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資料6−1

公立博物館の設置及び運営上の望ましい基準について

1. 経緯
  昭和30年代から40年代にかけての高度成長期における急速な宅地造成などから、文化遺産を守り保存する機運が高まったこと、また、この時期の昭和42年が「明治百年」の記念の年と合致したことなどを背景に、全国各地で多くの地方公共団体が博物館建設を実施。

  このような状況を踏まえ、昭和26年の博物館法制定以来、未整備であった博物館法第8条に定める「博物館の設置及び運営上望ましい基準」について、公立博物館を対象に、昭和48年11月30日、文部省告示第161号をもって「公立博物館の設置及び運営に関する基準」を告示。

2. 基準の見直しについて
  平成10年9月生涯学習審議会答申「社会の変化に対応した今後の社会教育行政の在り方について」の記述
  博物館法第8条の規定に基づき、博物館の望ましい基準として、昭和48年11月に「公立博物館の設置及び運営に関する基準」(文部省告示)が告示されている。同基準においては、必要な施設及び設備、施設の面積、博物館資料、展示方法、教育活動、職員等が定められている。このような基準を設けることにより、博物館の水準の維持向上が図られてきたが、既に本基準の制定後四半世紀が過ぎ、博物館を取り巻く環境も大きく変化している。自然史博物館、科学博物館、美術館、水族館、動物園等、博物館の種類が多いことに加え、現在の博物館に求められる機能は、単なる収蔵や展示にとどまらず、調査研究や教育普及活動、さらには、参加体験型活動の充実など多様化・高度化している。こうした状況を踏まえると、博物館の種類を問わず現行のような定量的かつ詳細な基準を画一的に示すことは、現状に合致しない部分が現れている。このため、現在の博物館の望ましい基準を大綱化・弾力化の方向で見直すことを検討する必要がある。

  平成14年10月地方分権改革推進会議「事務・事業の在り方に関する意見」の記述
  公立博物館や公民館の設置及び運営に関する基準については、基準を定量的に示したものとなっているが、平成14年度中を目途に大綱化・弾力化を図り、国の関与の限定化と地域の自由度の向上に努める。

参考】
1(設置及び運営上望ましい基準)
8条  文部科学大臣は、博物館の健全な発達を図るために、博物館の設置及び運営上望ましい基準を定め、これを教育委員会に提示するとともに一般公衆に対して示すものとする。
2公立博物館の設置及び運営に関する基準(2ページ)


資料6−2

「公立博物館の設置及び運営上の望ましい基準」(案)

(趣旨)
一条  この基準は、博物館法(昭和二十六年法律第二百八十五号)第二条第二項に規定する公立博物館(以下「博物館」という。)の設置及び運営上の望ましい基準であり、博物館の健全な発達に資することを目的とする。
  博物館及びその設置者は、この基準に基づき、博物館の水準の維持、向上を図ることに努めなければならない。

(設置)
二条  都道府県は、一又は二以上の博物館を設置し、歴史、芸術、民俗、産業、自然科学等様々な分野にわたる資料を取扱うものとする。
  市町村は、その規模及び能力に応じて、単独で又は他の市町村と共同して、博物館を設置するものとする。

(資料)
三条  博物館は、実物又は現象に関する資料(以下「一次資料」という。)について、当該資料に関する学問分野、地域における当該資料の所在状況及び当該資料の展示上の効果を考慮して、必要な数を収集し、保管し、及び展示するものとする。
  博物館は、実物資料について、その収集若しくは保管(育成を含む。)が困難な場合、その展示のために教育的配慮が必要な場合又はその貸出しが困難な場合には、必要に応じて、実物資料に係る模型、模造、模写又は複製の資料を収集又は製作するものとする。
  博物館は、一次資料のほか、一次資料に関する図書、文献、調査資料その他必要な資料(以下「二次資料」という。)を収集し、保管するものとする。
  博物館は、一次資料の所在を調査して、その収集及び保管(現地保存を含む。)に努めるとともに、資料の補修及び更新、新しい模型の製作等により所蔵資料の整備及び充実に努めるものとする。

(展示方法等)
四条  資料の展示に当たっては、利用者の関心を深め、資料に関する知識の啓発に資するため、次に掲げる事項の実施に努めるものとする。
  確実な情報と研究に基づく正確な資料を用いること。
  総合展示、課題展示、分類展示、生態展示、動態展示等の展示方法により、その効果を上げること。
  博物館の所蔵する資料による通常の展示のほか、必要に応じて、特定の主題に基づき、その所蔵する資料又は臨時に収集した資料による特別展示を行うこと。
  二次資料又は映像、音声等を活用すること。
  資料の理解又は鑑賞に資するための説明会、講演会等を行うこと。
  展示資料の解説並びに資料に係る利用者の調査及び研究についての指導を行うこと。

(教育活動等)
五条  博物館は、利用者の教育活動に資するため、次に掲げる事項を実施するものとする。
  資料に関する各種の説明会、講演会等(児童又は生徒を対象とした参加体験型活動その他の学習活動を含む。)を開催すること。
  資料の貸出し及び館外巡回展示を行うこと。
  資料の利用その他博物館の利用に関し、学校の教職員及び社会教育指導者に対して助言と援助を与えること。

(情報の発信等)
六条  博物館は、利用者の便宜のために、資料に関する目録、展示資料に関する解説書又は案内書等を作成するとともに、資料に関する調査研究の成果の公表その他の広報活動を行うものとする。
  博物館は、広く一般公衆の利用に供するため、博物館事業の内容、資料等を電子情報化し、インターネット等で提供するものとする。

(博物館事業の実施)
七条  博物館は、博物館事業を行うに当たっては、学校、社会教育施設、社会教育関係団体及び官公署等と緊密に連絡、協力するなど学校、家庭、地域社会の連携の推進に努めるものとする。
  博物館は、青少年、高齢者、障害者、外国人、乳幼児の保護者等の事業への参加が可能となるよう努めるものとする。
  博物館は、博物館事業を行うに当たり必要な知識・技能等を有する者のボランティアとしての参加を一層促進するよう努めるものとする。

(開館日等)
八条  博物館は、開館日及び開館時間の設定に当たっては、利用者の要請、地域の実情、資料の特性、展示の更新所要日数等を勘案し、夜間開館の実施等、利用者の便宜を最大限に図るよう努めるものとする。

(職員)
九条  博物館には、館長及び学芸員を置き、博物館の規模及び活動状況に応じて、事務又は技術に従事する職員を置くよう努めるものとする。

(職員の研修)
十条  都道府県の教育委員会は、当該都道府県内の博物館の館長、学芸員その他職員の資質・能力の向上を図るために、研修機会の充実に努めるものとする。
  市町村の教育委員会は、当該市町村の教育委員会の所管に属する博物館の前項に規定する職員を、同項の研修に参加させるよう努めるものとする。

(施設及び設備等)
十一条  博物館には、博物館事業を実施するに必要な施設及び設備を確保するよう努めるとともに、青少年、高齢者、障害者、外国人、乳幼児の保護者等の利用を促進することができるよう必要な施設及び設備を確保するよう努めるものとする。
  博物館には、資料を保全するため、必要に応じて、耐火、耐震、防虫害、防塵、防音、温度及び湿度の調節、日光の遮断又は調節、通風の調節並びに汚損、破壊及び盗難の防止に必要な設備を備えるよう努めるものとする。
  博物館は、利用者の安全を確保するため、防災及び衛生に必要な設備を備えるとともに、必要に応じて、入場制限、立入禁止等の措置をとるものとする。

(博物館事業の計画的実施及び自己評価等)
十二条  博物館は、博物館事業の水準の向上を図り、当該博物館の目的及び社会的使命を達成するため、各年度の博物館事業の状況について、自ら点検及び評価を行うとともに、その結果を住民に公表するよう努めるものとする。


「公立博物館の設置及び運営に関する基準」の見直しについて  整理表

「公立博物館の設置及び運営に関する基準」の見直しについて整理表





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