと思っています。 まず,人生100年時代に対応した生涯学習・社会教育の在り方についてです。
 「人生100年時代」をこれほど日本国内でバズワードとした本が『ライフ・シフト』というものですけれども,この出版社の依頼によって,昨年12月に私が勤務する聖心女子大学で,安倍首相の人生100年時代構想会議の委員でもあったロンドン経済大学のリンダ・グラットンさんに特別授業をしていただきました。当初は何か講義をさせてほしいということでしたが,準備が難しいということで,私と学生との対話形式で90分間の授業をしていただきました。
 英語では”One Hundred Year Life”と題するこの本は,グラットン先生だけではなくて,アンドリュー・スコット先生というロンドン経済大学の先生とのお二人で書かれた共著です。お二人とも,この日本が長寿化しているということで,日本がどのようにこの超高齢化に対応していくのかということについて,特にアンドリュー・スコット先生は経済学の先生なので,経済の視点から,一方のグラットン先生は心理学者ということで,特に教育とか生涯学習にそれほど詳しいわけではないのだそうですけれども,生き方の問題として注目しているということです。
 いろいろな報告書でもよく引用されるマルチステージの人生への移行について,グラットン先生たちは,マルチステージ化する人生では,上手に異なるステージに移行できるような能力とスキルが必要であると言っています。
 柔軟性を持って新しい知識を獲得し,新しい思考様式を模索して,新しい視点で世界を見て,どこにパワーが移動していくのかという変化にも対応したり,時には古い友人を手放して,新しい人脈,人的ネットワークなども築いていく必要があるというようなことを言っています。
 新しい人生のステージを開拓し続けるために,また,変身のスキルとか,考え方も大きく変えていくような,未来を真に見通すような力も必要になると言っています。
 それを進めるのが教育ということで,1960年代後半にスウェーデン政府が提唱して,その後,OECDの生涯学習の戦略とされたリカレント教育,流れを何度も変えるという意味でのリカレント教育においても,これまでの教育・仕事・引退という一方通行の流れを変えるということを言われていましたので,正に同じことを言っています。リカレント教育という言葉はこの『ライフ・シフト』の中では使われていません。むしろ,リ・クリエーションという,ステージを変えるごとに新たに創り直す,再び創造,何度も繰り返し創造する,自らの生き方を創り出していくというようなニュアンスの言葉を使っています。
 教育ということで直接お話しした中では,今,イギリスなどではやはりMOOCsのようなeラーニングなどの柔軟な学び方もあるので,学校に実際に戻るというよりも,そういった柔軟な学び方も想定しているということです。飽くまでもエデュケーションというふうに言っているので,日本的に捉えるとやはり学び,個人が主体的に取り組む学びが重要となるため,あえて「教育/学び」と,私自身でピンクに書き換えているのがこの図です。
 いずれにしても,マルチステージの100年ライフでは,生涯学習が重要であることは間違いなくて,学び続ける上でやはり最も身近な機会というのが社会教育というものではないかと思います。
 それから,最近は,老後の有形資産の2,000万円とか3,000万円とか,そういうことに関する日本人の関心が高まっているようですけれども,グラットン先生たちは,それはもちろんその仕組みづくりも急がなければいけないことではあるけれども,むしろ無形資産が大事と言っています。無形資産として挙げているのが,生産性とか,活力とか,変身という言葉を使っていますけれども,要するに健康と人間関係,ネットワークの形成ということ,つまり「開かれ,つながる」というようなキーワードとしている日本型の社会教育なども,こういった資産を形成していく上で重要になるというような気付きにもつながっていきます。
 この学びの内容について,グラットン先生は,人生について考えるために,その特別授業の中でおっしゃっていたことなんですけれども,やはり読書をすることが一番大事,また旅をすることが重要というようなことをおっしゃっていて,御自身はイギリスの女流作家の小説から多くのことを学んでいるそうです。
 当大学の女子大生に対しては,御自身も体験した,イギリスのギャップイヤーという,大学に入る前に自由に旅行したり,ボランティアをしたりする年ですけれども,そのことを例に,就職する前に,そんなに急いで就職しなくていいんじゃないか,世界を知るためにバックパッカーとして旅をしてみたり,ボランティアとか,ワーキングホリデーなどで外国で働いたりしてみてはどうかおっしゃっていました。100年ライフになっている日本では,そういう幅広い学びの方が重要になるのではないかということです。
 日本では,高等教育もリカレント教育も,特に,職業資格とかキャリア形成に直結するような教育内容とか方法が最近では強調される傾向があると思うのですけれども,より長期的に充実した人生を生きるためには,リベラル・アーツ,幅広い教養,哲学とかも含めて,そういったことを身に付けていくことをもっと重視していった方がいいのかもしれません。社会教育の中でもそういうことが言えるのではないかと思います。
 さて,日本ほどのスピードではないですが,こういった本をイギリス人の方たちが書いたということは,ヨーロッパでも高齢化は着実に進んでいまして,特に80歳以上の年齢がどんどん増えていくだろうと,長寿化が予想されているわけです。
 ヨーロッパでは,毎年とは限りませんが,特定のテーマとか問題に関する広報を行うために,ヨーロピアン・イヤー,欧州年というのを指定する年がありまして,例えば1996年はヨーロッパ生涯学習年だったのですが,2012年はヨーロッパアクティブ・エイジングと世代間団結の年でした。
 その際に,アクティブ・エイジングという概念,雇用,社会への参加と自立した生活をキーワードとし,アクティブ・エイジングの指数,指標などの開発も行われていました。こちらの図がアクティブ・エイジングの指数ですけれども,このように生涯学習と教育の成果というのがしっかり位置付けられています。
 この指数が100%になるのが理想らしいですが,足りないところ,こちらの白い部分は足りない部分ということですが,ランキングの1位はやはりスウェーデンでした。ベストテンに入っている国,いずれも高齢者の生涯学習の参加率が比較的高い国が占めています。
 アクティブ・エイジングランキングが1位のスウェーデンは,デンマークの方が55歳から74歳の参加率は高いですけれども,このように欧州の中でも2番目,15.5%です。過去4週間の参加率として聞くと少し少なめに出るんですけど,こういうデータになっています。
 スウェーデンでは,定年は自己申告制になっています。65歳以上になるとパートタイムで少しだけ働いたり,65歳で退職して年金生活者となって,孫の子育てとか老老介護をするような生活をしながら,社会教育的なものを含めて様々な学びを楽しんでいる人たちが実に多いんですね。
 そこで,リカレント教育の発祥の国として,生涯学習の先進国というふうにも世界からみなされているスウェーデンにある「民衆教育」と呼ばれるものがありまして,これが日本の社会教育と似た部分も多いノンフォーマルな教育の機会なので,これが21世紀の社会の変化にどのように対応しているかということを見ていきたいと思います。
 スウェーデンでは,生涯学習,生涯にわたるライフロングを,年齢と,生まれてから死ぬまでの縦軸のライフロングの機会と,生活の中に広がるライフワイドの学習機会ということを統合した概念として生涯学習を捉えています。最近は,その生涯に浸透したライフディープという3次元の,その深さも年齢とかも人生のステージにおいて少しずつ変わっていくだろうということで,3次元で捉えてそれらを統合する概念というふうに説明することもあるのですけれども,そういう多様な学びをどのように評価したり,認定したりするかということも,国としても,また,EUレベル,国際レベルでも課題になってきています。実践としては,やはりローカルに自らが住む場所,地域で取り組むものであるので,スウェーデンでは,こういう身近な学びの機会をこのように表現して,就学前教育から大学,大学院までのフォーマルな教育機会と,それと並行した社会教育的なノンフォーマルな教育機会をこのような地図のような形で表現しています。
 現在のスウェーデンでは,生涯学習の基礎として幼児教育,就学前教育が最も重要と考えられていて,本当に幼稚園の先生たちは二言目には,幼児教育は生涯学習の基礎を育むこと,それがまた民主主義を担う市民の形成にもつながるということを必ずおっしゃいます。それほどライフロング・ラーニングという言葉そのものも浸透しています。
 フォーマルな学校教育は,6歳児の就学準備学級と9年制の基礎学校という,初等教育と前期中等教育,この10年間が義務教育になっています。それと並行した成人教育のシステムがあって,例えば教育を受けたことがない,紛争地域からの難民の大人の人なども基礎教育から受けられるようになっています。
 そして,義務教育から大学院まで授業料は無料で,私立学校でも大学・大学院も含めて全て授業料を取ることは禁止されています。消費税だけでも25%とか,所得税で半分以上,年金とかも入れると6割ぐらい給料が取られて,手取りが半分以下になってしまうような福祉国家ですので,そういうことが可能ということかと思います。
 スウェーデンでは,1970年代から難民を積極的に受け入れてきましたけれども,2015年に欧州難民危機というのがありまして,シリアだけではなくて,アフガニスタンとか,イラク,また,北アフリカのソマリアやエリトリアというところが最近増えていますが,紛争地域からの難民がたくさん押し寄せてきて,2015年から16年にかけて17万人以上を受け入れて,現在,人口は1,000万人をちょっと超えるぐらいなのですけれども,今も難民申請者が20万人ということです。
 独りでスウェーデンに移住してきた10代の若者も結構多くて,第2言語としてのスウェーデン語教育と,また,母語教育のニーズが高まっています。それから,戦地から来た子供たちに対する心のケアと,また,様々な障害を持っている場合が多いので,それに対応するカウンセラーやソーシャルワーカーですとか,特別支援教員も増員したり,社会教育士という非常に重要な職務があるのですけど,ちょっと日本とタイプが違うかもしれませんが,社会教育士というスタッフや余暇活動指導員などが学校の中にも入っていますし,いわゆる地域社会の中の様々な学びをチームで対応して,医療機関などとも接続できるようにしているという状況があります。
 1960年代後半から,世代間の学歴格差を解消するということを目的としてリカレント教育をスウェーデンでは推進してきていまして,特に大学には,学部レベルで,25歳以上で4年以上の勤続経験がある社会人に対して特別入学制度が設けられていたのですけれども,1990年代頃から大学生の学力低下が問題となり,また,大学院の博士課程まで進み研究者になるような若者があまり増えていかないということで,大学の国際競争力を高めるためにも,現在では高校卒業後にすぐに進学する現役の学生を増やそうとしています。
 それで25歳以上,4年以上勤続経験のある社会人の特別入学制度というのも,2008年に,もう11年前に廃止しているのですけれども,リカレント教育というのは定着しています。大学というのは,しばらく社会に出てから,あるいは,ギャップイヤーみたいにしばらく外国で過ごしてから入学するような場というふうな認識になっていますので,25歳以上の学生が半数以上を占めることになっています。
 リカレントというと大学・大学院というイメージが強いかと思いますけれども,スウェーデンの場合は高校レベルからまた学び直すということもできます。高校レベルで職業資格も取れるし,専門の違う大学に進学するような資格も取れるということで,成人学校で高校レベルの教育を受けたり,また,高等職業学校という高度な職業資格も取れる学校も増えているので,そういったところへのリカレント教育も盛んになっています。
 ノンフォーマルな教育施設を活用した成功事例としては,こういうやはりデジタル・リテラシーを高めるための事業などもあります。こちらには民衆教育団体というのがあります。民衆教育は,Folkbildningとスウェーデン語では言っていますが,これがちょっと日本の社会教育に似たものでして,フォークハイスクールというのと学習協会というものに代表され,古くから公共善として国が財政的にも支援しています。
 もともとはこういうキリスト教系の禁酒運動などの伝統からも派生しているのですけれども,そういう政府の補助金を交付する根拠になっている法律も古くからあります。現行のものはこういう感じで,やはり活動としては民主主義を強化するとか,文化的な生活への関心を広げるとか,市民が何らかの形で地域のいろいろな活動に参加するという,民主主義の形成という理念があることが条件とされています。
 優先的な活動課題で,やはり最近では,多文化社会になってきていたりもしますし,障害のある人への配慮や,いわゆるインクルーシブな社会を作るということにも注力が行われています。その規模に関しては,こちらの資料を見ていただければよろしいかと思いますけれども。
 こういったところがやはり様々な変化に対応していまして,現在ですと移民や難民が非常に増えているということで,難民の子供たちが大学に入るために,こちらの一般コースで高校レベルの教育資格を取得して,そこで大学入学資格,進学につなげていくというような形で使われています。また,障害のある人のためのコースも多いですけれども,こういう例えば脳梗塞などで言語障害になった人たちのためのコースも,リハビリを目的とするものというよりかは,生きがいを持たせるような形でのコースなどもありまして,全体としてインクルーシブな学びの場として機能していますし,そういう社会の変化に対してのセーフティーネットとしても活用されることが多いです。
 あと,ひきこもりというのも実はスウェーデン語になっていまして,2010年ぐらいから基礎自治体とか地方自治体のレベルで取組が行われています。こちらは民衆教育の範疇には入っておらず,社会福祉と医療の方がベースになっていますけれども,いろいろなコミューンでホームページなどを作って,その手法としては,ワークショップとかディスカッションとか,カードゲームなど民衆教育の手法を用いて行ったりしています。
 スウェーデンはこのようにして早期介入をしているので,欧州のなかでNEETを少なくすることに成功している国ということが言えると思います。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,質問は,この後続く萩原委員の発表終了後,意見交換を併せてお願いいたしたいと思っております。
 では,次に,萩原委員から,人生100年時代における多様なライフデザインの事例,地域住民を主体とした学習活動や地域課題解決の事例などについて,20分程度で御発表をお願いいたします。
 では,よろしくお願いいたします。

【萩原委員】
 それでは,きょう,報告の時間を頂きましてありがとうございます。
 皆さんのお手元にパワーポイントの資料と,それから,21世紀社会デザイン研究科のパンフレット,その他を用意させていただいておりますので,後で見ていただければと思います。
 本日の報告なんですけれども,ひし形のポイントに沿って進めていきたいと思いますが,まず,人生100年時代のライフデザインという視点から,ここではパラレルキャリアという考え方ですね。それから,困難を抱える子供への支援ということで,豊島区におけるWAKUWAKUネットワークさんの学習支援についてお話しさせていただきます。それから最後に,住民主体の地域社会の課題解決というところの話をさせていただきますが,一見,三つがばらばらのように見えますが,実は全部つながっているというのを最後にまとめたいと思います。よろしくお願いいたします。
 私自身も,大学を一度卒業した後,広告代理店に勤め,そして石の上にも3か月で辞め,その後,また大学に戻りまして,大学院に行って,様々なジョブ・キャリアを経験してまいりました。ジョブ・キャリアとともに並行してソーシャル・キャリア―つまり,パラレルキャリアですね,ドラッカーの―を実践してきた立場としてお話しさせていただければと思います。
 まず,21世紀社会デザイン研究科というのは,きょう,清原先生もいらっしゃっておりますが,開設のときに基調講演をお願いした立場ということで,日本で初めての独立研究科,つまり,学部が下にない独立研究科として設置された,しかも社会人向けの大学院ですね。ですので,下を見ていただくと,多様な分野,多様な年代,多様な経歴の院生が在籍していまして,お手元の資料,データは2018年度のものでございます。
 例えば,同じ企業内で部下が何か楽しそうに大学院に行っていると,それを見た上司が,僕も行きたいということで入学してこられるということで,立場が逆転すると。大学では先輩,後輩,企業に行くと上司,部下。あるいは,お母さんやお父さんが楽しそうに勉強しているので,娘さんや息子さんで社会人の方が入ってくるというふうなこともありまして,非常にユニークです。それから,元町長さんであったりとか,あるいは霞が関で働いていらっしゃる方で行政職,NPO,いろいろな方たちがいらっしゃいますので,今,ちょっとここに出ていますけれども,誰が先生か生徒か分からないという,メダカの学校状態であるというのは,一つ社会を形成しているような形になります。キーワードは多様性ということになります。
 そして,きょうの報告に関連するものとして, 1学年50名なので,そうするともう1,000人近い修了生が出ているということなんですけれども,その中から二つ,修士論文の研究を御紹介したいと思いますが,まず,ワーク・ライフ・バランスに関連するもので,2016年度に「サードプレイスとしての大学院が働き方に与える影響に関する研究」というのがあります。大学院をサードプレイスと捉えました。つまり,働く会社,企業と,それから家の往復だけではなくて,そこに大学院を入れるということでサードプレイスとして捉えて,それによってどういう影響があったのか,その研究をされた方です。それによってワーク・ライフ・バランスが進んだという結果が出ております。
 一つには,授業時間に間に合わせるために,必死になって,早く仕事を終わらせるために段取りがうまくなったとか,あるいは,同僚の人たちに,自分はこういう学びがあるので,早めに帰るために協力してほしいという,コミュニケーション能力も高まったということです。
 一番が,ここには書いていないんですけれども,飲み会が減ったということですね。飲み会が減ったことによって何がよくなったか。体調が良くなった。それから,どのくらい飲み会に使っていたかというのを計算したそうです,経済の授業で。そうしましたら,何と1年分の授業料に匹敵するということが分かりまして,先ほど,ただということでございましたが,授業料は120万円ほど掛かるんですが,少しも高くないという,うれしい報告も出ております。
2番目が,「日本の公立学校に通う外国にルーツを持つ子どもの学習の機会に関する研究」,これは今年3月に出たばかりですけれども,正に,後で御紹介させていただきます豊島子どもWAKUWAKUネットワークさんに,自分自身が学習支援者としてソーシャル・キャリアとして入って,それで調査をした研究成果です。その中から分かったことは,やっぱり日本語を学ぶ機会のないまま,来日後数年間を過ごす子供の存在がある。それから,保護者が日本の教育システムを知らないという現状もあった。それから,母語,今の御報告にもございましたけれども,母語と日本語両方が中途半端になってしまう。いわゆるダブルリミテッドの問題が存在するということも分かってまいりました。
 そして,今回のテーマでもあります教員のワーク・ライフ・バランス。公立学校の教員が,外国にルーツを持つ子供たちに対して日本語教育をするというのは非常に難しいということを結論付けています。余りにも忙しい。日本の国内の子供に対しても大変なのに,外国にルーツを持つ子供たちに対して一人一人,家庭のプライベートなところまで入り込んで指導をするということが非常に難しいということも結論付けています。
 その結果,何が重要なのかといいますとNPOの存在になってまいります。NPOが,行政であるとか,日本語教師であるとか,教育委員会であるとか,様々なボランティア,そういった方たちと連携,協力しながら,このWAKUWAKUさんでも,外国にルーツを持つ子供たちも含めた学習支援をしているということが分かりました。
 そこに「NPOへの支援が不可欠」と書いてありますが,後でこれは最後に取っておきたいなと思います。
 次のWAKUWAKUさん,これ,大変有名になりました。子ども食堂で全国的に有名になったところですけれども,子ども食堂の活動を通して,やはり学習支援の重要性というものを見いだして,そこから例えば無料の学習支援とか,「暮らしサポート」とか,「遊びサポート」ということを積極的にやっています。
 そうしますと,やはりボランティアの存在というのは非常に重要になってまいります。その場合にボランティアで重要になってくるのがプロボノという存在です。プロボノパブリコ,ラテン語ですね。専門性を持った方たちがボランティアとして関わってもらう。そのプロボノの存在として,例えば21世紀の学生であったりとか,立教の学生であったりとか,学習院の学生であるとか,それから働きながら日本語のことを教えていた人とかそういった方たちが関わってくる。それが重要になっていると。ですので,ここに出ていますけれども,常に募集をしています,学生・社会人ボランティア。そういう方たちの存在なくして,この支援活動はあり得ないということになります。
 次に,このWAKUWAKUネットワークさんの代表理事の栗林さんも参加していただいておりましたけれども,「としまF1会議」という存在がございます。
 これは23区で唯一,豊島区が消滅可能性都市というふうに言われてしまいました。憎き増田さんというふうにうちの区長は言っておりましたけれども,後になって,さすが増田さん,言ってくれてありがとうと評価が変わっておりました。23区で唯一ということでしたので,じゃあどうやったら消滅可能性都市から持続発展都市に行くのか。増田さんもおっしゃっていましたけれども,なぜ消滅可能性都市,あるいは極点社会になっていくのか。その一番の理由は,その当事者である女性たちの意見を全く政策に反映してこなかったということをはっきりおっしゃっておられます。
 それも踏まえまして,豊島区は,F1,FというのはFemaleです。これ,マーケティング用語です。私もちょっとだけ広告代理店にいたので。Femaleの1である,20代,30代,この女性たちの意見をしっかりと聞き,そして政策に反映していくということで進めました。
 その前に,豊島区の女性たちがどんなことを考えているのかということで,「としま100人女子会」というのも開催いたしました。ここから1,000を超える意見が出てまいりました。そこから六つの分科会を作って,「としまF1会議」で更に掘り下げていきます。このときに正に学習というか,調査・研究を重視いたしました。プロセスですね。調査,学習をして,豊島区内でどういう課題があるのかというのをしっかりと見つめる作業をいたしました。正にこれがプロセスの中での生涯学習ではなかったかと思います。
 例えば,豊島区って何があるの?と言われたときに,はっと思い付かない人が結構いたんですね。例えば,皆さん,千円札,描けますでしょうか。千円札の肖像は誰だったでしょうか。すぐに思い出せますでしょうか。清原先生,いかがですか。
 多分,余り思い浮かばないんです。余りに身近過ぎて見ていないものだそうです。これは赤瀬川原平さんに教わったんですけど,地域がそういうものだそうです。ですので,これをきっかけにまちをしっかりと見つめるという作業,これが調査・研究ですね。そこから地域を学ぶということ,そして何が課題なのか,そして自分たちは何をすべきなのか,どういう政策を作ったらいいのかということをやっていきました。
 次のが,いろいろな,本当にスピーディーにやっていきました。F1のFにはフォーミュラ1も入っています。分かりますか,フォーミュラ,車のあれです。フューチャーも入っています。そういう形で進めていきまして,ワーク・ライフ・バランスなんかも中心に置きながらいろいろな提言をいたしました。
 その結果,「女性にやさしいまちづくり」を目指していたのですが,女性にやさしいまちづくりは,結果として誰にとっても優しいんだということが結論となりました。男性にとっても,高齢者にとっても,障害者にとっても,そして外国の方にとっても,やっぱり非常に重要なんだということが分かりまして,女性にやさしいまちづくりのキャッチコピーとかシンボルマークを作った上で,誰にとってもやさしいまちづくりを目指していくということで,2016年に,女性にやさしいまちづくり課が設置されましたが,その後,「わたしらしく,暮らせるまち。」推進室設置になりました。そして現在,「としまF1会議」から「としまぐらし会議」というふうに名前を変更しまして,住民参加型のまちづくりが積極的に行われています。やはり,女性活躍であるとか,ジェンダー平等教育の重要性というものを「としまぐらし会議」でも引き継いでやっているところでございます。
 「としまF1会議」で出された提案の中に,ママになっても,パパになっても,学び続けたい,それを何とかしたいという意見が出されました。豊島区には七つの大学がございまして,豊島区と七つの大学が連携しております。私がF1会議の座長をしておりましたので,まずは立教から始めようかということで,正に企業と行政と大学が連携・協働しまして,1DAYママtomoパパtomoカレッジというのを開催いたしました。
 最初は,100人ママ会議というのをやりまして,どういう学びが欲しいのか。ママとかパパになると,どうやったら子供を上手に育てるかとかそういう学びばっかりなんだけれども,そうじゃなくて,私たちは哲学を勉強したいし,経済も勉強したいし,政治も勉強したいということで,だったら大学の持っている資源を活用してやろうということです。
 なおかつ,私自身が2度目の大学のときに,えーい,産んでしまえということで,妊娠,出産,赤ちゃんを連れながら大学に36年前に通っていましたので,それを実践しようということで,赤ちゃんを連れて大学の講義を受けるということに挑戦しました。子供たちはとても静かです。お母さん,お父さんが学んでいる姿を見て,今は黙っていなきゃいけないと思うんだと思うのですが,小さい頃から学びということをここでたたき込まれているという感じがいたしました。
 そういうことで,今年は「たまひよカレッジ」と名前を変えまして,今,いろいろな大学で展開をスタートしております。
 最後に,「パラレルキャリアのすすめ」ということでお話をさせていただきたいと思いますけれども,やはりパラレルキャリア,ピーター・ドラッカーが1992年に『明日を支配するもの-21世紀のマネジメント革命』で出された言葉です。
 今,副業,副業と言われていますけど,バイじゃなくて,複数の顔を持つ時代ということですね。本業プラス第二のキャリア。これが特にソーシャル・キャリアでNPO活動をしてみたりとか,ボランティアをしてみたりとか,あるいは大学院に行って更にスキルアップしていく,その時代にもう完全に入ってきている。大学院,大学で学ぶ。それによってNPO活動にも関心を持つ。あるいは,NPO活動をしていたので,もっと学びたいということで大学院に入ってくる。
 それから,そういう方たちがプロボノとして,プロフェッショナルな専門性を持った方たちが,それぞれの必要とされるNPOのところにボランティアで入るという状況。その逆もあると。ですので,本業のスキルをボランティアで生かしていくということで,そのためには,先ほど御紹介させていただきましたように,ワーク・ライフ・バランスがマスト,必須ということになります。
 それから,先ほどの御報告にありましたように,何も18歳で大学に行かなくてもいいと。いろいろな多様性がこれからは重要になってくるだろうと思います。
 最後に,日本NPOセンターの代表理事としてのつぶやきを聞いていただきたいと思います。NPOが非常に重視されています。NPOの活躍が期待されています。しかし現在,NPOの現状を申し上げますと,高齢化が進んでいます。NPO法ができてちょうど20周年に昨年なりましたけれども,20年そのまま年齢が上がっているという感じで思ってください。つまり,40歳だった人が60歳になっていると思ってください。担い手が非常に高齢化しているということと,少子高齢化のあおりを受けまして,参加してくれる方が非常に少なくなっている。ですので,これは少子高齢化の影響がもろに出ている。
 そうなってくると,やはりプロボノとか仕事を持っていらっしゃる方が,ワーク・ライフ・バランスを通して地域に目を向けていただいたりとか,NPOの活動に目を向けていただいて,そしてそこで力を発揮していくということが,今後,NPOにとってはますます必要になってまいりますので,その視点から生涯学習分科会での議論を進めていただければと思います。
 以上です。どうもありがとうございました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,事務局で用意した資料1及び澤野委員と先ほどの萩原委員の御発表を踏まえまして,皆様から自由な御発言を頂きたいと思います。例によって,発言される場合は机上の名札を立てていただきたいと思います。
 では,清原委員,お願いします。

【清原副分科会長】
 清原です。
 澤野先生,そして萩原先生,大変現実に沿った問題提起を頂きましてありがとうございます。2人の先生から学ばせていただいたことを発言させていただき,萩原先生に1点だけ質問をさせていただきますので,よろしくお願いします。
 正に人生が長期化してくる中で,学校教育以外の組織的な教育活動全般を指す社会教育ですけれども,実は私は,学校とか大学とか,そうした場所というのは意味を持っているのではないかということをお二人の発言から確認させていただきました。
 すなわち,今までの定義であれば,「学校教育以外の組織的な教育活動全般」を社会教育は指す,あるいは生涯学習は指すとなっていたんだけれども,学校教育の体系とは違うかもしれないけれども,例えば社会人大学院であるとか,あるいは学びの場として学校が提供されているとか,あるいは児童・生徒に学習支援をするために地域の皆さんが学校に入っていって,学びながら支援をするとか,そういう意味では,学校教育と社会教育が無縁ではなくて,人生100年時代は,むしろ非常に有機的で,密接な関係を持つようになっているのではないかなということが1点です。
 2点目に,萩原先生が,キーワードは「多様性」と言ってくださいました。私は,人生100年時代の学びというのは,正に「多世代性」と「多職種性」と「多民族性」と「多文化性」と,そして男女,あるいはそれ以外のLGBTも含めて,「多様な性」が共に学ぶ機会ということになってきているのではないかと思います。私も「多様性(ダイバーシティー)」と言われるようなものが大事だと思いました。
 3点目に,私は,地域課題の解決のために豊島区が御努力されたケースからも学びましたが,私が三鷹市長をしておりますときにも,やはり地域課題の解決のためには,多様な市民が共通の問題意識を持って,それぞれの経験や,あるいはそれぞれの能力を生かして課題解決をしていくときに,実は多様な世代や多様な職種の人が集まって,むしろ,無作為で参加をお願いしたような場の方が活性化したという経験を持っています。
 したがって,受け身の学習だけではなくて,「調査・研究」というふうに言っていただいた、自ら調べ,自ら歩き,自ら解決の方法を考えていく,そのプロセス,いわゆるアクティブラーニング的なものが社会教育,生涯学習にも重要なのではないかなと感じたところです。
 そこで,地域課題の中に,正に貧困であるとか,子供や高齢者,障害者の問題が入ってきて,それが人生の長期化の中で顕在化がますますされていくので,そのためにも課題解決を図る社会教育の意義というのは正に強まっているなということを感じました。
 さて,最後の点ですが,私,自分はお酒を飲まないんですけど,(萩原先生が紹介された)飲み会の費用を計算した経済学的な研究というのも実は重要だと思っていて,学びの効果というのを,いわゆる質として捉えるだけではなくて,そういう経済的な,金額的なものでも表していくというのは,一方で大事な客観性かなと思いましたので,データ(エビデンス)・ベースド・ポリシー・メーキングとしては,そういう研究者にも研究していただいたらよいというふうにも感じたところです。
 そして,これから質問なんですけれども,(萩原先生が)「ワーク・ライフ・バランス」が大事とおっしゃって,私も実は,逆転して「ライフ・ワーク・バランス」が大事ということで市政を進めてきたんですけれど,ひょっとしたら「ライフ」の中に「ラーニング」のLが含まれているかなということを感じて,「ラーニング・ワーク・バランス」というか,「ラーニング・ライフ・バランス」というか,「ラーニング」というのを「ライフ」の中にしっかりと入れていくということが,とりわけ萩原先生の実践のお話中から重要だなと思ったんですね。
 ですから,そのときには絶対に企業の認識,あるいは行政なら行政の,横尾市長もいらっしゃいますけど,どういうふうに公務員の「ライフ・ワーク・バランス」を保障していくか,「ラーニング・ワーク・バランス」を保障していくかということなんです。そういう企業の理解について,この間の取組の中でどのぐらい可能性があるか,前進されていくか,そのためにどんなふうに自治体の行政である豊島区で取り組まれたか,あるいは,ほかの事例などで連携がすごく重要だと思ったので,その辺の企業と,教育行政だけでなく,首長部局の行政も含めて,その中で「ライフ・ラーニング・ワーク・バランス」を進めていく上でのヒントが頂ければなと思いました。
 以上です。よろしくお願いします。

【萩原委員】
 ありがとうございました。
 正にサードプレイスの場としての大学,社会教育と,そういうものを既に分けることもなくなってきているんだなということを思いました。
 今の御質問に対してですけれども,やはりラーニングというのは当然入ってくるかと思います。ワーク・ライフ・バランスで,よく丸でワークとライフをちょっと描いてみて,自分ではどういうふうに描きますかといったときに,ワークの中にライフが入っちゃう人がいるんですよね。日本人はそれが多いらしいんです。
 ワーク・ライフ・バランスって,もともとイギリスの方がすごく早い段階でやっているんですけど,それは完全にライフの中にワークが入るらしいんですね。そうすると,ライフの中に,先ほどの御報告であったように,北欧なんかだと,私,フィンランドを調査していたんですけれども,生涯学習という言葉すら何?みたいな感じなんですね。つまり,一生涯学習するのが当たり前ということ。私は,一生涯学習ということを最近ずっと言っているのですが。なので,先生がおっしゃられたように,Lの中にラーニングが入ってくるというのは重要だなと思います。
 ワーク・ライフ・バランスというとフィフティー・フィフティーな感じがしますけど,そうじゃなくて,それぞれがそれぞれのステージで考えていけばいいので,ワーク・ライフ・ハーモニーという言い方をすることもあります。ですから,自分なりのそれぞれのステージに応じて,状況に応じて調整していくという感じが必要なのかなというふうにも思いました。
 それから,企業に関してですけれども,実は21世紀社会デザイン研究科,今年で18期生が入ったわけですけれども,まだ自分が大学院に行っているということを言えない学生がいます。これは1期生からです。言った瞬間に,そんなところに行っているのならもっと仕事をあげるみたいな,そんな話になっちゃうわけですね。つまりサボっているんじゃないかとか。先ほどの研究にありましたように,集中的にしっかり仕事をしていくわけですから,効率がいいわけですね。残業代も払わなくていいわけですから,もっと学びの場に対して応援していただきたいというのが一つあります。
 ただ,企業の中でも,まだまだそういった生涯学習というか,大学で学ぶ,あるいは大学院で学ぶ,あるいはNPOのボランティア活動をするということに対して理解のないところが多いので,このあたりはやっぱり国の政策で進めていく必要はあるのではないかと思います。
 行政に関していいますと,私のところには,いわゆる23区の方も含めて,今一番遠い方は宮城県庁の方も1期生にいたと思います。それから霞が関の方も何人かいらっしゃいました。その人たちが大学院に行っているよということを言っているかどうかは分かりませんけれども,時間を作ってこられていて,それを自分の施策のところに反映するということもありましたので,すごく大事だなと思います。
 きょうお配りしています「『働き方改革』における行政の役割」というのを,後で見ていただければいいのですが,「としまF1会議」を行ったことによって豊島区役所内が大きく変わりました。一番大きく変わったのは議会の対応です。土日をなくしたことによって女性の管理職のなり手が増えたということもありました。やっぱり議会の議員さんも結婚されている方もいらっしゃるし,お子さんをお持ちのお父さん,お母さんもいらっしゃるということで,そういった見直しをすることによって,今まで当たり前だと思っていたところに視点を向けていくと,いや,これ,こういうふうに変えていった方がいいのではないか。令和の時代ですので,古い価値観,さようならというような形でやっていくというふうに得られましたので,そういった意味では,何かアクションを起こしていくというのが大事だろうと。
 当然,このF1会議には私たちの21世紀の院生も入らせていただきまして,あるいはドクターの学生も入らせていただきまして,修論,それからドクター論文も書かれているということで一石二鳥,三鳥なんですが,しっかりと分析をしていくということも非常に重要なことではないかなと思います。
 以上です。

【清原副分科会長】
 ありがとうございました。

【明石分科会長】
 では,牛尾委員。

【牛尾委員】
 お二つのすばらしい発表を伺って,学ばせていただきました。
 一つ質問なんですけれども,澤野先生の御発表の中でEUのアクティブ・エイジング指数のお話が出ていたのですが,大変面白いなと思って,100年時代でこれから,例えば今までの日本人だったら,60歳まで働いて,その後はもう余生だと。ところが,その先が長くなっているわけで,その先をいかに豊かに生きていけるか。それには,経済的に2,000万円あれば大丈夫という話ではなく,精神的な部分,また,人々とのネットワーク,また,自分の有能感といったものもなければ幸せな余生というものを送っていけないわけですし,もちろん,もっともっと広い意味でも社会参加していってほしいわけです。
 そうしたときに,こちらに書かれている雇用という部分での参加と,社会への貢献,それから自分自身の身体的にも精神的にもきちんと自立した生活をしていくという,この3点をアクティブ・エイジングの指数として入れているというのはとても納得がいくものなのですが,まず,この指数が出てきているところの,理論的な背景や何か実証研究などで得られたデータがあるのかという点と,実際,これらのアクティブ・エイジング指数の高い国々と,その国における健康寿命との相関関係はあるのか,何か科学的な実証データがあるのでしたら教えていただけますでしょうか。
 更にもう一つ,もしもこういったアクティブ・エイジング指数というものが確固たる論拠があって確立されたものであるならば,日本でももちろん適応できると思うんですけれども,日本の人たちも,例えば私のアクティブ・エイジング指数は幾つという形で,自分を鼓舞していく,それを楽しみに頑張っていくという使い方もあるかと思うのですが,そのあたりの可能性についてもお教えいただければと思います。

【澤野委員】
 この指数を作った背景にどのような理論的研究があるかということはちょっと把握していないのですけれども,ユーロスタットというEUの統計局がいろいろ共通のデータをとっていて,教育ですとか生涯学習の分野でしたら,当然,様々な統計数値を指数化する専門家がいて加盟諸国のランキングをつけ,経済的な効果とか社会的効果や金銭のリターンに対しても計算をするような研究も行われていますので,そういうところから出てきたものではないかと思います。
 ただ,実はこのアクティブ・エイジング指数が高いのは,北欧の国々は,フィンランドも含めてベストファイブぐらいに入っているところが多いですが,デンマークが実は健康寿命が短いというか,まだ平均寿命が80歳代にいっていないというのがあって,北欧の中でもちょっと謎だそうなんです。バターとかを多く食べ過ぎているんじゃないかみたいことが言われていますが,幸福度世界一なのに寿命はちょっと短いところがパラドックスとしてなっているので,そんなに信頼性のある指標とはまだ言えないかと思います。

【牛尾委員】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 では,横尾委員。

【横尾委員】
 最初に御説明を文科省の方から,あと,お二人の先生から意見説明をありがとうございました。
 まず,感想を少し申し上げます。「としま」というのは,若い人のために年長者(年増・としま)の方が頑張るから豊島(としま)区なのかなと思ったり,また、NPOというのは,「な」んでも「ぱ」っと「お」任せください,になっていて苦労されているのかなというのも聞いたこともあるので,改善が必要かと思いました。
 さて本題の方に行きますけれども,最初の前のペーパーで,今後,このテーマとしてやるべきことについて整理を頂いているわけですが,はっと気付いたのは,前段の方でいいますと,Society5.0の社会を創りながら,その中で生き生きと生き抜いていきながら,結果的にSDGsにも貢献できるようになっていく。そういうことを,この際,書き込んでしまった方がいいかなと思いました。
 いろいろな分野で今,SDGsは入っていますし,今日のダイバーシティの話とか,あるいは後段に出ています,いろいろな課題を抱えていらっしゃる立場の方々へのサポートということを含めていくと,Society5.0を創り,そこで生き生き活動し,結果的にSDGsに貢献していく。そうなることが個人としても社会としても誉れになるのではないかなと思ったところです。
 それと,学びの在り方については,今,随分変化してきているとひしひしと感じています。先ほどの21世紀デザイン学科なんかは,私も時間があったら行きたいぐらいですけれども,全国,移動の手段も厳しい事情もあります。そうすると今,きょうお見えですけれども,リクルートを中心にMOOC教育の先導をされています。980円で塾の学びができるということで塾業界は大変になっているらしいのですよね。
 というように考えていくと,実は放送大学を中心としたそういうメディア,あるいはMOOCということをうまく使っていくと,全国の長寿になった方々が御自宅か近くの学びセンターでアクセスをして学ぶということを促進していくことはとても大事じゃないかなと思います。そのレベルが上がっていけば日本の民主主義も育っていくと思われますし,今報道でも話題の、人生100年で年金が不足するのが2,000万円だとの数値の根拠のデータを,自らインターネットで見て確認し,「騒いでいるけど,いや,あれは読み方のミスよね」と,すぐ分かったりしますので,そういったことも必要かと感じます。時代や技術進歩とともに学びの変化ということをやっぱりよくキャッチしていくようなことを同時にこの分科会でも協議いただくとすばらしいかと思いました。
 三つ目に感じたのは,とはいえ,その中で先ほど申しましたように,ハンディのある方,少し弱い立場にある方,課題を抱えていらっしゃるお立場にある方をやっぱり考慮することはとても大切だと思います。たまたま機会を得て,「ニューヨーク公立図書館」のドキュメント映画を見ました。大変感激しました。実はこの映画は,途中に,全く解説などはありません。ひたすら事実の記録映像を流しているだけです。3時間ぐらいですかね。一番感銘したことがあります。幾つか印象に残った中でいいますと,実は点字専門の図書コーナーもあります。あるいは,耳の不自由な方がちゃんと勉強できるようにアシスタントかチューターが付いてやっています。あるいは,社会的に貢献したいという人にインターネットアクセスからデジタル教育をするコーナーもあります。それらが印象に残り,認識も新たにしました。ですから,この映画を見ると図書館というのは本を並べて貸すところじゃないなと思います。
 いろいろな自治体やいろいろな先例が今,頑張っておられるように,それを一つのきっかけとして,そこに知識のある方,知恵のある方,経験のある方が集い,お互い知っていることを共有して,それを社会に還元していく。そういった意味での,きょう冒頭の説明の中であった「『ライフ・シフト』には,読書が大事である」という理念については,正にそれとも通ずるかと思いましたので,そういったことも日本国でできたらいいなと思いました。
 それと併せて,たまたま多久市内には総合学科の高校(多久高校)があるのですけど,毎年1,2年生の発表会に参加して聴いています。驚くのは,1年生後半だと思いますが,自分の人生設計を発表します。ここで学んで,次はこれをして,何年後に何をしていると発表します。私の高校時代はそんな発表をしたことはありません。総合学科というのは後からできてきた学科ですけれども,実は,そういう社会との関わりと自分のことをよく見つめて,計画を作ってやっていくということをされています。
 考えてみれば,そういったことは,学校の何々系統に関わらず,中学,高校生,特に高校生ぐらいには是非何とか教える機会を設けることが大事と思います。この分科会の所管じゃないかもしれませんが,人生を考えていくのはとても大事と思います。そういったことを文部科学省の方で考えていただいて,生き方,学び方を学ぶということも是非,より多くの人にチャンスがあるといいなと思います。
 そのことによって,ひょっとしたら学校にいて課題を抱え,ひきこもりがちになりそうなお子さんも,「そうか,自分はこういうことが好きだから,これをやってみよう」とか,「学校では無理だけど,どこどこの先生に付いてみよう」とか,「学校にクラブはないけど,地域のスポーツクラブ,あるいは芸術系の教室に行って,自分の個性を伸ばしながら生きがいを持ってやろう」と心に火がつけば,学び方が変わると思うんですね。すると「じゃ,芸大に行こう」とか,そういうふうなことになることもとても大事なのではないでしょうか。
 学校を卒業した人たちの生涯学習ではなくて,生まれてきて,命を得て天寿を全うするまでの間の「人間の生涯」ということの視点で,冒頭に言いましたように今後はSociety5.0の社会になっていきますので,そこで生きがいを持って生きられる,学びを使える,更に深く学べる。是非そういった環境を作っていただくとすばらしいなと改めて感じたところです。一緒にそういったことに力を尽くせればと感じました。ありがとうございました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,牧野委員,お願いします。

【牧野委員】
 資料1のご説明,資料2の澤野委員の御報告と,さらに資料3の萩原委員の御報告を伺いまして,私がいる大学が,いかに重厚長大型で上意下達型の大学のままにとどまっているかということを痛感しまして,それだから地域を壊してしまうのだなと考えていました。そういう大学にいる者として,幾つかお聞きしたいことがあります。一つは,すこし理念的な話になってしまいますが,生涯学習または社会教育を実践的に展開すること,つまり知を,いわば知識の普及ですとか,学びといったことを社会に広く展開していく場合に,しかも,資料1でまとめられているように,今後,この分科会で検討する課題の中に,様々なアクターやステークホルダーとの協働ということが書かれてあると思うのですが,そういう場合,例えば,「学び」は公共財なのか,私有財なのかということ,つまり公的な社会教育,または私的な学びという言い方があったりですとか,さらには公共性とか,私事性というような言い方があったりするわけですが,そのあたりの整理はどうしたらよいのかということを今,考えておりました。
 どういうことかといいますと,例えば,公共財としての学びを,私的な様々な学びの中に組み込んでいくことで,それが人々の間で様々に共有されていくということを考えることも可能です。その場合,学びを公的に保障する,つまり行政的に保障する,ある意味では私的なものと見なされ得る趣味や文化教養の学習も全て公的に保障するという考え方もあれば,人々の社会参加を促すことをベースにして,学びの機会を多様に保障していくということも考えられると思います。その意味では,この分科会における議論の前提として,いわゆる公共財と私有財の関係,又は公共性と私事性の関係,さらに学びを公的にどう保障するのか,又は,私的にどう行っていくのか,また公共財ととらえることと,公共性とは同じなのか違うのかといったことを,どこかで整理しておかなければいけないのではないかと思います。この意味で,例えば,澤野委員の御発表にありましたように,北欧などではどういう整理がなされているのかといったことをお聞きしたいと思いましたし,萩原委員が様々に実践されていることの中で,そうしたことがどのような形での整理されているのかをお聞きしたいと思います。
 それはなぜかといいますと,例えば,中教審の前の期からこの10期にかけての議論は,従来の生涯学習を中心としたものから,どちらかというと改めて社会教育の重要性を重視して,コミュニティの在り方を組み換えていくことに重点が置かれてきているのだと受け止めているからです。これは,先ほどの資料1の御報告にもありましたように,実はほかの省庁の施策においても,今,ある意味ではコミュニティが,少し言い方は悪いですが,草刈り場になってきているところがありまして,例えば総務省なども,地域運営組織の展開ですとか,地域生活総合支援サービスの実施と言い,その過程で公民館が大事だととらえ,社会教育が大事だとおっしゃるわけです。
 厚労省も今,もう地域包括ケアという言い方をやめ始めて,地域共生社会づくりと言い始めていて,社会・援護局の中に今年度から地域共生社会推進室がつくられ,社会教育について知りたいと言って,職員の方がいらっしゃったのです。
 更に,全国社会福祉協議会の関係者と話していますと,福祉教育という言い方をやめたいとおっしゃっていまして,どうするんですかと聞きましたら,社会教育と呼びたいというのです。なぜかと聞いたら,もう福祉は社会を作ることとイコールなのだ。その意味では,社会教育と呼ぶのだとおっしゃるわけです。
 これらの意味で,社会全体の組み換えということと,それからコミュニティが政策的な焦点となってきているという問題と,社会教育が教育行政以外のいわゆる一般行政からも重視されてくるという動きの中で,では,それはつまり社会教育や生涯学習はいわゆる公共的なものなのか,私的なものなのか,また公共財か私有財かという議論をきっちりやっておかないと,議論が混乱をしてしまうかなという不安があるということなのです。これが、理由の一つです。
 それからもう一つは,きょうの御発表は,どちらかというと大人というか成人向けの学びの機会の提供ということだと思いますけれども,文科省の強みとして,やはり子供に関わっていることですとか,更に次世代の育成に深く関わっていることだと思います。その意味では,2015年の地域学校協働答申や,来年から始まる新しいカリキュラムもそうなのですが,地域と学校がどういう関係を作って,子どもたちを社会総掛かりで,次の時代の担い手として育てていくのかということが,コミュニティが政策的な焦点となっているということとの関係で,問われてきているという面があるかと思います。この意味でも,社会教育や生涯学習と,次世代の育成,特に子どもをどうそこに位置付けて,担い手として育成するのか,このことがコミュニティをめぐる学びの公共性や私事性という議論と深くかかわるように思うのです。
 もう少し言いますと,先ほど,横尾委員がおっしゃったように,既に子どもたちがまちづくりの主役に躍り出てきている地域があったりするわけです。その意味では,従来のように,将来の大人,将来の担い手として子どもたちが期待されるということもありますが,一面で,目下の社会の担い手として育成されることが期待される,それを次の社会づくりへとつなげていくというようなこともあるかと思います。ここでも,従来の公共性の議論でよいのか,が課題化されると思います。これらの意味で,学びの公共性・私事性にかかわる議論についても,これからどうしていくのかを少し検討していただければと考えております。
 以上です。ありがとうございました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 非常に大事な御指摘がありまして,澤野委員から何か今の牧野委員の質問に対して,公共性と私事性の中のすみ分けをちょっと,テーマが大きいんでしょうけれども,分かる範囲でよろしいですから。

【澤野委員】
 スウェーデンとか,ヨーロッパの多くの国で,公共ということが,官が行う,日本でいったら国公立,行政が行うものが公という整理ではなくて,特にこの民衆教育とか生涯学習に関しましては,その担い手は,日本でいいますと,先ほどのフォークハイスクールにしても学習サークルにしても,NPOなんですね。非営利の様々な団体が組織しています。そこに対して公共財,公共善,パブリックグッズという言い方で,国民の税金を投入して守っていこうとする。その背景にはやはり多様性を確保するということで,様々なダイバーシティがあった方がいいという考え方があります。中には宗教団体も入っていて,政治団体がバックにある団体もあるわけですけれども,そこの考え方が歴史的な背景もあって,日本とは全く違うところで、公というものを受け入れていて,そこにはやはり独裁者とか,特定のイデオロギーに偏ってしまうことは民主主義の大敵であるので,そういうところから多様性を育んでいこうということがあるので,民間の非営利団体ですけれども,公共の予算が投入されるような仕組みになっています。一応,法律で原則を作っていますけれども。
 完全にプライベートに何か学びたいというような場合には有料のサービスもありますけれども,例えば民間の企業が何か研修を行うような場合でも,民間の学習機関から学習を買う,購入するというような感覚で,学習者そのものの負担はなるべく軽減するような仕組みがあります。ちょっとお答えになっているか,分からないんですけれども,そこの考え方が歴史的な経緯もあって大分違うということが1点です。
 あと,子供の次世代育成に関してですけれども,子供を社会教育でいろいろなまちづくりの主体にしている事例,日本であるのは承知しているのですけれども,スウェーデンだったらどうかなと考えると、そこはやはり主権者教育として,当然そういうものに関わることが当たり前ということで,いわゆる政治教育の一環として,北欧だったら子供に地域の中でのいろいろな活動に関わらせているかなというのも思いましたので,そこもちょっと何か日本では学校教育と社会教育がすみ分けている部分もあるので,もう少し,社会に開かれたカリキュラムということで融合してもいいものかなとちょっと感じました。
 以上です。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,お隣の萩原委員。

【萩原委員】
 非常に大きい話ですけれども,思い浮かべたのは,「個人的なことは政治的なこと」という言葉を思い出しました。このF1会議を通して一つ学んだことがあって,参加者が,自分たちが政策提言するときにやっていたことって毎日の生活のことじゃんということに気付いたんですね。政治の世界って正にそうなんですけれども,やっていることは生活に非常に密着していることだということで,実はこのF1会議から3人,議員さんが誕生しているんです。だから,それはやっぱり切り離されたものではなくて,自分たちが主体になってやっていくんだと,正に,公とか私ではなくて,何をやるのかという目的が明確になってくると公私は関係なくなってくるんだろうと。
 もう一つは,私がなぜ調査とか研究を重視したかというと,これは私がトヨタ財団のアソシエイトプログラムオフィサーのときに,「市民研究コンクール 身近な環境をみつめよう」というプログラムがありまして,日本で初めて市民の研究活動にお金を出すというプログラムです。そのときにやっぱりまず,地域を知る。先ほど清原先生もおっしゃっていただきましたけれども。それによって知の構造化というか,難しい言葉を使えば,ナレッジマネジメント,つまり,自分たちの地域社会をどうしていくのかといったときに,今までは例えば専門家の意見,専門家の知識,あるいは行政の知識,そういったものが重視されていたんだけど,実は自分たちの持っている生活知であるとか,経験知であるとかそういったものが非常に重要なわけで,それだけでも決定できないんだけれども,いろいろな知を,ナレッジマネジメントですね,知をマネジメント,構造化していくことによって,地域社会にとってどういう知が必要なのか,どういう学びが必要なのかということを通して,地域社会の課題解決のための方法論を見いだしていく。それは,共に正に見いだしていくべきものであるということがありましたので,それをF1会議で実践したと。それを参加した方たちは自分事としていったと思います。
 それから,子供に関してですけれども,このF1会議の提案では,それぞれの地域社会で子供に対する育成関係の団体がたくさんありました。それが全部縦にいたんですね,行政と一緒で。そうではなくて,誰のための活動なんだ。これは豊島区の子供たちのための活動ではないか。それはひいては東京,日本,世界というふうになっていくわけですけれども。なので,先ほどSDGsの話がありましたが,「そうだったのか。SDGs」というタイトルで子供育成連の方たちにお話をさせていただきました。このSDGsの目標を達成していくには,この子供たちの力なくしてできないので,子供たちとともにやっていこうということでワークショップをやりました。
 そのときに子供さんから出たのは,「としま100人女子会」というのをやっていた。「としま100人女子会」といったら,年増の女を100人集めてどうするんだって確かに言われました。そういう話ではないんだと。で,そこから子供さんたちから,未来の豊島を担っていくのは自分たちだと。だから,子供100人会をやりたいという意見も出てきました。大人が動いてくると,子供たちも,やっぱり自分たちで何かをしなきゃいけない,自分たちこそ担い手なんだという意識を持っていってもらうような形の,主体性を持ってもらえるような,教育となるとあれなんですけど,学習,そういう環境を作っていくということが大事なのかなと思いました。
 以上です。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,大久保委員,お待たせしました。

【大久保委員】
 御発表ありがとうございました。
 聞きながら,触発されて考えたことを2点ほど申し上げたいと思います。一つは,働き方と学習の関係なんですが,2017年が働き方改革の元年と呼ばれることがあって,法律の改正前から企業の働き方改革は始まっているのですが,2017年は,前の年に比べて労働時間が短くなりました。同時に,働いている人の会社以外での学習時間も短くなったんですね。分析してみると,会社がOff-JT,OJTの時間を削減してしまったら,きっかけがなくなって,個人の自己啓発も減ってしまったということのようです。
 先日2018年のデータが出まして,発表したのですが,2018年は2017年より更に労働時間は短くなったのですが,反転して個人の学習時間は大幅に増えたんです。どうやらワーク・ライフ・バランスが少し個人の中に浸透してきたのかなと。何かやり始めたという年が2018年だったのかなと思っていまして,会社の中にいる,働いている人たちが地域の問題とか社会教育の問題と関わっていく大きなチャンス,タイミングを迎えているのではないかと感じています。これが1点目です。
 もう一つは,ボランティアの話で,こっちも今,動きがあるんですね。経団連に加盟している企業で,8割以上の会社は社員の社会貢献活動を支援する制度を持っている。その柱はボランティア休暇制度なんです。ただ,ボランティア休暇制度って導入している率は非常に高いんですけど,使われていないんですね。1社平均で1年間の活用実績人数の平均が40人ぐらいなんですよ。40人って,経団連の企業の社員数を考えれば,極めて少ない数字なんですね。
 ただ,変化があります。企業に働いている人たちがボランティアをするというのは第1期は震災のときにかなり動きがあったのですが,今回またちょっと動きがありまして,それはオリンピックとか,スポーツイベントにボランティアとして出る人たちが増えてき始めた。そのことを会社側が本格的に支援し始めているんですね。
 聞いてみると,それは社会貢献活動という文脈,CSR活動という文脈だけではなくて,会社側が狙っているのは社員のキャリア支援なんですよ。越境学習というような言い方をしますけど,外に出てそういう別の世界を見ることが,結果的にキャリア形成とか成長につながっていくんだという文脈が共有されるようになって,それで外に出ていくと,こういうことなんだと思うんですね。
 プロボノ的なものだけじゃなくて,全くの自分の知らない世界に入っていくものも含めて,働いている人たちのボランティア活動の数が増えていく。これもまた,実はそういう人たちが社会教育の問題に関わっていく大きなきっかけになると思うんです。
 会社に勤めている人が,会社の中に閉じこもって,外の世界を見ずに内向きな状態で定年退職を迎えると,本当に先が見えなくなる。ある程度,外を見ながらこそ初めてマルチステージが成り立つんだなと思っていて,大変いい動きなんだと思うんです。企業の中で今起こっている文脈と社会教育で議論されている文脈をつないで,社会教育をつなげていくということができる,いいきっかけ,タイミングなのかなという感想を持ちました。
 以上です。

【明石分科会長】
 貴重なデータ,ありがとうございました。
 では,関委員,お願いします。

【関委員】
 遅れて参りまして誠に申し訳ございません。途中からの話で全部聞き及んでいないので,ピントのずれたことを話しするかもしれませんけれども,御容赦ください。
 初めに,横尾委員さんがおっしゃったように,私もSDGs的なテーマについて,社会教育が真に対話的な,アクティブラーニング的な議論を深めていくことで,市民の意識が変わっていくのかなと考えます。それが結局,地域課題の解決,又は学習にもつながっていくのかなと感じております。
 人生100年の時代というときに,現場にいると割と否定的な側面で捉えるところが正直あります。今までの人生80年の時代であれば,最後の,春夏秋冬で言えば60から後の冬の人生を充実させていけばよかったかと思うんですけれども,100年と言われてしまうと,75歳から以降の人生を本当に健康で人生を全うするには,きちんとした学びの仕組みづくりが必要なのかなと日々感じます。
 そのような中で実際,我々も生涯学習大学,いわゆる市民大学を行っておりますけれども,そこに来る方は市民全体から見れば本当に少ない方,公民館等の活動を含めても少数派。そこから取り残される人が本当に今,多い実態ではないかなということを正直感じています。
 これまでの社会教育は,ともすれば施設的なものにある程度目線を置いた教育活動であったような気がしてなりません。それでは車も運転できない年配の方になると,そこに行くにもなかなか行く手段すら持ち得ない。あるいは,昨今の話であれば経済的にもなかなか厳しい状況にある方もいる。そういう人に今から学びの場をきちんと提供していくために,あるいはつながりの場をつないでいくためには,より身近なところに根差すアウトリーチの展開が今,必要ではないかなと思っています。
 例えば私どもの市では空き家の率が今15%を超えております。例えばそういったところが,日頃,子供たちあるいは高齢者の方が学び合えるような場になるとか,そういった新しい展開があってもいいのかなと思います。
 それを進めていく上には,人材が必要です。社会教育主事が今度,学びのオーガナイザーという表現で期待されておりますけれども,社会教育主事が全体をうまく構造化,組織化していってくださることや,あるいは,社会教育士の方がそういった学びを様々な場面でお世話していくというか,より身近なところでそれをプロデュースしていくような力が必要ではないかと考えます。社会教育士という人材がどれだけこれから定着していくか,広がっていくか,そのことについてきちんとうたっていただければ有り難いなと思います。
 あと最後に,先ほど牧野委員さんが言われたような点,他の行政分野が社会教育に目を向けるということについては,私はむしろ大歓迎で,様々な行政の中の課題を,いろいろな部局が共に連携し合いながらその課題を共に解決していくような,予算的にも人的にも,そのことによってより多くの資源が投入されるような気もいたしますので,それを上手にと言うと語弊があるかもしれませんが,したたかに関わっていけるような社会教育の強さがこれから必要ではないかなと,むしろ思いました。
 以上でございます。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,菊川副分科会長。

【菊川副分科会長】
 お二人の先生方の発表,それからその後の御意見,大変面白く聞かせていただきました。
 それで,きょうの資料1の,事務局からの御提案としては,今後, 10期の生涯学習分科会においてどういう論点で協議するというのがテーマだと思います。そういう観点で,2点の御提案を見ましたときに,学びの側面が少し少ないのではないかという印象を持ちました。学びが公共財か私事のことかというようなお話もありましたが,また地域づくり,社会課題解決のためのいろいろな取組が書かれてあるわけですけれども,こういう課題解決への期待というのは,やはり自らとの関係がぴたっと気持ちの上でも重ならないと,本当の力にはならないと思います。そういう意味で,では,自らへの関わりは何かというと,それが学びなのではなかろうかと思います。
 先日,国立大学協会の機関紙を見ていましたら,東大の吉見教授がリカレント教育について,「未来の自分の人生への欲を持って大学等で学ぶのがリカレント教育だ」とおっしゃっていたのですね。生涯学習とリカレント教育,学び直しの位置関係はどうなんだろうとよく考えていたのですが,そういう意味では,そうか,自ら未来への欲や志を持って学ぶのがリカレント教育かと非常に納得したところでございます。そういう観点で,きょう御提案いただいたテーマを見ますと,やはり自らとの関係性が問題提起として少し薄いのかなというふうにも思います。それが1点目です。
 それから,2点目としては,人生100年時代の学びを本当に深まる学びにするためには,やはり大学等の役割というのは非常に大きいものがあると思います。リカレント教育を,社会人だけでなく,あるいは高齢者も含めて誰が担っていくのかというところでございます。高等局の方でリカレント教育を正面に据えて御検討いただくならば,それは有り難いことですけれども,ここは総合教育政策局でございますので,こういうリカレント教育的な,あるいは学び直し的な,あるいは本当に生涯にわたって身に付く学びを誰がどう保障していくのかというような議論は,場合によってはプロジェクト的な,横断的なチームを組んだりしながら,議論していく時期に来ているのではなかろうかと思っているところでございます。

【明石分科会長】
 貴重な御指摘ありがとうございました。
 では,今村委員,お願いします。

【今村委員】
 意見させていただきます。
 萩原先生からNPOの代表者の平均年齢について教えていただいて,今お伺いしながらネットサーフィンをしていたら,確かに2012年の日本政策金融公庫のデータを見てみると,代表者の年齢の約64.9%が60歳以上というデータがあって,39歳以下は3.6%だという数字を発見して,感じていたリアリティーは本当だったということを感じました。
 私は,こちらの「第10期生涯学習分科会の検討課題について」の中で,一文,あえてきちんと入れていただきたいのは,積極的市民を育てるための若者政策という観点での検討も入れていきたいなと思いました。
 NPOを作ろうとする人たちの平均年齢が低いというのは,きっと感じているリアリティー通りなんですけど,やっぱりどうしてもこの分断した社会の中で自分と違うセグメントに位置している人たちについて,例えばその人たちの痛みや,その人たちが一体どういう生活環境にいるのかということを感じる,想像するのはとても難しい状況に,3年前よりも5年前よりも,今,とてもなっているような感覚があります。
 子供たちの可処分時間の多くを,ほとんどの時間をSNSに割いていくということは,同じような人とコミュニケーションをする時間が増えているし,学校の授業を訪問してみると,休み時間になると,クラスの子と話さずにSNSを開くというのが教室の風景だったりします。
 そうすると,中学校で携帯を持ってきている子たちがどれぐらいいるかは学校によるわけですけれども,特に高校生になると携帯利用もむしろ積極的に利用すべきという検討もなされている中で,本当に自分の同質性の高いセグメントの中にコミュニケーションの可処分時間が奪われれば奪われるほど,社会で何が起きているのかということに思いをはせることの難易度がすごく上がってきます。
 そういう意味でも,若い人たちの政策,日本でいうと若者政策はどうしても雇用対策になりがちな感覚があって,これが文科省アジェンダというよりはサポステのような,困難を背負った若者たちをどう社会とつなげるかというところには,本当にこの15年ぐらいでいろいろな政策が作られてきていると。ただ一方で,積極的市民を育てるための,ポジティブな意味での,社会にどう関心を持ち,プレーヤーにしていくための若者,子供・若者の政策はまだまだ弱いなと思っていまして,この部会の中でそこを検討していけたらいいなと思います。
 スウェーデンのお話を聞きながら,私もスウェーデンのことを一時期勉強していたときに,彼らがよく使っていた議論,スウェーデンの方々がよく使う言葉が,若者たちを人生の消費者にさせないために若者政策を引っ張っていくのであるということをよくおっしゃっていました。
 今,スウェーデンには37ぐらいの若者議会というものがあります。若者議会は政策形成だけを目的にしているのではなくて,ノンフォーマル教育の中で,子供たちが,自分たちが何をしていきたいかということの取組を自分で作るということに重きを置いています。ヨーテボリというある自治体では行政が350万ぐらい,助成金を出します。ヨーテボリでは101人の議員さんがいて,その人たちは12歳から17歳だったりして,選挙で選ばれている人と選ばれていない人がいるそうなんですが,彼らが好きなことをやると。その中で実際に政策形成につながるものもあったり,議員さんがわざわざ若者に意見を聞きに来て,そこで意見すると立場が逆転するような現象が起きたりということも起きてきているそうです。
 若い人たちが社会に関わって,自分が考案したことが反映されたという実感を持つというのは,未来の積極的市民にしていくための訓練になると思うので,そういった施策を日本ももっと進めていけるような形をここで検討していきたいと思いました。
 以上です。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,中野委員。

【中野委員】
 お二人の先生,興味深いお話,本当にありがとうございました。
 私の方は,今現在どういう状況かなということを本当に現実として考えながら,また,地方においてどういうふうにやっていくべきかなということを考えながら聞かせていただいたわけです。まだまだ社会は仕事のみとか子育てのみの単線型の毎日の中で生活しています。本当に必要なのは豊かで多様な学び,これが保障されていくということができていけば,人生が豊かになりながら100年時代を生きていけるんだと思うわけです。これはやっぱり働き方改革にも関連するわけで,そういった視点からも考えていく必要があるのかなということを思いました。
 学んでいくということが,人生100年時代のマルチステージの人生を設計する力ということになっていけばいいんだと思うんですけど,そのためには学びによってどんな力を付けていくのかという視点,方向性で考えていくというのも一つあるのかなと思うわけです。学ぶことによって,つながり力であるとか,それから,きょうの話の中で私,面白かったなと思ったのは,変身する力,前から言われていますが,無形資産の中の変身する力だということだと思うのですが,人はなかなか自分を変えられないですし,同じところに居座るとそのまま人生を進んでいこうとするわけなんですけれども,今後,力として必要な変身資産というか,提案がありましたが,そういったあたりをやっぱり念頭に置きながら,変わってもいいんだとか,自分の人生はこの後,次のステージに行けるんだとかいうふうな認識を持つということが必要なのかなと思いました。
 それが大学等で学ぶことにつながるのですが,地方においてはなかなか身近にそういったところがないんです。ただ,少子化の時代ですから,成人教育をしっかりやれば地方の大学も活性化されるのかなという視点でもお話を聞くことができました。
 でも,その前にはまず,身近なところでどういう場で学びの場があるのかなということで,牧野委員さんが言われたいろいろな提案の中にヒントもあったかなと思いながら,心強く思ったのですが,要するに近くで学ぶことによって心に灯をともし,そして,それが更に学びたいということが大学とか専門的なところへつながるんだろうというステップも考えていくということも必要かなと思いました。
 感想のみになったかもしれませんが,そういった中で地方主体の視点でいろいろな思いを持たせていただきました。
 以上です。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,最後,秋生委員。

【秋生委員】
 先生方のお話,非常に参考にさせていただきました。
 実は私,前にもお話ししましたけれども,前職が子どもの貧困対策の担当だったので,WAKUWAKUさん,栗林さんとも随分お話しさせていただいて,立教大学でお話しさせていただいたりだとか,いろいろなところで関わらせていただいたものが方向性として間違っていなかったかなと思っています。
 NPO等についていえば,行政との関わりの中で,どうしても日本の社会って,お上の世界で役所に頼りがちなところがありますけれども,NPOとも対等に付き合うときにはやっぱりいろいろなお話をしなきゃいけない。NPOさんについても,しっかりしたところから,まだまだボランティアの域を出ないところまで,いろいろなお付き合いをしなきゃいけないかな。地方自治体ですので,大手のNPOさんとばっかりというわけにもなかなかいかない,弱小NPOもあります。
 これは企業も同じで,東京23区の場合については,法人住民税,固定資産税は全部東京都が徴収なので,ちょっと普通の自治体とは違う形の中で,企業とのお付き合いも,NPOとのお付き合いも一工夫必要の中で動いてこなきゃいけないという中で,ワーク・ライフ・バランスについていっても,うちの区内,決して中小といっても割と零細の方が多いというような中で,やっぱり地域,先ほど地域が草刈り場というお話もありましたけれども,日中いるのはその人たちなので,その人たちとどう関わるかということが非常に大きかったかなと思っています。
 前半の方の感想はそのぐらいで,テーマの方ですけれども,教育ってなあに?というところも含めてになりますけれども,総合行政なんだろうなと。子供の貧困がそうだったように,子供の貧困というのは,貧困の連鎖が問題で,今,困っていることが問題ではないので,そのためには産業の部分についても,教育の部分についても,まちづくりの部分についても,横につながないと解決策が出てこないという形のものです。子ども食堂についてもブームになっていますけど,1度事故を起こせば,国は手のひらを返したように規制に入ってくるというものも含めて,自治体として,末端の自治体としてどう関わるかという話になる。
 教育の問題についても,私は牧野先生がおっしゃったみたいに,公共財としないと,これ,財政部門からすれば当然の話なので,全部役所がやるものでもない。じゃ,どこをどういうふうにという仕分はきちんとしないと,論議が先に,後でめちゃくちゃになっちゃうかなと思っています。
 それから,子供のところに中心を置くべきじゃないかなと。子供も,じゃ,幾つまでという論議もしなきゃいけないと思うのですが。大人の意識を変えるのは大変です。逆に,大学や皆さんのところにお見えになっている大人は,かなり意識のある方の方々だろう。子供については,親に意識がなければ,子供はその環境しか与えられないということになります。これは沖縄へ行ったり,いろいろなところへ行ったりして,いろいろなものを見せてもらっていますけれども,うちの自治体の中でも同じです。
 それは,大人を変えていくのに10年,20年掛かるのであれば,子供はもう10歳,20歳になってしまうということも踏まえて,子供にどう関わるか,子供に知的体験,文化資本,社会関係資本等を含めていかに形成していくかというのが,正に人生100年時代,これからの人を育てる,教育という人を育てる,人材を育てるというところの大きなテーマかなと思っています。だから,これの方向で私はよろしいんだと思っています。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 出席の委員の方々から貴重な御意見を頂きました。
 それで,きょう冒頭の資料1の二つのひし形の論点がありましたけれども,委員の方々の意見をお聞きしますと,少し修正をする必要があるかなという感じがいたします。それで,できましたら事務方と私の方にお任せいただいて,練り直していきたいと思っております。それでよろしゅうございますか。
(「異議なし」の声あり)
 ありがとうございました。
 それでは次,残された時間で,議題2の前回の地方分権一括法による社会教育法の改正について,中野課長から御説明を頂きたいと思います。よろしくお願いします。

【中野地域学習推進課長】
 お手元,資料4を御用意ください。こちらは前期の生涯学習分科会,また,特に社会教育施設につきましては,ワーキンググループを設置いただきまして,明石先生を中心に御議論を頂いて,昨年末にお取りまとめいただきました答申を踏まえまして,社会教育施設の所管の弾力化につきまして法改正を行いましたので,御報告させていただくものでございます。
 趣旨のところにありますように,教育委員会が所管する公立の図書館,博物館,公民館等の公立社会教育機関につきまして,地方公共団体がより効果的と判断する場合には,社会教育の適切な実施の確保に関する一定の担保措置を講じた上で,条例によって地方公共団体の長が所管することを可能とするというものでございます。
 具体的には,地方教育行政の組織及び運営に関する法律等々の改正でございますが,中教審の答申の中では,社会教育の適切な実施の確保に関する一定の担保措置が必要であるということが示され,具体的な在り方は,法制定過程において,更に詳細に検討する必要があるということでございました。
 これを受けまして,今回の法改正において具体的な担保措置を設けております。それが点線囲みのところでございますけれども,1点目が,首長所管にする場合に,首長所管の公立社会教育機関の管理運営規則の制定を行う際には,教育委員会に協議をするということで,教育委員会を関与せしめるということです。
 そして2点目が,移管される公立社会教育機関に関する事務のうち,教育委員会が所管する学校,公立社会教育機関等における教育活動と密接な関連を有するものとして,あらかじめ規則で定めるものの実施に当たっては,地方公共団体の長が教育委員会の意見を聴くということにしております。
 3点目ですけれども,教育委員会は,必要と認めるときは,公立社会教育機関に関する事務について地方公共団体の長に対して意見を述べられることとするということで,これは特定の場合ではなくて,教育委員会が必要と認めるときに関与できるというものです。これら3点の担保措置を今回の法改正で設けてございます。
 なお,今回新しくではございませんけれども,そもそもこの地教行法によりまして特例として所管を移す場合,この概要の中ほどの二つ目の「※」のところに書いていますけれども,移管のための条例を制定,改廃するときには,地方公共団体の議会が教育委員会に意見を聴かなければならないということになっておりまして,これは既存のスポーツ,文化,文化財の保護の事務を教育委員会から首長に移す際の手続と同様でございます。
 施行期日は公布の日となっておりますけれども,本年6月7日に公布をされまして,同日に施行ということでございます。
 御参考に,参考1が中教審の答申の概要,また,参考2という形で,各自治体の教育長,首長宛てに施行通知を示しております。この中では,今,申し上げました担保措置に加えまして,中教審の答申で,首長に所管を移すときの留意点といったことも御提言いただいておりましたので,その内容についても触れているところでございます。
 御説明は以上でございます。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 以上をもちまして本日の議題を終わりにしたいと思います。
 事務局から連絡事項がありましたらお願いします。

【野口生涯学習推進課課長補佐】
 次回の分科会の日程につきましては,現在調整中でございますので,追って御連絡を差し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
 以上です。

【明石分科会長】
 以上をもちまして本日の生涯学習分科会はこれにて閉会といたします。ありがとうございました。

―了―

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