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III.調査対象国ごとの要約

【各国比較総括表】
アメリカ イギリス ドイツ フランス スウェーデン 韓国
1.社会奉仕活動に関する考え方 社会奉仕活動を表す言葉と定義 national service:国に対する奉仕活動全般をさす
community service:地域社会への奉仕活動。裁判所命令による奉仕活動や有償・無償ボランティアも含む。
service learning:奉仕活動を学校の教育課程と関連づける活動
Community Service:
市民がコミュニティに関与し、自分達の地域や生活をよくしていこうとする地域社会への奉仕活動。
Citizenship Education:
現実の地域問題にかかわり、他者のための活動をする中で、考え方や学び方、知識、技術、を身につける市民教育。
・Soziale Dienste:英語のsocial serviceに該当
・Wohlttigkeit:教会などの慈善活動。
・Ehrenamt(エーレンアムト):無償の名誉職。
・freiwillig-または、brgerschaftliches-Engagement:自発的活動、または市民活動。
・国民役務service nationalかつては兵役義務のこと。現在は任意参加のヴォロンタリア・シヴィルのこと。
・社会奉仕に相当するフランス語はない
・直接「社会奉仕活動」に該当する言葉はない
・Samhllstjnst:刑罰の一種で、最低40時間最高200時間無報酬の仕事を行うこと
ボランティアの訳として「自願奉仕」が適応。「他人に仕え奉ることを、自ら願って行う活動」の意味。「個人や団体が、一定の計画のもと、強制されない状況下、自分の意思に則り、無報酬で他人や地域社会に寄与する持続的な福祉活動」と定義。
  ボランティア活動との区別 国や地域社会に役立つ活動のうち、個人が自発的に行う場合にボランティアという言葉が使われる。 ボランティア活動は、他者に貢献する自発性に基づく活動という意味合いが強い。組織的で定期的な活動であると捉えられている。 ボランティアは無償かつ自発的な活動と位置付けられており、義務的なZivildienstとは区別されている。 ・アソシアシオンと呼ばれる趣味やレジャーを行う同好会的な非営利団体が、活動の一つとしてボランティア活動を行っていることがある。
・アソシアシオン活動は自発性が尊重され、自由時間に行われる。
ボランティア活動は自分のため、あるいは自分の所属するグループのため、仲間のため、という意識が強く、一種の余暇活動と捉える傾向が強い。他人や社会のための奉仕という認識は薄い。 ボランティアの漢字訳として「自願奉仕」を用いている。
2.制度の概要 社会奉仕活動に関する法律 Domestic Volunteer Service Act (1973)
National Community Service Act of 1990
National Community Service Trust Act of 1993
The Volunteer protection Act(1997)
個人のボランティア活動振興に関する法的根拠はない。
関連法として、チャリティ法Charities Act、教育法Education Act
兵役代替奉仕推進法(1986)
社会活動年(FSJ)促進法(1964)
海外開発援助法(1969)
環境活動年(FJ)促進法(1993)
・国民役務法典の中で規定されている。
・国際協力参加を奨励・支援するデクレがある。
・アソシアシオンの税制優遇等を定めた法律がある。
・軍事防衛・市民防衛:総合防衛法
・社会奉仕活動・ボランティア活動全般に関する法律はない
「第7次学校教育計画」(1996年より)
  所轄・担当機関 Corporation for National Service(CNS) 教育技能省
Department for Education and Skills
チャリティ委員会
Charity Commission
連邦家族省(BMFSFJ)
同Zivildienst局(BAZ)
連邦経済協力開発省
青少年スポーツ省
国民教育省
外務省
経済再生産業省 など
総合防衛庁
文化省
社会省
青少年庁など
教育人的資源部
各地の青少年自願奉仕センター
3.制度による施策・事業 (1)小・中・高等学校の生徒を対象 CNSのLearn and Serve America助成プログラム 中等教育課程で、シチズンシップ教育科目が必修化。 制度化されたものはなく、各学校で独自に実施。 ・サービスラーニングのように学習の課程として社会奉仕活動に参加することはない。
・公民civiqueの授業で市民性教育が知育として全国一律で徹底して行われる。
PRAO(労働生活実習):基礎学校8-9年頃に行われる職業体験プログラム。実施の有無も、その内容も各学校の裁量に任されている。 特別活動として学校教育における社会奉仕活動の活動時間が定められている。評価結果は学年別に内申書に記載され、点数かされた後上級学校への入試に利用
  (2)大学等高等教育機関の学生を対象 CNSのLearn and Serve Americaの助成金を受けて行うプログラム 制度化されたものはなく、各大学で独自に実施。 制度化されたものはなく、各学校で独自に実施。 特にプログラムはない。 特にプログラムはない ・大学入試における社会奉仕活動の経験を点数化した「学生生活記録簿」の役割が高まる。
・ボランティア活動が選択科目に
(韓国大学社会奉仕協会1996年)
  (3)青少年の学校外での活動を対象 AmeriCorpsの活動プログラム
・VISTA
・AmeriCorps*NCCC
・AmeriCorps*State and National Program
ミレニアム・ボランティア
16〜24歳の若者に年間200〜500時間の活動機会を提供。
疾病患者、高齢者、障害者への奉仕活動、地域の生活環境の向上など多様な活動分野。
ミレニアム・ボランティア活動への参加者は国家的に表彰。
・社会活動年FSJ:
17〜27歳の若者が半年から1年間福祉施設や病院等で活動。
・環境活動年FOJ:
16〜27歳の若者が最高で1年間環境保護の活動に従事。
・学校、アソシアシオン、地域とが協力して課外活動(クラブ活動)を提供する。芸術やスポーツが多い。スポーツを通じて連帯や規則の遵守などを身に付ける。
・欧州連合のユースプログラムに参加することができる。
特にプログラムはない。 主要都市に設置された青少年自願奉仕センターが、学校での社会奉仕活動について、受入機関とのマッチングや事前指導等を支援
  (4)一般成人を対象 National Senior Corpsの活動プログラム
・Retired Senior Volunteer Program (RSVP)
・Foster Grandparent Program
・Senior Companion Program
内務省ACU(Active Community Unit)がボランティア活動の参加を増やすプログラムを実施。
・エクスペリエンス・コア・カンパニー
・コミュニティチャネル
・兵役拒否者による公共奉仕活動(Zivildienst)(18〜27歳)
・海外開発援助
・ヴォロンタリア・シヴィルへ参加できる。
・欧州連合のヨーロピアン・ボランタリー・サービス等に参加することができる。
・総合防衛:軍事防衛(兵役)と市民防衛
・欧州連合のヨーロピアン・ボランタリー・サービス(15〜25歳が対象)。
全国204カ所の自願奉仕センターがボランティアと受入機関とのマッチングを行う(全国で98万人のボランティアが登録)
4.民間主導による社会奉仕活動 アメリカのNPOが提供する多様なボランティア活動あるいはコミュニティ・サービスの活動プログラムがある。 多くのボランティア団体が多様なボランティア活動の機会を提供。
・CSVCommunity Service Volunteersによる青少年対象のプログラムなど
・ギャップイヤー
大学入学資格を得た者に、入学を1年遅らせて社会的な見聞を広めるための猶予期間が与えられる。
・記念物保護活動FJD:
18〜26歳の若者が建築事務所、美術館、手工業工場等で活動に参加。
・文化ボランティア活動FKJ:18〜27歳の若者が青年クラブ、美術館、社会文化センターなどで活動しながら、異文化や文化遺産について学ぶ。
そのほか、民間の公益団体などが提供する多様なプログラムがある。
・生涯教育、課外活動を提供しているアソシアシオンであるラ・リーグ
La Ligueなどでは連帯・市民活動・教育などのプログラムを提供しており、国際協力などの奉仕的なメニューもある。
・ボランティア活動プログラムを提供するアソシアシオンであるユニ・シテUnis Citでは17〜25歳の希望者にフランス国内での奉仕プログラムを提供している。
・生徒会連合会による「オペレーション・デイ・ワーク」
生徒が1日、働いたり募金活動をして、途上国の教育分野のプロジェクトに寄付をする。12〜19歳が対象。
・「5月の花」
花の形をした紙製ピンバッジを、こどもたちが売って集めたお金を、子供のためのプロジェクトに寄付する。9〜12歳が対象。
・全国204カ所の自願奉仕センターがボランティアと受入機関とのマッチングを行う(全国で98万人のボランティアが登録)
・福祉活動(キリスト教の博愛精神をベースとした韓国福祉財団等の活動)
5.社会的基盤 (1)参加促進のしくみ ・国家的なレベルでの表彰制度、州や地域レベルでの表彰制度等多様な表彰制度がある。
・大学入学や就職の際に、コミュニティ・サービスの経験が評価される。
・内務省が実施している
The Philip Lawrence Awards
エジンバラ公爵賞The Duke of Edinburgh’s Awards
などの表彰制度がある。
・大学進学や就職の際に評価されることが多い。
・宿泊場所、食事、小遣いなどが支給される。
・ボランティア活動経験は大学受験の際に有利。
・兵役そのものがなくなる方向にあり、若者のボランティア確保のために資格化することなどが検討されている。
・ヴォロンタリア・シヴィルは公的立場で参加でき、報酬も支払われる。
・青少年スポーツ省やアソシアシオン活動全国評議会がアソシアシオン活動への参加奨励、労働時間の短縮の推進などを実施してきた。
なし 主要都市に設置された青少年自願奉仕センター、並びに各教育庁に設置が進みつつある学生自願奉仕情報案内センターが、受け入れ機関と児童・生徒をマッチングさせる仕組みとして整備されつつある。
(2)参加保証 ・The Volunteer Protection Actによってボランティアの責任範囲が明確化。
・保険は各NPOが加入
・企業には、ボランティア活動のための休暇制度を設けているところがある。
・保険はボランティア団体が加入。
・従業員のボランティア活動を奨励している企業もある。
・連邦休暇法および労災防止規定が適用される。
・各種社会保険(医療保険、介護保険等)の保険料が支払われる。
・就業者は1年間の「安息休暇」を利用して活動に参加できる。
・アソシアシオン活動は自由時間に自発的に行われ、補償はない。
総合防衛及び国際開発援助に関する規定を除けば、特段の保証制度はあない。 生徒が受けた傷害は教育活動中の事故となるため「学校安全保障協会」からの保証となる。しかし、生徒が第3者に与えた損害は、各自が負担
(3)NPO等関係団体の状況 ・NPO(内国歳入法501条C3団体)は約69万団体(1997年)
・活動分野は多岐にわたる。
・ボランティア団体は約50万団体(推計)、うち登録チャリティは18万団体(2000年)
・活動分野は多岐にわたる。
・登録社団は約100万団体、自助組織が約5万団体(1998年)。
・社会福祉分野では大規模な6公益福祉団体が独占し、ここが兵役代替奉仕などの受入先となっている。
・アソシアシオンの累積届出数は数十万といわれる(1998年)。
・1997年1年間の設立数は約6万団体。
ボランティア活動をしている可能性のある非営利組織数は約18万団体(1992年推計値) 自願奉仕センターは全国に204団体

 

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