生涯学習分科会(第86回) 議事録

1.日時

平成29年7月14日(金曜日)14時00分~16時00分

2.場所

文部科学省3F1特別会議室(東館3階)

3.議題

  1. 障害者の生涯を通じた多様な学習活動の充実について
  2. これからの専修学校教育の振興のあり方について
  3. 教育再生実行会議第十次提言について
  4. 経済財政運営と改革の基本方針2017、未来投資戦略2017及びまち・ひと・しごと創生基本方針2017について(生涯学習関連部分)
  5. 第3期教育振興基本計画に盛り込むべき事項について
  6. その他

4.議事録

【明石分科会長】
 それでは定刻となりましたので,ただいまから中央教育審議会生涯学習分科会第86回を開催いたします。
 本日は,お忙しいところをお集まりいただきまして,誠にありがとうございます。
 本日は,事務局から議題1から4について御報告を受けました後,議題5として「第3期教育振興基本計画に盛り込むべき事項について」の御審議いただきたいと思っております。
 なお,本日,報道関係者より,会議の全体についての撮影,録音を行いたい旨の申出がありまして,許可をしておりますので,御了解おきください。
 また,今回初めて御出席いただく委員の方々を紹介したいと思います。
 まず,佐野元彦委員。

【佐野委員】
 全国高Pの佐野でございます。よろしくお願いします。

【明石分科会長】
 次に,宮本みち子委員。

【宮本委員】
 放送大学の宮本です。よろしくお願いします。

【明石分科会長】
 3番目に,横尾俊彦委員でございます。

【横尾委員】
 改めて,よろしくお願いいたします。横尾でございます。

【明石分科会長】
 では,議事に入る前に,文部科学省で人事異動がありましたので,事務局から御紹介いただけますか。お願いします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 事務局を務めさせていただきます,生涯学習推進課課長補佐をしております高見と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局に人事異動がございましたので,新たに参りました職員を御紹介いたします。常盤生涯学習政策局長です。

【常盤生涯学習政策局長】
 よろしくお願いいたします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 義本高等教育局長です。

【義本高等教育局長】
 よろしくお願いいたします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 有松国立教育政策研究所長です。

【有松国立教育政策研究所長】
 大変お世話になりました。引き続きよろしくお願いいたします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 下間大臣官房審議官(初等中等教育局担当)です。

【下間大臣官房審議官】
 下間でございます。よろしくお願いいたします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 塩見大臣官房文部科学戦略官(生涯学習政策局担当)です。

【塩見大臣官房文部科学戦略官】
 塩見です。よろしくお願いいたします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 氷見谷政策課長です。

【氷見谷政策課長】
 氷見谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 萬谷生涯学習推進課長です。

【萬谷生涯学習推進課長】
 萬谷です。よろしくお願いします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 梅村情報教育課長です。

【梅村情報教育課長】
 よろしくお願いいたします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 八木社会教育課長です。

【八木社会教育課長】
 よろしくお願いします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 中野男女共同参画学習課長です。

【中野男女共同参画学習課長】
 中野でございます。よろしくお願いいたします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 伊藤参事官(連携推進・地域政策担当)です。

【伊藤参事官】
 よろしくお願いします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 内田教育改革推進室長です。

【内田教育改革推進室長】
 よろしくお願いいたします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 橋田障害者学習支援推進室長です。

【橋田障害者学習支援推進室長】
 橋田でございます。よろしくお願いいたします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 以上でございます。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,次に配付資料の確認を,事務局よりお願いいたします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 配付資料につきましては,議事次第,座席表のほか,お手元の議事次第にありますとおり,資料1から6と参考資料1から3となっております。
 また,席上のみとなりますが,関委員,横尾委員から資料を御提出いただいております。横尾委員の資料は,この後皆様に配付させていただきたいと思います。
 また,生涯学習分科会の基礎資料を入れたタブレットを配置してございますので,必要に応じて御参照いただければと思います。
 以上になりますが,過不足等ございましたら,事務局にお申し付けください。
 なお,参考資料3についてでございますが,本年1月の本分科会でも途中経過を報告させていただきました「学びを通じた地域づくりの推進に関する調査研究協力者会議」における議論の成果物となってございます。社会教育課から,簡単に説明をさせていただきます。

【石丸社会教育官】
 お手元の資料,緑色の冊子がございますけれども,そちらに基づきまして,簡単に御説明させていただきます。
 本会議につきましては,前々回の分科会でも御報告を申し上げたところでございますが,お手元の資料24ページを御覧いただきますと,第6期当分科会における議論の整理におきまして,「社会教育行政の再構築」という御提言を頂いたところでございます。
 それを受けまして「2 検討事項」でございますけれども,社会教育を取り巻く現代的な課題を整理した上で,社会教育行政あるいは社会教育施設の在り方について,論点整理を行うという目的で本会議を設立したものでございます。
 25ページをおめくりいただきますと,本会議の取りまとめに当たりましては,明石先生に座長をお務め賜りまして,そして,当委員会からも,関委員,牧野委員,前委員でございますけれども山崎委員にも御参画いただきまして,お取りまとめいただいたところでございます。この場をお借りして,御礼申し上げたく存じます。ありがとうございます。
 内容につきまして,簡単に御説明します。
 ページを1枚おめくりいただきまして,26ページの後ろに付いてございますカラーの資料を御覧ください。
 最初に,社会教育を取り巻く環境の変化として,少子高齢化や人口減少,グローバル化,技術革新,第4次産業革命の影響,あるいは厳しい財政状況という7つの変化をまず整理した上で,今後の社会教育に期待される役割といたしまして,地域コミュニティの維持・活性化への貢献,高齢者や障害者,外国人,あるいは困難を抱える方々,全ての住民の方々が,地域社会の構成員として社会に参画できるような社会的包摂に寄与していくこと,そして,社会の変化に対応した生涯学習の提供と,3点について,今後の役割として整理いただいたところでございます。
 この期待される社会教育の役割を実現していくための取組といたしまして,3点,更に整理いただいてございます。1点目といたしまして,民間の資金やノウハウを活用するなど,社会教育行政のネットワーク化と官民パートナーシップの推進を図っていくこと。2点目といたしまして,地域課題に応じた学習活動を組み立てる課題解決につなげていくことのできる「学びのオーガナイザー」,そういった人材を養成していく。その中核といたしまして,社会教育主事の養成の見直しも図っていくこと。3点目といたしまして,社会教育施設の複合化でございますとか,老朽化への対応で,新しい学びの場と,社会環境に適応した社会教育施設の運営整備を図っていくという御提言を賜ったところでございます。
 今後,社会教育課といたしましては,本報告書を生かしながら,人々の暮らしと社会の発展に貢献する持続可能な社会教育システムの構築に取り組んでまいりたいと思います。
 このたびは,ありがとうございます。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 ありがとうございます。
 この会議の座長として取りまとめに当たられました明石分科会長から,もし補足やコメントがございましたら,お願いいたします。

【明石分科会長】
 今,石丸社会教育官の話で十分ですけれども,付け加えますと,新しい視点としては「学びのオーガナイザー」,社会教育ではコーディネーターと言うか,いろいろな学校支援ボランティアをつなぐというのもありますが,いろいろな,学習する人々をどうやって束ねていくかという,「学びのオーガナイザー」というのを考えていきたいのが,1点ありまして。
 もう1点は,公民館とか図書館が古くなりまして増改築とか改修するといったときに,どういう方法でもっていけば,地域が元気になってくるか。それが1つの複合的な,様々な機能を持った増改築と,図書館とか公民館を新しく作り直すことも含めて考えていきましょうというのが,非常に新鮮みがあるかと思っております。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 ありがとうございました。
 資料説明は以上になります。

【明石分科会長】
 では,早速議題1に入りたいと思います。
 まず議題1から議題4までは,本日のメーンテーマであります議題5を議論する上での前提となる情報として,各事務局から御発表いただきたいと思います。
 そういう意味で,最初に議題1「障害者の生涯を通じた多様な学習活動の充実について」,事務局から御説明をお願いいたします。橋田室長,お願いします。

【橋田障害者学習支援推進室長】
 それでは,お手元の資料1の,まず1ページをお開きください。
 文部科学省では,障害のある方々が一生涯にわたり自らの可能性を追求できる環境を整えていく,また地域の一員として豊かな人生を送ることができるようにという認識の下,省内の推進体制として,1つには関係部署による特別支援総合プロジェクト特命チームも設置しております。このチームには,厚生労働省の障害福祉課ですとか障害者雇用対策課にも,オブザーバーとして加わってもらっております。さらに,こういった取組を推進する観点から,平成29年4月から,この生涯学習政策局に,障害者学習支援推進室を新設したところでございます。
 資料の2ページを御覧ください。上段には,去る4月7日付で「特別支援教育の生涯学習化に向けて」と題する文部科学大臣メッセージを出しております。
 このポイントでございますけれども,障害のある方々が夢や希望を持って活躍できるような社会を目指していく必要があります。その中でも,保護者の方々は,特別支援学校を卒業後の学びや交流の場がなくなることに大きな不安を持っている状況がございます。こういうことも踏まえまして,障害のある方々が,生涯を通じて教育,文化,スポーツなど様々な機会に親しむことができるよう,教育施策だけではなく,福祉,労働施策等と連動させながら支援していく重要性を指摘しております。
 あわせて,2ページの下段にございますように,同日付で都道府県等への通知を発しております。
 具体的には,1つ目にございますように,障害者の多様な学習活動を総合的に支援するため,都道府県・市町村における関係機関と連携した取組の充実ですとか,取組の推進を行う部署の明確化など,体制の充実をお願いしております。
 2つ目といたしましては,障害者の生涯学習支援活動に係る新しい大臣表彰を設けることにしております。そのための候補の推薦をお願いしてございます。
 このほか,障害者スポーツ振興を総合的に推進するための体制整備,また,「Specialプロジェクト2020」は,オリンピック・パラリンピックを見据えまして,特別支援学校の場にスポーツ,文化,教育の祭典を盛り上げていこうということで,そのモデル事業を実施しております。それに向けた体制の構築でございます。
 さらに,障害者の文化芸術活動の充実,特別支援教育におけるスポーツ・文化芸術活動等の取組の充実,小学校等における障害者に対する理解を推進する取組の充実,更に高等教育においては,障害のある学生支援に関する検討ということで,こちらの通知を出しております。
 続いて,3ページ目でございます。国際的には,平成26年に批准した障害者の権利に関する条約の中で,障害者を包容するあらゆる段階の生涯学習を確保することが盛り込まれております。
 4ページの障害者差別解消法の中でも,不当な差別的取扱いの禁止,合理的配慮の提供といったことが,法的義務として規定されてございます。こういった動向を踏まえた上での,今回の新しい取組でございます。
 更に5ページ目では,平成29年度予算事業として,各課の関係事業をお示ししております。こういった事業を,今年度は推進していくところでございます。
 文部科学省における当面の取組としては,6ページ目で整理させていただいております。
 1つには,文部科学大臣表彰については,8月頃には決定できるように準備を進めております。
 2つ目といたしまして,各方面への周知・機運の醸成でございます。日本青年会議所(JC)とのタイアップの関係で,去る7月7日,大臣と会頭とでタイアップ宣言を調印したところでございます。こういった青年会議所は,全国696会議所,3万6,000人会員がございますけれども,地域レベルでの経済等の関係者と連携して,この機運の醸成を図ってまいります。このほか,都道府県,市町村向けの各種会議の場を通じて,この取組の推進,取組の充実をお願いしてございます。
 3点目といたしましては,平成29年度の文部科学省の全事業,420ほどございますけれども,先日,総点検を行ったところでございます。その結果を踏まえて,平成30年度に向けた事業の見直しの検討に取り組んでございます。
 4点目といたしましては,障害者の生涯学習に関する実態把握ということで,その調査のための準備を進めていくところでございます。
 一番下でございますけれども,平成30年度概算要求に向けましては,既存の施策の充実に加えまして,特に学校卒業後も教育,文化,スポーツに親しむための支援策について,そのニーズを捉えながら検討を進めてございます。
 右上でございます。先ほどのSpecialプロジェクト2020につきましては,現在このロゴマークを全国の特別支援学校の児童生徒からの公募により募集してございます。
 更にその下の障害者の文化芸術活動につきましては,国民文化祭と全国障害者芸術文化祭を,今年初めて具体的に開催するというところでございます。
 障害のある児童・生徒・学生への支援体制の構築,充実については,それぞれ高等教育局,初中局の事業を推進していくというところでございます。
 最後に,スペシャルサポート・キャラバンとして,現在各都道府県の教育委員会,特別支援学校等を訪問し,意見交換を実施してございます。
 お手元の資料の9ページには,具体例といたしまして,国立市における公民館を中核とした障害者青年学級や喫茶の取組を通じた共生の拠点,共生の取組を紹介しております。
 10ページには,特別支援学校の都立あきるの学園における放課後子供教室の事業,企業と連携した取組の事例を紹介しております。
 さらに,11ページにおきましては,これは社会福祉法人の事例でございますけれども,和歌山県の一麦会での,地域協同の下での多様な活動の展開を紹介しております。
 後ほど御参照いただければと思います。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,引き続きまして,議題2「これからの専修学校教育の振興のあり方について」,事務局から御説明をお願いいたします。それでは,白鳥室長,お願いします。

【白鳥専修学校教育振興室長】
 資料2を御覧いただければと思います。少し先の資料になります。右上に「資料2」と書いてございます。
 タイトルは「これからの専修学校教育の振興のあり方について(報告)」という資料になります。
 専修学校の振興に関わりまして,生涯学習政策局の下に,検討会議を昨年度設けさせていただきました。「開催趣旨」にございますとおり,専修学校につきましては,およそ40年前,昭和50年7月に制度化をされたものでございまして,特に社会のニーズに即応した職業,実践的な教育を行っております。
 新しく高等教育段階で職業教育を行う期間を位置付ける,今専門職大学等々言っておりますが,そうした動きもあわせて,この専修学校の教育の振興に向けて,どのような方策があり得るべきかについて,精力的に御議論いただいた成果を,この3月に報告としてまとめられたものでございます。
 その下に,「基本的方向性」,骨太方針と書いてあるところになります。専修学校に求められる役割・機能に,改めて立ち返りながら,現代的な意義を確認しながら,今後の振興策を考えようと,大きく3つ役割機能が整理をされております。
 1つ目につきましては,人材養成に関わる内容になっております。赤字のところにございますとおり,専修学校につきましては,職業能力の育成等を目指した実学の学校として,多様な産業分野において,地域産業を担い実践的に活躍する専門職業人の養成を進めております。そのことは,これからもますます重要だということでの内容になっております。
 2つ目が,質保証に関わるものでございます。これは大学等においても,同じでございますけれども,学修成果(ラーニングアウトカムズ)がより問われる時代になっている中で,特に専修学校につきましては,むしろ職業に直結する教育を行う学校という点,その面については,むしろ強みとして魅力を発信すべきといったこともございます。質保証向上に向けた不断の取組を進めていくことが重要だというのが,役割機能の2つ目でございます。
 そして,3つ目が,多様な学びの機会の保障ということに関わりまして,多様な学習ニーズに応えて,多様な職業の選択肢を提供する教育機関としての役割を果たしていくことが重要だということでございます。
 この大きな3つの役割機能を踏まえつつ,また,実践的な職業教育を行うことと,学校教育法に定められた教育施設であることを踏まえて考えたときに,この職業実践的な教育を通じて,人間性のかん養についても併せて行う教育機関だということでありまして,そうしたことを踏まえながら,この振興を図っていくべきだと示されております。
 次のページを御覧いただきますと,今の3つの観点をベースに,3つの柱,振興の3つの柱として位置付けられております。先ほど出ておりました人材養成,質保証・向上,学習環境の3つの柱の下に,振興策を整理するということがございます。
 併せまして,横断的な視点といたしまして,振興策を考えていく上におきましては,専修学校の中でも,特に社会から期待される役割を適切に果たしながら,改善向上に取り組む学校を応援するのだと,そのような観点を,横断的視点として2つ据えております。
 1つは,特色化・魅力化支援。全体のレベルアップ,地位向上を応援するという観点。2つ目が,高度化・改革支援。より優れた専修学校の取組を応援するという2つの視点でございます。
 これらの下に,重点ターゲットと,その下にございますけれども,特に地域の人づくり,実践的な産学連携教育など,専修学校がある種強みとして役割機能を果たしている観点を踏まえながら,具体的な施策を展開するべきだと,具体的な施策をその後のページから整理をされております。
 そこで,3ページから御覧いただきたいと思います。こちらが具体的施策の内容になっておりまして,1ページごと,先ほどの3本柱に沿って整理をされております。
 人材養成という1つ目の柱についてですけれども,1つ目は,地域の人づくりといったことに関わりましては,施策としまして,産学官による組織的・自立的かつ持続可能な連携体制づくりを支援していくべきだといった内容になっております。
 また,高度化・改革支援の文脈におきましては,実践的な産学連携教育のほかに,社会人の受入れで,これは,今後制度改正が必要になってくるものになるのですけれども,丸4に書いてございますとおり,社会人向けの短期プログラム,イメージとしては2年未満の課程を想定しております。そのような短期のプログラムに関して,特に社会人の学び直しに資するものを,文部科学大臣が認定するといったものの制度化をするべきではないかといった提言を頂いております。
 また,グローバル化といったところでは,丸6に書いてございます,留学生についての施策でございます。現在,専門学校については,特に近年,外国人留学生の受入れが増えておりまして,現在は,約3万9,000人の外国人留学生を受け入れております。総合的な施策を展開していくべきだという提言になっております。
 その次のページが,2本目の柱,質保証・向上でございます。1つ目が教育体制充実で,研修体制の整備についての提言があり,また,魅力の発信,専修学校については,また3つ課程がございます。高等専修学校,専門学校,そして一般課程,この3つの課程の種別も含め,この専修学校について,より関係の方々に対してしっかりと発信をして理解,認知をしていただくことを更に進めるべきだといったことも,この中ではございました。
 その意味で,丸3にございますけれども,専修学校に関わりまして,特に対象者を意識した効果的かつ適切な発信が必要だという提言でございます。
 また,高度化・改革支援につきましては,積極的な質・向上でございます。現在文部科学大臣の認定制度として,職業実践専門課程という認定制度を平成26年度からスタートしております。これは,産学連携によって実践的な職業教育を行う専門学校,かつ情報公開など,透明性を確保する専門学校につきまして,文部科学大臣が認定をする制度でございます。学校数で言うと今3割ぐらい,学科数で言いますと,これは対象となっているのが2年以上の学科でございますが,大体4割の学科におきまして認定しております。この職業実践専門課程について,積極的な質向上という観点から,より取組の内容の充実を更に図っていく必要があるといった内容でございます。当面,特に情報公開の徹底,また,中期的な課題としては第三者評価の導入についても提言を頂いております。
 最後の柱でございます。5ページになります。学習環境,3つ目の柱ですけれども,修学支援に関わりましては,特に専門学校生についての経済的な支援の在り方について検討して,具体的な方策につなげていくことが必要だといった内容や,また基盤整備につきましては,施設整備の支援についての言及でございます。
 あと,最後は,高等専修学校について,特に地域の人づくりといった観点から,そしてまた多様な学びの場としての高等専修学校の役割という観点から,その機能強化の在り方について検討を進めることが必要という提言でございます。
 この提言を踏まえまして,可能なものから,今年度の専修学校の予算に反映しております。今後,制度改正が必要な部分もありますので,この提言を踏まえて,私どもとしても,しっかりと対応してまいりたいと思います。

【明石分科会長】
 室長,ありがとうございました。
 今のお二人の室長から,2つのテーマについて御説明がありました。これに関して,何か,御意見御質問がありましたら,お願いいたします。例によって,意見のある方の名札を立てていただければ幸いですけれども。
 なければ,最後の5番目が一番メーンですから,そのときにも議論を深めてまいりたいと思います。
 次,議題3につきまして,「教育再生実行会議第十次提言について」の御説明を,事務局から頂きたいと思います。では,山下参事官,お願いします。

【山下教育再生実行会議担当室参事官】
 教育再生実行会議担当室参事官の山下でございます。よろしくお願いいたします。
 本日,資料3-1と3-2,2つの資料を配付させていただいております。その中で特に3-1の第十次提言の概要版に基づきまして御説明をさせていただければと思っております。
 3-1の資料を御覧いただきますと,今回の教育再生実行会議の第十次提言でございますけれども,テーマといたしまして学校,家庭,地域の役割分担と教育力の向上というテーマと子供たちの自己肯定感を育むというテーマの2つのテーマを取り扱いました。
 教育再生実行会議におきましては,この2つのテーマにつきまして,昨年10月から審議を開始いたしまして,5月24日の会議におきまして座長一任とし,6月1日に鎌田座長より総理に手交されたというものでございます。
 会議の審議に当たりましては,本日御出席いただいております鈴木みゆき先生にも,専門調査会に御参画いただいたところでございます。
 2つのテーマのうちの1つ目,学校,家庭,地域の役割分担と教育力の向上でございますが,そこの(1)にございますとおり,学校,家庭,地域の役割分担につきましては,学校,家庭,地域がそれぞれの立場から,子供の教育に責任を持って,その機能を発揮し,相互に連携・協力しながら,子供を育むことが重要であり,そうしたことを踏まえ,学校,家庭,地域それぞれの役割分担を明らかにし,それぞれの教育を振興するための具体的な取組を提言していく内容になってございます。
 このテーマを取り扱った1つの背景といたしましては,従来,家庭や地域の教育力の低下が指摘される中,学校教育への社会や国民の期待,あるいは役割といったものが集中している状況が見受けられ,そうした中で,特に家庭や地域の教育力を向上させていくための支援方策が必要であり,今回の議論では,特に焦点が当たっていたかと思います。
 その中で,まず(2)でございます。「家庭,地域の教育力の向上」で,特に家庭の教育力という部分につきましては,この資料の真ん中に四角囲みがございますけれども,1つ目といたしまして,幼児教育の段階的無償化の取組を可及的速やかに推進していくこと。
 それから2つ目の丸でございますが,教育・福祉の包括的・一体的支援の確実な実施に向け,文科省と厚労省による連携・協力を実質化していくための取組を進めていくこと。
 3つ目の丸でございますが,妊娠期から就学期以降までの切れ目のない家庭への支援の実現に向けて,子育て支援施策との連携等による地域における総合的な家庭教育支援や,訪問型家庭教育支援を推進していくこと。
 4つ目の丸でございますが,地域ごとの学校休業日の分散化等を通じた,子供が家庭や地域で過ごすための環境創りといった事柄を,主にその関係では提言しております。
 更にその下でございます。地域の教育力と向上を支援していくための取組という,ここでは一番下の箱にございますけれども,コミュニティスクールの導入の促進や,あるいは関係法令の改正等を踏まえて,地域学校協働活動を推進していくこと。
 それから,2つ目の丸でございますが,地域住民が自然と集う魅力的なコミュニティスペースとして,学校の空き教室等を整備・活用していくこと。
 それから,3つ目,4つ目の丸でございますが,「学校応援週間」を地域で設けていただくとか,あるいは,ユネスコが「教師の日」を制定してございますが,その取組を参考にして,我が国においても「教師の日」を設けて,学校,家庭,地域のそれぞれがお互いに尊敬・信頼し合える契機とすること等を提言しております。
 その下にございますけれども,高校中退者等への支援ということも触れてございます。
 2ページ目でございます。(3)といたしまして「学校の教育力の向上のための教師の働き方改革」につきましても,本提言では触れております。その中で,「限界に来ている学校教育の現場」という見出しがございますが,そこの2つ目の点にございますように,先般,平成28年度の教員勤務実態調査の速報値が公表されておりまして,その中で中学校の部活動指導の時間が特に増加している状況が見受けられるなど,教師の長時間勤務に支えられている状況が,学校では既に限界に来ていることが指摘されてございます。そのため,その下の点にございますけれども,国においては,教師が担うべき業務の精選・明確化等を通じ,スピード感を持って,教育の質の向上や教師の負担軽減に向けた教師の働き方改革について,総合的に検討していくべきことを,ここでは提言を行っております。それを踏まえて,先般,中教審におきましても,諮問があったと承知しております。
 加えて,チーム学校の実現,それから,学校部活動改革,学校事務の効率化等ということについて,この提言の中で触れております。例えば,その中では,生徒指導主事や特別支援教育コーディネーター等が業務に集中できる学校の環境の整備であるとか,スクールカウンセラー,スクールソーシャルワーカーの配置促進や,「学校による部活動」から「地域による部活動」に転換するための取組等について提言しております。
 それから,その下でございます。2つ目のテーマの「子供たちの自己肯定感を育む」でございますが,そこでは,説明書きの3つ目の点で,自己肯定感について,丸1の勉強やスポーツ等を通じた競い合いの中で得られる達成感などを通じて育まれる自己肯定感,それから,丸2,自分のアイデンティティに目を向け,短所を含めた自分らしさや個性を冷静に受け止めることで身に付けられる自己肯定感という2つの自己肯定感があって,それぞれバランスよく育んでいくことが重要であると提言の中では述べております。
 その上で,自己肯定感を育むための取組ということで,その下の箱にございますけれども,幼児教育の充実ということで幼児教育センターの設置等々の取組であるとか,「早寝早起き朝ごはん」などの運動のように子供たちの生活習慣の改善のための取組であるとか,あるいは,地域学校協働活動推進員の配置や研修の促進や,多世代交流・異年齢交流,様々な体験活動の充実,それから,ネットいじめ等といった取組も,とても重要でないかということも,この提言の中では触れてございます。
 それ以外にも,これまでに,九次までの提言がされておりますので,そのフォローアップについても,提言の中で触れてございます。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,引き続きまして,4番目の議題で,「経済財政運営と改革の基本方針2017,未来投資戦略投資2017及びまち・ひと・しごと創生基本方針2017について」,事務局から御説明お願いいたします。氷見谷政策課長,お願いします。

【氷見谷政策課長】
 では,資料4-1,4-2,4-3に基づきまして,御説明させていただければと思います。
 まず,資料4-1でございます。これは,経済財政運営と改革の基本方針2017,骨太と言われます来年度予算編成に当たっての方針を示すものでございます。今回のこの骨太においては,副題に「人材への投資を通じた生産性向上」ということで,人材の投資について記述がなされているところが特徴でございます。
 この中,全体としましては40ページ以上あるものでございますが,生涯学習政策局関係部分のみを抜粋させていただきまして,下線を引かせていただいた資料が,今お手元にある資料4-1でございます。
 資料4-1の1ページ目からでございます。重点課題ということで,下にございますが,「(1)働き方改革」の中で,1枚おめくりいただきまして,2ページ目の冒頭にありますように,障害者のキャリア教育でございますとか,若者が活躍しやすい環境整備についての記述がございます。
 2ページ目の真ん中辺から,「(2)人材投資・教育」で,人材投資につきましての記述がございまして,丸1「人材投資の抜本的な強化」でございますとか,丸2「教育の質の向上等」で,2ページから3ページにかけての記述。
 3ページには,丸3「リカレント教育等の充実」で,下の段に,リカレント教育についての記述がございます。
 4ページには,少子化対策ということで,関連する記述がございます。
 4ページの下の段から,成長戦略の加速等に関わるものということで,IT人材等に関する取組が,4ページから5ページについて記載がされております。
 あわせて,観光・旅行消費の活性化という観点からの施策の記述についても,5ページの中段辺りにございます。
 そのほか,5ページの下の段にございますけれども,経済財政の一体改革に関する記述としまして,5ページの下の辺から6ページにかけてでございますが,人材投資の強化という記述ですとか,6ページの中段以降でございますけれども,教育分野におけるEBPMの推進についても記述があるところでございます。
 引き続きまして,7ページです。文教・科学技術に関しまして,改革の取組ということで,次期教育振興基本計画等を通じたPDCAのサイクルの構築という記述がございます。
 7ページから最後にかけてです。来年度の予算編成に向けた考え方ということで,人材投資による生産性向上とその成果の国民の還元を中心に据えるという記述が,8ページにございます。あわせて,貧しい家庭に生まれたとしても,あるいは貧しくても高等教育を受けることができる制度といった政策・取組を進めていくという記述もございます。
 また,その8ページの真ん中辺,2.(2)にございますけれども,予算編成の在り方として,丸2「中長期的な成長に向け,人材への投資を通じた経済社会の生産性の向上が重要であり,社会保障の持続可能性を高めるとともに,人材投資や研究開発投資等を強化する」ということが示されてございます。
 以上が,資料4-1でございます。
 資料4-2が「未来投資戦略」で,これは,将来の成長に資する分野に対する投資,官民の投資を活発,進めるという方向性を示すものでございまして,本体は,実は100ページを超えるものでございますけれども,それについて,関係部分のみを抜粋させていただいておるものでございます。
 この資料4-2の1ページから始まりますが,2ページ以降,IT人材に関する具体的な取組について,2ページから4ページについて,取組が記載されておりますほか,4ページの最後では,地域の活性化等に関する取組の例として,キッズウィーク等でございますけれども,記載があります。
 また,5ページ以降は具体的な施策で,5ページに書いてありますKPI,例えば2022年までに大学・専門学校等の社会人受講者数を100万人とするといったKPIを達成するために,新たに講ずるべき具体的施策として,5ページ以降9ページまで,それぞれの取組が,ITの分野でございますとか,障害者の就労促進,また外国人材の活用につきまして,9ページまで書かれております。
 また,10ページには,地域経済好循環システムの構築に関連しまして,KPIとともに関連する施策が書かれている形での取りまとめがなされております。
 最後に,資料4-3でございます。「まち・ひと・しごと創生基本方針2017」,6月9日閣議決定でございます。これにつきましても,東京一極集中の是正という観点から,1ページにございますように,これも関連部分だけ抜粋しておりますけれども,地方創生に資する大学改革のこと,また,「生涯活躍のまち」につきましての記述がございます。

【明石分科会長】
 課長,ありがとうございました。
 以上,議題3と議題4について,御説明いただきました。御質問,御意見がありましたら,お願いいたします。
 横尾委員。

【横尾委員】
 ありがとうございました。いろいろ最新の情報を,分かりやすくコンパクトにまとめていただき,詳しく説明いただいて,ありがとうございました。
 頂いた資料,資料4-2「未来投資戦略2017」の8ページでございます。実は,今日は別に机上資料ということで,後ほど簡単に説明していただくものもあるのですが,それと若干関係しますけれども,以前申し上げたことの一部かもしれませんが,この8ページに,プログラミング教育のことが記述されております。新しい学校指導要領にも書かれておりまして,注目度の高いものですし,2020年には全ての学校で子供たちにとなっています。ここに書いてあるようになっていけばいいと強く願っているところです。
 しかし,現状は,率直に言葉を選ばずに言いますと,見たことも,聞いたことも,習ったことも,体験したことも,触れたこともないプログラミング教育を,小学校の先生方は,これから学び,修得し,子供たちに教えなければいけない状況になるのではないかと危惧されています。実際,そういったニーズの強さを,我々も直接首長として聞いています。
 ですから,文部科学省におかれては,例えば,最低限はこういうパッケージで導入とか,展開とか,最後のまとめとか,あるいは,そのプレゼンの仕方としては,ほかのページとかほかの資料にもありますように,した方がいいということですね,ガイドラインにしろ。なるべく早めに調整いただいてお示しいただいた方が,より有効な準備ができるのではないかと思っています。今年は,まず英語教育から始まっていますので,なかなかここまで先生方は余裕がないかもしれませんが,1つそういうことを感じました。
 これに関連してもう1つは,先般,松野大臣に,ICTを推進していく全国ICT首長協議会で政策提言をした折に,最初に松野大臣が話されたのは,英語教育とプログラミング教育とICT教育の親和性でありました。
 例えば,デジタル教科書を使うと,教科書が声を出して,ネイティブに近い発音できちんと教えてくれるという便利なアプリがあるわけですけれども,そういったことも使いながらやっていけば,別々にやるのではなくて,同時に同期させて,親和性の高いものを使っていけば,より時間のロスを減らしたり,より有効になっていったりすることも考えられる。私も感じながら,松野大臣の言葉を拝聴したところです。
 是非この掲げられた目標が順調に,また進捗ができるように,自治体でもしっかりして応援していきたいと思いますので,文科省においても頑張っていただきたいと思います。

【明石分科会長】
 貴重な意見をありがとうございました。
 牧野委員。

【牧野委員】
 今までの4つに関わることになるかと思います。とてもコンパクトにまとめていただいて,私もよく理解できたのですけれども,1つ,ちょっとした違和感がありますのは,人材と言う場合に,何かまだ以前の人材観で考えていらっしゃるのだろうかという印象を受けるということです。
 競争に勝って社会を引っ張っていく強いリーダー,又は競争の中で自分を磨いていく強い個人といったイメージが前提になっている感じを受けるのです。
 私たちが迎えている新しい時代では,どちらかと言うと,他者と協調しながら,新しい価値を多元的に作り出していく,いろいろな多様な人材が必要だということがよく言われるわけですが,提示されている人材観は,あくまで競争して勝つ強いリーダー,競争して切磋琢磨(せっさたくま)するのだみたいな,1つの価値の方向に向けて競争していくイメージで個人が捉えられてはいないかと思われ,少し違和感があります。
 例えば,先ほどの3つ目の教育再生実行会議の提言でも,自己肯定感を育むと書いてあるのですが,この肯定感に関しましても,そういう観点から書かれているのではないかという感じを受けました。
 どちらかと言いますと,日本全体では,子供だけではなく,大人も,今や大学生も,自己肯定感はとても低いわけですけれども,このことは,相互承認関係と言いますか,子供にしてみれば,例えば大人たちから認められる自分とはどういうことか,もっと言えば,社会で活躍できてよかったね,自分はこんなことができるんだと思えるような自分をどう作り上げていくのか,さらには,将来,周りがどうやって子供を支えていくのかといったこととか,社会にこんなかっこいい大人がいて,自分もああなりたいんだと子供たちが思える社会をどう作るのかといったことも関係してくるのではないかと思うのです。
 その意味では,先ほどの専修学校に関する議論もそうなのですが,確かに人材ですとか,様々な専門性,職業に向けての準備ということはよいと思うのですが,例えば私が知っている限りでは,専修学校の先生方は,専門教育以外に職業倫理をベースに懸命に人間教育をやっている方が,とてもたくさんいらっしゃると思うのですね。専修学校の役割とは,専門性を高めることだけではなくて,むしろ職業に向けての人間としての準備をしていく場所になっているのではないかと思います。
 こういう指導を経て,子供たちが自己肯定感を高めていくことで,きっちりと就職できるといったことが実現しているのではないかと思いますので,むしろその意味では,個人の在り方と言いますか,個人に関する考え方を,特にここは教育を議論する場ですので,子供たちが自己肯定感を高めるために,他社との相互承認関係の中でお互い認め合いつつ,その子一人一人の個性を認めていく,そうすることで,本人が,自分がちゃんと社会から認められていて,ちゃんと自分がこの社会の中に位置付いているのだと思える環境を作っていく,そうしたことの中で,新しい価値を,他人と協調しながらどんどん作り出していく,こういう方向へ組み換える必要があるのではないかと思います。
 これは,例えば,話があちこち行ってしまいますが,障害者の問題もそうだと思います。私の知り合いの東京芸大の教員たちは,今,芸術家を障害者の施設に派遣することをやっていまして,その過程の中で新しい障害観が出来上がってくるわけですね。例えば,今,自閉症などでも,障害ではないのではないかという議論が出始めていて,人間の社会が存続するために,人間関係よりはモノや環境に強い関心を持つ人々が一定程度必要だったのではないか,その一つの現れが自閉症といわれる存在のあり方なのではないかと言われ始めています。そう見ていくと,芸術から見ると,こういう子供たちとは,障害者ではなくて異能者だと彼らは言うのですけれども,そういう取り組みの中で新しい価値が生まれてくることが起こっているのだと,彼らは言うですね。
 これからは,そういう価値多元的で,常に新しい価値をつくりだす社会を実現していく必要があるだろうと思いますので,そういう意味で,人間観と言いますか,子供観と言いますか,その肯定感の在り方を,過去の産業社会つまり工業社会で,1つの方向を向いて競争して勝ち残って,人をリードしていく強い個人,確かにそういう人も必要かもしれませんが,それだけではなくて,もっと多様な価値の中で新しいものを作り出し続けていく,その営みをお互い認め合いつつ,潰し合うのではなくて,互いに認め合いながら新しい価値を作り出していく,新しい個人という形で,少し考え直してはどうかとも思いました。
 抽象的になりました。失礼しました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 佐野委員,お願いします。

【佐野委員】
 ありがとうございます。
 教育再生実行会議の第10次提言にも,地域の教育力という文言がありまして,また,私たちPTAも,学校と家庭と地域の3つをつなぐ存在であるということを言ってきたのですけれども,実はその地域というのが非常に漠然としていて,地域住民お一人お一人なのかというと,実際には,地域の教育力を活用していくのは,お一人お一人ではないはずなのですね。
 ここは,もう少し具体的にしていく必要があるのではないか。行政であったり,企業であったり,あるいは様々な団体であったり,住民自治組織であったり。そこをある程度明確にイメージさせていかないと,実際には,地域の教育力の活用はできないのではないかと思っているところです。
 その中で,先ほど日本青年会議所との連携という,障害者教育のところでありましたけれども,彼らは地域の青年経済人なので,そういう意味では企業との連携ということかもしれませんが,私は,地域の商工会議所だとか商工会だとか,地域の企業がもっともっと,教育もそうですし,福祉だとかそこに関わっていく,ものすごく大きなステイクホルダーだと思うので,教育あるいは地域の人材づくりの中に企業をどう巻き込んでいくかを考えなければいけないのではないか。そこを盛り込んでいく,あるいは,実行の際にそこを念頭に置いて実行していくことが,実を上げることになるのではないかと考える次第です。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは,議題5に行きたいと思います。「第3期教育振興基本計画に盛り込むべき事項について」でございまして,資料5と6と参考資料1-1から1-6をお手元に御用意いただけますか。それに基づきまして,事務局から御説明を10分程度頂きまして,その後ディスカッションに入りたいと思います。
 高見補佐,お願いします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 それでは,第3期教育振興基本計画に関する資料につきまして,御説明をいたします。
 委員の皆様には,3月22日に開催いたしました本分科会におきまして,第3期計画の策定に向けた基本的な考え方につきまして御意見を頂きました。今回は,頂いた御意見を踏まえまして,教育振興基本計画部会において,基本的考え方から更に方向性を具体化いたしまして,今後5年間の教育政策の目指すべき方向性と主な施策群として整理をしておりますので,7月10日に開催されました計画部会の資料を基にして,再度皆様に御議論いただきたいと思っております。
 資料5-2を御覧ください。1枚ものになりますが,5-2の裏面を御覧いただければと思います。
 第3期計画におきまして,実効性あるPDCAサイクルを確立していくことを目指しておりまして,こちらに指標の考え方を整理してございます。
 真ん中の丸1にございますとおり,現在の水準等を踏まえ,改善の方向を明記することが必要かつ適切であるものというのを,「目標」として設定をしてございます。丸2のとおり,大きな数値変動の有無を確認すれば足りるものですとか,今後水準を把握していくものにつきましては「測定指標」として整理をしていこうと書いてございます。また,下のコメ書きにありますように,指標はアウトカム指標を基本とすること,明確かつ精選した指標を設定すると,整理をしてきてございます。
 資料5-3を御覧ください。こちらは,第3期計画の全体像を,ロジックモデルという形で整理した資料になります。
 お開きいただきまして,2ページを御覧ください。ロジックモデルという言い方をしておりますが,3月に御議論いただきました基本的考え方の中で示されております基本的な方針が,こちら左側の赤く網掛けをしている部分になりますが,こちらと,真ん中の緑色で網掛けをしております「今後5年間の教育政策の目指すべき方向性」,右側の紫色で網掛けしております「主な施策群(例)」の関係性を整理したもの,これがロジックモデルと呼んでございます。
 今回は,基本的な方針丸1に関することを,2ページ,3ページにまとめております。基本的な方針丸3に関することを5ページ,基本的な方針丸5に関することを7ページ,8ページに整理している状況になってございます。
 計画部会で,基本的な方針の丸2と丸4は,今後議論するという位置付けになってございます。
 主に本分科会で御議論いただきたい部分を抜粋して,御説明をさせていただきます。
 まず,基本的な方針の丸1「夢と自信を持ち,可能性に挑戦するために必要となる力を育成する」につきましては,3ページの中段以下の部分になります。生涯の各段階における「社会的・職業的自立に向けた能力・態度の育成」,それから,「家庭,地域の教育力の向上,学校との連携・協働の推進」を,こちらの柱に整理してございますので,この部分につきまして御意見を頂きたいと思っております。
 次に,5ページです。基本的な方針3「生涯学び,活躍できる環境を整える」について整理をしてございますが,この方針の丸3が,生涯学習に関する柱となりますので,こちらは全般を通じて重点的に御意見を頂戴したいと思っております。
 上の四角囲みの中には,基本的な方針と今後5年間の目指すべき方向性共通の考え方といたしまして,これまで以上に一人一人が生涯を通じて学び,学んだことを生かして活躍できるようにすることが必要であること。とりわけ,丸1地域課題の解決に向けた学びの推進,丸2社会人が大学等で学べる環境の整備,丸3障害者の生涯学習の推進。この3点につきましては,今後重点的に取り組むことが必要であるとしてございます。
 この考え方に対応した形で,下のロジックモデルを整理しております。左側の「基本的な方針」を受ける形で,真ん中の一番上の四角囲みになりますが,「人生100年の時代を見据えた生涯学習の推進」で,今後5年間の生涯学習政策推進に当たっての理念を打ち出してございます。中でも重点的に進めるべきテーマ3点,先ほど申し上げた上の丸1から丸3になりますが,こちらを下に位置付けてございます。
 委員の皆様には,事前にお送りをさせていただいておりますが,資料5-1といたしまして,この方針丸3に関する検討の視点をお付けしてございますので,併せて御覧いただきながら,御意見を頂戴したいと考えております。
 最後に,7ページの基本的な方針丸5「教育政策推進のための基盤を整備する」についてです。中段の「ICTの利活用の促進」における,ICTの活用による生涯を通じた学習の推進の部分につきまして,本分科会では御意見を頂きたいと思っております。
 こちらのロジックモデルに対応した形で,資料5-4から5-6におきまして,冒頭に御説明申し上げました,指標と施策群のより詳細な考え方がまとめられておりますので,各方針の目指すべき方向性や指標につきまして,御意見を頂戴したいと思います。
 資料6ですけれども,今後の日程をお示ししてございます。本日頂きました御意見については,8月8日に開催されます第15回教育振興基本計画部会の場で,生涯学習分科会の意見ということで御報告をいたします。
 当部会には,審議計画報告(素案)が提示をされますので,それにつきまして,既に御案内をしておりますが,8月23日の次回の本分科会におきまして,再度皆様に御議論いただきたいと思っておりまして,その内容を,審議経過報告を取りまとめる28日の計画部会にフィードバックをするといった形で,計画部会とやり取りをしながら進めてまいりたいと考えております。
 最後になりますが,参考資料1といたしまして,前回の分科会における皆様の主な御意見をまとめた資料をお付けしてございます。参考資料2としては,今週月曜日に開催されました,教育振興基本計画部会における生涯学習政策関連の主な御意見をまとめた資料をお付けしてございますので,こちらにつきましても,併せて御参照いただければと思います。
 資料の御説明は,以上になります。御審議よろしくお願いいたします。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 それでは,これから1時間弱の時間がございます。今の課長補佐の説明がありました,第3期教育振興基本計画に盛り込むべき事項についての皆様の御意見を頂きたいと思います。
 最初に,レジュメが出ております関委員と横尾委員の御説明を頂きまして,各委員から意見を頂きたいと思っております。
 まず関委員,お願いいたします。

【関委員】
 非常にこれは個別のことを書いてしまいましたので,果たしていいものかどうか分からないのですけれども,何点か,5-5を読ませていただいての自分なりの意見を申し述べさせていただきます。
 1つ目,「人生100年時代を見据えた生涯学習の推進」で,高齢者の生涯学習の推進がうたわれております。ともすれば,今まで,我々,高齢者を受益者としてのみ捉えてきた感が強かった気がします。いろいろな学習機会を提供して,それに参加するだけではなく,高齢者が自らの今までの経験や知識といったものを生かせる仕掛け,あるいは,まだまだ元気な高齢者には,いろいろな場面で地域の活動にも参画していただいて,今まではほとんどが無償で,いろいろな形でサポートしていただくという関わり方だけだったと思うのですけれども,できればコミュニティビジネス的に,自分たちが活動したものに対して何らかの対価も頂きながら,それを次の活動に高齢者自らが生かしていける仕組みができれば,高齢者ももっと主体的な活動に取り組んでいくのではないかと考えております。場合によれば,介護保険の予防介護事業等との連携も図りながら,取り組むことが可能ではないかと考えます。
 2点目は,学習の成果を活用するという側面でございます。地方,我々の地域で言いますと,新しい活動をするに当たって人材が枯渇してきた感がございます。地域学校協働活動等を行う,その中で学びの指導者を募る,あるいは,放課後児童クラブの指導員等を募る,あるいは,心理カウンセラーを募る。いろいろな活動を広げていこうとしておるわけですけれども,その人材が,なかなか地域には少のうございます。
 そういった人材を,今までは地域にいる人から吸い上げてくる立ち位置だったのですけれども,できればそういった人材を育てていく視点を,社会教育の事業の中にもっと組み込めないかと考えます。大学等,ICTを活用して,様々な講座も展開されております。放送大学もございます。そういったものを地方では是非積極的に活用して,資格を取れる形での人材育成も考えていって,そういった人が人材バンク的なところにストックできる仕掛けができれば,新しい活動がまた広がっていくのではないかと考えております。社会教育主事あるいは学芸員等についても,そういった取組ができれば,地域の学びの輪がより広がっていくのではないかと考えます。
 それと,社会教育行政のネットワーク化ということで,これは地域課題解決の上での柱でございます。できれば行政の様々な活動,防災であったり,福祉であったり,子育て支援であったり,そういう中に社会教育的な発想,学びと学びを生かす実践という仕掛けを組み込んでいく方向性,投げかけができないかという提案です。社会教育の中で関係するのではなく,行政の中に入り込んでいく社会教育の展開が必要ではないかと考えます。
 続いて,これは先ほど社会教育官から御説明いただいたのですけれども,社会教育主事等が,コーディネーターの機能を超えた地域のいろいろなものを組織化していけるような,学びのオーガナイザーとして役割を担うだけの人材に育てていける場作りをしていただければと思います。
 続いて,裏面です。新しい学びの場と社会環境の変化に対応した社会教育施設の運営整備でございますが,都市部では公民館という機能が,今割と弱体化している感がございます。しかし,地方においては,戦後以降取り組んできた,地域の社会関係資本としての公民館の役割は,いまだ健在でございます。地域の課題解決を進めていく拠点として,公民館という機能をより明確に打ち出せないかというのが,提案でございます。
 また,残り,一番下に少し添えさせていただいたのですが,我々としても,今回,1つの小学校を統廃合する取組を現在進めております。非常に繁華な地域にある学校ですけれども,子供の数が,社宅がなくなったこともございまして,非常に急激に減少いたしました。その中で,複式学級導入に迫られた形で,統廃合を現在進めておる学校がございます。そういった学校,複式までには行きませんけれども,単級の学校は市内でも,5つ6つ,今ございます。そういう学校施設をこれからどのように,逆に社会教育,学びの場に活用していけるかといったものをそろそろ考えなければいけない時期ではないかと考えます。
 学校という施設を活用して,小さな子供から高齢者,社会人も当然策の中に含まれますけれども,全ての市民が学べる環境を作ることができれば,これまでの公民館等の改築という路線で考えるものとは違う,社会教育の方向性が見えてくるのではないかと考えます。

【明石分科会長】
 貴重な意見をありがとうございました。
 では,引き続きまして,横尾委員,お願いいたします。

【横尾委員】
 ありがとうございます。
 お手元に今日配っていただいた資料が何枚かございます。
 トップページにありますように,先ほども少し触れましたが,先般117の自治体で構成をいたしております全国ICT教育首長協議会として,松野文部科学大臣に提案をさせていただいた趣旨文が表紙で,めくっていただきますと,その際にお渡しをした提案内容,提言内容が書かれております。
 ここにどのようなことが書いてあるかと言いますと,2枚めくっていただいて,カラーのページに飛んでいただきますと,実は,関係首長,会員首長にアンケートを採りました。何が困って,何が必要で,どんなことを今後していきたいと思っていますかと,自治体としての悩み,国と動く場合の国への期待や希望や提案,そして民間の知を借りながらやる,これは学識経験者の方や民間企業や経済界の方,いろいろな方を含みます,大きく3つの柱で聞きました。
 すると,ここにありますように,大きな文字は回答数の多かったものです。例えば,財源が不足,情報も足りない,指導要領への対応はどうしようか,ICT支援員の不足も感じられるなどというのが,最初に出ています。
 下に行きますと,これも同じように,今度はICT環境整備ですね。通信環境その他,先ほども出ていましたが,また次期指導要領,これらをちゃんとしていくような助成事業はどうなっていくものだろうか,あるいは,クラウド化とかという専門的なことも出ています。
 更にめくっていただきます。産業と一緒にやったのですけれども,ここに出てきているのが,この際協議会の会員用だけでもいいから,本当は広く,1,740ぐらいの自治体同時にしなければいけないリーズナブルな,ディスカウントという言葉を発し過ぎていましたので,リーズナブルなパッケージとか,コストパフォーマンスのいいやり方でやっていくものとか,あるいは右上にありますように研修サポートといったことでスキルアップをしていく先生方の力を高めていく,そういったこともできないだろうか。場合によったら,民間にいろいろなグループがございますので,そこのアシストを借りながら,モデル校的な,モデルクラスルームを作っていくこともやったらどうかということなどを,実はアンケートを採ったものを全て踏まえ,議論もして,従来のよくある政府への補助金要望書とは型の違う,首長も動きます,国と一緒に動きましょう,そして官民,産学一緒にやっていきましょうということを書いておりますので,後ほど是非お読みいただければと思っているところです。
 このことを踏まえて,実は,1に意見だけ述べさせていただきますと,頂いた資料の,きょうはここで意見が欲しいと言われたICT教育利活用のことがございました。例えば,ここに目標として書かれていることが,実はまさにICT教育首長協議会で申し上げたことと連携しております。
 1つ目にあるようなことは,大いに期待しているのは,3クラスに1クラス程度を整備する,これは大変なことだと思っています。予算が大変です。是非お願いします。この際の整備とは,タブレットなのか,デスクトップPCなのか,ラップトップなのか,随分機能が違いますので,是非御指導いただきたい。
 3点目にあります,統合型の校務支援システムがあるのですけれども,これも下手をすると,全ての学校がばらばらで入れてしまう可能性がありますが,非常に無駄になりますので,できればオールジャパン,統一できるようなもの,仮にカスタマイズが掛かっていても,肝心要のデータをすぐ収斂(しゅうれん)できるものにしていただければ,文科省で全国調査するのも,悉皆(しっかい)調査,あっという間に集計できますので,そういったことも想定してやっていただくといいと思います。
 さらに,教員のスキルアップ,ここにも書かれておりまして,これはまさに提言で申し上げているのですけれども,スキルアップのためのスクール,クラスルームを作ったらどうかと思っています。実際,実は少し動き出しが始まっていまして,佐賀大学の協力を得ながら,マイクロソフトに入っていただいて,自治体と連携して,佐賀大学の中の理工学部の1室を借りて,これをICT教育のブラッシュアップ用の教室に仕立て直していただいて,そこで先生方のチューティングをやることも,試みとしてやってみたらどうかと,現地で少しトライアルが始まりました。できれば,各ブロック単位か県単位にやりますと,先生方もスキルアップできるのではないか,そのようなこともやっていければと思っています。
 ここのICT利活用の肝腎のところは,予算の確保が非常に大きいと思います。
 それと,1つ戻りますと,人生100年時代の,大きく3つの柱で,今も関委員におっしゃっていただいたのですけれども,私が思うのは,社会人が大学で学ぶためには,1つは,MOOCをもっと使った方がいいと思います。遠隔地でも過疎地でもへき地でも学ぶことができます。
 その1つのゴールとして,実はICT教育があります。きょうは,田中くんのお父さんが,先生のアシスタントティーチャーとして来てCADを教えてくれたとか,あるいは,プログラミングを教えてくれたという時代が,もう目の前に来ていると思うのですね。そうすると,これまでほとんどPTAも行かなくて,赤ちょうちんとか仕事で忙しかったお父さんが,ある日突然学校に目覚めて「PTAに行くぞ」と,あるいはおじいちゃんになってもおばあちゃんになっても素敵なビジネス講座をしてくれる出会いがあると,文科省,片方でやっておられるコミュニティスクールが,本当に機能してくると思います。そういうステージがどこかにあれば,社会人,大人,退職後でも学べば,そこのゴールのために,孫のためにやろうと,孫たちの笑顔のために頑張ろうとか,とてもいいモチベーションだと思いますので,そういった縦糸の横が織り交ぜていって,素敵な反物ができるようになっていったらいいと感じながら,今回の,大変ロジックに基づいて整理されたものを拝見させていただいたところです。
 今説明をしてくださいということでしたので,後ほど,余り長くない文章の提言書でございますので,委員の皆様にも認識していただくと有り難いと思います。

【明石分科会長】
 非常に,首長の実際の要望と悩みが,非常にこれは分かりやすく,参考になりました。

【横尾委員】
 そうですか。皆困っています。

【明石分科会長】
 これは非常に分かりやすい資料でございました。

【横尾委員】
 ありがとうございます。

【明石分科会長】
 また,御意見もありがとうございました。
 それでは,これからは,皆さんの各委員の御意見を頂きたいと思います。例によって,御意見のある方は名札を立てて。
 山本委員,お願いします。

【山本委員】
  今回の第3期教育振興基本計画で言えば,学び直し,社会人の学び直しが大変強調されております。
 その点では,かつその中で大学の役割が,非常に大きくクローズアップされているのですけれども,第1期,第2期を振り返れば,宮本先生も何かどこかで鋭く言っておられましたが,全然指標的には達成されていないことが,長く続いているわけであります。
 そこでいろいろ議論もされておりますけれども,そういう意味で言うと,私は,具体的な測定目標等について言及することも必要だと思いますけれども,生涯学習と大学という1つの哲学を,あるいは今日の必要を,もう少し理念的にも,しっかり描く必要があるのではないかと思います。
 というのは,私は大学に関係してきましたし,今度の生涯学習政策局のシフトは,局長以下大学に詳しい人が皆並んでいらっしゃるので,大変期待されるところですけれども,高等教育政策で議論すると,イノベーションとか,研究力の強化というところに引きずられる高等教育政策になってしまいがちだと思うのですね。
 市民社会における学び直しという観点で,基盤を作っていくかという観点で,生涯学習政策としての高等教育機関の位置付けを,理念的にちゃんと出していくということがないと,いろいろなところで議論するだけでは収まらない問題があるのではないか。
 というのは,第5次産業革命とか言われますが,大体第1次産業革命において3Rsをきちんと習得するという初等教育が制度化された後,今日まで来ているのですけれども,第5次革命後の社会は,大体情報処理でできる問題はAIがやってくれるという段階なので,そういう意味で言うと,非常に高度な,いろいろな判断,教養,創造性みたいなものを,人という動物は持つ必要がある。そのときに,大学という制度に集積したものが,必要になるということではないかと思うのですね。
 その意味で,いろいろな学び直し,いろいろな技術の進展というものが,社会にコンフリクションを起こすのが当然ですので,単に労働の場で対応が必要であるとか,地域の問題を解決する必要というだけではなくて,高い教養水準を獲得するということがないと,市民社会の維持は難しくなる意味でも,大学をしっかり位置付けるべきではないかと思います。その辺の哲学を,しっかり出す必要があるのではないかというのが,1つです。
 もう1つは,生涯学習とは,かなり,常に制度がフレキシブルであることに意味があって,ここに想定されるものをこう準備してやりますというだけではできない,要するに変化は当然生じるので,フレキシブルな制度をしっかり強調することも重要ではないか。
 障害者についても,いろいろ各地で努力されているのですけれども,前進的というか先進的なものは,必要に応じて自ら組織したものが,今日持続,存続していて,今日もいろいろ紹介されていますけれども,それは結局必要な人たちが共同で作り出すという生涯学習のフレキシブルな制度が,結局そういうことを作り出していったと思うので,社会を想定して準備しますということとともに,必要なものは協働で作り出すという制度の問題も,生涯学習の場合,きちんと強調すべきではないかと思っております。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 順番を変えて,菊川委員が,関連したことがあるのでお願いします。

【菊川副分科会長】
 今の山本先生の御意見にも関連してですが,この教育計画については,第1期のときは,年齢によりはっきり初等中等教育,高等教育,生涯学習と分かれておりました。現在の第2期から,縦に領域の柱があって,横に年齢ごとに,子供から高齢者までという形で,入っている仕組みになっております。
 それで,3期ももちろんそれを継続していくと思うのですが,柱の中で,1つ目の柱が,夢と自信を持ち可能性に挑戦するために必要となる力の育成,2つ目が,社会の継続的な発展をけん引するための多様な力の育成。これらのことは,何となく今までの慣例で,子供を連想してしまうわけですけれども,そうではなくて,もう3期ぐらいから,本気で大人もこれに参加するというか,大人も可能性に挑戦する,大人も多様な力を発揮して社会をけん引するというところに,その大人の中には,高齢者も入る,障害者も入るとなっていくべきではなかろうかと思います。
 そのためには,計画部会でも申し上げたのですが,大人も伸びるということを,エビデンスベースで,できるだけ資料を出していって,国民の常識を変えていく,勉強は子供だけのものということから,大人も勉強し,最後まで伸びていくという風土を創るといいのではなかろうかと思っております。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 その1つが,山本委員がおっしゃるように,生涯学習政策の中での大学の位置付けというのは,まさに大人が伸びるというか,成長するエビデンスをためるのが,大学は適しているだろうという感じはしております。

【菊川副分科会長】
 そして,大人も伸びる,例えば,10年間で歩く速さが2倍になったというデータがありますけれども,それは,運動とか体だけではなくて,能力,学力においてもそういうデータをできるだけ集めて提示していくことが,大事ではなかろうかと思っております。

【明石分科会長】
 引き続き,大久保委員お願いします。

【大久保委員】
 ありがとうございます。
 今のお二人のお話にもつながるところですが,私も,今回の振興基本計画にお書きいただいている中で,先回の議論にもありました,人生100年時代を見据えた生涯学習の推進という項目の新しさが非常に重要に感じるのです。新しいテーマなので,その内容を具体的に作っていくのかが,大事だと思うのですね。
 人生100年と言ったときに,それぞれの方の学習ニーズが変わると思っています。50代の方向けに講師をやることがあるのですけれども,60代,70代の仕事のために今学びたいという方々が来るわけです。これは,明らかに,自分自身のもっと長い職業人生に対して投資をする学習が生まれ始めているわけで,こういう学習ニーズの変化をうまく政策の中で捉えていきたいと思うのです。
 これまで長い間経験を積んできたわけですから,そこにあと何を学習によって足すと,自分のキャリアがもう1回光り輝いて,社会の役に立つのか。人材投資という言葉が出ていますけれども,自分に投資をすると一体どういう,そこに新しいリターンが見えてくるのだろうかが,非常に重要で,それが分かる学習促進をしていきたいと思います。
 もう1つ重要なのは,ここに出ているICTをどう活用するかです。なるべくなら遠距離に通学するとかは避けたいという人が多くて,いつでもどこでも手軽に,本当に学びたいものを学びたいという純粋なニーズがありますので,それを実現するためには,ICTによる新しい仕組みを作らないといけない。
 ICTを使うことで,手軽に学べますし,利便性も高まるし,効率も高まると思うのですが,それだけではなくて,自分が積み上げてきた知識をシェアしたい,教えたいというニーズにも応えることができます。それによって,教えるプレイヤーの多様性も実現できます。 これらをこの視界の中に置いていただきたいと思いまして,今までの施策ラインアップとは違った,100年時代の仕組み作りというところを,大きく取り上げていただきたいと思っております。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 順番を整理しますと,次は,生重委員お願いします。牧野委員にお願いして,金藤委員にお願いして,小林委員で,宮本委員で,山野委員で,恒吉委員で,相原委員だと。
 かなり多いので,1人2分をめどにしていただくとありがたいです。

【生重委員】
 言いたいことがあるので,急ぎ,早口で言います。
 この全てのものは,全部通じていると思うのですが,この中で,子供を育てていくことをベースに,学校を基地に多様な世代が活躍するのが,いろいろなところに伺っていて,やりがい,気概につながっていたり,学びのモチベーションにつながっていたりする。
 一方,子供の置かれている状況の中で,ネグレクトの問題も含め,子供たちの貧困,子供食堂,様々なことが持ち上がっていく中で,この全体を,家庭教育支援チームをもう一度全国に広げていくという,文科省と我々の努力が必要だ。
 それは,教育行政だけではなく,こちら,再生会議にも書いてあるように,保健とか福祉とか保健所とか,もう生まれた健診から,地域,まちごとに関わっていくことが重要で,その支援チーム,民生児童委員さんも今なり手がなくて,全国あちらこちらに穴が開いている状況が起こっているのですが,民生児童委員の方たちにも支援チームに入っていただきながら,もう一度地域の観点を,生まれたときからずっと横串を刺していくということを考えなければいけない。
 それが,全部,私の結論は,「コミュニティスクールにすべきだ」なのです,最終的には。コミュニティスクールにして,各地ごとの,各学校の課題とか地域課題を解決する,それも小学校特別支援,高校,それぞれが置かれている状況下で作り方が違う。
 今,業務改善アドバイザーという文部科学省が新しい動きを起こしているのですが,その方たちとも,よく,この間お話をして,一方,プログラミングなどは,ある一定の方向性のものが出た方がやりやすいのですが,業務改善は,各地,各学校,その特色は全く違う。置かれている状況に応じて,それぞれの個別のニーズを把握しながら,そこのエリアの業務改善,そこの学校の業務改善のアドバイスをしていかないと,今の状態だと,チーム学校はすごくいいと思うのですが,教員もつぶれる,地域ボランティアも限界に今来ている,つぶれる。
 先ほどの関先生のお話の中で,社会的な,社会教育的な発想とかビジネスのものも入れていって,人それぞれの希望は違っているので,ボランティアとしてずっと関わっていて自分のやりがいを見つけたい人と,ある程度資格を取って,その地域の中で根を張って生きていく,仕事をしていくことも,もう一方で考えなければいけないという。
 もう1つ,気になっているので。私は,スペシャルオリンピックとか障害者スポーツにもすごく思いがあるのですけれども,場が少な過ぎる。本当に中学校の部活に月に1回でもいいから招いてほしいと思うぐらい。だから,部活の問題は,もしかしたら,今先生たちの働き改革の中で話される問題なのでしょうが,部活をもう少し地域に切り離し,もう1度生涯学習スポーツの観点を取り戻し,その中に,スポーツをずっとやってきた人たちの,例えばプロスポーツ選手になった方たちのセカンドキャリアとしての指導者の資格とか,そういうところで,社会教育主事が,もっと広く地域社会の中で,子供たちや多様な世代の人たちとスポーツをやることの意義と,それから,能力の高い子たちをどう伸ばしていくのかという2本を打ち立てる。これが,地域の中のビジネスになるようにというのと,障害者のスポーツの場所と,本当に子供たちが純粋に交流し合える場所作りという。
 この一方で,もしかしたら怒られてしまうかもしれないのですけれども,各地で統廃合の問題がすごくあって,統廃合をして,ある程度,子供の人数が固まる状態になって,すいた学校がそういうところに再利用されるとか,それも各地によって,まだ新しい施設なのに,もう町の中には1校しか小学校がありません,みたいなところが,地方ではいっぱい出てきているのです。そこにマイクロバスを行政が買って,障害の方を運んであげたりということが起これば,もうちょっと機能的にいろいろなことができる。
 言いたいことがいっぱいあったものですから,申し訳ありません。全然整理のつかない話ですが,かなり提起はしていると思います。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 牧野委員,お願いします。

【牧野委員】
 少し違った観点から意見を申し上げたいと思います。
 この第3期の教育振興基本計画の今の御説明で,私が受けましたちょっとした印象は,行政だから,政策だからかもしれませんが,重い感じがするのです。
 どういうことかと言いますと,挑戦とか,生涯学び続けてということが基本ですが,人々に社会問題を解決させましょうというような議論になっていて,その地域課題解決のための学びを重視していきましょうというような議論になっていると思うのですが,それで,現場の方々,とくに学ぶ人たちが本当に動くのだろうかと思ったりしてしまうのです。これは,様々な地域実践を進めてきての実感に基づくものです。
 例えば,私は,第2期振興計画のロジックモデルの分析にも関わったのですが,臨教審の議論の流れを受けて,生涯学習社会を創っていく過程の中で,個人のニーズに応じた学習を保障していきましょう、ということになりました。基本はどういうことかと言うと,価値多元社会において,社会における自己価値を向上させて,きちんと自分の社会的位置付けを自分で確認できて,その上で,多様な価値の創造をどんどん推進していくことによって,社会を活性化しようということであったはずです。しかし,実際には個性化とか個人の価値とか言いながら,だけど比較優位を狙いなさいというメッセージが発せられたままになっていて,結果的には序列化の圧力のなかで、個性のつぶし合いが起こってしまって,社会が分断され,個人が孤立することになってしまいました。
 それを何とかしようとして発見されたのが,実は,私たちは冗談で「パンドラの箱を開けちゃったね」と言っていたのですけれども,発見されたのがパンドラの箱の底に,最後に残っていた「希望」で,それは何かと言うとコミュニティだったのです。そうしましたら,今度,学習成果の社会還元だ,学習成果の活用による社会貢献という議論になってきてしまった。しかし,この考えは動かなかった,つまりうまく機能しなかったと思うのですね。なぜなら,学習成果を,社会還元しましょうとか言われても,それぞれの個人にとっては,自分の必要に応じて学んでいるのに,どうして社会のために還元しなければいけないかという議論になっていってしまうからです。つまり,なんだか,やらされている感じになっていってしまって,負担感が出てくるところが,大きな障害になっていたのではないか、と思います。
 その意味では,学習成果の社会還元という命題をどう展開するかというときに,その評価に当たって議論になったのは,「何か足りないですね」と。簡単に言えば,それは,学ぶ側のモチベーションの問題として,何をとらえる必要があるのか,ということなのです。例えば,「楽しく」ですとか「うれしいです」というものが,そこに価値として入っていたかというと,どうも政策価値の中にそういうものが入っていなかったのではないか。その意味では,地域課題の解決のためには学びましょうと言っても,なんだかやらされている感じになっていってしまって,人々が動かなくなってしまうのではないか,なのです。第3次教育振興基本計画においても,これと同じことが起こるのではないかと心配します。
 例えば,私たちも,いろいろなまちづくりなどに関わっていますけれども,一番の大敵は住民がやらされ感を持ってしまうということなのです。そうではなくて,自分たちから喜んでやっていきましょうというところの中に,「自分への駆動力」と言ったりしますが,自分がどんどん次へ行ってしまわざるを得ない,うれしさや楽しさということが組み込まれていくことによって,達成感を持ったり,更に次にもっとやっていこうとなっていくことがあるかと思いますので,そうしたものをどこかに組み込んでいくと言いますか,そういうことを考える必要があるのではないかと思います。
 更にそれが,先ほど菊川委員がおっしゃったように,例えば,大人も成長するのだ,これは秋山委員の御専門だと思いますが,やらされて伸びるのか,嫌々やって伸びるのか,そうでなくて,自分でいろいろ喜んでやる,やることで楽しくて,そのことで伸びていく,もっと学びたくなり,もっとやりたくなるということが起こるのだろうと思いますので,そうしたことを,政策の中に組み込んでいく考え方が必要ではないかと思います。
 政策文書ですから,余りいいかげんな,楽しいとかうれしいとかという話はなじまないのかもしれませんが,今,価値をそのように転換することによって,もっと新しい社会を目指していくのだ,という意識を社会全体のものとする,もっと言えば,挑戦することは楽しくて,失敗したっていいではないかと,皆が認めているのだからやりましょう,となっていく環境を作っていく政策にできるといいと思っていまして,これも感想めいたことで申し訳ありませんが,このような印象を持ちました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 では,金藤委員,お願いします。

【金藤委員】
 ありがとうございます。
 第3期教育振興基本計画,基本的方針の丸3について1つお願いしたいことと,またそれに関連してもう1つお願いがございます。
 丸3については,特に指標と,あるいは目標や測定指標という点についてのお願いです。めり張りのある評価指標を設定して活用していただきたいということです。
 平成28年に,文部科学省は委託研究事業として,「政策の効果把握のための指標及びモデル事業の実施評価手法に関する調査研究」を外部のシンクタンクにお願いして実施しておりますその報告書によれば,アメリカとイギリスの教育・科学技術政策やスポーツ・文化政策で用いられる評価指標と日本の比較を行っております。アメリカ,イギリスの政策評価の評価指標と日本の文部科学省で用いる評価指標とを比較すると,アメリカ・イギリスでは評価指数の件数は日本に比べて少ないことを明確に示しております。
 日本においても政策全体の全ての階層とか全ての政策分野について網羅的に評価指標を示すのではなくて,是非複数階層の統合ですとか,あるいは重点分野の評価目標をはっきりして,めり張りのある評価指標を出してほしいということでございます。
 また,目標を立てること自体,イギリスなどではケースバイケースだということが示されております。場合によっては,ベースラインを設定して,それに照らして改善したかどうかという判断をすることもあるようでございます。目標値を設定すること自体の意義を見直すこともあるということですね。特にアウトカム目標は,政府の統制範囲を超えていて,因果関係が示しにくいので要注意だということを,明らかにしています。イギリスやアメリカの政策評価は,これまでの実施・検討過程を経て,それらを理解し,評価指標の在り方を変化してきているようです。
 また丸3の資料を見せていただきますと,世論調査がかなり指標として案に含まれておりますが,他省庁の行う世論調査などは,調査票の設計が年度によって変更されて,数値が大きく変動することが実際に起こっております。「生涯学習に関する世論調査」はその1つです。ですので,このような調査結果を指標として用いてもよいかどうかも,十分御検討いただきたいのが,1点目です。
 もう1つは,この基本計画との直接的な関連ではないのですが,先日ドイツの研究者から日本の放課後支援政策の政府関係資料がないかというお問合せを頂いたのですけれども,英文による適当な資料がないことが分かりました。特に文部科学白書の英語版は,現在2014年度版となっております。間もなく2015年度版が公開されることは承知しておりますけれども,より予算を追加していただきまして,業者等も活用して,もう少しスピーディに日本の政策を英文化して国外に発信していただきたいと思っております。放課後子供教室につきましても,固有のホームページがございますが,全て日本語のみとなっております。グッドプラクティスなども含めて,是非英文化を早く進めていただきたいと思います。

【明石分科会長】
 その英文の方は,もう本当にお願いいたしたいと思います。
 小林委員お願いします。

【小林委員】
 ありがとうございます。
 私は,2つ,取りあえず述べさせていただきたいと思います。
 1つは,3ページの基本計画,3ページにある「社会的・職業的自立に向けた能力・態度の育成」でございます。今,先ほどの「これからの専修学校教育の振興のあり方について」という御報告を文部科学省から頂いたわけであります。この制度の中で,特に職業実践専門課程が,今から4年前に大臣認定にしていただいたということでありますが,これがほとんど,各県の教育委員会とか,あるいはいろいろなところで,余り知られていないという問題があるように思うわけであります。
 これは,まさに実践的な職業教育をしていくことを基本として,企業と連携をして,企業のイノベーションをきちんと取り込んだ教育をしていくシステムになっていることを,先ほどの説明でもあったわけでありますけれども,これを,ある意味では,振興していくことが,私は重要ではないかと思っております。
 職業実践専門課程の振興策として,特に各県,各市区町村の教育委員会で御周知いただく,さらには各高校や,あるいはそういったところにもきちんと御周知いただくことを是非進めていただくのが,実践的な職業教育の振興には大変役に立つのではないかと思っております。それが,1点。
 2点目は,この基本方針の3番目でありますけれども,「社会人が大学等で学べる環境の整備」であります。ここでは,目標候補として「大学・専門学校等で社会人の受講者を100万人にする」ということであります。こういったことを考えた場合には,社会人の学びやすい環境をどう作っていくかという中で,今,我々専門学校の専門課程というと,基本的には2年課程です。2年課程以上を基本として,職業実践専門課程になっているわけでありますが,実際問題,私どもの学校などでもそうですが,例えば,大学を卒業して就職していない社会人の人たち,フリーターの人たち,あるいは定年退職後,次への就職のために資格を取ろうとして学びに来る方々,社会人の方々といった方々が,実は,1年コースとか1年半コースという短期のコースがあるわけです。これは,例えば,資格で言えば,社会福祉士だとかあるいは精神保健福祉士だとかといった,要するに,厚生労働省の指定養成施設ですね。これは,大卒生であれば,短期,すなわち1年課程で修了すれば受験資格が与えられる課程なのです。こういったものに関しては,ほとんど,今のところ,一般課程で,専門学校の専門課程にはなっていないことがあって,ほとんど基本的には評価になっていない,附帯教育のような扱いになっているところが,1つ問題かと思っております。
 こういうものを,短期コースも,文部大臣が指定していただける制度にしていただくことも,社会人の学び直しの環境整備をする観点からも,必要かと思っておりますので,是非御記入いただくことをお願いしたいと思います。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 宮本委員,お願いします。

【宮本委員】
 社会教育主事というお話が何度か出ていました。社会教育主事という名前で呼んでも呼ばなくてもかまわないのですけれども,社会教育というものの歴史と大きく変わってきているのは,この審議会の中でもずっと議論されていることでございますが,今日頂いている資料を拝見すると,社会教育として,公民館等という発想が,依然として強いのではないかという印象があります。
 今,社会教育,あるいは生涯学習でも構いませんけれども,地域社会に起こっている問題は,ある意味で多様なニーズ,多様な課題を持っている,一人一人個々ばらばらの人たちの問題で,その方たちは,層として公民館へ来るとか,層として社会教育の何らかの事業の中に参加するというタイプではなくて,そういう個々ばらばらの人たちが持っている問題が,今の多様な社会的な課題になっていて,その人たちを,社会教育の分野が対象にして活動しているというよりは,もっと別の分野の人たちが,そういう多様な,子供から高齢者までの問題に対応してきたように思います。
 これは,仕事,教育,保健医療,その他様々なテーマでございますけれども,一番の問題は,それらの違う分野のものとされてきたものをどうやってつなげるかという問題で,そのつなげる役割をする人とは,従来型の専門職とか,これこれに強い人というのではなくて,広い知識を持って広く横につなげていくタイプの人でありまして,きょうの社会教育という言葉等を拝見していると,もしこれから社会教育なり公民館等の社会教育施設が,そういう地域課題に対して機能するということであるならば,そこに待っていて集めるのではなく,地域の中に出向いていって,様々な諸機関,諸団体をつなげる役割を果たせる社会教育関係者がでてこない限りは,社会教育としては,今の社会のニーズに合わないのではないか。その辺り,是非強調していただければと思います。

【明石分科会長】
 大事な御指摘ありがとうございました。
 前半の石丸社会教育官が述べたことは,そういう意味を,ものすごくバックに考えながら,出した報告でございまして。ありがとうございました。
 山野委員,お願いします。

【山野委員】
 ありがとうございます。
 私も,皆さんが言われたところと結構重なるところもあるのですけれども,要は,今宮本先生もおっしゃいましたが,多様な価値観,多様な人たちを,どのように,拾い上げていくのか,が課題と思います。
 その時に,先ほど話題になった教育再生実行会議の学校,家庭,地域の役割分担と教育力の向上,去年12月に私もプレゼンに呼ばれて,教育再生実行会議に行かせていただいたのですが,どこの議論もそれぞれ同じものを見ていても立場が違って,主語が違う。多様な主語を含んで包括的に調和的にとらえる意味が重要と思います。
 それは,例えば,子供に起きている現象も,地域の人は地域が主語で見ているし,教師は教育,学校が主語で見ている。多様な方々が関わっている地域の人は,先ほど佐野委員からもありましたが,いろいろな方が関わっている中で,そこがなかなか一体化したり連携したり協働しにくいところだと思うのです。主語の違いを意識することができるかが鍵と思います。
 そのときに,何人かの先生がおっしゃった,それぞれが主体的であることは非常に重要で,でも枠組みを,ある程度,ではその主体性が地域なり共同していく動きの中に,どうすれば,どう仕掛けていけば,その主体性が生まれ,つながっていくのかという仕掛けとかが見える化していったり,方向性がこの中で見せていってくださると具体化されていくと思います。
 細かいことで言うと,3ページの家庭・教育,地域力の向上のところで,目標設定で出されているのが,先ほどエビデンスとかアウトカムというお話もありましたけれども,皆さんが参画して元気になっていく,連携を図るような,例えば,教員側の,子供や保護者だけへの調査ではなくて,教員側がどれぐらい地域と連携したり,そういう仕掛けを作っていったのか,あるいは地域の人材が,どれぐらいそういう仕掛けを作っていけたのかが測れるような指標があったりするといいと思いました。複数の主語の視点を入れるという意味です。
 そういう意味で,ここに厚労省と文科省との連携とかも出されているのですが,是非そこはお願いしたい。
 例えばスクールソーシャルワークと言えば,厚労ではなく文科省,みたいになってしまっているので,仕事の中身は社会福祉ですので,人材は厚労省管轄になるわけですが,なかなか共有して検討することにならない。そういうところが,1つの例ですけれども,厚労省と文科省の連携も,是非見える化をしていっていただきたいと思いました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 恒吉先生。

【恒吉委員】
 私は学校教育が専門で,特に国際比較をやっているものですから,今回生涯教育に参加させていただいて,一生懸命宿題で読んでいたのですけれども,なぜかやや心が重くなってくるのがなぜだろうと思って,先ほどからいろいろと御意見をお聞きしながら,レトリックが,高齢者のことが語られるときのレトリック,学びとか,受ける方のものがすごく多くて,あと,ほかでは参画だとか就労だとか人材だとか来るのですけれども,高齢者のことになると受ける議論が多くて,その背後に,今はもう既に変化している終身雇用とか,そこでもって引退したとかというイメージがどうもあるのではないかという,多分メッセージとして受けるからではないかと思うのですね。
 それで,人生100年時代とは,いろいろな道が1つではないという時代だと思うので,そういった道が1つではない時代とは,若者だけではなくて,高齢者にとっても道は1つではなくて。それで,第1の人生,第2の人生とかという区分がなくなって,人生になっている時代ではないかと思いますので,そういう,心が重くならない感じのものになっていったらいいのではないかと思います。背後の制度も含めて。
 もう1つが,MOOCとかオンラインの話も出てきて,すごくいいと思うのですが,私,実は自分の講義でも,国内ではなくて国外と結んで,既に引退された方もそうですし,研究者ではない方にも参加していただいて話を伺ったりしているのですけれども,そういう形で,自分が行かなくても貢献できて,若い人たちとも,若い人たちだけではないですね,講義にも,教えることができる可能性もあるようなもので,そういう新しい可能性を示唆するものが前面に出てくると,多分心が軽くなりながら読んでいけるのではないかと,門外漢から,分野が違う者から,勝手な感想ではあります。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 相原委員。

【相原委員】
 将棋の世界では藤井四段が注目を集めました。14歳という年齢や,30勝連勝ができるかどうかとか,また,AIが示す最善手とのヒット率の高さに注目が集まったことは現代らしいところです。私は,彼の活躍から,多くの日本の国民が,人間の可能性を見いだしたいと思っていると感じました。
 本日の議論でもICTを活用してグローバルに活躍できる,人材を育てるというフレーズが出てきますが,それ自身は誤りではないものの,自動運転もそうですが,最終的には倫理の問題,技術革新のレベル,人間の能力の限界と同時に人間の可能性の広がりにイメージを湧かせることが,技術革新を進めるにあたっての重要なテーマだと考えています。
 そうであるならば,若いうちからICTの勉強をし,人間の限界と可能性を両方確認していくことが, 1つの大きな役割だろうと認識しているところです。
 生涯学習においても,自分の可能性を発見するための生涯学習だと位置付けるのが大変重要です。一方で人口が減少していくことが予想される日本において,財政状況は厳しく,社会保障もこの先は不透明であるなど,巷(ちまた)は,マイナスの情報ばかりであり,技術革新の話も,雇用に対して影響があり,働き口が減少しそうだといったマイナスインパクトと同様に語られていることも多くなっています。
 したがって,若い人たちがICTの勉強をする際には,新しい発展の可能性だと捉え直し,ディーセント・ワークと並列して語られる,若しくはディーセント・ワークのための技術革新だという国民的な合意をもって,ICTの1つの柱として落とし込んでいく必要があると認識しています。
 これらの点に関して,牧野委員と同様ではないかと思っています。私は,産業や企業が生産性を高めて,付加価値を高めることにまい進しなければならないと考えます。一方で,社会の課題を解決していくエネルギーも,国民には必要であり,そのエネルギーは,各々の企業や産業の目の前の仕事からではなく,公共の中で自らの存在はどこに置くのか,多くの立場で認知した上で生涯学習が果たす大きな役割を再設定すべきだと考えます。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 鈴木委員,お願いします。

【鈴木委員】
 20年ぐらい前から,子供も大人も生涯発達という言葉がありましたが,生涯発達という原点に返るような感じだとうかがわせていただきました。
 私は,「豊かな心」というところで,一言だけ伝えさせてください。
 ICTもすごく重要で大事ですけれども,例えば幼児とかは,主体的に遊ぶという中で,感覚で捉えたり,感じたり,考えたりする力が付いていく,そう思っています。なので,直接的,具体的な体験も,生涯を通してすごく大事にしたいと思います。
 その直接的,具体的な体験の中で,1つは,山野先生たちが一生懸命なさっている家庭教育支援チームの重要性をすごく感じていて,出掛けていく側と同時に,また迎える側もすごく充実していかなければいけないと思っています。
 その迎える側とは何かというと,例えば,就学前の教育を担う人たちが,基本的に自然体験が足りなかったりもするので,担い手が直接的な体験をする中で,遊びの面白さに気付いたりとか,あと,今回3月31日に告示された文部科学省から出た幼稚園教育要領と,厚生労働省から出た保育所保育指針は,かなり整合性を図っています。なので,そういう横串と言いますか,そういうところの重要性を,伝えていくことが大事かと思っています。
 私は,機構に移って,独法の面白さとは,横串を刺せる,先ほど生重委員が生まれたときから横串を刺すのだとおっしゃいましたけれども,まさにそこをつないでいける,文科省と厚労省から人を呼んで研修ができるみたいな,そういうことをやりながら,実際に,子供たちの直接的,具体的体験を支えていく方向で,生涯発達を考えていきたいと思っています。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 平岩委員,お願いします。

【平岩委員】
 私から,全体的に感じた点を申し上げさせていただきたいと思います。
 私自身は,仕事は,主に小学生の放課後というところにありますし,自分の子供は中学生と小学生ということもありまして,主に小中学生辺りをイメージしている発言と捉えていただければと思います。
 1点目は,「学びのオーガナイザー」という言葉が出てきまして,非常にいい概念だと思うのですが,地域コーディネーターにしても,学びのオーガナイザーにしても,すごく機能しているケースを見受けないというのが,問題意識としてあります。もうしっかり,本当に気合を入れて1校に1人置いてみたらどうかと思うのですね。
 以前から申し上げているように, 1つの職業として,各学校に1人いるのが当たり前になっていいのではないかと思います。全国一律にいきなり全部は難しいのですが,どこかの学校,どこかのエリア,どこかの地域を,1回やってみたらどうかと思います。これが,1点目です。
 2つ目が,今度,先生方の話ですが,今社会は非常にダイバーシティと言われていて,非常に大事な概念だと思うのですが,先生の世界のダイバーシティを考えると,非常に薄いと言わざるを得ないかと思います。先生方,同じような方々が多いし,教え方も同じ,小学校ではずっと1人の先生が基本的には教えるスタイルです。例えば同じ学校の中で,少し学年でクラスが入れ替わるときがあってはいけないのかとか,違う先生がもっと教えられないのかとか,もう少しゲスト的な先生が入れないのかとか,そういうのも含めて,まずすぐできるダイバーシティもあると思いますし,将来的には,もう少しいろいろな人が先生になっていって十分にいいでしょうし,先生方にもダイバーシティを出していただきたい。
 一方で,ダイバーシティは,生産性と非常に関係があると思っています,要は,同一なメンバーでやった方が,生産性が高まる部分があるのですね。ですから,逆に言うと,多様性を持ちたければ,生産性の高い組織体でないとできないのです。
 ですので,先生方の働き方改革の中で,先生方の仕事の生産性という辺りも,非常に重要になってきていると思いますし,同じ生産性の概念でいくと, 45分の授業で,どこまで子供たちの学びの質を高められるかという生産性も見ていると,45分かけてここまでかとか,1年間かけてここまでかとかを考える必要があります。8時から,今だと3時半,4時まで子供たちが学校にいるというのは,かなり長い時間いると思うのですけれども,ここまでかと残念に思うシーンもあります。
 3点目,自己肯定感の話です。私の活動もまさにこれが超重要テーマでして,この自己肯定感があれば,生涯学習していく人が作れると思うのですね。いつだって,自分はやろうと思える気持ちです。
 これは,本当に何の根拠もない私の勘の数字ですが,家庭と先生と地域があるわけですけれども,自己定感で一番大事なのは,家庭ですね。次が先生,次が地域。重要度では,家庭が7割ぐらいです。親御さんに褒められたり,認められたりというのは,最も重要です。次が先生,2割ぐらいですね。地域が1割ぐらいだと思うのですね。ですが,親は2人しかいないし,学校の先生で会える人は多分10人ぐらいで,地域はいっぱいいるわけですね。ですから,7,2,1だとしても,非常にどれもそれなりに資源配分してやっていく必要もあるかと思います。そうなると最初に申し上げた学びのオーガナイザー,重要だと思いますので,もっともっと社会を巻き込んでいく教育活動をして,子供たちの自己肯定感を高められるといいのにと,思いました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 もう時間が参ったのですけれども,あと3人の方が残っていらっしゃいまして,本当に2分でお願いできればと。寺本委員,お願いします。

【寺本委員】
 ずっと生涯学習と言うと,どうしても先ほどから話があるように,年齢の高い方の話が多いのですが,今お話があったとおり,子供たちのこと,また生まれてから幼児期,そして児童生徒と成長していく過程は,すごく大事です。子供も大事ですが,そこに関わる大人もすごく大事な時期で,そのために社会教育主事さんが,若い世代からまた高齢者世代までオールマイティでやるのも大変なことだろうと思います。
 それを,例えば,民生委員に例えたら,民生委員がいて,主任,児童委員がいるように,社会教育主事がいたら,家庭教育主事がいてもいいのではないかと考えるぐらい,そこに特化して,家庭教育を支援していくことをしていかないと,なかなか生涯学習で考える入り口が育たない,入り口が育たないと,この先もなかなか生涯学習をしていく上において,ベースが難しくなるのではないかと感じました。

【明石分科会長】
 中田委員,お願いします。

【中田委員】
 やや感想めいた話になるかもしれないのですが,私は福島大学に勤めていて,東日本大震災以降6年間を過ごしてきました。
 その中で,福島の人々は,どうやって地域を復興させるかを念頭に置きながら,自らの成長ということも,どう担保しなければいけないかという課題に向き合っています。その中で考えているのは,既存の産業構造の中にもう一度回帰するのではなくて,新しい市民社会,新しい自分たちの未来を創ろうとすることが,ある意味の新しいエネルギーを生み出すことになるということです。
 少し粗い言い方になりますけれども,高度経済成長期の頃に農業だけでは生活が困難だった地域は,新しい原子力発電という産業の技術に開路を求めながら,地域の発展を求めていったのだけれども,東日本大震災により大きな課題を突き付けられたという苦い経験があります。ですから,新しい未来,新しい地域をどう創るかは,既存の産業構造の中で,単に職業能力,技術,資格をブラッシュアップして,その中で競争力を持つという話とは若干違うところが,実感としてあります。
 既存の社会構造を越えようとした場合,希望としては,生涯学習で考える大人の,子供から大人に掛けて獲得する力の捉え方を,やや産業とか工業とか経済発展に有効な力ということだけでない部分,それは十分大事なことは分かるのですけれども,そこだけでは測れない,新しい社会構造に向けた価値を生む力という視点から構成し直すことが必要であり,それは,どうやって形成されてくるのかも,生涯学習を考えるときには大事だと,福島にいて,特にそう思います。
 そうすると,今までの社会が抱えてきた様々な課題,そして,今自分が抱えている生活上の様々な課題,それと地域の課題を,どう将来に向けて結び付けて整合性を持って生涯学習として進めていくのかというプロセスを求めたくなるわけです。
 その意味では,多様な活躍をしている人たちが持っている多様な経験値や,専門知ですね,それを照らし合いながら,住民も含めた学び合うコミュニティを作る必要があるのだろうと思います。そのコミュニティは,ある意味自然地理的な地域という側面では捉えきれないものがあると思いますけれども,そうした学び合うコミュニティを作っていく上でよりどころになるのは公教育であり,1つの重要なポイントになると思います。
 学校教育を通して,子供の未来を創ることを通して,大人たちも,自分たちの今までの価値観を問い直して,どうやって未来を創るかに関わっていきますし,もう1つは,地域教育の1つのポイントである,呼び方の選択はいろいろあると思いますが,社会教育という場面,これも重要なポイントになるだろうと思います。
 福島は,浜通りがまだ十分に帰還できていませんので,形式的には行政区はあるのですが,行政と住民の生活が一体化して運営されている状況にはまだなっていません。その中で,住民たちがやろうとしているのは,まず集うことなのですね。住民たちは集って課題を持ち寄り,自分たちのコミュニティ,関係性を築き直しながら自分たちの未来を育てるという思いが強いわけです。そういう意味では,言葉としては,社会教育主事なのか,学びのオーガナイザーなのかということはありますけれども,そういう多様な課題をきちんとコーディネートして,学校や地域をどうやって創っていくのかという部分に,これからの生涯学習分科会では十分に力を入れていただきたいと思っております。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 最後,秋山委員にお願いします。

【秋山委員】
 短くということですので。言葉足らずになるかも分かりませんけれども,簡潔にお話します。
 人生50年から100年になって,50年時代は既定の人生コースがあって,それは安易に生きていくのは楽だったのですけれども,100年の人生,自分で目標を立てて,夢を追って,夢を追求できる社会になったのは,非常に喜ばしいことなのですが,それと同時に,余り簡単ではない,生きていくのは。
 だから,どう生きていっていいか分からない人がたくさん出てくると思うのです。私は,SDGs(Sustainable Development Goals)という,御存じのように,2015年に国連が議決しました,17の,本当に全人類の目標ですね,こういう社会を創ろうという。私は,ああいうものを少し何か取り入れられないかと思うのですね。何か接点を,緩やかな形で取り入れることも考えてみていいかと思っています。
 SDGsのゴール,17のゴールと169のターゲットとあるわけですけれども,非常にローカルなレベルでできることもあるし,グローバルなことが必要な,たくさんわくわくするようなことができるわけですね。そういうことも検討していただければいいかと思いました。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。

【横尾委員】
 本当に一言で話します。言いたいことはたくさんあったのですけれど。
 一番大事なのは,明治維新の頃に,志士を育てた儒学者に佐藤一斎先生がおられます。その教えに「三学戒」があります。「少にして学べば壮にして為(な)すあり 壮にして学べば老いて衰えず 老いて学べば死して朽ちず」という言葉です。
 まさにそういった価値観を皆がもっと強く意識して持って,教えてもらうから学ぶのではなく,自ら学ぶ。生涯学習の講座に行ったから生涯学習をしたのではなくて,自分の読書でもスポーツでも文化活動でも,学びだということを思ってやれるように,是非エンカレッジをしていくことが大事だと思っています。

【明石分科会長】
 ありがとうございました。
 司会の不手際で,10分ほどオーバーいたしました。申し訳ありません。本当に貴重な御意見をありがとうございました。
 本日の審議をこれで終わりたいと思いますけれども,あとは,頂いた御意見を事務方と相談して,整理させていただきまして,次回の教育振興基本計画部会で伝達したいと思っております。
 事務局より連絡事項があれば,お願いいたします。

【高見生涯学習推進課課長補佐】
 活発な御意見ありがとうございました。
 資料につきましては,机上に置いていただけましたら,郵送させていただきますので,よろしくお願いいたします。
 また,次回の本分科会ですが,委員の皆様には御案内をさせていただいておりますけれども,8月23日水曜日15時から17時となっておりまして,場所は追って御案内させていただきます。

【明石分科会長】
 それでは,本日の生涯学習分科会は,これにて閉会いたします。
 ありがとうございました。

―― 了 ――

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