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資料

「奉仕活動・体験活動の推進方策等に関する中間報告」(ワーキンググループ骨子素案

1   今なぜ「奉仕活動・体験活動」を推進する必要があるのか

   中央教育審議会では「青少年の奉仕活動・体験活動の推進方策等について」諮問を受け、1初等中等教育段階までの青少年に対し、学校内外を通じて様々な奉仕活動・体験活動を充実する方策、2初等中等教育を修了した18歳以降の青年が様々な分野において奉仕活動を行える社会的仕組みづくり、3社会人が生涯にわたって奉仕活動等を行うことができる環境づくりについての検討が求められている。
   こうした検討の前提として、「奉仕活動・体験活動」が個人や社会にとってどのような意味を持ち、社会において何故推進する必要があるのかについて議論し、概ね次のように整理した。

1.奉仕活動・体験活動の意義及び必要性等

   これからの我が国で必要とされるのは、地域において、また国際社会において、我々を取り巻く様々な課題に積極的に取り組み、世界や地域の発展に能動的に貢献していくことができる自立した個人であり、また、こうした個人を育て支える社会環境である。
   21世紀は、知識や情報が社会を動かす原動力となる知識社会といわれるが、こうした社会において、生産性を高め、人生を豊かなものにするためには、知識を個人としての生き方や社会のあり方と結びつけながら、生涯にわたって学習を重ね、より良く生きより良い社会を作るために様々な課題に取り組んでいくことが求められる。
   我が国を含め物質的な豊かさがある程度達成された国々では、個人が人間的な豊かさを獲得するための手段として、地域社会における活動やNPOの活動など利潤追求を直接の目的としない様々な社会問題の解決に貢献するための社会的サービス等が高く評価されるようになってきている。こうした分野は、従来の政府や地方自治体などの「行政」と「民間」という二分法では捉えきれないものであり、いわば新たな「公共」とでもいうべきものである。
   「奉仕活動・体験活動」を推進することは、まさに、我々が直面する課題を解く鍵として、1豊かな人生を送るための生涯にわたる主体的な学習の契機や活動の場を提供すること、2個人の社会参加の場を提供し自立した個人が担う新たな「公共」による社会を作り出す、言い換えれば、「奉仕活動・体験活動」がこうした「公共」の重要な領域を占めることにつながるものと考える。

(1)個人が豊かな人生を送るための鍵
       「奉仕活動・体験活動」は、青少年から社会人までの個人にとって、こうした主体的な学習の契機となり、個人として社会の一員として、家庭や地域、仕事を通じて、豊かな人生を送るための鍵となるものであり、成長段階や社会的環境等に応じ、個人にとって以下のような意義がある。
  1 青少年にとっての意義
       奉仕体験活動、職業体験活動、自然体験活動など様々な体験活動を通じて、他人に共感すること、自分が大切な存在であること、社会の一員であることを実感し、思いやりの心や規範意識を育むことができる。また、広く物事への関心を高め、問題を発見したり、困難に挑戦し解決したり、人との信頼関係を築いて共に物事を進めていく喜びや充実感を体得し、リーダーシップやコミュニケーション能力を育むとともに、学ぶ意欲や思考力、判断力などを総合的に高め、生きて働く学力を向上させることができる。
   青少年の時期にこうした体験活動を行うことが、生涯を通じた「生きる力」を培い、生きた経験として蓄積され、成人後も物事の判断の座標軸や行動の原動力となるものである。また、不登校の青少年にとっても、奉仕活動・体験活動は、自らを認め社会とのつながりを回復し、「人生に目を開く」きっかけとなるものと考えられる。
  2 18歳以降の青年にとっての意義
       勤労していない18歳以降の大学生等の青年が奉仕活動等に参加することにより、
(a)実体験によって現実社会の課題に触れ、自分の生き方を考え、何を目指して学ぶかが明確になって学ぶ意欲が高まる、(b)喜びや苦労の共有を通じて緊密な仲間づくりができる、(c)視野を広げ、物事に関する見方や考え方を深めることができるとともに、(d)知識や技術を習得し、就職を含め将来の人生設計に役立てることができるなどの意義がある。特に青年期の比較的まった時間を活用して、大学を休学して長期間の奉仕活動等に取り組んだり、職業経験を積んで再度大学に入り直したりなど「寄り道」を通じて、こうした自分の生き方を切り開く力を身につけることができる。
  3 勤労者にとっての意義
       勤労者にとっては、(a)職場の人間関係だけでは得られない友人や知人を得て交友関係を広げることができる、(b)物事の見方や考え方を深めることができる。こうした交友関係や視野の広がりを、新たなビジネスやアイデアなどの形で仕事にも還元できるとともに、将来の地域での確かな居場所を見付けることができる。
   また、奉仕活動等に家族で協力して参加することを通じて、家族の絆を深めるとともに、子どもたちが家族の大切さを体得することができる。
   将来的にはワークシェアリングなどを通じて労働時間の短縮や多様な就業形態が進展していくことが予想されるが、奉仕活動等は、勤労者にとっての新たな活動の場となりうることも考えられる。
   特に公務員にとっては、行政とは異なる側面で市民生活に触れることを通じて、新たな社会との関わりを持つ場となることが期待される。更に、学校教育の担い手である教員については、奉仕活動・体験活動の経験を教育指導に生かすことができる。
  4 高齢者にとっての意義
       自己の能力や経験を活用して地域社会への活動に参加することにより、自分自身の存在意義や社会との繋がりを確認し、社会的興味を失わず、健康で生きがいのある生活を送ることができる。
  5 企業等にとっての意義
       地域への社会貢献活動等を通じて、地域の中で受け入れられる企業となるとともに、地域において質の高い人材を確保することにつながる。また、ボランティア団体等とのつながりにより新たなビジネスに結びつく可能性がある。更に、社員の視野を広げ活力ある社員を育てることができる。
(2)自立した個人が担う新たな「公共」による社会を作り出す鍵
   都市化の進展や核家族化・少子化等により、地域の連帯感が薄れ、地域社会における人間関係の希薄化が進んでいる。こうした傾向は、政府や地方自治体など行政の担う機能の肥大化、自分に直接関わる事柄以外は全て行政に委ねる傾向を招き、社会における自己中心的な考え方を助長するとともに、縦割り組織の下で個人が主体的にコミュニテイ(地域社会を含む個人を取り巻く諸環境)のために活動を行うことができにくい状況の一因ともなっている。今日社会が複雑化し、地域社会の様々な分野で問題が生じているが、こうした現状では、様々な問題に対する適切な対応が難しくなっている。
学校を含め社会の様々な場を通じて奉仕活動・体験活動を盛んにすることは、青少年をはじめ人々の社会への関心、責任感を醸成するとともに、個人が、学校や職場などの所属する組織を離れコミュニテイの一員としてコミュニテイをより良く運営するための様々な活動に主体的に参加する環境を整えることにつながり、その結果、新たな「公共」による社会を構築することに寄与するものと考えられる。更に以下のような社会的な意義が考えられる。

(2)自立した個人が担う新たな「公共」による社会を作り出す鍵

       都市化の進展や核家族化・少子化等により、地域の連帯感が薄れ、地域社会における人間関係の希薄化が進んでいる。こうした傾向は、政府や地方自治体など行政の担う機能の肥大化、自分に直接関わる事柄以外は全て行政に委ねる傾向を招き、社会における自己中心的な考え方を助長するとともに、縦割り組織の下で個人が主体的にコミュニテイ(地域社会を含む個人を取り巻く諸環境)のために活動を行うことができにくい状況の一因ともなっている。今日社会が複雑化し、地域社会の様々な分野で問題が生じているが、こうした現状では、様々な問題に対する適切な対応が難しくなっている。
   学校を含め社会の様々な場を通じて奉仕活動・体験活動を盛んにすることは、青少年をはじめ人々の社会への関心、責任感を醸成するとともに、個人が、学校や職場などの所属する組織を離れコミュニテイの一員としてコミュニテイをより良く運営するための様々な活動に主体的に参加する環境を整えることにつながり、その結果、新たな「公共」による社会を構築することに寄与するものと考えられる。更に以下のような社会的な意義が考えられる。
  1 青少年の健全育成
       青少年が、命を大切にし、他人を思いやる心など豊かな人間性や自ら学び自ら考える力などの「生きる力」を身につけるとともに、市民性や社会性を獲得し、社会の確かな構成員(「良き市民」)となるためには、その発達段階において、自分以外の誰かの役に立つ活動を様々な形で実体験し、自分と社会とのかかわりを考え、主体的に行動する態度や姿勢を身に付けることが必要である。
   青少年に対するこうした体験の機会の充実に努めることが、社会に課せられた我々大人の責務ともいえる。諸外国でも、こうした考え方に基づき、様々な体験活動の機会の提供のための取組が行われている。
  2 成人が大人としての責任を果たす活力ある地域社会の形成
   
1) 成人が青少年に対する大人としての責任を果たす
     青少年の心の荒廃の問題は、大人が青少年に市民としての社会的責任の在り方や生き方などを身をもって示してこなかったことにも責任がある。青少年の豊かな心を育むためには、大人が地域社会での活動に進んで参加し、青少年がこうした活動に自然に取り組む雰囲気の醸成や、青少年と大人が積極的に活動に参加できる社会的環境を整えることが不可欠である。
2) 活力ある地域社会を形成する
     成人がこれまで培った知識や経験を生かして自分の居住する地域社会のために活動することにより、自己の存在意義、地域との一体感を確認し、生きがいにつながる。こうした活力ある住民が、地域社会の活性化に寄与する。
  3 地域に信頼される学校や企業の実現
       学校は、地域の様々な機関や団体と日常的に連携し、教育活動として様々な体験活動の機会の充実に努めることにより、地域社会との確かな信頼関係を構築し開かれた学校づくりを進めることにつながる。企業にとっても、地域での様々な奉仕活動・体験活動への支援等を通じて、地域に信頼される企業を実現することができる。
  4 市民レベルでの国際協力の推進
       NGOなど民間の国際協力団体が、国際的な人道支援や技術協力などの分野で果たす役割が益々重要になってきている。奉仕活動・体験活動を推進することは、こうした民間団体による国際協力のすそ野を広げることにも寄与する。

(3)奉仕活動・体験活動等の範囲及び概念等
   更に、奉仕活動・体験活動の推進を検討する前提として、「奉仕活動・体験活動」等の概念等について以下のように整理した。
    1 「奉仕活動・体験活動」等の概念
       「奉仕活動」という用語をめぐって様々な議論がある。例えば、「奉仕活動」は押し付けの印象を与えることから、むしろ個人の自発性に着目し「ボランティア活動」として捉えるべきではないかという意見がある一方、青少年の時期には発達段階に応じて、教育活動として人や社会のために役立つ活動などを体験し、社会の一員としての意識や責任感を身に付けるようにすることとも必要であり、そのようなことを考慮すると「奉仕活動」という用語が適当であるとする意見もある。
   「奉仕活動」と「ボランテイア活動」は、いずれも「自分の時間を提供し、対価を目的とせず、自分以外の誰かや社会のために役立つ活動」である点において共通しているが、「奉仕活動」か「ボランティア活動」かなど用語の厳密な定義やその違いを過度に強調する意義に乏しいと考える。教育活動としての活動か自発的な活動かを問わず、自分以外の人のことに思いをいたし、地域社会の人々が共に心楽しく健やかに生きるために地域や社会の様々な課題の解決を目指して、生涯にわたって「自分の時間を提供し、対価を目的とせず、自分以外の誰かや社会のために役立つ活動」を行うこと自体に意義がある。地域においては、「奉仕活動」といわずとも、例えば、自治会活動、青年団活動、消防団活動、祭りなどの伝統行事への参加など従来から行われている地域の一員としての活動もある。
   したがって、ここでは、個人が社会の一員として地域や社会などいわゆる「コミュニテイ」のために行う活動を可能な限り幅広く捉え、こうした活動全体を幅広く「奉仕活動」と考えたい。本報告書では、こうした意味で広く一般的に「奉仕活動」という用語を用いることとしたい(但し、活動を行う主体や活動の内容や性質等により、「ボランテイア」、「ボランテイア活動」という用語を用いることがよりふさわしい場合には、そのまま「ボランテイア」、「ボランテイア活動」として用いることとする)。
   また、特に初等中等教育段階での青少年の活動については、その成長段階において必要な体験をして社会性や豊かな人間性を育むという教育的側面に着目し、人や社会、自然などに積極的に関わる様々な活動を幅広く「体験活動」として捉えられている。更に、「体験活動」は、「日常得にくい直接的な体験をすることを目的とした活動」として、例えば、教員免許取得希望の学生が行う「介護体験」、ボランテイア活動を初めて行う者の「ボランテイア体験」などの形でも用いられている。このような意味で「体験活動」は、「奉仕活動」と密接に関わっており、ここでは、前述の「奉仕活動」とともに「体験活動」も含め社会全体で奨励していくべき幅広い活動の総体を
「奉仕活動・体験活動」と考えたい。
  2 無償性・自発性の取扱い
       「奉仕活動」、「ボランティア活動」とも、無償性が強調されがちであるが、「受け手」と「担い手」との対等な関係を維持するための「活動の潤滑油」として、あるいは継続的・組織的な活動を行うために、年齢や活動内容等に応じて、労働の対価とならない範囲で一定の実費などが認められる場合もありうる。
   また、奉仕活動等においては個人の自発性は重要な要素であるが、社会に役立つ活動を幅広く捉える観点からすれば、個人が様々なきっかけから活動を始め、活動を通じてその意義を深く認識し活動を続けるということが認められても良い。この意味で、教育という視点からすれば、「自発性は活動の要件ではなく活動の成果」と捉えることもできる。

2.奉仕活動・体験活動をどのように推進していくのか

1.奉仕活動・体験活動に関する現状及び主な課
(1)奉仕活動・体験活動の現状
       1) 取組の現状
   
ボランティア活動等の現状
  全国で活動するボランティアは、正確な人数の把握は困難ではあるものの、既に700万人を大きく超えている状況にあり、環境保護や社会福祉、国際交流等幅広い分野において活動が行われている。ボランティア数は、90年代後半からの伸びが高く、特に平成7年1月の阪神・淡路大震災以降大きな伸びを示している。
  平成10年の特定非営利活動法人(NPO)法の制定により、NPOの活動を支援する基本的な枠組みが構築されたことにより、市民活動が多様な場面で継続的に行われる機会が増大。(日本におけるNPO法に基づき法人格を取得した団体は2,763団体(平成12年10月20日現在)、非営利セクターの経済規模はGDP比4.5%。アメリカの非営利セクターの経済規模はGDP比6.9%、雇用者数860万人。)
  民間企業においても、一部ではあるものの、ボランティア休暇・休職制度の導入や社内顕彰などにより社員の活動や、活動資金の援助などにより学生等の活動を奨励・支援する動きも見られる。(図2ー1−1・2・3)
  国民の活動状況
1 諸外国との比較(「国民生活白書(平成12年度)」)   (図2ー1−4)
  我が国のボランティア活動参加率を諸外国と比較したところ、(a)フランスやオランダと同程度ではあるものの、アメリカ、イギリスと比べ低い(半分の参加率)、(b)特に30代前半までの若い世代で低いという特徴が見られる。
  アメリカやイギリスのボランティア活動参加率が我が国の2倍もある中で、参加意識については我が国とそれほど変わらない状況にあり、アメリカ、イギリスでは「ボランティア活動が生活の中で普通のことと位置付けられていること」による違いと捉えている。
2 国民の活動状況(「国民生活選好度調査(経済企画庁)」   (平成12年))
  国民の4人に3人は社会の一員として何か社会の役に立ちたいと考えており、また、実際にボランティア活動への参加意欲を持つ人は3人に2人の割合となっており、国民のボランティア活動等に対する関心は非常に高いものとなっている。しかしながら、現在活動を行っている、又は過去に活動行ったことがある人は、同調査によれば、3人に1人にすぎない現状にある。
  このことは、ボランティア活動等を行おうとする意欲はあっても、未経験者にとって、はじめの一歩を踏み出しがたい状況が伺える。(図2ー1ー5)
       2) 国民の意識等
   
    国民一般(「国民生活選考度調査(経済企画庁)」   (平成12年))
    前出の調査においては、活動の妨げの要因として「ボランティア団体に関する情報がないこと」をあげる人が約4割を占め、また、国や地方公共団体に望むこととして、「ボランティア活動に関する色々な情報をもっと提供する」と回答した人が40%と最も高く、「ボランティア活動を希望している人に対して情報提供・相談を行うボランティアセンターを整備する」が29%となっている。(図2ー1−6)
    国民の参加意欲を実際の活動につなげていくためには、行政において活動推進の基本となる国民にとって活用しやすい体制を整備することが強く望まれている。○青少年(「青少年のボランティア活動に関する調査」報告(総務省(平成6年6月)・青少年のボランティア活動に対するイメージとしては、やりがいがある(73.4%)、勉強になる(84.6%)といった項目については、肯定的に回答する者が多くいる一方、「遊びよりも面白い」、「かっこいい」といった項目については、否定的に回答する者が多い。(図2ー1−7)
  大学生(「学生のボランティア活動に関する調査報告書((財)内外学生センター)」(平成10年))(図2ー1−8)
    大学生のボランティア活動については、ボランティア活動の未経験者は59%となっており、活動を始める障害要因については「大学の時間が忙しい」に次いで、「情報不足」「活動のための技術や知識がない」「資金がない」などがあげられている。また、国や市町村、大学に対して望む支援・奨励策として、情報の提供、研修会等の実施、単位認定が上げられている。
  勤労者・企業(「企業及び勤労者のボランティア活動に関する調査(日本経営者団体連盟・地方経営者協会)」(平成12年))(図2ー1−9)
    勤労者のボランティア活動については、ほとんどの企業が何らかの地域活動を行っており、何も行っていない企業は約1割程度であり、従業員が行うボランティア活動についても、「地域の発展に貢献」「従業員の視野の拡大」等ほとんどの企業は肯定的に捉えている。
    しかしながら、従業員の活動に対して「支援策あり」の企業は約2割にとどまっており、自主的活動であるため関与しないとする企業が5割を超えている。一方、従業員については、約7割がボランティア活動に関心を示しているものの、現在活動を行っている人は16%にすぎない状況となっている。ボランティア活動を今後やってみたい人については、その条件として、「自分ができる内容のものが見つかれば」が約7割と最も多く、次いで「時間ができれば」が6割を越える状況である。
    また、ボランティア活動を始めたきっかけとしては、「自発的な意志で」が33.6%と最も多いが、「会社、組合等で参加の機会を与えられて(25.6%)」、「友人・知人に勧められて(19.4%)」など、きっかけを与えられて活動を始める者も多い。

          (2)推進にあたって検討すべき主な課題
             こうした奉仕活動・体験活動の現状等を踏まえ、当面、以下のような課題についての具体的な方策を検討する必要があると考えられる。
             
1 初等中等教育段階での学校内外における奉仕活動・体験活動の推進するために必要となる事項の検討
              ・学校内外の関係者の連携による推進体制の整備の在り方
・学校における体験活動の充実方策(教育活動の在り方、指導体制、受入体制等)
・学校外活動の促進のための方策
・行政の役割と支援
             
2 18歳以降の個人が行う奉仕活動・体験活動を奨励・支援する方策についての検討
              ・大学生に対する奨励・支援(教育活動の在り方、学生に対するサポート体制等)
・勤労者に対する奨励・支援(参加しやすい活動、勤務形態等の奨励支援策)
・個人一般に対する奨励・支援策(身近な活動の場の開拓等)
・NPOやボランティア団体等への支援
             
3 奉仕活動・体験活動を推進する社会的仕組みについての検討
              ・国及び地方を通じた推進体制(情報提供、相談等求められる機能、関係機関等の役割、連携協力の在り方)
・地域での関係機関等のネットワークの形成の在り方
・活動を担うコーデイネーター等人材の養成の在り方
・多様なプログラムの開発・支援の在り方
・活動の円滑な実施に向けた留意点(安全確保、事故への対応等)
             
4 奉仕活動・体験活動を推進する社会的気運の醸成
              ・奉仕活動に対する積極的な気運の醸成のための方策
・企業等の取組を促す方策


2.   初等中等教育段階の学校内外における青少年の奉仕活動・体験活動を推進するための方策

             小・中・高等学校等の段階の青少年は成長発達が著しく、この時期に豊かな体験活動を行うことできるよう、学校、家庭、地域を通じて多様な奉仕活動・体験活動の機会の確保・充実が必要である。
   平成13年6月の学校教育法及び社会教育法の改正により学校内外を通じた体験活動の促進が求められることとなり、学校においては、平成14年度から実施される新学習指導要領において、「生きる力」の育成を目指す観点から体験活動を重視するとともに、新たに「総合的な学習の時間」の創設等を行ったところであり、体験活動を教育活動に適切に位置付け、その充実を図ることが求められている。学校においては、行政と地域の連携による支援の下に、質量共に充実した活動が行われる必要がある。
   一方、家庭や地域においては、日常生活の営みや遊び、地域行事へ参加することなどを通じて、生活体験、社会や自然に触れる体験などを重ね成長していくことが期待され、来年度からの学校週5日制の完全実施を踏まえつつ、家庭や地域における多様な体験活動の振興や奨励を一層推進する必要がある。
   青少年の奉仕活動・体験活動の推進を図るためには、学校の教育活動と学校外の活動との日常的な連携が必要であり、学校の教育活動の充実に当たり地域や保護者の協力や支援を得るとともに、地域における学校外活動の振興や奨励に当たり学校も地域社会の構成員として協力することが求められる。
   
          (1)学校内外の関係者の連携による推進体制の整備(図2−2−1参照)
                 学校の教育活動と学校外の活動のそれぞれの特性を生かすとともに、相互の有機的な連携を図るための推進体制の整備が求められる。
   後述のように、国・都道府県・市町村のそれぞれの段階で、推進方針の検討や連携を進めるための関係者の協議の場を設けたり、学校関係者、関係団体、個人の活動等を支援する拠点として奉仕活動・体験活動を推進するためのセンターを設置することが必要である。
   学校内外の活動が一回限りの活動に終わらず、継続的な活動として定着していくためには、活動への参加者に対する活動の意義などについて適切な動機付けとフォローアップの活動が不可欠であり、同時に教員、指導者など活動に関わる関係者がその意義を十分認識することが必要である。教育委員会、学校、ボランテイア推進団体、青少年団体等が連携協力し、こうした活動に資する教材や資料の開発・普及を進めていくことも検討する必要がある。
   
          (2)学校における体験活動の充実方策
                 学校において質の高い多様な体験活動の充実に努める必要がある。具体的には、ボランティア活動など社会奉仕体験活動や自然体験活動をはじめ、勤労生産、職業や就業、芸術や文化などに関わる体験活動、高齢者や幼児、障害のある人々との触れ合いなど、地域や学校、児童生徒の実情を踏まえ、多様な活動を工夫することが求められる。
   このような多様な体験活動の取組が推進されるためには、参考となるモデルプログラムの開発や事例集の作成が行われ、これらが全国的に普及される必要がある。また、体験活動の充実のためには、保護者、地域の人々への啓発により体験活動への理解を得るとともに、協議会やセンターの支援を得ながら、体験活動に協力してもらえる地域の人材や受入先のリストの整備などが重要である。
   更に、学校において体験活動が一層工夫され効果的に行われるようにするためには、評価の在り方や体験活動の内容・方法と効果に関しての調査研究が行われることが望まれる。学校だけでは体験できない豊かな活動を児童生徒に体験させ、教育効果をあげるためには、学校外活動の単位認定の促進などの取組も重要である。
   また、学校において実施する場合、次のことに配慮することが重要である。
             
1 発達段階に応じた活動の実施
                 発達段階に応じた適切な活動の機会の提供が行われるよう、自校の教育目標を踏まえ、学校として活動の狙いを明確にし、(a)特別活動、総合的な学習の時間をはじめとする教育活動に適切な位置づけを行うこと、(b)小・中・高等学校等のそれぞれの取組に継続性を持たせ、発達段階に即して活動の内容や期間等を工夫すること、(c)各教科等における学習指導との関連を図ることなどが必要である。
             
2 興味・関心を引き出し、自発性を高める工夫
                 子どもの興味関心を引き出し、自発性を育てる工夫として、例えば、(a)発達段階や活動の内容に応じ、活動の企画段階から子どもを参加させること、(b)活動の明確な動機付けや活動の振り返りなど事前事後の学習を行うこと、(c)各教科に位置付けて活動を行う場合、特別活動の内容や総合的な学習の時間における学習指導などとの関連を工夫する必要がある。
             
3 活動の適切な評価
                 学校の教育活動として行う体験活動については、点数化した評価ではなく、子どもの長所や優れている点を適切に評価し、振り返り等を通じて子どもたちが何を得たかに配慮するとともに、受入先や指導者等の所見を参考にするなど活動の特色を踏まえた工夫が必要である。
             
4 学校としての体制づくり
                 各学校においては、奉仕活動・体験活動のコーデイネートの窓口となる担当教員を明らかにし校長の指導の下に全教員が協力して校内推進体制を整備する必要がある。また、地域の人々の協力を得るとともに関係団体等との継続的な連携関係を構築し学校の活動に幅広い支援が得られるように、保護者、地域の関係者等による学校支援委員会(仮称)を設けるなど推進体制を整備することが求められる。
   
          (3)教員の資質能力の向上
                 学校教育の直接の担い手である教員自身がこれらの活動を直接経験する機会を持つことにより、その意義や理念について正しい理解を持つことが必要である。奉仕活動等の経験のない教員が多数いることを踏まえ、地域のボランティア推進団体等の協力を得て以下の取り組みを行う。
             
教員の初任者研修を始め各種研修においてボランティア講座や体験活動等の機会を設ける(初任者研修においては、奉仕体験活動、自然体験活動に関する指導力の向上を重視)
             
活動の企画や指導などコーデイネートの中心となる教員を養成するために、地域のボランティア推進団体等が実施するコーデーネーターや指導者養成講座等への参加を研修に位置づけること、ボランティアセンター、NPO等での長期社会体験研修の実施また、教員の養成、採用の各段階においても、以下の取組が求められる。
             
養成
             
小学校や中学校の教員免許状の取得を希望する者の介護等体験の一層の充実
             
大学と教育委員会・学校の連携による教員を志望する学生の教育支援ボランティアの全国的な普及
             
採用
             
都道府県教育委員会等が行う教員採用選考においても、奉仕活動動等の経験を一層重視し、ボランティア活動等の経験を有する者をより積極的に採用
   
          (4)学校外活動の促進のための方策
             
1 趣旨の普及啓発等
                 地域における関係者の協議の場や支援のためのセンターを中心に、学校外の多様な活動の機会の促進が図られるべきである。このため、奉仕活動・体験活動の促進の趣旨等について、保護者、地域の企業や官公署等受け入れ可能な機関・団体に対する普及啓発を積極的に行い、活動の場の開拓、指導者となる人材の掘り起こしを図る必要がある。
             
2 学校外の活動の促進
                 教育委員会、社会福祉協議会、NPO関係団体、青少年団体等地域の関係機関・団体が連携協力し、青少年に対する幅広いボランティア活動の機会の一層の充実を図る必要がある。特に、中・高校生とって学校外での自発的なボランティア活動は、人間としての幅を広げ大人となる基礎を培う意味で意義が大きい。中・高生を対象とした活動の場の開拓を図るとともに、例えば、地域でのボランティア活動の中核となる中・高生のボランティアリーダーの養成のためのモデルカリキュラムを開発するなど中・高生のボランティア活動を推進する方策を検討する必要がある。
             
3 指導者の養成・確保
                 青少年の奉仕活動・体験活動の指導者は、活動の際の事前指導や現場指導の中心的役割を担うものであり、市町村単位で、教員を含め指導者となりうる人材の発掘を行い、専門的知見に応じて大括りな分野ごとに指導者人材リストを作成・活用することが適当である。
   また、指導者の計画的養成に資する観点から、自然活動指導者登録制度等を参考に、体験活動の機会を提供する全国的な関係機関・団体等が連携協力し指導者養成のためのモデル的なプログラムの開発を行うことなども検討すべきである。
   
          (5)学校内外を通じた配慮事項
             
1 学校内外の活動の連携
                 学校外活動と学校での教育活動が日常的に密接な関係を持つことが重要である。学校で体験活動を行うに当たって、社会教育関係者が活動の企画に参画したり指導者や補助者として協力したり、逆に社会教育として実施する体験活動に教員が様々な形で参画・協力すること、更には、学校を通じて児童生徒やその保護者に学校外の情報提供を行うなど相互の日常的な連携協力関係を保つ取組や工夫が必要である。
             
2 学校内外を通じた活動の適切な評価
                 青少年の学校内外を通じた多様な活動を積極的に認めることを通じて、活動への参加を促進する方策を検討する必要がある。例えば、(a)青少年が体験した学校内外の多様な活動を「奉仕活動・体験活動手帳」などの形で記録し、活動の励みとしたり、青少年同士や大人とのふれあいや交流のきっかけとする、(b)学校内外の「奉仕活動・体験活動歴」を高校入試や大学入試や就職などの評価に活用するなどの方策も検討されるべきである。
   また、高等学校においては、地域での自主的なボランティア活動等を単位認定するなどの取組を更に進める必要がある。
             
3 受入先等への配慮
                 活動によっては受入側の負担が大きくなる場合があることから、例えば、受入人数の適正化や受入先との綿密な連絡調整など企画段階での配慮、児童生徒のマナーや活動に必要な知識や技能の習得などの事前指導、活動を支援するボランティア等の参加など受入先等への十分な配慮が必要である。また、例えば、学校において受入先を公表すること、感謝状や受入先であることを示す証を贈呈するなど活動の場を提供した受入先に対する感謝を形として表す配慮も必要である。
   
          (6)行政の役割と支援
             
1 行政の役割
                 学校内外において青少年の奉仕活動・体験活動が盛んに行われるように、市町村教育委員会等関係行政機関にあっては、地域のボランティア推進団体等関係団体、福祉、農水、商工などの関連行政部局などとの密接な連携の下に、後述のように、(a)地域における協議の場、支援センターなどの推進体制の整備、(b)青少年の奉仕活動・体験活動に関する情報提供及び広報啓発などを行うとともに、(c)奉仕活動・体験活動に関する教員研修の機会の提供、(d)地域におけるコーデイネーター、指導者の養成のための研修機会の提供等など各般の支援措置に取り組む必要がある。
   また、学校の教育活動として行われる活動については、児童生徒の発達段階に応じた適切な活動の充実を図ることができるよう、モデルプログラムの開発、先駆的な実践や効果的な実施方法等に関する調査研究などを推進し、その成果を広く提供するなどの取組が求められる。
             
2 必要な経費及び財政的な支援
                 奉仕活動・体験活動の実施に際しては、個別の活動プログラムの企画に必要な関係団体等との連絡調整、事前指導のための資料づくり等の経費、活動実施に要する用具や消耗品、指導者の交通費・謝金等の経費のほか、参加する子ども自身の交通費や保険料などが必要となる。
   活動に要する経費については、参加者や主催者において経費の性質に応じて負担することが原則であるが、学校における教育活動として実施する活動については、児童生徒が共通に用いる用具等については学校側で一層の整備充実を図る必要がある。
   学校外において行わえる自発的な活動については、ボランティア推進団体等でのプログラム開発や実施への支援など側面的な支援を図る必要がある。


3.   18歳以降の個人が行う奉仕活動等を奨励・支援する方策等

   18歳以降の青年にとっても、奉仕活動等への参加は、視野を広げ、ものの考え方を深め、将来の人生設計に役立てることができるものであり、活動の機会の充実が必要である。大学等においては、奉仕活動等を正規のカリキュラムに位置づけた教育活動(いわゆる「サービスラーンニング」)が奨励されるべきである。大学が、ボランテイア推進団体等等と連携協力を図りながら、必要なプログラムの開発等を積極的に行うことが期待される。
   また、奉仕活動等に自発的に取り組む青年を支援するため、大学、地域のボランティア推進団体等の連携協力による青年に対するサポート体制の整備や、行政や企業等による青年の奉仕活動等に対する様々な奨励・支援のための施策が求められる。 更に、青年が奉仕活動等を行うことに伴う人生の「寄り道」の意義を積極的に認め、やり直しのきく柔軟な教育システムづくりや適切な評価を進める必要がある。
   社会人については、様々な活動に取り組むことは社会の一員として担うべき責任であるとの気運を高めるとともに、希望するすべての人が気軽に活動できる社会的仕組みづくりを進めることが必要である。このため、地域のボランティア推進団体等を中心に地域の関係機関・団体等のネットワークを構築し、情報提供、相談対応、活動の場の開拓など地域住民の奉仕活動等を支援する体制を整える必要がある。その際、身近な場での活動の拠点を整備することにも配慮する必要がある。特に勤労者については、勤労者が参加しやすい活動の場の開拓や活動に参加しやすい柔軟な勤務形態の導入などを進めていくことが求められ、行政、企業、ボランティア推進団体等の連携協力による側面的な支援が必要である。

(1)    大学生に対する奨励・支援等
  学生のボランテイア活動は、自己と社会との関わりについて考えを深め「課題探求能力」を高める機会を学生に与えるとともに、大学の地域社会への貢献という観点からも有意義であり、各大学において、ボランテイア活動を授業に取り入れたり、学生の自主的なボランティア活動を支援することに積極的に取り組むことが求められる。
  学生のボランティア活動には、(a)正規の教育活動として行うものと(b)自主的な活動として行うものがあり、それぞれの奨励・支援策が必要である。
  1) 大学による奨励・支援
  【教育活動としての取組】
  1 各大学において、地元自治体、地域の社会福祉協議会、国際協力団体、NPO、青少年団体等関係団体と連携協力し、ボランティア講座やサービスラーニング科目、NPO設立運営に関する専門科目等を開設することが望ましい。また、複数の大学で協力し、こうした科目に関するモデルカリキュラムや教材等を共同開発することも適当である。
  2 インターンシップを含め学生の自主的な奉仕活動・体験活動についても、大学において、教育効果などを勘案しつつ、対象となる活動や期間、活動参加の確認方法などに関する基準等を設けるなどにより、大学の単位として積極的に認定することが求められる。
  3 こうした取組に当たっては、ボランティア活動の教育的意義について、特定教官のみならず全学的に教職員の啓発を図り大学全体で進めることが求められる。
  【学生の自主的活動に対する奨励・支援策】
  4 大学においては、学生の自主的な活動に対する奨励・支援策として以下のような取組を検討する必要がある。
ボランティア活動に関する啓発
・地域のボランティア推進団体等との連携協力によるボランティア活動に関するガイドブックの作成、ボランティアセミナー等の開催、入学時における学生に対するオリエンテーション
  5 学生に対するサポート体制の充実
地域のボランティアセンター、学生関係団体等との連携協力の下に、学生にとって身近な大学内において、以下いずれかのようなサポート体制を整備すべきである。
ア)学生部等に情報提供、相談窓口の開設
イ)大学ボランティアセンターの開設(専任スタッフ、学生ボランティアの配置)
(センターにおいては、(a)学生のボランティア活動に関する情報収集・提供、(b)学生向けプログラムの開発、場の開拓、(c)ボランティア養成講座等の開催等の事業を行うことが想定される)
ウ)学生主体に設立された学生ボランティアセンター等に対する支援
  6 学生が活動を行いやすい環境の整備
セメスター制度、ボランティア休学制度(休学期間中の授業料の不徴収、在籍年数制限からの除外等)の実施、9月入学の促進、いわゆるギャップイヤー(大学合格者が入学の時期を延期してその間に多様な体験を行い見聞を広める)など学生が長期的なボランティア活動を行いやすい環境を整備すること等が奨励される。
  7 学生に対する学内のボランティア活動の機会の提供
大学等そのものが最大の活動の場となり得る要素を備えており、学内の環境整備、IT関連の支援、図書館や留学生支援などの各種業務などにおいて、ボランティア活動の機会を積極的に学生に提供することが奨励される。

  2) 国、企業等による奨励・支援
   上記のような大学及び学生の取組を奨励・支援するため、例えば、国、企業等において以下のような取組が検討されることが望ましい。
  1 大学に対する国等の奨励・支援
・   ボランティア教育や活動を積極的に推進する大学に対する支援(例:ボランティア関係カリキュラム等の複数の大学による共同開発に対する支援、学生の自主的ボランテイア活動を推進する大学に対する支援等)
・   学生関係団体による学生ボランティアに関するガイドブックの作成・配布等
  2 企業による学生に対する経済的支援
・   自主的なボランティア活動を行う学生に対する企業による奨学金の支給等の支援
  3 就職の際に評価
・   公務員や民間企業の採用に当たって学生のボランティア活動実績をより一層重視(関係府省と経済団体等の連携協力による働きかけ等)

(2)    勤労者等に対する奨励・支援
  1)  勤労者に対する奨励・支援
希望する勤労者が奉仕活動等に参加できる機会を整備するため、企業及び国において、以下のような取組が進められることが望ましい。
  1 企業等に期待される奨励・支援策
○気軽に活動に参加できる職場環境の整備
・   勤労者が活動に参加しやすい環境の整備(長期間にわたる活動の実施に適したボランティア休暇制度の導入のみならず、(a)柔軟な勤務形態(短時間の継続的な活動の実施に適したフレックスタイム制など)の導入、(b)気軽に参加できる職場環境のづくり(ボランティア参加のための定時退社など))
○社員のボランティア活動の奨励
・   地域の諸活動への親子、家族での参加を含めボランティア活動を幅広く捉える ・   社員が属している活動団体への助成、社員が活動支援のために団体に寄付する際に企業側が一定の上乗せをするなどの支援の拡大
  2 国の奨励・支援策
   勤労者等の自発的・主体的なボランテイア活動を奨励・支援するために、以下の取組の一層の充実が望ましい。
○勤労者のボランティア活動等の機会に関する施策の充実(勤労者ボランティアセンターの事業や経営者団体・NPO等との連携による勤労者マルチライフ支援事業等)
○社員のボランティア活動等を支援する企業の取組の事例の紹介、支援活動の導入に当たってのマニュアルなど勤労者のボランティア活動を啓発するための方策
  3 公務員・教員のボランテイア活動等の奨励
   また、特に前述のように公務員や教員にとってのボランテイア活動の意義に鑑み、公務員や教員が自発的に奉仕活動等を行うことができる機会を整備するため、以下のような取組を検討することが望ましい。
◇公務員
   ○公務員の研修の一環としてのボランティア活動
   ・   一定期間ボランティア活動に従事することを研修プログラムに位置づける
   ○公務員の自主的なボランティア活動を支援
   ・   ボランティアに関するセミナーの開催、事例集の作成等による啓発の充実
   ・   現行の短期ボランティア休暇制度の一層の充実の検討
◇教員
   ○初任者研修等教員の研修のプログラムとしてボランティア活動等を積極的に取入れ
   ○教職員生涯福祉財団等によるボランティア活動に係る啓発の一層の充実
   更に、関係行政機関が、ボランティア推進団体等と連携協力し、公務員や教員の専門性を生かしたボランティア活動のモデルプログラムの開発や海外青年協力隊等の国際ボランテイアに参加しやすいように、制度や運用を一層改善すること等についても検討する必要がある。

(3)    青年、勤労者向け長期の社会参加プログラムの創設勤労者等に対する奨励・支援
   既に述べたとおり、奉仕活動等を長期間にわたって行うことは、青年にとっては知識・技術を習得し将来の人生設計に役立てることができ、また、勤労者にとっても視野を広げ新たな人間関係を構築し、転職を含め新たな人生を切り拓く契機となるものである。また活動を行う施設等においても、こうした活動に参加する青年や勤労者を人材として期待できる。諸外国においてもこうしたプログラムが実施されている例もある。(図2ー3−1)
   雇用が流動化する中で、個人が生涯にわたる学習を通じて資質能力を高め、自己を磨き社会に参画していくことが強く求められているが、こうした課題に応える施策として、関係府省、ボランティア推進団体等が協力して、以下のような青年、勤労者向けの国内外の長期の社会参加プログラムを検討することが望ましい。また、こうしたプログラムの経験者について、官公庁、企業等の採用において積極的な評価が行われることが望ましい。
  1 青年を対象とした長期社会参加プログラム(イメージ)
・   対象:18歳以上30歳未満の青年
・   活動場所:社会福祉施設、社会教育施設、子どもの遊び場、NPO、ボランテイアセンター等のボランテイア推進機関、官公庁、環境保全、国際協力のフィールド等
・   活動期間:1年〜2年
・   支援措置:生活費等を支給するとともに、大学、職業訓練施設等と提携し資格等の取得を含めた学習プログラムを取り入れる
  2 勤労者を対象とした長期社会参加プログラム(イメージ)
・   対象:勤労者(主に中高年を想定)
・   活動場所:社会福祉施設、社会教育施設、子どもの遊び場、NPO、ボランテイアセンター等のボランテイア推進機関、官公庁、環境保全、国際協力のフィールド等
・   活動期間:1年〜2年
・   支援措置:在籍する企業から給与の一定割合を支給。大学、職業訓練施設等と提携し資格等の取得を含めた学習プログラムを取り入れる

(4)    ボランティア活動を行う個人一般に対する奨励・支援
   個人が、生涯にわたって継続的にボランティア活動を行うことを社会的に奨励し、また、経済的な側面も含めた支援等を通じて、こうした活動が持続的に行われる仕組みを検討していく必要がある。こうした観点から、試行的な取組として以下の取組を提起したい。
  地域通貨等と連動したボランティアパスポート(仮称)
地域や大学等を単位として、ボランティア活動の実績等を記録・証明するボランティアパスポート(仮称)を発行することとし、これに応じて当該地域等の単位でのみ利用可能な地域通貨ないしボランティア切符等を交付。それを交換手段として様々な助け合いや協賛企業、団体等からの様々なサービス等の提供などを受けるシステム。
既に地域通貨の取組が実施している地域や団体等の協力を得て、こうした取組を全国的に普及していくための方策等について検討することも考えられる。
(5) NPOやボランティア団体等への支援
◇NPOやボランティア団体等の財政基盤の強化
NPOやボランティア団体の活動の財源は、基本的には寄付や会費による収入が中心となっており、安定的な資金の確保のためには、ボランティア活動に対する個人等の寄付を促す税制上の優遇措置等の導入について検討が進められる必要があるが、個人の寄付を広く募る方策として、例えば、以下のような仕組みの検討も考えられる。
  1 幅広く民間企業の協力を得て商品にポイントを付加するもの(学校設備品の購入に係るベルマークの実例)
  2 カード会社、航空会社等の協力を得て、クレジットカードやマイレージカードのポイントをボランティア活動の財源として寄付できるようにするもの

4.  奉仕活動・体験活動を推進する社会的仕組みの整備
(1)  推進体制の整備
  1)    求められる機能(図2ー4−1参照)
  1 推進体制の基本的枠組み
   奉仕活動・体験活動の円滑な実施のために、国、都道府県、市町村のそれぞれのレベルで、関係行政機関、ボランティア推進団体、学校など関係者による連携協力関係を構築するための協議の場(協議会)を設置するとともに、活動に関する情報提供、相談・仲介などを通じて、個人、学校、関係団体等が行う奉仕活動・体験活動を支援する拠点(センター)を設けることが必要である。    その際、18歳以下の青少年の奉仕活動・体験活動に関し、学校内外の活動は密接な関わりがあることから、学校内外を通じた一体的な体制の整備を推進することが望ましい。
  2 協議会の機能
   奉仕活動・体験活動の推進に向けた合意形成や基本的な方策の調整、共通する問題への対処の検討等 ○国(関係府省や全国規模で活動を展開しているボランティア推進団体等) ・活動推進に向けた基本的な方針などに関する合意形成 ○都道府県や市町村(教育委員会をはじめ関係行政部局、学校、地域のボランテイア活動推進団体、福祉関係団体、地域の経済団体等) ・地域での推進活動方策、年間の活動の方針や計画、具体的な連携協力の在り方、活動の適正確保のために必要な措置など活動に伴う様々な問題について協議
  3 センターの機能
   奉仕活動・体験活動の推進に当たり、活動の参加を希望する個人、学校や団体等を円滑に活動実施に結びつけるために、コーデイネーターを配置し、関係機関・団体等の連携の下に以下のような支援を行うことが考えられる。
   
 活動参加を検討する際に必要となる情報の誰でも簡単に入手できる幅広い 発信、そのための情報収集、
 参加検討に当たって生じる多様な疑問や不安、更には教員や活動団体等によるプログラムの企画などに関する相談受付とこれに対する助言
 希望者に対する具体的な活動の場の紹介や関係するコーディネイト団体等の紹介
 多様な活動の機会をより多く確保するための活動の場の開拓
 活動を円滑に実施するための指導者等の発掘、研修等による人材の養 成・確保、登録人材の紹介
 活動実施中の参加者からの相談対応等のフォローアップ 等
  4 国及び地方を通じた情報システムの整備
情報の発信は、奉仕活動・体験活動の推進に当たって最も重要な要素であり、誰もがいつでも容易に必要な情報を得ることができるシステムが求められる。
特に市町村、都道府県レベルでは、前述のセンターを中心に、既存のボランティア関係の情報データベース等を活用しつつ、地域内の活動団体や活動プログラム等に関する情報を整理し、学生、社会人等活動を始めようとする個人、学校関係者、ボランティア活動関係者等様々な個人や団体の求めに応じて必要な情報を提供するシステムを整備する必要がある。
国レベルにおいても、関係府省、ボランティア関係機関・団体等が連携協力し、全国的なボランティア情報等を利用しやすい体系に整理し、上記の地方のセンターの情報とともにリンクするなど関連する全ての情報が総覧できる情報システムの整備が必要である。
   
 地方(センター):エリア内の活動団体に関する情報、活動プログラムに関する情報、イベント情報等や推進体制の紹介、指導者募集等の広報などを行うためのホームぺージの開設
 国:各地方自治体のセンターのホームページ、関係府省、関係機関・団体等のボランティア情報等を含め、これらを利用しやすい体系に整理してリンクを張るなど、関連する情報を総覧できるシステムの構築   等
       なお、情報システムの整備に当たっては、可能な限り広く収集し掲載することが適当であるが、例えば、特定の団体の誹謗中傷、政治や宗教への利用など不適切な活動の可能性があると判断される場合には管理者で削除するなどのルールを決めておくことが適当である。また、ボランテイア指導者等の人材等についての情報の登録に当たって、センターのコーデイネーターなどが適切な判断を行うことが適当である。 更に、将来的には、国及び地方を通じて、各種情報をデータベース化し、活動分野、年齢、親子など参加形態、地域等により参加し得る活動が検索できるシステムや、生涯学習の視点を踏まえた活動手法や活動事例などの情報提供、希望団体自体による情報提供のために開放できるスペースの提供などの工夫が求められる。
  2) 国と地方、関係機関等の役割及び連携・協力の在り方
  1 関係部局や機関による幅広い連携
       協議会やセンターの設置・運営、更には各種施策等の展開にあたっては、幅広い連携が必要不可欠である。
   国レベルにおける関係府省や全国規模の関係団体等による連携はもとより、地方においても、教育委員会と首長部局、更には行政と学校、社会教育施設、社会福祉協議会等の関係団体、地域の経済団体、地域の代表者など関係機関・団体の密接な連携が必要である。
  2 センターの整備
       国、都道府県、市町村レベルで設けられるセンターにおいては、相互の連携を確保しつつ、それぞれ概ね以下のような機能を担う必要がある。
   
○市町村のセンター: ・地域の住民や学校関係者からの相談対応、活動の場や指導者の紹介
・地域的な情報の収集・発信、
・具体的な活動の場の開拓   等
(特に、学校教育活動については、活動受入先の確保や事前指導等が重要であるため、センター及び教育委員会が場の開拓や指導者の確保など学校の取組に協力・支援)
○都道府県のセンター: ・市町村域を超える広域的な活動への対応
・指導者やコーディネーターの研修など人材養成
・市町村における対応のサポート   等
○国のセンター: ・ボランティア活動推進団体等への情報発信(モデル的なセンターや活動事例の紹介等)
・研修プログラムの開発への支援、
・地方自治体のセンター等との連絡調整、コーデイネート機関
・団体等への助言   等
  3 機能を担う組織
       協議会については、関係する行政部局が多く、広く関係団体等の協力を得ることが必要であるため、行政が主体となって運営することが妥当である。
   都道府県や市町村のセンターについては、既に蓄積されたノウハウ等を活用するとともに、機動的かつ柔軟な運営を確保するため、行政が基本的な経費を確保した上で、状況に応じてボランティア推進団体等に委ねることも有効である。特に市町村のセンターについては、幅広い関係団体等との協力関係が構築できる場合には、社会福祉協議会ボランティアセンターなど既にコーディネイト等を活発に行っている団体等に委ねるなど地域の実情を勘案した柔軟な対応が適当と考えられる。
(2)  地域ネットワークの形成
  1 地域に根ざした推進体制の整備(図2ー4−2参照)
       市町村のセンターは、ボランティア関係機関等による地域のネットワークの中核としての機能が期待される。配置されるコーデイネーターを中心に人的ネットワークを駆使し地域に密着した情報収集・提供、活動の場の開拓を行うことが期待される。
  2 住民による地域的かつ総合的な活動の推進
       市町村単位のセンターのほか、地域の実情に応じて、地域の社会福祉協議会、町内会、自治会、民生委員、青年会議所、商店会等地域の団体が連携協力して、小学校区単位で公民館や余裕教室等を活用し、地域住民が日常的に活動に取り組むために集える地域拠点を整備することも有効であると考えられる。ここでは、センターを補完して、身近なエリアの活動の場の開拓や地域住民の活動への参加を促すとともに、参加者自身が地域的なボランティア活動を行っていくことが想定される。
   一方、住民の生活圏域に応じた広域的なボランティア活動のニーズに応えるため、例えば、高等学校区単位などで、県内のボランティア推進団体、大学、NPO、経済団体等が連携協力して、広域的推進体制(プラットフォーム)を整備することも検討に値する。
(3)  コーディネーターの養成・確保
  1 コーデイネーターに期待される役割
       コーデイネーターは、奉仕活動・体験活動の推進における中心的な存在であり、センターないし仲介機関にあっては、活動参加を希望する者と活動の場を円滑に結びつけるため、活動の準備、実施、事後のフォローアップなど活動の各過程を通じて、参加者に対する活動の動機付け、情報収集・提供、活動の場の開拓、受入先の活動メニューの提供、活動の円滑な実施のための関係機関等との各種の調整などの役割を担う。
   また、学校などの参加者を送り出す施設や福祉施設などの参加者を受け入れる施設にあっても、コーデネーターの役割を担う担当者が必要であり、送出側では事前指導や関係機関等との連絡調整、受入側では参加者へのガイダンス、活動内容の企画、施設内での連絡調整等の役割を担う。
  2 養成・確保
       コーデイネーターには、ボランティア活動、企画・広報、面接技法等に関する専門的知見とともに、関係機関との人的ネットワークやその背景にある豊かな人間性など幅広い素養・経験等が求められる。更には、活動の適正を確保するため、ボランテイア活動に関する情報や団体や人物に対する確かな目利きといった能力も必要である。このため、関係する行政部局や団体等の協力を得つつ、都道府県と市町村が共同して人材の積極的な発掘、計画的な養成が必要である。
   コーデイネーターの養成については、社会福祉協議会、ボランテイア推進団体、教育委員会、青少年団体等関係機関・団体等が連携協力して、養成講座の体系化を図り、養成講座を共同で開設することや、更には関係機関・団体が協力して養成のための各種のモデルプログラムの開発等を行うことも検討する必要がある。
   また、養成に当たっては、受講者の経験や知識のレベルに応じた必要事項の補完や、担当する分野の特性に応じた多様なプログラムを用意する必要があることから、基本的には一定人数をまとめ得る都道府県単位で養成講座を行うことが効果的と考えられる。
(4)    奉仕活動・体験活動の多彩なプログラム等の開発・支援等
       子ども、大学生等の青年、勤労者、高齢者や親子等地域住民など活動を行う主体や、教育支援、医療・福祉、街づくり、国際協力、文化・スポーツ、環境保全など活動分野などそれぞれの特性を踏まえつつ、その興味や関心に応じて選択できるよう多様な活動の機会が用意されるべきである。このため、3(3)の長期の社会参加プログラムに加えて、ボランテイア推進団体やNPOなど活動実施団体等による多彩なプログラムの開発を奨励・支援することが必要である。
   また、活動プログラムの開発に当たっては、若者を惹きつけることができるようゲーム性やエンターテイメント性を持たせることや、親子で参加できる活動など工夫が必要。
       また、地域においては、生涯学習審議会答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」(平成4年7月)に基づき、環境保全、国際理解、高齢化社会への対応など現代課題の学習機会の充実が図られてきているが、こうした学習の成果等を活用した活動の機会の提供やプログラムの開発等についても検討することが適当である。
(5)    活動の円滑な実施に向けた留意事項
  活動の動機付けとフォローアップ
     既に述べたように奉仕活動・体験活動が一回限りの活動に終わらず、継続的な活動として定着していくためには、活動への参加者に対し、活動の意義などについて適切な動機付けとフォローアップの活動が不可欠であるとともに、活動に関わる関係者が、その重要性や意義を認識することが必要である。社会福祉協議会、ボランテイア推進団体、教育委員会、青少年団体等関係機関・団体が連携し、こうした活動に資する教材や資料を開発し普及していくことも検討する必要がある。
  事前指導・安全の確保
 
    1 事前指導・研修
    参加者による必要な最低限の知識・技能やマナー等の習得、参加者、指導者、受入団体や施設の利用者等の安全確保のための主催者による事前指導、研修の実施が必要である。
    一定の技能が求められる活動への事前研修参加の条件付け、また、活動内容によってはあらかじめ実地調査による点検等を行う必要がある。
    2 企画段階での事前調整
    活動の企画に当たっては、受入団体や施設等との連絡を密にし、受入団体や施設等の本来の業務に支障が生じることのないよう、活動を実施する際の留意点などについて事前に十分な調整、参加者への周知が必要である。
  事故発生時の備え
 
    1 事故発生時の備え
    緊急時対応マニュアルを作成するとともに、必要に応じた地域の警察・消防等への事前の連絡、緊急時の連絡先リストの作成などの準備、保険の利用を行うことが必要である。
    2 新たな保険制度の整備の必要性
    保険制度については、団体などで活動を行う際に発生した傷害事故や賠償事故に対応するボランティア保険については既に整備されている。
    独自に活動を行う個人等を対象とした保険や奉仕活動・体験活動を包括して保障する保険が未整備であり、今後の活動の実態等を勘案しつつ、保険会社等の協力を得て、必要に応じてその整備等を行うことが必要である。
    また、学校の教育活動として行うものについては、指導者等を含め損害事故や賠償事故を安価な保険料でカバーする保険の開発が必要である。

.   社会的気運の醸成方策
(1)  奉仕活動等に対する社会的気運の醸成
  1) 奉仕活動等に関する積極的な広報・啓発等
     奉仕活動等に対する社会的気運を醸成するため、関係機関等が連携協力し、例えば、以下の取組について検討することが適当である。
    ○奉仕活動・体験活動の全国的な概況をまとめた年次報告書等の作成
○国民の関心を惹きつける広報・啓発の実施
   ・   奉仕活動等を自ら実践している各界の著名人が集まり、その意義を国民に対し働きかける活動等の実施、
   ・   テレビ等の媒体を通じ活動への参加が若者にふさわしいライフスタイルとしての印象を与えるような工夫等
  2) 活動参加を日常生活の一部とするための方策
     社会的気運を醸成するためには、奉仕活動・体験活動を身近なものと捉え、日常生活の一部として気軽に参加できる雰囲気づくりも重要であり、以下の取組について検討することが適当である。
    ○誰もが行うものであるとの意識の醸成
   ・   「ボランティア活動推進月間」などを設けて、関係府省、民間団体等が協力して奉仕活動等に対する国民的な啓発運動を実施
   ・   日常的に奉仕活動を行う者に対し簡易なバッチなどの表象を交付等
○地域の未経験者の参加者を促す工夫
   ・   例えば、地域でのボランティア活動経験者に「語りべ」となってもらい、地域で友人や仲間に参加の喜びや感動を伝えて一緒に活動に参加する等
  3) 活動の顕彰
     奉仕活動・体験活動に継続的に取り組む者を幅広く社会的に認知し、その取組を顕彰していくことも重要である。ボランティア活動等に関する表彰・顕彰については、既に国や地方公共団体、企業や民間団体等により様々なものがあるが、例えば、以下のような点について検討することが望ましい。
    ○活動に携わるあらゆる人や団体が対象となる工夫
   ・   例えば、青少年の奉仕活動等に対する顕彰など既存の表彰・顕彰の対象となりにくい者に対する新たな制度の創設、既存の表彰・顕彰の実施の工夫による対象者の拡大
   ・   日常的に奉仕活動を行う者に対し簡易なバッチなどの表象を交付等
○国民の関心を集める顕彰の工夫
   ・   積極的に活動を行っている個人や団体などが社会から脚光を浴びるような環境をつくり、関係者の意欲を鼓舞し、国民にその功績を広める顕彰の工夫(例:前述の推進月間に合わせて顕彰を実施、顕彰と合わせてイベントの開催など)
(2)  企業等の取組を促す方策
   奉仕活動・体験活動を社会的に定着させるためには、既に述べたように、(a)青少年の体験活動への協力、(b)大学生、ボランティア団体等への支援、(c)社員のボランテイア活動等への支援など企業等の取組が果たす役割が大きい。このため、以下のような方策についても検討する必要がある。
  1) 積極的に取り組む企業の社会的奨励
       ・   社会において奉仕活動・体験活動を積極的に支援する企業を、例えば、「ボランテイア活動支援企業(仮称)」のような形で広く公表する方策の検討
  2) 関係府省と経済団体等との連携
       ・   奉仕活動・体験活動の推進の官民を通じた共通認識の醸成、推進のための具体的な方策の検討のための関係府省と経済団体等による協議の場の設置等






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