1. |
認識
(1) |
深刻な現状と国家的課題
○ |
今、若者は、チャンスに恵まれていない。高い失業率、増加する無業者、フリーター、高い離職率など、自らの可能性を高め、それを活かす場がない。 |
○ |
このような状況が続けば、若者の職業能力の蓄積がなされず、中長期的な競争力・生産性の低下といった経済基盤の崩壊はもとより、不安定就労の増大や生活基盤の欠如による所得格差の拡大、社会保障システムの脆弱化、ひいては社会不安の増大、少子化の一層の進行等深刻な社会問題を惹起しかねない。(参考1)(PDF:17.1KB) |
○ |
わが国にとって人材こそ国家の基礎であり、政府、地方自治体、教育界、産業界等が一体となった国民運動的な取り組みとして、若年者を中心とする「人材」に焦点を当てた根本的対策を早急に講じていく必要がある。 |
○ |
このため、新たな枠組みとして、ここに「若者自立・挑戦プラン」を策定し、教育・雇用・産業政策の連携を強化するとともに、人材対策への政策資源の重点投入とその効率的な活用、成果の最大化を図りながら、官民一体となって総合的な人材対策を強化する。 |
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(2) |
問題の原因
○ |
若年者問題の主な原因としては、第一に、需要不足等による求人の大幅な減少と、求人のパート・アルバイト化及び高度化の二極分化により需給のミスマッチが拡大していること、第二に、将来の目標が立てられない、目標実現のための実行力が不足する若年者が増加していること、第三に、社会や労働市場の複雑化に伴う職業探索期間の長期化、実態としての就業に至る経路の複線化、求められる職業能力の質的変化等の構造的変化に、従来の教育・人材育成・雇用のシステムが十分対応できていないことなどが挙げられる。 |
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2. |
目指すべき方向
(1) |
目指すべき社会
○ |
「若者が自らの可能性を高め、挑戦し、活躍できる夢のある社会」の実現を目指すべきである。 |
○ |
また、「生涯にわたり、自立的な能力向上・発揮ができ、やり直しがきく社会」の実現を目指すべきである。 |
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(2) |
目指すべき企業像
○ |
若者に雇用・就業の場を提供する企業、長期的な視点から人を大切にし、人材育成、キャリア支援を図る企業が求められる。 |
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(3) |
目指すべき人材像
○ |
「真に自立し、社会に貢献する人材」が求められる。 |
○ |
また、「確かな基礎能力、実践力を有し、大いに挑戦し創造する人材」が必要である。 |
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3. |
政策の基本的考え方
(1) |
若年失業の流れの転換
○ |
若者が可能性を高め、活躍できる社会を構築するためには、就業機会創出や人材育成のための政策を重点的に実施し、若年失業やフリーター等の増大の流れを大きく転換する必要がある。 |
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(2) |
構造変化に対応したシステム改革
○ |
若年者問題の原因を、若年者自身のみに帰することなく、教育、人材育成、雇用などの社会システムの不適合の問題として捉えて対応する必要がある。 |
○ |
まず、職業探索期間の長期化や就業に至る経路の複線化に対応して、これまでの卒業即雇用という仕組みだけでなく、各個人の能力、適性に応じ、試行錯誤を経つつも、職業的自立を可能とする仕組みが必要である。 |
○ |
また、技術革新の進展などの中で職務が高度化し、専門的知識・技能の他、問題発見・解決能力等のような変化に柔軟に対応できる能力が一層重要になっている。 |
○ |
こうした構造的変化の下で、若年者問題の抜本的解決のためには、教育、人材育成、雇用の各システム全般の改革が必要であり、これを各府省の連携と産業界、教育界、地域社会・行政などの協力により進めることが不可欠である。 |
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(3) |
就業機会創出・人材育成の好循環と政策資源の重点投入
○ |
若者が大いに活躍できる場が必要であり、創業・起業活性化等の新たな市場、就業機会創出のための政策に総力を挙げて取り組む必要がある。 |
○ |
また、人材の質を高めることは、能力のミスマッチを解消し、新規就業の増大につながるとともに、新たなビジネスや労働需要を生み出す源泉となることから、人材育成のための政策を強化する必要がある。 |
○ |
これらの政策を強力に推進し、「就業機会創出・人材育成の好循環」を創ることが不可欠である。
このため、若年者を中心とする人材育成や創業・起業活性化等による就業機会創出について、政策資源を重点投入する必要がある。 |
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4. |
産業界等の主体的な取り組み
○ |
若年者問題の解決のためには、産業界がその社会的使命を認識し、企業が従来以上に主体的に取り組むことが不可欠である。 |
○ |
今般、産業界から、若年者の雇用促進・人材育成を強力に進める決意や、政府の施策への積極的協力の意思が表明された。(参考2)(PDF:17.1KB)
これを高く評価し、政府としては産業界に対して、厳しい経済環境の中でも、若者に雇用や実習の場を提供し、その育成を図るよう強く求めるものである。 |
○ |
具体的には、通年採用の普及、求人開拓、インターンシップやトライアル雇用の受入れ、日本版デュアルシステムの推進、若年者に求める人材要件の明確化等について企業の協力を求めていく。 |
○ |
一方、政府としても、こうした産業界や企業の取り組みを進めるために必要な情報提供、助言・指導、関係者間の調整等を図る。 |
○ |
また、教育界においても、勤労観・職業観の醸成の重要性を一層認識し、産業界、地域社会等と協力して取り組む必要がある。 |
○ |
こうした関係各界の連携と政府の対策が一体となって、就業機会創出・人材育成の十分な成果を生み出すよう最大限取り組む。 |
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5. |
本プランの目標
○ |
本プランにおいては、フリーターが約200万人、若年失業者・無業者が約100万人と増加している現状を踏まえ、当面3年間で、人材対策の強化を通じ、若年者の働く意欲を喚起しつつ、全てのやる気のある若年者の職業的自立を促進し、もって若年失業者等の増加傾向を転換させることを目指す。 |
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6. |
政策の推進に当たって
(1) |
政策の連携強化、総合的な推進
○ |
政策の実施に当たっては、関係府省の緊密な連携・協力の下、政策の連携強化と総合的な推進を図る。 |
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(2) |
地域の自主性と多様性を尊重した対応
○ |
地域の自主性と多様性を尊重しながら、地域による若年者対策への主体的な取り組みを推進する。 |
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(3) |
民間の活用
○ |
民間を活用することが適当なものは民間に委ね、その活用に当たっては、適切な質を確保しつつ、成果・実績に基づいた評価とそれに応じた適切なインセンティブによって、個人・企業・社会のニーズに合ったサービスが提供されるようにする。 |
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(4) |
明確な目標設定と施策の的確な評価
○ |
各施策については、その達成目標を明確にした上で、施策の実績・効果を的確に評価しつつ、効果的な展開を図る。 |
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