<5月の花(Majblomma)> |
子供達が「5月の花」と呼ばれる、花の形をした紙製ピンバッジを売って、お金を集め、それを子供のための各種プロジェクトに寄付するという運動で、「赤い羽」運動の原型とも言えるものである。 |
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参加者 |
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「花」を売るのは9〜12歳の子供たちである。活動は基本的にクラス単位、学校単位で行う。 |
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参加者は約19万人(2001年)である。この世代の子供は全部で約30万人であり、高い参加率を誇る。 |
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活動概要 |
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「花」の販売 |
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毎年5月の2週間、花の形をあしらった紙ピンバッジやステッカーを子供達が安い価格で地域委員会(後述)から買い取り、それを売って募金を集めたお金を地域委員会に寄付する。 |
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1907年以来、5億1,000万本の5月の花が売られ、2000年には3,200万クローナ(約3億5千万円)を集めている[56]。 |
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学校教育における活用 |
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学校教育においては、お金の計算方法や、他の人にどう話しかけて売ればいいかなどの教育に、「5月の花」活動が使われている。またそうした事例を紹介するパンフレットも作成している。 |
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花をいくつ買って、いくつ売って、いくつ返したかを報告する書類は、子供達自身が作成する。 |
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実施主体 |
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全国に900の地域委員会があり、それを中央組織「5月の花連合会」が統括している。 |
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1985年からシルビア王妃が後援者となっている。王妃は子供の問題にも多く携わっており、組織に対する信頼性を高めている。 |
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連合会は5名の有給スタッフ(フルタイム)で運営されている。地域委員会には有給スタッフはおらず、約15,000名のボランティアにより運営されている。 |
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寄付の対象 |
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募金で集められた金額の使途は下記の通りである。 |
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40%が地域委員会を通じて、地域のプロジェクトに使われる。 |
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10%は子供が所属している学校のものになる。これも寄付にまわす学校もある。 |
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10%は子供自身のものになる。クラスの旅行費用に寄付する場合もある。 |
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20%は連合会のプロジェクトや広報活動に使われる。 |
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20%は連合会の事務費、運営費に使われる。 |
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子供や学校の裁量で使える分とあわせ、募金の60%は地域で使われることになる。 |
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地域のプロジェクトは、基本的には学校におけるプロジェクトが対象で、特別なストレスを持った子供や、病気がちの子供のためなどに使われる。また、子供のための環境整備にも使われる。例えば、自転車置場設置、障害ある子供が読み書きする道具の設置、校庭の器具設置、いじめに対するプロジェクト、夏服しか持ってない子供に冬服を買い与えることなどである。 |
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地域のプロジェクトは、学校等が地域委員会に申請する。地域委員会は協議の上、補助金を出すか否かを決定する。プロジェクトの選定基準のポイントは、よく考慮されたプロジェクトかどうか、学校自身で実行できるプロジェクトであるかどうかの2つである。 |
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地域の実情は地域委員会が一番知っているので、連合会は地域のプロジェクト選定に関与しない。また、使途の決定は、先生や職員だけで決めず、生徒会で議論するなど生徒も影響力を行使できるようにしている。 |
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施設運営 |
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連合会は「子供の園」(GALTAR )と呼ばれる施設を所有・運営しており、その経費にも寄付が使われる。「子供の園」が対象としているのは、社会的に問題のある家庭(親が中毒患者など)の子供と、ぜん息やアレルギーを持つ子供である。 |
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活動結果の評価 |
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集めた金額が上位5人の子供は、その親や教師と共にストックホルムに招待され、王妃に会い、表彰される機会を得る。ここで補助対象となったプロジェクトも紹介され、研究者が子供達にお礼を言う場にもなっている。 |
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ただし、子供個人がたくさん売るのはよくないという考えから、表彰は、個人単位でなくクラス単位に変えることが検討されている。 |
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参加者への報酬 |
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子供達は、集めた額の10%を自分の小遣いとしてもらうことができる。 |